説明

基板処理装置及び基板搬送方法

【課題】スループットの低下を低減する基板処理装置及び基板搬送方法を提供すること。
【解決手段】基板処理装置は、計測ユニット10と、搬送機構とを備える。計測ユニット10は、基板Wの状態を所定の計測位置Pmで計測する計測器15と、第1のトレイ11と、第2のトレイ12と、所定の計測位置Pmと第1のトレイ11及び第2のトレイ12との間で基板Wを移動させるステージ16とを有する。搬送機構には、基板Wを把持する第1の把持部21及び第2の把持部22を有するロボットハンド25が設けられている。第1のトレイ11に基板Wを載置したロボットハンド25が計測ユニット10から出ずに計測後の基板Wを計測ユニット10の外に取り出すことで、計測ユニット10に対する1回のアクセスで計測前後の基板Wを入れ替えることができてスループットの低下を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置及び基板搬送方法に関し、特にスループットの低下を低減する基板処理装置及び基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を製造する際の過程の様々な処理を行う装置として、基板の研磨を行う研磨ユニット、洗浄を行う洗浄ユニット、膜厚測定を行う膜厚測定ユニット等の各ユニットが設けられると共に、各ユニット間における基板の授受を行う搬送ロボットが設けられた基板処理装置が用いられている。基板処理装置における膜厚測定ユニットへの基板の搬送は、近年枚葉処理が主流となっていることを背景に、膜厚測定ユニットでの膜厚測定が完了した基板を搬送ロボットが取り出してカセット等に搬送した後に、搬送ロボットが次に膜厚を測定する基板を膜厚測定ユニットに搬送することとしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−252273号公報(図1、図12、図13等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前に測定されていた基板を別の場所に搬送してから次の基板を膜厚測定ユニットに搬送することとすると、基板が膜厚測定ユニットに搬送されるのを待つ時間が無視できないものになってくる。待ち時間が増大するとスループットが低下し、基板の処理能力が低下してしまう。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、スループットの低下を低減する基板処理装置及び基板搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る基板処理装置は、例えば図2に示すように、基板Wの状態を所定の計測位置Pmで計測する計測器15と、基板Wが載置される第1のトレイ11と、基板Wが載置される第2のトレイ12と、所定の計測位置Pmと第1のトレイ11との間及び所定の計測位置Pmと第2のトレイ12との間で基板Wを移動させるステージ16と、を有する計測ユニット10と;計測ユニット10に対して基板Wの授受を行う搬送機構20(例えば図1参照)に設けられたロボットハンド25であって、第1のトレイ11にアクセス可能に構成され、基板Wを把持する第1の把持部21と、第2のトレイ12にアクセス可能に構成され、基板Wを把持する第2の把持部22とを有するロボットハンド25とを備える。
【0007】
このように構成すると、計測ユニットが第1のトレイと第2のトレイとを有するので、計測前の基板と計測後の基板とを異なるトレイに載置することができてロボットハンドの稼働率を向上させることができると共に、例えば、第1の把持部で計測前の基板を把持したロボットハンドが計測ユニットにアクセスして第1のトレイに計測前の基板を載置し、ロボットハンドが計測ユニットにアクセスしたまま第2のトレイに載置されている計測後の基板を第2の把持部で把持して計測ユニットから取り出すことが可能になり、計測ユニットに対するロボットハンドの1回のアクセスで計測前後の基板を入れ替えることが可能になって、スループットの低下を低減することができる。また、第1の把持部が把持している基板を第1のトレイに載置した後に第2のトレイに載置されている基板を第2の把持部が把持することが可能になるため、ロボットハンドと計測ユニットとの間の基板の受け渡しを基板を落下させずに確実に行うことが可能となる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る基板処理装置は、例えば図2を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る基板処理装置において、基板Wが、第1の把持部21から第1のトレイ11へと移動し、第1のトレイ11からステージ16へと移動して、ステージ16に載置されたまま所定の計測位置Pmで計測された後に、ステージ16から第2のトレイ12へと移動し、第2の把持部22へと移動するように、ロボットハンド25及びステージ16を制御する第1の制御装置61(例えば図1参照)を備える。
【0009】
このように構成すると、基板の移動ルートが1通りになって計測前後の基板の入れ替えをスムーズに行うことが可能になる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る基板処理装置は、例えば図2、図6を参照して示すと、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る基板処理装置において、基板Wを第1の把持部21で把持して第1のトレイ11に搬送し載置した後に、ロボットハンド25が計測ユニット10から出ずにあらかじめ第2のトレイ12に載置されている基板Wを第2の把持部22で把持して計測ユニット10から取り出すようにロボットハンド25を制御する第2の制御装置62(例えば図1参照)を備える。
【0011】
このように構成すると、第1の把持部で計測前の基板を把持したロボットハンドが計測ユニットにアクセスして第1のトレイに計測前の基板を載置し、ロボットハンドが計測ユニットにアクセスしたままあらかじめ第2のトレイに載置されている計測後の基板を第2の把持部で把持して計測ユニットから取り出すことができ、計測ユニットに対するロボットハンドの1回のアクセスで計測前後の基板を入れ替えることができて、スループットの低下を低減することができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る基板処理装置は、例えば図3、図4に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る基板処理装置において、第1のトレイ11及び第2のトレイ12が鉛直方向に配列され;ロボットハンド25が、トレイ11、12に対して進退するアーム23を有し、第1の把持部21及び第2の把持部22がアーム23の上下に一対として設けられている。
【0013】
このように構成すると、計測ユニット内における計測前の基板を第1のトレイに載置した後第2のトレイに載置されている計測後の基板を把持するためのロボットハンドの動きが鉛直方向のわずかな移動で足り、効率的な基板の授受を実現することが可能になって、スループットの低下をより低減することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の第5の態様に係る基板搬送方法は、例えば図2、図5、図6を参照して示すと、基板Wの状態を計測する計測ユニット10に対して、計測前の基板Wを、計測ユニット10の外から計測ユニット10内の第1の位置11に載置する搬入工程(ST6、ST7)と;第1の位置11に載置されている基板Wを、基板Wの状態を計測する所定の計測位置Pmに移動して計測した後に、第1の位置11とは異なる計測ユニット10内の第2の位置12に移動する計測工程(ST1〜ST4)と;搬入工程(ST6、ST7)の後に基板搬送手段25が計測ユニット10から出ずに第2の位置12に載置されている計測後の基板Wに接近する接近工程(ST8)と;第2の位置12に載置されている計測後の基板Wを計測ユニット10の外に取り出す取出工程(ST10)とを備え;接近工程(ST8)で基板搬送手段25が接近する基板Wは、搬入工程(ST6、ST7)で第1の位置11に載置した基板Wbとは異なる、計測工程(ST1〜ST4)が完了してあらかじめ第2の位置12に載置されている基板Waである。
【0015】
このように構成すると、搬入工程の後で計測ユニットから出ずに計測後の基板を計測ユニットの外に取り出すので、計測ユニットに対する1回のアクセスで計測前後の基板を入れ替えることができて、スループットの低下を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、計測ユニットに対する1回のアクセスで計測前後の基板を入れ替えることができて、スループットの低下を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る研磨装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】計測部の概略構成を示す側面図である。
【図3】トレイの構成を示す図である。(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】ロボットハンドの構成を示す図である。(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】計測ユニット内のロボットハンド及びステージの制御を説明するフローチャートである。
【図6】基板の入替態様の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0019】
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る基板処理装置としての研磨装置1を説明する。図1は、研磨装置1の全体構成を示す平面図である。研磨装置1は、計測ユニット10及び搬送ロボット20を備える計測部2と、基板の研磨及び洗浄を行う処理部3とを具備している。さらに、研磨装置1は、基板の搬送や処理を制御する制御装置60と、基板をストックするウエハカセット80とを備えている。ウエハカセット80は、典型的にはFOUP(Front−Opening Unified Pod)が用いられ、本実施の形態では複数設けられている。
【0020】
ここで図2を併せて参照して、計測部2の詳細を説明する。図2は、計測部2の概略構成を示す側面図である。上述のように、計測部2は、計測ユニット10と、搬送機構としての搬送ロボット20とを備えている。計測ユニット10は、基板Wが載置されるトレイ13と、計測器としての膜測器15と、ステージ16とを有している。搬送ロボット20には、アーム23と、アーム23の上部に設けられた第1の把持部としての上面チャック21と、アーム23の下部に設けられた第2の把持部としての下面チャック22と、を有するロボットハンド25が設けられている。基板Wは、本実施の形態では、円形平板状の半導体基板であるとして説明する。基板Wは、典型的には配線パターンに応じた溝が表面に形成された二酸化珪素膜付きの円形基板であり、例えばこの二酸化珪素膜の上にバリアメタルとしてチタンナイトライド膜や窒化タンタル膜が形成され、この上にタングステン膜や銅膜が形成される等、各種の膜が形成されている。
【0021】
図3に、トレイ13の構成を示す。図3(a)は平面図、図3(b)は正面図である。トレイ13は、異なる2つの位置で基板Wを載置することができるように、第1のトレイとしての上部トレイ11と、第2のトレイとしての下部トレイ12とを含んで構成されている。上部トレイ11と下部トレイ12とは、上部トレイ11が下部トレイ12の上方に位置して鉛直方向に配列されている。上部トレイ11と下部トレイ12との間には、基板Wを把持したロボットハンド25が接触することなく進退できる空間が形成されている。上部トレイ11及び下部トレイ12は、基板Wの上下の面が鉛直上下に向いて載置されると共に基板Wをその直径の両端で支持ことができるように、ケース(不図示)に固定された2つの支持脚14、14に支持された構成になっている。
【0022】
再び図2及び図1に戻って計測部2の説明を続ける。膜測器15は、基板Wに形成されている膜の厚さ(膜厚)を計測する機器である。膜測器15は、光を照射する照射器15aと、照射器15aから照射された光が計測位置Pmにある基板Wで反射した反射光を受光する受光器15bと、受光器15bが受光した反射光の波長と基板Wの膜厚との関係があらかじめ記憶されていると共に検出した反射光の波長から基板Wの膜厚を特定して表示する制御部15cを有している。膜測器15は、光を下向きに照射するように構成されており、基板Wが載置されたステージ16が出入りできる空間が下方に形成されるように支柱15pに取り付けられている。
【0023】
ステージ16は、基板Wが載置される載置台16aと、載置台16aを支持している基台16bとを有している。載置台16aは、載置された基板Wの上方の面が水平になるように、基板Wに直接接触する部分(基板Wを面で支える場合は上面であり、複数の突起で支える場合は各突起の上端)が同一水平面内に位置する構造になっている。載置台16aは、鉛直方向に伸びる軸(不図示)を介して基台16bに取り付けられており、鉛直上下に移動できると共に軸回りに回転できるように構成されている。基台16bは、計測ユニット10の底面内部に敷設されたレール(不図示)上に設けられており、レール(不図示)に沿ってトレイ13と膜測器15の下方の計測位置Pmとの間を水平方向に移動できるように構成されている。
【0024】
計測ユニット10は、トレイ13、膜測器15、ステージ16が1つのケース(不図示)に収容されている。ケース(不図示)は、典型的にはロボットハンド25の計測ユニット10内への出入りを可能にする開口が形成されており、ロボットハンド25が計測ユニット10内に進入していないときは内部空間を外部から遮断可能なようにシャッターを有することが好ましい。
【0025】
ここで、図4を参照して、ロボットハンド25の詳細を説明する。図4は、ロボットハンド25の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。アーム23は、軸直角断面が矩形に形成された細長い部材であり、平面視において基板Wを把持する方の先端の幅が広い幅広部分23wが形成されている。アーム23の幅広部分23wは、長手方向(アーム23の軸方向)において基板Wの直径よりも大きく(典型的には基板Wの直径よりも一回り大きく)、幅方向(アーム23の軸直角方向)においてトレイ13(図3参照)の両支持脚14、14間の空間の幅よりも小さく形成されている。幅広部分23wには、上面に上面チャック21が設けられ、下面に下面チャック22が設けられている。上面チャック21は、幅広部分23wの長手方向に間隔を空けて幅広部分23wの面から突出する2つの突部21a、21bを含んで構成されている。2つの突部21a、21bは、基板Wの外径よりも一回り大きい(接触せずに基板Wを出し入れできる程度の大きさ)仮想外径に沿って湾曲して形成されている。2つの突部21a、21bのうちの一方の突部21aには、他方の突部21bに対して進退する押さえ部材21cが収容されている。上面チャック21は、押さえ部材21cが突出したときに押さえ部材21cと他方の突部21bとで基板Wの外縁を挟んで把持し、押さえ部材21cが突部21a内に退避したときに2つの突部21a、21b間に対して基板Wを出し入れできるように構成されている。下面チャック22も、上面チャック21と同様に、2つの突部22a、22bを含んで構成されており、一方の突部22aに押さえ部材22cが収容されている。下面チャック22は、押さえ部材22cの突出により、上面チャック21と異なる位置で基板Wを把持することができる構成になっている。
【0026】
図1に戻って計測部2の説明を続ける。ロボットハンド25は、水平面内を回転可能に搬送ロボット20に設けられている。搬送ロボット20は、計測部2に敷設されたレール29上を移動可能となっており、レール29上を移動することによって、計測ユニット10、ウエハカセット80、及び処理部3のウエハステーション38へのアクセスが可能に構成されている。
【0027】
制御装置60は、主として計測ユニット10内の基板W(図2参照)の膜厚を計測するための基板Wの移動を制御する第1の制御装置61と、主として計測ユニット10に対する基板Wの出し入れを制御する第2の制御装置62とを含んで構成されている。第1の制御装置61及び第2の制御装置62は、機能の区別を容易にする観点から概念上は別体に構成されているものとしているが、典型的には物理上は(ハードウェア的には)一体不可分に構成されているため、説明の便宜上以降では制御装置60に包摂されるものとする。すなわち、制御装置60は、機能上、第1の制御装置61と第2の制御装置62とを兼ねている。なお、第1の制御装置61と第2の制御装置62とが物理的に分離して構成されていてもよい。制御装置60は、搬送ロボット20のレール29上の移動や、図2に示されているロボットハンド25の進退並びに上面チャック21及び下面チャック22を制御することができるように構成されている。また制御装置60は、計測ユニット10内の膜測器15(図2参照)による膜厚の計測及びステージ16(図2参照)の動きを制御することができるように構成されている。また制御装置60は、以下に説明する処理部3内の各機器を制御することができるように構成されている。
【0028】
処理部3は、基板Wの研磨を行う研磨ユニット30と、研磨後の基板Wの洗浄を行う1次洗浄ユニット35及び2次洗浄ユニット36と、各ユニット30、35、36へ基板Wを搬送する搬送ロボット34とを有している。研磨ユニット30は同様に構成された2つのユニット30A、30Bを含んでおり、1次洗浄ユニット35は同様に構成された2つのユニット35A、35Bを含んでおり、2次洗浄ユニット36は同様に構成された2つのユニット36A、36Bを含んでいる。各ユニット30、35、36は、計測部2から遠い側から、研磨ユニット30A、1次洗浄ユニット35A、2次洗浄ユニット36Aの順に配設された列と、計測部2から遠い側から、研磨ユニット30B、1次洗浄ユニット35B、2次洗浄ユニット36Bの順に配設された列との2列に、合計6つのユニットが配列されている。搬送ロボット34は、6つのユニットそれぞれにアクセス可能なように6つのユニットの配列の中央に配置されている。搬送ロボット34と計測部2の搬送ロボット20との間には、基板Wの受け渡しが行われるウエハステーション38が配設されている。
【0029】
研磨ユニット30Aは、研磨面を有する研磨テーブル31Aと、基板を保持することができると共に研磨テーブル31Aに対して押圧することができるトップリング32Aと、研磨テーブル31Aのドレッシングを行うためのドレッサ33Aとを有している。研磨テーブル31Aの上面には研磨布又は砥石等が貼付されており、この研磨布又は砥石等によって基板を研磨する研磨面が構成されている。研磨テーブル31Aは、モータ等の手段により所定の回転速度で回転することができるように構成されている。トップリング32Aは、研磨テーブル31Aと対向する面に複数の貫通孔が形成され、気体がトップリング32Aの内外を流通できるように構成されている。トップリング32Aが基板を保持するときはトップリング32A内を負圧にすることで基板を吸着し、研磨テーブル31Aに押圧するときはトップリング32A内を正圧にすることで基板を押しつけるように構成されている。トップリング32Aは、モータ等の手段により所定の回転速度で回転することができるように構成されている。研磨ユニット30Bは、研磨ユニット30Aと同様の構成を有している(対応する部材に類似の符号を付している)。
【0030】
1次洗浄ユニット35Aは、基板Wを水平面内で回転させながら基板Wの表面に薬液を供給すると共に、基板Wの表面に円柱状のロールスポンジ35rをその軸が基板Wの表面に対して平行になるようにして所定の圧力で押しつけ、ロールスポンジ35rを円柱の軸回りに回転させて基板Wの両面を洗浄する機器である。1次洗浄ユニット35Aでは、ロールスポンジ35rで基板Wを擦って洗浄するので、除去しにくいパーティクルを除去することができる。1次洗浄ユニット35Bは、1次洗浄ユニット35Aと同様の構成を有している。2次洗浄ユニット36Aは、基板Wを水平面内で回転させながら、基板Wの表面に純水等を供給して基板Wを水で被覆すると共に、純水等及びIPA蒸気の流体をそれぞれ供給しつつ両流体を基板Wの中心から外周端に所定の速度で移動させることで、基板Wの洗浄及び乾燥を行う機器である。2次洗浄ユニット36Bは、2次洗浄ユニット36Aと同様の構成を有している。
【0031】
引き続き図1乃至図4を参照して研磨装置1の作用を説明する。以下に説明する各部材の動作は、主に制御装置60によって制御される。以下の説明では、基板Wに関し、膜厚計測後のものを「基板Wa」で、膜厚計測前のものを「基板Wb」で表して区別する場合があり、特に区別しない場合はこれまで通り「基板W」で表すこととする。まず、基板Wが研磨される流れに着目して説明する。搬送ロボット20は、ウエハカセット80に収納されている研磨前の基板Wを上面チャック21で把持して取り出し、計測ユニット10へ搬送する。計測ユニット10へ搬送された研磨前の基板Wは、上部トレイ11に載置される。計測ユニット10内では、ステージ16が、上部トレイ11に載置されている基板Wbの下方に移動し、その位置で載置台16aが上昇する。基板Wbが上部トレイ11から離れる高さまで載置台16aが上昇したら、載置台16aの高さを維持したまま基板Wbが載置されたステージ16を膜測器15の下方に移動する。このとき、基板Wbが載置されたステージ16は、計測位置Pmに存在することとなる。この状態で、膜測器15は基板Wbに光を照射して基板Wの膜厚を計測する。膜厚の計測が終了したら、基板Waが上部トレイ11と下部トレイ12の間の両トレイ11、12に接触しない高さになるまで載置台16aが下降し、載置台16aの高さを維持したままトレイ13の両支持脚14、14の間にステージ16が移動する。その場所で、載置台16aがさらに下降する。基板Waが下部トレイ12に接触して載置台16aから基板Waが離れる高さまで載置台16aが下降したら、基板Wが載置されていないステージ16は膜測器15の下方に退避する。その後、搬送ロボット20は、膜厚が計測されて下部トレイ12に載置された研磨前の基板Waを下面チャック22で把持して計測ユニット10から取り出し、処理部3内のウエハステーション38へ搬送する。
【0032】
ウエハステーション38では、処理部3内の搬送ロボット34が搬送ロボット20から研磨前の基板Wを受け取り、研磨ユニット30へ搬送する。研磨ユニット30では、トップリング32が、搬送されてきた基板Wまで移動し接触して基板Wを吸着し、研磨テーブル31まで搬送して所定の研磨を行った後に、再び搬送ロボット34がアクセス可能な位置に戻す。搬送ロボット34は、研磨が終わった基板Wを研磨ユニット30から1次洗浄ユニット35に搬送する。1次洗浄ユニット35では基板Wの1次洗浄が行われる。搬送ロボット34は、1次洗浄が終わった基板Wを1次洗浄ユニット35から2次洗浄ユニット36に搬送する。2次洗浄ユニット36では基板Wの2次洗浄が行われる。搬送ロボット34は、2次洗浄が終わった基板Wを2次洗浄ユニット36からウエハステーション38へ搬送する。
【0033】
ウエハステーション38では、計測部2内の搬送ロボット20が搬送ロボット34から研磨後の基板Wを受け取る。搬送ロボット20は、搬送ロボット34から受け取った研磨後の基板Wbを上面チャック21で把持して計測ユニット10へ搬送する。計測ユニット10へ搬送された研磨後の基板Wbは、研磨前の基板Wbと同じ要領でステージ16が移動し、膜測器15によって膜厚が計測される。搬送ロボット20は、膜厚が計測された研磨後の基板Waを下面チャック22で把持して計測ユニット10から取り出し、研磨後の基板Wを収容するウエハカセット80へ搬送する。上述のように、ロボットハンド25とステージ16との間を基板Wが移動する際には、共に移動をするロボットハンド25とステージ16とで直接基板Wの受け渡しが行われるのではなく、静止している上部トレイ11及び下部トレイ12を介して基板Wの受け渡しが行われるので、基板Wが落下することを防止することができ、確実に基板Wの受け渡しを行うことが可能となる。
【0034】
上述のように基板Wの膜厚計測及び研磨処理を行う研磨装置1では、計測ユニット10における膜厚の計測が処理部3における基板Wの処理よりも時間を要することがあり、その場合は計測ユニット10における膜厚の計測が律速となる。そこで、研磨装置1では、スループットの低下を抑制するために、従来のように計測ユニット10から計測後の基板Wを取り出した後に次の基板Wを計測ユニット10に搬入するのではなく、以下のような基板Wの搬送をしている。
【0035】
図5は、計測ユニット10内のロボットハンド25及びステージ16の制御を説明するフローチャートである。以下の説明において言及している研磨装置1の構成については適宜図1乃至図4を参照することとする。計測ユニット10内の上部トレイ11に載置されている基板Wbをステージ16の載置台16aへ移動し(ST1)、基板Wbが載置されたステージ16を計測位置Pmへ移動し(ST2)、計測位置Pmで基板Wbの膜厚を計測し(ST3)、基板Waを下部トレイ12へ移動し(ST4)、基板Wが載置されていないステージ16を膜測器15の下方に退避させる(ST5)という一連の流れは、上述の通りである。このように、基板Wは、膜厚を計測する前には上部トレイ11に載置され、ここからステージ16、計測位置Pmへと移動し、膜厚の計測が行われた後は下部トレイ12に載置されるため、基板Wの移動ルートが1通りになって計測前後の基板Wの入れ替えをスムーズに行うことが可能になる。
【0036】
ここから図6の基板Wの入替態様の流れを説明する図を併せて参照する。図6では時系列に(a)〜(e)へと並べてある。下部トレイ12に膜厚計測後の基板Waが載置されている状態で、ロボットハンド25が膜厚計測前の基板Wbを上面チャック21で把持して計測ユニット10内へ搬入する(ST6、図6(a))。これにより、計測ユニット10内には、計測後の基板Waと計測前の基板Wbとの2枚の基板Wが存在することとなる。そして、ロボットハンド25は、アーム23の幅広部分23wが、上面チャック21に把持された基板Wbの底面が上部トレイ11の上端よりも高い位置でトレイ13の両支持脚14、14間の空間に入り込み、上面チャック21の押さえ部材21cを突部21a内に引っ込めて基板Wbの把持を開放し、その後下降することにより、計測前の基板Wbを上部トレイ11に載置する(ST7、図6(b))。その後、ロボットハンド25を計測ユニット10から出さずに、そのままアーム23の下降を継続する(ST8、図6(c))。計測が完了してあらかじめ下部トレイ12に載置されている基板Waを下面チャック22で把持できる高さまでアーム23が下降したら下降を止め、下面チャック22の押さえ部材22cを突出させて下面チャック22で基板Waを把持する(ST9、図6(d))。その後、下面チャック22で把持している基板Waが下部トレイ12から離れて上部トレイ11と下部トレイ12との間の高さに位置するようにアーム23をやや上昇させてから、ロボットハンド25(アーム23)を計測ユニット10外へ移動させる(ST10、図6(e))。計測ユニット10の外へ搬出された基板Waは、ウエハステーション38又はウエハカセット80に搬送される。他方、計測ユニット10内では、新たに搬入されて上部トレイ11に載置されている基板Wbがステージ16の載置台16aへ移動し(ST1)、以降上述のフローを繰り返す。以上で説明したように、研磨装置1では、ロボットハンド25が計測ユニット10内に1回アクセスするだけで計測前後の基板を入れ替えることができるため、従来のように計測ユニット10から計測後の基板Waを取り出した後に次の基板Wbを計測ユニット10に搬入する場合に比べて基板Wを搬送する時間が短くなり、スループットの低下を低減することができる。
【0037】
以上の説明では、計測器が基板Wの膜厚を計測する膜測器15であるとしたが、これ以外の例えば基板Wの配線パターンの適否を計測する等の計測器であってもよい。
【0038】
以上の説明では、上面チャック21と下面チャック22とが1つのアームの上下にそれぞれ設けられているとしたが、別々のアームにそれぞれ設けられるように構成してもよい。別々のアームに設けられることとすると、両方とも基板Wを下方から把持することができ、万一基板Wの把持が緩んだとしても基板Wが落下することを低減することができる。しかしながら、1つのアームに設けられることとすることにより、ロボットハンド25の駆動機構を共用にすることが可能となり、構造を簡素化することができると共に小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 研磨装置
10 計測ユニット
11 上部トレイ
12 下部トレイ
15 膜測器
16 ステージ
20 搬送ロボット
21 上面チャック
22 下面チャック
23 アーム
25 ロボットハンド
60 制御装置
61 第1の制御装置
62 第2の制御装置
Pm 計測位置
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の状態を所定の計測位置で計測する計測器と、基板が載置される第1のトレイと、基板が載置される第2のトレイと、前記所定の計測位置と前記第1のトレイとの間及び前記所定の計測位置と前記第2のトレイとの間で基板を移動させるステージと、を有する計測ユニットと;
前記計測ユニットに対して基板の授受を行う搬送機構に設けられたロボットハンドであって、前記第1のトレイにアクセス可能に構成され、基板を把持する第1の把持部と、前記第2のトレイにアクセス可能に構成され、基板を把持する第2の把持部とを有するロボットハンドとを備える;
基板処理装置。
【請求項2】
前記基板が、前記第1の把持部から前記第1のトレイへと移動し、前記第1のトレイから前記ステージへと移動して、前記ステージに載置されたまま前記所定の計測位置で計測された後に、前記ステージから前記第2のトレイへと移動し、前記第2の把持部へと移動するように、前記ロボットハンド及び前記ステージを制御する第1の制御装置を備える;
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板を前記第1の把持部で把持して前記第1のトレイに搬送し載置した後に、前記ロボットハンドが前記計測ユニットから出ずにあらかじめ前記第2のトレイに載置されている基板を前記第2の把持部で把持して前記計測ユニットから取り出すように前記ロボットハンドを制御する第2の制御装置を備える;
請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1のトレイ及び前記第2のトレイが鉛直方向に配列され;
前記ロボットハンドが、前記トレイに対して進退するアームを有し、前記第1の把持部及び前記第2の把持部が前記アームの上下に一対として設けられた;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板の状態を計測する計測ユニットに対して、計測前の基板を、前記計測ユニットの外から前記計測ユニット内の第1の位置に載置する搬入工程と;
前記第1の位置に載置されている基板を、基板の状態を計測する所定の計測位置に移動して計測した後に、前記第1の位置とは異なる前記計測ユニット内の第2の位置に移動する計測工程と;
前記搬入工程の後に基板搬送手段が前記計測ユニットから出ずに前記第2の位置に載置されている前記計測後の基板に接近する接近工程と;
前記第2の位置に載置されている前記計測後の基板を前記計測ユニットの外に取り出す取出工程とを備え;
前記接近工程で前記基板搬送手段が接近する基板は、前記搬入工程で前記第1の位置に載置した基板とは異なる、前記計測工程が完了してあらかじめ前記第2の位置に載置されている基板である;
基板搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−258067(P2010−258067A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103719(P2009−103719)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】