説明

基板搬送方法、基板搬送装置、及び塗布現像装置

【課題】基板搬送装置のバキューム機構に用いられるパッドからの基板のずれを検出可能な基板搬送方法を提供する。
【解決手段】この基板搬送方法では、複数の載置部のうちの一の載置部の基板を保持部で受け取って保持し、保持部に保持される基板を一の載置部から搬出し、保持部に保持される基板の保持部に対する位置(第1の位置)を検出し、保持部に保持される基板を他の載置部に臨む場所まで搬送し、その場所において、保持部に保持される基板の保持部に対する位置(第2の位置)を検出し、第1の位置及び第2の位置に基づいて、搬送前後において生じた、基板の保持部に対する位置ずれ量を算出し、算出された位置ずれ量が所定の範囲に入るか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する基板搬送方法、基板搬送装置、及び基板搬送装置を備える塗布現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造工程においては、基板搬送装置により複数の処理モジュールに基板を順次搬送し、各処理モジュールにおいて所定の処理が行われる。基板搬送装置は、例えば、基板を保持するフォークと、フォークを回転及び進退可能に支持する基台とから構成される。
【0003】
基板をしっかりと保持するため、フォークにはバキューム機構が設けられる場合がある。具体的には、フォークには、フォーク内に形成されフォークの端部に開口する導管と、導管と連通しフォークの表面に開口する例えば3つの吸引口と、基板裏面との密着性を向上するために、例えば弾性材料で形成されて各吸引口の周りに配置されるパッドとが設けられている。また、導管は所定の吸引装置に接続されている。このような構成によれば、フォーク表面のパッド上に基板が載置されたときに、基板を吸引してパッドに押し付けることができるため、基板をしっかりと保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−31905号公報
【特許文献2】特開2006−351884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、基板の裏面にパッドが接するため、パッドが摩耗することがある。そうすると、フォークにより搬送されるときに基板がパッドからずれてしまい、基板載置部に対して基板を適正に載置できないことともなる。パッドの摩耗は、例えば定期メンテナンスにおいて目視で検査することができるが、摩耗の程度を定性的に判定することは難しいため、製造中に基板がずれて基板処理装置を停止せざるを得ないという事態ともなる。
【0006】
また、パッドの摩耗だけでなく、基板の反りや、吸引装置とパッドとの間の配管でのリークや吸引装置のトラブルによる吸着力の低下などによっても基板がパッドからずれてしまい、基板載置部に対して基板を適正に載置できない場合もある。
【0007】
本発明は、上記の事情に照らしてなされ、基板搬送装置のバキューム機構の不具合に起因する基板のずれを検出することが可能な基板搬送方法及び基板搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、基板を保持する保持部を有し、保持した基板を搬送する基板搬送装置と、該基板搬送装置により搬送される前記基板が載置される複数の載置部とを備える基板処理装置における基板搬送方法が提供される。この基板搬送方法は、前記複数の載置部のうちの一の載置部の前記基板を前記保持部で受け取って保持するステップと、前記保持部に保持される前記基板を前記一の載置部から搬出するステップと、前記保持部に保持される前記基板の前記保持部に対する位置を検出する第1の位置検出ステップと、前記保持部に保持される前記基板を他の載置部に臨む場所まで搬送するステップと、前記臨む場所において、前記保持部に保持される前記基板の前記保持部に対する位置を検出する第2の位置検出ステップと、前記第1の位置検出ステップ及び前記第2の位置検出ステップで得られた、前記保持部に保持される前記基板の前記保持部に対する位置に基づいて、前記搬送するステップにおいて生じた、前記基板の前記保持部に対する位置ずれを算出するステップと、前記測定するステップにおいて算出された前記位置ずれが所定の範囲に入るか否かを判定するステップとを含む。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、基板を保持する保持部と、前記保持部により搬送される前記基板が載置される複数の載置部と、前記保持部に対する、前記保持部に保持される前記基板の位置ずれを検出する検出部と、前記複数の載置部のうちの一の載置部から前記基板を受け取って保持する前記保持部に対して前記検出部により検出される前記基板の位置ずれと、前記基板搬送装置が他の載置部に臨む場所まで搬送した後に、当該臨む場所において前記検出部により検出される前記基板との位置ずれとに基づいて、搬送中に生じた、前記基板の前記保持部に対する位置ずれを算出する制御部とを備える基板搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、基板搬送装置のバキューム機構の不具合に起因する基板のずれを検出することが可能な基板搬送方法及び基板搬送装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るフォトレジスト塗布現像装置の構成を示す平面図である。
【図2】実施形態に係るフォトレジスト塗布現像装置の構成を示す概略斜視図である。
【図3】実施形態に係るフォトレジスト塗布現像装置の構成を示す側面図である。
【図4】第3のブロックの構成を示す斜視図である。
【図5】実施形態に係る搬送アームを示す斜視図である。
【図6】実施形態に係る搬送アームを示す平面図及び側面図である。
【図7】実施形態に係る搬送アームのフォークを拡大して示す平面図である。
【図8】検出部及び制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】制御部を第3のブロックにおける搬送アーム及び冷却モジュールとともに示す構成図である。
【図10】本発明の実施形態による基板搬送方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態による基板搬送方法を説明する説明図である。
【図12】4個の検出部のいずれもウエハのノッチを検出していないと判定される場合における、リニアイメージセンサ及びウエハを示す平面図である。
【図13】4個の検出部のいずれかがウエハのノッチを検出したと判定される場合における、リニアイメージセンサ及びウエハを示す平面図である。
【図14】搬送前後でのウエハのずれ量の差を説明する説明図である。
【図15】本発明の実施形態による他の基板搬送方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
先ず、図1から図4までを参照しながら、本発明の実施形態によるフォトレジスト塗布現像装置(以下、塗布現像装置)を説明する。図1及び図2に示すように、塗布現像装置100には、キャリアステーションS1、処理ステーションS2、及びインターフェイスステーションS3がこの順に設けられている。また、塗布現像装置100のインターフェイスステーションS3側に露光装置S4が結合されている。
【0014】
キャリアステーションS1は載置台21および搬送機構Cを有する。載置台21上には、所定の枚数(例えば25枚)の半導体ウエハ(以下、ウエハ)Wが収容されるキャリア20が載置される。本実施形態では、載置台21には4つのキャリア20を並べて載置することができる。以下、図1に示すように、キャリア20が並ぶ方向をX方向とし、これと直交する方向をY方向とする。搬送機構Cは、キャリア20からウエハWを取り出し、処理ステーションS2に搬送するとともに、処理ステーションS2において処理された処理済みのウエハWを受け取り、キャリア20に収容する。
【0015】
処理ステーションS2は、図1及び図2に示すように、キャリアステーションS1の+Y方向側に結合され、棚ユニットU1、棚ユニットU2、第1のブロック(DEV層)B1、第2のブロック(BCT層)B2、第3のブロック(COT層)B3、及び第4のブロック(TCT層)B4を有している。
【0016】
棚ユニットU1は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS1、TRS1、CPL11、CPL2、BF2、CPL3、BF3、CPL4、及びTRS4を有する。また、図1に示すように、棚ユニットU1の+X方向側には、昇降自在な搬送機構Dが設けられている。棚ユニットU1の各モジュール間では、搬送機構DによりウエハWが搬送される。
棚ユニットU2は、図3に示すように、例えば下から順に積層された、受け渡しモジュールTRS6、TRS6、及びCPL12を有する。
【0017】
なお、受け渡しモジュールのうち、参照符号CPL+数字が付されている受け渡しモジュールには、ウエハWを加熱する加熱モジュールを兼ねるものがあり、ウエハWを冷却して所定の温度(例えば23℃)に維持する冷却モジュールを兼ねるものがある。参照符号BF+数字が付されている受け渡しモジュールは、複数枚のウエハWを載置可能なバッファモジュールを兼ねている。また、受け渡しモジュールTRS、CPL、BF等には、ウエハWが載置される載置部が設けられている。
【0018】
第1のブロックB1は、図1及び図3に示すように、現像モジュール22、搬送アームA1、及びシャトルアームEを有する。詳しくは、第1のブロックB1内には2つの現像モジュール22があり、これらは上下に積層されている。各現像モジュール22は、図示を省略するが、ウエハWを保持して回転するチャック(載置部)と、チャックにより保持されるウエハWに薬液を供給する薬液供給ノズルと、チャックに保持されるウエハWの周縁を取り囲むように配置されるカップとを有している。薬液としての現像液を、ウエハWの表面に形成され露光されたフォトレジスト膜に供給することにより、フォトレジスト膜が現像される。搬送アームA1は、2つの現像モジュール22にウエハWを搬送する。シャトルアームEは、棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL11と、棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12との間で、ウエハWを搬送する。
【0019】
図4を参照すると、第3のブロックB3は、塗布モジュール23、棚ユニットU3、及び搬送アームA3を有している。塗布モジュール23は、上述の現像モジュール22と同様の構成を有しており、薬液としてフォトレジスト液がウエハW上に供給されフォトレジスト膜が形成される。棚ユニットU3は、塗布モジュール23と対向するように配列され、加熱モジュール、冷却モジュール等の熱処理モジュールTMを有している。熱処理モジュールTMにおいて、フォトレジスト膜形成の前処理及び後処理が行われる。また、各熱処理モジュールTMにはウエハWの搬送口24が形成されている。搬送アームA3は、塗布モジュール23と棚ユニットU3との間に設けられている。
【0020】
第2のブロックB2及び第4のブロックB4は、第3のブロックB3と同様の構成を有している。第2のブロックB2では、反射防止膜用の薬液が供給され、フォトレジスト膜の下地層となる下部反射防止膜が形成される。第4のブロックB4においても反射防止膜用の薬液が供給され、フォトレジスト膜の上に上部反射防止膜が形成される。
なお、図3に示すように、第2のブロックB2の搬送アームに参照符号A2を付し、第4のブロックB4の搬送アームに参照符号A4を付す。
【0021】
インターフェイスステーションS3は、処理ステーションS2の+Y方向側に結合され、図1に示すように、インターフェイスアームFを有する。インターフェイスアームFは、処理ステーションS2の棚ユニットU2の+Y方向側に配置されている。棚ユニットU2の各モジュール間、及び各モジュールと露光装置S4との間においては、インターフェイスアームFによりウエハWが搬送される。
【0022】
上記の構成を有する塗布現像装置100においては、以下のようにウエハWが各モジュールに搬送され、モジュールに対応した処理がウエハWに対して行われる。まず、キャリアステーションS1の搬送機構Cによって載置台21上のキャリア20からウエハWが取り出され、処理ステーションS2の棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL2へ搬送される(図3参照)。受け渡しモジュールCPL2に搬送されたウエハWは、第2のブロックB2の搬送アームA2により、第2のブロックB2の各モジュール(熱処理モジュール及び塗布モジュール)に順次搬送され、ウエハW上に下部反射防止膜が形成される。
【0023】
下部反射防止膜が形成されたウエハWは、搬送アームA2により棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF2へ搬送され、搬送機構D(図1)により棚ユニットU1の受け渡しモジュールCPL3へ搬送される。次に、ウエハWは、第3のブロックB3の搬送アームA3により受け取られ、第3のブロックB3の各モジュール(図3に示す熱処理モジュールTM及び塗布モジュール23)に順次搬送され、下部反射防止膜上にフォトレジスト膜が形成される。
フォトレジスト膜が形成されたウエハWは、搬送アームA3により、棚ユニットU1の受け渡しモジュールBF3に搬送される。
【0024】
なお、フォトレジスト膜が形成されたウエハWは、第4のブロックB4において更に反射防止膜が形成される場合もある。この場合は、ウエハWは受け渡しモジュールCPL4を介し、第4のブロックB4の搬送アームA4に受け取られ、第4のブロックB4の各モジュール(熱処理モジュール及び塗布モジュール)に順次搬送され、フォトレジスト膜上に上部反射防止膜が形成される。この後、ウエハWは、搬送アームA4により、棚ユニットU1の受け渡しモジュールTRS4に受け渡される。
【0025】
フォトレジスト膜(又は、その上に更に上部反射防止膜)が形成されたウエハWは、搬送機構Dにより、受け渡しモジュールBF3(又は受け渡しモジュールTRS4)から受け渡しモジュールCPL11へ搬送される。受け渡しモジュールCPL11に搬送されたウエハWは、シャトルアームEにより棚ユニットU2の受け渡しモジュールCPL12に搬送された後、インターフェイスステーションS3のインターフェイスアームFに受け取られる。
【0026】
この後、ウエハWはインターフェイスアームFにより露光装置S4に搬送され、所定の露光処理が行われる。露光処理が行われたウエハWは、インターフェイスアームFにより、棚ユニットU2の受け渡しモジュールTRS6に搬送され、処理ステーションS2に戻される。処理ステーションS2に戻されたウエハWは、第1のブロックB1へ搬送され、ここで現像処理が行われる。現像処理が行われたウエハWは、搬送アームA1により棚ユニットU1のいずれかの受け渡しモジュールへ搬送され、搬送機構Cによりキャリア20に戻される。
【0027】
次に、図4から図6までを参照し、第3のブロックB3に設けられた搬送アームA3について説明する。
図4に示すように、搬送アームA3は、2枚のフォーク3A、3B、基台31、回転機構32、進退機構33A、33B(図5及び図6)、及び昇降台34を有している。また、搬送アームA3には後述する検出部5A〜5Dが設けられている。さらに、搬送アームA3及び検出部5A〜5Dは、後述する制御部6により制御される。
【0028】
フォーク3Aはフォーク3Bの上方に配置されている。基台31は、回転機構32により鉛直軸周りに回転自在である。また、図5に示すように、フォーク3A、3Bは、その基端側でそれぞれ進退機構33A、33Bに支持されている。進退機構33A、33Bは、ボールネジ機構やタイミングベルト等の伝達機構を用いてモータM(図9)に連結されており、フォーク3A、3Bを基台31に対して進退自在に駆動する。
【0029】
再び図4を参照すると、昇降台34は回転機構32の下方側に設けられている。昇降台34は、上下方向(図4中Z軸方向)に直線状に延びる図示しないZ軸ガイドレールに沿って、昇降機構により昇降自在に設けられている。昇降機構としては、ボールネジ機構やタイミングベルトを用いた機構等を用いることができる。この例ではZ軸ガイドレール及び昇降機構は夫々カバー体35により覆われており、例えば上部側において接続されて一体となっている。またカバー体35は、Y軸方向に直線状に伸びるY軸ガイドレール36に沿って摺動移動するように構成されている。
【0030】
次に、図6及び図7を参照しながら、フォーク3A、3Bを更に説明する。図6(a)に示すように、フォーク3A、3Bは、搬送するウエハWの周囲を囲む円弧状の先端部を有している。フォーク3A、3Bには4つの保持爪4A、4B、4C、4Dが形成されている。保持爪4A〜4Dは、フォーク3A、3Bの内縁から各々内方に突出するとともに、内縁に沿って互いに間隔を隔てて設けられている。なお、図示の例では4つの保持爪4A〜4Dが設けられているが、3つ以上の保持爪が設けられていれば良い。
【0031】
図7に示すように、フォーク3Aの保持爪4A〜4Dには、吸着孔41A〜41Dと、吸着孔41A〜41Dの各々の周囲を囲むリング状のパッド42A〜42Dとが設けられている。吸着孔41A〜41Dは、図6(a)に示すように、フォーク3Aの内部、上面、又は下面に形成された真空配管43Aと連通している。真空配管43Aは、図示しない真空排気部に接続されている。フォーク3Bの保持爪4A〜4Dにも、同様に、吸着孔41A〜41Dとパッド42A〜42Dとがそれぞれ設けられ、吸着孔42A〜42Dは、図6(a)に示すように、フォーク3Bの内部、上面、又は下面に形成された真空配管43Bと連通し、真空配管4Bは真空排気部に接続されている。このようなバキューム機構が構成されているため、ウエハWは、保持爪4A〜4Dのパッド42A〜42Dにより支持されると、真空配管4A(又は4B)を通して真空排気部により吸引され、フォーク3A(又は3B)にしっかりと保持され得る。
なお、パッド42A〜42Dは、ウエハWの裏面周縁部との密着性を高めるため、例えばゴムなどの弾性を有する材料により作製することが好ましい。
【0032】
次に、フォーク3A、3Bに保持されるウエハWの位置を検出する検出部について説明する。図5を参照すると、基台31には、基台31から立ち上がり折れ曲がって水平方向に延びる支持部材53が設けられている。支持部材53には、その4つの腕部に対応してセンサ52A、52B、52C、52Dが取り付けられている。センサ52A〜52Dは、基端側に後退したフォーク3A、3Bの上方に位置する。具体的には、図6に示すように、上方から見ると、フォーク3A(又は3B)に保持されるウエハWの周縁に沿って所定の間隔でセンサ52A〜52Dが配置されている。また、センサ52A〜52Dは、ウエハWの周縁を横切るように延びている。センサ52A〜52Dは本実施形態においてはCCDラインセンサである。
なお、以下の説明において、フォーク3A、3Bが基端側に後退したときの位置をホーム位置という場合がある。
【0033】
再び図5を参照すると、基台31上には光源51A、51B、51C、51Dが設けられている。光源51Aはセンサ52Aに対応して配置され、光源51Bはセンサ52Bに対応して配置され、光源51Cはセンサ52Cに対応して配置され、光源51Dはセンサ52Dに対応して配置される。光源51A〜51Dは、本実施形態においては、直線状に配列された複数の発光ダイオード(LED)により構成されている。
【0034】
なお、光源51A〜51Dを支持部材53に設け、センサ52A〜52Dを基台31に設けても良い。また、フォーク3A、3B及びこれらに保持されるウエハWが検出部5A〜5Bの間を横切る限りにおいて、光源51A〜51D(又はセンサ52A〜52D)は基台31上にではなく、所定の支持部材を用いて配置しても良い。
【0035】
図8に示すように、光源51A、センサ52A、検出制御部54、デジタルアナログコンバータ(DAC)55、及びアナログデジタルコンバータ(ADC)56により検出部5Aが構成されている。また、図8では図示を省略するが、検出部5B、5C、5Dは、対応する光源51B、51C、51Dとセンサ52B、52C、52Dとを含み、検出部5Aと同様に構成されている。
【0036】
検出制御部54は、図示しないクロックからのクロック信号に基づいて、CCDラインセンサにより構成されるセンサ52Aの各CCDの動作タイミングをずらし、電荷移動させるタイミングジェネレータである。また、検出制御部54は、複数のLEDにより構成される光源51Aの電流制御も行う。DAC55は、検出制御部54からのデジタル制御信号をアナログ変換し、変換されたアナログ信号を光源51Aに対して出力する。ADC56は、光源52Aからの検出信号であるアナログ出力信号をデジタル変換し、検出信号を生成する。
【0037】
検出部5AのADC56から出力された検出信号(検出値)は制御部6の演算処理部61に入力される。制御部6は、アンプ57を介し、進退機構33A、33Bを駆動するX軸駆動用のモータと、基台31を駆動するY軸駆動用のモータと、昇降台34を駆動するZ軸駆動用のモータと、回転機構32を駆動する回転駆動用のモータとを制御する。
【0038】
以上のような構成により、検出制御部54からの制御信号が、DAC55によりアナログ変換され、アナログ変換された制御信号が光源51Aに入力されることによって、光源51Aは直線状に光を発光する。光源51Aから発光された光は、センサ52Aにより受光される。光を受光したセンサ52Aは、検出制御部54からの制御信号のタイミングに基づいて、受光量に応じた信号を出力する。センサ52Aから出力された検出信号(検出値)は、ADC56によりデジタル変換された後、制御部6内の演算処理部61に入力される。
【0039】
制御部6は、検出部5A〜5Dだけでなく、搬送アームの動作をも制御する。以下、図9を参照しながら、モジュール間のウエハWの受け渡しを制御する制御部6について説明する。
図9を参照すると、搬送アームA3のフォーク3Aが冷却モジュール7内に進入している。冷却モジュール7は、例えば図4に示す熱処理モジュールTMのうちの一つである。図示のとおり、冷却モジュール7は、処理容器71、載置部72、リフトピン73、及び昇降機構74を有している。載置部72には、ウエハWを冷却して所定の温度にするため、温度調整された流体が流れる導管(図示せず)が設けられている。また、載置部72には複数の貫通孔が設けられ、複数の貫通孔に対応した複数のリフトピン73が上下動可能に設けられている。リフトピン73は昇降機構74により昇降される。
【0040】
制御部6は、演算処理部61、記憶部62、表示部63、及びアラーム発生部64を有する。演算処理部61は、例えばメモリ、CPU(Central Processing Unit)を有し、記憶部62に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに含まれる命令(コマンド)に従って、搬送アームA3の各モータM制御信号を送り、ウエハWの受け渡し及び搬送を実行する。また、演算処理部61は、記憶部62に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに含まれる命令(コマンド)に従って、塗布現像装置100の各部に制御信号を送り、各種の基板処理を実行する。
【0041】
記憶部62は、演算処理部61に各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体62aからプログラムを格納する。記録媒体62aとして、例えば、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、光磁気(Magneto-optical;MO)ディスク等を用いることができる。
【0042】
表示部63は、例えば液晶(LCD)パネルなどを有するディスプレイである。表示部63では、各種の基板処理用のプログラムの選択や、各基板処理におけるパラメータの入力操作を行うことができる。
アラーム発生部64は、搬送アームA3を含め、塗布現像装置100の各部に異常が発生したときに、アラーム信号を発生させ、出力する。
【0043】
また、演算処理部61は、搬送アームA3の進退機構33A、33B、基台31、昇降台34、回転機構32に設けられたモータ、エンコーダ38や、パルス数をカウントするカウンタ39等に対して所定の制御信号を送り、制御する。そして、記憶部62には、本実施形態に係る基板搬送方法を実行するためのプログラムが含まれている。
【0044】
次に、図10から図13までを参照しながら、搬送アームA3のフォーク3Aが一のモジュールからウエハWを受け取り、他のモジュールへ搬送する工程を例示し、本実施形態に係る基板搬送方法について説明する。ここで、一のモジュールは、例えば図9に示す第3のブロックB3の冷却モジュール7とし、他のモジュールは、第3のブロックB3の塗布モジュール23とする。この場合、冷却モジュール7においてウエハWが所定の温度(例えば23℃)に調整され、温度調整されたウエハWの上に塗布モジュール23によりフォトレジスト膜が形成される。
【0045】
まず、ステップS11(図10)において、冷却モジュール7から搬送アームA3によりウエハWが取り出される。具体的には、図11(a)に示すように、冷却モジュール7内のリフトピン73が、載置部72上のウエハWを持ち上げ、載置部72の上方に保持する。次に、図11(b)に示すように、フォーク3Aが、冷却モジュール7の搬送口24を通って冷却モジュール7内に進入し、ウエハWの下方に位置する。そして、図11(c)に示すように、フォーク3Aを上昇させるとともに、リフトピン73を下降させる。これにより、ウエハWは、フォーク3Aの保持爪4A〜4Dに保持されるとともに、保持爪4A〜4Dに対応して設けられた吸着孔41A〜41Dにより吸着される。
【0046】
次に、ステップS12(図10)において、ウエハWがフォーク3Aに吸着されているか否かが判定される。この判定は、例えば吸着孔41A〜41Dに連通する真空配管43Aに設けられるバキュームセンサ(図示せず)と、制御部6とにより行うことができる。バキュームセンサにより検出される吸引力が、所定の閾値以上の場合は(ステップS12:YES)、ウエハWがフォーク3Aにしっかり吸着されていると判断され、ステップS12Bにおいて、図11(d)に示すように、フォーク3AがX軸に沿って冷却モジュール7からホーム位置まで後退する。
【0047】
バキュームセンサにより検出された吸引力が閾値未満の場合(ステップS12:NO)、制御部6は、アラーム発生部64(図9)に対してアラーム信号を発するよう指示する。アラーム信号により、吸着不良を示す警報が例えば表示部63に表示される。塗布現像装置100の操作者により吸着不良が解消された後に(ステップS12A)、フォーク3Aがホーム位置まで後退する(ステップS12B、図11(d))。
【0048】
ステップS13(図10)において、図11(d)に示すようにフォーク3Aがホーム位置にてウエハWを保持しているときに、制御部6及び検出部5AによりウエハWの周縁部の位置が計測される。具体的には、フォーク3Aの下方に設けられている光源51A〜51D(図11では光源51B及び51Dのみを示す)が上方に向けて光を発する。その光は、フォーク3Aの上方に設けられているセンサ52A〜52D(図11ではセンサ52B及び52Dのみを示す)により受光される。センサ52A〜52Dが、ウエハWの径方向に沿ってCCDが直線状に配列されてなるCCDラインセンサであるときは、各CCDの検出値に基づいて、受光したCCDと受光しないCCDとの境界の位置を決定することができる。そして、決定した境界の位置に基づいて、ウエハWの周縁部の位置を計測することができる。
【0049】
図12に示すように、4個のセンサ52A〜52Dの延在する方向とY軸とのなす角をθ1、θ2、θ3、θ4とする。また、図12に示すように、フォーク3Aに保持されているウエハWがずれていないときの位置(基準位置)におけるセンサ52A〜52D上のウエハWの周縁部の位置を、それぞれa点、b点、c点、d点とする。また、フォーク3Aに保持されているウエハWがずれているときの位置(ずれ位置)におけるセンサ52A〜52D上のウエハWの周縁部の位置を、それぞれa'点、b'点、c'点、d'点とする。
【0050】
各センサ52A〜52Dにおけるa点とa'点の距離をΔaとし、b点とb'点の距離をΔbとし、c点とc'点の距離をΔcとし、d点とd'点との距離をΔdとすると、距離Δa、Δb、Δc、Δdは、
Δa[mm]={(a'点の画素数)−(a点の画素数)}×画素間隔[mm] (1)
Δb[mm]={(b'点の画素数)−(b点の画素数)}×画素間隔[mm] (2)
Δc[mm]={(c'点の画素数)−(c点の画素数)}×画素間隔[mm] (3)
Δd[mm]={(d'点の画素数)−(d点の画素数)}×画素間隔[mm] (4)
と表すことができる。なお、a点の画素数とは、センサ52A〜52DのウエハWの中心側における始点からa点までにおける画素の数を意味する。
【0051】
a点〜d点、a'点〜d'点の座標は、次のように表される。
【0052】
a点 (X1,Y1)=(X−Rsinθ1,Y−Rcosθ1) (5)
a'点 (X1',Y1')=(X1−Δasinθ1,Y1−Δacosθ1)
=(X−(R+Δa)sinθ1,Y−(R+Δa)cosθ1) (6)
b点 (X2,Y2)=(X−Rsinθ2,Y+Rcosθ2) (7)
b'点 (X2',Y2')=(X2−Δbsinθ2,Y2+Δbcosθ2)
=(X−(R+Δb)sinθ2,Y+(R+Δb)cosθ2) (8)
c点 (X3,Y3)=(X+Rsinθ3,Y+Rcosθ3) (9)
c'点 (X3',Y3')=(X3+Δcsinθ3,Y3+Δccosθ3)
=(X+(R+Δc)sinθ3,Y+(R+Δc)cosθ3) (10)
d点 (X4,Y4)=(X+Rsinθ4,Y−Rcosθ4) (11)
d'点 (X4',Y4')=(X4+Δdsinθ4,Y4−Δdcosθ4)
=(X+(R+Δd)sinθ4,Y−(R+Δd)cosθ4) (12)
従って、式(6)、式(8)、式(10)、式(12)により、a'点(X1',Y1')、b'点(X2',Y2')、c'点(X3',Y3')、d'点(X4',Y4')の座標を求めることができる。
【0053】
なお、上記の式において、Xは、ウエハWが基準位置にあるときのウエハWの中心のX座標であり、Yは、ウエハWが基準位置にあるときのウエハWの中心のY座標である。基準位置におけるウエハWの中心位置oの座標(X,Y)は、予めウエハWを基準位置に置いて測定することにより求めても良いし、フォーク3Aの内縁に基づいて求めても良い。
【0054】
次に、ステップS14(図10)において、a'点、b'点、c'点、d'点のうちいずれか3点からずれ位置におけるウエハWの中心位置o'の座標(X'、Y')を算出する。例えば、a'点(X1',Y1')、b'点(X2',Y2')、c'点(X3',Y3')の3点から、ずれ位置におけるウエハWの中心位置o'の座標(X'、Y')は、下記の式(13)及び(14)から求めることができる。
【0055】
【数1】

【0056】
【数2】

また、半径R'は、中心位置o'の座標(X',Y')とa'点(X1',Y1')、b'点(X2',Y2')、c'点(X3',Y3')の各座標より、下記の式(15)から求めることができる。
【0057】
【数3】

また、ステップS14では、さらに、a'点、b'点、c'点、d'点のうち、前述した3点(a'点、b'点、c'点)と異なる3点の組み合わせ、例えば(a'点、b'点、d'点)、(a'点、c'点、d'点)、(b'点、c'点、d'点)に基づいて、式(13)から(15)を利用して、中心位置o'の座標(X'、Y')及び、半径R'が算出される。
【0058】
次に、ステップS15(図10)では、4個のセンサ52A〜52DのいずれかがウエハWの周縁部のノッチWNが検出されたか否かが判定される。この判定には、a'点、b'点、c'点、d'点のうち、いずれかの3点の組み合わせに基づいてステップS14において算出された中心位置o'の座標(X'、Y')及び半径R'が用いられる。具体的には、まず、いずれかの3点の組み合わせに対応する半径R'が、ウエハWの既知の半径であるRと略等しいかを判定する。すなわち、図12に示すように、ウエハWのノッチWNが、平面視において、a'点、b'点、c'点、d'点のいずれの近傍にもないときは、a'点、b'点、c'点、d'点のうち、いずれの3点の組み合わせに基づいて算出した半径R'も半径Rと略等しくなる。このときは、4個のセンサ52A〜52DのいずれもウエハWのノッチWNを検出していないと判定される。
【0059】
一方、例えば図13に示すように、ウエハWのノッチWNが、平面視においてb'点の近傍にあるときは、b'点を除いた3点の組み合わせに基づいて算出した半径R'は半径Rと略等しくなる。しかし、b'点を含む3点の組み合わせに基づいて算出した半径R'は半径Rよりも小さくなる。この結果から、4個のセンサ52A〜52Dのうちセンサ52BがウエハWのノッチWNを検出したと判定される。
【0060】
次に、ステップS16(図10)において、センサ52A〜52DのうちノッチWNを検出していない3つのセンサの検出値が選択される。図12に示すように、4個のセンサ52A〜52DのいずれもウエハWのノッチWNを検出していないときは、いずれの3個のセンサ52の検出値を選択してもよい。また、図13に示す場合は、センサ52Bを除くセンサ52A、52C、52Dからの検出値が選択される。
【0061】
次に、ステップS17(図10)において、ノッチWNを検出していない3つのセンサの検出値に基づいて算出した中心位置o'の座標(X'、Y')と、基準位置におけるウエハWの中心位置oの座標(X、Y)との間のずれ量(ΔX、ΔY)が求められる。ずれ量(ΔX,ΔY)は、
ΔX[mm]=X'−X (16)
ΔY[mm]=Y'−Y (17)
により求めることができる。
【0062】
次に、ステップS18(図10)において、搬送アームA3が、図11(e)に示すように、塗布モジュール23に臨む位置にまで移動する。具体的には、図3に示すカバー体35がY軸ガイドレール36に沿って摺動移動することにより基台31が移動し、回転機構32により基台31が約180°回転することにより、図11(e)に示す位置まで移動する。
【0063】
次いで、ステップS19(図10)において、塗布モジュール23に臨む位置にてフォーク3Aにより保持されるウエハWの位置が検出される。この検出は、ステップS13からステップS17までにおいて行われたのと同様の方法により行われる。これにより、搬送基準位置におけるウエハWの中心位置oの座標(X、Y)に対する、搬送後のウエハWの中心位置o"の座標のずれ量(ΔX'、ΔY')が算出される。ただし、ステップS19においては、ステップS16にて選択された3つのセンサと同一の3つのセンサの検出値を用いることができるため、ウエハWのノッチの判定(ステップS15)及び検出値の選択(ステップS16)は行わなくても良い。
【0064】
次に、ステップS20(図10)において、搬送アームA3の移動前後におけるずれ量の差Dが求められる。ずれ量の差Dは、搬送アームA3の移動により生じたウエハWのずれ量に相当し、図14を参照すると、以下の式(18)により求めることができる。図14中、参照符号oは、ウエハWが基準位置にあるときのウエハWの中心位置を示し、参照符号o'は、ウエハ搬送前のウエハWの中心位置を示し、参照符号o"は、ウエハ搬送後のウエハWの中心位置を示している。

D=(|ΔX'−ΔX| + |ΔY'−ΔY|1/2 (18)

次に、ステップS21(図10)において、ずれ量の差Dが所定の範囲にあるか否かが判定される。ここで、所定の範囲は、ウエハWのサイズ、フォーク3Aのサイズ、及びウエハWが載置される載置部のサイズなどに応じて決定することができる。例えば、所定の範囲を100から300μmの範囲の値に決めても良く、また例えば100μmと決めても良い。ずれ量の差Dが所定の範囲にあると判定された場合(ステップS21:YES)、直接、次のステップS23に進む。また、ずれ量の差Dが所定の範囲を超えたと判定された場合(ステップS21:NO)、アラーム信号が出力される(ステップS22)。ウエハWの搬送をそのまま継続する場合もあるし、バキューム機構の点検を行うためにウエハWの搬送を停止する場合もある。ここで、搬送を停止するか否かを、後述するずれ量(ΔX'、ΔY')に基づいて判定しても良い。すなわち、ずれ量の差Dが所定の範囲を超えた場合(ステップS21:NO)であって、ずれ量(ΔX'、ΔY')が所定の範囲に入っているときは搬送を継続する、という判定を設けても良い。
【0065】
次いでステップS23(図10)に進み、フォーク3Aが、ずれ量(ΔX'、ΔY')、すなわち、塗布モジュール23を臨む位置で求めたフォーク3Aに対するウエハWのずれを補正しつつ、ウエハWを塗布モジュール23内へ搬入し、塗布モジュール23内のスピンチャックSへウエハWを受け渡す。
【0066】
以上説明したように、本実施形態による基板搬送方法によれば、一のモジュール(冷却モジュール7)から他のモジュール(塗布モジュール23)へ搬送アームA3によりウエハWを搬送する前後において、基準位置におけるウエハWの中心位置の座標に対する、現実のウエハWの中心位置の座標のずれ量((ΔX,ΔY)及び(ΔX',ΔY'))を求めているため、搬送中に生じたウエハWのずれ量(ずれ量の差D)を求めることができる。これにより、搬送中に、フォーク3Aに対してウエハWがずれたことが分かる。このようなずれは、例えば、バキューム機構の不具合、例えばパッド42A〜42Dの摩耗、ウエハWの反り、真空配管43A(図6)でのリーク、及び真空排気部のトラブルによる吸着力の低下などにより生じ得るが、本実施形態による基板搬送方法によれば、そのような不具合を把握することが可能となる。
【0067】
また、他のモジュール(塗布モジュール23)に臨む位置において求めたずれ量(ΔX',ΔY')を補正しつつ他のモジュール内へ搬入するため、他のモジュールの載置部に対してウエハWをより適正に載置することができる。
【0068】
塗布現像装置100のような半導体製造装置においては、スループット向上のため、ウエハの搬送速度が大きくなる傾向にある。そのため、搬送中のウエハの位置ずれが生じやすくなっている。本実施形態による基板搬送方法及び基板搬送装置(搬送アーム)によれば、搬送中のウエハの位置ずれを検出することができ、例えばパッドの摩耗を把握することができるため、搬送中のウエハの位置ずれに伴う不良ウエハの発生を抑制することが可能となる。
【0069】
また、本発明の他の実施形態による基板搬送方法においては、ずれ量の差Dの判定対象である所定の範囲を、ウエハWを次に搬入する他のモジュールにおける処理の均一性の観点から設定しても良い。例えば、ずれ量の差Dが約300μmであって他のモジュール内の載置部にウエハWを適正に置くことができる場合であっても(所定の範囲内)、ずれ量の差Dが例えば100μm以内であれば、均一性がより改善されるという状況の下では、ずれ量の差Dの判定対象を上記の所定の範囲よりも狭い100μmの範囲(以下、便宜上、許容範囲という)に設定すると好ましい。また、この場合においては、ずれ量の差Dが100μmを超える場合であっても、ずれ量の差Dを表示部63に表示し、その表示により300μmを超えていないことが確認できたときには、他のモジュールにウエハWを搬入し、処理を行っても良い。また、このようにすれば、不具合の予兆を把握することができる。
【0070】
さらに、別の実施形態においては、所定の範囲を2段階に設定し、段階に応じた警報を発するようにしても良い。例えば、上記の例では、100μmを第1の段階に設定し、300μmを第2の段階に設定することが好ましい。これによれば、第1の段階を超えた場合には注意報を発するものの処理は自動的に継続することとし、第2の段階を超えた場合に、警報を発する且つ/又は基板処理装置を停止するようにしても良い。
【0071】
また、更に別の実施形態においては、ずれ量の差Dを許容範囲に対して判定する場合(又は所定の範囲を2段階に設定する場合)には、許容範囲(又は第2の段階)を超えた回数をカウントし、その回数を記憶しておくと有益である。具体的には、以下のとおりである。図15に示すようにステップS151において、上述のステップS11及びS12に従ってウエハWが一のモジュールから他のモジュール(の搬送口に臨む位置)に搬送される。次いで、ステップS152において、上述のステップS13からS21に従ってずれ量の差Dが求められ、これが許容範囲内であるかが制御部6により判定される。許容範囲内と判定された場合(ステップS152:YES)、ウエハWは他のモジュールへ搬送され(ステップS153)、他のウエハWの搬送が行われる(ステップS151)。
【0072】
許容範囲内に無いと判定された場合(ステップS152:NO)、例えば記憶部62に記憶されたフラグi(初期値ゼロ)に1を加え、1を加えた後の数値を再び記憶部62に記憶する(ステップS154)。次いで、記憶部62のフラグiが参照されて、フラグiが例えば10を超えているかが判定される(ステップS155)。フラグiが10未満であると判定された場合(ステップS155:YES)、ウエハWは他のモジュールへ搬送される(ステップS156)。一方、フラグiが10以上であると判定された場合(ステップS155:NO)、アラーム信号が出力され(ステップS157)、警報が表示部63に表示され、且つ/又は装置が停止される。このようにすれば、搬送前後のウエハWのずれ量の差Dが許容範囲を超えた回数が10回に達した時点でアラーム信号が出力されるため、装置を継続して動作させつつ、フォーク3A等のパッド42A〜42Dの摩耗などの不具合の進行を把握することができる。このため、定性的な判定結果に基づいてメンテナンスのスケジュールを決定できるという利点が提供され得る。
なお、ずれ量の差Dが許容範囲を超えた回数は、10回に限らず、適宜決定して良いことは言うまでもない。
【0073】
また、ずれ量の差Dが所定の範囲を超えたと判定された場合(ステップS21:NO)に、ステップS19(図10)で算出した、搬送後のウエハWのずれ量(ΔX'、ΔY')に基づいて、ずれの補正を行っても良い。すなわち、図4から図6までに示すように、進退機構33Aによってフォーク3AがΔX'に相当する距離だけ移動し、カバー体35によりフォーク3AがΔY'に相当する距離だけ移動することにより、ウエハWの中心位置を、他のモジュールの載置に適正に載置できるように位置補正をすることが可能である。また、X方向及びY方向についての補正でなく、回転機構32を利用してフォーク3Aを回転させると共に、X方向又はY方向に補正しても良い。
【0074】
さらに、ずれ量の差Dが所定の範囲を超えたと判定された場合(図10のステップS21:NO)、又は搬送前後のウエハWのずれ量の差Dが許容範囲を超えた回数が所定の回数を超えた場合(図15のステップS155:NO)に、フォーク3AによるウエハWの搬送時の搬送速度を低減するようにしても良い。これは、例えば制御部6(図9)からモータ、エンコーダ38や、パルス数をカウントするカウンタ39等に対して、搬送速度を低減する指示信号を出力することにより実現可能である。また、搬送速度を低減して搬送した場合であっても、再び、否定的な判定がされた場合には、搬送速度を更に低減しても良い。これによれば、例えばパッド42A〜42Dの交換を遅らせることができ、装置のメンテナンススケジュールを柔軟に設定することも可能となる。
【0075】
また、ずれ量の差Dが所定の範囲を超えたと判定された場合(図10のステップS21:NO)、又は搬送前後のウエハWのずれ量の差Dが許容範囲を超えた回数が所定の回数を超えた場合(図15のステップS155:NO)に、フォーク3Aの搬送時の加速度を低下させても良い。これは、例えば制御部6(図9)からモータ、エンコーダ38や、パルス数をカウントするカウンタ39等に対して、加速度を低下させる指示信号を出力することにより実現可能である。フォーク3Aの搬送開始時及び搬送停止時にウエハWの位置ずれが生じる可能性が高いため、搬送開始時及び搬送停止時のフォーク3Aの加速度を低くすれば、搬送前後でのウエハWの位置ずれ(ずれ量の差D)を低減することが可能となる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、添付の特許請求の範囲の記載に照らし、種々の変形・変更が可能である。
【0077】
例えば、ステップS23において、ずれ量(ΔX'、ΔY')を補正しつつウエハWを塗布モジュール23内に搬入したが、塗布モジュール23を臨む位置においてずれ量(ΔX'、ΔY')を補正してから、塗布モジュール23内へウエハWを搬入しても良い。
【0078】
また、フォーク3Aが、冷却モジュール7から塗布モジュール23に臨む位置まで移動した後に、その前後でのずれ量の差Dを塗布モジュール23に臨む位置において求める代わりに、フォーク3Aの移動により生じる、ウエハWのフォーク3Aに対するずれを、フォーク3Aの移動中に検出しても良い。この検出は、フォーク3Aの移動中に、図10を参照しながら説明したステップS13からS17を行い、ずれ量(ΔX、ΔY)と対比することにより可能である。そして、フォーク3Aの移動中に求める位置ずれが所定の範囲に入っているか否かを、フォーク3Aの移動中に判定し、所定の範囲に入っていないと判定された場合は、その時点でフォーク3Aの移動を停止させても良い。また、所定の範囲に入っていないと判定された場合に、塗布モジュール23に臨む位置にフォーク3Aが到着した後にアラームを出力するようにしても良い。
さらに、ステップS17の後に、ステップS17において求めたずれ量(ΔX、ΔY)、すなわち、冷却モジュール7からウエハWを取り出した後における、フォーク3Aに対するウエハWのずれ量(ΔX、ΔY)が所望範囲に入っているか否かの判定を行っても良い。
【0079】
さらにまた、ステップS21(図10)において、ずれ量の差Dが所定の範囲にあるか否かを判定するに先立って、ずれ量(ΔX'、ΔY')に基づいて、ウエハWを塗布モジュール23内へ搬入可能か否かを判定しても良い。具体的には、ずれ量(ΔX'、ΔY')が、ウエハWを塗布モジュール23の搬送口24に接することなく塗布モジュール23内へ搬入できる範囲に入っているか否かを判定して良い。この場合、搬入可能と判定された場合には、次のステップS21において、ずれ量の差Dが所定の範囲に入っているか否かにかかわらず、塗布モジュール23内へウエハWを搬入しても良い。そして、搬入後に、フォーク3Aのバキューム機構の点検を行っても良い。一方、搬入できないと判定された場合には、塗布現像装置100を停止するためのアラームを出力するようにして良い。
【0080】
たとえば、上記の実施形態においては、搬送アームA3について説明したが、搬送アームA2〜A4、搬送機構C、搬送機構D、及びインターフェイスアームFもまた搬送アームA3と同様の構成を有することができ、これらによって、上述の基板搬送方法を行うことができる。また、搬送前のモジュール(一のモジュール)及び搬送後(搬送先)のモジュール(他のモジュール)は、例示のものに限らず、ウエハWが載置される載置部を有するモジュールであって良い。また、一つのアームが他のアームからウエハを受け取って、所定のモジュールへ搬送する場合にも、本発明の実施形態による基板搬送方法を適用することができる。この場合、他のアームが載置部に相当する。
【0081】
また、上記の実施形態は、2枚のフォーク3A、3Bは、上下に重なるように設けられている例に限定されるものではなく、2枚のフォーク3A、3Bが水平方向に並んで設けられてもよい。また、フォーク3は、1枚のみであってもよく、あるいは、3枚以上が上下に重なるように、又は水平方向に並んで設けられていてもよい。
【0082】
また、上記の実施形態においては、ウエハWのノッチNWを考慮し、フォーク3A等に対して4つの光源51A〜51Dとこれらに対応する4つのセンサ52A〜52Dとを設けたが、例えばノッチNWがなくオリエンテーションフラット(OF)を有するウエハを用いる場合において、OFの位置が大きくずれないときには、OF以外の周縁部を検出するために3つの光源とこれらに対応する3つのセンサを設けても良い。
【0083】
また、光源51A〜51Dとこれらに対応するセンサ52A〜52Dとの代わりに、保持爪4A〜4Dに静電センサを設けてウエハWのフォーク3A等に対する位置を検出しても良い。さらに、例えばカメラを用いて、カメラにより得られた画像に基づいて、ウエハWのフォーク3A等に対する位置を検出しても構わない。カメラを用いる場合には、ウエハWの周縁部の4点の位置情報が得られればよい。したがって、必ずしも4台のカメラを用いる必要はなく、1台のカメラを用いて4点の位置情報を得るのでもよい。1台のカメラを用いる場合には、例えば、2本のフォーク3A、3Bの上方に位置するように、支持部材を介して基台31に取り付けることができる。
【0084】
カメラを用いる場合にも、センサ52A〜52Dを用いる例として上述したように、ウエハWを保持しているフォーク3A、3Bがホーム位置にあるときに、カメラにより画像を撮影する。そして、撮影した画像を画像処理することによって、ウエハWの周縁部の4点における位置情報を求める。次に、4点における位置情報に基づいて、4点のうちいずれかがウエハWの切欠部WNを検出したか否かを判定し、4点のうちいずれかがウエハWの切欠部WNを検出したと判定したときに、その1点以外の3点における位置情報に基づいてウエハWのフォーク3A等に対する位置を検出することができる。
【0085】
光源51として、複数のLEDを用いた例を説明したが、単一のLEDの発光側に直線状に導光材料を設け直線状の光源としたものを用いることができる。また、センサ52としては、CCDラインセンサでなく、ファイバーラインセンサ、光電センサ等各種のリニアイメージセンサを用いることができる。
【0086】
また、ウエハWのフォーク3Aに対する位置を求める場合に、基準位置におけるウエハWの中心位置oを利用したが、これに代わり、フォーク3Aに1つの又は複数の位置マークを設けておき、位置マークを基準にウエハWのフォーク3Aに対する位置ずれを利用しても構わない。
【0087】
また、ウエハWは半導体ウエハに限らず、FPD用のガラス基板であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
A3〜A4 搬送アーム
3A、3B フォーク
31 基台
41A〜41D 吸着孔
5A〜5D 検出部
51、51A〜51D 光源
52、52A〜52D センサ
6 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を真空吸着により保持する保持部を有し、保持した基板を搬送する基板搬送装置と、該基板搬送装置により搬送される前記基板が載置される複数の載置部とを備える基板処理装置における基板搬送方法であって、
前記複数の載置部のうちの一の載置部の前記基板を前記保持部で受け取って真空吸着により保持するステップと、
前記基板を保持したまま前記一の載置部から前記保持部が退出するステップと、
前記保持部に保持される前記基板の前記保持部に対する位置を検出する第1の位置検出ステップと、
前記保持部に保持される前記基板を他の載置部に臨む場所まで搬送するステップと、
前記臨む場所において、前記保持部に保持される前記基板の前記保持部に対する位置を検出する第2の位置検出ステップと、
前記第1の位置検出ステップ及び前記第2の位置検出ステップで得られた、前記保持部に保持される前記基板の前記保持部に対する位置に基づいて、前記搬送するステップにおいて生じた、前記基板の前記保持部に対する位置ずれを算出するステップと、
前記算出するステップにおいて算出された前記位置ずれが所定の範囲に入るか否かを判定するステップと
を含む基板搬送方法。
【請求項2】
前記判定するステップにおいて、前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定された場合に、当該判定結果を示す警報を発するステップを更に含む、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記判定するステップにおいて前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定された回数を記録するステップと、
記録された前記回数が所定の回数を超えるか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて前記所定の回数を超えたと判定された場合に、前記所定の回数を超えたことを示すアラーム信号を出力するステップと
を更に含む、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項4】
前記判定するステップにおいて前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定された回数を記録するステップと、
記録された前記回数が所定の回数を超えるか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて前記所定の回数を超えたと判定された場合に、前記基板搬送装置の搬送速度を低下させる指示信号を出力するステップと
を更に含む、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項5】
前記判定するステップにおいて前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定された回数を記録するステップと、
記録された前記回数が所定の回数を超えるか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて前記所定の回数を超えたと判定された場合に、前記基板搬送装置の移動開始時かつ/又は移動停止時における前記基板搬送装置の加速度を低下させる指示信号を出力するステップと
を含む、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記判定するステップにおいて、前記位置ずれが所定の範囲に入らないと判定された場合に、当該位置ずれを補正するステップを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板搬送方法。
【請求項7】
基板を真空吸着により保持する保持部と、
前記保持部に保持されて搬送される前記基板が載置される複数の載置部と、
前記保持部に保持される前記基板の前記保持部に対する位置ずれを検出する検出部と、
前記複数の載置部のうちの一の載置部から前記基板を受け取って保持する前記保持部について前記検出部により検出された前記基板の位置ずれと、他の載置部に臨む場所まで前記保持部が移動した後に、当該臨む場所において前記検出部により検出された前記基板との位置ずれとに基づいて、搬送中に生じた、前記基板の前記保持部に対する位置ずれを算出し、当該位置ずれが所定の範囲に入るか否かを判定するよう構成される制御部と
を備える基板搬送装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定した場合に、当該判定結果を示す警報を発する、請求項7に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記制御部が、前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定された回数を記録し、記録された前記回数が所定の回数を超えるか否かを判定し、前記所定の回数を超えたと判定した場合に、前記所定の回数を超えたことを示すアラーム信号を出力するよう更に構成される、請求項7に記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記制御部が、前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定された回数を記録し、記録された前記回数が所定の回数を超えるか否かを判定し、前記所定の回数を超えたと判定した場合に、前記保持部の搬送速度を低下させる指示信号を出力するよう更に構成される、請求項7に記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記位置ずれが前記所定の範囲に入らないと判定された回数を記録し、記録された前記回数が所定の回数を超えるか否かを判定し、前記所定の回数を超えたと判定した場合に、前記保持部の移動開始時の速度かつ/又は移動停止時の速度における前記保持部の加速度を低下させる指示信号を出力するよう更に構成される、請求項7に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記制御部が、前記位置ずれが所定の範囲に入らないと判定した場合に、当該位置ずれを補正するよう更に構成される、請求項7から11のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか一項に記載の基板搬送装置と、
前記基板搬送装置により搬送される前記基板を受け取って前記基板上にフォトレジスト膜を塗布する塗布装置と、
前記基板搬送装置により搬送される、露光された前記フォトレジスト膜が形成された前記基板を受け取って、当該フォトレジスト膜を現像する現像装置と
を含む、塗布現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−222195(P2012−222195A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87302(P2011−87302)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】