塗装システム
【課題】例えば、車体本体に対して揺動可能に連結されたドア等を容易に開状態とすることが可能であり、しかも、作業効率に優れる塗装システムを提供する。
【解決手段】塗装システム10は、塗装ロボット14a〜14dと、オープナーロボット16とを有する。例えば、塗装ロボット14a〜14dは、壁24、26に敷設された第1案内レール28に変位自在に係合された走行台車32を介して設けられ、一方、オープナーロボット16は、壁26に敷設された第2案内レール30に変位自在に係合された走行台車34を介して設けられる。
【解決手段】塗装システム10は、塗装ロボット14a〜14dと、オープナーロボット16とを有する。例えば、塗装ロボット14a〜14dは、壁24、26に敷設された第1案内レール28に変位自在に係合された走行台車32を介して設けられ、一方、オープナーロボット16は、壁26に敷設された第2案内レール30に変位自在に係合された走行台車34を介して設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、四輪自動車は、乗員室が形成された車体本体に対して乗員室ドア、ボンネット、トランク等の各種のドアが揺動自在に連結され、この状態で、塗装工程に搬送される。
【0003】
塗装工程では、各種のドアごと搬送される車体本体に対し、例えば、特許文献1に記載されるように、塗装ロボットから所定の塗料が噴霧される。なお、車体本体におけるドアが着座する部位も塗装を行う必要があるので、塗料の噴霧に先んじて、各種のドアが開状態とされる(例えば、特許文献2の図1参照)。換言すれば、ドアは、車体本体から離間する方向に揺動され、この状態で、該ドアや車体本体に対しての塗装が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−266870号公報
【特許文献2】特開昭61−204060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塗装ロボットとオープナーロボットは、双方とも、同一の案内レールで案内されるように配置される。このため、塗装ロボットとオープナーロボットとを同時に作動させると、互いに干渉し易い。この場合、例えば、塗装ロボットが塗装に適切な姿勢となることが困難となる。
【0006】
そこで、塗装ロボットを一旦待機させ、オープナーロボットが作動を終了した後、該塗装ロボットを作動させるようにしているが、この場合、塗装ロボットを塗装に適切な姿勢とすることが容易にはなるものの、塗装ロボットの作業効率が低下するという不都合がある。また、噴霧された塗料によってオープナーロボットが汚れてしまう不具合や、このオープナーロボットが揺動させたドアに塗料が付着してしまう不具合も顕在化している。
【0007】
また、オープナーロボットと塗装ロボットを同一の案内レール上に配置すると、塗装ラインが過度に長尺化してしまうという不具合が生じる。
【0008】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、塗装ロボット及びオープナーロボットの双方の作業効率が向上するとともに、オープナーロボットが汚れ難く、しかも、揺動方向が異なる別種のドアの双方を開状態にし得る塗装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、複数個の部材が本体に対して揺動可能に連結されて構成される被塗装物を塗布するための塗装手段を有する塗装ロボットと、前記被塗装物における前記部材を前記本体から離間する方向に揺動させるためのオープナーロボットとを具備する塗装システムであって、
前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第1の変位機構と、
前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記オープナーロボットは、取付基部に設けられたアーム部を具備するとともに、前記アーム部は、回動可能な少なくとも3個のアーム部材を有し、
前記3個のアーム部材は、前記オープナーロボットの前記取付基部との取付面に対して平行に延在する少なくとも3個の回転軸を有することを特徴とする。
【0010】
例えば、前記特許文献2記載の従来技術では、その図1から諒解されるように、オープナーロボットにおけるアームを折り畳む(待機状態とする)軸は1個のみである。このため、塗装作業時にオープナーロボットのアーム部を塗装箇所から十分に離間させることができない。このため、アーム部に塗料が付着して汚れる懸念がある。
【0011】
また、オープナーロボットを移動させる際には、汚れることを回避するべくアーム部を折り畳んで(収縮させて)被塗装物との離間距離を十分に取る必要があるが、下段に配置された塗装ロボットに衝突させることなくアーム部を折り畳むためには、塗装ブースを大きくして内部空間を広大化しなければならない。
【0012】
これに対し、本発明によれば、上記のような構成とすることにより、塗装に適切な姿勢を塗装ロボットにとらせつつ、オープナーロボットを動作させて所定の部材を揺動させることができるようになる。オープナーロボットのアーム部材を適宜回動させることにより、オープナーロボットと塗装ロボットとが互いに干渉することを回避し得るからである。
【0013】
従って、オープナーロボットが作動している間、塗装ロボットを待機状態とする必要がない。このため、塗装ロボットの作業効率が向上するので、被塗装物に対して効率よく塗装を行うことができる。
【0014】
なお、アーム部材は、基端部側から先端に向かうに従って螺旋状に連結することが好ましい。この場合、待機状態・作動状態のいずれにおいてもアーム部が占める空間を狭小化することができる。このため、オープナーロボットの設置スペースを狭小化することができるとともに、作動状態にあるときに、基端部から被塗装物までの距離を小さくすることができる。これによりオープナーロボットの変位距離が短くなるので、オープナーロボットが変位する際に該オープナーロボットを案内するための案内部材の敷設寸法を短くすることもできる。
【0015】
その上、内部空間を広大化するために塗装ブースを大きくする必要もない。
【0016】
ただし、アーム部材が基端部側から先端に向かうに従って順次外方側の端面に連結されたものであっても特に差し支えはない。すなわち、本発明にはこの場合も含まれるものとする。
【0017】
この場合には、アーム部材が被塗装物から順次離間していくので、オープナーロボットが塗料によって汚れることを一層容易に回避することができるという利点がある。
【0018】
さらに、前記3個のアーム部材を基端部側から第1アーム部材、第2アーム部材及び第3アーム部材とするとき、第1アーム部材と前記取付基部との回転軸と、第2アーム部材と第3アーム部材との回転軸とを略同一直線上又は略同一平面上に配置することが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、塗装ロボットが作業中であっても、オープナーロボットが塗装ロボットを越えて移動することが可能となる。すなわち、オープナーロボットを移動させる際に塗装ロボットを待機状態とする必要がない。加えて、オープナーロボットが塗料によって汚れることを回避することも可能となる。
【0020】
以上の構成において、さらに、前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第1の案内部材に沿って変位させる第1の変位機構と、
前記ボンネット又は前記トランクに別タイミングで掛合する掛合部材を有する前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第2の案内部材に沿って変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とが高低差を設けて配置されることにより、前記オープナーロボットと前記塗装ロボットとが高低差を設けて配置されることが好ましい。
【0021】
この場合、オープナーロボットと塗装ロボットが互いに高低差を設けて設置しているため、互いが干渉することが一層容易に回避される。このため、オープナーロボットが作動している最中であっても、塗装ロボットが塗装に適切な姿勢となることが容易となる。これにより塗装ロボットの作業効率が向上することも、塗装効率の向上に寄与する。
【0022】
なお、本体としては四輪自動車の車体本体が例示され、この場合、揺動させるべき部材としてはボンネット及びトランクが挙げられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、オープナーロボットと塗装ロボットを変位させる変位機構を個別に設け、且つオープナーロボットを、回動可能な少なくとも3個のアーム部材をアーム部に具備するように構成しているので、互いが作動している最中に干渉することが回避される。このため、オープナーロボットが作動している間であっても、塗装ロボットが塗装に適切な姿勢となることが容易となるので、塗装ロボットを待機状態とし、被塗装物に対して効率よく塗装を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】塗装ステーションの概略要部斜視図
【図2】オープナーロボットの要部概略斜視図
【図3】オープナーロボットのフックの第2爪部がボンネットに掛合して開状態に揺動している状態を示す要部概略側面図
【図4】フックの第1爪部がトランクに近接した状態を示す要部概略側面図
【図5】オープナーロボットのアーム部が伸張して展開した状態を示す要部概略斜視図
【図6】フックで別車種のボンネット及びトランクを開状態に揺動したときの要部概略側面図
【図7】車体本体に連結されたボンネット及びトランクを、図3及び図4に示すフックで開状態に揺動したときの要部概略側面図
【図8】第1〜第3アーム部材が順次外方側に連結されたロボットの要部概略斜視図
【図9】図7のロボットを構成するアーム部が伸張して展開した状態を示す要部概略斜視図
【図10】図6及び図7に示す5軸ロボットで塗装システムを構成した場合の概略要部斜視図
【図11】別のオープナーロボットの要部概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る塗装システムにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る塗装システム10が設置された塗装ステーション11の概略一部斜視図である。この場合、塗装システム10は、四輪自動車の車体本体12(被塗装物)に対して塗装を行うためのものであり、4台の塗装ロボット14a〜14dと、1台のオープナーロボット16とを有する。
【0027】
車体本体12には、ボンネット18、トランク20及び4枚の乗員室ドア22が予め揺動可能に連結されている。なお、オープナーロボット16によって開状態とされるまでは、これらのドア18、20、22は閉状態にある。
【0028】
車体本体12は、図示しないコンベアによって図1における矢印A1方向に比較的低速で搬送される。換言すれば、車体本体12は、矢印A1方向に沿って緩やかに変位する。
【0029】
塗装システム10は、矢印A1及び矢印A2方向に沿って延在するとともに、互いに対向する2枚の壁24、26によって区画され、これにより形成された塗装ステーション11に配設されている。そして、前記壁24、26の各々の下方に第1案内レール28が敷設されるとともに、前記壁26の上方に第2案内レール30が敷設される。これら第1案内レール28及び第2案内レール30は、各々の延在方向が前記コンベアの延在方向に対して平行となるようにして、壁24、26ないし壁26に設けられている。
【0030】
このように、第1案内レール28が壁24、26の下方に敷設され、一方、第2案内レール30が壁26の上方に敷設される結果、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16との間には、高低差が存在するようになる。すなわち、この場合、オープナーロボット16は、塗装ロボット14a〜14dに比して高位置に設けられる。
【0031】
第1案内レール28には、塗装ロボット14a〜14dの各々が設けられた走行台車32が変位自在に係合されており、一方、第2案内レール30には、オープナーロボット16が設けられた走行台車34が変位自在に係合されている。これら走行台車32、34は、図示しない制御回路に電気的に接続されており、この制御回路の制御作用下に、第1案内レール28又は第2案内レール30に案内されながら矢印A1方向又は矢印A2方向に指向して変位する。すなわち、走行台車32及び前記制御回路は、塗装ロボット14a〜14dを変位させる第1の変位機構を構成し、走行台車34及び前記制御回路は、オープナーロボット16を変位させる第2の変位機構を構成する。
【0032】
塗装ロボット14a〜14dとしては、例えば、6軸ロボット等の公知の多関節ロボットが採用される。塗装ロボット14a〜14dのアーム部36の先端には、各々、塗装ガン38が配設され、この塗装ガン38を介して、ミスト状の塗料が車体本体12に噴霧される。
【0033】
各塗装ロボット14a〜14dには、4枚の乗員室ドア22のいずれかを車体本体12に対して揺動させるための図示しない開閉用治具が設けられる。すなわち、乗員室ドア22は、塗装ロボット14a〜14dによって揺動され、これにより開閉される。
【0034】
一方、図2に示すように、オープナーロボット16のアーム部40は、走行台車34に近接する取付基部41側から先端側にかけて、第1アーム部材42、第2アーム部材43、第3アーム部材44をこの順序で有する。勿論、これらアーム部材42、43、44は、個別に回動自在であり、且つ所定の角度で傾動した状態で停止することが可能である。
【0035】
具体的には、取付基部41と第1アーム部材42の間、第1アーム部材42と第2アーム部材43の間、第2アーム部材43と第3アーム部材44の間、第3アーム部材44とナット46(後述)の間には、それぞれ、第1関節部100、第2関節部102、第3関節部104、第4関節部106が設けられ、さらに、ナット46とフック48の間には第5関節部108が設けられる。これら第1関節部100、第2関節部102、第3関節部104、第4関節部106及び第5関節部108により、第1アーム部材42、第2アーム部材43、第3アーム部材44、ナット46及びフック48が水平方向に沿って延在する軸D1〜D4を回動中心として回動可能である。
【0036】
ここで、第1アーム部材42、第2アーム部材43、第3アーム部材44は、該アーム部材42、43、44によって螺旋形状をなすようにして、一端部同士が回動軸を介して連結されている。このため、オープナーロボット16が待機姿勢にあるときには、第1アーム部材42と第2アーム部材43との間に第3アーム部材44が収容される。この際、第1関節部100と第3関節部104は、軸D1と軸D3が略同一平面上となる程度に近接する。且つ、オープナーロボット16が塗装ロボット14a〜14dよりも上方に配設される場合には、軸D1、D3が軸D2、D4よりも下方に設けられることにより、アーム部40、特に第2アーム部材43が塗装ロボット14a〜14dに干渉することが回避される。
【0037】
第3アーム部材44には、該第3アーム部材44の延在方向と同一方向に延在するナット46が連結されている。図1に示すように、該ナット46には、掛合部材としてのフック48がナット46の延在方向に対して略直交する方向に指向するようにして取り付けられる。すなわち、フック48を構成する柱状部52(図3参照)はナット46を介して第5関節部108に連結されており、従って、第5関節部108が回転動作することに追従して回転する。
【0038】
図3に示すように、このフック48は略逆T字形状をなす。すなわち、この場合、フック48は、前記柱状部52の先端から分岐して互いに逆方向に延在する第1爪部54、第2爪部56を有する。これら第1爪部54及び第2爪部56は、柱状部52の延在方向に対して略直交する方向に延在する。なお、図2においては、フック48の図示を省略している。
【0039】
第1爪部54及び第2爪部56の先端には、柱状部52側に向かって突出した第1掛合部58、第2掛合部60がそれぞれ形成される。後述するように、ボンネット18は第2爪部56の第2掛合部60が掛合して開状態に揺動され(図3参照)、一方、トランク20は第1爪部54の第1掛合部58が掛合して開状態に揺動される(図4参照)。すなわち、フック48は、前記第5関節部108が軸D5を中心として所定角度で回転動作することに伴い、図3及び図4中の矢印方向に沿って揺動する。以上の動作については、後に詳述する。
【0040】
本実施の形態に係る塗装システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果について説明する。
【0041】
各種のドア18、20、22が連結された車体本体12が前記コンベアを介して搬送されると、オープナーロボット16は、先ず、閉状態にあるボンネット18を開状態とするべく動作する。
【0042】
具体的には、オープナーロボット16が図2に示す待機状態から作動し、これにより、図5に示すように、第1アーム部材42、第2アーム部材43及び第3アーム部材44が所定の回動動作を行うことに伴って、アーム部40が伸張した展開状態となる。この際、第2アーム部材43が第1アーム部材42及び第3アーム部材44よりもボンネット18から離間するようにアーム部40が配置される。このとき、フック48は、図3において仮想線で示すように、その第2爪部56がボンネット18から離間するように位置する。
【0043】
この状態で第5関節部108が回動され、これに追従してフック48が所定の角度でボンネット18側に向かって揺動動作する。その結果、図3に示すように、第2爪部56の第2掛合部60がボンネット18に掛合するに至る。
【0044】
このように、フック48を揺動動作させることにより、第2掛合部60を何らかの部材ないし部位に干渉させることなくボンネット18に掛合させることができる。
【0045】
ボンネット18が第2爪部56の第2掛合部60に掛合されたことが近接センサ(図示せず)で検知された後、オープナーロボット16のアーム部40が所定の動作を行い、これにより、図3に実線で示すように、ボンネット18が車体本体12から離間する方向に揺動される。すなわち、ボンネット18が開状態となる。
【0046】
この状態において、車体本体12の前方近傍に位置する2台の塗装ロボット14a、14b(図1参照)が作動し、ボンネット18に対して塗料を噴霧する。すなわち、2台の塗装ロボット14a、14bによってボンネット18に対する塗装が行われる。
【0047】
その一方で、車体本体12の後方近傍に位置する2台の塗装ロボット14c、14dが動作し、前記開閉用治具によって前方の2枚の乗員室ドア22を揺動させて開状態とする。塗装ロボット14c、14dは、さらに、この開状態となった2枚の乗員室ドア22(前方側)に対して塗料を噴霧する。
【0048】
上記したように、本実施の形態では、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16とが高低差を設けるようにして配置されている(図1参照)。しかも、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16は個別に案内されるので、互いの変位に制約を受けることがない。このため、ボンネット18を開状態として支持しているオープナーロボット16に対して塗装ロボット14a〜14dが干渉することが回避される。従って、塗装ロボット14a〜14dは、塗装に適切な姿勢をとることが容易となる。なお、この姿勢では、塗装ガン38がフック48の第1爪部54に近接する。すなわち、塗料は、第1爪部54側から車体本体12に向かって噴霧される。
【0049】
このため、塗装ロボット14a〜14dを待機させる必要は特にない。従って、塗装ロボット14a〜14dの作業効率が向上し、車体本体12に対する塗装を効率よく行うことができる。
【0050】
また、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16に高低差があるため、塗装時にオープナーロボット16に塗料が付着することが回避される。このため、オープナーロボット16が塗料によって汚れることが防止され、結局、オープナーロボット16を介して車体本体12に塗料が付着することも防止される。
【0051】
このようにして塗装が実施される間、車体本体12は、図1及び図3における矢印A1方向に沿って低速で搬送される。すなわち、変位する。この変位に追従し、塗装ロボット14a〜14d及びオープナーロボット16は、前記制御回路の制御作用下に、車体本体12の変位速度に対応する速度で変位する。勿論、この変位は、走行台車32、34を介して行われる。
【0052】
ボンネット18の塗装が終了すると、次に、アーム部40が所定の動作を行い、これによりボンネット18を車体本体12側に揺動させて閉止状態とする。この状態で、オープナーロボット16の第5関節部108が回動されることに伴い、フック48の柱状部52が所定の角度だけ回転動作される。これにより第2爪部56の第2掛合部60、ひいてはフック48がボンネット18から離脱する。また、アーム部40が収納状態となる。
【0053】
その一方で、2枚の乗員室ドア22(前方側)の塗装が終了する。塗装ロボット14c、14dは、前記開閉用治具によってこれらの乗員室ドア22を車体本体12側に揺動させ、閉止状態とする。
【0054】
その後、塗装ロボット14a〜14d及びオープナーロボット16は、速やかに、矢印A2方向に沿って所定の距離だけ戻るように変位する。この変位も、前記制御回路の制御作用下に、走行台車32、34を介して行われる。この変位の際に、例えば、オープナーロボット16が塗装ロボット14c、14dを追い越してもよい。
【0055】
本実施の形態では、オープナーロボット16の第3アーム部材44が第1アーム部材42と第2アーム部材43の間で伸張する。このため、車体本体12とオープナーロボット16との離間距離が小さくなるので、第2案内レール30の長手方向寸法を小さくすることができる。また、オープナーロボット16が、アーム部40の展開状態・収縮状態のいずれにおいてもコンパクトであるので、設置スペースを狭小化することも可能である。
【0056】
所定の位置まで戻ったオープナーロボット16は、トランク20を開状態とするべく、再度、アーム部40を伸張させる。ここで、アーム部40が伸張したときの第2アーム部材43と、閉状態にあるトランク20とは互いに略平行状態にある。従って、第3アーム部材44が第2アーム部材43に比してトランク20に近接するように配置されると、第3アーム部材44がトランク20に干渉する懸念があるが、本実施の形態では、図4に示すように、トランク20を開状態とする際には、第1アーム部材42及び第3アーム部材44が第2アーム部材43に比してトランク20から離間するように配置される。このため、第3アーム部材44がトランク20に干渉することが有効に回避される。
【0057】
同時に、フック48の第1爪部54の第1掛合部58がトランク20に近接する。このときも、第1爪部54及び第2爪部56は、図3と同様に、矢印A1、A2方向に対して所定の角度をなすように若干傾斜している(図4の仮想線参照)。
【0058】
そして、上記と同様に第5関節部108が所定の回転動作を行う。これに追従してフック48が所定角度で回転動作し、これにより、閉状態にあるトランク20に対して第1掛合部58が掛合する。
【0059】
このようにしてトランク20に第1爪部54の第1掛合部58が掛合したことが近接センサ(図示せず)で検知された後、オープナーロボット16のアーム部40が所定の動作を行う。その結果、トランク20が車体本体12から離間する方向に揺動され、図4に実線で示すように、該トランク20が開状態となる。
【0060】
以上から諒解されるように、本実施の形態においては、フック48が互いに相反する方向に延在する第1爪部54及び第2爪部56を有する。このため、1台のオープナーロボット16によってボンネット18及びトランク20の双方を開状態とすることが可能となる。
【0061】
トランク20が開放された状態において、後方側の塗装ロボット14c、14dが該トランク20に対して塗料を噴霧する。その一方で、前方側の塗装ロボット14a、14bは、後方側の2枚の乗員室ドア22を前記開閉用治具によって揺動させて開状態にした後、該2枚の乗員室ドア22に対して塗料を噴霧する。
【0062】
勿論、この際にも、上記と同様に、トランク20を開状態として支持しているオープナーロボット16に対して塗装ロボット14a〜14dが干渉することが回避されるので、塗装ロボット14a〜14dが塗装に適切な姿勢をとることが容易となる。なお、この際においては、塗装ガン38がフック48の第1爪部54に近接し、第1爪部54側から車体本体12に向かって塗料が噴霧される。
【0063】
従って、塗装ロボット14a〜14dを待機させる必要がないので、該塗装ロボット14a〜14dの作業効率が向上する。すなわち、車体本体12に対する塗装を効率よく行うことができる。
【0064】
また、オープナーロボット16が塗料によって汚れることが防止されるとともに、オープナーロボット16を介して車体本体12に塗料が付着することも防止される。
【0065】
その上、この工程では、第1アーム部材42及び第3アーム部材44が第2アーム部材43に比してトランク20から離間する位置に配される。従って、トランク20を略90°揺動する場合であっても、該トランク20と第1アーム部材42及び第3アーム部材44とが緩衝することを回避し得る。
【0066】
なお、この塗装作業が実施される間においても、車体本体12が図1及び図4における矢印A1方向に沿って低速で搬送されるとともに、塗装ロボット14a〜14d及びオープナーロボット16が車体本体12の変位速度に対応する速度で変位する。
【0067】
そして、トランク20及び後方の乗員室ドア22の塗装が終了すると、オープナーロボット16のアーム部40が所定の動作を行うことでトランク20を揺動させ、車体本体12に着座した閉状態とするとともに、塗装ロボット14a、14bが前記開閉用治具によって乗員室ドア22(後方側)を揺動させ、該乗員室ドア22を車体本体12に着座した閉状態とする。その後、車体本体12が塗装ステーション11から導出される。
【0068】
トランク20を閉状態としたオープナーロボット16のアーム部40は、その姿勢のまま、次に塗装ステーション11に搬送されてきた車体本体12のボンネット18を開状態とすることが可能である。すなわち、車体本体12の入替に伴ってアーム部40を収縮・展開させる必要は特にない。
【0069】
このことから諒解されるように、本実施の形態によれば、先行する車体本体12の塗装が終了した後、次の車体本体12に対する塗装を迅速に開始することができる。このため、単位時間あたりの塗装効率が向上する。
【0070】
以上の動作説明では、トランク20及びボンネット18を開状態とするために第5関節部108を回動させてフック48を揺動させる場合を例示しているが、例えば、第4関節部106を回動させ、これにより、トランク20又はボンネット18の車体進行方向に対して横方向からフック48を挿入し、その後、第5関節部108を回動してトランク20又はボンネット18を開状態とすることも可能である。
【0071】
なお、オープナーロボット16は、揺動方向が異なるドアであっても対応可能である。
【0072】
例えば、図6に示すように、トランク20をリアウィンドウ64から車体本体12の後方側に揺動するようにして開状態とする車種や、図7に示すように、ボンネット18をフロントウィンドウ66から車体本体12の前方側に揺動するようにして開状態とする車種も存在する。図6及び図7から容易に諒解されるように、上記したフック48を具備するオープナーロボット16によれば、これらの車種にも対応可能である。
【0073】
以上のように、本実施の形態によれば、1台のオープナーロボット16によって、開状態とするための揺動方向が異なる複数個のドアに対応することが可能となる。
【0074】
なお、オープナーロボット16のアーム部40は、図8及び図9に示すように、第1アーム部材42、第2アーム部材43及び第3アーム部材44が順次外方側に連結されて構成されたものであってもよい。
【0075】
この場合、車体本体12の所定の位置にフック62を配置させると、図10に示すように、オープナーロボット16a、16bの基端部が車体本体12に対して大きく離間する。また、アーム部40も車体本体12に対して離間距離が大きくなる。従って、オープナーロボット16a、16bが塗料によって汚れ難くなるという利点がある。ここで、図10は、塗装ステーションの左方側のみを示している。
【0076】
なお、この図10では、爪部が1個のみのフック62をオープナーロボット16a、16bに取り付けている。この場合には、爪部を掛合して揺動させることが可能なドアのみ開状態とすることができるが、他のドアを開状態とすることはできない。例えば、オープナーロボット16aのフック62aは、ボンネット18を開状態とすることは可能であるが、トランク20を開状態とすることは困難である。また、オープナーロボット16bのフック62bは、トランク20を開状態とすることは可能であるが、ボンネット18を開状態とすることは困難である。車体本体12の後方に向いたフック62aの爪部をトランク20に掛合することや、車体本体12の前方に向いたフック62bの爪部をボンネット18に掛合することは困難であるからである。
【0077】
従って、この場合には、オープナーロボット16a、16bの2台を設置することによって対処すればよい。
【0078】
上記した実施の形態においては、被塗装物として自動車の車体本体12を例示して説明したが、被塗装物は特にこれに限定されるものではなく、本体に対して揺動が可能となるように所定の部材が連結されたものであればよい。
【0079】
また、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16は、如何なる配置であってもよい。例えば、上記したようにオープナーロボット16を壁24又は壁26に走行台車34を介して配置する一方、塗装ロボット14a〜14dを塗装ステーション11の床上に走行台車32を介して変位自在に設置するようにしてもよい。又は、走行台車34を介してオープナーロボット16を塗装ステーション11の床上に配置するとともに、走行台車32を介して塗装ロボット14a〜14dを壁24、26に設置するようにしてもよい。
【0080】
さらに、オープナーロボット16は、図8及び図9に示すようなロボットであってもよい。すなわち、本発明には、図10に示されるような構成の塗装システムも含まれる。
【0081】
さらにまた、フック48に3個以上の爪部を設けるようにしてもよい。
【0082】
さらにまた、第4関節部106を回動不能(換言すれば、固定)としてもよい。
【0083】
そして、図11に示すように、第1アーム部材44と第2アーム部材43との間に第3アーム部材44が挿入されるような構成であってもよい。この場合、軸D1と軸D3は、同一直線上に位置する。
【符号の説明】
【0084】
10…塗装システム 11…塗装ステーション
12…車体本体 14a〜14d…塗装ロボット
16、16a、16b…オープナーロボット 18…ボンネット
20…トランク 22…乗員室ドア
24、26…壁 28、30…案内レール
32、34…走行台車 38…塗装ガン
40…アーム部 41…取付基部
42、43、44…アーム部材 48、62…フック
54、56…爪部
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、四輪自動車は、乗員室が形成された車体本体に対して乗員室ドア、ボンネット、トランク等の各種のドアが揺動自在に連結され、この状態で、塗装工程に搬送される。
【0003】
塗装工程では、各種のドアごと搬送される車体本体に対し、例えば、特許文献1に記載されるように、塗装ロボットから所定の塗料が噴霧される。なお、車体本体におけるドアが着座する部位も塗装を行う必要があるので、塗料の噴霧に先んじて、各種のドアが開状態とされる(例えば、特許文献2の図1参照)。換言すれば、ドアは、車体本体から離間する方向に揺動され、この状態で、該ドアや車体本体に対しての塗装が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−266870号公報
【特許文献2】特開昭61−204060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塗装ロボットとオープナーロボットは、双方とも、同一の案内レールで案内されるように配置される。このため、塗装ロボットとオープナーロボットとを同時に作動させると、互いに干渉し易い。この場合、例えば、塗装ロボットが塗装に適切な姿勢となることが困難となる。
【0006】
そこで、塗装ロボットを一旦待機させ、オープナーロボットが作動を終了した後、該塗装ロボットを作動させるようにしているが、この場合、塗装ロボットを塗装に適切な姿勢とすることが容易にはなるものの、塗装ロボットの作業効率が低下するという不都合がある。また、噴霧された塗料によってオープナーロボットが汚れてしまう不具合や、このオープナーロボットが揺動させたドアに塗料が付着してしまう不具合も顕在化している。
【0007】
また、オープナーロボットと塗装ロボットを同一の案内レール上に配置すると、塗装ラインが過度に長尺化してしまうという不具合が生じる。
【0008】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、塗装ロボット及びオープナーロボットの双方の作業効率が向上するとともに、オープナーロボットが汚れ難く、しかも、揺動方向が異なる別種のドアの双方を開状態にし得る塗装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、複数個の部材が本体に対して揺動可能に連結されて構成される被塗装物を塗布するための塗装手段を有する塗装ロボットと、前記被塗装物における前記部材を前記本体から離間する方向に揺動させるためのオープナーロボットとを具備する塗装システムであって、
前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第1の変位機構と、
前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記オープナーロボットは、取付基部に設けられたアーム部を具備するとともに、前記アーム部は、回動可能な少なくとも3個のアーム部材を有し、
前記3個のアーム部材は、前記オープナーロボットの前記取付基部との取付面に対して平行に延在する少なくとも3個の回転軸を有することを特徴とする。
【0010】
例えば、前記特許文献2記載の従来技術では、その図1から諒解されるように、オープナーロボットにおけるアームを折り畳む(待機状態とする)軸は1個のみである。このため、塗装作業時にオープナーロボットのアーム部を塗装箇所から十分に離間させることができない。このため、アーム部に塗料が付着して汚れる懸念がある。
【0011】
また、オープナーロボットを移動させる際には、汚れることを回避するべくアーム部を折り畳んで(収縮させて)被塗装物との離間距離を十分に取る必要があるが、下段に配置された塗装ロボットに衝突させることなくアーム部を折り畳むためには、塗装ブースを大きくして内部空間を広大化しなければならない。
【0012】
これに対し、本発明によれば、上記のような構成とすることにより、塗装に適切な姿勢を塗装ロボットにとらせつつ、オープナーロボットを動作させて所定の部材を揺動させることができるようになる。オープナーロボットのアーム部材を適宜回動させることにより、オープナーロボットと塗装ロボットとが互いに干渉することを回避し得るからである。
【0013】
従って、オープナーロボットが作動している間、塗装ロボットを待機状態とする必要がない。このため、塗装ロボットの作業効率が向上するので、被塗装物に対して効率よく塗装を行うことができる。
【0014】
なお、アーム部材は、基端部側から先端に向かうに従って螺旋状に連結することが好ましい。この場合、待機状態・作動状態のいずれにおいてもアーム部が占める空間を狭小化することができる。このため、オープナーロボットの設置スペースを狭小化することができるとともに、作動状態にあるときに、基端部から被塗装物までの距離を小さくすることができる。これによりオープナーロボットの変位距離が短くなるので、オープナーロボットが変位する際に該オープナーロボットを案内するための案内部材の敷設寸法を短くすることもできる。
【0015】
その上、内部空間を広大化するために塗装ブースを大きくする必要もない。
【0016】
ただし、アーム部材が基端部側から先端に向かうに従って順次外方側の端面に連結されたものであっても特に差し支えはない。すなわち、本発明にはこの場合も含まれるものとする。
【0017】
この場合には、アーム部材が被塗装物から順次離間していくので、オープナーロボットが塗料によって汚れることを一層容易に回避することができるという利点がある。
【0018】
さらに、前記3個のアーム部材を基端部側から第1アーム部材、第2アーム部材及び第3アーム部材とするとき、第1アーム部材と前記取付基部との回転軸と、第2アーム部材と第3アーム部材との回転軸とを略同一直線上又は略同一平面上に配置することが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、塗装ロボットが作業中であっても、オープナーロボットが塗装ロボットを越えて移動することが可能となる。すなわち、オープナーロボットを移動させる際に塗装ロボットを待機状態とする必要がない。加えて、オープナーロボットが塗料によって汚れることを回避することも可能となる。
【0020】
以上の構成において、さらに、前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第1の案内部材に沿って変位させる第1の変位機構と、
前記ボンネット又は前記トランクに別タイミングで掛合する掛合部材を有する前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第2の案内部材に沿って変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とが高低差を設けて配置されることにより、前記オープナーロボットと前記塗装ロボットとが高低差を設けて配置されることが好ましい。
【0021】
この場合、オープナーロボットと塗装ロボットが互いに高低差を設けて設置しているため、互いが干渉することが一層容易に回避される。このため、オープナーロボットが作動している最中であっても、塗装ロボットが塗装に適切な姿勢となることが容易となる。これにより塗装ロボットの作業効率が向上することも、塗装効率の向上に寄与する。
【0022】
なお、本体としては四輪自動車の車体本体が例示され、この場合、揺動させるべき部材としてはボンネット及びトランクが挙げられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、オープナーロボットと塗装ロボットを変位させる変位機構を個別に設け、且つオープナーロボットを、回動可能な少なくとも3個のアーム部材をアーム部に具備するように構成しているので、互いが作動している最中に干渉することが回避される。このため、オープナーロボットが作動している間であっても、塗装ロボットが塗装に適切な姿勢となることが容易となるので、塗装ロボットを待機状態とし、被塗装物に対して効率よく塗装を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】塗装ステーションの概略要部斜視図
【図2】オープナーロボットの要部概略斜視図
【図3】オープナーロボットのフックの第2爪部がボンネットに掛合して開状態に揺動している状態を示す要部概略側面図
【図4】フックの第1爪部がトランクに近接した状態を示す要部概略側面図
【図5】オープナーロボットのアーム部が伸張して展開した状態を示す要部概略斜視図
【図6】フックで別車種のボンネット及びトランクを開状態に揺動したときの要部概略側面図
【図7】車体本体に連結されたボンネット及びトランクを、図3及び図4に示すフックで開状態に揺動したときの要部概略側面図
【図8】第1〜第3アーム部材が順次外方側に連結されたロボットの要部概略斜視図
【図9】図7のロボットを構成するアーム部が伸張して展開した状態を示す要部概略斜視図
【図10】図6及び図7に示す5軸ロボットで塗装システムを構成した場合の概略要部斜視図
【図11】別のオープナーロボットの要部概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る塗装システムにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る塗装システム10が設置された塗装ステーション11の概略一部斜視図である。この場合、塗装システム10は、四輪自動車の車体本体12(被塗装物)に対して塗装を行うためのものであり、4台の塗装ロボット14a〜14dと、1台のオープナーロボット16とを有する。
【0027】
車体本体12には、ボンネット18、トランク20及び4枚の乗員室ドア22が予め揺動可能に連結されている。なお、オープナーロボット16によって開状態とされるまでは、これらのドア18、20、22は閉状態にある。
【0028】
車体本体12は、図示しないコンベアによって図1における矢印A1方向に比較的低速で搬送される。換言すれば、車体本体12は、矢印A1方向に沿って緩やかに変位する。
【0029】
塗装システム10は、矢印A1及び矢印A2方向に沿って延在するとともに、互いに対向する2枚の壁24、26によって区画され、これにより形成された塗装ステーション11に配設されている。そして、前記壁24、26の各々の下方に第1案内レール28が敷設されるとともに、前記壁26の上方に第2案内レール30が敷設される。これら第1案内レール28及び第2案内レール30は、各々の延在方向が前記コンベアの延在方向に対して平行となるようにして、壁24、26ないし壁26に設けられている。
【0030】
このように、第1案内レール28が壁24、26の下方に敷設され、一方、第2案内レール30が壁26の上方に敷設される結果、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16との間には、高低差が存在するようになる。すなわち、この場合、オープナーロボット16は、塗装ロボット14a〜14dに比して高位置に設けられる。
【0031】
第1案内レール28には、塗装ロボット14a〜14dの各々が設けられた走行台車32が変位自在に係合されており、一方、第2案内レール30には、オープナーロボット16が設けられた走行台車34が変位自在に係合されている。これら走行台車32、34は、図示しない制御回路に電気的に接続されており、この制御回路の制御作用下に、第1案内レール28又は第2案内レール30に案内されながら矢印A1方向又は矢印A2方向に指向して変位する。すなわち、走行台車32及び前記制御回路は、塗装ロボット14a〜14dを変位させる第1の変位機構を構成し、走行台車34及び前記制御回路は、オープナーロボット16を変位させる第2の変位機構を構成する。
【0032】
塗装ロボット14a〜14dとしては、例えば、6軸ロボット等の公知の多関節ロボットが採用される。塗装ロボット14a〜14dのアーム部36の先端には、各々、塗装ガン38が配設され、この塗装ガン38を介して、ミスト状の塗料が車体本体12に噴霧される。
【0033】
各塗装ロボット14a〜14dには、4枚の乗員室ドア22のいずれかを車体本体12に対して揺動させるための図示しない開閉用治具が設けられる。すなわち、乗員室ドア22は、塗装ロボット14a〜14dによって揺動され、これにより開閉される。
【0034】
一方、図2に示すように、オープナーロボット16のアーム部40は、走行台車34に近接する取付基部41側から先端側にかけて、第1アーム部材42、第2アーム部材43、第3アーム部材44をこの順序で有する。勿論、これらアーム部材42、43、44は、個別に回動自在であり、且つ所定の角度で傾動した状態で停止することが可能である。
【0035】
具体的には、取付基部41と第1アーム部材42の間、第1アーム部材42と第2アーム部材43の間、第2アーム部材43と第3アーム部材44の間、第3アーム部材44とナット46(後述)の間には、それぞれ、第1関節部100、第2関節部102、第3関節部104、第4関節部106が設けられ、さらに、ナット46とフック48の間には第5関節部108が設けられる。これら第1関節部100、第2関節部102、第3関節部104、第4関節部106及び第5関節部108により、第1アーム部材42、第2アーム部材43、第3アーム部材44、ナット46及びフック48が水平方向に沿って延在する軸D1〜D4を回動中心として回動可能である。
【0036】
ここで、第1アーム部材42、第2アーム部材43、第3アーム部材44は、該アーム部材42、43、44によって螺旋形状をなすようにして、一端部同士が回動軸を介して連結されている。このため、オープナーロボット16が待機姿勢にあるときには、第1アーム部材42と第2アーム部材43との間に第3アーム部材44が収容される。この際、第1関節部100と第3関節部104は、軸D1と軸D3が略同一平面上となる程度に近接する。且つ、オープナーロボット16が塗装ロボット14a〜14dよりも上方に配設される場合には、軸D1、D3が軸D2、D4よりも下方に設けられることにより、アーム部40、特に第2アーム部材43が塗装ロボット14a〜14dに干渉することが回避される。
【0037】
第3アーム部材44には、該第3アーム部材44の延在方向と同一方向に延在するナット46が連結されている。図1に示すように、該ナット46には、掛合部材としてのフック48がナット46の延在方向に対して略直交する方向に指向するようにして取り付けられる。すなわち、フック48を構成する柱状部52(図3参照)はナット46を介して第5関節部108に連結されており、従って、第5関節部108が回転動作することに追従して回転する。
【0038】
図3に示すように、このフック48は略逆T字形状をなす。すなわち、この場合、フック48は、前記柱状部52の先端から分岐して互いに逆方向に延在する第1爪部54、第2爪部56を有する。これら第1爪部54及び第2爪部56は、柱状部52の延在方向に対して略直交する方向に延在する。なお、図2においては、フック48の図示を省略している。
【0039】
第1爪部54及び第2爪部56の先端には、柱状部52側に向かって突出した第1掛合部58、第2掛合部60がそれぞれ形成される。後述するように、ボンネット18は第2爪部56の第2掛合部60が掛合して開状態に揺動され(図3参照)、一方、トランク20は第1爪部54の第1掛合部58が掛合して開状態に揺動される(図4参照)。すなわち、フック48は、前記第5関節部108が軸D5を中心として所定角度で回転動作することに伴い、図3及び図4中の矢印方向に沿って揺動する。以上の動作については、後に詳述する。
【0040】
本実施の形態に係る塗装システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果について説明する。
【0041】
各種のドア18、20、22が連結された車体本体12が前記コンベアを介して搬送されると、オープナーロボット16は、先ず、閉状態にあるボンネット18を開状態とするべく動作する。
【0042】
具体的には、オープナーロボット16が図2に示す待機状態から作動し、これにより、図5に示すように、第1アーム部材42、第2アーム部材43及び第3アーム部材44が所定の回動動作を行うことに伴って、アーム部40が伸張した展開状態となる。この際、第2アーム部材43が第1アーム部材42及び第3アーム部材44よりもボンネット18から離間するようにアーム部40が配置される。このとき、フック48は、図3において仮想線で示すように、その第2爪部56がボンネット18から離間するように位置する。
【0043】
この状態で第5関節部108が回動され、これに追従してフック48が所定の角度でボンネット18側に向かって揺動動作する。その結果、図3に示すように、第2爪部56の第2掛合部60がボンネット18に掛合するに至る。
【0044】
このように、フック48を揺動動作させることにより、第2掛合部60を何らかの部材ないし部位に干渉させることなくボンネット18に掛合させることができる。
【0045】
ボンネット18が第2爪部56の第2掛合部60に掛合されたことが近接センサ(図示せず)で検知された後、オープナーロボット16のアーム部40が所定の動作を行い、これにより、図3に実線で示すように、ボンネット18が車体本体12から離間する方向に揺動される。すなわち、ボンネット18が開状態となる。
【0046】
この状態において、車体本体12の前方近傍に位置する2台の塗装ロボット14a、14b(図1参照)が作動し、ボンネット18に対して塗料を噴霧する。すなわち、2台の塗装ロボット14a、14bによってボンネット18に対する塗装が行われる。
【0047】
その一方で、車体本体12の後方近傍に位置する2台の塗装ロボット14c、14dが動作し、前記開閉用治具によって前方の2枚の乗員室ドア22を揺動させて開状態とする。塗装ロボット14c、14dは、さらに、この開状態となった2枚の乗員室ドア22(前方側)に対して塗料を噴霧する。
【0048】
上記したように、本実施の形態では、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16とが高低差を設けるようにして配置されている(図1参照)。しかも、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16は個別に案内されるので、互いの変位に制約を受けることがない。このため、ボンネット18を開状態として支持しているオープナーロボット16に対して塗装ロボット14a〜14dが干渉することが回避される。従って、塗装ロボット14a〜14dは、塗装に適切な姿勢をとることが容易となる。なお、この姿勢では、塗装ガン38がフック48の第1爪部54に近接する。すなわち、塗料は、第1爪部54側から車体本体12に向かって噴霧される。
【0049】
このため、塗装ロボット14a〜14dを待機させる必要は特にない。従って、塗装ロボット14a〜14dの作業効率が向上し、車体本体12に対する塗装を効率よく行うことができる。
【0050】
また、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16に高低差があるため、塗装時にオープナーロボット16に塗料が付着することが回避される。このため、オープナーロボット16が塗料によって汚れることが防止され、結局、オープナーロボット16を介して車体本体12に塗料が付着することも防止される。
【0051】
このようにして塗装が実施される間、車体本体12は、図1及び図3における矢印A1方向に沿って低速で搬送される。すなわち、変位する。この変位に追従し、塗装ロボット14a〜14d及びオープナーロボット16は、前記制御回路の制御作用下に、車体本体12の変位速度に対応する速度で変位する。勿論、この変位は、走行台車32、34を介して行われる。
【0052】
ボンネット18の塗装が終了すると、次に、アーム部40が所定の動作を行い、これによりボンネット18を車体本体12側に揺動させて閉止状態とする。この状態で、オープナーロボット16の第5関節部108が回動されることに伴い、フック48の柱状部52が所定の角度だけ回転動作される。これにより第2爪部56の第2掛合部60、ひいてはフック48がボンネット18から離脱する。また、アーム部40が収納状態となる。
【0053】
その一方で、2枚の乗員室ドア22(前方側)の塗装が終了する。塗装ロボット14c、14dは、前記開閉用治具によってこれらの乗員室ドア22を車体本体12側に揺動させ、閉止状態とする。
【0054】
その後、塗装ロボット14a〜14d及びオープナーロボット16は、速やかに、矢印A2方向に沿って所定の距離だけ戻るように変位する。この変位も、前記制御回路の制御作用下に、走行台車32、34を介して行われる。この変位の際に、例えば、オープナーロボット16が塗装ロボット14c、14dを追い越してもよい。
【0055】
本実施の形態では、オープナーロボット16の第3アーム部材44が第1アーム部材42と第2アーム部材43の間で伸張する。このため、車体本体12とオープナーロボット16との離間距離が小さくなるので、第2案内レール30の長手方向寸法を小さくすることができる。また、オープナーロボット16が、アーム部40の展開状態・収縮状態のいずれにおいてもコンパクトであるので、設置スペースを狭小化することも可能である。
【0056】
所定の位置まで戻ったオープナーロボット16は、トランク20を開状態とするべく、再度、アーム部40を伸張させる。ここで、アーム部40が伸張したときの第2アーム部材43と、閉状態にあるトランク20とは互いに略平行状態にある。従って、第3アーム部材44が第2アーム部材43に比してトランク20に近接するように配置されると、第3アーム部材44がトランク20に干渉する懸念があるが、本実施の形態では、図4に示すように、トランク20を開状態とする際には、第1アーム部材42及び第3アーム部材44が第2アーム部材43に比してトランク20から離間するように配置される。このため、第3アーム部材44がトランク20に干渉することが有効に回避される。
【0057】
同時に、フック48の第1爪部54の第1掛合部58がトランク20に近接する。このときも、第1爪部54及び第2爪部56は、図3と同様に、矢印A1、A2方向に対して所定の角度をなすように若干傾斜している(図4の仮想線参照)。
【0058】
そして、上記と同様に第5関節部108が所定の回転動作を行う。これに追従してフック48が所定角度で回転動作し、これにより、閉状態にあるトランク20に対して第1掛合部58が掛合する。
【0059】
このようにしてトランク20に第1爪部54の第1掛合部58が掛合したことが近接センサ(図示せず)で検知された後、オープナーロボット16のアーム部40が所定の動作を行う。その結果、トランク20が車体本体12から離間する方向に揺動され、図4に実線で示すように、該トランク20が開状態となる。
【0060】
以上から諒解されるように、本実施の形態においては、フック48が互いに相反する方向に延在する第1爪部54及び第2爪部56を有する。このため、1台のオープナーロボット16によってボンネット18及びトランク20の双方を開状態とすることが可能となる。
【0061】
トランク20が開放された状態において、後方側の塗装ロボット14c、14dが該トランク20に対して塗料を噴霧する。その一方で、前方側の塗装ロボット14a、14bは、後方側の2枚の乗員室ドア22を前記開閉用治具によって揺動させて開状態にした後、該2枚の乗員室ドア22に対して塗料を噴霧する。
【0062】
勿論、この際にも、上記と同様に、トランク20を開状態として支持しているオープナーロボット16に対して塗装ロボット14a〜14dが干渉することが回避されるので、塗装ロボット14a〜14dが塗装に適切な姿勢をとることが容易となる。なお、この際においては、塗装ガン38がフック48の第1爪部54に近接し、第1爪部54側から車体本体12に向かって塗料が噴霧される。
【0063】
従って、塗装ロボット14a〜14dを待機させる必要がないので、該塗装ロボット14a〜14dの作業効率が向上する。すなわち、車体本体12に対する塗装を効率よく行うことができる。
【0064】
また、オープナーロボット16が塗料によって汚れることが防止されるとともに、オープナーロボット16を介して車体本体12に塗料が付着することも防止される。
【0065】
その上、この工程では、第1アーム部材42及び第3アーム部材44が第2アーム部材43に比してトランク20から離間する位置に配される。従って、トランク20を略90°揺動する場合であっても、該トランク20と第1アーム部材42及び第3アーム部材44とが緩衝することを回避し得る。
【0066】
なお、この塗装作業が実施される間においても、車体本体12が図1及び図4における矢印A1方向に沿って低速で搬送されるとともに、塗装ロボット14a〜14d及びオープナーロボット16が車体本体12の変位速度に対応する速度で変位する。
【0067】
そして、トランク20及び後方の乗員室ドア22の塗装が終了すると、オープナーロボット16のアーム部40が所定の動作を行うことでトランク20を揺動させ、車体本体12に着座した閉状態とするとともに、塗装ロボット14a、14bが前記開閉用治具によって乗員室ドア22(後方側)を揺動させ、該乗員室ドア22を車体本体12に着座した閉状態とする。その後、車体本体12が塗装ステーション11から導出される。
【0068】
トランク20を閉状態としたオープナーロボット16のアーム部40は、その姿勢のまま、次に塗装ステーション11に搬送されてきた車体本体12のボンネット18を開状態とすることが可能である。すなわち、車体本体12の入替に伴ってアーム部40を収縮・展開させる必要は特にない。
【0069】
このことから諒解されるように、本実施の形態によれば、先行する車体本体12の塗装が終了した後、次の車体本体12に対する塗装を迅速に開始することができる。このため、単位時間あたりの塗装効率が向上する。
【0070】
以上の動作説明では、トランク20及びボンネット18を開状態とするために第5関節部108を回動させてフック48を揺動させる場合を例示しているが、例えば、第4関節部106を回動させ、これにより、トランク20又はボンネット18の車体進行方向に対して横方向からフック48を挿入し、その後、第5関節部108を回動してトランク20又はボンネット18を開状態とすることも可能である。
【0071】
なお、オープナーロボット16は、揺動方向が異なるドアであっても対応可能である。
【0072】
例えば、図6に示すように、トランク20をリアウィンドウ64から車体本体12の後方側に揺動するようにして開状態とする車種や、図7に示すように、ボンネット18をフロントウィンドウ66から車体本体12の前方側に揺動するようにして開状態とする車種も存在する。図6及び図7から容易に諒解されるように、上記したフック48を具備するオープナーロボット16によれば、これらの車種にも対応可能である。
【0073】
以上のように、本実施の形態によれば、1台のオープナーロボット16によって、開状態とするための揺動方向が異なる複数個のドアに対応することが可能となる。
【0074】
なお、オープナーロボット16のアーム部40は、図8及び図9に示すように、第1アーム部材42、第2アーム部材43及び第3アーム部材44が順次外方側に連結されて構成されたものであってもよい。
【0075】
この場合、車体本体12の所定の位置にフック62を配置させると、図10に示すように、オープナーロボット16a、16bの基端部が車体本体12に対して大きく離間する。また、アーム部40も車体本体12に対して離間距離が大きくなる。従って、オープナーロボット16a、16bが塗料によって汚れ難くなるという利点がある。ここで、図10は、塗装ステーションの左方側のみを示している。
【0076】
なお、この図10では、爪部が1個のみのフック62をオープナーロボット16a、16bに取り付けている。この場合には、爪部を掛合して揺動させることが可能なドアのみ開状態とすることができるが、他のドアを開状態とすることはできない。例えば、オープナーロボット16aのフック62aは、ボンネット18を開状態とすることは可能であるが、トランク20を開状態とすることは困難である。また、オープナーロボット16bのフック62bは、トランク20を開状態とすることは可能であるが、ボンネット18を開状態とすることは困難である。車体本体12の後方に向いたフック62aの爪部をトランク20に掛合することや、車体本体12の前方に向いたフック62bの爪部をボンネット18に掛合することは困難であるからである。
【0077】
従って、この場合には、オープナーロボット16a、16bの2台を設置することによって対処すればよい。
【0078】
上記した実施の形態においては、被塗装物として自動車の車体本体12を例示して説明したが、被塗装物は特にこれに限定されるものではなく、本体に対して揺動が可能となるように所定の部材が連結されたものであればよい。
【0079】
また、塗装ロボット14a〜14dとオープナーロボット16は、如何なる配置であってもよい。例えば、上記したようにオープナーロボット16を壁24又は壁26に走行台車34を介して配置する一方、塗装ロボット14a〜14dを塗装ステーション11の床上に走行台車32を介して変位自在に設置するようにしてもよい。又は、走行台車34を介してオープナーロボット16を塗装ステーション11の床上に配置するとともに、走行台車32を介して塗装ロボット14a〜14dを壁24、26に設置するようにしてもよい。
【0080】
さらに、オープナーロボット16は、図8及び図9に示すようなロボットであってもよい。すなわち、本発明には、図10に示されるような構成の塗装システムも含まれる。
【0081】
さらにまた、フック48に3個以上の爪部を設けるようにしてもよい。
【0082】
さらにまた、第4関節部106を回動不能(換言すれば、固定)としてもよい。
【0083】
そして、図11に示すように、第1アーム部材44と第2アーム部材43との間に第3アーム部材44が挿入されるような構成であってもよい。この場合、軸D1と軸D3は、同一直線上に位置する。
【符号の説明】
【0084】
10…塗装システム 11…塗装ステーション
12…車体本体 14a〜14d…塗装ロボット
16、16a、16b…オープナーロボット 18…ボンネット
20…トランク 22…乗員室ドア
24、26…壁 28、30…案内レール
32、34…走行台車 38…塗装ガン
40…アーム部 41…取付基部
42、43、44…アーム部材 48、62…フック
54、56…爪部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の部材が本体に対して揺動可能に連結されて構成される被塗装物を塗布するための塗装手段を有する塗装ロボットと、前記被塗装物における前記部材を前記本体から離間する方向に揺動させるためのオープナーロボットとを具備する塗装システムであって、
前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第1の変位機構と、
前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記オープナーロボットは、取付基部に設けられたアーム部を具備するとともに、前記アーム部は、回動可能な少なくとも3個のアーム部材を有し、
前記3個のアーム部材は、前記オープナーロボットの前記取付基部との取付面に対して平行に延在する少なくとも3個の回転軸を有することを特徴とする塗装システム。
【請求項2】
請求項1記載の塗装システムにおいて、前記アーム部材は、基端部側から先端に向かうに従って螺旋状に連結されていることを特徴とする塗装システム。
【請求項3】
請求項1記載の塗装システムにおいて、前記アーム部材は、基端部側から先端に向かうに従って順次外方側の端面に連結されていることを特徴とする塗装システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装システムにおいて、前記3個のアーム部材を基端部側から第1アーム部材、第2アーム部材及び第3アーム部材とするとき、前記第1アーム部材と前記取付基部との回転軸と、前記第2アーム部材と前記第3アーム部材との回転軸とが略同一直線上又は略同一平面上に配置されることを特徴とする塗装システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装システムにおいて、さらに、前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第1の案内部材に沿って変位させる第1の変位機構と、
前記ボンネット又は前記トランクに別タイミングで掛合する掛合部材を有する前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第2の案内部材に沿って変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とが高低差を設けて配置されることにより、前記オープナーロボットと前記塗装ロボットとが高低差を設けて配置されることを特徴とする塗装システム。
【請求項1】
複数個の部材が本体に対して揺動可能に連結されて構成される被塗装物を塗布するための塗装手段を有する塗装ロボットと、前記被塗装物における前記部材を前記本体から離間する方向に揺動させるためのオープナーロボットとを具備する塗装システムであって、
前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第1の変位機構と、
前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記オープナーロボットは、取付基部に設けられたアーム部を具備するとともに、前記アーム部は、回動可能な少なくとも3個のアーム部材を有し、
前記3個のアーム部材は、前記オープナーロボットの前記取付基部との取付面に対して平行に延在する少なくとも3個の回転軸を有することを特徴とする塗装システム。
【請求項2】
請求項1記載の塗装システムにおいて、前記アーム部材は、基端部側から先端に向かうに従って螺旋状に連結されていることを特徴とする塗装システム。
【請求項3】
請求項1記載の塗装システムにおいて、前記アーム部材は、基端部側から先端に向かうに従って順次外方側の端面に連結されていることを特徴とする塗装システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装システムにおいて、前記3個のアーム部材を基端部側から第1アーム部材、第2アーム部材及び第3アーム部材とするとき、前記第1アーム部材と前記取付基部との回転軸と、前記第2アーム部材と前記第3アーム部材との回転軸とが略同一直線上又は略同一平面上に配置されることを特徴とする塗装システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装システムにおいて、さらに、前記塗装ロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第1の案内部材に沿って変位させる第1の変位機構と、
前記ボンネット又は前記トランクに別タイミングで掛合する掛合部材を有する前記オープナーロボットを、変位する前記被塗装物に追従させて第2の案内部材に沿って変位させる第2の変位機構と、
を備え、
前記第1の案内部材と前記第2の案内部材とが高低差を設けて配置されることにより、前記オープナーロボットと前記塗装ロボットとが高低差を設けて配置されることを特徴とする塗装システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−98299(P2011−98299A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255006(P2009−255006)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】
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