説明

外観画像検査システム及び外観画像検査装置

【課題】連続撮影の際の照明条件の切り替えを好適に行うこと。
【解決手段】外観画像検査システム1は、カメラ2と照明5,6とを備え、照明5,6の照明条件を切り替えつつカメラ2による連続撮影を行う外観画像検査システム1であって、カメラ2の露光終了タイミングに応じて、照明条件の切り替えを開始する。これにより、露光終了タイミングに応じて照明条件を切り替えることができるので、好適な照明条件の切り替えのために利用可能な期間をフル活用することができる。したがって、連続撮影の際の照明条件の切り替えを好適に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外観画像検査システム及び外観画像検査装置に関し、特に複数の照明条件を有する外観画像検査システム及び外観画像検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、電子部品、コネクタなどの外観画像検査には外観画像検査システムが用いられる。外観画像検査では、赤色照明と青色照明など複数種の照明条件の下での検査を求められる場合があり、そのような場合、外観画像検査システムは、照明条件を切り替えながら被検査体の撮影を行えるように構成される。
【0003】
照明条件の切り替えは手動で行うものもあるが、近年は被検査体を高速(例えば30フレーム/秒又は60フレーム/秒)で連続撮影しつつ、1ショットごとに照明条件を切り替えるようにしているものが登場している。
【0004】
特許文献1には、このような外観画像検査システムの例が開示されている。この例では、被検査体の撮影を行うのは、ラインクロックに従って1ラインずつ撮影を行うラインセンサ(カメラの一種)である。被検査体上方には2種のリングライトが用意されており、これらがラインクロックに同期し、1ラインおきに交互に点灯するよう構成される(特許文献1の図2参照。)。したがって、ラインセンサからは、異なるリングライトの下で撮影されたライン画像が交互に出力されることになる。
【0005】
また、特許文献2には、微小物体などを拡大して表示する拡大観察装置が開示されている。この例による拡大観察装置は、画像を連続撮影しつつ、撮影の間に照明条件を自動で切り替える機能を有している。
【特許文献1】特開平11−295050号公報
【特許文献2】特開2004−153462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される外観画像検査システムでは、ラインクロックの立ち上がりタイミングで照明を点灯させる。照明は、一般に、点灯してから光量が安定するまで一定時間(例えば2msec程度)を要するため、カメラの露光開始時点で、未だ光量が不安定という事態が生ずることがあった。
【0007】
これに対し、例えば特許文献2に開示される発明のように、撮影の間に照明条件を自動で切り替えるようにすることも考えられるが、高速で連続撮影している間にタイミング良く照明条件を切り替えるのは困難であるという問題があった。その結果として、結局、カメラの露光開始時点で、照明の光量が未だ不安定という事態が生ずることがあった。
【0008】
したがって、本発明の目的のひとつは、連続撮影の際の照明条件の切り替えを好適に行える外観画像検査システム及び外観画像検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明による外観画像検査システムは、カメラと少なくとも1つの照明とを備え、前記少なくとも1つの照明の照明条件を切り替えつつ前記カメラによる連続撮影を行う外観画像検査システムであって、前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記照明条件の切り替えを開始することを特徴とする。
【0010】
カメラの露光は露光開始タイミングから露光終了タイミングまでの間に行われることになるので、露光終了タイミングから次の露光開始タイミングまでの期間が、好適な照明条件の切り替えのために利用可能な全期間である。本発明によれば、露光終了タイミングに応じて照明条件を切り替えることができるので、好適な照明条件の切り替えのために利用可能な期間をフル活用することができる。したがって、連続撮影の際の照明条件の切り替えを好適に行える。
【0011】
また、上記外観画像検査システムにおいて、前記カメラに対し、露光期間を指示する露光信号を出力する画像取込制御手段と、前記露光信号により示される前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記照明条件の切り替えを行う照明制御手段とをさらに備えることとしてもよい。これによれば、照明制御手段は、露光信号からカメラの露光終了タイミングを知ることができる。
【0012】
また、上記外観画像検査システムにおいて、前記カメラの撮影結果に基づいて調光データを生成する調光比較演算制御手段をさらに備え、前記照明制御手段は、前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記少なくとも1つの照明に対して前記調光データを示す照明制御信号を出力し、前記少なくとも1つの照明は、前記照明制御信号により示される調光データに基づいて調光を行うこととしてもよい。これによれば、連続撮影しながら、撮影結果に基づく調光を行うことができるようになる。
【0013】
また、上記外観画像検査システムにおいて、前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果の明るさ情報ヒストグラムから得られる明るさ統計情報と、予め登録された明るさ統計情報とに基づき、前記調光データを生成することとしてもよい。これによれば、カメラによる撮影結果の明るさを、所望の明るさに近づけることができる。
【0014】
また、上記各外観画像検査システムにおいて、前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果に基づいて露光時間データを生成し、前記画像取込制御手段は、前記露光時間データに基づいて前記露光信号を生成し、前記カメラに対して出力することとしてもよい。これによれば、露光時間の調節により撮影結果の明るさを調節できる。
【0015】
また、上記外観画像検査システムにおいて、前記調光比較演算制御手段は、前記少なくとも1つの照明の調光データが最大値又は最小値となっている場合に、前記露光時間データを生成することとしてもよい。これによれば、照明の調光による明るさの調節が限界となっている場合に、露光時間を延ばす又は縮めることによって撮影結果をさらに明るく又は暗くすることが可能になる。
【0016】
また、上記外観画像検査システムにおいて、前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果に基づいてピントデータを生成し、前記画像取込制御手段は、前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記カメラに対して前記ピントデータを示すピント制御信号を送信し、前記カメラは、前記ピント制御信号により示されるピントデータに基づいてピント制御を行うこととしてもよい。これによれば、露光終了タイミングから次の露光開始タイミングまでの期間をフル活用して、カメラのピントを制御することが可能になる。
【0017】
また、上記外観画像検査システムにおいて、前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果の明るさ微分情報ヒストグラムから得られる明るさ微分統計情報と、予め登録された明るさ微分統計情報とに基づき、前記ピントデータを生成することとしてもよい。これによれば、カメラのピントを、所望のピントに近づけることができる。
【0018】
また、本発明による外観画像検査装置は、カメラと少なくとも1つの照明とに接続され、前記少なくとも1つの照明の照明条件を切り替えつつ前記カメラによる連続撮影を行う外観画像検査装置であって、前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記照明条件の切り替えを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、露光終了タイミングに応じて照明条件を切り替えることができるので、好適な照明条件の切り替えのために利用可能な期間をフル活用することができる。したがって、連続撮影の際の照明条件の切り替えを好適に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態による外観画像検査システム1のシステム構成を示す図である。同図に示すように、外観画像検査システム1は、カメラ(エリアカメラ)2、コンピュータ(外観画像検査装置)3、表示装置4、赤色リングライト5、青色リングライト6、照明装置7,8を備えている。なお、これらのうち照明装置7と赤色リングライト5とは連携して赤色照明として機能し、照明装置8と青色リングライト6とは連携して青色照明として機能する。
【0022】
この外観画像検査システム1は、ベルトコンベア11上に配置された被検査体(ワーク)12の外観画像検査を行うものである。被検査体12の例としては、半導体チップ、電子部品、コネクタ等が挙げられる。ベルトコンベア11は所定の時間間隔で移動と停止を繰り返すよう構成されている。ベルトコンベア11上には多数の被検査体12が並べられており、ベルトコンベア11が上記のような繰り返し動作を行うことにより、各被検査体12が1つずつカメラ2の撮像視野内に入り、そこで所定時間停止した後、撮像視野内から出ていく。
【0023】
コンピュータ3は、カメラ2及び各照明の制御を行うとともに、カメラ2が出力する画像データを表示装置4に表示させる機能を有する。コンピュータ3はベルトコンベア11と連携しており、被検査体12がカメラ2の撮像視野内に入ったタイミングで、まず赤色リングライト5を点灯させ、その状態でカメラ2に撮影させる。次に、青色リングライト6に切り替えて、その状態で再度カメラ2に撮影させる。コンピュータ3は、1つの被検査体12がカメラ2の撮像視野内にいる間に、以上のような赤色照明点灯、撮影、青色照明点灯、撮影の処理を所定回数にわたって繰り返し行い、その都度、得られた画像データにより表示装置4の表示を更新する。
【0024】
なお、本実施の形態では、表示装置4に画像データを表示する際、図1に示すように、照明ごとに異なる表示エリアを用いるようにしている。つまり、コンピュータ3は、赤色照明点灯時に撮影された画像データで一方の表示エリアを更新し、青色照明点灯時に撮影された画像データで他方の表示エリアを更新する。このような表示を行うことにより、人間の目には、同じ被検査体12を異なる照明の下で撮影した2つの動画データが、同時に並列表示されているように見えることになる。
【0025】
カメラ2はコンピュータ3の制御に従って被検査体12を撮影し、撮影結果としての画像データをコンピュータ3に出力する。
【0026】
照明装置7,8は、コンピュータ3の制御に従い、対応するリングライトの点灯消灯制御を行う。また、各リングライトは光量を調節可能に構成されており、照明装置7,8は各リングライトの調光も行う。この調光もコンピュータ3の制御に従って行われる(後述)。
【0027】
以下、コンピュータ3の機能ブロック図を参照しながら、コンピュータ3の機能について詳しく説明する。
【0028】
図2は、コンピュータ3の機能ブロック図である。同図に示すように、コンピュータ3は、照明制御部111、画像取込制御部112、調光比較演算制御部113、画像表示制御部114、画像メモリ115を含んで構成される。
【0029】
照明制御部111は、赤色照明と青色照明の点灯消灯制御及び調光制御を行う。具体的には、照明装置7又は照明装置8に対して、点灯又は消灯を指示するデータと、対応するリングライトの調光データ(光量を示すデータ)とを含む照明制御信号を出力する。照明装置7,8は、この照明制御信号の入力を受け付けると、その中に含まれる上記各データに基づいて、対応するリングライトの点灯消灯制御及び調光を行う。
【0030】
画像取込制御部112は、コンピュータ3に取り付けられたキャプチャボード(不図示)によって実現される機能部であり、カメラ2を制御して撮影を行わせる。具体的には、画像取込制御部112は、カメラ2の露光期間を示す露光信号(ハイ又はローの2値信号)を生成し、カメラ2に対して出力している。この露光信号は、ローからハイに変化するタイミングにより露光開始タイミングを示し、ハイからローに変化するタイミングにより露光終了タイミングを示す信号である。したがって、画像取込制御部112は、カメラ2に露光を開始させるとき、露光信号をローからハイに変化させ、露光を終了させるとき、露光信号をハイからローに変化させる。
【0031】
また、画像取込制御部112は、画像データ取込中であることを示す取込完了信号(ハイ又はローの2値信号)も生成しており、こちらは画像表示制御部114に対して出力している。画像取込制御部112は、露光信号をハイにしたタイミング(露光開始タイミング)で、取込完了信号もハイにする。
【0032】
カメラ2は、露光信号がハイとなったことに応答して露光を開始し、露光信号がローとなったことに応答して露光を停止する。露光を停止した後には、露光により得られた画像データを、1ビットずつ画像取込制御部112に転送する。画像取込制御部112は、転送されてきた画像データを画像メモリ115に記憶させていく。1枚の画像データを記憶し終わった段階で、画像取込制御部112は取込完了信号をローにする。取込完了信号がローに変化すると、画像表示制御部114は画像メモリ115から画像データの取得を開始し、表示装置4に出力する。以上の処理の結果として、表示装置4には図1に示すような画像が表示されることになる。
【0033】
調光比較演算制御部113は、画像取込制御部112が画像メモリ115に記憶させた画像データに基づいて調光データを生成する機能を有する。生成した調光データは、照明制御部111に出力される。
【0034】
ここから、照明の切り替え及びその際の調光処理について詳しく説明していく。なお、以下の説明では、コンピュータ3の処理フロー図及びコンピュータ3内外で用いられる信号のタイミングチャートも参照しながら説明していくことにする。
【0035】
図3は、コンピュータ3の処理フロー図である。また、図4は、コンピュータ3内外で用いられる信号のタイミングチャートである。図4には照明制御信号、露光信号、取込完了信号の3つを示している。なお、図4中の[赤色照明点灯]及び[青色照明点灯]がハイとなっている期間は、それぞれ赤色照明及び青色照明が点灯している期間を示している。
【0036】
まず初めに、照明制御部111は、最初の照明パターン(赤色照明点灯、青色照明消灯)で照明を点灯させるための照明制御信号(図4の照明制御信号(0))を生成し、照明装置7,8に対して出力する(ステップS1)。これにより、赤色リングライト5が点灯し、青色リングライト6が消灯することになる。この処理は、被検査体12がカメラ2の撮像視野内に入る前に予め行われる。前の被検査体12がある場合には、その被検査体12についての最後の露光が完了したタイミングで行うようにすることが好適である。
【0037】
画像取込制御部112は、被検査体12がカメラ2の撮像視野内に入って停止したタイミング(図4の時刻t)で露光信号(図4の露光信号(1))及び取込完了信号(図4の取込完了信号(1))をハイにする(ステップS11)。これにより、カメラ2は露光を開始する。なお、このとき、図4に示すように、赤色リングライト5が点灯し、青色リングライト6は消灯している。
【0038】
画像取込制御部112は、所定の露光時間が経過したタイミング(図4の時刻t)で露光信号(図4の露光信号(1))をローにして露光を完了させ(ステップS12)、カメラ2から出力される画像データの取り込み(画像メモリ115への記憶)を開始する(ステップS13)。そして、取り込みが完了したタイミング(図4の時刻t)で、取込完了信号をローにする(ステップS14)。画像表示制御部114は、取込完了信号がローとなったことに応じて、画像メモリ115に記憶された画像データを表示装置4に表示させる(ステップS15)。画像取込制御部112及び画像表示制御部114は、以上のステップS11〜S15の処理を、所定回数にわたり繰り返す。
【0039】
照明制御部111は、画像取込制御部112がカメラ2に対して出力している露光信号を監視しており、露光信号がローとなったことを受けて(露光終了タイミングに応じて)、次の照明パターン(赤色照明と青色照明の点灯消灯を入れ替えた照明パターン)に切り替えるための照明制御信号(図4の照明制御信号(1)及び照明制御信号(2))を生成し、照明装置7,8に対して出力する(ステップS2)。このような処理の結果、赤色照明点灯下での撮影と青色照明点灯下での撮影とが繰り返し行われることになる。
【0040】
調光比較演算制御部113は、取込完了信号がローとなったタイミングで、画像メモリ115に記憶された画像データを読み出す(ステップS21)。そして、読み出した画像データのヒストグラム演算を行う(ステップS22)。ここでいうヒストグラムは、明るさ(離散値)ごとに、その明るさの画素数を積算したもの(明るさ情報ヒストグラム)である。調光比較演算制御部113は、ステップS22の演算により、読み出した画像データの明るさ統計情報(明るさの平均値A及び最大出現度数(出現度数が最大である明るさの出現度数)B)を求める。
【0041】
ここで、調光比較演算制御部113には、ユーザにより、予め明るさ統計情報が登録されている。調光比較演算制御部113は、この登録されている明るさ統計情報と、ステップS22で求めた明るさ統計情報とを比較する(ステップS23)。そして、比較の結果、これらが一致すると判定した場合には処理を終了し、一致しないと判定した場合には調光データを生成する(ステップS24)。
【0042】
調光比較演算制御部113による上記処理について、より詳しく説明しておく。ユーザによって前もって登録された明るさ統計情報を平均値A及び最大出現度数Bとすると、調光比較演算制御部113は、平均値A<平均値A及び最大出現度数B<最大出現度数Bのいずれか少なくとも一方が満たされるか否かを判定し、肯定的な判定結果を得たとき、それまでより1段階アップした光量を示す調光データを生成する。否定的な判定結果を得た場合には、さらに平均値A>平均値A及び最大出現度数B>最大出現度数Bのいずれか少なくとも一方が満たされるか否かを判定する。そして、肯定的な判定結果を得たとき、それまでより1段階ダウンした光量を示す調光データを生成する。否定的な判定結果を得た場合には調光データの生成を行わない。
【0043】
なお、装置の設置環境等により、画像データから取得される明るさ統計情報は多少変動するため、登録された明るさ統計情報との誤差がある程度以下である場合には調光データを生成しないようにしてもよい。そうすれば、画像データの明るさが頻繁に変わることを防止できる。
【0044】
以上のようにして生成された調光データは、調光比較演算制御部113から照明制御部111に出力される。照明制御部111は、入力された調光データを一時記憶する。そして、赤色照明点灯時に撮影された画像データを用いて生成された調光データについては、次に赤色照明を点灯させる際に出力する照明制御信号に含めて、照明装置7に対して出力する(ステップS2)。同様に、青色照明点灯時に撮影された画像データを用いて生成された調光データについては、次に青色照明を点灯させる際に出力する照明制御信号に含めて、照明装置8に対して出力する(ステップS2)。これにより、調光比較演算制御部113により生成された調光データに従って、赤色リングライト5及び青色リングライト6の光量が制御されることになる。
【0045】
以上説明したように、外観画像検査システム1によれば、カメラ2の露光終了タイミングに応じて照明条件を切り替えることができるので、好適な照明条件の切り替えのために利用可能な期間をフル活用することができる。したがって、不安定な照明の下でカメラ2の露光が行われることになる可能性を最小化できるので、連続撮影の際の照明条件の切り替えを好適に行えることになる。
【0046】
また、照明を切り替える際に、それ以前に撮影された画像データに基づく調光を行うことが可能になっている。しかも、この調光は、画像データの明るさ統計情報が、予め登録された明るさ統計情報に近づくように行うことができるので、照明を切り替えながら連続撮影を行う際、画像データの明るさを所望の明るさに近づけることができるようになる。
【0047】
また、照明制御部111は、画像取込制御部112がカメラ2に対して出力する露光信号から、カメラ2の露光終了タイミングを知ることがができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0049】
例えば、画像取込制御部112は、調光比較演算制御部113の指示に従ってカメラ2の露光時間を適宜制御することとしてもよい。以下、詳しく説明する。
【0050】
図5は、コンピュータ3の処理フロー図である。同図に示すように、この変形例では、調光比較演算制御部113は、ステップS23の判定処理において不一致との判定結果を得た場合に、ステップS24で調光データを生成する前に、そもそも調光により対応可能か否か(画像データの明るさ統計情報を登録されている明るさ登録情報に近づけることができるか否か)を判定する(ステップS25)。つまり、各リングライトの光量を無限に制御することは不可能であり、調光データには最大値と最小値がある。調光データが既に最大値となっているときには、それ以上リングライトの光量を上げることはできず、そのような場合にはステップS25の判定結果は不可能となる。また、調光データが既に最小値となっているときには、それ以上リングライトの光量を下げることはできず、そのような場合にもステップS25の判定結果は不可能となる。これら以外の場合には、ステップS25の判定結果は可能となる。
【0051】
ステップS25の判定結果が可能であった場合の処理は、上記実施の形態で説明したとおりである。一方、ステップS25の判定結果が不可能であった場合、調光比較演算制御部113はカメラ2の露光時間データを生成する(ステップS26)。具体的には、照明の光量をさらにアップさせる必要があるときには、それまでの露光時間より所定割合(例えば5%。)長い露光時間を示す露光時間データを生成する。一方、照明の光量をさらにダウンさせる必要があるときには、それまでの露光時間より所定割合(例えば5%。)短い露光時間を示す露光時間データを生成する。
【0052】
こうして生成された露光時間データは、調光比較演算制御部113から画像取込制御部112に出力される。画像取込制御部112は、入力された露光時間データを一時記憶する。そして、赤色照明点灯時に撮影された画像データを用いて生成された露光時間データについては、次に赤色照明を点灯させる際の露光信号に反映させる。同様に、青色照明点灯時に撮影された画像データを用いて生成された露光時間データについては、次に青色照明を点灯させる際の露光信号に反映させる。これにより、調光比較演算制御部113により生成された露光時間データに従って、カメラ2の露光時間が制御されることになる。
【0053】
以上説明したように、この変形例によれば、照明の調光による明るさの調節が限界となっている場合に、露光時間を延ばす又は縮めることによって撮影結果をさらに明るく又は暗くすることが可能になる。なお、露光時間が初期値に比べてあまりにも長くなった場合(所定の限界値を超えた場合)には、ベルトコンベア11を止め、検査を中断することが好ましい。照明の寿命が到来している可能性があるからである。
【0054】
また、画像取込制御部112は、調光比較演算制御部113の指示に従ってカメラ2のピントを適宜制御することとしてもよい。以下、詳しく説明する。
【0055】
図5は、コンピュータ3の処理フロー図である。なお、同図では、上記実施の形態で説明した照明の切り替え及び調光にかかる処理(S1〜S2、S22〜S26)の図示を省略している。
【0056】
図5に示すように、この変形例では、調光比較演算制御部113は、ステップS21で読み出した画像データのヒストグラム演算を行う(ステップS27)。ここでいうヒストグラムは、ステップS21で行ったヒストグラム演算とは異なり、明るさの微分値(離散値)ごとに、その微分値の画素数を積算したもの(明るさ微分情報ヒストグラム)である。調光比較演算制御部113は、ステップS27の演算により、読み出した画像データの明るさ微分統計情報(微分値の平均値C及び最大出現度数(出現度数が最大である微分値の出現度数)D)を求める。
【0057】
ここで、調光比較演算制御部113には、ユーザにより、予め明るさ微分統計情報が登録されている。調光比較演算制御部113は、この登録されている明るさ微分統計情報と、ステップS27で求めた明るさ統計情報とを比較する(ステップS28)。この比較処理の詳細はステップS23での処理と同様である。比較の結果、これらが一致すると判定した場合には処理を終了し、一致しないと判定した場合にはピントデータを生成する(ステップS29)。
【0058】
以上のようにして生成されたピントデータは、調光比較演算制御部113から画像取込制御部112に出力される。画像取込制御部112は、入力されたピントデータを一時記憶する。そして、露光信号をローとしたタイミング(露光終了タイミング)で、一時記憶しておいたピントデータを含むピント制御信号をカメラ2に対して出力する。カメラ2は、このピント制御信号の入力を受け付けると、その中に含まれるピントデータに基づいて自身のピントを制御する。こうしてカメラ2のピントが制御され、その結果、撮影結果としての画像データの明るさ微分統計情報は、登録された明るさ微分統計情報に近づくことになる。
【0059】
他にも、上記実施の形態では、照明制御部111は照明色を切り替えたが、本発明は照明色を切り替える場合に限られるものではなく、例えば照明の光量を切り替える場合にも適用できる。なお、このように切り替えの対象が光量である場合には、上記実施の形態のように2つの照明を用いる必要は必ずしもなく、1つだけ照明を用意し、その光量を切り替えるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態による外観画像検査システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態によるコンピュータ(外観画像検査装置)の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態によるコンピュータ(外観画像検査装置)の処理フロー図である。
【図4】本発明の実施の形態によるコンピュータ(外観画像検査装置)内外で用いられる信号のタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の変形例によるコンピュータ(外観画像検査装置)の処理フロー図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例によるコンピュータ(外観画像検査装置)の処理フロー図である。
【符号の説明】
【0061】
1 外観画像検査システム
2 カメラ
3 コンピュータ(外観画像検査装置)
4 表示装置
5 赤色リングライト
6 青色リングライト
7,8 照明装置
11 ベルトコンベア
12 被検査体
111 照明制御部
112 画像取込制御部
113 調光比較演算制御部
114 画像表示制御部
115 画像メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと少なくとも1つの照明とを備え、前記少なくとも1つの照明の照明条件を切り替えつつ前記カメラによる連続撮影を行う外観画像検査システムであって、
前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記照明条件の切り替えを開始することを特徴とする外観画像検査システム。
【請求項2】
前記カメラに対し、露光期間を指示する露光信号を出力する画像取込制御手段と、
前記露光信号により示される前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記照明条件の切り替えを行う照明制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の外観画像検査システム。
【請求項3】
前記カメラの撮影結果に基づいて調光データを生成する調光比較演算制御手段をさらに備え、
前記照明制御手段は、前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記少なくとも1つの照明に対して前記調光データを示す照明制御信号を出力し、
前記少なくとも1つの照明は、前記照明制御信号により示される調光データに基づいて調光を行うことを特徴とする請求項2に記載の外観画像検査システム。
【請求項4】
前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果の明るさ情報ヒストグラムから得られる明るさ統計情報と、予め登録された明るさ統計情報とに基づき、前記調光データを生成することを特徴とする請求項3に記載の外観画像検査システム。
【請求項5】
前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果に基づいて露光時間データを生成し、
前記画像取込制御手段は、前記露光時間データに基づいて前記露光信号を生成し、前記カメラに対して出力することを特徴とする請求項3又は4に記載の外観画像検査システム。
【請求項6】
前記調光比較演算制御手段は、前記少なくとも1つの照明の調光データが最大値又は最小値となっている場合に、前記露光時間データを生成することを特徴とする請求項5に記載の外観画像検査システム。
【請求項7】
前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果に基づいてピントデータを生成し、
前記画像取込制御手段は、前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記カメラに対して前記ピントデータを示すピント制御信号を送信し、
前記カメラは、前記ピント制御信号により示されるピントデータに基づいてピント制御を行うことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の外観画像検査システム。
【請求項8】
前記調光比較演算制御手段は、前記カメラの撮影結果の明るさ微分情報ヒストグラムから得られる明るさ微分統計情報と、予め登録された明るさ微分統計情報とに基づき、前記ピントデータを生成することを特徴とする請求項7に記載の外観画像検査システム。
【請求項9】
カメラと少なくとも1つの照明とに接続され、前記少なくとも1つの照明の照明条件を切り替えつつ前記カメラによる連続撮影を行う外観画像検査装置であって、
前記カメラの露光終了タイミングに応じて、前記照明条件の切り替えを行うことを特徴とする外観画像検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−8098(P2010−8098A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164866(P2008−164866)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(505361093)ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】