説明

多関節搬送装置及びそれを用いた半導体製造装置

【課題】各モータの同期動作を容易に制御できると共に、省配線化及び小型化を実現できる多関節搬送装置を提供する。
【解決手段】複数のアーム22・・52が互いに関節を介して回転可能に連結され、前記関節に設置された複数のダイレクトドライブ方式のモータ210・・510を有し、該複数の各モータの駆動により前記各アームを回転させて最後の前記アームに搭載した被搬送体を搬送する多関節搬送装置において、前記各モータの制御に必要な電気信号を光信号に変換して伝達する制御装置111と、前記光信号を電気信号に変換すると共に電気信号を光信号に変換する信号変換器21・・41と、前記制御装置からの前記光信号を前記信号変換器に伝達する光通信手段113と、該信号変換器によって変換された前記電気信号によって前記各モータを駆動すると共に前記モータからの前記電気信号に基づいて前記各モータの駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス装置に用いられる半導体製造装置又は、検査装置に用いられる新規な多関節搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置又は、検査装置に使用される多関節搬送装置は、ベルトで関節をリンクさせて各関節の駆動を行う駆動方式(特許文献1)や、各関節を独立したモータで直接駆動するダイレクトドライブ方式(特許文献2、特許文献3)があるが、動作の自由度の面から見ればダイレクトドライブ方式が有効である。
【0003】
ダイレクトドライブ方式では各関節のモータを駆動するための駆動電源及び制御用電気信号を数多く各関節に設置されたモータに伝達し、それぞれのモータの制御を行う必要があり、特許文献2のように、各アームに専用の制御回路を有して各モータを制御する装置や、特許文献3のようにスリップリングを介して動作に必要な全ての電気信号を伝達するものなどがある。
【0004】
特許文献4には、圧縮空気によって回転駆動する1本の旋回コラムに接続された複数本のアームを有し、各アームにおけるワークのハンド動作、回転動作、傾斜させるチルト動作の多関節機能を光データ通信によって制御するマルチアーム旋回型多関節ロボットが示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−96480号公報
【特許文献2】特開2003−103490号公報
【特許文献3】特開2003−1178775公報
【特許文献4】特開平5−31685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2及び3の従来の各関節を独立したモータで直接駆動するダイレクトドライブ方式では、各関節を動作させるモータの駆動電源及びモータの位置制御を行うための制御用電気信号を数多く各関節に設置したモータに伝達する必要がある。一般的にモータ駆動電源及び制御用電気信号の伝達には、回転しながら電源や電気信号を直接伝達できるスリップリング等の機構を各関節に装備し、制御装置と各関節部のモータとの間の電気信号を伝達する方法がとられているが、伝達する信号数が多くなるとスリップリング等の信号伝達機構が大型のものになるのと同時に、各モータに対して約10本と多くの配線が必要となるだけでなく、その配線が複雑となり搬送装置全体が大型化し、その小型化が難しい。
【0007】
また、少配線化するためにモータ毎に専用の制御回路を有して制御する手法もとられるが、この場合には各制御回路が各関節の位置情報を交換する必要があり位置制御が難しくなる。
【0008】
又、特許文献4においては、1体の旋回コラムに接続されたマルチアーム旋回型ロボットであり、複数のアームが互いに関節を介して回転可能に連結される多関節搬送装置は示されていない。
【0009】
本発明の目的は、各関節を独立した複数のモータで直接駆動するダイレクトドライブ方式とし、モータの制御用電気信号を伝達するために光信号を使用することで、各モータの同期動作を容易に制御できると共に、少配線化及び小型化を実現できる多関節搬送装置及びそれを用いた半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、各関節を駆動するモータの制御に必要な複数の電気信号を光信号に変換し、各関節部に設置した光カップリングを介して通信伝達し、それらの光信号を各関節部に設置した信号変換器で電気信号に復元し、復元された電気信号でモータ制御を行うことを特徴とする。また、モータ駆動電源など直接配線が必要な電気信号はスリップリングによって伝達し、更に、各関節を駆動するモータは中空型のものを用いて、光カップリングからの光信号ケーブル及びスリップリングからの電線を通す構造とするものである。
【0011】
即ち、本発明は、複数のアームが互いに関節を介して回転可能に連結され、前記関節に設置された複数のモータを有し、該複数の各モータの駆動により前記各アームを回転させて最後の前記アームに搭載した被搬送体を搬送する多関節搬送装置において、前記各モータの制御に必要な電気信号を光信号に変換して伝達する制御装置と、前記光信号を電気信号に変換すると共に電気信号を光信号に変換する信号変換器と、前記制御装置からの前記光信号を前記信号変換器に伝達する光通信手段と、該信号変換器によって変換された前記電気信号によって前記各モータを駆動すると共に前記モータからの前記電気信号に基づいて前記各モータの駆動を制御することを特徴とする。
【0012】
前記各モータは中空型モータ回転軸を有し、前記各アームは前記中空型モータ回転軸の内周面に固定された中空型回転軸に固定され、該中空型回転軸の回転によって回転する。前記制御装置からの前記各モータへの必要な電気信号は、光カップリングを介して光信号によって伝達される。
【0013】
前記光カップリングは、前記中空型回転軸の内周面に固定された回転部分と該回転部分に光伝達が可能に形成された固定部分とを有し、前記回転部分と固定部分とは前記回転部分が回転しながら光通信可能な機構を有する。
【0014】
前記制御装置と前記光カップリングとの間、及び、前記光カップリングと前記信号変換器との間、及び前記信号変換器と前記光カップリングとの間はいずれも光ファイバーによって接続されている。
【0015】
前記制御装置からの前記各モータの駆動電源及び直接配線に必要な電気信号は、前記各アームの前記関節に設けられたスリップリングによって伝達される。
【0016】
前記スリップリングは、前記中空型回転軸の外周面に固定された回転部分と該回転部分に摺動接触する固定部分とを有し、前記回転部分が回転しながら前記固定部分からの電気の伝達が行われる。
【0017】
前記信号変換器は、前記制御装置からの前記光信号を前記電気信号に変換すると共に、前記モータに設けられた回転位置検出用のエンコーダからの電気信号を光信号に変換する。
【0018】
前記各アームは、箱体で構成され、互いに前記中空型モータ回転軸を介して端部同士が回転可能に連結されると共に、前記各アームには最終段を除き、前記光通信手段、前記信号変換器、前記光カップリング及び前記スリップリングが前記箱体の内部に収納され、2〜5の複数体を有する。
【0019】
前記制御装置と前記スリップリングとの間及び前記スリップリングと前記信号変換器との間に前記モータを駆動するモータ駆動中継ケーブルを有し、又、前記制御装置と前記モータとの間及び前記信号変換器と前記モータとの間に前記モータを駆動するモータ駆動ケーブルを有する。前記中空型回転軸は、前記光ファイバー及び前記モータ駆動中継ケーブルを通す構造を有する。
【0020】
本発明は、基板の中心位置及び設定位置を調整するアライメント装置と、前記調整された前記基板を大気状態と真空状態の間において受け渡しするロードロック装置と、該ロードロック装置にて前記真空状態になった前記基板を処理する処理装置と、前記基板を前記アライメント装置と前記ロードロック装置とに搬送する搬送ロボットとを有する半導体製造装置において、前記搬送ロボットが前述に記載の多関節搬送装置より成ることを特徴とする。
【0021】
又、本発明は、基板を大気状態と真空状態の間において受け渡しすると共に基板の中心位置及び設定位置を調整するアライメント機構を有するロードロック装置と、該ロードロック装置にて前記アライメントされ前記真空状態になった前記基板を処理する処理装置と、前記基板を前記ロードロック装置に搬送する搬送ロボットとを有する半導体製造装置において、前記搬送ロボットが前述に記載の多関節搬送装置より成ることを特徴とする。
【0022】
前記ウェーハを搭載し搬送する前記搬送ロボットは、前記ウェーハの中心位置情報の提供を受け、前記ウェーハの中心を合わせた状態の前記ウェーハを前記ロードロック装置へ搬送することが可能である。
【0023】
前記ロードロック装置でのアライメント後の前記ウェーハを前記ウェーハ処理装置へ搬送する真空ロボットは、前記ウェーハの中心位置情報の提供を受け、前記ウェーハの中心を合わせた状態の前記ウェーハを前記ウェーハ処理装置へ搬送することが可能である。
【0024】
以上の構造により、複数の電気信号を光通信で伝達することができ、大幅な少配線化及び小型化を実現可能としたものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、多関節搬送装置として各関節を独立したモータで直接駆動するダイレクトドライブ方式とし、モータの制御用電気信号を光信号に変換して伝達することで、各モータの同期動作を容易に制御できると共に、少配線化及び小型化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
IC・LSIなどの半導体基板を製造する半導体製造装置は、ウェーハに露光、現像、検査等の各処理を施すために多数の処理装置を使用する必要がある。各処理装置ではそれぞれの装置にウェーハを順次搬送し、装置内で処理が行われる。
【0027】
図1はウェーハ処理装置にウェーハを順次搬送し、ウェーハを処理する半導体製造装置の全体を示す平面図である。図1に示すように、ウェーハ7に各処理を行うためのウェーハ処理装置1には、真空領域と大気領域を繰り返すロードロック装置2が1つ又は2つ以上設けられる。ロードロック装置2には搬送ロボット5によってウェーハ7が搬送されるが、この搬送ロボット5は前後左右上下方向に移動が可能な複数のアーム6を有しており、アーム6の先端部でウェーハ7を保持できる構造となっている。また、搬送ロボット5はウェーハ7をウェーハカセット4より取り出し、搬送ロボット5の動作範囲の中にあるウェーハアライメント装置3へ搬送される。
【0028】
ウェーハアライメント装置3は、ウェーハ搭載手段11に載置されたウェーハ7の向きを大気中にて調整するものであり、ウェーハ7に設けられたVノッチ又はオリフラを光学式や機械式の検出器10によって回転駆動部12によって回転しながら検出し、ウェーハ7の位置が設定される。この半導体製造装置においては、ウェーハ7は所定の角度で各処理装置へ搬送されなければならない。もし、違った角度でウェーハ7が搬送されると、誤った位置に処理がされてしまうことになる。
【0029】
図1に示すように、大気中にてノッチアライメントを行うには、先ず、カセット4から搬送ロボット5によってウェーハ7を取り出し、ウェーハアライメント装置3へ搬送を行う。ウェーハアライメント装置3ではノッチアライメントを行い、その完了後、搬送ロボット5が常時真空であるウェーハ処理装置1へ入れるために、真空領域と大気領域を繰り返すロードロック装置2へ搬送を行う。ロードロック装置2ではウェーハ7をウェーハ搭載手段11に搭載後、ロードロック装置2に設置されているゲートバルブ13を閉じ、所定の圧力まで真空引きを行い、その後、ウェーハ処理装置1側のゲートバルブ13を開き、ウェーハ処理装置1へウェーハ7の搬送が行なわれる。
【0030】
ウェーハカセット4は1つ又は2つ以上を有し、ウェーハ7を25枚収納することが出来、各処理装置へ運ぶ際や保管する場合に使用する。
【0031】
本実施例では、2台のロードロック装置2を設置することにより、一方のロードロック装置2からウェーハ7がウェーハ処理装置1に搬送されて処理されている間に次のロードロック装置2ではウェーハ7のアライメントの処理が行われる。ウェーハ処理装置1で処理されたウェーハ7はロードロック装置2に戻され、大気状態にした後別の工程に移送されると同時にロードロック装置2で別のウェーハ7のアライメントの処理が完了し、ウェーハ処理装置1に搬送され、処理が行われる。従って、アライメントの処理の待ち時間無く順次処理することができる。
【0032】
図2は、図1の搬送ロボットに関る本発明の多関節搬送装置の上面外観図、図3は図2の側面断面図である。図2に示すように、筐体110に第一アーム22が取り付けられ、第一アーム22は第一回転軸23を中心に水平回転する。第一アーム22には第二アーム32が取り付けられ、第二回転軸33を中心に水平回転する。同様に第二アーム32には第三アーム42、第三アーム42には第四アーム52が取り付けられ、それぞれ第三回転軸43及び第四回転軸53を中心に水平回転するように取り付けられる。第四アーム52には把持ハンド56が取り付けられており、把持ハンド50によってワーク(図示していない)を把持して所定の位置に搬送可能となっている。各アームは、図2に示すように、箱型であり、その関節部について以下図3によって説明する。
【0033】
第一モータ210は、筐体110に固定され、第一モータ210の回転部分24は中空型回転軸からなる第一回転軸23と固定される。これにより第一モータ210による中空型モータ回転軸の回転動作するのと同期して第一回転軸23も回転して第一アーム222が回転する。
【0034】
第二モータ310は第一アーム22に固定され、第二モータ310の回転部分34は中空型回転軸からなる第二回転軸33と固定される。これにより第二モータ310による中空型モータ回転軸の回転動作するのと同期して第二回転軸33も回転して第二アーム32が回転する。
【0035】
第三モータ410は第二アーム32に固定され、第三モータ410の回転部分44は中空型回転軸からなる第三回転軸43と固定される。これにより第三モータ410による中空型モータ回転軸の回転動作するのと同期して第三回転軸43も回転して第三アーム42が回転する。
【0036】
第四モータ510は第三アーム42に固定され、第四モータ510の回転部分54は中空型回転軸からなる第四回転軸53と固定される。これにより第四モータ510による中空型モータ回転軸の回転動作するのと同期して第四回転軸53も回転して第四アーム52が回転する。
【0037】
第一回転軸23には第一スリップリング118の回転部分25が固定され、第一スリップリング118の固定部分26は筐体110に固定されている。第一スリップリング118は回転しながら電気信号及び電力を直接伝達できる機構である。又、第一回転軸23には第一光カップリング117が設置され、第一光カップリング117の固定部分28は筐体110に固定され、回転部分27は第一回転軸23と固定さる。第一回転軸23の回転と同期して第一光カップリング117の回転部分27も回転する。第一光カップリング117は回転しながら光信号を伝達できる機構を有している。
【0038】
第二回転軸33には第二スリップリング218の回転部分35が固定され、第二スリップリング218の固定部分36は第一アーム22に固定されている。第二スリップリング218は回転しながら電気信号及び電力を直接伝達できる。又、第二回転軸33には第二光カップリング217が設置され、第二光カップリング217の固定部分38は第一アーム22に固定され、回転部分37は第二回転軸33に固定さる。第二回転軸33の回転と同期して第二光カップリング217の回転部分37も回転する。第二光カップリング217は回転しながら光信号を伝達できる機構を有している。
【0039】
第三回転軸43には第三スリップリング318の回転部分45が固定され、第三スリップリング318の固定部分46は第二アーム32に固定されている。第三スリップリング318は回転しながら電気信号及び電力を直接伝達できる。又、第三回転軸43には第三光カップリング317が設置され、第三光カップリング317の固定部分48は第二アーム32に固定され、回転部分47は第三回転軸43に固定さる。第三回転軸43の回転と同期して第三光カップリング317の回転部分47も回転する。第三光カップリング317は回転しながら光信号を伝達できる機構を有している。
【0040】
第四回転軸53には第四スリップリング418の回転部分55が固定され、第四スリップリング418の固定部分56は第三アーム42に固定されている。第四スリップリング418は回転しながら電気信号及び電力を直接伝達できる。
【0041】
第一アーム22の関節部には、第一モータ210、第一スリップリング118、第一光カップリング117、第一回転軸23を有し、第一モータ210の回転動作に同期して第一アーム22が回転する機構となる。そして、第一アーム22内には、モータ駆動中継ケーブル212、光ファイバ213及び第一信号変換器21が設置されている。モータ駆動中継ケーブル212及び光ファイバ213は第一信号変換器21と接続される。第一信号変換器21からは、第二モータ駆動ケーブル215、モータ駆動中継ケーブル214、光ファイバ216が配される。第二モータ駆動ケーブル215は第二モータ310に接続されて第二モータ310を駆動する。モータ駆動中継ケーブル214は第二スリップリング218を介してモータ駆動中継ケーブル312に接続される。光ファイバ216は第二光カップリング217を介して光ファイバ313に光信号を伝達する。
【0042】
第二アーム32の関節部には、第二モータ310、第二スリップリング218、第二光カップリング217、第二回転軸33を有し、第二モータ310の回転動作に同期して第二アーム32が回転する機構となる。そして、第二アーム32内には、モータ駆動中継ケーブル312、光ファイバ313及び第二信号変換器31が設置されている。モータ駆動中継ケーブル312及び光ファイバ313は第二信号変換器31と接続される。第二信号変換器31からは、第三モータ駆動ケーブル315、モータ駆動中継ケーブル314、光ファイバ316が配される。第三モータ駆動ケーブル315は第三モータ410に接続されて第三モータ410を駆動する。モータ駆動中継ケーブル314は第三スリップリング318を介してモータ駆動中継ケーブル412に接続される。光ファイバ316は第三光カップリング317を介して光ファイバ413に光信号を伝達する。
【0043】
第三アーム42の関節部には、第三モータ410、第三スリップリング318、第三光カップリング317、第三回転軸43を有し、第三モータ410の回転動作に同期して第三アーム42が回転する機構となる。そして、第三アーム42内には、モータ駆動中継ケーブル412、光ファイバ413及び第三信号変換器41が設置されている。モータ駆動中継ケーブル412及び光ファイバ413は第三信号変換器41と接続される。第三信号変換器41からは、第三モータ駆動ケーブル415、モータ駆動中継ケーブル414が配される。第三モータ駆動ケーブル415は第四モータ510に接続されて第四モータ510を駆動する。モータ駆動中継ケーブル414は第四スリップリング418を介して接続される。
【0044】
第四アーム52の関節部には、第四モータ510、第四スリップリング418、第四回転軸53を有し、第四モータ510の回転動作に同期して第四アーム52が回転する機構となる。そして、第四アーム52内には、モータ駆動中継ケーブル415に接続された第四モータ510が設置される。モータ駆動中継ケーブル415に接続されて第四モータ510が駆動される。
【0045】
制御装置111からは、光ファイバ113、モータ駆動中継ケーブル114、第一モータ駆動ケーブル115が配される。光ファイバ113は第一光カップリング117を介して第一回転軸23に設けられた貫通孔を通して第一アーム22内に設置される光ファイバ213に光信号が伝達される。
【0046】
モータ駆動中継ケーブル114は、第一スリップリング118を介して第一回転軸23に設けられた貫通孔を通して第一アーム22内に設置されるモータ駆動中継ケーブル212に電気信号及び電力を直接伝達する。第一モータ駆動ケーブル115は第一モータ210に接続され、第一モータ210の駆動信号を伝達する。
【0047】
第一モータ210は、制御装置111から出力される駆動電源及び制御用の電気信号により第一モータ駆動中継ケーブル115を介して駆動される。また、第一モータ210に内臓するエンコーダから出力される位置情報などの電気信号を制御装置111に伝達してその出力信号に基づいて制御することが出来る。
【0048】
第二モータ310は、制御装置111から出力される制御用の電気信号を光信号に変換し、回転しながら光信号伝達可能な第一光カップリング117を介して光伝送し、第一信号変換器21により復元された電気信号により第二モータ310を制御する。また、第二モータ310に内臓するエンコーダから出力される位置情報などの電気信号を第一信号変換器21により光信号に変換し、制御装置111まで伝達して電気信号に復元することで第二モータ310からの出力信号を制御装置111によって制御することが出来る。
【0049】
第三モータ410は、制御装置111から出力する制御用の電気信号を光信号に変換し、回転しながら光信号伝達可能な第一光カップリング117及び第一信号変換器21を通し、更に回転しながら光信号伝達可能な第二光カップリング217を介して光伝送し、第二信号変換器31により復元された電気信号により第三モータ410を制御する。また、第三モータ410から出力される位置情報などの電気信号を第二信号変換器31により光信号に変換し、制御装置111まで伝達して電気信号に復元することで第三モータ410からの出力信号を制御装置111によって制御することが出来る。
【0050】
第四モータ510は、制御装置111から出力する制御用の電気信号を光信号に変換し、回転しながら光信号伝達可能な第一光カップリング117、第一信号変換器21を通し、更に回転しながら光信号伝達可能な第二光カップリング217、第二信号変換器31を通し、更に、回転しながらでも光信号伝達可能な第三光カップリング317を介して光伝送し、第三信号変換器41により復元された電気信号により第四モータ510を制御する。また、第四モータ510から出力される位置情報などの電気信号を第三信号変換器41により光信号に変換し、制御装置111まで伝達して電気信号に復元することで第四モータ510からの出力信号を制御装置111によって制御することが出来る。
【0051】
以上のように、本実施例においては、第二アームから第四アームに対して制御装置111から各関節の駆動モータの制御に必要な複数の電気信号を光信号に変換し、各関節部に設置した光カップリングを介して通信伝達し、それらの光信号を各関節部に設置した信号変換器で電気信号に復元し、復元された電気信号でモータ制御を行うと共に、モータ駆動電源など直接配線が必要な電気信号はスリップリングによる伝達する手段をとる。各関節を駆動する駆動モータは中空型のものを用いて、光カップリングからの光信号ケーブル及びスリップリングからの電線を通す構造である。尚、各モータへの制御信号は光信号に変換して行われるが、その光信号は特定の異なる各波長によって行われる。
【0052】
以上、本実施例によれば、各関節を独立したモータで直接駆動するダイレクトドライブ方式とし、モータ駆動電源を除く殆ど全てのモータの制御用電気信号を光通信に変換して伝達することで、モータ制御を行うための電気信号の伝達機構を小さくできるため、少配線化及び小型化が実現でき、更に、1つの制御装置から各モータを制御するため、各モータへの制御信号を同時に送信できるので各モータの同期動作を容易に制御できる多関節搬送装置が得られ、半導体製造装置においてスループットの向上が図られる。
【実施例1】
【0053】
本実施例においては、実施例1のウェーハアライメント装置3に代えて、ウェーハ7を大気状態と真空状態の間において受け渡しすると共にウェーハ7の中心位置及び設定位置を調整するアライメント機構を有するロードロック装置を用いることができる。このロードロック装置を用いることにより、アライメントされ真空状態になったウェーハ7を処理するウェーハ処理装置と、ウェーハ7をロードロック装置に搬送する搬送ロボットとを有する半導体製造装置とすることができる。本実施例のロードロック装置は真空チャンバの外にウェーハ7の向きを示す切り欠き又はオリフラを検出するセンサとその光源を設けることによりチャンバ内の内容積を少なくでき、大気状態から真空状態にする際にその減圧操作を初期には緩やかに行い、所定の減圧後により真空排気の高い装置によって排気しながらウェーハ7の向きを調整することができる。
【0054】
更に、本実施例における多関節搬送装置を用いた搬送ロボットは、ウェーハ7の中心位置情報の制御機構を有し、その情報の提供を受け、ウェーハ7の中心を合わせた状態としてロードロック装置へ搬送することが可能である。このロードロック装置でのアライメント後のウェーハ7をウェーハ処理装置へ搬送する真空ロボットも、ウェーハ7の中心位置情報の制御機構を有し、その情報の提供を受け、その中心を合わせた状態でウェーハ処理装置へ搬送することが可能である。
【0055】
本実施例においても、実施例1と同様に、モータの制御用電気信号を光通信に変換して伝達することで、モータ制御を行うための電気信号の伝達機構を小さくできるため、少配線化及び小型化が実現でき、更に、1つの制御装置から各モータを制御するため、各モータへの制御信号を同時に送信できるので各モータの同期動作を容易に制御できるので、半導体製造装置においてより高いスループットの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】半導体製造装置本発明に係る多関節搬送装置を搬送ロボットに用いた半導体製造装置の平面図である。
【図2】本発明の多関節搬送装置の上面図である。
【図3】図2の多関節搬送装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1…ウェーハ処理装置、2…ロードロック装置、3…ウェーハアライメント装置、4…ウェーハカセット、5…搬送ロボット、6…アーム、7…ウェーハ、22…第一アーム、32…第二アーム、42…第三アーム、52…第四アーム、23…第一回転軸、33…第二回転軸、43…第三回転軸、53…第四回転軸、21…第一信号変換器、31…第二信号変換器、41…第三信号変換器、50…把持ハンド、51…第四信号変換器、110…筐体、111…制御装置、113、213、313、413、216、316、416…光ファイバ、114、214、314、414、212、312、412…モータ駆動中継ケーブル、115…第一モータ駆動ケーブル、117…第一光カップリング、118…第一スリップリング、210…第一モータ、215…第二モータ駆動ケーブル、217…第二光カップリング、218…第二スリップリング、310…第二モータ、312…モータ駆動中継ケーブル、315…第三モータ駆動ケーブル、317…第三光カップリング、318…第三スリップリング、410…第三モータ、415…第四モータ駆動ケーブル、417…第四光カップリング、418…第四スリップリング、510…第四モータ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアームが互いに関節を介して回転可能に連結され、前記関節に設置された複数のモータを有し、該複数の各モータの駆動により前記各アームを回転させて最後の前記アームに搭載した被搬送体を搬送する多関節搬送装置において、前記各モータの制御に必要な電気信号を光信号に変換して伝達する制御装置と、前記光信号を電気信号に変換すると共に電気信号を光信号に変換する信号変換器と、前記制御装置からの前記光信号を前記信号変換器に伝達する光通信手段と、該信号変換器によって変換された前記電気信号によって前記各モータを駆動すると共に前記モータからの前記電気信号に基づいて前記各モータの駆動を制御することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、前記各モータは中空型モータ回転軸を有し、前記各アームは前記中空型モータ回転軸の内周面に固定された中空型回転軸に固定され、該中空型回転軸の回転によって前記各アームが回転することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記制御装置からの前記各モータへの必要な電気信号は、光カップリングを介して光信号によって伝達することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項4】
請求項3において、前記光カップリングは、前記中空型回転軸の内周面に固定された回転部分と該回転部分に光伝達が可能に形成された固定部分とを有し、前記回転部分と固定部分とは前記回転部分が回転しながら光通信可能な機構を有することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記制御装置と前記光カップリングとの間、及び、前記光カップリングと前記信号変換器との間、及び前記信号変換器と前記光カップリングとの間がいずれも光ファイバーによって接続されていることを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記制御装置からの前記各モータの駆動電源及び直接配線に必要な電気信号は、前記各アームの前記関節に設けられたスリップリングによって伝達されることを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項7】
請求項6において、前記スリップリングは、前記中空型回転軸の外周面に固定された回転部分と該回転部分に摺動接触する固定部分とを有し、前記回転部分が回転しながら前記固定部分からの電気の伝達が得られることを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかにおいて、前記信号変換器は、前記制御装置からの前記光信号を前記電気信号に変換すると共に、前記モータに設けられた回転位置検出用のエンコーダからの電気信号を光信号に変換することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、前記各アームは、箱体で構成され、互いに前記中空型モータ回転軸を介して端部同士が回転可能に連結されると共に、前記各アームには最終段を除き、前記光通信手段、前記信号変換器、前記光カップリング及び前記スリップリングが前記箱体の内部に収納されていることを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、前記制御装置と前記スリップリングとの間及び前記スリップリングと前記信号変換器との間に前記モータを駆動するモータ駆動中継ケーブルを有し、前記制御装置と前記モータとの間及び前記信号変換器と前記モータとの間に前記モータを駆動するモータ駆動ケーブルを有することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項11】
請求項10において、前記中空型回転軸は、前記光ファイバー及び前記モータ駆動中継ケーブルを通す構造を有することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかにおいて、前記アームは、2〜5の複数体を有することを特徴とする多関節搬送装置。
【請求項13】
基板の中心位置及び設定位置を調整するアライメント装置と、前記調整された前記基板を大気状態と真空状態の間において受け渡しするロードロック装置と、該ロードロック装置にて前記真空状態になった前記基板を処理する処理装置と、前記基板を前記アライメント装置と前記ロードロック装置とに搬送する搬送ロボットとを有する半導体製造装置において、前記搬送ロボットが請求項1〜12のいずれかに記載の多関節搬送装置より成ることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項14】
基板を大気状態と真空状態の間において受け渡しすると共に基板の中心位置及び設定位置を調整するアライメント機構を有するロードロック装置と、該ロードロック装置にて前記アライメントされ前記真空状態になった前記基板を処理する処理装置と、前記基板を前記ロードロック装置に搬送する搬送ロボットとを有する半導体製造装置において、前記搬送ロボットが請求項1〜12のいずれかに記載の多関節搬送装置より成ることを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−38360(P2007−38360A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226619(P2005−226619)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】