説明

実装構造体及び実装構造体の製造方法

【課題】電子部品を実装した後、レジスト部材を形成する際の製造マージンが大きい実装
構造体及びそのような実装構造体の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシルブル配線基板に、電子部品を実装した実装構造体およびその製造
方法において、フレキシルブル配線基板の一方の面を実装面とし、他方の面を配線面とし
たときに、実装面には、ブラインドビア等の有底の穴を介して電子部品を実装するための
実装用電気パッドを有し、当該実装用電気パッドには、少なくとも一対を単位として、一
つの電子部品が実装してあり、一対の実装用電気パッドが、複数組設けてあるとともに、
少なくとも一対の実装用電気パッドにまたがって、レジスト部材の非形成領域を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装構造体及び実装構造体の製造方法に関する。特に、電子部品等の実装後
におけるレジスト部材の製造マージンが大きい実装構造体及びそのような実装構造体の製
造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気光学装置の一態様である液晶表示装置として、それぞれ表面に電極を備える
とともに、シール材を介して対向配置された一対の基板と、当該一対の基板の間であって
シール材の内側領域に狭持された液晶と、を備えた液晶表示装置が多用されている。
また、かかる液晶表示装置は、一方の基板のうち他方の基板から張出した領域(以下、
基板張出部と称する。)を有するとともに、それぞれの基板上の電極に対して電圧を供給
するための配線パターンが形成されている。
また、液晶表示装置の基板張出部において、いわゆるCOG(Chip on Glass)技術に
より半導体素子が実装されるとともに、電気部品が実装されたフレキシルブル配線基板が
電気接続されている。
そして、このようなフレキシブル基板を有効利用すべく、図17に示すように、両面に
形成された回路素子間において、適切なアライメントが保たれた導電性ビアホール(バイ
ア)を作成する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−208901号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されたフレキシルブル配線基板は、電子部品を実装し
た後のレジスト部材との関係を何ら考慮しておらず、図18(a)〜(b)に示すように
、レジスト部材393gの製造マージンが少ないという問題があった。
したがって、フレキシルブル配線基板に形成する実装用電気パッドや電気配線のピッチ
を高精細化することが困難であったり、レジスト部材の位置ズレの影響を受けやすかった
りするという問題が見られた。よって、図19に示すように、かかるフレキシルブル配線
基板393に、電子部品302を実装した場合、ショートが発生したり、導通不良が発生
したりするなどの問題が見られた。
さらには、図18(a)〜(b)に示すように、レジスト部材393gのエッジに起因
した応力集中が生じやすく、実装用電気パッド393hと、外部電源等を電気接続する接
続部393aとの間で、断線しやすいという問題も見られた。
【0004】
そこで、本発明の発明者らは鋭意努力し、フレキシルブル配線基板の両面を、フレキシ
ブル配線基板の層間を電気的に接続する有底の穴(例えば、ブラインドビア)を介して電
子部品を実装するための実装面と、電子部品に電気信号を伝達等するための配線面とに分
けるとともに、実装面に設けた一対の実装用電気パッドにまたがって、レジスト部材の非
形成領域を設けることにより、このような問題を解決できることを見出し、本発明を完成
させたものである。
すなわち、本発明は、フレキシルブル配線基板の有効活用が図られるとともに、電子部
品を実装した後のレジスト部材の製造マージンが大きい実装構造体及びそのような実装構
造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、フレキシルブル配線基板に、フレキシブル配線基板の層間を電気的に
接続する有底の穴を介して電子部品を実装した実装構造体において、フレキシルブル配線
基板の一方の面を実装面とし、他方の面を配線面としたときに、実装面には、電子部品を
実装するための実装用電気パッドを有し、当該実装用電気パッドには、少なくとも一対を
単位として、電子部品が実装してあり、一対の実装用電気パッドが、複数組設けてあると
ともに、少なくとも一対の実装用電気パッドにまたがって、レジスト部材(第1のレジス
ト部材と称する場合がある。)の非形成領域が設けてあることを特徴とする実装構造体が
提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、所定のレジスト部材によって被覆された実装構造体において、フレキシルブ
ル配線基板の両面を実装面と、配線面とに分けて、フレキシブル配線基板の層間を電気的
に接続する有底の穴を介して、電気的接続をとることにより、フレキシルブル配線基板の
有効活用が図られるとともに、電子部品のピッチを高精細化したとしても、ショートの発
生を抑制しつつ、電子部品を確実に実装することができる。
また、電子部品を実装するための実装用電気パッドにまたがって、所定のレジスト部材
の非形成領域を設けることにより、実装用電気パッドの大きさや電子部品のピッチをある
程度考慮するだけで、電子部品を実装した後、電気絶縁用のレジスト部材を形成する際の
製造マージンを大きくとることができる。
【0006】
また、本発明の実装構造体を構成するにあたり、実装用電気パッドは、表面に凹部を有
していることが好ましい。
このように構成することによって、実装する電子部品と、実装用電気パッドとの間の接
触面積を大きくすることができる。また、かかる凹部を位置合わせの目印等にすることが
できる。例えば、電子部品を実装した後に、かかる凹部が認識された場合、電子部品の実
装位置が所定位置からずれていると判断することができる。
【0007】
また、本発明の実装構造体を構成するにあたり、一対の実装用電気パッドの全領域に対
応して、レジスト部材の非形成領域が設けてあり、一対の実装用電気パッドの全領域が、
外部に露出していることが好ましい。
このように実装用電気パッドの全領域の周囲に、レジスト部材(第1のレジスト部材)
を形成することによって、レジスト部材の位置ずれ問題が少なくなって、レジスト部材の
端部と、実装用電気パッドとの間の距離を所定幅だけ確保することがさらに容易となる。
【0008】
また、本発明の実装構造体を構成するにあたり、実装用電気パッドの端部と、レジスト
部材の端部との間の直線距離を100〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することによって、実装用電気パッドや電気配線の高精細化と、レジス
ト部材(第1のレジスト部材)を形成する際のマージンを大きくすること、とのバランス
をさらに良好なものとすることができる。
【0009】
また、本発明の実装構造体を構成するにあたり、レジスト部材の非形成領域が、フレキ
シルブル配線基板の実装面全体に設けてあることが好ましい。
このように構成することによって、実装面にはレジスト部材(第1のレジスト部材)を
形成する必要がなくなるため、製造時の形成位置に関して、実装用電気パッドとの間の距
離を所定値以上にしなければならないという問題を完全に回避することができる。
一方で、電気配線については、配線面においてレジスト部材(第2のレジスト部材と称
する場合がある。)によって保護されることから問題なく、また、実装された電子部品に
おける周囲の環境条件(温度、湿度等)を調整すること等によって、実装面において、レ
ジスト部材(第1のレジスト部材)が存在しないことの不利益を十分回避することができ
る。
【0010】
また、本発明の実装構造体を構成するにあたり、フレキシルブル配線基板の配線面全体
に、レジスト部材(第2のレジスト部材)が設けてあることが好ましい。
このように構成することによって、配線面におけるレジスト部材(第2のレジスト部材
)の形成を容易にすることができる。
また、配線面全体に、レジスト部材(第2のレジスト部材)が設けてあることにより、
フレキシルブル配線基板全体を保護する効果が発揮され、実装面において、レジスト部材
(第1のレジスト部材)が存在しないことの機械的強度や耐熱性の低下等の不利益を十分
カバーすることができる。
【0011】
また、本発明の実装構造体を構成するにあたり、実装用電気パッドおよび電気配線が、
複数組設けてあるとともに、当該複数の実装用電気パッドと、複数の電気配線とを、交差
配線していることが好ましい。
このように構成することによって、電気配線の配置や長さ等の設計の自由度、および実
装用電気パッドにおける設計の自由度を高めることができる。
【0012】
また、本発明の実装構造体を構成するにあたり、実装用電気パッドと、電子部品とが、
半田ボールを介して、実装してあることが好ましい。
このように構成することによって、汎用性の高い接続部材を使用して、電子部品を安価
かつ、確実に実装することができる。
【0013】
また、本発明の別の態様は、フレキシルブル配線基板の一方の面を実装面とし、他方の
面を配線面としたときに、当該フレキシルブル配線基板に、電子部品を実装した実装構造
体の製造方法において、配線面に、電気配線を形成する工程と、実装面に、電子部品を実
装するための実装用電気パッドであって、当該実装用電気パッドの一対を単位として、複
数組の実装用電気パッドを形成する工程と、少なくとも一対の実装用電気パッドと、電気
配線とを、フレキシブル配線基板の層間を電気的に接続する有底の穴により電気的接続す
る工程と、少なくとも一対の実装用電気パッドにまたがって、レジスト部材の非形成領域
を設ける工程と、を含むことを特徴とする実装構造体の製造方法である。
すなわち、所定のレジスト部材によって被覆された実装構造体の製造方法において、フ
レキシルブル配線基板の両面を実装面と、配線面とに分けて、所定の実装構造体を製造す
ることにより、電子部品等のピッチが高精細化したとしても、ショートの発生を抑制しつ
つ、確実に実装することができる。
また、実装面において、電子部品を実装する実装用電気パッドにまたがって、レジスト
部材(第1のレジスト部材)の非形成領域が設けてあることにより、実装用電気パッドの
大きさや電子部品のピッチをある程度考慮するだけで、レジスト部材(第1のレジスト部
材)の製造マージンを大きくとることがでる。ひいては、実装用電気パッドや電気配線の
ピッチを高精細化にも資することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の所定のレジスト部材(第1のレジスト部材および第2
のレジスト部材)によって被覆された実装構造体及びそのような実装構造体の製造方法に
関する実施形態について、具体的に説明する。
ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するも
のではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0015】
[第1実施形態]
第1実施形態は、図1(a)〜(b)に示すように、フレキシルブル配線基板93に、
層間を電気的に接続する有底の穴(以下、ブラインドビアと称する場合がある。)93h
´を介して電子部品102を実装した実装構造体100において、図2(a)に示すよう
に、フレキシルブル配線基板93の一方の面を実装面とし、他方の面を配線面としたとき
に、実装面には、電子部品を実装するための実装用電気パッド93hを有し、当該実装用
電気パッド93hには、少なくとも一対を単位として、電子部品(図示せず)が実装して
あり、一対の実装用電気パッド93hが、複数組設けてあるとともに、少なくとも一対の
実装用電気パッド93hにまたがって、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g´の
非形成領域93g´´が設けてあることを特徴とする実装構造体100である。
【0016】
以下、図1〜9を適宜参照しながら、第1実施形態の所定のレジスト部材(第1のレジ
スト部材および第2のレジスト部材)によって被覆された実装構造体について、液晶装置
に用いられるフレキシルブル配線基板あるいはそれを用いた実装構造体を例に採って説明
する。
なお、図1(a)〜(b)は、それぞれ第1実施形態の実装構造体100の断面図であ
り、図1(a)は、層間を電気的に接続する有底の穴としてのブラインドビア93h´が
、電気絶縁性基材93bの電気配線側から実装面に向けて設けられている例であり、図1
(b)は、層間を電気的に接続する有底の穴としてのブラインドビア93h´が、電気絶
縁性基材93bの実装面側から電気配線面に向けて設けられている例である。
また、図2(a)〜(b)は、第1実施形態の実装構造体100に用いられるフレキシ
ルブル配線基板93である一方、図2(c)は、それに対比される従来のフレキシルブル
配線基板93である。
【0017】
また、図3〜図4は、それぞれ液晶装置の態様を説明するために供する図である。
また、図5(a)〜(b)は、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g´の非形成
領域93g´´が、フレキシルブル配線基板93の実装面全体に設けられた態様を説明す
るために供する図である。
また、図6(a)は、フレキシルブル配線基板93における実装用電気パッド93hと
、電気配線93a´´の配置具合を説明するために供する図であり、図6(b)は、実装
用電気パッド93hを説明するために供する図であり、図6(c)は、実装用電気パッド
93hと、層間を電気的に接続する有底の穴として、ブラインドビア93h´を介して電
気接続される電気配線93a´´を説明するために供する図である。
また、図7は、本発明の実装構造体100を説明するために供する図である。
さらに、図8〜図9は、それぞれ本発明のフレキシルブル配線基板93における実装用
電気パッド93hや電気配線93a´´の位置関係、あるいは電気配線93a´´の別の
態様を説明するために供する図である。
【0018】
1.液晶装置の基本構造
(1)構成
まず、電気光学装置の一つとして、図3(a)〜(b)および図4に示すような液晶装
置10の構成について、具体的に説明する。
ここで、図3(a)は、液晶装置10の断面図を示し、図3(b)は、図3(a)の液
晶装置における素子基板60の平面図を示しており、図4は、液晶装置10の外観に対応
した斜視図を示している。
そして、かかる液晶装置10における液晶パネル(電気光学パネル)は、対向基板30
と、素子基板60とが、それらの周辺部においてシール材(図示せず)によって貼り合せ
られ、さらに、対向基板30、素子基板60及びシール材によって囲まれる間隙内に液晶
材料21を封入して、基本的に構成されている。
【0019】
また、対向基板30は、ガラス、プラスチック等によって形成され、当該対向基板30
上には、カラーフィルタすなわち着色層37r、37g、37bと、その着色層37r、
37g、37bの上に形成された対向電極33と、その対向電極33の上に形成された配
向膜45とを備えている。また、反射領域Rにおける、着色層37r、37g、37bと
対向電極33との間には、リタデーションを最適化するための絶縁層41を備えている。
ここで、対向電極33は、ITO(インジウムスズ酸化物)等によって対向基板30の
表面全域に形成された面状電極である。また、着色層37r、37g、37bは、素子基
板60側の画素電極63に対向する位置にR(赤)、G(緑)、B(青)又はC(シアン
)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)等といった各色のいずれかの色フィルタエレメント
を備えている。そして、着色層37r、37g、37bの隣であって、画素電極63に対
向しない位置にブラックマスク又はブラックマトリクスすなわち遮光膜39が設けられて
いる。
【0020】
また、対向基板30に対向する素子基板60は、ガラス、プラスチック等によって形成
され、当該素子基板60上には、スイッチング素子として機能するアクティブ素子として
のTFT素子69と、透明な絶縁膜81を挟んでTFT素子69の上層に形成された画素
電極63とを備えている。
そして、TFT素子69は、素子基板60上に形成されたゲート電極71と、このゲー
ト電極71の上で素子基板60の全域に形成されたゲート絶縁膜72と、このゲート絶縁
膜72を挟んでゲート電極71の上方位置に形成された半導体層70と、その半導体層7
0の一方の側にコンタクト電極77を介して形成されたソース電極73と、さらに半導体
層70の他方の側にコンタクト電極77を介して形成されたドレイン電極66とを備えて
いる。
ここで、画素電極63は、反射領域Rにおいては反射表示を行うための光反射膜79(
63a)として、形成されるとともに、透過領域Tにおいては、ITOなどにより透明電
極63bとして形成される。
また、画素電極63aとしての光反射膜79は、例えばAl(アルミニウム)、Ag(
銀)等といった光反射性材料によって形成される。そして、画素電極63の上には、ポリ
イミド系の高分子樹脂からなる配向膜85が形成されるとともに、この配向膜85に対し
て、配向処理としてのラビング処理が施されている。
【0021】
また、対向基板30の外側(すなわち、図3(a)の上側)表面には、位相差板47が
形成され、さらにその上に偏光板49が形成されている。同様に、素子基板60の外側(
すなわち、図3(a)の下側)表面には、位相差板87が形成され、さらにその下に偏光
板89が形成されている。さらに、素子基板60の下方にはバックライトユニット(図示
せず)が配置される。
【0022】
(2)動作
以上のような構成を有する液晶装置10において、反射表示の際には、太陽光や室内照
明光などの外光が、対向基板30側から液晶装置10の反射領域(R)に入射するととも
に、着色層37(37r、37g、37b)や液晶材料21などを通過して光反射膜79
に至る。そこで、光反射されて、再度液晶材料21や着色層37(37r、37g、37
b)などを通過して、液晶装置10の外部で認識されることにより、反射表示が行われる

一方、透過表示の際にはバックライトユニット(図示せず)が点灯されるとともに、バ
ックライトユニットから出射された光が、透過領域(T)としての透光性の透明電極63
b部分を通過し、着色層37(37r、37g、37b)、液晶材料21などを通過して
、液晶装置10の外部で認識されることにより、透過表示が行われる。
なお、このような液晶装置10の動作を適切に行うため、当該液晶装置10に電気接続
されたフレキシルブル配線基板93において、電子部品102として、抵抗素子やコンデ
ンサー、あるいは駆動用半導体素子等が実装されることになる。
【0023】
2.実装構造体
(1)基本構成
図2(a)〜(b)に示すフレキシルブル配線基板93を用い、図1(a)〜(b)に
示すように、フレキシルブル配線基板93の所定箇所である実装用電気パッド93hに対
して、電子部品102を実装し、かつレジスト部材93g´によって被覆された実装構造
体100である。
そして、基本構成として、図2(a)〜(b)に示すように、フレキシルブル配線基板
93の実装面には、層間を電気的に接続する有底の穴93h´を介して、電子部品102
を実装するための実装用電気パッド93hを有し、当該実装用電気パッド93hには、少
なくとも一対を単位として、電子部品102が実装してあり、これら一対の実装用電気パ
ッド93hが、複数組設けてあるとともに、少なくとも一対の実装用電気パッド93hに
またがって、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g´の非形成領域93g´´が設
けてあることを特徴とする。
この理由は、このようにフレキシルブル配線基板の両面を実装面と、配線面とに分ける
ことにより、電子部品等のピッチが高精細化したとしても、ショートの発生を抑制しつつ
、確実に実装することができるためである。
また、このように電子部品を実装する実装用電気パッドにまたがって、レジスト部材(
第1のレジスト部材)の非形成領域が設けてあることにより、実装用電気パッドの大きさ
や電子部品のピッチをある程度考慮するだけで、レジスト部材を形成する際における製造
マージンを大きくとることができるためである。例えば、図2(a)〜(b)に示すよう
に、実装用電気パッド93hの大きさ(L4)は変わらないものの、L1、L7、L8の
幅については、図2(c)の場合と比較して、比較的大きな値とすることができる。
したがって、このように実装構造体を構成することにより、フレキシルブル配線基板の
有効利用と、レジスト部材(第1のレジスト部材)を所定場所に形成する際における製造
マージンの拡大との間のバランスを良好なものとすることができる。
【0024】
(2)実装用電気パッド
また、図1(a)や図2(a)等に示すように、実装用電気パッド93hは、層間を電
気的に接続する有底の穴93h´を設けることによって、所定の凹部を表面に有している
ことが好ましい。
この理由は、このような層間を電気的に接続する有底の穴93h´を設けることにより
、実装する電子部品と、実装用電気パッドとの間の接触面積を大きくすることができるた
めである。
なお、層間を電気的に接続する有底の穴の一例としては、ブラインドビアが挙げられる
。かかるブラインドビアは、基板を貫通しないで、層間を電気的に接続するために設けら
れた有底の穴状物を意味する。
また、当該表面における凹部の平面形状については、特に制限されるものではないが、
例えば、円形、三角形、多角形、楕円、不定形等とすることができる。
さらに、当該表面における凹部の深さについても、特に制限されるものではないが、例
えば、0.1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜50μmの範囲
内の値とすることがより好ましく、1〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好まし
い。
その他、図1(a)にその断面を示すように、層間を電気的に接続する有底の穴(ブラ
インドビア)93h´が、電気絶縁性基材93bの電気配線側から実装面に向けて設けら
れていても良く、あるいは、図1(b)にその断面を示すように、層間を電気的に接続す
る有底の穴(ブラインドビア)93h´が、電気絶縁性基材93bの実装面側から電気配
線面に向けて設けられていても良い。
【0025】
(3)レジスト部材
また、図2(a)に示すように、実装面において、一対の実装用電気パッド93hを含
む全領域に対応して、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g´の非形成領域93g
´´が設けてあり、一対の実装用電気パッド93hの全領域が、外部に露出していること
が好ましい。
この理由は、実装面において、このようにレジスト部材の非形成領域を設けることによ
り、レジスト部材の端部と、実装用電気パッドとの間の距離(L1)を所定幅だけ確保す
ることが容易となるためである。
なお、実装面において、一対の実装用電気パッドを含む全領域に対応して、レジスト部
材の非形成領域が設けてある利点については、図2(a)〜(c)に示す設計態様と、表
1〜7に示すシミュレーション結果と、を参照しながら、後述する。
【0026】
また、図2(a)に示すように、実装用電気パッド93hの端部と、レジスト部材(第
1のレジスト部材)93g´の端部との間の距離(L1)、あるいは、図2(b)に示す
ように、実装用電気パッド93hの端部と、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g
´の端部との間の距離(L7、L8)を100〜500μmの範囲内の値とすることが好
ましい。
この理由は、このような範囲の直線距離(L1、L7、L8)に制御することによって
、レジスト部材(第1のレジスト部材)を形成する際の製造マージンを大きくすることが
できるためである。
すなわち、かかる直線距離(L1、L7、L8)が100μm未満の値になると、レジ
スト部材を精度良く形成することが困難となる場合があるためである。一方、かかる直線
距離(L1、L7、L8)が500μmを超えると、実装用電気パッドの形成領域(形成
面積)が過度に制限される場合があるためである。
したがって、実装用電気パッドの端部と、レジスト部材の端部との間の直線距離(L1
、L7、L8)を150〜450μmの範囲内の値とすることがより好ましく、200〜
400μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0027】
ここで、図2(a)〜(c)に示す設計態様と、表1〜7に示すシミュレーション結果
と、を参照して、実装用電気パッドの端部と、レジスト部材(第1のレジスト部材)の端
部との間の直線距離(L1、L7、L8)のレジスト部材の位置ずれに対する影響をさら
に詳細に説明する。
まず、図2(a)は、本発明に基づく設計態様の一つであって、一対の実装用電気パッ
ド93hを含む全領域に対応して、レジスト部材93g´の非形成領域93g´´が設け
てある例である。
また、図2(b)も、本発明に基づく設計態様の一つであって、一対の実装用電気パッ
ド93hに対応して、レジスト部材93g´の非形成領域93g´´が設けてある例であ
る。
さらに、図2(c)は、従来の設計態様の一つであって、一つずつの実装用電気パッド
93hに対応して、レジスト部材93g´の非形成領域93g´´が設けてある例である

【0028】
一方、表1は、レジスト部材の非形成領域の大きさを500μm×500μmと想定し
たときの、図2(a)の設計態様に対応したシミュレーション結果であって、レジスト部
材におけるライン幅およびずれ幅が影響しないことから、ギャップ幅(100〜500μ
m)と、電気配線におけるライン幅およびスペース幅との関係を示している。
また、表2〜4は、図2(b)の設計態様に対応したシミュレーション結果であって、
ギャップ幅(100〜500μm)と、電気配線におけるライン幅と、レジスト部材にお
けるライン幅およびずれ幅とを適宜変更しつつ、電気配線におけるスペース幅を計算した
結果を示している。
さらに、表5〜7は、図2(c)の設計態様に対応したシミュレーション結果であって
、ギャップ幅(100〜500μm)と、電気配線におけるライン幅と、レジスト部材に
おけるライン幅およびずれ幅とを適宜変更しつつ、電気配線におけるスペース幅を計算し
た結果を示している。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
【表5】

【0034】
【表6】

【0035】
【表7】

【0036】
かかる図2(a)〜(c)に示す設計態様に対応したシミュレーション結果によれば、
一対の実装用電気パッド93hを含む全領域に対応して、レジスト部材(第1のレジスト
部材)93g´の非形成領域93g´´を設けることによって、レジスト部材を形成する
際の位置ずれの問題を回避することができる。
また、一対の実装用電気パッド93hに対応して、レジスト部材(第1のレジスト部材
)93g´の非形成領域93g´´を設けることによっても、電気配線のギャップが極端
に狭い場合、例えば、100μmの場合には、レジスト部材の位置ずれが一部問題となる
ものの、それ以外では、レジスト部材を形成する際の位置ずれの問題を回避することがで
きる。
さらに、従来とおり、一つずつの実装用電気パッド93hに対応して、レジスト部材9
3g´の非形成領域93g´´が設けてある場合には、電気配線のギャップが200μm
程度であっても、レジスト部材の位置ずれが大きな問題となることが理解される。
したがって、レジスト部材の位置ずれの問題を効果的に回避するためには、本発明のよ
うに、レジスト部材(第1のレジスト部材)の非形成領域を、一対の実装用電気パッドを
含む全領域に対応して設けるか、あるいは、一対の実装用電気パッドに対応して設けるこ
とが有効であることが理解される。
【0037】
また、図5(a)〜(b)に示すように、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g
´の非形成領域93g´´が、フレキシルブル配線基板93の実装面全体に設けてあるこ
とが好ましい。すなわち、基本的には、フレキシルブル配線基板93の実装面には、レジ
スト部材(第1のレジスト部材)93g´を設けない態様とすることが好ましい。
この理由は、このように所定の実装構造体を製造することにより、実装面にはレジスト
部材を形成する必要がなくなるため、製造時の形成位置に関して、実装用電気パッドとの
間の距離を所定値以上、確保しなければならないという問題を完全に回避することができ
るためである。
また、実装された電子部品における周囲の環境条件(温度、湿度等)を調整すること等
によって、実装面においても、レジスト部材が存在しないことの不利益を十分回避するこ
とができるためである。
さらに、このように所定の実装構造体を構成した場合、実装面に対して、層間を電気的
に接続する有底の穴で電気接続された電気配線については、配線面においてレジスト部材
(第2のレジスト部材)によって保護されることから、特に問題が生じないことになるた
めである。
【0038】
また、図6(a)〜(b)に示すように、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g
´は、フレキシルブル配線基板93の実装面において、一対の実装用電気パッド93hに
対応して設けることも好ましいが、図6(c)に示すように、フレキシルブル配線基板9
3の配線面全体に、レジスト部材(第2のレジスト部材)93g´が設けてあることも好
ましい。
この理由は、このようにレジスト部材(第2のレジスト部材)が配線面に対して、全体
的に設けてあることによって、配線面におけるレジスト部材の形成を容易にすることがで
きるためである。すなわち、レジスト部材を、部分的に形成した場合と比較して、全体的
に設けるのであれば、浸漬やスプレー等によって、容易かつ短時間に形成することができ
るためである。
また、配線面全体に、レジスト部材(第2のレジスト部材)が設けてあることにより、
フレキシルブル配線基板全体を保護する効果が発揮され、実装面において、レジスト部材
が存在しないことの機械的強度低下等の不利益を十分カバーすることができるためである

さらに、配線面全体に、レジスト部材(第2のレジスト部材)が設けてあって、パター
ニングの必要がないことから、レジスト部材を形成するにあたり、光硬化性樹脂等の電気
絶縁性材料を用いることができるのはもちろんのこと、さらに迅速かつ再生可能に処理で
きることから、電気絶縁性フィルム(カバーレイフィルム等を含む。)を積層したり、電
気絶縁性テープ(粘着テープ等を含む。)を貼り付けたりすることができるためである。
【0039】
(4)実装構造体の具体例
また、図7(a)〜(b)に示すように、電子部品102が、所定のフレキシルブル配
線基板93の実装用電気パッド(図示せず)に対して、位置合わせされて、半田104等
の接合部材によって、電気的接続されていることが好ましい。ここで、図7(a)は、所
定の実装構造体100の平面図であり、図7(b)は、所定の実装構造体100の斜視図
である。
すなわち、所定のフレキシルブル配線基板93において、少なくとも一対の実装用電気
パッドにまたがって、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g´の非形成領域93g
´´が精度良く設けてあることにより、実装用電気パッドと、レジスト部材93g´との
間の距離を確実に保つことができる。したがって、電子部品等のピッチが高精細化した場
合であっても、ショートの発生を抑制しつつ、確実に実装することができる。
また、このような実装構造体100であれば、電気配線は実装面側ではなく、配線面側
に形成されていることから、レジスト部材93g´のエッジに起因した応力集中が、電気
配線に生じることが少なくなる。よって、実装用電気パッドと、外部電源等を電気接続す
る接続部との間での、断線発生を有効に防止することができる。
【0040】
また、実装用電気パッドと、電子部品とが、半田ボール(図示せず)を介して、実装し
てあることが好ましい。すなわち、実装用電気パッドにおけるブラインドビア等の有底の
穴の内部に、予め半田ボールを充填しておき、リフロー等の加熱手段を用いて、電子部品
を実装用電気パッドに対して、電気接続することが好ましい。
この理由は、半田ボールのように汎用性の高い接続部材を使用して、電子部品を安価か
つ、確実に実装することができるためである。
すなわち、図8(a)〜(c)に示すように、層間を電気的に接続する有底の穴93h
´を介して、実装用電気パッド93hと、電気配線93a´´の端部とを、位置的に一致
させることができる。したがって、このような位置関係が確保される限り、実装面におい
て電子部品(図示せず)を電気接続したことにかかわらず、配線面においては、自由に電
気配線を引き回すことができる。
なお、電気配線の端部の形状については、図8(a)〜(c)に示すように、中抜けの
円形とすることも好ましく、あるいは、図示しないものの、中抜けの四角形やそれ以上の
多角形とすることも好ましい。
【0041】
(5)その他
また、図9に示すように、実装用電気パッド93hおよび電気配線93a´´が、複数
設けてあるとともに、当該複数の実装用電気パッド93hと、複数の電気配線93a´´
とを、別のブラインドビア等の有底の穴を介して、交差配線させていることが好ましい。
この理由は、このように配線構成することによって、電気配線の配置の自由度を高める
ことができるためである。
また、このように配線構成することによって、電気配線のピッチも広げることができ、
ショートの発生をより少なくすることができるためである。
さらに、このように配線構成することによって、電気配線の長さを調整することができ
、その結果、各電気配線のインピーダンスを所定範囲内の値に調整しやすくなるためであ
る。
なお、このように交差配線の構成をとる場合、交差位置と、ブラインドビア等の有底の
穴との間の距離を十分離すことが好ましい。また、交差配線が必要な配線に関しては、配
線面よりも、実装面に近い位置を通過するように構成することが好ましい。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態は、フレキシルブル配線基板の一方の面を実装面とし、他方の面を配線面
としたときに、当該フレキシルブル配線基板に、電子部品を実装した実装構造体の製造方
法において、配線面に、電気配線を形成する工程と、実装面に、電子部品を実装するため
の実装用電気パッドであって、当該実装用電気パッドの一対を単位として、複数組の実装
用電気パッドを形成する工程と、少なくとも一対の実装用電気パッドと、電気配線とを、
層間を電気的に接続する有底の穴により電気的接続する工程と、少なくとも一対の実装用
電気パッドにまたがって、レジスト部材の非形成領域を設ける工程と、を含むことを特徴
とする実装構造体の製造方法である。
以下、実装構造体の製造方法を含む液晶装置の製造方法を、図10〜図16を適宜参照
しながら説明する
【0043】
1.TFT素子の形成工程
まず、図10中、S1で示されるTFT素子の形成工程を実施する。かかるTFT素子
の形成工程は、素子基板の基体上に金属膜および絶縁膜を形成し、パターニングすること
によって、図11(a)に示すように、TFT素子69等のスイッチング素子を形成する
工程である。
このようなスイッチング素子69を形成するにあたり、ガラス基板からなる基体61上
に、ゲート電極71を形成する。このゲート電極71は、例えば、クロム、タンタル、モ
リブデン等の低抵抗材料から構成されており、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用
いて形成することができる。
【0044】
次いで、このゲート電極71上に、絶縁層としてのゲート絶縁膜72を形成する。この
ゲート絶縁膜72は、窒化シリコン(SiNx)や酸化シリコン(SiOx)等の半導体材
料からなる電気絶縁材料を積層させて形成することができる。
次いで、このゲート絶縁膜72上に、アモルファスシリコン(a−Si)、多結晶シリ
コン、CdSe等の半導体材料を積層させて半導体層70を形成する。さらに、この半導
体層70の両端部分に、ドープされたアモルファスシリコン等によりコンタクト電極77
を形成する。
最後に、このコンタクト電極77と接触するように、ソース電極73及びそれと一体を
なすソースバス配線並びにドレイン電極66を形成する。このとき、ソース電極73、ソ
ースバス配線(図示せず)及びドレイン電極66は、例えばチタン、モリブデン、アルミ
ニウム等の低抵抗材料を、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いることで形成する
ことができる。
【0045】
2.画素電極等の形成工程
次いで、図10中、S2で示される画素電極等の形成工程を実施する。かかる画素電極
等の形成工程は、図11(b)〜(c)に示すように、TFT素子69が形成された基体
61上に、有機絶縁膜からなる保護膜81と、透明導電膜からなる画素電極63と、を順
次形成する工程である。
より具体的には、TFT素子69が形成してある基体61上に、光硬化性樹脂等の樹脂
材料を塗布するとともに、この樹脂層に対して所定のパターニングを施すことにより有機
絶縁膜からなる保護膜81を形成する。
【0046】
次いで、この有機絶縁膜からなる保護膜81内に設けられたコンタクトホール83の周
辺部であって、反射領域(R)に相当する領域に対して、アルミニウム等の金属を蒸着し
た後、この膜に対して、フォトリソグラフィ及びエッチング法を施すことで、表示領域に
マトリクス状の光反射膜79を形成する。
一方、透過領域(T)に相当する領域に対して、スパッタリング法等により透明導電膜
を形成することにより、画素電極63を形成し、素子基板60の基本形態とする。
次いで、このようにして得られた素子基板60に対して、ポリイミド樹脂等からなる配
向膜85を形成するとともに、この配向膜85にラビング処理を施すことにより、配向制
御機能を持たせることができる。
最後に、TFT素子や画素電極が形成された基体上に、フォトリソグラフィ法等を用い
て、感光性樹脂材料からなる樹脂膜としての柱状スペーサを形成する。この柱状スペーサ
により、素子基板60と対向基板30との間隙幅(セルギャップ)を正確に規定して、所
望の表示特性を得ることができる。
【0047】
3.着色層の形成工程
次いで、対向基板の製造工程について説明する。まず、図10中、S1´で示される着
色層の形成工程を実施する。かかる着色層の形成工程は、図12(a)〜(b)に示すよ
うに、対向基板の基体31上に着色層37(37r、37g、37b)、遮光膜39及び
層厚調整層41等を順次形成する工程である。
より具体的には、基体31上に、顔料や染料等の着色材を分散させた樹脂材料からなる
感光性樹脂を塗布し、この感光性樹脂に対してパターン露光及び現像処理を順次施すこと
により、着色層37(37r、37g、37b)を形成することができる。
なお、かかる露光及び現像処理は、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれの色毎に繰
り返すことで、3色に対応した着色層37r、37g、37bをそれぞれ形成することが
できる。
【0048】
次いで、それぞれの画素領域の境界領域に遮光膜39を形成する。この遮光膜39に用
いられる材料としては、例えば、クロム(Cr)やモリブテン(Mo)等の金属膜を使用
したり、あるいは、R、G、Bの3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたも
のや、黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものなどを用いる
ことができる。
したがって、かかる遮光膜39を金属膜から形成するに際しては、例えば、クロム(C
r)等の金属材料をスパッタリング法等により基体31上に積層した後、所定パターンに
合せて、エッチング処理を施すことによって形成することになる。
【0049】
最後に、着色層37(37r、37g、37b)や、遮光膜39等が形成された対向基
板の基体31上に、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂
等を用いて、全面的に層厚調整層41を形成する。
この層厚調整層41は、透過領域(T)と反射領域(R)とのリタデーション調整のた
めの層であって、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂材料に対して所定のパターニング
を施すことにより形成される。
【0050】
4.対向電極等の形成工程
次いで、図10中、S2´で示される対向電極の形成工程を実施する。かかる対向電極
の形成工程は、図12(c)に示すように、対向基板に形成された着色層37(37r、
37g、37b)、遮光膜39及び層厚調整層41に、透明導電材料等からなる対向電極
33を形成する工程である。
より具体的には、着色層37(37r、37g、37b)及び遮光膜39が形成された
対向基板の基体31上に、スパッタリング法等により透明導電膜を積層した後、フォトリ
ソグラフィ法及びエッチング法により、表示領域全面に所定パターンを有する対向電極3
3を形成する。
さらに、この対向電極33の表面に、ポリイミド樹脂等からなる配向膜45を形成する
ことで、対向基板30の基本形態とすることができる。
ここで、上述した素子基板60に用いられるスイッチング素子が、TFT素子(Thin F
ilm Transistor)69の場合には、この対向電極33は、それぞれのセル領域に対応した
面状電極としてパターニングされる。
【0051】
5.組立工程
次いで、図10中、S3で示される組立工程は、図13(a)〜(b)に示すように、
素子基板60と、対向基板30とを、シール材23を介して貼り合わせ、その間隙に液晶
材料21を注入する工程である。より具体的には、対向基板30と、シール材23が形成
された素子基板60と、をアライメントして貼り合わせ位置を確定する。
その後、両基板を重ね合わせて接合させた後、加熱しながら加圧保持して、シール材2
3を硬化させながら対向基板30と、素子基板60とを貼合せることにより、図13(b
)に示すように、内部に間隙21aを備えた一対の液晶パネル20が形成される。
【0052】
次いで、間隙21aに対して、公知の方法により液晶材料21を注入した後、その注入
口を、エポキシ樹脂等の封止樹脂を用いて封止する。
最後に、素子基板60の外表面に位相差板87と、偏光板89と、を貼り付けるととも
に、対向基板30の外表面に位相差板47と、偏光板49とを貼り付けることにより、液
晶パネル20とすることができる。
なお、液晶パネル20の組立てた後、S4で示される検査工程として、通常、電気配線
の一部に設けてある同電位ラインを切断し、電圧印加等によって、点灯検査を行うことが
好ましい。
【0053】
6.実装工程
次いで、図10中、S5で示される実装工程において、例えば、異方性導電フィルムを
用いて、電気光学パネルにおける外部端子11と、特定のフレキシブル回路基板93と、
の間を電気接続し、13(c)に示すように、液晶装置10とすることができる。
【0054】
ここで、実装工程で用いるフレキシブル回路基板93において、層間を電気的に接続す
る有底の穴を形成する方法を、図14(a)〜(f)、図15(a)〜(e)、および図
16(a)〜(e)を参照して説明する。
まず、図14(a)に示すように、上面の導体(銅等)93cと、フレキシブル基材(
ポリイミド樹脂等)93bと、下面の導体(銅等)93aと、から構成された両面のフレ
キシブル回路基板93を準備する。なお、この段階で、導体93cをライトエッチングし
て、表面洗浄することが好ましい。
次いで、図14(b)に示すように、光硬化性樹脂93dとして、感光性レジスト樹脂
を全面に塗布した後、図14(c)に示すように、所定パターンを有するフォトマスク(
UV1´)を介して、所定箇所のみに紫外線(UV1)を照射して、露光する。この例で
は、光硬化性樹脂93dとして、紫外線が照射された箇所が硬化するネガ型感光性レジス
ト樹脂を用いている。
【0055】
次いで、図14(d)に示すように、光硬化性樹脂93dとしての感光性レジスト樹脂
の光照射部を残して、感光性レジスト樹脂の未露光部93d´を現像して除去し、露出部
93d´´を形成する。
次いで、図14(e)に示すように、感光性レジスト樹脂の除去部分である露出部93
d´´に露出している導体93cをエッチング(ホールエッチング)して、所定パターン
を形成する。
次いで、図14(f)に示すように、感光性レジスト樹脂の光照射部93dを剥離して
、除去する。なお、紫外線が照射され、硬化したネガ型感光性レジスト樹脂を除去する場
合には、専用の剥離剤を用いることが好ましい。
【0056】
次いで、図15(a)に示すように、レーザー(LA)を用いて、所定箇所に穴93b
´を開けた後、図15(b)に示すように、ホールメッキを施し、メッキ層93eを形成
する。
次いで、図15(c)に示すように、再び光硬化性樹脂93fとしての感光性レジスト
樹脂を全面に塗布した後、図15(d)に示すように、フォトマスク(UV2´)を介し
て、所定箇所のみに紫外線(UV2)を両面側から照射して、露光する。この例では、光
硬化性樹脂93fとして、紫外線が照射された箇所が硬化するネガ型感光性レジスト樹脂
を用いている。
次いで、図15(e)に示すように、光硬化性樹脂93fとしての感光性レジスト樹脂
の光照射部93f´を残して、感光性レジスト樹脂の未露光部を現像して、除去する。
【0057】
次いで、図16(a)に示すように、光硬化性樹脂93fとしての感光性レジスト樹脂
の除去部分において露出している導体93a、93cおよびメッキ層93eをそれぞれエ
ッチング(パターンエッチング)して、開口部93ce´、93a´を形成する。
次いで、図16(b)に示すように、感光性レジスト樹脂の光照射部93f´を除去す
る。なお、光硬化性樹脂として、紫外線が照射された箇所が硬化するネガ型感光性レジス
ト樹脂を用いた場合、専用の剥離剤を用いることが好ましい。
次いで、図16(c)に示すように、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g´と
なる感光性レジスト樹脂93gを両面に塗布した後、図16(d)に示すように、フォト
マスク(UV4´)を介して、所定箇所のみに紫外線(UV4)を両面側から照射して、
露光する。
最後に、図16(e)に示すように、感光性レジスト樹脂の光照射部であるレジスト部
材(第1のレジスト部材)93g´を残して、感光性レジスト樹脂の未露光部を現像し、
層間を電気的に接続する有底の穴(ブラインドビア)93h´とすることができる。
よって、このようにして、電子部品102等を実装した後に、レジスト部材(第1のレ
ジスト部材)93g´を所定箇所に形成する際の製造マージンが大きくなり、実装構造体
100の製造に適した、層間を電気的に接続する有底の穴93h´を備えた実装用電気パ
ッド93hを効率的に得ることができる。
なお、レジスト部材(第1のレジスト部材)93g´と、下面の導体(銅等)93a´
´と、が従来のように接触しないため、レジスト部材のエッジに起因した応力集中が生じ
ることが少なくなって、実装用電気パッドと、外部電源等を電気接続する接続部との間に
おける断線発生を有効に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、フレキシブル回路基板の有効活用が図られるばかりか、電子部品等を
実装した後に、レジスト部材(第1のレジスト部材)を所定箇所に形成する際の製造マー
ジンが大きい実装構造体及びそのような実装構造体の効率的な製造方法を提供することが
できるようになった。
また、従来のように、電気配線が実装面に配線されていないことから、レジスト部材の
エッジに起因した応力集中が生じることが少なくなって、実装用電気パッドと、外部電源
等を電気接続する接続部との間での断線発生を有効に防止できるようになった。
したがって、電気光学物質として液晶分子を用いた電気光学装置や電子機器、例えば、
携帯電話機やパーソナルコンピュータ等をはじめとして、液晶テレビ、ビューファインダ
型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電気泳
動装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS
端末、タッチパネルを備えた電子機器、電子放出素子を使用した装置(FED:Field Emi
ssion DisplayやSCEED:Surface-Conduction Electron-Emitter Display)、プラズ
マディスプレイ装置、有機及び無機エレクトロルミネッセンス装置などに、好適に適用す
ることができる。
【0059】
なお、本発明の実装構造体を備えた電気光学装置や電子機器の種類は、上例にのみ限定
されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること
は勿論である。
例えば、液晶装置において、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素
子)を用いたアクティブマトリクス方式や、アクティブ素子を有しないパッシブマトリク
ス方式、さらには、別のアクティブ素子として、TFD(薄膜ダイオード)方式にも適用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(a)〜(b)は、本発明の第1実施形態に係る実装構造を説明するために供する図である。
【図2】(a)〜(b)は、本発明の第1実施形態に係る実装構造に用いられるフレキシブル回路基板を説明するために供する図であり、(c)は、従来の実装構造に用いられるフレキシブル回路基板を説明するために供する図である。
【図3】(a)〜(b)は、本発明の第1実施形態に係る実装構造を備えた液晶装置を模式的に示す概略断面図および平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る実装構造を備えた液晶装置を模式的に示す概略斜視図である。
【図5】(a)〜(b)は、本発明の第1実施形態に係る実装構造に用いられる別のフレキシブル回路基板を説明するために供する図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る実装構造に用いられるさらに別のフレキシブル回路基板を説明するために供する図である。
【図7】(a)〜(b)は、本発明の第1実施形態に係る実装構造を説明するために供する図である。
【図8】(a)〜(c)は、ブラインドビアを備えた実装用電気パッドと、電気配線との位置関係を説明するために供する図である。
【図9】電気配線における交差配線を説明するために供する図である。
【図10】液晶装置の製造工程について説明するために供するフロー図である
【図11】(a)〜(c)は、素子基板を形成するための製造工程を示す図である。
【図12】(a)〜(c)は、カラーフィルタ基板を形成するための製造工程を示す図である。
【図13】(a)〜(c)は、液晶装置を組み立てるための製造工程を示す図である。
【図14】(a)〜(f)は、ブラインドビアを形成するための製造工程を示す図である(その1)。
【図15】(a)〜(e)は、ブラインドビアを形成するための製造工程を示す図である(その2)。
【図16】(a)〜(e)は、ブラインドビアを形成するための製造工程を示す図である(その3)。
【図17】(a)〜(e)は、従来のフレキシブル回路基板の製造工程を説明する図である。
【図18】(a)〜(b)は、従来のフレキシブル回路基板を説明する図である。
【図19】(a)〜(b)は、従来の実装構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0061】
10:液晶装置(液晶パネル)、11:外部端子、20:液晶パネル、30:対向基板、
60:素子基板、69:非線形素子(TFT素子)、93:フレキシブル回路基板、93
a:導体(銅)、93a´´:パターニングされた導体(銅)、光硬化性材料(感光性レ
ジスト樹脂)、93e:メッキ層、93f:光硬化性材料(感光性レジスト樹脂)、93
g:光硬化性材料(感光性レジスト樹脂)、93g´:レジスト部材(光硬化性材料の硬
化物)、93g´´:非形成領域、93h:実装用電気パッド、93h´:ブラインドビ
ア、100:実装構造体、102:電子部品、104:半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシルブル配線基板に、当該フレキシブル配線基板の層間を電気的に接続する有底
の穴を介して電子部品を実装した実装構造体において、
前記フレキシルブル配線基板の一方の面を実装面とし、他方の面を配線面としたときに

前記実装面には、電子部品を実装するための実装用電気パッドを有し、当該実装用電気
パッドには、少なくとも一対を単位として、前記電子部品が実装してあり、
前記一対の実装用電気パッドが、複数組設けてあるとともに、少なくとも一対の実装用
電気パッドにまたがって、レジスト部材の非形成領域が設けてあることを特徴とする実装
構造体。
【請求項2】
前記実装用電気パッドは、表面に凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載の
実装構造体。
【請求項3】
前記一対の実装用電気パッドの全領域に対応して、前記レジスト部材の非形成領域が設
けてあり、前記一対の実装用電気パッドの全領域が、外部に前記レジスト部材より露出し
ていることを特徴とする請求項1または2に記載の実装構造体。
【請求項4】
前記実装用電気パッドの端部と、前記レジスト部材の端部との間の直線距離を100〜
500μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3に記載の実装構造体。
【請求項5】
前記レジスト部材の非形成領域が、前記フレキシルブル配線基板の実装面全体に設けて
あることを特徴とする請求項1に記載の実装構造体。
【請求項6】
前記フレキシルブル配線基板の配線面全体に、レジスト部材が設けてあることを特徴と
する請求項1〜5のいずれか一項に記載の実装構造体。
【請求項7】
前記実装用電気パッドおよび電気配線が、複数組設けてあるとともに、当該複数の実装
用電気パッドと、前記複数の電気配線とを、交差配線していることを特徴とする請求項1
〜6のいずれか一項に記載の実装構造体。
【請求項8】
前記実装用電気パッドと、前記電子部品とが、半田ボールを介して、実装してあること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の実装構造体。
【請求項9】
フレキシルブル配線基板の一方の面を実装面とし、他方の面を配線面としたときに、当
該フレキシルブル配線基板に、電子部品を実装した実装構造体の製造方法において、
前記配線面に、電気配線を形成する工程と、
前記実装面に、前記電子部品を実装するための実装用電気パッドであって、当該実装用
電気パッドの少なくとも一対を単位として、複数組の実装用電気パッドを形成する工程と

前記少なくとも一対の実装用電気パッドと、前記電気配線とを、前記フレキシブル配線
基板の層間を電気的に接続する有底の穴により電気的接続する工程と、
前記少なくとも一対の実装用電気パッドにまたがって、レジスト部材の非形成領域を設
ける工程と、
を含むことを特徴とする実装構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−218605(P2008−218605A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52338(P2007−52338)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】