説明

干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法およびそれを用いた装置

【課題】
干渉光学系において干渉縞のある取得画像からアライメントマーク位置を検出する方法およびこれを用いた高速な装置を提供する。
【解決手段】
干渉光学系における撮像画像は撮像対象面30Aと参照面15から同一光路を戻る反射光同士の干渉現象により、撮像装置19で撮像した画像には干渉縞が現れる。このとき、分布干渉縞の角度θだけ画像を回転させた回転画像を作成し、その画像に対して1次元微分フィルタを掛けることにより干渉縞の輝度変動の影響を無くす事が出来、取得画像のアライメントマークの位置を正しく検出する事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、半導体ウェーハ、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、磁性体フィルム、ガラス基板、金属膜などの平坦度を有するアライメントマーク付対象物に対し、干渉光学系撮像画像を用いて該アライメントマークを検出する方法およびそれを用いた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、平坦度を有する対象物の測定範囲の表面形状の測定に於いて、自動で測定するためには、何らかの方法で対象物の位置を求める必要がある。特に半導体ウェーハや液晶パネルなどの場合、多くは、位置合わせ用アライメントマークが対象物測定範囲の視野内に共存するので、位置合わせ用アライメントマークの位置を検出して測定範囲を確定する一助とする。その手法の一つに、干渉光学系撮像画像を用いる方法がある。
【0003】
たとえば、図2に示す様に、半導体ウェーハである対象物の座標(X1,Y1)、(X2,Y2)の2箇所にアライメントマークがある場合、その内の1箇所の座標(X1,Y1)に位置するアライメントマークの位置が確定できれば、その位置に撮像装置の測定位置を合わせることにより、その測定位置の視野内にある座標(X3,Y3)に位置する測定対象の撮像画像も容易に得ることができる。
【0004】
ところが、干渉光学系を使用する方法や装置を用いた場合、撮像の際、干渉光学系撮像画像に輝度変動が有り、アライメントマークを検出して測定座標の位置合わせをすることは困難であった。
【0005】
従来、この問題を解決する方法として、別の光学系によりアライメントマーク位置を撮像する第1の方法、非干渉光を照射し干渉縞による影響を少なくする第2の方法(特許文献1参照)、干渉縞による分布を変えた複数枚の画像を撮像して干渉縞による輝度変動の分布をキャンセルさせる第3の方法などがあった。(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平5−151917号公報
【特許文献2】特開2006−329807号公報
【非特許文献1】大津「判別および最小2乗基準に基づく自動しきい値選定法」電子通信学会論文誌, VOL.J63-D, NO.4, PP349-356, 1980
【非特許文献2】「画像処理解説書(第1版)」株式会社ファースト社出版、2007年12月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の手法では次のような問題が残る。
特許文献1に記載の第1の方法および第2の方法では、別の光学系が必要となるために構成が大型化、煩雑化し、費用がかかるという問題があった。また、別光学系で撮像した後にさらに干渉光学系で撮像する必要があり、時間がかかっていた。
【0008】
また、特許文献2に記載の第3の方法でも、干渉縞による分布を変える手段が必要であるため構成が大型化、煩雑化し、費用がかかるという問題があった。また、複数枚の画像を取得しなければならないので時間がかかっていた。
【0009】
本願発明では上述のような事情に鑑み、干渉光学系を用いて対象物の測定範囲の表面形状を測定するために、干渉光学系を用いて対象物のアライメントマークを含む画像を撮像した時に生ずる干渉縞による輝度変動のある画像から当該輝度変動の影響を除去し対象物のアライメントマークの位置を高速に検出する方法と装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の方法の発明は、照明装置から照射する照射光をビームスプリッタを介して撮像対象面と参照面に照射し、撮像対象面からの測定光と参照面からの参照光とによって得られる干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法において、
撮像対象面の撮像範囲内で、周辺と高さの異なるエッジ部を持つアライメントマークを含む干渉縞を有する撮像画像を取得する第1過程と、取得した前記撮像画像における各画素の強度値を求める第2過程と、干渉縞による分布状況に応じて画像を回転させる第3過程と、回転した画像に対して画像処理を施して干渉縞の輝度変動を取り除き干渉縞によるアライメントマークのエッジ部を検出する第4過程と、第4過程で得られた画像を逆回転して元の角度に戻す第5過程と、第5過程で得られた撮像画像から干渉縞によるアライメントマークを検出する第6過程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
(作用・効果) 第1の方法の発明に係る干渉縞によるアライメントマーク検出方法において、撮像対象面の撮像画像に干渉縞が分布している場合、回転によって、干渉縞による向きを任意方向に変更することができ、さらには、干渉縞による向きを考慮した画像処理を施す事により、干渉縞による輝度変動の濃淡の変動分を取り除く事が出来る。したがって、撮像対象面の撮像画像に干渉による縞状の輝度変動が分布している場合でも、該輝度変動を取り除き、アライメントマークのエッジ部を正しく検出する事が出来、ひいてはアライメントマークの位置を正しく検出する事が出来る。
【0012】
第2の方法の発明は、第1の発明に係わる干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法において、
撮像画像を回転させる際の回転角度を求める方法として、撮像画像を2値化し、2値化にて検出された画素の塊(Blob(ブローブ))の面積と等価な楕円長辺もしくは短辺の撮像画像の水平もしくは垂直方向となす角度を用いることを特徴とする。
【0013】
(作用・効果) 第2の方法の発明によれば、干渉縞の分布方向が任意方向であったとしても、その分布方向を検出することにより第1の発明をすみやかに実現する事が出来る。逆に第1の発明だけによる場合は、何らかの方法を用いて撮像画像の回転角度を求める事が必要となる。
【0014】
第3の装置の発明は、照明装置から照射する照射光をビームスプリッタを介して撮像対象面と参照面に照射し、撮像対象面からの測定光と参照面からの参照光とによって得られる干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出装置において、
撮像対象面を載置する保持手段と、照射光を出力する照射手段と、撮像対象物の撮像範囲内で、周辺と高さの異なるエッジ部を持つアライメントマークを含む干渉縞を有する撮像画像を取得する撮像装置からなる撮像手段と、取得した前記撮像画像における各画素の強度値を求めるサンプリング手段と、サンプリング手段によって取り込まれた前記各画素毎の強度値を記憶する記憶手段と、干渉縞による分布状況に応じて画像を回転させる回転手段と、回転した画像に対して画像処理を施して干渉縞の輝度変動を取り除き、干渉縞によるアライメントマークのエッジ部を検出するエッジ検出手段と、該エッジ検出手段で得られた画像を逆回転して元の角度に戻す復帰回転手段と、復帰回転手段で得られた撮像画像から干渉縞によりアライメントマークを検出するアライメントマーク検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
(作用・効果) 第3の装置からなる発明によると、それぞれの手段は下記の作用を持つ。
保持テーブルからなる保持手段は、撮像対象物を載置保持する。
照射手段は、照射光を出力する。
撮像手段は、撮像対象面の画像を得る。このときの撮像画像には対象物の撮像対象面からの測定光と参照面からの参照光が同一光路であることによって生じる干渉による輝度変動も含まれる。
サンプリング手段は、前記得られた干渉による輝度変動が含まれる撮像画像を画素毎に有する強度値を求める。
記憶手段は、サンプリング手段によって取り込まれた前記各画素毎の強度値を記憶する。
演算手段は、前記記憶手段に記憶された各画素毎の強度値を読み取り、干渉縞による分布状況を算出し、回転手段を用いて干渉縞による分布状況に応じて撮像画像を回転させ、回転した撮像画像に対して画像処理を施して干渉による縞状の輝度変動分を取り除き、アライメントマークのエッジ部を検出し、復帰回転手段を用いて回転した撮像画像を逆回転して元の角度に戻し、元に戻した撮像画像からアライメントマーク検出手段を用いてアライメントマークを検出する。
【0016】
第4の装置の発明は、第3の発明に係る干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出装置において、
撮像画像を回転させる際の回転角度を求める方法として、撮像画像を2値化し、2値化検出された画素の塊(Blob(ブローブ))の面積と等価な楕円長辺もしくは短辺の撮像画像の水平もしくは垂直方向となす角度を用いることを特徴とする。
【0017】
(作用・効果) 第4の装置の発明によれば、干渉縞の分布方向が任意方向であったとしても、その分布方向を検出することにより第3の発明をすみやかに実現する事が出来る。逆に第3の発明だけによる場合は、何らかの手段を用いて撮像対象面の撮像画像と参照面との相対角度を別の角度計で求めるなどの手段により相対角度の関係を求め、さらに、相対角度の関係から撮像画像の回転角度を求める必要が生じる。
【0018】
なお、照明手段から照射される照射光は、白色光でもよいし単色光でもよい。アライメントマーク位置検出後に必要とされる種類の照射光を使用することで作業効率の向上を図ることができる。以上上記の手段を用いて、上記第1ないし第4の発明を好適に実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明に係る干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法およびそれを用いた装置を用いることにより、干渉光学系で撮像した干渉縞による1枚の干渉光学系撮像画像から、干渉縞による輝度変動分を取り除いた撮像画像を生成する事により、アライメントマークを検出する事が出来る。
本願発明によれば、干渉光学系以外の別の光学系および別の撮像手段を必要としないで行えることから装置の小型化、単純化を図る事が出来る。
【0020】
また、複数枚の撮像画像の撮像が不要であることから、干渉縞によるアライメントマーク検出時間を短縮する事が出来る。それに伴い、作業効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[実施例]
以下、図面を参照して本願発明の実施例を説明する。
本願発明の実施例に係る干渉光学系アライメントマーク検出装置の概略構成を図1に示す。
該干渉光学系アライメントマーク検出装置は、半導体ウェーハ、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、磁性体フィルム、ガラス基板および金属膜などの表面に微細な凹凸段差を有する略平坦な対象物30の表面の撮像対象面30Aに照射光を照射する光学系ユニット1と、光学系ユニット1を制御する制御系ユニット2と、対象物30を載置保持する保持テーブル40とを備えている。
【0022】
光学系ユニット1は、撮像対象面30Aおよび参照面15に向けて照射光を出力する照明装置10と、該照射光を平行光に変換するコリメートレンズ11と、該撮像対象面30Aと参照面15へ照射するにあたり、照射光を反射させ方向変換するハーフミラー13と、ハーフミラー13で方向転換した照射光が対物レンズ14を透過して後、ビームスプリッター17にて、一部は参照面15に、一部は透過して撮像対象面30Aに照射される。すなわち、参照面15にて反射させる参照光と撮像対象面30Aにて反射させる測定光に分ける。次に、該撮像対象面30Aにて反射してきた測定光と参照面15で反射してきた参照光とを再びまとめて干渉縞を発生させるビームスプリッタ17と、参照光と測定光とがまとめられた干渉光学系撮像画像を結像する結像レンズ18を通過して、干渉縞とともに該撮像対象面30Aからの測定光を撮像する撮像装置19とを備えている。
【0023】
本実施例の照明装置10の光源としては、例えばLED(Light Emitting Diode)が利用され、例えば627nmの照射光を出力する。なお、照明装置10は、第3の発明の照明手段に相当する。
【0024】
以下に、光学系ユニット1の主要な部分について、さらに詳細に説明する。
ハーフミラー13は、コリメートレンズ11からの平行光を撮像対象面30Aに向けて反射する一方、撮像対象面30Aから戻ってきた測定光を通過させるものである。
対物レンズ14は、入射してきた該照射光を撮像対象面30Aに集光するレンズである。
【0025】
ビームスプリッタ17は、対物レンズ14で集光される照射光を参照面15で反射させる参照光と、撮像対象面30Aで反射させる測定光とに分ける。また、各面で反射して同一光路を戻る参照光と測定光とを再びまとめることによって、干渉を生じて干渉縞が発生する。
【0026】
参照面15は、表面が鏡面加工されている。この参照面15によって反射された参照光は、ビームスプリッタ17に達し、さらに、この参照光はビームスプリッタ17によって反射され撮像装置19に到達するようになっている。
【0027】
ビームスプリッタ17で、反射された参照光と反射された測定光とが再びまとまる。このとき、参照面15とビームスプリッタ17との間の距離L1と、ビームスプリッタ17と撮像対象面30Aとの間の距離L2との距離の差違によって光路差が生じる。この光路差に応じて、参照光と測定光とが干渉する。また、前記L1とL2との間の距離の差によって、その差違が大きいほど密な干渉縞が得られる。従い、撮像画像に対して回転させまた一次元フィルターを掛けるとアライメントマークのエッジ部は、後述の図8に示す点線の様に検出されるが、該点線のピッチが干渉縞のピッチと一致するので、密な干渉縞を得るために、意識的に保持テーブル40を傾斜させて、密な干渉縞を得るなど工夫する。
【0028】
前記に説明する様に、通常、保持テーブル40上に載置される対象物30は、測定光の進行方向に対して必ずしも水平な位置に載置されていない。従い、ビームスプリッタ17と撮像対象面30Aとの間の距離L2が、参照面15とビームスプリッタ17との間の距離L1の位置と同調した位置においても差違を生じる。
これは撮像対象面30Aが移動して、撮像対象面30Aとビームスプリッタ17との間の距離L2が変動したことと等価である。これにより光路差は撮像対象面30Aの位置により参照面15からの参照光の位置と同調した位置においても距離が異なるため、干渉縞と呼ばれる空間的な輝度変動が生じる。
【0029】
また、上述の干渉縞は、参照面15が参照光の進行方向に対して正規の位置に設置されていない場合にも同様に生じる。
【0030】
撮像装置19は、撮像対象面30Aから反射された測定光によって得られる撮像画像と参照面から反射された測定光によって得られる撮像画像を撮像する。このとき、撮像対象面30Aが保持テーブル40あるいは対象物30の傾斜により、撮像対象面30Aの撮像画像には干渉縞が発生する。この撮像された撮像画像データは、制御系ユニット2のメモリ21に格納される。また、後述するが、制御系ユニット2の駆動部24は、光学系ユニット1を図1中のx,y,z軸方向に移動できるように構成されている。なお、撮像装置19は、第3の発明の撮像手段に相当し、制御系ユニット2は、第3の発明の記憶手段として機能する。
【0031】
本実施例における撮像装置19としては、前記測定光、参照光を検出できる構成であればよく、例えば、CCD固体撮像素子、MOSイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、光電撮像管、アバランシェ電子倍増効果撮像管、EB−CCDなどが用いられる。
【0032】
制御系ユニット2は、光学系ユニット1から送られる干渉光学系アライメントマークに関するデータの制御や、所定の演算処理を行うためのCPU20と、CPU20によって収集された撮像画像データ、演算結果、検出すべき任意アライメントマーク撮像画像などの各種のデータおよびプログラムなどを記憶するメモリ21と、撮像エリアなどその他の設定情報を入力するマウスやキーボードなどの入力部22と、撮像対象面30Aの撮像画像などを表示するモニタ23とを備える。また、CPU20の指示に応じて光学系ユニット1を上下前後左右に移動するように駆動させる駆動部24を備える。上下は光学系の焦点調整用、前後左右は対象物30の水平方向の移動用である。駆動部24は例えば3軸駆動型のステッピングモータ等の駆動機構と駆動制御用のコンピュータシステムで構成されている。
【0033】
中央演算処理装置であるCPU20は、撮像装置19、メモリ21および駆動部24を制御するとともに、撮像装置19で撮像した干渉縞を含む撮像対象面30Aの画像データに基づいて、画像回転の演算処理を行う角度検出部25、画像回転後に干渉縞による輝度変動分を取り除く画像処理を施すデータ加工部26、干渉縞による輝度変動を取り除く画像処理後に任意のアライメントマークを検出するアライメントマーク検出部27からなる。このCPU20における角度検出部25、データ加工部26、アライメントマーク検出部27の処理については後述する。前述の様に、CPU20には、モニタ23と、キーボードやマウスなどの入力部22とが接続されており、操作者は、モニタ23に表示される操作画面を観察しながら、入力部22から各種の設定情報の入力を行う。また、モニタ23には、撮像対象面30Aの撮像画像やアライメントマーク検出結果などが数値や撮像画像として表示される。
【0034】
駆動部24は、所望する撮像箇所へ例えば光学系ユニット1を図1中のx,y,z軸方向に移動させる装置である。該駆動部24は、CPU20からの指示によって光学系ユニット1をx,y,z軸方向に駆動する。なお、本実施例では、光学系ユニット1をx,y,z軸方向に移動させているが、対象物30が載置される保持テーブル40をx,y,z軸方向に変動させる構成にしてもよい。また、移動軸は2軸以下や移動軸そのものが無くても良く、その場合は対象物30の搭載位置移動は手動で行うこともできる構成でも良い。
【0035】
以下、本実施例の特徴部分である干渉光学系アライメントマーク検出装置全体で行なう処理を図3に示すフローチャートに沿って説明する。
この場合の撮影画像を図4に示す。なお、本実施例では照明装置10からの光が波長λの単色光である場合を例に取って説明する。
【0036】
<ステップS1> 撮像画像の取得
CPU20は、図示しないステッピングモータなどの駆動系を搭載した駆動部24を制御して光学ユニット1の撮像装置19を対象物30の撮像位置に移動する。撮像位置への移動が完了すると、光学系ユニット1は、照明装置10から波長λの単色光を出力する。この単色光はコリメートレンズ11を透過し平行光となってハーフミラー13に向う。
【0037】
ハーフミラー13で反射した単色光は、対象物30の撮像対象面30A方向へ向かう。次に、対物レンズ14を透過した後、ビームスプリッタ17を介して単色光は2分され、撮像対象面30Aと参照面15へ向かう。各単色光は、それぞれ、撮像対象面30Aと参照面15にて反射し、再度ビームスプリッタ17、対物レンズ14およびハーフミラー13を通して、撮像装置19へ送られる。撮像装置19は、1回作動し周囲と高さの異なるエッジを持つアライメントマーク51が撮像される。
なお、この過程が第1の発明における第1過程に相当する。
【0038】
<ステップS2> 撮像画像の各画素の強度値取得
CPU20は、ステップS1にて取得しメモリ21に記憶した撮像画像の各画素の強度値、すなわち、測定対象面30Aと参照面15からの参照光の干渉縞による強度値の変化を各画素の強度値の変化として画像データから取り込む。該画像データは、水平方向の位置合わせと高さ測定の撮像画像の取得の両方に使えるので、作業効率の向上を図ることができる。
なお、この過程が第1の発明における第2過程に相当する。
【0039】
<ステップS3> 画像回転角度θの算出と画像回転
CPU20の角度検出部25は、撮像対象面30Aの撮像画像の視野における輝度変動の情報を利用して回転すべき角度を算出する。撮像画像の視野という語句を使用したのは、撮像画像中の画素データの中でも特定の領域のみの画素を計算に使用する。撮像画像中の測定範囲の画素データの中の特定の領域のみを計算に使用すると演算の高速化や高精度化が図れるので、撮像画像中の特定の領域の画素データを対象とする装置として設定できるようになっていることが望ましい。
【0040】
具体的には、まず、撮像対象面30Aの撮像画像中の測定範囲の画素における干渉縞による強度値を基に2値化するときのしきい値を求める。ところで、2値化するときのしきい値の設定方法には多々既知の方法がある。たとえば、外部より決まった値を指定する固定しきい値法、照射光の強度値の中央値や平均値を用いる可変しきい値法、2値化しきい値で照射光の強度値のヒストグラムを2つのヒストグラムに分けた時に各ヒストグラムの分散の和が最小となるように設定する「大津による自動しきい値選定法」などである(例えば、非特許文献1参照。)。実際の装置においては目的に応じて方法を選択できる事が望ましい。
【0041】
次に、2値化する際に得られたしきい値により、2値化して得た画像を作成する。撮像画像中の測定対象の領域について、2値化した例を図5に示す。
次に、2値化した画像から白あるいは黒のどちらかの同色の連結領域からなる画素の塊(以下Blob(ブローブ)と呼ぶ)を大きい順に設定し複数個取り出し、安定した回転角度の計算結果を得る。
【0042】
次に、複数取り出したBlob(ブローブ)の面積に対する等価楕円を計算し求め、楕円の長辺もしくは短辺が画像の水平もしくは垂直方向となす角度を計算する。なお、2値化した撮像画像の測定対象の領域からのBlob(ブローブ)を取り出し、取り出したBlob(ブローブ)の等価楕円の計算、楕円の長辺もしくは短辺が画像の水平もしくは垂直方向となす角度の計算の各方法は、撮像画像の処理分野では一般に良く知られている事項である(例えば、非特許文献2参照。)。
【0043】
次に、CPU20のデータ加工部26は前記手法等で求められた角度分だけ撮像画像を回転させ、干渉縞方向が画像の水平軸もしくは垂直軸に平行になるようにする。また、該干渉縞が撮像画像の水平軸に平行となるように回転させた例を図6に示す。
【0044】
別の手法でもって撮像画像の測定範囲内の変動高さ情報がわかっている場合は、干渉縞による分布方向がわかるので、撮像画像の回転角度θは撮像画像の高さ情報を基に求めることができる。また、撮像画像の対象物30を載置保持する保持テーブル40の剛性を上げるなどの方法で撮像対象面30Aと参照面15との相対角度が一定となるように機械的に規制して、回転角度θを常に一定の値となるようにしてもよい。この場合は回転角度θは設計値をあらかじめ設定しておく。
【0045】
また、撮像画像を回転させる過程で、撮像画像中の測定範囲の画素の補間処理を利用しても良い。これにより画像の回転による分解能の低下を防ぐ事が出来る。
なお、この過程が第1の発明の第3過程に相当する。
【0046】
<ステップS4> 回転後の撮像画像に対する画像処理
CPU20のデータ加工部26は、撮像対象面30Aの撮像画像中の測定範囲の回転した画像に対して画像処理を行い、干渉縞による輝度変動の影響を無くす。具体的には干渉縞方向が撮像画像の水平方向を向いているなら、1次元微分フィルタを用いて計算し画素水平方向のアライメントマークのエッジを検出する。干渉縞方向が画像の垂直方向を向いているなら、1次元微分フィルタを用いて計算し画素垂直方向のアライメントマークのエッジを検出する。1次元微分フィルタにはSobelフィルタやPrewittフィルタが良く使用されるが、これ以外のフィルタを使用しても良い。1次元微分フィルタは微分方向と垂直な方向の輝度変動は検出しないため、干渉縞による輝度変動を無くす事が出来る。
事例として、3画素×3画素の画像を水平方向に微分する際のSobelフィルタとPrewittフィルタの例を図7に示す。
【0047】
また、干渉縞が画像の水平軸に平行になるように回転させた例として図6を1次元微分フィルタを用いて計算して得た画像の例を図8に示す。すなわち、図8は、干渉縞方向が画像の水平方向を向くように回転し、画像と水平方向の1次元微分フィルタを用いて計算しアライメントマーク51の輪郭を検出した例である。
撮像画像中の測定対象領域の画像処理は画像を回転させずに角度θ方向の1次元微分フィルタを用いて計算し輪郭を検出しても良い。この場合、以下に示す<ステップS5>処理は不要となる。
なお、この過程が第1の発明の第4過程に相当する。
【0048】
<ステップS5> 画像の逆回転
CPU20のデータ加工部26は、撮像画像中の測定対象領域の画像処理をした画像を<ステップS3>で画像を回転させた時と同じ回転中心を用いて「−θ」と逆回転した例を図9に示す。これにより<ステップS3>で回転した画像は撮像した時の当初の角度に戻る。これにより、アライメントマーク51のエッジ部分が点線の様に検出された画像がを得られる。
なお、この過程が第1の発明における第5過程に相当する。
【0049】
<ステップS6> アライメントマークの位置検出
CPU20のアライメントマーク検出部27は、干渉縞による輝度変動の影響を除去した画像から所望の干渉縞アライメントマーク位置を検出する。
尚、検出されたアライメントマーク51のテンプレートをあらかじめ設定し、メモリ21に記憶しておく。
【0050】
ところで、検出されたアライメントマーク51のテンプレートは、以下の方法で作成すると精度良くアライメントマーク位置を検出できる。
まず、様々な角度で検出したアライメントマークの有る対象物30を保持テーブル40に設置し、そのときの上記<ステップS1>ないし<ステップS6>で処理した画像群(処理画像群)を取得する。
次に処理画像群の輝度変動を加算した画像(加算画像)を作成する。この加算画像では処理画像群では点線であったアライメントマークのエッジ部分の点がつながり、線になる。
最後に加算画像から所望の検出されたアライメントマークを指定しメモリ21に記憶させる。
【0051】
上記の方法により検出した干渉縞によるアライメントマーク51のテンプレートはエッジ部を線として表すことができる。アライメントマーク51を検出したい画像は図9の様に点線で示され、点線の分布は干渉縞による分布によって変動するが、検出されたアライメントマーク51のテンプレートはエッジ部を点線で示すことにより、このような場合でも精度良くアライメントマーク51の位置を示すことが可能となる。
なお、この過程が第1の発明における第6過程に相当する。
【0052】
上述のように、干渉光学系で撮像した1枚の画像から周辺画素と高さの異なるエッジ部を持つアライメントマークを短時間に効率良く検出する事が出来る。
【0053】
したがって、本発明の方法を用いると、対象物のアライメントマーク51を撮像するための新たな光学系や光源が不要であり、装置を小型化かつ高精度にする事が出来る。
また、複数枚の画像を取得する時間が不要であるため、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願発明の実施例に係るアライメントマーク検出装置の概略構成を示す図である。
【図2】アライメントマークと所望の撮像画像の関係を説明する図。
【図3】アライメントマーク検出装置における処理を示すフローチャートである。
【図4】撮像対象面の撮像画像を示す図である。
【図5】撮像対象面の撮像画像を2値化した例を示す図である。
【図6】図5を干渉縞が画像の水平軸に平行になるように回転させた例を示す図である。
【図7】3画素×3画素、画像水平方向微分する際のSobelフィルタとPrewittフィルタの例を示す図である。
【図8】図7に1次元微分フィルタを掛けた取得画像の例を示す図である。
【図9】図8を逆回転させた例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 光学系ユニット
2 制御系ユニット
10 照明装置
11 コリメートレンズ
13 ハーフミラー
14 対物レンズ
15 参照面
17 ビームスプリッタ
18 結像レンズ
19 撮像装置
20 CPU
21 メモリ
22 入力部
23 モニタ
24 駆動部
25 角度検出部
26 データ加工部
27 アライメントマーク検出部
30 対象物
30A 撮像対象面
40 保持テーブル
51 アライメントマーク
52 視野範囲
53 測定対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置から照射する照射光をビームスプリッタを介して撮像対象面と参照面に照射し、撮像対象面からの測定光と参照面からの参照光とによって得られる干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法において、
撮像対象面の撮像装置の視野内で、周辺と高さの異なるエッジ部を持つアライメントマークを含む干渉縞を有する撮像画像を取得する第1過程と、取得した前記撮像画像における各画素の強度値を求める第2過程と、干渉縞の分布状況に応じて画像を回転させる第3過程と、回転した画像に対して画像処理を施して干渉縞の輝度変動を取り除き干渉縞によるアライメントマークのエッジ部を検出する第4過程と、第4過程で得られた画像を逆回転して元の角度に戻す第5過程と、第5過程で得られた撮像画像から干渉縞によるアライメントマークを検出する第6過程と、を備えたことを特徴とする干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法において、
撮像画像を回転させる際の回転角度を求める方法として、撮像画像を2値化し、2値化にて検出された画素の塊(Blob(ブローブ))の面積と等価な楕円長辺もしくは短辺の撮像画像の水平もしくは垂直方向となす角度を用いることを特徴とする干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出方法。
【請求項3】
照明装置から照射する照射光をビームスプリッタを介して撮像対象面と参照面に照射し、撮像対象面からの測定光と参照面からの参照光とによって得られる干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出装置において、
撮像対象面を載置する保持手段と、照射光を出力する照射手段と、
撮像対象面の撮像範囲内で、周辺と高さの異なるエッジ部を持つアライメントマークを含む干渉縞を有する撮像画像を取得する撮像装置からなる撮像手段と、
取得した前記撮像画像における各画素の強度値を求めるサンプリング手段と、
サンプリング手段によって取り込まれた前記各画素毎の強度値を記憶する記憶手段と、
干渉縞による分布状況に応じて画像を回転させる回転手段と、回転した画像に対して画像処理を施して干渉縞の輝度変動を取り除き、干渉縞によるアライメントマークのエッジ部を検出するエッジ検出手段と、
該エッジ検出手段で得られた画像を逆回転して元の角度に戻す復帰回転手段と、
復帰回転手段で得られた撮像画像から干渉縞によりアライメントマークを検出するアライメントマーク検出手段と、
を備えたことを特徴とする干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出装置において、
撮像画像を回転させる際の回転角度を求める方法として、撮像画像を2値化し、2値化検出された画素の塊(Blob(ブローブ))の面積と等価な楕円長辺もしくは短辺の撮像画像の水平もしくは垂直方向となす角度を用いることを特徴とする干渉光学系撮像画像を用いた干渉縞によるアライメントマーク検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−129800(P2010−129800A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303437(P2008−303437)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】