説明

平面基板搬送方法およびその装置

【課題】搬送ローラーのローラー取り付け位置や、搬送ローラーに取り付けたローラーの径を、工程毎に異ならせることにより、基板についた傷の位置から工程を特定して、傷の原因を容易に除去可能にする平面基板搬送方法及び装置を提供する。
【解決手段】フラット表示パネル用の平面基板4を搬送ローラー1で搬送するに際し、平面基板4の搬送経路を複数の仮想ブロックに分割し、分割した仮想ブロックの搬送経路毎に異なる位置および/または異なる径Dのローラー3を取付けた搬送ローラー1を配置するとともに、同一仮想ブロック内の搬送経路には同じ位置に同じ径Dのローラー3を取付けた搬送ローラー1を配置し、平面基板搬送後に基板4の搬送ローラー接触面の傷Fを検査し、傷Fの位置または傷Fの間隔π×Dから傷Fの原因となった搬送ローラー1が配置された仮想ブロックの搬送経路を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面基板搬送方法およびその装置に関し、さらに詳しくは、たとえばプラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶表示装置(LCD)のようなフラット表示パネルのパネル基板を製造ライン上で搬送する際に用いる平面基板搬送方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネルのようなフラット表示パネルを製造するラインでは、製造しようとするフラット表示パネルに相当する大きさのガラス基板を製造ライン上で搬送する必要がある。このように基板を搬送する際には、通常、同じ径の複数のローラーを一定間隔離して同軸上に取り付けた搬送ローラーを多数用い、これら多数の搬送ローラーを並列に配置してローラーで基板を支持し、ローラーを回転させることで基板を搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−131233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような製造ラインでは、フラット表示パネルの製造工程終了後、製品検査を行うが、その際、フラット表示パネルのガラス基板に傷が発見されることがある。この傷は、基板を搬送する搬送ローラーに取り付けたローラーがプラスチックのような合成樹脂で作製されているため、このローラーに工場内で発生する金属粉などが食い込むことによって生ずることが多い。
【0005】
したがって、製品検査の際にフラット表示パネルのガラス基板に傷が発見された場合には、基板の搬送経路に配置された搬送ローラーのローラーを調べ、ローラーを清掃することによって傷発生の原因を除去するようにしている。
【0006】
しかしながら、基板の搬送経路が長い場合、基板の搬送経路には多くの搬送ローラーが配置されており、これらの搬送ローラーに取り付けたローラーを全て調べるのに時間を要し、ガラス基板の傷がどの場所の搬送装置で発生したものであるのかを特定することが困難であった。
【0007】
この傷の発生場所の特定に時間がかかると、製造ライン停止時間の長期化が発生する。また、その傷の発見が遅れると、その間に流れた製品の歩留まり低下を招く。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、搬送ローラーのローラー取り付け位置や、搬送ローラーに取り付けたローラーの径を、たとえば工程毎に異ならせることにより、基板についた傷の位置から工程を特定して、傷の原因を容易に除去可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数のローラーを同軸上に取付けた搬送ローラーを搬送経路に多数配置してフラット表示パネル用の平面基板を搬送するに際し、平面基板の搬送経路を複数の仮想ブロックに分割し、分割した仮想ブロックの搬送経路毎に異なる位置および/または異なる径のローラーを取付けた搬送ローラーを配置するとともに、同一仮想ブロック内の搬送経路には同じ位置に同じ径のローラーを取付けた搬送ローラーを配置し、平面基板搬送後に基板の搬送ローラー接触面の傷を検査し、傷の位置または傷の間隔から傷の原因となった搬送ローラーが配置された仮想ブロックの搬送経路を特定することからなる平面基板搬送方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、平面基板を搬送する際、搬送ローラーによって基板に傷がついた場合には、傷の位置または傷の間隔を調べることで、その傷がどの仮想ブロックの搬送ローラーでついたものであるのかを容易に特定することができ、傷の原因を早期に取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、搬送ローラーは、複数のローラーを同軸上に取り付けたものであればよい。
【0012】
搬送ローラーによる平面基板の搬送は、水平搬送であってもよいし、縦型搬送であってもよい。水平搬送とは、平面基板を水平に支持して搬送する方式であり、搬送ローラーを水平に配置し、その水平に配置した搬送ローラーの上に平面基板を載置して搬送する方式である。縦型搬送とは、平面基板を斜めに立てて搬送する方式であり、搬送ローラーを斜めに平行に配置するとともに、平面基板の下部に下部ローラーを配置してこの下部ローラーに平面基板を載せ、斜め方向に平行に配置した搬送ローラーに平面基板をもたれさせた状態で搬送する方式である。
【0013】
本発明においては、平面基板の搬送経路を複数の仮想ブロックに分割する。この分割は、どのような仮想ブロックに分割するものであってもよい。たとえば、製造ラインの1つの工程を1つの仮想ブロックとして、工程単位で搬送ローラーをブロック分けしてもよいし、1つの工程内の複数の区間、あるいは複数の工程にまたがる区間などを1つのブロックとして、区間単位で搬送ローラーをブロック分けしてもよい。
【0014】
本発明では、たとえば上記した工程または区間ごとに、異なる位置にローラーを取付けた搬送ローラーを配置するか、あるいは、異なる径のローラーを取付けた搬送ローラーを配置するか、あるいは、異なる位置に異なる径のローラーを取付けた搬送ローラーを配置する。また、同一仮想ブロック内の搬送経路には同じ位置に同じ径のローラーを取付けた搬送ローラーを配置する。
【0015】
そして、平面基板搬送後に基板の搬送ローラー接触面の傷を検査し、傷の位置または傷の間隔から傷の原因となった搬送ローラーが配置された仮想ブロックの搬送経路を特定する。上記基板の搬送ローラー接触面の傷とは、搬送ローラーによってついた傷を意味する。この傷は欠き傷だけに限定されず、基板に付着した異物なども意味する。
【0016】
上記構成において、搬送ローラーは、平面基板の搬送方向に対して交差する方向に配置された支持ロッドと、その支持ロッドに一定の間隔を置いて取付けられた同じ径の複数のローラーとで構成される。
【0017】
この場合、ある仮想ブロックに配置された搬送ローラーと、その仮想ブロックとは異なる仮想ブロックに配置された搬送ローラーとで、搬送ローラーに取付けたローラー間の間隔が異なっていてもよい。
【0018】
また、ある仮想ブロックに配置された搬送ローラーと、その仮想ブロックとは異なる仮想ブロックに配置された搬送ローラーとで、搬送ローラーに取付けたローラーの直径が異なっていてもよい。
【0019】
また、ある仮想ブロックに配置された搬送ローラーと、その仮想ブロックとは異なる仮想ブロックに配置された搬送ローラーとで、搬送ローラーに取付けたローラー間の間隔とローラーの直径との双方が異なっていてもよい。
【0020】
平面基板についた傷の原因となった搬送ローラーの属する仮想ブロックの特定は、平面基板についた傷の基板端部からの距離を調べ、その距離から搬送ローラー上のローラー取付け位置を推定して、その取付け位置のローラーを備えた搬送ローラーの属する仮想ブロックを調べることで行うことができる。
【0021】
あるいは、平面基板に搬送方向に沿って2箇所以上の傷がある場合には傷の間隔を調べ、その傷の間隔からローラーの径を推定して、その径のローラーを備えた搬送ローラーの属する仮想ブロックを調べることで行うこともできる。
【0022】
上記構成においては、平面基板の搬送経路または搬送経路の近傍に、基板の傷を検査する検査ステーションを設けてもよい。この検査ステーションには、基板の傷を検査するための照明を取り付けておくことが望ましい。また、検査ステーションには、基板の傷の検出確率を高くするために、基板の搬送ローラー接触面側に単一色の検査用パネルを配置してくことが望ましい。この場合、基板の傷の検出を容易にするために、検査用パネルが配置された部分の搬送ローラーのローラー色は、検査用パネルと同じ色にしておくことが望ましい。
【0023】
上述の検査ステーションを基板の搬送経路のポイントごとに配置しておけば、傷の原因の早期発見が可能となり、また、製造ラインで発生した外観で発見できる不良品も早期発見が可能となり、製品の歩留まり低下を最小限に抑えることができる。
【0024】
本発明は、また、搬送経路に配置した多数の搬送ローラーでフラット表示パネル用の平面基板を搬送した後、基板の搬送ローラー接触面の傷を検査し、傷の位置または傷の間隔から傷の原因となった搬送ローラーが配置された搬送経路を特定する平面基板搬送方法に適用される平面基板搬送装置であって、複数のローラーを同軸上に取付けた搬送ローラーを多数備え、多数の搬送ローラーは、平面基板の搬送経路に複数の仮想ブロックに分割されて配置され、分割された仮想ブロックの搬送経路毎に異なる位置および/または異なる径のローラーを取付けた搬送ローラーが配置されるとともに、同一仮想ブロック内の搬送経路には同じ位置に同じ径のローラーを取付けた搬送ローラーが配置されてなる平面基板搬送装置である。
【0025】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳述する。なお、本発明はこれによって限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0026】
図1(a)および図1(b)は本発明の搬送方法を適用した搬送装置の構成を示す説明図である。図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。
これらの図において、1は搬送ローラー、2は搬送ローラーの支持ロッド、3は搬送ローラーの支持ロッドに取り付けられたローラー、4はフラット表示パネル用のガラス基板である。
【0027】
図示した搬送装置は、一般に枚葉搬送装置と呼ばれる装置であり、ガラス基板4を水平に保持して搬送する水平型の搬送装置である。各搬送ローラー1は、同じ径の第1列目のローラー3−1,第2列目のローラー3−2,第3列目のローラー3−3の3つのローラーを一定間隔離して支持ロッド2に取り付けた構成となっている(ローラー3−1,3−2,3−3は以後単に「ローラー3」と記す)。
【0028】
ローラー3は支持ロッド2に固定されており、駆動装置(図示していない)で支持ロッド2を回転させることで、ローラー3が回転するようになっている。ローラー3はプラスチック製である。ローラー3は、これに限定されず、たとえば、金属ローラーの外周にシリコーンゴム製のOリング(オーリング)を装着したようなものであってもよい。
【0029】
図では搬送ローラー1として、1本の支持ロッド2に3つのローラー3を取り付けた構成としているが。1本の支持ロッド2に取り付けるローラー3の数はこれに限定されるものではなく、2つであってもよいし、4つ以上であってもよく、任意である。
【0030】
また、1つの搬送装置を4つの搬送ローラー1で構成している例を示したが、これに限定されず、1つの搬送装置を2つまたは3つの搬送ローラー1で構成してもよく、また、5つ以上の搬送ローラー1で構成してもよい。
【0031】
本実施形態の搬送装置は、多数の搬送ローラーで構成されている。すなわち、複数の搬送ローラー1を並列に配置して、ローラー3でガラス基板4を支持し、ローラー3を回転させることでガラス基板4を搬送する搬送装置を、製造工程に沿って多数設置したものである。
【0032】
図では、ローラー3の直径をDとしている。また、ガラス基板4の端辺から第1列目のローラー3−1までの距離をL1、ガラス基板4の端辺から第2列目のローラー3−2までの距離をL2、ガラス基板4の端辺から第3列目のローラー3−3までの距離をL3としている。
【0033】
図2はガラス基板4を縦置にして搬送する縦型搬送装置の例を示す説明図である。
搬送ローラー1の構成は図1で示した搬送装置と同じである。この縦型搬送装置では、下部ローラー11を設け、この下部ローラー11を駆動装置(図示していない)で回転させて、ガラス基板4を搬送するようにしている。
【0034】
図3はガラス基板を搬送する製造ラインの工程または区間を示す説明図である。
製造ライン中のガラス基板の搬送経路に搬送ローラーを配置するにあたっては、搬送経路を複数の仮想ブロックに分割し、分割した仮想ブロックの搬送経路毎に異なる搬送ローラーを配置する。
【0035】
具体的には、製造ラインが、たとえばA,B,Cの3つの工程からなる場合、あるいはA,B,Cの3つの区間からなる場合、これらの工程または区間の搬送経路毎に、ローラー径Dの異なる搬送ローラー1を配置して、ガラス基板4を搬送する。
【0036】
あるいは、上記の工程または区間の搬送経路毎に、ガラス基板4の端辺からローラー3までの距離L1,L2,L3が異なる搬送ローラー1を配置して、ガラス基板4を搬送する。
【0037】
この場合、同じ工程または区間内の搬送経路には、同じ位置に同じ径のローラーを取付けた搬送ローラー3を配置する。
【0038】
上記の搬送ローラー1のローラー3の径Dを異ならせること、および搬送ローラー1のローラー3のガラス基板4の端辺からの距離L1,L2,L3を異ならせることは、いずれか一方だけを行ってもよいし、両方同時に行ってもよい。
【0039】
各工程または区間におけるローラー3の径と、基板端辺からローラー3までの距離は、以下のようにする。工程または区間がA,B,Cの3つの工程または区間からなる場合、
A工程またはA区間では、
ローラーの径:Da または、かつ
ガラス基板の端辺から第1列目のローラー3−1までの距離:La1
ガラス基板の端辺から第2列目のローラー3−2までの距離:La2
ガラス基板の端辺から第3列目のローラー3−3までの距離:La3
【0040】
B工程またはB区間では、
ローラーの径:Db または、かつ
ガラス基板の端辺から第1列目のローラー3−1までの距離:Lb1
ガラス基板の端辺から第2列目のローラー3−2までの距離:Lb2
ガラス基板の端辺から第3列目のローラー3−3までの距離:Lb3
【0041】
C工程またはC区間では、
ローラーの径D:Dc または、かつ
ガラス基板の端辺から第1列目のローラー3−1までの距離:Lc1
ガラス基板の端辺から第2列目のローラー3−2までの距離:Lc2
ガラス基板の端辺から第3列目のローラー3−3までの距離:Lc3
とする。ただし、Da≠Db≠Dc、Lan≠Lbn≠Lcn(n=1,2,3,…)
【0042】
このように、ローラーの直径、またはローラーの位置、または両者を複合して変更することで、傷を発生させた搬送装置の工程または区間の特定が即座にできる。
【0043】
本例では、3つの工程または区間で例を示しているが、必要に応じて複数の工程または区間に分割してもよい。
【0044】
図4はガラス基板についた傷の周期とローラーの径との関係を示す説明図である。図において、Gは搬送ローラー1のローラー3の回転方向、Hはガラス基板4の搬送方向である。
搬送ローラー1のローラー3に、たとえば金属粉のような、ガラス基板4に傷をつける異物Jが付着している場合、ローラー3の直径がDであれば、そのローラー3の異物Jによってついた傷Fの周期はπ×Dとなる。したがって、ガラス基板4についた傷Fの周期を調べることで、ローラー3の径Dを知ることができる。
【0045】
これにより、工程または区間ごとにローラー3の径Dを変えておけば、ローラー3の径Dから、ガラス基板4についた傷がどの工程または区間でついた傷であるのかを特定することができる。
【0046】
図5はガラス基板についた傷の基板端辺からの距離を示す説明図である。
搬送ローラーのローラーに、例えばガラス基板4に傷をつけるような異物が付着している場合、ガラス基板4の端辺(図中下辺)からその傷までの距離Lを調べる。
【0047】
これにより、工程または区間ごとに搬送ローラーのローラー取り付け位置、つまりガラス基板4の端辺からローラーまでの距離Lを変えておけば、ガラス基板4についた傷の位置、つまりガラス基板4の端辺から傷までの距離Lから、ガラス基板4についた傷がどの工程または区間でついた傷であるのかを特定することができる。
【0048】
図6(a)および図6(b)はガラス基板の傷を調べる検査ステーションの概要を示す説明図である。図5(a)は平面図、図5(b)は側面図である。
ガラス基板4を搬送する製造ライン上の搬送経路には、一箇所または複数箇所に、図に示すような検査ステーションが設けられている。この検査ステーションで、ガラス基板についた傷や欠陥、あるいは外観不良を検査する。
【0049】
この検査ステーションでは、ガラス基板についた傷や欠陥、あるいは外観不良を容易に発見できるように、検査用パネル12を配置している。この検査用パネル12の上に、搬送されてきたガラス基板4が保持されるようになっている。検査用パネル12には、搬送ローラー1のローラー3の位置に貫通孔が設けられている。検査用パネル12としては、アクリル板などを適用する。
【0050】
そして、検査ステーションには、検査用パネル12の上側に反射照明13を設置するか、または下側に透過照明14を設置する。これらの反射照明13と透過照明14は、両方設置して、必要なときに必要な部分のみ点灯させてもよい。これらの反射照明13と透過照明14は、ガラス基板の傷を発見しやすいように、均一な光を投下できるものを適用する。
【0051】
検査用パネル12は、ガラス基板のように透明な基板を検査する場合には、背景の雑音を低減して、欠陥の検出確率を高くするために、単一色の板とすることが望ましい。この単一色としては、ガラス基板4の傷や欠陥、あるいは外観不良を検出しやすい色が望ましく、たとえば白色や緑色などを適用する。
【0052】
検査用パネル12は、透過照明14を設置する場合には、半透明のものを用いることが望ましい。また、検査用パネル12を設置した部分の搬送ローラー1の色は、検査用パネル12と同じ色にすることが望ましい。
【0053】
この検査ステーションでのガラス基板の検査は、人間の目視で行うようにしてもよいし、ガラス基板をビデオカメラで撮影してその画像を認識させ、CPUで傷を自動判定させることで行うようにしてもよい。この自動判定は公知の画像処理の技術を適用して行うことができる。ビデオカメラで検査を行う場合には、全て自動で処理するようにしてもよいし、画像の認識で傷の見分けがつきにくい場合にだけ、人間がモニターを目視して傷の判別を行うようにしてもよい。
【0054】
検査ステーションでの検査により、ガラス基板に傷が発見された場合には、ガラス基板に印された傷の周期と、傷の基板端辺までの距離との、いずれか一方または両方を調べる。
【0055】
工程または区間ごとに、搬送ローラーのローラー径、および/または、搬送ローラーのローラー取り付け位置を変えておくことにより、ガラス基板についた傷の周期、および/または、傷の基板端辺までの距離から、ガラス基板についた傷がどの工程または区間でついた傷であるのかを特定することができる。
【0056】
この場合、ガラス基板の検査を目視で行う場合には、傷の周期および傷の基板端辺からの距離を測定するための目盛を検査用パネルに印刷しておき、その目盛を利用して、傷の周期や傷の距離を測定してもよい。その後、その測定した値をパーソナルコンピュータ等に入力することで、その値に該当する搬送ローラーが配置された工程または区間が自動的に判別されて、その工程または区間が表示または印刷されるようにしておく。
【0057】
ガラス基板の検査をビデオカメラの撮影で自動的に行う場合には、画像処理で傷の座標が分かるので、CPUにより、その座標から傷の周期と傷の距離を算出し、算出した傷の周期または傷の距離から、該当する搬送ローラーが配置された工程または区間が自動的に判別されて、その工程または区間が表示または印刷されるようにしておく。
【0058】
このように、搬送ローラー起因の異物付着、または傷などの欠陥が発生した場合、傷の周期、または基板端辺からの傷の距離を測定することで、欠陥を発生させた搬送装置の特定が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の搬送装置の構成を示す説明図である。
【図2】縦型搬送装置の例を示す説明図である。
【図3】ガラス基板を搬送する工程または区間を示す説明図である。
【図4】ガラス基板の傷の周期とローラー径との関係を示す説明図である。
【図5】ガラス基板の傷の基板端部からの距離を示す説明図である。
【図6】検査ステーションの概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送ローラー
2 支持ロッド
3 支持ロッドに取り付けられたローラー
4 ガラス基板
11 下部ローラー
12 検査用パネル
13 反射照明
14 透過照明

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラーを同軸上に取付けた搬送ローラーを搬送経路に多数配置してフラット表示パネル用の平面基板を搬送するに際し、
平面基板の搬送経路を複数の仮想ブロックに分割し、
分割した仮想ブロックの搬送経路毎に異なる位置および/または異なる径のローラーを取付けた搬送ローラーを配置するとともに、同一仮想ブロック内の搬送経路には同じ位置に同じ径のローラーを取付けた搬送ローラーを配置し、
平面基板搬送後に基板の搬送ローラー接触面の傷を検査し、
傷の位置または傷の間隔から傷の原因となった搬送ローラーが配置された仮想ブロックの搬送経路を特定することからなる平面基板搬送方法。
【請求項2】
搬送ローラーは、平面基板の搬送方向に対して交差する方向に配置された支持ロッドと、その支持ロッドに一定の間隔を置いて取付けられた同じ径の複数のローラーとからなり、ある仮想ブロックに配置された搬送ローラーと、その仮想ブロックとは異なる仮想ブロックに配置された搬送ローラーとで、搬送ローラーに取付けたローラー間の間隔が異なる請求項1記載の平面基板搬送方法。
【請求項3】
搬送ローラーは、平面基板の搬送方向に対して交差する方向に配置された支持ロッドと、その支持ロッドに一定の間隔を置いて取付けられた同じ径の複数のローラーとからなり、ある仮想ブロックに配置された搬送ローラーと、その仮想ブロックとは異なる仮想ブロックに配置された搬送ローラーとで、搬送ローラーに取付けたローラーの直径が異なる請求項1記載の平面基板搬送方法。
【請求項4】
搬送ローラーは、平面基板の搬送方向に対して交差する方向に配置された支持ロッドと、その支持ロッドに一定の間隔を置いて取付けられた同じ径の複数のローラーとからなり、ある仮想ブロックに配置された搬送ローラーと、その仮想ブロックとは異なる仮想ブロックに配置された搬送ローラーとで、搬送ローラーに取付けたローラー間の間隔とローラーの直径との双方が異なる請求項1記載の平面基板搬送方法。
【請求項5】
平面基板についた傷の原因となった搬送ローラーの属する仮想ブロックの特定が、平面基板についた傷の基板端部からの距離を調べ、その距離から搬送ローラー上のローラー取付け位置を推定して、その取付け位置のローラーを備えた搬送ローラーの属する仮想ブロックを調べることからなる請求項1記載の平面基板搬送方法。
【請求項6】
平面基板についた傷の原因となった搬送ローラーの属する仮想ブロックの特定が、平面基板に搬送方向に沿って2箇所以上の傷がある場合には傷の間隔を調べ、その傷の間隔からローラーの径を推定して、その径のローラーを備えた搬送ローラーの属する仮想ブロックを調べることからなる請求項1記載の平面基板搬送方法。
【請求項7】
平面基板の搬送経路または搬送経路の近傍に、基板の傷を検査する検査ステーションが設けられてなる請求項1記載の平面基板搬送方法。
【請求項8】
前記検査ステーションに、基板の傷を検査するための照明が取り付けられてなる請求項7記載の平面基板搬送方法。
【請求項9】
前記検査ステーションには、基板の搬送ローラー接触面側に単一色の検査用パネルが配置されてなる請求項7記載の平面基板搬送方法。
【請求項10】
搬送経路に配置した多数の搬送ローラーでフラット表示パネル用の平面基板を搬送した後、基板の搬送ローラー接触面の傷を検査し、傷の位置または傷の間隔から傷の原因となった搬送ローラーが配置された搬送経路を特定する平面基板搬送方法に適用される平面基板搬送装置であって、
複数のローラーを同軸上に取付けた搬送ローラーを多数備え、
多数の搬送ローラーは、平面基板の搬送経路に複数の仮想ブロックに分割されて配置され、分割された仮想ブロックの搬送経路毎に異なる位置および/または異なる径のローラーを取付けた搬送ローラーが配置されるとともに、同一仮想ブロック内の搬送経路には同じ位置に同じ径のローラーを取付けた搬送ローラーが配置されてなる平面基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−16162(P2006−16162A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196830(P2004−196830)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(599132708)富士通日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】