説明

廃棄物を処理するための方法および装置

廃棄物処理装置(5)は、容器(20)およびこの容器に設置された、可変性の炎を備えるACプラズマトーチ(35A、35B)を備える。トーチにより生成される炎は、処理される廃棄物の特徴に依存して、調節され得る。廃棄物は、容器内に導入され得、そして、炎からのエネルギーにより加熱され得る。このエネルギーは、廃棄物の無機部分を溶融またはガラス化し得、そして、廃棄物の有機部分をガス化および分離し得る。この分離は、廃棄物の有害もしくは毒性の構成成分を破壊し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2004年3月19日に出願された、米国仮出願第60/554,879号(発明の名称「Method and Apparatus for Treating Waste」、これは、本明細書中に参考として援用される)に対する継続出願としての優先権を主張する。
【0002】
本発明は、廃棄物の処理に関し、より具体的には、有害な物質および有害でない物質の制御された熱破壊(controlled thermal destruction)に関する。
【背景技術】
【0003】
埋立地に廃棄物を置くことは、以前は、ゴミ処理(disposal)の一般に認められた方法であった。埋め立てのゴミ処理の結果がより詳しく調べられると、公的な反対勢力および規制の圧力が、埋め立ての手法を制限し、そして、産業界に、代わりに焼却(結果として、経済的で、かつ、ゴミ処理問題に対処するようである利用可能な唯一の他の技術)を採用することを強いた。
【0004】
焼却は、埋め立て空間が、利用可能でないか、または、非常に高価である場合に有用であることが分かったが、多くの理由から、焼却はまた、一般に不適切であった。例えば、医療用廃棄物の塩基性の性質は、焼却炉に実質的な問題を生じる。焼却炉を使用して、医療用廃棄物を燃焼させる際に遭遇する主要な問題の1つは、廃棄物の不均一性である。この問題は、焼却炉が、廃棄物中の全ての有機物および無機物を完全に処理するために、十分に高い一定温度を維持することを妨げ、これにより、有害な底部灰または飛灰を生じ得る。例えば、このような廃棄物の第1のバッグは、流体のコンテナ、血液で浸された包帯、および鋭利な物体(シリンジ、ガラス、金属外科用具など)で満たされ得るが、一方で、第2のバッグは、大部分は、プラスチック、紙、包装材料、パッド、手術衣、ゴム手袋などを含み得る。これらの2つのバッグは、個々に焼却炉内に搬送されて、完全に異なる燃焼条件を生じる。第1のバッグは、燃焼プロセスを急冷および冷却し、一方で、第2のバッグは、加速して、温度を上昇させる。
【0005】
低温サイクルの間、不完全燃焼の産物(汚染物質)および潜在的な有害な有機物質(例えば、ジオキシン、フラン、および温室効果ガス)が生成し、最終的には、大気中に放出され得る。高温サイクルの間、粒子状物質、二酸化窒素および金属酸化物(例えば、公知の発癌物質である、6価クロム)の放出が増加する。
【0006】
廃棄物を燃焼容器に搬送する前に、廃棄物を裁断することは、廃棄物を均一化および混合し得るが、これは、廃棄物の潜在的な感染性の性質、ならびに、多数の内部成分と、感染物質が回収され得、そして消毒を逃れ得る、小さな閉じ込められた場所とを有するシュレッダーを消毒する際の固有の問題に起因して、許容可能ではない場合がある。さらに、いくつかの州は、感染性廃棄物のバッグが、その最終的な処理の前に開かれることを禁止する法律を有し得る。
【0007】
焼却炉内の温度制御の問題を悪化させる(compound)のが、(連続的な供給と対照的に、)一般に使用されている供給のバッチ法である。この方法において、ラムシステムが、通常、ある分量の廃棄物を燃焼容器内へと押し出すために使用される。焼却炉は、廃棄物が燃焼する際の燃料として、廃棄物自体に頼っているので、容器の温度は、容器内の可燃性廃棄物の量が変わるにつれて変動する。この問題は、特に、スタートアップおよびシャットダウン時に目立つ。温度はまた、供給速度の変化と共に変動し、そして、焼却炉は、低下した供給速度において、不十分に作動し得る。
【0008】
医療用廃棄物および他の廃棄物の流れにおいて一般に見られる無機廃棄物成分の処理は、このような温度を必要とするので、高温を達成および維持することが重要であり得る。高温は、例えば、実験室において使用されるステンレス鋼およびホウケイ酸ガラスを溶融するために必要とされ、そして、焼却炉は、これらの温度に達するための燃焼プロセスを補完するために、化石燃料の追加を必要とし得る。
【0009】
有機廃棄物の破壊はまた、高温を必要とするが、高温で溶融する代わりに、このような廃棄物は、十分な空気が存在すれば、分解および燃焼する。燃焼プロセスは、十分な熱エネルギーが、プロセスの間に放出されて、さらなる材料を分解させる場合にのみ、自立し得る。しかし、これは、特に、湿った物質および無機物質が供給元に存在する場合、焼却炉における問題となり得る。このような条件下では、高く、連続した作動温度を維持することは可能ではない場合がある。
【0010】
プラズマトーチを用いて、低く、変動する温度の問題を改善する装置は、部分的な解決を達成するのみである。例えば、公知のラム(または、バッチ)供給システムは、ガスの流速および温度における有意な変動を生じ、そして、排気ガス温度を、複雑な有機化合物の改質が最小になるような安全な高レベルに保つための予備的な手段を備えない。例えば、オフガス配管(off−gas piping)は、ステンレス鋼から構成され、そして、粒子状物質の回収のために、ステンレスのサイクロンをもたらし、これが、ガスの温度を、十分に低い範囲(すなわち、約350℃〜500℃の範囲)に下げる。ガスの温度がこのような温度まで下がる場合、所望されない有機化合物、および部分的に多環の芳香族炭化水素(PAH)の有意な改質が生じ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図面を参照して、廃棄物処理システム5が、本明細書中で、以下に詳細に記載される。廃棄物処理システム5は、エネルギーを適用すると分解(decompose)され得る、あらゆるタイプの生成物を処理するために使用され得る。例えば、地方自治の(municipal)固体廃棄物、医療用廃棄物、熱電池、飛灰および底部の灰、ならびに、軍用廃棄物(例えば、武器の部品)を処理するために使用され得る。廃棄物処理システム5はまた、PCBで汚染された物質、産業用および実験用の溶媒、有機化学物質および無機化学物質、殺虫剤、有機塩化物、精油所の廃棄物、オフィスの廃棄物、カフェテリアの廃棄物、施設管理の廃棄物(例えば、木製のパレット(wooden pallet)、油、グリース、破棄された照明器具、庭の廃棄物、廃水汚泥、ならびに薬学的廃棄物のような、他の廃棄物を処理するためにも使用され得る。廃棄物は、さらに、有機成分および無機成分を含み得、そして、固体物質および/または液体物質の形態であり得る。
【0012】
参照を容易にするために、図面および明細書は、ときおり、廃棄物を、医療用廃棄物と呼び、これは、例えば、血液で浸されたスポンジ、包帯、鋭利なもの(例えば、針、カミソリの刃、外科用メス、および他の器具)のコンテナを含む、感染性廃棄物のバッグを含み得る。しかし、他に述べられない限り、または、文脈から明らかでない限り、医療用廃棄物、または、いくつかの他の特定のタイプの廃棄物に対して参照がなされる場合、他のタイプの廃棄物も包含することが理解されるべきである。
【0013】
図1および2を参照して、廃棄物処理システム5は、廃棄物供給システム10(例えば、本明細書中に参考として援用される米国特許第5,534,659号に開示される供給システム)を備える。供給システム10は、廃棄物「W」を、廃棄物処理容器または熱分解容器20へと供給する。供給システム10は、供給ホッパー12の上に位置決めされた充填ホッパー11を備える。エアロックドア13は、充填ホッパー11のためのスライド式カバーとして機能する。廃棄物が充填ホッパー11内に入れられるべき場合、ドア13は、示されるように、開いた位置へと動く。充填が完了した後、ドア13は、矢印「A」の方向に閉じて、充填ホッパー11を覆う。第2の、交互に開くスライド式エアロックドア14は、例示される閉位置にある場合、充填ホッパー11を供給ホッパー12から分離する。供給ホッパー12を充填するために、ドア14は、矢印「B」の方向に開いて、その一方で、ドア13は(供給ホッパー12から環境へのあらゆる排気の放出も防止するため、そして、供給ホッパー12内への空気の導入を最小にするために)閉じる。ドア13および14の各々は、充填ホッパー11の側壁にあるシールと協働して、排気が供給システム10から漏れないように防止する、適切なシールを備え得る。
【0014】
無機「粉末状」タイプの廃棄物流れ(例えば、焼却炉の灰、電気炉の塵、もしくは、廃水処理プラントの汚泥、または、他のタイプの廃棄物)が、代替的な様式で、供給ホッパー12内へと導入され得る。第3のスライド式エアロックドア14Aが、供給ホッパー12の側部に提供される。ドア14Aは、ドア13および14と類似の様式で作動され得る。ドア14Aは、さらに、スライドドア13および14のいずれかが開いている場合には、開かれ得ないように、インターロックされ得る。
【0015】
パージシステム41は、窒素のようなガスを、供給ホッパー12内へ、および/または、供給システム10内の他のポイントに導入するために提供され得る。パージシステム41は、窒素源(例えば、窒素タンク)、窒素源と供給ホッパー12とを相互接続する配管、および、供給ホッパー12内に導入される窒素の量と、パージのタイミングを調整するための適切なバルビング(valving)から構成され得る。さらに、パージシステム41は、スライド式ドア13および14と共に選択的に作動され得る。この様式において、パージシステムは、ドア13および14が開く前または開いている間に、供給システム10内に含まれるようになり得る、有害な排気をパージし得る。パージシステム41はまた、熱分解容器20内で生成された可燃性ガスが、容器20または供給ホッパー12から逃げる量を制限し得る。窒素ガスは、以下にさらに詳述するように、容器20内へと通風される。
【0016】
供給ホッパー12の内部は、比較的仕切りが無く、妨害物を含まず、そして、感染性物質が蓄積し得る極小の裂け目または割れ目を含み得る。この設計は、供給ホッパー12および片持ち梁式ねじタイプのオーガー16が、消毒システム(disinfectant system)21により消毒されることを可能にすることを助け得る。消毒システム21は、適切な消毒剤が保持される供給容器22を備える。例えば、6%過酸化水素溶液を含む消毒剤が使用され得る。容器22は、供給ライン23によって、供給ホッパー12内に設置された注入ノズル24に接続される。消毒剤は、ポンプ25によって加圧される。
【0017】
ノズル24は、供給ホッパー12内の全領域が、消毒剤の噴霧に供されて、供給ホッパー12のドア14が開かれた場合に、毒性もしくは有害な排気の放出を防止または最小にすることを助け得ることを保証するように配置されることが望ましい。代替的な実施形態において、いくつかのノズルが使用され得、各ノズルが、供給ホッパー12の異なる部分に消毒剤を噴霧するように位置決めされ得る。また、供給ホッパー12内の全領域に消毒剤を噴霧することが望ましいが、消毒剤は、決して全領域に噴霧されるわけではない。適用された後、消毒剤は、熱分解容器20内に排出され、そして、廃棄物として処理される。
【0018】
排気システム15は、供給ホッパー12と熱分解容器20との間に提供され得る。パージシステム41により導入されるガス(例えば、窒素ガス、および任意の毒性/有害なガス)は、排気システム15を通って熱分解容器20内へと排出され得る。ガスは、例えば、供給システム10の下流に配置されたドラフトファン19、および/または、排出−ベンチュリクエンチャ65によって生成される真空の結果として、排出され得る(図1を参照のこと)。
【0019】
廃棄物が、充填ホッパー12内に入れられた後、オーガー16が、充填された廃棄物を、裁断し、混合し、圧縮し、そして、供給管17内に押し出す。オーガー16は、モーター101(例えば、可変性の速度駆動部(speed drive)を有する水圧モーター)により駆動され得る。供給管17は、水冷式ジャケット17’に囲まれ得、容器20内の温度上昇に暴露され得る供給管17を冷えた状態に維持することを補助し、そして、供給管17の構造的な一体性を維持することを補助する。水冷式ジャケット17’は、ポンプを備える水源に接続され得る。水は、ポンプによって、水冷式ジャケット17’の容器20に最も近い側から反対側へ、および、水冷式ジャケット17’の供給ホッパー12に最も近い側から反対側への2方向で循環され得る。あるいは、水は、両方向に循環され得る。また、水は、2つのループで循環され得、このうち、一方のループは、水を水冷式ジャケット17’の容器20に最も近い部分へと循環させ、そして、もう一方のループは、水を、水冷式ジャケット17’の供給ホッパー12に最も近い部分へと循環させる。
【0020】
供給管のスライドゲート18(水冷式でもあり得る)は、供給管17の一部を熱分解容器20内で生成される熱から隔離するために、熱分解容器20の入口ポートに向けて提供される。あるいは、スライドゲート18は、供給ホッパー12の出口またはその付近(すなわち、供給管17の開始点)に位置し得る。ゲート18の開閉は、自動的に制御され得、そして、スライドドア13および14のいずれかが開いている場合には、ゲート18は開かれ得ないように、インターロックされ得る。
【0021】
作動時に、オーガー16は、供給管17内の濃密な円筒型プラグ102内に、液体廃棄物および固体廃棄物を一緒に形成し得る。廃棄物は、(ゲート18が開いている場合)供給管17を通って、制御され、かつ望ましい連続した速度で、熱分解容器20内に導入され得る。この様式で廃棄物を容器20内に導入することにより、詰まった廃棄物の制御された表面領域を、熱分解プロセスに供し、そして、熱分解の結果として生成されるガスの形成を調整することを補助し得る。オーガー16は、容器20内に供給される廃棄物流れ内のエアポケットの巻き込みを最小限にすることを補助し得る。
【0022】
廃棄物は、容器20の底付近で、スラグプール103内に直接導入され得るか、または、プラズマの炎内、もしくは容器20内の他のポイントに、直接導入され得る。しかし、使用される特定の供給システムが、一般に、特定用途向けであることが理解されるべきである。廃棄物を容器20に供給または送るための、任意のタイプの公知の手段、または、引き続き開発されているあらゆる手段が、本明細書中に記載される廃棄物処理システム5と共に使用され得ることが理解されるべきである。
【0023】
有機廃棄物および無機廃棄物は、本明細書中に記載される廃棄物処理システム5を用いて、別々に、または同時に処理され得る。廃棄物を別々に処理するために、無機廃棄物の流れと有機廃棄物の流れは、供給システム10内に別々に導入され、そして、容器20内に供給される。廃棄物の流れを同時に処理するために、廃棄物の流れは、供給システム10内に同時に導入され、この供給システム10内で、廃棄物が、裁断され、混合されて、均質な混合物を生じ、これが次いで、容器20内に供給される。等しい割合または等しくない割合の有機廃棄物および無機廃棄物が、本明細書中に記載される廃棄物処理システム5を用いて処理され得る。
【0024】
廃棄物が容器20内に供給される所望の速度は、例えば、廃棄物の特徴、プラズマ発生システムから利用可能なプラズマのエネルギー、ならびに、熱分解容器20内の温度および酸素の条件に依存する。供給速度は、まず、処理される特定の廃棄物のタイプを処理するために必要とされるエネルギーの見積もりに基づいて計算され得る。所望の供給速度は、システムの実際の作動により決定され、そして、熱分解容器20内の所望の平均温度を維持するように選択される。以下により詳細に記載される、ACプラズマトーチ35Aおよび35Bは、炎「F」を生成し得、これは、熱分解プロセスの間に、廃棄物により吸収される、エネルギーを熱分解容器20内に入力する。所定の時間にわたり維持される過剰な供給速度は、熱分解容器20の内部温度を、処理される廃棄物に依存して上下させ得る。不適切な供給速度は、熱分解容器20を、過熱または加圧し得る。従って、所望の供給速度は、所望の平均温度(約1,370℃〜1,850℃の範囲内であり得る)を達成するように選択される。廃棄物処理システムの例は、500kWのACプラズマトーチを用いて、1時間あたり、およそ1000ポンドの廃棄物を処理し得るものである。この電力規格の約1/2のACトーチおよび比例的により小さい処理容器を備えるシステムは、1時間あたり、約500ポンドを処理する。
【0025】
容器20は、プラズマアーク加熱炉であり、還元性雰囲気下で、約1,850℃までの耐温度に設計され得る。例えば、容器20は、炭素鋼、ステンレス鋼、および/または、他の物質(例えば、Hastelloy)から作製され得る。容器20は、主要セクション28を備え、これは、四角もしくは円筒形の形状であり得るか、または、いくつかの他の様式の形状であり得る。容器20はまた、フラットルーフセクション29および下部セクション30を備え、この下部セクション30は、ボウル形状の部分を備える。これらのセクションは、気密構造を提供するように、フランジ付きのジョイント31および32で組み立てられる。仕切りの無いスペース810を取り囲む上部構造体は、耐熱性アルミナで裏打ちされている。下部セクション30のボウル形状の部分は、クロムを含有する耐熱性アルミナで裏打ちされており、これは、スラグプール103(本明細書中にさらに記載される)内に含まれるスラグおよび溶融金属により生じる腐食を阻害し得る。
【0026】
容器20は、全体的に水平方向に順応した(horizontally oriented)構造であり、これは、他の構造体を上回るいくつかの利点を有する。例えば、この構造は、ACトーチ35Aおよび35Bと、ボウル形状の下側部分との間の距離を減らし得、以下にさらに記載されるように、融解およびタッピングを促進し得る。さらに、トーチ35Aおよび35Bは、それゆえ、容器20の仕切りの無いスペース810内に侵入することなく、設置され得る。
【0027】
容器20は、処理される廃棄物の特徴に基づいた、最適な形状であり得る。例えば、廃棄物が、ある割合の無機物質を含む場合、容器20は、ボウル形状の下側部分を有する形状であり得る。さらに以下に記載されるように、無機物質がチャンバ内に供給されると、無機物質は、融解またはガラス化され、そして、ボウル形状の下側部分に、重力により含まれるスラグプール103を形成し得る。従って、ボウル形状の下側部分の容積は、作動時にスラグプール103を含むために十分大きくあり得る。
【0028】
廃棄物が、ある割合の有機物質を含む場合、例えば、容器20は、仕切りの無い領域810を有する形状であり得る。さらに以下に記載されるように、有機物質が容器20内に供給されると、廃棄物は、容器20内でその元素成分に分離され、ガス化される。仕切りの無い領域810は、有機廃棄物をガス化して、(炎「F」からのエネルギーを吸収する)容器20の周りを循環させ、そして、容器20を出る前に、その元素成分に分離させるために、十分に大きくあり得る。
【0029】
廃棄物が、ある割合の有機物質とある割合の無機物質とを含む場合、容器は、ボウル形状の下側部分および仕切りの無い領域810を有する形状であり得る。1日あたり5トンの有機廃棄物および/または無機廃棄物を処理する例示的な容器は、約50立方フィートの総容積を有し、約8立方フィートのボウル形状の容積を有し、そして、その全体の寸法は、高さ約62インチ×97平方インチである。しかし、容器20の最適な寸法は、用途に依存する。
【0030】
ACプラズマトーチ35Aおよび35Bは、容器20のトーチを受容する開口部36を通して設置され得る。2つのトーチが図示されているが、1つ以上のトーチが使用され得る。例示的なACプラズマトーチは、The Institute for Problems of Electrophysics−Russian Academy of Sciences(IPE−RAS)(St.Petersburg,Russia)により製造される。望ましくは、トーチ35Aおよび35Bは、トーチの本体が容器20の内側に侵入しないように設置される。この様式でトーチを設置することによって、トーチを冷却する充填物は減少され得、こうして、作動時の熱効率を高め、コストを下げ得る。さらに、送水管がトーチ35Aおよび35Bの内側で壊れた場合、水は、容器20内に流れない。しかし、他の実施形態において、トーチ35Aおよび35Bの本体は、部分的または完全に容器20に侵入する。
【0031】
トーチ35Aもしくは35Bのいずれか、または両方は、廃棄物処理システム5の作動時に活性化され得る。トーチの電極の交換が、第1のトーチで行なわれる間に、システムがダウンする時間を減少または排除するために、他のトーチが提供され得る。一方のトーチが交換または固定される場合、もう一方のトーチが使用され得る。作動していないトーチは、スライドゲートによって、容器20から隔離され得る。これは、作動スケジュールに有意な影響を与えることなく、トーチのメンテナンス、および電極の交換を容易にすることを助け得る。
【0032】
しかし、他の実施形態において、1つのトーチのみが提供され、そして使用され得るか、または、2つ以上のトーチが提供され、そして使用され得る。さらに、2つ以上のトーチは、電源が作動されたトーチの各々に提供されている限りは、同時に、もしくは、交互に、もしくは、断続的な様式で作動され得る。
【0033】
トーチ35Aまたは35B(トーチ35Aは、図2に示される実施形態において、作動状態で示される)は、約6,000℃を超える温度でプラズマ炎「F」を排出する。炎「F」は、エネルギーを提供し、これは、約1,370℃〜約1,850℃の範囲内で所望される均一な温度まで、容器20の内部を加熱する。非運搬タイプのトーチは、有機物の含有量が多くあり得る医療用廃棄物を処理するために使用され得る。運搬タイプのトーチとは対照的に、非運搬タイプのトーチは、よりシンプルな機械的制御要件の利点を提供し得る。なぜならば、連続的なトーチの動きが必要とされず、バルクガスの加熱効率が高まり、特に、加熱期間の間に、アークの安定性が増し、加熱炉の設計を単純化し、そして、全体的なシステムの信頼性が高まるからである。非運搬タイプのトーチにおけるアークは、さらに、廃棄物がシステム内に導入される場合に、「短絡」にならない。プラズマ加熱システム35はさらに、電源、サポートユーティリティ(例えば、プラズマガスコンプレッサー)および冷却システムを備える。
【0034】
廃棄物処理システム5は、ACプラズマトーチを使用し得る。ACトーチは、DCトーチと比較してより広汎性でかつ高密度な、固有の安定したプラズマ柱(plume)を有する。幅の広い柱は、本明細書中にさらに記載されるように、トーチが、処理される廃棄物中の有害な成分の分子分離を達成する能力を増強する。さらに、ACトーチは、代表的に、DCトーチよりも低い作動コストを有し得る。ACトーチにおいて使用される電極は、DCトーチにおいて使用される電極よりもコストが低い。ACトーチは、さらに、固有に高い電気−熱効率を有する。炎がDCプラズマトーチにおいて変えられる場合、さらに、トーチ電極の寿命は、有意に減少し得る(なぜならば、DCトーチ電極は、固定されたトーチガスの圧力で設計されているからである)。一方で、例えば、本明細書中でさらに議論されるように、電流を変えることによって、炎がACプラズマトーチにおいて変えられる場合、トーチ電極の寿命は有意には影響を受けない。
【0035】
DCトーチは、代表的に、トーチの本体が加熱炉に侵入するように、プラズマアーク加熱炉に対して位置決めされる。これは、加熱炉内で生成する高温にトーチ本体を曝露し、次いで、冷却剤(例えば、水)が、トーチ本体を通って連続的に循環することを必要とする。結果として、加熱炉内で生成された熱エネルギーは、トーチおよびトーチ本体に対して損失であり得る。一方で、ACトーチは、トーチ本体が、加熱炉に侵入しないように、加熱炉に対して設置され得る。従って、ACトーチは、少ない量の循環する冷却剤を必要とし得、そして、より多くの量の加熱炉内で生成されるエネルギーが生産的に使用されることを可能にし得る。
【0036】
DCトーチの電極が交換される必要がある場合、トーチ全体は、システムから除去されなければならず、そして、トーチシーリングデバイスは、トーチが取り外される空隙を満たすように、一時的に貼られ得る。対照的に、ACトーチは、電極が交換される必要がある場合に、システムから取り外される必要がない。ACトーチの電極は、インサイチュで交換され得る。しかし、ACトーチを用いることのいくつかの利点にもかかわらず、1または数個のDCトーチは、単独で、またはACトーチと一緒に、本明細書中に記載される廃棄物処理システム5と共に使用され得る。
【0037】
廃棄物処理システム5は、(トーチガスのタイプ、トーチガスの流速およびトーチ電流を制御することによって)トーチ35Aおよび35Bにより生成される炎の柱の長さおよび電力が、処理される廃棄物のタイプに依存して変えられることを可能にし得る。例えば、トーチ電力の出力は、炎を調節するために、4つの電流設定がオペレーターに提供されるように、プロセスモニターおよび制御装置50により調整され得る。設定は、例えば、5つの要因により変動し得る。しかし、任意の数の設定が提供され得、そして、これらの設定は、5以外の要因により変動し得る。
【0038】
有機物質を処理する場合、例えば、炎は可変性であり得、そして、より広くかつより短くなるように調節され得る。この様式において、炎は、容器20内の広い領域をカバーし得る。従って、炎は、容器20内を循環するガスの大部分と接触し、これにより、有機物質の破壊の効率を高め得る。さらに、炎は、スラグプールの大部分の表面と接触し得、これにより、無機物質の溶解を促進し得る。
【0039】
炎の所望のサイズおよび形状は、実施に依存しており、そして、例えば、処理される廃棄物、ならびに、容器の形状および寸法に依存し得る。例示的な炎の形状は、おおよそ楕円形で、直径約6インチ×長さ2フィートである。アクセス・ビューイングポート38が、熱分解容器20の中央セクションに提供される。オペレーターは、ポート38を通して炎をモニターし得る。
【0040】
作動時、廃棄物は容器20内に導入されると、プラズマ炎「F」、加熱された耐熱性の裏打ち、および、容器20内を循環する加熱されたガスからの、対流、伝導および/または放射により、エネルギーを吸収する。一般に、エネルギーは、廃棄物の無機部分(例えば、非毒性金属、毒性重金属、セラミック、ガラス、土および灰)を溶解またはガラス化し、そして、廃棄物の有機部分をガス化および分解する。こうして、トーチ35Aおよび35Bからのエネルギーは、無機廃棄物を融解またはガラス化する目的、および、有機廃棄物をガス化および分解する目的のために、同時に、または、同時でなく使用され得る。
【0041】
まず、廃棄物の無機部分について考えると、これは、溶解されると、ガラス様のスラグのスラグプール103、そして、いくつかの場合には、分離可能であり得る金属層を形成する。熱分解容器20からガラス状のスラグを取り除くために、スラグプール103は、容器20の側部に位置づけされ得るスラグタップ42および46(示さず)を通して排出され得る。タップ42および46は、ガラス状のスラグの蓄積よりも早い速度で、ガラス状のスラグのタッピングを可能にするために適切な直径であり得る。タップ42および46は、同時に、または交互に作動し得る。しかし、望ましくは、タップ42および46は、無機廃棄物の有意な割合が処理される場合は、同時に作動される。なぜならば、スラグプール103を排出するために必要な時間が、1つのタップのみが作動している場合と比べて、減り得るからである。タップ42および46は、タッピングの間の熱分解容器20からのエネルギーの損失を最小にするために、連続的に使用されるのではなく、選択的に使用され得る。従って、タップ42および46は、スタンバイ期間の間、タップ42および46の近くにある、タップ位置決めデバイス(「タッププラグ」)43によりシールされ得る。
【0042】
他の実施形態において、1つのタップのみが提供され、そして使用され得るか、または、2つ以上のタップが提供され、そして使用され得る。さらに、タップは、容器20の側部以外の位置に位置決めされ得る。例えば、タップ42および46は、容器20の底に向けて配置され得る。さらに、他の手段が、スラグプール103を容器20から排出するために使用され得る。
【0043】
無機廃棄物の有意な割合が処理される場合、窒素が、スラグプール103内の酸素の形成を減少もしくは排除し得るトーチガスとして使用され得る。これは、スラグプール103の排出を促進することを補助し得る。なぜならば、金属が、(金属酸化物を形成するのではなく)元素の形態で残るからである。
【0044】
例えば、使用済みの精油用触媒が処理される場合、廃棄物の処理を補助するために、いくつかの添加物が使用され得る。このような触媒は、一般に、比較的高いアルミナ(すなわち、Al)含量を有する。アルミナ含量が高いことに起因して、容器20の耐熱性裏打ちは、このような触媒の処理の間に、腐食または分解され得る。この分解は、アルミナ含量が減るように触媒廃棄物が還元性雰囲気下で処理される場合、回避もしくは最小にされ得る。従って、還元剤(例えば、廃油、石油コークス、医療用廃棄物、または、高レベルの炭素を含有する他の有機的な有害廃棄物)が、使用済みの精油用触媒の処理の間に、廃棄物の流れに加えられ得る。還元剤はまた、スラグプール103の流動性を維持し、タッピングを容易にすることも補助し得る。
【0045】
スラグプールの流動性は、一般に、スラグプール103の組成に依存する。使用済みの精油用触媒廃棄物の処理の結果として生成されるスラグプール103の組成は、カルシウムおよび/またはケイ素を含むフラクシング剤を、触媒廃棄物の流れに加えることによって制御され得る。例示的なフラクシング剤としては、焼却炉の飛灰、廃水処理システムから使用済みの物質、および、例えば、半導体産業により生成されるCaF汚泥が挙げられる。しかし、CaF汚泥がフラクシング剤として使用される場合、触媒廃棄物の流れに加えられる量は、HFガスの生成を最小にするように制御され得る。
【0046】
タップ42および46を通して排出されるガラス状のスラグは、2つの別個の固体残留物取り扱いシステム80および81内へと排出され得る。単純にする目的で、図2には、固体残留物取り扱いシステム81のみが図示される。スラグは、(連続的に再生される水によって)シールされた水タンク80内に排出され得る。固体残留物取り扱いシステム81はまた、運搬および処理のために、コンベヤもしくは他の適切なデバイス82、および貯蔵所85を備え得る。
【0047】
作動時に、溶解した物質(ガラス状のスラグ)は、タップ42および46を通って、スラグ除去システム(例えば、シールされた水タンク80、および付随する構成要素)へと通過し、ここで、物質が迅速に急冷(および凝固)され得、より小さな片へと破砕させる。固体のガラス状スラグは、本質的に不活性であり得る。なぜならば、重金属がこの内部に結合しているからである。結果として、ガラス状のスラグは、固体状態に達することに抵抗し得る。固体のガラス状スラグは、次いで、コンベヤ82によって、シールされた水タンク80から、処理貯蔵所85へと輸送され得る。
【0048】
ガラス状のスラグはまた、タップ42および46を通って、水冷式のスラグタップカート内へと排出され得、このカートは、スラグが冷却され、凝固された後に、容器から除去される。さらなる代替として、スラグは、カート(car)内に含まれる他の具体的に設計された構成要素(例えば、砂によって絶縁された鋳型)内に排出され得る。
【0049】
害が無く、埋め立てる必要のない固体のガラス状スラグは、次いで、多数の商業的用途(例えば、道路建設、コンクリートの骨材、ブラストクリーニングおよび繊維ガラス)のために使用され得る。これはまた、装飾的なタイルへと形成され得るか、または、軽量の予め加工された住宅建築用材料(lightweight pre−engineered home construction material)を生産するために、建築資材と組み合せて使用され得る。
【0050】
ある期間にわたって、金属層が、スラグプール103の底に蓄積し得る。鉄のような特定の金属は、スラグプール103内に含まれるケイ素と容易に反応しない。ガラス状の物質は、これらの金属のうちのいくつかを吸収するが、これらの金属は、廃棄物の流れの中に大量に存在する場合は、蓄積し得る。金属は、タップ42および46を通って排出され得、そして、上記のように処理され得る。
【0051】
ここで、廃棄物の有機部分について考えると、これは、加熱されると、最終的にその元素成分(主に、固体炭素(微細な炭素粒子状物質)および水素ガス)へと分離して、ガス化されるまで、次第に不安定になり得る。酸素、窒素、およびハロゲン(代表的には、塩素)はまた、廃棄物中に存在する場合、炭化水素誘導体中に遊離される。このガラス化および分離のプロセスは、一般に、分子解離による熱分解と呼ばれる。熱分解は、嫌気的もしくは非常に酸素レベルの低い環境下で作動する猛烈な熱が、焼却または「燃焼」とは対照的に、分子を解離させるプロセスである。
【0052】
解離を達成するために要する時間は、異なる物質につきわずかに変動し得るが、代表的には、1,100℃において、多くの化合物について、1秒、しばしば、数ミリ秒で十分である。こうして、一般に、水素原子、酸素原子、窒素原子および炭素原子を含む複雑な有機化合物から構成される有害な廃棄物は、その元素成分へと解離され得る。解離により、廃棄物の有害もしくは毒性の構成成分が破壊され得る。
【0053】
解離すると、酸素および塩素は、生成された炭素および水素と自由に反応し得、そして、理論上は、複雑(かつ潜在的に有害)な有機化合物の広汎なアレイを改質し得る。しかし、このような化合物は、一般に、容器20内で維持される高温においては形成し得ず、この温度においては、限られた数の単純な化合物のみが安定であり得る。これらの単純な化合物の最も一般的かつ安定なものは、(遊離酸素と炭素粒子状物質との間の反応から形成された)一酸化炭素、2原子窒素、水素ガス、および(塩素が存在する場合)塩化水素ガスである。
【0054】
通常は、全ての微細な粒子状物質の炭素を一酸化炭素ガスに変換するためには、不十分な量の酸素が廃棄物から遊離される。廃棄物中の水分は、追加の酸素を遊離し得るが、廃棄物の水分含量が、廃棄物全体に均一に分布しており、少なくとも約30重量%を超える限りは、固体炭素の一酸化炭素ガスへの変換は、最大にはなり得ない。結果として、微細な炭素粒子状物質が同調して、水素の多い気流によって炎「F」が運び出され得る。
【0055】
固体炭素の一酸化炭素ガスへの変換を最大にするために、追加の酸素供給源が使用され得る。従って、本明細書中に記載される廃棄物処理システム5は、炭素粒子状物質の一部分を一酸化炭素に変換するために有効な量の酸化剤を、システム内に注入するための手段を備える。この注入手段は、酸化剤供給システム53であり得、これは、(以下にさらに記載されるように)制御された様式で開かれて、インジェクター45に流れを供給する、流れ発生装置53’および流れ弁54を備える。インジェクター45は、次いで、所定量の流れを、熱分解容器20およびガス通気孔40内に注入する。他の実施形態において、空気または酸素ガスのような異なる酸化剤が、酸化剤として使用され得る。さらに、他の手段が容器20内に酸化剤を導入するために使用され得る。例えば、酸化剤は、トーチ35Aおよび35Bを通して導入され得るか、または、供給管17内で廃棄物と混合され得る。
【0056】
システム内に注入された流れは、遊離炭素を、主に一酸化炭素へと変換し得る。純粋な炭素は、一酸化炭素ガスよりも高い作動温度においてより反応性であるので、容器20内に注入される追加の酸素は、炭素と反応して、一酸化炭素を形成するが、一酸化炭素と反応して二酸化炭素を形成することはないはずである(酸化剤が過剰に添加されないと想定)。二酸化炭素はまた、一酸化炭素よりも高い熱分解温度において、比較的安定性が低い。
【0057】
酸化剤が、インジェクター45を通してシステム内に注入された後、乱流が発生して、炭素および流れを徹底的に混合し、炭素のガス化を促進し得る。容器20は、乱流領域104を備え、そして、ガス通気孔40は、酸化剤が注入され得る乱流領域47を備え、この領域47を、既存のガスおよび同調した炭素が、強制的に通過させられ得る。炭素および酸化剤は、望ましくは、酸化反応を最大にするために十分な時間にわたって、乱流領域内に留まり得る。
【0058】
滞留時間(residence time)とは、ガスおよび同調した粒子状物質、ならびに流れが、容器20およびオフガス配管(すなわち、ガス通気孔40および配管26)の高温領域に留まる時間である。滞留時間は、システムの容積および幾何学、ガスの流速、ならびに、ガスが移動する距離の関数であり得る。ガスの流速が最大である場合、容器20の容積、乱流領域104および47、ならびに、ガスを排出−ベンチュリクエンチャ65へと運ぶオフガス配管は、有機物質の完全な解離と、酸化反応が生じるために十分な滞留時間を提供するべきである。乱流領域104および47は、滞留時間も、容器20もしくはオフガス配管の容積も増加させることなく、炭素と酸素との間の反応の可能性を向上させ得る。
【0059】
インジェクター45を通して添加される酸化剤の量は、厳密に制御され得る。なぜならば、システム内の過剰の酸素は、燃焼を生じさせ、(燃料としての価値のない)二酸化炭素の形成をもたらし得るからである。さらに、望ましくないことに、過剰の酸素は、ポリ芳香族炭化水素、ダイオキシンおよびフランのような化合物の形成をもたらし得る。
【0060】
インジェクター45を通して注入される酸化剤の適切な量は、2つの代替的な手段により決定され得る。一般に、炭素粒子状物質の所望のガス化を達成するために必要とされる酸化剤の量は、生成物の気流における一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンの割合をモニターすることによって決定され得る。これは、第2のガスモニター52(以下にさらに記載される)により達成され得る。しかし、供給における廃棄物の組成が変わるにつれ、一時的かつ迅速な変化が、熱分解容器20に残されるガスに同調した炭素粒子状物質の量において生じ得る。従って、時折、インジェクター45を通して注入される酸化剤の量の即時の調節が、このような急上昇に対応するために必要とされる。この状況において、インジェクター45を通して注入される酸化剤の適切な量は、粒子状物質モニタリングシステムを用いて下流で決定され得る。
【0061】
図3は、廃棄物処理システム5の例示的な粒子状物質モニタリングシステムである、第1のガスモニター51を例示する。第1のガスモニター51は、気流が熱分解容器20を出る際に、気流中の遊離炭素の量を測定し得る。第1のガスモニター51は、容器20からの出口ガス配管26の耐熱性裏打ちに小さなビューイングホール56を有するタップを備え得る。ビューイングホール56は、ステンレス鋼管57、この管を取り囲む水冷式ジャケット58、窒素パージポート59、ガラス製の圧力窓60、光源64、および検出器62に合わされ得る。
【0062】
検出器62は、熱分解容器20に残されたガスを継続してモニターして、炭素粒子状物質を測定し得る。光源64からの特定の波長の光は、ガス管26を横切って、検出器62へと移動する。検出器62に達する光の量は、管26を通って移動するガス内の炭素粒子状物質の密度に依存し得る。炭素粒子状物質は、光源64から放たれる光の散乱および分散を引き起こす。
【0063】
検出器62からの出力は、プロセスモニターおよび制御装置50に接続されたシグナルプロセッサ69に向かう。プロセスモニターおよび制御装置50(図1もまた参照のこと)は、望ましくは、内臓型マイクロプロセッサを有するプログラム可能な論理制御装置、ならびに、インジェクター45を通して注入される流れの量を制御し得る種々の制御装置およびモニタリングデバイスを備える。
【0064】
作動時、検出器62は、有機物質の迅速な分解の後に続き得る、気流内の炭素粒子状物質の急上昇を識別し得、そして、対応するシグナルをシグナルプロセッサ69に送信し、このシグナルプロセッサ69は、シグナルを処理して、プロセスモニターおよび制御装置50の論理装置に向ける。論理装置は、流れ弁54の開きを制御して、容認可能な炭素粒子状物質レベルが回復するまで、インジェクター45を通して酸化剤を直ちに注入させる。こうして、廃棄物処理システム5は、遊離した炭素の量と、この炭素に達することが可能になった酸素の量との間の平衡を達成する。例示的な容認可能な炭素粒子状物質のレベルは、約30グレイン/scfである。
【0065】
図2を参照すると、廃棄物の有機部分の解離および部分的な酸化により形成されるガス(すなわち、大部分は、水素ガス、一酸化炭素ガス、および/または塩化水素ガス)は、容器20内が少なくとも約900℃〜1150℃になるまで加熱され得る。この、合成ガスと呼ばれるガスは、下流のドラフトファン19(図1に示される)により生成される真空によって、出口105を通して、容器20から排出され得る。容器20を出た後、合成ガスは、ガス通気孔40を通り、次いで、配管26を通って移動する。ガス通気孔40および配管26は、約875℃と1350℃との間の温度の合成ガスを排出−ベンチュリクエンチャ65に運ぶように設計され得る。例えば、ガス通気孔40およびガス管26は、耐熱性の裏打ちが施されていて、断熱性であり得る。さらに、ガス通気孔40およびガス管26は、合成ガスの流れへの不必要な空気の導入を防止するために、気密であるように設計され得る。
【0066】
次いで、ガスは、クエンチャ65内で約150℃未満の温度まで急速に冷却される。クエンチャ65は、炭素鋼もしくは専用の金属(specialty metal)(例えば、Hastelloy)、または、合成ガス中に存在するあらゆる酸性ガスにより引き起こされ得る腐食を防止し得る他の適切な材料から構築され得る。クエンチャ65は、耐熱性物質で裏打ちされ得る。
【0067】
噴霧ノズルは、クエンチャ65の上部またはその付近に設置され、そして、クエンチャ65を通して下向きに洗浄溶液(例えば、水)を噴霧する。洗浄溶液は、望ましくは、約750〜1,300リットル/分の速度で、クエンチャ65内に導入される。この速度において、圧力(ドラフト)がシステムを通じて生成され得、これは、トーチ35Aおよび35Bから離れ、クエンチャ65を通るガスの流れを誘導し得る。さらに、供給速度は、噴霧ノズルに対して逆圧を生成して、洗浄溶液を微細な液滴へと微粒子化するのを補助し得る。増加した表面積を提供するので、微細な液滴が望ましい。
【0068】
熱い合成ガスが液滴に接触すると、洗浄溶液は、迅速に加熱されて、そして、蒸発冷却が、迅速に合成ガスの温度を下げて、所望されない複雑な有機分子の改質を防止または最小化する。微粒子化された洗浄溶液はまた、合成ガス中に同調される無機粒子状物質、重金属、および炭素粒子状物質を除去し得る。これらの物質は、洗浄溶液によって重力によりスクラバー再循環タンク809内に運ばれ得る(一方、ガスは、廃棄物処理システム5全体を通り続ける)。
【0069】
クエンチャ65は、いくつかの利点を提供し得る。例えば、クエンチャ65は、高い下降比を提供し、これは、システムが、無機物質を処理する際に生成される低いガスの流れにおいて、そして、有機含量の多い物質を処理する際に生成される高いガスの流れにおいて、効率的に作動することを可能にする。また、クエンチャ65は、高い粒子状物質除去効率と、廃棄物の流れの組み合わせ(例えば、大いに種々の組成を有する医療用廃棄物)を処理する際に生じるガス温度の変動の観点での固有の安定性とを提供し得る。
【0070】
クエンチャ65は、ガスがクエンチャ65に達し、そして迅速に冷却されるまでの熱の損失および冷却を最小にするために、容器20の近くに配置され得る。例えば、高温の熱電対が、容器20を出て、クエンチャ65の入口に近い下流にあるガスの温度をモニターして、合成ガスが適切な温度でクエンチャ65に達したことを確認し得る。
【0071】
有害もしくは毒性の物質(例えば、フランまたはダイオキシン)の形成を最小または防止するために、合成ガスがクエンチャ65内で迅速に冷却される前に、約1,000℃を超える合成ガスの温度を維持することが望ましい。種々の作動パラメータが、好ましい作動範囲内に合成ガスの温度を維持するために使用され得る。容器20内の作動ガスの温度は、例えば、少なくとも部分的に、トーチの入力と、廃棄物の供給速度との平衡の関数である。トーチ35Aおよび35Bは、分子の解離を確実にし、そして、最低のバルク容器温度を維持するための、主要かつ不可欠な熱の量を提供し、これは、ガス温度を決定するものであり得る。廃棄物は、容器内に供給されたときに、熱エネルギーを吸収する。トーチの電力は、主にそのサイズおよび作動パラメータにより固定され得るので、廃棄物の供給速度および添加物(例えば、有機廃棄物/無機廃棄物の組み合わせ)が、容器20が過剰に加熱されるか、または、加熱不足になることを防ぎ、それによって、容器/ガスの温度を調整するために使用され得る。
【0072】
ガスの温度に影響し得る別のパラメータは、二酸化炭素を形成するために生じる燃焼/酸化の量である。例えば、容器20内に追加の過剰な流れを注入することにより、より多い割合の炭素が、二酸化炭素へと酸化され得、(そして、一酸化炭素が二酸化炭素へと酸化され得る)。この反応は、発熱反応であり、そして、さらなる熱を放出し、温度を上昇させる傾向がある。この反応は、廃棄物処理プロセスの開始時には温度を上昇させるように促進され得るが、最終産物のガスの燃料品質を低下させ得るので、最終産物のガスが生産的な使用に意図される場合、これは、このプロセスのあまり所望されない局面である。
【0073】
ガスは、クエンチャ65によって冷却された後、ドラフトファン19によって、合成ガス中のガス状の汚染物質(例えば、酸性ガス)を中和するため、および、合成ガス中に同調したあらゆる残りの無機粒子状物質、重金属または炭素粒子状物質を分離するための手段へと排出される。この手段は、従来の充填層(packed bed)スクラバーのようなスクラバー68であり得る。スクラバー68は、噴霧ノズルを備えるフロースルー容器と、ランダムまたは高性能のパッキングから構成され得、噴霧ノズルは、容器の頂部に配置され、そして、パッキングは、密接なガス−液体接触を提供する。水または中和剤供給源74からの中和剤(例えば、水酸化ナトリウム)と混合された水は、ガスが、パッキングを通って下向きに流れる場合に、重力により、ノズルからパッキングを超えて下向きに流れ得る。例えば、容器20内に形成された塩化水素ガスは、塩基性の中和剤と反応して、塩を形成することによって、スクラバー68内で中和され得るが、一方で、ガスは、スクラバー68を通って移動する。スクラバー68からのブローダウン(blowdown)は、クエンチャ65からのブローダウンと共に、再循環タンク809内に回収され得る。
【0074】
タンク809内に回収される、クエンチャ65およびスクラバー68からのブローダウンの大半は、クエンチャ65およびスクラバー68へと再循環され得る。しかし、ブローダウンの一部は、(重力またはポンプによって)廃水処理システム72へと流され得る。水源73および中和剤供給源74は、調整された量の水および中和剤(例えば、水酸化ナトリウム)を再循環タンク809に供給して、廃水処理システム72へと流れるブローダウンを補う。
【0075】
廃水処理システム72において、粒子状物質は、例えば、粒子状物質を安定させるか、および/または、粒子状物質を、塊にして、より大きな粒子を形成させる、凝集剤(floculant)を追加することによって、濃縮され得る。粒子状物質は、次いで、粒子状物質リサイクリングシステム66に移動されて、そして/または、下水管75に排出され得る。粒子状物質リサイクリングシステム66において、フィルタープレスは、粒子状物質から水(または洗浄溶液)を除去し、そして、粒子状物質のケーキを形成するために使用され得る。ケーキは、供給システム10内に戻して再処理させ得るか、または、処理されるべき別の廃棄物の流れと合わせられ得る。
【0076】
合成ガスは、スクラバー68を出た後、第2のガスモニター52を通過し得、この第2のガスモニター52は、合成ガスの組成のモニターするためのオンラインガスモニターを備える。ガスモニター52は、水素の割合を測定するための熱伝導アナライザ76、一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンの割合を測定するための少なくとも1つの赤外アナライザ77を備え得る。これらの測定値は、合成ガス中の総炭化水素の代表値であり得る。アナライザ76および77は、ガス中の炭素および酸素の割合の全体的な測定値を提供し、この測定値は、全体のプロセスバランスをモニターするため、そして、上述のように、インジェクター45を通して注入される酸化剤の適切な量を大まかに決定するために使用され得る。一般に、合成ガス内で検出される未反応の炭素粒子状物質が多ければ多いほど、インジェクター45を通して抽出されるべき酸化剤の量も多くなる。
【0077】
さらに、第2のガスモニター52は、システム内に空気漏れが存在するかどうかを決定するために使用され得る。このような漏れは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、およびメタンの低い総割合により示され得る。空気(約80%が窒素である)がシステム内に漏れている場合、4つの気体の総割合は、約92〜94%未満であり得る。ガスの割合はまた、このシステムが適切に作動していることを示し得る。
【0078】
合成ガスは、第2のガスモニター52を通過した後、ドラフトファン19を通って排出され、次いで、ベンチュリ流速計19Aによってモニターされ得る。ベンチュリ流速計19Aは、ガスの差示的な圧力を測定する。あるいは、流速計19Aは、ファン19の前に、またはファン19と一緒に配置され得る。流速計19Aからの測定値は、プロセスモニターおよび制御装置50へと送信され、プロセスモニターおよび制御装置50は、容積測定のガス流速を計算し得る。この速度は、廃棄物を処理するための全体的な制御設定を設定することを補助するために使用され得る。例えば、この速度は、システムが、その能力を超えた様式で作動していないかどうかを示し得る。システムが能力を超えて作動される場合、廃棄物は完全には処理も破壊もされず、所望されない汚染物質の放出につながり得る。例示的な流速は、5tpdの物質を処理するシステムについて、1時間あたり、約4,000〜約20,000STD立方フィートである。
【0079】
一般に、プロセスモニターおよび制御装置50は、プロセスの変数をモニターし得、これは、引き続き、廃棄物処理プロセスの所望される最終産物を達成するための、他のプロセス変数を制御するために使用され得る。例えば、廃棄物処理システム5は、解離した元素成分からの有機化合物の改質を制御するように設計され得る。これは、例えば、種々の処理温度および圧力、そしてまた、システム内への酸化剤の注入を制御することによって達成され得る。望ましくは、廃棄物処理システム5は、水素および一酸化炭素の割合を最大にし、そして、合成ガス内の二酸化炭素、炭素粒子状物質および改質された複雑な有機化合物の割合を最小にする。
【0080】
次いで、流速計19Aを出た合成ガスは、公知の従来のエネルギー回収システム70(すなわち、合成ガスのエネルギーを利用するシステム)へと運搬され得る。得られるきれいな燃料ガスは、ほとんどが水素および一酸化炭素であり得、そして、より具体的には、大まかに約45〜55%が水素ガスであり、約30〜40%が一酸化炭素ガスであり得る。ガスは、流れもしくは電気発生設備のための燃料として使用され得るか、または、水素が、きれいな燃料、または多くの重要な製造プロセス(例えば、プラスチックおよびメタノールの生産)における前駆物質として抽出され得る。さらに、電気生成のための天然ガスの代替として、本明細書中に記載されるようにして生成された得られるきれいな燃料ガスは、高価な化石燃料を保存することを助ける能力を有する。
【0081】
図4〜7は、例えば、上記の廃棄物処理システム5を用いて、廃棄物を処理するための例示的な方法の流れ図を示す。しかし、これらの図面においてブロックで例示される方法の工程は、他の順序で実施され得ること、他の工程が追加され得ること、そして/または、1または数個の工程が、省略、削除、または、別の工程と同時に行われ得ることが理解されるべきである。さらに、この方法の工程は、本明細書中に記載されるシステム以外の廃棄物処理システムにおいて実施され得る。
【0082】
図4は、例えば、廃棄物処理システム5を用いて、廃棄物を処理する例示的な方法を示すブロック図である。ブロック402において、トーチが提供される。トーチは、プラズマトーチ、具体的には、ACプラズマトーチであり得る。ブロック404において、廃棄物が提供される。ブロック406において、炎がトーチにより生成される。炎は、例えば、窒素をトーチガスとして用いて生成され得る。ブロック408において、炎が調節される。炎は、例えば、処理される廃棄物の特徴に依存して調節され得る。ブロック410において、廃棄物が、炎からのエネルギーにより加熱される。
【0083】
図5は、廃棄物が加熱された後に、廃棄物を処理するための第1の例示的な方法を示すブロック図である。ブロック502において、廃棄物は、溶解またはガラス化される。ブロック504において、廃棄物は、プールを形成し、そして、ブロック506において、廃棄物が急冷される。ブロック508において、廃棄物が運搬され、そして、ブロック510において、廃棄物が破棄される。
【0084】
図6Aおよび6Bは、廃棄物が加熱された後に、廃棄物を処理するための第2の例示的な方法を示すブロック図である。ブロック602において、廃棄物は、元素成分に解離される。この解離は、廃棄物の少なくとも一部の有害な構成成分を破壊し得、そして、廃棄物の熱分解により達成され得る。ブロック604において、廃棄物がガス化される。ブロック606において、元素成分が、一酸化炭素ガスおよび水素ガスとして改質される。ブロック608において、酸素が提供され、そして、ブロック610において、酸素が、元素成分と合わされて、一酸化炭素ガスを形成する。
【0085】
図6Bに示されるように、ブロック612において、一酸化炭素ガスおよび水素ガスが冷却される。ブロック614において、一酸化炭素ガスおよび水素ガス内に同調されたあらゆる炭素粒子状物質が除去される。ブロック616において、合成ガス中のあらゆる酸性ガスが中和される。最終的に、ブロック618において、一酸化炭素ガスおよび水素ガスからのエネルギーが回収される。
【0086】
図7は、例えば、廃棄物処理システム5によって、廃棄物を処理するためのさらなる例示的な方法を示す。ブロック702において、無機部分および有機部分を有する廃棄物が提供される。ブロック704において、内部にACプラズマトーチが設置された容器が提供される。ブロック706において、廃棄物が容器内に導入される。これは、制御され、かつ連続的な速度で、または、いくつかの他の速度でなされ得る。
【0087】
ブロック708において、ACプラズマトーチにより炎が生成される。ブロック710において、炎からのエネルギーが、廃棄物を加熱するために使用される。ブロック712において、廃棄物の無機部分が、例えば、炎からのエネルギーの結果として溶解またはガラス化される。ブロック714において、廃棄物の有機部分が、例えば、炎のエネルギーの結果として、ガス化および解離される。ブロック712および714により例示される、廃棄物を溶解またはガラス化する作用、および、廃棄物をガス化または解離させる作用は、同時に、または、同時でなく起こり得る。
【0088】
本明細書中に記載される廃棄物処理システム5は、種々の量の水分を含む、広範な種々の有害、もしくは有害でない、無機および有機の物質を処理し得、そして、同時に、適用可能な空気および水の放出基準の全て、大部分、またはいくらかに適合し得る。廃棄物処理システム5は、熱分解容器20内の一定の高温を維持し得、そして、合成ガスの温度を制御して、最小の有害な有機分子を含み、かつ、生産的に使用され得る最終産物を生成し得る。さらに、廃棄物処理システム5は、TCLP試験に合格し得るガラスを含んだ金属の形態の固体残留物を生成し得、従って、リサイクルまたは再利用され得る。
【0089】
本明細書中に記載される方法および装置は、燃焼(焼却)を必要とする公知の方法および装置とは異なり得る。本明細書中に記載される廃棄物処理システム5は、トーチ(例えば、ACプラズマトーチ)からのエネルギーを利用して、熱分解(酸素欠乏性のプロセス)により廃棄物を熱的に分解し得る。一方で、焼却炉は、エネルギー(熱)を生成するために燃焼を使用して、廃棄物の連続的な分解(酸素を要するプロセス)を広める。さらに、本明細書中に記載される廃棄物処理システム5は、一般に、有害な底の灰、飛灰、ダイオキシン、またはフラン(これらは全て、焼却炉内で通常見られるか、または、焼却炉により生成される)を生じない。
【0090】
本発明の上記の説明は、例示されるあらゆる特定の実施形態に本発明を限定するためではなく、本発明の原理を例示するために提示される。従って、上記の詳細な説明は、限定的なものではなく、例示的なものとしてみなされることが意図され、そして、本発明の精神および範囲を規定することが意図されているのは、添付の特許請求の範囲(あらゆる等価物を含む)であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、廃棄物処理装置の概略図である。
【図2】図2は、廃棄物処理装置の部分的な概略図である。
【図3】図3は、粒子状物質モニタリングシステムの部分的な概略図である。
【図4】図4は、廃棄物を処理するための方法の流れ図である。
【図5】図5は、廃棄物を処理するための方法の流れ図である。
【図6A】図6Aおよび6Bは、廃棄物を処理するための方法の流れ図である。
【図6B】図6Aおよび6Bは、廃棄物を処理するための方法の流れ図である。
【図7】図7は、廃棄物を処理するための方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処理装置であって、以下:
(a)容器;および
(b)該容器に設置された、少なくとも2つのACプラズマトーチであって、該少なくとも2つのACプラズマトーチは、ある流速のトーチガスを用いて炎を発射し、該炎は、該ACプラズマトーチに加えられる電流を調節することによって、または、該トーチガスの流速を調節することによって、処理される廃棄物に従って変えられ得る、ACプラズマトーチ
を備える、装置。
【請求項2】
前記容器が仕切りの無いスペースを含み、そして、ボウル形状の部分を備える、請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記ACプラズマトーチが、前記容器内に含まれる前記仕切りの無いスペースに侵入しないように、該ACプラズマトーチが、該容器に設置されている、請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記容器が、全体的に水平方向に順応した構造である、請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
廃棄物処理装置であって、以下:
(a)仕切りの無いスペースを含み、そして、ボウル形状の部分を備える、容器;および
(b)該容器に設置された、少なくとも2つのACプラズマトーチであって、該ACプラズマトーチの各々は、可変性の炎を備え、そして、該ACプラズマトーチが該容器内に設置されていることにより、該ACプラズマトーチが該容器内に含まれる該仕切りの無いスペースに侵入せず、ここで、該ACプラズマトーチが、ある流速を有するトーチガスを備え、そして、該トーチガスの流速が、該ACプラズマトーチの炎を変えるために調節され得る、ACプラズマトーチ
を備える、装置。
【請求項6】
廃棄物処理装置であって、以下:
(a)仕切りの無いスペースを含み、そして、ボウル形状の部分を備える、容器;および
(b)該容器に設置された、少なくとも2つのACプラズマトーチであって、該ACプラズマトーチの各々は、可変性の炎を備え、そして、該ACプラズマトーチが該容器に設置されていることにより、該ACプラズマトーチが該容器内に含まれる該仕切りの無いスペースに侵入せず、ここで、該ACプラズマトーチに電流が加えられ、そして、該電流が、該ACプラズマトーチの炎を変えるために調節され得る、ACプラズマトーチ
を備える、装置。
【請求項7】
廃棄物処理装置であって、以下:
(a)仕切りの無いスペースを含み、そして、ボウル形状の部分を備える、容器;
(b)該容器に設置された、少なくとも2つのACプラズマトーチであって、該ACプラズマトーチの各々は、可変性の炎を備え、そして、該ACプラズマトーチが、該容器が含まれる仕切りの無いスペースに侵入しないように、該ACプラズマトーチが該容器に設置されている、ACプラズマトーチ;および
(c)該容器内の該仕切りの無いスペースから、該プラズマトーチの一方を分離し得る、少なくとも1つのドア
を備える、装置。
【請求項8】
前記ACプラズマトーチにより生成される前記炎が、前記仕切りの無いスペースを通って下向きに延び、そして、前記容器の前記ボウル形状の部分と接するように、該ACプラズマトーチが、該容器上に垂直に設置されている、請求項4に記載の廃棄物処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の廃棄物処理装置であって、該装置は、前記容器に接続された、充填ホッパーおよび供給ホッパーを備える供給システムをさらに備え、該供給ホッパーは、片側にエアロックドアを備え、該エアロックドアを通って、廃棄物が該供給ホッパー内に導入され得る、装置。
【請求項10】
前記供給システムに接続されたパージシステムをさらに備える、請求項9に記載の廃棄物処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の廃棄物処理装置であって、該装置は、前記容器内に位置決めされた少なくとも1つのタップをさらに備え、該タップを通して、処理された廃棄物が排出され得る、装置。
【請求項12】
廃棄物処理装置であって、以下:
(a)仕切りの無いスペースを含み、そして、ボウル形状の部分を備える、容器であって、該容器は、全体的に水平方向に順応した構造である、容器;
(b)該容器に設置された、少なくとも2つのACプラズマトーチであって、該ACプラズマトーチの各々は、可変性の炎を備え、該ACプラズマトーチにより生成される該炎が、該仕切りの無いスペースを通って下向きに延び、そして、該容器の該ボウル形状の部分と接するように、該ACプラズマトーチが、該容器上に垂直に設置されている、ACプラズマトーチ;
(c)該容器に接続された、充填ホッパーおよび供給ホッパーを備える供給システムであって、該供給ホッパーは、片側にエアロックドアを備え、該エアロックドアを通って、廃棄物が該供給ホッパー内に導入され得る、供給システム;
(d)該供給システムに接続された、パージシステム;
(e)該容器内に位置決めされた少なくとも1つのタップであって、該タップを通して、処理された廃棄物が排出され得る、タップ;ならびに
(f)該タップに接続されたタップカートを備える、少なくとも1つの固体残留物取り扱いシステム
を備える、装置。
【請求項13】
少なくとも2つのタップが前記容器内に位置決めされる、請求項12に記載の廃棄物処理装置。
【請求項14】
さらに、以下:
(a)前記供給システムと接続された、消毒システム;および
(b)該供給システムと前記容器とを相互接続する、排気システム
を備える、請求項13に記載の廃棄物処理装置。
【請求項15】
さらに、以下:
(a)前記容器と接続された、ベンチュリ流速計
を備える、請求項14に記載の廃棄物処理装置。
【請求項16】
さらに、以下:
(a)前記容器と接続された、クエンチャ;
(b)該クエンチャと接続された、再循環タンク;
(c)該再循環タンクに接続された、スクラバー;
(d)該再循環タンクに接続された、給水システム;ならびに
(e)該再循環タンクに接続された、中和剤供給システム
を備える、請求項15に記載の廃棄物処理装置。
【請求項17】
さらに、以下:
(a)前記再循環タンクと接続された、廃水処理システム;および
(b)該廃水処理システムと接続された、粒子状物質リサイクリングシステム
を備える、請求項16に記載の廃棄物処理装置。
【請求項18】
廃棄物を処理するための方法であって、以下:
(a)可変性の炎を備えるACプラズマトーチを提供する工程であって、該ACプラズマトーチは、ある流速を有するトーチガスを備え、該ACプラズマトーチに電流が加えられる、工程;
(b)廃棄物を提供する工程;
(c)該ACプラズマトーチに加えられる電流を調節することによって、または、該トーチガスの流速を調節することによって、処理される廃棄物のタイプに従って該炎を調節する工程;および
(d)該炎により生成されるエネルギーで、該廃棄物を加熱する工程
を包含する、方法。
【請求項19】
前記廃棄物が、固体廃棄物および液体廃棄物から構成される、請求項18に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項20】
さらに、以下:
(a)前記廃棄物を融解またはガラス化する工程;
(b)該融解またはガラス化された廃棄物のプールを形成する工程;および
(c)該融解またはガラス化された廃棄物を急冷する工程
を包含する、請求項18に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項21】
さらに、以下:
(a)前記廃棄物を元素組成に分離する工程;
(b)該廃棄物をガス化する工程;および
(c)該元素組成を、一酸化炭素ガスおよび水素ガスとして改質する工程
を包含する、請求項20に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項22】
前記廃棄物を分離する工程が、該廃棄物の少なくとも一部分の有害な構成成分を破壊し、そして、該廃棄物の熱分解により達成される、請求項21に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項23】
さらに、以下:
(a)酸素を供給する工程;および
(b)該酸素を前記元素組成と合せて、一酸化炭素ガスを形成する工程
を包含する、請求項22に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項24】
さらに、以下:
(a)過剰量の酸素を供給する工程;および
(b)該酸素を前記元素組成と合せて、二酸化炭素ガスを形成する工程
を包含する、請求項23に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項25】
さらに、以下:
(a)前記一酸化炭素ガスおよび水素ガスを冷却する工程;
(b)該一酸化炭素ガスおよび水素ガスから、炭素粒子状物質を除去する工程;ならびに
(c)該一酸化炭素ガスおよび水素ガスと共に含まれる、あらゆる酸性ガスを中和する工程
を包含する、請求項24に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項26】
廃棄物を処理するための方法であって、以下:
(a)可変性の炎を備えるACトーチを提供する工程;
(b)廃棄物を提供する工程;
(c)処理される廃棄物のタイプに従って、該炎を調節する工程;
(d)工程(e)を行なう前に、該廃棄物に、還元剤またはフラクシング剤を添加する工程;
(e)該廃棄物を、該炎により生成されるエネルギーで加熱する工程;
(f)該廃棄物を融解またはガラス化する工程;
(g)該溶解またはガラス化された廃棄物のプールを形成する工程;
(h)該溶解またはガラス化された廃棄物を急冷する工程;
(i)該廃棄物を元素組成に分離する工程であって、該廃棄物を分離する工程は、該廃棄物の少なくとも一部分の有害な構成成分を破壊し、そして、該廃棄物の熱分解により達成される、工程;
(j)該廃棄物をガス化する工程;
(k)該元素組成を、一酸化炭素ガスおよび水素ガスとして改質する工程;
(l)酸素を供給する工程;
(m)該酸素を該元素組成と合せて、一酸化炭素ガスまたは二酸化炭素ガスを形成する工程;
(n)該一酸化炭素ガスおよび水素ガスを冷却する工程;
(o)該一酸化炭素ガスおよび水素ガスから、炭素粒子状物質を除去する工程;ならびに
(p)該一酸化炭素ガスおよび水素ガスと共に含まれる、あらゆる酸性ガスを中和する工程
を包含する、方法。
【請求項27】
前記廃棄物の処理が、結果として、約45%〜55%の水素ガスと、約30%〜40%の一酸化炭素ガスとを含む合成ガスを生じる、請求項26に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項28】
廃棄物を処理するための方法であって、以下:
(a)廃棄物を提供する工程であって、該廃棄物は、無機部分と有機部分とを含む、工程;
(b)容器を提供する工程であって、該容器の内部には、少なくとも2つのACプラズマトーチが設置されている、工程;
(c)該容器内に該廃棄物を導入する工程;
(d)該ACプラズマトーチのうちの1つで、炎を生成する工程;
(e)該炎を、該ACプラズマトーチに加えられる電流を調節することによって、処理される廃棄物に従って変える工程;および
(f)該廃棄物を、該炎からのエネルギーで加熱する工程
を包含する、方法。
【請求項29】
さらに、以下:
(a)前記廃棄物の無機部分を溶融またはガラス化する工程;および
(b)前記廃棄物の有機部分をガス化または分離する工程
を包含する、請求項28に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項30】
前記工程(a)および(b)が、同時に行なわれる、請求項29に記載の廃棄物を処理するための方法。
【請求項31】
前記2つのACプラズマトーチの炎が、同時に生成される、請求項5に記載の廃棄物処理装置。
【請求項32】
さらに、前記ACプラズマトーチのうちの一方を、前記容器内の仕切りの無いスペースから分離させ得る少なくとも1つのドアを備える、請求項5に記載の廃棄物処理装置。
【請求項33】
さらに、前記容器に接続された、充填ホッパーおよび供給ホッパーを備える供給システムであって、該供給ホッパーは、片側にエアロックドアを備え、該エアロックドアを通って、廃棄物が該供給ホッパー内に導入され得る、供給システムを備える、請求項6に記載の廃棄物処理装置。
【請求項34】
さらに、前記供給システムと接続されたパージシステムを備える、請求項33に記載の廃棄物処理装置。
【請求項35】
さらに、前記供給システムと接続された消毒システムを備える、請求項34に記載の廃棄物処理装置。
【請求項36】
前記ACプラズマトーチにより生成される炎が、前記仕切りの無いスペースを通って下向きに延び、そして、前記容器の前記ボウル形状の部分と接するように、該ACプラズマトーチが、該容器上に垂直に設置されている、請求項6に記載の廃棄物処理装置。
【請求項37】
さらに、前記容器内に位置決めされた少なくとも2つのタップを備える、請求項6に記載の廃棄物処理装置。
【請求項38】
さらに、前記容器上にアクセス・ビューイングポートを備える、請求項6に記載の廃棄物処理装置。
【請求項39】
さらに、前記容器内に酸化剤を備える、請求項6に記載の廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−529711(P2007−529711A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503967(P2007−503967)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/007904
【国際公開番号】WO2005/093323
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506311817)ピート インターナショナル, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】