弁装置
【課題】弁体の周縁にシールリングが装着されている弁装置において、閉弁時のシールリングと通路の壁との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリングと通路の壁との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制する。
【解決手段】弁装置の制御手段は、閉弁モードにおける回転角の全範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。これにより、閉弁モードにおいて、シールリングが壁に衝突する際の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなる。このため、衝突による衝撃を緩和することができる。また、衝突後も回転数が小さいので、シールリングは、弁体の周縁において緩やかに縮まりながら弾性変形することができる。このため、衝突後の摺動摩擦を緩和することができる。
【解決手段】弁装置の制御手段は、閉弁モードにおける回転角の全範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。これにより、閉弁モードにおいて、シールリングが壁に衝突する際の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなる。このため、衝突による衝撃を緩和することができる。また、衝突後も回転数が小さいので、シールリングは、弁体の周縁において緩やかに縮まりながら弾性変形することができる。このため、衝突後の摺動摩擦を緩和することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置に関するものであり、弁体の周縁にシールリングが装着されているものに係わる。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁装置100では、図14に示すように、弁体101の周縁にシールリング102が装着されているものが公知であり、例えば、内燃機関から排気される排気ガスの一部を吸気側に再循環するEGR装置において、排気ガスの循環量を可変するためのEGR弁装置として採用されている
【0003】
弁装置100は、流体の通路103を有する通路形成体104と、通路103に回転自在に収容されて通路103の開度を可変する板状の弁体101と、弁体101の周縁に装着されるシールリング102とを備える。
【0004】
ここで、シールリング102は、弁体101の周縁と通路103の壁105との間を封鎖するものであって、図15に示すようにC字状に設けられ、弁体101の周縁に設けられた環状の溝106に嵌まっている(例えば、特許文献1参照)。そして、シールリング102は、自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(以下、合口隙間と呼ぶ)107を形成するとともに、溝106の底面と自身の内周縁との間に径方向の隙間(以下、溝内隙間と呼ぶ。)108を形成しながら弁体101とともに回転する。
【0005】
また、シールリング102は、全閉のときに、壁105に環状に当接して合口隙間107および溝内隙間108が最も縮まるように弾性変形している。このとき、シールリング102は、自身の張力によって壁105に当接するとともに通路103の上流側から作用する排気ガスの圧力によって溝106の側面109に当接することで、弁体101の周縁と壁105との間を封鎖している。
【0006】
ここで、弁体101が、全閉の回転角(以下、全閉角と呼ぶ。)から全開の回転角(以下、全開角と呼ぶ。)まで、開側に回転していくときのシールリング102の状態の推移について図16を参照しながら説明する。
【0007】
まず、全閉角から開側に回転していくと、シールリング102は、合口隙間107および溝内隙間108を広げながら自身の外周縁の全周において壁105との当接を保ち、弁体101の周縁と壁105との間の封鎖を維持し続ける。やがて、シールリング102は、弁体101の周縁と壁105との間を封鎖しない開放状態との境界角(以下、第1境界角と呼ぶ。)に到達し、外周縁が部分的に壁105と当接しなくなる。
【0008】
さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、シールリング102は、外周縁において壁105と当接しない部分を拡大しながら張力を弱めていき、同時に、合口隙間107および溝内隙間108を広げ続ける。やがて、シールリング102は、溝106に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(以下、第2境界角と呼ぶ。)に到達する。
【0009】
そして、第2境界角よりも開側の回転角において、シールリング102は、フリー状態を保ちながら合口隙間107および溝内隙間108を第2境界角における数値以上に広げることなく、全開角まで回転する。
【0010】
以上により、弁体101の回転角と排気ガスの循環量とは図17のような相関を示す。
すなわち、回転角が全閉角から第1境界角の範囲にある間では、シールリング102によって弁体101の周縁と壁105との間の封鎖が維持されるので循環量はゼロに略一致している。そして、第1境界角以上の範囲では、回転角の開側への移行に応じて循環量が増加していく。
【0011】
ところで、弁装置100によれば、弁体101がシールリング102のフリー状態から閉側に回転する場合、シールリング102は、合口隙間107および溝内隙間108が大きく広がった径大の状態で壁105に衝突し、衝突後、合口隙間107および溝内隙間108を縮めるように弾性変形していく。
【0012】
このため、衝突によって、シールリング102と壁105との間、およびシールリング102と側面109との間に衝撃が発生し、衝撃発生部位において磨耗の進行が著しくなる。さらに、シールリング102と壁105との間では、衝突後も、シールリング102が張力を増しながら壁105を摺動するので、摺動摩擦による磨耗の進行も著しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−285311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、弁体の周縁にシールリングが装着されている弁装置において、閉弁時のシールリングと通路の壁との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリングと通路の壁との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、弁装置は、流体の通路に回転自在に収容されて通路の開度を可変する板状の弁体と、弁体の周縁に設けられた環状の溝に嵌まって弁体とともに回転し、通路の開度が全閉のときに、通路の壁に環状に当接して弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖するシールリングと、弁体に回転トルクを与える電動機への通電を制御して弁体の動作を制御する制御手段とを備える。
【0016】
そして、制御手段は、弁体の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、全閉の回転角を含む所定の回転角の範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0017】
これにより、閉弁モードにおいて、シールリングが壁に衝突する際の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなる。このため、衝突による衝撃を緩和することができる。また、衝突後も回転数が小さいので、シールリングは、例えば、弁体の周縁において緩やかに縮まりながら弾性変形することができる。このため、衝突後の摺動摩擦を緩和することができる。
【0018】
以上により、弁体の周縁にシールリングが装着されている弁装置において、閉弁時のシールリングと壁との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリングと壁との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
なお、回転数とは、弁体やシールリングの回転角の時間的変化率を示すものであり、例えば、rpm等を単位とするものである。
【0019】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段によれば、シールリングは、C字状に設けられて自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(合口隙間)を形成するとともに、全閉のときには、自身の張力によって通路の壁に環状に当接して合口隙間が最も縮まるように弾性変形している。また、シールリングは、全閉から開側に回転していくと、合口隙間を広げながら弁体の周縁と通路の壁との間の封鎖を維持し続け、やがて、弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖しない開放状態との境界角(第1境界角)に到達し、さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、溝に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(第2境界角)に到達する。
【0020】
そして、制御手段は、閉弁モードで、第1境界角から第2境界角までの範囲で選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
これにより、閉弁モードにおいて、シールリングが壁に衝突したり、衝突後に壁を摺動したりするときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。
【0021】
このため、シールリングと壁との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリングと壁との摺動摩擦による磨耗の進行を、確実に抑制することができる。
また、閉弁モードにおいて、シールリングの壁への衝突等に対して大幅に時間的余裕がある間(つまり、回転角が第2境界角よりも大きい間)、回転数を大きくしておくことで閉弁応答性を高めることができる。
【0022】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段によれば、弁装置は、電動機の出力軸から弁体の回転軸に回転トルクを減速して伝達する減速機構と、減速機構を構成するギヤ部材の少なくとも1つを係止して、弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパとを備える。そして、 制御手段は、閉弁モードで、特定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と特定の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0023】
この手段は、弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパを弁装置が具備している場合に、ストッパにおける衝突(ストッパによるギヤ部材の係止)に伴う衝撃を緩和することを目的とするものである。
この手段によれば、閉弁モードにおいて、ストッパで衝突が発生するときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。このため、ストッパにおける衝突に伴う衝撃を確実に緩和することができる。
【0024】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段によれば、特定の回転角は全閉の回転角である。
これにより、弁体が全閉の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパを弁装置が具備している場合に、ストッパにおける衝突(ストッパによるギヤ部材の係止)に伴う衝撃を確実に緩和することができる。
【0025】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段によれば、弁装置は、弁体の回転角を検出して制御手段に出力する回転角センサを備える。そして、一定の角度幅は、弁体の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサの温度特性に起因する検出誤差、および制御手段における回転角の把握誤差に基づき設定される。
これにより、シールリングと壁との衝突やストッパにおける衝突に対して時間的余裕をもたせるために、閉弁モードにおいて回転数を小さくする時期を無用に早めることを阻止することができる。このため、閉弁等に要する時間が無用に長くなって閉弁応答性が低下するのを防止することができる。
【0026】
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段によれば、制御手段は、通路の壁に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段を有する。そして、デポジット除去手段は、閉弁モードで、全閉の回転角と全閉よりも閉側の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
これにより、デポジットの除去を促進するために弁体を全閉よりも閉側に回転させる場合でも、シールリングと壁との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は弁装置の構成図であり、(b)は(a)のA−A断面図である(実施例1)。
【図2】(a)はシールリングの平面図であり、(b)はシールリングによる弁体周縁の封鎖状態を示す説明図である(実施例1)。
【図3】(a)と(a´)とは全閉角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(b)と(b´)とは第1境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(c)と(c´)とは第2境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(d)と(d´)とは全開角におけるシールリングの状態を示す説明図である(実施例1)。
【図4】弁装置における回転角と流量(循環量)との相関図である(実施例1)。
【図5】開度の推移を示すタイムチャートである(実施例1)。
【図6】開度の推移を示すタイムチャートである(実施例2)。
【図7】(a)は弁装置の構成図であり、(b)は大ギヤとストッパとの係合を示す説明図である(実施例3)。
【図8】開度の推移を示すタイムチャートである(実施例3)。
【図9】(a)はデポジット除去前の弁体周縁を示す説明図であり、(b)はデポジット除去中の弁体周縁を示す説明図であり、(c)はデポジット除去後の弁体周縁を示す説明図である(実施例4)。
【図10】デポジット除去中の開度の推移を示すタイムチャートである(実施例4)。
【図11】(a)はデポジット除去において閉弁モードの全期間で弁体の回転数を小さくする場合の開度の推移を示すタイムチャートであり、(b)はデポジット除去において閉弁モードの内、閾角と全閉角との間のみ、弁体の回転数を小さくする場合の開度の推移を示すタイムチャートである(変形例)。
【図12】両軸斜めのバタフライ弁を示す説明図である(変形例)。
【図13】オフセット弁を示す説明図である(変形例)。
【図14】(a)は弁装置の要部断面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である(従来例)。
【図15】(a)はシールリングの平面図であり、(b)はシールリングによる弁体周縁の封鎖状態を示す説明図である(従来例)。
【図16】(a)と(a´)とは全閉角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(b)と(b´)とは第1境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(c)と(c´)とは第2境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(d)と(d´)とは全開角におけるシールリングの状態を示す説明図である(従来例)。
【図17】弁装置における回転角と流量(循環量)との相関図である(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施形態1の弁装置は、流体の通路に回転自在に収容されて通路の開度を可変する板状の弁体と、弁体の周縁に設けられた環状の溝に嵌まって弁体とともに回転し、通路の開度が全閉のときに、通路の壁に環状に当接して弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖するシールリングと、弁体に回転トルクを与える電動機への通電を制御して弁体の動作を制御する制御手段とを備える。
【0029】
そして、制御手段は、弁体の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、全閉の回転角を含む所定の回転角の範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0030】
実施形態2の弁装置によれば、シールリングは、C字状に設けられて自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(合口隙間)を形成するとともに、全閉のときには、自身の張力によって通路の壁に環状に当接して合口隙間が最も縮まるように弾性変形している。また、シールリングは、全閉から開側に回転していくと、合口隙間を広げながら弁体の周縁と通路の壁との間の封鎖を維持し続け、やがて、弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖しない開放状態との境界角(第1境界角)に到達し、さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、溝に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(第2境界角)に到達する。
【0031】
そして、制御手段は、閉弁モードで、第1境界角から第2境界角までの範囲で選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0032】
また、弁装置は、弁体の回転角を検出して制御手段に出力する回転角センサを備える。そして、一定の角度幅は、弁体の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサの温度特性に起因する検出誤差、および制御手段における回転角の把握誤差に基づき設定される。
【0033】
実施形態3の弁装置は、弁装置は、電動機の出力軸から弁体の回転軸に回転トルクを減速して伝達する減速機構と、減速機構を構成するギヤ部材の少なくとも1つを係止して、弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパとを備える。そして、制御手段は、閉弁モードで、特定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と特定の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
なお、特定の回転角は全閉の回転角である。
【0034】
実施形態4の弁装置によれば、制御手段は、通路の壁に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段を有する。そして、デポジット除去手段は、閉弁モードで、全閉の回転角と全閉よりも閉側の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【実施例】
【0035】
〔実施例1の構成〕
実施例1の弁装置1の構成を、図1および図2に基づいて説明する。
弁装置1は、流体の通路2を有する通路形成体3と、通路2に回転自在に収容されて通路2の開度を可変する板状の弁体4と、弁体4の周縁に装着されるシールリング5と、弁体4に与える回転トルクを発生する電動機6と、電動機6の出力軸7から弁体4の回転軸8に回転トルクを減速して伝達する減速機構9と、電動機6への通電を制御して弁体4の動作を制御する制御手段10と、弁体4の回転角を検出して制御手段10に出力する回転角センサ11とを備える。
【0036】
そして、弁装置1は、例えば、内燃機関から排気される排気ガスの一部を吸気側に再循環するEGR装置において、流体としての排気ガスの循環量を可変するためのEGR弁装置として採用されている。
【0037】
通路形成体3は、排気ガスを再循環するための全ての通路2の内の一部を形成するものであり(以下、通路形成体3をノズル3と呼ぶ。)、ノズル3により形成される通路2の一部に弁体4が収容されている(以下、通路2という場合、特に断らない限りノズル3により形成される部分を示すものとする。)。また、ノズル3は、弁装置1のハウジング14とは別体であり、排気ガスに含まれる水分等に対する耐食性の点から、例えば、ステンレス鋼を素材として設けられている。
【0038】
弁体4は、略円形板状のバタフライ弁であり、弁体4の回転軸8は、弁体4の面方向に対して所定の角度だけ傾斜した状態で弁体4に溶接等で固定されている。そして、弁体4は、回転することにより、通路2の開口面積に相当する開度を全閉から全開の範囲で可変する。
【0039】
ここで、全閉とは、弁体4の周縁と通路2の壁15との間の隙間が最小となる開度であり、仮に、弁体4の周縁にシールリング5を配さない場合に通路2を通る排気ガスの流量が最小となる開度である。また、全開とは、通路2を通る排気ガスの流量が最大となる開度である。
【0040】
なお、弁体4も、水分等に対する耐食性の点からステンレス鋼を素材として設けられている。
また、回転軸8は、メタル軸受16、オイルシール17およびボールベアリング18を介してハウジング14に、回転自在に支持されている。
【0041】
シールリング5は、弁体4の周縁と通路2の壁15との間を封鎖するものであり、C字状に設けられて弁体4の周縁に設けられた環状の溝20に嵌まっている。そして、シールリング5は、自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(合口隙間)21を形成するとともに、溝20の底面22と自身の内周縁との間に径方向の隙間(溝内隙間)23を形成しながら弁体4とともに回転する。
【0042】
また、シールリング5は、全閉のときに、壁15に環状に当接して合口隙間21および溝内隙間23が最も縮まるように弾性変形している。このとき、シールリング5は、自身の張力によって壁15に当接するとともに通路2の上流側から作用する排気ガスの圧力によって溝20の側面24に当接することで、弁体4の周縁と壁15との間を封鎖している。
なお、シールリング5も、水分等に対する耐食性の点からステンレス鋼を素材として設けられている。
【0043】
電動機6は、ブラシレスDCモータ等の周知の回転電機であり、例えば、電機子コイルへの通電が制御されて、出力する回転トルクを可変する。
減速機構9は、電動機6の出力軸7に固定される小ギヤ26と、弁体4の回転軸8に固定される大ギヤ27と、小ギヤ26および大ギヤ27の両方に噛み合って回転する中間ギヤ28とを有し、中間ギヤ28は、小ギヤ26と噛み合う大径ギヤ部29と、大ギヤ27と噛み合う小径ギヤ部30とを同軸的に有する。
【0044】
制御手段10は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムや各種データを保存する記憶装置、入力回路、出力回路等の機能を含んで構成される周知構造のマイクロコンピュータであり、回転角センサ11およびその他の各種センサから入力されるパラメータに応じて、通路2の開度や弁体4の回転角を目標値に制御する。
【0045】
すなわち、制御手段10は、例えば、内燃機関の運転状態に応じて回転角の目標値を算出するとともに、回転角の現在値と目標値との差分に応じて電動機6への通電量等を制御して回転角の現在値を目標値に略一致させる。
【0046】
回転角センサ11は、例えば、回転軸8に固定された永久磁石等の磁束発生手段と、磁束発生手段が発生する磁束を検出するホールIC等の磁束検出手段とからなる周知構造を有するものである。
【0047】
以上の構成により、弁装置1は、電動機6への通電を制御することで、内燃機関の運転状態に応じて通路2の開度を操作し、排気ガスの循環量を可変している。
ここで、弁体4が、全閉の回転角(全閉角)から全開の回転角(全開角)まで、開側に回転していくときのシールリング5の状態の推移について、図3を参照しながら説明する。
【0048】
まず、全閉角から開側に回転していくと、シールリング5は、合口隙間21および溝内隙間23を広げながら自身の外周縁の全周において壁15との当接を保ち、弁体4の周縁と壁15との間の封鎖を維持し続ける。やがて、シールリング5は、弁体4の周縁と壁15との間を封鎖しない開放状態との境界角(第1境界角)に到達し、外周縁が部分的に壁15と当接しなくなる。
【0049】
さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、シールリング5は、外周縁において壁15と当接しない部分を拡大しながら張力を弱めていき、同時に、合口隙間21および溝内隙間23を広げ続ける。やがて、シールリング5は、溝20に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(第2境界角)に到達する。
【0050】
そして、第2境界角よりも開側の回転角において、シールリング5は、フリー状態を保ちながら合口隙間21および溝内隙間23を第2境界角における数値以上に広げることなく、全開角まで回転する。
【0051】
以上により、弁体4の回転角と排気ガスの循環量とは図4のような相関を示す。
すなわち、回転角が全閉角から第1境界角の間では、シールリング5によって弁体4の周縁と壁15との間の封鎖が維持されるので循環量はゼロに略一致している。そして、回転角が第1境界角以上の範囲では、回転角の開側への移行に応じて循環量が増加していく。
【0052】
そして、弁装置1によれば、弁体4がシールリング5のフリー状態から閉側に回転する場合、シールリング5は、合口隙間21および溝内隙間23が大きく広がった径大の状態で壁15に衝突し、衝突後、合口隙間21および溝内隙間23を縮めるように弾性変形していく。
【0053】
〔実施例1の特徴〕
実施例1の弁装置1の特徴を、図5等に基づいて説明する。
制御手段10は、弁体4の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体4の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、回転角の全範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
【0054】
つまり、制御手段10は、通電量を増減するためのデューティ比に関し、閉弁モードにおけるデューティ比を開弁モードよりも小さくすることで、閉弁モードにおける通電量を開弁モードにおける通電量よりも小さくする。これにより、閉弁モードにける弁体4の回転数は開弁モードよりも小さくなる。
【0055】
このため、閉弁モードにおける開度の時間的変化率の絶対値は、デューティ比を開弁モードと同一にした場合よりも小さくなる。そして、閉弁モードにおける開度は、デューティ比を開弁モードと同一にした場合よりも緩やかに閉側に移行する。
なお、図5では、閉弁モードにおいて、デューティ比を開弁モードよりも小さくした場合の開度の推移を実線で示し、デューティ比を開弁モードと同一にした場合の開度の推移を破線で示した。
【0056】
〔実施例1の効果〕
実施例1の弁装置1によれば、制御手段10は、弁体4の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体4の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、回転角の全範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
【0057】
これにより、閉弁モードにおいて、シールリング5が壁15に衝突する際の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなる。このため、衝突による衝撃を緩和することができる。また、衝突後も回転数が小さいので、シールリング5は、弁体4の周縁において緩やかに縮まりながら弾性変形することができる。このため、衝突後の摺動摩擦を緩和することができる。
【0058】
以上により、シールリング5がフリー状態から閉側に回転するときに、シールリング5と壁15との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリング5と壁15との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
【0059】
〔実施例2の構成〕
実施例2の弁装置1によれば、制御手段10は、閉弁モードで、所定の閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。つまり、制御手段10は、閉弁モードにおいて、弁体4が閾角に到達するまで、開弁モードと同じデューティ比により電動機6への通電量を制御し、弁体4が閾角に到達した後、開弁モードよりも小さいデューティ比により電動機6への通電量を制御する。
【0060】
これにより、制御手段10は、閉弁モードにおいて、閾角よりも開側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数と同等に保ち、閾角よりも閉側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくする。
このため、閉弁モードでは、図6に示すように、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、開度の時間的変化率の絶対値が小さくなる。そして、閉弁モードにおける開度は、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、緩やかに閉側に移行する。
【0061】
ここで、閾角は、第1境界角から第2境界角までの範囲において選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えたものである。また、一定の角度幅は、弁体4の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサ11の温度特性に起因する検出誤差、および制御手段10における回転角の把握誤差(例えば、入力回路におけるA/D変換誤差)に基づき設定される。
【0062】
〔実施例2の効果〕
実施例2の弁装置1によれば、制御手段10は、閉弁モードで、第1境界角から第2境界角までの範囲において選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
これにより、閉弁モードにおいて、シールリング5が壁15に衝突したり、衝突後に壁15を摺動したりするときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。
【0063】
このため、シールリング5と壁15との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリング5と壁15との摺動摩擦による磨耗の進行を、確実に抑制することができる。
また、閉弁モードにおいて、シールリング5の壁15への衝突等に対して大幅に時間的余裕がある間(つまり、回転角が第2境界角よりも大きい間)、回転数を大きくしておくことで閉弁応答性を高めることができる。
【0064】
また、選択した所定の回転角に加算される角度幅は、弁体4の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサ11の温度特性に起因する検出誤差、および制御手段10における回転角の把握誤差に基づき設定される。
これにより、シールリング5と壁15との衝突やストッパ機構における衝突に対して時間的余裕をもたせるために、閉弁モードにおいて回転数を小さくする時期を無用に早めることを阻止することができる。このため、閉弁等に要する時間が無用に長くなって応答性が低下するのを防止することができる。
【0065】
〔実施例3の構成〕
実施例3の弁装置1によれば、図7に示すように、大ギヤ27を係止して弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制するストッパ33を備える。すなわち、ストッパ33は、大ギヤ27に設けられた突起34と係合して大ギヤ27の回転を規制することで、弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制する。
【0066】
そして、制御手段10は、閉弁モードで、全閉角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。つまり、制御手段10は、閉弁モードにおいて、弁体4が閾角に到達するまで開弁モードと同じデューティ比により電動機6への通電量を制御し、弁体4が閾角に到達した後、開弁モードよりも小さいデューティ比により電動機6への通電量を制御する。
【0067】
これにより、制御手段10は、閉弁モードにおいて、閾角よりも開側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数と同等に保ち、閾角よりも閉側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくする。
【0068】
このため、閉弁モードでは、図8に示すように、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、開度の時間的変化率の絶対値が小さくなる。そして、閉弁モードにおける開度は、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、緩やかに閉側に移行する。
なお、全閉角に加算される角度幅は、弁体4の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサ11の温度特性に起因する検出誤差、および制御手段10における回転角の把握誤差に基づき設定される。
【0069】
〔実施例3の効果〕
実施例3の弁装置1は、大ギヤ27を係止して弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制するストッパ33を備え、制御手段10は、閉弁モードで、全閉角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
【0070】
これにより、閉弁モードにおいて、大ギヤ27がストッパ33に係止されるときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。このため、ストッパ33における衝突(大ギヤ27とストッパ33との係合)に伴う衝撃を確実に緩和することができる。
【0071】
また、大ギヤ27とストッパ33との衝突に対して時間的余裕をもたせるために、閉弁モードにおいて回転数を小さくする時期を無用に早めるのを阻止することができる。このため、閉弁等に要する時間が無用に長くなって閉弁応答性が低下するのを防止することができる。
【0072】
なお、閉弁モードにおいて、大ギヤ27とストッパ33とが衝突する場合、減速機構9におけるギヤ同士の噛み合い部分にも衝撃が発生するので、歯が折損する虞がある。これに対し、閉弁モードにおいて弁体4の回転数を小さくして衝撃を緩和することで、ギヤ同士の噛み合い部分における歯の折損の虞を低減することができる。
【0073】
〔実施例4〕
実施例4の弁装置1によれば、制御手段10は、図9に示すように、通路2の壁15に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段の機能を有する。すなわち、制御手段10は、例えばIGオフ時に、全閉角を跨ぐように全閉角よりも閉側の所定角度と全開角との間で、開弁モードと閉弁モードとを繰り返して弁体4を回転往復させる。
【0074】
このとき、制御手段10は、閉弁モードで、所定角度と実施例2と同じ閾角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する(図10参照)。つまり、制御手段10は、閉弁モードで、所定角度と実施例2と同じ閾角との範囲において、デューティ比を開弁モードよりも小さくして電動機6に通電させる。
【0075】
これにより、デポジットの除去を促進するために弁体4を全閉よりも閉側に回転させる場合でも、シールリング5と壁15との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
【0076】
〔変形例〕
弁装置1の態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例3の弁装置1によれば、ストッパ33は、大ギヤ27を係止して弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制するものであったが、ストッパ33の態様はこのようなものに限定されない。例えば、ストッパ33が大ギヤ27等のギヤ部材を係止するときの弁体4の回転角は、全閉角に限定されず、回転角センサ11の位置認識に利用することが可能なものであれば、いかなる回転角であってもよい。
【0077】
また、実施例4の弁装置1によれば、制御手段10はデポジット除去手段として機能する場合、全閉角を跨ぐように所定角度と全開角との間で開弁モードと閉弁モードとを繰り返したが、図11に示すように、全閉角と全開角との間で開弁モードと閉弁モードとを繰り返してもよい。この場合、閉弁モードの全期間で弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくしてもよく(図11(a)参照)、閉弁モードの内、閾角と全閉角との間のみ、弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくしてもよい(図11(b)参照)。
【0078】
また、実施例1〜4の弁装置1によれば、弁体4は、回転軸8が一方の面にのみ固定されている片軸のバタフライ弁であったが、図12に示すように、両方の面から回転軸8が正反対の方向に伸びる両軸のバタフライ弁を弁体4として採用してもよい。
【0079】
また、実施例1〜4の弁装置1によれば、弁体4は、回転軸8が弁体4の面方向に対して所定の角度だけ傾斜した状態で弁体4に固定されている斜めのバタフライ弁であったが、図13に示すように、回転軸8が弁体4の片方の面に面方向と平行に固定されたオフセット弁を弁体4として採用してもよい。
【0080】
さらに、実施例1〜4の弁装置1は、排気ガスの循環量を可変するためのEGR弁装置に採用されていたが、他の流体の流量を可変するための弁装置に採用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 弁装置
2 通路
4 弁体
5 シールリング
6 電動機
7 出力軸(電動機の出力軸)
8 回転軸(弁体の回転軸)
9 減速機構
10 制御手段
11 回転角センサ
15 壁(通路の壁)
20 溝
21 合口隙間(周方向隙間)
27 大ギヤ(ギヤ部材の少なくとも1つ)
33 ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置に関するものであり、弁体の周縁にシールリングが装着されているものに係わる。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁装置100では、図14に示すように、弁体101の周縁にシールリング102が装着されているものが公知であり、例えば、内燃機関から排気される排気ガスの一部を吸気側に再循環するEGR装置において、排気ガスの循環量を可変するためのEGR弁装置として採用されている
【0003】
弁装置100は、流体の通路103を有する通路形成体104と、通路103に回転自在に収容されて通路103の開度を可変する板状の弁体101と、弁体101の周縁に装着されるシールリング102とを備える。
【0004】
ここで、シールリング102は、弁体101の周縁と通路103の壁105との間を封鎖するものであって、図15に示すようにC字状に設けられ、弁体101の周縁に設けられた環状の溝106に嵌まっている(例えば、特許文献1参照)。そして、シールリング102は、自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(以下、合口隙間と呼ぶ)107を形成するとともに、溝106の底面と自身の内周縁との間に径方向の隙間(以下、溝内隙間と呼ぶ。)108を形成しながら弁体101とともに回転する。
【0005】
また、シールリング102は、全閉のときに、壁105に環状に当接して合口隙間107および溝内隙間108が最も縮まるように弾性変形している。このとき、シールリング102は、自身の張力によって壁105に当接するとともに通路103の上流側から作用する排気ガスの圧力によって溝106の側面109に当接することで、弁体101の周縁と壁105との間を封鎖している。
【0006】
ここで、弁体101が、全閉の回転角(以下、全閉角と呼ぶ。)から全開の回転角(以下、全開角と呼ぶ。)まで、開側に回転していくときのシールリング102の状態の推移について図16を参照しながら説明する。
【0007】
まず、全閉角から開側に回転していくと、シールリング102は、合口隙間107および溝内隙間108を広げながら自身の外周縁の全周において壁105との当接を保ち、弁体101の周縁と壁105との間の封鎖を維持し続ける。やがて、シールリング102は、弁体101の周縁と壁105との間を封鎖しない開放状態との境界角(以下、第1境界角と呼ぶ。)に到達し、外周縁が部分的に壁105と当接しなくなる。
【0008】
さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、シールリング102は、外周縁において壁105と当接しない部分を拡大しながら張力を弱めていき、同時に、合口隙間107および溝内隙間108を広げ続ける。やがて、シールリング102は、溝106に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(以下、第2境界角と呼ぶ。)に到達する。
【0009】
そして、第2境界角よりも開側の回転角において、シールリング102は、フリー状態を保ちながら合口隙間107および溝内隙間108を第2境界角における数値以上に広げることなく、全開角まで回転する。
【0010】
以上により、弁体101の回転角と排気ガスの循環量とは図17のような相関を示す。
すなわち、回転角が全閉角から第1境界角の範囲にある間では、シールリング102によって弁体101の周縁と壁105との間の封鎖が維持されるので循環量はゼロに略一致している。そして、第1境界角以上の範囲では、回転角の開側への移行に応じて循環量が増加していく。
【0011】
ところで、弁装置100によれば、弁体101がシールリング102のフリー状態から閉側に回転する場合、シールリング102は、合口隙間107および溝内隙間108が大きく広がった径大の状態で壁105に衝突し、衝突後、合口隙間107および溝内隙間108を縮めるように弾性変形していく。
【0012】
このため、衝突によって、シールリング102と壁105との間、およびシールリング102と側面109との間に衝撃が発生し、衝撃発生部位において磨耗の進行が著しくなる。さらに、シールリング102と壁105との間では、衝突後も、シールリング102が張力を増しながら壁105を摺動するので、摺動摩擦による磨耗の進行も著しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−285311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、弁体の周縁にシールリングが装着されている弁装置において、閉弁時のシールリングと通路の壁との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリングと通路の壁との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、弁装置は、流体の通路に回転自在に収容されて通路の開度を可変する板状の弁体と、弁体の周縁に設けられた環状の溝に嵌まって弁体とともに回転し、通路の開度が全閉のときに、通路の壁に環状に当接して弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖するシールリングと、弁体に回転トルクを与える電動機への通電を制御して弁体の動作を制御する制御手段とを備える。
【0016】
そして、制御手段は、弁体の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、全閉の回転角を含む所定の回転角の範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0017】
これにより、閉弁モードにおいて、シールリングが壁に衝突する際の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなる。このため、衝突による衝撃を緩和することができる。また、衝突後も回転数が小さいので、シールリングは、例えば、弁体の周縁において緩やかに縮まりながら弾性変形することができる。このため、衝突後の摺動摩擦を緩和することができる。
【0018】
以上により、弁体の周縁にシールリングが装着されている弁装置において、閉弁時のシールリングと壁との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリングと壁との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
なお、回転数とは、弁体やシールリングの回転角の時間的変化率を示すものであり、例えば、rpm等を単位とするものである。
【0019】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段によれば、シールリングは、C字状に設けられて自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(合口隙間)を形成するとともに、全閉のときには、自身の張力によって通路の壁に環状に当接して合口隙間が最も縮まるように弾性変形している。また、シールリングは、全閉から開側に回転していくと、合口隙間を広げながら弁体の周縁と通路の壁との間の封鎖を維持し続け、やがて、弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖しない開放状態との境界角(第1境界角)に到達し、さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、溝に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(第2境界角)に到達する。
【0020】
そして、制御手段は、閉弁モードで、第1境界角から第2境界角までの範囲で選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
これにより、閉弁モードにおいて、シールリングが壁に衝突したり、衝突後に壁を摺動したりするときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。
【0021】
このため、シールリングと壁との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリングと壁との摺動摩擦による磨耗の進行を、確実に抑制することができる。
また、閉弁モードにおいて、シールリングの壁への衝突等に対して大幅に時間的余裕がある間(つまり、回転角が第2境界角よりも大きい間)、回転数を大きくしておくことで閉弁応答性を高めることができる。
【0022】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段によれば、弁装置は、電動機の出力軸から弁体の回転軸に回転トルクを減速して伝達する減速機構と、減速機構を構成するギヤ部材の少なくとも1つを係止して、弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパとを備える。そして、 制御手段は、閉弁モードで、特定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と特定の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0023】
この手段は、弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパを弁装置が具備している場合に、ストッパにおける衝突(ストッパによるギヤ部材の係止)に伴う衝撃を緩和することを目的とするものである。
この手段によれば、閉弁モードにおいて、ストッパで衝突が発生するときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。このため、ストッパにおける衝突に伴う衝撃を確実に緩和することができる。
【0024】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段によれば、特定の回転角は全閉の回転角である。
これにより、弁体が全閉の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパを弁装置が具備している場合に、ストッパにおける衝突(ストッパによるギヤ部材の係止)に伴う衝撃を確実に緩和することができる。
【0025】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段によれば、弁装置は、弁体の回転角を検出して制御手段に出力する回転角センサを備える。そして、一定の角度幅は、弁体の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサの温度特性に起因する検出誤差、および制御手段における回転角の把握誤差に基づき設定される。
これにより、シールリングと壁との衝突やストッパにおける衝突に対して時間的余裕をもたせるために、閉弁モードにおいて回転数を小さくする時期を無用に早めることを阻止することができる。このため、閉弁等に要する時間が無用に長くなって閉弁応答性が低下するのを防止することができる。
【0026】
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段によれば、制御手段は、通路の壁に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段を有する。そして、デポジット除去手段は、閉弁モードで、全閉の回転角と全閉よりも閉側の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
これにより、デポジットの除去を促進するために弁体を全閉よりも閉側に回転させる場合でも、シールリングと壁との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は弁装置の構成図であり、(b)は(a)のA−A断面図である(実施例1)。
【図2】(a)はシールリングの平面図であり、(b)はシールリングによる弁体周縁の封鎖状態を示す説明図である(実施例1)。
【図3】(a)と(a´)とは全閉角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(b)と(b´)とは第1境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(c)と(c´)とは第2境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(d)と(d´)とは全開角におけるシールリングの状態を示す説明図である(実施例1)。
【図4】弁装置における回転角と流量(循環量)との相関図である(実施例1)。
【図5】開度の推移を示すタイムチャートである(実施例1)。
【図6】開度の推移を示すタイムチャートである(実施例2)。
【図7】(a)は弁装置の構成図であり、(b)は大ギヤとストッパとの係合を示す説明図である(実施例3)。
【図8】開度の推移を示すタイムチャートである(実施例3)。
【図9】(a)はデポジット除去前の弁体周縁を示す説明図であり、(b)はデポジット除去中の弁体周縁を示す説明図であり、(c)はデポジット除去後の弁体周縁を示す説明図である(実施例4)。
【図10】デポジット除去中の開度の推移を示すタイムチャートである(実施例4)。
【図11】(a)はデポジット除去において閉弁モードの全期間で弁体の回転数を小さくする場合の開度の推移を示すタイムチャートであり、(b)はデポジット除去において閉弁モードの内、閾角と全閉角との間のみ、弁体の回転数を小さくする場合の開度の推移を示すタイムチャートである(変形例)。
【図12】両軸斜めのバタフライ弁を示す説明図である(変形例)。
【図13】オフセット弁を示す説明図である(変形例)。
【図14】(a)は弁装置の要部断面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である(従来例)。
【図15】(a)はシールリングの平面図であり、(b)はシールリングによる弁体周縁の封鎖状態を示す説明図である(従来例)。
【図16】(a)と(a´)とは全閉角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(b)と(b´)とは第1境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(c)と(c´)とは第2境界角におけるシールリングの状態を示す説明図であり、(d)と(d´)とは全開角におけるシールリングの状態を示す説明図である(従来例)。
【図17】弁装置における回転角と流量(循環量)との相関図である(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施形態1の弁装置は、流体の通路に回転自在に収容されて通路の開度を可変する板状の弁体と、弁体の周縁に設けられた環状の溝に嵌まって弁体とともに回転し、通路の開度が全閉のときに、通路の壁に環状に当接して弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖するシールリングと、弁体に回転トルクを与える電動機への通電を制御して弁体の動作を制御する制御手段とを備える。
【0029】
そして、制御手段は、弁体の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、全閉の回転角を含む所定の回転角の範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0030】
実施形態2の弁装置によれば、シールリングは、C字状に設けられて自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(合口隙間)を形成するとともに、全閉のときには、自身の張力によって通路の壁に環状に当接して合口隙間が最も縮まるように弾性変形している。また、シールリングは、全閉から開側に回転していくと、合口隙間を広げながら弁体の周縁と通路の壁との間の封鎖を維持し続け、やがて、弁体の周縁と通路の壁との間を封鎖しない開放状態との境界角(第1境界角)に到達し、さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、溝に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(第2境界角)に到達する。
【0031】
そして、制御手段は、閉弁モードで、第1境界角から第2境界角までの範囲で選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【0032】
また、弁装置は、弁体の回転角を検出して制御手段に出力する回転角センサを備える。そして、一定の角度幅は、弁体の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサの温度特性に起因する検出誤差、および制御手段における回転角の把握誤差に基づき設定される。
【0033】
実施形態3の弁装置は、弁装置は、電動機の出力軸から弁体の回転軸に回転トルクを減速して伝達する減速機構と、減速機構を構成するギヤ部材の少なくとも1つを係止して、弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパとを備える。そして、制御手段は、閉弁モードで、特定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と特定の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
なお、特定の回転角は全閉の回転角である。
【0034】
実施形態4の弁装置によれば、制御手段は、通路の壁に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段を有する。そして、デポジット除去手段は、閉弁モードで、全閉の回転角と全閉よりも閉側の回転角との範囲において、弁体の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機への通電を制御する。
【実施例】
【0035】
〔実施例1の構成〕
実施例1の弁装置1の構成を、図1および図2に基づいて説明する。
弁装置1は、流体の通路2を有する通路形成体3と、通路2に回転自在に収容されて通路2の開度を可変する板状の弁体4と、弁体4の周縁に装着されるシールリング5と、弁体4に与える回転トルクを発生する電動機6と、電動機6の出力軸7から弁体4の回転軸8に回転トルクを減速して伝達する減速機構9と、電動機6への通電を制御して弁体4の動作を制御する制御手段10と、弁体4の回転角を検出して制御手段10に出力する回転角センサ11とを備える。
【0036】
そして、弁装置1は、例えば、内燃機関から排気される排気ガスの一部を吸気側に再循環するEGR装置において、流体としての排気ガスの循環量を可変するためのEGR弁装置として採用されている。
【0037】
通路形成体3は、排気ガスを再循環するための全ての通路2の内の一部を形成するものであり(以下、通路形成体3をノズル3と呼ぶ。)、ノズル3により形成される通路2の一部に弁体4が収容されている(以下、通路2という場合、特に断らない限りノズル3により形成される部分を示すものとする。)。また、ノズル3は、弁装置1のハウジング14とは別体であり、排気ガスに含まれる水分等に対する耐食性の点から、例えば、ステンレス鋼を素材として設けられている。
【0038】
弁体4は、略円形板状のバタフライ弁であり、弁体4の回転軸8は、弁体4の面方向に対して所定の角度だけ傾斜した状態で弁体4に溶接等で固定されている。そして、弁体4は、回転することにより、通路2の開口面積に相当する開度を全閉から全開の範囲で可変する。
【0039】
ここで、全閉とは、弁体4の周縁と通路2の壁15との間の隙間が最小となる開度であり、仮に、弁体4の周縁にシールリング5を配さない場合に通路2を通る排気ガスの流量が最小となる開度である。また、全開とは、通路2を通る排気ガスの流量が最大となる開度である。
【0040】
なお、弁体4も、水分等に対する耐食性の点からステンレス鋼を素材として設けられている。
また、回転軸8は、メタル軸受16、オイルシール17およびボールベアリング18を介してハウジング14に、回転自在に支持されている。
【0041】
シールリング5は、弁体4の周縁と通路2の壁15との間を封鎖するものであり、C字状に設けられて弁体4の周縁に設けられた環状の溝20に嵌まっている。そして、シールリング5は、自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間(合口隙間)21を形成するとともに、溝20の底面22と自身の内周縁との間に径方向の隙間(溝内隙間)23を形成しながら弁体4とともに回転する。
【0042】
また、シールリング5は、全閉のときに、壁15に環状に当接して合口隙間21および溝内隙間23が最も縮まるように弾性変形している。このとき、シールリング5は、自身の張力によって壁15に当接するとともに通路2の上流側から作用する排気ガスの圧力によって溝20の側面24に当接することで、弁体4の周縁と壁15との間を封鎖している。
なお、シールリング5も、水分等に対する耐食性の点からステンレス鋼を素材として設けられている。
【0043】
電動機6は、ブラシレスDCモータ等の周知の回転電機であり、例えば、電機子コイルへの通電が制御されて、出力する回転トルクを可変する。
減速機構9は、電動機6の出力軸7に固定される小ギヤ26と、弁体4の回転軸8に固定される大ギヤ27と、小ギヤ26および大ギヤ27の両方に噛み合って回転する中間ギヤ28とを有し、中間ギヤ28は、小ギヤ26と噛み合う大径ギヤ部29と、大ギヤ27と噛み合う小径ギヤ部30とを同軸的に有する。
【0044】
制御手段10は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムや各種データを保存する記憶装置、入力回路、出力回路等の機能を含んで構成される周知構造のマイクロコンピュータであり、回転角センサ11およびその他の各種センサから入力されるパラメータに応じて、通路2の開度や弁体4の回転角を目標値に制御する。
【0045】
すなわち、制御手段10は、例えば、内燃機関の運転状態に応じて回転角の目標値を算出するとともに、回転角の現在値と目標値との差分に応じて電動機6への通電量等を制御して回転角の現在値を目標値に略一致させる。
【0046】
回転角センサ11は、例えば、回転軸8に固定された永久磁石等の磁束発生手段と、磁束発生手段が発生する磁束を検出するホールIC等の磁束検出手段とからなる周知構造を有するものである。
【0047】
以上の構成により、弁装置1は、電動機6への通電を制御することで、内燃機関の運転状態に応じて通路2の開度を操作し、排気ガスの循環量を可変している。
ここで、弁体4が、全閉の回転角(全閉角)から全開の回転角(全開角)まで、開側に回転していくときのシールリング5の状態の推移について、図3を参照しながら説明する。
【0048】
まず、全閉角から開側に回転していくと、シールリング5は、合口隙間21および溝内隙間23を広げながら自身の外周縁の全周において壁15との当接を保ち、弁体4の周縁と壁15との間の封鎖を維持し続ける。やがて、シールリング5は、弁体4の周縁と壁15との間を封鎖しない開放状態との境界角(第1境界角)に到達し、外周縁が部分的に壁15と当接しなくなる。
【0049】
さらに、第1境界角よりも開側に回転していくと、シールリング5は、外周縁において壁15と当接しない部分を拡大しながら張力を弱めていき、同時に、合口隙間21および溝内隙間23を広げ続ける。やがて、シールリング5は、溝20に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角(第2境界角)に到達する。
【0050】
そして、第2境界角よりも開側の回転角において、シールリング5は、フリー状態を保ちながら合口隙間21および溝内隙間23を第2境界角における数値以上に広げることなく、全開角まで回転する。
【0051】
以上により、弁体4の回転角と排気ガスの循環量とは図4のような相関を示す。
すなわち、回転角が全閉角から第1境界角の間では、シールリング5によって弁体4の周縁と壁15との間の封鎖が維持されるので循環量はゼロに略一致している。そして、回転角が第1境界角以上の範囲では、回転角の開側への移行に応じて循環量が増加していく。
【0052】
そして、弁装置1によれば、弁体4がシールリング5のフリー状態から閉側に回転する場合、シールリング5は、合口隙間21および溝内隙間23が大きく広がった径大の状態で壁15に衝突し、衝突後、合口隙間21および溝内隙間23を縮めるように弾性変形していく。
【0053】
〔実施例1の特徴〕
実施例1の弁装置1の特徴を、図5等に基づいて説明する。
制御手段10は、弁体4の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体4の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、回転角の全範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
【0054】
つまり、制御手段10は、通電量を増減するためのデューティ比に関し、閉弁モードにおけるデューティ比を開弁モードよりも小さくすることで、閉弁モードにおける通電量を開弁モードにおける通電量よりも小さくする。これにより、閉弁モードにける弁体4の回転数は開弁モードよりも小さくなる。
【0055】
このため、閉弁モードにおける開度の時間的変化率の絶対値は、デューティ比を開弁モードと同一にした場合よりも小さくなる。そして、閉弁モードにおける開度は、デューティ比を開弁モードと同一にした場合よりも緩やかに閉側に移行する。
なお、図5では、閉弁モードにおいて、デューティ比を開弁モードよりも小さくした場合の開度の推移を実線で示し、デューティ比を開弁モードと同一にした場合の開度の推移を破線で示した。
【0056】
〔実施例1の効果〕
実施例1の弁装置1によれば、制御手段10は、弁体4の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、弁体4の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、閉弁モードでは、回転角の全範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
【0057】
これにより、閉弁モードにおいて、シールリング5が壁15に衝突する際の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなる。このため、衝突による衝撃を緩和することができる。また、衝突後も回転数が小さいので、シールリング5は、弁体4の周縁において緩やかに縮まりながら弾性変形することができる。このため、衝突後の摺動摩擦を緩和することができる。
【0058】
以上により、シールリング5がフリー状態から閉側に回転するときに、シールリング5と壁15との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリング5と壁15との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
【0059】
〔実施例2の構成〕
実施例2の弁装置1によれば、制御手段10は、閉弁モードで、所定の閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。つまり、制御手段10は、閉弁モードにおいて、弁体4が閾角に到達するまで、開弁モードと同じデューティ比により電動機6への通電量を制御し、弁体4が閾角に到達した後、開弁モードよりも小さいデューティ比により電動機6への通電量を制御する。
【0060】
これにより、制御手段10は、閉弁モードにおいて、閾角よりも開側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数と同等に保ち、閾角よりも閉側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくする。
このため、閉弁モードでは、図6に示すように、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、開度の時間的変化率の絶対値が小さくなる。そして、閉弁モードにおける開度は、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、緩やかに閉側に移行する。
【0061】
ここで、閾角は、第1境界角から第2境界角までの範囲において選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えたものである。また、一定の角度幅は、弁体4の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサ11の温度特性に起因する検出誤差、および制御手段10における回転角の把握誤差(例えば、入力回路におけるA/D変換誤差)に基づき設定される。
【0062】
〔実施例2の効果〕
実施例2の弁装置1によれば、制御手段10は、閉弁モードで、第1境界角から第2境界角までの範囲において選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
これにより、閉弁モードにおいて、シールリング5が壁15に衝突したり、衝突後に壁15を摺動したりするときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。
【0063】
このため、シールリング5と壁15との衝突による磨耗の進行、および、衝突後のシールリング5と壁15との摺動摩擦による磨耗の進行を、確実に抑制することができる。
また、閉弁モードにおいて、シールリング5の壁15への衝突等に対して大幅に時間的余裕がある間(つまり、回転角が第2境界角よりも大きい間)、回転数を大きくしておくことで閉弁応答性を高めることができる。
【0064】
また、選択した所定の回転角に加算される角度幅は、弁体4の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサ11の温度特性に起因する検出誤差、および制御手段10における回転角の把握誤差に基づき設定される。
これにより、シールリング5と壁15との衝突やストッパ機構における衝突に対して時間的余裕をもたせるために、閉弁モードにおいて回転数を小さくする時期を無用に早めることを阻止することができる。このため、閉弁等に要する時間が無用に長くなって応答性が低下するのを防止することができる。
【0065】
〔実施例3の構成〕
実施例3の弁装置1によれば、図7に示すように、大ギヤ27を係止して弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制するストッパ33を備える。すなわち、ストッパ33は、大ギヤ27に設けられた突起34と係合して大ギヤ27の回転を規制することで、弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制する。
【0066】
そして、制御手段10は、閉弁モードで、全閉角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。つまり、制御手段10は、閉弁モードにおいて、弁体4が閾角に到達するまで開弁モードと同じデューティ比により電動機6への通電量を制御し、弁体4が閾角に到達した後、開弁モードよりも小さいデューティ比により電動機6への通電量を制御する。
【0067】
これにより、制御手段10は、閉弁モードにおいて、閾角よりも開側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数と同等に保ち、閾角よりも閉側の回転角では弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくする。
【0068】
このため、閉弁モードでは、図8に示すように、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、開度の時間的変化率の絶対値が小さくなる。そして、閉弁モードにおける開度は、閾角に応じた開度よりも閉側の開度において、緩やかに閉側に移行する。
なお、全閉角に加算される角度幅は、弁体4の回転停止時の行過ぎ幅、回転角センサ11の温度特性に起因する検出誤差、および制御手段10における回転角の把握誤差に基づき設定される。
【0069】
〔実施例3の効果〕
実施例3の弁装置1は、大ギヤ27を係止して弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制するストッパ33を備え、制御手段10は、閉弁モードで、全閉角に一定の角度幅を加えた閾角と全閉角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する。
【0070】
これにより、閉弁モードにおいて、大ギヤ27がストッパ33に係止されるときよりも前に、時間的余裕をもって回転数を小さくしておくことができる。このため、ストッパ33における衝突(大ギヤ27とストッパ33との係合)に伴う衝撃を確実に緩和することができる。
【0071】
また、大ギヤ27とストッパ33との衝突に対して時間的余裕をもたせるために、閉弁モードにおいて回転数を小さくする時期を無用に早めるのを阻止することができる。このため、閉弁等に要する時間が無用に長くなって閉弁応答性が低下するのを防止することができる。
【0072】
なお、閉弁モードにおいて、大ギヤ27とストッパ33とが衝突する場合、減速機構9におけるギヤ同士の噛み合い部分にも衝撃が発生するので、歯が折損する虞がある。これに対し、閉弁モードにおいて弁体4の回転数を小さくして衝撃を緩和することで、ギヤ同士の噛み合い部分における歯の折損の虞を低減することができる。
【0073】
〔実施例4〕
実施例4の弁装置1によれば、制御手段10は、図9に示すように、通路2の壁15に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段の機能を有する。すなわち、制御手段10は、例えばIGオフ時に、全閉角を跨ぐように全閉角よりも閉側の所定角度と全開角との間で、開弁モードと閉弁モードとを繰り返して弁体4を回転往復させる。
【0074】
このとき、制御手段10は、閉弁モードで、所定角度と実施例2と同じ閾角との範囲において、弁体4の回転数が開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように電動機6への通電を制御する(図10参照)。つまり、制御手段10は、閉弁モードで、所定角度と実施例2と同じ閾角との範囲において、デューティ比を開弁モードよりも小さくして電動機6に通電させる。
【0075】
これにより、デポジットの除去を促進するために弁体4を全閉よりも閉側に回転させる場合でも、シールリング5と壁15との摺動摩擦による磨耗の進行を抑制することができる。
【0076】
〔変形例〕
弁装置1の態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例3の弁装置1によれば、ストッパ33は、大ギヤ27を係止して弁体4が全閉角よりも閉側に回転するのを規制するものであったが、ストッパ33の態様はこのようなものに限定されない。例えば、ストッパ33が大ギヤ27等のギヤ部材を係止するときの弁体4の回転角は、全閉角に限定されず、回転角センサ11の位置認識に利用することが可能なものであれば、いかなる回転角であってもよい。
【0077】
また、実施例4の弁装置1によれば、制御手段10はデポジット除去手段として機能する場合、全閉角を跨ぐように所定角度と全開角との間で開弁モードと閉弁モードとを繰り返したが、図11に示すように、全閉角と全開角との間で開弁モードと閉弁モードとを繰り返してもよい。この場合、閉弁モードの全期間で弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくしてもよく(図11(a)参照)、閉弁モードの内、閾角と全閉角との間のみ、弁体4の回転数を開弁モードにおける回転数よりも小さくしてもよい(図11(b)参照)。
【0078】
また、実施例1〜4の弁装置1によれば、弁体4は、回転軸8が一方の面にのみ固定されている片軸のバタフライ弁であったが、図12に示すように、両方の面から回転軸8が正反対の方向に伸びる両軸のバタフライ弁を弁体4として採用してもよい。
【0079】
また、実施例1〜4の弁装置1によれば、弁体4は、回転軸8が弁体4の面方向に対して所定の角度だけ傾斜した状態で弁体4に固定されている斜めのバタフライ弁であったが、図13に示すように、回転軸8が弁体4の片方の面に面方向と平行に固定されたオフセット弁を弁体4として採用してもよい。
【0080】
さらに、実施例1〜4の弁装置1は、排気ガスの循環量を可変するためのEGR弁装置に採用されていたが、他の流体の流量を可変するための弁装置に採用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 弁装置
2 通路
4 弁体
5 シールリング
6 電動機
7 出力軸(電動機の出力軸)
8 回転軸(弁体の回転軸)
9 減速機構
10 制御手段
11 回転角センサ
15 壁(通路の壁)
20 溝
21 合口隙間(周方向隙間)
27 大ギヤ(ギヤ部材の少なくとも1つ)
33 ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の通路に回転自在に収容されて前記通路の開度を可変する板状の弁体と、
この弁体の周縁に設けられた環状の溝に嵌まって前記弁体とともに回転し、前記通路の開度が全閉のときに、前記通路の壁に環状に当接して前記弁体の周縁と前記通路の壁との間を封鎖するシールリングと、
前記弁体に回転トルクを与える電動機への通電を制御して前記弁体の動作を制御する制御手段とを備え、
この制御手段は、
前記弁体の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、前記弁体の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、
前記閉弁モードでは、全閉の回転角を含む所定の回転角の範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁装置において、
前記シールリングは、
C字状に設けられて自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間を形成するとともに、全閉のときには、自身の張力によって前記通路の壁に環状に当接して前記周方向隙間が最も縮まるように弾性変形しており、
全閉から開側に回転していくと、前記周方向隙間を広げながら前記弁体の周縁と前記通路の壁との間の封鎖を維持し続け、やがて、前記弁体の周縁と前記通路の壁との間を封鎖しない開放状態との境界角に到達し、
さらに、前記開放状態との境界角よりも開側に回転していくと、前記溝に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角に到達し、
前記制御手段は、
前記閉弁モードで、前記開放状態との境界角から前記フリー状態との境界角までの範囲で選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と前記全閉の回転角との範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【請求項3】
請求項1に記載の弁装置において、
前記電動機の出力軸から前記弁体の回転軸に回転トルクを減速して伝達する減速機構と、
この減速機構を構成するギヤ部材の少なくとも1つを係止して、前記弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパとを備え、
前記制御手段は、
前記閉弁モードで、前記特定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と前記特定の回転角との範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【請求項4】
請求項3に記載の弁装置において、
前記特定の回転角は前記全閉の回転角であることを特徴とする弁装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4の内のいずれか1つに記載の弁装置において、
前記弁体の回転角を検出して前記制御手段に出力する回転角センサを備え、
前記一定の角度幅は、前記弁体の回転停止時の行過ぎ幅、前記回転角センサの温度特性に起因する検出誤差、および前記制御手段における回転角の把握誤差に基づき設定されることを特徴とする弁装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載の弁装置において、
前記制御手段は、前記通路の壁に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段を有し、
このデポジット除去手段は、前記閉弁モードで、前記全閉の回転角と全閉よりも閉側の回転角との範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【請求項1】
流体の通路に回転自在に収容されて前記通路の開度を可変する板状の弁体と、
この弁体の周縁に設けられた環状の溝に嵌まって前記弁体とともに回転し、前記通路の開度が全閉のときに、前記通路の壁に環状に当接して前記弁体の周縁と前記通路の壁との間を封鎖するシールリングと、
前記弁体に回転トルクを与える電動機への通電を制御して前記弁体の動作を制御する制御手段とを備え、
この制御手段は、
前記弁体の回転角を閉側に移行させる閉弁モードと、前記弁体の回転角を開側に移行させる開弁モードとを有し、
前記閉弁モードでは、全閉の回転角を含む所定の回転角の範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁装置において、
前記シールリングは、
C字状に設けられて自身の周方向に対向する2つの端面により周方向隙間を形成するとともに、全閉のときには、自身の張力によって前記通路の壁に環状に当接して前記周方向隙間が最も縮まるように弾性変形しており、
全閉から開側に回転していくと、前記周方向隙間を広げながら前記弁体の周縁と前記通路の壁との間の封鎖を維持し続け、やがて、前記弁体の周縁と前記通路の壁との間を封鎖しない開放状態との境界角に到達し、
さらに、前記開放状態との境界角よりも開側に回転していくと、前記溝に嵌まった状態で張力を有さずに自在に動くことができるフリー状態との境界角に到達し、
前記制御手段は、
前記閉弁モードで、前記開放状態との境界角から前記フリー状態との境界角までの範囲で選択した所定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と前記全閉の回転角との範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【請求項3】
請求項1に記載の弁装置において、
前記電動機の出力軸から前記弁体の回転軸に回転トルクを減速して伝達する減速機構と、
この減速機構を構成するギヤ部材の少なくとも1つを係止して、前記弁体が特定の回転角よりも閉側に回転するのを規制するストッパとを備え、
前記制御手段は、
前記閉弁モードで、前記特定の回転角に一定の角度幅を加えた閾角と前記特定の回転角との範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【請求項4】
請求項3に記載の弁装置において、
前記特定の回転角は前記全閉の回転角であることを特徴とする弁装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4の内のいずれか1つに記載の弁装置において、
前記弁体の回転角を検出して前記制御手段に出力する回転角センサを備え、
前記一定の角度幅は、前記弁体の回転停止時の行過ぎ幅、前記回転角センサの温度特性に起因する検出誤差、および前記制御手段における回転角の把握誤差に基づき設定されることを特徴とする弁装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載の弁装置において、
前記制御手段は、前記通路の壁に堆積するデポジットを除去するデポジット除去手段を有し、
このデポジット除去手段は、前記閉弁モードで、前記全閉の回転角と全閉よりも閉側の回転角との範囲において、前記弁体の回転数が前記開弁モードにおける回転数よりも小さくなるように前記電動機への通電を制御することを特徴とする弁装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−202539(P2012−202539A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70475(P2011−70475)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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