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微細金属構造体およびその製造方法
説明

微細金属構造体およびその製造方法

【課題】従来よりも微細なパターンを集積させた上、体積抵抗値を比較的低減させて微細金属構造体としての性能を向上させる微細金属構造体を提供する。
【解決手段】基材上に所定のパターンを有する金属膜が設けられた微細金属構造体であって、前記金属膜は、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子を含むペーストから形成されるものであり、前記所定のパターンにおける金属膜の幅は10μm以下であり、前記金属膜の体積抵抗率が1.0×10−5Ω・cm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細金属構造体およびその製造方法に関し、特に金属ナノ粒子を含むインクあるいはペーストを用いた、微細金属構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロマシン部品等の構造体を製造するために、放電加工、切削加工、めっき法といった種々の方法によって、微細な金属構造体を形成させることが試みられている。この構造体の形成の一つの手法として、フォトリソグラフィ法により感光性樹脂を露光し、現像して微細金属構造体用の型を形成させてから、この型に電気鋳造法により材料を電着させて微細金属構造体を製造する方法が、従来から知られていた(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この従来技術による微細金属構造体の製造方法は、溶液中で無電解めっきにより、型に金属を電着させて製品を製造するので、微細金属構造体の基材は金属に限定されてしまうという欠点があった。また、材料の電着に長時間を要するため製造の効率が悪く、更に製造装置が大掛かりとなる欠点もあった。
【0004】
そこで、これを解決するため本発明者は、所定の凹凸レジストパターンを有するプラスチックフィルムに対し、ドクターブレードを用いて、金属粒子の含まれたスラリー(本明細書ではペーストとも言う。)を塗布・充填する手法を開示した(例えば、特許文献1及び2参照)。そして塗布・充填の後、このペーストを加熱・乾燥してから上記プラスチックフィルムを離型し、所望の形状を有する微細金属構造体を製造するという手法を、本発明者は見出している。
【0005】
このドクターブレードを用いた配線形成法を用いた技術としては、上記の技術以外にも、同じく本発明者により見出された別の技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
この特許文献3について、図4を用いて具体的に言うと、離型フィルム10上にポジ型のフィルム状フォトレジストが形成されたドライフィルムをパターニングしてレジストパターン40の凸部40a及び凹部40bを形成する(図4(a))。
【0007】
そして、この凹部に対してドクターブレードにより導電ペーストを塗布・充填させた後(図4(b)(c))、離型フィルムを剥がした上で(図4(d))、フォトレジストと導電ペーストが一体になったものを、セラミックグリーンシートに接着する(図4(e))。
その後、フォトレジストを溶解して、セラミックグリーンシート上に、所定のパターンを有する導電膜を形成している(図4(f))。
以上の手法により、断面が丸みを帯びないような導電膜をセラミックグリーンシート上に形成することが可能となる。
【0008】
特許文献4には、以下の技術が開示されている。即ち、ベースフィルム上にフォトレジスト膜を積層し、このフォトレジスト膜を所望のパターン形状に露光する。そして、露光されたフォトレジスト膜に対して別のフォトレジスト膜を積層し、感光させる。
【0009】
その後に現像することで凹部を形成させてから、導電性ペーストを充填し、これを固化することによって、所望の導電性パターンを形成する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−38304号公報
【特許文献2】WO2005/054118号公報
【特許文献3】WO2006/033402号公報
【特許文献4】特開2000−164458号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】山口勝美、中本剛「光造形法による形状創成」精密工学会誌、VOl.61、NO.10、1995、p.1385〜1388
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、微細金属構造体に求められる配線は、集積化を目的として、微細化が指向されている。
【0013】
しかし、微細な配線パターンを形成しようとすると、平均一次粒子径がシングルマイクロオーダーの導電性物質(例えば金属粒子)を選択しても、粒子同士の凝集が起こるとその凝集径は大きくなることもあり、設定しているレジストパターンの凹部幅を超えることも起こりうる。
【0014】
その場合、レジストパターンの凹部に金属ペーストを充填させることができなくなる。その結果、配線としては断続的なものが形成されてしまうことになり、その部分では導電性が失われることになる。
【0015】
また、レジストパターンを剥離する際に、レジストパターン上に存在する金属粒子の一部が配線間の空間部分に落下してしまい、場合によっては短絡の原因になる場合もある。これらのことから明らかなようにドクターブレードを用いる微細配線をマイクロオーダーの粒子を用いようとする場合には、微細配線の形成は行い難かった。
【0016】
そこで本発明の目的は、従来以上に微細なパターンを有する微細金属構造体を簡易に、かつ高い精度で効率よく製造することができる微細金属構造体の製造方法を提供することにある。
【0017】
また、本発明のもう一つの目的は、従来よりも微細なパターンを有する導電膜を形成し、体積抵抗値が低減された微細金属構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、上述の目的を達成できる微細金属構造体及びその製造方法について検討した。
【0019】
本発明者らはこの検討を進めるにしたがって、種々の微細な配線を形成するには従来のようなシングルミクロンオーダーの粒子では達成は困難であるという結論に達した。そこで、平均一次粒子径が100nm以下である金属ナノ粒子を利用し、配線の形成をフォトレジストとドクターブレードを併用することで、行うことにより、上述の課題は達成できうることを見いだし、本願発明を完成させた。
【0020】
さらに、上記の発明の実施に際しては、配線を形成するに当たって使用するフォトレジストは液体状のものを利用することで、レジスト膜の厚みの調整を容易にすることができ、ひいては配線におけるアスペクト比の調整を図りうることを見いだした。
【0021】
加えて、レジストにより形成された型へは、適切な粘度を持つ液体状のペーストを充填することで、途切れ途切れにならない配線を形成することができる。その行為に当たっては、エッジが立った繊細な配線とするため、ペーストに用いる溶剤はレジストとの反応性の小さいものとすることが好ましいことをも見いだした。
【0022】
この知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の一つの態様は、
基材上にフォトレジスト層を形成し、
所定のパターンを有するフォトマスクを用いて前記フォトレジスト層を感光させ、
前記感光させたフォトレジスト層を現像して前記基材上に凹凸からなるレジストパターンを作成し、
導電性を有する物質を含有するペーストを充填用器具により前記基材上でせん断移動させ、前記ペーストを前記レジストパターンの凹部に対して充填する微細金属構造体の製造方法であって、
前記ペーストは、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子を含むペーストであり、
前記フォトレジスト層の形成には液状のフォトレジスト液を使用する、微細金属構造体の製造方法である。
【0023】
本発明の別の態様は、
基材上に所定のパターンを有する金属膜が設けられた微細金属構造体であって、
前記金属膜は、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子を含むペーストから形成されるものであり、
前記所定のパターンにおける金属膜の幅は10μm以下であり、
前記金属膜の体積抵抗率が1.0×10−5Ω・cm以下である、微細金属構造体である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来以上に微細なパターンを有する微細金属構造体を容易でありながらも高い精度で効率よく製造することができる。
【0025】
また、上記の方法により形成される微細金属構造体は、従来よりも微細なパターンを集積させることができるとともに、体積抵抗値を低減させて微細金属構造体としての性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態による微細金属構造体の製造方法を工程順に示し、(a)ないし(j)は、その断面図である。
【図2】本発明に係る実施例1〜2の試料を電子顕微鏡で観察したときの写真を示す図である。
【図3】本発明に係る実施例3〜8の試料を電子顕微鏡で観察したときの写真を示す図である。
【図4】従来技術(特許文献3)における微細金属構造体の製造方法を工程順に示し、(a)ないし(f)は、その断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
本発明に従う構造体はおおよそ下記のような工程を経て形成される。具体的には、(1)基材上にレジストを塗布して焼成し、レジストを固化する工程、(2)レジストにフォトマスクを乗せ露光する工程、(3)現像により配線の型を形成する工程、(4)ドクターブレードを用いて金属ペーストを充填する工程、(5)金属ペーストを基材上に固化させる乾燥工程、(6)基材上からレジストを溶解する工程、(7)ペーストの金属化を進める乾燥・本焼成工程である。これらの工程に沿って、本発明の概要を説明する。
【0029】
<1.微細金属構造体の製造方法>
A)基材の準備
本実施形態において、図1(a)の基材1は、その主表面上に所望のパターンを有する金属膜7が形成されることとなる基材である。更に好ましくは、配線パターンが形成されることになる基材である。
【0030】
本発明は金属ナノ粒子を使用することから、低温での金属膜の形成も可能である。したがって、基材としては任意の機材を使用することもできる。そのため、通常知られているようなセラミックス、金属板、ガラスはもちろんのこと、耐熱性の悪い高分子からなる素材を選択することも可能である。
【0031】
B)レジスト塗布工程
この基材1に対して脱水ベーク処理を行ってもよい。その後、図1(b)に示す通り、基材1の一方の主表面を覆うように、フォトレジスト液21を塗布する。本実施形態においては、このフォトレジスト液21としては、一例としてポジ型レジストを使用する。
具体的なポジ型レジストの材質としては、アジド系、ジアゾ系、キノンジアゾ系のものを用いることができる。
【0032】
塗布方法としては、本実施形態においては、基材1の主表面に上記フォトレジスト液21を滴下した後、所定の回転数にて基材1を回転させるスピンコート法を用いるとよい。次いで、主表面上にフォトレジスト液21がスピンコートされた基材1をホットプレートにて所定の温度と時間でベーク処理する。その後、例えば室温に保たれた冷却プレート上に移載して冷却処理し、フォトレジスト層2を形成する。以降、フォトレジスト層2を単にレジスト層2とも言う。
【0033】
上述のように、フォトレジスト液21を用いてレジスト層2を形成することにより、幅10μm程度の微細な配線パターンを形成する場合であっても、アスペクト比において厚さの値を10μm以下に調整することができる。
【0034】
C)露光工程
上記塗布工程の後、図1(c)に示すように、フォトマスク2Aが有する所定のパターンをレジスト層2に転写すべく、フォトマスク2Aを備えた露光装置を用いて、レジスト層2を露光させる。なお、本実施形態においては、先に述べたように、本実施形態におけるレジスト層2はポジ型レジストである。そのため、露光した部分のレジスト層(露光部2b)は後述の現像工程において溶解部となる。逆に、露光しなかった部分のレジスト層(非露光部2a)は非溶解部となる。
【0035】
このとき用いられるフォトマスク2Aは、例えば、クオーツガラス、ソーダガラス、プラスチックフィルムの如き透明基材とクロム膜やエマルジョン膜の如きパターニング用のマスク薄膜とから成っている。
【0036】
D)現像工程
(a)現像
所望の微細パターンを露光した後、図1(d)に示すように、ポジ型レジストからなるレジスト層2を有する基材1を所定の現像剤に浸漬することにより現像を行う。そして、レジスト層2において露光された部分を除去し、フォトマスク2Aのパターンに対応するパターンであって凹凸からなるレジストパターン4を形成する。この際、現像剤としてはレジストの種類に応じて公知のものを用いれば良い。
【0037】
(b)リンス・乾燥
上記現像剤の滴下供給を止めた直後に、基材1を回転させながら基材1の上方から、上記現像剤を洗い流すためにリンス剤を滴下供給する。その後、上記のリンス処理を行った基材1に対して乾燥処理を行う。この際、リンス剤としては、レジストパターン4の倒れを防止すべく、フッ素系化合物のように表面自由エネルギーが低い物質を用いるのが好ましい。
【0038】
このようにして露光されたレジスト層2を現像し、露光部2bを除去して、図1(e)に示すように、フォトマスク2Aのパターンに相応する凸部4a及び凹部4bを有するレジストパターン4が作成される。なお、必要に応じて、レジストパターン4が形成された基材1に対しベーク処理を行っても良い。
こうして、所望の凹凸形状からなるレジストパターン4が形成され、このレジストパターン4が主表面上に形成された基材1が得られる。
【0039】
E)ペースト充填工程
本実施形態においては、図1(f)に示すように、上記凹凸形状からなるレジストパターン4の凹部4bに対し、ペースト5を充填することになる。まず、本実施形態において用いられるペースト5の特徴について詳述する。その後、そのペースト5をレジストパターン4の凹部4bに充填する方法について述べる。
【0040】
(a)ペーストの特徴
本実施形態において用いられるペースト5は、大きく分けると金属ナノ粒子5aとそれが分散される溶媒、また必要に応じて粘度等を調整し、ペーストの性質を調整する成分などからなる液状物質である。この金属ナノ粒子5aが、ペースト5焼成後、最終的に配線パターン材料となる。
【0041】
(i)金属ナノ粒子
本発明に用いられる金属としては平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子5aを用いる。こうした構成とすることにより、凝集径が10μmを超えることを抑制できることから、近年要請されている幅10μm程度の微細な配線パターンを形成することができるので好ましい。
【0042】
前記のような凝集径の範囲とすることができれば、レジストパターン4における凹部4b幅以下の凝集径とすることができるので、ペースト5における金属ナノ粒子5aを配線パターンの凹部4bに容易に充填することができる。その結果、配線中の欠陥のない金属密度の高い配線パターンを形成することができ、線幅が10μm程度の微細な配線パターンであっても、導電性が失われることを抑制できる。
【0043】
更に、平均一次粒子径1〜100nmといったナノオーダーの金属ナノ粒子5aを用いる場合、バルク状態のものに比べて融点が劇的に低下する。そのため、従来のミクロンオーダーの粒子に比べ、微細な配線パターンを形成することができるのみならず、低温焼結を行うことが可能になる。
【0044】
粒子表面が有機物により被覆されており、凝集が抑制されれば、10μm程度の幅を有するレジストパターン4の凹部4bへと溶媒ごと容易に充填することができる。更に、ペースト5を焼成して金属膜7を形成した際、凝集した粒子同士が焼結するよりも金属粒子の密度を上昇させることができる。その結果、金属膜7の体積抵抗率を低下させ、微細金属構造体の性能を向上させることができる。
【0045】
なお、本実施形態における平均一次粒子径は、TEM(透過電子顕微鏡)観察により平均粒子径(DTEM)を測定することにより求められる。具体的には、TEM観察では60万倍に拡大した画像から重なっていない独立した粒子300個の径を測定して平均値を求める。
【0046】
また、X線回折結果を用い、結晶子の大きさを評価することも可能である。具体的には、Ag(111)の回折線を用いて、Scherrerの式を用いて求める。この方法で求めたX線粒子径(Dx)は、以下のとおりの式で算出できる。
D=K・λ/βcosθ
式中、K:Scherrer定数、D:結晶粒子径、λ:測定X線波長、β:X線回折で得られたピークの半価幅、θ:回折線のブラッグ角をそれぞれ表す。
Kは0.94の値を採用し、X線の管球はCuを用いると、前式は下式のように書き換えられる。
D=0.94×1.5405/βcosθ
【0047】
また、ペースト5に含まれる金属ナノ粒子5aは、その表面を脂肪酸で被覆した場合には、ターピネオールをはじめとする極性溶媒に分散しやすく、その表面をアミン類で被覆するとトルエンなどの非極性溶媒に分散しやすいものとなる。このことからわかるように、レジストの性質により、表面を被覆する物質を変更し、たとえば配線を形成したい基板の物性や表面性などに応じて、レジストの材質を変更した際にも適宜対応することが可能である。金属種としては、導電性を呈する金属であればいずれも候補になり得るが、入手の容易性からみて、銀が特に好ましい。また、こうした金属ナノ粒子は公知の方法により作成することができる(例えば、特許第4344001号や特許第4284283号参照)。
【0048】
(ii)溶媒
一方、金属ナノ粒子5aを分散させるために、本実施形態のペースト5に使用する溶媒について、以下説明する。
【0049】
本実施形態においては、フォトレジストの形成に際し、液状のフォトレジスト液を使用する。つまり、レジスト層2が液状のフォトレジスト液21から形成されている。元々液状だったフォトレジスト液を用いる場合、液状ペーストは通常用いられにくい。これは、レジストパターンが硬化していたとしても、ペーストまたはインクを塗布すれば、レジストとペースト中に含まれる溶剤が相溶してしまい、パターンの体をなさなくなることがあるためである。
【0050】
しかしレジストを硬化した後、配線を形成するに際して乾式法、すなわちスパッタ法を用いる場合には多くの金属を必要とするため、金属膜の厚みがある程度必要な場合には用いられにくい。また、蒸着に際しては巨大な装置を必要とし、大量生産には向かないのが現状である。そこで、レジストで形成された凹部に対してドクターブレード法によりペーストを塗布するという従来にない手法を試みた。
【0051】
発明者らの検討によれば、精細なパターンを当該手法により形成させるためには、レジストと相溶性のない溶媒を選定し、そしてその溶媒に対して粒子が高度に分散することができていれば、上記の手法で厚みを有する金属膜を形成させることが可能であることを見いだした。また、印刷法であればその線幅に制限があったり、配線のエッジ部分が乱れることがあったりしたが、本方法によればそれらの問題は起こらない。
【0052】
上記の条件を満たす溶媒は、選択するフォトレジストや塗布する基板の種類に応じて適宜決定すればよい。具体的には塗布対象物への適合性やフォトレジストに対する干渉のない溶媒を選択するために、粒子表面を構成する界面活性剤の種類を上述のように適宜変更することで、本手法は塗布対象物を選ばない塗布方法となる。
【0053】
そして、金属ナノ粒子を用いていることから、塗布して形成した配線は比較的低温(〜200℃)の加熱であっても金属化し、導電性を示すようになる。このことは、基板の耐熱性により制限されていた塗布対象物の選択の幅を広げ、様々なものに金属配線を形成できることにつながるため好ましい。
【0054】
ここで、塗布後の配線の均一性を確保するためには、分散媒中の金属ナノ粒子が高度に分散していることが好ましい。分散度合いを評価する手法は様々なものが例示できる。具体的には、下記のような手法を用いて評価することができる。
【0055】
まず、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて一次粒子の粒度分布(あるいは平均一次粒子径)を算出したのちに、たとえば動的光散乱法を用いて液中における粒度分布を算出し、これらを比較することで液中における粒子の分散性を評価する。このことにより、液中において粒子がどの程度凝集・集合しているかどうかを判断することができる。好ましい状態は一次粒子に近づくことであるため、動的光散乱法で算出される平均粒子径/TEM写真から算出される平均粒子径の値は1に近づくことが好ましい。
【0056】
また、グラインドゲージを用いて、インクもしくはペースト中に存在する凝集塊の大きさを評価することによっても、粒子の分散度合いを確認することも可能である。このときの凝集塊は10μm以下であるとよく、好ましくは5μm以下であることが好ましい。
【0057】
さらに、インクもしくはペーストから分散度合いを確認する方法としては、インクもしくはペーストの粘度を直接測定する方法があげられる。分散がよいインクもしくはペーストの場合、粒子と溶媒の接触面積が多くなることに伴って、それらに働く抵抗が高くなることから、粘度が高い場合には粒子が高度に分散しているとみなすことができる。ただし、あまりに粘度が高いインクやペーストは塗布が行いにくくなるので好ましくない。一方粘度が低すぎると、スキージで配線を形成したときに、インクやペーストそのものが流れ出してしまうため、寸法安定性の悪い配線となる可能性があり好ましくない。具体的には、3.0mPa・s〜2000.0mPa・sの範囲であることが好適である。このときの粘度は、たとえば常温(25℃)における粘度を測定し(たとえば、レオメーターなどを用い)て知ることができる。
【0058】
さらに、分散媒は上述のような金属ナノ粒子を高度に分散させることのできる性質を備えるほか、塗布対象物上に形成されたレジストを侵さない性質を有する必要がある。この性質を備えることで、レジストによって形成された型に対して、ペーストを効率的に充填させることができるようになる。
【0059】
ここで、「レジストを侵さない」性質とは、後述するE)ペースト充填工程〜F)ペースト焼成工程までの間に、レジスト層2に対してパターン変動を起こさない程度の溶解速度であることを意味する。具体的な溶解速度を挙げるとするならば、1時間当たり0.01μm以下の溶解速度ならば、「レジストを侵さない」と言える。
【0060】
本実施形態にて用いられる溶媒は、最低限上記性質(金属ナノ粒子を分散させ、レジストを侵さない)を有するものであれば、極性・非極性のいずれの性質の溶剤でも使用することが可能である。
【0061】
極性を有するものであれば、その比誘電率が3〜50のものであるとよい。比誘電率が3未満であると溶媒の非極性が強くなり銀粒子分散体の分散安定性が経時的に不安定になり、50を越えると分散剤の粒子への吸着が劣るようになり、粒子の分散安定性が不安定となる。具体的には、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、アルキルエーテル系溶媒、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、アミド系溶媒といったものが例示できる。また、分散溶媒として反応性基を有する(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニルなどのビニル系単量体、ビニルエーテル誘導体類、ポリアリル誘導体などのエチレン系不飽和単量体類も使用することができる。非極性溶媒だと特に炭化水素系の有機媒体が好適に使用できる。例えば、イソオクタン、n−デカン、イソドデカン、イソヘキサン、n−ウンデカン、n−テトラデカン、n−ドデカン、トリデカン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、デカリン、テトラリン等の芳香族炭化水素といったものを用いるとよい。
【0062】
(b)ペーストの充填方法
次に、上記のペースト5をレジストパターン4における凹部4bに充填する方法について説明する。この方法は、図1(f)に示すように、導電性を有する物質を含有するペースト5を充填用器具により基材1上でせん断移動させ、上記ペースト5を上記レジストパターン4の凹部4bに対して充填する方法である。
【0063】
この方法によく用いられている充填用器具はドクターブレード6である。同時に、このドクターブレード6によりペースト5をレジストパターン4凹部4bに充填する方法を、先に述べたようにドクターブレード法と呼んでいる。
【0064】
ドクターブレード法には、スクリーン法や蒸着法に比べ、以下の利点がある。
即ち、スクリーン法を採用する場合、塗布物をメッシュ上から被塗布物へと塗布することになるが、メッシュの網目の細かさは30μm程度が限界とされている。それに加え、被塗布物にメッシュを接触させるため、被塗布物上の塗布物にはメッシュの跡が残されることになる。その際、このメッシュ痕を塗布物の流動性を利用して消していく操作が必要になる。この操作の際、塗布物がパターン形状に塗布されていたとしても、塗布物が流動性を有するが故に、パターン形状が崩れてしまうおそれがある。
【0065】
また、蒸着法を用いる場合、金属膜7の厚さを厚くするには相当な時間を要することになる。更に、蒸着法に用いる装置及び工程も複雑かつコストが嵩むものになり、現実的ではない。
【0066】
しかしながら、本実施形態で用いられるドクターブレード法は、いわば金属ヘラ状の充填用器具で、ペースト5をせん断移動させることにより、レジストパターン4の凹部4bに対してペースト5を充填する。
【0067】
こうすることにより、ペースト5塗布工程中にパターン形状が崩れるおそれがなくなる。更に、後のF)ペースト焼成工程で形成される金属膜7は、レジストパターン4に忠実に対応した形状を有することになる。
【0068】
なお、本工程ではレジストパターン4の凹部4bにペースト5を充填させることを目的としている。その一方で、レジストパターン4の凸部4aの主表面に若干量のペースト5が塗布されたままでも良い。後述するG)レジストパターン剥離工程で、レジストパターン4と共にこの若干量のペースト5からなる不要な金属膜7も除去されることになるためである。
【0069】
F)ペースト焼成工程
上記のE)ペースト充填工程中、またはペースト5を充填した後、ペースト5から金属膜7を形成すべく、図1(g)に示すように、基材1に対して加熱処理を行う。具体的な温度としては、基材1が80℃〜200℃になるように加熱されるのが好ましい。加熱温度が80℃以上ならば、乾燥・焼成時間が長すぎることなく工程の効率化が図れる。また、加熱温度が200℃以下ならば、ペースト5の充填が充分に行われるので好ましい。
【0070】
その後、乾燥機で60℃〜120℃、好ましくは、80℃で2時間かけて材料を乾燥する。乾燥温度が120℃以下ならば、過剰乾燥を防ぐことができ、レジストパターン4の剥離時に、微細金属構造体8にひびが入るのを防ぐことができる。
なお、焼成する際の温度・時間、及び乾燥する際の温度・時間は、材料に応じて適宜設定される。
【0071】
G)レジストパターン剥離工程
続いて、硫酸と過酸化水素水の混合液からなる剥離液Gによって、図1(h)に示すように、レジストパターン4を完全に剥離する。
【0072】
具体的には、基材1を上記剥離液Gに所定の時間浸漬し、その後、リンス剤により剥離液Gを洗い流す。本実施形態では、イソプロピルアルコールにて洗浄した後、純水にて洗浄している。なお、イソプロピルアルコールも純水も、常温又は加熱したものを用いる。
次いで上記の乾燥処理と同様な手法で、基材1を乾燥させる。
【0073】
なお、ここで用いる剥離液Gとしては、金属膜7を実質的に溶解しない化合物であって、レジストを膨潤溶解又は化学的に分解して剥離除去できる化合物であれば良い。
【0074】
H)洗浄・乾燥工程
以上の工程を経た後、図1(i)に示すように、必要があれば基材1の洗浄等を行う。このようにして、図1(j)に示すような微細金属構造体8を完成させる。
【0075】
<2.微細金属構造体>
以上の方法を用いて製造された微細金属構造体8の一例について説明する。
【0076】
本実施形態において製造された微細金属構造体8は、基材1上に所定のパターンを有する金属膜7が設けられている。そして、この金属膜7は、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子5aを含むペースト5から形成されている。また、上記所定のパターンにおける金属膜7の幅は10μm以下で形成されている。更に、金属膜7の体積抵抗率が1.0×10−5Ω・cm以下である。
【0077】
<3.本実施形態の効果>
ここで挙げた微細金属構造体8、及びこれまでに述べた製造方法においては、以下の効果を奏する。
【0078】
フォトレジスト液21を用いてレジスト層2を形成することにより、幅10μm程度の微細な配線パターンを形成する場合であっても、アスペクト比において厚さの値を10μm以下に調整することができ、レジストパターン4の凸部4aの倒れといった問題が発生するおそれを抑制することができる。
【0079】
また、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子5aを用いることにより、近年要請されている幅10μm程度の微細な配線パターンを形成しようとした場合、凝集径が10μmを超えることを抑制でき、レジストパターン4の凹部4b幅以下の凝集径とすることができる。
【0080】
こうすることにより、ペースト5における金属ナノ粒子5aを配線パターンの凹部4bに容易に充填させることができる。その結果、金属密度の高い配線パターンを形成することができ、10μm程度の微細な配線パターンであっても、導電性が失われるおそれを抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態において充填用器具でペースト5をせん断移動させて充填することにより、E)ペースト充填工程中にパターン形状が崩れるおそれがなくなる。更に、F)ペースト焼成工程で形成される金属膜7は、レジストパターン4に忠実に対応した形状を有することになる。
【0082】
以上の効果を奏することにより、ペースト5を焼成して金属膜7を形成した際、凝集した粒子同士が焼結するよりも金属粒子の密度を上昇させることができる。その結果、金属膜7の体積抵抗率を低下させ、微細金属構造体の性能を向上させることができる。
【0083】
以上の結果、従来以上に微細なパターンを有する微細金属構造体を高い精度で効率よく製造することができ、微細部品を簡単な装置で容易に形成することができる。
【0084】
また、微細金属構造体8において、従来よりも微細なパターンを集積させた上、体積抵抗値を比較的低減させて微細金属構造体としての性能を向上させることができる。
【0085】
<4.変形例>
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0086】
本実施形態においては、表面上にITOが被覆された矩形形状のガラス基板を用いて説明したが、ITOが被覆されていないガラス基板を用いても良い。更に言えば、ガラス基板以外のシリコンウエハでも良いし、その他、基材1として使用できるものならば公知のものを用いても構わない。ただし、液状のフォトレジスト液21及びペースト5を使用することから、多孔質のものは使用しないのが好ましい。
【0087】
また、基材1の形状については、矩形形状以外であっても良く、平面(上面)から見たときに矩形、多角形、半円形状、あるいは、側面から見たときに矩形あるいは台形形状等に加工された基板であって、微細金属構造体8の製造の際に、精度良く安定して固定しやすい形状であれば良い。
【0088】
本実施形態においては、ポジ型レジストを用いたが、もちろんネガ型レジストを用いても構わない。ネガ型レジストの材質としては、不飽和ポリエステル系、アクリレート系、ナイロン系、Ene付加反応系、カチオン重合系の如き光重合性のものや光二量化型の光架橋が起こるものを用いることができる。
【0089】
また、本実施形態においては露光においてフォトマスク2Aを備えた露光装置を用いたが、エネルギービームを用いた露光を行っても良い。具体的に言うと、電子線描画による露光を行った場合にも本発明は適用できる。それ以外だと、紫外線、X線、電子線、イオンビーム、プロトンビームを用いても良く、フォトレジストとしては、これらに感度を持つものを用いても良い。
【0090】
また、本実施形態においては基材1上に直接レジスト層2を設けたが、基材1とレジストの間に密着層等の別の層を設けても良い。ただし、最終的には基材1上に金属膜7の配線パターンを形成できるものである必要がある。
【0091】
本実施形態においてはドクターブレード6を用いたが、もちろんこれ以外の充填用器具を用いても良い。簡易な方法ではあるが、レジストパターン4が設けられた基材1上にペースト5を配置し、ヘラを用いてペースト5をせん断移動させることにより、レジストパターン4の凹部4bにペースト5を充填しても良い。
【0092】
また、本実施形態においては金属ナノ粒子5aの金属として銀を用いたが、本発明は金属ナノ粒全般に対して適用できる。金属の種類を列挙すると、例えば金、銅、ニッケル、白金、パラジウム、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、イリジウム、タンタル、水銀、インジウム、スズ、鉛、および、タングステンから選ばれた1種、または2種以上からなる合金、あるいは混合物を用いることができる。
【0093】
また、基材1に用いる物質に応じて、適宜ペースト5の分散性を変化させても良い。例えば、基材1に用いる物質に応じて、ペースト5の粘度を変更しても良い。また、同様に、フォトレジスト液21の種類を変更しても良い。現在、本発明者により鋭意研究中であるが、「基材1(又はその被覆)に用いる物質」「ペースト(金属ナノ粒子5a及び溶媒)」「フォトレジスト液」の3つの組み合わせにより、微細且つ精緻な配線パターンが形成でき、体積抵抗値を比較的低下させた微細金属構造体8を形成できるかどうかが決まると推測される。
【実施例】
【0094】
(実施例1)
A)基材の準備
本実施形態における基材1として、表面に対してITOがスパッタリングされたガラス基板(テクノプリント(株)製 以降、被覆基板と言う。)を準備した(図1(a))。この被覆基板に対し、ダイヤモンドカッターを用いて25×25mmに分割した。この分割された被覆基板を純水で洗浄し、分割した際に生じたガラス破片を除去した。
【0095】
その後、アセトンで洗浄すべく、仕切りの付いたテフロン(登録商標)製のザルに被覆基板を入れ、200ccビーカーにアセトンを120cc入れ、ザルごと被覆基板をこのビーカーに入れた。
【0096】
そしてこのビーカーを超音波洗浄機に入れ、5分間洗浄した。その後、アセトンを新しいものに交換し、再び超音波洗浄機を用いて5分間洗浄した。なお、アセトンを交換する際にもアセトンを被覆基板表面に流すことにより洗浄を行った。
そして、純水を用いて流水洗浄した後、ビーカーに純水を入れ、同様に超音波洗浄機を用いて被覆基板を5分間洗浄した。
純水洗浄後、ピンセットにより被覆基板を水中から取り出して純水により流水洗浄したあと、窒素ブローを行った。
その後、被覆基板に対して、110℃で5分間ベークを行い、被覆基板上の水分を除去した。
【0097】
B)レジスト塗布工程
ベーク後の被覆基板に対して、ポジ型のフォトレジスト液21(東京応化工業株式会社製 製品名OFPR−800LB)をスピンコーターにより塗布した(図1(b))。この際、フォトレジスト液21の粘度は23mPa・sであり、スピンコーターの操作としては回転数300rpmで5秒間行った後、回転数3000rpmで30秒間行った。
そして、C)露光工程を行う前に、被覆基板に対して、110℃で20分間ベークを行った。
【0098】
C)露光工程
フォトレジスト液21が塗布された被覆基板を黒色シート3上に配置した上で、露光装置(アライナー)(ユニオン光学製)にセットし、露光を行った(図1(c))。露光条件としては、照度25.5mW/cm、フォトマスク2Aと基板との露光ギャップを1μm、露光時間を3.4秒とした。また、フォトマスク2Aとしてはソーダライム製のものを用いた。このとき、パターン形状としては、ライン・アンド・スペースで各々10μmのパターンを設定した。
【0099】
D)現像工程
(a)現像
露光後の被覆基板に対し、所定の現像液D(東京応化工業株式会社製 製品名NMD−W)により現像を行った(図1(d))。現像方法としては、30秒間、被覆基板を現像液Dに浸漬させ、その後60秒間揺動させ、現像液Dから引き上げた。
【0100】
(b)リンス・乾燥
その後、純水にて洗浄し、スピンコーターを用いて乾燥させた。スピンコーターの操作としては回転数500rpmで60秒間行った。
その後、現像後の被覆基板に対して、120℃で30分間ベークを行った(図1(e))。
このようにして、被覆基板に対し、凹凸からなるレジストパターン4を形成した。
【0101】
E)ペースト充填工程
ベーク後の被覆基板上のレジストパターン4の凹部4bに対し、ドクターブレード法を用いてペースト5を充填させた(図1(f))。
【0102】
(a)ペーストの特徴
実施例1で用いたペースト5は、銀粒子がテルピネオール溶媒(極性溶媒)に分散したものであり、粘度62.6mPa・s、銀濃度30.9wt%、凝集塊5μmである。なお、ここで用いる銀粒子の平均一次粒子径は12.2nmである。
また、この銀粒子の元となる銀粉末の作製方法は以下のとおりである。
銀粉末の作製において、反応槽としては1Lビーカーを使用した。また攪拌のために、羽根を備えた攪拌棒を反応槽の中心に設置した。反応槽には温度をモニターするための温度計を設置した。また溶液に下部より窒素を供給できるようにノズルを配設した。
まず、反応槽に水273gを入れ、残存酸素を除くため反応槽下部から窒素を500mL/分の流量で600秒間流した。その後、反応槽上部から500mL/分の流量で供給し、反応槽中を窒素雰囲気とした。攪拌棒の回転速度は、280から320rpmになるように調整した。そして反応槽内の溶液温度が60℃になるように温度調整を行った。
そして、アンモニア水(アンモニアとして30質量%含有する)7.5gを反応槽に投入した後、液を均一にするために1分間攪拌した。
次に、保護剤としてヘキサン酸(和光純薬工業株式会社製特級試薬)7.5gを添加し、保護剤を溶解するため10分間攪拌した。その後、還元剤として50質量%のヒドラジン水和物(大塚化学株式会社製)水溶液を20.9g添加した。これを還元液とした。
別の容器に硝酸銀結晶(和光純薬工業株式会社製特級試薬)36gを水175gに溶解した硝酸銀水溶液を用意した。これを原料液とした。なお、硝酸銀水溶液は反応槽内の溶液と同じ60℃に温度調整を行った。
その後、原料液を還元液に一挙添加により加え、還元反応を行った。攪拌は連続して行い、その状態のまま10分間熟成させた。その後、攪拌を止め、濾過・洗浄工程、乾燥工程を経て、銀粉末を得た。
以上の工程を経た銀粉末に対し、上記の配合量にて上記の化合物を配合し、本実施例にて用いられる銀ナノ粒子を含有するペースト5を作製した。
【0103】
(b)ペーストの充填方法
なお、具体的な充填方法としては、ペースト5を被覆基板の横幅一杯に縦4〜5mmの幅で載せ、ドクターブレード6を用いてペースト5をせん断移動させた。この際のドクターブレード6とレジストパターン4とのギャップは0μmとし、移動速度は10mm/秒とした。
【0104】
F)ペースト焼成工程
ドクターブレード6によりペースト5を充填した後、60℃に設定されたホットプレートを用いて被覆基板ごと1時間乾燥させた。その後、室温で24時間以上放置して乾燥させた(図1(g))。
【0105】
G)レジストパターン4剥離工程
充填されたペースト5を乾燥することにより金属膜7を被覆基板上に形成した後、レジストパターン4を剥離液Gにより剥離した(図1(h))。この際の剥離液Gとしては、フォトレジスト液21(東京応化製OFPR−800LB)にて推奨されている剥離液Gを用いた。具体的には、被覆基板を剥離液Gに45分間浸漬させることにより、レジストパターン4の剥離を行った。
【0106】
H)洗浄・乾燥工程
レジストパターン4を剥離した後、イソプロピルアルコールに被覆基板を浸漬させて揺動させた。イソプロピルアルコールから被覆基板を引き上げた後、純水に浸漬させた(図1(i))。その後、被覆基板を純水により流水洗浄した。最後に、室温にて24時間自然乾燥させた。
以上のように、被覆基板上に金属膜7からなる配線パターンを形成した(図1(j))。
【0107】
(実施例2)
実施例2においては、以下の点を除き、実施例1と同様の手法で試料を作製した。即ち、パターン形状としてライン・アンド・スペースでラインを10μm、スペースを500μmとした。
【0108】
(実施例3)
実施例3は、以下の点を除き、実施例1と同様の手法で試料を作製した。以下、相違点を列挙する。
【0109】
実施例3で用いたペースト5は、銀粒子がテトラデカン溶媒(非極性溶媒)に分散したものであり、粘度3.5mPa・s、銀濃度46.1wt%、凝集塊1μmである。なお、ここで用いる銀粒子の平均一次粒子径は9.6nmである。
なお、実施例3における銀粒子の元となる銀粉末の作製方法は、以下の通りである。即ち、溶媒兼還元剤としてのイソブタノール(和光純薬株式会社製の特級)200mLに、オレイルアミン(和光純薬株式会社製)132.74mLと硝酸銀結晶13.727gを添加し、マグネットスターラーにより攪拌して室温で溶解した。この溶液を還流器のついた容器に移してオイルバスに載せ、容器内に不活性ガスとして窒素ガスを400mL/分の流量で吹込みながら、該溶液をマグネットスターラーにより200rpmの回転速度で撹拌しつつ加熱し、100℃の温度で5時間の還流を行って、反応を終了した。100℃に至るまでの昇温速度は2℃/分とした。
そして、反応終了後のスラリーを以下の手順で固液分離と洗浄を実施した。
1.反応後のスラリーを日立工機(株)製の遠心分離器CF7D2を用いて5000rpmで60分固液分離し、上澄みは廃棄する。
2.沈殿物にエタノールを加え、超音波分散機にかけて分散させる。
3.前記の1→2の工程を3回繰り返す。
4.前記の1を実施し、上澄みを廃棄して沈殿物を得る。
【0110】
また、実施例1に比べて、B)レジスト塗布工程において、フォトレジスト液21、スピンコーターの操作、ベーク時間及び温度が異なっている。具体的に言うと、ベーク後の被覆基板に対して、フォトレジスト液21(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社 製品名S1830)をスピンコーターにより塗布した。この際、スピンコーターの操作としては回転数500rpmで5秒間行った後、回転数3000rpmで30秒間行った。
そして、C)露光工程を行う前に、被覆基板に対して、90℃で20分間ベークを行った。
また、C)露光工程においては、照度を20.0mW/cmとした。
また、D)現像工程においては、所定の現像液D(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社 製品名MF−396)を用いた。
【0111】
また、G)レジストパターン4剥離工程においては、フォトレジスト液21S1830用の剥離液Gにガラス基板を5分浸漬させ、レジストパターン4の剥離を行った。
【0112】
(実施例4)
実施例4においては、以下の点を除き、実施例3と同様の手法で試料を作製した。即ち、パターン形状としてライン・アンド・スペースでラインを10μm、スペースを500μmとした。
【0113】
(実施例5)
実施例5においては、主表面に対してITOがスパッタリングされたガラス基板の代わりに単なるガラス基板(コーニング製)を準備した点を除き、実施例3と同様の手法で試料を作製した。
【0114】
(実施例6)
実施例6においては、以下の点を除き、実施例5と同様の手法で試料を作製した。即ち、パターン形状としてライン・アンド・スペースでラインを10μm、スペースを500μmとした。
【0115】
(実施例7)
実施例7においては、G)レジストパターン4剥離工程での剥離液Gへの浸漬時間を5分間ではなく10分間とした点を除き、実施例5と同様の手法で試料を作製した。
【0116】
(実施例8)
実施例8においては、以下の点を除き、実施例7と同様の手法で試料を作製した。即ち、パターン形状としてライン・アンド・スペースでラインを10μm、スペースを500μmとした。
【0117】
(評価)
図2(a)〜(b)には実施例1〜2の試料について、そして図3(a)〜(f)には実施例3〜8の試料について、電子顕微鏡にて観察した際の写真を示す。いずれの試料も、金属膜7はパターン欠陥なく形成されていた。
【0118】
本発明によって作製する微細金属構造体は、任意の形状のものとすることができる。例えば、マイクロ歯車、マイクロプーリ等のマイクロマシン部品、マイクロ電極、マイクロコイル、マイクロコンデンサ等のマイクロ電気部品、マイクロ流路等の医療用や化学用のマイクロ器具等を作製することができる。
【0119】
以下、本実施形態において好ましい形態を付記する。
[付記1]
前記製造方法により形成される金属膜表面の凹凸は、三次元粗度計を用いた表面粗度観察により所定数値未満である、微細金属構造体の製造方法。
[付記2]
前記金属ナノ粒子は、その表面が炭素数6以下の有機物により被覆されている、微細金属構造体の製造方法。
[付記3]
基材上にフォトレジスト層を形成し、
所定のパターンを有するフォトマスクを用いて前記フォトレジスト層を感光させ、
前記感光させたフォトレジスト層を現像して前記基材上に凹凸からなるレジストパターンを作成し、
導電性を有する物質を含有するペーストを充填用器具により前記基材上でせん断移動させ、前記ペーストを前記レジストパターンの凹部に対して充填する配線パターンの形成方法であって、
前記ペーストは、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子を含むペーストであり、
前記フォトレジスト層の形成には液状のフォトレジスト液を使用する、配線パターンの形成方法。
【符号の説明】
【0120】
1 基材
2 フォトレジスト層
2A フォトマスク
2a 露光部
2b 非露光部
3 黒色シート
4 レジストパターン
4a 凸部
4b 凹部
5 ペースト
5a 金属ナノ粒子
6 ドクターブレード
7 金属膜
8 微細金属構造体
10 離型フィルム
21 フォトレジスト液
40 レジストパターン
40a 凸部
40b 凹部
D 現像液
G 剥離液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にフォトレジスト層を形成し、
所定のパターンを有するフォトマスクを用いて前記フォトレジスト層を感光させ、
前記感光させたフォトレジスト層を現像して前記基材上に凹凸からなるレジストパターンを作成し、
導電性を有する物質を含有するペーストを充填用器具により前記基材上でせん断移動させ、前記ペーストを前記レジストパターンの凹部に対して充填する微細金属構造体の製造方法であって、
前記ペーストは、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子を含むペーストであり、
前記フォトレジスト層の形成には液状のフォトレジスト液を使用する、微細金属構造体の製造方法。
【請求項2】
前記充填用器具はドクターブレードであり、前記ペーストの充填はドクターブレード法で行われる、請求項1に記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項3】
前記充填されたペーストを加熱処理することにより前記ペーストを前記基材上に固定した後、前記レジストパターンを剥離液により剥離することにより所定のパターンを有する金属膜を前記基材上に形成する、請求項1又は2に記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項4】
前記ペーストを加熱処理する際の加熱温度は80〜200℃である、請求項3に記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項5】
前記金属ナノ粒子を構成する金属は銀である、請求項1ないし4のいずれかに記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項6】
前記金属膜の体積抵抗率は1.0×10−5Ω・cm以下である、請求項3又は4に記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項7】
前記ペーストに用いられる溶媒は、前記フォトレジスト層を侵さない性質を有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項8】
前記金属膜の所定のパターンにおける幅は10μm以下である、請求項3、4又は6に記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項9】
前記ペーストに用いられる金属ナノ粒子は、同じく前記ペーストに用いられる溶媒に対し、前記金属膜の体積抵抗率が1.0×10−5Ω・cm以下となる程度、且つ、前記金属ナノ粒子の凝集径が所定のパターンにおける前記金属膜の幅以下となる程度の分散性を有する、請求項3、4、6又は8に記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項10】
前記基材は、ガラス基板又はその上にITOが被覆されたガラス基板である、請求項1ないし9のいずれかに記載の微細金属構造体の製造方法。
【請求項11】
基材上にフォトレジスト層を形成し、
所定のパターンを有するフォトマスクを用いて前記フォトレジスト層を感光させ、
前記感光させたフォトレジスト層を現像して前記基材上に凹凸からなるレジストパターンを作成し、
導電性を有する物質を含有するペーストをドクターブレード法により前記レジストパターンの凹部に対して充填し、
前記充填されたペーストを加熱処理することにより前記ペーストを前記基材上に固定した後、前記レジストパターンを剥離液により剥離することにより所定のパターンを有する金属膜を前記基材上に形成する微細金属構造体の製造方法であって、
前記基材はガラス基板又はITOが被覆されたガラス基板であり、
前記ペーストは、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの銀ナノ粒子と、前記フォトレジスト層を侵さない性質を有する溶媒とを含むペーストであり、
前記銀ナノ粒子は、前記溶媒に対し、前記金属膜の体積抵抗率が1.0×10−5Ω・cm以下となる程度、且つ、前記銀ナノ粒子の凝集径が所定のパターンにおける前記金属膜の幅以下となる程度の分散性を有し、
前記ペーストを加熱処理する際の加熱温度は80〜200℃であり、
前記微細金属構造体における所定のパターンの金属膜の幅は10μm以下であり、
前記フォトレジスト層の形成には液状のフォトレジスト液を使用する、微細金属構造体の製造方法。
【請求項12】
基材上に所定のパターンを有する金属膜が設けられた微細金属構造体であって、
前記金属膜は、金属成分として平均一次粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子を含むペーストから形成されるものであり、
前記所定のパターンにおける金属膜の幅は10μm以下であり、
前記金属膜の体積抵抗率が1.0×10−5Ω・cm以下である、微細金属構造体。


【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−111692(P2013−111692A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259567(P2011−259567)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】