説明

成膜装置及び成膜方法

【課題】 基材表面に均一な薄膜を安定して形成できるCVD成膜法による成膜装置および成膜方法を提供する。
【解決手段】 チャンバ3内に、隔壁5、7により成膜室8、第1、第2排気室9、11が設けられるとともに、基材16を成膜室8に送り出す第1基材搬送室15および成膜後の基材16を回収する第2基材搬送室19が設けられる。成膜室8内において基材16は直状のフリースパン部で成膜される。成膜室8内には、基材16の両面に成膜可能なように、ガス供給部21および電極ユニット27が設置され、基材16の上下両面に対してガス供給部21から成膜ガスが噴射される。基材の上下両側に電極55を有する電極ユニット27が設置され、電源29により電力を供給してプラズマ28を発生し、基材16の両面に薄膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマCVD成膜装置(以下、成膜装置と称する)及びプラズマCVD成膜方法(以下、成膜方法と称する)に係り、特に減圧下において長尺状の基材表面に均一に薄膜を安定して連続形成する成膜装置及び成膜方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマCVD法により基板上に薄膜を形成するためには、容量結合型プラズマと誘導結合型プラズマを用いる方法が知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】プラズマエレクトロニクス オーム社 菅井秀郎編集 第1版第1刷 平成12年8月25日発行 106ページ
【0004】
本文献106ページ8行目には、容量結合型プラズマは簡単に大口径プラズマを作れることが記載され、ウエハーやガラス等のセラミックス、樹脂板、プラスチックフィルム、金属板、金属箔等の基材に対して薄膜形成を行う分野で、容量結合型プラズマが広く用いられている。
【0005】
本文献図6.3及び106ページ13行目から14行目には容量結合型プラズマを薄膜形成に用いる場合、プラズマ放電用の2枚の電極を用い、被成膜基材は、これら2枚の電極上に配置され、この状態で成膜が行われる。
また、ロール状の基材に対して連続的に基材を搬送する機構を有し、容量結合型プラズマCVD法により成膜する装置がある(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−61416
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような方法で成膜を行う場合、半導体や絶縁性の被成膜基材の配置によりプラズマの電気的流れにくさ、即ち放電インピーダンスが大きくなり、プラズマ放電が立ちにくくなり、またプラズマ放電の安定性が悪くなるという問題があった。
プラズマ放電の不安定さはアーキングのような異常放電を引き起こし、基材に対して直径数ミリ程度のアーキング跡をつけたり、これが激しい場合には穴をあけてしまう等の外観不良、品質低下を引き起こす問題があった。
またプラズマが不安定であると、長尺状の基材等に成膜を行う際、基材搬送制御にも影響を与え、長時間連続して均一に膜を形成することができないという問題もあった。
【0008】
また、放電インピーダンスが大きくなると、同一電力を投入した場合でも放電電圧が上昇し、放電電流は低下する。この結果、成膜速度の低下(生産性低下)、膜応力の増加、基材へのダメージ(電気的なチャージアップの発生、基材が強くエッチングされることによる密着性不良、基材着色発生など)の不具合が生じ、膜品質の低下が問題となる。
さらには、基材によって放電インピーダンスが異なるため、形成される膜の膜厚や膜質が異なるという問題が生じ、基材の種類毎に成膜条件を最適化させる必要があった。
【0009】
以上の問題は、例えば、SiOやTiOのような絶縁膜を形成する際には、成膜材料の分解性が悪いことに起因して放電インピーダンスが更に大きくなり、成膜が不安定になるという問題がある。
一方で成膜インピーダンスが小さいことが問題となる場合もある。放電インピーダンスが小さい場合には、放電電圧が小さく、放電電流が大きくなり、基材へのイオン打ち込み効果が小さくなり、結果として膜の密着度が不足し、膜剥離を起こすことがある。
【0010】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長尺状の基材の表面に連続して均一な薄膜を安定して形成できる成膜装置及び成膜方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述する課題を解決するための第1の発明は、プラズマCVD法により、減圧下で基材に薄膜を形成する成膜装置であって、チャンバと、前記基材を搬送する搬送機構と、前記チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、前記チャンバ内に配置され、電気的にフローティングレベルの1組の電極と、前記2つの電極間に電力を供給する電源と、を具備し、前記基材は、前記チャンバ内で直状フリースパン部を有するように保持され、前記基材の前記フリースパン部で成膜が行われることを特徴とする成膜装置である。
【0012】
ここで、フローティングレベルとは、アースレベルに設置されたチャンバや他の成膜装置部品とは絶縁性が保たれるように、絶縁性部品や絶縁性コーティングを用い電極が設計、設置されている状態を意味している。
【0013】
また、基材への成膜を、基材片側表面に対して少なくとも2箇所以上で行えるようにしても良い。この場合、2箇所以上の成膜において、同一種膜が形成されるようにしても良いし、異種膜が形成されるようにしてもよい。
また、1組の電極を複数設け、複数組の電極が基材の両側に設置するようにしてもよい。この場合、基材への成膜を基材両面に対して同時に行ってもよいし、異なるときに行ってもよい。
基材の両側に設置することによって、基材の応力が低減し、カール、膜剥離のない良質な膜を形成することが可能になる。また、基材両面に異なるときに順次成膜を行うことによって、成膜時に発生する熱負荷を低減することができる。
【0014】
電極は、基材近傍にプラズマを集中して形成するマグネットを備えてもよい。マグネットは、基材表面での水平磁束密度が10ガウスから10000ガウスであることが望ましい。前記マグネットはマグネトロン構造を有する。
マグネットを備えることにより、基材表面近傍での反応性が高くなり、良質な膜を高速で形成することが可能になる。
【0015】
前記電源は、周波数が10Hzから27.12MHzであることが望ましい。前記電源は、投入電力制御または、インピーダンス制御等が行われる。
【0016】
前記ガス供給部は、前記基材の前記電極側に取り付けられ、前記基材表面に向けてガスを供給する。基板表面に均一に成膜用ガスを拡散供給させることが可能で、大面積に均一な成膜が可能になる。
前記ガス供給部は、電気的にフローティングレベルでもよい。
【0017】
前記チャンバは、成膜室と排気室を有する構成にしてもよい。また、前記搬送機構は、前記チャンバに前記基材を送り込む第1基材搬送室と、前記チャンバでの成膜後の前記基材を回収する第2基材搬送室とを有する構成にすることが望ましい。
十分な緻密性と基材に対する密着性を有する膜を形成するためには、前記成膜室の圧力が0.1Paから100Paの間に設定、維持することが望ましい。前記排気室の真空度は前記成膜室の真空度よりも10倍以上10000倍以下の範囲であることが望ましい。
このように排気室真空度を設定することで、成膜基材表面で生成される副生成物を効率よく除去し、良質な膜の生成が可能となる。
【0018】
また、前記第1基材搬送室および第2基材搬送室の真空度は、成膜室プラズマが基材搬送室へもれこみプラズマ放電(成膜)が不安定になるのを防ぎ、基材搬送を適切に制御することを可能とするために、また、基材搬送機構へのプラズマダメージから保護するために、前記成膜室の成膜時の真空度よりも10倍以上10000倍以下の範囲で高く設定、維持することが望ましい。
【0019】
前記成膜室よりも後段の前記基材搬送室は、成膜後の前記基材を搬送するための1つ以上のローラを有する構成にしてもよい。成膜時に発生した熱を効率よく取り除くために、少なくとも成膜後の基材が最初に接触するローラに、基材冷却機構を備えることが望ましい。また、成膜時に帯電した電荷を効率よく除去するために、前記ローラを電気的にアースレベルまたはフローティングレベルに設定することが望ましい。
更に、前記成膜室よりも後段の前記基材搬送室内において、ローラ上あるいはローラの前段または後段に、成膜時に発生した基材帯電を除去する基材帯電除去部を設けるとよい。前記基材帯電除去部はプラズマ放電装置等である。
【0020】
第2の発明は、プラズマCVD法により、減圧下で基材に薄膜を形成する成膜方法であって、チャンバ内に設けた直状フリースパン部に前記基材を搬送し、前記チャンバ内にガスを供給し、前記チャンバ内で、前記基材の同一表面側に配置され、電気的にフローティングレベルの1組の電極間に電力を供給し、ラズマを発生させ、前記基材上に前記フリースパン部で薄膜を形成することを特徴とする成膜方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、直状のフリースパン部で基材を水平状態に保持して成膜するので、形成する膜の膜応力低減が可能となり、基材のカールや湾曲、膜の剥離のない良質な膜を形成することが可能となる。
【0022】
また、基材を電極間に置いて成膜しないため、プラズマ放電中に電気的にカップリングされず、放電インピーダンス上昇を防ぐことが可能になる。この結果、放電開始電圧の低減により、プラズマ放電が立ちやすくなる、放電維持電圧の低減により、安定してプラズマ放電が可能になるなどの利点がある。また放電インピーダンスが小さくなることから、プラズマCVD成膜においては成膜速度の向上(生産性向上)、膜応力の低減、基材へのダメージ低減(電気的なチャージアップの発生抑制、基材エッチング低減による密着度向上、基材着色低減)を図ることが可能となる。
さらに、基材によるインピーダンス変動を考慮する必要がなくなるため、基材の種類毎に成膜条件を最適化する必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる成膜装置1の概略構成を示す図である。成膜装置1は、基材16に成膜処理を実施するチャンバ3と、基材16の搬送を行う第1基材搬送室15、第2基材搬送室19等からなる。チャンバ3内には、隔壁5および隔壁7が形成される。隔壁5と隔壁7で囲まれた空間に成膜室8が形成され、隔壁5の上側および隔壁7の下側に排気室が形成される。隔壁7の下側を第1排気室9、隔壁5の上側を第2排気室11とする。
【0024】
第1基材搬送室15は、成膜前の基材16の送り出し等を行い、第2基材搬送室19は、成膜後の基材16の巻き取り等を行う。
第1基材搬送室15には、巻き出しローラ41、ガイドローラ43−1、前処理装置45が設けられる。また、第2基材搬送室19には、巻取りローラ47、ガイドローラ43−2、43−3、43−4、張力ピックアップロール44、後処理装置49が設けられる。
【0025】
巻き出しローラ41は基材16を巻回している。基材16は、巻き出しローラ41からガイドローラ43−1を介し、第1基材搬送室15とチャンバ3を分ける壁に設けられた基材16が通り得るスリット状の水平な空隙である基材搬入口35を介して成膜室8に送り込まれる。
一方、チャンバ3と第2基材搬送室19を分ける壁にも同様の空隙が基材搬出口37として設けられており、成膜室8での成膜工程を終えた基材16は、基材搬出口37を介して第2基材搬送室19に送り出され、ガイドローラ43−2、張力ピックアップロール45、ガイドローラ43−3、43−4を介して巻取りローラ47で巻き取られる。張力ピックアップローラ45は、基材16の張力を調整し、基材16を搬送する。
【0026】
また、図1では、基材搬送方向は、巻き出しローラ41から巻取りローラ17へ基材16が進むよう説明しているが、逆方向に基材を搬送しながら成膜したり、基材処理を行うこと、これらを繰り返し行うことも可能である。真空を大気圧に戻さず、繰り返し成膜することが生産性、膜質の面からも好ましい。
基材16は、ガラス等のセラミックス、樹脂板、プラスチックフィルム、金属板、金属箔、紙、不織布、繊維等である。
【0027】
第1基材搬送室15内には、ガイドローラ43−1と基材搬入口35との間に前処理装置45が、第2基材搬送室19内には、基材搬出口37とガイドローラ43−2の間に後処理装置49が設けられる。
前処理装置45および後処理装置49は、基材16の両側に基材16を挟むように設けられる。前処理装置45は、例えばプラズマ放電装置であり、後処理装置49は、成膜により発生した基材帯電を除去する装置であり、例えば、プラズマ放電装置である。
【0028】
チャンバ3は、第1基材搬送室15と第2基材搬送室19間に挟まれるように設けられ、基材搬入口35と基材搬出口37間は、基材16が水平に搬送されるフリースパン部を構成する。基材16は、巻取りローラ47により巻き取られることにより成膜室8内を移動し、その間に成膜処理が成される。
【0029】
チャンバ3内には、基材16の上面側、下面側の両方にガス供給部21および電極ユニット27が設けられる。これにより、基材16の両面に成膜が可能になる。
基材16の上面側では、隔壁5に挟まれるように、ガス供給部21−1、21−2、21−3が設けられ、ガス供給部21−1、21−2、21−3は、流量制御器23−1、23−2、23−3を介してガス貯留部25−1、25−2、25−3に接続される。
また、基材16の下面側では、隔壁7に挟まれるように、ガス供給部21−4、21−5、21−6が設けられ、ガス供給部21−4、21−5、21−6は、流量制御部23−4、23−5、23−6を介してガス貯留部25−4、25−5、25−6に接続される。
【0030】
ガス貯留部25−1〜25−6は、成膜用ガスを貯留し、ガス貯留部25−1、25−2、25−3は、それぞれ、例えば、成膜原料であるTEOS(テトラエトキシシランSi(OC)、分解性の酸化ガスである酸素(O)、放電用イオン化ガスであるアルゴン(Ar)を貯留する。ガス貯留部25−4、25−5、25−6も同様に、それぞれ、例えば、成膜原料であるTEOS(テトラエトキシシランSi(OC)、分解性の酸化ガスである酸素(O)、放電用イオン化ガスであるアルゴン(Ar)を貯留する。
流量制御器23−1〜23−6は、それぞれ、ガス貯留部33−1〜33−6からガス供給部21−1〜21−6に送られるガスの流量を計測する。
【0031】
ガス供給部21−1〜21−6は、その噴出口が、基材16に向けられる。すなわち、ガス供給部21−1〜21−3の噴出口は、基材16の上面に向けられており、基材16上面へのガス噴射を行う。一方、ガス供給部21−4〜21−6の噴出口は、基材16の下面に向けられており、基材16下面へのガス噴射を行う。
このため、基材16の上下両面に均一に成膜用ガスを拡散、供給させることが可能となり、基材16の大面積の部分に均一な成膜が可能になる。
【0032】
基材16の上部では、ガス供給部21−1、21−2の間に電極55−1を備えた電極ユニット27−1が設けられ、ガス供給部21−2、21−3の間に電極55−2を備えた電極ユニット27−2が設けられ、電極55−1、55−2は、電源29−1と接続され、電源29−1から電力が供給される。電極55−1、55−2は電気的にフローティングレベルに設定されている。
一方、基材16の下面も同様に、ガス供給部21−4、21−5の間に電極55−3を備えた電極ユニット27−3が設けられ、ガス供給部21−5、21−6の間に電極55−4を備えた電極ユニット27−4が設けられ、電極55−3、55−4は、電源29−2と接続され、電源29−2から電力が供給される。電極55−3、55−4は電気的にフローティングレベルに設定されている。
【0033】
ここで電気的フローティングレベルとは、アースレベルに設置されたチャンバや成膜装置部品とは絶縁性が保たれるように、絶縁性部品や絶縁コーティングを用い電極が設計、設置されている状態を意味している。電極の絶縁性が確保されているように設計されているにもかかわらず、電極を冷却するために必要な冷媒を用い、この冷媒やこれら冷媒を循環供給するための配管が若干の導電性を有することに起因してアースレベル(グラウンドレベル)を基準とし、電極とアースとの間で10kΩ〜1000MΩの抵抗を有している場合も本発明に含まれる。
【0034】
また、ガス供給部21−1〜21−6も、電気的にフローティングレベルに設定される。これにより、ガス供給部21−1〜21−6へ成膜電力が漏れることを防ぐことができ、成膜投入電力を高くすることができるとともに、ガス供給部21−1〜21−6の利用効率も高まる。すなわち、チャンバ3内にガス供給される以前にガス噴射口付近で成膜し、ガス噴射口を塞いでしまうという問題を回避することが可能になる。
【0035】
第1基材搬送室15、第2基材搬送室19、チャンバ3下部の第1排気室9、チャンバ3上部の第2排気室11、およびチャンバ3内の成膜室8の各室には、それぞれ圧力調整バルブ31を介し真空排気ポンプ33が設けられる。
すなわち、第1基材搬送室15には、圧力調整バルブ31−4を介して真空排気ポンプ33−4が、第2基材搬送室19には、圧力調整バルブ31−5を介して真空排気ポンプ33−5が、第1排気室9には、圧力調整バルブ31−3を介して真空排気ポンプ33−3が、第2排気室11には、圧力調整バルブ31−1を介して真空排気ポンプ33−1が、成膜室8には、圧力調整バルブ31−2を介して真空排気ポンプ33−2が設けられる。
【0036】
以上の圧力調整バルブ31、真空排気ポンプ33により、第1、第2基材搬送室15、19と、成膜室8、第1、第2排気室9、11の圧力はそれぞれ異なるように設定可能である。
すなわち、成膜室11と第1、第2基材搬送室15、19とを圧力的に異なる空間とすることで、成膜室8のプラズマ28が第1、第2基材搬送室15、19に漏れることによって成膜室8のプラズマ放電状態が不安定になったり、第1、第2基材搬送室15、19の部材を傷めたり、基材搬送機構の制御のための電気回路に電気的ダメージを与えて、制御不良を引き起こすことがなくなり、安定した成膜及び基材搬送が可能となる。
【0037】
具体的には、成膜室8の成膜圧力は0.1Paから100Paの間である。このような成膜圧力で成膜を行うことにより、安定したプラズマ28を形成することができる。
【0038】
そして、第1、第2基材搬送室15、19の圧力(真空度)は、成膜室8の圧力(真空度)よりも10倍から10000倍高くする。このように、第1、第2基材搬送室15、19の圧力を設定することにより、成膜室8のプラズマ28が第1、第2基材搬送室に漏れ込むことがなくなり、成膜室8でのプラズマCVD成膜を安定して行うことができる。
【0039】
一方、第1排気室9および第2排気室11は、成膜室8と、それぞれ、隔壁(ゾーンシール)7および隔壁(ゾーンシール)5により仕切られ、圧力が異なる。第1、第2排気室9、11は、成膜室8の成膜時の圧力よりも10倍以上10000倍以下の圧力(真空度)である。このように圧力差を設けることにより、成膜時に発生した副生成物を基材16の表面近傍から効率よく排気することができる。
【0040】
第2基材搬送室19に設けられた後処理装置49は、成膜による基材帯電を除去することにより基材16を安定して搬送することを可能にし、帯電に起因する基材16の破損や品質低下を防ぎ、基材16表裏面の濡れ性改善による後加工適性向上を図ることができる。
帯電除去部としての後処理装置49として、例えば、プラズマ放電装置、電子線照射装置、紫外線照射装置、除電バー、グロー放電装置、コロナ処理装置等、任意の処理装置を用いることが可能である。
【0041】
プラズマ処理装置、グロー放電装置を用いて放電を形成する場合、基材16近傍でアルゴン、酸素、窒素、ヘリウム等の放電用ガスを単体または混合して供給し、交流(AC)プラズマ、直流(DC)プラズマ、アーク放電、マイクロウェーブ、表面波プラズマ等、任意の放電方式を用いることが可能である。減圧環境下では、プラズマ放電装置を用いる帯電処理方法が最も好ましい。
【0042】
第1基材搬送室15に設けられた前処理装置45は、プラズマ放電処理装置であり、このプラズマ放電処理装置は、成膜前に、基材16をプラズマ放電処理することにより、基材16の表面を物理的にエッチングすることが可能になり、基材16表面に凹凸形状を形成することが可能な他、化学的な結合状態や官能基を変化させることにより、その後段の成膜時に、膜の密着性を向上することが可能になる。
【0043】
図2は、電極ユニット27−3の断面図、図3は、図2のA方向矢視図、図4は、図3のC−C断面図である。
支持台51に絶縁性シールド板53が設けられ、この絶縁シールド板53に電極55が設けられる。これらの間には熱伝導を防ぐために、オーリングやスペーサを用いて空間を設け、直接的な接触を防ぐ構造としても良い。いずれにせよ、電極55は支持台51とは電気的に絶縁された構造である。電極55には外部が絶縁材料で被覆された電力供給配線59が設けられ電源29−3に接続される。電極55の内部には冷媒を循環させるための温度調節媒体用配管57が設けられる。
電極ユニット27−4も同一の構造体を用いることが可能である。
以上のように、電極ユニット27−3、27−4の電極55−3、55−4は、基材16の下面に相対しており、基材16の下面に向けてプラズマ28が発生して成膜が行われる。
【0044】
一方、電極ユニット27−1、27−2は、電極ユニット27−3の上下方向を裏返したものであり、基本的に同一の構造体を用いることが可能である。
よって、電極ユニット27−1、27−2の電極55−1、55−2は、基材16の上面に相対しており、基材16の上面に向けてプラズマ28が発生して成膜が行われる。
通常、組にして使用する電極ユニット(例えば電極ユニット27−1と27−2)および電極は、電気的にバランスを等価とするため、同一サイズ、同一構造体を用いるのが好適である。
【0045】
電力供給線59は電源29に接続され、電源29から電力が供給されると、電極55からプラズマ28が発生する。温度調節媒体用配管57内部には温度調節用媒体が流れ、電極55や電極ユニット27を冷却または加熱することができる。例えば、エチレングリコール水溶液等の冷媒を温度調節媒体用配管57に循環させることにより、電極55および電極ユニット27は冷却される。
【0046】
なお、電極ユニット27−1〜27−4は、図2、図3、図4に示すものに加えて、図5、図6、図7に示すようにマグネット85を備える構造にすることが望ましい。
図5は、電極27−3、27−4の側面図、図6は、図5のB方向の矢視図、図7は、図6のC−C断面図である。
電極ユニット27−1および27−2は、電極ユニット27−3、27−4を上下方向に裏返した構造であり、基本的に電極ユニット27−3、27−4の構造と同一である。
【0047】
電極55はマグネトロン構造を有している。図5、図6、図7に示すように、マグネットケース81内に絶縁スペーサ84、ベースプレート83が設けられ、このベースプレート83にマグネット85が設けられる。マグネットケース81に絶縁性シールド板87が設けられ、この絶縁性シールド板87に電極89が取り付けられる。従ってマグネットケース81と電極89は電気的に絶縁されており、マグネットケース81をチャンバ3内に設置、固定しても電極89は電気的にフローティングレベルとすることが可能である。電極89内部には電極およびマグネット冷却のための温度調節媒体配管91が設けられる。
この場合も、例えば、エチレングリコール水溶液等を冷却媒体として温度調節媒体配管91に循環させることにより、電極89およびマグネットが冷却される。
【0048】
マグネット85は電極89からのプラズマが基材16に集中して形成するために設けられる。マグネット85を設けることにより、基材16表面近傍での反応性が高くなり、良質な膜を高速で形成することが可能となる。
【0049】
マグネット85は基材16の表面位置での水平磁束密度が10ガウスから10000ガウスである。基材16表面での水平磁束密度が10ガウス以上であれば、基材16表面近傍での反応性を十分高めることが可能となり、良質な膜を高速で形成することができる。一方、基材16表面での水平磁束密度を10000ガウスよりも高くするには高価な磁石または磁場発生機構が必要になる。
【0050】
電極89とマグネット85の配置構造はマグネトロン構造である。マグネトロン構造とすることでプラズマCVD成膜時に形成されるイオン、電子はこのマグネトロン構造に従って運動する。このため、例えば300mm×300mmサイズ以上の大面積の基材16に対してプラズマCVD成膜をする場合においても電極89表面全体にわたり、前述した電子やイオン、成膜材料の分解物が均一に拡散され、基材16が大面積の場合にも均一且つ安定した成膜が可能となる。
【0051】
また、電極やマグネットなどからなる電極ユニットに局所的に偏って熱電子やイオンが蓄積することがなくなり、構造部材の耐熱性が低くてよくなるため、安価に部品を作製できるほか、熱変形、構造物の穴あきや割れ発生といった不具合発生を抑えることが可能となる。
【0052】
電極89は、電力を投入するために導電性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、冷却水による冷却効率が高く(熱伝導率が高く)、非磁性材料で、加工性に優れた材料を用い、作製することが好ましい。具体的には、アルミニウム、銅、ステンレスが好適に用いられる。
絶縁シールド板87は、絶縁性で、プラズマ耐性に優れ、耐熱性を有し、加工性に優れた材料を用いることが好ましい。具体的にはフッ素樹脂、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
また、通常、組にして使用する電極ユニットおよび電極は電気的にバランスを等価とするため、同一サイズ、同一構造体を用いるのが好適である。
【0053】
電源29は、その周波数が10Hzから27.12MHzである。10Hz以上の周波数で安定した成膜放電が可能となるとともに、27.12MHzよりも高い周波数では電源やそのマッチング回路が高価になり、装置コストが高くなる。
さらに好ましくは、10kHz〜500kHz、13.56MHz、27.12MHzが好ましい。
10kHz〜500kHzの成膜用電源を用いた場合は、成膜材料が成膜のために必要な分解を起こす効率が高いことと、基材16への成膜材料打ち込み効果が高いために良質な膜が得られる。また、13.56MHz、27.12MHzは成膜材料の成膜に必要な分解を起こす分解効率が更に高まり、ガスの反応性が高くなり、緻密で密着性の高い良質な成膜が可能となる。これら電源は、高周波数帯の中でも産業上利用を許容された周波数であるため、同周波数電源は多数市販されていて、安価であるという利点がある。
【0054】
電源29の制御方法として、投入電力制御または放電電圧値を放電電流値で割り算した電気の流れにくさを示す放電インピーダンスを制御する、インピーダンス制御方式がある。投入電力制御では、電源29の成膜投入電力を一定となるようプラズマ放電を安定化させながら成膜を行う方法で、安定的、簡便、安価に成膜を行うことができる。
【0055】
インピーダンス制御では、応答性が速いこと、長時間の成膜におけるインピーダンス変化が生じた場合、例えば、放電によりチャンバ3の内壁が温まることで放出し始める水分の影響により、CVD成膜ガスの組成が変化し、結果としてインピーダンスが変化したような場合、これを一定に維持する効果がある。
【0056】
また、電源41の安定成膜のための制御方法として、光学的手法を用いてもよい。例えば、プラズマエミッションモニタを設置し、プラズマ中での特定元素の発光強度をモニタし、その発光強度を一定とするためのプロセス制御を行ってもよい。この場合のプロセス制御方法としては、成膜原料ガス、分解性ガス、酸化ガス、放電ガス、イオン化ガス、などの供給ガス量を制御したり、成膜圧力、基板温度等の成膜条件を制御してもよい。
【0057】
第2基材搬送室19には、基材16を安定して搬送するために、巻取りローラ47の他にガイドローラ43−2、43−3、43−4、および張力ピックアップロール44が備えられている。
ここで、ガイドローラ43−2は成膜後の基材16が最初に接触するものである。このガイドローラ43−2に、電極ユニット27に設けた温度調節媒体用配管57と同様の配管を設け、温度調節媒体を循環させることにより、基材16を冷却できるようにする基材冷却機構を設置してもよい。
基材冷却機構を設けることにより、成膜時に発生した熱を効率よく取り除くことが可能となる。温度制御範囲は−20℃〜+20℃の範囲で、±2℃の精度で温度が制御されることが望ましい。
【0058】
また、ガイドローラ43−2を電気的にアースレベルに設定することにより、成膜時に帯電した電荷を効率よく除去することが可能になる。
さらに、ガイドローラ43−2に基材の帯電除去機構を設けるようにしてもよい。これにより、直流電源により、簡便かつ安定して除電を行うことが可能となる。
【0059】
一方、ガイドローラ43−2を電気的にフローティングレベルに設定するようにしてもよい。これにより、基材16を安定して搬送させることが可能となる。
そして、フローティングレベルのガイドローラ43−2に帯電除去機構を設けるようにしてもよい。このような構成を採ることにより、簡便かつ安価な直流電圧を印加して除電を行ったり、安定して放電可能な交流電圧を印加することで除電を行うことが可能となる。
【0060】
さらに、図1ではガイドローラ43−2の前段に設けられている基材除電機構としての後処理装置49をガイドローラ43−2の後段に設けるようにしてもよい。このような構造とすることで、効率よく安定的に除電を行うことが可能となる。
【0061】
次に、成膜装置1の動作の概略について説明する。ガス貯留部25−1〜25−6から成膜用ガスがガス供給部21−1〜21−6に供給され、ガス供給部21−1〜21−6から基材16に向けて成膜用ガスが噴射される。
【0062】
また、電源29−1および電源29−2から、それぞれ、電極55−1および電極55−2、電極55−3および電極55−4に電力が供給され、電極55−1、55−2から基材16の上面に、電極55−3、55−4から基材16の下面にプラズマ28が発せられ、基材16上に薄膜が形成される。
【0063】
このとき、ガス供給部21−1〜21−6および電極ユニット21−1〜21−6の制御を独立に行うことにより、異種の膜を形成することも可能である。
また、基材16の上面への成膜を行うためのガス供給部21−1〜21−3および電極ユニット21−1、21−2と、基材16の下面への成膜を行うためのガス供給部21−4〜21−6および電極ユニット21−3、21−4の成膜時間の制御を同一にすることにより、基材16の上面下面への成膜を同時に行うことも可能であるとともに、成膜時間の制御を独立させることにより、基材16上面、下面への成膜を異なる時期に行うことも可能である。
【0064】
次に、図1に示す成膜装置1と、図8に示す比較例となる成膜装置201を用いて成膜を行った際の実験結果について説明する。
図1に示す本実施の形態の成膜装置1において、電極55−1、55−2、55−3、55−4は、前述した図5、図6、図7に示すようなマグネトロン構造のマグネット85をセットし、基材16表面での平均水平磁束密度が1000ガウスとなるように設定した。チャンバ3はアースレベルに、電極55−1〜55−4、および、第2基材搬送室19内で成膜後の基材16が最初に接触するガイドロール43−2は電気的にフローティングレベルとした。
【0065】
濃度30%のエチレングリコール水溶液を冷媒として電極ユニット27−1〜27−4の温度調節媒体用配管91に個別に循環するように供給し、電極55−1〜55−4の温度を0℃に冷却した。このとき、各電極55−1〜55−4とチャンバ3、各電極間の抵抗はそれぞれ1MΩであった。
【0066】
基材16として、0.6m幅のPETフィルム(東洋紡績社製、A4100、厚み100μm)を用意し、第1基材搬送室15および第2基材搬送室19の基材搬送系にセットした。
真空ポンプ33−1、33−2、33−3により、第2排気室11、成膜室8、第1排気室9からなるチャンバ3内を1×10−4Paまで真空引きした。
成膜用ガスとして、TEOS(テトラエトキシシランSi(OC)を加熱温度120℃で気化して供給した。そして、TEOS、酸素、アルゴンを、それぞれ、20sccm、500sccm、200sccmで供給し、均一に混合させた後、同ガスを基材16上にシャワー状に供給した。
【0067】
次に、真空排気ポンプ33−1〜33−5を調整し、成膜室8の圧力を10Pa、第1、第2基材搬送室15、19、および、第1、第2排気室9、11の圧力を0.5Paの一定圧力となるように調整した。
電源29−1、29−2に周波数40kHzの電源(Advanced Energy
Industries, Inc.製、PEII、10kW)を用い、電極55−1および電極55−2に3kWの電力を、電極55−3および電極55−4に3kWの電力を印加した。これらの電力の制御はインピーダンス制御により行った。基材ライン速度5m/minにより1200m成膜を行った。また、成膜開始後、成膜距離200mおきに前後1分間の平均放電電圧を求めた。また、目視により放電のアーキング(異常放電)発生回数をカウントした。
【0068】
成膜後、チャンバ3内の残留ガスを排気し、基材16を取り出し、基材表面の目視観察を行うとともに、200mおきに、基材16の幅方向中央部のサンプリングを行い、これらサンプルの膜厚測定及び膜の密度測定、基材反り評価を行った。膜厚は走査型電子顕微鏡(SEM;日立製作所(株)製、S−5000H)を用い、断面観察を行うことにより膜厚を求めた。膜密度はX線反射率測定装置(理学電機(株)製、ATX−E)および付属ソフトウエアにより算出した。基材の反り評価は、基材16を20mm×20mmサイズに切断し、表面を上(+側とする)平らな面の上に置き、基材の反りによる平らな面からの最高反り高さをレーザー変位計により測定した。
図9は成膜結果を示す図である。
【0069】
これに対して、比較例として、図8に示す成膜装置201を用意した。この成膜装置201は、図1に示す成膜装置1と比較して、チャンバ3内に設けたドラム9に基材16を巻きつかせて搬送しながら成膜処理を行う点が異なる。
【0070】
チャンバ3は、隔壁5、隔壁7により基材搬送室15、成膜室8、排気室9に分割されており、隔壁5に挟まれるようにドラム9が設けられる。ドラム9は基材16を巻回する。また、隔壁7に挟まれるようにガス供給部21−1および21−3が設置され、ドラム9の外周に沿ってガス供給部21−2が設けられる。ガス供給部21−1、21−2、21−3は、それぞれ、流量制御器23−1、23−2、23−3を介してガス貯蓄部25−1、25−2、25−3に接続され、成膜用ガスが供給される。ガス供給部21−1、21−2、21−3のガス噴射口はドラム9に巻かれた基材16表面方向に向けられており、基材表面に向けてガスが噴射される。
【0071】
また、ガス供給部21−1、21−2間に電極ユニット27−1が、ガス供給部21−2、21−3間に電極ユニット27−2が設けられる。電極ユニット27−1、27−2の構造は、成膜装置1と同様である。
基材搬送室15には巻き出しローラ41、巻取りローラ47に加えて、ガイドローラ43−1〜43−5、張力ピックアップロール44が設けられ、基材16は、巻き出しローラ41から送り出され、ガイドロール43−1、43−2を介してドラム9に至り、成膜室8に入り、成膜処理が成される。
【0072】
また、基材搬送室15内には、本実施の形態の成膜装置1の第2基材搬送室19に設けられた後処理装置49と同様の帯電除去装置49が設けられる。成膜後の基材19は帯電除去装置49により除電を行った後、ガイドロール43−3、張力ピックアップロール44、ガイドロール43−4、43−5を介して巻取りローラ47に回収される。
【0073】
成膜装置201の電極55−1、55−2は電気的に等電位に接続されていて両電極間での抵抗は0.1Ωであった。また、成膜圧力は、チャンバ3内のすべての場所で0.5Paとした。それ以外の条件は、本実施の形態の成膜装置1と同様の設定、手順で成膜した。この成膜装置201は、片面の成膜しか行えないため、片面の成膜が完了した後、チャンバ3を大気開放し、基材16を反転させて再度巻き出しローラ41にセットし、反対側の面に同様の設定、手順で再度成膜を行った。成膜された膜の評価方法についても、本実施例の実験と同様に行った。
図10に成膜装置201の実験結果を示す。
【0074】
図9および図10を比較すると、図1に示した本発明に係る成膜装置1では、放電のアーキング(異常放電)発生回数が0回と、異常放電がなく安定した成膜が可能であることが判明した。このことから、本発明に係る成膜装置1では、放電中のアーキングがほぼ発生しないことにより、良質且つ均一な膜の形成が可能となる。
また、放電電圧が低減され、放電が安定しやすくなる。投入する電力が成膜に有効に用いられることから、成膜速度が向上し、膜の密度、すなわち、緻密性の高い良質な膜が形成可能となった。さらに、基材反り測定結果によると、両面とも均一な成膜が可能で、基材反り(カール)のない膜が形成された。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る成膜装置1の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態にかかる成膜装置1を示す図
【図2】電極ユニット27−3の断面図
【図3】図2のA方向矢視図
【図4】図3のC−C断面図
【図5】電極ユニット27−3の断面図(マグネット設置)
【図6】図5のB方向矢視図
【図7】図6のC−C断面図
【図8】比較例となる成膜装置201を示す図
【図9】成膜装置1による成膜結果を示す図
【図10】成膜装置201による成膜結果を示す図
【符号の説明】
【0077】
3………チャンバ
5、7………隔壁
8………成膜室
9………第1排気室
11………第2排気室
15………第1基材搬送室
16………基材
19………第2基材搬送室
21………ガス供給部
23………流量制御器
25………ガス貯留部
27………電極ユニット
31………圧力調整バルブ
33………真空排気ポンプ
41………巻き出しローラ
43………ガイドローラ
44………張力ピックアップローラ
45………前処理装置
47………巻取りローラ
49………後処理装置
55………電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマCVD法により、減圧下で基材に薄膜を形成する成膜装置であって、
チャンバと、
前記基材を搬送する搬送機構と、
前記チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、
前記チャンバ内に配置され、電気的にフローティングレベルの1組の電極と、
前記2つの電極間に電力を供給する電源と、
を具備し、
前記基材は、前記チャンバ内で直状フリースパン部を有するように保持され、
前記基材の前記フリースパン部で成膜が行われることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記基材への成膜が、前記基材片側表面に対して少なくとも2箇所以上で行われることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記2箇所以上の成膜で、同一種膜が形成されることを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
【請求項4】
前記2箇所以上の成膜で、異種膜が形成されることを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
【請求項5】
前記1組の電極が複数あり、複数組の電極が前記基材の両側に配置されることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項6】
前記基材への成膜が、基材両面に対して同時に行われることを特徴とする請求項5記載の成膜装置。
【請求項7】
前記基材への成膜が、基材両面に対して異なるときに行われることを特徴とする請求項5記載の成膜装置。
【請求項8】
前記電極は、基材近傍にプラズマを集中して形成するマグネットを備えることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項9】
前記マグネットは、基材表面での水平磁束密度が10ガウスから10000ガウスであることを特徴とする請求項8記載の成膜装置。
【請求項10】
前記マグネットは、マグネトロン構造を有することを特徴とする請求項8記載の成膜装置。
【請求項11】
前記電源は、周波数が10Hzから27.12MHzであることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項12】
前記電源は、投入電力制御されることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項13】
前記電源は、インピーダンス制御されることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項14】
前記ガス供給部は、前記基材の前記電極側に取り付けられ、前記基材表面に向けてガスを供給することを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項15】
前記ガス供給部は、電気的にフローティングレベルであることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項16】
前記チャンバは、成膜室と排気室を有することを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項17】
前記搬送機構は、前記チャンバに前記基材を送り込む第1基材搬送室と、前記チャンバでの成膜後の前記基材を回収する第2基材搬送室とを有することを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項18】
前記成膜室の成膜圧力が0.1Paから100Paの間であることを特徴とする請求項16記載の成膜装置。
【請求項19】
前記排気室の真空度は、前記成膜室の真空度よりも10倍から10000倍高いことを特徴とする請求項16記載の成膜装置。
【請求項20】
前記第1基材搬送室と前記第2基材搬送室の真空度は、前記成膜室の真空度よりも10倍から10000倍高いことを特徴とする請求項17または請求項18記載の成膜装置。
【請求項21】
前記第2基材搬送室に、成膜後の前記基材搬送用のローラを有することを特徴とする請求項17記載の成膜装置。
【請求項22】
前記ローラは、冷却機構を備えることを特徴とする請求項21記載の成膜装置。
【請求項23】
前記ローラは、電気的にアースレベルであることを特徴とする請求項21記載の成膜装置。
【請求項24】
前記ローラは、電気的にフローティングレベルであることを特徴とする請求項21記載の成膜装置。
【請求項25】
前記ローラは、成膜時により発生した基材帯電を除去する基材帯電除去部を備えることを特徴とする請求項23または請求項24記載の成膜装置。
【請求項26】
前記基材帯電除去部は、前記第2基材搬送室内で、前記ローラよりも前段に設けられることを特徴とする請求項17または請求項23〜25のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項27】
前記基材帯電除去部は、前記第2基材搬送室内で、前記ローラよりも後段に設けられることを特徴とする請求項17または請求項23〜25のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項28】
前記第1基材搬送室に、前記基材帯電除去部を備えることを特徴とする請求項17または請求項25記載の成膜装置。
【請求項29】
前記基材帯電除去部は、プラズマ放電装置であることを特徴とする請求項25〜28のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項30】
プラズマCVD法により、減圧下で基材に薄膜を形成する成膜方法であって、
チャンバ内に設けた直状フリースパン部に前記基材を搬送し、
前記チャンバ内にガスを供給し、
前記チャンバ内で、前記基材の同一表面側に配置され、電気的にフローティングレベルの1組の電極間に電力を供給し、
プラズマを発生させ、
前記基材上に前記フリースパン部で薄膜を形成することを特徴とする成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−299353(P2006−299353A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123480(P2005−123480)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】