説明

振動衝撃力緩衝装置及び該振動衝撃力緩衝装置を含む立体駐車場

【課題】本発明は、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装され、地震等の振動時に一方の構造体から他方の構造体へ伝達される振動衝撃力を効果的に緩衝することがきる振動衝撃力緩衝装置を実現し提供する。
【解決手段】本発明の振動衝撃力緩衝装置は、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装される振動衝撃力緩衝装置1であって、3個以上複数個の略半球状突起13付きの円柱状ゴム体11と、円柱状ゴム体11を略半球状突起13及びその胴部12の一部を円筒状部4により突出させて保持する円筒状部4及び矩形底板3からなる金属製のゴム体受盤2とを有し、2つの構造体の振動時に作用する衝撃力を、円柱状ゴム体11の略半球状突起13の撓み、胴部12の撓み、ゴム体受盤2の円筒状部4の剛性の順に受けて緩衝するように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の振動時に一方の構造体から他方の構造体へ伝達される振動衝撃力を効果的に緩衝することがきる振動衝撃力緩衝装置及び該振動衝撃力緩衝装置を含む立体駐車場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建造物の内部の特定の領域に組み込まれる立体駐車場は、建造物内の躯体内部に構築された立体構造の隔壁内に、前記隔壁の壁面と所定の間隔をもって垂直支柱を具備する立駐塔を構築し、更に、立駐塔内にエレベータ設備、車両格納設備等を備えた車両駐車設備を組み込んで構成することが多い。
【0003】
このような立体駐車場においては、エレベータ設備の運転に伴う振動の躯体側への伝達を少なくしたり、地震等に伴う振動により立駐塔と隔壁が衝突して損傷することを防止するために、隔壁と立駐塔との間に水平サポート機構を配置し、振動緩衝作用を発揮させるようにしている。
【0004】
この種の水平サポート機構として、特許文献1には、ボイド内に設置された駐車装置と、前記ボイドの隔壁内面との間に配設され、隔壁内面に駐車装置を支持させるための水平サポート装置であって、駐車装置の立駐塔に接続され、前記隔壁内面との間に隙間を介して配置される第一緩衝部材と、立駐塔及び隔壁内面の両方に接するように配置される第二緩衝部材とを備えており、第二緩衝部材の対歪剛性が第一緩衝部材の対歪剛性より小さくした立体駐車装置の水平サポート装置が提案されている。
【0005】
しかし、特許文献1の水平サポート装置の場合、第一緩衝部材、第二緩衝部材を組み合わせ、かつ、両者の対歪剛性をも配慮した複雑な構成であり、水平サポート装置自体のコストも高くなるものと推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−114651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装され、地震等の振動時に一方の構造体から他方の構造体へ伝達される振動衝撃力を効果的に緩衝することができ、かつ、簡略構造で安価に製造できるような振動衝撃力緩衝装置が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装される振動衝撃力緩衝装置であって、突起付き柱状ゴム体と、該柱状ゴム体を突起及びその胴部の一部を筒状部により突出させて保持する金属製のゴム体受盤とを有し、2つの構造体の振動時に作用する衝撃力を、前記柱状ゴム体の突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤の筒状部の剛性の順に受けて緩衝する構成としたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、突起付き柱状ゴム体と、該柱状ゴム体を突起及びその胴部の一部を筒状部により突出させて保持する金属製のゴム体受盤とにより構成した簡略構造で安価の製造できるという斬新な構成の基に、一方の構造体から他方の構造体へ伝達される振動衝撃力を突起付き柱状ゴム体の撓み、ゴム体受盤の剛性により段階的、かつ、効果的に緩衝することができる振動衝撃力緩衝装置を実現し提供することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、略半球状突起付き円柱状ゴム体と、該円柱状ゴム体を略半球状突起及びその胴部の一部を円筒状部により突出させて保持する金属製のゴム体受盤とにより構成した簡略構造で安価の製造できるという斬新な構成の基に、一方の構造体から他方の構造体へ伝達される振動衝撃力を前記円柱状ゴム体の半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤の円筒状部の剛性の順に受けて段階的、かつ、効果的に緩衝することができる振動衝撃力緩衝装置を実現し提供することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、3個以上複数個の略半球状突起付き円柱状ゴム体と、該円柱状ゴム体を略半球状突起及びその胴部の一部を円筒状部により突出させて保持する円筒状部及び矩形底板からなる金属製のゴム体受盤とにより構成した簡略構造で安価の製造できるという斬新な構成の基に、2つの構造体の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体の略半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤の円筒状部の剛性の順に受けて段階的、かつ、効果的に緩衝することができる振動衝撃力緩衝装置を実現し提供することができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、建造物内の躯体内部に構築された立体構造の隔壁内に構築されるとともに、前記隔壁の壁面と所定の間隔をもって配置された垂直支柱を具備する立駐塔と、前記立駐塔内に設けた車両昇降格納設備と、前記隔壁と垂直支柱との間に介在させた振動衝撃力緩衝装置とを有する立体駐車場であって、振動衝撃力緩衝装置として請求項1記載の発明と同一の構成を採用し、前記隔壁、垂直支柱の水平方向の振動時に作用する衝撃力を、前記柱状ゴム体の突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤の筒状部の剛性の順に受けて段階的、かつ、効果的に緩衝することができる立体駐車場を実現し提供することができる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、建造物内の躯体内部に構築された立体構造の隔壁内に構築されるとともに、前記隔壁の壁面と所定の間隔をもって配置された垂直支柱を具備する立駐塔と、前記立駐塔内に設けた車両昇降格納設備と、前記隔壁と垂直支柱との間に介在させた振動衝撃力緩衝装置とを有する立体駐車場であって、振動衝撃力緩衝装置として請求項2記載の発明と同一の構成を採用し、前記隔壁、垂直支柱の水平方向の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体の半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤の円筒状部の剛性の順に受けて段階的、かつ、効果的に緩衝することができる立体駐車場を実現し提供することができる。
【0014】
請求項6記載の発明によれば、建造物内の躯体内部に構築された立体構造の隔壁内に構築されるとともに、前記隔壁の壁面と所定の間隔をもって配置された垂直支柱を具備する立駐塔と、前記立駐塔内に設けた車両昇降格納設備と、前記隔壁と垂直支柱との間に介在させた振動衝撃力緩衝装置とを有する立体駐車場であって、振動衝撃力緩衝装置として請求項3記載の発明と同一の構成を採用し、前記隔壁、垂直支柱の水平方向の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体の3個以上複数個の略半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤の円筒状部の剛性の順に受けて段階的、かつ、効果的に緩衝することができる立体駐車場を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施例に係る振動衝撃力緩衝装置の概略平面図である。
【図2】図2は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置の概略正面図である。
【図3】図3は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置の部分切欠断面図である。
【図4】図4は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置におけるゴム体受盤の平面図である。
【図5】図5は図4のA−A線断面図である。
【図6】図6は図5のB部の拡大断面図である。
【図7】図7は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置における円柱状ゴム体の平面図である。
【図8】図8は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置における円柱状ゴム体の部分切欠断面図である。
【図9】図9は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置の使用態様の一例を示す説明図である。
【図10】図10は本実施例に係る硬度75度の円柱状ゴム体を用いた振動衝撃力緩衝装置において圧縮荷重を段階的に作用させる態様を示す説明図である。
【図11】図11は本実施例に係る硬度75度の円柱状ゴム体を用いた振動衝撃力緩衝装置の圧縮強度試験結果を示す表及びグラフである。
【図12】図12は本実施例に係る硬度55度の円柱状ゴム体を用いた振動衝撃力緩衝装置の圧縮強度試験結果を示す表及びグラフである。
【図13】図13は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置を含む立体駐車場の概略縦断面図面である。
【図14】図14は本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置を含む立体駐車場を建造物内の躯体の内部に構築した例を示す概略図である。
【図15】図15は本実施例に係る立体駐車場における振動衝撃力緩衝装置の配置例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装され、地震等の振動時に一方の構造体から他方の構造体へ伝達される振動衝撃力を効果的に緩衝することができ、かつ、簡略構造で安価に製造できる振動衝撃力緩衝装置を実現し提供するという目的を、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装される振動衝撃力緩衝装置であって、3個以上複数個の略半球状突起付き円柱状ゴム体と、該円柱状ゴム体を略半球状突起及びその胴部の一部を円筒状部により突出させて保持する円筒状部及び矩形底板からなる金属製のゴム体受盤とを有し、2つの構造体の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体の略半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤の円筒状部の剛性の順に受けて緩衝する構成により実現した。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例に係る振動衝撃力緩衝装置及び該振動衝撃力緩衝装置を含む立体駐車場について説明する。
まず、本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置1について図1乃至図12を参照して説明する。
【0018】
本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置1は、図1乃至図3に示すように、金属製のゴム体受盤2により、円柱状ゴム体11を保持する構成としている。
【0019】
前記ゴム体受盤2は、金属材を用いて形成した例えば正方形状の矩形底板3と、この矩形底板3の上面から上方に突出させた例えば炭素鋼鋼管を用いて形成した円筒状部4とを溶接により一体化した構成としている。
【0020】
前記ゴム体受盤2の中央部には、下面から上面に向けて穿設した皿孔5及び直孔6を設けている。
【0021】
また、前記ゴム体受盤2の四隅の中央寄りには、各々ボルト孔7を穿設している。
前記円柱状ゴム体11は、例えば天然ゴムを用い、円柱状の胴部12と、この胴部12の上面から上方に突出させた例えば8個の略半球状突起13とを一体形成することにより構成している。
なお、胴部12の上面から上方に突出させた略半球状突起13は、図示例ではこれを8個として説明しているが、本発明においては、当該略半球状突起13の数を図示例のものに限定するものではない。図示する実施例では、円状に均等配分して8個の略半球状突起13を配置して構成しているが、本発明においては、振動時に作用する(仮想)衝撃力に応じて、例えば、最低、3個の略半球状突起13を配置構成、乃至、2重、3重の各円状に均等配分して多数の略半球状突起13を配置して構成することもできる。
【0022】
図示する実施例の前記8個の略半球状突起13は、前記胴部12の上面から円柱状ゴム体11の中央部に関して45度の等間隔配置で突出した構成としている。
【0023】
また、前記円柱状ゴム体11の中央部には、大径の上孔14と小径の下孔15とを同心配置に設けている。
【0024】
そして、前記円柱状ゴム体11の略半球状突起13及び胴部12の一部を、図2に示すように前記円筒状部4により上方に突出させるようにして、かつ、前記ゴム体受盤2の中央部と前記円柱状ゴム体11の中央部とを一致させて例えば接着により保持するように構成している。
【0025】
更に、図3に示すように、前記矩形底板3の皿孔5に配置した高ナット19に下側のボルト16を締め付けて、前記矩形底板3と高ナット19を固着したとともに、前記円柱状ゴム体11の下孔15に前記高ナット19を挿入し、前記円柱状ゴム体11の上孔14側から平ワッシャ18を介在させつつ前記高ナット19に上ボルト17を締め付けて、前記円柱状ゴム体11と前記矩形底板3を固着させるように構成している。
【0026】
次に、前記ゴム体受盤2及び前記円柱状ゴム体11の主要部の寸法構成例について、図4、図7、図8を参照して説明する。
例えば、図4に示すように、前記ゴム体受盤2における矩形底板3の寸法W1は、230mm、円筒状部4の外径W2は216.3mm、内径W3は207.3mmに設定している。
【0027】
また、例えば図7に示すように、前記円柱状ゴム体11の胴部12の外径W4は200mm、相対向する2個の略半球状突起13間の間隔、すなわち、各略半球状突起13の中心を通る円の直径Dは150mmに設定している。
更に、例えば図8に示すように、前記胴部12の高さ寸法T1は50mm、前記略半球状突起13の突出寸法T2は20mm、前記略半球状突起13の直径dは30mmに設定している。
【0028】
上述した振動衝撃力緩衝装置1は、図9に示すように、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体21、22間に介在させ、2つの構造体21、22の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体11の8個の略半球状突起13の撓み、胴部12の撓み、前記ゴム体受盤2の円筒状部4の剛性の順に受けて緩衝する用途に使用するものである。
【0029】
すなわち、振動衝撃力緩衝装置1における矩形底板3をボルト8を用いて一方の構造体21に取り付け、前記円柱状ゴム体11の8個の略半球状突起13を他方の構造体22に対向させて、2つの構造体21、22の振動時に振動衝撃力緩衝装置1に作用する衝撃力を緩衝するものである。
【0030】
次に、本実施例に係る振動衝撃力緩衝装置1におけるアムスラー試験機による圧縮強度試験について図10乃至図12を参照して説明する。
前記振動衝撃力緩衝装置1における円柱状ゴム体11としては、硬度75度の2種類のものを用いた。
【0031】
図10は、前記振動衝撃力緩衝装置1を基台31上に配置し、前記円柱状ゴム体11の上方からプレス板32を用いて前記振動衝撃力緩衝装置1に圧縮荷重を段階的に作用させる態様を示すものである。
【0032】
図10(a)は未荷重時、図10(b)は荷重40kN、図10(c)は荷重290kNの各場合の振動衝撃力緩衝装置1の状態を示している。
【0033】
図11は、この場合の振動衝撃力緩衝装置1の荷重(kN)と撓み量(mm)との関係を示す表(第1回、第2回及び平均)及びグラフ(平均)を示すものである。
【0034】
荷重40(kN)においては、図11に示すように、撓み量(平均)は20.1mm、荷重290(kN)においては、撓み量(平均)は25.1mmであった。
【0035】
また、荷重290(kN)をかけた後、プレス板32を除去して略半球状突起13が当初の状態に復帰した円柱状ゴム体11を観察したところ、プレス板32の痕跡が残る程度でこれ以外の異常は見当たらなかった。
【0036】
図12は、硬度55度の円柱状ゴム体11を用いた振動衝撃力緩衝装置1に対する圧縮強度試験における荷重(kN)と撓み量(mm)との関係を示す表(第1回、第2回及び平均)及びグラフ(平均)を示すものである。
【0037】
この場合、荷重40(kN)においては、図12に示すように、撓み量(平均)は23.1mm、荷重290(kN)においては、撓み量(平均)は29.2mmであった。
【0038】
また、荷重290(kN)をかけた後、プレス板32を除去して略半球状突起13が当初の状態に復帰した円柱状ゴム体11を観察したところ、上述した場合と同様プレス板32の痕跡が残る程度でこれ以外の異常は見当たらなかった。
【0039】
本実施例の振動衝撃力緩衝装置1によれば、ゴム体受盤2に円柱状ゴム体11を組み込んだだけの簡略安価な構造でありながら、互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体21、22間に介在させることによって、2つの構造体21、22の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体11の8個の略半球状突起13の撓み、胴部12の撓み、前記ゴム体受盤2における円筒状部4の剛性の順に、段階的に受けて効果的に緩衝することができる。
【0040】
このような各振動衝撃力緩衝装置1の緩衝動作は、図10(a)、(b)、(c)に示す順に行われる。
【0041】
次に、前記振動衝撃力緩衝装置1を含む立体駐車場51について、図13乃至図15を参照して説明する。
【0042】
図13、図14に概略的に示すように、例えばオフィスビル、商業ビルのような建造物61における躯体62の内部に、立体的に構築された防火仕様の隔壁63を設け、この隔壁63の内部に本実施例の立体駐車場51を構築している。
すなわち、本実施例の立体駐車場51は、建造物内鉄塔構造のもので、前記隔壁63により区画される空間内に、垂直支柱72、横枠73等を用いて構築した立駐塔71と、立駐塔71内に設けた詳細は省略するが個々の車両Cを一台ずつ出入、昇降させ、かつ、格納する車両昇降格納設備74と、前記隔壁63の内壁面63aと垂直支柱72の垂直側面72aとの間に間隔をおいて介在させた複数(図13に垂直支柱72の垂直側面72aに3個ずつ、合計6個配置した例を示している)の振動衝撃力緩衝装置1とを有している。
【0043】
図15は、前記隔壁63の角隅部に対向する垂直支柱72の両垂直側面72a、72aに各々振動衝撃力緩衝装置1を配置した例を示す概略拡大図である。
【0044】
次に、本実施例の立体駐車場51における振動衝撃力緩衝装置1の振動衝撃力緩衝作用について説明する。
【0045】
前記立体駐車場51において、例えば前記立駐塔71における車両昇降格納設備74の運転や地震等の揺れ等で前記立駐塔71の垂直支柱72が水平方向に振動(揺動)するとき、前記隔壁63に対向配置した各振動衝撃力緩衝装置1は、この隔壁63との衝突に伴う衝撃力をまず円柱状ゴム体11の8個の略半球状突起13の撓みで受けて緩衝し、次に衝撃力が更に大きい場合には円柱状ゴム体11の胴部12の撓みで緩衝し、衝撃力が更に大きい場合には前記ゴム体受盤2における円筒状部4の剛性の順に受けて緩衝する。
【0046】
このような各振動衝撃力緩衝装置1の緩衝動作は、図10(a)、(b)、(c)の順に行われる。
【0047】
上述した振動衝撃力緩衝装置1を含む立体駐車場51によれば、前記立駐塔71が車両昇降格納設備74の運転や地震等の揺れ等で水平方向に振動(揺動)しても、前記各振動衝撃力緩衝装置1による上述した振動衝撃力緩衝作用によって前記躯体62への振動伝播が効果的に抑制される。
【0048】
また、前記振動衝撃力緩衝装置1は、前記ゴム体受盤2に円柱状ゴム体11を組み込んだだけの簡略安価な構造であることから、この振動衝撃力緩衝装置1を所要数用いる立体駐車場51自体の構築費用の低廉にも資することができる。
なお、前記振動衝撃力緩衝装置1の立駐塔71に対する配置個数は、図13に示す例に限定されるものではなく、前記立駐塔71の高さ寸法の大小に応じて適宜数配置し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の振動衝撃力緩衝装置は、上述した立体駐車場に組み込む場合の他、建造物自体の制振用、車両等の振動緩衝用等として広範に応用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 振動衝撃力緩衝装置
2 ゴム体受盤
3 矩形底板
4 円筒状部
5 皿孔
7 ボルト孔
8 ボルト
11 円柱状ゴム体
12 胴部
13 略半球状突起
14 上孔
15 下孔
16 下側のボルト
17 上側のボルト
18 平ワッシャ
19 高ナット
21 構造体
22 構造体
31 基台
32 プレス板
51 立体駐車場
61 建造物
62 躯体
63 隔壁
63a 内壁面
71 立駐塔
72 垂直支柱
72a 垂直側面
73 横枠
74 車両昇降格納設備
C 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装される振動衝撃力緩衝装置であって、
突起付き柱状ゴム体と、該柱状ゴム体を突起及びその胴部の一部を筒状部により突出させて保持する金属製のゴム体受盤とを有し、
2つの構造体の振動時に作用する衝撃力を、前記柱状ゴム体の突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤における筒状部の剛性の順に受けて緩衝することを特徴とする振動衝撃力緩衝装置。
【請求項2】
互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装される振動衝撃力緩衝装置であって、
略半球状突起付き円柱状ゴム体と、該円柱状ゴム体を半球状突起及びその胴部の一部を円筒状部により突出させて保持する金属製のゴム体受盤とを有し、
2つの構造体の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体の半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤における円筒状部の剛性の順に受けて緩衝することを特徴とする振動衝撃力緩衝装置。
【請求項3】
互いの振動によって接触し得る間隔をもって自立する2つの構造体の間に介装される振動衝撃力緩衝装置であって、
3個以上複数個の略半球状突起付き円柱状ゴム体と、該円柱状ゴム体を略半球状突起及びその胴部の一部を円筒状部により突出させて保持する円筒状部及び矩形底板からなる金属製のゴム体受盤とを有し、
2つの構造体の振動時に作用する衝撃力を、前記円柱状ゴム体の略半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤における円筒状部の剛性の順に受けて緩衝することを特徴とする振動衝撃力緩衝装置。
【請求項4】
建造物内の躯体内部に構築された立体構造の隔壁内に構築されるとともに、前記隔壁の壁面と所定の間隔をもって配置された垂直支柱を具備する立駐塔と、
前記立駐塔内に設けた車両昇降格納設備と、
前記隔壁と垂直支柱との間に介在させた振動衝撃力緩衝装置と、
を有する立体駐車場であって、
前記振動衝撃力緩衝装置は、突起付き柱状ゴム体と、該柱状ゴム体を突起及びその胴部の一部を筒状部により突出させて保持する金属製のゴム体受盤とを有し、
前記隔壁、垂直支柱の水平方向の振動時に作用する衝撃力を、前記柱状ゴム体の突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤における筒状部の剛性の順に受けて緩衝するように構成したことを特徴とする立体駐車場。
【請求項5】
建造物内の躯体内部に構築された立体構造の隔壁内に構築されるとともに、前記隔壁の壁面と所定の間隔をもって配置された垂直支柱を具備する立駐塔と、
前記立駐塔内に設けた車両昇降格納設備と、
前記隔壁と垂直支柱との間に介在させた振動衝撃力緩衝装置と、
を有する立体駐車場であって、
前記振動衝撃力緩衝装置は、略半球状突起付き柱状ゴム体と、該柱状ゴム体を略半球状突起及びその胴部の一部を円筒状部により突出させて保持する金属製のゴム体受盤とを有し、
前記隔壁、垂直支柱の水平方向の振動時に作用する衝撃力を、前記柱状ゴム体の略半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤における円筒状部の剛性の順に受けて緩衝するように構成したことを特徴とする立体駐車場。
【請求項6】
建造物内の躯体内部に構築された立体構造の隔壁内に構築されるとともに、前記隔壁の壁面と所定の間隔をもって配置された垂直支柱を具備する立駐塔と、
前記立駐塔内に設けた車両昇降格納設備と、
前記隔壁と垂直支柱との間に介在させた振動衝撃力緩衝装置と、
を有する立体駐車場であって、
前記振動衝撃力緩衝装置は、3個以上複数個の略半球状突起付き柱状ゴム体と、該柱状ゴム体を略半球状突起及びその胴部の一部を円筒状部により突出させて保持する円筒状部及び矩形底板からなる金属製のゴム体受盤とを有し、
前記隔壁、垂直支柱の水平方向の振動時に作用する衝撃力を、前記柱状ゴム体の略半球状突起の撓み、胴部の撓み、前記ゴム体受盤における円筒状部の剛性の順に受けて緩衝するように構成したことを特徴とする立体駐車場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−256992(P2011−256992A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134408(P2010−134408)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(591167898)ヤクモ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】