説明

搬送アームの洗浄方法、基板処理装置の洗浄方法及び基板処理装置

【課題】搬送アームに付着しているコンタミを除去する基板処理装置の制御方法を提供する。
【解決手段】基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームの洗浄方法であって、前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合において、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加工程を有し、前記搬送アームに付着している異物を除去することを特徴とする搬送アームの洗浄方法を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送アームの洗浄方法、基板処理装置の洗浄方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する際には、半導体ウエハに対して、各種の薄膜の成膜処置、改質処理、酸化拡散処理、アニール処理、エッチング処理等が順次繰り返し行われ、これにより半導体ウエハ上に多層膜からなる半導体デバイスが製造される。
【0003】
このような半導体デバイスを製造する製造装置としては、枚葉式の基板処理装置がある。この枚葉式の基板処理装置では、様々な処理を行うための複数の処理室と一つの搬送室とを連結し、各々の処理室内において、半導体ウエハにおける処理を順次行うことにより、一つの基板処理装置で各種処理を行うことを可能とするものである。この枚葉式の基板処理装置では、処理室間における半導体ウエハの移動は、搬送室に設けられた搬送アームの伸縮動作及び回転動作等により行われる。この搬送アームは、通常、静電チャック機能有しており、半導体ウエハは搬送アームに静電チャックにより吸着されて搬送される。
【0004】
ところで、基板処理装置における搬送アームは駆動機構を有していることから、長期間基板処理装置を使用することにより、異物となるコンタミネーション(以下、コンタミと記載する)等が発生する場合や、基板処理装置の処理室において成膜処理が行われる場合には、処理室の壁面に成膜処理において付着した膜が剥がれコンタミ等を生じる場合がある。このように発生したコンタミ等は、チャンバー内を浮遊し、搬送アームや半導体基板に付着する場合がある。コンタミ等が半導体ウエハに付着した場合にはもちろんのこと、搬送アームに付着した場合においても、搬送アームを介し搬送アームにより搬送される半導体ウエハにもコンタミ等が付着してしまい、製造される半導体デバイスの歩留まりを低下させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−252066号公報
【特許文献2】特開平7−302827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように発生したコンタミ等を除去するためには、コンタミ等の付着した搬送アームをチャンバー内から取り出し、搬送アームの表面に付着しているコンタミ等を拭き取ることにより除去する方法がある。しかしながら、基板処理装置のチャンバー内から搬送アームを取り出す必要があり、時間と労力を有し、特に、真空チャンバー内に設置されている搬送アームを取り出すには、真空チャンバー内を大気圧状態にする必要があり、より一層時間と労力を要する。また、チャンバー内を浮遊しているコンタミ等を除去するためには、チャンバー内部の壁面等を拭き取りする方法があるが、同様に時間と労力を要し容易ではない。また、上述のようにコンタミ等を拭き取る作業を行う場合、別のコンタミ等を付着させてしまう場合もある。
【0007】
このため、基板処理装置のチャンバー内から搬送アームを取り出すことなく、容易に短時間で、搬送アームに付着しているコンタミ等を除去する方法、更には、チャンバー内部に浮遊しているコンタミ等を容易に短時間で除去する方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームの洗浄方法であって、前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合において、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加工程を有し、前記搬送アームに付着している異物を除去することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームの洗浄方法において、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の一方に正の電圧を印加し、他方に負の電圧を印加する第1の電圧印加工程と、前記第1の電圧印加工程の後、前記静電チャックの電極の一方に負の電圧を印加し、他方に正の電圧を印加する第2の電圧印加工程と、を有し、前記搬送アーム近傍の異物を除去することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室内に設けられ、前記処理室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法であって、前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合において、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加工程を有し、前記搬送アームに付着している異物を除去することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室と接続されたロードロック室と、前記搬送室内に設けられ、前記処理室及びロードロック室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法であって、前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合において、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加工程を有し、前記搬送アームに付着している異物を除去することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室内に設けられた前記処理室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法において、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の一方に正の電圧を印加し、他方に負の電圧を印加する第1の電圧印加工程と、前記第1の電圧印加工程の後、前記静電チャックの電極の一方に負の電圧を印加し、他方に正の電圧を印加する第2の電圧印加工程と、を有し、前記処理室又は前記搬送室において帯電している異物を除去することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室と接続されたロードロック室と、前記搬送室内に設けられ、前記処理室及びロードロック室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法であって、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の一方に正の電圧を印加し、他方に負の電圧を印加する第1の電圧印加工程と、前記第1の電圧印加工程の後、前記静電チャックの電極の一方に負の電圧を印加し、他方に正の電圧を印加する第2の電圧印加工程と、を有し、前記処理室又は前記搬送室において帯電している異物を除去することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室内に設けられた前記処理室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法において、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記搬送室より前記処理室に前記搬送アームの静電チャックを有する部分を挿入する搬送アーム挿入工程と、前記静電チャックの電極に電圧を印加する電圧印加工程と、前記搬送アーム挿入工程及び前記電圧印加工程の後、前記搬送アームの静電チャックを有する部分を前記搬送室内に戻す搬送アーム戻し工程と、を有し、前記処理室において帯電している異物を除去することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームを有する基板処理装置において、前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合に、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加することにより、前記搬送アームに付着している異物を除去する制御を行う制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、静電チャックにより搬送アームを有する基板処理装置において、搬送アームに付着しているコンタミ等、又は、チャンバー内に浮遊しているコンタミ等を容易に短時間で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態における基板処理装置の構成図
【図2】搬送アームの上面図
【図3】搬送アームの断面拡大図
【図4】第1の実施の形態における基板処理装置の制御方法のフローチャート
【図5】第1の実施の形態における基板処理装置の制御方法の説明図(1)
【図6】第1の実施の形態における基板処理装置の制御方法の説明図(2)
【図7】第1の実施の形態における基板処理装置の制御方法の説明図(3)
【図8】第1の実施の形態における別の基板処理装置の制御方法の説明図
【図9】第2の実施の形態における基板処理装置の制御方法のフローチャート
【図10】第2の実施の形態における基板処理装置の制御方法の説明図(1)
【図11】第2の実施の形態における基板処理装置の制御方法の説明図(2)
【図12】第2の実施の形態における基板処理装置の制御方法の説明図(3)
【図13】第2の実施の形態における基板処理装置の制御方法の説明図(4)
【図14】第3の実施の形態における基板処理装置の制御方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。
【0019】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は、搬送アームを用いて半導体ウエハを搬送するいわゆる枚葉式の基板処理装置において、搬送アームに付着しているコンタミ等を除去する搬送アームの洗浄方法及び基板処理装置の洗浄方法に関するものである。
【0020】
(基板処理装置)
本実施の形態において用いられる基板処理装置は、複数の処理室と複数の処理室と接続されている搬送室とを有する半導体ウエハ等の基板の処理を行う基板処理装置であって、搬送室には、静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)により半導体ウエハを吸着させる搬送アームが設けられており、搬送アームにより各々の処理室間または、処理室とロードロック室との間において、基板である半導体ウエハの移動をすることができるものである。
【0021】
図1に基づき本実施の形態における基板処理装置について説明する。本実施の形態における基板処理装置は、搬入搬送室10と、共通搬送室20と、4つの処理室41、42、43、44、制御部50を有している。尚、搬入搬送室10及び共通搬送室20は、後述するように搬送室としての搬送機構を有するものである。
【0022】
共通搬送室20は、略6角形の形状をしており、略6角形の辺に相当する部分において、4つの処理室41、42、43、44が接続されている。また、共通搬送室20と、搬入搬送室10との間には、2つのロードロック室31及び32が設けられている。共通搬送室20と各々の処理室41、42、43、44との間には、各々ゲートバルブ61、62、63、64が設けられており、各々の処理室41、42、43、44は共通搬送室20と遮断することができる。また、共通搬送室20と各々のロードロック室31及び32との間には、各々ゲートバルブ65及び66が設けられており、各々のロードロック室31及び32と搬入搬送室10との間には、各々ゲートバルブ67及び68が設けられている。尚、共通搬送室20には不図示の真空ポンプが接続されており、真空排気可能であり、また、ロードロック室31及び32には不図示の真空ポンプが接続されており独立して排気可能である。
【0023】
更に、搬入搬送室10の2つのロードロック室31及び32が設けられている面の反対の面には、半導体ウエハを複数枚収納することのできるカセットが設置される3つの導入ポート12A、12B、12Cが連結されている。
【0024】
搬入搬送室10内には、半導体ウエハWを保持するため2つの搬送アーム16A及び16Bを有する搬入側搬送機構16が設けられており、搬送アーム16A及び16Bが伸縮、回転、昇降及び直線移動等の動作を行うことにより、導入ポート12A、12B、12Cにおけるカセット内に納められている半導体ウエハWを取り出し、ロードロック室31及び32のいずれかの内部まで、移動させることができる。また、搬入搬送室10内には、搬送アーム16A及び16Bに窒素ガスを吹きつけるため、窒素供給ノズル17が設けられている。
【0025】
共通搬送室20内には、半導体ウエハWを保持するため2つの搬送アーム80A及び80Bを有する搬送機構80が設けられており、搬送アーム80A又は80Bが伸縮動作及び回転動作等を行うことにより、半導体ウエハWを各々の処理室41、42、43、44間の移動、ロードロック室31又は32の内部から各々の処理室41、42、43、44への移動、各々の処理室41、42、43、44からロードロック室31又は32の内部に移動させることができる。
【0026】
具体的には、搬送アーム80A及び80Bにより、半導体ウエハWは、ロードロック室31又は32から各々の処理室41、42、43、44へ移動させることができ、各々の処理室41、42、43、44において、半導体ウエハWに対する処理が行われる。処理室41、42、43、44においては、各々個別に半導体ウエハWの処理が行われるため、搬送アーム80A及び80Bにより、処理室41、42、43、44間において半導体ウエハWを移動させて処理が行われる。半導体ウエハWにおける処理が終了した後は、半導体ウエハWは、搬送アーム80A又は80Bにより、処理室41、42、43、44からロードロック室31又は32に移動し、更に、搬入搬送室10における搬入側搬送機構16の搬送アーム16A又は16Bにより、搬送ポート12A、12B、12Cにおけるカセット内に、基板処理が終了した半導体ウエハWが収納される。また、共通搬送室20内には、搬送アーム80A及び80Bに窒素ガスを吹きつけるため、窒素供給ノズル27が設けられている。
【0027】
また、搬入側搬送機構16における搬送アーム16A又は16Bの動作、搬送機構80における搬送アーム80A又は80Bの動作、処理室41、42、43、44における半導体ウエハの処理、ゲートバルブ61、62、63、64、65、66、67、68、ロードロック室31又は32の排気等の制御は、制御部50において行われる。また、制御部50により、搬送アーム16A又は16B、搬送アーム80A及び80Bにおける静電チャックのための電極に所定の電圧を印加する制御も行われる。
【0028】
次に、図2及び図3に基づき、本実施の形態における搬送アーム80Aについて説明する。図3は、図2における破線3A−3Bにおいて切断した断面拡大図である。搬送アーム80Aは二股に分かれた半導体ウエハWが載置されるU字状の先端部分を有している。搬送アーム80Aの本体部81は、酸化アルミニウム等のセラミックス材料により形成されており、半導体ウエハWを載置するためのU字状の先端部分を有している。このU字状の先端部分には、静電チャックを行うための金属材料により形成される電極82及び83を有しており、電極82及び83の表面には、ポリイミド等からなる絶縁体層84及び85が形成されている。また、搬送アーム80Aにおける本体部81の半導体ウエハWの吸着面側には、シリコン化合物を含有するシリコン系ゴムからなるOリング86が設けられており、半導体ウエハWは、本体部81と直接接触することがないよう構成されている。尚、静電チャックは、電極82及び83の表面には、ポリイミド等からなる絶縁体層84及び85からなる静電チャック部87において行われる。また、搬送アーム80B及び、搬入側搬送機構16における搬送アーム16A及び16Bについても同様の構成となっている。尚、搬送アーム80A及び80Bに付着しているコンタミ等が窒素ガスにより除去される位置は、各装置に設けられている不図示の排気口付近、処理室41、42、43、44からリトラクトした位置、リーク等における窒素ガス供給口の近傍である。
【0029】
(基板処理装置の制御方法)
次に、本実施の形態における基板処理装置の制御方法について説明する。図4は、本実施の形態における基板処理装置の制御方法のフローチャートである。
【0030】
搬送アーム80Aは、半導体ウエハWの静電チャックを繰り返し行うものであるため、絶縁体層84及び85は僅かに帯電しており、図5に示すように電極82及び83に電圧が印加されていない状態(0Vの電圧が印加されている状態)においても、異物となる負に帯電したコンタミ91及び正に帯電したコンタミ92が、絶縁体層84及び85の表面に付着した状態となっている。
【0031】
最初に、ステップ102(S102)において、負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92が付着している搬送アーム80Aに窒素ガスを吹き付ける。具体的には、図6に示すように、窒素供給ノズル27より窒素ガスを供給し、搬送アーム80Aの上方から搬送アーム80AのU字状の先端部分に窒素ガスを吹きつける(ガス供給工程)。
【0032】
次に、ステップ104(S104)において、絶縁体層84及び85の表面における帯電している極性と逆の極性となるように、即ち、帯電しているコンタミ91及び92の電荷の極性と同じ極性の電圧を電極82及び83に印加する(電圧印加工程)。具体的には、図7に示すように、搬送アーム80Aにおいて、電極82に負の電圧を印加し、電極83に正の電圧を印加する。
【0033】
電極82に負の電圧を印加することにより、搬送アーム80Aの絶縁体層84の表面側は負となり、絶縁体層84の表面に付着している負に帯電しているコンタミ91は、電気的な力により反発し、搬送アーム80Aの絶縁体層84の表面より脱離する。搬送アーム80Aの表面には、窒素供給ノズル27より、窒素ガスが吹きつけられており、絶縁体層84の表面より脱離した負に帯電しているコンタミ91は、窒素供給ノズル27より供給される窒素ガスの流れに乗り、除去される。
【0034】
同様に、電極83に正の電圧を印加することにより、搬送アーム80Aの絶縁体層85の表面側は正となり、絶縁体層85の表面に付着している正に帯電しているコンタミ92は、電気的な力により反発し、搬送アーム80Aの絶縁体層85の表面より脱離する。搬送アーム80Aの表面には、窒素供給ノズル27より、窒素ガスが吹きつけられており、絶縁体層85の表面より脱離した正に帯電しているコンタミ92は、窒素供給ノズル27より供給される窒素ガスの流れに乗り、除去される。
【0035】
以上、本実施の形態における基板処理装置の制御方法により、搬送アーム80Aの表面に付着している負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92を除去することができる。
【0036】
尚、上記説明においては、窒素供給ノズル27は搬送アーム80Aの上方(搬送アーム80Aの面方向に垂直な上方)より表面に供給する場合について説明したが、図8に示すように、窒素供給ノズル27は、搬送アーム80Aの側面側に設けた構成であってもよい。この場合においては、窒素供給ノズル27より供給された窒素ガスは搬送アーム80Aの面方向に沿って流れ、電圧を印加することにより搬送アーム80Aより脱離している負に帯電したコンタミ91及び正に帯電したコンタミ92は窒素ガスにより流され除去される。
【0037】
また、上記説明では、搬送アーム80Aについて詳しく説明したが、搬送アーム80Bについても同様であり、更には、搬入側搬送機構16における搬送アーム16A及び16Bについても、搬送アーム80Aと同様に搬送アーム16A及び16Bの表面に付着しているコンタミ等を窒素供給ノズル17により用いて除去することも可能である。
【0038】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、搬送アームを用いて半導体ウエハを搬送するいわゆる枚葉式の基板処理装置において、基板処理装置を構成するチャンバー(処理室、共通搬送室、ロードロック室、搬入搬送室)内のコンタミ等を除去することのできる搬送アームの洗浄方法及び基板処理装置の洗浄方法に関するものである。尚、本実施の形態における搬送アームの洗浄方法及び基板処理装置の洗浄方法は、第1の実施の形態において用いた基板処理装置を用いるものである。
【0039】
図9に基づき、本実施の形態における基板処理装置の制御方法について説明する。図10に示すように、搬送アーム80Aの電極82及び83に電圧が印加されていない状態であって、絶縁体層84及び85の表面にも残留している電荷が存在していない場合においては、搬送アーム80Aには、負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92は搬送アーム80Aには付着しておらず、チャンバー内を浮遊している。
【0040】
最初に、ステップ202(S202)において、電極82及び電極83に電圧を印加する(第1の電圧印加工程)。具体的には、図11に示すように、電極82には正の電圧を印加し、電極83には負の電圧を印加する。尚、この電圧の印加を順電圧の印加と表現する場合もある。電極82に正の電圧を印加することにより、絶縁体層84の表面側は正の電荷が帯電し、負に帯電しているコンタミ91が絶縁体層84の表面に付着する。また、電極83に負の電圧を印加することにより、絶縁体層85の表面側は負の電荷が帯電し、正に帯電しているコンタミ92が絶縁体層85の表面に付着する。
【0041】
次に、ステップ204(S204)において、負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92が付着している搬送アーム80Aに窒素ガスを吹き付ける(ガス供給工程)。具体的には、図12に示すように、窒素供給ノズル27より窒素ガスを供給し、搬送アーム80Aの上方から窒素ガスを吹きつける。
【0042】
次に、ステップ206(S206)において、窒素ガスが供給された状態のまま、絶縁体層84及び85の帯電している極性と逆の極性となるように、電極82及び83に電圧を印加する(第2の電圧印加工程)。具体的には、図13に示すように、搬送アーム80Aにおいてステップ202の場合とは、逆の極性の電圧を印加する。尚、この電圧の印加を逆電圧の印加と表現する場合もある。電極82に負の電圧が印加されることにより、搬送アーム80Aの絶縁体層84の表面側は負となり、絶縁体層84の表面に付着している負に帯電しているコンタミ91は、電気的な力により反発し、搬送アーム80Aの絶縁体層84の表面より脱離する。搬送アーム80Aの表面には、窒素供給ノズル27より、窒素ガスが吹きつけられており、絶縁体層84の表面より脱離した負に帯電しているコンタミ91は、窒素供給ノズル27より供給される窒素ガスの流れに乗り、チャンバー内より除去することができる。
【0043】
同様に、電極83に正の電圧が印加されることにより、搬送アーム80Aの絶縁体層85の表面側は正となり、絶縁体層85の表面に付着している正に帯電しているコンタミ92は、電気的な力により反発し、搬送アーム80Aの絶縁体層85の表面より脱離する。搬送アーム80Aの表面には、窒素供給ノズル27より、窒素ガスが吹きつけられており、絶縁体層85の表面より脱離した正に帯電しているコンタミ92は、窒素供給ノズル27より供給される窒素ガスの流れに乗り、チャンバー内より除去することができる。
【0044】
このようにして、搬送アーム80Aの周囲に浮遊している負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92を搬送アーム80Aの表面に一旦吸着させ、その後、窒素供給ノズル27により流し去ることにより、チャンバー内のコンタミを除去することができる。
【0045】
尚、上記説明においては、窒素供給ノズル27は搬送アーム80Aの上方(搬送アーム80Aの面方向に垂直な上方)より表面に供給する場合について説明したが、窒素供給ノズル27は、搬送アーム80Aの側面側に設けた構成であってもよい。また、第1の電圧印加工程において逆電圧を印加し、第2の電圧印加工程において順電圧を印加した場合であっても同様に、チャンバー内のコンタミを除去することができる。
【0046】
また、上記説明では、搬送アーム80Aについて詳しく説明したが、搬送アーム80Bについても同様であり、更には、搬入側搬送機構16における搬送アーム16A及び16Bについても、搬送アーム80Aと同様に搬送アーム16A及び16Bを用いて、窒素供給ノズル17によりコンタミ等を除去することができる。
【0047】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、特に、第2の実施の形態において、搬送アームを有しないチャンバー(処理室、ロードロック室)におけるコンタミを除去する方法に関するものである。尚、本実施の形態における基板処理装置の洗浄方法は、第1の実施の形態において用いた基板処理装置を用いるものである。
【0048】
図14に基づき、本実施の形態における基板処理装置の制御方法について説明する。
【0049】
最初に、ステップ302(S302)において、ゲートバルブ61を開き搬送アーム80AのU字状の先端部分を共通搬送室20より処理室41に挿入する(搬送アーム挿入工程)。
【0050】
次に、ステップ304(S304)において、電極82及び電極83に電圧を印加する(第1の電圧印加工程)。具体的には、電極82には正の電圧を印加し、電極83には負の電圧を印加する。尚、この電圧の印加を順電圧の印加と表現する場合もある。電極82に正の電圧が印加されることにより、絶縁体層84の表面側は正の電荷が帯電し、負に帯電しているコンタミ91が絶縁体層84の表面に付着する。また、電極83に負の電圧が印加されることにより、絶縁体層85の表面側は負の電荷が帯電し、正に帯電しているコンタミ92が絶縁体層85の表面に付着する。
【0051】
次に、ステップ306(S306)において、搬送アーム80AのU字状の先端部分を処理室41より共通搬送室20内に戻し、ゲートバルブ61を閉じる(搬送アーム戻し工程)。
【0052】
次に、ステップ308(S308)において、負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92が付着している搬送アーム80Aに窒素ガスを吹き付ける。具体的には、窒素供給ノズル27より窒素ガスを供給し、搬送アーム80Aの上方から搬送アーム80AのU字状の先端部分に窒素ガスを吹きつける(ガス供給工程)。
【0053】
次に、ステップ310(S310)において、窒素ガスが供給された状態のまま、絶縁体層84及び85の帯電している極性と逆の極性となるように、電極82及び83に電圧を印加する。即ち、ステップ304において印加される電圧と逆の極性の電圧を印加する(第2の電圧印加工程)。尚、この電圧の印加を逆電圧の印加と表現する場合もある。これにより搬送アーム80Aの表面に付着している負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92を搬送アーム80Aより脱離させ、窒素ガスノズル27より供給される窒素ガスにより除去することができる。
【0054】
以上の工程により、処理室41内における負に帯電しているコンタミ91及び正に帯電しているコンタミ92を除去することができる。
【0055】
尚、上記説明においては、窒素供給ノズル27は搬送アーム80Aの上方(搬送アーム80Aの面方向に垂直な上方)より表面に供給する場合について説明したが、窒素供給ノズル27は、搬送アーム80Aの側面側に設けた構成であってもよい。また、第1の電圧印加工程において逆電圧を印加し、第2の電圧印加工程において順電圧を印加した場合であっても同様に、チャンバー内のコンタミを除去することができる。
【0056】
また、上記説明では、搬送アーム80Aについて詳しく説明したが、搬送アーム80Bについても同様であり、更に、処理室42、処理室43、処理室44、ロードロック室31及びロードロック室32についても同様の方法によりコンタミ等を除去することができる。また、搬入側搬送機構16における搬送アーム16A及び16Bについても、搬送アーム80Aと同様に、搬送アーム16A及び16Bを用いてコンタミを除去することができ、ロードロック室31及びロードロック室32におけるコンタミの除去には、搬送アーム16A及び16Bを用いることも可能である。尚、上記以外の内容については、第2の実施の形態と同様である。
【0057】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0058】
10 搬入搬送室
12A、12B、12C 導入ポート
16 搬入側搬送機構
16A、16B 搬送アーム
17 窒素供給ノズル
20 共通搬送室
27 窒素供給ノズル
31、32 ロードロック室
41、42、43、44 処理室
50 制御部
61、62、63、64、65、66、67、68 ゲートバルブ
80 搬送機構
80A、80B 搬送アーム
81 本体部
82、83 電極
84、85 絶縁体層
86 Oリング
87 静電チャック部
W 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームの洗浄方法であって、
前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合において、
前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加工程を有し、
前記搬送アームに付着している異物を除去することを特徴とする搬送アームの洗浄方法。
【請求項2】
前記電圧印加工程の前に、前記搬送アームの静電チャックに向けてガスを供給するガス供給工程を有し、
前記ガスを供給している状態において、前記電圧印加工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の搬送アームの洗浄方法。
【請求項3】
基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームの洗浄方法において、
前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の一方に正の電圧を印加し、他方に負の電圧を印加する第1の電圧印加工程と、
前記第1の電圧印加工程の後、前記静電チャックの電極の一方に負の電圧を印加し、他方に正の電圧を印加する第2の電圧印加工程と、
を有し、前記搬送アーム近傍の異物を除去することを特徴とする搬送アームの洗浄方法。
【請求項4】
前記第1の電圧印加工程の後、前記搬送アームの静電チャックに向けてガスを供給するガス供給工程を有し、
前記ガスを供給している状態で、前記第2の電圧印加工程を行うことを特徴とする請求項3に記載の搬送アームの洗浄方法。
【請求項5】
前記ガス供給工程において供給されるガスは、窒素ガスであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の搬送アームの洗浄方法。
【請求項6】
前記ガス供給工程は、ガス供給ノズルにより供給されるものであって、
前記ガス供給ノズルは、前記搬送アームの静電チャックが設けられている面に対向している面、又は、前記搬送アームの前記静電チャックが設けられている面の側面に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の搬送アームの洗浄方法。
【請求項7】
基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室内に設けられ、前記処理室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法であって、
前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合において、
前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加工程を有し、
前記搬送アームに付着している異物を除去することを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項8】
基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室と接続されたロードロック室と、前記搬送室内に設けられ、前記処理室及びロードロック室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法であって、
前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合において、
前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加工程を有し、
前記搬送アームに付着している異物を除去することを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項9】
前記電圧印加工程の前に、前記搬送アームの静電チャックに向けてガスを供給するガス供給工程を有し、
前記ガスを供給している状態で、前記電圧印加工程を行うことを特徴とする請求項7または8に記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項10】
基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室内に設けられた前記処理室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法において、
前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の一方に正の電圧を印加し、他方に負の電圧を印加する第1の電圧印加工程と、
前記第1の電圧印加工程の後、前記静電チャックの電極の一方に負の電圧を印加し、他方に正の電圧を印加する第2の電圧印加工程と、
を有し、前記処理室又は前記搬送室において帯電している異物を除去することを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項11】
基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室と接続されたロードロック室と、前記搬送室内に設けられ、前記処理室及びロードロック室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法であって、
前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の一方に正の電圧を印加し、他方に負の電圧を印加する第1の電圧印加工程と、
前記第1の電圧印加工程の後、前記静電チャックの電極の一方に負の電圧を印加し、他方に正の電圧を印加する第2の電圧印加工程と、
を有し、前記処理室又は前記搬送室において帯電している異物を除去することを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項12】
前記第1の電圧印加工程の後、前記第2の電圧印加工程の前に、前記搬送アームの静電チャックに向けてガスを供給するガス供給工程を有し、
前記ガスを供給している状態で、前記第2の電圧印加工程を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項13】
基板の処理を行う複数の処理室と、前記複数の処理室が接続された搬送室と、前記搬送室内に設けられた前記処理室間において基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームとを有する基板処理装置の洗浄方法において、
前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記搬送室より前記処理室に前記搬送アームの静電チャックを有する部分を挿入する搬送アーム挿入工程と、
前記静電チャックの電極に電圧を印加する電圧印加工程と、
前記搬送アーム挿入工程及び前記電圧印加工程の後、前記搬送アームの静電チャックを有する部分を前記搬送室内に戻す搬送アーム戻し工程と、
を有し、前記処理室において帯電している異物を除去することを特徴とする基板処理装置の洗浄方法。
【請求項14】
前記搬送アーム戻し工程の後、前記搬送アームの静電チャックに向けてガスを供給するガス供給工程を有することを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項15】
前記ガス供給工程において供給されるガスは、窒素ガスであることを特徴とする請求項7から14のいずれかに記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項16】
前記ガス供給工程は、ガス供給ノズルにより供給されるものであって、
前記ガス供給ノズルは、前記搬送アームの静電チャックが設けられている面に対向している面、又は、前記搬送アームの前記静電チャックが設けられている面の側面に設けられていることを特徴とする請求項7から15のいずれかに記載の基板処理装置の洗浄方法。
【請求項17】
基板の搬送を行うための静電チャックを有する搬送アームを有する基板処理装置において、
前記搬送アームに帯電している異物が付着している場合に、前記搬送アームに前記基板が載置されていない状態で、前記静電チャックの電極の各々に帯電している異物の電荷の極性と同じ極性の電圧を印加することにより、前記搬送アームに付着している異物を除去する制御を行う制御部を有することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−99156(P2011−99156A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256300(P2009−256300)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】