説明

搬送システム

【課題】 高周波電源設備の電力供給能力を有効に活用することができる搬送システムを提供する。
【解決手段】 上位コントローラ6からの運行指令により、運行制御装置5は、搬送車の昇降動作を指示する際に、記憶部53に記憶してある換算情報(532)に基づいて、各搬送車で消費する消費電力の合計を合計搬送車換算値として算出し、算出した合計搬送車換算値と許容電力に対応する許容換算値とを比較する。合計搬送車換算値が許容換算値よりも小さい場合には、運行制御装置5は、搬送車へ昇行指示する。合計搬送車換算値が許容換算値よりも小さくない場合には、運行制御装置5は、搬送車へ昇行指示を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電線から非接触で受電して前記給電線路に沿って搬送物を搬送する搬送車と、該搬送車の運行を制御する運行制御装置とを備えた搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給電線に沿って搬送物を搬送する搬送システムは、工場内又は倉庫内において広く用いられており、走行用のレールに沿って設けられた給電線を介して搬送車に搭載した走行用のモータ又は搬送物の積み下ろし装置等の負荷に電力を供給している。電力の供給には、搬送車に設けた受電コイルを給電線から非接触の状態で給電線に対向して配置し、高周波電源設備から給電線に流れる交流電流により発生する誘導起電力を利用している。搬送システムの高周波電源設備の大型化を防ぐためには、高周波電源設備の許容電力の範囲を超えないように負荷を調整する必要がある。
【0003】
例えば、各搬送車に加速を許可された状態と、加速を禁止された状態とを記憶させ、加速時には他の搬送車に対して加速禁止要求信号を送信して加速禁止状態に移行させ、加速終了時には、他の搬送車に対して加速禁止解除信号を送信することにより、比較的小さな電源設備で、同時に多数の搬送車を走行させるための有軌道台車システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、電源に対する負荷の量を検出する手段を設け、1つの軌道を走行する搬送車の負荷の量が設定量を超えた場合に、新たな搬送車が前記軌道に侵入しないように運行制御手段を備えた搬送設備が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3513857号公報
【特許文献2】特許第3327367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の例にあっては、同時に加速する搬送車の台数を制限するものであり、また、特許文献2の例にあっては、電源に対する負荷の量を検出し、又は搬送車の台数を検出して、搬送車の進入を制御するものであり、搬送車が搬送物を昇降した場合の消費電力は考慮されていない。搬送物の昇降機能を有する搬送車では、搬送物の昇行時に電力を最も消費することから、搬送物を昇行する搬送車の台数が増加した場合には、高周波電源設備の許容電力を超え、搬送システムが過負荷状態に陥り、高周波電源設備からの電力供給が停止するという問題があった。また、過負荷状態を避けるためには、高周波電源設備の許容電力を増加させる必要があり、高周波電源設備が大型化するという問題もあった。さらに、走行中の搬送車との通信を行うため、通信装置が複雑化し、簡便な構成の通信装置を用いることが望まれていた。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、搬送車の動作状態に応じて算出した各搬送車の消費電力の合計と高周波電源設備の許容電力とを比較し、比較した結果に基づいて搬送車の昇降動作を行なうようにしてあることにより、従来に比較して、高周波電源設備の過負荷状態を防止するとともに、高周波電源設備の電力供給能力を有効に活用することができる搬送システムを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、搬送車が、搬送物を移載するためのステーションで停止した場合に、前記搬送車と運行制御装置との間で、搬送車の運行に関する信号を送受信するようにしてあることにより、簡便な構成で前記搬送車と通信することができる搬送システムを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、搬送物の有無、又は重量に基づいて消費電力の合計を算出するようにしてあることにより、さらに高周波電源設備の電力供給能力を有効に活用することができる搬送システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、搬送車を加速する加速時間が経過した場合に、消費電力の合計から加速時の消費電力を減算するようにしてあることにより、さらに昇降可能な搬送車の台数を最大化することができる搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る搬送システムは、給電線から非接触で受電して前記給電線に沿って搬送物を搬送する複数の搬送車と、該搬送車の運行を制御する運行制御装置とを備えた搬送システムにおいて、前記搬送車は、受電した電力を用いて搬送車を走行させる走行手段と、 搬送物を昇降する昇降手段とを備え、前記運行制御装置は、各搬送車の動作状態に応じた消費電力を記憶している記憶手段と、各搬送車の消費電力の合計を算出する算出手段と、該算出手段が算出した消費電力の合計と許容電力とを比較する比較手段とを備え、該比較手段が比較した結果に基づいて、前記搬送車の昇降動作を行うようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る搬送システムは、第1発明において、前記搬送車及び運行制御装置夫々は、前記搬送車と運行制御装置との間で前記搬送車の運行に関する信号を送受信する送受信手段を備え、前記送受信手段は、前記搬送車が、搬送物を移載するために給電線に沿って複数設けられたステーションで停止した場合又は前記ステーションを通過した場合に、前記信号を送受信するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る搬送システムは、第1発明又は第2発明において、前記記憶手段は、搬送物の有無、又は重量を示す搬送物情報を記憶してあり、前記算出手段は、前記搬送物情報に基づいて消費電力の合計を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る搬送システムは、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記記憶手段は、前記搬送車を加速するための加速時間を記憶してあり、前記算出手段は、前記搬送車を加速する加速時間が経過した場合に、消費電力の合計から加速時の消費電力を減算するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る搬送システムは、第2発明において、前記搬送車は、搬送物の有無、又は重量を検出する検出手段を備え、前記搬送車の送受信手段は、前記検出手段が検出した検出結果を前記運行制御装置へ送信するようにしてあり、前記運行制御装置の送受信手段は、送信された検出結果を受信するようにしてあり、前記算出手段は、受信した検出結果に基づいて消費電力の合計を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
第1発明にあっては、算出手段は、搬送車の動作状態(昇行又は下降)に応じて前記搬送車で消費する消費電力の合計を算出する。一の搬送車に対して搬送物の昇降動作指示が出力された場合に、前記算出手段は、各搬送車の消費電力の合計を算出し、算出した消費電力の合計と許容電力とを比較する。前記消費電力の合計が許容電力より小さい場合には、前記一の搬送車に対して昇降動作指示を行う。前記消費電力の合計が許容電力より大きい場合には、前記一の搬送車に対して昇降動作指示を行わない。
【0016】
第2発明にあっては、送受信手段は、搬送車がステーションで停止した場合又は前記ステーションを通過した場合に、前記搬送車と運行制御装置との間で、搬送車の運行に関する信号の送受信を行う。
【0017】
第3発明又は第5発明にあっては、前記算出手段は、搬送物の有無、又は重量に基づいて、消費電力の合計を算出する。
【0018】
第4発明にあっては、搬送車を加速する加速時間が経過した時点で、加速に必要な消費電力が不要になる。前記算出手段は、加速時間経過後の加速時の消費電力を減算することにより、消費電力を算出する。
【発明の効果】
【0019】
第1発明にあっては、搬送車の動作状態に応じた消費電力が算出され、算出した各搬送車の消費電力の合計が許容電力を超えないように搬送車の昇降動作を制御することにより、昇降機能を有する搬送車を用いる場合であっても、消費電力が高周波電源設備の許容電力を超えることを未然に防ぎ、電力供給が停止することを防止することができる。また、高周波電源設備の許容電力の範囲内で、搬送車の昇降動作を行なうことができ、高周波電源設備の電力供給能力を有効に活用することができる。
【0020】
第2発明にあっては、搬送車がステーションで停止した場合又は前記ステーションを通過した場合に、前記搬送車と運行制御装置との間で定点通信を行うことにより、搬送車が走行中に通信を行うための通信機能が不要となり、従来に比較してより簡便な構成で通信をすることができる。
【0021】
第3発明又は第5発明にあっては、搬送物の有無、又は重量に基づいて搬送車の消費電力の合計を算出することにより、搬送物の有無、又は重量に応じた消費電力の差異を算出して、搬送車の昇降動作を一層正確に制御することができ、さらに高周波電源設備の電力供給能力を有効に活用することができる。
【0022】
第4発明にあっては、加速終了後の搬送車の消費電力が減少することを算出することにより、余剰の電力を他の搬送車の昇降動作に使用することができ、昇降可能な搬送車の台数を最大化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る搬送システムのレイアウトを示す説明図である。図において、1は天井に敷設した給電線路であり、給電線路1の内側に給電線路1に沿って給電線が配置してあり、該給電線には、高周波電源2から供給される電力により高周波電流を流してある。
【0024】
給電線路1に沿って複数の搬送車3、3、…が巡回走行する。搬送車3、3、…は、受電コイルを備え、前記給電線から非接触で受電する。搬送車3、3、…は、搬送物を昇降するための昇降部、後述する運行制御装置5との通信を行う通信部などを備えている。また、給電線路1には、給電線路1に沿って所定の位置に搬送物を移載するための複数のステーション4、4、…を配置してある。搬送車3、3、…が給電線路1を走行することにより、搬送物を所定のステーション4、4、…間で搬送する。
【0025】
上位コントローラ6は、搬送物を何れのステーション間で搬送するかを指示する搬送指令を運行制御装置5へ出力する。
【0026】
運行制御装置5は、ステーション4、4、…毎に光通信を行う通信部を備え、ステーション4、4、…で停止又は通過する搬送車3、3、…との間で定点通信を行うことにより、上位コントローラ6からの搬送指令に基づいて、搬送車3、3、…の走行、昇降動作などの運行を制御する。
【0027】
図2は本発明に係る搬送システムの構成を示す説明図である。給電線路1の内側には給電線11、11を配置してあり、給電線11、11には高周波電源2を接続してある。給電線路1には、搬送車3の走行車輪(図示せず)を回転自在に取り付けてある。これにより、搬送車3は、給電線路1に沿って走行することができる。
【0028】
搬送車3の上側には、給電線路1を挟んで受電コイル32、32、32、32を対向して取り付けてある。受電コイル32、32、32、32は、給電線11、11を流れる高周波電流に基づく電磁誘導を利用して電力を受電する。
【0029】
搬送車3は、受電コイル32、32、32、32の下側に搬送物7を収納するクリーンユニット33を備え、クリーンユニット33の下面には開閉自在のシャッター37を設けてある。クリーンユニット33の内部には、昇降自在の昇降部35を設けてある。搬送車3の略中央部には、昇降部35を昇降、旋回、又はシフトさせるための駆動ユニット34を備え、駆動ユニット34は、シャッター37を開いた場合に、クリーンユニット下部から昇降部35を昇降させるとともに、旋回又はシフトさせる。
【0030】
昇降部35の下側端部には、搬送物7を着脱するグリッパ36を取り付けてある。搬送車3は、受電した電力により、搬送車3の走行、昇降部35の昇降動作などを行なう。
【0031】
搬送車3の上側には、運行制御装置5との間で光通信(例えば、赤外線通信)を行うための通信部31を設けてある。通信部31は、搬送車3がステーション4で停止した位置において、又はステーションを通過する時点で、運行制御装置5との間で通信を行う。運行制御装置5は、上位コントローラ6から出力される運行指令を受け取る。
【0032】
運行制御装置5は、搬送車3との通信を行う通信部51、51、…と、上位コントローラ6から出力される搬送車毎の運行指令に基づいて作成した搬送情報531、搬送車3の動作状態に応じた消費電力を搬送車3の台数に換算した換算情報532、搬送車3、3、…の運行状況を示す運行情報533、搬送車3の加速時間、搬送システムでの許容電力を搬送車3の台数に換算した許容換算値などを記憶する記憶部53、上位コントローラ6からの運行指令に基づいて搬送車3、3、…の動作を制御する制御部54を備えている。
【0033】
通信部51、51、…はステーション4、4、…毎に設けられ、搬送車3がステーション4で停止した位置又は通過する時点において、搬送車3の通信部31と定点通信を行うように配置されている。これにより、走行中に通信を行う場合に必要な電波の送受信部が不要になる。
【0034】
図3は搬送情報531の例を示す説明図である。図に示すように、搬送情報531は、搬送車番号、搬送元ステーション、搬送先ステーション、搬送物の重量を示す各欄から構成してある。搬送車番号は、給電線路1を走行する各搬送車を特定するものである。搬送元ステーションは、搬送する搬送物が載置してあるステーションを示し、搬送先ステーションは、前記搬送物を搬送する搬送先のステーションを示す。搬送物の重量は、前記搬送物の重量を大、中、小に区分して示している。例えば、搬送車番号01の搬送車に対する運行指令は、搬送物(重量は大分類)をステーションAからステーションBまで搬送することである。具体的には、ステーションAで搬送物を積んで昇行し、ステーションBまで走行し、ステーションBで搬送物を下降することである。
【0035】
図4は換算情報532の例を示す説明図である。図に示すように、換算情報532は、搬送車3の動作状態、搬送車3の消費電力を搬送車3の台数に換算した搬送車換算値の各欄から構成してある。
【0036】
搬送車3の消費電力は、動作状態に応じて異なり、搬送物を積んだ状態での昇行動作、搬送物を積まない状態での昇行動作、搬送車3の加速動作、搬送物を積んだ状態での下降動作などに応じて、消費電力が減少する。また、搬送物の重量が小さいほど消費電力は減少する。重量の大きい搬送物を積んだ状態での昇行動作が、最も消費電力が大きいことから、換算情報531は、重量の大きい搬送物を積んだ状態での昇行動作における消費電力の搬送車換算値を1.0として、他の動作状態における消費電力の搬送車換算値を示している。例えば、重量小の搬送物を積んだ状態でも昇行動作においては、搬送車換算値は、0.6であり、搬送物を積まない状態での昇行動作においては、搬送車換算値は、0.5である。
【0037】
図5は運行情報533の例を示す説明図である。図に示すように、運行情報533は、搬送車番号、搬送車3の動作状態、搬送車3の搬送車換算値、各搬送車3、3、…の搬送車換算値の合計の各欄から構成してある。
【0038】
例えば、搬送車番号01の搬送車は、昇行動作中で消費電力の搬送車換算値は1.0(すなわち、重量大の搬送物を昇行中)であり、搬送車番号03の搬送車は、加速中で消費電力の搬送車換算値は0.3である。各搬送車の消費電力の搬送車換算値の合計は15.0である。
【0039】
次に本発明に係る搬送システムの昇行処理について説明する。図6は搬送システムの昇行処理手順を示すフローチャートである。運行制御装置5は、一のステーションにおける昇行指令の有無を判定する(S10)。上位コントローラ6から出力される運行指令に基づいて、昇行指令が無いと判定した場合は(S10でNO)、運行制御装置5は、昇降指令の判定が必要な他のステーションの有無を判定する(S11)。
【0040】
他のステーションが有る場合は(S11でYES)、運行制御装置5は、ステップS10以降の処理を続ける。他のステーションが無い場合は(S11でNO)、運行制御装置5は、処理を終了する。
【0041】
ステップS10において、昇行指令が有ると判定した場合は(S10でYES)、運行制御装置5は、昇行する搬送物の有無を判定する(S12)。搬送物が無いと判定した場合は(S12で無)、搬送車の搬送車換算値を0.5に設定する(S13)。
【0042】
ステップS12において、搬送物が有ると判定した場合は(S12で有)、運行制御装置5は、搬送物の重量(大、中、小)を判定する(S14)。運行制御装置5は、搬送物の重量が大であると判定した場合は(S14で大)、搬送車の搬送車換算値を1.0に設定し(S15)、搬送物の重量が中であると判定した場合は(S14で中)、搬送車の搬送車換算値を0.8に設定し(S16)、搬送物の重量が小であると判定した場合は(S14で小)、搬送車の搬送車換算値を0.6に設定する(S17)。
【0043】
運行制御装置5は、ステップS13、S15、S16、又はS17で設定された搬送車換算値を運行情報533に加算し、各搬送車の合計搬送車換算値を算出する(S18)。運行制御装置5は、算出した合計搬送車換算値が許容換算値よりも小さいか否かを判定し(S19)、合計搬送車換算値が許容換算値よりも小さくない場合は(S19でNO)、
ステップS18以降の処理を続け、合計搬送車換算値が許容換算値よりも小さくなるまで、ステップS18、S19の処理を続ける。
【0044】
ステップS19で、合計搬送車換算値が許容換算値よりも小さい場合は(S19でYES)、運行制御装置5は、搬送車に対して昇行動作を行なうための昇行指示を送信し(S20)、搬送車からの昇行完了信号を受信した場合に運行情報を更新する(S21)。運行制御装置5は、昇行指令の判定が必要な他のステーションの有無を判定し(S22)、他のステーションが有る場合は(S22でYES)、ステップS10以降の処理を続け、他のステーションが無い場合は(S22でNO)、処理を終了する。
【0045】
上述の例では、昇行動作について説明したが、下降動作についても同様である。下降指令の有無を判定し、下降する搬送物の有無、又は搬送物の重量を判定することにより、搬送車換算値を設定し、設定した搬送車換算値に基づいて合計搬送車換算値を算出し、算出した合計搬送車換算値と許容換算値との大小を判定することにより、搬送車に対する下降指示を行うことができる。
【0046】
以上説明したように、本発明にあっては、搬送車の昇降動作を指示する際に、各搬送車で消費する消費電力の合計を合計搬送車換算値として算出し、算出した合計搬送車換算値と許容電力に対応する許容換算値とを比較し、合計搬送車換算値が許容換算値よりも小さい場合には、搬送車へ昇降指示することにより、高周波電源の電力供給能力を有効に活用することができる。また、消費電力が高周波電源の許容電力を超えて、電力供給が停止することを防止することができる。
【0047】
また、搬送物の有無、搬送物の重量に応じて搬送車換算値を設定し、合計搬送車換算値を算出することにより、高周波電源設備の電力供給能力を有効に活用することができるとともに、昇降可能な搬送車の台数を最大化することができる。
【0048】
また、運行制御装置5と搬送車3、3、…とは、ステーション4、4、…の停止点において、又はステーション4、4、…を通過する時点において定点通信を行う構成であるため、搬送車が走行中に通信を行う場合に比較して、簡便な構成とすることができる。
【0049】
上述の実施の形態においては、上位コントローラ6からの運行指令に基づいて、運行制御装置5が搬送車を加速する場合に、予め記憶してある加速時間が経過した時点で、前記搬送車の搬送車換算値を0.3減算することもできる。これにより、昇降可能な搬送車の台数を最大化することができる。
【0050】
上述の実施の形態においては、搬送物の有無、搬送物の重量を搬送情報531に基づいて判定する構成であったが、これに限定されるものではなく、搬送車又はステーションに搬送物の有無、搬送物の重量を検出する検出手段を設ける構成でもよい。例えば、搬送物の有無の検出には、赤外線センサなどを設け、赤外線を搬送物に投光して反射光を検出することにより搬送物の有無を判断することができる。また、搬送物の重量の検出には、重量計を設けることができる。この場合は、搬送物を昇行する前に、グリッパ36で保持した際に搬送物の重量を測ることができる。なお、いずれの場合も、検出結果を運行制御装置5へ送信する。
【0051】
上述の実施の形態においては、給電線路を天井に敷設するものであったが、これに限定されるものではなく、地上に敷設する構成でもよい。
【0052】
上述の実施の形態においては、上位コントローラ6からの運行指令を運行制御装置5で受付ける構成であったが、上位コントローラ6を運行制御装置5に統合する構成であってもよい。
【0053】
上述の実施の形態においては、搬送物の重量は、大、中、小の如く離散値を用いる構成であったが、さらに多くの離散値を用いてもよいし、また連続値を用いる構成であってもよい。
【0054】
上述の実施の形態においては、1台の高周波電源2を用いる構成であったが、複数の高周波電源で給電範囲を分担する構成であってもよい。この場合、夫々の高周波電源の給電範囲の消費電力と、夫々の高周波電源の許容電力との比較をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る搬送システムのレイアウトを示す説明図である。
【図2】本発明に係る搬送システムの構成を示す説明図である。
【図3】搬送情報の例を示す説明図である。
【図4】換算情報の例を示す説明図である。
【図5】運行情報の例を示す説明図である。
【図6】搬送システムの昇行処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 給電線路
2 高周波電源
3 搬送車
4 ステーション
5 運行制御装置
6 上位コントローラ
7 搬送物
11 給電線
31、51 通信部
32 受電コイル
35 昇降部
53 記憶部
54 制御部
531 搬送情報
532 換算情報
533 運行情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電線から非接触で受電して前記給電線に沿って搬送物を搬送する複数の搬送車と、該搬送車の運行を制御する運行制御装置とを備えた搬送システムにおいて、
前記搬送車は、
受電した電力を用いて搬送車を走行させる走行手段と、
搬送物を昇降する昇降手段と
を備え、
前記運行制御装置は、
各搬送車の動作状態に応じた消費電力を記憶している記憶手段と、
各搬送車の消費電力の合計を算出する算出手段と、
該算出手段が算出した消費電力の合計と許容電力とを比較する比較手段と
を備え、
該比較手段が比較した結果に基づいて、前記搬送車の昇降動作を行うようにしてあることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記搬送車及び運行制御装置夫々は、
前記搬送車と運行制御装置との間で前記搬送車の運行に関する信号を送受信する送受信手段を備え、
前記送受信手段は、
前記搬送車が、搬送物を移載するために給電線に沿って複数設けられたステーションで停止した場合又は前記ステーションを通過した場合に、前記信号を送受信するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、
搬送物の有無、又は重量を示す搬送物情報を記憶してあり、
前記算出手段は、
前記搬送物情報に基づいて消費電力の合計を算出するようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、
前記搬送車を加速するための加速時間を記憶してあり、
前記算出手段は、
前記搬送車を加速する加速時間が経過した場合に、消費電力の合計から加速時の消費電力を減算するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送車は、
搬送物の有無、又は重量を検出する検出手段を備え、
前記搬送車の送受信手段は、
前記検出手段が検出した検出結果を前記運行制御装置へ送信するようにしてあり、
前記運行制御装置の送受信手段は、
送信された検出結果を受信するようにしてあり、
前記算出手段は、
受信した検出結果に基づいて消費電力の合計を算出するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の搬送システム。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−205884(P2006−205884A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20374(P2005−20374)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】