説明

新規グルコキナーゼ活性化薬およびその使用方法

グルコキナーゼ酵素の活性化薬、つまりは糖尿病および関連疾患の治療に有用である、構造:


を有する化合物(ここで、Qは:


であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は本明細書に記載されるとおりである)、または医薬的に許容されるその塩を提供する。上記化合物等を用いた糖尿病および関連疾患の治療方法もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコキナーゼ酵素の活性化薬であり、つまりは糖尿病の治療に有用である新規のアミド化合物、および該化合物を用いた糖尿病、とりわけII型糖尿病の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓β細胞および肝実質細胞に主に存在するグルコキナーゼ酵素(GK)は、グルコースの代謝における第一段階である、グルコースのグルコース-6-ホスフェートへの変換を触媒する。グルコキナーゼはまた、膵臓β細胞および肝実質細胞におけるグルコース代謝の律速酵素でもあり、それは全身のグルコースホメオスタシスにおいて重要な役割を担う。
【0003】
非特許文献1によって若年のII型(成人発症型)糖尿病(MODY-2)はグルコキナーゼ遺伝子の機能喪失型変異により引き起こされるという発見が報告され、それにより、グルコキナーゼがヒトにおいてグルコースセンサーとしても機能することが示唆される。従って、グルコキナーゼを活性化させることでグルコキナーゼセンサー系の感受性を高め、それによりインスリン分泌の増大をもたらす化合物は、高血糖症およびII型糖尿病の治療に有用である。
【0004】
グルコキナーゼ活性化薬は: 1)単離されたラットおよびヒト膵島からのインスリン放出におけるグルコースの効果、および2)単離、培養されたラット膵島における膵島グルコキナーゼのグルコース誘導、の亢進に有効であることが示されている(例えば、非特許文献2および非特許文献3)。糖尿病動物モデルの研究において、グルコキナーゼ活性化薬はインスリン放出を刺激し、グリコーゲン合成を亢進し、肝臓のグルコース産生を減少させることが、膵臓のクランプ研究(clamp study)で示されている。重要なことに、グルコキナーゼ活性化薬は、急性単回投与試験で、2型糖尿病の異なる標準的な動物モデル(例えばob/obマウス、db/dbマウスおよびZucker fa/faラット)において用量依存的に血糖値を下げることが示されており、経口グルコース負荷試験でも、正常なC57/BL6Jおよびob/obマウスの両者においてグルコース変動(excursion)を効果的に改善した(例えば、非特許文献3および非特許文献4)。
【0005】
グルコキナーゼ活性化薬はまた、II型糖尿病の慢性動物モデルにおいて、抗糖尿病効果も示している。例えば、ob/obマウスにおける9日間の試験で、グルコキナーゼ活性化薬は全体的なグルコースプロファイル(glucose profile)を改善するとともに、試験の最初と最後での経口グルコース負荷試験において同等の抗高血糖効果を示した(非特許文献4)。別の例では、慢性的な40週間の試験において、グルコキナーゼ活性化薬はグルコース不耐性の食餌誘導性肥満マウスにおける高血糖症の進行を防いだ。グルコキナーゼ活性化薬で処置した食餌誘導性肥満マウスは、試験の最後での経口グルコース負荷試験のグルコース変動において、対照群に比べて顕著な改善を示した(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Liag, Y. et al., (Biochem. J., 309:167-173 (1995))
【非特許文献2】Matschinsky, F.M. et al., Diabetes, 55:1 (2006)
【非特許文献3】Matschinsky, F.M. et al., eds., Glucokinase and Glycemic Disease, from Basics to Novel Therapeutics, Karger, publ., Ch. 6, pp. 360-378 (2004)
【非特許文献4】Fyfe, M.C. et al., Diabetologia, 50:1277 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、グルコキナーゼ酵素の活性化薬であり、つまりは糖尿病の治療に有用である新規のアミド化合物、および該化合物を用いた糖尿病、とりわけII型糖尿病の治療方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明の一態様によると、構造I:
【化1】

(式中、
Qは
【化2】

であるか、あるいは、
Qは-C(O)NR7R8であり、
すなわち、各々、
【化3】

である)
を有する化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいは医薬的に許容されるその塩またはプロドラッグエステルを提供する;
[上記式中、
該R1環はヘテロアリール環、単環式(5-もしくは6-員環)または二環式(全ての可能な5および6員環の組み合わせ)であり、カルボニル連結-環内炭素に隣接した窒素原子を含有し、N、OまたはSから選択される1から5個のさらなるヘテロ原子を適宜、およびR4またはR5から独立して選択される1または2個のさらなる置換基(それらは同一であるかまたは異なっていてよい)を適宜有しており、そして、置換基が該環のN原子に結合している場合、第四級窒素中心が形成されておらず;
R4およびR5は同一であるかまたは異なっており、独立して、H、アルキル、ハロゲン、CN、-C(O)NR7R8、-CO2R9、または-L-M-Qa-から選択され;
LはO、S、SO、またはNR9aであるか、あるいは非存在であり;
MはOH、NH2で適宜置換されたC1-4アルキル、またはC2-5アルキレンであるか、あるいは非存在であり;
Qaはハロゲン、-OR9b、-NR7R8、-CO2H、-CO2R9c、-C(O)NR7R8、CN、N-結合アミド(-NR7C(O)R8)、N-結合スルホンアミド(-NR9SO2R10)、N-結合カルバメート(-NR8CO2R10)、O-結合カルバメート(-OCONR7R8)、N-結合ウレア(-NR9C(O)NR7R8)、またはアリールもしくはヘテロアリール(両者ともVから選択される1個以上の基で適宜置換された)であり;
Vはハロゲン、-OR9、-NR7R8、-CO2H、-CO2R7、-C(O)NR7R8、CN、N-結合アミド(-NR7COR8)、N-結合スルホンアミド(-NR9SO2R10)、N-結合カルバメート(-NR8COOR10)、N-結合ウレア(-NR9CONR7R8)、またはスルホンアミド(-SO2NR7R8)であり、得られた基-L-M-Qa-は化学的に不安定な基でなく;
R6はH、OH、C1-6アルキル、ハロゲン、CN、-C(O)NH2またはカルボキシルであるか、あるいは非存在であり;
R7およびR8(各々、どの基の一部であっても)は同一であるかまたは異なっており、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択されるか、あるいはR7およびR8は一緒に環化して3-から7-員ヘテロ環を形成し;
R9およびR9c(各々、どの基の一部であっても)は独立して、H、アルキル、アリール、またはアリールアルキルから選択され;
R10(どの基の一部であっても)は独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアリールアルキルから選択され;
R2およびR3は同一であるかまたは異なっており、独立して、Y-Z-から選択され;
各-Z-は独立して、直結、または-O-、-N(R9)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、もしくは-C(O)-から選択されるリンカー原子、または式-(CH2)p-C(R11)2-(CH2)q-の基から選択され;
各Yは独立して、アリール-Z1-、ヘテロアリール-Z1、またはヘテロシクリル-Z1-から選択され、ここで該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは環窒素もしくは環炭素を介してZ1に結合しているか;あるいは、
Yは独立して、C3-7シクロアルキル-Z1-、C1-6アルキル-Z1-、C2-6-アルケニル-Z1-、C2-6-アルキニル-Z1-、-Z1-CH(CH3-aFa)2、または-Z1-(CH2)0-4CH3-aFaから選択され;
ここで各Yは独立して、最大3個のR12基により適宜置換されており;
各R12は独立して、ハロゲン、-CH3-aFa、CN、NO2、NH2、C1-6アルキル、OC1-6アルキル、-COOH、OH、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、-S-R10、-S(O)-R10、-SO2R9、-SO2NR7R8、-NR7R8、-CO2R9、-C(O)N7R8、N-結合アミド(-NR7C(O)R8)、N-結合スルホンアミド(-NR9SO2R10)、N-結合カルバメート(-NR8CO2R10)、O-結合カルバメート(-OCONR7R8)、N-結合ウレア(-NR9C(O)NR7R8)、-(CH2)p-PO(OR7)(OR8)、-(CH2)p-PO(OR7)R8、-(CH2)p-O-PO(OR7)R8、-(CH2)pO-PO-(R7)R8、-(CH2)p-P(O)R7R8、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルから選択され;
ここで、YまたはR12中の、各フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリル環は、ハロゲン、=O、=S、C1-6アルキル、-CH3-aFa、CN、NO2、NH2、-COOH、OH、C1-6アルキル、-OC1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-NR7aR8a、-C(O)NR7aR8a、N-結合アミド(-NR7aCOR8a)、N-結合スルホンアミド(-NR9aSO2R10a)、N-結合カルバメート(-NR8aCOOR10a)、N-結合ウレア(-NR9aCONR7aR8a)、スルホンアミド(-SO2NR7aR8a)、-(CH2)p-PO(OR7a)(OR8a)、-(CH2)p-PO(OR7a)R8a、-(CH2)p-O-PO(OR7a)R8a、-(CH2)pO-PO-(R7a)R8a、または-(CH2)p-P(O)R7aR8aにより適宜置換されており;
各-Z1-は独立して、直結、または-O-、-N(R9)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(O)-、もしくは式-(CH2)p-C(R11)2-(CH2)q-の基から選択される結合原子から選択され;
R11は独立して、水素、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、またはC2-4アルキル-O-C1-4アルキルから選択され;
各aは独立して、1、2、3からの整数であり;
pは独立して、0、1または2からの整数であり;
qは独立して、0、1または2からの整数であり;そして、
p+q<4であり;
R7aおよびR8aは同一であるかまたは異なっており、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルから選択されるか、あるいはR7aおよびR8aは一緒に環化して3-から7-員ヘテロシクロを形成し;
R9aおよびR9bは独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロアリールアルキルから選択され;そして、
R10aは、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアリールアルキルから選択される]。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語「から独立して選択される」とは、同一の分子における一回以上の同一の変数または置換基表記の使用を言い、各々のそのような使用は、例えば、
(1) R2およびR3の定義のように同一の分子内で1回以上用いられるY-Z(ここで、R2についてのY-Z-は、R3について記載のY-Z-と同一または異なっていてよく、独立している)か;
(2) 同一の分子内で1回以上用いられるR7および/またはR8 ;あるいは、
(3) 同一の分子内で1回以上用いられるR9および/またはR10
のように、互いに独立している。
【0010】
好ましくは、式Iの化合物において、
Qは1、2または3個のさらなるヘテロ原子(酸素、硫黄および/または窒素である)を適宜含むN-含有5-もしくは6-員単環式ヘテロアリール環であるR1環を有するか、あるいは、Qは1、2または3個のさらなるヘテロ原子(酸素、硫黄および/または窒素である)を適宜含むN-含有8-、9-もしくは10-員二環式ヘテロアリールであるR1環を有するか;あるいは、
Qは
【化4】

であり、好ましくは
【化5】

であり; そして、
R4およびR5は同一であるかまたは異なっており、好ましくは独立してH、アルキル、アリールアルキル、アルコキシカルボニルまたはカルボキシルから選択される。
【0011】
好ましいQヘテロアリール環の例としては、限定はされないが、
【化6】

が挙げられる。
【0012】
R2は好ましくはY-Z-であり、ここで、
Zは好ましくはOまたは結合であり;そして、
YはC1-6アルキル-Z1-(ここでZ1は結合である)、アリール-Z1-(ここでZ1は結合である)、ヘテロシクリル-Z1-(ここでZ1は結合である)か、またはヘテロアリール-Z1-(ここでZ1は結合である)である。
【0013】
好ましいR2基の例としては、限定はされないが、
【化7】

およびCF3が挙げられる。
【0014】
R3は好ましくはY-Z-(ここで、Zは結合であり、YはアリールZ1(Z1はOである))であり、好ましくは、
【化8】

である。
【0015】
R6は好ましくはHである。
【0016】
R1
【化9】

であり;
R2
【化10】

であり;そして、
R3
【化11】

である式Iの化合物が、より好ましい。
【0017】
本発明による好ましい化合物の例としては、限定はされないが、以下:
【化12】

が挙げられる。
【0018】
本発明の化合物はグルコキナーゼ酵素の活性を活性化または亢進する。それ故に、本発明の化合物は、グルコキナーゼの欠損に関連する多数の疾患または障害、例えば糖尿病および関連症状、糖尿病に関連する微小血管合併症、糖尿病に関連する大血管合併症、循環器疾患、メタボリックシンドロームおよびその構成症状(component condition)、ならびに他の疾患の治療に用いられ得る。本発明に従って、予防、阻害、または治療することができる、グルコキナーゼ酵素の活性における欠損に関連する疾患または障害の例としては、限定はされないが、糖尿病、高血糖症、耐糖能障害、インスリン耐性、高インスリン血症、網膜症、神経障害、腎障害、創傷治癒の遅延、アテローム性動脈硬化症もしくはその続発症、心機能の異常、心筋虚血、脳卒中、メタボリックシンドローム、高血圧症、肥満症、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、高LDL、非心虚血(non-cardiac ischemia)、感染症、癌、血管再狭窄、膵炎、神経変性疾患、脂質障害、認知障害もしくは認知症、骨疾患、HIVプロテアーゼ関連リポジストロフィー、または緑内障が挙げられる。
【0019】
本発明は、式Iの化合物、該化合物を用いた医薬組成物を提供し、さらに該化合物を用いる方法を提供する。とりわけ本発明は、治療上有効な量の式Iの化合物を、単独でまたは医薬的に許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。
【0020】
さらに、本発明によると、治療を必要とする哺乳動物(すなわち、ヒト)患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを特徴とする、グルコキナーゼ酵素の活性における欠損に関連する疾患もしくは障害(例えば上記および以降に記載)の進行または発症を、予防、抑制、または治療するための方法を提供する。
【0021】
本発明の化合物は、単独で、本発明の他の化合物と組み合わせて、または1つ以上の他の治療薬と組み合わせて用いることができる。
【0022】
さらに本発明は、治療を必要とする哺乳動物(すなわち、ヒト)患者に、治療上有効な量の式Iの化合物と別の式Iの化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬の組み合わせを投与することを特徴とする、上記および以降に記載の疾患を予防、抑制、または治療するための方法を提供する。
【0023】
別の実施態様において、本発明の化合物は実施例に例示された化合物から選択される。
【0024】
別の実施態様において、本発明は、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、医薬的に許容される担体および/または1つ以上の他の薬剤と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、グルコキナーゼ酵素の活性を亢進する方法であって、それを必要とする哺乳動物患者(例えば、ヒト患者)に、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、本発明の別の化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、グルコキナーゼ酵素の活性における欠損に関連する疾患もしくは障害の進行または発症を、予防、抑制、または治療するための方法であって、予防、抑制、または治療が必要な哺乳動物患者(例えば、ヒト患者)に、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、本発明の別の化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
【0027】
本発明によって予防、抑制、または治療することができるグルコキナーゼ酵素の活性における欠損に関連する疾患または障害の例としては、限定はされないが、上記の疾患または障害が挙げられる。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、糖尿病、高血糖症、肥満症、脂質異常症、高血圧症、および認知障害の進行または発症を、予防、抑制、または治療するための方法であって、予防、抑制、または治療が必要な哺乳動物患者(例えば、ヒト患者)に、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、本発明の別の化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
【0029】
さらに別の実施態様において、本発明は、糖尿病の進行または発症を、予防、抑制、または治療するための方法であって、予防、抑制、または治療が必要な哺乳動物患者(例えば、ヒト患者)に、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、本発明の別の化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
【0030】
さらに別の実施態様において、本発明は、高血糖症の進行または発症を、予防、抑制、または治療するための方法であって、予防、抑制、または治療が必要な哺乳動物患者(例えば、ヒト患者)に、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、本発明の別の化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
【0031】
別の実施態様において、本発明は、肥満症の進行または発症を、予防、抑制、または治療するための方法であって、予防、抑制、または治療が必要な哺乳動物患者(例えば、ヒト患者)に、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、本発明の別の化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
【0032】
一実施態様において、本発明は、脂質異常症の進行または発症を、予防、抑制、または治療するための方法であって、予防、抑制、または治療が必要な哺乳動物患者(例えば、ヒト患者)に、治療上有効な量の本発明の化合物を、単独で、あるいは適宜、本発明の別の化合物および/または少なくとも1つの他のタイプの治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
【0033】
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有し得る。非対称的に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離され得る。光学活性体を製造する方法(例えば、ラセミ体の分割による方法または光学活性な出発物質からの合成による方法)は、当分野で周知である。本明細書に記載の化合物にはまた、オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体も存在し得、全てのそのような安定な異性体が本発明において意図される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載され、異性体の混合物または分離された異性体として単離され得る。具体的な立体化学または異性体が特に示されない限り、構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体、および全ての幾何異性体が意図される。
【0034】
本明細書で用いる用語「置換された」とは、指定された原子または環上のいずれか1個以上の水素が、示された基から選択したもので置き換えられることを意味するが、ただし、指定された原子の通常の原子価(normal valency)を超えず、該置換により安定な化合物がもたらされる。置換基がケト(すなわち、=O)である場合、該原子上の2個の水素が置換される。
【0035】
いずれかの変数(例えば、R7および/またはR8)が、化合物のいずれかの構成成分または式において2回以上存在する場合、各々の定義はあらゆる他の場合のその定義から独立している。従って、例えば、基が0-2個のR7および/またはR8で置換されることが示される場合、該基は最大2個のR7および/またはR8基で適宜置換されていてよく、R7および/またはR8は各々、Raの定義から独立して選択される。また、置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0036】
置換基への結合が環内の2個の原子をつなぐ結合を横切って示される場合、そのような置換基は環上のいずれの原子にも結合し得る。置換基が所定の式の化合物の残りの部分に結合する際に介する原子を示すことなく、置換基が記載される場合、そのような置換基は該置換基におけるいずれの原子を介しても結合し得る。置換基および/または変数の組み合わせは、該組み合わせが安定な化合物をもたらす場合のみ許容される。
【0037】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「低級アルキル」、「アルキル」もしくは「アルカ(alk)」は、ノルマル鎖中に1から20個の炭素、好ましくは1から10個の炭素、より好ましくは1から8個の炭素を含有する直鎖および分枝鎖の炭化水素の両方を包含し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチル-ペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、その様々な分枝鎖異性体などが挙げられ、ならびにそのような基としては適宜、1から4個の置換基、例えばハロ(例えばF、Br、Cl、もしくはI、またはCF3)、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール(アリール)もしくはジアリール、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、アリールオキシアルキル、アルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールオキシアリール、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ハロアルキル、トリハロアルキル、および/またはアルキルチオ、ならびに(=O)、ORa、SRa、(=S)、-NRaRb、-N(アルキル)3+、-NRaSO2、-NRaSO2Rc、-SO2Rc-SO2NRaRb、-SO2NRaC(=O)Rb、SO3H、-PO(OH)2、-C(=O)Ra、-CO2Ra、-C(=O)NRaRb、-C(=O)(C1-4アルキレン)NRaRb、-C(=O)NRa(SO2)Rb、-CO2(C1-4アルキレン)NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaCO2Rb、-NRa(C1-4アルキレン)CO2Rb、=N-OH、=N-O-アルキルが含まれ、ここでRaおよびRbは同一であるかまたは異なっており、独立して、水素、アルキル、アルケニル、CO2H、CO2(アルキル)、C3-7シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、ナフチル、4から7員ヘテロシクロ、または5から6員ヘテロアリールから選択されるか、あるいは同一の窒素原子に結合する場合は一緒にヘテロシクロまたはヘテロアリールを形成してもよく、ならびにRcはRaまたはRbと同一の基から選択されるが水素ではない。水素以外の各RaおよびRb基、および各Rc基は適宜、Ra、Rb、および/またはRcのいずれの可能な炭素原子または窒素原子で結合した最大3個のさらなる置換基を適宜有し、該置換基は同一であるかまたは異なっており、独立して、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF3、O(C1-6アルキル)、OCF3、C(=O)H、C(=O)(C1-6アルキル)、CO2H、CO2(C1-6アルキル)、NHCO2(C1-6アルキル)、-S(C1-6アルキル)、-NH2、NH(C1-6アルキル)、N(C1-6アルキル)2、N(CH3)3+、SO2(C1-6アルキル)、C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、C(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2、C3-7シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ナフチル、4から7員ヘテロシクロ、または5から6員ヘテロアリールからなる群から選択される。置換アルキルがアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、またはヘテロアリール基で置換されている場合、該環系は以下に記載の通りであり、従って0、1、2、または3個の置換基を有していてよく、これもまた以下に記載の通りである。
【0038】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「シクロアルキル」は、1から3つの環を含有する飽和または部分不飽和(1または2個の二重結合を有する)環状炭化水素基(単環式アルキル、二環式アルキル(もしくはビシクロアルキル)、および三環式アルキルが含まれる)であって、その環を形成する計3から20個の炭素、好ましくは3から10個の炭素を含有し、アリールについて記載した通り1または2つの芳香環に縮合していてよいものを包含し、それには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシルおよびシクロドデシル、シクロヘキセニル、
【化13】

が含まれ、その基のいずれも、1から4個の置換基(例えばハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、オキソ、アシル、アリールカルボニルアミノ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、および/またはアルキルチオ、および/またはアルキルについての置換のいずれか)で適宜置換されていてよい。
【0039】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「低級アルケニル」もしくは「アルケニル」とは、ノルマル鎖中に1から6個の二重結合を含み、ノルマル鎖の炭素数が2から20個、好ましくは2から12個、より好ましくは1から8個の直鎖または分枝鎖ラジカル、例えばビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニル、4-デセニル、3-ウンデセニル、4-ドデセニル、4,8,12-テトラデカトリエチル、などを言い、それは、1から4個の置換基(すなわち、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アミノ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、シクロヘテロアルキル、アルカノイルアミノ、アルキルアミド、アリールカルボニル-アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、アルキルチオ、および/または本明細書に記載のアルキル置換基のいずれか)で適宜置換されていてよい。
【0040】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「低級アルキニル」もしくは「アルキニル」とは、ノルマル鎖中に1個の三重結合を含み、ノルマル鎖中の炭素数が2から20個、好ましくは2から12個、より好ましくは2から8個である、直鎖または分枝鎖ラジカル、例えば2-プロピニル、3-ブチニル、2-ブチニル、4-ペンチニル、3-ペンチニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、2-ヘプチニル、3-ヘプチニル、4-ヘプチニル、3-オクチニル、3-ノニニル、4-デシニル、3-ウンデシニル、4-ドデシニル、などを言い、それは、1から4個の置換基(すなわち、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アミノ、ヘテロアリール、シクロヘテロアルキル、ヒドロキシ、アルカノイルアミノ、アルキルアミド、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、および/またはアルキルチオ、および/または本明細書に記載のアルキル置換基のいずれか)で適宜置換されていてよい。
【0041】
上記のアルキル基が、2個の異なる炭素原子で他の基に結合する単結合を有する場合、「アルキレン」基と言い、「アルキル」について上記した通り適宜置換されていてよい。
【0042】
上記のアルケニル基およびアルキニル基が、各々、2個の異なる炭素原子で他の基に結合する単結合を有する場合、各々、「アルケニレン基」および「アルキニレン基」と言い、「アルケニル」および「アルキニル」について上記した通り適宜置換されていてよい。
【0043】
本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素ならびにCF3を言い、塩素またはフッ素が好ましい。
【0044】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「アリール」とは、環部分に6から10個の炭素を含有する単環式および二環式芳香族基(例えばフェニル、ビフェニルまたはナフチル(l-ナフチルおよび2-ナフチルを含む))を言い、炭素環もしくはヘテロ環(例えばアリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、またはシクロヘテロアルキル環)に縮合した1から3つのさらなる環、例えば、
【化14】

を適宜含み得る。
該アリール基は、可能な炭素原子を介して、1、2、または3個の置換基、例えば、水素、ハロ、ハロアルキル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキニル、シクロアルキル-アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシ、アリールチオ、アリールアゾ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、置換アミノ(ここで、該アミノは1または2個の置換基(アルキル、アリール、または定義に記載された他のアリール化合物のいずれかである)を含む)、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールチオアルキル、アルコキシアリールチオ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキル-アミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアミノ、またはアリールスルホンアミノカルボニル、ORa、SRa、(=S)、-NRaRb、-N(アルキル)3+、-NRaSO2、-NRaSO2Rc、-SO2Rc、-SO2NRaRb、-SO2NRaC(=O)Rb、SO3H、-PO(OH)2、-C(=O)Ra、-CO2Ra、-C(=O)NRaRb、-C(=O)(C1-4アルキレン)NRaRb、-C(=O)NRa(SO2)Rb、-CO2(C1-4アルキレン)NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaCO2Rb、または-NRa(C1-4アルキレン)CO2Rbで適宜置換されていてもよく、ここで、Ra、RbおよびRcは置換アルキル基について上記した通りであり、また同様に上記の通り適宜置換される。さらに、アリール、とりわけフェニル基に結合した2個の置換基は、一緒にさらなる環、例えば縮合環またはスピロ環(例えば、シクロペンチルもしくはシクロヘキシル、または縮合ヘテロシクロもしくは縮合ヘテロアリール)を形成し得る。アリールがさらなる環で置換されている(あるいはそれに縮合する第2の環を有する)場合、該環は同様に、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF3、O(C1-4アルキル)、OCF3、C(=O)H、C(=O)(C1-4アルキル)、CO2H、CO2(C1-4アルキル)、NHCO2(C1-4アルキル)、-S(C1-4アルキル)、-NH2、NH(C1-4アルキル)、N(C1-4アルキル)2、N(C1-4アルキル)3+、SO(C1-4アルキル)、C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、および/またはC(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2、および/または本明細書に記載のアルキル置換基のいずれかのうちの1から2個で適宜置換される。
【0045】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「低級アルコキシ」、「アルコキシ」、「アリールオキシ」または「アラルコキシ」には、酸素原子に連結した上記のアルキル基、アラルキル基、またはアリール基のいずれも含まれる。
【0046】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「アミノ」とは、1または2個の置換基(同一または異なっていてもよく、例えばアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、またはチオアルキルであってよい)で置換され得るアミノを言う。これらの置換基は、カルボン酸および/または上述したR3基もしくはR3についての置換基のいずれかで、さらに置換されていてよい。加えて、該アミノ置換基はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロ、トリフルオロメチル、またはヒドロキシで適宜置換された、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル、4-モルホリニル、4-チアモルホリニル、1-ピペラジニル、4-アルキル-1-ピペラジニル、4-アリールアルキル-1-ピペラジニル、4-ジアリールアルキル-1-ピペラジニル、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、または1-アゼピニルを形成してもよい。
【0047】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「低級アルキルチオ」、「アルキルチオ」、「アリールチオ」または「アラルキルチオ」は、硫黄原子に連結した上記のアルキル基、アラルキル基、またはアリール基のいずれをも含む。
【0048】
他に指示のない限り、本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「低級アルキルアミノ」、「アルキルアミノ」、「アリールアミノ」または「アリールアルキルアミノ」は、窒素原子に連結した上記のアルキル基、アリール基、またはアリールアルキルのいずれをも含む。
【0049】
単独でまたは別の基の一部として用いる用語「アシル」とは、有機ラジカルに連結したカルボニル基、より好ましくは、基C(=O)Re、ならびに二価の基-C(=O)-もしくは-C(=O)Re-(これらは有機ラジカルに連結する)を言う。該基Reは、本明細書に記載のアルキル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、置換アルキル、置換アルケニル、または置換アルキニル、あるいは適切な場合、対応する二価の基、例えばアルキレン、アルケニレンなどから選択することができる。
【0050】
用語「ヘテロシクロ」、「ヘテロ環の」、「ヘテロシクリル」または「シクロヘテロアルキル」とは、置換および無置換の非芳香族の3から7員単環式基、7から11員二環式基、および10から15員三環式基を言い、その中で該環の少なくとも1つは少なくとも1個のヘテロ原子(O、SまたはN)を有する(シクロヘテロアルキルまたはヘテロシクロアルキルとも言う)。ヘテロ原子を含有する該ヘテロシクロ基の各環は1又は2個の酸素原子もしくは硫黄原子および/または1から4個の窒素原子を含むことができるが、ただし、各環のヘテロ原子の総数は4以下であり、さらに、該環は少なくとも1個の炭素原子を含む。二環式基および三環式基を完成させる縮合環は、炭素原子のみを含んでいてよく、飽和、部分飽和、または不飽和であり得る。該窒素原子および硫黄原子は適宜酸化されていてよく、該窒素原子は適宜四級化されていてよい。該ヘテロシクロ基はいずれの可能な窒素原子または炭素原子で結合し得る。該ヘテロシクロ環は、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、ORa、SRa、(=S)、-NRaRb、-N(アルキル)3+、-NRaSO2、-NRaSO2Rc、-SO2Rc、-SO2NRaRb、-SO2NRaC(=O)Rb、SO3H、-PO(OH)2、-C(=O)Ra、-CO2Ra、-C(=O)NRaRb、-C(=O)(C1-4アルキレン)NRaRb、-C(=O)NRa(SO2)Rb、-CO2(C1-4アルキレン)NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaCO2Rb、-NRa(C1-4アルキレン)CO2Rb、=N-OH、=N-O-アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールからなる群から選択される0、1、2、もしくは3個の置換基を含んでいてよく、ここで Ra、Rb、およびRcは置換アルキル基について上述した通りであり、同様に上記のとおり適宜置換される。ヘテロシクロがさらなる環で置換される場合、該環は同様に、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF3、O(C1-4アルキル)、OCF3、C(=O)H、C(=O)(C1-4アルキル)、CO2H、CO2(C1-4アルキル)、NHCO2(C1-4アルキル)、-S(C1-4アルキル)、-NH2、NH(C1-4アルキル)、N(C1-4アルキル)2、N(C1-4アルキル)3+、SO2(C1-4アルキル)、C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、および/またはC(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2のうちの1から2個で適宜置換される。
【0051】
単環式基の例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、オキセタニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル(isoxazolinyl)、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジル、2-オキソピロリジニル(oxopyrrolodinyl)、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、4-ピペリドニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラン、およびテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、などが挙げられる。二環式ヘテロシクロ基の例としては、キヌクリジニルが挙げられる。
【0052】
式(I)の化合物における好ましいヘテロシクロ基としては、
【化15】

が挙げられ、それは適宜置換されていてよい。
【0053】
単独でまたは別の基の一部としての用語「ヘテロアリール」とは、置換および無置換の芳香族5または6員単環式基、9または10員二環式基、ならびに11から14員三環式基を言い、それらは該環のうちの少なくとも1つにおいて少なくとも1個のヘテロ原子(O、SまたはN)を有する。ヘテロ原子を有するヘテロアリール基の各環は、1または2個の酸素原子もしくは硫黄原子および/または1から4個の窒素原子を含むが、ただし、各環のヘテロ原子の総数は4個以下であり、各環は少なくとも1個の炭素原子を有する。二環式基および三環式基を完成させる縮合環は、炭素原子のみを含んでよく、飽和、部分飽和、または不飽和であってよく、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはシクロヘテロアリールを含んでいてよい。該窒素原子および硫黄原子は適宜酸化されていてよく、該窒素原子は適宜四級化されていてよい。二環式または三環式であるヘテロアリール基は少なくとも1つの完全な芳香環を含まなくてはならないが、他の縮合環は芳香族または非芳香族であってよい。該ヘテロアリール基は、いずれの環のいずれの可能な窒素原子または炭素原子で結合し得る。該ヘテロアリール環系は、0、1、2、もしくは3個の置換基を含んでよく、それらはアルキルについて記載したいずれかの置換基であってよく、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、ORa、SRa、(=S)、-NRaRb、-N(アルキル)3+、-NRaSO2、-NRaSO2Rc、-SO2Rc、-SO2NRaRb、-SO2NRaC(=O)Rb、SO3H、-PO(OH)2、-C(=O)Ra、-CO2Ra、-C(=O)NRaRb、-C(=O)(C1-4アルキレン)NRaRb、-C(=O)NRa(SO)Rb、-CO2(C1-4アルキレン)NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaCO2Rb、-NRa(C1-4アルキレン)CO2Rb、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択することができ、ここで、Ra、RbおよびRcは置換アルキル基について上記した通りであり、また同様に上記のとおり適宜置換される。ヘテロアリールがさらなる環で置換される場合、該環は同様に、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF3、O(C1-4アルキル)、OCF3、C(=O)H、C(=O)(C1-4アルキル)、CO2H、CO2(C1-4アルキル)、NHCO2(C1-4アルキル)、-S(C1-4アルキル)、-NH2、NH(C1-4アルキル)、N(C1-4アルキル)2、N(C1-4アルキル)3+、SO2(C1-4アルキル)、C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、および/またはC(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2のうちの1から2個で適宜置換される。
【0054】
単環式ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアジアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニルなどが挙げられる。
【0055】
二環式ヘテロアリール基の例としては、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジル、ジヒドロイソインドリル、テトラヒドロキノリニルなどが挙げられる。
【0056】
三環式ヘテロアリール基の例としては、カルバゾリル、ベンゾインドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが挙げられる。
【0057】
式(I)において、好ましいヘテロアリール基としては、
【化16】

などが挙げられる。
【0058】
本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「ヘテロシクリルアルキル(heterocyclylalkyl)」、「ヘテロシクロアルキル」、または「シクロヘテロアルキルアルキル」とは、C原子またはヘテロ原子を介してアルキル鎖に連結した、上記のヘテロシクリル基を言う。
【0059】
本明細書において単独でまたは別の基の一部として用いる用語「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアリールアルケニル」とは、C原子またはヘテロ原子を介して、上記のアルキル鎖、アルキレン、またはアルケニレンに連結した、上記のヘテロアリール基を言う。
【0060】
本明細書で用いる用語「シアノ」とは、-CN基を言う。
【0061】
本明細書で用いる用語「ニトロ」とは、-NO2基を言う。
【0062】
本明細書で用いる用語「ヒドロキシ」とは、-OH基を言う。
【0063】
他に指示のない限り、特定の名前が付けられたアリール(例えばフェニル)、シクロアルキル(例えばシクロヘキシル)、ヘテロシクロ(例えばピロリジニル)またはヘテロアリール(例えばイミダゾリル)について言う場合、他に特別に指示のない限り、該言及は、必要に応じて、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロおよび/またはヘテロアリール基について上記したものから選択される、0から3個、好ましくは0から2個の置換基を有する環を含むことを意図する。
【0064】
用語「ヘテロ原子」には、酸素、硫黄、および窒素が含まれる。
【0065】
用語「炭素環」とは、全ての環の全ての原子が炭素である、飽和または不飽和の単環式もしくは二環式環を意味する。従って該用語は、シクロアルキルおよびアリール環を包含する。該炭素環は置換されていてよく、その場合、該置換基はシクロアルキルおよびアリール基について上記したものから選択される。
【0066】
用語「不飽和」が本明細書において環または基に対して用いられる場合、該環または基は完全不飽和もしくは部分不飽和であってよい。
【0067】
本明細書を通して、その基および置換基が当業者によって選択されて、安定な部分および化合物ならびに医薬的に許容される化合物として有用な化合物、および/または医薬的に許容される化合物の製造において有用な中間体化合物が提供され得る。
【0068】
本明細書で用いる用語「医薬的に許容される」は、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触して用いるのに適しており、妥当な利益/リスク比に見合った、化合物、物質、組成物、および/または剤形を意味する。
【0069】
本明細書で用いられるような「医薬的に許容される塩」とは、その酸性塩または塩基性塩を製造することにより該親化合物が修飾される、開示された化合物の誘導体を言う。
【0070】
医薬的に許容される「塩」という用語は、無機塩基および有機塩基で形成される塩基性塩を示し得る。そのような塩には、アンモニウム塩; アルカリ金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、およびカリウム塩(これらが好ましい); アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウム塩; 有機塩基との塩、例えばアミン様の塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、ベンザチン、N-メチル-D-グルカミン、およびヒドラバミン塩); および例えばアルギニン、リジンなどのようなアミノ酸との塩; ならびに両性イオン、いわゆる「内部塩」が含まれる。他の塩も例えば生成物の単離または精製に有用であるけれども、無毒性の医薬的に許容される塩が好ましい。
【0071】
医薬的に許容される「塩」という用語はまた、酸付加塩も含む。これらは、例えば、強い無機酸、例えば紘酸(例:硫酸、リン酸またはHClもしくはHBrなどのハロゲン化水素酸)によって形成されるか、強い有機カルボン酸、例えば無置換であるかまたはハロゲンなどで置換された炭素原子数1から4個のアルカンカルボン酸(例:酢酸)、例えば飽和もしくは不飽和ジカルボン酸(例:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸またはテレフタル酸)、例えばヒドロキシカルボン酸(例:アスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、またはクエン酸)、例えばアミノ酸(例:アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、またはアルギニン)、または安息香酸によって形成されるか、あるいは、有機スルホン酸、例えば無置換であるかまたはハロゲンなどで置換された(C1-C4)アルキルまたはアリールスルホン酸(例:メタンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸)によって形成される。
【0072】
本発明の医薬的に許容される塩は、通常の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合液中において、遊離酸または塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適当な塩基または酸と反応させることによって製造することができ; 一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, p. 1418 (1985)に認められ、該開示は引用により本明細書に援用される。
【0073】
本明細書を通して、その基および置換基が当業者によって選択されて、安定な部分および化合物ならびに医薬的に許容される化合物として有用な化合物、および/または医薬的に許容される化合物の製造において有用な中間体化合物が提供され得る。
【0074】
in vivoで変換されて生理活性剤(すなわち、式Iの化合物)を供することができるいずれの化合物も、本発明の範囲および精神内におけるプロドラッグである。
【0075】
用語「プロドラッグ」は、対象への投与後、代謝プロセスまたは化学的プロセスによる化学変換を経て、該式の化合物、その塩、および/または溶媒和物を供する化合物を意味する。例えば、カルボキシ基を含有する化合物は、体内で加水分解されて式の化合物そのものを供することによりプロドラッグとして役立つ、生理的に加水分解可能なエステルを形成することができる。加水分解は多くの場合、主に消化酵素の影響下で生じるので、そのようなプロドラッグは経口投与が好ましい。エステルそのものが活性である場合、または加水分解が血液中で生じる場合には、非経口投与を用いてもよい。
【0076】
本明細書で用いる用語「プロドラッグ」には、当業者に公知の方法を用いて、式Iの化合物の1つ以上のヒドロキシルを、アルキル、アルコキシ、またはアリール置換アシル化剤と反応させて、アセテート、ピバレート、メチルカーボネート、ベンゾエートなどを生成することにより形成される、エステルおよびカーボネートが含まれる。
【0077】
様々な形態のプロドラッグが当分野において周知であり:
a)The Practice of Medicinal Chemistry, Camille G. Wermuth et al., Ch. 31 (Academic Press, 1996);
b)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard (Elsevier, 1985);
c)A Textbook of Drug Design and Development, P. Krogsgaard-Larson and H. Bundgaard, eds. Ch. 5, pp. 113-191 (Harwood Academic Publishers, 1991); および、
d)Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism, Bernard Testa and Joachim M. Mayer, (Wiley-VCH, 2003)
に記載されている。該引用文献は引用により本明細書に援用される。
【0078】
式(I)の化合物の生理的に加水分解可能なエステルの例としては、C1-6アルキルベンジル、4-メトキシベンジル、インダニル、フタリル、メトキシメチル、C1-6アルカノイルオキシ-C1-6アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、またはプロピオニルオキシメチル)、C1-6アルコキシカルボニルオキシ-C1-6アルキル(例えば、メトキシカルボニルオキシメチルまたはエトキシカルボニルオキシメチル)、グリシルオキシメチル、フェニルグリシルオキシメチル、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)-メチル、ならびに、例えばペニシリン技術およびセファロスポリン技術で用いられる他の周知の生理的に加水分解可能なエステルが挙げられる。そのようなエステルは、当分野で公知の通常の技法により製造してもよい。
【0079】
プロドラッグエステルの例としては、以下の基:
(1-アルカノイルオキシ)アルキル、例えば、
【化17】

(式中、Rz、Rt、およびRyはH、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであるが; しかしながら、RzOはHOであることはできない)
が挙げられる。
【0080】
そのようなプロドラッグエステルの例としては、
【化18】

が挙げられる。
【0081】
適切なプロドラッグエステルの他の例としては、
【化19】

(式中、RzはH、アルキル(例えばメチルまたはt-ブチル)、アリールアルキル(例えばベンジル)またはアリール(例えばフェニル)であることができ; RvはH、アルキル、ハロゲンまたはアルコキシであり、Ruはアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルコキシルであり、そして、n1は0、1、または2である)
が挙げられる。
【0082】
用語「互変異性体」とは、それらの互変異性型として存在し得る式Iの化合物およびその塩を言い、互変異性型では、水素原子が該分子の他の部分に転位し、その結果、その分子の原子間の化学結合が再編成される。全ての互変異性型は、それらが存在し得る限り、本発明の範囲内に包含されると理解すべきである。
【0083】
加えて、式Iの化合物は、製造後に単離および精製して、重量で99%以上の式Iの化合物(「実質的に純粋な」化合物I)を含有する組成物を得た後、それを本明細書に記載のとおり用いるか製剤化するのが好ましい。そのような「実質的に純粋な」式Iの化合物もまた、本発明の一部として本明細書に意図される。
【0084】
混合物の形態または純粋もしくは実質的に純粋な形態のいずれの、本発明の化合物の全ての立体異性体が意図される。本発明の化合物は、R置換基のいずれか1つを含有する炭素原子のいずれかで不斉中心を有することができ、および/または多型性を示し得る。その結果、式Iの化合物は、エナンチオマーもしくはジアステレオマーの形態、またはその混合物として存在することができる。製造方法には、出発物質としてラセミ体、エナンチオマー、またはジアステレオマーを用いることができる。ジアステレオマー生成物またはエナンチオマー生成物を製造する場合、通常の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶によって、それらを分離することができる。
【0085】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な純度への単離、および有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を示すことを意図する。本発明は安定な化合物を具体化するものと意図される。
【0086】
「治療上有効な量」は、糖尿病および/または肥満症の治療もしくは予防に有効な、本発明の化合物単独の量、特許請求された化合物の組み合わせの量、または他の活性成分と組み合わせた本発明の化合物の量を含むことを意図する。
【0087】
本明細書で用いられるように、「治療すること」または「治療」は、哺乳動物、とりわけヒトにおける症状の治療に及び: (a)哺乳動物、とりわけ、症状に罹りやすいがまだそれを有すると診断されていない哺乳動物において、症状が発症するのを予防すること; (b)症状の抑制、すなわち、その進行を抑止すること; および/または(c)症状の軽減、すなわち、症状の後退をもたらすこと、が含まれる。
【0088】
(合成)
以下の反応スキームおよびその説明、ならびに当業者に用いられ得る関連文献の方法に示されるとおり、式IaおよびIbの化合物を製造してもよい。これらの反応についての試薬および方法の例を、下記および実施例に記載する。以下の反応式における保護および脱保護は、当分野で一般に公知の方法によって行われ得る(例えばGreene, T.W. et al., Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley, publ. (1999)を参照)。
【0089】
式Ia:
【化20】

のアミド化合物のいくつかの異なる合成方法をスキーム1に概説する。アミン塩基の存在下においてアリールアミンIIをヘテロ芳香族酸塩化物IIIaとカップリングさせる(該酸塩化物は、標準的な文献の条件(例えば、塩化オキサリルおよび触媒量のDMFを用いた酸IIIbの処理)を用いて形成される)。別法として、カルボン酸IIIbをフッ化シアヌルで処理して中間体の酸フッ化物IIIcを得て、それをアミン塩基の存在下でアリールアミンIIと反応させて(Suaifan et al., Tetrahedron, 62:11245-11266 (2006))アミドIaを得る。最後に、アリールアミンIIとヘテロ芳香族酸IIIbの混合物を、標準的なアミドカップリング方法、例えばBOP/Et3N、EDCI/HOAt/Et3N、またはDEPBTを用いて反応させ(Li et al., Org. Lett., 1:91 (1999))、アミドIaを直接得ることができる。以下に記載のスキーム1およびその後の全てのスキームに示されるヘテロ芳香族環R1およびアリールアミンIIの中には、環置換基R4、R5およびR6が適宜存在し得る。
【化21】

【0090】
式Ib:
【化22】

のアミド化合物の合成をスキーム2に概説する。第三級アミン塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下でアリールアミンIIをクロロオキソ酢酸エチル2aとカップリングさせてエチルエステル2bを得る。その後、2bをアミン(例えば、HNR7R8)で処理してIbを得る。
【化23】

【0091】
アリールアミンIIおよび酸塩化物IIIaまたはカルボン酸IIIbは、いずれも市販されているか、あるいは標準的な文献の方法に従って製造することができる。
【0092】
スキーム3は、置換アリールアミンIIaの一般的な合成方法を示す。
【化24】

【0093】
塩基(例えば、K2CO3、Cs2CO3)の存在下でビス-フェノール3aをアルキルハライドR3-Xa(ここでXa = Cl、Br、またはI)でアルキル化して、モノ-アルキル化ビス-フェノール3bを得る。フェノール3bとアルコールR2-OHとの光延反応(例えば、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)およびPPh3)により、非対称ビス-アルキル化フェノール3cを得る。化合物3cを塩基(例えば、NaOHまたはLiOH水溶液)で処理して、カルボン酸3dを得る。標準的な条件下での酸3dのクルチウス(Curtius)転位(例えば、アルコールR-OHの存在下における(PhO)2PON3、ここでR = アルキルまたはアリールアルキル)によってカルバメート3eを得て、水素化(R = Bnの場合)または塩基(例えば、R = アルキルのとき、NaOH)のいずれかによって、それをアリールアミンIIaに変換する。
【0094】
別法として、ビス-フェノール3aをR3-Xaを用いて対称的にビス-アルキル化して、安息香酸エステル3c(ここでR2 = R3)を得ることができる。スキーム2に従ってさらに変換し、対称的に置換されたフェニルアミンIIa(ここでR2 = R3)を得る。
【0095】
スキーム4に示すとおり、必要な場合、フェノール3bを保護して(例えば、TBDPSエーテルとしてTBDPSCl/イミダゾール、またはベンジルエーテルとしてBnBr/K2CO3など)、4cを得ることができ、それをスキーム3に前述した3cからIIaへの変換と同様の手順を介して、置換アリールアミンIIbに変換する。IIbおよびIIIaもしくはIIIb間の標準的なカップリング反応(例えば、EDCI/HOBT)によってアミド4dを得る。その後、4dを保護して4eを得て、それを適切な塩基(例えば、K2CO3、Cs2CO3)の存在下でR2-Xaによりアルキル化するか、あるいはアルコールR2-OHとの光延反応(例えば、DIADおよびPPh3)を介して、アルキル化フェノールアミドIcを得ることができる。
【化25】

【0096】
置換アリールアミンIIcの製造についての別の一般的合成経路をスキーム5に示す。
【化26】

【0097】
ブロミド5aとアリールボロン酸とのスズキカップリング反応(例えば、触媒としてPd(PPh3)4を用いて)によりビアリール5bを得る。BBr3を用いたエーテルの脱アルキル化によりフェノール5cを得る。続いて、塩基(例えば、K2CO3、Cs2CO3)の存在下でのR3-Xaによるフェノール5cのアルキル化により、またはアルコールR3-OHとフェノール5cの光延反応(例えば、DIADおよびPPh3)を介して、5dを得て、それはニトロ基の還元(例えば、H2/Pd-C、Fe/HOAc)により容易にアミンIIcに変換される。
【0098】
スキーム6は、置換アリールアミンIIdの製造についての別の合成順序を示す。化合物6aを、求核置換反応(例えば、マイクロ波条件下におけるKOH)を介してフェノール6bに変換する。6bのエステル化により6cを得て、それを、フェノール性酸素上で、R3-Xを用いて塩基(例えば、K2CO3、Cs2CO3)の存在下でアルキル化するか、あるいはフェノール6cとアルコールR3-OHとの光延反応(例えば、DIADおよびPPh3)を介して、6dを得る。6dとアリールボロン酸R2B(OH)2とのスズキカップリング反応(例えば、触媒としてPd(PPh3)4)により6eを得る。メチルエステル6eのけん化によって酸6fを得て、それをさらに、カルバメート6gにクルチウス転位反応をさせた後、脱保護(例えば、H2/Pdを用いた水素化分解により)することによってアリールアミンIIdに変換する。
【化27】

【0099】
前述の合成方法の各々において、出発物質化合物または化合物Iが、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはチオール基を有する場合、ペプチド化学に一般的に用いられる保護基または当分野において一般的に公知の保護基(例えば、Greene, T.W. et al., Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, Wiley, publ. (1999)を参照)を、これらの基に導入してもよい。さらに、該保護基は各反応スキームのいずれの工程においても通常の方法に従って除去することができる。
【0100】
(有用性および組み合わせ)
A.有用性
本発明の化合物は、グルコキナーゼ酵素の活性のエンハンサーとしての活性を有しており、それ故に、グルコキナーゼ活性に関連する疾患の治療に用いられ得る。
【0101】
従って、本発明の化合物は、様々な症状および障害の治療(限定はされないが、糖尿病および関連症状、糖尿病に関連する微小血管合併症、糖尿病に関連する大血管合併症、循環器疾患、メタボリックシンドロームおよびその構成症状、および他の疾患の治療、予防、または進行の遅延が含まれる)のために、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。従って、本発明の化合物は、糖尿病、高血糖症、耐糖能障害、インスリン耐性、高インスリン血症、網膜症、神経障害、腎障害、創傷治癒の遅延、アテローム性動脈硬化症もしくはその続発症、心機能の異常、心筋虚血、脳卒中、メタボリックシンドローム、高血圧症、肥満症、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、高LDL、非心虚血、感染症、癌、血管再狭窄、膵炎、神経変性疾患、脂質障害、認知障害もしくは認知症、骨疾患、HIVプロテアーゼ関連リポジストロフィー、または緑内障の予防、抑制、または治療に用いられ得ると考えられる。
【0102】
メタボリックシンドロームまたは「シンドロームX」は、Ford, et al., J. Am. Med. Assoc., 287:356-359 (2002)および、Arbeeny et al., Curr. Med. Chem. - Imm., Endoc. & Metab. Agents, 1:1-24 (2001)に記載されている。
【0103】
B.組み合わせ
本発明は、活性成分として治療上有効な量の式Iの化合物の少なくとも1つを、単独で、または医薬担体もしくは希釈剤と組み合わせて含有する医薬組成物を、その範囲内に含む。適宜、本発明の化合物は、単独で、本発明の他の化合物と組み合わせて、または1つ以上の他の治療薬(例えば、抗糖尿病薬もしくは他の医薬的に活性な物質)と組み合わせて用いることができる。
【0104】
本発明の化合物は、グルコキナーゼの活性の他のエンハンサー、または上述の障害の治療において有用な1つ以上の他の適切な治療薬、例えば: 抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗高インスリン薬、抗網膜症薬(anti-retinopathic agent)、抗神経障害薬、抗腎障害薬、抗アテローム性動脈硬化薬、抗感染症薬、抗虚血薬、抗高血圧症薬、抗肥満症薬、抗脂質異常症薬、抗高脂血症薬、抗高トリグリセリド血症薬、抗高コレステロール血症薬、抗虚血薬、抗癌薬、抗細胞傷害薬(anti-cytotoxic agent)、抗再狭窄薬、膵臓治療薬(anti-pancreatic agent)、脂質低下薬、食欲抑制薬、記憶増強薬、および認知薬(cognitive agent)と組み合わせて用いてもよい。
【0105】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに適切な抗糖尿病薬の例としては、インスリンおよびインスリンアナログ: LysProインスリン、インスリンを含む吸入製剤; グルカゴン様ペプチド; スルホニル尿素およびアナログ: クロロプロパミド、グリベンクラミド、トルブタミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリピジド(glypizide)、グリブリド、グリメピリド、レパグリニド、メグリチニド; ビグアナイド: メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン; α2-アンタゴニストおよびイミダゾリン: ミダグリゾール、イサグリドール、デリグリドール、イダゾキサン、エファロキサン、フルパロキサン; 他のインスリン分泌促進剤: リノグリリド、インスリノトロピン(insulinotropin)、エキセンディン-4、BTS-67582、A-4166; チアゾリジンジオン(PPARγアゴニスト): シグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン; 非チアゾリジンジオンPPAR-γアゴニスト; 選択的PPARγ調節薬(SPPARM; 例えば、Metabolexからのメタグリダセン(metaglidasen)); PPAR-αアゴニスト; PPARα/γデュアルアゴニスト; PPARλアゴニスト、PPARα/γ/λパンアゴニスト; SGLT2阻害剤; ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP4)阻害剤; アルドース還元酵素阻害剤; RXRアゴニスト: JTT-501、MX-6054、DRF2593、LG100268; 脂肪酸酸化阻害剤: クロモキシル、エトモキシル; α-グルコシダーゼ阻害剤: プレコース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート、ボグリボース、MDL-25,637、カミグリボース、MDL-73,945; β-アゴニスト: BRL 35135、BRL 37344、Ro 16-8714、ICI D7114、CL 316,243、TAK-667、AZ40140; ホスホジエステラーゼ阻害剤、cAMPおよびcGMPの両方の型: シルデナフィル、L686398: L-386,398; アミリンアンタゴニスト: プラムリンチド、AC-137; リポキシゲナーゼ阻害剤: マソプロコール(masoprocal); ソマトスタチンアナログ: BM-23014、セグリチド、オクトレオチド; グルカゴンアンタゴニスト: BAY 276-9955; インスリンシグナル伝達アゴニスト、インスリン模倣薬(mimetic)、PTP1B阻害剤: L-783281、TER17411、TER17529; 糖新生阻害剤: GP3034; ソマトスタチンアナログおよびアンタゴニスト; 抗脂肪分解薬: ニコチン酸、アシピモックス、WAG 994; グルコース輸送刺激薬: BM-130795; グルコース合成酵素キナーゼ阻害剤: 塩化リチウム、CT98014、CT98023; およびガラニン受容体アゴニストが挙げられる。
【0106】
他の適切なチアゾリジンジオンとしては、三菱のMCC-555(米国特許第5,594,016号に開示)、Glaxo-Wellcomeのファルグリタザル(GI-262570)、エングリタゾン(CP-68722, Pfizer)もしくはダルグリタゾン(CP-86325, Pfizer)、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT-501(JPNT/P&U)、L-895645(Merck)、R-119702(三共/WL)、NN-2344もしくはバラグリタゾン(balaglitazone)(Dr. Reddy/NN)、またはYM-440(山之内)が挙げられる。
【0107】
適切なPPARα/γデュアルアゴニストとしては、マルグリタザー(muraglitazar)(Bristol-Myers Squibb)、テサグリタザル(Astra/Zeneca)、ナベグリタザル(naveglitazar)(Lilly/Ligand); AVE-0847(Sanofi-Aventis); TAK-654(武田)、ならびにMurakami et al, “A Novel Insulin Sensitizer Acts As a Coligand for Peroxisome Proliferation - Activated Receptor α (PPARα) and PPARγ; Effect of PPARα Activation on Abnormal Lipid Metabolism in Liver of Zucker Fatty Rats”, Diabetes, 47:1841-1847 (1998)、WO 01/21602および米国特許第6,414,002号に開示のものが挙げられ、該開示は引用により本明細書に援用され、その中に記載の用量が用いられ、好ましいとして示された化合物は本明細書における使用に好ましい。適切なPPARδアゴニストとしては、例えば、GW-501516(Glaxo)が挙げられる。適切なPPARα/γ/δパンアゴニストとしては、例えば、GW-677954(Glaxo)が挙げられる。
【0108】
適切なα2アンタゴニストとしてはまた、WO 00/59506に開示のものも挙げられ、その中に記載の用量が用いられる。
【0109】
適切なSGLT2阻害剤としては、ダパグリフロジン(dapagliflozin)(Bristol-Myers Squibb)、セルグリフロジン(sergiflozin)(Glaxo SmithKline)、T-1095、フロリジン、WAY-123783、およびWO 01/27128に開示のものが挙げられる。
【0110】
適切なDPP4阻害剤としては、サクサグリプチン(Bristol-Myers Squibb)、ビルダグリプチン(Novartis)およびシタグリプチン(Merck)ならびにWO 99/38501、WO 99/46272、WO 99/67279(PROBIODRUG)、WO 99/67278(PROBIODRUG)、WO 99/61431(PROBIODRUG)に開示のもの、Hughes et al., Biochemistry, 38(36):11597-11603 (1999)により開示されたNVP-DPP728A(1-[[[2-[(5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル]アミノ]アセチル]-2-シアノ-(S)-ピロリジン)(Novartis)、Yamada et al., Bioorg. & Med. Chem. Lett., 8:1537-1540 (1998)により開示されたTSL-225(トリプトフィル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)、Ashworth et al., Bioorg. & Med. Chem. Lett., 6(22):1163-1166 and 2745-2748 (1996)により開示された2-シアノピロリダイド(cyanopyrrolidide)および4-シアノピロリダイドが挙げられ、上記引用文献中に記載の用量が用いられる。
【0111】
適切なアルドース還元酵素阻害剤としては、WO 99/26659に開示のものが挙げられる。
【0112】
適切なメグリチニドとしては、ナテグリニド(Novartis)またはKAD1229(PF/キッセイ)が挙げられる。
【0113】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の例としては、GLP-1(1-36)アミド、GLP-1(7-36)アミド、GLP-1(7-37)(Habenerにより米国特許第5,614,492号に開示)、ならびにAC2993(Amylin)、およびLY-315902(Lilly)が挙げられる。
【0114】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる他の抗糖尿病薬としては、エルゴセット(ergoset)およびD-キロイノシトール(D-chiroinositol)が挙げられる。
【0115】
適切な抗虚血薬としては、限定はされないが、医師用卓上参考書に記載のものおよびNHE阻害剤(WO 99/43663に開示のものが含まれる)が挙げられる。
【0116】
適切な抗感染症薬の例は抗生物質であり、限定はされないが、医師用卓上参考書に記載のものが含まれる。
【0117】
本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適切な脂質低下薬の例としては、1つ以上の、MTP阻害剤、HMG CoA還元酵素阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブリン酸誘導体、ACAT 阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性の上方制御剤、胆汁酸捕捉剤、コレステロールエステル転送タンパク質阻害剤(例えば、トルセトラピブ(Pfizer))、および/またはニコチン酸とその誘導体が挙げられる。
【0118】
上記のように用いられ得るMTP阻害剤としては、米国特許第5,595,872号、5,739,135号、5,712,279号、5,760,246号、5,827,875号、5,885,983号、および5,962,440号に開示のものが挙げられる。
【0119】
1つ以上の式Iの化合物と組み合わせて用いられ得るHMG CoA還元酵素阻害剤としては、米国特許第3,983,140号に開示のメバスタチンおよび関連化合物、米国特許第4,231,938号に開示のロバスタチン(メビノリン)および関連化合物、米国特許第4,346,227号に開示されているようなプラバスタチンおよび関連化合物、米国特許第4,448,784号および4,450,171号に開示のシンバスタチンおよび関連化合物が挙げられる。本明細書で用いられ得る他のHMG CoA還元酵素阻害剤としては、限定はされないが、米国特許第5,354,772号に開示のフルバスタチン、米国特許第5,006,530号および5,177,080号に開示のセリバスタチン、米国特許第4,681,893号、5,273,995号、5,385,929号および5,686,104号に開示のアトルバスタチン、米国特許第5,011,930号に開示のアタバスタチン(atavastatin)(日産/三共のニスバスタチン(NK-104))、米国特許第5,260,440号に開示のビサスタチン(visastatin)(塩野義-Astra/Zeneca (ZD-4522))、及び米国特許第5,753,675号に開示の関連スタチン化合物、米国特許第4,613,610号に開示のメバロノラクトン誘導体のピラゾールアナログ、PCT出願WO 86/03488に開示のメバロノラクトン誘導体のインデンアナログ、米国特許第4,647,576号に開示の6-[2-(置換-ピロール-1-イル)-アルキル)ピラン-2-オンおよびその誘導体、SearleのSC-45355(3-置換ペンタン二酸誘導体)ジクロロアセテート、PCT出願WO 86/07054に開示のメバロノラクトンのイミダゾールアナログ、フランス特許第2,596,393号に開示の3-カルボキシ-2-ヒドロキシ-プロパン-ホスホン酸誘導体、欧州特許出願第0221025号に開示の2,3-二置換ピロール、フランおよびチオフェン誘導体、米国特許第4,686,237号に開示のメバロノラクトンのナフチルアナログ、米国特許第4,499,289号に開示のようなオクタヒドロナフタレン、欧州特許出願第0142146 A2号に開示のメビノリン(ロバスタチン)のケトアナログ、および米国特許第5,506,219号および5,691,322号に開示のキノリンおよびピリジン誘導体が挙げられる。
【0120】
好ましい抗高脂血症薬は、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチンおよびZD-4522である。
【0121】
さらに、GB 2205837に開示されているもののような、HMG CoA還元酵素の阻害に有用なホスフィン酸化合物が、本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適している。
【0122】
本発明での使用に適したスクアレン合成酵素阻害剤としては、限定はされないが、米国特許第5,712,396号に開示のα-ホスホノ-スルホン酸、Biller et al., J. Med. Chem., 31(10):1869-1871 (1988)により開示されるもの(イソプレノイド(ホスフィニル-メチル)ホスホネートを含む)、ならびに他の公知のスクアレン合成酵素阻害剤、例えば米国特許第4,871,721号および4,924,024号およびBiller, S.A., Neuenschwander, K., Ponpipom, M.M., and Poulter, C.D., Current Pharmaceutical Design, 2:1-40 (1996)に開示のものが挙げられる。
【0123】
さらに、本発明での使用に適した他のスクアレン合成酵素阻害剤としては、Ortiz de Montellano, P. et al, J. Med. Chem., 20:243-249 (1977)により開示のテルペノイドピロホスフェート、Corey et al., J. Am. Chem. Soc., 98:1291-1293 (1976)により開示のファルネシル二リン酸アナログAおよびプレスクアレンピロホスフェート(PSQ-PP)アナログ、McClard, R.W. et al, J. Am. Chem. Soc., 109:5544 (1987)により報告されているホスフィニルホスホネート、およびCapson, T.L., Ph.D., dissertation, June 1987, Dept. Med. Chem. U. of Utah, Abstract, Table of Contents, pp. 16, 17, 40-43, 48-51, Summaryに報告されているシクロプロパンが挙げられる。
【0124】
1つ以上の式Iの化合物と組み合わせて用いられ得るフィブリン酸誘導体としては、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラートなど、米国特許第3,674,836号に開示のプロブコール、および関連化合物(プロブコールおよびゲムフィブロジルが好ましい)、胆汁酸捕捉剤、例えばコレスチラミン、コレスチポールおよびDEAE-セファデックス(セコレックス(Secholex)(登録商標)、ポリセキシド(Policexide)(登録商標))、ならびにリポスタビル(Rhone-Poulenc)、エーザイE-5050(N-置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE-402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(SPC, Roche)、アミノシクロデキストリン(田辺製薬)、味の素のAJ-814(アズレン誘導体)、メリナミド(住友)、Sandoz 58-035、アメリカンシアナミド(American Cyanamid)のCL-277,082およびCL-283,546(二置換尿素誘導体)、ニコチン酸、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p-アミノサリチル酸、アスピリン、米国特許第4,759,923号に開示のようなポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、米国特許第4,027,009号に開示のような四級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)およびイオネン、および他の公知の血清コレステロール低下薬が挙げられる。
【0125】
1つ以上の式Iの化合物と組み合わせて用いられ得るACAT阻害剤としては、Drugs of the Future, 24:9-15 (1999), (Avasimibe); Nicolosi et al, “The ACAT inhibitor, Cl-1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters”, Atherosclerosis, (Shannon, Irel.), 137(1):77-85 (1998); Ghiselli, G., “The pharmacological profile of FCE 27677: a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100-containing lipoprotein”, Cardiovasc. Drug Rev., 16(1):16-30 (1998); Smith, C. et al., “RP 73163: a bioavailable alkylsulfinyl-diphenylimidazole ACAT inhibitor”, Bioorg. Med. Chem. Lett., 6(1):47-50 (1996); Krause, B.R. et al., Chapter 6: “ACAT Inhibitors: Physiologic Mechanisms for Hypolipidemic and Anti-Atherosclerotic Activities in Experimental Animals”, Inflammation: Mediators and Pathways, CRC Press, Inc., publ., Ruffolo, Jr., R.R. et al., eds., pp. 173-198 (1995); Sliskovic et al., “ACAT inhibitors: potential anti-atherosclerotic agents”, Curr. Med. Chem., 1(3):204-225 (1994);Stout et al., “Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol O-acyl transferase (ACAT) as hypocholesterolemic agents. 6. The first water-soluble ACAT inhibitor with lipid-regulating activity. Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase (ACAT). 7. Development of a series of substituted N- phenyl -N'-[(1-phenylcyclopentyl)methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity”, Chemtracts: Org. Chem., 8(6):359-362 (1995) に開示のもの、またはTS-962(大正製薬株式会社)が挙げられる。
【0126】
抗高脂血症薬は、LD2受容体活性上方制御剤、例えばMD-700(大正製薬株式会社)およびLY295427(Eli Lilly)であり得る。
【0127】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに適切なコレステロール吸収阻害剤の例としては、SCH48461(Schering-Plough)、ならびにAtherosclerosis, 115:45-63 (1995)およびJ. Med. Chem., 41:973 (1998)に開示のものが挙げられる。
【0128】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに適した回腸Na+/胆汁酸共輸送体阻害剤の例としては、Drugs of the Future, 24:425-430 (1999)に開示の化合物が挙げられる。
【0129】
1つ以上の式Iの化合物と組み合わせて用いられ得るリポキシゲナーゼ阻害剤としては、15-リポキシゲナーゼ(15-LO)阻害剤、例えばWO 97/12615に開示のベンゾイミダゾール誘導体、WO 97/12613に開示の15-LO阻害剤、WO 96/38144に開示のイソチアゾロン、およびSendobry et al., “Attenuation of diet-induced atherosclerosis in rabbits with a highly selective 15- lipoxygenase inhibitor lacking significant antioxidant properties”, Brit. J. Pharmacology, 120:1199-1206 (1997)、およびCornicelli et al., “15-Lipoxygenase and its Inhibition: A Novel Therapeutic Target for Vascular Disease”, Current Pharmaceutical Design, 5:11-20 (1999) に開示の15-LO阻害剤が挙げられる。
【0130】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに適切な抗高血圧症薬の例としては、βアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(L-型およびT-型; 例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピンおよびミベフラジル(mybefradil))、利尿薬(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸、トリクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムゾリミン(musolimine)、ブメタミド、トリアムトレネン(triamtrenene)、アミノライド(amiloride)、スピロノラクトン)、レニン阻害剤、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラゾプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT-1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタクスセンタン、アトラセンタン(atrsentan)および米国特許第5,612,359号および6,043,265号に開示の化合物)、デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば、WO 00/01389に開示の化合物)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(デュアルNEP-ACE阻害剤)(例えば、オマパトリラトおよびゲモパトリラト)、および硝酸が挙げられる。
【0131】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに適切な抗肥満症薬の例としては、カンナビノイド受容体1アンタゴニストもしくはインバースアゴニスト、β3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ阻害剤、セロトニン(およびドーパミン)再取り込み阻害剤、甲状腺受容体β薬、および/または食欲抑制薬が挙げられる。
【0132】
本発明の化合物と組み合わせて適宜用いられ得るカンナビノイド受容体1アンタゴニストおよびインバースアゴニストとしては、リモナバン、SLV 319、およびHertzog, D.L., Expert Opin. Ther. Patents, 14:1435-1452 (2004)に記載のものが挙げられる。
【0133】
本発明の化合物と組み合わせて適宜用いられ得るβ3アドレナリンアゴニストとしては、AJ9677(武田/大日本)、L750355(Merck)、もしくはCP331648(Pfizer)または米国特許第5,541,204号、5,770,615号、5,491,134号、5,776,983号、および5,488,064号に開示の他の公知のβ3アゴニストが挙げられ、AJ9677、L750,355、およびCP331648が好ましい。
【0134】
本発明の化合物と組み合わせて適宜用いられ得るリパーゼ阻害剤の例としては、オルリスタットまたはATL-962(Alizyme)が挙げられ、オルリスタットが好ましい。
【0135】
式Iの化合物と組み合わせて適宜用いられ得るセロトニン(およびドーパミン)再取り込み阻害剤は、シブトラミン、トピラメート(Johnson & Johnson)またはアクソカイン(Regeneron)であってよく、シブトラミンおよびトピラメートが好ましい。
【0136】
本発明の化合物と組み合わせて適宜用いられ得る甲状腺受容体β化合物の例としては、甲状腺受容体リガンド、例えばWO 97/21993(U. Cal SF)、WO 99/00353(KaroBio)、およびWO 00/039077(KaroBio)に開示のものが挙げられ、KaroBio出願の化合物が好ましい。
【0137】
本発明の化合物と組み合わせて適宜用いられ得る食欲抑制薬としては、デキサンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、またはマジンドールが挙げられ、デキサンフェタミンが好ましい。
【0138】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる他の化合物としては、CCK受容体アゴニスト(例えば、SR-27895B); ガラニン受容体アンタゴニスト; MCR-4アンタゴニスト(例えば、HP-228); レプチンもしくは模倣薬; 11-β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素1型阻害剤; ウロコルチン模倣薬、CRFアンタゴニスト、およびCRF結合タンパク質(例えば、RU-486、ウロコルチン)が挙げれらる。
【0139】
さらに、本発明の化合物は、抗癌薬および細胞傷害薬、例えば限定はされないが、アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、エチレンイミン、およびトリアゼン; 代謝拮抗薬、例えば葉酸アンタゴニスト、プリンアナログ、およびピリミジンアナログ; 抗生物質、例えばアントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、およびプリカマイシン; 酵素、例えばL-アスパラギナーゼ; ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤; 5α還元酵素阻害剤; 17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素3型の阻害剤; ホルモン剤、例えばグルココルチコイド、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、および黄体ホルモン-放出ホルモンアンタゴニスト、酢酸オクトレオチド; 微小管かく乱剤(microtubule-disruptor agent)、例えばエクチナサイジンまたはそのアナログと誘導体; 微小管安定化剤、例えばタキサン(例えば、パクリタキセル (タキソール(登録商標))、ドセタキセル (タキソテール(登録商標))とそのアナログ)、およびエポチロン(例えばエポチロンA-Fとそのアナログ); 植物由来産物、例えばビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、タキサン、; およびトポイソメラーゼ(topiosomerase)阻害剤; プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤; および種々の薬剤、例えばヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、白金配位錯体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン; および抗癌薬および細胞傷害薬として用いられる他の薬剤、例えば生体応答修飾物質、成長因子; 免疫調節剤; およびモノクローナル抗体と組み合わせて用いてもよい。さらなる抗癌薬がEP1177791に開示されている。本発明の化合物はまた、放射線療法とともに用いてもよい。
【0140】
本発明の化合物と組み合わせて用いるための適切な記憶増強薬、抗認知症薬、または認知薬の例としては、限定はされないが、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、タクリン、メトリホネート、ムスカリン、キサノメリン(xanomelline)、デプレニル、およびフィゾスチグミンが挙げられる。
【0141】
前述の特許及び特許出願は引用により本明細書に援用される。
【0142】
上記の他の治療薬は、本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合、例えば、医師用卓上参考書に示される量か、上記の特許に示される量か、または当業者により決定される他の量で用いられ得る。
【0143】
式Iの化合物は、本明細書に記載の用途のいずれの場合でも、適切ないずれの方法により、例えば、経口的に(例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤または粉末剤の形態で); 舌下に; 頬側に; 非経口的に(例えば皮下、静脈内、筋肉内または胸骨内注射もしくは注入技法(例えば、無菌の注射用の水性または非水性の溶液または懸濁液として)により); 経鼻的に(例えば吸入噴霧による鼻粘膜への投与を含む); 局所的に(例えばクリーム剤または軟膏剤の形態として); または直腸内に(例えば坐薬の形態で)、無毒の医薬的に許容されるビヒクルまたは希釈剤を含有する用量単位剤形で投与することができる。
【0144】
糖尿病および関連疾患の治療のために本発明の方法を実施する場合、医薬ビヒクルもしくは希釈剤とともに、他の抗糖尿病薬および/または抗高脂血症薬および/または他のタイプの治療薬の有無にかかわらず、式Iの化合物を含有する医薬組成物が用いられるであろう。該医薬組成物は、汎用の固体もしくは液体ビヒクルまたは希釈剤、および目的の投与様式に適したタイプの医薬品添加物、例えば医薬的に許容される担体、賦形剤、結合剤などを用いて製剤化することができる。該化合物は、哺乳動物患者(ヒト、サル、イヌなどを含む)に、経口経路(例えば、錠剤、カプセル剤、ビーズ剤、顆粒剤、または粉末剤の形態で)により投与することができる。成人に対する用量は0.5から2,000 mg/日、好ましくは1から500 mgであり、それは、単一用量、または1日あたり1から4回の個々の用量の形態で投与することができる。
【0145】
典型的な経口投与用カプセル剤は、構造Iの化合物(250 mg)、ラクトース(75 mg)、およびステアリン酸マグネシウム(15 mg)を含有する。該混合物を60メッシュの篩に通して、No. 1のゼラチンカプセルに充填する。
【0146】
典型的な注射用製剤は、250 mgの構造Iの化合物を無菌的にバイアルに入れ、無菌的に凍結乾燥して密封することにより製造される。使用する場合は、バイアルの内容物を2 mLの生理食塩水と混合し、注射用製剤を調製する。
【実施例】
【0147】
以下の実施例は、限定はされないが、本発明のいくつかの好ましい実施態様をより良く説明する役割を果たす。
【0148】
(概要)
用語HPLCとは、以下のメソッドのうちの1つを用いた分析用島津高速液体クロマトグラフを言う。
メソッドA: YMCまたはPhenomenex C18 5 μm 4.6 X 50mm カラム; 0から100%の4分連続グラジエント、次いで100%溶媒Bで1分間のホールド; ここでA = 10% MeOH:90% H2O:0.2% H3PO4、およびB = 90% MeOH:10% H2O:0.2% H3PO4; 流速 = 4 mL/分、220 nmでUV検出。
メソッドB: Zorbax SB C18 5 μm 4.6x75mm カラム; 50%溶媒A:Bから100% Bの8分連続グラジエント、次いで100%溶媒Bで2分間のホールド; ここでA = 10% MeOH +90% H2O + 0.2% H3PO4、およびB = 90% MeOH + 10% H2O + 0.2% H3PO4; 流速= 2.5 mL/分、220 nmでUV検出。
LCMSメソッドA: ESI, 正イオンスペクトル; Phenomenex ODS S5 4.6 x 50 mm カラム; 220 nmでUV検出; 流速= 4 mL/分; 100% Aから100% Bの4分連続グラジエント、ここでA = 10%MeOH: 90%H2O:0.1% TFA、およびB = 90%MeOH: 10%H2O:0.1% TFA。
LCMSメソッドB: ESI, 正イオンおよび負イオンスペクトル; Phenomenex Luna C18 4.6 x 50 mm カラム; 220 nmでUV検出; 流速= 4 mL/分; 100% Aから100% Bの4分連続グラジエント、ここでA = 10:90:MeCN : H2O (10 mM NH4Ac含有)、およびB = 90:10 CH3CN : H2O (10 mM NH4Ac含有)。
【0149】
プレパラティブHPLCは、連続溶媒A(10% MeOH/90%H2O/0.2%TFA)/溶媒B(90% MeOH/10%H2O/0.2% TFA)を用いた自動島津HPLCシステムにより実施した。該プレパラティブカラムは、YMCまたはPhenomenex ODS C18, 5ミクロン樹脂もしくは相当物で充填されている。
【0150】
(略語)
本明細書の実施例および他の部分において、以下の略語を用いる。
Ph = フェニル
Bn = ベンジル
i-Bu = イソ-ブチル
Me = メチル
Et = エチル
Pr = プロピル
Bu = ブチル
AIBN = 2,2'-アゾビスイソブチロニトリル
TMS = トリメチルシリル
TMSCHN2 = (トリメチルシリル)ジアゾメタン
FMOC = フルオレニルメトキシカルボニル
BocまたはBOC = tert-ブトキシカルボニル
Cbz = カルボベンジルオキシまたはカルボベンゾキシまたはベンジルオキシカルボニル
HOAcまたはAcOH = 酢酸
TBDPSCl = tert-ブチルクロロジフェニルシラン
TMSI = ヨードトリメチルシラン
DCM = ジクロロメタン
DEPBT = 3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4[3H]-オン
DIEA = N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA = N,N-ジメチルアセチルアミド
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
EtOAc = 酢酸エチル
K2CO3 = 炭酸カリウム
NaHCO3 = 炭酸水素ナトリウム
THF = テトラヒドロフラン
TFA = トリフルオロ酢酸
mCPBA = 3-クロロ過安息香酸
NMM = N-メチルモルホリン
NBS = N-ブロモコハク酸イミド
DIAD = アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DEAD = アゾジカルボン酸ジエチル
n-BuLi = n-ブチルリチウム
Oxone(登録商標) = モノペルスルフェート
Pd/C = パラジウム炭素
PtO2 = 酸化白金
H2O = 水
TEA = トリエチルアミン
EDAC = 3-エチル-3'-(ジメチルアミノ)プロピル-カルボジイミド塩酸塩(または1-[(3-(ジメチル)アミノ)プロピル])-3-エチルカルボジイミド塩酸塩)
HOBTまたはHOBT・H2O = 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HOAT = 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
PyBOP試薬 = ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノ(tripyrrolidino)ホスホリウムヘキサフルオロホスフェート
BOP = ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホリウムヘキサフルオロホスフェート
equiv = 当量
min = 分
hまたはhr = 時間
L = リットル
mL = ミリリットル
μL = マイクロリットル
g = グラム
mg = ミリグラム
mol = モル
mmol = ミリモル
meq = ミリ当量
RTまたはR.T. = 室温
satまたはsat'd = 飽和
aq. = 水性、または水溶性
TLC = 薄層クロマトグラフィー
UV = 紫外線
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
HPLC tR = HPLC保持時間
LC/MS = 高速液体クロマトグラフィー/質量分析
MSまたはMass Spec = 質量分析
NMR = 核磁気共鳴
mp = 融点
PXPd2 = ジクロロ(クロロジ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(II)二量体または[PdCl2(t-Bu)2PCl]2
【0151】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様の例証である。
【0152】
実施例1
【化28】


A.
【化29】

(S)-3-(1-メトキシプロパン-2-イルオキシ)-5-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)安息香酸1(2 g, 5.26 mmol)/1,4-ジオキサン(25 mL)の室温の溶液に、PhCH2OH(0.66 mL, 6.31 mmol)、Et3N(1.03 mL, 7.36 mmol)および(PhO)2PON3(1.37 mL, 6.31 mmol)を連続的に添加した。該反応混合液を120℃で終夜撹拌した。揮発物を減圧除去して、該残渣をクロマトグラフィー((SiO2; 80 g; 40分間で100% ヘキサンから50:50 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで20分間のホールド)で処理して、パートAの化合物(2.12 g, 83%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (400 MHz, -CD3OD) δ ppm 7.90 (d, J=9.2 Hz, 2 H), 7.27 - 7.40 (m, 5 H), 7.14 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 6.96 (s, 1 H), 6.86 (s, 1 H), 6.35 (t, J=2.2 Hz, 1 H), 5.14 (s, 2 H), 4.49 - 4.56 (m, 1 H), 3.44 - 3.55 (m, 2 H), 3.36 (s, 3 H), 3.09 (s, 3 H), 1.25 (d, J=6.2 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 486, 保持時間= 3.50分.
【0153】
B.
【化30】

パートAの化合物(2.11 g, 4.35 mmol)/MeOH(30 mL)溶液に、10% Pd/C(0.211 g)をAr下において室温で、激しく撹拌しながら添加した。該反応液を1気圧のH2下で1時間撹拌し、次いでセライト(登録商標)のプラグを通して濾過した。該濾液を減圧濃縮してパートBの化合物(1.52 g, 100%)をベージュ色の粘着性の油状物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 352, 保持時間= 2.17分.
【0154】
C.
【化31】

パートBの化合物(40 mg, 0.114 mmol)/CH2Cl2(1.5 mL)の室温の溶液に、1,3-チアゾール-2-カルボニルクロリド(27 mg, 0.185 mmol)を添加し、続いてEt3N(59 μL; 0.426 mmol)を添加した。該反応混合液を室温で2時間撹拌し、次いでEtOAc(100 mL)で希釈し、H2O(10 mL)および食塩水(10 mL)で洗浄して、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2; 12 g; 25分にわたる100% ヘキサンから1:4 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで1:4 ヘキサン:EtOAcで5分間ホールド)で処理して、パートCの化合物(63 mg, 96%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 9.09 (s, 1 H), 7.87 - 7.92 (m, 3 H), 7.64 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 7.21 (s, 1 H), 7.13 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.08 (s, 1 H), 6.47 (s, 1 H), 4.52 - 4.59 (m, 1 H), 3.54 - 3.59 (m, 1 H), 3.47 - 3.52 (m, 1 H), 3.40 (s, 3 H), 3.05 (s, 3 H), 1.32 (d, J=6.0 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 463, 保持時間= 3.23分.
【0155】
実施例2から5
実施例2から5を、実施例1のパートBの化合物および適当な酸塩化物:
【化32】

からの実施例1の合成についての記載と同様の一般的な方法を用いて製造した。
実施例1から5の構造およびそのスペクトル特性解析を表1に示す。
【表1】

【0156】
実施例6
【化33】

A.
【化34】

ピリジン(15 mL)およびDMF(30 mL)中の1H-イミダゾール-4-カルボン酸(1.12 g, 9.99 mmol)の室温の溶液に、トリフェニルメチルクロリド(3.06 g, 11.0 mmol)を添加した。該反応混合液を室温で終夜撹拌し、次いでEtOAc(500 mL)およびH2O(50 mL)間に分配した。該有機相を、H2O(20 mL)、10%クエン酸(20 mL)および食塩水(5 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該残渣をEtOAcでトリチュレートして、1-トリチル-1H-イミダゾール-4-カルボン酸(2.78 g, 79%収率)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 観察されず, 保持時間= 3.27分.
【0157】
B.
【化35】

BOP(503 mg, 1.14 mmol)をパートAの化合物(403 mg, 1.14 mmol)/CH2Cl2(5 mL)の室温の溶液に添加し、続いてEt3N(0.32 mL; 2.28 mmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、実施例1のパートAの化合物(200 mg, 0.569 mmol)を添加した。該反応液を室温で72時間撹拌した; LCMSにより、実施例1のパートAの化合物が完全に消費されたことが示された。該クルードなパートBの化合物を、さらなる精製は行わずにそのまま次の工程に用いた。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 観察されず, 保持時間= 3.47分.
【0158】
C.
【化36】

TFA(5 mL)をクルードなパートBの化合物に添加し、該混合液を室温で10分間撹拌した。揮発物を減圧除去し、該残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 40 g; 30分にわたる100:0 ヘキサン:EtOAcから0:100 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで100% EtOAcで20分間ホールド)で処理して表題の化合物(215 mg, 85%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 7.93 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.77 (s, 2 H), 7.25 (s, 1 H), 7.20 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.16 (s, 1 H), 6.45 - 6.47 (m, 1 H), 4.56 - 4.61 (m, 1 H), 3.54 - 3.58 (m, 1 H), 3.49 - 3.53 (m, 1 H), 3.38 (s, 3 H), 3.11 (s, 3 H), 1.29 (d, J=6.0 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 446, 保持時間= 2.57分.
【0159】
実施例7から20
実施例7から20を、実施例6のパートAの化合物および適当なカルボン酸IIIb(スキーム 1):
【化37】

からの実施例6のパートBの化合物の合成についての記載と同様の一般的な方法を用いて製造した。
【0160】
実施例7から20の構造およびそのスペクトル特性解析を表2に示す。
【表2】

【表3】

【表4】

【0161】
実施例21
【化38】

TMSI(92 μL, 0.675 mmol)を、実施例6の化合物(60 mg, 0.135 mmol)/乾燥MeCN(0.6 mL)溶液に、Ar下において室温で添加した。該反応混合液を室温で終夜撹拌し、次いでH2O(5 mL)でクエンチし、揮発物を減圧除去した。該残渣を、EtOAc(10 mL)および1N HCl水溶液(5 mL)で希釈した。5分間撹拌した後、該水層を固体のK2CO3を用いてpH〜7-8に中和した。該水層をEtOAc(2 x 20 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて10%(w/v)のNa2S2O3.5H2O水溶液(10 mL)で洗浄し、残余ヨウ素を除去し、食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該粗生成物を、プレパラティブHPLC(YMC逆相ODS-A-5 μm 30 x 100 mm カラム; 流速= 40 mL/分、12分にわたる4:1 A:Bから100%溶媒Bの連続グラジエント、次いで100%Bでさらに4分間ホールド、ここで溶媒A = 90:10 H2O:MeOH、および溶媒B = 90:10 MeOH:H2O)により精製して、表題の化合物(31 mg, 53%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3/-CD3OD) δ ppm 7.78 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.61 (s, 1 H), 7.51 (s, 1 H), 7.13 (s, 1 H), 7.05 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.01 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 6.33 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 4.32 - 4.41 (m, 1 H), 3.59 - 3.65 (m, 1 H), 3.54 - 3.59 (m, 1 H), 3.25 (s, 3 H), 1.21 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 432, 保持時間= 2.46分.
【0162】
実施例22
【化39】

実施例21の合成についての記載と同様の方法を用いて、実施例18(30 mg; 0.063 mmol)から表題の化合物(27.5 mg; 94%収率; 白色の固形物)を製造した。 1H NMR (500 MHz, -CD3OD) δ ppm 7.93 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.67 (s, 1 H), 7.30 (s, 1 H), 7.17 - 7.22 (m, 3 H), 6.51 (s, 1 H), 4.43 - 4.52 (m, 1 H), 3.61 - 3.70 (m, 2 H), 3.11 (s, 3 H), 2.56 (s, 3 H), 1.29 (d, J=6.0 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 463, 保持時間= 3.09分.
【0163】
実施例23
【化40】

1,3-チアゾール-2-カルボニルクロリド(26 mg, 0.178 mmol)を、THF(1 mL)および飽和NaHCO3水溶液(1 mL)中の化合物24D(30 mg, 0.089 mmol)の混合液に、室温で添加した。該反応混合液を室温で終夜激しく撹拌した。該反応液をEtOAc(5 mL)で希釈した。層を分離させた。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(5 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。該粗残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 12 g; 25分にわたる100:0 ヘキサン:EtOAcから0:70% ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、70% EtOAcで15分間ホールド)で処理して表題の化合物(24.8 mg, 62%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 9.11 (s, 1 H), 7.88 - 7.94 (m, 3 H), 7.65 (d, J=3.3 Hz, 1 H), 7.27 (s, 1 H), 7.14 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.05 (s, 1 H), 6.45 - 6.48 (m, 1 H), 4.48 - 4.56 (m, 1 H), 3.69 - 3.79 (m, 2 H), 3.06 (s, 3 H), 1.31 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 449, 保持時間= 2.93分.
【0164】
実施例24
【化41】

A.
【化42】

150 mLのTHF中の3-ヒドロキシ-5-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)ベンゾエート2(3.7 g, 11.5 mmol)、(R)-(-)-1-ベンジルオキシ-2-プロパノール(2.5 g, 15 mmol)、ポリマー担持(polymer-supported)Ph3P(1 mmol/gで30 g, 30 mmol)の溶液に、DIAD(3.4 mL, 17.3 mmol)溶液をN2下において15分かけて滴加した(内部の温度を≦5℃に維持した)。該反応混合液を、終夜室温に昇温させ、次いで濾過した。該固形物をTHFおよびCH2Cl2で十分に洗浄した。濾液を合わせて減圧濃縮した。該混合物をシリカゲルカラムでのクロマトグアフィー(EtOAc/ヘキサン; 1:1)で処理して、6 gのわずかに不純なパートAの化合物(6g, 110%)を無色の油状物として得た。 [M+H]=471; 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.90 (2 H, d, J=8.79 Hz), 7.48 (1 H, s), 7.27 - 7.37 (6 H, m), 7.09 (2 H, d, J=8.79 Hz), 6.83 - 6.89 (1 H, m), 4.60 - 4.69 (1 H, m), 4.58 (2 H, s), 3.90 (3 H, s), 3.54 - 3.70 (2 H, m), 3.06 (3 H, s), 1.34 (3 H, d, J=6.15 Hz).
【0165】
B.
【化43】

THF(20 mL)中のパートA(6 g, 13 mmol)、LiOH(1.6 g, 39 mmol)およびH2O(50 mL)の溶液を室温で3時間撹拌した後、減圧濃縮した。該水溶液をエーテル(15 ml x 4)で洗浄し、濃HClを用いてpH=4に中和し、EtOAc(50 mL)で抽出した。該有機層をH2Oで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、減圧濃縮してパートBの化合物(5 g, 95%)を白色の固形物として得た。 [M+H]=457; 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.91 (2 H, d, J=8.79 Hz), 7.52 (1 H, s), 7.27 - 7.38 (6 H, m), 7.11 (2 H, d, J=8.79 Hz), 6.90 (1 H, t, J=2.20 Hz), 4.61 - 4.70 (1 H, m), 4.59 (2 H, s), 3.56 - 3.70 (2 H, m), 3.07 (3 H, s), 1.35 (3 H, d, J=6.59 Hz).
【0166】
C.
【化44】

パートBの化合物(630 mg, 1.38 mmol)/1,4-ジオキサン(6 mL)の室温の溶液に、PhCH2OH(0.17 mL, 1.66 mmol)、Et3N(0.27 mL, 1.93 mmol)および(PhO)2PON3(0.36 mL, 1.66 mmol)を連続して添加した。該反応混合液を120℃で終夜撹拌した後、室温に冷却した。揮発物を減圧除去し、該残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 120 g; 40分にわたる100% ヘキサンから1:1 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで1:1 ヘキサン:EtOAcで20分間ホールド)で処理して、パートCの化合物(571 mg, 74%収率)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 562, 保持時間= 3.96分.
【0167】
D.
【化45】

パートCの化合物(570 mg, 1.02 mmol)/MeOH(30 mL)の溶液に、10% Pd/C(57 mg, 0.536 mmol)を、Ar下において室温で、激しく撹拌しながら添加した。該反応液を1気圧のH2下で6時間撹拌し、次いでセライト(登録商標)を通して濾過した。該濾液を減圧濃縮してパートDの化合物(312 mg, 91%収率)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 338, 保持時間= 1.89分.
【0168】
E.
【化46】

BOP(104 mg, 0.236 mmol)を1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(30 mg, 0.236 mmol)/CH2Cl2(0.6 mL)溶液に室温で添加し、続いてEt3N(0.050 mL; 0.354 mmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、パートDの化合物(20 mg, 0.059 mmol)を添加した。該反応液を室温で48時間撹拌した後、そのままクロマトグラフィー(SiO2; 12 g; 10分にわたる20:80 ヘキサン:EtOAcから100% EtOAcの連続グラジエント、100% EtOAcで20分間ホールド)で処理して、パートEの化合物(32.2 mg, 92%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.70 (s, 1 H), 7.86 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.40 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 7.35 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 7.17 (s, 1 H), 7.07 - 7.13 (m, 3 H), 6.84 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 6.74 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 6.45 (s, 1 H), 4.72 - 4.81 (m, 1 H), 4.53 (dd, J=11.5, 6.6 Hz, 1 H), 4.39 (dd, J=11.5, 3.8 Hz, 1 H), 3.95 (d, J=2.7 Hz, 6 H), 3.05 (s, 3 H), 1.41 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 554, 保持時間= 3.03分.
【0169】
実施例25
【化47】

KOH(8 mg, 0.135 mmol)をMeOH(1 mL)/THF(1 mL)/H2O(0.5 mL)中の実施例24(30 mg, 0.054 mmol)の溶液に添加した。該反応液を室温で1時間撹拌し; 揮発物を減圧除去して、該残渣をEtOAc(50 mL)およびH2O(5 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(5 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。該粗残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 12 g; 10分にわたる100:0 ヘキサン:EtOAcから0:100% ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、100% EtOAcで20分間ホールド)で処理して、表題の化合物(7 mg, 32%収率)を無色の粘着性の油状物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.68 (s, 1 H), 7.89 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.40 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 7.30 (s, 1 H), 7.13 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.00 (s, 1 H), 6.84 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 6.41 (s, 1 H), 4.47 - 4.56 (m, 1 H), 3.95 (s, 3 H), 3.68 - 3.78 (m, 2 H), 3.05 (s, 3 H), 1.30 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 446, 保持時間= 2.72分.
【0170】
実施例26
【化48】

BOP(262 mg, 0.592 mmol)を2-メチル-1H-イミダゾール-4-カルボン酸一水和物(85 mg, 0.592 mmol)/ピリジン(1.5 mL)溶液に室温で添加し、続いてEt3N(0.12 mL; 0.888 mmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、実施例24のパートDの化合物(50 mg, 0.148 mmol)を添加した。該反応液を80℃で終夜加熱した後、室温に冷却した。揮発物を減圧除去して、該残渣をEtOAc(100 mL)およびH2O(10 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(5 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。該粗残渣を、プレパラティブHPLC(YMC 逆相ODS-A-5μm 30 x 100 mm カラム; 流速 = 40 mL/分、10分にわたる4:1 A:Bから100% 溶媒Bの連続グラジエント、次いで100% Bで2分間ホールド、ここで溶媒A = 90:10:0.1 H2O:MeOH:TFAおよび溶媒B = 90:10:0.1 MeOH:H2O:TFA)により精製して、表題の化合物(27.5 mg, 34%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, -CD3OD) δ ppm 7.91 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.63 (s, 1 H), 7.53 (s, 1 H), 7.26 (s, 1 H), 7.10 - 7.20 (m, 3 H), 6.50 (s, 1 H), 4.77 - 4.84 (m, 1 H), 4.40 - 4.45 (m, 1 H), 4.34 - 4.39 (m, 1 H), 3.10 (s, 3 H), 2.40 (s, 3 H), 2.34 (s, 3 H), 1.39 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 554, 保持時間= 2.16分.
【0171】
実施例27
【化49】

実施例25の合成について記載された方法に従って、KOHを用いて、実施例26(20 mg; 0.036 mmol)から表題の化合物(7.1 mg, 44%収率, 白色の固形物)を製造した。 1H NMR (400 MHz, -CD3OD) δ ppm 7.93 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.63 (s, 1 H), 7.17 - 7.25 (m, 3 H), 7.13 - 7.15 (m, 1 H), 6.48 (t, J=2.2 Hz, 1 H), 4.43 - 4.52 (m, 1 H), 3.61 - 3.70 (m, 2 H), 3.11 (s, 3 H), 2.40 (s, 3 H), 1.29 (d, J=6.2 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 446, 保持時間= 2.26分.
【0172】
実施例28
【化50】

LiOH.H2O(6 mg, 0.14 mmol)を、THF(0.4 mL)およびH2O(0.2 mL)中の実施例16(24 mg, 0.047 mmol)の溶液に、室温で添加した。該反応液を室温で終夜撹拌した後、EtOAc(50 mL)で希釈した。該有機相をH2O(3 x 20 mL)で抽出した。水層を合わせて、1N HCl水溶液を用いてpH〜3に調整し、EtOAc(3 x 50 mL)で抽出した、有機抽出物を合わせて食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。該粗生成物をプレパラティブHPLC(YMC 逆相ODS-A-5μm 30 x 100 mm カラム; 流速 = 40 mL/分、12分にわたる4:1 A:Bから100% Bの連続グラジエント、次いで100% Bで3分間ホールド; ここで、溶媒A = 90:10:0.1 H2O:MeOH:TFAおよび溶媒B = 90:10:0.1 MeOH:H2O:TFA)により精製して、表題の化合物(16.1 mg, 69%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, -CD3OD) δ ppm 9.24 (s, 1 H), 8.52 - 8.56 (m, 1 H), 8.28 (d, J=8.2 Hz, 1 H), 7.94 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.40 (s, 1 H), 7.29 (s, 1 H), 7.21 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 6.52 (s, 1 H), 4.57 - 4.66 (m, 1 H), 3.55 - 3.60 (m, 1 H), 3.50 - 3.55 (m, 1 H), 3.39 (s, 3 H), 3.11 (s, 3 H), 1.31 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 501, 保持時間= 3.29分.
【0173】
実施例29
【化51】

A.
【化52】

3-ヒドロキシ-5-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)安息香酸メチル2(1.25 g, 3.88 mmol)/CH2Cl2(20 mL)の室温の溶液に、イミダゾール(581 mg, 8.54 mmol)を添加し、続いてTBDPS-Cl(1.2 mL, 4.66 mmol)を添加した。該反応混合液を室温で終夜撹拌した後、EtOAc(200 mL)およびH2O(20 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 20 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。該残渣(ベージュ色の油状物)をクロマトグラフィー(SiO2; 120 g; 40分にわたるヘキサンから7:3 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、7:3 ヘキサン:EtOAcで20分間ホールド)で処理してパートAの化合物(1.98 g, 91%収率)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 561, 保持時間= 4.44分.
【0174】
B.
【化53】

LiOH.H2O(444 mg, 10.59 mmol)を、THF(24 mL)およびH2O(12 mL)中のパートAの化合物(1.98 g, 3.53 mmol)の溶液に、室温で添加した。該反応液を室温で終夜撹拌した。該反応液をEtOAc(50 mL)で希釈した。該有機層をH2O(3 x 20 mL)で抽出した。水層を合わせて1N HCl水溶液を用いてpH〜3に調整し、EtOAc(3 x 100 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮して、パートBの化合物(1.08 g, 99%)を白色の固形物として得た。1H NMR (500 MHz, -CD3OD) δ ppm 7.94 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.31 (s, 1 H), 7.17 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.14 (s, 1 H), 6.72 (s, 1 H), 3.11 (s, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 309, 保持時間= 2.25分.
【0175】
C.
【化54】

パートBの化合物(1.0 g, 3.24 mmol)/1,4-ジオキサン(16 mL)の室温の溶液に、ベンジルアルコール(0.40 mL, 3.89 mmol)、Et3N(0.63 mL, 4.54 mmol)および(PhO)2PON3(0.84 mL, 3.89 mmol)を撹拌しながら添加した。該反応混合液を120℃で終夜撹拌した後、室温に冷却した。揮発物を減圧除去し、該残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 120 g; 40分にわたるヘキサンから1:1 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで1:1 ヘキサン:EtOAcで20分間ホールド)で処理して、パートCの化合物(0.65 g, 49%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3/-CD3OD) δ ppm 7.83 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.28 - 7.38 (m, 5 H), 7.07 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 6.82 (s, 1 H), 6.54 - 6.59 (m, 1 H), 6.23 (s, 1 H), 5.14 (s, 2 H), 3.02 (s, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 414, 保持時間= 3.10分.
【0176】
D.
【化55】

パートCの化合物(150 mg, 0.36 mmol)/MeOH(10 mL)溶液に10% Pd/C(15 mg)を、Ar下において室温で、激しく撹拌しながら添加した。該反応液を1気圧のH2下で3時間撹拌した後、セライト(登録商標)を通して濾過した。揮発物を減圧除去して、パートDの化合物(95.9 mg, 95%収率)をベージュ色の固形物として得た。 LCMS メソッドA(ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 280, 保持時間= 1.57分.
【0177】
E.
【化56】

BOP(301 mg, 0.68 mmol)を、4-イミダゾールカルボン酸一水和物(76 mg, 0.68 mmol)/ピリジン(3 mL)溶液に室温で添加し、続いてEt3N(0.19 mL; 1.36 mmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、パートDの化合物(95 mg, 0.34 mmol)を添加した。該反応液を80℃で終夜加熱した; LC-MSにより出発物質が消滅したことが示された。該反応混合液をMeOH(2 mL)、THF(2 mL)およびH2O(1 mL)で希釈した。KOH(〜15 mg)を該反応液に添加し、それを室温で1時間撹拌した。揮発物を減圧除去し、該残渣をEtOAc(100 mL)およびH2O(10 mL)間に分配した。水層のpHを1N HCl水溶液を用いて〜8に調整した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(5 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。該粗生成物を、プレパラティブHPLC(YMC 逆相ODS-A-5μm 30 x 100 mmカラム; 流速 = 40 mL/分、10分にわたる4:1 A:Bから100% Bの連続グラジエント、100% Bで2分間ホールド、ここで、溶媒A = 90:10 H2O:MeOHおよび溶媒B = 90:10 MeOH:H2O)により精製して、パートEの化合物(34.2 mg, 27%)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, -CD3OD/CDCl3) δ ppm 7.86 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.71 (s, 1 H), 7.66 (s, 1 H), 7.59 (s, 1 H), 7.15 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.03 - 7.06 (m, 2 H), 6.30 (t, J=2.2 Hz, 1 H), 3.07 (s, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 374, 保持時間= 2.20分.
【0178】
F.
【化57】

トリチルクロリド(29.1 mg, 0.104 mmol)を、ピリジン(0.2 mL)およびDMF(0.4 mL)中のパートEの化合物(30 mg, 0.080 mmol)の溶液に室温で添加した。該反応液を室温で終夜撹拌した。揮発物を減圧除去した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2; 4 g; 20分にわたるヘキサンから1:4 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで1:4 ヘキサン:EtOAcで15分間ホールド)で処理して、パートFの化合物(39 mg, 79%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, -CD3OD) δ ppm 7.91 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.62 (s, 1 H), 7.57 (s, 1 H), 7.38 - 7.42 (m, 9 H), 7.14 - 7.19 (m, 8 H), 7.10 (s, 1 H), 6.98 (s, 1 H), 6.27 - 6.29 (m, 1 H), 3.09 (s, 3 H); LCMS メソッドB(ESI, 正/負イオンスペクトル): (M-H)/z = 614, 保持時間= 3.83分.
【0179】
G.
【化58】

パートFの化合物(32 mg, 0.052 mmol)/乾燥THF(0.5 mL)溶液に、ポリマー結合Ph3P(45 mg, 0.135 mmol, 3 mmol/g)および(R)-メチル 2-ヒドロキシ-プロパノエート(7.45 μL, 0.078 mmol)をAr下において室温で添加した。次いで、DIAD(0.018 mL, 0.094 mmol)を0℃で滴加した。該反応液を室温に昇温させて2時間撹拌した。該樹脂を濾過して除去し、10 mLのTHFで洗浄した。濾液を合わせて減圧濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2; 4 g; 20分にわたるヘキサンから3:7 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで3:7 ヘキサン:EtOAcで15分間ホールド)で処理して、パートGの化合物(28.8 mg, 79%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.95 (s, 1 H), 7.87 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.59 (s, 1 H), 7.40 (s, 1 H), 7.32 - 7.37 (m, J=4.9 Hz, 9 H), 7.07 - 7.15 (m, 10 H), 6.36 (s, 1 H), 4.71 - 4.82 (m, 1 H), 3.76 (s, 3 H), 3.04 (s, 3 H), 1.60 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 702, 保持時間= 3.96分.
【0180】
H.
【化59】

CH2Cl2(0.6 mL)中のパートGの化合物(26 mg, 0.037 mmol)およびTFA(0.3 mL)の溶液を室温で10分間撹拌した。揮発物を減圧でエバポレートし、該残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 4 g; 15分にわたるヘキサンから95:5 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで95:5 ヘキサン:EtOAcで15分間ホールド)で処理して、表題の化合物(9.5 mg, 56%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.59 (s, 1 H), 8.19 (s, 1 H), 7.81 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.10 (s, 1 H), 7.04 (d, J=8.2 Hz, 2 H), 6.92 (s, 1 H), 6.33 (s, 1 H), 4.78 (q, J=6.6 Hz, 1 H), 3.78 (s, 3 H), 3.03 (s, 3 H), 1.60 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 460, 保持時間= 2.44分.
【0181】
実施例30
【化60】

A.
【化61】

乾燥DMF(100 ml)中の3,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル(2.5 g, 14.9 mmol)、1-フルオロ-4-(メチルスルホニル)ベンゼン(5.18 g, 29.8 mmol)および無水K2CO3(8.23g, 59.6 mmol)の溶液を120℃で10時間加熱した後、室温に冷却し、濾過した。該固形物をCH2Cl2(100 mL)で洗浄し、濾液を合わせて減圧濃縮した。該残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 80 g; 40分にわたる100% ヘキサンから100% EtOAcの連続グラジエント)で処理して、パートAの化合物(6.1 g)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 477, 保持時間= 2.99分.
【0182】
B.
【化62】

THF(10 mL)/H2O(5 mL)中のパートAの化合物(2.3 g, 4.83 mmol)、およびLiOH.H2O(4.1 g, 97.5 mmol)の室温の溶液を2時間撹拌した。該反応液を、1N HCl水溶液を用いてpH〜1に酸性化し、EtOAc(3 x 15 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(30 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮して、パートBの化合物(2.2 g)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドB(ESI, 正および負イオンスペクトル): (M-H)/z = 461, 保持時間= 1.43分.
【0183】
C.
【化63】

パートBの化合物(1 g, 2.16 mmol)/1,4-ジオキサン(10 mL)の室温の溶液に、ベンジルアルコール(0.27 mL, 2.59 mmol)、Et3N(0.422 mL, 3.03 mmol)および(PhO)2PON3(0.562 mL, 2.59 mmol)を添加した。該反応混合液を120℃で終夜撹拌した後、室温に冷却して減圧濃縮した。該残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 120 g; 35分にわたる100% ヘキサンから40:60 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで40:60 ヘキサン:EtOAcで25分間ホールド)で処理して、パートCの化合物(782 mg, 64%収率)を白色の固形物として得た。1H NMR (400 MHz, DMF-d7) δ ppm 10.13 (s, 1 H), 7.95 - 8.08 (m, 5 H), 7.26 - 7.47 (m, 10 H), 6.69 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 3.50 (d, J=2.2 Hz, 2 H), 3.26 (d, J=2.2 Hz, 6 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 568 保持時間= 3.42分.
【0184】
D.
【化64】

THF(10 mL)およびMeOH(30 mL)中のパートCの化合物(780 mg, 1.374 mmol)の室温の溶液に、Ar下において10% Pd/C(78 mg)を添加した。該反応液を1気圧のH2下において1時間撹拌し、次いでセライト(登録商標)を通して濾過した。該濾液を減圧濃縮して、パートDの化合物(597 mg, 100%収率)をベージュ色の固形物として得た。LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 434, 保持時間= 2.54分.
【0185】
E.
【化65】

室温で、CH2Cl2(1.0 mL)およびEt3N(0.014 mL, 0.104 mmol)中の5-メチルチアゾール-2-カルボン酸ナトリウム(17.1 mg, 0.104 mmol)の溶液にEDAC(19.90 mg, 0.104 mmol)を添加し、続いてHOBT(14 mg, 0.104 mmol)およびDMAP(0.85 mg, 6.92 μmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、パートDの化合物(30 mg, 0.069 mmol)を添加した。該反応混合液を室温で終夜撹拌した; LC-MSによりほとんどの出発物質が目的の生成物に変換されたことが示された。該反応液をEtOAc(100 mL)およびH2O(10 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2; 4 g; 40分にわたる100% ヘキサンから100% EtOAcの連続グラジエント、次いで100% EtOAcで10分間ホールド)で処理して、表題の化合物(3.6 mg, 7%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.02 (s, 1 H), 7.91 - 7.96 (m, 4 H), 7.79 (s, 1 H), 7.60 (d, J=2.2 Hz, 2 H), 7.27 - 7.32 (m, 4 H), 6.74 (t, J=2.2 Hz, 1 H), 3.21 (s, 6 H), 2.53 (s, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 559, 保持時間= 3.30分.
【0186】
実施例31
【化66】

実施例29Eの合成についての記載と同様の方法を用いて、実施例30のパートDの化合物(40 mg; 0.092 mmol)から化合物31(21.6 mg; 44%収率; 白色の固形物)を製造した。 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.22 (s, 1 H), 7.93 (d, J=8.8 Hz, 4 H), 7.80 (s, 1 H), 7.78 (s, 1 H), 7.63 (d, J=2.2 Hz, 2 H), 7.28 (d, J=8.8 Hz, 4 H), 6.64 (t, J=2.2 Hz, 1 H), 3.20 (s, 6 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 528, 保持時間= 2.52分.
【0187】
実施例32
【化67】

A.
【化68】

CH2Cl2(1.2 mL)中のクロロオキソ酢酸エチル(16 μL; 0.148 mmol)、実施例1のパートBの化合物(40 mg, 0.114 mmol)およびEt3N(48 μL; 0.34 mmol)の溶液を室温で2時間撹拌した。該反応混合液をクロマトグラフィー(SiO2; 12 g; 25分にわたる100% ヘキサンから3:7 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで3:7 ヘキサン:EtOAcで10分間ホールド)で処理して、パートAの化合物(40.2 mg, 78%収率)を淡黄色の油状物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.83 (s, 1 H), 7.89 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.10 - 7.14 (m, 3 H), 6.99 (s, 1 H), 6.48 (s, 1 H), 4.49 - 4.56 (m, 1 H), 4.38 - 4.43 (m, 2 H), 3.54 - 3.58 (m, 1 H), 3.46 - 3.50 (m, 1 H), 3.39 (s, 3 H), 3.05 (s, 3 H), 1.41 (t, J=7.1 Hz, 3 H), 1.30 (d, J=6.6 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 452, 保持時間= 3.04分.
【0188】
B.
【化69】

エチルアミン(1.0 mL, 2.0 M/CH3OH)を、実施例32のパートAの化合物(21.8 mg, 0.048 mmol)に添加した。該反応混合液を室温で終夜撹拌した。揮発物を減圧除去し、該残渣をクロマトグラフィー(SiO2; 4 g; 20分にわたる100% ヘキサンから1:4 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで1:4 ヘキサン:EtOAcで10分間ホールド)で処理して、表題の化合物(24.6 mg, 100%)を淡黄色の油状物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 9.23 (s, 1 H), 7.89 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.46 (s, 1 H), 7.08 - 7.13 (m, 3 H), 7.01 (s, 1 H), 6.45 - 6.47 (m, 1 H), 4.47 - 4.55 (m, 1 H), 3.53 - 3.58 (m, 1 H), 3.46 - 3.50 (m, 1 H), 3.37 - 3.44 (m, 5 H), 3.05 (s, 3 H), 1.30 (d, J=6.0 Hz, 3 H), 1.23 (t, J=7.1 Hz, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 451, 保持時間= 3.00分.
【0189】
実施例33
【化70】

実施例32の合成についての記載と同様の方法を用いて、実施例32のパートAの化合物およびNH3/MeOH(1 mLの1.0 M溶液)から表題の化合物(15 mg; 95%収率; 黄褐色の固形物)を製造した。 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 9.18 (s, 1H), 7.89 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.36 (s, 1H), 7.11 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.09 (ブロードのs, 1H), 7.02 (ブロードのs, 1H), 6.47 (s, 1H), 5.79 (s, 1H), 4.56 - 4.48 (m, 1H), 3.56 (dd, 1H, J = 10.5, 6.1 Hz), 3.49 (dd, 1H, J = 10.5, 4.4 Hz), 3.39 (s, 3H), 3.05 (s, 3H), 1.31 (d, 3H, J = 6.1 Hz) ppm; LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 423, 保持時間= 2.70分.
【0190】
実施例34
【化71】

A.
【化72】

BBr3(8.62 mLの1.0 M溶液/CH2Cl2; 8.62 mmol)を、1-ブロモ-3-メトキシ-5-ニトロベンゼン(500 mg, 2.16 mmol)/CH2Cl2(5 mL)溶液に-20℃で添加した。該反応液を室温に昇温させて室温で終夜撹拌した後、MeOH(30 mL)で慎重にクエンチし、室温で1時間撹拌した。揮発物を減圧除去して、クルードなパートAの化合物を茶色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 7.94 (s, 1 H), 7.62 - 7.64 (m, 1 H), 7.33 (s, 1 H), 5.84 (s, 1 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 220, 保持時間= 3.14分.
【0191】
B.
【化73】

パートAの化合物(469 mg, 2.15 mmol)/DMF(4 mL)溶液に、1-フルオロ-4-(メチルスルホニル)ベンゼン(562 mg, 3.23 mmol)を室温で添加し、続いてK2CO3(891 mg, 6.45 mmol)を添加した。該混合液を120℃で48時間加熱した後、室温に冷却した。該混合液をEtOAc(50 mL)で希釈し、H2O(20 mL)および食塩水(2 x 10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該残余の赤色の油状物をクロマトグラフィー(SiO2; 40 g; 40分にわたる100% ヘキサンから2:3 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで2:3 ヘキサン:EtOAcで10分間ホールド)で処理して、パートBの化合物(474 mg, 59%収率)をベージュ色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 374, 保持時間= 3.23分.
【0192】
C.
【化74】

DME(1.6 mL)/H2O(0.4 mL)中のパートBの化合物(120 mg, 0.322 mmol)の脱気した溶液に、2-フルオロピリジン-4-イルボロン酸(91 mg, 0.645 mmol)、K2CO3(89 mg, 0.645 mmol)および(Ph3P)4Pd(0)(18.6 mg, 0.016 mmol)を連続的に添加した。該反応液をEmrys Optimizer(登録商標)(マイクロ波)において150℃で15分間加熱した後、室温に冷却した。該反応混合液をEtOAc(100 mL)およびH2O(10 mL)間に分配した。該有機相を食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2; 12 g; 25分にわたる100% ヘキサンから1:1 ヘキサン:EtOAcの連続グラジエント、次いで1:1 ヘキサン:EtOAcで15分間ホールド)で処理して、パートCの化合物(100 mg, 80%収率)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 389, 保持時間= 2.99分.
【0193】
D.
【化75】

鉄粉末(iron dust)(71.9 mg, 1.29 mmol)を、パートCの化合物(100 mg, 0.257 mmol)/AcOH(2.5 mL)懸濁液に添加した。該反応混合液を室温で終夜撹拌した後、EtOAc(100 mL)およびH2O(10 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて飽和NaHCO3水溶液(10 mL)および食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮して、パートDの化合物(96.8 mg, 100%)をベージュ色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 359, 保持時間= 2.52分.
【0194】
E.
【化76】

パートDの化合物(60 mg, 0.167 mmol)および1N NaOH水溶液(1.5 mL)の混合液を、Emrys Optimizer(登録商標)(マイクロ波)において160℃で15分間加熱した後、室温に冷却し、EtOAc(50 mL)およびH2O(5 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 20 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮して、パートEの化合物(53.2 mg, 89%収率)を白色の固形物として得た。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 357, 保持時間= 1.85分.
【0195】
F.
【化77】

5-メチルチアゾール-2-カルボン酸ナトリウム(18.5 mg, 0.112 mmol)/ピリジン(0.5 mL)溶液に、BOP(49.6 mg, 0.112 mmol)を室温で添加し、続いてEt3N(31 μL; 0.224 mmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、パートEの化合物(20 mg, 0.056 mmol)を添加し、該反応液を80℃で終夜加熱し、その後、室温に冷却した。揮発物を減圧除去し、該残渣をEtOAc(50 mL)およびH2O(5 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて飽和NaHCO3水溶液(10 mL)および食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2; 4 g; 20分にわたる100% CH2Cl2から9:1 CH2Cl2:MeOHの連続グラジエント、次いで9:1 CH2Cl2:MeOHで15分間ホールド)で処理して、表題の化合物(1.2 mg, 5%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3/-CD3OD) δ ppm 7.85 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.63 - 7.70 (m, 2 H), 7.53 (s, 1 H), 7.23 - 7.33 (m, 2 H), 7.10 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.01 (s, 1 H), 6.68 (s, 1 H), 6.46 - 6.52 (m, 1 H), 3.02 (s, 3 H), 2.51 (s, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 482, 保持時間= 3.01分.
【0196】
実施例35
【化78】

1H-イミダゾール-4-カルボン酸(37.5 mg, 0.335 mmol)/ピリジン(1.5 mL)溶液に、BOP(148 mg, 0.335 mmol)を室温で添加し、続いてEt3N(93 μL; 0.67 mmol)を添加した。室温で10分間撹拌した後、実施例34のパートDの化合物(60 mg, 0.167 mmol)を添加した。該反応液を80℃で4時間加熱した後、室温に冷却した。揮発物を減圧除去し、該残渣をEtOAc(50 mL)およびH2O(5 mL)間に分配した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて飽和NaHCO3水溶液(10 mL)および食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2; 12 g; 30分にわたる100% CH2Cl2から95:5 CH2Cl2:MeOHの連続グラジエント、次いで95:5のCH2Cl2:MeOHで15分間ホールド)で処理して、表題の化合物(72.7 mg, 96%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, -CD3OD/CDCl3) δ ppm 8.23 (d, J=5.5 Hz, 1 H), 7.89 - 7.94 (m, 3 H), 7.75 (s, 1 H), 7.70 (s, 1 H), 7.68 (s, 1 H), 7.55 (s, 1 H), 7.50 (d, J=5.5 Hz, 1 H), 7.20 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.15 (s, 1 H), 3.09 (s, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 453, 保持時間= 2.65分.
【0197】
実施例36
【化79】

実施例35の化合物(25 mg, 0.055 mmol)を1N NaOH水溶液(0.3 mL)に溶解させ、該反応液をEmrys Optimizer(登録商標)(マイクロ波)において140℃で6分間加熱した後、室温に冷却し、EtOAc(50 mL)で希釈した。該水層をEtOAc(2 x 10 mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(10 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)て減圧濃縮した。該粗生成物をプレパラティブHPLC(YMC 逆相 ODS-A-5μm 30 x 100 mm カラム; 流速= 40 mL/分、12分にわたる4:1 A:Bから100% Bの連続グラジエント、次いで100% Bで3分間ホールド、ここで溶媒A = 90:10:0.1 H2O:MeOH:TFAおよび溶媒B = 90:10:0.1 MeOH:H2O:TFA)により精製して、表題の化合物(6.4 mg, 26%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (500 MHz, -CD3OD) δ ppm 8.77 (s, 1 H), 8.15 (s, 1 H), 7.97 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.88 (s, 1 H), 7.71 (s, 1 H), 7.53 (d, J=7.1 Hz, 1 H), 7.22 - 7.28 (m, 3 H), 6.77 (s, 1 H), 6.71 (d, J=7.1 Hz, 1 H), 3.12 (s, 3 H); LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 451, 保持時間= 2.14分.
【0198】
実施例37
【化80】

A.
【化81】

乾燥DMF(100 ml)中の3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール(207 mg, 1.0 mmol)、1-フルオロ-4-(メチルスルホニル)ベンゼン(523 mg, 3.0 mmol)および無水K2CO3(414 mg, 3.0 mmol)の溶液を、120℃で3時間加熱した。該反応液を室温に冷却し、濾過してCH2Cl2(100 mL)で洗浄した。該濾液を減圧濃縮した。該粗物質をクロマトグラフィー(SiO2; 40 g; EtOAc/ヘキサン)で処理して、パートAの化合物(361 mg, 100%収率)を白色の固形物として得た。 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.06 - 7.96 (m, 2 H), 7.28 - 7.22 (m, 5 H), 3.06 (s, 3H) ppm; LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 362, 保持時間= 3.24分.
【0199】
B.
【化82】

MeOH(3 mL)中のパートAの化合物(361 mg, 1.0 mmol)およびPd/C(10%, 50 mg)の溶液を、H2雰囲気下において1時間撹拌した。該反応液をCH2Cl2(10 mL)で希釈し、セライト(登録商標)を通して濾過した。該濾液を濃縮して、クルードなパートBの化合物を黄褐色の固形物として得た(331 mg, 100%収率)。この物質をさらなる精製は行わずに次の工程に用いた。 LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 332, 保持時間= 2.99分.
【0200】
C.
【化83】

実施例1の合成について記載された方法に従って、パートBの化合物(33.1 mg; 0.1 mmol)とチアゾール-2-カルボニルクロリド(19 mg, 0.13 mmol)の反応により、パートCの化合物(41 mg, 95%収率, 白色の固形物)を製造した。 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 9.29 (s, 1H), 8.00 - 7.91 (m, 3H), 7.82 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.69 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.16 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.12 (s, 1H), 3.08 (s, 3H); HPLC メソッド B; 保持時間= 6.83分; LCMS メソッドA (ESI, 正イオンスペクトル): (M+H)/z = 433, 保持時間= 3.47分.
【0201】
参考
1. 必要な(S)-3-(1-メトキシプロパン-2-イルオキシ)-5-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)安息香酸は、WO 2005/121110およびWO 2005/080359において公知の方法に従って製造した。
2. 必要な3-ヒドロキシ-5-(4-(メチルスルホニル)フェノキシ)安息香酸メチルは、WO 2005/121110において公知の方法に従って製造した。
【0202】
(アッセイおよび生物学的データ)
本明細書の実施例に記載の化合物を含む本発明の式Iの化合物を以下のアッセイで試験し、グルコキナーゼの活性化薬であることを示した。一般に、本発明の化合物、例えば実施例に開示の特定の化合物は、100 μM、好ましくは10 μM、より好ましくは1 μMと同等、またはそれよりも強い濃度でグルコキナーゼの活性を亢進することが確認され、それにより、本発明の化合物がグルコキナーゼの活性の特に効果的なエンハンサーであることが示される。効力は、EC50(完全な活性化の50%を達成する濃度)および/またはバックグラウンドを超える最大活性化パーセントとして計算および表現することができ、以下に記載のアッセイ系を用いて測定された活性を言う。
【0203】
本明細書の実施例に記載の化合物を含む本発明の式Iの化合物を以下のアッセイで試験し、グルコキナーゼの活性化薬であることを示した。
【0204】
グルコキナーゼタンデム酵素アッセイ
別々の期間、GK、ATP、およびグルコースをインキュベートした後にEDTA(エチレンジアミン四酢酸)でクエンチすることにより、ヒトグルコキナーゼ(GK)の酵素活性を測定した。次いでG6P脱水素酵素を用いて検出アッセイを行い、チオNAD(チオ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)からチオNADH(チオ-ジヒドロニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)への変換を405 nmの波長で測定することにより、生成物グルコース-6-ホスフェート(G6P)の相対量を測定した。この「脱共役(uncoupled)」酵素反応が、GK「タンデム」アッセイとして示される。化合物によるGKの活性化は、このアッセイを用いて評価することができる。5および12 mMのグルコースで、0から100 μMの濃度範囲の活性化薬の化合物を用いて、以下に記載のGKタンデムアッセイ方法に従った。透明な底の384ウェル黒色マイクロタイタープレート中で、5または12 mMのグルコースとともに、ヒト全長グルコキナーゼ(GK, 15 nM)をインキュベートした。GK反応を開始させるため、マグネシウム-ATP(最終濃度3 mM)を、バッファー(25 mM HEPESバッファー、pH 7.1、1 mMジチオスレイトールおよび5% DMSO含有の最終バッファー条件)中のGKに添加した。該総反応容量は20 μLであった。該反応を10分間行った後、5 μLのEDTAでクエンチした; (最終45 mM)。次いで、検出反応の成分であるチオNADおよびG6PDH(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)(各々、最終濃度650 μMおよび3.33ユニット)を、25 μLの容量中に一緒に添加した(総容量50 μLになるように)。Spectramax Plus 384吸光プレートリーダー(Molecular Devices)において405 nmで吸光度測定を行った。吸光度を読み、バックグラウンドのグルコース-6-ホスフェート濃度を減じ、その後、コントロール活性の割合として活性化を算出した。コントロール活性は、ビヒクル(DMSO)の存在下でGKを用い、バックグラウンドのグルコース-6-ホスフェートを減じることにより、決定した。バックグラウンドのグルコース-6-ホスフェートは、ATPによる反応の開始の前にEDTAでGKを先にクエンチすることにより決定した。
【0205】
ヒトGKの発現および精製
全長ヒト肝臓GK(未標識)を、Mookhtiar et al. (1)による記載の通り、BL21 STAR (DE3)pLysS細胞(Invitrogen)中において25℃で発現させた。Lange (2)による記載(わずかに改変して)のとおり、タンパク質を実質的に精製した。簡単に言うと、3回の凍結および解凍を介して細胞ペレットを溶解させ、15000gで遠心分離して清澄化し、40-65%の(NH4)2SO4で沈殿させた。得られたペレットをバッファー中に懸濁させ、透析し、Q-Sepharose(Sigma)カラムに直接アプライし、続いて、直線的な100-600 mM KClグラジエントで溶離した。GK含有画分をプールし、25 mM Hepes pH 7.2/1 mM MgCl2/1 mM EDTA/0.1 M KCl/1 mM DTTに対して終夜透析し、その後、10%グリセロールを添加した同一のバッファーで再び透析した。
【0206】
引用文献
1. Mookhtiar, K.A. et al., “Heterologous expression and characterization of rat liver glucokinase regulatory protein”, Diabetes, 45:1670-1677 (1996).
2. Lange, A.J. et al., “Expression and site-directed mutagenesis of hepatic glucokinase”, Biochem. J., 277:159-163 (1991).
【0207】
選択した実施例の生物学的データを以下の表に示す。
【表5】

他の実施例については、EC50値を活性化曲線から算出することができなかったので、いくつかの選択された実施例についての最大活性化データ(基礎活性化の%として表される)を以下の表に示す。
【表6】

【0208】
In Vivo研究: 経口グルコース負荷試験(OGTT)
実験の前に高脂肪食(脂肪からのkcal 60%)を26週間与えた雄のDIO(食餌誘導性肥満)C57BL/6Jマウスにおいて、経口グルコース負荷試験を行った。実験に用いる前に、マウスを終夜絶食させた。試験化合物またはビヒクル(10%ジメチルアセトアミド + 10%エタノール + 10%クレモフォア + 70%水)を、グルコース溶液の経口投与の60分前に、経口で、2 g/kg体重の用量で与えた(経口グルコース負荷試験; OGTT)。グルコースの投与前および投与後の異なる時点(2時間の経時変化)で採取した尾部採血サンプルから、血糖値を測定した。血糖の時間曲線を作成し、0〜120分の曲線下面積(ΔAUC)のベースラインからの変化を算出した(グルコース投与持を0時間とする)。実施例6は、上記のDIOマウスでのOGTT試験におけるグルコースAUC濃度を30 mg/kgの用量で66%減少させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

(式中、Qは、
【化2】

であるか、あるいは、
Qは、
【化3】

である)
を有する化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル;
[上記式中、該R1環は単環式または二環式ヘテロアリール環であり、カルボニル連結-環内炭素に隣接した窒素原子を含有し、N、OまたはSから選択される1から5個のさらなるヘテロ原子を適宜、およびR4またはR5から独立して選択される1または2個のさらなる置換基(それらは同一であるかまたは異なっていてよい)を適宜有しており、そして、置換基が該環のN原子に結合している場合、第四級窒素中心が形成されておらず;
R4およびR5は同一であるかまたは異なっており、独立して、H、アルキル、ハロゲン、CN、-C(O)NR7R8、-CO2R9、または-L-M-Qa-から選択され;
Lは独立して、O、S、SO2、またはNR9aから選択されるか、あるいは非存在であり;
MはOH、NH2で適宜置換されたC1-4アルキル、またはC2-5アルキレンから選択されるか、あるいは非存在であり;
Qaは独立して、ハロゲン、-OR9b、-NR7R8、-CO2H、-CO2R9c、-C(O)NR7R8、CN、N-結合アミド(-NR7C(O)R8)、N-結合スルホンアミド(-NR9SO2R10)、N-結合カルバメート(-NR8CO2R10)、O-結合カルバメート(-OCONR7R8)、N-結合ウレア(-NR9C(O)NR7R8)、または両者ともVから選択される1個以上の基で適宜置換されたアリールもしくはヘテロアリールから選択され;
Vは独立して、ハロゲン、-OR9、-NR7R8、-CO2H、-CO2R7、-C(O)NR7R8、CN、N-結合アミド(-NR7COR8)、N-結合スルホンアミド(-NR9SO2R10)、N-結合カルバメート(-NR8COOR10)、N-結合ウレア(-NR9CONR7R8)、またはスルホンアミド(-SO2NR7R8)から選択され、得られた基-L-M-Qa-は化学的に不安定な基でなく;
R6はH、OH、C1-6アルキル、ハロゲン、CN、-C(O)NH2またはカルボキシルであるか、あるいは非存在であり;
R7およびR8 (各々、どの基の一部であっても)は同一であるかまたは異なっており、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから選択されるか、あるいはR7およびR8は一緒に環化して3-から7-員ヘテロ環を形成し;
R9およびR9c(各々、どの基の一部であっても)は、独立して、H、アルキル、アリール、またはアリールアルキルから選択され;
R10(どの基の一部であっても)は、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアリールアルキルから選択され;
R2およびR3は同一であるかまたは異なっており、独立してY-Z-から選択され;
各-Z-は独立して、直結、または-O-、-N(R9)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、もしくは-C(O)- から選択されるリンカー原子、または式-(CH2)p-C(R11)2-(CH2)q-の基から選択され;
各Yは独立して、アリール-Z1-、ヘテロアリール-Z1、またはヘテロシクリル-Z1-から選択され、ここで該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは環窒素もしくは環炭素を介してZ1に結合しているか; あるいは、
Yは独立して、C3-7シクロアルキル-Z1-、C1-6アルキル-Z1-、C2-6-アルケニル-Z1-、C2-6-アルキニル-Z1-、-Z1-CH(CH3-aFa)2、または-Z1-(CH2)0-4CH3-aFaから選択され;
ここで、各Yは独立して、最大3個のR12基で適宜置換されており;
各R12は独立して、ハロゲン、-CH3-aFa、CN、NO2、NH2、C1-6アルキル、OC1-6アルキル、-COOH、OH、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、-S-R10、-S(O)-R10、-SO2R9、-SO2NR7R8、-NR7R8、-CO2R9、-C(O)N7R8、N-結合アミド(-NR7C(O)R8)、N-結合スルホンアミド(-NR9SO2R10)、N-結合カルバメート(-NR8CO2R10)、O-結合カルバメート(-OCONR7R8)、N-結合ウレア(-NR9C(O)NR7R8)、-(CH2)p-PO(OR7)(OR8)、-(CH2)p-PO(OR7)R8、-(CH2)p-O-PO(OR7)R8、-(CH2)pO-PO-(R7)R8、-(CH2)p-P(O)R7R8、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルから選択され;
ここでYまたはR12中の、各フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリル環は、ハロゲン、=O、=S、C1-6アルキル、-CH3-aFa、CN、NO2、NH2、-COOH、OH、C1-6アルキル、-OC1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-NR7aR8a、-C(O)NR7aR8a、N-結合アミド(-NR7aCOR8a)、N-結合スルホンアミド(-NR9aSO2R10a)、N-結合カルバメート(-NR8aCOOR10a)、N-結合ウレア(-NR9aCONR7aR8a)、スルホンアミド(-SO2NR7aR8a)、-(CH2)p-PO(OR7a)(OR8a)、-(CH2)p-PO(OR7a)R8a、-(CH2)p-O-PO(OR7a)R8a、-(CH2)pO-PO-(R7a)R8a、または-(CH2)p-P(O)R7aR8aにより適宜置換されており;
各-Z1-は独立して、直結、または-O-、-N(R9)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、もしくは-C(O)-から選択されるリンカー原子、または式-(CH2)p-C(R11)2-(CH2)q-の基から選択され;
R11は独立して、水素、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、またはC2-4アルキル-O-C1-4アルキルから選択され;
各aは、1、2、3から独立して選択される整数であり;
pは、0、1または2から独立して選択される整数であり;
qは、0、1または2から独立して選択される整数であり;そして、
p+q<4であり;
R7aおよびR8aは同一であるかまたは異なっており、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルから選択されるか、あるいはR7aおよびR8aは一緒に環化して3-から7-員ヘテロシクロを形成し;
R9aおよびR9bは、独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、またはヘテロアリールアルキルから選択され; そして、
R10aは、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアリールアルキルから選択される]。
【請求項2】
構造:
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項3】
QがN-含有ヘテロアリール環であるR1環を含む請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項4】
Qが-C(O)NR7R8である請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項5】
該R1環が、硫黄、酸素および/または窒素から選択される1、2もしくは3個のさらなるヘテロ原子を適宜含む、窒素含有の5-または6-員単環式ヘテロアリール環である請求項3に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項6】
該ヘテロアリール環が、
1個の窒素原子;
1個の窒素原子と1個の硫黄原子;
2個の窒素原子; または、
3個の窒素原子、
を含む請求項5に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項7】
該R1環が、硫黄、酸素および/または窒素から選択される1、2もしくは3個のさらなるヘテロ原子を含む、窒素含有の8-または9-員二環式ヘテロアリール環である請求項3に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項8】
該8-または9-員二環式ヘテロアリール環が、
2個の窒素原子;
2個の窒素原子と1個の硫黄原子; または、
1個の窒素原子と1個の硫黄原子、
を含む請求項7に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項9】
R4およびR5が同一であるかまたは異なっており、独立して、アルキル、アリールアルキル、アルコキシカルボニルもしくはカルボキシルから選択される、請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項10】
Qが、
【化5】

である請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項11】
該R2がY-Z-(ここでZはOまたは結合である)であり; そして、
YがC1-6アルキル-Z1-(ここでZ1は結合である)、アリール-Z1-(ここでZ1は結合である)、ヘテロシクリル-Z1-(ここでZ1は結合である)、もしくはヘテロアリール-Z1-(ここでZ1は結合である)である、
請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項12】
該R2基が
【化6】

である請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項13】
R3がY-Z-(ここでZは結合である)であり、そして、
YがアリールZ1(ここでZ1はOである)である、
請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項14】
R3が、
【化7】

である請求項13に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項15】
R6がHである請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項16】
R1が、
【化8】

であり、
R2が、
【化9】

であり;
R3が、
【化10】

であり; そして、
R6がHである、
請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項17】
該化合物が、
【化11】

である請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル、および医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステル、および別の治療薬を含有する医薬組成物であって、該治療薬が抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗高インスリン薬、抗網膜症薬、抗神経障害薬、抗腎障害薬、抗アテローム性動脈硬化薬、抗感染症薬、抗虚血薬、抗高血圧症薬、抗肥満症薬、抗脂質異常症薬、抗高脂血症薬、抗高トリグリセリド血症薬、抗高コレステロール血症薬、抗虚血薬、抗癌薬、抗細胞傷害薬、抗再狭窄薬、膵臓治療薬、脂質低下薬、食欲抑制薬、記憶増強薬、または認知薬である、該医薬組成物。
【請求項20】
グルコキナーゼ活性化薬療法が必要とされる疾患の治療、予防、または進行の遅延のための方法であって、治療を必要とする哺乳動物患者に、治療上有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステルを投与することを含む、該方法。
【請求項21】
該疾患が糖尿病、高血糖症、耐糖能障害、インスリン耐性、高インスリン血症、網膜症、神経障害、腎障害、創傷治癒の遅延、アテローム性動脈硬化症もしくはその続発症、心機能の異常、心筋虚血、脳卒中、メタボリックシンドローム、高血圧症、肥満症、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、高LDL、非心虚血、感染症、癌、血管再狭窄、膵炎、神経変性疾患、脂質障害、認知障害もしくは認知症、骨疾患、HIVプロテアーゼ関連リポジストロフィー、または緑内障である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療を必要とする哺乳動物患者に、治療上有効な量の、請求項1に記載の式Iの化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステルを投与することを含む、グルコキナーゼ酵素を活性化する方法。
【請求項23】
治療を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーを含む全ての立体異性体、あるいはそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグエステルを投与することを含む、II型糖尿病の治療方法。

【公表番号】特表2010−534722(P2010−534722A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520074(P2010−520074)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/070962
【国際公開番号】WO2009/018065
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】