説明

新規特異的カスパーゼ−10阻害剤

本発明は、一般式(I)の化合物、および、特に糖尿病性網膜症の治療のための、カスパーゼ−10阻害剤としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
糖尿病性網膜症は糖尿病の最も衰弱させる微小血管合併症の1つであり、最終段階では失明に至ることもある(Grangeの「La Retinopathie diabetique(糖尿病性網膜症)」(Masson, Paris, Milan, Barcelona, 1995) 632ページ;Frankによる「Diabetic Retinopathy (第1章)」、Progress in Retinal and Eye Research、14巻 (No.2) (Elsevier Science Ltd (英国), 1995)の361−392ページ;Aiello et al., Diabetes Care, 21, 1998, 227-293」。それは、加齢黄斑変性症に次いでフランスにおける後天性失明の第2番目の原因であり(Nathan et al., Diabetes Care, 14, 1991, 26-33)、糖尿病患者が失明する危険は一般国民のそれの25倍大きいと見積もられている(Kahn et al., Am.J.Ophthalmol. 78, 1974, 58-67)。現在、この合併症を予防または治癒できる薬物療法は存在せず、唯一の治療法は、レーザーによる網膜光凝固、または一層重篤な場合には硝子体切除(vitreotectomy)である(Frankによる「Diabetic Retinopathy (第1章)」、Progress in Retinal and Eye Research、14巻 (No.2) (Elsevier Science Ltd (英国), 1995)の361-392ページ;Aiello et al., Diabetes Care, 21, 1998, 227-293)。
【0002】
糖尿病性網膜症の初期には、網膜毛細血管(図1参照)における細胞変化、特に、周皮細胞の選択的消失が起こり、網膜毛細血管の内皮細胞に対する周皮細胞の数の比率を変え、正常な状態における1:1から、病気の状態の0.3:1に、最終段階では0.1:1にさえ進行する(Cogan et al., Arch.Ophthalmol. 60, 1961, 100-112;Kuwabara et al., Arch.Ophthalmol. 69, 1963, 492-502)。この時期の間にはアポトーシスによる周皮細胞の死が確認されている(Mizutani et al., J.Clin.Invest. 97, 1996, 2883-2890;Li et al., Chin.Med.J.(Engl.) 110, 1997, 659-663;Podesta et al., Am.J.Pathol. 156, 2000, 1025-1032)が、細胞内の(複数の)シグナル伝達経路(これによって周皮細胞が消失する)は分からなかった。周皮細胞の数の減少と網膜症の臨床徴候の悪化との間の関係は、最近、成長因子PDGF−β遺伝子のトランスジェニックマウスモデルの研究により示された。遺伝子を失活させたマウス(PDGF−β −/−)は、周皮細胞を全くもたず、生存できない。1コピーのみを失活させたヘテロ接合体マウス(PDGF−β +/−)は生存でき、野生型マウス(PDGF−β +/+)より30%少ない周皮細胞をもつ。糖尿病のヘテロ接合体マウス(PDGF−β +/−)は、糖尿病の野生型マウスより少ない周皮細胞をもち、ヘテロ接合体マウスでは、無細胞毛細血管により定量化された微小血管修復が2倍速く進行し、網膜周皮細胞の喪失と網膜症の進行との間の直接的な関係を示唆している(Hammes et al., Diabetes 51, 2002, 3107-3112)。
【0003】
特許出願FR00/13640(WO02/34201 A2)は、AGE(Advanced Glycation End products、終末糖化産物)により誘発される周皮細胞のアポトーシスに至る、この一連の事象の解明を記載する。1系列のターゲット(これらの中にカスパーゼ−10がある)が確認されたので、周皮細胞の消失を予防するために薬理学的介入が可能になり、前記特許は、糖尿病性網膜症の初期に認められるアポトーシスによる周皮細胞の喪失過程を根絶するために、これらのターゲットの阻害剤(単独で、または組み合わせて使用される)の使用に関する。このような薬理学的阻害剤(例えば、カスパーゼ−10の阻害剤)の使用は、周皮細胞をアポトーシスに対して保護し、こうしてこの合併症の最終段階(最も深刻である)に向かう進行を遅くすることによって、糖尿病性網膜症の治療または予防にとって有益であるはずである。
【0004】
本発明は、式(II)の新規カスパーゼ−10選択的阻害剤に関し、これらの阻害剤は5〜25μMで活性であり、初期段階における糖尿病性網膜症の治療または予防のために、周皮細胞のAGE誘発アポトーシスを抑制する。
【0005】
糖尿病性網膜症は糖尿病の進行性合併症であり、「基礎的」段階(非増殖性網膜症(background retinopathy))から、「増殖性網膜症」として知られる最終期まで移行し、最終期には、新しく脆い網膜血管の形成があり、ひどい出血に至り、時に網膜の剥離を伴い、視力の喪失に至る(Grangeの「La Retinopathie diabetique(糖尿病性網膜症)」(Masson、Paris、Milan、Barcelona、1995)632ページ;Frankによる「Diabetic Retinopathy (第1章)」、Progress in Retinal and Eye Research、14巻 (No.2) (Elsevier Science Ltd (英国)、1995)の361-392ページ)。非増殖性網膜症では、微小血管障害は、微小動脈瘤、小さな点状出血、滲出液および静脈拡張により特徴付けられる(Palmberg, Diabetic Retinopathy,Diabetes 26, 1977, 703-709;ETDRS, Early Treatment Diabetic Retinopathy Study Research Group, Report No.10, Ophthalmology 98, 1991, 786-791)。この非増殖性網膜症は、長い期間、臨床的には症状がないままであり得る。この「非増殖性」段階で、網膜毛細血管の細胞および構造変化が、死後に集められ同じぐらいの年齢の正常な個人の網膜と比較された糖尿病患者の網膜の検査から、認められた。
【0006】
網膜毛細血管は、血管の管腔側では内皮細胞により覆われており、外側に位置する周皮細胞(壁細胞)を有し、血管の基底膜に埋め込まれている。図1は網膜毛細血管を示す。
【0007】
ヒト網膜またはラット網膜において、周皮細胞と内皮細胞の数の比は1:1である(Kuwabara et al., Arch.Ophthalmol. 69, 1963, 492-502)。この初期段階で観察される悪化は、毛細血管の基底膜の肥厚(Friedenwald, Diabetic Retinopathy, Am.J.Ophthalmol. 33, 1950, 1187-1199)、および周皮細胞の選択的消失(Cogan et al., Arch.Ophthalmol. 60, 1961, 100-112;Kuwabara et al., Arch.Ophthalmol. 69, 1963, 492-502)からなり、周皮細胞と内皮細胞の数の比が1:1未満になる(Kuwabara et al., Arch.Ophthalmol. 69, 1963, 492-502)。長期の糖尿病患者から死後に取り出されたヒト網膜を用いて実施された最近の研究により、ネクローシス(毒物の攻撃の後に観察される突然の死)によるよりも、むしろアポトーシス(プログラムされた細胞死)により周皮細胞が死んだことを示すことを可能にした(Mizutani et al., J.Clin.Invest. 97, 1996, 2883-2890;Li et al., Chin.Med.J.(Engl.)110, 1997, 659-663;Podesta et al., Am.J.Pathol. 156, 2000, 1025-1032)。アポトーシス周皮細胞の検出は、アポトーシスに入る細胞の核を染色する技術であるTUNEL法(ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ仲介dUTPニック末端標識)によって全網膜についてin situで実施された(Mizutani et al., J.Clin.Invest. 97, 1996, 2883-2890)。別の最近の研究はまた、抗周皮細胞自己抗体が2型糖尿病患者において検出可能であり、それらは糖尿病性網膜症の初期段階に関連していることを示し、糖尿病の間の「活性」周皮細胞による新規抗体の発現を示唆している(Nayak et al., Diabetologia 46, 2003, 511-513)。
【0008】
周皮細胞がアポトーシスによって死ぬ、根底にある細胞機構は依然として大部分は知られていない。糖尿病のコントロールと合併症に関する試験調査グループ(The Diabetes Control Complications Trial Research Group、DCCT)によって(N.Engl.J.Med. 239, 1993, 977-986)、または英国の将来の糖尿病の研究グループ(UK Prospective Diabetes Study Group、UKPDS)によって過去に行なわれた研究(Lancet 352(33,1998a,837-853、および、34,1998b,854-865)は、糖尿病性網膜症の進展における高血糖のコントロールの重要な役割を示した。グルコースが周皮細胞を死に至らしめ得る可能な機構は、タンパク質、DNAまたは脂質の非酵素的グリコシル化−すなわち糖化−(メイラード反応)によって生成する終末糖化産物すなわちAGEの産生増加および蓄積であり、これらは糖尿病の間の多くの研究において実際に示された(Thornalley, Clin.Lab. 45, 1999, 261-273)。糖尿病患者の皮膚で測定されたAGEの量は、さらに血管合併症の重篤度に強い相関がある(Beisswenger et al., Diabetes 44, 1995, 824-829)。
【0009】
AGEは、タンパク質への還元糖の結合で始まる複雑なカスケード反応の後に生成する:糖は開環した状態で、最初にタンパク質に存在する塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン)の遊離アミン基と反応し、シッフ塩基を生成し、次にこれがアマドリ生成物として安定化される。図2はメイラード経路を示している。
【0010】
これらのステップは可逆的であり、基質(タンパク質および糖)の濃度に依存する。一旦生成すると、アマドリ生成物は、酸化的フラグメンテーションと「糖酸化反応」生成物(例えばカルボキシメチルリシン(CML))の生成、またはジカルボニル(例えば3−デオキシグルコソン)の生成のいずれかに至る一連の変化を受け、これらは、次にタンパク質の遊離アミンと反応してメイラード反応を増幅させ得る(Thornalley, Clin.Lab. 45, 1999, 261−273)。糖尿病の進展の間に生成したAGEと、長い耐用年数を有するタンパク質に蓄積するAGEは、グルコールとの反応に由来するが、グルコースから誘導される他の反応性ジカルボニル、例えばメチルグリオキサールにもまた由来する。メチルグリオキサールは、トリオースリン酸のフラグメンテーションおよび肝臓におけるアセトンの酸化(モノオキシゲナーゼによる)により生成し、糖尿病患者の血漿で増加する(McLellan et al., Clin.Sci 7, 1994, 21−29)。さらに、メチルグリオキサールとの反応後に生成するタンパク質のAGEは、糖尿病の間に認められる主な生成物として記載されており(Degenhardt et al, Cell.Mol.Biol. 44, 1998, 1139−1145)、メチルグリオキサールによる細胞内タンパク質でのAGE生成は、細胞内における主な生成経路であるようである(Nishikawa et al., Nature 404, 2000, 787-790; Shinohara et al, J.Clin.Invest. 101, 1998, 1142-1147)。本発明者等は、FR00/13640(WO02/34201 A2)において、メチルグリオキサールから生成したAGEを記載し、それらが周皮細胞のアポトーシスを誘発し、カスパーゼ−10が周皮細胞の死に至る生化学的カスケードの初期段階で関与していることを示した。
【0011】
網膜周皮細胞は、毛細血管の基底膜に埋め込まれており、基底膜を構成する耐用年数の長いタンパク質と接触しており、糖尿病患者では、毛細血管において検出可能なアマドリ生成物(Schalkwijk et al, Diabetes 48, 1999, 2446-2453)およびAGE(Endo et al., Horm.Metab.Res. 33, 2001, 317-322)を蓄積する。AGE受容体、例えばRAGE(終末糖化産物受容体) (Brett et al., Am.J.Pathol. 143, 1993, 1699-1712;Yonekura et al., Biochem.J. 370, 2003, 1097-1109)、p.60、p.90 (Stitt et al., Am.J.Pathol. 150, 1997, 523-531; Chibber et al., Diabetologia 40, 1997, 156-164)が、周皮細胞の細胞膜に存在していると記載されている。AGEおよび網膜周皮細胞に存在するAGE受容体の共存(co-localization)は、網膜症の初期段階において認められる周皮細胞の死にAGEが関与しているかもしれないということを示している。周皮細胞へのAGEの直接的毒性作用の可能性が、動物で実施された実験から生じ、その実験では、予め生成させたAGEを非糖尿病ラットに静脈注射することにより、処置の2週間後に、網膜毛細血管に存在する周皮細胞の数が25%減少し(Xu et al., Graefe's Arch.Clin.Exp. Ophthalmol. 241, 2003, 56-62)、網膜周皮細胞の内部および周囲でのAGEの蓄積を伴う(Stitt et al., Am.J.Pathol. 150, 1997, 523-531)。AGEの網膜周皮細胞の死への影響についての間接的な論拠は、網膜症の進展への糖化阻害剤(例えばアミノグアニジンまたはピリドキサミン)の作用を試験するための動物による薬理学的研究から生じる。糖尿病ラットをピリドキサミンにより29週間処置することにより、未処理ラットに認められる周皮細胞の死と、さらに網膜毛細血管におけるAGE(N(ε)−(カルボキシメチル)リシン)の生成が予防される(Stitt et al., Diabetes 51, 2002, 2826-2832)。同様に、26週間アミノグアニジンにより処理された糖尿病ラットは、網膜毛細血管におけるAGEの蓄積の減少と、さらに様々なマーカーにより評価される網膜症の進行の遅れ(例えば、周皮細胞の喪失、微小動脈瘤、および無細胞毛細血管の生成の80%の減少)を示す(Hammes et al., Proc.Natl Acad.Sci.USA 88, 1991, 11555-11558)。
【0012】
周皮細胞のAGE誘発アポトーシスに至る生化学的カスケードにおけるカスパーゼ−10の確認と、本発明の主題を成す特定の阻害剤の使用により、アポトーシスによる周皮細胞の喪失とさらに「増殖性網膜症」の臨床段階に向かう網膜症の進行とを遅くすることによって、初期の段階で糖尿病性網膜症を治療または予防することが可能になると思われる。しかし、(a)本発明の主題であるカスパーゼ−10阻害剤は、基本的な網膜症(眼底当たりに2個未満の微小動脈瘤)、および臨床的に確定した網膜症の両方の治療または予防の手段を提供すること、(b)本発明において用いられる「糖尿病性網膜症」という用語は、基本的網膜症および臨床的に確定された網膜症の両方を表す、ということが指摘されるべきである。
【0013】
本発明の化合物に似た化合物は、J.Am.Chem.Soc. 1955, 2325;DE 1815 802;JP 5 612 5333、J.Med.Chem. 1981, 24, 1006-10;JP 5 612 5333、JP 5 612 5338、Chem.Ind. 1980, 888-9;Compt.Rend. 1964, 258, 943-6;Can.J.Chem. 1992, 70, 1237-49;Helv.Chim.Acta 1989, 72, 1690-6;J.Indian Chem.Soc. 1936, 13, 593に記載されており、これらの化合物は除外陳述の主題を成す。しかし、これらのどの文書も網膜症の治療のための使用を記載していない。
【0014】
第1の主題によれば、本発明は、網膜症の予防および/または治療のための医薬の調製のための、一般式(I)の化合物、さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0015】
【化1】

【0016】
一般式(I)において、
・X、YおよびZは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、−CH=基または窒素原子を表し;
・mは、0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;
・nは、0、1、2、3および4から選択される整数であり;
・R1は、−COOR、−CH2CN、−CH2OHおよび−CH2COORから選択される基を表し、
式中、
Rは、水素原子、または、ハロゲン原子によって、もしくは−OH、−CN、−OAlk、−Ar、−OR’、−NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキルから選択される基を表すか、
あるいは、Rは、−アリール、−アルキルアリールまたは−ヘテロアリール基を表し、それぞれ、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−Ar、−NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換されており、
式中、R'は、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−COOR、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールおよびペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキル基を表し;
・R2の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、−OR’、−NO2、−NRCOR’、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、−OH、−CN、−NRR’、−COOR、−アルキルアリール、−ヘテロアリール、−アリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または基−OR、−CN、−COOR、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールもしくはペルハロアルキルによって置換されたアルキル基を表し;
・R3の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、任意選択でペルハロゲン化された−Oアルキル、−S(O)pアルキル、−NRR’、−OR、−CN、−COOR、−NO2、−アリール、−アルキルアリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または−OR、−CN、−COOR、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールもしくはペルハロアルキルから選択される基によってそれぞれ任意選択で置換された−アルキル基を表し、
式中、p=0、1または2である。
【0017】
好ましくは、R3はフェニル核に対してパラ位にある。
【0018】
好ましくは、R2はフェニル核に対してパラ位にある。
【0019】
好ましくは、m=0、1または2であり、より好ましくは1である。
【0020】
好ましくは、n=0または1であり、より好ましくは1である。
【0021】
好ましくは、X、YおよびZはそれぞれ、−CH=基を表す。
【0022】
好ましくは、X、YおよびZの中から1つだけが窒素原子を表し、他の2つは−CH=基を表す。
【0023】
好ましくは、R1は、−COOH、−COOアルキル、−CH2COOH、−CH2CNまたは−CH2OH基を表し、より一層好ましくは、−COOH基を表す。
【0024】
好ましくは、R2の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、−Oアルキル、−ペルハロアルキル、−NO2、および−NHCOアルキルから選択される基を表し、より一層好ましくは、ハロゲン原子を表す。
【0025】
好ましくは、R3の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、水素原子、あるいは、ハロゲン原子、あるいは、−アルキル、−SO2アルキル、Nアルキルアルキル’、−Oアルキル、ペルハロアルキルまたは−Oペルハロアルキル基を表す。より一層好ましくは、m=1であり、R3は、フェニル核に対してパラ位にあり、ハロゲン原子、あるいは−アルキル、−ペルハロアルキルまたは−Oアルキル基を表す。
【0026】
本発明により有用である化合物として、特に次の化合物から選択される化合物、さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩を挙げることができる。
【0027】
(4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
(2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
[4−クロロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−クロロ−4'−(ジメチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4−クロロ−4'−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−tert−ブチル−4−クロロビフェニル−2−イル)酢酸
(3',4−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4,4'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(2'−プロポキシビフェニル−2−イル)酢酸
(5'−クロロ−2'−エトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸エチル
[4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジフルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−フルオロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−フルオロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4'−クロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−フルオロビフェニル−2−イル]酢酸
(4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4−メトキシ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−フルオロ−4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジメトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−メトキシ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−メトキシ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4'−メチル−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−メトキシ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−クロロ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−ニトロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−クロロビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル)酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−メチルビフェニル−2−イル]酢酸
2−(4−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
2−(4'−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパンニトリル
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパン酸。
【0028】
本発明により有用である化合物として、以下の化合物から選択される化合物、さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩が特に好ましい。
【0029】
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
好ましくは、網膜症は糖尿病性網膜症である。より一層好ましくは、網膜症は初期の段階にある。
【0030】
別の態様によれば、本発明はまた、それを必要としている患者、好ましくは新たに糖尿病であると診断された患者および/または初期の網膜症を患っている患者において、カスパーゼ−10を特異的に阻害する医薬の調製のための式(I)の化合物の使用に関する。
【0031】
好ましい態様によれば、前記医薬は、糖尿病の微小血管合併症、好ましくは網膜症の予防および/または治療に適している。
【0032】
別の主題によれば、本発明はまた一般式(II)の新規化合物、さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩にも関する。
【0033】
【化2】

【0034】
式中、
・X、YおよびZは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、−CH=基または窒素原子を表し;
・mは、0、1、2、3、4および5の間で選択される整数であり;
・R1は、−COOR、−CH2CN、−CH2OHおよび−CH2COORから選択される基を表し、
式中、
Rは、水素原子、または、ハロゲン原子によって、もしくは−OH、−CN、−OAlk、−Ar、−OR’、−NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキルから選択される基を表すか、
あるいは、Rは、−アリール、−アルキルアリールまたは−ヘテロアリール基を表し、それぞれ、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−Ar、−NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換されており、
式中、R’は、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−COOR、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールおよびペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキル基を表し;
・R2は、ハロゲン原子、あるいは、−OR’、−NO2、−NRCOR’、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、−OH、−CN、−COOR、−アルキルアリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または基−OR、−CN、−NRR’、−COOR、−NO2、−アリール、−アルキルアリールもしくはペルハロアルキルによって置換されたアルキル基を表し;
・R3の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、任意選択でペルハロゲン化された−Oアルキル、−S(O)pアルキル、−NRR’、−OR、−CN、−NO2、−アリール、−アルキルアリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または−OR、−CN、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールおよびペルハロアルキルから選択される基によってそれぞれ任意選択で置換されたアルキル基を表し、
式中、p=0、1または2であるが、
但し、以下である一般式(I)の化合物は除外される:
X=Y=Cである場合、
R2=−Cl、 R1=−CO2H、m=0、または
R1=−CO2H、m=2でR3=(2−Cl、6−Cl);
R2=−OMe R1=−CO2Hもしくは−CO2Me、m=1でR3=4−Cl、または、
R1=−CH2OH、m=2でR3=(3−OMe、2−OMe)もしくは(3−OMe、4−OMe)、または、
R1=CH2CO2H、m=3でR3=(2−OMe、3−OMe、4−OMe);
R2=−Me R1=CO2Et、m=0。
【0035】
好ましくは、R3はフェニル核に対してパラ位にある。
【0036】
好ましくは、m=0、1または2であり、より好ましくは1である。
【0037】
好ましくは、X、YおよびZはそれぞれ−CH=基を表す。
【0038】
好ましくは、X、YおよびZの中の1つだけが窒素原子を表し、他の2つは−CH=基を表す。
【0039】
好ましくは、R1は−COOH、−COOアルキル、−CH2OOOH、−CH2CNまたは−CH2OH基を表し、より一層好ましくは−COOH基を表す。
【0040】
好ましくは、R2は、ハロゲン原子、または、−Oアルキル、−ペルハロアルキル、−NO2および−NHCOアルキルから選択される基を表し、より一層好ましくはハロゲン原子である。
【0041】
好ましくは、R3の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、−アルキル、−SO2アルキル、−Nアルキルアルキル、−Oアルキル、ペルハロアルキルまたは−Oペルハロアルキル基を表す。より一層好ましくは、m=1であり、R3はフェニル核に対してパラ位にあり、ハロゲン原子、あるいは、−アルキル、−ペルハロアルキルまたは−Oアルキル基を表す。
【0042】
本発明による化合物として、次の化合物から選択される化合物、さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩を特に挙げることができる。
【0043】
[4−クロロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−クロロ−4'−(ジメチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4−クロロ−4'−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−tert−ブチル−4−クロロビフェニル−2−イル)酢酸
(3',4−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4,4'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジフルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−フルオロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−フルオロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4'−クロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−フルオロビフェニル−2−イル]酢酸
(4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4−メトキシ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−フルオロ−4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジメトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−メトキシ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−メトキシ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4'−メチル−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−メトキシ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−クロロ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−ニトロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−クロロビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4’−メチルビフェニル−2−イル]酢酸
2−(4−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
2−(4'−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパンニトリル
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパン酸。
【0044】
本発明による化合物として、以下の化合物から選択される化合物、さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩が特に好ましい。
【0045】
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
本発明によれば、アルキル基は、1から20個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖である飽和炭化水素系の基を表す。
【0046】
それらが線状である場合、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシルおよびオクタデシル基を挙げることができる。
【0047】
それらが分岐状である、あるいは1つまたは複数のアルキル基により置換されている場合、特に、イソプロピル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチルおよび3−メチルヘプチル基を挙げることができる。
【0048】
「ペルハロアルキル」という用語は、全ての水素原子がハロゲン原子により置き換えられているアルキル基を意味する。−CF3基が特に好ましい。
【0049】
本発明におけるアルコキシ基は、式−O−アルキルの基であり、このアルキルは上で定義された通りである。同様に、「ペルハロゲン化−Oアルキル」または「−Oペルハロアルキル」という用語は、そのアルキル基の全ての水素がハロゲン原子により置き換えられたアルコキシ基を意味する。−OCF3基が特に好ましい。
【0050】
一層特別に挙げられるハロゲン原子の中には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子があり、好ましくはフッ素である。
【0051】
アルケニル基は、直鎖または線状鎖の炭化水素系の基を表し、1つまたは複数のエチレン性不飽和を含む。特に挙げることができるアルケニル基は、アリルまたはビニル基である。
【0052】
アルキニル基は、直鎖または線状鎖の炭化水素系の基を表し、1つまたは複数のアセチレン性不飽和を含む。アルキニル基の中で、特にアセチレンを挙げることができる。
【0053】
シクロアルキル基は、飽和もしくは部分不飽和で、非芳香族で、3から10個の炭素原子の、1、2または3環の炭化水素系の基であり、特に、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはアダマンチル、さらには1つまたは複数の不飽和を含むこれらに対応する環である。
【0054】
アリールまたはArは、6から10個の炭素原子の、単環または2環の炭化水素系芳香族基である。
【0055】
特に挙げることができるアリール基の中には、フェニルおよびナフチル基がある。
【0056】
−アルキルアリール基の中では、ベンジルおよびフェネチル基を特に挙げることができる。
【0057】
Hetはヘテロアリール基を表す。ヘテロアリール基は、5から10個の炭素原子の単環または2環の芳香族基であり、窒素、酸素および硫黄から選択される1個または複数のヘテロ原子を含む。挙げることができるヘテロアリール基の中には、ピラジニル、チエニル、オキサゾリル、フラザニル、ピロリル、1,2,4−チアジアゾリル、ナフチリジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、シンノリニル、トリアジニル、ベンゾフラザニル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、チエノピリジル、チエノピリミジニル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、ベンズアザインドール、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリル、フラニル、イミダゾリル、インドリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、プリニル、キナゾリニル、キノリニル、イソキノリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニル、イソチアゾリルおよびカルバゾリル、さらには、これらの縮合により、またはフェニル核との縮合により誘導される対応する基がある。好ましいヘテロアリール基には、チエニル、ピロリル、キノキサリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリニル、チアゾリル、カルバゾリルおよびチアジアゾリル、ならびにフェニル核との縮合により誘導される基が含まれ、特に好ましくは、キノリニル、カルバゾリルおよびチアジアゾリルである。
【0058】
「薬学的に許容される塩」という表現は、本発明の化合物の、比較的無毒の無機および有機酸付加塩と、比較的無毒の無機および有機塩基付加塩を表す。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な分離と精製の間にin situで調製され得る。特に、酸付加塩は、精製された形の精製化合物と有機または無機酸とを改めて反応させ、こうして生成した塩を分離することによって調製できる。酸付加塩の例の中には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、スルファミン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、メチレンビス−b−ヒドロキシナフトエ酸塩、ゲンチシン酸、イセチオン酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩およびキナ酸塩−ラウリルスルホン酸塩、ならびに類似物がある(例えば、S.M.Berge et al.”Pharmaceutical Salts” J.Pharm.Sci, 66:pp.1-19(1977)を参照、この文献は参照を通じて本明細書に組み込まれる)。酸付加塩もまた、酸の形の精製化合物と有機または無機塩基とを改めて反応させ、こうして生成した塩を分離することによって調製できる。酸付加塩にはアミン塩および金属塩が含まれる。適切な金属塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムの塩が含まれる。ナトリウムおよびカリウム塩が好ましい。適当な無機塩基付加塩は、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛が含まれる金属塩基から調製される。適当なアミン塩基付加塩は、安定な塩を生成するのに塩基性が十分であるアミンから調製され、好ましくは、低毒性および医療用途での許容性のために薬化学において頻繁に用いられる次のアミンを含む:アンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェナミン(ephenamine)、デヒドロアビエチルアミン、N−エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基性アミノ酸(例えば、リシンおよびアルギニン)、およびジシクロヘキシルアミン、ならびに類似物。
【0059】
「前駆体基」という用語は、本明細書において「誘導体化反応」と呼ばれている1つまたは複数の適切な化学反応によって所望の化学官能基が生成され得る何らかの化学官能基を意味する。
【0060】
本発明はまた、一般式(I)の化合物の、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、エピマーおよび有機または無機塩にも関する。
【0061】
十分に酸性である官能基もしくは十分に塩基性である官能基、またはこれらの両方を含む、上で定義された式(I)の本発明の化合物は、有機または無機酸あるいは有機または無機塩基の薬学的に許容される対応する塩を含み得る。
【0062】
一般式(I)および(II)の化合物は、それ自体は知られており、および/または、当業者の能力に範囲内にある任意の方法(特に、Larock「Comprehensive Organic Transformations」(VCH Pub.,1989)に記載されているもの)の応用または適用によって、あるいは、後の実施例に記載されている方法の応用または適用によって調製できる。
【0063】
別の主題によれば、本発明はまた、上で定義された式(II)の化合物の調整方法にも関する。
【0064】
式(I)の化合物は、適切な出発材料から出発して類似の方法によって調製できることが理解される。
【0065】
本発明によれば、式(II)の化合物の調製方法は、対応する式(II’)の化合物:
【0066】
【化3】

【0067】
[式中、X、Y、Zおよびmは、上で定義された通りであり、R1'、R2'およびR3'はそれぞれ、R1、R2およびR3、またはR1、R2およびR3の前駆体基を表す]を、式(III)の化合物および式(IV)の化合物:
【0068】
【化4】

【0069】
[式中、X、Y、Z、m、R1'、R2'およびR3'は、上で定義された通りであり、Rの各々は水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは、Rはそれらが結合しているホウ素原子と共に次の基:
【0070】
【化5】

【0071】
を形成し、Tはトリフラート基(−OTf)もしくはハロゲン原子(好ましくは臭素)である]によってSuzukiカップリングにより調製するステップを含む。
【0072】
一般に、この反応はパラジウム触媒により、特に、(PPh3)4Pd、Pd(dppf)Cl2、またはPd(OAc)2+PPh3のような触媒を用いて、特に、メタノール、ベンゼン、水またはTHFのような溶媒(単独でまたは混合物として)中、Na2CO3、EtONa、Et3N、K3PO4、TlOHまたはBa(OH)2のような塩基性媒体中で実施される。
【0073】
好ましくは、反応混合物は、25℃と混合物の還流温度との間の温度に加熱される。
【0074】
本発明による方法はまた、得られた式(II)の生成物を分離および/または精製する次のステップを含み得る。
【0075】
式(II’)において、R1'、R2'および/またはR3'がそれぞれ、R1、R2またはR3の前駆体を表す場合、本発明による方法はまた、式(II)の所望の化合物を得るために、R1'、R2'および/またはR3'をそれぞれ、R1、R2および/またはR3に変換する、次のステップを含む。
【0076】
これらの誘導体化反応は、それら自体は一般に知られており、当業者の能力の範囲内にある。
【0077】
この場合、本発明による方法は、得られた式(II’)の生成物:
【0078】
【化6】

【0079】
を、式(II)の所望の生成物に変換することからなるステップを含む。
【0080】
例として、化合物(II’)において、R1’が−CO2アルキルまたは−CO2Pol基(Polは固体担体、例えば樹脂を表す)を表す場合、R1が−CO2H基を表す式(II)の所望の化合物は、鹸化または加水分解によって得ることができる。
【0081】
好ましくは、鹸化は、塩基性媒体中で、例えば、水酸化ナトリウムまたはKOHの存在下に実施される。樹脂の加水分解は、特に、トリフルオロ酢酸のような酸を用いて実施される。
【0082】
式(II’)において、R1'が−CO2アルキル基を表す場合、R1が−CH2OH基を表す式(II)の所望の化合物は還元によって得ることができる。LiAlH4、NaBH4、SiHCl3、NaBH(OMe)3、BH3−Me2Sなどのような還元剤を用いて実施することが特に好ましい。
【0083】
R1=−CH2CNである式(II)の化合物は、R1=−CH2OHである式(II)の対応する化合物から、−CH2OH基の−CH2Halへのハロゲン化と、それに続くハロゲン原子の−CN基による求核置換によって得ることができる。
【0084】
好ましくは、ハロゲン化反応は、PHal3型の試薬、特にPBr3またはPCl3を用いて、あるいは別法として、SOCl2、PPh3/CBr4、SOBr2、PPh3/NBS、HBr、PBr5、TMSCl、PCl5またはZnCl2/HClのような試薬を用いて実施される。
【0085】
好ましくは、求核置換反応は、試薬であるNaCN、KCN、Et2+CN-、LiCNまたはTSM−CNを用いて実施される。
【0086】
R1が−CH2COOH基を表す式(II)の化合物は、R1=−CH2CNである式(II)の対応する化合物から、−CN基をカルボキシル基−CO2Hに変換することによって得ることができる。
【0087】
好ましくは、この反応は、エタノールおよび水の存在の下で、塩基性媒体中で実施される。
【0088】
R1=−CH2CO2アルキルである式(II)の化合物は、R1=−CH2CO2Hである式(II)の対応する化合物から、対応するアルコールであるアルキル−OHを用いるエステル化によって得ることができる。
【0089】
同様に、R2'および/またはR3'が、所望の基R2および/またはR3の前駆官能基を表す対応する化合物(II’)から、それら自体は知られている方法による基R2'および/またはR3'の誘導体化によって、式(II)の化合物を得ることができる。
【0090】
例として、R2が基−NRCOR'(RおよびR'は式(II)において定義された通りである)を表す式(II)化合物は、R2'が−NO2基を表す式(II’)の対応する化合物から、−NO2基の−NH2基への触媒的水素化、その後のアミド化によって得ることができる。
【0091】
言うまでもなく、適切な誘導体化反応は、それら自体は知られている方法の応用または適用によって、当業者の能力の範囲内で実施できる。
【0092】
【化7】

【0093】
【化8】

【0094】
【化9】

【0095】
【化10】

【0096】
【化11】

【0097】
上記反応において、反応性官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシル基)は、それらが最終生成物に存在することが望まれる場合、反応に加わることを避けるために保護される必要がある。通常の保護基は、標準的な実例に従って用いることができ、例えば以下を参照:「Protective Groups in Organic Chemistry」 (John Wiley and Sons、1991)中のT.W.GreenおよびP.G.M.Wuts;「Protective Groups in Organic Chemistry」 (Plenum Press、1973)中のJ.F.W.McOmie。
【0098】
こうして調製された式(II)の化合物は、反応混合物から通常の手段によって回収できる。例えば、本発明の化合物は、反応混合物から溶媒を留去することによって、あるいは、必要であれば、溶液の混合物から溶媒を留去した後で、残留物を水に注ぎ、その後、水と混和しない有機溶媒により抽出し、抽出物から溶媒を留去することによって回収できる。さらに、生成物はまた、所望により様々な技法(例えば、再結晶、再沈殿、または様々なクロマトグラフィー法、特にカラムクロマトグラフィーもしくは分取(preparative)薄層クロマトグラフィー)により精製できる。
【0099】
本発明による有用である化合物は不斉中心を含み得ることが理解されるであろう。これらの不斉中心は、独立にRまたはS配置であり得る。本発明における有用である特定の化合物はまた、幾何異性も示し得ることが当業者には明らかであろう。本発明は、上記式(I)または(II)の化合物の個々の幾何異性体および立体異性体、ならびにこれらの混合物(ラセミ混合物も含まれる)を含むと理解されるべきである。このタイプの異性体は、それらの混合物から公知の方法(例えば、クロマトグラフィー法または再結晶法)の応用または適用によって分離できる、あるいはそれらの中間体の適切な異性体から別々に調製される。
【0100】
本明細書の目的では、互変異性体は、所定の基の列記、例えばチオ/メルカプトまたはオキソ/ヒドロキシルに含まれると理解されている。
【0101】
酸付加塩は、塩基性官能基(例えば、アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ基)が存在する、本発明による有用である化合物により生成される。薬学的に許容される(すなわち毒性のない)酸付加塩が好ましい。選択される塩は、通常の医薬ビヒクルと共存でき、経口または非経口投与にとって適切であるように、最適に選択される。本発明による有用である化合物の酸付加塩は、知られている方法の応用または適用によって、遊離塩基と適切な酸とを反応させることによって調製できる。例えば、本発明による有用である化合物の酸付加塩は、その遊離塩基を、水、または塩基性水溶液、または適当な酸を含む適切な溶媒に溶かし、溶液を蒸発させることにより溶媒を分離することによって、あるいは、遊離塩基と酸とを有機溶媒中で反応させることによって(この場合には、塩は直ちに分離されるか、または溶液を濃縮することによって得ることができる)調製できる。これらの塩の調製に使用するのに適する酸の中には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、様々な有機カルボン酸およびスルホン酸、例えば、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、コハク酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、脂肪酸、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、グリセロリン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、チオシアン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸、ウンデカン酸塩、ニコチン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩(heptonate)、ヘキサン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩などがある。
【0102】
本発明による有用である化合物の酸付加塩は、知られている方法の応用または適用によって塩から再生され得る。例えば、本発明による有用である親化合物は、それらの酸付加塩から、アルカリ(例えば、炭酸水素ナトリウム水溶液またはアンモニア水溶液)による処理によって再生できる。
【0103】
本発明による有用である化合物は、知られている方法の応用または適用によって、それらの塩基付加塩から再生できる。例えば、本発明による有用である親化合物は、それらの塩基付加塩から酸(例えば塩酸)による処理によって再生できる。
【0104】
塩基付加塩は、本発明による有用である化合物がカルボキシル基、または十分に酸性の生物学的等価体(bioisostere)を含む場合に、生成され得る。好ましくは、塩基付加塩を調製するために使用され得る塩基には、それらが遊離酸と一緒になった場合に、薬学的に許容される塩(すなわち、遊離塩基に固有の有益な阻害効果が陽イオンに起因する副作用によって打ち消されないように、塩を投薬される患者にとってそれらの陽イオンが無毒である塩)を生成するものが含まれる。薬学的に許容される塩には、アルカリ土類金属塩から誘導されるものを含めて、以下の塩基から誘導されるものが本発明の範囲内に含まれる:水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネウム、水酸化亜鉛、アンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウムなど。
【0105】
本発明による有用な化合物は、溶媒和化合物の形(例えば水和物)で、容易に調製されるかまたは本発明のプロセスの間に生成され得る。本発明による有用な化合物の水和物は、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を用いて、水性/有機溶媒の混合物からの再結晶化によって容易に調製することができる。
【0106】
別の主題によれば、本発明はまた、上で定義された一般式(II)の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物にも関する
好ましくは、前記組成物は本発明による化合物の有効量を含む
好ましくは、前記組成物はそれを必要としている患者に投与される
本発明による医薬組成物は、非経口、経口、直腸、経粘膜(permucous)または経皮投与を意図した形態で提供できる。
【0107】
それらは、したがって、注射可能な溶液または懸濁液あるいは多数回使用容器の形態として、被覆されていないかまたは被覆された錠剤、糖衣錠、ウェハーカプセル、ゲルカプセル、ピル、サシェ、粉末、座薬または直腸カプセル、極性溶媒中の経皮使用のための、もしくは経粘膜使用のための、溶液または懸濁液の形態として、提供されるであろう。
【0108】
このような投与に適する賦形剤は、固体の形態では、セルロースまたは微結晶性セルロース誘導体、アルカリ土類金属炭酸塩、リン酸マグネシウム、デンプン、変性デンプンおよびラクトースである。
【0109】
直腸使用では、ココアバターまたはステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましい賦形剤である
非経口使用では、水、水溶液、生理学的食塩水および等張溶液が、最も適切に使用される溶媒である。
【0110】
投薬量は、治療適用および投与経路に、さらに患者の年齢と体重に応じて、広い範囲内(0.5mgから1000mg)で変わり得る。
【0111】
使用される基本的な製品または試薬は、市販されているか、および/または、知られている方法(例えば、参考実施例に記載されている方法またはこれらの明らかな化学的等価物)の応用または適用によって調製できる。
【0112】
以下の実施例は、本発明の非限定的な例示として記載されている。出発材料は市販されているか、あるいは、それら自体は知られている方法により調製できる。
【0113】
下記実施例のプロトンスペクトルを記録するために使用したNMR装置の周波数は300MHzである。縮約形のsは、シングレット;dはダブレット;tはトリプレット;qはカルテットを、またmは多重線(multiplet)を表す。値はppmで表されている。
【0114】
LC−MSスペクトルは、エレクトロスプレープローブを装備した単純4重極子装置で得られている。
【0115】
(実施例1)
(4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
a)(4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸エチル
243.1mg(1mmol)の2−(2−ブロモフェニル)酢酸エチル、3.7mlのトルエン、57.8mg(0.05mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムおよび127.2mg(1.2mmol)の無水炭酸ナトリウムを含む混合物に、169.9mg(1.25mmol)の4−メチルフェニルボロン酸、次いで、2.21ml(0.055mmol)のメタノールを加える。反応媒体を撹拌しながら85℃で16時間加熱する。冷却後に、10mlの水および8mlの酢酸エチルを撹拌しながら加え、次いで、襞付き濾紙を通してこの混合物を濾過する。有機相を回収し、水性相を酢酸エチルで再び抽出する。
【0116】
合わせた有機相を水(2×10ml)で洗浄、Na2SO4で乾燥し、次いで濃縮して310mgのオイルを得て、これをジクロロメタン/ヘプタンの混合物(1:1)中、シリカカラムでフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。201mgの無色のオイルを得る。
【0117】
収率:79%
NMR(CDCl3):1.2(t,J=7.2Hz,3H);2.5(s,3H);3.7(m,2H)、4.1(q,J=7.2Hz,2H);7.3(m,8H)。
【0118】
b)(4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
201mg(0.79mmol)の実施例1aにおいて調製した化合物、1.581ml(1.581mmol)のKOH水溶液(1N)、1.5mlの水および4mlのエタノールの混合物を2時間還流させる。冷却、および真空下の濃縮によるエタノールの除去の後、10mlの水を加え、次いで反応媒体をエーテルで洗浄する。
【0119】
水性相を16%HClで酸性にする。生成した析出物を濾過により回収し、水で洗浄する。真空下での乾燥後、171mgの白色固体を得る。
【0120】
収率:95.6%
NMR(DMSO−d6):2.3(s,3H);3.5(s,2H);7.2(m,8H);12.2(s,1H)
LC−MS:(ES-)=225.2(M−1)。
【0121】
(実施例2から22)
表1の化合物を、実施例1a(エステル)および1b(酸)と同様に行なうことによって得た。
【0122】
【表1−1】

【0123】
【表1−2】

【0124】
(実施例23)
(4'−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル)酢酸エチル
実施例1aと同様にして得た
収率:70.1%
NMR(CDCl3):1.1(t,J=7.2Hz,3H);3.5(s,2H);4.0(q,J=7.2Hz,2H);7.4(m,8H)。
【0125】
(実施例24)
(4'−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル)酢酸
実施例1bと同様にして得た
収率:73.7%
NMR(DMSO−d6):3.5(s,2H);7,3(m,1H);7.4(m,3H);7.5(d,J=8.0Hz,2H);7.8(d,J=8.0Hz,2H);12.3(s,1H)。
【0126】
LC−MS:(ES-):279.2(M−1)。
【0127】
(実施例25)
(4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
a)4−(ベンジルオキシ)ベンジル(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)酢酸樹脂
3g(2.73mmol)のWang樹脂(p−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、100〜200メッシュ)のジクロロメタン(49ml)懸濁液を、室温で15分間撹拌(回転撹拌)する。次いで、20mlのジクロロメタンに溶かした2.8g(12.0mmol)の(2−ブロモ−5−フルオロフェニル)酢酸を加え、その後、0.067g(0.55mmol)の4−ジメチルアミノピリジンおよび1.88ml(12.0mol)のN,N'−ジイソプロピルカルボジイミドを加える。
【0128】
反応媒体を室温で16時間撹拌し、次いで濾過する。次に、樹脂をDMF(4×10ml)、THF(4×10ml)、メタノール(4×10ml)およびジクロロメタン(4×10ml)で洗浄し、次いで、真空下に50℃で乾燥する。0.76mM/gの理論担持量を有する3.59gの樹脂を得る。
【0129】
b)4−(ベンジルオキシ)ベンジル(4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸樹脂
197.4mg(0.15mmol)の実施例25aで調製した樹脂のDMF(4.5ml)懸濁液に、73.2g(0.6mmol)のフェニルボロン酸、0.27ml(0.3mmol)の1.1M炭酸ナトリウム水溶液および34.7mg(0.03mmol)のテトラキス(トリスフェニルホスフィン)パラジウムを加える。反応媒体を100℃で17時間撹拌する。冷却後、反応媒体を濾過し、樹脂を、DMF(3ml)、THF(3ml)により、0.05Mジエチルジチオカルバメート三水和物のTHF/H2O溶液(5×3ml)により、そして再びTHF(5×3ml)により、またジクロロメタン(6×3ml)によりリンスする。真空下での乾燥後、205mgの樹脂を得る。
【0130】
c)(4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
トリフルオロ酢酸の20%ジクロロメタン溶液(5ml)中の、実施例25bにおいて調製した樹脂196.1mg(0.15mmol)の懸濁液を室温で1時間撹拌する。反応媒体を濾過した後、樹脂をジクロロメタン(3×5ml)でリンスする
濾液を真空下に濃縮して39mgのクリーム−白色の固体を得る
収率:定量的
LC−MS:(ES-):229.1(M−1)。
【0131】
(実施例26から45)
表2の化合物を実施例25と同様にして得た。
【0132】
【表2−1】

【0133】
【表2−2】

【0134】
(実施例46)
[4−(アセチルアミノ)−4'−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
a)(2−ブロモ−5−ニトロフェニル)酢酸エチル
5.21g(20mmol)の(2−ブロモ−5−ニトロフェニル)酢酸(Zhumal Organicheskoi Khimii (1974) 10, 92−5)、80mlの無水エタノールおよび0.1mlの濃硫酸からなる混合物を6時間還流する。冷却後、反応媒体を真空下に濃縮し、エーテルに溶かす。この有機相を飽和Na2HCO3溶液、次いで水で洗浄し、その後Na2SO4で乾燥する。真空下での濃縮後、5.54gのベージュ色の固体を得る。
【0135】
収率:96.1%
NMR(CDCl3):1.3(m,3H);3.9(s,2H);4.2(m,2H);7.8(d,J=8.7Hz,1H);8.0(dd,J=8.7,2.7Hz,1H);8.2(d,J=2.7Hz,1H)。
【0136】
b)(4’−メトキシ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸エチル
実施例46aにおいて調製した化合物の576.2mg(2mmol)、115.6mg(0.1mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、254.4mg(2.4mmol)の炭酸セシウムおよび7.4mlのトルエン(窒素の流れにより脱酸素したもの)の混合物に、379.9mg(2.5mmol)の4−メトキシフェニルボロン酸を加え、次いで4.42mlの無水エタノールを加える。反応媒体を90℃に16時間加熱する。冷却後、10mlの水および10mlの酢酸エチルを反応媒体に加え、次にこれを濾過する。
【0137】
落ち着かせることによって有機相を分離し、水性相を酢酸エチルにより再抽出する。合わせた有機画分を水で洗浄、Na2SO4で乾燥し、真空下に濃縮する。得られた残留物を、ジクロロメタン/ヘプタンの混合物(3:1)によるシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、403mgのオレンジ色のオイルを得る。
【0138】
収率:63.9%
NMR(CDCl3):1.2(t,J=7.1Hz,3H);3.7(s,2H);3.9(s,3H);4.1(q,J=7.1Hz,2H);7.0(m,2H);7.2(m,2H);7.4(d,J=8.4Hz,1H);8.2(dd,J=8.4;2.4Hz,1H);8.2(d,J=2.4Hz,1H)。
【0139】
c)(4−アミノ−4’−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸エチル
実施例46bにおいて調製した化合物の345g(1.1mmol)、200mgの10%Pd/Cおよび5mlの無水メタノールの混合物を、大気圧、室温で水素化する。
【0140】
次いで、Pd/Cを濾別し、エタノールでリンスする
濾液を真空下に濃縮して、274mgのベージュ色の固体を得る
収率:87.8%
NMR(DMSO−d6):1.1(t,J=7.1Hz,3H);3.4(s,2H);3.8(s,3H);4.0(q,J=7.1Hz,2H);5.5(s,2H);6.6(m,2H);6.9(m,3H);7.1(m,2H)。
【0141】
d)[4−(アセチルアミノ)−4'−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸エチル
実施例46cにおいて調製した化合物の142.7mg(0.5mmol)、0.139ml(1mmol)のトリエチルアミンおよび8mlのジクロロメタンの混合物に、15℃で、39μl(0.55mmol)の塩化アセチルを加える。
【0142】
室温で一夜撹拌した後、反応媒体を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を水で洗浄、Na2SO4で乾燥し、次いで真空下に濃縮する。得られた残留物を、ジクロロメタン/酢酸エチルの混合物(9:1)によるシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、142mgのオイルを得る。
【0143】
収率:86.7%
NMR(CDCl3):1.2(t,J=7.2Hz,3H);2.2(s,3H);3.6(s,2H);3.8(s,3H);4.1(q,J=7.2Hz,2H);6.9(d,J=8.6Hz,2H);7.2(m,4H);7.5(m,2H)。
【0144】
e)[4−(アセチルアミノ)−4’−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
実施例1bと同様にして、実施例46dにおいて調製した化合物から得る
収率:57.4%
NMR(DMSO−d6):2.0(m,3H);3.5(s,2H);3.8(m,3H):7.0(m,2H);7.1(dd,J=8.2Hz,2.7Hz,1H);7.2(m,2H);7.5(m,2H);10.0(s,1H);12.3(s,1H)。
【0145】
(実施例47から50)
表3の化合物を、実施例46と同様にして得た。
【0146】
【表3】

【0147】
(実施例51)
2−(4−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
a)(4−クロロビフェニル−2−イル)酢酸エチル
900mg(3.65mmol)の(4−クロロビフェニル−2−イル)酢酸(J.Am.Chem.Soc. (1955), 77, 2325)、25mlの無水エタノールおよび50μlの濃硫酸からなる混合物を8時間還流する。冷却および真空下での濃縮の後、反応媒体をエーテルに溶かし、飽和NaHCO3溶液、次いで水で洗浄し、次にNa2SO4で乾燥する。真空下での濃縮後、1gの黄色のオイルを得る。
【0148】
収率:定量的
NMR(CDCl3):1.1(t,J=7.1Hz,3H);3.5(s,2H);4.0(q,J=7.1Hz,2H);7.1(d,J=8.2Hz,1H);7.2(m,3H);7.3(m,4H)。
【0149】
b)2−(4−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
窒素雰囲気下に、414.4mg(10.9mmol)のLiAlH4ペレットを30mlのTHF中で粉々に崩し、その後、実施例51aにおいて調製し15mlのTHFに溶かした化合物1g(3.64mmol)を15分間かけて滴下して加える。
【0150】
反応媒体を60℃で43時間加熱する。冷却後、水を加えることによって混合物を加水分解し、その後、35mlのエチルエーテル、次いで、10gの硫酸ナトリウムを加える。濾過し、濾液を真空下に濃縮した後、薄い黄色のオイルを得て、これを、ジクロロメタン中、シリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、791mgの黄色のオイルを得る。
【0151】
収率:93.4%
NMR(CDCl3):1.3(s,1H);2.8(t,J=6.9Hz,2H);3.7(t,J=6.8Hz,2H);7.2(d,J=8.2Hz,1H);7.3(m,3H);7.4(m,4H)。
【0152】
(実施例52)
2−(4'−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
a)(4'−クロロビフェニル−2−イル)酢酸エチル
実施例51aと同様にして、(4'−クロロビフェニル−2−イル)酢酸(J.Am.Chem.Soc. (1955), 77, 2325)から調製する
収率:定量的
NMR(CDCl3):1.1(t,J=7.1Hz,3H);3.5(s,2H);4.0(q,J=7.1Hz,2H);7.2(m,8H)。
【0153】
b)2−(4'−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
実施例51bと同様にして得る
収率:92.1%
NMR(CDCl3):1.2(s,1H);2.8(t,J=6.9Hz,2H);3.6(t,J=7.0Hz,2H);7.2(m,8H)。
【0154】
(実施例53)
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパンニトリル
a)2−(2−ブロモエチル)−4−クロロビフェニル
5℃に保った、710mg(3.05mmol)の2−(4−クロロビフェニル−2−イル)エタノール(実施例51において調製したもの)のトルエン(10ml)溶液に、97μl(1.02mmol)のPBr3を加え、反応媒体を放置して室温に戻す。20時間撹拌した後、反応媒体を100mlの水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相を水で洗浄、Na2SO4で乾燥し、次いで真空下に濃縮して、黄色の液体を得る。これをジクロロメタン中、シリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。360mgの薄い黄色のオイルを得る。
【0155】
収率:39.9%
NMR(CDCl3):3.1(t,J=7.6Hz,2H);3.3(t,J=7.6Hz,2H);7.1(d,J=8.0Hz,1H);7.2(m,4H);7.3(m,3H)。
【0156】
b)3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパンニトリル
実施例53aにおいて調製した化合物350mg(1.18mmol)、98.7mg(2.01mmol)のNaCNおよび3mlのDMF(モレキュラーシーブで乾燥したもの)の混合物を、80℃で4時間加熱し、次いで40mlの水に注ぎ、エチルエーテル(2×50ml)により抽出する。有機相を0.5Nの水酸化ナトリウム溶液、次いで水で洗浄、Na2SO4で乾燥し、その後真空下で濃縮して286mgの薄い黄色の液体を得る。
【0157】
収率:定量的
IR:ν=2247cm-1(CN)
NMR(CDCl3):2.4(t,J=7.6Hz,2H);2.9(t,J=7.5Hz,2H);7.2(m,5H);7.4(m,3H)。
【0158】
(実施例54)
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパン酸
実施例53において調製した3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパンニトリル280mg(1.16mmol)、138mg(3.475mmol)のNaOH、4mlのエタノールおよび4mlの水からなる混合物を、6時間還流する。冷却後、エタノールを真空下に濃縮する。次いで、16mlの水を加え、この混合物を酢酸エチル(2×20ml)で洗浄し、その後16%HClにより水性相を酸性にする。得られた混合物をジクロロメタンにより抽出し、次いで抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥する。真空下に有機相を濃縮した後に、オイルを得て、これをペンタン中、撹拌後に結晶化させて、171mgの白色固体を得る。
【0159】
収率:56.6%
NMR(DMSO−d6):2.4(t,2H);2.8(t,J=7.9Hz,2H);7.4(m,8H)、12.1(s,1H)
LC−MS:(ES-)=259.1/261.1;1塩素原子。
【0160】
生化学試験
目的
遅延時間蛍光法による、選択されたカスパーゼ活性の阻害の実証
方法の原理
カスパーゼは、アスパラギン酸残基の後で、それらの基質を開裂する厳格な特異性を有するシステインプロテアーゼである。
【0161】
用いた基質は、このカスパーゼに特異的なテトラペプチドであり、その末端の一方に蛍光ユーロピウムマーカー(W1284)を、他方の末端にユーロピウムキレート蛍光クエンチャー(QSy−7)を有する:Eu−W1284−CIETDK−QSy−7。そのユーロピウムキレート(W1284)およびその蛍光クエンチャー(QSy−7)は、保護された分子であり、Wallac Oy(Perkin Elmerの一部門)の財産である。
【0162】
カスパーゼは基質を開裂し、クエンチャーを放出する。こうして、340nmでの励起により、ユーロピウムの蛍光によって放出された信号が、615nmでWALLAC Victor2リーダーによって読み取られる。
【0163】
この酵素の活性を阻害できる生成物は、阻害剤なしでインキュベートされた試料で検出される蛍光(100%)に対しての蛍光の抑制によって検出される。
【0164】
手順
試薬
・カスパーゼ反応の緩衝液:Pipes(ピペラジン−N,N'−ビス[2−エタンスルホン酸])、スクロース、EDTA−Na2(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩)、CHAPS(3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)およびDTT(ジチオトレイトール)を、Sigmaから入手し、1N溶液としての水酸化ナトリウム(NaOH)、NaClおよびDMSOは分析グレードのものであり、Merckから入手し、また蒸留水をBDH Laboratoriesから入手する。
【0165】
・カスパーゼの基質:カスパーゼ2および3の基質は、Eu−W1284−CDEVDK−QSy−7であり、カスパーゼ6の基質は、Eu−W1284−CVEIDK−QSy−7であり、カスパーゼ8および10の基質は、Eu−W1284−CIETDK−QSy−7であり、またカスパーゼ9の基質は、Eu−W1284−CLEHDK−QSy−7であり、これらを全てWallac Oy(Perkin Elmerの一部門)から入手する。
【0166】
・組換えヒトカスパーゼ:カスパーゼ2、3、6および10をBiomolから入手し、カスパーゼ8および9を、Calbiochem(Merck Biosciencesの一部門)から入手する。
【0167】
・標準的なカスパーゼ阻害剤:カスパーゼ2に対する標準として選択した非可逆的阻害剤は、z−(ベンジルオキシカルボニル)−D(OMe)VAD(OMe)−fmk(フルオロメチルケトン)、カスパーゼ3に対しては、z−D(OMe)E(OMe)VD(OMe)−fmk、カスパーゼ6に対しては、z−VE(OMe)ID(OMe)−fmk、カスパーゼ8およびカスパーゼ−10に対しては、z−IE(OMe)TD(OMe)−fmk、またカスパーゼ9に対しては、z−LE(OMe)HD(OMe)−fmkである。全ての阻害剤をCalbiochem(Merck Biosciencesの一部門)から入手する。
【0168】
・特異的カスパーゼ−10阻害剤は、式Iを基に化学合成により得られ、粉末状で提供される。
【0169】
調製
・カスパーゼ緩衝液(Stennicke and Salvesen, J.Biol.Chem. 272 (1997) 25719−25723):20mMのPipes、100mMのNaCl、10mMのDTT、0.1%のCHAPS、10%のスクロース、1mMのEDTA、pH7.2。この緩衝液は、最終容量の9/10で調製し、4℃に保管し、続いて必要に応じてアッセイの当日に、1/10の容量のDTT(100mM)を加えて即時に調合する。
【0170】
・基質:−80℃に保管し、5〜10分間で氷の上で解凍する。粉末をペレット化した後、フラスコを開き、0.4mlの蒸留H2Oに内容物を溶かして、10μMの最終濃度を得る。溶解を氷の上で15分間続け、これで、基質を使用する準備が整い、あるいはアリコートに分割し、−80℃で保存してもよい。基質はカスパーゼ緩衝液で25倍に稀釈し(400nM)、次いで、最終濃度の120nM(希釈 1/3.3)でアッセイウェルに入れる(10μl)。
【0171】
・カスパーゼ:カスパーゼ9(これは凍結乾燥する)以外の全てのカスパーゼは、溶液の形で供給される(50U/μL)。それらはすぐに使用できる状態であり、またはアリコートに分割し、−80℃に保管してもよい。アッセイは、1ウェル当たり25Uのカスパーゼにより実施され、ウェルの数に見合った容量の酵素(50U/μl)を取り出し、カスパーゼ緩衝液で40倍に希釈する(1.25U/μl)。この溶液の20μlをアッセイプレートの1ウェル当たりに配分する。カスパーゼ9では、凍結乾燥物をPBSに再溶解し(1U/μL)、カスパーゼ緩衝液で20倍に希釈する(0.05U/μL)。アッセイは、1ウェル当たり20μlの希釈溶液を配分することにより、1ウェル当たり1Uの酵素で実施する。
【0172】
・標準阻害剤:標準阻害剤はDMSOに10mMの濃度で溶かす。これらが阻害するカスパーゼについてIC20およびIC50でこれらを試験する(次の表を参照)。表に記載する濃度は、アッセイウェルにおける最終濃度である。
【0173】
【表4】

【0174】
IC20およびIC50に対する標準は、DMSOで中間の濃度に希釈し(例えば、カスパーゼ−10に対する80nMのz−IETD−fmkに対しては23.5μM、15nMに対しては4.41μM)、カスパーゼ緩衝液で全て希釈する(40μl(最終容量)のカスパーゼ緩衝液に1.5μl) (1/26.67)。次いで、それらは、この溶液を用いてウェルに配分されて、IC20およびIC50の最終濃度に達する、すなわち、33μlの最終反応容量に3μl(希釈 1/11)。このため、ウェル内でのDMSOの最終濃度は0.3%(v/v)である。Zhang et al. J.Biomol.Screen. 4 (1999) 67-73において記載されている因子zは、IC50で試験し、阻害のない(100%)それぞれのコントロールと比較して、上の表に列挙された標準の阻害剤の全てにおいて常に0.5を超えている。
【0175】
・カスパーゼ−10の特異的阻害剤:合成による生成物をDMSOに20mMの濃度で溶かす。この濃厚溶液の10μlを66μl(最終容量)のDMSOに希釈することによって、DMSO中の中間希釈(1/6.6)を調製する。次に、標準阻害剤と同様に、この溶液の1.5μlを40μl(最終容量)の緩衝液に希釈することによって、これらをカスパーゼ緩衝液で予備希釈する(1/26.67)。次いで、阻害剤はウェルに配分されて、最終のスクリーニング濃度(10μM)(すなわち、33μlの最終反応容量に3μl(希釈 1/11))、およびウェル内でのDMSOの最終濃度0.3%(v/v)に達する。
【0176】
プロトコル:
アッセイを、未処理表面を有する黒色384または96ウェルマイクロアッセイプレート(COSTAR)で実施する。容量およびプロトコルを自動化された使用に対して最適化した。
【0177】
【表5】

【0178】
インキュベーションを室温で3時間30分行ない、その後、ユーロピウムの蛍光に対応するフィルター(励起フィルター:340nm、発光フィルター:615nm)を有するWALLAC Victor2リーダーにより遅延時間における蛍光を読み取る。
【0179】
信号≦(阻害剤のないコントロール(100%)の60%)を有し、カスパーゼ−10に対して特異的である、すなわち、他のカスパーゼを阻害しない(≧(コントロールの60%))阻害剤を、カスパーゼ−10および他のカスパーゼでのIC50の決定のために選択する。
【0180】
・カスパーゼ−10および他のカスパーゼでのIC50の決定:阻害の特異性:次に、すでに記載したものと同じプロトコルで、10μmでのカスパーゼ−10の阻害特異性の故に選択された阻害剤を、100nMから200μMで、カスパーゼ−10と、さらに他のカスパーゼ(2、3、6、8および9)について試験する。阻害剤はDMSO中20mM未満の濃度を有する溶液を用いて希釈し、次いで、カスパーゼ緩衝液で予備希釈する。これらの予備希釈液は、5μlの保存溶液を40μl(最終容量)のカスパーゼ緩衝液に希釈することによって調製し、濃度範囲の様々な点(0.123;0.37;1.11、3.3;10;25;50;75;100および200μM)は、これらの溶液の3μlを分配して33μlの最終容量にする(希釈 1/11)ことによってウェル内で到達される。同様に、IC50およびIC20での標準のカスパーゼ−10阻害剤は、5μlの保存溶液(IC50での80nMでは、DMSO中7.9μM)を40μlのカスパーゼ緩衝液に希釈することによって予備希釈する。IC50値では、ウェルでの最終DMSO濃度は、スクリーニングプロトコルにおける0.3%でなく1%である。こうして、カスパーゼ−10の特異的阻害剤に対して、IC50の値を全てのカスパーゼについて求める。カスパーゼ−10に対する特異性因子を次の比として計算する。
【0181】
特異性因子=比[カスパーゼxでのIC50/カスパーゼ−10でのIC50
x=2、3、6、8または9
結果を次の表に要約する。
【0182】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】網膜毛細血管を示す図である。
【図2】メイラード経路を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

[式中:
・X、YおよびZは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、−CH=基または窒素原子を表し;
・mは、0、1、2、3、4および5から選択される整数であり;
・nは、0、1、2、3および4から選択される整数であり;
・R1は、−COOR、−CH2CN、−CH2OHおよび−CH2COORから選択される基を表し、
式中、
Rは、水素原子、または、ハロゲン原子によって、もしくは−OH、−CN、−OAlk、−Ar、−OR’、−NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキルから選択される基を表すか、
あるいは、Rは、−アリール、−アルキルアリールまたは−ヘテロアリール基を表し、それぞれ、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−Ar、NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換されており、
式中、
R’は、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−COOR、−NRR’−NO2、−アリール、−アルキルアリールおよびペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキル基を表し;
・R2の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、−OR’、−NO2、−NRCOR’、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、−OH、−CN、−NRR’、−COOR、−アルキルアリール、−ヘテロアリール、−アリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または基−OR、−CN、−COOR、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールもしくはペルハロアルキルによって置換されたアルキル基を表し;
・R3の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、任意選択でペルハロゲン化された−Oアルキル、−S(O)pアルキル、−NRR’、−OR、−CN、−COOR、−NO2、−アリール、−アルキルアリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または−OR、−CN、−COOR、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールおよびペルハロアルキルから選択される基によってそれぞれ任意選択で置換された−アルキル基を表し、
式中、p=0、1または2である。]
さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩の、網膜症の予防および/または治療のための医薬の調製のための使用。
【請求項2】
式(I)において、R3がフェニル核に対してパラ位にある、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)において、R2がフェニル核に対してパラ位にある、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I)において、m=0、1または2である、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
式(I)において、n=0または1である、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
式(I)において、X,YおよびZがそれぞれ−CH=基を表す、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
式(I)において、X,YおよびZの中の1つだけが窒素原子を表し、他の2つは−CH=基を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
式(I)において、R1が、−COOH、−COOアルキル、−CH2COOH、−CH2COOH、−CH2CNまたは−CH2OH基を表す、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
式(I)において、R1が−COOH基を表す、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
式(I)において、R2の各々が、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、−Oアルキル、−ぺルハロアルキル、−NO2および−NHCOアルキルから選択される基を表す、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
式(I)において、R2がハロゲン原子を表す、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
式(I)において、R3の各々が、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、−アルキル、−SO2アルキル、−アルキルアルキル’、−Oアルキル、ペルハロアルキルまたは−Oペルハロアルキル基を表す、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
式(I)において、m=1であり、R3がフェニル核に対してパラ位にあり、ハロゲン原子、あるいは、−アルキル、−ペルハロアルキルまたは−Oアルキル基を表す、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
式(I)の化合物が次の化合物:
(4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
(2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
[4−クロロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−クロロ−4'−(ジメチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4−クロロ−4'−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−tert−ブチル−4−クロロビフェニル−2−イル)酢酸
(3',4−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4,4'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(2'−プロポキシビフェニル−2−イル)酢酸
(5'−クロロ−2'−エトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸エチル
[4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジフルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−フルオロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−フルオロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4'−クロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−フルオロビフェニル−2−イル]酢酸
(4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4−メトキシ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−フルオロ−4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジメトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−メトキシ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−メトキシ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4'−メチル−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−メトキシ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−クロロ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−ニトロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−クロロビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル)酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4’−メチルビフェニル−2−イル]酢酸
2−(4−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
2−(4'−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパンニトリル
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパン酸
さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
式(I)の化合物が次の化合物:
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
網膜症が糖尿病性網膜症である、前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
それを必要としている患者においてカスパーゼ−10を特異的に阻害する医薬の調製のための、前記請求項のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項18】
前記医薬が糖尿病の微小血管合併症の予防および/または治療に適している、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
一般式(II)の化合物:
【化2】

[式中、
・X、YおよびZは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、−CH=基または窒素原子を表し;
・mは、0、1、2、3、4および5の間で選択される整数であり;
・R1は、−COOR、−CH2CN、−CH2OHおよび−CH2COORから選択される基を表し、
式中、
Rは、水素原子、または、ハロゲン原子によって、もしくは−OH、−CN、−OAlk、−Ar、−OR’、−NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキルから選択される基を表すか、
あるいは、Rは、−アリール、−アルキルアリールまたは−ヘテロアリール基を表し、それぞれ、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−Ar、NO2、−NRR’、−アルキルアリールおよび−ペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換されており、
式中、R'は、ハロゲン原子によって、もしくは−OR、−CN、−COOR、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールおよびペルハロアルキルから選択される基によって任意選択で置換された−アルキル基を表し;
・R2は、ハロゲン原子、あるいは、−OR’、−NO2、−NRCOR’、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、−OH、−CN、−COOR、−アルキルアリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または基−OR、−CN、−NRR’、−COOR、−NO2、−アリール、−アルキルアリールもしくはペルハロアルキルによって置換されたアルキル基を表し;
・R3の各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立に、ハロゲン原子、あるいは、任意選択でペルハロゲン化された−アルキル、任意選択でペルハロゲン化された−Oアルキル、−S(O)pアルキル、−NRR’、−OR、−CN、−NO2、−アリール、−アルキルアリールから選択される基、あるいは、ハロゲン原子によって、または−OR、−CN、−NRR’、−NO2、−アリール、−アルキルアリールおよびペルハロアルキルから選択される基によってそれぞれ任意選択で置換された−アルキル基を表し、
式中、p=0、1または2である。]
さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩[但し、以下である一般式(I)の化合物は除外される:
X=Y=Cである場合、
R2=−Clのとき、R1=−CO2H、m=0、または
R1=−CO2H、m=2、R3=(2−Cl、6−Cl);
R2=−OMeのとき、R1=−CO2Hまたは−CO2Me、m=1、R3=4−Cl、または、
R1=−CH2OH、m=0、または
R1=CH2CO2OH、m=2、R3=(3−OMe、2−OMe)もしくは(3−OMe、4−OMe)、または、
R1=CH2CO2H、m=3、R3=(2−OMe、3−OMe、4−OMe);
R2=−Meのとき、R1=CO2Et、m=0。]。
【請求項20】
式(II)において、X、Y、Z、R1、R2、R3および/またはmが、請求項1から13のいずれか一項により定義される通りである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
次の化合物:
[4−クロロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−クロロ−4'−(ジメチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−クロロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−メトキシ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4−クロロ−4'−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−tert−ブチル−4−クロロビフェニル−2−イル)酢酸
(3',4−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4,4'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジフルオロビフェニル−2−イル)酢酸
(4−フルオロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−フルオロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−フルオロ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4'−クロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−フルオロビフェニル−2−イル]酢酸
(4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4−メトキシ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−フルオロ−4−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジメトキシビフェニル−2−イル)酢酸
[4−メトキシ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−メトキシ−4'−(メチルスルホニル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4'−(ジメチルアミノ)−4−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−3−イルフェニル)酢酸
(5−フルオロ−2−ピリジン−4−イルフェニル)酢酸
(4'−メチル−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−メトキシ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
(4'−クロロ−4−ニトロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−ニトロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−メトキシビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−クロロビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
[4−(アセチルアミノ)−4'−メチルビフェニル−2−イル]酢酸
2−(4−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
2−(4'−クロロビフェニル−2−イル)エタノール
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパンニトリル
3−(4−クロロビフェニル−2−イル)プロパン酸
さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩から選択される、請求項19または20に記載の化合物。
【請求項22】
次の化合物:
(4−クロロ−4'−メチルビフェニル−2−イル)酢酸
(4,4'−ジクロロビフェニル−2−イル)酢酸
[4−クロロ−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]酢酸
(4−クロロ−4'−メトキシビフェニル−2−イル)酢酸
さらに互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびエピマー、ならびに薬学的に許容される塩から選択される、請求項19から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
請求項19から22のいずれか一項により定義される一般式(II)の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
対応する式(II’)の化合物:
【化3】

[式中、X、Y、Zおよびmは、請求項19および20のいずれかにより定義された通りであり、R1'、R2'およびR3'はそれぞれ、R1、R2およびR3、またはR1、R2およびR3の前駆体基を表す]を、式(III)の化合物および式(IV)の化合物:
【化4】

[式中、X、Y、Z、m、R1’、R2'およびR3'は、上で定義された通りであり、Halはハロゲン原子を表す]のカップリングにより調製するステップを含み、
場合によっては、その後、R1'、R2'および/またはR3'の中の少なくとも1つがそれぞれ、R1、R2またはR3の前駆体基を表す場合、得られた化合物(II’)に存在する前駆体基であるR1'、R2'および/またはR3'の1つまたは複数の、式(II)の生成物における所望の基であるR1、R2および/またはR3への、1つまたは複数の誘導体化を行う、請求項19から22のいずれか一項に記載の式(II)の化合物の調製方法。
【請求項25】
前記カップリング反応がパラジウム触媒を用いて実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
式(II)の生成物を分離および/または精製するステップをさらに含む、請求項24または25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−521841(P2008−521841A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543716(P2007−543716)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011686
【国際公開番号】WO2006/058592
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】