説明

有機物質、該有機物質を含むフィルム、および該フィルムを具備した電気素子

【課題】有機物質、該有機物質を含むフィルム、および該フィルムを具備した電気素子を提供する。
【解決手段】親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分と、
を含む有機物質、該有機物質を含むフィルム、および該フィルムを具備した電気素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物質、該有機物質を含んだフィルム、および該フィルムを具備した電気素子に関し、さらに詳細には、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む有機部分を少なくとも1つ含む親水性高分子を含む有機物質、前記有機物質を含む有機膜を含むフィルム、および前記フィルムを具備した電気素子に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電気装置、例えば、有機発光装置、プラズマディスプレイ装置、電子放出素子、薄膜トランジスタなどには、多様な物質からなる微細な膜がパターニングされて積層されている。
【0003】
前記のような電気装置においては、有機膜の上部に無機膜が形成されうるが、有機膜と無機膜との表面エネルギー差、それら界面での物性差などによって、有機膜と無機膜との界面接着性は、有機膜および有機膜、または無機膜及び無機膜間の界面接着性に比べて大きくない。
【0004】
したがって、各種電気装置の耐久性向上のために、有機膜と無機膜との界面接着性を向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開第2008−0107220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた接着性を有する有機物質を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、有機膜と無機膜との界面の接着性が向上したフィルムを提供することである。
【0008】
また、本発明のさらに他の目的は、基板と無機物からなる導電性層との間に、優れた接着性を有する有機膜が介在された電気素子を提供することである。
【0009】
さらに、本発明のさらに他の目的は、有機膜と無機膜とを含み、それらの間の界面接着性が向上した薄膜封止層を具備する電気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分とを含む有機物質である。
【0011】
また、本発明は、親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分とを含む有機物質を含む有機膜と、前記有機膜の上部に形成され、前記有機膜の表面に接触する無機膜とからなる二重膜システム(double layers−system)を少なくとも1つ含むフィルムである。
【0012】
さらに、本発明は、基板と、金属および金属酸化物の少なくとも一方を含む導電性層と、親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分とを含む有機物質を含み、前記基板と前記導電性層との間に介在される有機膜と、を含む電気素子である。
【0013】
また、さらに本発明は、1つ以上の電気素子を具備した素子基板と、前記電気素子を覆う薄膜封止層とを含む電気装置であって、前記薄膜封止層が、親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分とを含む有機物質を含む有機膜と、前記有機膜の上部に形成され前記有機膜の表面に接触する無機膜とからなる二重膜システムを少なくとも1つ含む電気装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有機膜と無機膜との接着性に優れるフィルムが提供され得、高品質の電気装置を具現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態によるフィルムを示す断面概略図である。
【図2】本発明の他の実施形態によるフィルムを示す断面概略図である。
【図3】本発明のさらに他の実施形態による電気素子を示す断面概略図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態による電気装置を示す断面概略図である。
【図5A】本発明のさらに他の実施形態によるフィルムの表面モルフォロジーを原子間力顕微鏡(AFM)で観察した写真を示す図面である。
【図5B】本発明のさらに他の実施形態によるフィルムの表面モルフォロジーを原子間力顕微鏡で観察した写真を示す図面である。
【図5C】本発明のさらに他の実施形態によるフィルムの表面モルフォロジーを原子間力顕微鏡で観察した写真を示す図面である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態によるフィルムの水蒸気透過率(WVTR:water vapor transmission rates)を評価した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態による有機物質は、親水性高分子および1つ以上の有機部分を有する。前記有機部分は、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む。
【0017】
前記親水性高分子は、極性を有し、通常の極性溶媒(例えば、水、アルコールなど)との親和性を有する高分子のうちから任意に選択されうる。
【0018】
前記親水性高分子の例としては、例えば、ポリビニルアルコール系高分子、ポリビニルピロリドン系高分子、セルロース系高分子、アクリル系高分子、ポリエチレンオキシド系高分子、ポリエステル系高分子、ポリウレタン系高分子、ポリエチレン系高分子、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリプロピレン系高分子、ポリスチレン系高分子、および4級アンモニウム塩を含む共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記の高分子は多様な任意の親水性官能基を含むことにより親水性になりうる。 前記親水性高分子のさらに具体的な例としては、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ヒアルロン酸、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ無水マレイン酸(PMAH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PNVP)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル(PET)、ポリビニルピリジン、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、ポリスチレンスルホネート、ポリアリルスルホン酸、ポリビニルスルホネート、ポリ(アリルアミン)塩酸塩、ポリ(2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩化物)およびこれらの誘導体などを挙げることができる。前記の高分子は、多様な任意の親水性官能基を含むことにより親水性になりうる。
【0019】
前記親水性高分子の重量平均分子量は、前記有機物質を含むフィルムの用途によって異なりうるが、一般的に、100〜100,000ダルトンが好ましく、250〜10,000ダルトンがより好ましく、500〜5,000ダルトンがさらに好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した値を採用するものとする。
【0020】
前記1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基は、前記有機物質を含んだ有機膜と、これに隣接した他の膜との接着性を向上させ、前記有機膜の上部に形成されうる無機膜の表面粗さを調節する役割を担うことができる。
【0021】
前記炭素数6〜14の芳香族官能基の例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
前記炭素数6〜14の芳香族官能基は、1つ以上のヒドロキシル基を有する。すなわち、前記炭素数6〜14の芳香族官能基の1つ以上の水素原子は、ヒドロキシル基で置換されうる。前記ヒドロキシル基は、前記有機膜と、これに隣接した他の膜、例えば、無機膜との接着性を向上させる役割を担うことができる。
【0023】
前記1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基の例としては、例えば、カテコール基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
前記有機部分は、下記化学式1で表される有機基であることが好ましい。
【0025】
【化1】

【0026】
前記化学式1中、*は、前記親水性高分子との結合部位を示したものである。
【0027】
前記Lは、−C(=O)−(CH−および−NH−(CH−からなる群より選択される連結基でありうる。この際、aおよびbは、互いに独立して、0〜10の整数である。好ましくは、aおよびbは、互いに独立して、0〜5の整数である。
【0028】
前記化学式1中、Arは、炭素数6〜14の芳香族官能基である。具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などであるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
前記化学式1中、nは、Arの水素原子のうち、ヒドロキシル基が置換されうる位置の個数であり、1〜13の整数である。好ましくは、nは、1〜5の整数であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
例えば、前記有機部分は、下記化学式1a、1b、および1cで表される有機基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【化2】

【0032】
【化3】

【0033】
【化4】

【0034】
前記化学式1a〜1c中、*は、前記親水性高分子との結合部位を表し、pは、それぞれ独立して、1〜5の整数である。
【0035】
下記化学式2a〜2cは、親水性高分子の繰り返し単位に、上述の化学式1a〜1cで表される有機部分のうち、少なくとも1種の有機部分が結合されたものであり、前記有機物質は、下記化学式2a〜2cで表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

【0038】
【化7】

【0039】
有機物質のうち、前記化学式2a〜2cで表される繰り返し単位の、いずれか1つの繰り返し単位の個数は、当該有機部分のグラフト率(単位:%)によって調節できる。グラフト率は、例えば、NMRにより算出されうる。
【0040】
前記有機物質の重量平均分子量は、前述のような親水性高分子の重量平均分子量および有機部分のグラフト率によって決定されうるものであり、当業者が容易に認識できるものである。前記親水性高分子としては、任意の重量平均分子量を有する親水性高分子を使用することができる。
【0041】
前記有機物質は、例えば、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を有する化合物に対して、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を用いて活性化させ(反応させ)、その後親水性高分子を反応させることにより製造することができる。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態によるフィルム10を概略的に示す断面図である。前記フィルム10は、有機膜11、および前記有機膜11上部に形成され、前記有機膜11の表面と接触する無機膜13からなる二重膜システムを1つ含むものである。
【0043】
前記有機膜11は、親水性高分子、および1つ以上の有機部分を含むが、前記有機部分は、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加されており、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む。前記有機物質についての説明は、前述の通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0044】
前記無機膜13は、第1族元素、第2族元素、半金属(metalloid)などの金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、または前記金属の酸窒化物を含むことができる。また、前記無機膜13は、前記金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、および前記金属の酸窒化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0045】
例えば、前記無機膜13は、B、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ti、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Teなどの金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、または前記金属の酸窒化物を含むことができ、前記金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、および前記金属の酸窒化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本明細書中、「前記金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、および前記金属の酸窒化物からなる群より選択される少なくとも1種」というのは、前記金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、および前記金属の酸窒化物のうち、1種以上が物理的および/または化学的に混合されている物質を総称するものである。例えば、前記無機膜13は、前述のような金属を含む層、前記金属の酸化物を含む層、および前記金属の窒化物を含む層のうち、2層以上が積層された多層構造を有することができる。または、前記無機膜13は、前記金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、および前記金属酸窒化物のうち、2種以上の単純混合物または合金などの形態を有することができる。
【0047】
前記無機膜13の形成材料は、Mg、Al、Au、Pt、Mg:Agなどの金属および2種以上の金属の合金;Al、SiO、B、TiO、SnO、ZnO、In、ZrO、GeO、AlSiOなどの金属酸化物;AlN、Si、TiN、ZrN、BNなどの金属窒化物;AlON、SiON、AlSiONなどの金属酸窒化物;またはITO(InSnO)、SZO(SiZnO)、IZO(InZnO)、IZGO(InGaZnO)などの金属または合金、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、および前記金属の酸窒化物のうち、1つ以上の組み合わせでありうるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
前記フィルム10に含まれる前記有機膜11は、ASTM D903−49、BS 5350に記載の方法により測定した剥離強度が、5〜65gf/2inchであることが好ましく、6〜61gf/2inchであることがより好ましい。前記接着性は、前記有機膜11に含まれる1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基によって提供されうるものであり、前記1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基の個数(すなわち、前記有機部分のグラフト率と関連する)によって異なりうる。
【0049】
前記フィルム10の表面粗さ、すなわち、無機膜13の表面の二乗平均平方根粗さ(rms:root mean square)は、1〜10nmであることが好ましい。前記二乗平均平方根粗さは、有機膜11に含まれる1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基によって調節できるものであり、前記1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基の個数(すなわち、前記有機部分のグラフト率と関連する)が多いほど、前記二乗平均平方根粗さは低下しうる。なお、二乗平均平方根粗さは、膜断面のプロパイル曲線の確保後数処理を施して測定可能であり、所定膜断面のプロパイル曲線のうち平均線を求め、平均線とプロパイル曲線との偏差の二乗を平均した値の平方根を算出することによって計算することができる。
【0050】
前記フィルム10は、37.8℃および相対湿度100%の条件下で、好ましくは0.001g/m/day〜0.1g/m/day、より好ましくは0.005g/m/day〜0.07g/m/dayの水蒸気透過率(WVTR:water vapor transmision rate)(ここで、前記水蒸気透過率は、フィルム10の厚さが210nmであるときの結果である)を有することができる。特定の理論に限定されるものではないが、前記有機膜11は、前述のような優秀な接着性を有するので、前記有機膜11の表面と接触した無機膜13との界面密着性に非常に優れている。したがって、前記フィルム10の耐久性が非常に向上し、耐透湿性が向上しうる。
【0051】
前記フィルム10は、可視光線領域で、85%以上の透過率を有することが好ましく、前記フィルム10は、90%以上の透過率を有することがより好ましい。前述のような有機物質は、一般に透明であるため、無機膜13の材料として透明な材料を選択したり、無機膜13の厚さを超薄膜に形成する場合、前述のような優れた透過率を実現できる。前述のような水蒸気透過率で裏付けられる優秀な耐透湿性と共に、優れた透過率を有することによって、前記フィルム10は、例えば、前面発光型有機発光装置の薄膜封止層として有用に使われうる。
【0052】
前記フィルム10のうち、無機膜13の材料として導電性物質を選択する場合、前記無機膜13は、各種電子素子、例えば、有機発光素子、プラズマディスプレイ、電子放出素子、薄膜トランジスタ、光起電性素子、集積回路、圧力センサ、化学センサ、バイオセンサ、太陽光熱素子、照明用素子などの電極または配線に用いられうる。前記無機膜13が各種電気素子の電極または配線として用いられる場合、前記有機膜11によって、前記無機膜13は所定の基板にしっかりと付着されうるために、電極または配線の役割を行うことができる前記無機膜13の脱着などが防止されうる。
【0053】
一方、前述のような電気素子は、外部の水分および/または酸素などによって、保管時および/または駆動時に劣化が起こりうるので、それらから密封される必要がある。したがって、前記フィルム10を、各種電気装置の薄膜封止層(thin film encapsulation layer)として使用し、電気装置に備わった各種電気素子を、外部の水分および/または酸素と遮断させることができる。
【0054】
図2は、本発明の他の一実施形態によるフィルム20を示す断面概略図である。
【0055】
前記フィルム20は、n個の二重膜システムを含むが、ここで、nは、2以上の整数である。図2で、n個の二重膜システムは、順に積層されている。第1二重膜システムは、第1有機膜と第1無機膜とからなっており、前記第1無機膜の上部には、また第2二重膜システムの第2有機膜が形成されている。前記第1有機膜についての詳細な説明は、前記有機膜11についての説明と同様であり、前記第1無機膜についての詳細な説明は、前記無機膜13についての説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。これは、残りの二重膜システムについても同じである。前記フィルム20のうち、n個の有機膜に含まれる有機物質は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、前記フィルム20のうち、n個の無機膜の形成材料は、互いに同一であっても、異なってもいてもよい。
【0056】
フィルム20をなす各層間の界面は、優秀な接着性を有しうる。例えば、第2有機膜の上下には、第1無機膜と第2無機膜とが隣接しているが、前記第2有機膜は、前述のような有機物質を含むが、第2有機膜と第1無機膜との接着性、および第2有機膜と第2有機膜との接着性に非常に優れる。これは、n個の有機膜についても同様に適用されうるものであるから、フィルム20の耐久性は、非常に優秀である。
【0057】
本発明のさらに他の実施形態によれば、基板、有機膜および導電性層を含み、前記有機膜は、親水性高分子、および前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分を含む有機物質を含み、前記有機膜が前記基板と前記導電性層との間に介在された電気素子が提供される。
【0058】
前記電気素子の一実施形態は、図3を参照する。図3には、基板110、有機膜111、および導電性層(無機膜)113を具備した電気素子100が図示されている。
【0059】
前記基板110は、通常の電気素子に使われる基板であり、平滑性、防水性、および取扱い容易性に優れる材料を含むことができる。具体的には、前記基板110は、ガラス基板、プラスチック基板、金属ホイルなどでありうる。これらのうち、プラスチック基板または金属ホイルを選択する場合、フレキシブル電気素子を得ることができる。
【0060】
前記プラスチック基板の材料の具体的な例としては、例えば、ポリオキシメチレン、ポリビニルナフタレン、ポリエーテルケトン、含フッ素重合体、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフタルアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
導電性層113は、前記電気素子のうち、電極または配線として使われうる。前記導電性層113は、導電性物質を含む。例えば、前記導電性層113は、金属および金属酸化物の少なくとも一方を含むことが好ましい。前記金属、および金属酸化物についての詳細な説明は、前述と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0062】
前記基板110と前記導電性層113との間には、本発明の有機物質を含む有機膜111が介在されるが、前記導電性層113は、前記基板110から脱着せずに、前記基板110にしっかりと付着されうる。したがって、前記有機膜111によって、電気素子100の耐久性が向上しうる。前記有機膜111についての詳細な説明は、前述した有機膜11と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0063】
図4は、本発明のさらに他の一実施形態による電気装置400示す断面概略図である。
【0064】
図4の電気装置400は、1つ以上の電気素子220を具備した素子基板210、および前記電気素子220を覆う薄膜封止層300を含む。前記薄膜封止層300は、親水性高分子、および前記親水性高分子の末端または側鎖に付加されて1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分を含む有機物質を含む有機膜、ならびに前記有機膜の上部に形成され、前記有機膜の表面と接触する無機膜からなる二重膜システムを少なくとも1つ含むフィルムである。このフィルムについての詳細な説明は、前記図1および図2についての詳細な説明を参照できる。したがって、前記薄膜封止層300は、薄膜封止層300をなす多くの膜との界面接着性に優れ、優れた耐久性を有することができ、透過率および耐透湿性に優れるため、電気装置400の保管時および/または駆動時に、電気素子220の劣化を実質的に防止できる。
【0065】
前記電気素子220の具体的な例としては、例えば、有機発光素子、プラズマディスプレイ、電子放出素子、薄膜トランジスタ、光起電性素子、集積回路、圧力センサ、化学センサ、バイオセンサ、太陽光熱素子、照明用素子などで挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、前記電気素子220は、一対の電極および前記一対の電極の間に介在された発光層を含む有機発光素子でありうる。有機発光素子の一対の電極間には、一般に多様な有機物質が介在されているので、外部の水分および/または酸素による劣化に対して一般に脆弱でありえるが、前記薄膜封止層300による水分および/または酸素の浸透防止によって、長寿命を有することができる。
【実施例】
【0066】
(製造例1)
下記のように、混合物1,2および3を準備した。
【0067】
混合物1:1.54mgの3,4−ジヒドロキシ安息香酸(10mmol)を10mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。
【0068】
混合物2:2.5mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(1.3mmol)を10mlのメタノール(MeOH)に溶解させた。
【0069】
混合物3:1gのポリエチレンイミン(PEI)(重量平均分子量(Mw)は、約25,000ダルトンである)を20mlのMeOHに溶解させた。
【0070】
前記混合物1と前記混合物2とを混合し、3,4−ジヒドロキシ安息香酸をEDCで30分間活性化させた(反応させた)後、得られた生成物に前記混合物3を添加し、12時間静置させた。その後、ジエチルエーテルを2回用いて沈殿させて得られた沈殿物を、脱イオン水(pHは、約5以下に調節される)に溶解させた後、脱イオン水から透析させた。次いで、凍結乾燥させ、サンプル1(3,4−ジヒドロキシ安息香酸がグラフトされたPEI、グラフト率=1.80%)を8.5g収得した。ここで、該グラフト率とは、NMRを用い、3,4−ジヒドロキシ安息香酸の2個のOHの水素原子のピーク面積の比率を計算したものである。
【0071】
(製造例2)
上記混合物1のうち、3,4−ジヒドロキシ安息香酸の使用量を1.14mgに変更した点を除いては、前記製造例1と同様の方法で、サンプル2(3,4−ジヒドロキシ安息香酸がグラフトされたPEI、グラフト率=1.34%)を8.1g収得した。
【0072】
(製造例3)
前記混合物1のうち、3,4−ジヒドロキシ安息香酸の使用量を0.62mgに変更した点を除いては、前記製造例1と同様の方法で、サンプル3(3,4−ジヒドロキシ安息香酸がグラフトされたPEI、3,4−ジヒドロキシ安息香酸のグラフト比率=0.73%)を8.2g収得した。
【0073】
(製造例4)
下記のように、混合物4、5および6を準備した。
【0074】
混合物4:30.9mgのヒドロカフェー酸(3,4−ジヒドロキシベンゼンプロパン酸)を10mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。
【0075】
混合物5:42.5mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を30mlのMeOHに溶解させた。
【0076】
混合物6:1gのポリエチレンイミン(PEI)(重量平均分子量(Mw)は25,000ダルトンである)を30mlのMeOHに溶解させた。
【0077】
前記混合物4と前記混合物5とを混合し、ヒドロカフェー酸をEDCで30分間活性化させた(反応させた)後、得られた生成物に前記混合物6を添加し、12時間静置させた。得られた生成物に対して、ジエチルエーテルを2回用いて沈殿させて得られた沈殿物を、脱イオン水(pHは、約5以下に調節される)に溶解させた後、脱イオン水から透析させた。次いで、凍結乾燥させ、サンプル4(ヒドロカフェー酸がグラフトされたPEI、グラフト率=15.28%)を8.7g収得した。ここで、該グラフト率は、NMRを利用し、ヒドロカフェー酸の2個のOHの水素原子のピーク面積の比率を計算したものである。
【0078】
(製造例5)
前記混合物4のヒドロカフェー酸の使用量を15mgに変更したという点を除いては、前記製造例4と同様の方法により、サンプル5(ヒドロカフェー酸がグラフトされたPEI、グラフト率=7.47%)を8.3g収得した。
【0079】
(製造例6)
前記混合物4のヒドロカフェー酸の使用量を15mgに変更し、また、前記混合物6で用いられているMw25,000ダルトンのPEIの代わりに、Mw800ダルトンのPEIを用いたという点を除いては、前記製造例4と同様の方法で、サンプル6(ヒドロカフェー酸がグラフトされたPEI、グラフト率=21.03%)を7.6g収得した。
【0080】
(製造例7)
前記混合物4のヒドロカフェー酸の含有量を11mgに変更し、また、前記混合物6で用いられているMw25,000ダルトンのPEIの代わりに、Mw800ダルトンのPEIを使用したという点を除いては、前記製造例4と同様の方法により、サンプル7(ヒドロカフェー酸がグラフトされたPEI、グラフト率=16.42%)を7.8g収得した。
【0081】
(製造例8)
下記のように、混合物7、8および9を準備した。
【0082】
混合物7:1.8mgの塩酸ドーパミン(10mmol)を7mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。
【0083】
混合物8:2.47mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(13mmol)を35mlのMeOHに溶解させた。
【0084】
混合物9:0.5gのヒアルロン酸(重量平均分子量は、3,000ダルトンである)を30mlのMeOHに溶解させた。
【0085】
この後、前記混合物7と前記混合物8とを混合し、塩酸ドーパミンをEDCで30分間活性化させた(反応させた)後、得られた生成物に前記混合物9を添加し、12時間静置させた。得られた結果物を、ジエチルエーテルを2回用いて沈殿させ、得られた沈殿物を、脱イオン水(pHは、約5以下に調節される)に溶解させた後、脱イオン水から透析させた。次いで、凍結乾燥させ、サンプル8(ドーパミンがグラフトされたヒアルロン酸、ドーパミンのグラフト率=13.5%)を0.37g収得した。ここで、該グラフト率は、NMRを利用し、ドーパミンの2個のOHの水素原子のピーク面積の比率を計算したものである。
【0086】
(評価例1:接着性評価)
サンプル1〜7の接着性を、ASTM D903−49、BS 5350:Part C11:1979の180゜方向のピール試験によって測定した。まず、0.1gのサンプル1を5gの水および0.5gのエタノールと混合し、コーティング溶液を準備した。前記コーティング溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)接着剤が塗布されたPET基板のPET接着剤上部に、5cm×30cmの幅に塗布した。その後、140℃で5分間乾燥させ、サンプル1を含有するフィルムを形成した後、前記フィルムの一部を前記PET接着剤から分離させ、180゜方向で剥離するために必要な力を測定し、サンプル1含有のフィルムの接着性を評価した。これと同様の方法で、サンプル2〜7の接着性を評価した。各サンプルに対するコーティング溶液の組成は、下記表1の通りである。
【0087】
【表1】

【0088】
接着性評価の結果、最大61gf/2inch、最小6gf/2inchの結果が得られた。
【0089】
(評価例2:熱分析評価)
サンプル1〜7について、ティー・エー・インスツルメント社製、Q5000IRを用い、熱重量測定(TGA:Thermo Gravimetric Analysis)(N雰囲気、温度範囲:常温(25℃)〜700℃(昇温速度 10℃/min)、パンタイプ:一回用アルミパン内の白金パン)による熱分析評価を行った。結果を下記表2に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
(実施例1)
ポリエチレンナフタレート(PEN)基板の上部に、10mlの混合溶媒(水/エタノール=1:1)に溶解されたサンプル3の混合物を、10μm厚にスピンコーティングした後、100℃で1分間乾燥させて有機膜を形成し、前記有機膜の上部に、プラズマ化学気相成長法を用いて、200nm厚のAl無機膜を形成した。これを、フィルム1とする。
【0092】
(実施例2)
サンプル3の代わりに、サンプル4を用いたという点を除いては、前記実施例1と同様の方法により、フィルムを作製した。これを、フィルム2とする。
【0093】
(実施例3)
サンプル3の代わりに、サンプル7を用いたという点を除いては、前記実施例1と同様の方法により、フィルムを作製した。これを、フィルム3とする。
【0094】
(評価例3:表面モルフォロジー評価)
フィルム1、2および3の表面モルフォロジーを、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察し、その結果をそれぞれ図5A、図5B、および図5Cに示した。図5A〜図5Cによれば、有機膜に含まれる3,4−ジヒドロキシ安息香酸の含有量が大きくなるほど、有機膜の上部に形成された無機膜の表面の粗さが低下することを確認することができる。
【0095】
(実施例4)
サンプル3含有の有機膜の厚さを60nmに変更し、Al無機膜の厚さを150nmに変更したという点を除いては、前記実施例1と同様の方法により、フィルムを作製した。これを、フィルム4とする。
【0096】
(評価例4:WVTRの評価)
上記フィルム4のWVTRを、透湿度測定装置(AQUATRAN model1、MOCON社製、米国)を用い、37.8℃および相対湿度100%の雰囲気で測定した結果、0.053g/m/dayのWVTRを示した。前記フィルム4のWVTRの評価のグラフを、図6に示すとともに、WVTRの評価結果を、下記表3を示す。
【0097】
【表3】

【0098】
上記表3中の、「TR」は透過率(transmission rate)を表す。
【0099】
また、上記表3中の「CYCLE」の項目のうち、1〜13は、該当時間経過後実際にWVTRが測定された時点を示すものであり、WVTR測定は該当時間別に計13回行った。
【0100】
また、CYCLEの項目のうち“EVENT”との記載は、WVTRを測定したものではなく、WVTR以外の他の作業(event)を進めたことを意味する。すなわち、Time=0:00の時は、WVTRの測定が行われたのではなく、WVTR測定のための機器のセッティング(setting、“Condition”に対応)という作業(event)が行われたものであり、Time=2:00の時は、セッティングされた機器の試験稼動であるという作業(“TEST”に対応)が行われたものであり、Time=21:45の時には、WVTR測定が終了(“Completeに対応”)および完了(“Finished”に対応)という作業が行われたことを意味する。
【0101】
表3および図6の結果から、サイクル1〜13のWVTR値のうち最小値はCycle1および2におけるWVTR値と実験誤差範囲とを考慮して、0.053g/m2/dayと分析することができる。
【0102】
(評価例5:透過率評価)
前記フィルム4の透過率をCARY 5000 UV−VIS分光光度計(VARIAN社製)を用いて測定した結果、あらゆる可視光線領域で、85〜90%の透過率を示した。
【符号の説明】
【0103】
10、20 フィルム、
11,111 有機膜、
13,113 無機膜(導電性層)、
100 電気素子、
110 基板、
210 素子基板、
220 電気素子、
300 薄膜封止層、
400 電気装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性高分子と、
前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分と、
を含む有機物質。
【請求項2】
前記親水性高分子が、ポリビニルアルコール系高分子、ポリビニルピロリドン系高分子、セルロース系高分子、アクリル系高分子、ポリエチレンオキシド系高分子、ポリエステル系高分子、ポリウレタン系高分子、ポリエチレン系高分子、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリプロピレン系高分子、ポリスチレン系高分子、および4級アンモニウム塩を有する共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の有機物質。
【請求項3】
前記1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基がカテコール基であることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機物質。
【請求項4】
前記有機部分が、下記化学式1で表される有機基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機物質:
【化1】

前記化学式1中、
*は、前記親水性高分子との結合部位を表し、
前記Lは、−C(=O)−(CH−、および−NH−(CH−からなる群より選択される連結基であり、aおよびbは互いに独立して、0〜10の整数であり、
Arは、炭素数6〜14の芳香族官能基であり、
nは、1〜13の整数である。
【請求項5】
下記化学式2a〜2cで表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機物質。
【化2】

【化3】

【化4】

【請求項6】
親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分と、を含む有機物質を含む有機膜と、
前記有機膜の上部に形成され、前記有機膜の表面と接触する無機膜と、
からなる二重膜システムを少なくとも1つ含むフィルム。
【請求項7】
前記無機膜が、金属、前記金属の酸化物、前記金属の窒化物、および前記金属の酸窒化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項6に記載のフィルム。
【請求項8】
前記有機膜のASTM D903−49、BS 5350に記載の方法により測定した剥離強度が、5〜65gf/2inchのであることを特徴とする、請求項6または7に記載のフィルム。
【請求項9】
前記無機膜の表面の二乗平均平方根粗さが、1〜10nmであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項10】
可視光線領域で、85%以上の透過率を有することを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載のフィルムを含む電極または配線を含む電気素子。
【請求項12】
請求項6〜10のいずれか1項に記載のフィルムを含む薄膜封止層。
【請求項13】
基板と、
金属および金属酸化物の少なくとも一方を含む導電性層と、
親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分とを含む有機物質を含み、前記基板と前記導電性層との間に介在される有機膜と、
を含む電気素子。
【請求項14】
前記導電性層が電極または配線であることを特徴とする、請求項13に記載の電気素子。
【請求項15】
1つ以上の電気素子を具備した素子基板と、
前記電気素子を覆う薄膜封止層と、
を含む電気装置であって、
前記薄膜封止層が、
親水性高分子と、前記親水性高分子の末端または側鎖に付加され、1つ以上のヒドロキシル基を有する炭素数6〜14の芳香族官能基を含む1つ以上の有機部分とを含む有機物質を含む有機膜と、
前記有機膜の上部に形成され、前記有機膜の表面に接触する無機膜と、
からなる二重膜システムを少なくとも1つ含むフィルムであることを特徴とする、電気装置。
【請求項16】
前記有機部分が下記化学式1で表される有機基であることを特徴とする請求項15に記載の電気装置:
【化5】

前記化学式1中、
*は、前記親水性高分子との結合部位であり、
Lは、−C(=O)−(CH−および−NH−(CH−からなる群から選択される連結基であり、aおよびbは互いに独立して、0〜10の整数であり、
Arは、炭素数6〜14の芳香族官能基であり、
nは、1〜13の整数である。
【請求項17】
前記薄膜封止層は、前記二重膜システムが2以上積層されたフィルムであることを特徴とする、請求項15または16に記載の電気装置。
【請求項18】
前記電気素子が有機発光素子であることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項19】
前記有機部分が、下記化学式1a、1b、および1cで表される有機基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機物質:
【化6】

【化7】

【化8】

前記化学式1a〜1c中、*は、前記親水性高分子との結合部位であり、pは、それぞれ独立して、1〜5の整数である。
【請求項20】
前記親水性高分子がポリエチレンイミンであり、前記有機部分が3,4−ジヒドロキシ安息香酸から誘導される有機基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機物質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2010−116563(P2010−116563A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259534(P2009−259534)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】