説明

有糸分裂キネシン阻害剤

1つまたは複数の有糸分裂キネシンの活性を変化させることにより、細胞増殖性疾患および障害を治療するための、有用な組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1つまたは複数の有糸分裂キネシンの阻害剤であり、細胞増殖性疾患、例えば、癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症の治療に有用である化学物質を提供する。
【背景技術】
【0002】
癌を治療するために用いられている治療薬には、微小管に作用するタキサンおよびビンカアルカロイドがある。微小管は、有糸分裂紡錘体の主要な構造要素である。有糸分裂紡錘体は、細胞分裂により生ずる2つの娘細胞のそれぞれへのゲノムの複製コピーの分配を担っている。これらの薬物による有糸分裂紡錘体の崩壊は、癌細胞分裂の阻害および癌細胞死の誘導をもたらすと考えられる。しかし、微小管は、神経突起における細胞内輸送のための経路を含む他の種類の細胞構造を形成する。これらの薬剤は、有糸分裂紡錘体を特異的に標的にしないので、それらの有用性を制限する副作用を有する。
【0003】
癌の治療に用いられる薬剤の特異性の改善には、これらの薬剤の投与に伴う副作用を低減することができるならば実現されるであろう治療上の便益のため、かなりの関心が払われている。従来から、癌の治療の劇的な改善は、新規なメカニズムにより作用する治療薬の特定に関連する。これの例は、タキサンだけでなく、トポイソメラーゼI阻害薬のカンプトテシンクラスも含む。これらの両方の観点から、有糸分裂キネシンは、新たな抗癌薬の魅力的な標的である。
【0004】
有糸分裂キネシンは、有糸分裂紡錘体の集合および機能に必須の酵素であるが、一般的に、神経突起におけるような他の微小管構造の一部ではない。有糸分裂キネシンは、有糸分裂のすべての段階において必須の役割を果たしている。これらの酵素は、ATPの加水分解により放出されるエネルギーを微小管に沿った細胞積荷(cellular cargo)の方向性移動を駆動する機械的力に変換する「分子モーター」である。この仕事のために十分な触媒ドメインは、約340アミノ酸の小型な構造である。有糸分裂中、キネシンは、微小管を有糸分裂紡錘体である双極性構造に組織化する。キネシンは、紡錘体微小管に沿った染色体の移動、ならびに有糸分裂の特定の段階に関連する有糸分裂紡錘体の構造変化を媒介する。有糸分裂キネシン機能の実験的撹乱は、しばしば細胞周期の停止および細胞死をもたらす、有糸分裂紡錘体の形成異常または機能異常を引き起こす。
【発明の開示】
【0005】
式I:
【化1】

【0006】
[式中、
R1は、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Xは、-COおよび-SO2-より選択され、
R2は、水素および置換されていてもよい低級アルキルより選択され、
Wは、-CR8-、-CH2CH8-およびNより選択され、
R3は、-CO-R7、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、シアノ、スルホニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
R4は、ハロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、
R5は、ハロ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよい低級アルキルより選択され、
R6は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、
R7は、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアラルコキシ、置換されていてもよいアルコキシより選択され、
R8は、水素および置換されていてもよいアルキルより選択され、
R4およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になってオキソ基を形成し、または
R4およびR8は、それらが結合している炭素と一緒になってC=C基を形成し、R5は、水素および置換されていてもよい低級アルキルより選択される]
の化合物より選択される少なくとも1つの化学物質
ならびに製薬上許容されるその塩、溶媒和物、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物を提供する。
【0007】
医薬賦形剤および本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質を含む組成物も提供する。
【0008】
CENP-Eキネシンを本明細書に記載する有効な量の少なくとも1つの化学物質と接触させることを含む、CENP-Eキネシンの活性を変化させる方法も提供する。
【0009】
キネシンを本明細書に記述する有効な量の少なくとも1つの化学物質と接触させることを含む、CENP-Eを阻害する方法も提供する。
【0010】
治療が必要な被験体に本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質を投与することを含む、細胞増殖性疾患を治療する方法も提供する。
【0011】
治療が必要な被験体に医薬賦形剤および本明細書に記述する少なくとも1つの化学物質を含む組成物を投与することを含む、細胞増殖性疾患を治療する方法も提供する。
【0012】
本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質の、細胞増殖性疾患を治療するための薬剤の製造における使用も提供する。
【0013】
CENP-Eキネシン活性に関連する障害を治療するための薬剤の製造のための本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質の使用も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書で用いるように、以下の語および句は、それらが用いられている文脈が他の状態であることを示す程度までを除いて、下に示す意味を有することを一般的に意図する。
【0015】
本明細書で用いるように、化学式中に可変部が複数回発生する場合、各発生時のその定義は他のすべての発生時のその定義と独立である。特許における「a」および「the」の通常の意味に従って、例えば、「a」キナーゼ(kinase)または「the」キナーゼ(kinase)の言及は、1つまたは複数のキナーゼを含む。
【0016】
式Iは、そのすべての下位の式を含む。例えば、式Iは、式IIの化合物を含む。
【0017】
2つの文字または記号の間に存在しないダッシュ記号(「-」)は、置換基の結合の個所を示すのに用いる。例えば、-CONH2は炭素原子を介して結合する。
【0018】
「場合によっての(optional)」または「場合によって(optionally)(していてもよい)」は、その後に記述する事象または状況が起ることもあり、または起らないこともあることを意味し、その記述が事象または状況が起る場合とそれが起らない場合を含むことを意味する。例えば、「置換されていてもよいアルキル」は、下で定義するような「アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。1つまたは複数の置換基を含む基に関して、そのような基は立体的に実際的でなく、合成により実現できず、かつ/または本質的に不安定である置換または置換パターンを導入することを意図するものでないことは、当業者により理解されよう。
【0019】
「アルキル」は、示された炭素原子の数、通常1〜20個の炭素原子、例えば、1〜6個の炭素原子などの1〜8個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖を含む。例えば、C1〜C6アルキルは、1〜6個の炭素原子の直および分枝鎖を含む。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、3-メチルペンチルなどがある。アルキレンは、アルキルと同じ残基を意味するが、2つの結合点を有するアルキルの他のサブセットである。アルキレン基は、通常、2〜20個の炭素原子、例えば、2〜6個の炭素原子などの2〜8個の炭素原子を有する。例えば、C0アルキレンは共有結合を示し、C1アルキレンはメチレン基である。特定の数の炭素を有するアルキル残基を命名する場合、当該数の炭素を有するすべての幾何学的組合せが含まれることを意図する。したがって、例えば、「ブチル」はn-ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルを含むことを意味し、「プロピル」はn-プロピルおよびイソプロピルを含む。「低級アルキル」は、1〜4個の炭素を有するアルキル基を意味する。
【0020】
「アルケニル」は、親アルケンの単一炭素原子から1つの水素原子の除去により得られる少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和分枝または直鎖アルキル基を意味する。該基は、二重結合に関してシスまたはトランス配置であってよい。典型的なアルケニル基は、エテニル、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、プロパ-2-エン-2-イル、シクロプロパ-1-エン-1-イル、シクロプロパ-2-エン-1-イルなどのプロペニル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチルプロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブタ-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イルなどのブテニル等を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子を、他の特定の実施形態において、2〜6個の炭素原子を有する。
【0021】
「アルキニル」は、親アルキンの単一炭素原子から1つの水素原子の除去により得られる少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有す不飽和分枝または直鎖アルキル基を意味する。典型的なアルキニル基は、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルなどのプロピニル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどのブチニル等を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子を、他の特定の実施形態において、3〜6個の炭素原子を有する。
【0022】
「シクロアルキル」は、通常3〜7個の環炭素原子を有する非芳香族炭素環を示す。該環は、飽和であるか、または1つもしくは2つ以上の炭素-炭素二重結合を有していてよい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルならびにノルボルナンなどの架橋およびかご形飽和環基などがある。
【0023】
「アルコキシ」は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、3-メチルペンチルオキシ等などの酸素架橋を介して結合した示された数の炭素原子のアルキル基を意味する。アルコキシ基は、通常、酸素架橋を介して結合した1〜7個の炭素原子を有する。「低級アルコキシ」は、1〜4個の炭素を有するアルコキシ基を意味する。
【0024】
「モノおよびジアルキルカルボキサミド」は、式-(C=O)NRaRbの基を含み、RaおよびRbは水素および示された数の炭素原子のアルキル基から独立に選択され、RaおよびRbは両方が水素であることはない。
【0025】
「アシル」は、(アルキル)-C(O)-、(シクロアルキル)-C(O)-、(アリール)-C(O)-、(ヘテロアリール)-C(O)-および(ヘテロシクロアルキル)-C(O)-基を意味し、該基はカルボニル官能性を介して親構造に結合し、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは本明細書に記載の通りである。アシル基は、示された数の炭素原子を有し、ケト基の炭素は、構成員とみなされる炭素原子に含まれる。例えば、C2アシル基は、式CH3(C=O)-を有するアセチル基である。
【0026】
「アルコキシカルボニル」は、カルボニル炭素を介して結合している式(アルコキシ)(C=O)-の基であり、アルコキシ基は示された数の炭素原子を有する。したがって、C1〜C6アルコキシカルボニル基は、その酸素を介してカルボニルリンカーに結合している1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0027】
「アミノ」は、-NH2基を意味する。
【0028】
「モノおよびジ(アルキル)アミノ」は、第二級および第三級アルキルアミノ基を含み、アルキル基は上で定義した通りであり、示された数の炭素原子を有する。アルキルアミノ基の結合点は窒素上にある。モノおよびジアルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ、ジメチルアミノおよびメチルプロピルアミノなどがある。
【0029】
「アミノカルボニル」という用語は、-CONRbRc基を意味し、Rbは、H、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rcは、水素および置換されていてもよいC1〜C4アルキルから独立に選択され、あるいは
RbおよびRcは、それらが結合している窒素と一緒になって、該ヘテロシクロアルキル環にO、NおよびSより選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を場合によって含む置換されていてもよい5〜7員窒素含有ヘテロシクロアルキルを形成しており、
各置換された基が、C1〜C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、C1〜C4ハロアルキル、-OC1〜C4アルキル、-OC1〜C4アルキルフェニル、-C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロ、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールに対する置換基としての)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立に選択される1つまたは複数の置換基で独立に置換されている。
【0030】
「アリール」は、
6員炭素環式芳香環、例えば、ベンゼン、少なくとも1つの環が炭素環式および芳香族である二環系、例えば、ナフタレン、インダンおよびテトラリン、ならびに少なくとも1つの環が炭素環式および芳香族である三環系、例えば、フルオレンを含む。
【0031】
例えば、アリールは、N、OおよびSより選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロシクロアルキル環に縮合した6員炭素環式芳香環を含む。環の1つのみが炭素環式芳香環であるそのような縮合二環系については、結合点は、炭素環式芳香環またはヘテロシクロアルキル環にあってよい。置換ベンゼン誘導体から生成し、環原子に自由原子価を有する二価遊離基は、置換フェニレン遊離基と命名される。遊離原子価を有する炭素原子からの1つの水素原子の除去により、名称が「イル」で終わる一価多環式炭化水素遊離基から誘導された二価遊離基は、対応する一価遊離基の名称に「イデン」を加えることによって命名する。例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと称される。しかし、アリールは、下で別途定義するヘテロアリールをいかなる点でも含んだり、あるいはそれと重複したりすることはない。したがって、1つまたは複数の炭素環式芳香環がヘテロシクロアルキル芳香環と縮合している場合、得られた環系は、本明細書で定義したヘテロアリールであり、アリールではない。
【0032】
「アリールオキシ」という用語は、-O-アリール基を意味する。
【0033】
「カルバムイミドイル」は、-C(=NH)-NH2基を意味する。
【0034】
「置換カルバムイミドイル」は、-C(=NRe)-NRfRg基を意味し、Reは、水素、シアノ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、RfおよびRgは、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルから独立に選択され、ただし、Re、RfおよびRgのうちの少なくとも1つが水素でなく、また、置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは、1個または複数個(最大5個、例えば、最大3個など)の水素原子が、
-Ra、-ORb、置換されていてもよいアミノ(-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-NRbC(NRc)NRbRc、-NRbC(NCN)NRbRcおよび-NRcSO2Raを含む)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基としての)、置換されていてもよいアシル(-CORbなど)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル(-CO2Rbなど)、アミノカルボニル(-CONRbRcなど)、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、スルファニル(SRbなど)、スルフィニル(-SORaなど)およびスルホニル(-SO2Raおよび-SO2NRbRcなど)から独立に選択される置換基で置換された、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールを意味し、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rbは、H、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rcは、水素および置換されていてもよいC1〜C4アルキルから独立に選択され、
あるいは
RbおよびRcとそれらが結合している窒素とが置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基を形成しており、
各々の置換されていてもよい基が非置換であるか、あるいはC1〜C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、C1〜C4ハロアルキル、-OC1〜C4アルキル、-OC1〜C4アルキルフェニル、-C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロ、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールの置換基としての)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4フェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立に選択される1つ、2つまたは3つなどの1つまたは複数の置換基で独立に置換されている。
【0035】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含み、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0036】
「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハロゲン原子(許容できる最大の数のハロゲン原子までの)で置換された指定される数の炭素原子を有する上で定義したアルキルを示す。ハロアルキルの例は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2-フルオロエチルおよびペンタ-フルオロエチルを含むが、これらに限定されない。
【0037】
「ヘテロアリール」は、
N、OおよびSより選択される1個または複数個、例えば、1〜4個、あるいは特定の実施形態において1〜3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子である、5〜7員芳香族単環式環、
N、OおよびSより選択される1個または複数個、例えば、1〜4個、あるいは特定の実施形態において1〜3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子であり、少なくとも1個のヘテロ原子が芳香環に存在する、二環式ヘテロシクロアルキル環、および
N、OおよびSより選択される1個または複数個、例えば、1〜5個、あるいは特定の実施形態において1〜4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子であり、少なくとも1個のヘテロ原子が芳香環に存在する、三環式ヘテロシクロアルキル環を含む。
【0038】
例えば、ヘテロアリールは、5〜7員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環に縮合された5〜7員ヘテロシクロアルキル芳香環を含む。環の1つのみが1個または複数個のヘテロ原子を含む、そのような縮合二環式ヘテロアリール環系については、結合点はいずれの環にあってもよい。ヘテロアリール基におけるSおよびO原子の総数が1を超える場合、それらのヘテロ原子は、互いに隣接していない。特定の実施形態において、ヘテロアリール基におけるSおよびO原子の総数は、2を超えない。特定の実施形態において、芳香族複素環におけるSおよびO原子の総数は、1を超えない。ヘテロアリール基の例は、(第1優先順位がつけられた結合位置から番号付けされる)、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2,3-ピラジニル、3,4-ピラジニル、2,4-ピリミジニル、3,5-ピリミジニル、2,3-ピラゾリニル、2,4-イミダゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、チアジアゾリニル、テトラゾリル、チエニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリニル、インドリニル、ピリダジニル、トリアゾリル、キノリニル、ピラゾリルおよび5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリニルを含むが、これらに限定されない。遊離原子価を有する原子からの1つの水素原子の除去により、名称が「イル」で終わる一価ヘテロアリール遊離基から誘導された二価遊離基は、対応する一価遊離基の名称に「イデン」を加えることによって命名する。例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンである。ヘテロアリールは、本明細書で定義されているように、アリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを含んだり、あるいはそれらと重複したりすることはない。
【0039】
置換ヘテロアリールは、ピリジニルN-オキシドなどの1つまたは複数のオキシド(-O-)置換基で置換された環系も含む。
【0040】
「ヘテロシクロアルキル」は、酸素、硫黄および窒素から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子ならびに前記へテロ原子の少なくとも1個を含む組合せに加えて、少なくとも2個の炭素原子を含む、通常3〜7個の環原子を有する単一非芳香環を意味する。該環は、飽和されているか、または1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有していてよい。適切なヘテロシクロアルキル基としては、例えば、(第1優先順位がつけられた結合位置から番号付けされる)、2-ピロリジニル、2,4-イミダゾリジニル、2,3-ピラゾリジニル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジルおよび2,5-ピペリジニルなどがある。2-モルホリニルおよび3-モルホリニル(酸素に第1優先順位がつけられて番号付けされる)を含むモルホリニル基も考えられる。置換ヘテロシクロアルキルは、ピペリジニルN-オキシド、モルホリニル-N-オキシド、1-オキソ-1-チオモルホリニルおよび1,1-ジオキソ-1-チオモルホリニルなどの1つまたは複数のオキソ(=O)またはオキシド(-O-)置換基で置換された環系も含む。
【0041】
「ヘテロシクロアルキル」は、通常3〜7個の環原子を含む1つの非芳香環が酸素、硫黄および窒素から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子ならびに前記へテロ原子の少なくとも1個を含む組合せに加えて、少なくとも2個の炭素原子を含み、通常3〜7個の環原子を含む他の環が酸素、硫黄および窒素から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を場合によって含み、芳香族でない、二環式環系も含む。
【0042】
本明細書で用いる場合、「変化」(modulation)は、式Iの化合物の存在に対する直接または間接的な反応としての、該化合物の非存在下での活性と比較した活性の変化(change)を意味する。変化(change)は、活性の増大または活性の低下であってよく、化合物とキネシンとの直接的な相互作用に起因するか、または結果としてキネシンの活性に影響を及ぼす、化合物と1つまたは複数の他の因子との相互作用に起因する可能性がある。例えば、化合物の存在は、例えばキネシンに直接結合することにより、他の因子にキネシン活性を増大または低下させる(直接または間接的に)ことにより、あるいは細胞または生物体に存在するキネシンの量を増加または減少させる(直接または間接的に)ことにより、キネシン活性を増大または低下させる可能性がある。
【0043】
「スルファニル」という用語は、-S-(置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル)、-S-(置換されていてもよいアリール)、-S-(置換されていてもよいヘテロアリール)および-S-(置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)基を含む。したがって、スルファニルは、C1〜C6アルキルスルファニル基を含む。
【0044】
「スルフィニル」という用語は、-S(O)-(置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル)、-S(O)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O)-(置換されていてもよいヘテロアリール)、-S(O)-(置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)および-S(O)-(置換されていてもよいアミノ)基を含む。
【0045】
「スルホニル」という用語は、-S(O2)-(置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル)、-S(O2)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロアリール)および-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)基を含む。
【0046】
「置換された」という用語は、本明細書で用いるように、指定された原子の通常の原子価を超えないならば、指定された原子または基上の1つまたは複数の水素が、示された基からの選択により置換されていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、原子上の2つの水素が置換されている。置換基および/または可変基の組合せは、そのような組合せが安定な化合物または有用な合成中間体をもたらす場合にのみ、許容できる。安定な化合物または安定な構造は、反応混合物からの分離と少なくとも実際的な有用性を有する薬剤としてのその後の調剤で残存するのに十分に頑健である化合物であることを意味する。特に断らない限り、置換基は、コア構造内に命名される。例えば、(シクロアルキル)アルキルが可能な置換基として挙げられている場合、コア構造へのこの置換基の結合点はアルキル部分にあることを理解すべきである。
【0047】
「置換された」アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールという用語は、特に明確に定義されていない限り、1つまたは複数(最大5個、例えば、最大3個など)の水素原子が
-Ra、-ORb、置換されていてもよいアミノ(-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-NRbC(NRc)NRbRc、-NRbC(NCN)NRbRcおよび-NRcSO2Raを含む)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基としての)、置換されていてもよいアシル(-CORbなど)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル(-CO2Rbなど)、アミノカルボニル(-CONRbRcなど)、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、スルファニル(SRbなど)、スルフィニル(-SORaなど)およびスルホニル(-SO2Raおよび-SO2NRbRcなど)から独立に選択される置換基で置換された、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールを意味し、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rbは、水素、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rcは、水素および置換されていてもよいC1〜C4アルキルから独立に選択され、あるいは
RbおよびRcとそれらが結合している窒素とが置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基を形成しており、
各々の置換されていてもよい基が非置換であるか、あるいはC1〜C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、C1〜C4ハロアルキル、-OC1〜C4アルキル、-OC1〜C4アルキルフェニル、-C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロ、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールの置換基としての)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立に選択される1つ、2つまたは3つなどの1つまたは複数の置換基で独立に置換されている。
【0048】
「置換アシル」という用語は、該基がカルボニル官能性を介して親構造に結合する、(置換アルキル)-C(O)-、(置換シクロアルキル)-C(O)-、(置換アリール)-C(O)-、(置換ヘテロアリール)-C(O)-および(置換ヘテロシクロアルキル)-C(O)-基を意味し、置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、1個または複数個(最大5個、例えば、最大3個など)の水素原子が、
-Ra、-ORb、置換されていてもよいアミノ(-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-NRbC(NRc)NRbRc、-NRbC(NCN)NRbRcおよび-NRcSO2Raを含む)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基としての)、置換されていてもよいアシル(-CORbなど)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル(-CO2Rbなど)、アミノカルボニル(-CONRbRcなど)、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、スルファニル(SRbなど)、スルフィニル(-SORaなど)およびスルホニル(-SO2Raおよび-SO2NRbRcなど)から独立に選択される置換基で置換された、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルを意味し、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rbは、H、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rcは、水素および置換されていてもよいC1〜C4アルキルから独立に選択され、
あるいは
RbおよびRcとそれらが結合している窒素とが置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基を形成しており、
各々の置換されていてもよい基が非置換であるか、あるいはC1〜C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、C1〜C4ハロアルキル、-OC1〜C4アルキル、-OC1〜C4アルキルフェニル、-C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロ、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールの置換基としての)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立に選択される1つ、2つまたは3つなどの1つまたは複数の置換基で独立に置換されている。
【0049】
「置換アルコキシ」という用語は、アルキル置換基が置換されたアルコキシ(すなわち、-O-(置換アルキル))を意味し、「置換アルキル」は、1個または複数個(最大5個、例えば、最大3個など)の水素原子が、
-Ra、-ORb、置換されていてもよいアミノ(-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-NRbC(NRc)NRbRc、-NRbC(NCN)NRbRcおよび-NRcSO2Raを含む)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基としての)、置換されていてもよいアシル(-CORbなど)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル(-CO2Rbなど)、アミノカルボニル(-CONRbRcなど)、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、スルファニル(SRbなど)、スルフィニル(-SORaなど)およびスルホニル(-SO2Raおよび-SO2NRbRcなど)から独立に選択される置換基で置換されたアルキルを意味し、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rbは、H、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rcは、水素および置換されていてもよいC1〜C4アルキルから独立に選択され、
あるいは
RbおよびRcとそれらが結合している窒素とが置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基を形成しており、
各々の置換されていてもよい基が非置換であるか、あるいはC1〜C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、C1〜C4ハロアルキル、-OC1〜C4アルキル、-OC1〜C4アルキルフェニル、-C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロ、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールの置換基としての)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立に選択される1つ、2つまたは3つなどの1つまたは複数の置換基で独立に置換されている。一部の実施形態において、置換アルコキシ基は、「ポリアルコキシ」または-O-(置換されていてもよいアルキレン)-(置換されていてもよいアルコキシ)であり、-OCH2CH2OCH3およびポリエチレングリコールなどのグリコールエーテルの残基およびxが2〜10、例えば、2〜5などの2〜20の整数である-O(CH2CH2O)xCH3などの基を含む。他の置換アルコキシ基は、ヒドロキシアルコキシまたはyが1〜4などの1〜10の整数である-OCH2(CH2)yOHである。
【0050】
「置換アルコキシカルボニル」という用語は、該基がカルボニル官能性を介して親構造に結合する(置換アルキル)-O-C(O)-基を意味し、置換は、1個または複数個(最大5個、例えば、最大3個など)の水素原子が、
-Ra、-ORb、置換されていてもよいアミノ(-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-NRbC(NRc)NRbRc、-NRbC(NCN)NRbRcおよび-NRcSO2Raを含む)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基としての)、置換されていてもよいアシル(-CORbなど)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル(-CO2Rbなど)、アミノカルボニル(-CONRbRcなど)、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、スルファニル(SRbなど)、スルフィニル(-SORaなど)およびスルホニル(-SO2Raおよび-SO2NRbRcなど)から独立に選択される置換基で置換されたアルキルを意味し、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rbは、H、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rcは、水素および置換されていてもよいC1〜C4アルキルから独立に選択され、あるいは
RbおよびRcとそれらが結合している窒素とが置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基を形成しており、
各々の置換されていてもよい基が非置換であるか、あるいはC1〜C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、C1〜C4ハロアルキル、-OC1〜C4アルキル、-OC1〜C4アルキルフェニル、-C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロ、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールの置換基としての)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立に選択される1つ、2つまたは3つなどの1つまたは複数の置換基で独立に置換されている。
【0051】
「置換アミノ」という用語は、-NHRdまたは-NRdRe基を意味し、Rdは、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいカルバムイミドイル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、スルフィニルおよびスルホニルより選択され、Reは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールは、1個または複数個(最大5個、例えば、最大3個など)の水素原子が、
-Ra、-ORb、置換されていてもよいアミノ(-NRcCORb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-NRbC(NRc)NRbRc、-NRbC(NCN)NRbRcおよび-NRcSO2Raを含む)、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールの置換基としての)、置換されていてもよいアシル(-CORbなど)、置換されていてもよいアルコキシカルボニル(-CO2Rbなど)、アミノカルボニル(-CONRbRcなど)、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、スルファニル(SRbなど)、スルフィニル(-SORaなど)およびスルホニル(-SO2Raおよび-SO2NRbRcなど)から独立に選択される置換基で置換された、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールを意味し、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rbは、H、置換されていてもよいC1〜C6アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Rcは、水素および置換されていてもよいC1〜C4アルキルから独立に選択され、
あるいは
RbおよびRcとそれらが結合している窒素とが置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基を形成しており、
各々の置換されていてもよい基が非置換であるか、あるいはC1〜C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、C1〜C4ハロアルキル、-OC1〜C4アルキル、-OC1〜C4アルキルフェニル、-C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロ、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールの置換基としての)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立に選択される1つ、2つまたは3つなどの1つまたは複数の置換基で独立に置換されており、
置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、スルフィニルおよびスルホニルは、本明細書で定義されている通りである。
【0052】
「置換アミノ」という用語はまた、各々上で定義した-NHRdまたはNRdRd基のN-オキシドを意味する。N-オキシドは、対応するアミノ基を、例えば、過酸化水素またはm-クロロペルオキシ安息香酸で処理することによって調製することができる。当業者は、N-酸化を行わせるための反応条件に精通している。
【0053】
式Iの化合物は、式Iの化合物の光学異性体、ラセミ体およびそれの他の混合物を含むが、これらに限定されない。それらの状況において、単一エナンチオマーまたはジアステレオマー、すなわち、光学的に活性な形は、不斉合成またはラセミ体の分割により得ることができる。ラセミ体の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを用いたクロマトグラフィーなどの従来の方法により達成することができる。さらに、式Iの化合物は、炭素-炭素二重結合を有する化合物のZおよびE形(またはシスおよびトランス形)を含む。式Iの化合物が様々な互変異性体で存在する場合、本発明の化学物質は、該化合物のすべての互変異性体を含む。
【0054】
本発明の化学物質は、式Iの化合物およびそのすべての製薬上許容される形を含むが、これらに限定されない。ここで再び引用する化合物の製薬上許容される形は、製薬上許容されるその塩、溶媒和物、結晶体(多形相および包接化合物)、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載する化合物は、製薬上許容される塩の形で存在する。したがって、「化学物質」および「化学物質(複数)」という用語はまた、製薬上許容される塩、溶媒和物、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物を含む。
【0055】
「製薬上許容される塩」は、塩酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、硝酸塩および同様な塩などの無機酸との塩、ならびにリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、および酢酸塩、nが0〜4であるHOOC-(CH2)-COOHなどのアルカン酸塩および同様な塩などの有機酸との塩を含むが、これらに限定されない。同様に、製薬上許容されるカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウムを含むが、これらに限定されない。
【0056】
さらに、式Iの化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸塩の溶液を塩基化することによって得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に製薬上許容される付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することにより生成させることができる。当業者は、無毒性の製薬上許容される付加塩を調製するのに用いることができる様々な合成方法を認識するであろう。
【0057】
上記のように、プロドラッグも化学物質の範囲内に入り、例えば、式Iの化合物のエステルまたはアミド誘導体がある。「プロドラッグ」という用語は、患者に投与したときに、例えば、プロドラッグの代謝過程により式Iの化合物になる化合物を含む。プロドラッグの例は、式Iの化合物における官能基(アルコールまたはアミン基)の酢酸塩、ギ酸塩、リン酸塩および安息香酸塩ならびに同様な誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0058】
「溶媒和物」という用語は、溶媒と化合物との相互作用により生成する化学物質を意味する。適切な溶媒和物は、一水和物および半水和物を含む水和物などの製薬上許容される溶媒和物である。
【0059】
「キレート化合物」という用語は、2つ(または複数)の点での金属イオンへの化合物の配位により生成する化学物質を意味する。
【0060】
「非共有結合性錯体」という用語は、化合物と分子との間に共有結合が形成されない、化合物と他の分子との相互作用により生成する化学物質を意味する。例えば、錯形成は、ファンデルワールス相互作用、水素結合および静電相互作用(イオン結合とも呼ばれる)により起り得る。
【0061】
「活性物質」という用語は、生物学的活性を有する化学物質を示すのに用いられる。特定の実施形態において、「活性物質」は医薬の効用を有する化合物である。例えば、活性物質は、抗癌治療薬であってよい。
【0062】
「有意な」は、StudentのT検定などの統計的有意性の標準的パラメトリック検定でp<0.05である場合の統計的に有意である検出できる変化を意味する。
【0063】
「抗有糸分裂性物質」という用語は、例えば、有糸分裂中期停止を引き起こすことにより、有糸分裂を抑制または予防するための薬物を意味する。いくつかの抗腫瘍薬は、増殖を阻止し、抗有糸分裂性物質であると考えられる。
【0064】
本発明の化学物質の「治療有効量」という用語は、ヒトまたはヒト以外の患者に投与したとき、症状の改善、疾患の進行の緩徐化、または疾患の予防などの治療上の利益をもたらすのに有効な量を意味し、例えば、治療有効量は、CENP-E阻害に反応する疾患の症状を低減するのに十分な量である。一部の実施形態において、治療有効量は、癌の症状を低減するのに十分な量である。一部の実施形態において、治療有効量は、生物体における検出できる癌性細胞の数を減少させ、癌性腫瘍の成長を検出できるほどに遅くし、または停止させるのに十分な量である。一部の実施形態において、治療有効量は、癌性腫瘍を縮小させるのに十分な量である。
【0065】
「抑制(阻害)」という用語は、生物学的活性または過程のベースライン活性の有意な低下を示す。「CENP-E活性の阻害」は、本明細書に記載した少なくとも1つの化学物質の存在に対する直接または間接的な反応としての、少なくとも1つの化学物質の非存在下でのCENP-Eの活性と比較したCENP-E活性の低下を意味する。活性の低下は、化学物質とCENP-Eとの直接的な相互作用に起因するか、または本明細書に記載した化合物と、結果としてCENP-E活性に影響を及ぼす、1つまたは複数の他の因子との相互作用に起因する可能性がある。例えば、化合物の存在は、CENP-Eに直接結合することにより、他の因子にCENP-E活性を(直接または間接的に)低下させることにより、あるいは細胞または生物体に存在するCENP-Eの量を(直接または間接的に)減少させることにより、CENP-E活性を低下させる可能性がある。
【0066】
「CENP-E阻害に反応する疾患」は、CENP-Eを阻害することが、症状の改善、疾患の進行の低減、疾患の発症の予防もしくは遅延、または特定の細胞型の異常活性の阻害などの治療上の利益をもたらす疾患である。
【0067】
「治療」または「治療すること」は、以下のことを含む、患者の疾患のあらゆる治療を意味する。
【0068】
a)疾患を予防すること、すなわち、疾患の臨床症状を発現させないこと、
b)疾患を抑制すること、
c)臨床症状を発現を遅くすることまたは停止すること、および/または
d)疾患を軽減すること、すなわち、臨床症状の退行をもたらすこと。
【0069】
「患者」は、治療、観察または実験の対象であった、または対象となる哺乳動物などの動物を意味する。本発明の方法は、ヒトにおける治療および獣医学適用分野に有用である可能性がある。一部の実施形態において、患者は哺乳動物であり、一部の実施形態において、患者はヒトであり、また、一部の実施形態において、患者はネコおよびイヌより選択される。
【0070】
式Iの化合物は、下記の方法で命名し、番号付けすることができる。例えば、MDL ISIS Draw Version 2.5 SP1などの命名法ソフトウェアを用いて、化合物
【化2】

【0071】
は、(3R,S)-3-[(3-クロロ-4-イソプロポキシフェニル)カルボニル]アミノ-4-[4-(2-t-ブチル-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル]-4-オキソ-ブタン-1-オールと命名することができる。その同じ化合物をChemDraw Ultra 9.0の構造=名称アルゴリズムを用いて命名する場合、名称はN-(1-(4-(2-tert-ブチル-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)-4-ヒドロキシ-1-オキソブタン-2-イル)-3-クロロ-4-イソプロポキシベンズアミドである。
【0072】
本発明は、1つまたは複数の有糸分裂キネシンの阻害剤である新規な化学物質のクラスを対象とする。一部の実施形態によれば、本明細書に記載する化学物質は、有糸分裂キネシンであるCENP-E、特にヒトCENP-Eを阻害する。CENP-Eは、中期染色体整列を達成するために必須のプラス末端特異的微小管モーターである。CENP-Eは、間期中に蓄積し、有糸分裂の完了後に分解される。CENP-Eに対する抗体の微量注射またはCENP-Eの優性抑制型変異体の過剰発現により、有糸分裂停止が引き起こされ、前中期染色体が双極紡錘体上に散在する。CENP-Eのテールドメインは、動原体への局在化を媒介し、また有糸分裂チェックポイントキナーゼhBubR1とも相互作用する。CENP-Eは、MAPキナーゼの活性形とも結合する。ヒト(Yenら、Nature、359(6395):536〜9(1992))CENP-Eのクローニングが報告された。Throwerら、EMBO J.、14:918〜26(1995)に、部分的に精製された天然ヒトCENP-Eが報告された。さらに、該試験でCENP-Eがマイナス末端特異的微小管モーターであったことが報告された。Woodら、Cell、91:357〜66(1997)は、大腸菌(E.Coli)におけるツメガエル(Xenopus)CENP-Eの発現、およびXCENP-Eがin vitroでプラス末端特異的モーターとしての運動性を有することを開示している。CENP-Eについては、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO99/13061を参照のこと。
【0073】
一部の実施形態において、該化学物質は、有糸分裂キネシンCENP-Eを阻害し、さらに、HSET(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,361,993号を参照)、MCAK(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,331,424号を参照)、RabK-6(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,544,766号を参照)、Kif4(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,440,684号を参照)、MKLP1(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,448,025号を参照)、Kif15(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,355,466号を参照)、Kid(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,387,644号を参照)、Mpp1、CMKrp、KinI-3(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,461,855号を参照)、Kip3a(参照により本明細書に組み込まれるPCT公開番号WO01/96593)、Kip3d(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,492,151号を参照)およびKSP(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,617,115号を参照)より選択される1つまたは複数のヒト有糸分裂キネシンを変化させる。
【0074】
有糸分裂キネシンを阻害する方法は、本発明の阻害剤を、1つまたは複数の有糸分裂キネシン、特にヒトキネシン、またはそのフラグメントおよび変異体と接触させることを含む。阻害は、有糸分裂紡錘体が崩壊するような、有糸分裂キネシンのATP加水分解活性および/または有糸分裂紡錘体形成活性の阻害であり得る。
【0075】
本発明は、細胞増殖に関連する障害の治療のための1つまたは複数の有糸分裂キネシン、特に、1つまたは複数のヒト有糸分裂キネシンの阻害剤を提供する。本明細書に記載する化学物質組成物および方法は、それらの選択性が異なる可能性があり、癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症を含むが、これらに限定されない細胞増殖の疾患を治療するのに用いられる。
【0076】
式I:
【化3】

【0077】
[式中、
R1は、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Xは、-COおよび-SO2-より選択され、
R2は、水素および置換されていてもよい低級アルキルより選択され、
Wは、-CR8-、-CH2CH8-およびNより選択され、
R3は、-CO-R7、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、シアノ、スルホニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
R4は、ハロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、
R5は、ハロ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよい低級アルキルより選択され、
R6は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、
R7は、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアラルコキシ、置換されていてもよいアルコキシより選択され、
R8は、水素および置換されていてもよいアルキルより選択され、
R4およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になってオキソ基を形成し、または
R4およびR8は、それらが結合している炭素と一緒になってC=C基を形成し、R5は、水素および置換されていてもよい低級アルキルより選択される]
の化合物より選択される少なくとも1つの化学物質
ならびに製薬上許容されるその塩、溶媒和物、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物を提供する。
【0078】
一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよいアリールである。
【0079】
一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよいフェニルである。
【0080】
一部の実施形態において、R1は、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルキル、スルホニル、ハロ、置換されていてもよいアミノ、スルファニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、アシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールから独立に選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されたフェニルである。
【0081】
一部の実施形態において、R1は、3-ハロ-4-イソプロポキシフェニル、3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル、3-ハロ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルオキシ)フェニル、3-シアノ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルオキシ)フェニル、3-ハロ-4-イソプロピルアミノフェニル、3-シアノ-4-イソプロピルアミノフェニル、3-ハロ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルアミノ)フェニルおよび3-シアノ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルアミノ)フェニルより選択される。
【0082】
一部の実施形態において、Xは、-CO-である。
【0083】
一部の実施形態において、R2は、水素である。
【0084】
一部の実施形態において、Wは、-CR8である。
【0085】
一部の実施形態において、R3は、-CO-R7、水素、置換されていてもよい低級アルキル、シアノ、スルホニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールである。
【0086】
一部の実施形態において、R3は、置換されていてもよい低級アルキルである。
【0087】
一部の実施形態において、R3は、ヒドロキシで置換されていてもよい低級アルキル、低級アルコキシで置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい低級アルキル、およびR7が水素および置換されていてもよいアミノより選択される、CO-R7で置換されていてもよい低級アルキルより選択される。
【0088】
一部の実施形態において、R3は、ヒドロキシで置換されていてもよい低級アルキルおよび置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい低級アルキルより選択される。
【0089】
一部の実施形態において、R4は、ハロおよび低級アルキルより選択される。
【0090】
一部の実施形態において、R4は、ハロおよびメチルより選択される。
【0091】
一部の実施形態において、R5は、ハロ、ヒドロキシおよび置換されていてもよい低級アルキルより選択される。
【0092】
一部の実施形態において、R5は、低級アルキル、ヒドロキシルおよびハロより選択される。一部の実施形態において、R5は、低級アルキルおよびヒドロキシルより選択される。
【0093】
一部の実施形態において、R4はR5と一緒になってオキソ基を形成している。
【0094】
一部の実施形態において、R6は、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいアルキルより選択される。
【0095】
一部の実施形態において、R6は、次の置換基の1つまたは2つで置換されたフェニルである:置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいシクロアルキルオキシ、フェニル、フェノキシ、スルホニル、アミノカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ、ヘテロアラルコキシ、アラルコキシおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキル。
【0096】
一部の実施形態において、R6は、
【化4】

【0097】
[式中、
R14は、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
R15は、水素、ハロ、ヒドロキシおよび低級アルキルより選択される]
である。
【0098】
一部の実施形態において、R14は、
それぞれが、置換されていてもよい低級アルキル、ハロ、アシル、スルホニル、シアノ、ニトロ、置換されていてもよいアミノおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよい
7,8-ジヒドロイミダゾ[1,2-c][1,3]オキサジン-2-イル、
3a,7a-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル、
イミダゾ[2,1-b]オキサゾール-6-イル、
オキサゾール-4-イル、
5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、
1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル、
2,3-ジヒドロイミダゾール-4-イル、
1H-イミダゾール-2-イル、
イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、
チアゾール-2-イル、
チアゾール-4-イル、
ピラゾール-3-イル、および
1H-イミダゾール-4-イル
より選択される。
【0099】
一部の実施形態において、R14は、
それぞれが、置換されていてもよい低級アルキル、ハロおよびアシルより選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい
1H-イミダゾール-2-イル、
イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、および
1H-イミダゾール-4-イル
より選択される。
【0100】
一部の実施形態において、R15は、水素である。
【0101】
式II:
【化5】

【0102】
[式中、
R2、R3、R4、R5およびR6は、式Iの化合物について記載されている通りであり、
R11は、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい低級アルキル、ニトロ、シアノ、水素、スルホニルおよびハロより選択され、
R12は、水素、ハロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアミノ、スルファニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシおよび置換されていてもよいヘテロアリールオキシより選択され、
R13は、水素、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択される]
の化合物より選択される少なくとも1つの化学物質
ならびに製薬上許容されるその塩、溶媒和物、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物も提供する。
【0103】
一部の実施形態において、R11は、水素、シアノ、ニトロおよびハロより選択される。
【0104】
一部の実施形態において、R11は、クロロおよびシアノより選択される。
【0105】
一部の実施形態において、R12は、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキルおよび置換されていてもよいアミノより選択される。
【0106】
一部の実施形態において、R12は、低級アルコキシ、2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエトキシ、低級アルキルアミノおよび2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチルアミノより選択される。
【0107】
一部の実施形態において、R12は、プロポキシ、2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエトキシ、プロピルアミノおよび2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチルアミノより選択される。
【0108】
一部の実施形態において、R13は、水素である。
【0109】
式III:
【化6】

【0110】
[式中、
R2、R4、R5およびR6は、式Iの化合物について記載されている通りであり、R11、R12およびR13は、式IIの化合物について記載されている通りである]
の化合物より選択される少なくとも1つの化学物質
ならびに製薬上許容されるその塩、溶媒和物、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物も提供する。
【0111】
式IV:
【化7】

【0112】
[式中、R2、R4、R5およびR6は、式Iの化合物について記載されている通りであり、R11、R12およびR13は、式IIの化合物について記載されている通りであり、
R9は、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいシクロアルコキシ、置換されていてもよいアラルコキシ、置換されていてもよいアミノおよび置換されていてもよい低級アルキルより選択される]
の化合物より選択される少なくとも1つの化学物質
ならびに製薬上許容されるその塩、溶媒和物、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物も提供する。
【0113】
一部の実施形態において、R9は、ヒドロキシで置換された低級アルキルおよび置換されていてもよいアミノより選択される。
【0114】
一部の実施形態において、R9は、ヒドロキシで置換された低級アルキル、アミノ、N-メチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、アゼチジン-1-イルまたはピロリジン-1-イルより選択される。
【0115】
本明細書に記載する化学物質は、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、PCT WO99/13061、米国特許第6,420,561およびPCT WO98/56756に示されている以下の手順により調製することができる。出発物質および他の反応物は、例えば、Aldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)から市販されているか、または一般的に用いられている合成方法を用いて当業者により容易に調製することができる。
【0116】
特に指定しない限り、「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」という用語は、それに関連して記載する反応の条件下で不活性である溶媒を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどが挙げられる。それと逆に指定しない限り、本発明の反応に用いる溶媒は、不活性有機溶媒である。
【0117】
一般的に、カルボン酸のエステルは、従来のエステル化法により調製することができ、例えば、アルキルエステルは、必要なカルボン酸を一般に酸性条件下で適切なアルカノールで処理することにより調製することができる。同様に、アミドは、従来のアミド化法を用いて調製することができ、例えば、アミドは、活性化カルボン酸を適切なアミンで処理することにより調製することができる。あるいは、必要とするアミドを得るために、酸のメチルエステルなどの低級アルキルエステルをTetrahedron Lett.第48巻、4171〜4173頁、(1977)に記載されている手順に従って、場合によってトリメチルアルミニウムの存在下でアミンで処理することができる。カルボキシル基は、アルキルエステル、例えば、メチルエステルとして保護することができ、エステルは従来の手順を用いて調製し、除去することができ、カルボメトキシをカルボキシルに変換する都合のよい方法は、水性水酸化リチウムを用いることである。
【0118】
本明細書で言及した塩および溶媒和物は、必要に応じて当技術分野における通常の方法により生成させることができる。例えば、発明の化合物が酸である場合、所望の塩基付加塩は、アミン(第一級、第二級もしくは第三級)、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物、または同様なものなどの無機もしくは有機塩基で遊離酸を処理することにより調製することができる。適切な塩の実例となる例としては、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、エチレンジアミンなどの第一級、第二級および第三級アミン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの環状アミンから得られる有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから得られる無機塩などがある。
【0119】
化合物が塩基である場合、所望の酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、および同様なものなどの無機酸、あるいは酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸などの有機酸、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸もしくは酒石酸などのα-ヒドロキシ酸、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸もしくはケイ皮酸などの芳香族酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのスルホン酸、または同様なものによる遊離塩基の処理を含む、当技術分野で知られているあらゆる適切な方法により調製することができる。
【0120】
本明細書に記載する化学物質および中間体の単離および精製は、所望の場合、例えば、ろ過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィー、またはこれらの手法の組合せなどの適切な分離または精製法により実施することができる。適切な分離または単離法の個別の実例は、本明細書の下文における実施例を参照することにより得ることができる。しかし、他の同等の分離または単離法ももちろん用いることができる。
【化8】

【0121】
反応スキーム1の段階1を参照して、DCMなどの不活性溶媒中式101の化合物の溶液に、約0℃で過剰(約1.2当量など)のトリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニルおよびトリエチルアミンなどの塩基を加える。反応混合物を約1時間攪拌する。生成物である式105の化合物を分離し、精製する。
【0122】
反応スキーム1の段階2を参照して、極性非プロトン性溶媒中式105の化合物の溶液に、過剰(約1.2当量など)の式R7(CO)-CH(NHR2)-C(R4)(R5)(R6)の化合物およびN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を加える。反応を例えばLC/MSによりモニターして、R7がNH2である式107の化合物を生成させ、これを分離し、場合によって精製する。
【化9】

【0123】
反応スキーム2を参照して、DMFなどの極性非プロトン性溶媒中式201の化合物の溶液に、室温で過剰(約1.2当量など)の式105の化合物およびジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を加える。反応混合物を例えばLC/MSによりモニターする。完了後、THFおよびHBTUなどの不活性溶媒中第一級または第二級アミンを反応溶液に加える。反応混合物を約2日間攪拌する。R7が置換されていてもよいアミノである、生成物である式203の化合物を分離し、精製する。
【0124】
特定の実施形態において、式203の化合物におけるR6は、ハロゲン化物、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールである。このハロゲン化物は、当技術分野で知られており、下の実施例でさらに記載する技術を用いた様々な反応を用いて他の様々な置換基に変換することができる。
【0125】
他の実施形態において、式203の化合物におけるR6は、アルキルまたはアリールアミンである。再び、アミン部分は、当技術分野で知られており、下に記載する技術を用いてアルキル化し、アシル化し、スルホンアミドおよび同様なものに変換することができる。
【0126】
さらに他の実施形態において、式203の化合物におけるR6は、アルキルアルコールまたはアリールアルコールである。ヒドロキシル部分は、当技術分野で知られている技術を用いて対応するエーテルまたはエステルに変換することができる。
【化10】

【0127】
反応スキーム3を参照して、DMFなどの極性非プロトン性溶媒中式301の化合物の溶液に、グリシンアミド塩酸塩、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基およびHBTUを加える。反応混合物を約15時間攪拌する。生成物である式303の化合物を分離し、精製する。
【化11】

【0128】
反応スキーム4の段階1を参照して、約0℃のTHFなどの不活性溶媒中nが0、1または2である式401の化合物の攪拌溶液に、過剰(約2当量など)のLAH(THF中1.0M溶液など)を加える。約2時間攪拌した後、生成物である式403の化合物を分離し、さらなる精製をせずに用いる。
【0129】
反応スキーム4の段階2を参照して、ヒドロキシル基を保護アミノ基に変換する。保護基がフタアミドである場合、それを以下のように調製することができる。THFなどの不活性溶媒中式403の化合物の攪拌溶液に、過剰(約1.1当量など)のイソインドール-1,3-ジオンおよびトリフェニルホスフィンを加える。次いで、過剰(約1.1当量など)のDEADを一滴ずつ加え、反応物を約30分間攪拌する。生成物である式405の化合物を分離し、精製する。
【0130】
反応スキーム4の段階3を参照して、次にBoc保護基を除去して、対応する遊離アミンを生成させる。当業者は、これが他の保護アミンが完全なままであるような方法で遂行すべきであることを認識するであろう。例えば、DCMなどの非極性非プロトン性溶媒中式405の化合物の溶液に、室温でTFAなどの酸を加える。反応混合物を約20分間攪拌する。生成物である式407の化合物を分離し、さらなる精製をせずに用いる。
【0131】
反応スキーム4の段階4を参照して、DMFなどの不活性溶媒中式407の化合物の溶液に、室温で式105の化合物およびジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を加える。反応混合物を一晩攪拌する。生成物である式409の化合物を分離し、精製する。
【0132】
反応スキーム4の段階5を参照して、次に、アミン保護基PGを除去する。アミン保護基PGがフタルイミドである場合、それは次のように除去することができる。メタノールなどの極性プロトン性溶媒中式409の化合物の溶液に、過剰(約10当量など)のヒドラジン水和物を加える。反応混合物を約50℃で約5時間攪拌し、次いで室温に冷却する。生成物である式411の化合物を分離し、場合によって精製する。他の保護基を除去するための条件は、当業者に知られている。
【0133】
式411の化合物の遊離アミンは、当業者により知られている技術を用いてアシル化し、アルキル化し、還元的にアルキル化し、またはスルホニル化することができる。
【化12】

【0134】
反応スキーム5の段階1を参照して、メタノールなどの極性プロトン性溶媒中式701の化合物の溶液に、過剰(約2当量などの)のSOCl2を加える。室温で一晩攪拌した後、生成物である式703を分離し、さらなる精製をせずに用いる。
【0135】
反応スキーム5の段階2を参照して、エタノールなどの極性プロトン性溶媒中式703の化合物の溶液に、過剰(約5当量などの)のN2H4・H2Oを加える。反応混合物を加熱して還流し、約3時間攪拌する。冷却後、生成物である式705を分離し、精製する。
【0136】
反応スキーム5の段階3を参照して、THFなどの不活性溶媒中式705の化合物の溶液に、過剰(約1.1当量などの)のカルボニルジイミダゾールを加える。反応混合物を加熱して還流し、1.5時間攪拌する。冷却後、生成物である式707の化合物を分離し、精製する。
【0137】
反応スキーム5の段階4を参照して、アセトニトリルなどの不活性溶媒中式707の化合物の溶液に、Zが脱離基である過剰(約1.1当量などの)のR4R5R6C-ZおよびK2CO3などの塩基を加える。反応混合物をマイクロ波照射下で約80℃に約30分間加熱した後、ろ過し、真空中で濃縮する。生成物である式709の化合物を分離し、場合によって精製する。
【0138】
反応スキーム5の段階5を参照して、式709の化合物に、THFなどの不活性溶媒中過剰の第一級アミンを加える。反応混合物をマイクロ波照射下で約100℃に約4時間加熱する。生成物である式711の化合物を分離し、精製する。
【0139】
調製したならば、本発明の化学物質には、有糸分裂の改変を含む様々な適用例における使用が見出される。当業者により認識されるように、有糸分裂は様々な方法で改変することができる。すなわち、有糸分裂経路における成分の活性を増大または低下させることにより、有糸分裂に影響を及ぼすことができる。言い換えれば、有糸分裂は、特定の成分を阻害または活性化することにより平衡を乱すことにより影響を及ぼす(例えば、破綻させる)ことができる。有糸分裂を改変するのに同様なアプローチを用いることができる。
【0140】
一部の実施形態において、本発明の化学物質は、有糸分裂紡錘体形成を阻害し、それにより、有糸分裂における細胞周期停止の延長を引き起こすのに用いる。この状況における「阻害」は、有糸分裂紡錘体形成を低減もしくは妨害すること、または有糸分裂紡錘体機能不全を引き起こすことを意味する。本明細書における「有糸分裂紡錘体形成」は、有糸分裂キネシンによる微小管の双極構造への組織化を意味する。本明細書における「有糸分裂紡錘体機能不全」は、有糸分裂の停止を意味する。
【0141】
本発明の化学物質は、1つまたは複数の有糸分裂キネシンに結合し、かつ/またはその活性を阻害する。一部の実施形態において、化学物質は他の生物体の有糸分裂キネシンに結合またはその活性を阻害するために用いることができるが、有糸分裂キネシンはヒトのものである。この状況においては、「阻害する」は、紡錘体極分離を増大もしくは減少させ、有糸分裂紡錘体の極の形成異常、すなわち広がりを引き起こすか、または別の方法で有糸分裂紡錘体の形態の撹乱を引き起こすことを意味する。そのようなタンパク質の変異体および/またはフラグメントならびにより詳細にはそのようなタンパク質のモータードメインも、これらの目的のための有糸分裂キネシンの定義に含まれる。
【0142】
本発明の化学物質は、細胞増殖疾患を治療するのに用いる。本明細書に記載する化学物質により治療することができるそのような疾患状態は、癌(下でさらに述べる)、自己免疫疾患、真菌性障害、関節炎、移植片拒絶反応、炎症性腸疾患、手術、血管形成術等を含むがこれらに限定されない医療処置の後に誘発された細胞増殖を含むが、これらに限定されない。治療は、細胞増殖を抑制することを含む。場合によって、細胞が異常な状態でなくとも、依然として治療を必要とする可能性があることが認識される。したがって、一部の実施形態において、本明細書における発明は、これらの障害または状態のいずれかに罹患または切迫した罹患を受けやすい細胞もしくは個体への適用を含む。
【0143】
本明細書に記載する化学物質、医薬製剤および方法は、皮膚癌、乳癌、脳腫瘍、子宮頚癌、精巣癌などの充実性腫瘍を含む癌の治療に特に有用であると考えられる。より詳細には、治療することができる癌は、以下を含むが、それらに限定されない。
【0144】
・ 心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫、
・ 肺:気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫(chondromatous hamartoma)、中皮腫、
・ 消化管:食道(扁平細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、類癌腫、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、潅頂腺癌、絨毛状腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、
・ 尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿管(扁平細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、腸細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)、
・ 肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、胚芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、
・ 骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨外骨腫症)、良性軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨芽細胞腫、類骨骨腫および巨細胞腫、
・ 神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、神経膠芽細胞腫多形、稀突起神経膠腫、神経線維腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)、
・ 婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚部(子宮頚癌、前腫瘍子宮頚形成異常)、卵巣(卵巣巣癌[重篤な嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、分類されていない癌]、顆粒層包膜細胞腫、セルトリ-ライジッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平細胞癌、ブドウ状肉腫(胎生期横紋筋肉腫)、ファローピウス管(癌)、
・ 血液学的:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫]、
・ 皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平細胞癌、カポシ肉腫、moles形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬、および
・ 副腎:神経芽腫。
【0145】
本明細書で用いる場合、癌の治療は、上記で明らかにした状態のいずれか1つに罹患した細胞を含む癌性細胞の治療を含む。したがって、本明細書に記載する「癌性細胞」という用語は、上記で明らかにした状態のいずれか1つに罹患した細胞を含む。
【0146】
本発明の他の有用な態様は、本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質および有効な量の少なくとも1つの該化学物質を投与することにより細胞増殖性疾患を治療する指示書を含む添付文書または他のラベル表示を有するキットである。本発明のキットにおける化学物質は、細胞増殖性疾患の治療の過程のために1または複数回の用量として特に提供し、各用量は、医薬賦形剤および本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質を含む医薬製剤である。
【0147】
有糸分裂キネシンを変化させる活性のアッセイのために、一般的に有糸分裂キネシンまたは本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質を、単離試料受け入れ部を有する不溶性支持体(例えば、マイクロタイタープレート、アレイ等)に拡散できないように結合させる。不溶性支持体は、試料を結合させることができる組成物製であってよく、可溶性物質から容易に分離され、スクリーニングの全般的な方法と他の点で適合している。そのような支持体の表面は、固体または多孔質で、都合のよい形状のものであってよい。適切な不溶性支持体の例としては、マイクロタイタープレート、アレイ、膜およびビーズなどがある。これらは一般的に、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、Teflon(商標)等で製造される。マイクロタイタープレートおよびアレイは、少量の試薬および試料を用いて多数のアッセイを同時に行うことができるため、特に都合がよい。試料が試薬および本発明の全般的な方法と適合し、試料の活性を維持し、非拡散性である限り、試料の結合の個別の方法はさほど重要ではない。結合の個別の方法としては、抗体(タンパク質が支持体に結合するときに、リガンド結合部位または活性化配列を立体的に遮断しない)、「粘着性」またはイオン性支持体への直接結合、化学的架橋、表面上のタンパク質または物質の合成等の使用などがある。試料の結合の後、過剰の非結合物質を洗浄により除去する。次いで、試料受け入れ部を、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは他の無害のタンパク質もしくは他の部分とのインキュベーションにより遮断する。
【0148】
本発明の化学物質は、有糸分裂キネシンの活性を阻害するためにそれだけで用いることができる。一部の実施形態において、本発明の少なくとも1つの化学物質を有糸分裂キネシンと混合し、有糸分裂キネシンの活性をアッセイする。キネシン活性は、当技術分野で知られており、次の1つまたは複数のものを含む:ATP加水分解に影響を及ぼす能力、微小管結合、滑走運動および重合/脱重合(微小管動力学に対する作用)、紡錘体の他のタンパク質への結合、細胞周期制御に関与するタンパク質への結合、キナーゼまたはプロテアーゼなどの他の酵素に対する基質として機能すること、ならびに紡錘体極分離などの特異的キネシン細胞活性。
【0149】
運動性アッセイを実施する方法は、当業者によく知られている(例えば、Hallら(1996)、Biophys.J.、71:3467〜3476頁、Turnerら、1996、AnaL Biochem.242(1):20〜5頁、Gittesら、1996、Biophys.J.70(l):418〜29頁、Shirakawaら、1995、J.Exp.BioL 198:1809〜15頁、Winkelmannら、1995、Biophys.J.68:2444〜53、Winkelmannら、1955、Biophys.J.68:72Sを参照)。
【0150】
ATPアーゼ加水分解活性を測定するための当技術分野で知られている方法も用いることができる。溶液ベースのアッセイを用いることが適切である。参照によりその全部が本明細書により組み込まれる米国特許第6,410,254号は、そのようなアッセイを記載している。あるいは、従来の方法を用いる。例えば、キネシン(およびより詳細には、有糸分裂キネシンのモータードメイン)からのPiの放出を定量することができる。一部の実施形態において、ATPアーゼ加水分解活性アッセイでは、0.3M PCA(過塩素酸)およびマラカイトグリーン試薬(8.27mMモリブデン酸IIナトリウム、0.33mMシュウ酸マラカイトグリーンおよび0.8mM Triton X-100)を用いる。アッセイを実施するために、10μLの反応混合物を90μLの冷0.3M PCA中でクエンチする。データを放出された無機リン酸塩(mM)に変換することができるように、リン酸塩標準を用いる。すべての反応物および標準がPCA中でクエンチしたとき、100μLのマラカイトグリーン試薬を例えばマイクロタイタープレートの適切なウェルに加える。混合物を10〜15分間展開し、プレートを650nmの吸光度で読み取る。リン酸塩標準を用いた場合、吸光度の読みをmM Piに変換し、時間にわたってプロットすることができる。さらに、当技術分野で知られているATPアーゼアッセイは、ルシフェラーゼアッセイを含む。
【0151】
キネシンモータードメインのATPアーゼ活性は、作用物質の作用をモニターするのにも用いることもでき、当業者によく知られている。一部の実施形態において、キネシンのATPアーゼアッセイを微小管の非存在下で実施する。一部の実施形態において、ATPアーゼアッセイを微小管の存在下で実施する。上のアッセイで異なる種類の作用物質を検出することができる。一部の実施形態において、作用物質の作用は、微小管およびATPの濃度と無関係である。一部の実施形態において、キネシンATPアーゼに対する作用物質の作用は、ATP、微小管または両方の濃度を増加させることにより低下させることができる。一部の実施形態において、作用物質の作用は、ATP、微小管または両方の濃度を増加させることにより増加する。
【0152】
有糸分裂キネシンの生化学的活性をin vitroで阻害する化学物質は、次にin vivoでスクリーニングすることができる。in vivoでのスクリーニング方法としては、細胞周期分布、細胞生存能、または紡錘体の存在、形態、活性、分布もしくは数のアッセイなどがある。例えば、フローサイトメトリーによって細胞集団の細胞周期分布をモニタリグする方法は、細胞生存能を測定する方法と同様に、当業者によく知られている。例えば、参照によりその全部が本明細書により組み込まれる米国特許第6,437,115号を参照のこと。紡錘体形成および形成異常をモニタリグする顕微鏡的方法は、当業者によく知られている(例えば、それぞれが参照によりその全部が本明細書に組み込まれるWhiteheadおよびRattner(1998)、J.Cell Sci.111:2551〜61頁、Galgioら(1996)J.Cell Biol.、135:399〜414頁を参照)。
【0153】
本発明の化学物質は、1つまたは複数の有糸分裂キネシンを阻害する。阻害の1つの尺度は、有糸分裂キネシンの活性を対照と比較して50%低下させる化学物質の濃度と定義されるIC50である。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約1mM未満のIC50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約100μM未満のIC50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約10μM未満のIC50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約1μM未満のIC50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約100nM未満のIC50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約10nM未満のIC50を有する。IC50の測定は、本明細書に記載するようなATPアーゼアッセイを用いて行う。
【0154】
阻害の他の尺度は、Kiである。約1μM未満のIC50を有する化学物質については、KiまたはKdは、本明細書に記載する化合物と有糸分裂キネシンとの相互作用における解離速度定数と定義される。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約100μM未満のKiを有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約10μM未満のKiを有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約1μM未満のKiを有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約100nM未満のKiを有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約10nM未満のKiを有する。
【0155】
化学物質のKiは、3つの仮定およびミカエリス-メンテンの式に基づいて、IC50から決定する。第1に、1つの化合物分子のみが酵素に結合し、協同性は存在しない。第2に、活性酵素および供試化合物の濃度が既知である(すなわち、調製物中に有意な量の不純物または不活性形が存在しない)。第3に、酵素-阻害剤複合体の酵素速度が0である。速度(すなわち、化合物濃度)データが以下の式に適合する。
【数1】

【0156】
ここで、Vは観測速度であり、Vmaxは遊離酵素の速度であり、I0は阻害濃度であり、E0は酵素濃度であり、Kdは酵素-阻害剤複合体の解離定数である。
【0157】
阻害の他の尺度は、細胞増殖の速度の50%の低下をもたらす化学物質の濃度と定義されるGI50である。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約1mM未満のGI50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約20μM未満のGI50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約10μM未満のGI50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約1μM未満のGI50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約100nM未満のGI50を有する。一部の実施形態において、少なくとも1つの化学物質は、約10nM未満のGI50を有する。GI50の測定は、本明細書に記載するような細胞増殖アッセイを用いて行う。このクラスの化学物質は、細胞増殖を抑制することが見出された。
【0158】
小分子阻害剤のin vitro効力は、例えば、化合物の9ポイント希釈系列への72時間の曝露後のヒト卵巣癌細胞(SKOV3)の生存能をアッセイすることにより測定される。細胞生存能は、市販の試薬であるMTS/PMSの生物学的還元により生成する生成物であるホルマゾン(formazon)の吸光度を測定することにより測定する。用量反応曲線上の各ポイントは、72時間目の背景吸収(完全な細胞の死滅)を引いた無処理対照細胞に対するパーセントとして計算する。
【0159】
癌の治療(癌化学療法)に診療所で適用して成功を収めた抗増殖性化合物は、著しく異なるGI50を有する。例えば、A549細胞において、パクリタキセルのGI50は4nMであり、ドキソルビシンは63nMであり、5-フルオロウラシルは1μMであり、ヒドロキシ尿素は500μMである(National Cancer Institute、Development Therapeutic Program、http://dtp.nci.nih.gov/により提供されたデータ)。したがって、細胞増殖を抑制する化合物は、抑制を示す濃度に無関係に、強力な臨床上の有用性を有する。
【0160】
有糸分裂キネシンに結合する化合物をスクリーニングする方法において本発明の化学物質を用いるために、有糸分裂キネシンを支持体に結合させ、本発明の化合物をアッセイに加える。あるいは、本発明の化学物質を支持体に結合させ、有糸分裂キネシンを加える。新規な結合物質を探究することができる化合物のクラスは、特異的抗体、化学ライブラリーのスクリーニングにおいて特定された非天然結合物質、ペプチド類似体等である。特に興味深いものは、ヒト細胞に対して低い毒性を有する候補薬のスクリーニングアッセイである。標識in vitroタンパク質-タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度変化アッセイ、タンパク質結合に関するイムノアッセイ、機能アッセイ(リン酸化アッセイ等)などを含む様々なアッセイをこの目的のために用いることができる。
【0161】
有糸分裂キネシンに対する本発明の化学物質の結合の測定は、多くの方法で行うことができる。一部の実施形態において、化学物質を例えば蛍光または放射性物質で標識し、結合を直接的に測定する。例えば、これは、有糸分裂キネシンのすべてまたは一部を固体支持体に結合させ、標識被験化合物(例えば、少なくとも1つの原子が検出可能な同位体で置換された本発明の化学物質)を加え、過剰の試薬を洗い落とし、標識の量が固体支持体上に存在するものであるかどうかを判断することによって行うことができる。
【0162】
本明細書における「標識された」は、化合物が、検出可能なシグナルを与える標識、例えば、放射性同位体、蛍光標識、酵素、抗体、磁性粒子などの粒子、化学発光標識または特異的結合分子等で直接または間接的に標識されていることを意味する。特異的結合分子は、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンと抗ジゴキシン等のペアを含む。特異的結合メンバーについては、相補的メンバーが、上で略述した既知の方法に従って検出を可能にする分子で通常標識されている。標識は、検出可能なシグナルを直接または間接的に与える。
【0163】
一部の実施形態において、成分の1つのみが標識されている。例えば、キネシンタンパク質は、125Iまたは発蛍光団を用いてチロシン位置で標識することができる。あるいは、複数の成分を異なる標識、すなわち、例えばタンパク質に対しては125Iを用い、抗有糸分裂物質に対しては発蛍光団を用いて標識することができる。
【0164】
本発明の化学物質は、さらなる薬物候補をスクリーニングするための競合物としても用いることができる。「候補薬」または「薬物候補」または文法的同等物は、本明細書で用いるように、生物活性について試験すべき分子、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、小有機分子、多糖、ポリヌクレオチド等を表す。それらは、細胞増殖表現型または核酸配列およびタンパク質配列を含む細胞増殖配列の発現を直接または間接的に変化させることができる。他の場合に、細胞増殖タンパク質結合および/または活性の変化をスクリーニングする。この種のスクリーニングは、微小管の存在下または非存在下で実施することができる。タンパク質結合または活性をスクリーニングする場合、特定の実施形態は、当特定のタンパク質に結合することが既に知られている分子、例えば、微小管などの重合体構造およびATPなどのエネルギー源を除外する。本明細書におけるアッセイの特定の実施形態は、本明細書で「外因性」物質と呼ぶ、その内因性自然状態で細胞増殖タンパク質に結合しない候補薬を含む。一部の実施形態において、外因性物質は、有糸分裂キネシンに対する抗体をさらに除外する。
【0165】
候補薬は、一般的に100ダルトンを超え、2500ダルトン未満の分子量を有する小有機分子であるが、多数の化学クラスを含むことができる。候補薬は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合および親油性結合に必要な官能基を含み、一般的に少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル、エーテルまたはカルボキシル基、一般的に該官能化学基の少なくとも2つを含む。候補薬はしばしば、上の官能基の1つまたは複数で置換された環状炭素または複素環式構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含む。候補薬はまた、ペプチド、多糖、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体またはその組合せを含む生体分子のうちに見出される。
【0166】
候補薬は、合成または天然化合物のライブラリーを含む様々な供給源から得ることができる。例えば、無作為化オリゴヌクレオチドの発現を含む、様々な有機化合物および生体分子のランダムおよび特異的合成のための多くの手段が利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形の天然化合物のライブラリーは、入手可能であるか、または容易に製造される。さらに、天然または合成により製造されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的および生化学的手段により容易に修飾される。既知の薬剤は、構造類似体を生成させるためのアシル化、アルキル化、エステル化および/またはアミド化などの特異的またはランダム化学的修飾に供することができる。
【0167】
競合的スクリーニングアッセイは、第1のサンプル中に有糸分裂キネシンと薬物候補を合わせることにより実施することができる。第2のサンプルは、本発明の少なくとも1つの化学物質、有糸分裂キネシンおよび薬物候補を含む。これは、微小管の存在下または非存在下で実施することができる。薬物候補の結合を両試料について測定し、2つの試料の間の結合の変化または差は、有糸分裂キネシンに結合し、その活性を潜在的に阻害することができる薬物候補の存在を示す。すなわち、第2のサンプル中の薬物候補の結合が第1のサンプルと比較して異なっている場合、薬物候補は有糸分裂キネシンに結合することができる。
【0168】
一部の実施形態において、有糸分裂キネシンに対する薬物候補の結合は、競合的結合アッセイを用いることにより測定される。一部の実施形態において、競合物は、抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンド等などの有糸分裂キネシンに結合することが知られている結合部分である。特定の状況下では、候補薬と結合部分との間に競合的結合が存在し、結合部分が候補薬を置換する。
【0169】
一部の実施形態において、候補薬が標識されている。候補薬または競合物または両方を、存在する場合に結合を可能にするのに十分な時間にわたり最初に有糸分裂キネシンに加える。インキュベーションは、最適の活性を促進するあらゆる温度、一般的に4〜40℃で実施することができる。
【0170】
インキュベーション時間は、最適の活性のために選択するが、迅速なハイスループットスクリーニングを促進するためにも最適化することができる。一般的に0.1〜1時間が十分であろう。過剰の試薬は、一般的に除去または洗い流す。次いで、第2の成分を加え、結合を示すために、標識成分の存在または非存在を追跡する。
【0171】
一部の実施形態において、競合物を最初に、続いて候補薬を加える。競合物の置換は、候補薬が有糸分裂キネシンに結合している徴候であり、したがって有糸分裂キネシンに結合し、その活性を潜在的に阻害することができるという徴候である。一部の実施形態において、いずれかの成分を標識することができる。したがって、例えば、競合物が標識されている場合、洗浄溶液中の標識の存在が物質による置換を示す。あるいは、候補薬が標識されている場合、支持体上の標識の存在が置換を示す。
【0172】
一部の実施形態において、候補薬を最初に加え、インキュベーションおよび洗浄の後に競合物を加える。競合物による結合の非存在は、候補薬がより高い親和力で有糸分裂キネシンに結合していることを示している可能性がある。したがって、候補薬が標識されている場合、支持体上の標識の存在は、競合物結合の欠如と合わせて、候補薬が有糸分裂キネシンに結合することができることを示している。
【0173】
阻害は、上のように候補薬を有糸分裂キネシンと混合し、有糸分裂の生物学的活性の変化を測定する段階を含む、有糸分裂キネシンの活性を阻害することができる候補薬のスクリーニングによって試験する。したがって、一部の実施形態において、候補薬は、有糸分裂キネシンに結合し(これは必要でないことがあるが)、本明細書で定義したような、その生物学的または生化学的活性を変化させるべきである。方法は、上で一般的に略述したように、in vitroスクリーニング方法および細胞周期分布、細胞生存能の変化、または有糸分裂紡錘体の存在、形態、活性、分布もしくは量に関する細胞のin vivoスクリーニングを含む。
【0174】
あるいは、天然有糸分裂キネシンに結合するが、修飾有糸分裂キネシンに結合することができない薬物候補を特定するのに、鑑別スクリーニングを用いることができる。
【0175】
陽性対照および陰性対照をアッセイに用いることができる。統計的に有意な結果を得るために、すべての対照および被験試料を少なくとも3系列で実施することが適切である。すべての試料のインキュベーションは、タンパク質に対する物質の結合に十分な時間にわたる。インキュベーションの後、すべての試料を洗浄して、非特異的に結合した物質を除去し、結合した、一般的に標識された物質の量を測定する。例えば、放射性標識を用いる場合、試料をシンチレーションカウンターで計数して、結合した化合物の量を測定する。
【0176】
他の様々な試薬をスクリーニングアッセイに含めることができる。これらは、最適のタンパク質-タンパク質結合を促進し、かつ/または非特異的もしくは背景相互作用を低減するために用いることができる、塩、中性タンパク質、例えば、アルブミン、界面活性剤等のような試薬を含む。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物薬等などのアッセイの効率を別な方法で改善する試薬も用いることができる。成分の混合物は、必要な結合をもたらす順序で加えることができる。
【0177】
したがって、本発明の化学物質を細胞に投与する。本明細書における「投与」は、治療上有効な用量の本発明の少なくとも1つの化学物質の細胞培養中または患者における細胞への投与を意味する。本明細書における「治療上有効な用量」は、それが投与される目的の作用をもたらす用量を意味する。正確な用量は、治療の目的に依存し、既知の技術を用いて当業者により確かめることができる。当技術分野で知られているように、全身送達か局所送達、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時刻、薬物相互作用および重症度に対する調整は、必要である可能性があり、当業者より常法による実験によって確めることができる。本明細書における「細胞」は、有糸分裂または減数分裂を変化させることができる細胞を意味する。
【0178】
本発明の目的のための「患者」は、ヒトおよび他の動物の両方、特に哺乳動物ならびに他の生物体を含む。したがって、方法は、ヒトにおける療法および獣医学適用分野の両方に適用できる。一部の実施形態において、患者は哺乳動物であり、とりわけ、患者はヒトである。
【0179】
所望の薬理活性を有する本発明の化学物質は、一部の実施形態において、本明細書に記載するように、医薬賦形剤を含む製薬上許容される組成物として患者に投与することができる。導入の方法によって、化学物質は、下で述べるように様々な方法で製剤化することができる。製剤中の少なくとも1つの化学物質の濃度は、約0.1〜100重量%で変化してもよい。
【0180】
薬剤は、単独で、あるいは他の療法、すなわち、放射線、または微小管形成に作用すると思われる薬剤のタキサンクラスもしくはトポイソメラーゼI阻害剤のカンプトテシンクラスなどの他の化学療法薬と併用して投与することができる。用いる場合、他の化学療法薬は、本発明の少なくとも1つの化学物質の投与の前、同時にまたは後に投与することができる。本発明の1つの態様において、本発明の少なくとも1つの化学物質を1つまたは複数の他の化学療法薬と併用投与する。「併用投与」とは、同時にを含め、化合物を実際に投与するときに無関係に、少なくとも1つの化学物質ならびに併用投与する化合物が患者の血流中に同時に認められるように少なくとも1つの化学物質を患者に投与することを意味する。
【0181】
発明の少なくとも1つの化学物質の投与は、経口、皮下、静脈内、鼻内、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣、直腸または眼内を含むが、これらに限定されない様々な方法で行うことができる。いくつかの場合に、例えば、創傷および炎症の治療において、化合物および組成物を液剤または噴霧剤として直接適用することができる。
【0182】
医薬剤形は、本明細書に記載する少なくとも1つの化学物質と1つまたは複数の医薬賦形剤を含む。当技術分野で知られているように、医薬賦形剤は、様々な剤形(例えば、錠剤、カプセル剤および液剤などの経口剤形、皮膚、眼および耳用剤などの局所剤形、坐剤、注射剤、呼吸器用剤形等)の薬物または薬剤の送達を可能にするまたは促進するように機能する副次的な成分である。医薬賦形剤は、有効成分の薬効に実質的に寄与する不活性もしくは非働性成分、相乗剤または化学物質を含む。例えば、医薬賦形剤は、取扱いおよび用量の投与を容易にするために、使用の便益のために、または生物学的利用率を制御するために流動特性、製剤均一性、安定性、味または外観を改善するように機能する可能性がある。医薬賦形剤は一般的に不活性もしくは非働性であると記載されているが、当技術分野では医薬賦形剤とそれらを含む剤形の特性の間に関係があることが認識されている。
【0183】
担体または希釈剤としての使用に適する医薬賦形剤は、当技術分野でよく知られており、様々な製剤に用いることができる。例えば、それぞれがすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Remington's Pharmaceutical Sciences、18th Edition、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Company(1990);Remington:The Science and Practice of Pharmacy、20th Edition、A.R.Gennaro編、Lippincott Williams & Wilkins(2000);Handbook of Pharmaceutical Excipients、3rd Edition、A.H.Kibbe編、American Pharmaceutical Association,and Pharmaceutical Press(2000);およびHandbook of Pharmaceutical Additives、MichaelおよびIrene Ashにより編集、Gower(1995)を参照のこと。
【0184】
錠剤などの経口固体剤形は、一般的に、例えば、錠剤に十分な処理および圧縮特性を付与する助けとなる、またはさらなる所望の物理的特性を与える可能性のある1つまたは複数の医薬賦形剤を含む。そのような医薬賦形剤は、希釈剤、結合剤、流動促進剤(glidants)、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、甘味剤、ポリマー、ワックスまたは他の溶解遅延物質より選択することができる。
【0185】
静脈内投与用組成物は、一般的に静脈内液、すなわち、循環系により容易に運ばれ、同化できる糖、アミノ酸などの単純化学物質または電解質の無菌溶液を含む。そのような液は注射用水USPを用いて調製する。
【0186】
非経口投与用剤形は、一般的に液、特に静脈内液、すなわち、循環系により容易に運ばれ、同化できる糖、アミノ酸などの単純化学物質または電解質の無菌溶液を含む。そのような液は通常注射用水USPを用いて調製する。静脈内(IV)使用に一般的に用いられている液は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy[完全な引用は先に示した]に開示されており、以下のものが挙げられる。
【0187】
・ アルコール、例えば、5%アルコール(例えば、デキストロースおよび水(「D/W」)または生理食塩溶液(「NSS」)中D/W中、5%デキストロースおよび水(「D5/W」)またはNSS中D5/W中を含む)、
・ アミノシン(Aminosyn)、フレアミン(FreAmine)、トラバソル(Travasol)などの合成アミノ酸、例えば、それぞれ3.5または7;8.5;3.5、5.5または8.5%;
・ 塩化アンモニウム、例えば、2.14%;
・ デキストラン40、NSS中、例えば、10%またはD5/W中、例えば、10%;
・ デキストラン70、NSS中、例えば、6%またはD5/W中、例えば、6%;
・ デキストロース(ブドウ糖、D5/W)、例えば、2.5〜50%;
・ デキストロースおよび塩化ナトリウム、例えば、5〜20%デキストロースおよび0.22〜0.9%NaCl
・ 乳酸添加リンゲル液(Ringer's)(ハートマン液(Hartmann's))、例えば、NaCl0.6%、KCl0.03%、CaCl20.02%;
・ 乳酸塩0.3%;
・ マンニトール、例えば、5%、場合によってデキストロース例えば、10%またはNaCl例えば、15もしくは20%と併用:
・ 電解質、デキストロース、フルクトース、転化糖リンゲル液(Ringer's)例えば、NaCl0.86%、KCl0.03%、CaCl20.033%の様々な組合せを含む複数の電解質溶液;
・ 重炭酸ナトリウム、例えば、5%
・ 塩化ナトリウム、例えば、0.45、0.9、3または5%;
・ 乳酸ナトリウム、例えば、1/6M;および
・ 無菌注射用水。
【0188】
そのようなIV液のpHは、様々でありえ、当技術分野で知られているように一般的に3.5〜8であろう。
【0189】
本発明の化学物質は、単独で、あるいは他の療法、すなわち、放射線、または微小管形成に作用すると思われる薬剤のタキサンクラスもしくはトポイソメラーゼI阻害剤のカンプトテシンクラスなどの他の治療薬と併用して投与することができる。そのように用いる場合、他の治療薬は、本発明の活性薬の投与の前、同時に(別個の剤形または複合剤形であるかにかかわりなく)または後に投与することができる。
【0190】
以下の実施例は、上述の発明を用いる方法をより十分に記述する役割を果たす。これらの実施例は、本発明の真の範囲を制限する役割を果たすものでは一切なく、むしろ、説明の目的のために示すものである。本明細書で引用する特許および特許願書を含むが、これらに限定されないすべての刊行物は、各個別の刊行物が十分に述べられたかのように参照により本明細書に組み込まれると明確かつ個別に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例1】
【0191】
【化13】

【0192】
実験の項:
【化14】

【0193】
DMF(150mL)中の4-イソプロピル安息香酸1.1(25g、140mmol)の溶液にNCS(24g、182mmol)を加えた。反応混合物を一晩攪拌した。H2O(500mL)を反応混合物に加え、沈殿物を収集し、水で洗浄し、真空中で乾燥して、1.2(26.4g、88%)を白色固体として得た。これをさらに精製せずに次の段階に用いた。LRMS(M+H+)m/z 213.0。
【化15】

【0194】
DCM中の1.2(20g、93mmol)の溶液に、0℃でトリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(20mL、112mmol)およびトリエチルアミン(17mL、112mmol)を加えた。反応混合物を1時間攪拌した。溶液を濃縮し、混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%DCM)により精製して、1.3(35g、定量的)を白色固体として得た。
【化16】

【0195】
DMF中の3の溶液(0.2M)に、アミノ酸(1.2当量)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3当量)を加えた。反応をLC/MSによりモニターした。完了後、メチルアミン(THF中2M、1.5当量)およびHBTU(1.5当量)を反応溶液に加えた。反応混合物を4時間攪拌した。生成物をHPLCまたはフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、4を得た。
【実施例2】
【0196】
【化17】

【0197】
実験の項:
【化18】

【0198】
3-シアノ-4-[(1-メチルエチル)オキシ]安息香酸メチル:
ジメチルホルムアミド(800mL)中の3-シアノ-4-ヒドロキシ安息香酸メチル(82g、463mmol;J.Med.Chem、2002、45、5769)の溶液に、2-ヨードプロパン(93mL、926mmol)および炭酸カリウム(190g、1.4mol)を加えた。得られた混合物を50℃で16時間加熱し、その時点で室温まで冷却した。反応物をろ過し、母液を0.5N水酸化ナトリウム(1L)で希釈した。得られた混合物をエーテル(2×1L)で抽出し、有機物を1N HCl(1L)およびブライン(700mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮して、100g(約100%)の3-シアノ-4-[(1-メチルエチル)オキシ]安息香酸メチルを黄色固体として得た。
【化19】

【0199】
3-シアノ-4-[(1-メチルエチル)オキシ]安息香酸:
テトラヒドロフラン(500mL)中の3-シアノ-4-[(1-メチルエチル)オキシ]安息香酸メチル(100g、463mmol)の冷却(0℃)溶液に、10%水酸化カリウム(500mL)を加えた。得られた溶液を室温まで加温し、16時間維持し、その時点で濃縮してテトラヒドロフランを除去した。残留物を水(500mL)で希釈し、エーテル(2×500mL)で洗浄した。次いで、水層を3N HClで酸性化し、2時間放置した。固体をろ過により収集し、水で数回洗浄し、次いで、塩化メチレン(1L)に溶解した。おおむね均一な混合物をセライトを通してろ過し、塩化メチレンが最小容積になるまで濃縮した。ろ過による固体の収集により、82g(87%)の3-シアノ-4-[(1-メチルエチル)オキシ]安息香酸を白色固体として得た。
【化20】

【0200】
3-シアノ-4-[(1-メチルエチル)オキシ]安息香酸ペルフルオロフェニル:
20.5g(0.093mol)の3-シアノ-4-イソプロポキシ安息香酸メチルを200mLのメタノールと水との6:4混合物に溶解した。これに5.61g(0.14mol)のNaOHを加え、混合物を室温で2時間攪拌した。次いで、溶液をシリカゲルプラグを通してろ過し、真空下で溶媒を除去した。得られた固体を200mLのCH2Cl2に再溶解し、19.3mL(0.11mol)の2,2,2-トリフルオロ酢酸ペルフルオロフェニルおよび19.5mL(0.14mol)のトリエチルアミンで処理した。一晩攪拌した後、溶液をろ過し、固体をCH2Cl2で洗浄した。合わせた有機混合物を短いシリカゲルカラムに流通させ、次いで、蒸発乾固して、29g(収率83.5%)の2を得て、これをLCMSおよびHNMRにより確認した。
【実施例3】
【0201】
【化21】

【0202】
実験の項:
【化22】

【0203】
ジメチルホルムアミド(200mL)中の化合物3.1(10.7g、61.37mmol)および(R)-1,1,1-トリフルオロプロパン(3.5g、30.68mmol)の0℃溶液に、水素化ナトリウム(3.7g、92.05mmol)を5分間にわたり少しずつ加えた。10分後に氷浴を除去し、室温まで加温しながら反応混合物を攪拌した。反応混合物を80℃に加熱し、一晩攪拌した。完了するまで反応をLC/MSによりモニターした。室温に冷却した後、反応混合物をHCl(0.5N、200mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、ろ液を真空中で濃縮して、粗化合物3.2(8.2g)を得、これをさらなる精製をせずに次の段階で直接用いた。
【化23】

【0204】
ジクロロメタン(200mL)中の化合物3.2(4.1g、15.34mmol)およびトリエチルアミン(6.4mL、46.02mmol)の0℃粗溶液に、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(6.35mL、36.82mmol)を注射器により3分間にわたり加えた。さらに5分後に、氷浴を除去し、室温まで加温しながら反応混合物をさらに2時間攪拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1:0、50:1)により精製して、化合物3(3.5g、収率50%)を得た。
【実施例4】
【0205】
【化24】

【0206】
実験の項:
【化25】

【0207】
DMF(10mL)中の化合物4.1(200mg、1.077mmol)および2-ヨードプロパン(322μL、3.23mmol)の溶液にDIEA(750μL、4.31mmol)を加えた。反応混合物を80℃に加熱し、一晩攪拌した。LC/MSにより完了したとき、反応物を室温に冷却し、HCl(0.5N、30mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、高真空中で濃縮し、乾燥した。得られた残留物をアセトニトリルと水の混合物を用いた逆相クロマトグラフィーにより精製して、化合物4.2(50mg、20%)を得た。
【化26】

【0208】
MeOH(1.0mL)中の化合物4.2(50mg、0.22mmol)の溶液に、水性NaOH(1.0M、330μL、0.330mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、LC/MSによりモニターした。反応混合物をHCl(0.5N、5mL)でクエンチし、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して、4(45mg)を得た。LRMS(M-H+)m/z 212.0。
【実施例5】
【0209】
【化27】

【0210】
実験の項:
【化28】

【0211】
4-ブロモ-2-クロロフェノール(5.04g、24.3mmol)をDMF(30mL)に溶解し、それにK2CO3(10.10g、72.9mmol)を、続いて2-クロロエチル-p-トルエンスルホン酸(4.86mL、26.7mmol)を加えた。得られた混合物を60℃に3時間加熱し、次いで、室温に冷却した。反応物をEtOAc(350mL)で希釈し、水(5×150mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、粘稠な油状物となるまで濃縮し、これを固化させ、高真空中で白色固体とした。化合物5.2(6.46g、24.1mmol、定量的収量)を1H NMRを用いて確認し、さらなる精製をせずに次の段階に用いた。
【化29】

【0212】
DMF(30mL)中の化合物5.2(6.46g、24.1mmol)の溶液を室温で水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物の1.94g、48.6mmol)で少しずつ処理した。得られた混合物を室温で16時間攪拌し、次いで、水(100mL)とEtOAc(350mL)とに分配した。層を分離し、有機層を水(4×150mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、白色固体に濃縮した。化合物5.3(5.56g、24.0mmol、定量的収量)を高真空中で乾燥し、1H NMRを用いて確認した。それをさらなる精製をせずに次の段階に用いた。
【化30】

【0213】
化合物5.3(5.56g、24.0mm)を窒素雰囲気中で1,2-ジクロロエタン(35mL)中のクロロヨードメタン(5.59mL、76.8mmol)の溶液に加えた。溶液を氷浴を用いて0℃に冷却し、ジエチル亜鉛(38.4mL、ヘキサン中1.0M、38.4mmol)を10分間にわたり加えた。得られた混合物を30分間攪拌し、室温まで加温した。それを氷浴を用いて0℃に再び冷却し、飽和水性NH4Cl(150mL)を、続いて水性濃NH4OH(25mL)およびEtOAc(200mL)を加えた。層を分離し、水相をさらなるEtOAc(2×100mL)で抽出した。有機相を合わせ、乾燥し(Na2SO4)、粗油状物に濃縮し、これをシリカゲル上(100%ヘキサン)で精製して、化合物5.4(1.76g、7.2mmol、収率30%)を無色の油として得て、これを1H NMRにより確認した。
【化31】

【0214】
高圧反応器中で、化合物5.4(1.76g、7.2mmol)をEtOH(40mL)に溶解した。トリエチルアミン(5.0mL、35.8mmol)を、続いて[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(188mg、0.36mmol)を加えた。反応容器を一酸化炭素で加圧し(100psi)、排気し、一酸化炭素で再加圧した (100psi)。該容器を排気し、もう一度一酸化炭素で加圧し (350psi)、次いで、攪拌しながら90℃に16時間加熱した。混合物を室温に冷却し、減圧し、セライトを通してろ過した。溶媒を蒸発し、残りの残留物をジクロロメタン(150mL)と1M水性KHSO4(75mL)とに分配した。層を分離し、有機相をさらなる1M水性KHSO4(1×75mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、油状物に濃縮し、これをシリカゲル(EtOAc/ヘキサン)で精製して、化合物5.5(648mg、2.70mmol、収率38%)を白色固体として得た。生成物は、1H NMRを用いて確認した。
【化32】

【0215】
ジクロロメタン(3mL)およびEtOH(15mL)中の化合物5.5(648mg、2.70mmol)の溶液に、1M水性KOH(7mL、7mmol)を加えた。得られた濁った混合物を60℃に1時間加熱した。ジクロロメタンおよびEtOHを減圧下で蒸発させ、残りの水溶液を濃HClを用いて酸性化した。生じた沈殿をろ過して、化合物5(506mg、2.39mmol、収率88%)を純白色固体として得て、これをLC/MS(LRMS(M-H)211.1m/z)を用いて確認した。
【実施例6】
【0216】
【化33】

【0217】
実験の項:
【化34】

【0218】
乾燥したフラスコ(アルゴンパージ下でヒートガンを用いて乾燥)に乾燥THF(400mL)およびMeLi-LiBr(Et2O中1.5M溶液137mL、204.9mmol)をカニューレにより加えた。THF(150mL)中の2-アミノピリジン-3-カルボキシアルデヒド(10.0g、82.0mmol)の溶液を激しく攪拌しながら均圧滴下漏斗により約45分間にわたり1滴ずつ加えたとき、この溶液を−78℃に冷却した(発熱が認められ、オレンジ色が持続した)。添加を完了した後、溶液を−78℃で1時間攪拌し、その時点でTLC(熱によるKMnO4染色)は出発物質の大部分が生成物に変換されたことを示した。水(200mL;最初は1滴ずつ)を用いて反応を非常に注意深くクエンチし、EtOAc(200mL)で希釈し、室温に加温した。層を分離し、水層をEtOAc中の3%MeOHで抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(Analogix;EtOAc中0〜5%MeOH)により精製して、7.78g(68%)の所望のラセミ生成物を黄色の油として得て、数日間にわたり高真空中で固化した。この物質をキラルセル(chiralcel)OD-H(20×250mm)カラム(10%EtOH/ヘプタン中0.1%イソプロピルアミン/0.1%イソプロピルアミン)を用いたSFCによりその各エナンチオマー(>98%ee)に分離した。
【実施例7】
【0219】
【化35】

【0220】
実験の項:
【化36】

【0221】
2-ブロモ-1-(4-ヨードフェニル)エタノン:
ジオキサン(160mL)中の1-(4-ヨードフェニル)エタノン(55.9mmol)の溶液を10℃に冷却した。臭素(1.1当量、61.6mmol)を1滴ずつ反応混合物に加えた。10分後に、冷却浴を除去し、反応混合物を室温で攪拌した。1.5時間後に、反応混合物を真空中で濃縮し、水(100mL)中に注加し、(3×100mL)酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮して、黄褐色固体(18.2g)を得、これを次の段階に直接用いた。
【化37】

【0222】
2-(4-ヨードフェニル)-8-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン:
イソプロパノール(160mL)中の粗2-ブロモ-1-(4-ヨードフェニル)エタノン(18.2g)、2-アミノ-3-ピコリン(1.1当量、61.6mmol)および重炭酸ナトリウム(1.3当量、72.8mmol)の混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮した後、水(100mL)を加え、生じた黄褐色スラリーをろ過し、水(2×50mL)ですすいだ。熱したイソプロパノールから褐色固体を再結晶し、真空中でさらに乾燥して、表題の生成物を褐色固体(13.2g、71%)として得た。ESMS[M+H]+:335.0。
【実施例8】
【0223】
【化38】

【0224】
実験の項:
【化39】

【0225】
ジクロロメタン(400mL)中のチオオキサム酸エチル(10.0g、75mmol)の溶液に、0℃でテトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム(13.1g、89mmol)を徐々に加えた。10分後に氷浴を除去し、反応混合物を一晩攪拌した。溶媒を除去して、18.0gの生成物8.2を白色固体として得、これをさらなる精製をせずに用いた。
【化40】

【0226】
ジオキサン(70mL)中の2-アミノ-4'-ブロモアセトフェン塩酸塩(10.0g、40mmol)、酢酸ナトリウム(16.4g、200mmol)、酢酸(11.5mL、200mmol)および化合物8.2(19.2g、80mmol)の混合物を、TLCが化合物8.2が残存していないことを示すまで(約2時間)65℃で攪拌した。反応混合物を飽和NaHCO3溶液で注意深く中和し、酢酸エチルで抽出した。有機溶液をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 1:1)により精製して、生成物8.4(9.11g、79%)を白色固体として得た。
【化41】

【0227】
丸底フラスコ中で、生成物8.4(2.00g、6.8mmol)をDMF(20mL)に溶解した後、ヨードメタン(5.1mL、10.1mmol)およびK2CO3(1.4g、10.1mmol)を加えた。混合物をTLCによる完結まで60℃で3時間攪拌した。溶液をブラインでクエンチし、EtOAcで3回抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。EtOAc:ヘキサン 1:1を用いたカラムクロマトグラフィーによる精製により、1.381g(収率66%)の生成物8.5を得た。
【化42】

【0228】
DMF(15mL)中の化合物8.4(5.307g、18mmol)の溶液に、K2CO3(3.73g、27mmol)およびヨードメタン(3.5mL、43.2mmol)を加えた。得られた混合物を60℃で3時間攪拌した。混合物を水で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 50:50)による精製により、生成物8.6(3.2g、55%)を白色固体として得た。
【実施例9】
【0229】
【化43】

【0230】
実験の項:
【化44】

【0231】
DMF(15mL)中の化合物8.4(3.174g、10.8mmol)の溶液に、K2CO3(4.478g、32.4mmol)および(2-ブロモエトキシ)-tert-ブチルジウメチルシラン(2.780mL、13.0mmol)を加えた。得られた混合物を55℃で一晩攪拌した。溶液を濃縮し、水で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を除去して、粘稠な油(4.805g、10.6mmol、98.4%)を得、これをさらなる精製をせずに後の段階に用いた。
【化45】

【0232】
無水THF(25mL)中の化合物9.1(2.174g、4.8mmol)の溶液に、窒素中0℃で臭化メチルマグネシウム(4.8mL、ジエチルエーテル中3M、14.4mmol)を1滴ずつ加えた。反応物を0℃で15分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)および水(30mL)を用いて反応を注意深くクエンチし、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥し、粗油に濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)による精製により、所望の生成物9.2(1.371g、65%)を白色非晶質固体として得た。
【化46】

【0233】
THF(5mL)中の化合物9.2(1.371g、3.1mmol)の溶液に35mLのHCl(1,4-ジオキサン中4M)を加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を除去して、生成物9.3(1.0g、99%)を白色固体として得た。
【化47】

【0234】
トルエン(60mL)中の化合物9.3(0.5g、1.54mmol)および1mLのTFAの混合物を一晩還流した。固体9.3は、トルエンの沸点近くになるまで溶解しなかった。真空中で溶媒を除去した。残留物をEtOAcで希釈し、NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン1:1)による精製により、生成物9(0.348g、74%)を白色固体として得た。
【実施例10】
【0235】
【化48】

【0236】
実験の項:
【化49】

【0237】
MeOH/H2O(60mL/20mL)中の8.5(10.7g、34.6mmol)の溶液にNaOH(2N、20.8mL、41.6mmol)を加えた。混合物を50℃で2時間攪拌した後、溶液を真空中で濃縮し、高真空のもとに数時間おいて、10.3gの淡黄色固体(LRMS(M-H+)m/z278.9)を得、これをさらなる精製をせずに、続いて用いた。DMF(50mL)中の該固体の溶液に、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.0g、40.7mmol)、HBTU(4.0g、40.7mmol)、HOBT(6.2g、40.7mmol)およびDIEA(6.0mL、40.7mmol)を連続的に加えた。混合物を一晩攪拌し、EtOAcとH2Oとに分配した。有機層をNaOH(1N)およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮した。残留物をヘキサンとEtOAcの混合物を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、10.1(8g、72%)を得た。LRMS(M+H+)m/z324.0。
【化50】

【0238】
THF(40mL)中の10.1(3.7g、11.4mmol)の溶液に、Et2O中MeMgBr(3M、11.4mL、34.2mmol)を0℃で1滴ずつ加えた。混合物を0℃で30分間攪拌した。溶液を0℃の飽和NH4Clでクエンチし、EtOAcとH2Oとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、10.2(3.0g、94%)を得、これをさらなる精製をせずに続いて用いた。LRMS(M+H+)m/z279.0。
【化51】

【0239】
THF/MeOH(10mL/10mL)中の10.2(3.0g、10.8mmol)の溶液に、NaBH4(407mg、10.8mmol)を徐々に加えた。混合物を10分間攪拌し、飽和NH4Clでクエンチし、EtOAcとH2Oとに分配した。有機層を飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、10.3(3.0g、99%)を得、これをさらなる精製をせずに用いた。LRMS(M+H+)m/z281.0。
【化52】

【0240】
DMF(20mL)中の10.3(3.0g、10.7mmol)の溶液に、TBDMSCl(1.6g、10.7mmol)、イミダゾール(726mg、10.7mmol)およびDMAP(271mg、21.3mmol)を加え、混合物を一晩攪拌した。溶液をEtOAcとH2Oとに分配し、有機層を飽和NaHCO3、H2Oおよびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残留物をヘキサンとEtOAcの混合物を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、10(3.5g、83%)を得た。LRMS(M+H+)m/z395.1。
【実施例11】
【0241】
【化53】

【0242】
実験の項:
【化54】

【0243】
DMF(150mL)中の11.1(10g、45.7mmol)の溶液に、0℃でHBTU(26g、68.5mmol)、ジメチルヒドロキシルアミンHCl塩(5.35g、54.8mmol)およびDIEA(9.6mL、55.0mmol)を加えた。2時間攪拌した後、混合物を室温に加温し、2日間攪拌し続けた。反応混合物をEtOAc(500mL)とH2O(200mL)とに分配し、有機層をNaOH(2N、200mL)、HCl(2N、200mL)、H2Oおよびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮して、11.2(9.6g)を得、これをさらなる精製をせずに用いた。LRMS(M+H+)m/z262.0。
【化55】

【0244】
Et2O(100mL)中の11.2(9.6g、約36.8mmol)の溶液に、0℃でMeMgBr(Et2O中3M、27mL)を加えた。得られた混合物を室温に加温し、次いで、4時間攪拌した。反応混合物を飽和NH4Cl(100mL)でクエンチし、有機層をH2Oおよびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮して、11.3(7g、11.1から71%)を得、これをNMRにより確認した。
【化56】

【0245】
DCM(200mL)およびMeOH(100mL)中の11.3(6.5g、30mmol)の溶液に、テトラブチルアンモニウムトリブロミド(14.5g、30mmol)を加え、混合物を14時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、生成物を高真空中で乾燥して、11.4(NMRにより確認)を得、これをさらなる精製をせずに次の段階に用いた。
【化57】

【0246】
DCM(50mL)中の11.4(5g、約16.9mmol)の溶液に、ヘキサメチレンテトラミン(2.6g、18.5mmol)を加え、反応混合物を2時間攪拌した。混合物をDCM(500mL)で希釈し、沈殿を収集し、DCM(500mL×2)で洗浄し、高真空中で乾燥した。得られた残留物にEtOH(60mL)および濃HCl(30mL)を加えた。反応混合物を2時間攪拌し、その後、混合物を高真空中で濃縮し、乾燥して、11.5を得て、これをさらなる精製をせずに用いた。LRMS(M+H+)m/z231.9。
【化58】

【0247】
ジオキサン(50mL)中の粗11.5(約16.9mmol)の溶液に、NaOAc(6.93g、84.5mmol)、HOAc(4.8mL、84.5mmol)および11.6.1.(5.93g、84.5mmol)を加えた。1時間後に、反応混合物を80℃に加温し、3時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(500mL)と飽和NaHCO3(200mL)とに分配した。水層をEtOAc(300mL×2)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。得られた残留物をシリカゲル(ヘキサン/EtOAc、1:0、1:2、1:1、0:1)上で精製して、11(1.2g、11.4から23%)を得た。LRMS(M+H+)m/z312.9。
【実施例12】
【0248】
【化59】

【0249】
実験の項:
【化60】

【0250】
参照:J.Med.Chem.2001、44、2990〜3000頁
【0251】
氷浴上のジオキサン(200mL)中のp-ヨードアセトフェノン12.1(30.0g、122mmol)の攪拌溶液に、臭素(6.56mL、128mmol)を1滴ずつ加えた。反応混合物を室温で攪拌し、LC/MSによりモニターした。完了の後(約1時間)、溶媒をロータリーエバポレーションにより蒸発させ、残留物を真空中で乾燥して、固体の12.2(40g、100%)を得た。
【化61】

【0252】
(J.Med.Chem.2001、44、2990〜3000頁に基づいて)NMP(100mL)中のCbz-D-Ala-OH(5.0g、22.4mmol)の溶液に、炭酸セシウム(3.72g、11.4mmol)を加えた。室温で1時間攪拌した後、12.2(7.60g、22.4mmol)を加えた。反応混合物を室温で攪拌し、LC/MSによりモニターした。反応溶液をキシレン(100mL)および酢酸アンモニウム(9.25g、120mmol)で希釈し、次いで、120℃で4時間攪拌した。反応の進行によって、最大50当量の追加の酢酸アンモニウムが必要である可能性がある。重要な点は、常時フラスコ中の固体を確認することである。室温に冷却した後、反応混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈した。EtOAc溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液(200mL)で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をDCM(100mL)に溶解し、1時間攪拌して、沈殿物を得た。固体12(4.0g)をろ別し、真空中で乾燥した。母溶液をロータリーエバポレーションにより濃縮し、残留物をシリカゲル上の分取HPLCにより精製して、追加の12を得た(ヘキサン:EtOAc 1:1〜EtOAc 100%)。2つの生成物を合わせ、真空中で乾燥して、合計5.8gの12(58%)を得た。
【実施例13】
【0253】
【化62】

【0254】
55mLのDMF中1-(4-(4-ヨードフェニル)-1H-イミダゾール-2-イル)エチルカルバミン酸(R)-ベンジル12(5g、11mmol)の攪拌中の混合物を0℃に冷却し、発泡を避けるためにNaH(1.33g、油中60%分散物、33mmol)で少しずつ処理した。最後の部分による泡の発生が停止したとき、MeI(2.1mL、34mmol)を全量を一度に加え、混合物をさらに30分間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残留物を200mLのEtOAcに溶解した。溶液を飽和NH4Cl(4×100mL)および飽和NaCl(4×100mL)で洗浄し、次いで、ろ過し、蒸発乾固した。粗残留物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(60:40、EtOAc/ヘキサン)により精製して、5.13g(収率97%)の13を得て、これをLCMSにより確認した。
【実施例14】
【0255】
【化63】

【0256】
250mL丸底フラスコに、(R)-1-(4-(4-ヨードフェニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-メチルエタンアミン(3.1g、9.1mmol)、クロロギ酸メチル(0.84mL、10.9mmol)、Na2CO3(1.15g、10.9mmol)およびTHF(100mL)を加えた。反応物を2時間攪拌した後、EtOAc(50mL)および水(10mL)を加えた。有機層をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、1.50g(41%)の1-(4-(4-ヨードフェニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エチル(メチル)カルバミン酸(R)-メチルを類白色固体(M+H(m/z)=400)として得た。
【実施例15】
【0257】
【化64】

【0258】
実験の項:
【化65】

【0259】
DMF(15mL)中の化合物15.1(2.66g、7.27mmol)の溶液に、K2CO3(2.00g、15mmol)およびブロモ酢酸エチル(1.61mL、14.5mmol)を加えた。得られた混合物を60℃で3時間攪拌した。混合物を水で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 50:50)による精製により、生成物15.2(3.02g、91%)を得た。
【化66】

【0260】
MeOH(20mL)中の化合物15.2(3.02g、6.7mmol)の溶液にジオキサン(7.0mL)中のHCl(4.0M)を加えた。混合物を60℃で1時間攪拌し、真空中で濃縮した。得られた油をDMF(15mL)に溶解し、K2CO3(2.0g、14.7mmol)で処理し、60℃で一晩攪拌した。混合物を水で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 50:50)による精製により、生成物15(1.80g、88%)を得た。
【実施例16】
【0261】
【化67】

【0262】
THF(8.5mL、0.2M)中のアミン16.1(580mg、1.7mmol)およびトリエチルアミン(449μL、3.4mmol、2当量)の溶液に、クロロギ酸クロロエチル(278μL、2.6mmol、1.5当量)を加えた。混合物を室温で30分間攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈し、1N HClおよびブラインで洗浄した。有機層を乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮して、黄色油状物(900mg)を得た。DMF(10mL)中の粗物質の溶液にNaH(272mg、6.8mmol、4当量)を加え、混合物を室温で16時間攪拌した。溶液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、ブライン(5×50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮して、粗生成物を油として得た。フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1酢酸エチル:ヘキサン)による精製により、800mg(24%)の所望の生成物を得た。m/z(+1)=398.0。
【実施例17】
【0263】
【化68】

【0264】
100mL丸底フラスコに、1-(4-(4-ヨードフェニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エチルカルバミン酸(R)-ベンジル(1.50g、3.27mmol、1.0当量)、CH3CN(20mL)およびTMSI(900μL、6.3mmol、1.9当量)を加えた。反応混合物にふたをし、2時間攪拌した。次いで、メタノール(40mL)をフラスコに加え、混合物を濃縮し、EtOAc(100mL)に溶解し、水で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残留物をDCMに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(35〜60%CH3CN/CH2Cl2、次いで20%MeOH/CH2Cl2)により精製して、950mg(90%)の所望の第一級アミンを油として得た(M+H(m/z)=328)。このアミンに、CH2Cl2(20mL)およびピリジン(260μL、1.1当量)を加えた後、塩化4-クロロブチリル(344μL、1.05当量)を1滴ずつ加えた。反応物を15分間攪拌し、続いてEtOAc(50mL)および水(10mL)を加えた。有機層を分離し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残留物をDCMに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(5〜35%CH3CN/CH2Cl2)により精製して、747mg(60%)の(R)-4-クロロ-N-(1-(4-(4-ヨードフェニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エチル)ブタンアミドを類白色固体(M+H(m/z)=432)として得た。
【化69】

【0265】
20ドラムバイアルに、(R)-4-クロロ-N-(1-(4-(4-ヨードフェニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エチル)ブタンアミドおよびTHF(10mL)を加えた。バイアルを窒素雰囲気中で0℃に冷却し、カリウムt-ブトキシド(214mg、1.91mmol)を加えた。反応物を1.5時間攪拌した。反応混合物にEtOAc(50mL)および水(10mL)を加えた。有機層を分離し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。次いで、残留物をDCMに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(5〜50%CH3CN/CH2Cl2)により精製して、593mg(86%)の(R)-1-(1-(4-(4-ヨードフェニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)エチル)ピロリジン-2-オンを白色固体(M+H(m/z)=396)として得た。
【実施例18】
【0266】
【化70】

【0267】
実験の項:
【化71】

【0268】
(4R)-4-({[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)-5-ヒドロキシペンタン酸1,1-ジメチルエチル:
トリエチルアミン(11.49mL、82.4mmol)およびクロロギ酸エチル(8.27mL、86.5mmol)を<0℃(氷-塩浴)のTHF(588mL)中のN-t-BOC-D-グルタミン酸5-tert-ブチルエステル(25g、82.4mmol)に注射器により連続的に加えた。冷浴中で40分間攪拌した後、固体をろ過し、THF(150mL)で洗浄した。ろ液を250mL滴下漏斗に移し、H2O(114mL)中の水素化ホウ素ナトリウム(8.42g、222.5mmol)の溶液に0℃で1時間にわたって加えた。反応混合物を0℃に1.5時間維持し、次いで、16時間攪拌した(0℃から室温)。溶媒の大部分をロータリーエバポレーションにより除去した後、濃縮物を氷水(50mL)および1N HCl(50mL)でクエンチした。EtOAc(4×100mL)で抽出した後、抽出物を100mLの0.5Mクエン酸、飽和NaHCO3、H2Oおよびブラインで洗浄し、真空中で濃縮して、表題の化合物を得て、次の段階に直接用いた。ESMS[M+H]+=290.4、[2M+H]+=579.4(文献における調製:他の異性体についてはJ.Med.Chem.、1999、42(1)、95〜108頁)。
【化72】

【0269】
(4R)-4-({[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)-5-ヨードペンタン酸1,1-ジメチルエチル:
515mLの無水CH2Cl2中の粗(4R)-4-({[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)-5-ヒドロキシペンタン酸1,1-ジメチルエチル(23.8g、82.4mmol)、トリフェニルホスフィン(32.42g、123.6mmol)およびイミダゾール(8.41g、123.6mmol)の溶液に、N2下0℃でヨウ素を15分間にわたって少しずつ加えた。氷浴を除去し、反応物を室温に加温し、30分間にわたり攪拌した。反応を200mLのH2Oでクエンチした。水層をジエチルエーテル(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和Na2SO3水溶液(2×25mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、真空中で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、5%〜50%EtOAc/ヘキサン)による残留物精製により、表題の化合物を白色固体(25.34g、77%)として得た。ESMS[M+H]+=400.4。
【実施例19】
【0270】
【化73】

【0271】
実験の項:
【化74】

【0272】
塩化アセチル(54.6mL、0.75mol)を0〜5℃でエタノール(316mL)に1滴ずつ加えた。添加を完了したとき、氷浴を除去し、溶液を室温まで加温しながらさらに30分間攪拌した。次いで、D-アスパラギン酸19.1(25g、0.188mol)を加えた。反応混合物を2時間還流した。次いで、反応溶液を真空中で濃縮し、高真空(0.4mmHg)下に一晩おいた。化合物19.2が白色固体(42g、99%)として得られ、これを次の段階に直接用いた。
【化75】

【0273】
(Boc)2O(44.7g、0.21mol)を化合物19.2(42g、0.19mol)、トリメチルアミン(51.9mL、0.37mol)、ジオキサン(140mL)および水(56mL)の0℃溶液に10分間にわたり少しずつ加えた。さらに10分後に氷浴を除去し、反応混合物を室温まで加温しながらさらに2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、0.5N HCl(200mL×3)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、ろ液を真空中で濃縮して、化合物19.3(52g、収率97%)を得て、次の段階に直接用いた。
【化76】

【0274】
NaBH4(54.4g、1.44mol)を化合物19.3(52g、86.4mmol)およびエタノール(600mL)の0℃溶液に30分間にわたって少しずつ加えた。反応混合物は極めて発熱性であるので、還元剤の添加中は細心の注意を払った。添加を完了した後に、反応混合物を加熱して1時間還流した。溶液を室温に冷却し、反応混合物を固化させた。固体を粉砕してスラリーとし、これをブライン(250mL)に注加した。得られた混合物をろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。得られた残留物をエーテル(200mL×5)と一緒に激しく攪拌した。エーテル層を残留物から連続的にデカントした。合わせたエーテル抽出液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、ろ液を真空中で濃縮して、19.4を白色固体(25.2g、収率68%)として得た。
【化77】

【0275】
t-ブチルジフェニルクロロシラン(31.9mL、0.123mol)を化合物19.4(25.2g、0.123mol)、ジイソプロピルエチルアミン(42.8mL、0.245mol)およびCH2Cl2(500mL)の溶液に加えた。反応溶液を室温で24時間攪拌した。次いで、反応溶液を0.5N HCl(150mL×3)およびブライン(150mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1へキサン:EtOAc)により精製して、化合物19.5(42g、収率77%)を得た。
【化78】

【0276】
ヨウ素(24g、94.7mmol)を、化合物19.5(28g、63.1mmol)、Ph3P(24.8g、94.7mmol)、イミダゾール(6.4g、94.7mmol)、ジエチルエーテル(450mL)およびアセトニトリル(150mL)の0℃溶液に15分間かけて少しずつ加えた。氷浴を除去し、反応溶液を30分間にわたり室温まで加温した。反応は、TLC分析(4:1へキサン:EtOAc)により完結したと判断された。反応を水(400mL)でクエンチした。層を分離し、水層をジエチルエーテル(100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和水性Na2SO3(100×2)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1へキサン:EtOAc)により精製して、化合物19(32g、92%)を得た。
【実施例20】
【0277】
【化79】

【0278】
実験の項:
【化80】

【0279】
乾燥脱気DMF(15mL)中の亜鉛粉末(255mg、3.9mmol)の懸濁液に、窒素中で1,2-ジブロモエタン(.020mL、0.23mmol)を加えた。混合物を、亜鉛の活性化を示す溶液からのガスが発生し始めるまで、ヒートガンを用いて約30秒間加熱した。次いで、混合物を室温に冷却し、続いて、TMSCl(6μL、0.05mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。脱気DMF中のヨード化合物Aの溶液を亜鉛溶液に加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。次いで、脱気DMF中の化合物9(200mg、0.65mmol)の溶液を注射器により加えた後、Pd2(dba3)(14.9mg、0.016mmol)およびトリ-o-トリルホスフィン(19.8mg、0.065mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間、次いで40℃で2時間攪拌した。反応は、TLCで示された場合に完結した。溶液をブラインでクエンチし、EtOAc(5×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:へキサン1:1)による精製により、生成物20.1(373mg、88%)を無色油状物として得た。
【化81】

【0280】
MeOH(10mL)中の化合物20.1(373mg、0.57mmol)の溶液に2mLのHCl(ジオキサン中4.0M)を加えた。溶液を室温で2時間攪拌した。溶媒を除去して、粗生成物20.2(180mg、99%)を得て、これをさらなる精製をせずに用いた。
【化82】

【0281】
トリエチルアミン(0.24mL、1.71mmol)を含むDMF(10mL)中の化合物20.2(180mg、0.57mmol)およびエステル試薬20.3(260mg、0.68mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応溶液をブラインで希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。HPLC(C18カラム)による精製により、生成物20(141mg、50%)を白色固体として得た。
【実施例21】
【0282】
【化83】

【0283】
実験の項:
【化84】

【0284】
4-ベンジルオキシブタン酸メチル
MeOH(150mL)の攪拌溶液に0℃塩化チオニル(15mL、206mmol)を1滴ずつ加えた。0℃で15分間攪拌した後、4-ベンジルオキシブタン酸(10g、51.5mmol)を加えた。反応物を室温に加温し、18時間攪拌した。反応物を真空中で蒸発させ、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(10%EtOAc、へキサン)により精製して、表題の化合物(10.21g、95%)を透明な油として得た。
【化85】

【0285】
(1R,S)(2R,S)-4-ベンジルオキシ-1-(4-ブロモフェニル)-2-メトキシカルボニル-1-ブタノール
N2下、−78℃のTHF(60mL)中のジイソプロピルアミン(6.0mL、42.8mmol)の攪拌溶液にヘキサン(16.8mL、42mmol)中の2.5N BuLiの溶液を1滴ずつ加えた。30分間攪拌した後、THF(30mL)中の4-ベンジルオキシブタン酸メチル(8.72g、41.9mmol)の溶液を15分間にわたり1滴ずつ加えた。−78℃でさらに1時間攪拌した後、THF(30mL)中の4-ブロモベンズアルデヒド(7.8g、42mmol)の溶液を加えた。反応物を−78℃で1時間攪拌し、次いで、飽和NH4Clでクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、真空下で蒸発乾固した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc、へキサン)により精製して、表題の生成物(5.86g、35%)をジアステレオマーの分離できる混合物として得た:MS(ES)m/e 393.0(M+H)+
【化86】

【0286】
(4R,S)(5R,S)-5-(4-ブロモフェニル)-4-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1,3-オキサゾリジン-2-オン
MeOH(50mL)中の(1R,S)(2R,S)-4-ベンジルオキシ-1-(4-ブロモフェニル)-2-メトキシカルボニル-1-ブタノール(5.0g、12.7mmol)の攪拌溶液に、水性1N NaOH(25mL)を加えた。反応物を60℃で18時間攪拌し、次いで、室温に冷却した。反応物を水性1N HCl(25mL)で中和し、真空中でMeOHを蒸発させた後、反応物をEtOAcに溶解し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、真空中で蒸発乾固して、粗カルボン酸を淡黄色の油として得た。この酸をトルエン(100mL)に溶解し、Et3N(2.0mL、14.3mmol)およびDPPA(3.0mL、13.9mmol)で処理し、次いで、攪拌し、80℃に1時間加熱した。室温に冷却した後、反応物をEtOAcで希釈し、1N Na2CO3、1N HClおよびブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、真空下で蒸発乾固した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc、へキサン)による精製により、表題の化合物(3.1g、64%)を透明な油として得た:MS(ES)m/e 376.0(M+H)+
【化87】

【0287】
(4R,S)(5R,S)-5-(4-ブロモフェニル)-3-t-ブトキシカルボニル-4-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1,3-オキサゾリジン-2-オン
CH2Cl2(5mL)中の(4R,S)(5R,S)-5-(4-ブロモフェニル)-4-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1,3-オキサゾリジン-2-オン(3.1g、8.2mmol)の攪拌溶液に、Boc2O(2.0g、9.2mmol)およびDMAP(0.2g、1.6mmol)を加えた。反応物を徐々に60℃に加熱し、4時間攪拌した(反応は激しいガスの発生を伴う発熱となった。)。室温に冷却した後、反応物を真空中で蒸発乾固した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc、へキサン)による精製により、表題の化合物(3.63g、93%)を白色固体として得た:MS(ES)m/e 476.2(M+H)+
【化88】

【0288】
(3R,S)(4R,S)-3-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-4-(4-ブロモフェニル)ブタン-1,4-ジオール
MeOH(100mL)中の(4R,S)(5R,S)-5-(4-ブロモフェニル)-3-t-ブトキシカルボニル-4-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1,3-オキサゾリジン-2-オン(3.63g、7.6mmol)の攪拌溶液に、Cs2CO3(1.0g、3.1mmol)を加えた。反応物を室温で18時間攪拌し、次いで、真空中で蒸発乾固した。残留物をEtOAcに溶解し、1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、真空下で蒸発乾固した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc、へキサン)による精製により、生成物(3.34g、99%)をジアステレオマーの混合物として得た:MS(ES)m/e 450.2(M+H)+
【化89】

【0289】
(3R,S)(4R,S)-3-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-4-[4-(2-t-ブチル-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル]ブタン-1,4-ジオール
圧力チューブに(3R,S)(4R,S)-3-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-4-(4-ブロモフェニル)ブタン-1,4-ジオール(1.5g、3.3mmol)、2-t-ブチル-1-メチル-4-(トリメチルスタナニル)-1H-イミダゾール(1.4g、4.7mmol)およびジオキサン(25mL)を加えた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(200mg、0.17mmol)を加え、チューブをN2でパージし、ふたをかぶせ、攪拌しながら100℃に加熱した。100℃で4時間後に反応物を室温に冷却し、真空中で蒸発乾固した。フラッシュクロマトグラフィー(4%MeOH、CH2Cl2)による精製により、固体発泡体として表題の化合物(1.18g、85%)を得た:MS(ES)m/e 508.4(M+H)+
【化90】

【0290】
(3R,S)(4R,S)-3-[(3-クロロ-4-イソプロポキシフェニル)カルボニル]アミノ-4-[4-(2-t-ブチル-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル]ブタン-1,4-ジオール
(3R,S)(4R,S)-3-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-4-[4-(2-t-ブチル-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル]ブタン-1,4-ジオール(1.18g、2.8mmol)をParr装置でEtOH(50mL)中の10%Pd/C(0.5g)を用いて50psiのH2で5日間水素化した。触媒をCelite(登録商標)のパッドを通してろ別し、EtOHですすいだ。生成物を含むろ液を蒸発乾固し、ジオキサン(50mL)中の4N HClの溶液で室温で1時間処理し、次いで、真空中で蒸発乾固した。DMF(15mL)中の残存残留物に、3-クロロ-4-イソプロポキシ安息香酸ペンタフルオロフェニル(2.0g、5.3mmol)およびEt3N(1.0mL、7.1mmol)を攪拌しながら加えた。18時間攪拌した後、反応物を真空中で蒸発乾固した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%MeOH、EtOAc)による精製により、生成物(0.5g、34%)をジアステレオマーの混合物として得た:MS(ES)m/e 514.2(M+H)+(該ジアステレオマーはGilson HPLC(10〜90% CH3CN/0.1% TFA、H2O)により分離することができなかった)。
【化91】

【0291】
(3R,S)-3-[(3-クロロ-4-イソプロポキシフェニル)カルボニル]アミノ-4-[4-(2-t-ブチル-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル]-4-オキソブタン-1-オールの調製
CHCl3(10mL)中の(3R,S)(4R,S)-3-[(3-クロロ-4-イソプロポキシフェニル)カルボニル]アミノ-4-[4-(2-t-ブチル-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)フェニル]ブタン-1,4-ジオール(258mg、0.6mmol)の攪拌溶液に、MnO2(0.54g、6.2mmol)を加えた。反応物を18時間還流し、室温に冷却し、Celite(登録商標)のパッドを通してろ過し、CHCl3ですすぎ、真空中で蒸発乾固した。Gilson HPLC(10〜90% CH3CN/0.1% TFA、H2O)による精製により、表題の化合物(97mg、26%)を白色固体として得た:MS(ES)m/e 512.4(M+H)+
【実施例22】
【0292】
細胞IC50
化合物の10ポイント希釈系列への72時間曝露後の生存能についてヒト卵巣癌細胞(SKOV3)をアッセイすることにより、小分子阻害剤のin vitro効力を測定する。細胞の生存能は、市販の試薬であるMTS/PMSの生物学的還元により生成する生成物であるホルマゾンの吸光度を測定することにより測定した。用量反応曲線上の各点は、バックグラウンド吸光(完全細胞死滅)を引いた72時間目の無処理対照細胞に対するパーセントとして計算する。
【0293】
材料および溶液
細胞:SKOV3、卵巣癌(ヒト)
培地:RPMI培地+5%ウシ胎児血清+2mM L-グルタミン
細胞生存能の測定用比色試薬:Promega MTSテトラゾリウム化合物
最大細胞死滅用対照化合物:トポテカン(Topotecan)、1μM。
【0294】
手順:
1日目-細胞播種
1. T175フラスコ中の付着SKOV3細胞を10mLのPBSで洗浄し、2mLの0.25%トリプシンを加える。37℃で5分間インキュベートする。フラスコからの細胞を8mLの培地(RPMI培地+5%FBS)ですすぎ、新たな50mL無菌コニカルチューブに移す。微小遠心管中で等張性希釈剤である900μLのviaCount試薬(Guava Technology)に100μLの細胞懸濁液を加えて、細胞濃度を測定する。バイアルをGuava細胞計数装置に入れ、結果を設定して取得する。細胞数を記録し、300細胞/20μLを達成するための適切な細胞容積を計算する。
2. 20μLの細胞懸濁液(300細胞/ウェル)を384ウェルCoStarプレートのすべてのウェルに加える。
3. 37℃、湿度100%および5%CO2で24時間インキュベートして、細胞をプレートに付着させる。
【0295】
2日目-化合物の添加
1. 無菌の384ウェルCoStarアッセイプレートに、250X最高所望濃度の5μLの化合物をB11〜O11ウェル(H11対照ウェルを除く)およびB14〜O14(1プレート当たり27化合物、端のウェルは蒸発のため用いない)に入れる。250X化合物は、細胞へのビヒクル(DMSO)の最終均一濃度が0.4%であることを保証するために用いる。14.3μLの10mM Topotecanを10mlのRPMI培地中の5.8%DMSOで希釈して、14.3μMの最終濃度の保存液とする。このTopotecan保存液1.5μLをカラム13(B〜O列)中の20μLの細胞に加えて、1μMの細胞に対するTopotecan最終濃度を得る。これらのウェルのODは、死細胞およびビヒクルのバックグラウンド吸光度を差し引くのに用いる。DMSOを含まない80μLの培地をカラム11および14における各化合物ウェルに加える。40μLの培地(5.8% DMSOを含む)を残りのすべてのウェルに加える。40μLを1つのカラムから次のカラムに毎回十分に混合するように注意を払って移すことにより、カラム11からカラム2まで化合物を連続的に2倍希釈する。同様に、カラム14からカラム23まで化合物を連続的に2倍希釈する。
2. 各化合物プレートについて、1.5μLの化合物含有培地を2つずつ化合物プレートウェルから対応する細胞プレートウェルに加える。プレートを37℃、湿度100%および5%CO2で72時間インキュベートする。
【0296】
5日目-MTSの添加およびODの結果
1. 薬物との72時間のインキュベーションの後に、プレートをインキュベーターから取り出し、4.5μLのMTS/PMSを各ウェルに加える。プレートを37℃、湿度100%および5%CO2で120分間インキュベートする。5秒間の振とうサイクルの後に384ウェル分光光度計で490nmでのODを読み取る。
【0297】
データ解析のために、対照(吸光度-バックグラウンド)に対する標準化%を計算し、XLfitを用いて用量反応曲線を作製する。本明細書に記載する特定の化学物質は、この方法により試験したとき、活性を示した。
【実施例23】
【0298】
有糸分裂キネシン阻害剤の適用
ヒト腫瘍細胞Skov-3(卵巣)を1ウェル当たり4000細胞の密度で96ウェルプレートに播種し、24時間付着させ、種々の濃度の被験化合物で24時間処理した。細胞を4%ホルムアルデヒドで固定し、抗チューブリン抗体(蛍光標識二次抗体を用いてその後認識した)およびHoechst色素(DNAを染色する)で染色した。
【0299】
視覚的検査により、化合物が細胞周期の停止を引き起こしたことが明らかになった。
【実施例24】
【0300】
有糸分裂キネシン阻害剤で処理した腫瘍細胞株における細胞増殖の抑制
細胞を96ウェルプレートの1ウェル当たり1000〜2500細胞の密度で96ウェルプレートに播種し、24時間付着/増殖させた。次いで、それらを種々の濃度の薬物で48時間処理した。化合物を加えた時間をT0とする。試薬3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)を用いたテトラゾリウムベースのアッセイ(I.S>特許第5,185,450号)(Promega製品カタログ番号G3580、CellTiter 96(登録商標)AQucous One Solution Cell Proliferation Assayを参照)を用いて、T0における生存細胞の数および48時間の化合物曝露の後に残存した細胞の数を測定した。48時間後に残存した細胞の数を薬物の添加時の生存細胞の数と比較して、増殖抑制の計算を可能にした。
【0301】
ビヒクルのみ(0.25%DMSO)で処理した対照ウェルにおける細胞の48時間にわたる増殖を100%増殖とみなし、化合物を含むウェルにおける細胞の増殖をこれと比較する。有糸分裂キネシン阻害剤は、ヒト卵巣腫瘍細胞株(SKOV-3)における細胞増殖を抑制した。
【0302】
化合物の濃度(μM)を処理ウェルにおける細胞増殖の割合に対してプロットすることにより、Gi50を計算した。化合物について計算されたGi50は、対照と比較して増殖が50%抑制される推定濃度、すなわち、以下が成り立つときの濃度である:
100×[(処理48-T0)/(対照48-T0)]=50
【0303】
化合物のすべての濃度を繰返して試験し、対照を12ウェルにわたって平均する。非常に類似した96ウェルプレートのレイアウトとGi50計算手法が国立癌研究所(National Cancer Institute)により用いられている(Monksら、J.Natl.Cancer Inst.83:757〜766頁(1991)を参照)。しかし、国立癌研究所が細胞数を定量する方法は、MTSを用いずに、別の方法を用いる。
【実施例25】
【0304】
IC50の計算:
組成物のIC50の測定にはATPアーゼアッセイを用いる。次の溶液を用いる:溶液1は、3mMホスホエノールピルビン酸カリウム塩(Sigma P-7127)、2mM ATP(Sigma A-3377)、1mM IDTT(Sigma D-9779)、5μMパクリタキセル(Sigma T-7402)、10ppm antiform 289(Sigma A-8436)、25mM Pipes/KOH pH6.8(Sigma P6757)、2mM MgCl2(VWR JT400301)および1mM EGTA(Sigma E3889)からなる。溶液2は、1mM NADH(Sigma N8129)、0.2mg/ml BSA(Sigma A7906)、ピルビン酸キナーゼ7U/ml、L-乳酸デヒドロゲナーゼ10U/ml(Sigma P0294)、有糸分裂キネシンのモータードメイン100nM、50μg/ml微小管、1mM DTT(Sigma D9779)、5μMパクリタキセル(Sigma T-7402)、10ppm antiform 289(Sigma A-8436)、25mM Pipes/KOH pH6.8(Sigma P6757)、2mM MgCl2(VWR JT4003-01)および1mM EGTA(Sigma E3889)からなる。組成物の連続希釈(8〜12の2倍希釈)は、溶液1を用いて96ウェルマイクロタイタープレート(Corning Costar 3695)で行う。連続希釈後、各ウェルは50μlの溶液1を有する。反応は、各ウェルに50μlの溶液2を加えて開始させる。これは、マルチチャンネルピペッターを用いて手動または自動液体処理装置により行うことができる。次いで、マイクロタイタープレートをマイクロプレート吸光度リーダーに移し、340nmでの複数の吸光度の読み取りを各ウェルについて速度論的モード(kinetic mode)で行う。次いで、ATPアーゼ速度に比例する、観測される変化の速度を化合物濃度の関数としてプロットする。標準IC50の決定のために、収集されたデータを、非線型適合プログラム(例えば、Grafit 4)を用いて以下の4パラメーター式により適合させる。
【数2】

【0305】
ここで、yは観測速度であり、xは化合物濃度である。
【0306】
このクラスの他の化学物質は、GI50値は異なるが、細胞増殖を抑制することが見出された。試験した化学物質のGI50値は、200nMから試験した最高濃度を超える値の範囲にあった。このことは、有糸分裂キネシン活性を生化学的に阻害した化学物質の大部分が細胞増殖を抑制したが、いくつかについて、試験した最高濃度(一般的に約20μM)で、細胞増殖が50%未満抑制されたことを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

[式中、
R1は、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
Xは、-COおよび-SO2-より選択され、
R2は、水素および置換されていてもよい低級アルキルより選択され、
Wは、-CR8-、-CH2CR8-およびNより選択され、
R3は、-CO-R7、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、シアノ、スルホニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
R4は、ハロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、
R5は、ハロ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよい低級アルキルより選択され、
R6は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルより選択され、
R7は、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアラルコキシ、置換されていてもよいアルコキシより選択され、
R8は、水素および置換されていてもよいアルキルより選択され、または
R4およびR5は、それらが結合している炭素と一緒になってオキソ基を形成し、または
R4およびR8は、それらが結合している炭素と一緒になってC=C基を形成し、R5は、水素および置換されていてもよい低級アルキルより選択される]
の化合物より選択される少なくとも1つの化学物質
ならびに製薬上許容されるその塩、溶媒和物、キレート化合物、非共有結合性錯体、プロドラッグおよび混合物。
【請求項2】
R1が、置換されていてもよいアリールである、請求項1に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項3】
R1が、置換されていてもよいフェニルである、請求項2に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項4】
R1が、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルキル、スルホニル、ハロ、置換されていてもよいアミノ、スルファニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいヘテロアリールオキシ、アシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより独立に選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されたフェニルである、請求項3に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項5】
R1が、3-ハロ-4-イソプロポキシフェニル、3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル、3-ハロ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルオキシ)フェニル、3-シアノ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルオキシ)フェニル、3-ハロ-4-イソプロピルアミノフェニル、3-シアノ-4-イソプロピルアミノフェニル、3-ハロ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルアミノ)フェニルおよび3-シアノ-4-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルアミノ)フェニルより選択される、請求項4に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項6】
Xが-CO-である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項7】
式Iの化合物が、以下の式II:
【化2】

[式中、
R11は、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい低級アルキル、ニトロ、シアノ、水素、スルホニルおよびハロより選択され、
R12は、水素、ハロ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアミノ、スルファニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシおよび置換されていてもよいヘテロアリールオキシより選択され、
R13は、水素、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アミノカルボニル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択される]
の化合物より選択される、請求項1に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項8】
Wが-CR8-である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項9】
R3が、-CO-R7、水素、置換されていてもよい低級アルキル、シアノ、スルホニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項10】
R3が、置換されていてもよい低級アルキルである、請求項9に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項11】
R3が、ヒドロキシで置換されていてもよい低級アルキル、低級アルコキシで置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい低級アルキル、およびR7がヒドロキシおよび置換されていてもよいアミノより選択されるCO-R7で置換されていてもよい低級アルキルより選択される、請求項10に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項12】
R3が、ヒドロキシで置換されていてもよい低級アルキルおよび置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい低級アルキルより選択される、請求項11に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項13】
式IIの化合物が、以下の式III:
【化3】

の化合物より選択される、請求項7に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項14】
式IIの化合物が、以下の式IV:
【化4】

[式中、
R9は、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいシクロアルコキシ、置換されていてもよいアラルコキシ、置換されていてもよいアミノおよび置換されていてもよい低級アルキルより選択される]
の化合物より選択される、請求項7に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項15】
R9が、ヒドロキシおよび置換されていてもよいアミノで置換された低級アルキルより選択される、請求項14に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項16】
R9が、ヒドロキシ、アミノ、N-メチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、アゼチジン-1-イルまたはピロリジン-1-イルで置換された低級アルキルより選択される、請求項15に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項17】
R6が、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいアルキルより選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項18】
R6が、次の置換基:置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいシクロアルキルオキシ、フェニル、フェノキシ、スルホニル、アミノカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ニトロ、ヘテロアラルコキシ、アラルコキシおよび置換されていてもよいヘテロシクロアルキルの1つまたは2つで置換されたフェニルである、請求項17に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項19】
R6
【化5】

[式中、
R14は、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択され、
R15は、水素、ハロ、ヒドロキシおよび低級アルキルより選択される]
である、請求項18に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項20】
R14が、
それぞれが、置換されていてもよい低級アルキル、ハロ、アシル、スルホニル、シアノ、ニトロ、置換されていてもよいアミノおよび置換されていてもよいヘテロアリールより選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよい
7,8-ジヒドロイミダゾ[1,2-c][1,3]オキサジン-2-イル、
3a,7a-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル、
イミダゾ[2,1-b]オキサゾール-6-イル、
オキサゾール-4-イル、
5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、
1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル、
2,3-ジヒドロイミダゾール-4-イル、
1H-イミダゾール-2-イル、
イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、
チアゾール-2-イル、
チアゾール-4-イル、
ピラゾール-3-イル、および
1H-イミダゾール-4-イル
より選択される、請求項19に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項21】
R14が、
それぞれが、置換されていてもよい低級アルキル、ハロおよびアシルより選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよい
1H-イミダゾール-2-イル、
イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、および
1H-イミダゾール-4-イル
より選択される、請求項20に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項22】
R15が水素である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項23】
R11が、水素、シアノ、ニトロおよびハロより選択される、請求項7〜22のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項24】
R11がクロロおよびシアノより選択される、請求項23に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項25】
R12が、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキルおよび置換されていてもよいアミノより選択される、請求項7〜24のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項26】
R12が、低級アルコキシ、2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエトキシ、低級アルキルアミノおよび2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチルアミノより選択される、請求項25に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項27】
R12が、プロポキシ、2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエトキシ、プロピルアミノおよび2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチルアミノより選択される、請求項26に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項28】
R13が水素である、請求項7〜27のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項29】
R2が水素である、請求項1〜28のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項30】
R4がハロおよび低級アルキルより選択される、請求項1〜29のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項31】
R4がハロおよびメチルより選択される、請求項30に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項32】
R5が、ハロ、ヒドロキシおよび置換されていてもよい低級アルキルより選択される、請求項1〜31のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項33】
R5が、低級アルキル、ヒドロキシおよびハロより選択される、請求項32に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項34】
R4がR5と一緒になってオキソ基を形成している、請求項1〜31のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項35】
医薬賦形剤および請求項1〜34のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質を含む組成物。
【請求項36】
式Iの化合物以外の化学療法薬をさらに含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
タキサン、ビンカアルカロイドまたはトポイソメラーゼI阻害剤より選択される少なくとも1つの化学療法薬をさらに含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
CENP-Eキネシンを請求項1〜34のいずれか1項に記載の有効な量の少なくとも1つの化学物質と接触させることを含む、CENP-Eキネシンの活性を変化させる方法。
【請求項39】
キネシンを請求項1〜34のいずれか1項に記載の有効な量の少なくとも1つの化学物質と接触させることを含む、CENP-Eを阻害する方法。
【請求項40】
治療が必要な被験体に請求項1〜34のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化学物質を投与することを含む、細胞増殖性疾患を治療する方法。
【請求項41】
前記疾患が、癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫障害および炎症からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2009−514865(P2009−514865A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539024(P2008−539024)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/042801
【国際公開番号】WO2007/056056
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(501327514)サイトキネティクス・インコーポレーテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】Cytokinetics Incorporated
【Fターム(参考)】