説明

有軌道台車システム

【課題】有軌道台車システムにおいて、軌道に配置されたマークを確実に検出する。
【解決手段】有軌道台車システムは、天井又は天井近傍に敷設された軌道100と、軌道に沿って走行する台車とを備える。台車は、軌道の走行面部上を走行する走行部210と、走行部から軌道の間隙を利用して懸垂される台車本体部220と、走行部及び台車本体部のうち一方に設けられる検出手段610と、走行部及び台車本体部のうち他方に設けられ、検出手段から照射された光を検出手段へと反射させる反射手段620とを有している。軌道は、所定位置における走行面部から、検出手段及び反射手段間の光路を遮るように間隙側に突出するマーク部630を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器などの被搬送物を軌道に沿って搬送する有軌道台車システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の有軌道台車システムとして、例えば天井に敷設された軌道を走行することでFOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物を搬送する懸垂型の台車を有するもの(所謂OHT:Overhead Hoist Transport)が知られている。
このような有軌道台車システムでは、軌道の所定位置に位置情報や制御情報等を記録した情報記録媒体を配置し、軌道を走行する台車に読み込ませるという技術が提案されている。例えば特許文献1では、軌道の所定位置にバーコードを配置すると共に、軌道を走行する有軌道移動体にバーコードリーダを設けるという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−166825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーコードの読取動作は、例えばバーコードの存在を示すマークを検出した際に行われる。しかしながら、バーコードが軌道の継目や他の部材が介在する位置に配置されている場合には、マークを検出するセンサにおいてチャタリングが発生し、正確な検出が行えなくなるおそれがある。即ち、上述した特許文献1に係る技術には、情報記録媒体の配置位置の条件によっては、情報を確実に読み取れない事態が生じ得るという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、軌道に配置されたマークを確実に検出することが可能な有軌道台車システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の有軌道台車システムは上記課題を解決するために、天井又は該天井の近傍位置に敷設されており、下部両側に走行面部を有すると共に前記走行面部間に間隙を有する軌道と、前記軌道に沿って走行する台車とを備える有軌道台車システムであって、前記台車は、前記軌道の前記走行面部上を走行する走行部と、前記走行部から前記間隙を利用して懸垂される台車本体部と、前記走行部及び前記台車本体部のうち一方に設けられ、光を照射すると共に反射された光を検出する検出手段と、前記走行部及び前記台車本体部のうち他方に設けられ、前記検出手段から照射された光を前記検出手段へと反射させる反射手段とを有しており、前記軌道は、所定位置における走行面部から、前記検出手段及び前記反射手段間の光路を遮るように前記間隙側に突出するマーク部を有している。
【0007】
本発明の有軌道台車システムは、天井又は天井近傍に敷設された軌道と、軌道に支持されると共に案内されて走行する台車とを備えている。尚、本発明に係る軌道は特に、下部両側に走行面部を有すると共に走行面部間に間隙を有するように構成されている。
【0008】
本発明に係る台車は、軌道の走行面部上を走行する走行部を有している。走行部は、例えば走行ローラが走行面部上で回転することによって走行する。走行部には、軌道の間隙を利用して懸垂される台車本体部が取り付けられている。台車本体部は、例えばFOUPやレチクル等の被搬送物を積載可能に構成されており、走行部が軌道に沿って走行することで、被搬送物を搬送可能に構成される。
【0009】
本発明に係る台車は更に、走行部及び台車本体部のうち一方に設けられた検出手段と、走行部及び台車本体部のうち他方に設けられた反射手段とを有している。即ち、走行部に検出手段が設けられた場合は台車本体部に反射手段が設けられ、台車本体部に検出手段が設けられた場合は走行部に反射手段が設けられる。
【0010】
検出手段は、光を照射すると共に反射された光を検出することで後述するマーク部を検出する。一方、反射手段は、検出手段から照射された光を検出手段へと反射させる。反射手段は、例えば反射率の高い金属性の板部材として構成される。但し、反射手段は、高い反射率を有する部材であれば、金属製でなくともよい(例えば、樹脂製の板に反射テープを貼付けるような構成でもよい)。検出手段及び反射手段は、走行部及び台車本体部の各々に、軌道の間隙を介して互いに向かい合うように夫々設けられる。よって、検出手段及び反射手段間に光路を遮るようなものが存在しなければ、検出手段は反射手段によって反射された光を検出し続けることになる。
【0011】
ここで特に、本発明に係る軌道には、所定位置における走行面部から、検出手段及び反射手段間の光路を遮るように間隙側に突出するマーク部が設けられている。マーク部は、走行面部に対して直接取付けられていてもよいし、走行面部に取付けられた部材(例えば、誘導線を支持するための誘導線プレート)に対して取付けられていてもよい。マーク部は、上述した反射手段と比べて反射率の低い部材として構成されている。このため、マーク部が設けられる所定位置では、検出手段から照射された光が反射手段には入射せず、結果として検出手段では反射した光が検出されない。検出手段は、このように光が検出されない場合に、マーク部の存在を検出する。即ち、台車が走行している位置が、所定位置であることを検出する。
【0012】
尚、本発明の「所定位置」とは、台車に対して走行位置を検出させるべき位置として設定されるものであり、具体的には台車の走行を停止させる位置等に対応するように設定される。所定位置は、典型的には軌道上に複数設定され、その数だけマーク部が配置されることになる。
【0013】
上述した反射手段としては、反射率の高いアルミやステンレス等で形成された軌道自体を利用する(即ち、検出手段からの光を軌道に向けて照射する)ことも考えられるが、この場合には、軌道の継目や軌道上に各種部材が存在している位置においてチャタリングが発生し、誤検出の原因となってしまう。また、軌道の形状が変化してしまうと、検出手段の位置を変更することが求められる。
【0014】
しかるに本発明では、上述したように、検出手段及び反射手段が、走行部及び台車本体部の各々に設けられる。従って、軌道における継目等の影響を受けずにマーク部を検出することができる。即ち、マーク部の配置位置の状態によらずに、確実にマーク部を検出することができる。
【0015】
本発明の有軌道台車システムの一態様では、前記台車は、前記走行部及び前記台車本体部のいずれかに設けられ、且つ、前記検出手段による前記マーク部の検出をトリガとして読取動作を行う情報読取手段を更に有しており、前記軌道は、前記マーク部の近傍位置における走行面部から、前記情報読取手段が読取可能な位置まで前記間隙側に突出する情報記録媒体を更に有している。
【0016】
この態様によれば、台車における走行部及び台車本体部のいずれかに情報読取手段が設けられている。情報読取手段は、検出手段によるマーク部の検出をトリガとして読取動作を行う。一方、軌道には、情報読取手段によって読取可能な情報を記録した情報記録媒体が設けられている。情報記録媒体は、マーク部の近傍位置における走行面部から、情報読取手段が読取可能な位置まで間隙側に突出するように設けられている。尚、情報記録媒体及び情報読取手段の具体例としては、例えばバーコード及びそれを読み取るバーコードリーダ等が挙げられる。
【0017】
上述した構成によれば、検出手段によってマーク部が検出された際に、情報読取手段によって情報記録媒体に記録された情報が読み取られる。従って、適切なタイミングで情報の読取動作を行うことが可能である。尚、情報記録媒体には、例えば詳細な位置情報等が記録されている。この場合、台車の走行位置を高い精度で確実に検出することが可能である。
【0018】
本発明の有軌道台車システムの他の態様では、前記台車は、前記情報読取手段によって前記情報記録媒体に記録された情報を読み取った場合に、該台車を所定の走行パターンで走行させる走行制御手段を更に有している。
【0019】
この態様によれば、台車に設けられた情報読取手段によって、情報記録媒体に記録された情報が読み取られると、台車は所定の走行パターンで走行するように制御される。即ち、情報を読み取った台車は、予め設定された走行パターンに従って走行することとなる。
【0020】
所定の走行パターンとしては、例えば走行停止や停止した後での移載動作等が含まれている。本態様では特に、所定の情報を読み取った後に、所定の走行パターンでの走行が実現されるため、位置決め異常等が発生することが殆どなく、台車を目標位置まで的確に走行させ停止させることができる。
【0021】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】有軌道台車システムの全体構成を示す上面図である。
【図2】台車の構成を示す正面図である。
【図3】台車の移載動作を示す斜視図である。
【図4】台車の横移載動作を示す斜視図である。
【図5】マークセンサ周辺を台車の進行方向で見た場合の断面図である。
【図6】マークセンサ周辺を台車の上方から見た場合の断面図である。
【図7】マークセンサ周辺を台車の側方から見た場合の断面図である。
【図8】有軌道台車システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】比較例に係る有軌道台車システムの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0024】
先ず、本実施形態に係る有軌道台車システムの全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、実施形態に係る有軌道台車システムの全体構成を示す上面図である。
【0025】
図1において、本実施形態に係る有軌道台車システムは、軌道100と、台車200と、コントローラ300とを備えて構成されている。
【0026】
軌道100は、例えば天井に敷設されており、アルミニウムやステンレス等の金属から構成される。
【0027】
軌道100には複数の台車200が懸垂されており、台車200は、軌道100に沿って走行することで、被搬送物であるFOUPを搬送することが可能である。
【0028】
また台車200は、車上コントローラ205を夫々有している。車上コントローラ205は、コントローラ300から搬送指令を受け取り、台車200の走行を制御する。尚、車上コントローラ205は、台車200の走行を制御するだけでなく、台車200に備えられた各機器を総括的に制御するという機能も有している。
【0029】
コントローラ300は、例えば演算回路やメモリ等を含んで構成されており、車上コントローラ205を介して、台車200に搬送指令を与えることが可能に構成されている。
【0030】
尚、ここでの図示は省略しているが、軌道100に沿った位置には、FOUPを一時的に保管する棚(例えば、バッファやポート等)及び半導体製造装置が設けられている
【0031】
次に、台車200のより具体的な構成について、図2を参照して説明する。ここに図2は、台車の構成を示す正面図である。
【0032】
図2において、台車200は、走行部210、本体部220、移動部230、昇降部235、昇降ベルト240及び把持部250を備えて構成されている。尚、図2では、説明の便宜上、後述するマークセンサやバーコードリーダ等の図示を省略している。
【0033】
台車200は、走行部210が例えばリニアモータ等によって推進力を与えることで、走行ローラ215が転動されつつ、軌道100に沿って走行する。走行部210の下面には、本発明の「台車本体部」の一例である本体部220が吊り下がる形で取り付けられている。
【0034】
本体部220には、移動部230が取り付けられている。移動部230は、軌道100の側方(即ち、図における左右方向)に移動することが可能である。移動部230の下面には、昇降部235が取り付けられている。
【0035】
昇降部235の下面には、FOUPを把持する把持部250が昇降ベルト240によって取り付けられている。把持部250は、昇降ベルト240を巻き出す或いは巻き取ることで、本体部220に対し昇降可能である。
【0036】
次に、台車によるFOUPの移載方法について、図3及び図4を参照して説明する。ここに図3及び図4は夫々、実施形態に係る台車のFOUPの移載方法を示す斜視図である。
【0037】
図3において、台車200が、軌道100の真下に位置するポート510上のFOUP400を移載する際には、先ず台車200が軌道100上を走行して、ポート510上に設置されたFOUP400の上方に停止する。
【0038】
続いて、図に示すように、昇降部235によって昇降ベルト240が巻き出されることで把持部250がFOUP400の位置まで降下する。そして、把持部250とFOUP400との位置の微調整が行われ、FOUP400が把持される。
【0039】
FOUP400が把持されると、昇降ベルト240が巻き取られ、把持部250及び把持されたFOUP400が本体部220の位置まで上昇する。そして、再び台車200が軌道100上を走行して、FOUP400が搬送される。
【0040】
図4において、FOUP400が、軌道100の側方にそれた位置にあるサイドバッファ(一時保管棚)520に設置されている場合には、移動部230が軌道100の側方に移動した後に、昇降部235によって昇降ベルト240が巻き出され、把持部250がFOUP400の位置まで降下する。このように動作することで、軌道部100からFOUP400の横移載を行うことが可能となる。
【0041】
次に、台車200における走行部210周辺の具体的な構成について、図5から図7を参照して詳細に説明する。ここに図5は、マークセンサ周辺を台車の進行方向で見た場合の断面図である。また図6は、マークセンサ周辺を台車の上方から見た場合の断面図であり、図7は、マークセンサ周辺を台車の側方から見た場合の断面図である。
【0042】
図5から図7において、本実施形態に係る台車200には、本体部220における走行部210と対向する位置にマークセンサ610が設けられている。マークセンサ610は、本発明の「検出手段」の一例であり、光を照射すると共に反射光を検出することで、後述するマーク部の存在を検出することができる。マークセンサ610は、図6に示すようにマークセンサアンプ615に接続されている。
【0043】
一方、走行部210におけるマークセンサ610と対向する位置には、反射板620が設けられている。反射板は、本発明の「反射手段」の一例であり、例えばアルミやステンレス等の反射率の高い金属を含んで構成されている。但し、反射板620は、高い反射率を有する部材であれば、金属製でなくともよい。反射板620は、例えば樹脂製の板に反射テープを貼付けるような構成でもよい。反射板620は、マークセンサ610から照射された光を、マークセンサ610へと反射させる。よって、マークセンサ610及び反射板620間に光路を遮るようなものが存在しなければ、マークセンサ610は反射板620によって反射された光を検出し続けることになる。
【0044】
ここで特に、本実施形態に係る軌道100の所定位置には、走行部210の走行ローラ215が走行する走行面部(より正確には、走行面部の下面側に取付けられた誘導線プレート635)から、マークセンサ610及び反射板620間の光路を遮るように突出するマーク部630が設けられている。マーク部630は、上述した反射板620と比べて反射率の低い部材として構成されている。このため、マーク部630が設けられる所定位置では、マークセンサ610から照射された光が反射板620には入射せず、結果としてマークセンサ610では反射光が検出されない。マークセンサ610は、このように反射光が検出されない場合に、マーク部630の存在を検出する。
【0045】
マーク部630は、誘導線を支持する誘導線プレート635に取り付けられている。誘導線は、軌道100の分岐点及び合流点付近に設けられ、台車200同士が通信を行う際に用いられる。誘導線が設けられた領域に進入した台車200は、誘導線を介して通信を行うことで、他の台車の存在を認識する。これにより、搬送効率を高めることが可能となる。
【0046】
台車200における本体部220の上側には、誘導線と通信を行う(具体的には、誘導線に信号を送信する、或いは誘導線から信号を受信する)ための誘導線コイル660が設けられる。誘導線コイル660は、取付部670を介して本体部220に取り付けられている。誘導線コイル660は、図6に示すように、ボギー軸281及び282の各々に対応するように、左右一対ずつ計4つが設けられている。誘導線コイル660は、連結部800の左右両側に隣接するように設けられる。これは、カーブ走行中でも、誘導線と誘導線コイル660とを互いに外れないような位置に夫々配置するためである。この際、誘導線コイル660は、ボギー軸281及び282の中心により近く設置された方が、カーブ走行中に振り回される範囲が小さくなる。また、誘導線コイル660の大きさには所定の制限があるため、カーブ走行流に振り回される範囲は小さい方がよい。よって、誘導線コイル220は、ボギー軸281及び282の中心により近く設置された方が好ましい。
【0047】
一方、誘導線プレート635は、誘導線コイル660の設置可能位置と幅方向(即ち、軌道100の延在方向に交わる方向)の位置を合わせるように設けられる。具体的には、図5に示すように、軌道100の下側から間隙側に一部が突出するように設けられる。上述したマーク部630は、こうした誘導線プレート635の突出部分の下面側に貼付けられる。尚、誘導線プレート635の存在しない箇所(即ち、分岐点や合流点が存在せず、誘導線を設ける必要のない箇所)においては、誘導線プレート635と概ね同じ形状のプレートを設ければよい。このようにすれば、軌道100のどのような箇所においても、好適にマーク部630を取付けることができる。
【0048】
本実施形態に係る台車200には更に、本体部220におけるマークセンサ610近傍にバーコードリーダ640が設けられている。バーコードリーダ640は、本発明の「情報読取手段」の一例であり、マークセンサ610においてマーク部630が検出された際に読取動作を行う。これにより、誘導線プレート635上のマーク部630に隣り合うように設けられたバーコード650が読み取られる。
【0049】
バーコード650は、本発明の「情報記録媒体」の一例であり、例えば軌道100における詳細な位置情報が記録されている。また、図6及び図7からも分かるように、バーコード650は、マーク部630と比べて、台車200の進行方向で見て前方側に設けられている。これにより、バーコード650は、マーク部630より遅れて検出されることになり、マーク部630の検出に応じた読取動作を好適に行うことが可能となる。
【0050】
図6及び図7に示すように、本実施形態に係る台車200の本体部220には、ボギー軸281及び282、並びに連結部800を介して2つの走行部210が取り付けられている。連結部800は、ボギー軸281及び282と本体部220とを相対回動可能に連結している。連結部800によれば、一対の走行部210が本体部220に対して回動可能なボギー構造を構成することができる。このように、1台の台車200に複数の走行部210が設けられる場合には、上述した台車200に設けられる各部材(即ち、マークセンサ610、反射板620及びバーコードリーダ640)は、1つの走行部210に設けられていればよい。
【0051】
また、マークセンサ610及び反射板620の位置は互いに入れ替わってもよい。即ち、マークセンサ610が走行部210に設けられ、反射板が本体部220に設けられてもよい。更に、バーコードリーダ640が走行部210に設けられてもよい。この場合、バーコード650は走行部側を向くように配置される。
【0052】
次に、本実施形態に係る有軌道台車システムの動作について、図8を参照して説明する。ここに図8は、有軌道台車システムの動作を示すフローチャートである。
【0053】
図8において、本実施形態に係る有軌道台車システムでは、台車200の走行時において、先ずマークセンサ610による光の照射が開始される(ステップS01)。ここで、マークセンサ610が反射光を検出しない場合(ステップS02:NO)、マークセンサ610及び反射板620間に光路を遮るようなものが存在していると考えられる。よって、マーク部630が検出される(ステップS03)。一方で、マークセンサ610及び反射板620間に光路を遮るマーク部630が存在しなければ、マークセンサ610は反射板620によって反射された光を検出し続けることになる。よって、反射光が検出されている場合は(ステップS02:YES)、マーク部630は検出されない。
【0054】
マーク部630が検出されると、バーコードリーダ640によるバーコード650の読取動作が行われる(ステップS04)。バーコード650には、例えば軌道100における詳細な位置情報が記憶されており、バーコードリーダ640によって読み取られた情報は、車上コントローラ205(図1参照)に伝達される。車上コントローラは、読み取られた位置情報に基づいて、搬送車を停止させ(ステップS05)、移載動作を行うように制御する(ステップS06)。即ち、車上コントローラ205は、本発明の「走行制御手段」の一例である。
【0055】
上述した一連の制御によれば、バーコード650から詳細な位置情報が読み取られているため、台車200における停止位置の異常や搬送動作の異常等が発生してしまうことを防止できる。よって、システムにおける搬送効率を高めることができる。
【0056】
ここで、本実施形態に係る有軌道台車システムによって得られる特に有益な効果について、図9に示す比較例との違いを見ながら説明する。ここに図9は、比較例に係る有軌道台車システムの構成を示す断面図である。
【0057】
図9において、比較例に係る台車200では、マークセンサ610が軌道100を向くように設けられている。即ち、マークセンサ610は、軌道100の表面、或いはマーク部630を貼付けている誘導線プレート635の表面を反射板620として利用している。この場合、軌道100の継目や軌道100上に各種部材が存在している位置では、チャタリングが発生してしまうおそれがある。よって、マーク部630を誤検出する原因となってしまう。また、軌道100の形状が変化してしまうと、マークセンサ610の位置や光の照射方向を変更することが求められる。
【0058】
これに対し本実施形態では、上述したように、マークセンサ610及び反射板620が、走行部210及び台車本体部220の各々に設けられる。従って、軌道100における継目等の影響を受けずにマーク部630を検出することができる。よって、高い精度でマーク部630を検出し、確実にバーコード650の読取動作を実現することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る有軌道台車システムによれば、軌道に配置されたマークを確実に検出できるため、好適なタイミングで軌道上に配置された情報記録媒体を読み取ることが可能である。従って、搬送車の走行制御において異常が発生してしまうことを防止できる。
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有軌道台車システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
100…軌道、200…台車、205…車上コントローラ、210…走行部、215…走行ローラ、220…本体部、230…移動部、235…昇降部、240…昇降ベルト、250…把持部、281,282…ボギー軸、300…コントローラ、400…FOUP、510…ポート、520…サイドバッファ、610…マークセンサ、615…マークセンサアンプ、620…反射板、630…マーク部、635、誘導線プレート640…バーコードリーダ、650…バーコード、660…誘導線コイル、670…取付部、800…連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井又は該天井の近傍位置に敷設されており、下部両側に走行面部を有すると共に前記走行面部間に間隙を有する軌道と、前記軌道に沿って走行する台車とを備える有軌道台車システムであって、
前記台車は、
前記軌道の前記走行面部上を走行する走行部と、
前記走行部から前記間隙を利用して懸垂される台車本体部と、
前記走行部及び前記台車本体部のうち一方に設けられ、光を照射すると共に反射された光を検出する検出手段と、
前記走行部及び前記台車本体部のうち他方に設けられ、前記検出手段から照射された光を前記検出手段へと反射させる反射手段と
を有しており、
前記軌道は、所定位置における走行面部から、前記検出手段及び前記反射手段間の光路を遮るように前記間隙側に突出するマーク部を有している
ことを特徴とする有軌道台車システム。
【請求項2】
前記台車は、前記走行部及び前記台車本体部のいずれかに設けられ、且つ、前記検出手段による前記マーク部の検出をトリガとして読取動作を行う情報読取手段を更に有しており、
前記軌道は、前記マーク部の近傍位置における走行面部から、前記情報読取手段が読取可能な位置まで前記間隙側に突出する情報記録媒体を更に有している
ことを特徴とする請求項1に記載の有軌道台車システム。
【請求項3】
前記台車は、前記情報読取手段によって前記情報記録媒体に記録された情報を読み取った場合に、該台車を所定の走行パターンで走行させる走行制御手段を更に有していることを特徴とする請求項2に記載の有軌道台車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−150588(P2012−150588A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7700(P2011−7700)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】