説明

検査装置、検査方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】液晶パネルの欠陥検査技術において、異物混入に起因する欠陥を精度高く検出する技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る検査装置1は、表偏光板10、検査対象の液晶パネル20、裏偏光板30およびバックライト40を、表偏光板10側から撮像して検査用画像60を取得し、検査用画像60および欠陥を精度よく検出するための視角特性情報を用いて液晶パネル20の検査を行う。上記視角特性情報は、検査装置1が、表偏光板10、標準として用いる液晶パネル20’、裏偏光板30およびバックライト40を、表偏光板10側から撮像して第1画像を取得するとともに、表偏光板10およびバックライト40を表偏光板10側から撮像して第2画像を取得し、第1画像および第2画像に基づいて生成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの検査技術に関するものであり、特に、被検査物となる液晶パネルの撮像画像に基づいて検査を行う検査技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの検査において、検出すべき欠陥の種類、サイズ及び輝度等は様々である。目視による判定ではこれらの欠陥の判定に個人差が生じてしまい、一定の基準での判定が困難である。よって、一定の基準を用いて欠陥を判定するため、CCD等の撮像素子を有するエリアセンサが用いられる。特に、近年における液晶パネルにおける素子の高密度化、画素ずらし法の適用及び超解像技術等の発達により、検査対象である液晶パネルをエリアセンサにより高解像度で撮像し、当該撮像画像に基づいて液晶パネルを検査することがよく行われている。
【0003】
エリアセンサを用いて液晶パネルを検査する際の問題点としては、液晶パネルの視角特性や撮像における収差等の影響による解像度の劣化などが挙げられる。その結果、同等であると判断されるべき欠陥群において、画像面内の位置による欠陥の指標となる計測値の変動が起きてしまう。特に、液晶パネルにおいては視角特性による影響が大きく、画像の位置によって濃淡値等が大きく変化する。そのため、画像中央部と画像端部とで一定の基準を用いて評価することが困難となる。これは、主に表裏に配置された偏光板のクロスニコル特性の低下が原因と考えられる。
【0004】
このような問題は、液晶パネルを対象とする検査装置一般において生じる問題である。上記の問題を解決するために、特許文献1の方法が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の方法では、まず、実際の検査を行う前に、各画素における補正係数を求める。初めに、エリアセンサによって、液晶パネルの画像を撮像する。次に、撮像した画像における濃淡値の最大値を抽出する。そして、上記画像内の各画素について、上記濃淡値の最大値をそれぞれの画素の濃淡値で除算することにより、各画素における補正係数を求める。実際の検査時には、撮像した画像の全画素に対して各々の補正係数を乗じることによって、それぞれの画素の濃淡値を補正し、レンズによるシェーディングおよび視角特性による濃淡値の劣化を補填することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−81368号公報(平成12年3月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、液晶パネルの欠陥検査技術において、欠陥を検出する精度は未だ十分ではない。例えば、特許文献1に記載の方法では、異物混入に起因する欠陥を正しく検出することは困難である。
【0008】
これを詳しく説明すれば、まず、液晶パネルの検査項目には多種多様な欠陥が存在する。大きな枠組みの中では主に輝点と黒点、輝線と黒線に分けられ、輝点においてもTFT不良起因の輝点と異物混入が起因となる輝点などが挙げられる。特にこれら欠陥の中で、異物混入に起因する欠陥は他と異なる現象が見られる。異物混入による欠陥、特に微小異物が混入することによって輝点が発生する微小欠陥のメカニズムについて説明する。バックライトから発せられた光が裏側に配置された偏光板を通り異物に達することによって光の散乱が生じる。裏側偏光板を通った光は直線偏光となるが、この異物による散乱によって様々な方向に偏光方向が変えられてしまう。この散乱光が前側偏光板を通過することによって、パネル上に輝点あるいは黒点として人間の目やセンサに感知される。このような微小欠陥の場合、欠陥の存在しない背景部とは偏光の状態が異なるため、欠陥部と背景部で視角特性についても異なった結果となることが考えられる。
【0009】
ここで、特許文献1記載の方法では、画像全面に対して最大濃淡値を用いて補正係数を算出し、全ての画素を補正してしまうため欠陥部、背景部ともに同様の補正係数を用いることとなる。上記の通り、微小欠陥に関しては背景部と欠陥部で視角特性が異なるため、画像全面に対する一様な値への補正では正しい結果を得ることができず、面内で齟齬のない検査結果を得ることはできない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液晶パネルの欠陥検査技術において、異物混入に起因する欠陥を精度高く検出する技術を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る検査装置は、上記課題を解決するために、液晶パネルの検査装置であって、撮像手段と、表偏光板、標準として用いる液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる第1被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて第1画像を取得する第1画像取得制御手段と、表偏光板および光源からなる第2被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて第2画像を取得する第2画像取得制御手段と、上記第1画像取得制御手段が取得した上記第1画像、および上記第2画像取得制御手段が取得した上記第2画像を用いて、上記液晶パネルの位置ごとに関連付けられた視角特性情報を生成する視角特性情報生成手段と、表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて検査用画像を取得する検査用画像取得制御手段と、上記検査用画像取得制御手段が取得した検査用画像における、上記液晶パネルのある位置に対応する画素である注目画素の濃淡値と、上記検査用画像における上記注目画素とは異なる画素である背景画素の濃淡値と、上記視角特性情報生成手段が生成した上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報とに基づいて、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、表偏光板および光源からなる第2被撮像物は、上記光源を発した散乱光が表偏光板を通過するため、表偏光板、液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる被撮像物において、当該液晶パネルに混入した異物が光を散乱させている状態の視角特性(視野角)を擬似的に再現することができる。それゆえ、表偏光板、標準として用いる液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる第1被撮像物を撮像した第1画像と、上記第2被撮像物を撮像した第2画像とを用いて、第1被撮像物と第2被撮像物とを視角ごとに比較することにより、異物が混入した欠陥液晶パネルの視角特性を検出し、これに基づいた液晶パネルの欠陥検出のための視角特性情報を生成することができる。上記視角特性情報は欠陥液晶パネルの視角特性を反映したものであるので、表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を撮像した検査用画像と、上記視角特性情報とを用いて、液晶パネルのある位置(絵素)において欠陥が生じているか否かを判定することにより、液晶パネルの欠陥を精度高く検出することができる。
【0013】
上記検査装置では、上記欠陥が、液晶パネルへの異物の混入であることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、上述したように、本発明に係る検査装置は、異物が混入した欠陥液晶パネルの視角特性を反映させた視角特性情報を用いて欠陥判定を行うため、検査対象の液晶パネルのある位置に異物の混入が生じているか否かを判定するために好適に用いることができる。
【0015】
上記検査装置では、上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報は、上記第1画像における上記ある位置に対応する画素の濃淡値と、上記第2画像における上記ある位置に対応する画素の濃淡値との比を表す情報であり、上記判定手段は、上記判定手段は、少なくともいずれか一方が上記視角特性情報を用いて補正されている、上記注目画素および上記背景画素の濃淡値を比較することにより、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定することが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを好適に判定することができる。すなわち、上記第1画像における上記ある位置に対応する画素の濃淡値は、上記ある位置における欠陥のない液晶パネルの輝度を表す。一方、上記第2画像における上記ある位置に対応する画素の濃淡値は、上記ある位置における異物が混入された液晶パネルの輝度を表す。よって、これらの比は、液晶パネルのある位置を見たとき、言い換えれば、ある視角において液晶パネルを見たときに、欠陥を有しない液晶パネルと、欠陥を有する液晶パネルとの間の輝度の差異がどの程度であるかの指標となるものである。
【0017】
ここで、上記検査装置の上記判定手段は、検査対象の液晶パネルのある位置に対応する注目画素の濃淡値と、上記注目画素とは異なる画素である背景画素の濃淡値とを比較することにより、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する。すなわち、欠陥が生じているか否かを判定する画素(注目画素)の濃度値が、他の画素(背景画素)の濃度値に比べて異常な値であれば、そこに欠陥があると判定する。このとき、上述したような、ある視角において液晶パネルを見たときに、欠陥を有しない液晶パネルと、欠陥を有する液晶パネルとの間の輝度の差異がどの程度であるかの指標である上記視角特性情報を用いて比較(すなわち、予め、比較対象の片方または両方を上記視角特性情報を用いて修正した後に比較)することにより、注目画素の濃度値と背景画素の濃度値との差異が、欠陥を表しているか否かを、視角によらずに、精度高く判定することができる。
【0018】
本発明に係る検査装置はまた、液晶パネルの検査装置であって、撮像手段と、表偏光板、標準として用いる液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる第1被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して得られた第1画像、ならびに、表偏光板および光源からなる第2被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して得られた第2画像を用いて生成された、上記液晶パネルの位置ごとに関連付けられた視角特性情報を記憶している視角特性情報記憶手段と、表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて検査用画像を取得する検査用画像取得制御手段と、上記検査用画像取得制御手段が取得した検査用画像における、上記液晶パネルのある位置に対応する画素である注目画素の濃淡値と、上記検査用画像における上記注目画素とは異なる画素である背景画素の濃淡値と、上記視角特性情報記憶手段が記憶している上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報とに基づいて、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定手段とを備えているものであってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、上記検査装置は、第1被撮像物を撮像した第1画像および第2被撮像物を撮像した第2画像を用いて生成された視角特性情報を記憶する視角特性情報記憶手段を備えている。このような視角特性情報は、上述したように、上記視角特性情報は欠陥液晶パネルの視角特性を反映したものであるので、表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を撮像した検査用画像と、上記視角特性情報記憶手段に記憶された視角特性情報とを用いて、液晶パネルのある位置(絵素)において欠陥が生じているか否かを判定することにより、異物混入に起因する液晶パネルの欠陥を精度高く検出することができる。
【0020】
本発明に係る検査方法は、液晶パネルの検査方法であって、撮像手段を備えた検査装置が、表偏光板、標準として用いる液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる第1被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して第1画像を取得する第1画像取得工程と、上記検査装置が、表偏光板および光源からなる第2被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して第2画像を取得する第2画像取得工程と、上記検査装置が、上記第1画像取得工程において取得した上記第1画像、および上記第2画像取得工程において取得した上記第2画像を用いて、上記液晶パネルの位置ごとに関連付けられた視角特性情報を生成する視角特性情報生成工程と、上記検査装置が、表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して検査用画像を取得する検査用画像取得工程と、上記検査装置が、上記検査用画像取得工程において取得した検査用画像における、上記液晶パネルのある位置に対応する画素である注目画素の濃淡値と、上記検査用画像における上記注目画素とは異なる画素である背景画素の濃淡値と、上記視角特性情報生成工程において生成した上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報とに基づいて、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定工程とを包含することを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、本発明に係る検査装置と同等の効果を奏することができる。
【0022】
また、本発明に係る検査装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータに上記の各装置の機能を実現させるプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る検査装置によれば、液晶パネルに混入した異物が光を散乱させている状態の視角特性(視野角)を擬似的に再現する被撮像物を撮像した画像を用いて視角特性情報を生成し、上記視角特性情報を用いて、液晶パネルのある位置(絵素)において欠陥が生じているか否かを判定するため、異物混入に起因する液晶パネルの欠陥を精度高く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る検査装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る検査装置が被撮像物を撮像する工程を説明する模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る検査装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】液晶パネルの液晶層内に異物が混入した場合の光の状態を説明する模式図である。
【図5】観測位置による視角を説明する模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る視角特性情報の算出過程を説明する3次元グラフである。
【図7】本発明の一実施形態に係る検査用画像における注目画素と背景画素との関係を説明する模式図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る検査用画像における注目画素と背景画素との関係を説明する模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る検査装置による特徴量の補正結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る検査装置1について図面を参照して説明する。なお、本発明に係る検査方法は、検査装置1を用いて行う場合に限定されず、同等の処理を行い得る一または複数の装置を用いてもよい。また、以下では、検査対象として液晶パネルを用いた場合について説明するが、本発明を他の物品の検査に用いることを排除するものではない。上記液晶パネルは、例えば、一般的な、表偏光板、裏偏光板および光源を伴ってディスプレイ製品等に適用される液晶パネルであり得る。なお、表偏光板および裏偏光板は、それぞれ液晶パネルの前面または背面に配置される偏光板(偏光フィルム)を指す。
【0026】
図1は、検査装置1の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、検査装置1は、表示部200、撮像部(撮像手段)300、被撮像物配置部400および主制御部100を備えている。
【0027】
表示部200は、検査装置1が取得した様々な情報(検査結果を含む)、ユーザへの指示等を表示する。表示部200は、一般的なディスプレイ技術を用いて構成することができ、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、CRT(Cathode Ray Tube:ブラウン管)を用いることができる。
【0028】
撮像部300は、被撮像物配置部400上の被撮像物(検査対象物)を撮像するものであり、光学系320および固体撮像素子310により構成されている。光学系320は、被撮像物(検査対象物)の像を固体撮像素子310の受光部上に結像させるための手段である。光学系は、レンズその他の光学素子により構成される。固体撮像素子310は、受光部上に結像した被撮像物(検査対象物)の像を画像信号に変換するための手段である。固体撮像素子310としては、例えば、エリアセンサタイプのCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどを用いることができる。光学系を構成するレンズその他の光学素子は、各種調整機構を介して撮像装置の筐体内壁に取り付けられている。
【0029】
被撮像物配置部400は、被撮像物(検査対象物)を配置するための部材である。被撮像物配置部400は、検査装置1に組み込んでもよいが、別装置として構成してもよい。
【0030】
被撮像物配置部400上には、例えば、図1に示すような、撮像部300に近い方から表偏光板10、検査対象の液晶パネル20、裏偏光板30、バックライト(光源)40の順に並んでなる検査用被撮像物50を配置することができる。被撮像物配置部400上には、そのほかにも、図2(a)および(b)に示すような被撮像物を配置することができる。何れの場合も、被撮像物(表偏光板10、液晶パネル20、裏偏光板30、バックライト40等)は取り外し可能である。
【0031】
また、被撮像物配置部400は、電力供給手段(図示せず)を備えており、バックライト40を点灯させ、被撮像物(検査対象物)における欠陥を強調する。
【0032】
なお、表偏光板10および裏偏光板30は、互いの偏光方向を考慮して配置される。すなわち、ノーマリーブラックのパネルであれば、液晶パネルを挟まない状態で暗くなり、ノーマリーホワイトであれば明るくなるように互いの偏光方向を考慮して表偏光板10および裏偏光板30を配置する。検査対象となる液晶パネル20は、図1にあるように裏偏光板30および表偏光板10の間に配置するものとする。
【0033】
さらに、被撮像物配置部400は、液晶パネル20に所定の電圧を印加して、液晶パネル20を、例えば、全面を黒く点灯させる等の適切な点灯状態に制御するか、または電圧を印加しないことにより、液晶パネル20を所望の点灯状態とする。なお、後述する実施形態では、ノーマリーブラックのパネルを想定しているため、黒く点灯させるための電圧が印加されるか、または、電圧が印加されない。
【0034】
主制御部100は、撮像部300を制御するとともに、撮像部300によって得られた撮像画像に基づいた検査対象となる液晶パネル20の評価および視角特性を補正するための補正係数(視角特性情報)90を算出するための手段である。主制御部100は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどにより構成することができる。
【0035】
図3は、検査装置1の機能的な概略構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、主制御部100は、液晶パネルの検査を実施する検査制御部120と、検査において用いる補正係数90を算出する補正情報生成制御部110と、補正係数90を記憶する補正係数記憶部(視角特性情報記憶手段)130を備えている。主制御部100はまた、撮像制御部140および表示制御部150を備えている。
【0036】
撮像制御部140は、撮像部300に被撮像物を撮像させて、得られた撮像画像を取得する。撮像画像は、BMP等の一般的な画像データの形式とすることができる。すなわち、撮像画像の画素ごとに濃淡値(輝度)を取得し得る形式であればよく、濃淡値の行列であり得る。撮像制御部140はまた、被撮像物配置部400を制御して、被撮像物配置部400上に配置されたバックライト40の点灯、液晶パネル20または20’への電圧の印加等を制御する。
【0037】
表示制御部150は、表示すべきデータの入力を受けて、表示部200上に当該データを表示させる。上記入力されるデータは、表示すべき画像を示す画像データ、表示すべき画像を記述する記述言語等周知慣用されているものを用いることができる。
【0038】
補正係数記憶部130は、補正係数90を記憶する。補正係数90のデータ形式については後述する。
【0039】
補正情報生成制御部110は、第1画像取得制御部(第1画像取得制御手段)111、第1画像記憶部112、第2画像取得制御部(第2画像取得制御手段)113、第2画像記憶部114および補正係数算出部(視角特性情報生成手段)を備えており、図2(a)に示すような第1被撮像物51を撮像して得られた第1画像70と、および図2(b)に示すような第2被撮像物52を撮像して得られた第2画像80とに基づいて補正係数90を算出する。以下、詳しく説明する。
【0040】
第1画像取得制御部111は、撮像制御部140を介して撮像部300および被撮像物配置部400を制御することにより、表偏光板10、標準として用いる液晶パネル20’、裏偏光板30、およびバックライト40からなる第1被撮像物51を、表偏光板10側から撮像部300に撮像させて、第1画像70を取得し、取得した第1画像70を第1画像記憶部112に記憶させる。なお、図2(a)に示すように、第1被撮像物51は、撮像部300に近い方から、表偏光板10、標準として用いる液晶パネル20’、裏偏光板30、バックライト40の順に被撮像物配置部400上に配置されている。「標準として用いる液晶パネル」は、検査対象である液晶パネルと同様の規格(サイズ、絵素のピッチ、素材等)を有する液晶パネルであればよい。
【0041】
第2画像取得制御部113は、撮像制御部140を介して撮像部300および被撮像物配置部400を制御することにより、表偏光板10およびバックライト40からなる第2被撮像物52を、表偏光板10側から撮像部300に撮像させて、第2画像80を取得し、取得した第2画像80を第2画像記憶部114に記憶させる。なお、図2(b)に示すように、第2被撮像物52は、撮像部300に近い方から、表偏光板10、バックライト40の順に被撮像物配置部400上に配置されている。
【0042】
第1画像記憶部112に第1画像70が記憶され、第2画像記憶部114に第2画像80が記憶されている状態で、補正係数算出部115は、第1画像70および第2画像80に基づいて、液晶パネル20の位置ごとに関連付けられた補正係数90を算出して、補正係数記憶部130に記憶させる。
【0043】
なお、「液晶パネルの位置ごとに関連付けられた補正係数」とは、例えば、上記液晶パネルの撮像画像の画素ごとに関連付けられた補正係数であり得る。すなわち、液晶パネルの撮像画像の各画素は、液晶パネル上のそれぞれの画素に対応する座標から出射した光を検知した結果を示すため、上記画素ごとに関連付けられた補正係数は、上記位置ごとに関連付けられた補正係数となる。上記液晶パネル上の位置と、上記撮像画像上の画素との対応関係は、撮像部300の設定(分解能〔μm/pix〕)から容易に求めることができる。
【0044】
また、補正係数90の詳しい算出方法については後述するが、一実施形態において、ある位置に関連付けられた補正係数90は、第1画像70における上記ある位置に関連付けられた画素の濃淡値(p)と、第2画像80における上記ある位置に関連付けられた画素の濃淡値(q)との比を表すものであり、具体的には、qをpで除算した値や、pとqとの値のセットとすることができる。なお、pとqとの値のセットとする場合、補正係数90としては、第1画像70および第2画像80そのもののデータとしてもよいことを当業者は容易に理解する。
【0045】
以上のように補正係数90のデータ形式は、位置ごと(画素ごと)に当該位置(画素)に関連付けられた補正係数(例えば、上記q/pまたは(q,p)のセット等)を取得し得るものであればよく、上記各位置(画素)に関連付けられた補正係数の行列であり得る。
【0046】
また、詳しくは後述するが、第1画像70は、欠陥のない液晶パネルの撮像画像を擬制したものであり、第2画像80は、異物が混入した液晶パネルの撮像画像を擬制したものである。よって、検査装置1は、第1画像70および第2画像80に基づいて、異物が混入した液晶パネルの撮像画像を反映させた補正係数90を算出し、補正係数90を用いて検査用画像60に基づいた欠陥判定を行うので、欠陥のない液晶パネルの視角特性とは大きく異なる、異物が混入した液晶パネルの視角特性を考慮した欠陥判定を行うことができる。
【0047】
補正情報生成制御部110は、算出した補正係数90を、表示制御部150を介して、表示部200に表示させてもよい。
【0048】
補正係数記憶部130に補正係数90が記憶された状態において、検査制御部120は、検査対象とする液晶パネル20の検査を開始する。検査制御部120は、検査用画像取得制御部(検査用画像取得制御手段)121、検査用画像記憶部122、特徴量算出部123、特徴量記憶部124、欠陥候補抽出部125、欠陥候補記憶部126および欠陥判定部(欠陥判定手段)127を備えている。
【0049】
検査用画像取得制御部121は、撮像制御部140を介して撮像部300および被撮像物配置部400を制御することにより、表偏光板10、検査対象である液晶パネル20、裏偏光板30、およびバックライト40からなる検査用被撮像物50を、表偏光板10側から撮像部300に撮像させて、検査用画像60を取得し、取得した検査用画像60を検査用画像記憶部122に記憶させる。なお、図1に示すように、検査用被撮像物50は、撮像部300に近い方から、表偏光板10、検査対象である液晶パネル20’、裏偏光板30、バックライト40の順に被撮像物配置部400上に配置されている。検査用画像取得制御部121は、続いて、特徴量算出部123に処理を開始させる。
【0050】
特徴量算出部123は、検査用画像記憶部122に記憶された検査用画像60に基づいて、液晶パネル20の位置ごとに関連付けられた特徴量(検査用画像60の画素61ごとに関連付けられた特徴量)62を算出する。
【0051】
特徴量62は、当該特徴量62に関連付けられた位置に欠陥が存在しているか否かを推定するための情報であり、各位置(画素)ごとにそれぞれに関連付けられた特徴量が格納された行列であり得る。特徴量算出部123は、例えば、液晶パネル20のある位置に関連付けられた特徴量62を、上記ある位置に対応する検査用画像60の画素61である注目画素61aの濃淡値と、検査用画像60における注目画素61aとは異なる画素である背景画素61cの濃淡値とを比較した結果を表す値(例えば、両濃淡値の差分など)として求めることにより、上記特徴量62を算出する。
【0052】
背景画素61cとは、欠陥が存在しないものとして扱う画素である。したがって、上述のように、例えば、背景画素61cの濃淡値と、注目画素61aの濃淡値とを比較することにより、液晶パネル20の注目画素61aに対応する位置に欠陥が存在するか否かを判定することができる。なお、背景画素61cとして用いる画素61は、注目画素61aと異なる画素であればよいが、後述するような条件を満たす画素を選定することが好ましい。また、注目画素61aの濃淡値と、背景画素61cの濃淡値との比較は、好ましくは、注目画素61aの濃淡値と、複数の背景画素61cの濃淡値の平均との比較であり得る。
【0053】
特徴量算出部123は、以上の手順を繰り返して、各画素に関連付けられた特徴量62を取得して、特徴量記憶部124に記憶させる。特徴量算出部123は、続いて、欠陥候補抽出部125に処理を開始させる。
【0054】
欠陥候補抽出部125は、各位置(または画素)の特徴量62に基づいて、例えば、二値化処理(所定の閾値との比較)等により、欠陥候補となる位置(または画素)を抽出する。抽出結果(例えば、抽出された画素の座標を列挙したもの)は、欠陥候補記憶部126に記憶される。欠陥候補抽出部125は、続いて、欠陥判定部127に処理を開始させる。
【0055】
欠陥判定部127は、欠陥候補記憶部126に記憶された欠陥候補となる各位置(画素)について、補正係数記憶部130に記憶された補正係数90を用いて欠陥判定を行う。欠陥判定部127は、液晶パネル20のある位置に対応する検査用画像60における画素61である注目画素61aの濃淡値と、検査用画像60における注目画素61aとは異なる画素である背景画素61cの濃淡値と、補正係数90とに基づいて、液晶パネル20の上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定するものであればよい。すなわち、後述するように、補正係数90は、異物が混入した液晶パネルの視角特性を反映させているため、欠陥判定部127が、注目画素61aの濃淡値と背景画素61cの濃淡値との比較による欠陥の判定において、補正係数90を用いることにより、異物の混入に起因する欠陥を精度高く検出することができる。
【0056】
例えば、上述したように、補正係数90が、第1画像70と第2画像80とのそれぞれ対応する画素の濃淡値の比を表す情報であった場合、欠陥判定部127が、注目画素61aの濃淡値と背景画素61cの濃淡値との差を示す評価量(例えば、特徴量62)を、上記比が小さい程大きく評価し、上記比が大きいほど小さく評価すればよい。上記比が大きい位置は、欠陥が存在した場合、注目画素61aの濃淡値と背景画素61cの濃淡値との差が大きくなることが予測される位置であるので、実際に計算した上記差を示す評価量を、小さく評価することにより、液晶パネル20全体で一様な評価基準による欠陥判定が可能となる。
【0057】
また、例えば、補正係数90が、第1画像70と第2画像80との組を表す情報であった場合、欠陥判定部127が、注目画素61aの濃淡値を、第2画像80の上記ある位置に対応する画素の濃淡値が大きいほど背景画素61cの濃淡値に対して相対的に小さくなるように補正し、背景画素61cの濃淡値を、第1画像70の上記ある位置に対応する画素の濃淡値が大きいほど注目画素61aの濃淡値に対して相対的に小さくなるように補正する。これによっても、上記と同様に、液晶パネル20全体で一様な評価基準による欠陥判定が可能となる。なお、注目画素61aおよび背景画素61cの濃淡値は、検査用画像記憶部122から読み出した検査用画像60に基づいて取得すればよい。
【0058】
好ましくは、欠陥判定部127は、少なくともいずれか一方が補正係数90を用いて補正されている、注目画素61aおよび背景画素61cの濃淡値を比較することにより、液晶パネル20の上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する。例えば、注目画素61aおよび背景画素61cの濃淡値のどちらか一方または両方を補正係数90を用いて補正した後、その差分をとればよい。また、数式変換により等価であるならば、注目画素61aおよび背景画素61cの濃淡値の差分を算出した後、補正係数90を用いて上記差分を補正してもよい。この場合も、少なくともいずれか一方が補正係数90を用いて補正されている、注目画素61aおよび背景画素61cの濃淡値を比較することに該当することを当業者は容易に理解する。詳しい数式等については後述する。
【0059】
欠陥判定部127は、欠陥があると判定した液晶パネル20上の位置を表す情報を、表示制御部150を介して表示部200に表示させる。なお、注目画素61aに対応する液晶パネル20上の位置を算出する手法としては、例えば、撮像部300の光学系320における分解能〔μm/pix〕の設定に基づいて、検査用画像60に写る液晶パネル20の端部から欠陥までの距離を算出することにより、欠陥の液晶パネル上における座標を求めることができる。また、検査対象である液晶パネル20の絵素22のサイズに基づいて、1絵素あたりに撮像画像の画素がいくつ割り当てられているかの情報も得ることができる。
【0060】
なお、本実施形態に係る検査制御部120は、一旦、補正係数90を用いずに、検査用画像60に基づいて、液晶パネル20上の欠陥候補となる位置(または検査用画像60上の画素61)を抽出した後(特徴量算出部123および欠陥候補抽出部125)、それぞれの欠陥候補となる位置について、補正係数90を用いて欠陥か否かを判定する(欠陥判定部127)ものであるが、より単純に、欠陥判定部127が、補正係数90を用いて、検査用画像60に基づいて、液晶パネル20上のある位置が、欠陥を有しているか否かを直接判定してもよい。その場合には、欠陥候補の抽出を実施せずに、直接、特徴量62に補正係数90を適用するか、または検査用画像60の注目画素61aの濃淡値および背景画素61cの濃淡値の少なくともいずれか一方に補正係数90を適用した後に、補正後の量濃淡値に基づいて特徴量62を求めるかして、その結果を用いて欠陥判定を行えばよい。
【0061】
また、本実施形態に係る検査装置1は、補正情報生成制御部110を備えているが、他の実施形態において、補正係数記憶部130に補正係数90が記憶されていれば、検査装置は、補正情報生成制御部110がなくとも液晶パネル20の検査を精度高く行うことができる。例えば、補正情報生成制御部110が、取り外し可能であり(例えば、ネットワーク的に補正情報生成制御部110を作動させるためのソフトウェアが一時的に供給される等)補正係数記憶部130に補正係数90を記憶した後に、補正情報生成制御部110が除かれた検査装置、他の検査装置1から補正係数90を取得して自らが備える補正係数記憶部130に記憶する検査装置等も、本発明の範疇である。
【0062】
すなわち、本発明の他の実施形態に係る検査装置は、液晶パネル20の検査装置であって、撮像部300と、表偏光板10、標準として用いる液晶パネル20’、裏偏光板30およびバックライト40がこの順に並んでなる第1被撮像物51を、表偏光板10側から撮像して得られた第1画像70、ならびに、表偏光板10およびバックライト40からなる第2被撮像物52を、表偏光板10側から撮像して得られた第2画像80を用いて生成された液晶パネル20の位置ごとに関連付けられた補正係数90を記憶している補正係数記憶部130と、表偏光板10、検査対象の液晶パネル20、裏偏光板30およびバックライト40がこの順に並んでなる検査用被撮像物50を、撮像部300に表偏光板10側から撮像させて検査用画像60を取得する検査用画像取得制御部121と、検査用画像取得制御部121が取得した検査用画像60における、液晶パネル20のある位置に対応する画素61である注目画素61aの濃淡値と、検査用画像60における注目画素61aとは異なる画素61である背景画素61cの濃淡値と、補正係数記憶部130が記憶している上記ある位置に関連付けられた補正係数90とに基づいて、液晶パネル20の上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定部127とを備えている検査装置であり得る。
【0063】
(プログラムおよび記録媒体)
検査装置1の主制御部100は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0064】
すなわち、主制御部100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するMPUなどのCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
【0065】
そして、本発明の目的は、主制御部100のプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を記録した記録媒体を検査装置1に供給し、検査装置1が上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
【0066】
上記記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0067】
また、主制御部100(または検査装置1)を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して主制御部100に供給する。この通信ネットワークは主制御部100にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0068】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、NFC、DLNA、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0069】
このように、本発明の一実施形態に係る検査方法は、液晶パネル20を検査する方法であり、第1画像取得工程、第2画像取得工程、補正係数算出工程(視角特性情報生成工程)、検査用画像取得工程および欠陥判定工程を含んで構成することができる。
【0070】
上記第1画像取得工程では、撮像部300を備えた検査装置1が、表偏光板10、標準として用いる液晶パネル20’、裏偏光板30およびバックライト40がこの順に並んでなる第1被撮像物51を、表偏光板10側から撮像して第1画像70を取得する。
【0071】
上記第2画像取得工程では、検査装置1が、表偏光板10およびバックライト40からなる第2被撮像物52を、表偏光板10側から撮像して第2画像80を取得する。
【0072】
上記補正係数算出工程では、検査装置1が、上記第1画像取得工程において取得した第1画像70、および上記第2画像取得工程において取得した第2画像80を用いて、液晶パネル20の位置ごとに関連付けられた補正係数90を算出する。
【0073】
上記検査用画像取得工程では、検査装置1が、表偏光板10、検査対象の液晶パネル20、裏偏光板30およびバックライト40がこの順に並んでなる検査用被撮像物50を、表偏光板10側から撮像して検査用画像60を取得する。
【0074】
上記欠陥判定工程では、検査装置1が、上記検査用画像取得工程において取得した検査用画像60における、液晶パネル20のある位置に対応する画素61である注目画素61aの濃淡値と、検査用画像60における注目画素61aとは異なる画素61である背景画素61cの濃淡値と、上記補正情報生成工程において生成した上記ある位置に関連付けられた補正係数90とに基づいて、検査対象の液晶パネル20の上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する。
【0075】
なお、上記では全ての工程を検査装置1が実施するが、本発明はこれに限定されるものではなく、各工程が別々の装置によって実施されていてもよい。
【0076】
〔機能の説明〕
以下、本発明の原理および各部の機能について詳細に説明する。
【0077】
(微小欠陥における視角特性の変化)
ここでは微小欠陥のような異物混入型欠陥における視角特性の変化について説明する。この場合の説明ではノーマリーブラックを仮定しているが、ノーマリーホワイトの場合であっても良い。以下では、液晶層21には、黒く点灯している状態になるように電圧が印加されている。
【0078】
まず、微小欠陥について図4に基づいて説明する。図4は液晶パネル20の液晶層21内に異物が混入した場合の光の状態を説明する模式図である。まず、バックライト40から発せられた光41は散乱光として裏偏光板30へと到達する。この散乱光は偏光方向が一定ではなく、様々な方向に偏光しているが、裏偏光板30の有する偏光性により直線偏光成分(ここでは水平方向の偏光)のみが取り出される。この直線偏光の光42a〜cは、通常であれば液晶パネル20を通って表偏光板10に到達する。ここで、表偏光板10は、裏偏光板30と意図的に90°偏光方向を変えているため(ここでは鉛直方向の偏光)、光42aや光42cは表偏光板10によって遮光されてしまう。一方、図4に示すように、液晶パネル20の液晶層21に異物29が混入している場合、異物29は、通過してきた光42bを散乱させ、その偏光方向を変化させる。すなわち、異物29を介した光43は直線偏光の状態ではなくなるため、表偏光板10の偏光方向成分の光44は、表偏光板10を透過する。そのため、欠陥部は輝点となる。なお、ノーマリ−ホワイトの場合、裏偏光板30および表偏光板10の偏光方向は一致しているが、液晶層21が90°の旋光性を有しているため、ノーマリーブラックと同様、欠陥部が輝点となる。
【0079】
次に、液晶パネル検査における視角特性について図5に基づいて説明する。図5は観測位置による視角を説明する模式図である。液晶パネル20の視角特性は主に表と裏に配置された偏光板10および30によって変動すると考えられる。
【0080】
まず、液晶パネル20の液晶層21に異物29が混入していない領域(背景部)の視角特性について説明する。液晶パネル20、表偏光板10および裏偏光板30に対して、光学系320が垂直方向321に観測した場合では、表偏光板10および裏偏光板30のクロスニコル特性が良好に発揮されているため、完全に光は遮光される。しかし、観測する角度を変えた場合、特に図5のように斜め方向322に視角を向けた際には、表偏光板10および裏偏光板30のクロスニコル特性が低下してしまうため、結果として光の漏れが発生してしまう。
【0081】
一方、微小欠陥(液晶層21に異物29が混入している領域)では、視角特性が上記と若干異なる。微小欠陥では、上述したように異物29における光の散乱が発生するため、液晶パネル20、表偏光板10および裏偏光板30に対して垂直方向321に観測した場合であっても、表偏光板10の偏光方向成分の光が透過する。また、斜め方向322の観測において表偏光板10および裏偏光板30のクロスニコル特性が低下した場合においても、散乱光の状態が若干変化するが、同様に表偏光板10の偏光方向成分の光が透過する。
【0082】
このように、背景部と微小欠陥部とでは視角特性が異なり、この視角特性を考慮した検査方法が必要となる。
【0083】
(視角特性の補正係数算出工程)
ここでは視角特性の補正係数算出工程について述べる。
【0084】
上述したように、補正情報生成制御部110は、図2(a)および(b)に示すような撮像を行い、第1画像70および第2画像80を取得する。
【0085】
まず、第1画像70について説明する。第1画像70は、図2(a)に示すように、「バックライト、裏偏光板、液晶パネル、表偏光板」のように配置し、撮像部300がこれを撮像することによって取得される画像である。この第1画像70は液晶パネル検査における欠陥のない通常部分の画像としてみなされる。第1画像取得制御部は、この第1画像70を第1画像記憶部112に記憶する。
【0086】
続いて、第2画像80について説明する。第2画像は、図2(b)に示すように、「バックライト、表偏光板」のように配置し、撮像部300がこれを撮像することによって取得される画像である。これは、バックライト40から発せられた散乱光41を表偏光板10に通すことによって、一方向のみに偏光させることを目的としており、上記微小欠陥において、異物29によって散乱した光43が表偏光板10を通って観測されることを擬似的に表したものである。これによって、散乱光が表偏光板10のみを通った場合の結果を模すことができる。
【0087】
次に、補正係数算出処理について説明する。本実施形態では、第1画像70と第2画像80との比をとることにより、検査に用いる評価値(特徴量62)を補正する方法をとっているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1画像70および第2画像80の二つの画像濃淡値を用いて欠陥部(注目画素61a)および背景部(背景画素61c)の濃淡値をそれぞれ補正する方法等を用いてもよい。
【0088】
上記のように、第1画像70は欠陥のない通常の背景部として考え、第2画像80は微小欠陥部に相当するとみなされる。本発明では、背景部の視角特性を持つ第1画像70と欠陥部の視角特性を持つ第2画像80とを比較して、補正係数90を算出する。
【0089】
補正係数算出部115は、まず、第1画像記憶部112および第2画像記憶部114に記憶されている第1画像70および第2画像80の濃淡値を読み出し、第2画像80の濃淡値を第1画像70の濃淡値で除算する。
【0090】
図6は、補正係数算出過程を示すグラフである。図6に示す3次元グラフは、第1画像70または第2画像を4分割した領域についてのデータを表すものであり、グラフ手前右側が画像中心を示す。
【0091】
図6(a)は、第2画像80の濃淡値を第1画像70の濃淡値で除算した結果を示す。図6(a)に示すように、上記除算の結果はノイズ等を含むものとなる。これは、画像撮像時のランダムノイズ、固定ノイズ、標準として用いた液晶パネルの欠陥等に起因するものであり、補正係数算出時にはこれらノイズ等の影響を排除することが好ましい。このため、補正係数算出部115は、ノイズの影響を排除する処理をさらに行う。
【0092】
ノイズの影響を排除する方法として、本実施形態では、補正係数算出部115は、双3次曲面へのフィッティングを行うがこれに限定されるものではなく、双3次曲面へのフィッティング以外にも、n次曲面へのフィッティングやフィルタによる平滑化処理などを用いてもよい。これらの処理は、ノイズを排除した結果と元のデータとの平均誤差が数%程度に抑えられる方法であることが好ましい。
【0093】
図6(b)に、フィッティング結果を示す。補正係数算出部115は、このフィッティング結果についてさらに、画像中央部の値を1として全画素について正規化を行い、この値を、各画素に関連付けられた補正係数90として、補正係数記憶部130に記憶する。上記正規化を施した後の補正係数90を表すグラフを図6(c)に示す。補正係数90のデータ形式は、例えば、各画素に関連付けられた補正係数90を要素とする行列とすることができる。補正係数算出部115はまた、この結果を表示部200に表示させ、作業者が確認可能であるようにしてもよい。
【0094】
(検査時における補正方法)
続いて、補正係数90を用いた特徴量62の補正方法について説明する。
【0095】
欠陥判定工程を含む検査工程において、検査装置1の撮像部300は、検査対象となる液晶パネル20の撮像を行う。検査用画像取得制御部121は、上記撮像により得られた検査用画像60を、主制御部100内の検査用画像記憶部122に記憶する。
【0096】
続いて、特徴量算出部123および欠陥候補抽出部125が、補正係数90を用いずに、液晶パネル20内の欠陥候補を抽出する処理を行う。
【0097】
まず、特徴量算出部123が、検査用画像記憶部122に記憶された検査用画像60を用いて、液晶パネル20の欠陥を検出するための特徴量62の計算を行う。特徴量62は、液晶パネル20の各位置または検査用画像60の各画素に関連付けられており、例えば、各位置(画素)に関連付けられた特徴量を要素とした行列として表される。
【0098】
画像処理によって欠陥検出処理を行う場合、欠陥を検出するため、欠陥画素であるか否かを判定する注目画素を、欠陥画素ではないとみなす背景画素と比較する必要がある。そのため、特徴量62としては、欠陥を有さない画素とみなされる背景画素の濃淡値と注目画素の濃淡値との差異を表す情報を用いる。
【0099】
このような特徴量62としては、特に限定されないが、例えば、正規化コントラスト、輝度、正規化を行わないコントラスト、輝度、差分値、輝度体積等を用いることができる。本実施形態では、撮像部300の光学系320が備えるレンズのシェーディングに起因する検査用画像60端部の輝度低下の影響を排除するため、特徴量62として、各画素における上記差分として求めた値を周辺輝度で正規化した正規化コントラストと呼ばれる特徴量を用いているが、その他、輝度、正規化を行わないコントラスト等を用いてもよい。
【0100】
ここで、本実施形態で用いている正規化コントラストについて図面を参照して説明する。図7は、検査対象である液晶パネル20およびその絵素22と、検査用画像60およびその画素61を重ね合わせて示しており、絵素22中に異物29が混入していた場合に、異物29が混入した位置に対応する画素61を注目画素61aとして、欠陥を判定する場合について示している。
【0101】
図7に示すように、ある画素61を注目画素61aとしたとき、背景画素61cとしては、注目画素61aと異なる画素61画素であればよいが、好ましくは、液晶パネル20にある繰り返しパタンが欠陥部(注目画素61aに対応する絵素22)と同一の割り当てとなっている背景の点との差分をとることによって差分を生成する。このとき、比較画素は極力近傍の数点を用い、それらの点の平均を用いることが好ましい。すなわち、図7に示すように、緑(G)の絵素22のほぼ中央に対応する注目画素61aの背景画素61cとしては、同じく緑(G)の絵素22のほぼ中央に対応する画素61であり、注目画素61aの近傍に存在する斜線で示した背景画素61cを用いることが好ましく、特徴量62は、これらの背景画素61cの濃淡値の平均値と、注目画素61aの濃淡値の差異を表す情報として求めることが好ましい。
【0102】
これをさらに説明すれば、図8に示すように、背景画素としては、注目画素61aおよび絵素22aの重なりと異なるパタンで絵素22bと重なっている画素61bではなく、同じパタンで絵素22を重なっている背景画素61cを用いる。
【0103】
特徴量算出部123は、上記のような背景画素61cを、例えば、撮像部300の光学系320における分解能〔μm/pix〕の設定と、液晶パネル20の絵素22のサイズに基づいて、重なりのパタンを導出することにより、選定することができる。例えば、上記分解能がl〔μm/pix〕であり、絵素22のサイズ(横×縦)がm×n〔μm〕であるときには、注目画素61aから横方向にlcm(l,m)÷l、縦方向にlcm(l,n)÷l画素分だけ離れた画素61を、背景画素61cとして好適に用いることができる。
【0104】
次に、以上のように求めた差分(コントラスト)を正規化する。上述したように、撮像部300の固体撮像素子310(エリアセンサ)によって液晶パネル20を撮像した撮像画像は、光学系レンズのシェーディング等によって輝度に分布が存在するため、撮像画像の位置によって輝度の値が異なってしまう。このような画像位置での輝度分布の影響を考慮するため、本実施形態では、特徴量算出部123は、背景輝度で注目画素と背景画素との差分値を正規化する。この正規化した差分の値を正規化コントラストと呼び、欠陥の特徴を表す一つの指標として用いる。
【0105】
(i,j)成分の注目画素61aの濃淡値をIe(i,j)、(i,j)成分の注目画素61aに対応する背景画素61cの濃淡値をIb(i,j)とすると、正規化コントラストCの値は、下記式(1)のように求めることができる。
【0106】
C=(Ie(i,j)−Ib(i,j))/Ib(i,j)・・・(1)
特徴量算出部123は、以上のように算出した各画素についての正規化コントラストを特徴量62として特徴量記憶部124に記憶する。
【0107】
続いて、欠陥候補抽出部125は、上記正規化コントラストCに対して、閾値を設定して二値化処理を行い、二値化領域における面積を求める。「二値化領域における面積」とは、二値化処理を行った際に閾値以上となる画素が連結していた場合に,これら連結する全ての画素数を指す。例えば、閾値を超える画素が連結せずに1画素単体で存在している場合は、上記面積は1となる。
【0108】
そして、欠陥候補抽出部125は、二値化領域内の正規化コントラストCを足し合わせた正規化コントラスト体積を計算して、正規化コントラスト体積が一定の閾値以上にある欠陥候補を抽出し、欠陥候補記憶部126に記憶する。
【0109】
なお、このような正規化コントラスト体積は、正規化コントラストと面積の両方を内包することとなる。ここで、実際の欠陥検査では、上記面積が大きくてもコントラスト(もしくは輝度)が小さいもの、逆にコントラスト(輝度)が大きくても面積が小さいものなどについては、許容する場合がある。そのため、面積およびコントラスト(輝度)のどちらか一方で判定することは困難であるため、本実施形態では、コントラスト体積を用いて欠陥を判定する。なお、欠陥の検出における判断指標は、正規化コントラスト体積に限らず、輝度や差分値、輝度体積などを用いてもよい。
【0110】
ただし、欠陥候補抽出部125が抽出した欠陥候補群は、視角特性の補正を行っておらず、面内でばらつきを有する特徴量に基づいたものであると考えられる。そこで、欠陥判定部127が、補正係数記憶部130に記憶されている補正係数90を用いて、視角特性を考慮した補正を行う。
【0111】
本実施形態では、補正係数90として、上記補正係数算出工程において、第2画像80の各画素の濃淡値を、第1画像70の対応する画素の濃淡値で除算した値を用いて、背景画素の補正を行う。補正係数90の(i,j)成分の値をα(i,j)とした場合、補正後の(i,j)成分の背景画素Ib’(i,j)は、下記式(2)のように求めることができる。
【0112】
Ib’(i,j)=α(i,j)×Ib(i,j)・・・(2)
ここで、上記式(1)を考慮すれば、補正後の正規化コントラストC’は、下記式(3)のように求めることができる。
【0113】
C’=(C+1+α)/α・・・(3)
欠陥判定部127は、特徴量記憶部124から読み出した特徴量62および補正係数記憶部130から読み出した補正係数90を用いて、上記式(3)に従い、補正後の正規化コントラストを求める。そして、欠陥判定部127は、求めた補正後の正規化コントラストを用いて、欠陥候補記憶部126に記憶された欠陥候補群について、正規化コントラストの補正を行い、最終的に正規化コントラスト体積を求めて欠陥判定を行う。
【0114】
(視角特性の補正による効果)
図9に、本発明に係る視角特性を考慮した補正の効果を示す。図9は、同一の微小欠陥に関して、撮像画像の中央部に位置するように撮像したときの正規化コントラスト体積(中央部)、撮像画像の端部に位置するように撮像したときの正規化コントラスト体積(補正前端部)、および上記補正前端部の正規化コントラスト体積について本発明に係る補正を施した結果(補正後端部)を示す。
【0115】
図9に示すように、本発明に係る補正係数90を用いた視角補正の前では、撮像画像の中央部に位置するように撮像したときと、撮像画像の端部に位置するように撮像したときとでは、正規化コントラスト体積に差が見られる。しかし、本発明に係る視角補正を行った結果、補正後端部の正規化コントラスト体積は、中央部の正規化コントラスト体積に近づき、同等の結果が得られていることがわかる。
【0116】
以上のように、本発明に係る視角特性の補正効果が得られていることが確認できた。すなわち、本発明によれば、画像面内で同一基準の検査を行うことが可能となる。
【0117】
なお、以上では、すべて、液晶パネルを黒く点灯させた場合について記載したが、本発明に係る検査装置は、液晶パネルを白点灯させた場合にも適用可能である。液晶パネルを白点灯させた場合であっても、図4に示すように、異物29を介した光43は散乱光となるため、欠陥のない部位を介した光42aおよび42cとは異なる視角特性を有する。そして、本発明に係る検査装置を用いれば、撮像部300が、表偏光板10、標準として用いる液晶パネル20’、裏偏光板30およびバックライト40がこの順に並んでなる第1被撮像物51と、表偏光板10およびバックライト40からなる第2被撮像物52とを撮像することにより、欠陥のない液晶パネルの視角特性と、欠陥を有する液晶パネルの視角特性との両方に関する情報を取得することができるので、検査対象の液晶パネル20を含む検査用被撮像物50を撮像して当該液晶パネル20の検査をする際に、欠陥を有する液晶パネルの視角特性を考慮した検査を行うことができる。
【0118】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、以下に示す第1〜8の構成も本発明の範疇である。
【0119】
(第1の構成)
液晶パネルを対象とする検査装置において、バックライト・裏偏光板・液晶パネル・表偏光板で構成された対象を撮像しこれを第1の画像として登録する手段と、バックライト・表偏光板で構成された対象を撮像しこれを第2の画像として登録する手段と、前記登録された第2の画像を第1の画像の濃淡値で除算する手段と、実際の検査処理において液晶パネルの繰り返しパタンに対して欠陥発生部と同等の画素割当で比較対象となる背景画素との濃淡値の差分値について前記背景画素による正規化を行う手段を備え、前記正規化のための背景画素の濃淡値を前記登録された第2の画像を第1の画像の濃淡値で除算した値によって補正し面内で一様な特徴量を算出することを特徴とした、画像処理検査装置。
【0120】
(第2の構成)
液晶パネルを対象とする検査装置において、バックライト・裏偏光板・液晶パネル・表偏光板で構成された対象を撮像しこれを第1の画像として登録する手段と、バックライト・表偏光板で構成された対象を撮像しこれを第2の画像として登録する手段と、実際の検査処理において液晶パネルの繰り返しパタンに対して欠陥発生部と同等の画素割当で比較対象となる背景画素を前記登録された第1の画像における同一座標の画素濃淡値で除算しその値を登録する手段と、前記欠陥発生部における画素の濃淡値を前記第2の画像における同一座標の画素濃淡値で除算しその値を手段と、前記第2の画像で除された欠陥部の画素濃淡値と前記第1の画像で除された背景部の画素濃淡値の差分値を前記背景部の画素濃淡値によって正規化することによって視角特性の補正された結果を得ることを特徴とした、画像処理検査装置。
【0121】
(第3の構成)
前記第1の画像は検査用バックライトと、裏偏光板と、表偏光板で構成された検査台に基準となる液晶パネルを配置し、撮像することによって視角特性を有する液晶パネルの画像を取得し、登録することを特徴とした、上記第1の構成の画像処理検査装置。
【0122】
(第4の構成)
前記第2の画像は検査用バックライトと、表偏光板の構成によって液晶内に異物が混入した欠陥の散乱光を擬似的に再現し、これを撮像することによって液晶内異物欠陥の視角特性を有する画像を取得し、登録することを特徴とした、上記第1の構成の画像処理検査装置。
【0123】
(第5の構成)
前記登録された第2の画像を第1の画像の濃淡値で除算する手段は、液晶パネルの視角特性を持つ第1の画像と液晶内異物欠陥の視角特性を持つ第2の画像の比を画像の全画素に対して算出し、この結果について最小二乗法や平滑化フィルタを用いてノイズ成分の影響を排除することを特徴とした、上記第1の構成の画像処理検査装置。
【0124】
(第6の構成)
液晶パネルを対象とし画像処理検査方法であって、バックライト・裏偏光板・液晶パネル・表偏光板で構成された対象を撮像した画像でバックライト・表偏光板で構成された対象を撮像した第2の画像を除算することによって視角特性の補正係数を算出する補正係数算出工程と、実際の検査処理において液晶パネルの繰り返しパタンに対して欠陥発生部と同等の画素割当で比較対象となる背景画素との濃淡値の差分値について前記背景画素による正規化を行いこの結果に対して前記工程で得られた補正係数によって補正を施す検査工程を含んでいることを特徴とする、検査方法。
【0125】
(第7の構成)
コンピュータに上記第6の構成の検査方法を実行させるため検査プログラムであって、該コンピュータに上記各工程を実行させる検査プログラム。
【0126】
(第8の構成)
上記第7の構成の検査プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、液晶パネルの製造分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 検査装置
10 表偏光板
20 液晶パネル(検査対象の液晶パネル)
20’ 標準として用いる液晶パネル
21 液晶層
22 絵素
29 異物
30 裏偏光板
40 バックライト(光源)
41〜44 光
50 検査用被撮像物
51 第1被撮像物
52 第2被撮像物
60 検査用画像
70 第1画像
80 第2画像
61a 注目画素
61c 背景画素
90 補正係数(視角特性情報)
100 主制御部
110 補正情報生成制御部
111 第1画像取得制御部(第1画像取得制御手段)
113 第2画像取得制御部(第2画像取得制御手段)
115 補正係数算出部(補正情報生成手段)
120 検査制御部
121 検査用画像取得制御部(検査用画像取得制御手段)
127 欠陥判定部(欠陥判定手段)
130 補正係数記憶部(視角特性情報記憶手段)
200 表示部
300 撮像部(撮像手段)
310 固体撮像素子
320 光学系
400 被撮像物配置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの検査装置であって、
撮像手段と、
表偏光板、標準として用いる液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる第1被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて第1画像を取得する第1画像取得制御手段と、
表偏光板および光源からなる第2被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて第2画像を取得する第2画像取得制御手段と、
上記第1画像取得制御手段が取得した上記第1画像、および上記第2画像取得制御手段が取得した上記第2画像を用いて、上記液晶パネルの位置ごとに関連付けられた視角特性情報を生成する視角特性情報生成手段と、
表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて検査用画像を取得する検査用画像取得制御手段と、
上記検査用画像取得制御手段が取得した検査用画像における、上記液晶パネルのある位置に対応する画素である注目画素の濃淡値と、上記検査用画像における上記注目画素とは異なる画素である背景画素の濃淡値と、上記視角特性情報生成手段が生成した上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報とに基づいて、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
上記欠陥が、液晶パネルへの異物の混入であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報は、上記第1画像における上記ある位置に対応する画素の濃淡値と、上記第2画像における上記ある位置に対応する画素の濃淡値との比を表す情報であり、
上記判定手段は、少なくともいずれか一方が上記視角特性情報を用いて補正されている、上記注目画素および上記背景画素の濃淡値を比較することにより、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
液晶パネルの検査装置であって、
撮像手段と、
表偏光板、標準として用いる液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる第1被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して得られた第1画像、ならびに、表偏光板および光源からなる第2被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して得られた第2画像を用いて生成された、上記液晶パネルの位置ごとに関連付けられた視角特性情報を記憶している視角特性情報記憶手段と、
表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を、上記撮像手段に上記表偏光板側から撮像させて検査用画像を取得する検査用画像取得制御手段と、
上記検査用画像取得制御手段が取得した検査用画像における、上記液晶パネルのある位置に対応する画素である注目画素の濃淡値と、上記検査用画像における上記注目画素とは異なる画素である背景画素の濃淡値と、上記視角特性情報記憶手段が記憶している上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報とに基づいて、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定手段と
を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
液晶パネルの検査方法であって、
撮像手段を備えた検査装置が、表偏光板、標準として用いる液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる第1被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して第1画像を取得する第1画像取得工程と、
上記検査装置が、表偏光板および光源からなる第2被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して第2画像を取得する第2画像取得工程と、
上記検査装置が、上記第1画像取得工程において取得した上記第1画像、および上記第2画像取得工程において取得した上記第2画像を用いて、上記液晶パネルの位置ごとに関連付けられた視角特性情報を生成する視角特性情報生成工程と、
上記検査装置が、表偏光板、検査対象の液晶パネル、裏偏光板および光源がこの順に並んでなる検査用被撮像物を、上記表偏光板側から撮像して検査用画像を取得する検査用画像取得工程と、
上記検査装置が、上記検査用画像取得工程において取得した検査用画像における、上記液晶パネルのある位置に対応する画素である注目画素の濃淡値と、上記検査用画像における上記注目画素とは異なる画素である背景画素の濃淡値と、上記視角特性情報生成工程において生成した上記ある位置に関連付けられた上記視角特性情報とに基づいて、上記検査対象の液晶パネルの上記ある位置に欠陥が生じているか否かを判定する欠陥判定工程と
を包含することを特徴とする検査方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記検査装置が備えている各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−223809(P2010−223809A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72241(P2009−72241)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】