樹脂封止方法および樹脂封止装置
【課題】半導体パッケージの成形品質を向上する。
【解決手段】まず、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。また、大きさが均一の粒体樹脂12を計数する。キャビティ凹部11に対応する位置であって、計数した複数の粒体樹脂12を配分して、複数の供給領域A1のそれぞれに供給する。ここで、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1によって、供給領域A1に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。次いで、供給された複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2を型締めしてワークWを保持し、溶融した樹脂12が充填されたキャビティ凹部11で、ワークWを樹脂封止する。
【解決手段】まず、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。また、大きさが均一の粒体樹脂12を計数する。キャビティ凹部11に対応する位置であって、計数した複数の粒体樹脂12を配分して、複数の供給領域A1のそれぞれに供給する。ここで、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1によって、供給領域A1に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。次いで、供給された複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2を型締めしてワークWを保持し、溶融した樹脂12が充填されたキャビティ凹部11で、ワークWを樹脂封止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止方法およびそれに用いる樹脂封止装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−174801号公報(特許文献1)には、樹脂封止装置に関する技術が開示されている。この樹脂封止装置では、顆粒樹脂のような粒状体からなる樹脂材料が、キャビティの容積に合わせて、キャビティに所定量だけ供給される。このように所定量だけ樹脂材料を供給するために、樹脂材料が貯留される貯留箱と、その底板に近接して設けられたシャッタ板とから構成される樹脂材料供給ユニットが設けられている。
【0003】
また、半導体パッケージ(半導体装置)として、ウエハレベルパッケージ(WLP:Wafer Level Package)やeWLP(embedded WLP)が知られている。このようなパッケージは、ウエハの大きさに相当する大型のワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を備えた樹脂封止装置によって、ワークが樹脂封止(パッケージング)されて形成される。
【0004】
なお、本願では、ウエハのような大型のワークをそのまま封止するパッケージのほかにも、個片化により複数の半導体パッケージが取得される複数のパッケージ領域で構成されるワークのように、ウエハレベル(ウエハサイズ)のワークが樹脂封止された半導体パッケージも、ウエハレベルパッケージに含まれる概念として説明する。すなわち、ウエハレベルパッケージは半導体パッケージであり、またウエハレベルパッケージから複数個に個片化されたものも半導体パッケージである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−174801号公報(明細書段落[0037]−[0038]、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂封止装置で用いられる顆粒樹脂は、微粉末状の樹脂が飛散しやすいため、搬送、計量などのためのハンドリングや取り扱いが非常に難しく、また微粉末状の樹脂が装置内に付着してクリーニングが必要になる等、メンテナンス性にも課題がある。このため、キャビティ内を充填する樹脂のみを供給するような樹脂使用率が100%の樹脂封止装置に、顆粒樹脂を用いた場合、樹脂飛散による樹脂不足のため、成形品質が低下し、また成形形状(製品形状)に不具合が生じてしまう。なお、特許文献1の技術は、キャビティから溢れた溶融樹脂が樹脂溜まりに流れ込む構成としており、製品として使用される樹脂量より多めの所定量の顆粒樹脂を供給しているものと考えられる。
【0007】
また、大型かつ薄型なパッケージの製造においては、樹脂の未充填やボイドを防止するために、キャビティ内に樹脂を均等に供給し、成形品質を向上することが技術的課題として挙げられる。特に、大型(大判)かつ薄型化されたウエハレベルパッケージの製造においては、キャビティの大きさが大きくなり、また厚みが薄くなるため、キャビティ内に樹脂を均等に供給することが困難となる。
【0008】
なお、特許文献1の技術を用いて、キャビティに所定量の樹脂を供給することができると考えられる。しかしながら、特許文献1は、キャビティに顆粒樹脂を供給するにあたり、一定量の樹脂材料供給ユニットを用いているのであって、供給されたキャビティ側で、樹脂の偏りなどによる未充填を防止する工夫はなされていない。
【0009】
本発明の目的は、半導体パッケージの成形品質を向上することのできる技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における樹脂封止方法は、複数のパッケージ領域によって構成されるワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を用いる樹脂封止方法であって、(a)型開きした前記モールド金型に前記ワークを供給する工程と、(b)大きさが均一の粒体樹脂を計数する工程と、(c)前記キャビティ凹部に対応する位置であって、前記(b)工程で計数した複数の粒体樹脂を配分して、複数の供給領域のそれぞれに供給する工程と、(d)前記(c)工程で供給された複数の粒体樹脂を溶融する工程と、(e)前記モールド金型を型締めして前記(a)工程で供給した前記ワークを保持し、前記(d)工程で溶融した樹脂が充填された前記キャビティ凹部で、前記ワークを樹脂封止する工程と、を含み、前記(c)工程では、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部によって、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給するものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における樹脂封止方法によれば、半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における樹脂封止装置を用いた製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図2】図1に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図3】図2に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図4】図3に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図5】図4に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図6】図5に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図7】図1の状態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【図8】図2の状態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態における樹脂封止装置を用いた製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図10】図9に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図11】図10に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図12】図11に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図13】図10の状態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【図14】本発明の他の実施形態における樹脂封止装置を用いた製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図15】図14に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図16】図15に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図17】図16に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図18】本発明の他の実施形態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
(実施形態1)
本実施形態では、ウエハレベルのワークWからウエハレベルパッケージ(eWLP)を形成する樹脂封止装置について説明する。この樹脂封止装置は、被成形品であるワークを供給する供給部と、供給部からローダにより供給されたワークを樹脂封止(パッケージング)するモールド金型を有するプレス部と、樹脂封止後、アンローダによりワークが金型から取り出されて、成形品としてワークを収納する収納部とを備えているものである。図1に、本実施形態における樹脂封止装置1Aの要部であるモールド金型2を模式的に示す。なお、図1では、モールド金型2が型開きした状態が示されている。
【0015】
樹脂封止装置1Aは、ウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を備えている。モールド金型2は、互いに対向して配置される上型3と下型4とで構成され、それらが近接して型締めされ、離間して型開きされる。上型3を固定型とし、下型4を可動型とした場合、上型3に対して下型4が近接してモールド金型2が型締めされ、上型3に対して下型4が離間してモールド金型2が型開きされる。
【0016】
まず、上型3について説明する。上型3のクランプ面3a(パーティング面)には、爪状の把持部材16が設けられている。この把持部材16によって、ワークWの縁部を把持して、ワークWがクランプ面3aから空隙を開けて上型3に保持される。ウエハレベルのワークWは、例えば、大きさが8インチサイズであり、キャリアプレート13上に熱剥離シート14を介して複数の半導体チップ15が格子状に配列されて貼付されたものである。
【0017】
このように空隙を開けてワークWが上型3に保持される構成のため、ワークWが加熱されるのはキャリアプレート13がモールド金型2内でクランプされた後になり、熱剥離シート14が必要以上に加熱されて半導体チップ15がキャリアプレート13上で位置ずれしてしまうような不具合を確実に防止することができる。ただし、熱剥離シート14を用いずにキャリアプレート13上に半導体チップ15を貼付けるときや、WLPを成形するときには、爪状の把持部材16に替えて上型3のクランプ面3aにワークWを吸着させる構成を採用してもよい。
【0018】
また、上型3には、吸引孔17が設けられており、その一端は上型3のクランプ面3aに開口し、他端は真空ポンプを備えた減圧機構(図示しない)に接続されている。また、上型3のクランプ面3aに開口する吸引孔17より外周側にはシール材18(例えば、Oリング)が設けられている。型締めされたモールド金型2では、シール部材18によって、キャビティを含んで閉鎖空間が形成される。この閉鎖空間は、吸引孔17を介して減圧機構によって、脱気される。
【0019】
なお、減圧機構がさらにコンプレッサを備える構成とした場合には、閉鎖空間内に気体を吹き込んで加圧し、粒体樹脂12を金型面に密着させることで溶融を補助する構成を採用することもできる。この場合、樹脂の溶融後にさらに減圧することでボイドの発生を防止することができる。
【0020】
次に、下型4について説明する。下型4のクランプ面4a(パーティング面)では、キャビティ凹部11が形成されている。このキャビティ凹部11は、その底部をキャビティ駒21、また側部をクランパ22によって形成される。クランパ22は、貫通孔が形成された枠状金型からなり、この枠状金型の中央部の貫通孔にキャビティ駒21が挿入されている。このため、キャビティ駒21の周囲にクランパ22が配置されることとなる。クランパ22は、図示しないベースブロックにスプリングを介して支持されている。なお、クランパ22のみスプリングに支持させて、キャビティ駒21はベースブロックに直接支持させる構成を採用することもできる。
【0021】
このように、キャビティ駒21とクランパ22で形成されるキャビティ凹部11の底部には、図1に示す下型4の断面と、図7に示す下型4のクランプ面4aの平面から分かるように、複数の粒体樹脂12が供給される複数の供給領域A1(図7では36領域が示されている)が、周囲に設けられた段差部B1によって囲まれて形成されている。すなわち、段差部B1によって、複数の供給領域A1が格子状に区画されている。本実施形態では、段差部B1は、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23から形成されている。
【0022】
この凸部23は、各半導体チップ15の個片化後のパッケージ間を仕切るように形成されることで各半導体チップ15を矩形状に囲うように形成されている。本実施形態では、凸部23で区画された供給領域A1が、半導体パッケージが形成されるパッケージ領域C1(図5参照)に対応している。ただし、必ずしも各半導体チップ15の外形に沿って矩形状に囲うように形成する必要は無く、複数の半導体チップ15の外形に沿って矩形状に囲うように凸部23を形成することもできる。
【0023】
また、下型4には、キャビティ駒21とクランパ22との間に吸引路25が設けられている。この吸引路25の一端は下型4のクランプ面4aに開口し、他端は吸引機構(図示しない)に接続されている。この吸引機構によって、下型4のクランプ面4aを覆うようにリリースフィルム24が吸着保持される。なお、リリースフィルム24は、モールド金型2の加熱温度に耐えられる耐熱性、柔軟性および伸展性を有するフィルム材(例えば、フッ素系樹脂フィルム)である。
【0024】
本実施形態における粒体樹脂12は、樹脂特性(熱伝導性、色、含有量等)が同一であって、大きさが均一に成形されたものが用いられる。これは、計数や計量のし易さ、成形品質に与える影響や、取り扱い等に考慮して、粒体樹脂12は、同一径を有する球体として用いている。例えば、直径φ1mmとした球状の粒体樹脂12では、1個供給することで0.523mm3の樹脂を供給することができる。
【0025】
このように粒体樹脂12の個々の大きさが均一に成形されていれば、キャビティ凹部11へ供給されることとなる粒体樹脂12を計数するだけで計量したことになる。このため、例えば、顆粒樹脂や液状樹脂のように樹脂量を計量する必要がなく樹脂供給動作を迅速かつ簡略にすることができる。また、大きさが均一の粒体樹脂12を用いることで、顆粒樹脂のような微粉末が飛散することがなく容易に取り扱うことができる。
【0026】
大きさが均一の粒体樹脂12は、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤(フィラー)等を配合した原料を、溶融混練装置で混練し押出した後、成形用ロールを通過させるなどの各種の造粒工程を経ることで製造することができる。粒体樹脂12は、大きさが均一に成形されている必要があるが、その精度は成形過程で所定の平均粒径を目標値として製造することでこの平均粒径に対して大きく外れていなければ良い。なぜならば、粒体樹脂12の1個1個に誤差があってもそれぞれの平均粒径に対する誤差が互いに相殺されるからである。このため、全体として誤差を問題にならない程度に小さくすることができる。なお、粒体樹脂12のサイズを揃えていても良い。
【0027】
樹脂封止装置1Aは、このような粒体樹脂12を樹脂封止に必要な分量を計数するための計数機構(図示しない)と、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給するために、モールド金型2の内外に移動可能な樹脂搬送部26Aとを備えている。この計数機構では、複数の粒体樹脂12の貯留装置から管路を介して樹脂搬送部26Aに供給する構成を採用でき、一例として、管路内において粒体樹脂12の吐出数を計数し、供給数が所定値に達したときに管路を閉じれば、正確な個数の計数ができる。
【0028】
樹脂搬送部26Aは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給する際に複数の供給領域A1のそれぞれに対向する位置に、粒体樹脂12を保持する複数の保持部27Aを有している。保持部27Aは、ホッパ31と、その下方開口(ホッパ31の供給領域A1側)に設けられた一対の板状のシャッタ32により構成されている。各ホッパ31に、前述した計数機構から粒体樹脂12が投入される。
【0029】
一対のシャッタ32は、ホッパ31の下方開口中央部において接離動することでホッパ31を開閉可能とするものである。このような一対のシャッタ32は、粒体樹脂12の供給時にホッパ31の下方開口中央部から開放するので、供給領域A1の中央部に対して粒体樹脂12を供給することができる。このように、複数の粒体樹脂12が、キャビティ凹部11の底部で形成された(区画された)各供給領域A1に配分して供給されるため、キャビティ凹部11内に樹脂を均等に供給することができる。
【0030】
このような樹脂搬送部26Aでは、ホッパ31上方において粒体樹脂12の充填時に開放可能な蓋体を備えることで上型3からの輻射熱により粒体樹脂12のホッパ31内での溶融を防止する構成を採用することもできる。また、樹脂供給前に粒体樹脂12がホッパ31内で溶融するのを防止するために、ペルチェ素子のような冷却素子やその他の冷却手段を用いてホッパ31内を冷却する冷却機構を備えてもよく、樹脂搬送部26Aを断熱構造としても良い。
【0031】
このような構成の樹脂封止装置1Aでは、型開きしたモールド金型2のキャビティ凹部11に供給された複数の粒体樹脂12が溶融され、ワークWを保持してモールド金型2が型締めされ、溶融した樹脂でワークWが樹脂封止される。
【0032】
次に、樹脂封止装置1Aの動作について、ウエハレベルパッケージ(eWLP)の製造方法と共に図1〜図8を参照して説明する。ウエハレベルパッケージを製造するため、樹脂封止装置1Aでは、複数のパッケージ領域C1(図5参照)によって構成されるウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を用いる。なお、本実施形態では、ウエハレベルパッケージから例えばダイシングにより個片化されて各半導体チップ15がそれぞれに封止されたものを個々の半導体パッケージとし、ウエハレベルのワークWにおける個々の半導体パッケージが形成される領域をパッケージ領域C1としている。
【0033】
まず、図1に示すように、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。ここでのワークWは、樹脂封止前の被成形品の状態であり、キャリアプレート13上に熱剥離シート14を介して複数の半導体チップ15が貼付されたものである。キャリアプレート13は、ステンレス板、金属板、半導体ウエハなどの平坦性に優れた板であり、ウエハレベルの大きさ(例えば8インチサイズ)である。このため、ワークWの大きさも、ウエハレベルとなる。
【0034】
このような、ウエハレベルのワークWは、供給部からローダによってモールド金型2内に搬送され、また、把持部材16によって把持される。図1では、ワークWは、半導体チップ15が貼付された面を下型4側にし、その反対面が上型3のクランプ面3aと間隙が形成されるようにして把持されている。
【0035】
また、図1に示すように、下型4のクランプ面4aに、リリースフィルム24を吸着保持する。ここで、キャビティ凹部11の底部を構成するキャビティ駒21は、樹脂硬化時のキャビティ底部の位置(成形位置)より相対的に退避した退避位置にある。図1に示すように、リリースフィルム24は、キャビティ凹部11の形状、特に、キャビティ凹部11の底部と側部とで底部の周囲に構成される角部、および底部に設けられた格子状の凸部23に沿うように吸着しておく。これにより、粒体樹脂12を供給し易くすると共に、粒体樹脂12を加熱し易くして成形時間を短縮することができる。また、凸部23によって粒体樹脂12の動きを効果的に規制することができる。
【0036】
また、図1に示すように、前述した計数機構によって計数された複数の粒体樹脂12が配分されて各保持部27Aで保持する樹脂搬送部26Aを、型開きしたモールド金型2内に搬入移動する。各保持部27Aのホッパ31では、その下方開口に設けられたシャッタ32が閉口しているため、粒体樹脂12を保持することができる。このようにして粒体樹脂12を保持した樹脂搬送部26Aは、複数の保持部27Aがそれぞれ対応する複数の供給領域A1(図7参照)と対向するように配置される。
【0037】
続いて、図2に示すように、キャビティ凹部11に対応する位置であって、型開きしたモールド金型2の複数の供給領域A1のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給する。キャビティ凹部11に対応する位置に搬入された樹脂搬送部26Aでは、シャッタ32を同期して開放することでホッパ31の底部を開口して、供給領域A1、すなわちキャビティ凹部11に、粒体樹脂12を供給する。
【0038】
本実施形態では、キャビティ凹部11の底部(キャビティ駒21のクランプ面4a側の面)に格子状の凸部23が設けられて、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1が形成されている。この段差部B1によって、各供給領域A1に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。供給領域A1に供給された複数の粒体樹脂12は、段差部B1で動きが規制され、最終的に、図2および図8に示すように、各供給領域A1に複数の粒体樹脂12を整列して配置することができる。このように、格子状の凸部23によって形成された複数の供給領域A1のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給することで、キャビティ凹部11内で複数の粒体樹脂12が均等に配置される。これにより、樹脂硬化時におけるキャビティ内の樹脂の偏りや流動などによる未充填やワイヤフローなどの不具合を防止することができるので、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0039】
続いて、樹脂搬送部26Aをモールド金型2内から退避移動させた後、図3に示すように、複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2は、図示しないヒータによって、粒体樹脂12が溶融される温度に加熱されている。前述の樹脂搬送部26Aからキャビティ凹部11側への供給の際、各シャッタ32を同期させて開放し、粒体樹脂12を各供給領域A1に同時に供給することにより、供給領域A1(キャビティ凹部11)において同時に加熱を開始させて均一に加熱することができる。これにより、粒体樹脂12の溶融および硬化の状態を均一にすることができ、成形品質を向上することができる。なお、以下の製造工程では、溶融した粒体樹脂12や、溶融後硬化した粒体樹脂12のように供給時の状態から変化した粒体樹脂12を、「樹脂12a」と称して説明する。
【0040】
続いて、図4に示すように、上型3と下型4とを近接させて、モールド金型2の型締めを行う。この際に、前述した真空ポンプを備えた減圧機構を駆動させることで、上型3のクランプ面3aに設けられたシール部材18が、下型4のクランプ面4aにリリースフィルム24を介して当接して圧縮され始めたときから、キャビティ凹部11を含む金型空間を外部から遮断して脱気しながら閉鎖空間が形成される。ここで、モールド金型2は加熱されて閉鎖空間内が昇温するため、樹脂12aに含まれる余剰成分を十分に排出した上で減圧することができる。これにより、ボイドの少ない高い成形品質のウエハレベルパッケージを得ることができるようになる。
【0041】
続いて、図5に示すように、モールド金型2を型締めして供給したワークWを保持し、樹脂12aが充填されたキャビティ凹部11(キャビティ11a)で、ワークWを樹脂封止する。なお、下型4で形成されているキャビティ凹部11は、その開口部側がワークWで塞がれるので、「キャビティ11a」と称している。
【0042】
より具体的には、まず、図4に示した状態から、さらに上型3と下型4とを近接してシール部材18をさらに圧縮し、クランパ22を押し下げ、ワークWが上型3のクランプ面3aと下型4のクランプ面4aに挟み込まれて保持された状態で、型締め動作を完了する。このとき、ワークWの半導体チップ15がキャビティ11a内の樹脂12aに浸漬する。
【0043】
次いで、キャビティ11a内に樹脂12aを所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。モールド金型2を型締め後に、相対的にキャビティ駒21を成形位置へ移動させて加熱硬化させるので、薄型に対応した成形品の厚さで樹脂封止(モールド)することができる。このようにして、樹脂封止装置1Aでは、ワークWを樹脂封止し、大型かつ薄型のウエハレベルパッケージを形成することができる。
【0044】
続いて、図6に示すように、上型3と下型4とを離間して、モールド金型2を型開きし、下型4から樹脂封止されたワークWを離型する。この際、下型4とワークWとの間に配置されたリリースフィルム24が、下型4のクランプ面4aで吸着されているので、容易に離型することができる。その後、樹脂封止装置1Aでは、把持部材16によるワークWの把持を解除し、図示しないアンローダにより上型3からワークWを離型して取り出し、ウエハレベルパッケージ(成形品)としてのワークWが収納される。なお、このウエハレベルパッケージからは、複数のパッケージ領域C1(図5参照)のそれぞれに対応する複数の半導体パッケージが形成される。
【0045】
このような樹脂封止装置1Aによるウエハレベルパッケージ(ワークW)には、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23(図6、図7参照)に対応して、格子状の凹部33が形成される(図6参照)。格子状の凹部33は、ウエハレベルパッケージを個片化して、例えば、チップサイズパッケージ(CPS:Chip Size Package)とする際に、ダイシングラインとして利用することができる。
【0046】
前述したように、本実施形態では、キャビティ凹部11の底部に格子状の凸部23を設けて、キャビティ凹部11の底部を区画する複数の供給領域A1とその周囲の段差部B1を形成し、各供給領域A1内で粒体樹脂12の動きを規制している。これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A1に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージ(例えばCPS)の成形品質を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態では、大きさが均一の粒体樹脂12を、キャビティ11内に均一に供給することができる。このため、樹脂飛散による樹脂不足を考慮して、余分な樹脂供給や、樹脂溜まりを形成する必要がない。したがって、ウエハレベルパッケージの製造コストや、樹脂封止装置の製造コストを低減することができる。
【0048】
(実施形態2)
前記実施形態1では、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23によって、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1を形成した場合について説明した。本実施形態では、図9に示す下型4の断面と、図13に示す下型4のクランプ面4aの平面から分かるように、ワークWに複数の半導体チップ15が格子状に配置され、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成される場合について説明する。なお、前記実施形態と重複する説明は省略する場合がある。
【0049】
図9に、本実施形態における樹脂封止装置1Bの要部であるモールド金型2を模式的に示す。樹脂封止装置1Bのモールド金型2の構成は、前記実施形態1の樹脂封止装置1A(図1参照)では、下型4にキャビティ凹部11を形成したのに対して、上型3にキャビティ凹部11を形成している点で相違している。なお、樹脂封止装置1Bで用いられる粒体樹脂12も、樹脂特性が同一であって、大きさが均一に成形された球状の粒体樹脂である。
【0050】
樹脂封止装置1Bは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給するために、モールド金型2の内外に移動可能な樹脂搬送部26Bを備えている。この樹脂搬送部26Bは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給する際に、複数の供給領域A2のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂12を保持する複数の保持部27Bを有している。各保持部27Bは、樹脂搬送部26Bの内部に形成された吸引孔34によって連通している。
【0051】
吸引孔34の一端は幹部にあり、吸引機構(図示しない)に接続され、他端は複数の枝部のそれぞれにあり、下型4側の対向面に開口している。このため、樹脂搬送部26Bの保持部27Bは、吸引機構を駆動させることで、吸引孔34の各枝部で粒体樹脂12を吸引し、保持することができる。また、保持部27Bは、吸引を停止することで、供給領域A2に対して粒体樹脂12を供給することができる。このように、複数の粒体樹脂12が、ワークWを通じてキャビティ凹部11に対応する位置であって、各供給領域A2に配分して供給されるため、キャビティ凹部11内に樹脂を均等に供給することができる(図12参照)。
【0052】
なお、本実施形態では、図13に示すように、複数の半導体チップ15のコーナ部間の領域を、粒体樹脂12が配分される供給領域A2としているが、隣接する半導体チップ15の側部間の領域を、粒体樹脂12が配分される供給領域としても良い。例えば、ワークが、配線基板上に搭載された半導体チップであって、それらの接続にボンディングワイヤを用いるような場合では、ボンディングワイヤを避けた領域を、供給領域として複数の粒体樹脂12を配分して供給すれば良い。
【0053】
このような構成の樹脂封止装置1Bでは、型開きしたモールド金型2のキャビティ凹部11に供給された複数の粒体樹脂12が溶融され、ワークWを保持してモールド金型2が型締めされ、溶融した樹脂でワークWが樹脂封止される。
【0054】
次に、樹脂封止装置1Bの動作について、eWLPの製造方法と共に図9〜図13を参照して説明する。このようなパッケージを製造するため、樹脂封止装置1Bでは、複数のパッケージ領域C2(図12参照)によって構成されるウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を用いる。なお、本実施形態では、例えばダイシングによりウエハレベルパッケージから個片化されて各半導体チップ15がそれぞれに封止されたものを個々の半導体パッケージとし、ウエハレベルのワークWにおける個々の半導体パッケージが形成される領域をパッケージ領域C2としている。
【0055】
まず、図9に示すように、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。ここでのワークWは、樹脂封止前の被成形品の状態であり、キャリアプレート13上に熱剥離シート14を介して複数の半導体チップ15が貼付されたものである。ウエハレベルのワークWは、供給部からローダによってモールド金型2内に搬送され、下型4で図示しない吸着機構によって吸着されて載置される。図9では、ワークWは、半導体チップ15が貼付された面を上型3側にし、その反対面(キャリアプレート13)が下型4のクランプ面4aと接してモールド金型2に載置される。
【0056】
また、図9に示すように、上型3のクランプ面3aに、リリースフィルム24を吸着保持する。ここで、キャビティ凹部11の底部を構成するキャビティ駒21は、樹脂硬化時のキャビティ底部の位置(成形位置)より相対的に退避した退避位置にある。図9に示すように、リリースフィルム24は、キャビティ凹部11の形状に沿うように吸着しておく。
【0057】
また、図9に示すように、計数機構によって計数された複数の粒体樹脂12が配分されて各保持部27Bで保持する樹脂搬送部26Bを、型開きしたモールド金型2内に搬入移動する。各保持部27Bでは、吸引孔34を介して各枝部を吸引しているため、枝部毎に供給された粒体樹脂12を保持することができる。このようにして粒体樹脂12を保持した樹脂搬送部26Bは、複数の保持部27Bがそれぞれ対応する複数の供給領域A2(図13参照)と対向するように配置される。
【0058】
続いて、図10に示すように、キャビティ凹部11に対応する位置であって、型開きしたモールド金型2の複数の供給領域A2のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給する。キャビティ凹部11に対応する位置に搬入された樹脂搬送部26Bは、下型4側に近接した後、吸引孔34を介して各枝部への吸引を停止することで、供給領域A2に粒体樹脂12を供給する。本実施形態では、図12に示すように、各供給領域A2に4つの粒体樹脂12が供給されているが、例えば、これら4つの樹脂粒体12分の大きさの1つの粒体樹脂を供給する構成であっても良い。このように、樹脂搬送部26Bは、ワークWに応じた配置で粒体樹脂12を供給することができる。また、粒体樹脂12同士が接触したり擦れたりすることがないため、微粉が発生したり複数の粒体樹脂12が固着してしまうような不具合を確実に防止可能となっている。
【0059】
本実施形態では、複数の半導体チップ15が格子状に配置されたワークWの、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成されている。この段差部B2によって、各供給領域A2に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。このように、複数の供給領域A2のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給することで、後の工程において、キャビティ凹部11内で溶融した樹脂12が均等に供給される。これにより、樹脂硬化時におけるキャビティ内の樹脂の未充填を防止することができるので、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0060】
続いて、樹脂搬送部26Bをモールド金型2内から退避移動させた後、図11に示すように、複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2は、図示しないヒータによって、粒体樹脂12が溶融される温度に加熱されている。このため、モールド金型2に供給されたワークWも加熱されている。前述の樹脂搬送部26BからワークW側へ粒体樹脂12を供給する際、吸引孔34の各枝部の吸引を停止し、粒体樹脂12を各供給領域A2に同時に供給することにより、供給領域A2(ワークW)において同時に加熱を開始させて均一に加熱することができる。これにより、粒体樹脂12の溶融および硬化の状態を均一にすることができ、成形品質を向上することができる。
【0061】
続いて、真空ポンプを備えた減圧機構を駆動させながら、上型3と下型4とを近接させて、モールド金型2の型締めを行い、図12に示すように、モールド金型2を型締めして供給したワークWを保持し、樹脂12aが充填されたキャビティ11aで、ワークWを樹脂封止する。
【0062】
より具体的には、まず、下型4のクランプ面4aに設けられたシール部材18が、上型3のクランプ面3aにリリースフィルム24を介して当接して圧縮され始めたときから、キャビティ凹部11を含む金型空間を外部から遮断して脱気しながら閉鎖空間が形成される。次いで、さらに上型3と下型4とを近接して、シール部材18をさらに圧縮し、クランパ22を押し戻して、ワークWが上型3のクランプ面3aと下型4のクランプ面4aに挟み込まれて保持された状態で、型締め動作を完了する。このとき、ワークWの半導体チップ15がキャビティ11a内で樹脂12aに覆われる。
【0063】
次いで、キャビティ11a内に樹脂12aを所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。このようにして、樹脂封止装置1Bでは、ワークWを樹脂封止し、大型かつ薄型のウエハレベルパッケージを形成することができる。その後、上型3と下型4とを離間してモールド金型2を型開きし、上型3および下型4から樹脂封止されたワークWを離型し、図示しないアンローダによりワークWを取り出し、ウエハレベルパッケージ(成形品)としてのワークWが収納される。なお、このウエハレベルパッケージからは、複数のパッケージ領域C2(図12参照)のそれぞれに対応する複数の半導体パッケージが形成される。
【0064】
前述したように、本実施形態では、ワークWの複数の半導体チップ15が整列配置され、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成されていることを利用し、各供給領域A2内で粒体樹脂12の動きを規制している。これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A2に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0065】
(実施形態3)
前記実施形態2では、複数の半導体チップ15が格子状に配置されたワークWを利用して、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成された場合について説明した。本実施形態では、図14に示す下型4の断面から分かるように、ワークWは、下型4に載置される面とは反対面に突起する複数の突起端子35を有する半導体ウエハであり、突起端子35の高さによって、供給領域A3とその周囲を仕切る段差部B3が形成される場合について説明する。なお、前記実施形態と重複する説明は省略する場合がある。
【0066】
図14に、本実施形態における樹脂封止装置1Cの要部であるモールド金型2を模式的に示す。樹脂封止装置1Cのモールド金型2の構成は、前記実施形態2の樹脂封止装置1B(図9参照)では、キャビティ凹部11の底部を上下動可能なキャビティ駒21を上型3に設けてキャビティ凹部11を形成したのに対して、下型4にキャビティ凹部11を形成し、上型3に上下動可能なクランパ22を設けている点で相違している。なお、樹脂封止装置1Cで用いられる粒体樹脂12も、樹脂特性が同一であって、大きさが均一に成形された球体である。
【0067】
樹脂封止装置1Cは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給するために、モールド金型2の内外に移動可能な樹脂搬送部26Cを備えている。この樹脂搬送部26Cは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給する際に、複数の供給領域A3のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂12を保持する複数の保持部27Cを有している。各保持部27Cは、樹脂搬送部26B内部に形成された吸引孔34と連通している。
【0068】
吸引孔34の一端は幹部にあり、吸引機構(図示しない)に接続され、他端は複数の枝部のそれぞれにあり、下型4側の対向面に開口している。本実施形態では、複数の枝部がそれぞれ複数の保持部27Cを構成している。保持部27Cは、吸引機構を駆動させることで、吸引孔34の各枝部で粒体樹脂12を吸引し、保持することができる。また、保持部27Cは、吸引を停止することで、供給領域A3に対して粒体樹脂12を供給することができる。このように、吸引孔34の配置に応じて、複数の粒体樹脂12が、キャビティ凹部11に対応する位置であって、各供給領域A3に配分して供給されるため、キャビティ凹部11内に樹脂を均等に供給することができる。なお、吸引孔34の配置で任意の供給位置に複数の粒体樹脂12を供給することができるため、任意の位置への粒体樹脂12の供給を正確に行うことができる。
【0069】
このような構成の樹脂封止装置1Cでは、型開きしたモールド金型2のキャビティ凹部11に供給された複数の粒体樹脂12が溶融され、ワークWを保持してモールド金型2が型締めされ、溶融した樹脂でワークWが樹脂封止される。
【0070】
次に、樹脂封止装置1Cの動作について、ウエハレベルパッケージ(WLP)の製造方法と共に図14〜図17を参照して説明する。ウエハレベルパッケージを製造するため、樹脂封止装置1Cでは、複数のパッケージ領域C3(図17参照)によって構成されるウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を用いる。なお、本実施形態では、例えばダイシングによりウエハレベルパッケージから個片化されたものを個々の半導体パッケージとし、ウエハレベルのワークWにおける個々の半導体パッケージが形成される領域をパッケージ領域C3としている。
【0071】
まず、図14に示すように、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。ここでのワークWは、樹脂封止前の被成形品の状態であり、例えば8インチサイズの半導体ウエハである。この半導体ウエハの主面(半導体素子が形成されている面)には、外部接続用の突起端子35が整列配置されている。ウエハレベルのワークWは、供給部からローダによってモールド金型2内に搬送され、キャビティ凹部11に載置される。図9では、ワークWは、突起端子35が形成された面を上型3側にし、その反対面が下型4のクランプ面4aと接してキャビティ底部に載置される。
【0072】
また、図14に示すように、上型3のクランプ面3aに、リリースフィルム24を吸着保持する。ここで、キャビティ駒21は、樹脂硬化時の位置(成形位置)より退避した退避位置にある。図14に示すように、リリースフィルム24は、上型3のクランプ面3aの形状に沿うように吸着しておく。
【0073】
また、図14に示すように、計数機構によって計数された複数の粒体樹脂12が配分されて各保持部27Cで保持する樹脂搬送部26Cを、型開きしたモールド金型2内に搬入移動する。各保持部27Cでは、吸引孔34を介して各枝部を吸引しているため、枝部毎に供給された粒体樹脂12を保持することができる。このようにして粒体樹脂12を保持した樹脂搬送部26Cは、複数の保持部27Cがそれぞれ対応する複数の供給領域A3と対向するように配置される。
【0074】
続いて、図15に示すように、キャビティ凹部11に対応する位置であって、型開きしたモールド金型2の複数の供給領域A3のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給する。キャビティ凹部11に対応する位置に搬入された樹脂搬送部26Cは、下型4側に近接した後、吸引孔34を介して各枝部(保持部27C)への吸引を停止することで、供給領域A3に粒体樹脂12を供給する。
【0075】
本実施形態では、ワークWは、下型4に載置される面とは反対面(主面)に突起する複数の突起端子35を有する半導体ウエハであり、突起端子35の高さによって、供給領域A3とその周囲を仕切る段差部B3が形成されている。この段差部B3によって、各供給領域A3に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。このように、複数の供給領域A3のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給することで、後の工程において、キャビティ凹部11内で溶融した樹脂12が均等に供給される。これにより、樹脂硬化時におけるキャビティ内の樹脂の未充填を防止することができるので、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0076】
続いて、樹脂搬送部26Cをモールド金型2内から退避移動させた後、図16に示すように、複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2は、図示しないヒータによって、粒体樹脂12が溶融される温度に加熱されている。このため、モールド金型2に供給されたワークWも加熱されている。前述の樹脂搬送部26CからワークW側へ粒体樹脂12を供給する際、吸引孔34の各枝部の吸引を停止し、粒体樹脂12を各供給領域A3に同時に供給することにより、供給領域A3(ワークW)において同時に加熱を開始させて均一に加熱することができる。これにより、粒体樹脂12の溶融および硬化の状態を均一にすることができ、成形品質を向上することができる。
【0077】
続いて、真空ポンプを備えた減圧機構を駆動させながら、上型3と下型4とを近接させて、モールド金型2の型締めを行い、図17に示すように、モールド金型2を型締めして供給したワークWを保持し、樹脂12aが充填されたキャビティ11aで、ワークWを樹脂封止する。
【0078】
より具体的には、まず、下型4のクランプ面4aに設けられたシール部材18が、上型3のクランプ面3aにリリースフィルム24を介して当接して圧縮され始めたときから、キャビティ凹部11を含む金型空間を外部から遮断して脱気しながら閉鎖空間が形成される。次いで、さらに上型3と下型4とを近接して、シール部材18をさらに圧縮し、クランパ22を押し戻してワークWが上型3のクランプ面3aと下型4のクランプ面4aに挟み込まれて保持された状態で、型締め動作を完了する。
【0079】
次いで、キャビティ11a内に樹脂12aを所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。このようにして、樹脂封止装置1Cでは、ワークWを樹脂封止し、大型かつ薄型のウエハレベルパッケージを形成することができる。その後、上型3と下型4とを離間してモールド金型2を型開きし、上型3および下型4から樹脂封止されたワークWを離型し、図示しないアンローダによりワークWを取り出し、ウエハレベルパッケージ(成形品)としてのワークWが収納される。なお、このウエハレベルパッケージからは、複数のパッケージ領域C3(図17参照)のそれぞれに対応する複数の半導体パッケージが形成される。
【0080】
前述したように、本実施形態では、ワークWが、主面に突起する複数の突起端子35を有する半導体ウエハであるため、この突起端子35の高さによって、供給領域A3とその周囲を仕切る段差部B3が形成されていることを利用し、各供給領域A3内で粒体樹脂12の動きを規制している。これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A3に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0081】
(実施形態4)
前記実施形態1では、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23によって、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1を形成した場合について説明した(図7参照)。これに対して、図18に示す下型4のクランプ面4aの平面から分かるように、キャビティ凹部11の底部(キャビティ駒21)に整列して設けられた複数の凹部36によって、供給領域A4とその周囲を仕切る段差部B4を形成しても良い。
【0082】
図18の円で囲まれた箇所に1つの凹部36を拡大して示している。また、図18では、説明を明解にするために、一部の凹部36に粒体樹脂12を供給しているが、粒体樹脂12の供給時には、すべての凹部36のそれぞれに粒体樹脂12が供給される。粒体樹脂12の供給には、前記実施形態2、3で説明した粒体樹脂12を吸引して保持できる樹脂搬送部26Bを用いれば良い。
【0083】
本実施形態では、一つの凹部36に対して一つの粒体樹脂12を載置するようにして、粒体樹脂12の動きを規制している。すなわち、キャビティ凹部11の底部に複数の凹部36を整列して設けて、キャビティ凹部11の底部を区画する複数の供給領域A4とその周囲の段差部B4を形成し、各供給領域A4内で粒体樹脂12の動きを規制している。
【0084】
これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A4に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0085】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0086】
例えば、前記実施形態では、上型を固定型、下型を可動型とした場合について説明したが、上型を下型に対して接離動する可動型としてもよく、また、上型および下型を共に可動型とすることもできる。
【0087】
また、前記実施形態では、粒体樹脂12として形状が球体のものを説明したが、大きさが均一ならば、球体に限らず他の形状(多面体、円柱体、タブレットなど)のものを用いることができる。ただし、搬送や計数などの際に欠けが生じるのを防止するために鋭角部分のない粒体状の形態が好ましい。
【0088】
また、前記実施形態では、粒体樹脂12を熱硬化性樹脂とした場合について説明したが、熱可塑性樹脂とした場合であっても良い。熱可塑性樹脂とした場合、溶融した樹脂で型締めた後、モールド金型2の温度を下げて溶融樹脂を硬化させることになる。
【0089】
また、前記実施形態で説明したワークWに限らず、樹脂基板やセラミック基板のような各種基板上に行列状にボンディングされ実装された複数の半導体チップにより複数のパッケージ領域が構成されるワークWを用いて実施形態1以降の構成で成形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1A、1B、1C 樹脂封止装置
2 モールド金型
11 キャビティ凹部(キャビティ)
12 粒体樹脂(樹脂)
A1、A2、A3、A4 供給領域
B1、B2、B3、B4 段差部
C1、C2、C3 パッケージ領域
W ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止方法およびそれに用いる樹脂封止装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−174801号公報(特許文献1)には、樹脂封止装置に関する技術が開示されている。この樹脂封止装置では、顆粒樹脂のような粒状体からなる樹脂材料が、キャビティの容積に合わせて、キャビティに所定量だけ供給される。このように所定量だけ樹脂材料を供給するために、樹脂材料が貯留される貯留箱と、その底板に近接して設けられたシャッタ板とから構成される樹脂材料供給ユニットが設けられている。
【0003】
また、半導体パッケージ(半導体装置)として、ウエハレベルパッケージ(WLP:Wafer Level Package)やeWLP(embedded WLP)が知られている。このようなパッケージは、ウエハの大きさに相当する大型のワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を備えた樹脂封止装置によって、ワークが樹脂封止(パッケージング)されて形成される。
【0004】
なお、本願では、ウエハのような大型のワークをそのまま封止するパッケージのほかにも、個片化により複数の半導体パッケージが取得される複数のパッケージ領域で構成されるワークのように、ウエハレベル(ウエハサイズ)のワークが樹脂封止された半導体パッケージも、ウエハレベルパッケージに含まれる概念として説明する。すなわち、ウエハレベルパッケージは半導体パッケージであり、またウエハレベルパッケージから複数個に個片化されたものも半導体パッケージである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−174801号公報(明細書段落[0037]−[0038]、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂封止装置で用いられる顆粒樹脂は、微粉末状の樹脂が飛散しやすいため、搬送、計量などのためのハンドリングや取り扱いが非常に難しく、また微粉末状の樹脂が装置内に付着してクリーニングが必要になる等、メンテナンス性にも課題がある。このため、キャビティ内を充填する樹脂のみを供給するような樹脂使用率が100%の樹脂封止装置に、顆粒樹脂を用いた場合、樹脂飛散による樹脂不足のため、成形品質が低下し、また成形形状(製品形状)に不具合が生じてしまう。なお、特許文献1の技術は、キャビティから溢れた溶融樹脂が樹脂溜まりに流れ込む構成としており、製品として使用される樹脂量より多めの所定量の顆粒樹脂を供給しているものと考えられる。
【0007】
また、大型かつ薄型なパッケージの製造においては、樹脂の未充填やボイドを防止するために、キャビティ内に樹脂を均等に供給し、成形品質を向上することが技術的課題として挙げられる。特に、大型(大判)かつ薄型化されたウエハレベルパッケージの製造においては、キャビティの大きさが大きくなり、また厚みが薄くなるため、キャビティ内に樹脂を均等に供給することが困難となる。
【0008】
なお、特許文献1の技術を用いて、キャビティに所定量の樹脂を供給することができると考えられる。しかしながら、特許文献1は、キャビティに顆粒樹脂を供給するにあたり、一定量の樹脂材料供給ユニットを用いているのであって、供給されたキャビティ側で、樹脂の偏りなどによる未充填を防止する工夫はなされていない。
【0009】
本発明の目的は、半導体パッケージの成形品質を向上することのできる技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における樹脂封止方法は、複数のパッケージ領域によって構成されるワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を用いる樹脂封止方法であって、(a)型開きした前記モールド金型に前記ワークを供給する工程と、(b)大きさが均一の粒体樹脂を計数する工程と、(c)前記キャビティ凹部に対応する位置であって、前記(b)工程で計数した複数の粒体樹脂を配分して、複数の供給領域のそれぞれに供給する工程と、(d)前記(c)工程で供給された複数の粒体樹脂を溶融する工程と、(e)前記モールド金型を型締めして前記(a)工程で供給した前記ワークを保持し、前記(d)工程で溶融した樹脂が充填された前記キャビティ凹部で、前記ワークを樹脂封止する工程と、を含み、前記(c)工程では、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部によって、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給するものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における樹脂封止方法によれば、半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における樹脂封止装置を用いた製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図2】図1に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図3】図2に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図4】図3に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図5】図4に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図6】図5に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図7】図1の状態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【図8】図2の状態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態における樹脂封止装置を用いた製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図10】図9に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図11】図10に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図12】図11に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図13】図10の状態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【図14】本発明の他の実施形態における樹脂封止装置を用いた製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図15】図14に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図16】図15に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図17】図16に続く製造工程中の半導体パッケージの断面図である。
【図18】本発明の他の実施形態における樹脂封止装置の下型のクランプ面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
(実施形態1)
本実施形態では、ウエハレベルのワークWからウエハレベルパッケージ(eWLP)を形成する樹脂封止装置について説明する。この樹脂封止装置は、被成形品であるワークを供給する供給部と、供給部からローダにより供給されたワークを樹脂封止(パッケージング)するモールド金型を有するプレス部と、樹脂封止後、アンローダによりワークが金型から取り出されて、成形品としてワークを収納する収納部とを備えているものである。図1に、本実施形態における樹脂封止装置1Aの要部であるモールド金型2を模式的に示す。なお、図1では、モールド金型2が型開きした状態が示されている。
【0015】
樹脂封止装置1Aは、ウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を備えている。モールド金型2は、互いに対向して配置される上型3と下型4とで構成され、それらが近接して型締めされ、離間して型開きされる。上型3を固定型とし、下型4を可動型とした場合、上型3に対して下型4が近接してモールド金型2が型締めされ、上型3に対して下型4が離間してモールド金型2が型開きされる。
【0016】
まず、上型3について説明する。上型3のクランプ面3a(パーティング面)には、爪状の把持部材16が設けられている。この把持部材16によって、ワークWの縁部を把持して、ワークWがクランプ面3aから空隙を開けて上型3に保持される。ウエハレベルのワークWは、例えば、大きさが8インチサイズであり、キャリアプレート13上に熱剥離シート14を介して複数の半導体チップ15が格子状に配列されて貼付されたものである。
【0017】
このように空隙を開けてワークWが上型3に保持される構成のため、ワークWが加熱されるのはキャリアプレート13がモールド金型2内でクランプされた後になり、熱剥離シート14が必要以上に加熱されて半導体チップ15がキャリアプレート13上で位置ずれしてしまうような不具合を確実に防止することができる。ただし、熱剥離シート14を用いずにキャリアプレート13上に半導体チップ15を貼付けるときや、WLPを成形するときには、爪状の把持部材16に替えて上型3のクランプ面3aにワークWを吸着させる構成を採用してもよい。
【0018】
また、上型3には、吸引孔17が設けられており、その一端は上型3のクランプ面3aに開口し、他端は真空ポンプを備えた減圧機構(図示しない)に接続されている。また、上型3のクランプ面3aに開口する吸引孔17より外周側にはシール材18(例えば、Oリング)が設けられている。型締めされたモールド金型2では、シール部材18によって、キャビティを含んで閉鎖空間が形成される。この閉鎖空間は、吸引孔17を介して減圧機構によって、脱気される。
【0019】
なお、減圧機構がさらにコンプレッサを備える構成とした場合には、閉鎖空間内に気体を吹き込んで加圧し、粒体樹脂12を金型面に密着させることで溶融を補助する構成を採用することもできる。この場合、樹脂の溶融後にさらに減圧することでボイドの発生を防止することができる。
【0020】
次に、下型4について説明する。下型4のクランプ面4a(パーティング面)では、キャビティ凹部11が形成されている。このキャビティ凹部11は、その底部をキャビティ駒21、また側部をクランパ22によって形成される。クランパ22は、貫通孔が形成された枠状金型からなり、この枠状金型の中央部の貫通孔にキャビティ駒21が挿入されている。このため、キャビティ駒21の周囲にクランパ22が配置されることとなる。クランパ22は、図示しないベースブロックにスプリングを介して支持されている。なお、クランパ22のみスプリングに支持させて、キャビティ駒21はベースブロックに直接支持させる構成を採用することもできる。
【0021】
このように、キャビティ駒21とクランパ22で形成されるキャビティ凹部11の底部には、図1に示す下型4の断面と、図7に示す下型4のクランプ面4aの平面から分かるように、複数の粒体樹脂12が供給される複数の供給領域A1(図7では36領域が示されている)が、周囲に設けられた段差部B1によって囲まれて形成されている。すなわち、段差部B1によって、複数の供給領域A1が格子状に区画されている。本実施形態では、段差部B1は、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23から形成されている。
【0022】
この凸部23は、各半導体チップ15の個片化後のパッケージ間を仕切るように形成されることで各半導体チップ15を矩形状に囲うように形成されている。本実施形態では、凸部23で区画された供給領域A1が、半導体パッケージが形成されるパッケージ領域C1(図5参照)に対応している。ただし、必ずしも各半導体チップ15の外形に沿って矩形状に囲うように形成する必要は無く、複数の半導体チップ15の外形に沿って矩形状に囲うように凸部23を形成することもできる。
【0023】
また、下型4には、キャビティ駒21とクランパ22との間に吸引路25が設けられている。この吸引路25の一端は下型4のクランプ面4aに開口し、他端は吸引機構(図示しない)に接続されている。この吸引機構によって、下型4のクランプ面4aを覆うようにリリースフィルム24が吸着保持される。なお、リリースフィルム24は、モールド金型2の加熱温度に耐えられる耐熱性、柔軟性および伸展性を有するフィルム材(例えば、フッ素系樹脂フィルム)である。
【0024】
本実施形態における粒体樹脂12は、樹脂特性(熱伝導性、色、含有量等)が同一であって、大きさが均一に成形されたものが用いられる。これは、計数や計量のし易さ、成形品質に与える影響や、取り扱い等に考慮して、粒体樹脂12は、同一径を有する球体として用いている。例えば、直径φ1mmとした球状の粒体樹脂12では、1個供給することで0.523mm3の樹脂を供給することができる。
【0025】
このように粒体樹脂12の個々の大きさが均一に成形されていれば、キャビティ凹部11へ供給されることとなる粒体樹脂12を計数するだけで計量したことになる。このため、例えば、顆粒樹脂や液状樹脂のように樹脂量を計量する必要がなく樹脂供給動作を迅速かつ簡略にすることができる。また、大きさが均一の粒体樹脂12を用いることで、顆粒樹脂のような微粉末が飛散することがなく容易に取り扱うことができる。
【0026】
大きさが均一の粒体樹脂12は、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤(フィラー)等を配合した原料を、溶融混練装置で混練し押出した後、成形用ロールを通過させるなどの各種の造粒工程を経ることで製造することができる。粒体樹脂12は、大きさが均一に成形されている必要があるが、その精度は成形過程で所定の平均粒径を目標値として製造することでこの平均粒径に対して大きく外れていなければ良い。なぜならば、粒体樹脂12の1個1個に誤差があってもそれぞれの平均粒径に対する誤差が互いに相殺されるからである。このため、全体として誤差を問題にならない程度に小さくすることができる。なお、粒体樹脂12のサイズを揃えていても良い。
【0027】
樹脂封止装置1Aは、このような粒体樹脂12を樹脂封止に必要な分量を計数するための計数機構(図示しない)と、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給するために、モールド金型2の内外に移動可能な樹脂搬送部26Aとを備えている。この計数機構では、複数の粒体樹脂12の貯留装置から管路を介して樹脂搬送部26Aに供給する構成を採用でき、一例として、管路内において粒体樹脂12の吐出数を計数し、供給数が所定値に達したときに管路を閉じれば、正確な個数の計数ができる。
【0028】
樹脂搬送部26Aは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給する際に複数の供給領域A1のそれぞれに対向する位置に、粒体樹脂12を保持する複数の保持部27Aを有している。保持部27Aは、ホッパ31と、その下方開口(ホッパ31の供給領域A1側)に設けられた一対の板状のシャッタ32により構成されている。各ホッパ31に、前述した計数機構から粒体樹脂12が投入される。
【0029】
一対のシャッタ32は、ホッパ31の下方開口中央部において接離動することでホッパ31を開閉可能とするものである。このような一対のシャッタ32は、粒体樹脂12の供給時にホッパ31の下方開口中央部から開放するので、供給領域A1の中央部に対して粒体樹脂12を供給することができる。このように、複数の粒体樹脂12が、キャビティ凹部11の底部で形成された(区画された)各供給領域A1に配分して供給されるため、キャビティ凹部11内に樹脂を均等に供給することができる。
【0030】
このような樹脂搬送部26Aでは、ホッパ31上方において粒体樹脂12の充填時に開放可能な蓋体を備えることで上型3からの輻射熱により粒体樹脂12のホッパ31内での溶融を防止する構成を採用することもできる。また、樹脂供給前に粒体樹脂12がホッパ31内で溶融するのを防止するために、ペルチェ素子のような冷却素子やその他の冷却手段を用いてホッパ31内を冷却する冷却機構を備えてもよく、樹脂搬送部26Aを断熱構造としても良い。
【0031】
このような構成の樹脂封止装置1Aでは、型開きしたモールド金型2のキャビティ凹部11に供給された複数の粒体樹脂12が溶融され、ワークWを保持してモールド金型2が型締めされ、溶融した樹脂でワークWが樹脂封止される。
【0032】
次に、樹脂封止装置1Aの動作について、ウエハレベルパッケージ(eWLP)の製造方法と共に図1〜図8を参照して説明する。ウエハレベルパッケージを製造するため、樹脂封止装置1Aでは、複数のパッケージ領域C1(図5参照)によって構成されるウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を用いる。なお、本実施形態では、ウエハレベルパッケージから例えばダイシングにより個片化されて各半導体チップ15がそれぞれに封止されたものを個々の半導体パッケージとし、ウエハレベルのワークWにおける個々の半導体パッケージが形成される領域をパッケージ領域C1としている。
【0033】
まず、図1に示すように、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。ここでのワークWは、樹脂封止前の被成形品の状態であり、キャリアプレート13上に熱剥離シート14を介して複数の半導体チップ15が貼付されたものである。キャリアプレート13は、ステンレス板、金属板、半導体ウエハなどの平坦性に優れた板であり、ウエハレベルの大きさ(例えば8インチサイズ)である。このため、ワークWの大きさも、ウエハレベルとなる。
【0034】
このような、ウエハレベルのワークWは、供給部からローダによってモールド金型2内に搬送され、また、把持部材16によって把持される。図1では、ワークWは、半導体チップ15が貼付された面を下型4側にし、その反対面が上型3のクランプ面3aと間隙が形成されるようにして把持されている。
【0035】
また、図1に示すように、下型4のクランプ面4aに、リリースフィルム24を吸着保持する。ここで、キャビティ凹部11の底部を構成するキャビティ駒21は、樹脂硬化時のキャビティ底部の位置(成形位置)より相対的に退避した退避位置にある。図1に示すように、リリースフィルム24は、キャビティ凹部11の形状、特に、キャビティ凹部11の底部と側部とで底部の周囲に構成される角部、および底部に設けられた格子状の凸部23に沿うように吸着しておく。これにより、粒体樹脂12を供給し易くすると共に、粒体樹脂12を加熱し易くして成形時間を短縮することができる。また、凸部23によって粒体樹脂12の動きを効果的に規制することができる。
【0036】
また、図1に示すように、前述した計数機構によって計数された複数の粒体樹脂12が配分されて各保持部27Aで保持する樹脂搬送部26Aを、型開きしたモールド金型2内に搬入移動する。各保持部27Aのホッパ31では、その下方開口に設けられたシャッタ32が閉口しているため、粒体樹脂12を保持することができる。このようにして粒体樹脂12を保持した樹脂搬送部26Aは、複数の保持部27Aがそれぞれ対応する複数の供給領域A1(図7参照)と対向するように配置される。
【0037】
続いて、図2に示すように、キャビティ凹部11に対応する位置であって、型開きしたモールド金型2の複数の供給領域A1のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給する。キャビティ凹部11に対応する位置に搬入された樹脂搬送部26Aでは、シャッタ32を同期して開放することでホッパ31の底部を開口して、供給領域A1、すなわちキャビティ凹部11に、粒体樹脂12を供給する。
【0038】
本実施形態では、キャビティ凹部11の底部(キャビティ駒21のクランプ面4a側の面)に格子状の凸部23が設けられて、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1が形成されている。この段差部B1によって、各供給領域A1に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。供給領域A1に供給された複数の粒体樹脂12は、段差部B1で動きが規制され、最終的に、図2および図8に示すように、各供給領域A1に複数の粒体樹脂12を整列して配置することができる。このように、格子状の凸部23によって形成された複数の供給領域A1のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給することで、キャビティ凹部11内で複数の粒体樹脂12が均等に配置される。これにより、樹脂硬化時におけるキャビティ内の樹脂の偏りや流動などによる未充填やワイヤフローなどの不具合を防止することができるので、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0039】
続いて、樹脂搬送部26Aをモールド金型2内から退避移動させた後、図3に示すように、複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2は、図示しないヒータによって、粒体樹脂12が溶融される温度に加熱されている。前述の樹脂搬送部26Aからキャビティ凹部11側への供給の際、各シャッタ32を同期させて開放し、粒体樹脂12を各供給領域A1に同時に供給することにより、供給領域A1(キャビティ凹部11)において同時に加熱を開始させて均一に加熱することができる。これにより、粒体樹脂12の溶融および硬化の状態を均一にすることができ、成形品質を向上することができる。なお、以下の製造工程では、溶融した粒体樹脂12や、溶融後硬化した粒体樹脂12のように供給時の状態から変化した粒体樹脂12を、「樹脂12a」と称して説明する。
【0040】
続いて、図4に示すように、上型3と下型4とを近接させて、モールド金型2の型締めを行う。この際に、前述した真空ポンプを備えた減圧機構を駆動させることで、上型3のクランプ面3aに設けられたシール部材18が、下型4のクランプ面4aにリリースフィルム24を介して当接して圧縮され始めたときから、キャビティ凹部11を含む金型空間を外部から遮断して脱気しながら閉鎖空間が形成される。ここで、モールド金型2は加熱されて閉鎖空間内が昇温するため、樹脂12aに含まれる余剰成分を十分に排出した上で減圧することができる。これにより、ボイドの少ない高い成形品質のウエハレベルパッケージを得ることができるようになる。
【0041】
続いて、図5に示すように、モールド金型2を型締めして供給したワークWを保持し、樹脂12aが充填されたキャビティ凹部11(キャビティ11a)で、ワークWを樹脂封止する。なお、下型4で形成されているキャビティ凹部11は、その開口部側がワークWで塞がれるので、「キャビティ11a」と称している。
【0042】
より具体的には、まず、図4に示した状態から、さらに上型3と下型4とを近接してシール部材18をさらに圧縮し、クランパ22を押し下げ、ワークWが上型3のクランプ面3aと下型4のクランプ面4aに挟み込まれて保持された状態で、型締め動作を完了する。このとき、ワークWの半導体チップ15がキャビティ11a内の樹脂12aに浸漬する。
【0043】
次いで、キャビティ11a内に樹脂12aを所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。モールド金型2を型締め後に、相対的にキャビティ駒21を成形位置へ移動させて加熱硬化させるので、薄型に対応した成形品の厚さで樹脂封止(モールド)することができる。このようにして、樹脂封止装置1Aでは、ワークWを樹脂封止し、大型かつ薄型のウエハレベルパッケージを形成することができる。
【0044】
続いて、図6に示すように、上型3と下型4とを離間して、モールド金型2を型開きし、下型4から樹脂封止されたワークWを離型する。この際、下型4とワークWとの間に配置されたリリースフィルム24が、下型4のクランプ面4aで吸着されているので、容易に離型することができる。その後、樹脂封止装置1Aでは、把持部材16によるワークWの把持を解除し、図示しないアンローダにより上型3からワークWを離型して取り出し、ウエハレベルパッケージ(成形品)としてのワークWが収納される。なお、このウエハレベルパッケージからは、複数のパッケージ領域C1(図5参照)のそれぞれに対応する複数の半導体パッケージが形成される。
【0045】
このような樹脂封止装置1Aによるウエハレベルパッケージ(ワークW)には、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23(図6、図7参照)に対応して、格子状の凹部33が形成される(図6参照)。格子状の凹部33は、ウエハレベルパッケージを個片化して、例えば、チップサイズパッケージ(CPS:Chip Size Package)とする際に、ダイシングラインとして利用することができる。
【0046】
前述したように、本実施形態では、キャビティ凹部11の底部に格子状の凸部23を設けて、キャビティ凹部11の底部を区画する複数の供給領域A1とその周囲の段差部B1を形成し、各供給領域A1内で粒体樹脂12の動きを規制している。これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A1に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージ(例えばCPS)の成形品質を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態では、大きさが均一の粒体樹脂12を、キャビティ11内に均一に供給することができる。このため、樹脂飛散による樹脂不足を考慮して、余分な樹脂供給や、樹脂溜まりを形成する必要がない。したがって、ウエハレベルパッケージの製造コストや、樹脂封止装置の製造コストを低減することができる。
【0048】
(実施形態2)
前記実施形態1では、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23によって、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1を形成した場合について説明した。本実施形態では、図9に示す下型4の断面と、図13に示す下型4のクランプ面4aの平面から分かるように、ワークWに複数の半導体チップ15が格子状に配置され、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成される場合について説明する。なお、前記実施形態と重複する説明は省略する場合がある。
【0049】
図9に、本実施形態における樹脂封止装置1Bの要部であるモールド金型2を模式的に示す。樹脂封止装置1Bのモールド金型2の構成は、前記実施形態1の樹脂封止装置1A(図1参照)では、下型4にキャビティ凹部11を形成したのに対して、上型3にキャビティ凹部11を形成している点で相違している。なお、樹脂封止装置1Bで用いられる粒体樹脂12も、樹脂特性が同一であって、大きさが均一に成形された球状の粒体樹脂である。
【0050】
樹脂封止装置1Bは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給するために、モールド金型2の内外に移動可能な樹脂搬送部26Bを備えている。この樹脂搬送部26Bは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給する際に、複数の供給領域A2のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂12を保持する複数の保持部27Bを有している。各保持部27Bは、樹脂搬送部26Bの内部に形成された吸引孔34によって連通している。
【0051】
吸引孔34の一端は幹部にあり、吸引機構(図示しない)に接続され、他端は複数の枝部のそれぞれにあり、下型4側の対向面に開口している。このため、樹脂搬送部26Bの保持部27Bは、吸引機構を駆動させることで、吸引孔34の各枝部で粒体樹脂12を吸引し、保持することができる。また、保持部27Bは、吸引を停止することで、供給領域A2に対して粒体樹脂12を供給することができる。このように、複数の粒体樹脂12が、ワークWを通じてキャビティ凹部11に対応する位置であって、各供給領域A2に配分して供給されるため、キャビティ凹部11内に樹脂を均等に供給することができる(図12参照)。
【0052】
なお、本実施形態では、図13に示すように、複数の半導体チップ15のコーナ部間の領域を、粒体樹脂12が配分される供給領域A2としているが、隣接する半導体チップ15の側部間の領域を、粒体樹脂12が配分される供給領域としても良い。例えば、ワークが、配線基板上に搭載された半導体チップであって、それらの接続にボンディングワイヤを用いるような場合では、ボンディングワイヤを避けた領域を、供給領域として複数の粒体樹脂12を配分して供給すれば良い。
【0053】
このような構成の樹脂封止装置1Bでは、型開きしたモールド金型2のキャビティ凹部11に供給された複数の粒体樹脂12が溶融され、ワークWを保持してモールド金型2が型締めされ、溶融した樹脂でワークWが樹脂封止される。
【0054】
次に、樹脂封止装置1Bの動作について、eWLPの製造方法と共に図9〜図13を参照して説明する。このようなパッケージを製造するため、樹脂封止装置1Bでは、複数のパッケージ領域C2(図12参照)によって構成されるウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を用いる。なお、本実施形態では、例えばダイシングによりウエハレベルパッケージから個片化されて各半導体チップ15がそれぞれに封止されたものを個々の半導体パッケージとし、ウエハレベルのワークWにおける個々の半導体パッケージが形成される領域をパッケージ領域C2としている。
【0055】
まず、図9に示すように、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。ここでのワークWは、樹脂封止前の被成形品の状態であり、キャリアプレート13上に熱剥離シート14を介して複数の半導体チップ15が貼付されたものである。ウエハレベルのワークWは、供給部からローダによってモールド金型2内に搬送され、下型4で図示しない吸着機構によって吸着されて載置される。図9では、ワークWは、半導体チップ15が貼付された面を上型3側にし、その反対面(キャリアプレート13)が下型4のクランプ面4aと接してモールド金型2に載置される。
【0056】
また、図9に示すように、上型3のクランプ面3aに、リリースフィルム24を吸着保持する。ここで、キャビティ凹部11の底部を構成するキャビティ駒21は、樹脂硬化時のキャビティ底部の位置(成形位置)より相対的に退避した退避位置にある。図9に示すように、リリースフィルム24は、キャビティ凹部11の形状に沿うように吸着しておく。
【0057】
また、図9に示すように、計数機構によって計数された複数の粒体樹脂12が配分されて各保持部27Bで保持する樹脂搬送部26Bを、型開きしたモールド金型2内に搬入移動する。各保持部27Bでは、吸引孔34を介して各枝部を吸引しているため、枝部毎に供給された粒体樹脂12を保持することができる。このようにして粒体樹脂12を保持した樹脂搬送部26Bは、複数の保持部27Bがそれぞれ対応する複数の供給領域A2(図13参照)と対向するように配置される。
【0058】
続いて、図10に示すように、キャビティ凹部11に対応する位置であって、型開きしたモールド金型2の複数の供給領域A2のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給する。キャビティ凹部11に対応する位置に搬入された樹脂搬送部26Bは、下型4側に近接した後、吸引孔34を介して各枝部への吸引を停止することで、供給領域A2に粒体樹脂12を供給する。本実施形態では、図12に示すように、各供給領域A2に4つの粒体樹脂12が供給されているが、例えば、これら4つの樹脂粒体12分の大きさの1つの粒体樹脂を供給する構成であっても良い。このように、樹脂搬送部26Bは、ワークWに応じた配置で粒体樹脂12を供給することができる。また、粒体樹脂12同士が接触したり擦れたりすることがないため、微粉が発生したり複数の粒体樹脂12が固着してしまうような不具合を確実に防止可能となっている。
【0059】
本実施形態では、複数の半導体チップ15が格子状に配置されたワークWの、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成されている。この段差部B2によって、各供給領域A2に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。このように、複数の供給領域A2のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給することで、後の工程において、キャビティ凹部11内で溶融した樹脂12が均等に供給される。これにより、樹脂硬化時におけるキャビティ内の樹脂の未充填を防止することができるので、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0060】
続いて、樹脂搬送部26Bをモールド金型2内から退避移動させた後、図11に示すように、複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2は、図示しないヒータによって、粒体樹脂12が溶融される温度に加熱されている。このため、モールド金型2に供給されたワークWも加熱されている。前述の樹脂搬送部26BからワークW側へ粒体樹脂12を供給する際、吸引孔34の各枝部の吸引を停止し、粒体樹脂12を各供給領域A2に同時に供給することにより、供給領域A2(ワークW)において同時に加熱を開始させて均一に加熱することができる。これにより、粒体樹脂12の溶融および硬化の状態を均一にすることができ、成形品質を向上することができる。
【0061】
続いて、真空ポンプを備えた減圧機構を駆動させながら、上型3と下型4とを近接させて、モールド金型2の型締めを行い、図12に示すように、モールド金型2を型締めして供給したワークWを保持し、樹脂12aが充填されたキャビティ11aで、ワークWを樹脂封止する。
【0062】
より具体的には、まず、下型4のクランプ面4aに設けられたシール部材18が、上型3のクランプ面3aにリリースフィルム24を介して当接して圧縮され始めたときから、キャビティ凹部11を含む金型空間を外部から遮断して脱気しながら閉鎖空間が形成される。次いで、さらに上型3と下型4とを近接して、シール部材18をさらに圧縮し、クランパ22を押し戻して、ワークWが上型3のクランプ面3aと下型4のクランプ面4aに挟み込まれて保持された状態で、型締め動作を完了する。このとき、ワークWの半導体チップ15がキャビティ11a内で樹脂12aに覆われる。
【0063】
次いで、キャビティ11a内に樹脂12aを所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。このようにして、樹脂封止装置1Bでは、ワークWを樹脂封止し、大型かつ薄型のウエハレベルパッケージを形成することができる。その後、上型3と下型4とを離間してモールド金型2を型開きし、上型3および下型4から樹脂封止されたワークWを離型し、図示しないアンローダによりワークWを取り出し、ウエハレベルパッケージ(成形品)としてのワークWが収納される。なお、このウエハレベルパッケージからは、複数のパッケージ領域C2(図12参照)のそれぞれに対応する複数の半導体パッケージが形成される。
【0064】
前述したように、本実施形態では、ワークWの複数の半導体チップ15が整列配置され、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成されていることを利用し、各供給領域A2内で粒体樹脂12の動きを規制している。これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A2に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0065】
(実施形態3)
前記実施形態2では、複数の半導体チップ15が格子状に配置されたワークWを利用して、半導体チップ15の厚みによって、供給領域A2とその周囲を仕切る段差部B2が形成された場合について説明した。本実施形態では、図14に示す下型4の断面から分かるように、ワークWは、下型4に載置される面とは反対面に突起する複数の突起端子35を有する半導体ウエハであり、突起端子35の高さによって、供給領域A3とその周囲を仕切る段差部B3が形成される場合について説明する。なお、前記実施形態と重複する説明は省略する場合がある。
【0066】
図14に、本実施形態における樹脂封止装置1Cの要部であるモールド金型2を模式的に示す。樹脂封止装置1Cのモールド金型2の構成は、前記実施形態2の樹脂封止装置1B(図9参照)では、キャビティ凹部11の底部を上下動可能なキャビティ駒21を上型3に設けてキャビティ凹部11を形成したのに対して、下型4にキャビティ凹部11を形成し、上型3に上下動可能なクランパ22を設けている点で相違している。なお、樹脂封止装置1Cで用いられる粒体樹脂12も、樹脂特性が同一であって、大きさが均一に成形された球体である。
【0067】
樹脂封止装置1Cは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給するために、モールド金型2の内外に移動可能な樹脂搬送部26Cを備えている。この樹脂搬送部26Cは、キャビティ凹部11に複数の粒体樹脂12を供給する際に、複数の供給領域A3のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂12を保持する複数の保持部27Cを有している。各保持部27Cは、樹脂搬送部26B内部に形成された吸引孔34と連通している。
【0068】
吸引孔34の一端は幹部にあり、吸引機構(図示しない)に接続され、他端は複数の枝部のそれぞれにあり、下型4側の対向面に開口している。本実施形態では、複数の枝部がそれぞれ複数の保持部27Cを構成している。保持部27Cは、吸引機構を駆動させることで、吸引孔34の各枝部で粒体樹脂12を吸引し、保持することができる。また、保持部27Cは、吸引を停止することで、供給領域A3に対して粒体樹脂12を供給することができる。このように、吸引孔34の配置に応じて、複数の粒体樹脂12が、キャビティ凹部11に対応する位置であって、各供給領域A3に配分して供給されるため、キャビティ凹部11内に樹脂を均等に供給することができる。なお、吸引孔34の配置で任意の供給位置に複数の粒体樹脂12を供給することができるため、任意の位置への粒体樹脂12の供給を正確に行うことができる。
【0069】
このような構成の樹脂封止装置1Cでは、型開きしたモールド金型2のキャビティ凹部11に供給された複数の粒体樹脂12が溶融され、ワークWを保持してモールド金型2が型締めされ、溶融した樹脂でワークWが樹脂封止される。
【0070】
次に、樹脂封止装置1Cの動作について、ウエハレベルパッケージ(WLP)の製造方法と共に図14〜図17を参照して説明する。ウエハレベルパッケージを製造するため、樹脂封止装置1Cでは、複数のパッケージ領域C3(図17参照)によって構成されるウエハレベルのワークWに対応する容積を有するキャビティ凹部11が形成されたモールド金型2を用いる。なお、本実施形態では、例えばダイシングによりウエハレベルパッケージから個片化されたものを個々の半導体パッケージとし、ウエハレベルのワークWにおける個々の半導体パッケージが形成される領域をパッケージ領域C3としている。
【0071】
まず、図14に示すように、型開きしたモールド金型2にワークWを供給する。ここでのワークWは、樹脂封止前の被成形品の状態であり、例えば8インチサイズの半導体ウエハである。この半導体ウエハの主面(半導体素子が形成されている面)には、外部接続用の突起端子35が整列配置されている。ウエハレベルのワークWは、供給部からローダによってモールド金型2内に搬送され、キャビティ凹部11に載置される。図9では、ワークWは、突起端子35が形成された面を上型3側にし、その反対面が下型4のクランプ面4aと接してキャビティ底部に載置される。
【0072】
また、図14に示すように、上型3のクランプ面3aに、リリースフィルム24を吸着保持する。ここで、キャビティ駒21は、樹脂硬化時の位置(成形位置)より退避した退避位置にある。図14に示すように、リリースフィルム24は、上型3のクランプ面3aの形状に沿うように吸着しておく。
【0073】
また、図14に示すように、計数機構によって計数された複数の粒体樹脂12が配分されて各保持部27Cで保持する樹脂搬送部26Cを、型開きしたモールド金型2内に搬入移動する。各保持部27Cでは、吸引孔34を介して各枝部を吸引しているため、枝部毎に供給された粒体樹脂12を保持することができる。このようにして粒体樹脂12を保持した樹脂搬送部26Cは、複数の保持部27Cがそれぞれ対応する複数の供給領域A3と対向するように配置される。
【0074】
続いて、図15に示すように、キャビティ凹部11に対応する位置であって、型開きしたモールド金型2の複数の供給領域A3のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給する。キャビティ凹部11に対応する位置に搬入された樹脂搬送部26Cは、下型4側に近接した後、吸引孔34を介して各枝部(保持部27C)への吸引を停止することで、供給領域A3に粒体樹脂12を供給する。
【0075】
本実施形態では、ワークWは、下型4に載置される面とは反対面(主面)に突起する複数の突起端子35を有する半導体ウエハであり、突起端子35の高さによって、供給領域A3とその周囲を仕切る段差部B3が形成されている。この段差部B3によって、各供給領域A3に供給された粒体樹脂12の動きを規制する。このように、複数の供給領域A3のそれぞれに、計数した複数の粒体樹脂12を配分して供給することで、後の工程において、キャビティ凹部11内で溶融した樹脂12が均等に供給される。これにより、樹脂硬化時におけるキャビティ内の樹脂の未充填を防止することができるので、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0076】
続いて、樹脂搬送部26Cをモールド金型2内から退避移動させた後、図16に示すように、複数の粒体樹脂12を溶融する。モールド金型2は、図示しないヒータによって、粒体樹脂12が溶融される温度に加熱されている。このため、モールド金型2に供給されたワークWも加熱されている。前述の樹脂搬送部26CからワークW側へ粒体樹脂12を供給する際、吸引孔34の各枝部の吸引を停止し、粒体樹脂12を各供給領域A3に同時に供給することにより、供給領域A3(ワークW)において同時に加熱を開始させて均一に加熱することができる。これにより、粒体樹脂12の溶融および硬化の状態を均一にすることができ、成形品質を向上することができる。
【0077】
続いて、真空ポンプを備えた減圧機構を駆動させながら、上型3と下型4とを近接させて、モールド金型2の型締めを行い、図17に示すように、モールド金型2を型締めして供給したワークWを保持し、樹脂12aが充填されたキャビティ11aで、ワークWを樹脂封止する。
【0078】
より具体的には、まず、下型4のクランプ面4aに設けられたシール部材18が、上型3のクランプ面3aにリリースフィルム24を介して当接して圧縮され始めたときから、キャビティ凹部11を含む金型空間を外部から遮断して脱気しながら閉鎖空間が形成される。次いで、さらに上型3と下型4とを近接して、シール部材18をさらに圧縮し、クランパ22を押し戻してワークWが上型3のクランプ面3aと下型4のクランプ面4aに挟み込まれて保持された状態で、型締め動作を完了する。
【0079】
次いで、キャビティ11a内に樹脂12aを所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。このようにして、樹脂封止装置1Cでは、ワークWを樹脂封止し、大型かつ薄型のウエハレベルパッケージを形成することができる。その後、上型3と下型4とを離間してモールド金型2を型開きし、上型3および下型4から樹脂封止されたワークWを離型し、図示しないアンローダによりワークWを取り出し、ウエハレベルパッケージ(成形品)としてのワークWが収納される。なお、このウエハレベルパッケージからは、複数のパッケージ領域C3(図17参照)のそれぞれに対応する複数の半導体パッケージが形成される。
【0080】
前述したように、本実施形態では、ワークWが、主面に突起する複数の突起端子35を有する半導体ウエハであるため、この突起端子35の高さによって、供給領域A3とその周囲を仕切る段差部B3が形成されていることを利用し、各供給領域A3内で粒体樹脂12の動きを規制している。これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A3に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0081】
(実施形態4)
前記実施形態1では、キャビティ凹部11の底部に設けられた格子状の凸部23によって、供給領域A1とその周囲を仕切る段差部B1を形成した場合について説明した(図7参照)。これに対して、図18に示す下型4のクランプ面4aの平面から分かるように、キャビティ凹部11の底部(キャビティ駒21)に整列して設けられた複数の凹部36によって、供給領域A4とその周囲を仕切る段差部B4を形成しても良い。
【0082】
図18の円で囲まれた箇所に1つの凹部36を拡大して示している。また、図18では、説明を明解にするために、一部の凹部36に粒体樹脂12を供給しているが、粒体樹脂12の供給時には、すべての凹部36のそれぞれに粒体樹脂12が供給される。粒体樹脂12の供給には、前記実施形態2、3で説明した粒体樹脂12を吸引して保持できる樹脂搬送部26Bを用いれば良い。
【0083】
本実施形態では、一つの凹部36に対して一つの粒体樹脂12を載置するようにして、粒体樹脂12の動きを規制している。すなわち、キャビティ凹部11の底部に複数の凹部36を整列して設けて、キャビティ凹部11の底部を区画する複数の供給領域A4とその周囲の段差部B4を形成し、各供給領域A4内で粒体樹脂12の動きを規制している。
【0084】
これにより、複数の粒体樹脂12を各供給領域A4に配分して供給することで、キャビティ11内に粒体樹脂12を均等に供給することができる。したがって、キャビティ11内の樹脂の未充填を防止することができ、ウエハレベルパッケージ(半導体パッケージ)、およびこれから個片化された半導体パッケージの成形品質を向上することができる。
【0085】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0086】
例えば、前記実施形態では、上型を固定型、下型を可動型とした場合について説明したが、上型を下型に対して接離動する可動型としてもよく、また、上型および下型を共に可動型とすることもできる。
【0087】
また、前記実施形態では、粒体樹脂12として形状が球体のものを説明したが、大きさが均一ならば、球体に限らず他の形状(多面体、円柱体、タブレットなど)のものを用いることができる。ただし、搬送や計数などの際に欠けが生じるのを防止するために鋭角部分のない粒体状の形態が好ましい。
【0088】
また、前記実施形態では、粒体樹脂12を熱硬化性樹脂とした場合について説明したが、熱可塑性樹脂とした場合であっても良い。熱可塑性樹脂とした場合、溶融した樹脂で型締めた後、モールド金型2の温度を下げて溶融樹脂を硬化させることになる。
【0089】
また、前記実施形態で説明したワークWに限らず、樹脂基板やセラミック基板のような各種基板上に行列状にボンディングされ実装された複数の半導体チップにより複数のパッケージ領域が構成されるワークWを用いて実施形態1以降の構成で成形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1A、1B、1C 樹脂封止装置
2 モールド金型
11 キャビティ凹部(キャビティ)
12 粒体樹脂(樹脂)
A1、A2、A3、A4 供給領域
B1、B2、B3、B4 段差部
C1、C2、C3 パッケージ領域
W ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパッケージ領域によって構成されるワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を用いる樹脂封止方法であって、
(a)型開きした前記モールド金型に前記ワークを供給する工程と、
(b)大きさが均一の粒体樹脂を計数する工程と、
(c)前記キャビティ凹部に対応する位置であって、前記(b)工程で計数した複数の粒体樹脂を配分して、複数の供給領域のそれぞれに供給する工程と、
(d)前記(c)工程で供給された複数の粒体樹脂を溶融する工程と、
(e)前記モールド金型を型締めして前記(a)工程で供給した前記ワークを保持し、前記(d)工程で溶融した樹脂が充填された前記キャビティ凹部で、前記ワークを樹脂封止する工程と、を含み、
前記(c)工程では、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部によって、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記キャビティ凹部の底部に設けられた格子状の凸部によって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項3】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記ワークに複数の半導体チップが格子状に配置され、前記半導体チップの厚みによって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項4】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記ワークは、複数の突起端子を有する半導体ウエハであり、前記突起端子の高さによって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項5】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記キャビティ凹部の底部に整列して設けられた複数の凹部によって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項6】
複数のパッケージ領域によって構成されるワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を備え、前記キャビティ凹部に供給された複数の粒体樹脂が溶融され、前記ワークを保持して前記モールド金型が型締めされ、溶融した樹脂で前記ワークが樹脂封止される樹脂封止装置であって、
前記キャビティ凹部の底部に、複数の粒体樹脂が供給される複数の供給領域と、その周囲とに段差部が形成されており、
前記段差部によって、複数の粒体樹脂が配分して供給される複数の供給領域が区画されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項7】
請求項6記載の樹脂封止装置において、
前記段差部は、前記キャビティ凹部の底部に設けられた格子状の凸部から形成されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項8】
請求項6記載の樹脂封止装置において、
前記段差部は、前記キャビティ凹部の底部に整列して設けられた複数の凹部から形成されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項9】
請求項6、7または8記載の樹脂封止装置において、
前記キャビティ凹部に複数の粒体樹脂を供給する際に、前記複数の供給領域のそれぞれに対向し、複数の粒体樹脂を保持する複数の保持部を有する樹脂搬送部を備えていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項10】
請求項7記載の樹脂封止装置において、
前記キャビティ凹部に複数の粒体樹脂を供給する際に、前記複数の供給領域のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂を保持する複数の保持部を有する樹脂搬送部を備えており、
前記保持部は、ホッパと、前記ホッパの前記供給領域側に開閉可能に設けられた一対のシャッタとを有していることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項11】
請求項8記載の樹脂封止装置において、
前記キャビティ凹部に複数の粒体樹脂を供給する際に、前記複数の供給領域のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂を保持する複数の保持部を有する樹脂搬送部を備えており、
前記保持部は、前記保持部で保持される粒体樹脂を吸引する吸引孔を有していることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項1】
複数のパッケージ領域によって構成されるワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を用いる樹脂封止方法であって、
(a)型開きした前記モールド金型に前記ワークを供給する工程と、
(b)大きさが均一の粒体樹脂を計数する工程と、
(c)前記キャビティ凹部に対応する位置であって、前記(b)工程で計数した複数の粒体樹脂を配分して、複数の供給領域のそれぞれに供給する工程と、
(d)前記(c)工程で供給された複数の粒体樹脂を溶融する工程と、
(e)前記モールド金型を型締めして前記(a)工程で供給した前記ワークを保持し、前記(d)工程で溶融した樹脂が充填された前記キャビティ凹部で、前記ワークを樹脂封止する工程と、を含み、
前記(c)工程では、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部によって、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記キャビティ凹部の底部に設けられた格子状の凸部によって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項3】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記ワークに複数の半導体チップが格子状に配置され、前記半導体チップの厚みによって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項4】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記ワークは、複数の突起端子を有する半導体ウエハであり、前記突起端子の高さによって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項5】
請求項1記載の樹脂封止方法において、
前記キャビティ凹部の底部に整列して設けられた複数の凹部によって、前記供給領域とその周囲を仕切る段差部が形成されて、前記(c)工程では、前記供給領域に供給された粒体樹脂の動きを規制して供給することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項6】
複数のパッケージ領域によって構成されるワークに対応する容積を有するキャビティ凹部が形成されたモールド金型を備え、前記キャビティ凹部に供給された複数の粒体樹脂が溶融され、前記ワークを保持して前記モールド金型が型締めされ、溶融した樹脂で前記ワークが樹脂封止される樹脂封止装置であって、
前記キャビティ凹部の底部に、複数の粒体樹脂が供給される複数の供給領域と、その周囲とに段差部が形成されており、
前記段差部によって、複数の粒体樹脂が配分して供給される複数の供給領域が区画されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項7】
請求項6記載の樹脂封止装置において、
前記段差部は、前記キャビティ凹部の底部に設けられた格子状の凸部から形成されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項8】
請求項6記載の樹脂封止装置において、
前記段差部は、前記キャビティ凹部の底部に整列して設けられた複数の凹部から形成されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項9】
請求項6、7または8記載の樹脂封止装置において、
前記キャビティ凹部に複数の粒体樹脂を供給する際に、前記複数の供給領域のそれぞれに対向し、複数の粒体樹脂を保持する複数の保持部を有する樹脂搬送部を備えていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項10】
請求項7記載の樹脂封止装置において、
前記キャビティ凹部に複数の粒体樹脂を供給する際に、前記複数の供給領域のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂を保持する複数の保持部を有する樹脂搬送部を備えており、
前記保持部は、ホッパと、前記ホッパの前記供給領域側に開閉可能に設けられた一対のシャッタとを有していることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項11】
請求項8記載の樹脂封止装置において、
前記キャビティ凹部に複数の粒体樹脂を供給する際に、前記複数の供給領域のそれぞれに対向する位置に、複数の粒体樹脂を保持する複数の保持部を有する樹脂搬送部を備えており、
前記保持部は、前記保持部で保持される粒体樹脂を吸引する吸引孔を有していることを特徴とする樹脂封止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−187902(P2012−187902A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55720(P2011−55720)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
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