説明

機械特性モデル化装置、電動機制御装置、機械制御システムおよび機械特性モデル化方法

【課題】機械モデル化に誤差が生じないように摩擦を考慮できるようにする。
【解決手段】周波数特性演算装置6と、機械モデル推定手段10と、周波数特性ピーク検出手段11と、減衰推定値解析手段12とを備え、機械特性モデル7には剛体負荷モデル8と摩擦モデル9と、さらに、共振モデル18と反共振モデルと減衰モデル20とを備えた振動系モデル17を備え、最小二乗法もしくは曲線適合により周波数特性から機械モデルを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体製造装置や工作機械などの位置決め装置あるいは産業用ロボットに用いられる電動機制御装置に関し、特に、サーボ調整を最適に行うために制御対象を把握する電動機制御装置の機械モデル推定装置および機械特性モデル化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電動機制御装置の機械モデル推定装置は、高価な計測装置を用いることなく、作業者が高度な専門知識や経験を持たなくても、容易に機械モデルを推定することができ、安価な電動機制御装置の機械モデル推定装置を提供するため、負荷機械を駆動する電動機と、電動機の回転角を検出する回転検出器と、電動機を制御するサーボ制御装置と、を備えた電動機制御装置において、演算装置は、動作指令信号と回転検出器信号とから得た周波数特性から、共振周波数と反共振周波数となる突起形状を自動的に算出するとともに、2慣性モデルおよび剛体モデルの周波数特性式で算出された周波数特性に対して、計測して得られた周波数特性との誤差をそれぞれ算出し、2慣性モデルと剛体モデルの周波数特性における計算値と計測値の最小誤差とをそれぞれ比較することで自動的に機械の特性をモデル化するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、従来のモータ制御装置は、ク−ロン摩擦等が大きいメカでイナ−シャの同定誤差を少なくするため、速度指令が低速かつ大きさが同じの正・逆転指令での定常状態における各トルク指令Tref1,Tref2 から一定外乱トルクTdを、式(200)より算出し、
【0004】
Td=(Tref1+Tref2)/2 式(200)
【0005】
ある速度指令Vrefとそのα倍の速度指令αVrefの定常状態における各トルク指令Tref3 及びTref4 から前記算出された一定外乱トルクTdを減じた値からクーロン摩擦Tcを式(201)より算出し、
【0006】
Tc={α(Tref3-Td)-(Tref4-Td) }/ (α-1) 式(201)
【0007】
ある速度指令Vrefとそのα倍である速度指令αVrefの定常状態における各トルク指令Tref3,Tref4 及び速度Vfb3,Vfb4 から粘性摩擦Dcを式式(202)より算出し、
【0008】
Dc=(Tref3-Tref4)/(Vfb3-Vfb4) 式(202)
【0009】
これらをモデルに加えたトルク指令と、モータ速度が0から動き出すまでのトルク指令から静止摩擦トルクTgを算出しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
(従来の第1例)
従来の第1例では、計測した周波数特性値から機械モデルを判定するために、機械特性のモデル化として、剛体モデルおよび2慣性モデルを予め準備しておき、モデルと計測した周波数特性値の差異の大小により、剛体モデルか2慣性モデルかを判断している。
図12は、従来の第1例を示す機械モデル推定装置を備えた電動機制御装置の全体構成図である。図12において、101は演算装置 、102はサーボ制御装置、103は回転検出器、104は電動機、105は伝達機構、106は可動部、107は非可動部、108は動作指令信号、109は回転検出器信号、110は制御信号、119は入力装置、120は 周波数特性式、121は出力装置である。計測した周波数特性と周波数特性式120との比較を行う。
図13は、従来の第1例の剛体モデル式の曲線適合への不適の一例を示した図である。
図13は、剛体モデルと計測した周波数特性値を比較しており、共振周波数が存在する箇所では、剛体モデルと計測した周波数特性値が合っていない例である。
【0011】
このように、従来の第1例の電動機制御装置の機械モデル推定装置は、周波数特性値を計測して、周波数特性値が剛体モデルか2慣性モデルかを比較して機械モデルにするのである。
【0012】
(従来の第2例)
図14は、従来の第2例の基本的な考え方を説明するブロック図である。
速度制御部の速度Vfb とモデル速度制御部の速度Vfb'が一致し、Vfb とVfb'がいずれも零でない場合、速度制御部のトルク指令積分値STref とイナ−シャJ 及びモデル速度制御部のトルク指令積分値STref'とイナ−シャJ'には式(203)の関係が成り立ち、
【0013】
J/J'=STref/STref' ・・・(203)
【0014】
イナ−シャJ は式(204)から直ちに求まる。
【0015】
J=(STref/STref')*J' ・・・(204)
【0016】
ただし、一般には、粘性摩擦Dcや、一定外乱トルクTdや、ク−ロン摩擦Tc、及び静止摩擦トルクTgが存在するので、それらの影響を除去する。
(a)粘性摩擦Dcについては、所定の区間[a,b] における速度Vfb の積分値が零であればよい。
(b)一定外乱トルクTdについては、ある速度指令Vref1 により求めたイナ−シャJ1と、速度指令Vref1 の正負を反転させたVref2 により求めたイナ−シャJ2との平均値をイナ−シャJ とすればよい。
(c)また、ク−ロン摩擦Tcについては、前記区間[a,b] 内でのモ−タの正転時間と逆転時間が等しくなるように前記区間[a,b] 及び速度指令Vrefを設定すればよい。
(d)静止摩擦トルクTgについては、前記区間[a,b] 内で速度Vfb が式(205)である場合を除いてトルク指令の時間積分を行う。
【0017】
X1=Vfb=X2 式(205)
【0018】
ただしX1≠0,X2≠0
以上が一定外乱トルク、クーロン摩擦、粘性摩擦及び静止摩擦トルクの影響を受けにくくイナーシャを求める方法である。
【0019】
このように、従来のモータ制御装置は、粘性摩擦や一定外乱やク−ロン摩擦や静止摩擦を推定して影響を除去して、イナ−シャ(負荷慣性モーメント)を推定するのである。
【0020】
【特許文献1】特開2003−79174 (図1、図12)
【特許文献2】特開平11−46489 (図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の電動機制御装置の機械モデル推定装置は、剛体か振動系(2慣性系)かを判別するようになっていて、摩擦を考慮することができないので、摩擦が大きいと剛体成分の推定精度が低下するという問題があった。また、摩擦が非常に大きい場合には、ゲインの低周波領域で剛体系の特徴が無くなるので、剛体成分の推定が不可能となるというような問題もあった。
【0022】
また、従来のモータ制御装置は、イナーシャ(慣性モーメント)を推定するために、推定誤差となる摩擦を予め推定しておき、摩擦の影響を除去するようになっていて、制御対象の機械の共振を全く考慮しておらず、振動系のモデルは全く判らないという問題があった。
【0023】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、摩擦特性を考慮して、負荷慣性モーメントや負荷質量を推定するとともに、振動系の共振、減衰特性を考慮して、機械特性モデルを推定することができる電動機制御装置の機械特性モデル化装置および機械特性モデル化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、機械を駆動する電動機の動作指令を作成する指令手段を備えた電動機制御装置が前記機械を駆動するとともに、検出手段が前記機械の動作量を検出し、前記検出された動作量と前記動作指令とを演算することにより前記機械の周波数特性を得る周波数特性演算装置を備え、前記機械の特性をモデル化する機械特性モデル化装置において、前記電動機と前記機械の負荷量の剛体負荷モデルと、摩擦を数値化した摩擦モデルを含む機械特性モデルと、前記周波数特性から前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルとを含む前記機械特性モデルを算出する機械モデル推定手段と、を有するものである。
【0025】
また、請求項2に記載の発明は、前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性から、前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルを直接算出することを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項3に記載の発明は、前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性を前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルとを含めた前記機械特性モデルで曲線適合して、前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルを含む前記機械特性モデルを算出することを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項4に記載の発明は、前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性に近づくよう曲線適合した前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルとを含む前記機械特性モデルの変化量を反復演算により収束させることを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項5に記載の発明は、前記検出手段は、前記電動機の位置、速度若しくは加速度、または前記機械の位置、速度若しくは加速度を検出することを特徴とするものである。
【0029】
また、請求項6に記載の発明は、前記指令手段の出力は、掃引正弦波であることを特徴とするものである。
【0030】
また、請求項7に記載の発明は、前記指令手段の出力は、M系列信号であることを特徴とするものである。
【0031】
また、請求項8に記載の発明は、前記指令手段の出力は、ランダム波であることを特徴とするものである。
【0032】
また、請求項9に記載の発明は、前記電動機は回転型モータであって、前記電動機と前記機械の負荷量である前記剛体負荷モデルは慣性モーメントであることを特徴とするものである。
【0033】
また、請求項10に記載の発明は、前記電動機は並進型モータであって、前記電動機と前記機械の負荷量である前記剛体負荷モデルは質量であることを特徴とするものである。
【0034】
また、請求項11に記載の発明は、前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性の共振周波数と反共振周波数からなる突起形状を自動的に算出する周波数特性ピーク検出手段を有することを特徴とするものである。
【0035】
また、請求項12に記載の発明は、前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性ピーク検出手段で検出した共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定する減衰推定値解析手段を有することを特徴とするものである。
【0036】
また、請求項13に記載の発明は、前記機械特性モデルは、前記機械モデル推定手段に予め入力されている共振モデルと減衰モデルを含む振動系モデルを含み、前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性から、前記共振モデルと前記減衰モデルとを含む振動系モデルを算出することを特徴とするものである。
【0037】
また、請求項14に記載の発明は、複数の前記検出手段を用いて計測した複数の前記周波数特性から、前記機械モデル推定手段、手段前記周波数特性ピーク検出手段、前記減衰推定値解析手段は、それぞれ、前記負荷モデルと前記摩擦モデル、共振周波数と反共振周波数、減衰を推定することを特徴とするものである。
【0038】
また、請求項15に記載の発明は、前記機械モデル推定手段は、前記複数の周波数特性から振動モードを推定する振動モード推定手段をさらに有することを特徴とするものである。
【0039】
また、請求項16に記載の発明は、前記電動機制御装置、前記電動機、前記検出手段をそれぞれ少なくとも2つ以上備え、前記周波数特性演算装置は、少なくとも2つ以上の前記周波数特性を計測することを特徴とするものである。
【0040】
また、請求項17に記載の発明は、出力手段、入力手段、または記憶手段を有することを特徴とするものである。
【0041】
また、請求項18に記載の発明は、前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性の少なくとも2点を任意に指定し周波数範囲を限定して、前記機械特性モデルを算出することを特徴とするものである。
【0042】
また、請求項19に記載の発明は、機械と、前記機械を駆動する電動機と、前記電動機の制御指令を作成する指令手段と前記制御指令を受けて前記電動機を駆動する制御器とを備える電動機制御装置と、からなる電動機制御システムの機械特性モデル化方法において、前記指令手段が前記電動機の動作指令を作成して、前記動作指令によって駆動された前記機械の周波数特性を計測するステップと、前記周波数特性から機械特性モデルを算出することにより剛体負荷モデルと摩擦モデルとを含む機械特性モデルを導くステップと、から構成されることを特徴とするものである。
【0043】
また、請求項20に記載の発明は、前記機械特性モデルは、共振モデルと減衰モデルとを含む振動系モデルを含むことを特徴とするものである。
【0044】
また、請求項21に記載の発明は、前記周波数特性から振動系モデルを算出するステップを有することを特徴とするものである。
【0045】
また、請求項22に記載の発明は、前記振動系モデルを算出するステップは、前記周波数特性の共振周波数と反共振周波数からなる突起形状を自動的に算出して周波数特性のピークを検出し、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップを有することを特徴とするものである。
【0046】
また、請求項23に記載の発明は、前記振動系モデルを算出するステップは、前記周波数特性の共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップを有することを特徴とするものである。
【0047】
また、請求項24に記載の発明は、前記振動系モデルを算出するステップは、前記周波数特性を複数用いて振動モードを算出するステップを有することを特徴とするものである。
【0048】
また、請求項25に記載の発明は、請求項1記載の機械特性モデル化装置を備えたことを特徴とするものである。
【0049】
また、請求項26に記載の発明は、請求項25記載の制御装置によって制御され、特性がモデル化されることを特徴とするものである。
【0050】
また、請求項27に記載の発明は、請求項1記載の機械特性モデル化装置を備えた電動機制御装置と、前記電動機制御装置により制御される電動機と、前記電動機により駆動される機械と、からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0051】
請求項1に記載の発明によると、機械の周波数特性を計測することができ、計測した周波数特性から剛体負荷モデルと摩擦モデルを含む機械特性モデルを求めることができる。
【0052】
また、請求項2に記載の発明によると、剛体負荷モデルと摩擦モデルを含む機械特性モデルを、計測した周波数特性から直接求めることができる。
【0053】
また、請求項3に記載の発明によると、剛体負荷モデルと摩擦モデルを含む機械特性モデルを、計測した周波数特性と比較しながら求めることができる。
【0054】
また、請求項4に記載の発明によると、剛体負荷モデルと摩擦モデルを含む機械特性モデルを、計測した周波数特性と比較し、その差異が少なくなるように収束するように繰り返し演算して求めることができる。
【0055】
また、請求項5に記載の発明によると、検出手段では、電動機の位置または速度または加速度、あるいは機械の位置または速度または加速度を検出することができるので、検出手段の場所や種類を様々に選択して、周波数特性を計測することができる。
【0056】
また、請求項6に記載の発明によると、掃引正弦波を選択できるので、周波数特性を計測する際に、各種状況に応じた信号を利用できる。
【0057】
また、請求項7に記載の発明によると、M系列信号を選択できるので、周波数特性を計測する際に、各種状況に応じた信号を利用できる。
【0058】
また、請求項8に記載の発明によると、ランダム波を選択できるので、周波数特性を計測する際に、各種状況に応じた信号を利用できる。
【0059】
また、請求項9に記載の発明によると、前記電動機に回転型モータを利用することができる。
【0060】
また、請求項10に記載の発明によると、前記電動機に並進型リニアモータを利用することができる。
【0061】
また、請求項11に記載の発明によると、計測した周波数特性を用いて、共振周波数もしくは反共振周波数を検出することができる。
【0062】
また、請求項12に記載の発明によると、計測した周波数特性を用いて、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定することができる。
【0063】
また、請求項13に記載の発明によると、計測した周波数特性を用いて求めた共振周波数、減衰を共振モデル、減衰モデルとして数値化することができる。
【0064】
また、請求項14に記載の発明によると、複数の周波数特性を計測できるので、1つの周波数特性では検出できない共振を把握できる。また、摩擦や剛体負荷も複数の周波数特性の平均として求められるので、剛体負荷モデル、摩擦モデル、共振モデル、減衰モデルなどの信頼性をあげて数値化できる。
【0065】
また、請求項15に記載の発明によると、振動モードを求めることができるので、機械全体がどのような挙動で振動するのか把握することができ、機械の特性を詳しく把握することができる。
【0066】
また、請求項16に記載の発明によると、複数の電動機からなる構成において、軸間の干渉を含めた周波数特性を計測することができる。
【0067】
また、請求項17に記載の発明によると、各機能の出力を把握することができ、各機能に指示することができ、各機能の出力や機能への指示入力を記憶することができる。
【0068】
また、請求項18に記載の発明によると、計測した周波数特性から機械特性モデルを求める範囲を選択できるので、効率的に精度良く作業を実行することができる。
【0069】
また、請求項19に記載の発明によると、周波数特性を計測することができ、計測した周波数特性から剛体負荷モデルと摩擦モデルを含む機械特性モデルを求めることができる。
【0070】
また、請求項20、21に記載の発明によると、剛体負荷モデルと摩擦モデルを含む機械特性モデルを、計測した周波数特性から求めることができる。
【0071】
また、請求項22に記載の発明によると、計測した周波数特性を用いて、共振周波数もしくは反共振周波数を検出することができる。
【0072】
また、請求項23に記載の発明によると、計測した周波数特性を用いて、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定することができる。
【0073】
また、請求項24に記載の発明によると、振動モードを求めることができるので、機械全体がどのような挙動で振動するのか把握することができ、機械の特性を詳しく把握することができる。
【0074】
また、請求項25、26、27に記載の発明によると、機械の周波数特性を計測することができ、計測した周波数特性から剛体負荷モデルと摩擦モデルを含む機械特性モデルを求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0076】
図1は本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化方法のフローチャートである。
STEP10は周波数特性を計測するステップ、STEP20は周波数特性から機械特性モデルを算出するステップ、STEP30は周波数特性から振動系モデルを算出するステップである。
周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30には、2つのステップをさらに有し、STEP31は共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップ、STEP32は共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップである。
【0077】
図2は本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置の全体構成図である。
図3は本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置のブロック図である。
図において、1は電動機(リニアモータ)、2は検出手段、3は制御器、4は指令手段、5は機械、6は周波数特性演算装置、7は機械特性モデル、8は剛体負荷モデル、9は摩擦モデル、10は機械モデル推定手段、11は周波数特性ピーク検出手段、12は減衰推定値解析手段、14は出力手段、15は入力手段、16は記憶手段、17は振動系モデル、18は共振モデル、19は反共振モデル、20は減衰モデルとなっている。
【0078】
本発明が特許文献1と異なる部分は、摩擦モデル9を備えた部分である。
【0079】
本発明が特許文献2と異なる部分は、周波数特性演算装置6と機械モデル推定手段10と周波数特性ピーク検出手段11と減衰推定値解析手段12と入力手段15と記憶手段16と、振動系モデル17として共振モデル18と反共振モデル19と減衰モデル20を備えた部分である。
【0080】
機械特性モデル化方法は、図1に示すように、3つのステップによって進める。
周波数特性を計測するステップSTEP10は、検出手段2の出力を受けて制御器3が構成するフィードバック・ループを切り、開ループとして、指令手段4は掃引正弦波Cを推力指令Tとして制御器3に与えて、電動機1(リニアモータ)を駆動する。
電動機1が駆動することにより、機械5が振るえ、その動作量を検出手段2が応答rを検出する。
推力指令Tもしくは掃引正弦波Cと、応答rを周波数特性演算装置6に与える。なお、応答rは、制御器3を介して周波数特性演算装置6に与えて良い。
周波数特性演算装置6は、推力指令Tもしくは掃引正弦波Cと、応答rを、例えばFFT(Fast Fourier Transform)により、周波数分析を行う。
推力指令Tもしくは掃引正弦波Cと、応答rを複数回に分けて周波数特性演算装置6に与え、周波数分析し、平均化したオート・パワー・スペクトルとクロス・スペクトルを算出する。
平均化した推力指令Tである掃引正弦波Cのオート・パワー・スペクトルGxxと平均化した応答rと、推力指令Tである掃引正弦波Cのクロス・スペクトルGyxから、式(1)によって、周波数特性Hを得る。
【0081】
=Gyx/Gxx 式(1)
【0082】
なお、平均化したオート・パワー・スペクトルとクロス・スペクトルは、上記のように推力指令Tである掃引正弦波Cと、応答rを複数回に分けても良いし、推力指令Tである掃引正弦波Cと、応答rを長時間計測しておき、これを複数個に分けて周波数分析し、平均化したオート・パワー・スペクトルとクロス・スペクトルを求めても良い。
周波数特性を計測するステップSTEP10では、上記のように周波数特性を計測するのである。
【0083】
図4は本発明の第1実施例を示す摩擦を有する周波数応答特性の図である。
ステップSTEP10では、図4のような周波数応答特性を計測する。
周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20は、ステップSTEP10にて得た周波数特性から、低周波数領域に現れる質量と摩擦の影響から剛体負荷モデルと摩擦モデルを得る。
図4は、1つの反共振と共振を持ち、摩擦によって低周波数領域のゲインが変わる。
摩擦が無い場合には、横軸の周波数を対数で示せば、左上から右下に直線で落ちるゲインとなり、この傾きが質量、つまり剛体負荷を示し、この部分を抜き出すと、式(2)となる。
【0084】
【数1】

【0085】
ここで、H:速度応答の剛体負荷の周波数特性、J:質量(剛体負荷)、s:ラプラス演算子を示す。
【0086】
図5は、本発明の第1実施例を示す剛体系と2慣性系を示す図である。
前記式(1)は、図5(a)のようなモデルで表現できる。
なお、図4は2慣性系のグラフであり、図5(b)のようなモデルで表現でき、摩擦が無いと、式(3)で示される。
【0087】
【数2】

【0088】
ここで、H:速度応答の2慣性系の周波数特性、J:電動機側の質量、J:機械側の質量、C:減衰、K:剛性 を示す。
また、電動機側の質量と機械側の質量の和は、全体の質量となり、式(4)となる。
【0089】
J=J+J 式(4)
【0090】
共振周波数frは、式(5)となり、反共振周波数faは式(6)となる。
【0091】
【数3】

【0092】
【数4】

【0093】
つまり、2慣性系の周波数特性の場合でも、低周波数領域に限定すれば、剛体負荷を示し両者は一致する。(第1従来例の図14に示している。)
このため、低周波数領域のゲインのグラフの傾きを、前記式(1)に近似して、剛体負荷つまり質量を求めることができる。
しかしながら、図4のように摩擦が存在すると、グラフが直線でなくなり、そのままでは、求めた質量の精度が低下する恐れがある。
そこで、摩擦の存在を考慮して、機械モデル推定手段10が剛体負荷つまり質量を求める方法を示す。
【0094】
摩擦には、クーロン摩擦、粘性摩擦、静止摩擦があるが、一定値のドリフトとして現れるクーロン摩擦や静止摩擦は、周波数特性には影響が少ないので、粘性摩擦を考慮すれば良い。
図6は、本発明の第1実施例を示す摩擦を有する剛体系モデルを示す図である。
速度に比例する推力を発生するので、図6は、前記式(2)を変形して式(7)として数値化される。
【0095】
【数5】

【0096】
ここで、H’:摩擦を考慮した速度応答の剛体負荷の周波数特性、D:(粘性)摩擦特性、M’: 摩擦を考慮した速度応答の剛体負荷の周波数特性の逆数である。
【0097】
図4の摩擦を含む周波数特性が計測された場合でも、前記式(7)を用いれば、粘性摩擦特性Dを考慮して質量Jを求めることができる。
【0098】
計測した周波数特性Hの逆数を、式(8)のように、Mとすれば、MとH’の逆数M’の差εを最小にすれば良い。つまり、最小二乗法を用いて式(9)を解けば、式(10)、式(11)のように、質量と摩擦が求められる。
【0099】
【数6】

【0100】
【数7】

【0101】
【数8】

【0102】
【数9】

【0103】
ここで、n;最小二乗法に用いた周波数特性のデータ数(周波数領域のライン数)を示す。
【0104】
周波数特性のデータ数(周波数領域のライン数)nは、図4のA−A’やA’’−A’のように任意の2点を選んで質量Jと摩擦特性Dを推定して良い。
また、後述する反共振を推定しておき、反共振より低い周波数領域で質量Jと摩擦特性Dを推定するようにしても良い。
【0105】
上記の例では、最小二乗法を用いたが、計測した周波数特性に前記式(7)を曲線適合して、質量Jと摩擦特性Dを推定して良い。
初期値を上記の最小二乗法の結果としても良いし、予め初期値を決めておき、計測した周波数特性と前記式(7)による曲線適合の結果の差が小さくなるように、質量Jと摩擦特性Dを推定して良い。
【0106】
計測した周波数特性Hに、前記式(7)による曲線適合の結果Hの差ΔHを近づくように、質量Jと摩擦特性Dから成るパラメータPをΔP変えるので、
結果の差ΔHと、前記式(7)による曲線適合の結果HのパラメータP(J,D)の偏微分と、パラメータPの変化量ΔPは、式(12)の関係となる。
【0107】
【数10】

【0108】
前記式(12)を詳しく書けば、式(13)となる。
【0109】
【数11】

【0110】
ここで、X:複素数値Xの実数成分、X:複素数値Xの虚数値成分を示す。
【0111】
これを、例えば、ガウス・ニュートン法によって解けば、パラメータPの変化量ΔPにより、前記式(7)による曲線適合の結果Hが計測した周波数特性Hに近づく値、つまり、質量Jの変化量ΔPと摩擦特性Dの変化量ΔDが判る。
変化量ΔP、ΔDにて質量J、摩擦特性Dを修正して曲線適合すれば、計測した周波数特性Hに合致した値となる。
また、計測した周波数特性Hと現状値から成る前記式(7)による曲線適合の結果Hの差ΔHに重みWを付けてパラメータPの変化量ΔPを求めても良い。この場合、式(14)を考慮し、前記式(13)のΔHにΔH‘を置き換えて用いる。
【0112】
[ΔH‘]=[ΔH]・[W] 式(14)
【0113】
ただし、上記のように、パラメータPの変化量ΔPを導いても、前記式(7)による曲線適合の結果Hが計測した周波数特性Hに近づかない場合がある。変化量ΔPにより、曲線適合の結果Hの変化率は高いが、ΔHが増大する場合がある。この場合には、反復計算により、パラメータPの変化量ΔPを収束させる。式(15)のようにパラメータを逐次更新し、収束した変更量ΔPを導出する。
【0114】
n=Pn-1+ΔP 式(15)
【0115】
以前の値よりΔHが増大する場合には、式(16)のようにパラメータPを逐次更新し、ΔHが減少するようにする。
【0116】
n=Pn-1+e・ΔP 式(16)
【0117】
ここで、0<e<1
【0118】
以上のようにして、機械モデル推定手段10は、計測した周波数特性から質量Jと摩擦特性Dを推定するのである。
つまり、質量Jと摩擦特性Dを推定するので、機械特性モデル7である剛体負荷モデル8と摩擦モデル9を機械モデル推定手段10がモデル化できるのである。
【0119】
周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30では、2つのステップをさらに有し、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31が計測した周波数特性から周波数特性ピーク検出手段11から共振・反共振周波数を求め、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32が減衰推定値解析手段12によって減衰を算出する。
【0120】
共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31では、計測した周波数特性に機械系の共振が存在すれば、ゲイン(振幅)には凹凸が現れ、凸側は共振、凹側は反共振になるので、周波数特性ピーク検出手段11がゲイン(振幅)の凹凸のピークを検出すれば、共振・反共振周波数を推定できる。
【0121】
次に、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32では、
共振・反共振周波数が検出できれば、減衰は凸または凹の角度なので、共振・反共振のピークとその周辺値から、減衰推定値解析手段12は減衰を推定できる。
【0122】
共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31で共振・反共振周波数を推定し、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32で減衰を推定できるので、振動系モデル17である共振モデル18、反共振モデル19、減衰モデル20を求めることができる。
なお、周波数特性の図4のA−A’やA’’−A’である低周波数領域から質量Jと摩擦特性Dを推定したように、図4のB−B’ように任意の2点を選んで共振・反共振周波数を推定し、減衰を推定しても良い。
【0123】
以上のように、周波数特性を計測するステップSTEP10と、周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20と、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31と共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32から成る周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30を実施することで、周波数特性演算装置6が周波数特性を計測し、機械モデル推定手段10が機械特性モデル7である剛体負荷モデル8と摩擦モデル9を求め、周波数特性ピーク検出手段11と減衰推定値解析手段12が振動系モデル17である共振モデル18、反共振モデル19、減衰モデル20を求めることができる。
【実施例2】
【0124】
図7は、本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化方法のフローチャートである。
STEP10は周波数特性を計測するステップ、STEP20は周波数特性から機械特性モデルを算出するステップ、STEP30は周波数特性から振動系モデルを算出するステップである。
周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30のSTEP31は共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップ、STEP32は共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップ、STEP33は振動モードを算出するステップである。
【0125】
図8は、本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置の全体構成図である。
図9は、本発明の第3実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置のブロック図である。
図において、1は電動機、2は検出手段、3は制御器、4は指令手段、5は機械、6は周波数特性演算装置、7は機械特性モデル、8は剛体負荷モデル、9は摩擦モデル、10は機械モデル推定手段、11は周波数特性ピーク検出手段、12は減衰推定値解析手段、13は振動モード推定手段、14は出力手段、15は入力手段、16は記憶手段、17は振動系モデル、18は共振モデル、19は反共振モデル、20は減衰モデル、21は振動モードモデルとなっている。
検出手段2は、電動機1の動作量を検出する2aと、機械5の可動部の動作量を検出する2bと、機械5に取り付けられた加速度計2c〜2mがある。
加速度計2d、2fは、機械5の可動部の可動方向の加速度を検出し、加速度2eは機械5の可動部に付けてあるが、可動方向とは垂直方向に取り付けられ、加速度計2c、2g、2h、2mは機械5の可動しない支持部に取り付けられている。
【0126】
本実施例が、第1実施例と異なるのは、電動機1が回転型モータであり、検出手段2が回転型モータに付随する電動機の動作量を検出する回転型エンコーダと、機械5の可動部の動作量を検出するリニアエンコーダとを持つフルクローズド構成である点と、複数の加速度計を機械5に貼り付けた点である。
なお、電動機1が回転型モータであるため、第1実施例で示した負荷J、剛体負荷モデルは、慣性モーメントJとなる。
また、周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30に、振動モードを算出するステップSTEP33を含めた点が第1実施例とは異なる。
【0127】
本発明が特許文献1と異なる部分は、摩擦モデル9と複数の検出手段2と振動モード推定手段13、摩擦モデル9を備えた部分である。
【0128】
本発明が特許文献2と異なる部分は、周波数特性演算装置6と機械モデル推定手段10と周波数特性ピーク検出手段11と減衰推定値解析手段12と振動モード推定手段13と入力手段15と記憶手段16と、振動系モデル17として共振モデル18と反共振モデル19と減衰モデル20と振動モードモデル21を備えた部分である。
【0129】
機械特性モデル化方法は、図7に示すように、第1実施例と同様3つのステップによって進める。
周波数特性を計測するステップSTEP10は、第1実施例と同様に、開ループ化し、指令手段4は掃引正弦波Cをトルク指令Tとして制御器3に与えて、電動機1を駆動し、その動作量や機械5の振るえた量を検出手段2が応答rを検出する。
第1実施例とは異なり、検出手段2aと共に、2bと、加速度計の検出手段2d、2f、2e、2c、2g、2h、2mも応答riを検出する。
トルク指令Tである掃引正弦波Cと、応答riを周波数特性演算装置6に与えることで、9種類の周波数特性を計測できる。なお、応答ra,rbは、制御器3を介して周波数特性演算装置6に与えて良い。
【0130】
各々の周波数特性は、第1実施例と同様に演算できる。
平均化したクロス・スペクトルを、9種の応答riと推力指令Tもしくは掃引正弦波Cから求め、前記式(1)にて9種の周波数応答特性HM,iを求めれば良い。
なお、加速度計の検出手段2d、2f、2e、2c、2g、2h、2mは、取り外し可能であれば、振動モードを算出するステップSTEP33のために、計測点を変えて周波数特性をさらに追加して得てもよい。
【0131】
周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20は、第1実施例と同様に、ステップSTEP10にて得た周波数特性から、低周波数領域に現れる慣性モーメントと摩擦の影響から剛体負荷モデルと摩擦モデルを得る。
ただし、機械5の可動部の可動方向とは垂直方向に付けてある加速度2eと、機械5の可動しない支持部に付けてある加速度計2c、2g、2h、2mから得た、周波数特性HMe,HMc,HMg,HMh,HMmは、剛体成分の影響を受けないので、剛体負荷モデルと摩擦モデルの推定に用いない。
検出手段2a、2bと、機械5の可動部の可動方向の加速度を検出する加速度計2d、2fを用いて、機械モデル推定手段10が負荷慣性モーメントJと摩擦特性Dを推定する。
【0132】
なお、検出手段2aは、電動機1の速度の動作量を検出し、検出手段2bは、機械5の可動部の位置・変位の動作量を検出し、加速度計の検出手段2d、2fは、機械5の可動部の加速度の動作量を検出するので、前記式(7)の単位系が異なる。
機械モデル推定手段11は、計測した周波数特性HMb,HMd、HMfを微分もしくは積分して、第1実施例と同じ単位系にして、第1実施例と同様に慣性モーメントJと摩擦特性Dを推定しても良いし、前記式の単位系を変えて構築し、第1実施例のような演算を実施して慣性モーメントJと摩擦特性Dを推定しても良い。
【0133】
前記式(7)を加速度応答の周波数特性とすれば、式(17)となり、位置・変位応答の周波数応答ならば、式(18)となる。
【0134】
【数12】


【数13】

【0135】
ここで、H(a)’:摩擦を考慮した加速度応答の周波数特性、H(d)’:摩擦を考慮した位置・変位応答の周波数応答である。
【0136】
単位系が異なる場合も、第1実施例と同様に、最小二乗法や曲線適合により慣性モーメントJと摩擦特性Dを推定する。
【0137】
複数の周波数特性から慣性モーメントJと摩擦特性Dを推定するので、ここでは9種類の慣性モーメントJと摩擦特性Dが求められる。
これらを平均化して、最終的な慣性モーメントJと摩擦特性Dとして良い。
【0138】
以上のように、周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20で、機械モデル推定手段11は、機械特性モデル7である剛体負荷モデル8と摩擦モデル9を求めるのである。
【0139】
次に、周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30に進み、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32、振動モードを算出するステップSTEP33を実施する。
【0140】
共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31では、周波数特性を計測するステップSTEP10で得た9種の周波数応答特性HMa,Mb,Mc, HMd,Me, HMf,Mg,HMh,Mm を用いて、第1実施例と同様に、周波数特性ピーク検出手段11は、共振・反共振周波数を推定できる。
複数の検出手段2を用いて、電動機1や機械5の様々な点を計測しているので、第1実施例では検出できない共振を把握できる。
以上のように、周波数特性ピーク検出手段11は、振動系モデル17である共振モデル18、反共振モデル19を算出できるのである。
【0141】
共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32では、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31で得た、共振周波数もしくは反共振周波数の減衰を、第1実施例と同様にして、減衰推定値解析手段12が算出する。
本実施例では、複数の周波数特性を計測しているので、同じ共振周波数が複数の周波数特性に存在し、減衰も複数得ることができるが、個々の減衰としても良いし、平均化した減衰を求めても良い。
以上のようにして、減衰推定値解析手段12は振動系モデル17である減衰モデル20を算出するのである。
【0142】
振動モードを算出するステップSTEP33では、周波数特性を計測するステップSTEP10で得た、複数の周波数特性を、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32を元に、振動モード推定手段13は、振動モードを算出する。
振動モードは機械が振動する挙動であり、ある共振周波数における周波数特性のゲイン(振幅)と位相から求められ、電動機1を含む機械5の計測した各点の動きを監察して、機械的な剛性を定性的に判断できる。
このように、振動モードを算出するステップSTEP33では、振動モード推定手段13が、振動系モデル17である振動モードモデル21を算出するのである。
【0143】
以上のように、本実施例では、周波数特性を計測するステップSTEP10にて、複数の周波数特性を計測し、周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20にて、剛体成分を検出した周波数特性を用いて、機械モデル推定手段11が機械特性モデル7である剛体負荷モデル8と摩擦モデル9を算出でき、周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30に進み、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31にて、周波数特性ピーク検出手段11が、反共振・共振を算出し、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32では、減衰推定値解析手段12が、共振もしくは反共振の減衰を算出し、振動モードを算出するステップSTEP33では、振動モード推定手段13が振動モードを算出することで、振動系モデル17である共振モデル18、反共振モデル19、減衰モデル20、振動モードモデル21を算出できるのである。
【実施例3】
【0144】
図10は本発明の第3実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置の全体構成図である。
図11は本発明の第3実施例を示す電動機制御装置のブロック図である。
図において、1は電動機、2は検出手段、3は制御器、4は指令手段、5は機械、6は周波数特性演算装置、7は機械特性モデル、8は剛体負荷モデル、9は摩擦モデル、10は機械モデル推定手段、11は周波数特性ピーク検出手段、12は減衰推定値解析手段、14は出力手段、15は入力手段、16は記憶手段、17は振動系モデル、18は共振モデル、19は反共振モデル、20は減衰モデルとなっている。
【0145】
本実施例が第1実施例や第2実施例と異なるのは、2つの電動機1と制御器3を持つ2軸構成である点である。
また、第1実施例とは、2軸とも電動機1がリニアモータでは無く、回転モータである点が異なる。機械特性モデル化方法の手順は、第1実施例の図1と同様である。
第2実施例とは、電動機1が回転モータである点は同じだが、X軸は検出手段2が電動機1bの動作量を検出するセミクローズド構成である点が異なる。Y軸検出手段2がフルクローズド構成である点は同じであるが、他に加速度計を持たず、振動モード推定手段13を有さず、振動系モデル17を求める振動モードを算出するステップSTEP33を機械特性モデル化方法の手順に含まない点が異なる。
さらに、多軸構成にしたので、電動機1aを動作させたときの検出手段2bの応答による周波数特性HMb,1、電動機1bを動作させたときの検出手段2a、2cの応答による周波数特性HMa,2、HMc,2が得られる点が異なるが、複数の周波数特性を得る点は第2実施例と同じである。
【0146】
本発明が特許文献1と異なる部分は、摩擦モデル9を備えた部分と、多軸構成にしたので、電動機1aを動作させたときの検出手段2bの応答による周波数特性HMb,1、電動機1bを動作させたときの検出手段2a、2cの応答による周波数特性HMa,2、HMc,2が得られる点である。
【0147】
本発明が特許文献2と異なる部分は、周波数特性演算装置6と機械モデル推定手段10と周波数特性ピーク検出手段11と減衰推定値解析手段12と入力手段15と記憶手段16と、振動系モデル17として共振モデル18と反共振モデル19と減衰モデル20を備え、多軸構成にしたので、電動機1aを動作させたときの検出手段2bの応答による周波数特性HMb,1、電動機1bを動作させたときの検出手段2a、2cの応答による周波数特性HMa,2、HMc,2が得られる点である。
【0148】
第1実施例と同様、周波数特性を計測するステップSTEP10、周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20、周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30という手順で進める。
【0149】
周波数特性を計測するステップSTEP10では、多軸構成の周波数特性を得る。
第1実施例や第2実施例と基本的には同じであるが、電動機1aを動作させたときの検出手段2bの応答による周波数特性HMb,1、電動機1bを動作させたときの検出手段2a、2cの応答による周波数特性HMa,2、HMc,2が得られる特徴がある。
【0150】
周波数特性を計測する手順は以下のようになる。
2軸ともにフィードバック・ループを切り、開ループ化し、指令手段4は掃引正弦波Cを発生し、トルク指令として制御器3aに与えると、電動機1aが付加された機械5と共に動作する。制御器3bにはトルク指令を与えず、開ループ化のままにする。
動作した電動機1aと機械5の動作量ra,rcを、検出手段2a,2cが検出する。
一方、検出手段2bでも応答rbを得る。
これにより、周波数特性演算装置6は、指令手段4の掃引正弦波Cのトルク指令T1と検出手段2が検出したra,rb,rcから、周波数特性Ha、Hc、Hb,1を得る。
次に、動作させる軸を入れ替えて、指令手段4は掃引正弦波Cを発生し、トルク指令として制御器3bに与えると、電動機1bが付加された機械5と共に動作する。動作した電動機1bの動作量rbを検出手段2bが検出する。
もう1軸も、電動機1bが動作するので、検出手段2a,2cでも応答ra、rcを得る。
これにより、周波数特性演算装置6は、指令手段4の掃引正弦波Cのトルク指令T2と検出手段2が検出したra,rb,rcから、周波数特性Ha,2、Hc,2、Hbを得る。
【0151】
以上のようにして、ステップSTEP10にて、周波数特性演算装置6は6つの周波数特性Ha、Hc、Hb,1とHa,2、Hc,2、Hbを計測できる。
なお上記では、計測する際に、電動機1aと1bを交互に動作させ、片方は停止させていたが、指令手段4の2種類の指令Cが互いに無相関であれば、電動機1aと1bを同時に動作させ、周波数特性Ha、Hc、Hb,1とHa,2、Hc,2、Hbを計測しても良い。
【0152】
電動機1aと1bを同時に動作する場合は、電動機1aを指令手段4のランダム波C1で動作させ、電動機1bを指令手段4のM系列波C2で動作させ、C1とC2が互いに無相関であれば、3つの検出手段2a,2b,2cが応答ra,rb,rcを得て、周波数特性演算装置6は、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)を利用して周波数分析し、スペクトルを得る。スペクトルはオート・パワー・スペクトルとクロス・スペクトルに演算する。オート・パワー・スペクトルとクロス・スペクトルは平均化する。これらのスペクトルから周波数特性Hを求められる。周波数特性Hは、模擬的に示す式(19)の関係がある。
【0153】
【数14】

【0154】
左辺の指令信号C1,C2を正方行列化して、その逆行列を掛ければ、周波数特性のマトリックスが解けるので、模擬的に示した式(20)からHa、Hc、Hb,1とHa,2、Hc,2、Hbが求まることが判る。
【0155】
【数15】

【0156】
ここで、A*;Aの複素共役
[A]-1;[A]の逆行列 を示す。
【0157】
つまり、平均化したオート・パワー・スペクトルとクロス・スペクトルから、式(21)にて周波数特性Hの行列が解ける。
【0158】
【数16】

【0159】
ここで、
G’ra,c1;応答raと指令信号C1の平均化したクロス・スペクトル
G’rb,c1;応答rbと指令信号C1の平均化したクロス・スペクトル
G’rc,c1;応答rcと指令信号C1の平均化したクロス・スペクトル
G’ra,c2;応答raと指令信号C2の平均化したクロス・スペクトル
G’rb,c2;応答rbと指令信号C1の平均化したクロス・スペクトル
G’rc,c2;応答rcと指令信号C1の平均化したクロス・スペクトル
G’c1,c1;指令信号C1の平均化したオート・パワー・スペクトル
G’c1,c2;指令信号C1と指令信号C2の平均化したクロス・スペクトル
G’c2,c1;指令信号C2と指令信号C1の平均化したクロス・スペクトル
G’c2,c2;指令信号C2の平均化したオート・パワー・スペクトル
を示す。
【0160】
このように、いずれかの方法で周波数特性演算装置6は6つの周波数特性を計測することができる。
【0161】
周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20は、第1実施例や第2実施例と同様に実行できる。
複数の周波数特性を用いる点は、第2実施例と同様であり、機械モデル推定手段10は、慣性モーメントと摩擦特性を算出することで、機械特性モデル7である剛体負荷モデル8と摩擦モデル9を求めるのである。
本実施例では2軸構成なので、2種類の剛体負荷モデル8と摩擦モデル9を求める。
X軸側は、検出手段2bで得た応答から求められた周波数特性HMbを用いて慣性モーメントと摩擦特性を算出する。また、周波数特性HMb、1を用いても良い。
Y軸側は、検出手段2a,2cで得た応答から求められた周波数特性HMa、Mcを用いて慣性モーメントと摩擦特性を算出する。また、周波数特性HMa,2、Mc,2を用いても良い。
【0162】
次に、周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30に進み、第1実施例と同様に、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32を実施する。
【0163】
共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31は、第1実施例や第2実施例と同様に実行できる。
複数の周波数特性を用いる点は、第2実施例と同様であり、周波数特性ピーク検出手段11は、振動系モデル17である共振モデル18、反共振モデル19を算出できるのである。
【0164】
共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32も、第1実施例や第2実施例と同様に実行できる。
複数の周波数特性を用いる点は、第2実施例と同様であり、減衰推定値解析手段12は振動系モデル17である減衰モデル20を算出するのである。
【0165】
このように、周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30では、第1実施例や第2実施例と同様に、振動系モデル17である共振モデル18、反共振モデル19、減衰モデル20を算出する。
【0166】
以上のように、本実施例では、周波数特性を計測するステップSTEP10にて、多軸構成の複数の周波数特性を計測し、周波数特性から機械特性モデルを算出するステップSTEP20にて、剛体成分を検出した周波数特性を用いて、機械モデル推定手段11が機械特性モデル7である剛体負荷モデル8と摩擦モデル9を算出でき、周波数特性から振動系モデルを算出するステップSTEP30に進み、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップSTEP31にて、周波数特性ピーク検出手段11が、反共振・共振を算出し、共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップSTEP32では、減衰推定値解析手段12が、共振もしくは反共振の減衰を算出し、振動系モデル17である共振モデル18、反共振モデル19、減衰モデル20を算出できるのである。
【産業上の利用可能性】
【0167】
周波数特性を計測することによって機械モデルを推定することができるので、電動機を最適に動作させるための情報を把握するという用途に適用できる。
また、機械モデルを推定できるので、実際に電動機を最適に動作させる前に、事前検討として、数値モデルを使った制御系のシミュレーションに用いる制御対象のモデルにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化方法のフローチャート
【図2】本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置の全体構成図
【図3】本発明の第1実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置のブロック図
【図4】本発明の第1実施例を示す摩擦を有する周波数応答特性の図
【図5】本発明の第1実施例を示す剛体系と2慣性系を示す図
【図6】本発明の第1実施例を示す摩擦を有する剛体系モデルを示す図
【図7】本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化方法のフローチャート
【図8】本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置の全体構成図
【図9】本発明の第2実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置のブロック図
【図10】本発明の第3実施例を示す電動機制御装置の機械特性モデル化装置の全体構成図
【図11】本発明の第3実施例を示す電動機制御装置のブロック図
【図12】従来の第1例を示す機械モデル推定装置を備えた電動機制御装置の全体構成図
【図13】従来の第1例を示す剛体モデル式の曲線適合への不適の一例を示した図
【図14】従来の第2例を示す基本的な考え方の詳細を示したブロック図
【符号の説明】
【0169】
1 電動機
2 検出手段
3 制御器
4 指令手段
5 機械
6 周波数特性演算装置
7 機械特性モデル
8 剛体負荷モデル
9 摩擦モデル
10 機械モデル推定手段
11 周波数特性ピーク検出手段
12 減衰推定値解析手段
13 振動モード推定手段
14 出力手段
15 入力手段
16 記憶手段
17 振動系モデル
18 共振モデル
19 反共振モデル
20 減衰モデル
21 振動モードモデル
101 演算装置
102 サーボ制御装置
103 回転検出器
104 電動機
105 伝達機構
106 可動部
107 非可動部
108 動作指令信号
109 回転検出器信号
110 制御信号
119 入力装置
120 周波数特性式
121 出力装置
201 速度指令発生部
202 速度制御部
203 モデル速度制御部
204 同定部
205 調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械を駆動する電動機の動作指令を作成する指令手段を備えた電動機制御装置が前記機械を駆動するとともに、検出手段が前記機械の動作量を検出し、前記検出された動作量と前記動作指令とを演算することにより前記機械の周波数特性を得る周波数特性演算装置を備え、前記機械の特性をモデル化する機械特性モデル化装置において、
前記電動機と前記機械の負荷量の剛体負荷モデルと、
摩擦を数値化した摩擦モデルを含む機械特性モデルと、
前記周波数特性から前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルとを含む前記機械特性モデルを算出する機械モデル推定手段と、を有することを特徴とする電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項2】
前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性から、前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルを直接算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項3】
前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性を前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルとを含めた前記機械特性モデルで曲線適合して、前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルを含む前記機械特性モデルを算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項4】
前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性に近づくよう曲線適合した前記剛体負荷モデルと前記摩擦モデルとを含む前記機械特性モデルの変化量を反復演算により収束させることを特徴とする請求項3に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記電動機の位置、速度若しくは加速度、または前記機械の位置、速度若しくは加速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項6】
前記指令手段の出力は、掃引正弦波であることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項7】
前記指令手段の出力は、M系列信号であることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項8】
前記指令手段の出力は、ランダム波であることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項9】
前記電動機は回転型モータであって、
前記電動機と前記機械の負荷量である前記剛体負荷モデルは慣性モーメントであることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項10】
前記電動機は並進型モータであって、
前記電動機と前記機械の負荷量である前記剛体負荷モデルは質量であることを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項11】
前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性の共振周波数と反共振周波数からなる突起形状を自動的に算出する周波数特性ピーク検出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項12】
前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性ピーク検出手段で検出した共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定する減衰推定値解析手段を有することを特徴とする請求項11に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項13】
前記機械特性モデルは、前記機械モデル推定手段に予め入力されている共振モデルと減衰モデルを含む振動系モデルを含み、
前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性から、前記共振モデルと前記減衰モデルとを含む振動系モデルを算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項14】
複数の前記検出手段を用いて計測した複数の前記周波数特性から、
前記機械モデル推定手段、手段前記周波数特性ピーク検出手段、前記減衰推定値解析手段は、それぞれ、前記負荷モデルと前記摩擦モデル、共振周波数と反共振周波数、減衰を推定することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項15】
前記機械モデル推定手段は、前記複数の周波数特性から振動モードを推定する振動モード推定手段をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項16】
前記電動機制御装置、前記電動機、前記検出手段をそれぞれ少なくとも2つ以上備え、
前記周波数特性演算装置は、少なくとも2つ以上の前記周波数特性を計測することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項17】
出力手段、入力手段、または記憶手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項18】
前記機械モデル推定手段は、前記周波数特性の少なくとも2点を任意に指定し周波数範囲を限定して、前記機械特性モデルを算出することを特徴とする請求項1に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化装置。
【請求項19】
機械と、前記機械を駆動する電動機と、前記電動機の制御指令を作成する指令手段と前記制御指令を受けて前記電動機を駆動する制御器とを備える電動機制御装置と、からなる電動機制御システムの機械特性モデル化方法において、
前記指令手段が前記電動機の動作指令を作成して、前記動作指令によって駆動された前記機械の周波数特性を計測するステップと、
前記周波数特性から機械特性モデルを算出することにより剛体負荷モデルと摩擦モデルとを含む機械特性モデルを導くステップと、から構成されることを特徴とする電動機制御装置の機械特性モデル化方法。
【請求項20】
前記機械特性モデルは、共振モデルと減衰モデルとを含む振動系モデルを含むことを特徴とする請求項19に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化方法。
【請求項21】
前記周波数特性から振動系モデルを算出するステップを有することを特徴とする請求項19に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化方法。
【請求項22】
前記振動系モデルを算出するステップは、前記周波数特性の共振周波数と反共振周波数からなる突起形状を自動的に算出して周波数特性のピークを検出し、共振周波数もしくは反共振周波数を推定するステップを有することを特徴とする請求項21に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化方法。
【請求項23】
前記振動系モデルを算出するステップは、前記周波数特性の共振周波数あるいは反共振周波数から減衰を推定するステップを有することを特徴とする請求項21に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化方法。
【請求項24】
前記振動系モデルを算出するステップは、前記周波数特性を複数用いて振動モードを算出するステップを有することを特徴とする請求項21に記載の電動機制御装置の機械特性モデル化方法。
【請求項25】
請求項1記載の機械特性モデル化装置を備えたことを特徴とする電動機制御装置。
【請求項26】
請求項25記載の制御装置によって制御され、特性がモデル化されることを特徴とする機械。
【請求項27】
請求項1記載の機械特性モデル化装置を備えた電動機制御装置と、
前記電動機制御装置により制御される電動機と、
前記電動機により駆動される機械と、
からなることを特徴とする機械制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−333594(P2006−333594A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151849(P2005−151849)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】