説明

欠陥検査装置およびその方法

【課題】様々な領域を有する様々な被検査対象基板上に存在する微小な粒状異物や薄膜状の異物やスクラッチ等のキズ等などの欠陥を簡単な構成で、高速で、しかも高精度に検査できるようにした欠陥検査装置およびその方法を提供することにある。
【解決手段】照射光学系20と、検出光学系30と、画像処理部40とを備え、前記照射光学系において、第1又は第2の光路に導かれたビーム光束を反射して下方に向けるミラー2603と、該ミラーで下方に向けられたビーム光束を平面上所定の傾き方向から傾斜角で被検査対象基板1上にスリット状ビーム90として集束させるシリンドリカルレンズ251及び傾斜ミラー2604とを備えた欠陥検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程、液晶表示素子製造工程プリント基板製造工程等、基板上にパターンを形成して対象物を製作していく製造工程で、発生する異物等の欠陥を検出し、分析して対策を施す製造工程における異物等の欠陥の発生状況を検査する欠陥検査装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体製造工程では、半導体基板(ウエハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になり、さらに半導体素子が、微細化して半導体基板中に微細な異物が存在した場合にこの異物が、キャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。これらの異物は、搬送装置の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスによる処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなど種々の原因により種々の状態で混入される。同様の液晶表示素子製造工程でも、パターン上に異物が混入したり、何らかの欠陥が生じると、表示素子として使えないものになってしまう。プリント基板の製造工程でも状況は同じであって、異物の混入はパターンの短絡、不良接続の原因に成る。
【0003】
また、上記異物を検査する技術として、ウエハにコヒーレント光を照射してウエハ上の繰り返しパターンから射出する光を空間フィルタで除去し繰り返し性を持たない異物や欠陥を強調して検出する方法が知られている。また、ウエハ上に形成された回路パターンに対して該回路パターンの主要な直線群に対して45度傾けた方向から照射して主要な直線群からの0次回折光を対物レンズの開口内に入力させないようにした異物検査装置が、特開平1−117024号公報(特許文献1)において知られている。この従来技術1においては、主要な直線群ではない他の直線群を空間フィルタで遮光することについても記載されている。また、異物等の欠陥検査装置およびその方法に関する従来技術としては、特開平6−258239号公報(特許文献2)、特開平8−210989号公報(特許文献3)、特開2000−105203号公報(特許文献4)、特開2004−93252号公報(特許文献5)、特開2004−177284号公報(特許文献6)及び特開2004−184142号公報(特許文献7)が知られている。即ち、特許文献2及び特許文献7にはピッチ可変の空間フィルタを用いる点が記載されている。また、引用文献3には、レーザ光源から出射されたビームを分割してミラーとミラーとの組み合せによって互いの光路長を異ならしめて互に空間的インコヒーレントの複数の光束を得、該得られた複数の光束を基板上の所望の箇所に対して互に異なる入射角度で斜め方向から照射し、該照射による基板上の微小欠陥から生じる反射散乱光を検出光学系で集光して光電変換手段で受光することが記載されている。また、特許文献7には、更に空間フィルタとして透過型の液晶フィルタを含め様々形態のものを用いることが記載されている。また、特許文献4、特許文献5及び特許文献6には、パターンからの散乱光が対物レンズに入射するのが低減される45度方向からスリット状ビームを照明する高効率照明光学系を備えた異物等の欠陥検査装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−117024号公報
【特許文献2】特開平6−258239号公報
【特許文献3】特開平8−210989号公報
【特許文献4】特開2000−105203号公報
【特許文献5】特開2004−93252号公報
【特許文献6】特開2004−177284号公報
【特許文献7】特開2004−184142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜7では、様々な領域(超微細な回路パターンのエッジラフネス部が存在する領域、繰り返しパターン部と非繰り返しパターン部が混在する領域、パターン密度が異なる領域、透明膜が存在する領域等)を有する様々な被検査対象基板上に存在する微小な粒状異物や薄膜状の異物やスクラッチ等のキズ等などの欠陥を簡単な構成で検査できるようにした点については十分考慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、様々な領域を有する様々な被検査対象基板上に存在する微小な粒状異物や薄膜状の異物やスクラッチ等のキズ等などの欠陥を簡単な構成で、高速で、しかも高精度に検査できるようにした欠陥検査装置およびその方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、インラインモニタとして用いて、高効率の基板製造ラインを構築できるようにした欠陥検査装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、回路パターンが形成された被検査対象基板を載置して走行させるステージと、レーザ光源から出射されるビームを主光路から第1又は第2の光路に導き、該第1又は第2の光路に導かれたビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記回路パターンの主要な直線群に対して平面上所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなるスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する照射光学系と、該照射光学系によってスリット状ビームが照射された被検査対象基板上に存在する異物等の欠陥から得られる反射散乱光を対物レンズで集光し、該集光された反射散乱光をイメージセンサで受光して信号に変換して検出する検出光学系と、該検出光学系のイメージセンサから検出された信号に基づいて異物等の欠陥を示す信号を抽出する画像処理部とを備え、
前記照射光学系において、前記第1又は第2の光路に導かれたビーム光束を反射して下方に向けるミラーと、該ミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上前記所定の傾き方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記スリット状ビームとして集束させるシリンドリカルレンズ及び傾斜ミラーとを備えたことを特徴とする欠陥検査装置及びその方法である。
【0009】
また、本発明は、前記照射光学系における前記傾斜ミラーを、前記スリット状ビームを高傾斜角度照射と低傾斜角度照射とが可能なように切り替え可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、回路パターンが形成された被検査対象基板を載置して走行させるステージと、レーザ光源から出射されるビームを主光路から第1の光路、第2の光路、第3の光路の各々に導き、該第1の光路に導かれた第1のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記回路パターンの主要な直線群の内X軸方向に対して平面上時計方向に所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第1のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射し、前記第2の光路に導かれた第2のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記X軸方向に対して平面上反時計方向に所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第2のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射し、前記第3の光路に導かれた第3のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、平面上前記X軸方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第3のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する照射光学系と、該照射光学系によってスリット状ビームが照射された被検査対象基板上に存在する異物等の欠陥から得られる反射散乱光を対物レンズで集光し、該集光された反射散乱光をイメージセンサで受光して信号に変換して検出する検出光学系と、該検出光学系のイメージセンサから検出された信号に基づいて異物等の欠陥を示す信号を抽出する画像処理部とを備え、
前記照射光学系において、前記第1の光路に導かれた前記第1のビーム光束を反射して下方に向ける第1のミラーと、該第1のミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上時計方向に前記所定の傾きを有する方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第1のスリット状ビームとして集光させる第1のシリンドリカルレンズ及び第1の傾斜ミラーとを備え、前記第2の光路に導かれた前記第2のビーム光束を反射して下方に向ける第2のミラーと、該第2のミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上反時計方向に前記所定の傾きを有する方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第1のスリット状ビームとして集光させる第2のシリンドリカルレンズ及び第2の傾斜ミラーとを備え、前記第3の光路に導かれた前記第3のビーム光束を反射して下方に向ける第3のミラーと、該第3のミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上前記X軸方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第3のスリット状ビームとして集光させる第3のシリンドリカルレンズ及び第3の傾斜ミラーとを備えたことを特徴とする欠陥検査装置及びその方法である。
【0011】
また、本発明は、前記照射光学系において、前記主光路にはビーム径を拡大する主ビーム拡大光学系を有し、前記第3の光路には前記第3のビーム光束の径を更に拡大し、前記被検査対象基板上における第1、第2及び第3のスリット状ビームの長手方向の長さを合わせるビーム拡大光学系を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記照射光学系において、前記第1の光路又は前記第2の光路又は第3の光路に、主光路から得られるコヒーレントの第2のビーム光束を入射して少なくとも前記第2のシリンドリカルレンズの集光方向に互に空間的にコヒーレンシーを低減させた複数の細帯状のビームを出射する前記少なくとも前記集光方向に互に光路長を変えた複数の板状の光学部材を積み重ねて構成した光学部材群を設けて構成したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記照射光学系において、前記光学部材群の入射側に、前記入射するビーム光束径の内少なくとも前記複数の板状の光学部材の積み重ね方向に拡大するビーム拡大光学系を設けて構成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記照射光学系において、前記主光路に、前記レーザ光源から得られるコヒーレントのビーム光束を入射して少なくとも使用する光路に設けられたシリンドリカルレンズの集光方向に互に空間的にコヒーレンシーを低減させた複数の細帯状のビームを出射するように前記少なくとも集光方向に互に光路長を変えた複数の板状の光学部材を積み重ねて構成した光学部材群を出し入れ可能に設けて構成したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記照射光学系における前記第1、第2及び第3の傾斜ミラーを、前記スリット状ビームを高傾斜角度照射と低傾斜角度照射とが可能なように切り替え可能に構成したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記検出光学系において、前記被検査対象基板上に存在する繰り返し回路パターンからの干渉パターンを遮光する空間フィルタを前記対物レンズの瞳と共役な位置に設けて構成したことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記照射光学系において、前記主光路に、光量を調整する光量調整用フィルタを設けて構成したことを特徴とする。また、本発明は、前記照射光学系において、前記主光路に、偏光を制御する偏光板を設け、前記検出光学系において、偏光を制御して検出する検光子を設けて構成したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記レーザ光源において、UV又はDUVレーザ光を出射するように構成したことを特徴とする。また、本発明は、前記検出光学系において、検出結像倍率を可変に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、様々な領域を有する様々な被検査対象基板上に存在する微小な粒状異物(0.1μm程度以下の極微小な異物も含め)や薄膜状の異物やスクラッチ等のキズ等などの欠陥を簡単な構成で、高速で、しかも高精度に検査すること可能となる。
【0020】
また、本発明によれば、簡単な構成で、安価なインラインモニタとして用いて、高効率の基板製造ラインを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
異物等の欠陥を検査する被検査対象物1としては、チップ1aaを所定の間隔で2次元に配列した半導体ウエハ1aが考えられる。そして、チップ1aa内は、主としてレジスタ群領域1abと、メモリ部領域1acと、CPUコア部領域1adと、入出力部領域1aeとで形成されている。レジスタ群領域1abおよびメモリ部領域1acは、最小線幅が0.05〜0.2μm程度のパターンを2次元に規則的に配列して(繰り返して)形成している。CPUコア部領域1adおよび入出力部領域1aeは、最小線幅が0.05〜0.2μm程度のパターンを非繰り返しで形成している。このように、異物等の欠陥を検査する被検査対象物1は、半導体ウエハを対象としても、チップは規則的に配列されているが、チップ内においては、最小線幅が領域毎に異なり、しかもパターンが繰り返し、非繰り返し、なしであったり、また透明な薄膜が形成されたり、様々な形態が考えられる。
【0023】
本発明に係る異物等の欠陥検査装置および方法は、このような様々な形態を有する被検査対象物1上の0.05μm〜0.1μmレベルの微小異物やキズやパターン欠陥等の欠陥を、高感度で、しかも高速に検査できるようにした。また、本発明に係る異物等の欠陥検査装置および方法は、欠陥の種類も分類できるようにした。
【0024】
次に、本発明に係る異物等の欠陥検査装置の第1の実施の形態について図2を用いて説明する。なお、以下の実施の形態では、半導体ウエハ上の小/大異物やパターン欠陥やマイクロスクラッチ等の欠陥を検査する場合について説明するが、半導体ウエハに限らず、薄膜基板、TFT(Thin Film Transistor)、PDP(Plasma Display Panel)等にも適用可能である。
【0025】
異物等の欠陥検査装置の第1の実施の形態は、搬送系(ステージ系)10と、照射光学系20と、検出光学系30と、画像処理部40と、観察光学系50と、合焦点制御系60と、全体制御部70と、レビュー光学顕微鏡80とを備えて構成される。搬送系(ステージ系)10は、様々な品種や様々な製造工程から得られるウエハ等の被検査対象基板1を載置、移動させるXYZステージ11、12、13とθステージ(水平面内の回転ステージ)14とステージコントローラ15とを備えて構成される。
【0026】
照射光学系20は、レーザ光源21と、光量を調整する光量調整フィルタ(光量減衰フィルタ)22と、例えばP又はSの直線偏光に変換する偏光板23と、ビーム径をある大きさに拡大する主ビーム拡大光学系24と、ミラー群26等を介して、基板1上に基板の走行方向に対して直角方向に伸ばしたスリット状のビームに集光させる集光光学系25とを備えて構成される。照明光学系20には、更に、全体制御部70からの指令に基づいて各種照明角度及び各種フィルタを制御又は切り替える照明制御部27を有して構成される。レーザ光源21としては、異物等の欠陥を高感度に検査でき、またメンテナンスコストが安いことを考慮すると、高出力のYAGレーザの第2高調波SHG、波長532nmを用いるのが良いが、必ずしも532nmである必要はなく、紫外光レーザ(UV(Ultraviolet)光)や遠紫外光レーザ(DUV(Deep Ultraviolet)光)や真空紫外光レーザ、Arレーザ、窒素レーザ、He−Cdレーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ等のレーザ光源であっても良い。各種レーザ光源を用いた場合の利点としては、レーザ波長を短波長化すれば検出像の解像度が上がるため、高感度の欠陥検査が可能となる。なお、波長を0.34μm程度にした場合には対物レンズ31のNAを0.4程度、波長を0.17μm程度にしたばあいには対物レンズ31のNAを0.2程度にするのが、異物等の欠陥からの回折光を多く対物レンズ31に入射させて検出感度を向上させることが可能となる。
【0027】
検出光学系30は、図18にも示すように、対物レンズ31と、対物レンズ31の瞳と共役な位置に設けられた空間フィルタ32と、結像光学系33と、NDフィルタや偏光フィルタ(検光子)から構成される光学フィルタ群34と、TDIイメージセンサ等の光検出器(イメージセンサ)36とを備えて構成される。このようにイメージセンサ36として、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサを用いることで、感度を大きくすることができる。
【0028】
画像処理部40は、上記光検出器36で検出された画像信号をA/D変換するA/D変換器41と、該A/D変換された検出画像信号f(i,j)を記憶するデータ記憶部42と、該検出画像信号を基づいて閾値算出処理をする閾値算出処理部43と、上記データ記憶部42から得られる検出画像信号と上記閾値算出処理部43から得られる閾値画像信号とを基に画素マージ毎に異物検出処理を行う異物検出処理部44と、マージ毎に、欠陥から検出して得られた散乱光量及び欠陥の広がりを示す検出画素数(面積や投影長等)等の特徴量を算出する特徴量算出回路45と、該特徴量算出回路45から得られるマージ毎の特徴量を基に、ウエハ上の小/大異物やパターン欠陥やマイクロスクラッチ等の欠陥を各種欠陥に分類する統合処理部46とを備えて構成される。そして、統合処理部46で得られた検査結果を全体制御部70に提供して表示装置72のGUI画面等に表示して構成される。
【0029】
観察光学系50は、矢印で示すように、検出光路に出し入れ可能に設けられたミラー51と、ハーフミラー等の分岐光学要素52と、フーリエ変換面に設けられた空間フィルタ32の遮光パターンを観察する観察光学系53と、ウエハ表面の画像を観察する観察光学系54とを備えて構成される。観察光学系53は、結像レンズ531とTVカメラ等のイメージセンサ532とを備えて構成される。観察光学系54も、同様に結像レンズ541とTVカメラ等のイメージセンサ542とを備えて構成される。
【0030】
合焦点制御系60は、ランプ等の光源61と、該光源61から出射される平行光によりウエハの表面上に投影する縞パターン(格子状パターン)62と、ハーフミラー63と、縞パターンをウエハの表面に投影する投影レンズ64と、ウエハの表面で正反射した縞パターンを結像させる結像レンズ65と、該結像レンズ65で結像された縞パターンを反射するミラー66と、該ミラー66で反射され、結像レンズ65で平行光に戻されてウエハ表面で正反射して投影レンズ64及びハーフミラー63を通して得られる縞パターンを結像する結像レンズ67と、ウエハ表面の焦点ずれが縞パターンの位置ズレとして検出する1次元又は2次元のリニアイメージセンサ68と、該リニアイメージセンサ68から検出される焦点ズレに基づいて例えばZステージ13を制御してウエハの表面について合焦点合せを行う合焦点制御部69とを備えて構成される。
【0031】
全体制御部70は、投入される各種ウエハに関する情報等を入力する入力手段(キーボードやマウスやネットワーク等を含む)71、イメージセンサ36で撮像される画像や観察光学系53、54で観察される画面やレビュー光学顕微鏡70でレビューずる欠陥等の画像を表示するGUI画面等を有し、閾値算出処理部43等で算出された閾値情報や統合処理部46で得られる検査結果等を表示する表示装置72、ウエハのCAD情報や過去の各種ウエハについての検査条件情報や統合処理部46で得られる検査結果の情報などを記憶するデータ記憶部73を設けて構成される。
【0032】
レビュー光学顕微鏡80は、白色等の可視光を出射する光源81と、ハーフミラー82と、対物レンズ83と、結像レンズ84と、イメージセンサ85とを備えて構成され、欠陥または擬似欠陥等の画像を取得し、全体制御部70に提供し、表示装置72のGUI画面に表示して分類をしたり、その欠陥の位置座標等を取得してレビュー結果を取得する。即ち、レビュー光学顕微鏡80は、ステージ11、12を動かすことにより、欠陥検査装置の画像処理部40で検出されて例えば記憶装置73に記憶されたウエハ1上の異物等の欠陥(虚報も含む)の画像を観察し、図42の3903で示す各種の異物等の欠陥のレビュー画像を取得し、全体制御部70に提供するものである。そして、全体制御部70は、テスト検査において上記レビュー結果である欠陥の位置座標等に基づいて位置決めして分類された欠陥が検出できるように、予め、照明光学系20及び検出光学系30並びに画像処理部40における図43に示す異物等の欠陥検出条件出しに用いる。また、レビュー光学顕微鏡80は、欠陥の拡大画像を取得できるので、詳細解析することが可能となり、その結果、欠陥の発生原因を推定することが可能となる。
【0033】
次に、本発明の特徴である照射光学系20の具体的実施例について図3乃至図12を用いて説明する。ウエハ1a上には、チップ1aaがX軸方向及びY軸方向に配列され、チップ1aa内に形成された回路パターンにおける主要な直線群はX軸方向及びY軸方向を向いて形成されているものとする。そして、ウエハ1aはX軸方向に走行され、Y軸方向には間歇的に移動するものとする。
【0034】
図3は、右側角度φ照射光学系200aにより、第1のスリット状ビーム90aの長手方向がY軸方向を向くように上から見たときX軸方向から時計方向に角度φ(例えば45度)傾き、水平面から傾いた傾斜角度α(水平面から5〜55度程度傾いた方向)方向から照射する場合を示す。そして、図3に示す場合は、主光路220に設けられた主ビーム拡大光学系24で径を拡大したレーザビームをミラー2610で反射させて第1の光路221aに導き、該導かれた第1のビーム光束を平面上ミラー2602で反射させてX軸に対して時計方向の傾き角φ方向(例えば45度方向)から出射させ、図9(a)(b)及び図13(a)に示すように、第1のミラー2603aで下方(真下)に反射させ、平面上傾き角φを有するビーム光束230の光軸に対して傾き角φ傾けた状態で、更に光軸を中心にして光軸回りに仰角α回転させて設けられた第1のシリンドリカルレンズ251aで一方向に集光し、切替可能な第1の傾斜ミラー2604aで反射させてα角度方向からウエハ上に第1のスリット状ビーム90aとして照射する。即ち、第1のシリンドリカルレンズ251aの入射面又は出射面とウエハ上のスリット状ビーム90aとの間の距離が第1のシリンドリカルレンズ251aの焦点距離になるようにビーム光束230の光軸に対して角度φ傾け、更に該ビーム光束230の光軸回りに仰角α回転させられて設けられることになる。なお、第1のシリンドリカルレンズ251aの長手方向は、真上から見て、X軸方向から角度φ傾けた方向から更に仰角αに応じた角度回転させることになる。このように、上から見てφ方向からスリット状ビーム90aを仰角αで照射する照明光学系を、ミラー2602、2603a、2604aと第1のシリンドリカルレンズ251aのみで構成することが可能となり、これらの光学要素(光学部品)251a、2602、2603a、2604aを容易に、しかも精度良く製造することができ、そのため組立調整を容易にすることができ、大幅な原価低減を図ることが可能となった。
【0035】
なお、第1の傾斜ミラー2604aは、α1を5〜15度程度の低角度とα2を40〜55度程度の高角度に切り替え可能に構成される。
【0036】
図4は、左側角度φ照射光学系200bにより、図3とはスリット状ビーム90を線対称にして反対の左側から、上から見たときX軸方向から反時計方向に角度φ(例えば45度)傾き、水平面から傾いた傾斜角度α(水平面から5〜55度程度傾いた方向)方向から照射する場合を示す。この場合、図5に示すようにミラー2610の代わりにハーフミラー2612に切り替えた場合と同じくシフトした第2の光路221bを通るように、ミラー2610の代わりに透明な板ガラス2611を切り替えて設けて構成される。そして、図4に示す場合は、主ビーム拡大光学系24で径を拡大したレーザビームについて板ガラス2611を通すことによって第2の光路221bをシフトさせて導き、該導かれたレーザビームをミラー2605、2606、2607、2608で反射させてX軸に対して反時計方向の傾き角φ方向(例えば45度方向)から出射させ、具体的には図9(a)(b)及び図13(a)に示すように、第2のミラー2603bで下方(真下)に反射させ、平面上傾き角φを有するビーム光束230の光軸に対して傾き角φ傾けた状態で、更に光軸を中心にして光軸回りに仰角α回転させて設けられた第2のシリンドリカルレンズ251bで一方向に集光し、切替可能な第2の傾斜ミラー2604bで反射させてα角度方向からウエハ上に第2のスリット状ビーム90bとして照射する。即ち、第2のシリンドリカルレンズ251bの入射面又は出射面とウエハ上のスリット状ビーム90bとの間の距離が第2のシリンドリカルレンズ251bの焦点距離になるようにビーム光束230の光軸に対して角度φ傾け、更に該ビーム光束230の光軸回りに仰角α回転させられて設けられることになる。なお、第2のシリンドリカルレンズ251bの長手方向は、真上から見て、X軸方向から反時計方向に角度φ傾けた方向から更に仰角αに応じた角度回転させることになる。このように、上から見てφ方向から第2のスリット状ビーム90bを仰角αで照射する照明光学系を、ミラー2605〜2607、2603b、2604bと第1のシリンドリカルレンズ251bのみで構成することが可能となり、これらの光学要素(光学部品)を容易に、しかも精度良く製造することができ、そのため組立調整を容易にすることができ、大幅な原価低減を図ることが可能となった。
【0037】
図5は、右側角度φ照射光学系200a及び左側角度φ照射光学系200bにより、第1及び第2のスリット状ビーム90a、90bを線対称にして両側から、上から見たときX軸方向から角度φ(例えば45度)傾き、水平面から傾いた傾斜角度α(水平面から5〜55度程度傾いた方向)方向から照射する場合を示す。この場合、ミラー2610又は板ガラス2611に位置にハーフミラー2612を切り替えて設けて構成される。従って、図5に示す場合は、図3に示す第1のスリット状ビーム90aの照射と図4に示す第2のスリット状ビーム90bの照射とを同時に行うこと可能となる。
【0038】
以上説明したようにスリット状ビーム90をX軸方向からφ傾いた方向から照射するので、回路パターンの主要な直線群から生じる0次回折光を対物レンズ31の開口内に入射させるのを防止することが可能となる。また、ウエハ上に形成されたパターンがコンタクトホールやキャパシタ等の場合は、特定の方向性がないのでφが45度程度傾いた方向から照射するのが好ましい。
【0039】
図6は、X軸方向照射光学系200cにより、回路パターンの主要な直線群が向いた方向であるX軸方向から第3のスリット状ビーム90cを照射する場合を示す。図6に示す照明光学系においては、第3のスリット状ビーム90cの長手方向の長さを、φが例えば45度傾いた方向から照射する場合の第1及び第2のスリット状ビーム90a、90bの長手方向の長さに合わせる必要があるため、具体的には図10(a)(b)に示すように、第3の光路221cにビーム径を(1/cosφ)倍(φが45度の場合√2倍)するビーム拡大光学系253を設けて構成される。そして、図6に示す場合は、ミラー等の光学要素2610〜2612、2605、2620を第3の光路221cから退避させ、主ビーム拡大光学系24で径を拡大したレーザビームをミラー2621、2622で反射させ、ビーム拡大光学系253でビーム径を(1/cosφ)倍(φが45度の場合√2倍)にし、第3のミラー2623で下方(真下)に反射させ、図13(b)に示すように、第3のシリンドリカルレンズ252で一方向に集光し、切替可能な第3の傾斜ミラー2624で反射させてβ角度方向からウエハ上に第3のスリット状ビーム90cとして照射する。このようにX軸方向から第3のスリット状ビーム90cを斜方照射することによって、主要な直線群で形成されている配線パターンの間の凹部に存在する異物等の欠陥からの回折光(散乱光)をイメージセンサ36で検出することが可能である。なお、切替可能な第3の傾斜ミラー2624cは、β1を5〜15度程度の低角度とβ2を40〜55度程度の高角度に切り替え可能に構成され、配線パターンの間の凹部に存在する欠陥を検出する場合には第3の傾斜ミラー2624cを高角度に切り替えられるのが好ましい。
【0040】
図7は、簡単な構成の可干渉性を低減する光学系255を用いて左側から、上から見たときX軸方向から角度φ(例えば45度)傾き、角度φ(例えば45度)傾き、水平面から傾いた傾斜角度α(水平面から5〜55度程度傾いた方向)方向から照射する場合を示す。なお、この場合には、ミラー2620を第2の光路221bに入れ、ミラー等の光学要素2610〜2612、2605、2606を第2の光路221bから退避させる。可干渉性低減光学系255としては、特願2004−156142号に記載され、図11(a)(b)に示すように、ビーム径を少なくとも一方向(シリンドリカルレンズ251bの集光方向)に拡大するビーム拡大光学系2551と、コヒーレントのレーザビームを入射して少なくとも集光方向に互に空間的にコヒーレンシーを低減した複数の細帯状のビームを出射するように少なくとも集光方向に互に光路長を変えた複数の板状の光学部材を積み重ねて構成した光学部材群2552とを備えて構成される。さらに、該光学部材群2552から互に空間的にコヒーレンシーを低減して出射された複数の細帯状のビームを上記集光方向に集光させてウエハの表面に対してα角度傾斜した方向からスリット状ビーム90b'として照射する集光光学系である第2のシリンドリカルレンズ251b及び第2の傾斜ミラー2604bを設けて構成される。その結果、第2のシリンドリカルレンズ251bにおいて、スリット状ビーム90b'が、集光方向には多角度照射であるように構成される。このように、第2のシリンドリカルレンズ251bにより、図11に示すように、互に可干渉性を低減した複数の細帯状のビームを矢印201で示すように照射方向を広い範囲で変化させて集光させてスリット状ビーム90b'を超微細な回路パターンのエッジラフネス部に照射されるので、該超微細な回路パターンのエッジラフネス部から平滑化された反射回折パターン(0次は除く)が対物レンズ31に入射して集光され、TDIセンサ等のイメージセンサ36で受光されてエッジラフネス部から平滑化された画像信号が検出されることになる。
【0041】
なお、ビーム拡大光学系2551と光学部材群2552とからなる可干渉性低減光学系255を、スペース上、左側角度φ照射光学系200bの中、即ち第2の光路221bの中に組み込んで構成したが、スペース上設置可能であれば、第1の光路221aの中、又は第3の光路221cの中に設けてもよい。しかしながら、可干渉性低減光学系255を、第1の光路221a又は第3の光路221cから出し入れするか、又は切り替え可能な分岐した光路を作ってその光路のなか設置することは可能である。
【0042】
また、主光路220をスペース上設置可能に構成すれば、図8に示すように、可干渉性低減光学系255を、主光路220である主ビーム拡大光学系24と光学要素2610〜2612との間に設けてもよい。この場合、可干渉性を低減したビームを第1の光路221a、第2の光路221b、第3の光路221cの何れかを用いてスリット状ビーム90を照射することが可能となる。なお、図8においては、第2の光路221bを用いた場合を示す。しかし、この場合、可干渉性低減光学系255が不要の場合があるので、可干渉性低減光学系255を主光路220に対して出し入れ可能に構成する必要がある。
【0043】
以上説明したように、スリット状ビーム90、90'として5通りの照射の仕方が可能となる。さらに傾斜角度α、βを各々2通り変えることを含めると10通りの照射が可能となる。
【0044】
特に、本発明の特徴とするところは、右側角度φ照射光学系200a及び左側角度φ照射光学系200bにおいて、特開2000−105203号公報及び特開2004−177284号公報に記載されている円錐レンズと同じ機能をシリンドリカルレンズ251と切替可能な傾斜ミラー2604で実現したことにある。このように、特殊な光学部品を使用しなため、これらの光学要素(光学部品)251、2602〜2604を容易に製造することができ、しかもシリンドリカルレンズ251の焦点距離は決まっているので、調整を容易にすることができ、大幅な原価低減を図ることが可能となった。
【0045】
また、本発明に係る照射光学系20において、図7に示すように、ミラー2620を光路に入れ、ミラー等の光学要素2610〜2612、2605、2606を光路から退避させ、可干渉性低減光学系255をミラー2620とミラー2607との間に設置することにより、可干渉性を低減したスリット状ビーム90b'をX軸方向に対して例えば45度方向から照射可能にして超微細な回路パターンのエッジラフネス部から平滑化された画像信号を検出することが可能となる。
【0046】
また、本発明に係る照射光学系20において、レーザ光源21から出射されるレーザビームは、図14に示すように、ガウス分布を有するので、検出視野(TDIセンサ36の長方形受光面の長手方向の幅)210内での照度の変化を30%程度以下に抑えるためには、ビーム拡大光学系24で拡大するビーム幅(照度13.5%の幅)を広げることによって、スリット状ビーム90,90'の長手方向の幅(照度13.5%の幅)を広げればよい。
【0047】
更に、切替傾斜ミラー2604、2624による傾斜角度(仰角)α、βの切替について図15乃至図17を用いて説明する。図15(a)は切替傾斜ミラー2604,2624によってスリット状ビーム90,90'をα1、β1として低角度(5〜10度程度)で照射する場合を示し、図15(b)は切替傾斜ミラー2604,2624によってスリット状ビーム90,90'をα2、β2として高角度(40〜50度程度)で照射する場合を示す。図16には、スクラッチ及び異物の夫々に低角度照射した場合と、高角度照射した場合とを示す。図16から明らかなように、通常の粒子状異物からは、低角度照射した場合も、高角度照射した場合も同じように強い散乱光強度として検出される。一方、スクラッチは粒子状異物に比べて高さが薄い(深さが浅い)ため、スクラッチからは、低角度照射した場合には弱い散乱光強度として検出され、高角度照射した場合には中程度の散乱光強度として検出される。また、図17に示すように、薄膜状異物はスクラッチに比べて平面的に広がっているため、薄膜状異物からは、高角度照射した場合には強い散乱光強度として検出され、低角度照射した場合には中程度の散乱光強度として検出される。図17において、矢印151は欠陥の高さの増加を示し、矢印152は平面的な面積(広がり)の増加を示す。従って、通常の粒子状異物と、スクラッチと、薄膜状異物を弁別するためにも、切替傾斜ミラー2604,2624によるスリット状ビーム90,90'の照射角度α、βの切り替えが必要となる。
【0048】
次に、検出光学系の他の実施例について図19を用いて説明する。即ち、図19に示す検出光学系の他の実施例30'において、図2に示す実施例30と相違する点は、検出光軸38を、ウエハ1に対する法線に対してX軸を含む垂直面内又はX軸から45度の垂直面内において、スリット状ビームの照射光に対して開く方向に傾斜させて構成してもよい。図19においては、検出光軸38を左側に傾斜して示したが、照射光学系20を図4乃至図7に示すように構成した場合、スリット状ビーム90、90'が左側から入射されるので、右側に傾斜させることになる。このように、検出光軸38を傾けることによって、ウエハ表面上の異物からの回折光(散乱光)に対してウエハ表面上の微小凹凸からの回折光(散乱光)の比を低減して対物レンズ31の開口に入射させて異物の検出信号のS/N比を向上させることが可能となる。
【0049】
また、図2及び図19に示す検出光学系30、30'は、図20(a)(b)に示すように、検出倍率が可変になるようにズーム機能を有して構成してもよい。
【0050】
また、繰り返しパターンにスリット状ビーム90、90'を照射した場合、図21(a)に示すように、ウエハ上に配列されたチップ内の各種パターン領域P1,P2,P3に応じて図21(b)に示すような繰り返しパターンからの回折光が干渉して回折光パターン(回折像)FP1,FP2,FP3が生じる。そこで、これらの回折光パターン(回折像)FP1,FP2,FP3の各々を対物レンズ31の瞳と共役な位置に設けられた空間フィルタ32で遮光すればよい。しかしながら、高スループットで検査をするために、検査視野がウエハ上で数μm以上の広視野となることが考えられる。そのため、パターンピッチの異なる複数種類のパターン領域P1,P2,P3を含む領域651に跨ってスリット状ビーム90,90'が照射されることになる。この場合、観察されるフーリエ変換像としては図21(c)に示すように、FP1,FP2,FP3の論理和で現れる。従って、この状態で各回折光パターンFP1,FP2,FP3を合成した空間フィルタを用いて検査をすると、上記各種パターン領域P1,P2,P3からの各回折光パターンFP1,FP2,FP3を同時に遮光でき、繰り返し回路パターンからの信号を低減することができるというメリットがある。その一方で、複数種類の回折光パターンを遮光することで、欠陥からの散乱光も大幅に遮光してしまうため、欠陥からの信号が低下してしまうというデメリットもある。そこで、同時に複数種類のパターン領域からの回折光パターンをフーリエ変換像として無くすことによって、ウエハ全面を走査させる度に、空間フィルタ32の回折光パターンを各種パターン領域P1,P2,P3に合わせてFP1,FP2,FP3と切り替えればよい。なお、チップ内の各種パターン領域P1,P2,P3の配列座標はCAD情報に基づいて既知につき、該既知の配列座標を基に、回折光パターンが合ったパターン領域をイメージセンサ36が撮像して得られる信号を欠陥検出信号として有効にすればよい。このようにウエハ全面を走査させる回数は切り替える空間フィルタ32の枚数だけ増加するが、空間フィルタ32で遮光するパターンを切り替えることによって、欠陥からの散乱光を大幅に遮光することなく、イメージセンサ36で受光することができ、欠陥検出感度を向上させることが可能となる。
【0051】
ところで、同時に複数種類のパターン領域からの回折光パターンをフーリエ変換像として無くすためには、次の2通りの方法が考えられる。第1はスリット状ビーム90,90'を異なる種類のパターン領域に跨って照射させないように照射光学系の光路中に照射範囲を制限する絞りを入れる方法、又はビーム拡大光学系24を可動式にしてビームの拡大倍率を変えることで照射範囲を制限する方法、第2はフーリエ変換面に入射する回折光のうち小さい角度の回折光に絞る絞りを設けてフーリエ変換レンズ31のN.A.を小さくする方法が考えられる。
【0052】
以上の方法のいずれかを選択することにより、特定のパターン領域の回折光パターンだけをフーリエ変換面に形成することが可能となる。その結果、特定のパターン領域からの回折光パターンに対応した遮光パターンを空間フィルタ32として設定することが可能となり、特定のパターン領域における欠陥を高感度に検査することが可能となる。
【0053】
また、空間フィルタ32としては、図22に示すように、互に逆巻きのバネ161とバネ162との間に板状又は棒状の遮光部材163を並べて構成されたピッチ可変フィルタ160で構成しても良い。このフィルタ160の場合、フック164間の距離を変えることによって遮光部材163のピッチを可変し、図23に示すような遮光パターンで図21(b)に示す回折光パターンFP1、FP3を遮光することが可能である。勿論、図21(b)に示す回折光パターンFP2を遮光する場合には、図22に示す空間フィルタ160を2つ重ねて互いの遮光部材163が直交するように設置すれば良い。
【0054】
また、空間フィルタ32としては、図24及び図25に示すように任意のパターンを形成できる液晶フィルタ180で構成することも可能である。図24は線状の遮光パターンを形成した場合を示し、図25は鎖線状の遮光パターンを形成した場合を示す。
【0055】
また、空間フィルタ32として、複数種類の遮光パターンに印刷されたものを切り替えて使用することも可能である。
【0056】
次に、偏光板23を用いた偏光スリット状ビームの斜方照射と、光学フィルタ群34における偏光フィルタ(検光子)を用いた偏光検出との実施例について説明する。図26は、ウエハ上に形成された透明膜において、S偏光とP偏光とにおける照射角度(仰角α、β)と透過率との関係を示す。仰角α、βが5〜15度程度で比較した場合、P偏光の方がS偏光に比べて透過率は高くなっている。そのため、図27及び図28に示すように、透明膜上の異物等の欠陥を検出するためにはS偏光の方が強い信号が得られて優れ、下層上の異物等の欠陥を検出したい場合はP偏光の方が強い信号が得られて優れている。その結果、図28に示すように、S偏光照明時に欠陥から検出される信号とP偏光照明時に欠陥から検出される信号同士を比較することによって、表層欠陥なのか、下層欠陥なのかを弁別することが可能となる。
【0057】
一方、偏光板23を用いてS偏光でスリット状ビーム90を照射した場合、繰り返しパターンからはS偏光成分が戻ってき、異物等の欠陥からはS偏光成分とP偏光成分が混ざってくるため、偏光フィルタ(検光子)34でS偏光成分を遮光することによって、異物等の欠陥から得られるP偏光成分をイメージセンサ36で受光して欠陥を示す信号が検出できることになり、表層欠陥を高感度で検出できることになる。
【0058】
他方、偏光板23を用いてP偏光でスリット状ビーム90を照射した場合、繰り返しパターンからはP偏光成分が戻ってき、異物等の欠陥からはP偏光成分とS偏光成分が混ざってくるため、偏光フィルタ(検光子)34でP偏光成分を遮光することによって、異物等の欠陥から得られるS偏光成分をイメージセンサ36で受光して欠陥を示す信号が検出できることになり、下層欠陥を高感度で検出できることになる。
【0059】
次に、搬送系10について説明する。ステージ11、12は試料設置台14をXY平面に移動させるためのステージであり、照射光学系20の照射エリアにウエハ(被検査対象基板)1全面を移動させることができる機能を持つ。また、ステージ13はZステージであり、検出光学系30の光軸方向(Z方向)に試料設置台14を移動させることができる機能を持つ。また、試料設置台14は、ウエハ1を保持するとともに、ウエハ1を平面方向に回転させる機能を持つ。また、ステージコントローラ15はステージ11、12、13、試料設置台14を制御する機能を持つ。
【0060】
次に、合焦点制御系60の具体的な実施例について図29、図30を用いて説明する。図29(a)は光源61から出射した光を導く光ファイバ61aとミラー66との間の縞パターン62の投影光路を示し、図29(b)(c)はミラー66から反射してリニアセンサ68までの反射光路を示す。図30はウエハ1a上に投影される縞パターン620と、照射されるスリット状ビーム90,90'との関係を示す図である。縞パターン620は、スリット状ビーム90,90'を跨いでX軸方向に傾けて投影される。このように合焦点制御系60は、ウエハ1aの表面に投影された縞パターン620の正反射縞パターンを結像レンズ65によってミラー66上に結像させ、該結像した正反射縞パターンをミラー66で反射させて再びウエハ1aの表面に投影し、その正反射縞パターンを結像レンズ67に結像させ、該結像した正反射縞パターン像をリニアセンサ68で受光してウエハ表面の焦点ズレに応じた信号を出力するように構成される。従って、リニアセンサ68から得られる焦点ズレに応じた信号に基づいて例えばZステージ13を制御することによって、オートフォーカスを実現することが可能となる。
【0061】
次に、異物等の欠陥検査の処理動作の一実施例について図31を用いて説明する。まず、自動または手動で複数のウエハが搭載されているウエハカセット(SMIFなど)をセットする(S291)。その後、ウエハIDの確認をする(S292)。ウエハIDはウエハサイズ、品種、工程などが同定可能な固有IDである。ウエハIDについては、製造ライン管理システムなどのデータベースから入力手段71を用いて全体制御部70に入力する。次に、全体制御部70は、記憶装置73に記憶された検査条件(レシピ)を入力されたウエハIDを元に選択する(S293)。次に、ウエハを装置内のステージ11〜14上にロードする(S294)。なお、ウエハ自体にウエハIDが刻印されている製品では、図30で分岐して示しているように、1枚のウエハをロードする(S294)と、ロード中にウエハIDを認識し(S292)、その後、S293でレシピを選択する方法も可能である。
【0062】
次に、ステージ11〜14を移動させながら、ウエハアライメント光学系(図示せず)を用いてウエハ上に形成されたアライメントマークの位置を検出し、該検出した位置を基準位置に位置合せをしてウエハのアライメントを行う(S295)。
【0063】
次に、異物等の欠陥検査に移る。欠陥検査においては、全体制御部70は、複数用意されたレシピの内の所定のレシピに基づいて、即ち特開2000−105203号公報に記載されているように、異物検出感度に基づき光量調整フィルタ(光量減衰フィルタ)22に対するウエハに照射する照射光量を設定し(S296)、図27及び図28で説明したように、例えば表層上或いは下層上の欠陥を検出するかに応じて偏光板23に対するウエハに照射する偏光を設定し(S297)、切替傾斜ミラー2604,2624の切り替えに基くウエハへの照射角度α、β、照射光学系200a〜200cの何れを用いるかの選択である照射方向及び可干渉性低減光学系255を用いるかどうかの選択を設定し(S298)、図14に示すように、絞り(図示せず)又はビーム拡大光学系24等による拡大されるビーム幅(照度13.5%の幅)によって決まる検出視野(TDIセンサ36で受光する長方形の長手方向の幅)210のサイズを設定し(S299)、チップ内のパターン領域P1,P2,P3に応じた空間フィルタ32の遮光パターンを設定し(S300)、上記照射する偏光に合うように偏光フィルタ(検光子)34をP偏光か、S偏光かのいずれかに設定をする(S301)。その他、全体制御部70は、検出光学系30が検出倍率を可変に構成した場合には、検出倍率を設定することになる。以上により、全体制御部70は、ウエハIDに基づいて、照射光学系20及び検出光学系30に対してレシピである照射条件及び検出条件が設定されることになる。
【0064】
その後、実際の欠陥検査動作に移り、図30に示すように、合焦点制御系60によりウエハ表層にオートフォーカスをかけながら(S310)、スリット状ビーム90,90'を照射しながらステージを走行してウエハ1aをX軸方向に移動して検出視野210の画像をTDIセンサで構成されたイメージセンサ36で撮像して取得する(S311)。オートフォーカス、ステージ走行と平行して、画像処理部40において信号処理をすることにより異物等の欠陥を抽出する(S312)。
【0065】
欠陥検査が終了すると、全体制御部70はモニタ72に検査結果を表示し、記憶装置73への検査データの保存およびサーバなどへの転送をする(S320)。その後、必要に応じて、レビュー光学顕微鏡80を用いて異物等の欠陥をレビューし(S321)、ウエハをアンロードし(S322)、一連の検査シーケンスを終了する。
【0066】
次に、画像処理部40の具体的実施例について図32を説明する。画像処理部の具体的実施例については、特開2004−177284号公報に記載されているので、簡単に説明する。画像処理部40は、A/D変換器41、A/D変換された検出画像信号f(i,j)を記憶するデータ記憶部42、上記検出画像信号に基いて閾値算出処理をする閾値算出処理部43、上記データ記憶部42から得られる検出画像信号f(i,j)410と閾値算出処理部43から得られる閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))430とを基に画素マージ毎に異物検出処理を行う異物検出処理部44a〜44n、例えば、低角度照明によって欠陥から検出して得られた散乱光量、高角度照明によって欠陥から検出して得られた散乱光量、及び欠陥の広がりを示す検出画素数等の特徴量を算出する特徴量算出回路45、該特徴量算出回路45から得られる各マージ毎の特徴量を基に、半導体ウェハ上の小/大異物やパターン欠陥やマイクロスクラッチ等の欠陥を分類する各種欠陥に分類する統合処理部46、および結果表示部72から構成される。異物検出処理部44a〜44nの各々は、例えば1×1、3×3、5×5、…n×nのマージオペレータの各々に対応させて、画素マージ回路部441a〜441n、442a〜442n、異物検出処理回路443a〜443n、および検査領域処理部444a〜444nを備えて構成される。
【0067】
特に、本発明においては、異物検出処理部44a〜44n、特徴量算出回路45、および統合処理部46を特徴とする。
【0068】
次に動作を説明する。まずイメージセンサ36で得られた信号をA/D変換器41でデジタル化する。この検出画像信号f(i,j)410をデータ記憶部42に保存すると共に、閾値算出処理部43に送る。閾値算出処理部43で異物検出のための閾値画像Th(i,j)430を算出し、各種マージオペレータ毎に、画素マージ回路441、442で処理された信号を基に、異物検出処理回路443で異物を検出する。検出された異物信号や閾値画像を検査領域処理部444により、検出場所による処理を施す。同時に、各種マージオペレータ毎に設けられた異物検出処理部44a〜44nの、画素マージ回路441a〜441n、442a〜442n、異物検出処理回路443a〜443n、検査領域処理部444a〜444nから得られた信号を基に、特徴量算出回路45で特徴量(例えば、高角度照射(中角度照射も含む)により得られた散乱光量、低角度照射により得られた散乱光量、欠陥の検出画素数等)を算出し、前記異物信号と前記特徴量を統合処理部46で統合し、結果表示部72に検査結果を表示する。
【0069】
以下に詳細を述べる。まず、A/D変換器41はイメージセンサ36で得られたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する回路であるが、変換ビット数は8ビットから12ビット程度が望ましい。これは、ビット数が少ないと信号処理の分解能が低くなるため、微小な光を検出するのが難しくなる一方、ビット数が多いとA/D変換器が高価となり、装置価格が高くなるというデメリットがあるからである。次に、データ記憶部42は、A/D変換されたデジタル信号を記憶しておくための回路である。次に、閾値算出処理部43について図33を用いて説明する。図33は、特開2000−105203号公報に記載されている閾値算出処理部43の一実施例を示した図である。閾値算出処理部43は、参照画像信号g(i,j)を作る遅延回路部431、検出画像信号f(i,j)と参照画像信号g(i,j)との差分信号ΔS(i,j)を算出する差分回路部432、最大最小値除去部433、差分信号の二乗値を算出する二乗値算出部434、該二乗値の和を算出する二乗値の和の算出部435、差分信号の和を算出する信号の和の算出部436、入力信号数のカウント部437、標準偏差を算出する標準偏差算出部438、平均値を算出する平均値算出部439、カウント部437でカウントした入力信号数を基に係数(n)を算出する係数算出部440、閾値(Th(H),Th(L))の画像Th(i,j)430を算出する閾値算出部441、データ記憶部442で構成されている。
【0070】
次に動作を説明する。A/D変換器41で得られた検出画像信号f(i,j)は、遅延回路部(遅延メモリ部)43aと差分回路部43bに入力され、差分回路部43bで差分信号ΔS(i,j)にする。(i,j)は、チップ比較の場合、チップ内の画素座標とする。ここで、遅延回路部43aは、ウエハ等の被検査対象基板上の回路パターンの繰返しピッチ分だけ信号を遅延させて参照画像信号g(i,j)を作る回路である。遅延回路部43aはウエハ上の1チップ分の信号を遅延させる回路であれば良い。ただし、必ずしも1チップ分である必要はなく、検査対象に応じて、複数チップ単位で繰返しが存在するウエハに対しては、複数チップ分を遅延させれば良いし、DRAM製品等でチップ内に繰返しパターンが存在する場合は、その繰返し分だけ遅延させるようにしても良い。これらの信号遅延量は、CPU等の命令により変更できるようにしておく。
【0071】
次に、差分回路部43bで処理された差分信号ΔS(i,j)は、データ記憶部43lに格納される。二乗値算出部43dでは差分信号ΔSの二乗値(ΔS)を算出し、二乗値の和の算出部43eでは差分信号の二乗値の和(ΣΔS)を算出する。和の算出部43fでは、差分信号ΔSの和(ΣΔS)を算出する。カウント部43gでは、入力信号数nの値を算出する。ここで、最大最小値除去部43cは、複数個の入力データから最大値と最小値を求め、入力データ群から最大値と最小値を除く機能を持つ。以上の処理で算出した値を用いて、標準偏差値算出部43hで入力データの標準偏差値(σ(ΔS)=√(ΣΔS/n−ΣΔS/n))を算出し、平均値算出部43iで入力データの平均値(μ(ΔS)=ΣΔS/n)を算出する。さらに、係数算出部43jでは、入力データ数nに対応した閾値を設定するための係数(倍率)kを算出する。
【0072】
以上説明した値を用いて閾値算出部43hで閾値(Th(H),Th(L))の画像Th(i,j)430を算出する。閾値(Th(H),Th(L))は、平均値算出部43jの算出値をμ(ΔS)、標準偏差値算出部43hの算出値をσ(ΔS)、係数算出部43jの算出値又は設定値をk、検証用の係数をm(mは1より小さいものとする。)とすると、次の(1)式を用いて算出される。
【0073】
Th(H)=μ+k×σ 若しくは Th(L)=μ−k×σ または
Th(Hm)=m×(μ+k×σ) 若しくは Th(Lm)=m×(μ−k×σ) (1)
このように、閾値算出部43kで算出された閾値画像{検出閾値(Th(H),Th(L))、検証閾値(Th(Hm),Th(Lm))}をデータ記憶部43lに記憶させ、データ記憶部43lから閾値画像データとして出力してもよい。また、検査領域処理部444a〜444nから設定された領域毎に閾値画像データを変更してもよい。要するに、データ記憶部43lには、閾値マップを作成して記憶することが可能である。また、ある領域において検出感度を低くするには、その領域における閾値を高めれば良い。
【0074】
次に、信号の画素マージ回路部441、442について図34を用いて説明する。画素マージ回路部441a〜441n、442a〜442nは、各々異なるマージオペレータ1504で構成される。マージオペレータ1504は、データ記憶部43lから得られる検出画像信号f(i,j)410と、および閾値算出処理部43から得られる検出閾値画像Th(H)、検出閾値画像Th(L)、検証閾値画像Th(Hm)、および検証閾値画像Th(Lm)からなる差分閾値画像信号430との各々をn×n画素の範囲で結合する機能であり、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路である。ここで、画素マージ回路部441a、442aは例えば1×1画素をマージするマージオペレータで構成され、画素マージ回路部441b、442bは例えば3×3画素をマージするマージオペレータで構成され、画素マージ回路部441c、442cは例えば5×5画素をマージするマージオペレータで構成され、…画素マージ回路部441n、442nは例えばn×n画素をマージするマージオペレータで構成される。1×1画素をマージするマージオペレータは、入力信号410、430をそのまま出力する。
【0075】
閾値画像信号については、上記の如く、4つの画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))からなるため、各画素マージ回路部442a〜442nにおいて4つのマージオペレータOpが必要となる。従って、各画素マージ回路部441a〜441nからは、検出画像信号410が各種マージオペレータ1504でマージ処理してマージ処理検出画像信号4411a〜4411nとして出力されることになる。他方、各画素マージ回路部442a〜442nからは、4つの閾値画像信号(Th(H)(検出閾値a)430(1),Th(Hm)(検証閾値a)430(2),Th(Lm)(検証閾値b)430(3),Th(L)(検出閾値b)430(4))430が各種マージオペレータOp1〜Opnでマージ処理してマージ処理閾値画像信号4421a(4420a(1)〜4420a(4))〜4420n(4420n(1)〜4420n(4))として出力されることになる。なお、各画素マージ回路部442a〜442n内のマージオペレータは同じものである。
【0076】
ここで、画素をマージする効果を説明する。本発明の異物検査装置では、必ずしも微小異物だけではなく、数μmの範囲に広がった大きな薄膜状の異物も見逃すことなく検出する必要がある。しかし、薄膜状異物からの検出画像信号は、必ずしも大きくならないために、1画素単位の検出画像信号ではSN比が低く、見逃しが生じることがある。そこで、1画素平均の検出画像信号レベルをSとし、平均のばらつきをσ/nとすると、薄膜状異物の大きさに相当するn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすることによって、検出画像信号レベルはn×Sとなり、ばらつき(N)はn×σとなる。従って、SN比はn×S/σとなる。他方、薄膜状異物について1画素単位で検出しようとすると、検出画像信号レベルはSとなり、ばらつきはσとなるため、SN比は、S/σとなる。従って、薄膜状異物の大きさに相当するn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすることによって、SN比をn倍向上させることができる。
【0077】
1画素単位程度の微小異物については、1画素単位で検出される検出画像信号レベルはSとなり、ばらつきはσとなるので、SN比はS/σとなる。仮に、1画素単位程度の微小異物についてn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすると、検出画像信号レベルはS/nとなり、ばらつきはn×σとなるため、SN比はS/n/σとなる。従って、1画素単位程度の微小異物については、画素単位の信号そのままの方が、SN比として向上が図れる。
【0078】
また、本実施例で説明したマージオペレータの機能は、n×n画素の平均値を出力する実施例で説明したが、n×n画素の最大値や最小値、または中央値を出力しても良い。中央値を用いた場合は、安定した信号が得られる。さらに、出力値としてn×n画素の平均値に特定の値を乗算または除算した値としても良い。
【0079】
次に、異物検出処理回路443の具体的実施例に付いて図35を用いて説明する。図35においては、1×1画素をマージする画素マージ回路部441aおよび画素マージ回路部442a並びにn×n画素をマージする画素マージ回路部441nおよび画素マージ回路部442nについて示す。そして、異物検出処理回路443a〜443nは、各マージオペレータに対応させて、差分回路4431a〜4431nから得られるマージ処理差分信号471a〜471nとマージ処理閾値信号4420a(1)〜4420a(4)・・・4420n(1)〜4420n(4)との大小を比較する比較回路4432a〜4432nと、異物の検出場所を特定する検出場所判定処理部4433a〜4433nとで構成される。比較回路4432a〜4432nには、画素マージ回路441a〜441nから得られる画素マージされた検出画像信号について、繰り返される例えばチップ分遅延させる遅延メモリと、上記画素マージされた検出画像信号4410a〜4410nと上記遅延メモリによって遅延された画素マージされた参照画像信号との差分信号を形成する差分処理回路4431a〜4431nとが設けられている。従って、比較回路4432a〜4432nは、各画素マージ回路部442a〜442nの画素マージ回路M1〜M4から得られるマージ処理閾値画像Th(H)(i,j)、Th(Hm)(i,j)、Th(Lm)(i,j)、Th(L)(i,j)とを比較する回路であり、例えば、マージ処理差分検出信号471a〜471nがマージ処理閾値画像Th(i,j)よりも大きければ異物として判定する機能を持つ。本実施例では、閾値を4種類用意し、マージオペレータ毎に、マージ処理閾値画像430(1)〜430(4)に対し、比較回路4432a〜4432nで異物の判定処理を行う。検出場所判定処理部4433a〜4433nにおける検出場所判定処理は、信号処理によって検出された異物または欠陥が存在するチップの特定を行う処理である。本処理の考え方は、異物または欠陥を検出するための検出閾値(Th(H),Th(L))と、該検出閾値よりも値の小さい閾値である検証閾値(Th(Hm),Th(Lm))で検出した結果を用いて、異物または欠陥が検出されたチップを特定する。
【0080】
次に、検査領域処理部444a〜444nについて説明する。検査領域処理部444a〜444nは、異物検出処理回路443a〜443nからチップを特定して得られる異物又は欠陥検出信号に対して、検査する必要がない領域(チップ内の領域も含む)のデータを除去する場合や、検出感度を領域(チップ内の領域も含む)毎に変える場合、また、逆に検査したい領域を選択する場合に用いる。検査領域処理部444a〜444nは、例えば、被検査対象基板1上の領域のうち、検出感度が低くても良い場合には、閾値算出処理部43の閾値算出部43kから得られる該当領域の閾値を高く設定しても良いし、異物検出処理回路443a〜443nから出力される異物のデータから異物の座標を基にして検査したい領域の異物のデータのみを残す方法でも良い。
【0081】
ここで、検出感度が低くても良い領域というのは、例えば、被検査対象基板1において回路パターンの密度が低い領域である。検出感度を低くする利点は、検出個数を効率良く減らすことである。つまり、高感度な検査装置では、数万個の異物を検出する場合がある。この時、本当に重要なのは回路パターンが存在する領域の異物であり、この重要な異物を対策することがデバイス製造の歩留り向上への近道である。しかしながら、被検査対象基板1上の全領域を同一感度で検査した場合、重要な異物と重要でない異物が混じるために、重要な異物を容易に抽出することができない。そこで、検査領域処理部444a〜444nは、チップ内のCAD情報または閾値マップ情報に基いて、回路パターンが存在しないような、歩留りにあまり影響しない領域の検出感度を低くすることにより、効率良く重要異物を抽出することができる。ただし、異物の抽出方法は、検出感度を変更する方法だけでなく、後述する異物の分類により、重要異物を抽出しても良いし、異物サイズを基に重要異物を抽出しても良い。
【0082】
次に、統合処理部46およびその検査結果表示部72について説明する。統合処理部46では、画素マージ回路441、442で並列処理された異物検出結果を統合したり、特徴量算出回路45で算出した特徴量と異物検出結果を統合し、結果表示部72に結果を送る機能を有する。この検査結果統合処理は、処理内容を変更し易くするためにPC等で行うのが望ましい。
【0083】
まず、特徴量算出回路45について説明する。この特徴量とは、検出された異物や欠陥の特徴を表す値であり、特徴量算出回路45は、上記特徴量を算出する処理回路である。特徴量としては、例えば、高角度照明・上方検出、低角度照明・上方検出及び低角度照明・斜方検出によって得られた異物又は欠陥からの反射回折光量(散乱光量)(Dh,Dl)、検出画素数、異物検出領域の形状や慣性主軸の方向、ウエハ上の異物の検出場所、下地の回路パターン種類、異物検出時の閾値等がある。
【0084】
次に、統合処理部46でのDFCの実施例について説明する。即ち、統合処理部46は、各種画素マージされた異物検出信号が入力されているので、図36に示すように、異物を、「大異物」、「微小異物」、「高さの低い異物」として分類することが可能となる。図37は、上記分類結果を含んだ検査結果の表示の実施例を示す。上記検査結果の表示は、検出場所判定処理部4433a〜4433nから得られる異物の位置情報2501、統合処理部46から得られる分類結果のカテゴリ情報2502およびカテゴリ毎の異物数2503で構成される。本実施例は、異物の位置情報2501で異物の位置を示すと共に、表示記号により分類カテゴリも併せて表示した例である。また、各記号の分類カテゴリの内容は、分類結果カテゴリ情報2502に示している。また、カテゴリ毎の異物数2503は各カテゴリに分類された個数を表している。このようにカテゴリ毎に表示を変えることによって、各異物の分布が一目でわかるという利点がある。
【0085】
次に、本発明に係る異物のサイズ測定方法の実施例について説明する。本方法は、異物サイズとイメージセンサ36で検出される光量には比例関係があることを利用した方法である。つまり、特に異物が小さい場合、Mieの散乱理論に従い、検出光量Dは異物サイズGの6乗に比例するという関係がある。従って、特徴量算出回路45は、検出光量D、異物サイズG、および比例係数εを基に、次に示す(2)式で異物サイズを測定し、統合処理部46に提供することができる。
【0086】
G=ε×D(1/6) (2)
なお、比例係数εは、予め、サイズが既知の異物からの検出光量から求めておいて入力しておけば良い。
【0087】
微小異物の検出光量Dの算出方法としては、異物信号部の各画素値の和を計算する。また、異物信号部の飽和部をガウス分布近似で補正することにより、検出光量Dの算出精度を向上することにある。なお、本実施例では、検出光量として異物信号部の信号和の値を用いたが、必ずしも信号和である必要はなく、異物信号部の最大値でも良い。利点としては、最大値を用いた場合は電気回路規模を小さくできることであり、信号和を用いた場合は信号のサンプリング誤差を低減でき、安定した結果が得られることである。
【0088】
次に、統合処理部46で行う異物又は欠陥の分類の他の実施例を図38及び図39を用いて説明する。図38は、統合処理部46が検査を2回行った結果を基に異物を分類するシーケンスを示している。
【0089】
まず、第1の検査条件にてウエハ1を検査する(S221)。第1の検査で、異物検出処理回路443から得られた異物の座標データと、特徴量算出回路45から得られた各異物の特徴量を記憶装置(図示せず)に保存する(S222)。次に、第1の検査条件とは違う第2の検査条件にてウエハ1を検査し(S223)、第2の検査で、異物検出処理回路443から得られた異物の座標データと、特徴量算出回路45から得られた各異物の特徴量を記憶装置(図示せず)に保存する(S224)。この時、第2の検査条件としては、たとえば、第1の検査条件がウエハ表面に近い角度から照明光を照射した場合(低角度照明の場合)は、第2の検査条件としては、ウエハ面の法線に近い角度から照明光を照射する条件(高角度照明条件)を選択すると良い。また、第2の検査条件にてウエハ1を検査する場合は、第2の検査条件での異物検出の有無に係らず、第1の検査条件で異物が検出された座標での特徴量を記憶する。
【0090】
次に、前記得られた第1の検査結果の座標データと、前記得られた第2の検査結果の座標データを比較し(S225)、座標が近い異物を同一物と見なし、それぞれの特徴量から分類を行う(S226)。ここで、座標データが近いことを判断する方法の一実施例とし
ては、第1の検査結果から得られる座標データをxおよびy、第2の検査結果から得られる座標データをxおよびy、比較半径をrとすると、次の(3)式に当てはまるデータを同一物と判断すれば良い。
【0091】
(x−x+(y−y<r (3)
ここで、rは0または、装置に付随する誤差分を考慮した値にすれば良い。測定方法としては、例えば、数点の異物の座標データで(3)式の左辺の値を計算し、その平均値と標準偏差値から、(4)式で算出した値をrに設定すれば良い。
【0092】
=平均値+3×標準偏差 (4)
なお、本実施例では、2回検査を行う例を説明したが、特徴量の種類(例えば検出画素数:欠陥の面積Qに相当する)を増やした方が分類性能の向上が図れる場合は、3回以上検査を行って異物の特徴量(検出画素数)を取得しても良い。
【0093】
次に、検査結果統合処理部46で行う異物又は欠陥の分類の更に他の実施例について図39を用いて説明する。図39は1回検査を行い、3種類の光学条件で算出した特徴量を用いて分類する実施例のシーケンスを示している。まず、第1の光学条件でウエハ1に対して検査を行い(S241)、異物検出処理回路443から得られた異物の座標データと、特徴量算出回路45から得られた各異物の特徴量も保存しておく(S242)。次に、本発明の異物検査装置の光学条件を変える。これは、例えば、照明光学系の照射角度や照明方向、検出光学系による検出方向(上方や斜方)である。また、検出光学系の倍率を変えても良く、光学フィルタを変えても良い。以上のような変更を加えた条件を第2の光学条件とする。光学条件を第2の光学条件に変更した後、前記保存しておいた異物の座標の位置に搬送系30でウエハ1を動かし、第2の光学条件で、イメージセンサ36で検出してA/D変換して得られる検出画像信号を基に特徴量算出回路45において異物の特徴量を算出する(S243)。さらに、第3の光学条件で特徴量を算出する場合も同様に行う(S244)。この時、第1の光学条件、第2の光学条件、第3の光学条件はそれぞれ違う条件であることが望ましい。
【0094】
分類方法の考え方について図40を用いて説明する。図40は3種類の特徴量を3軸に設定した特徴量空間である。3軸の内容としては、例えば、特徴量1が第1の光学条件(例えば高角度照明)で取得した欠陥からの特徴量(例えば散乱光量(Dh))であり、特徴量2が第2の光学条件(例えば低角度照明)で取得した欠陥からの特徴量(例えば散乱光量(Dl))、また、特徴量3が第3の光学条件(例えば第1の光学条件である高角度照明および第2の光学条件である低角度照明)で取得した欠陥からの特徴量(例えば検出画素数:欠陥の平面的な面積Q)である。この特徴量空間において、(分類カテゴリ数−1)個の分類境界を設定する。図40は、3種類の特徴量から3種類の分類を行う例であるので、分類境界は2個以上あれば良い。
【0095】
特に、3種類の特徴量として、高角度照明による欠陥からの散乱光量(検出光量)(Dh)、低角度照明による欠陥からの散乱光量(検出光量)(Dl)、上記高角度照明時における欠陥の検出画素数および上記低角度照明時における欠陥の検出画素数とすることによって、少なくとも、3つのカテゴリ(異物欠陥、キズ欠陥、回路パターン欠陥)に分類することが可能となる。しかも、特徴量として、欠陥の検出画素数(欠陥の平面的な面積Q)をとっているので、異物欠陥のカテゴリを大異物と小異物とに分類することも可能となる。
【0096】
また、3つの特徴量として、高結像倍率における欠陥からの散乱光量、低結像倍率における欠陥からの散乱光量、欠陥の検出画素数とすることによって、少なくとも大異物欠陥のカテゴリと小異物欠陥のカテゴリとに容易に分類することが可能となる。また、光検出器640から得られる欠陥画像の特徴量から透明膜上の微小異物やスクラッチ(キズ欠陥)等の欠陥を分類することが可能となる。
【0097】
さて、図40は、分類境界4501、4502を設定した例である。分類方法としては、まず、上述の3つの特徴量を図40の特徴量空間にプロットする(S245)。そして、分類境界4501,4502によって分けられた領域に属する異物を、それぞれカテゴリ(例えば異物欠陥)a、カテゴリ(例えばキズ欠陥)b、カテゴリ(例えば回路パターン欠陥)cとして分類する(S246)。図40では、30個程度の欠陥を、カテゴリa、カテゴリb、カテゴリcに分類し、それぞれのカテゴリに分類された欠陥の表示記号を変えた例である。つまり、カテゴリaに分類されたもの(例えば異物欠陥)は「○」、カテゴリbに分類されたもの(例えばキズ欠陥)は「▲」、カテゴリcに分類されたもの(例えば回路パターン欠陥)は「×」で表示している。
【0098】
また、分離率を表示することもユーザが分離性能を容易に把握できるため有効である。ここで、分離率とは、例えば、分離境界によって分離された領域内に同一カテゴリの異物がどの程度含まれているかを表示すれば良い。
【0099】
なお、本実施例では、3種類の光学条件で算出した特徴量を用いた場合について説明したが、必ずしも3種類に限定する必要はなく、複数種類の光学条件で特徴量を算出する場合や1種類の光学条件で複数の特徴量を取得できる場合に用いることができる。
【0100】
次に、全体制御部70が例えば表示手段72に表示する画像処理部40から得られる検査結果の表示に関する別の実施例について説明する。図41は、検出した異物または欠陥の位置情報3801と、異物または欠陥の検出個数3802、検出した異物または欠陥サイズのヒストグラム3803で構成されている。なお、本実施例では欠陥としてキズを検出した場合を示している。さらに、グラフ3803は異物またはキズの検出個数とサイズのヒストグラムである。本発明の欠陥検査装置での検出物をこのように表示することにより、異物または欠陥の分布が一目でわかる。
【0101】
図42は、検出物(異物又は欠陥)の検出位置を示した検査マップ3901、検出物のサイズのヒストグラム3902、異物のレビュー像3903で構成されている。本実施例では、検査マップ3901とヒストグラム3902については、検出した検出物の全数または一部を表示した例である。また、レビュー像3903は検出物のサイズ毎にサンプリングし、その検出物のレビュー像を表示する例であり、本実施例では0.1μm以上1μm未満の異物のレビュー像を6個、1μm以上の異物のレビュー像を6個表示した場合を示している。ここで、レビュー像3903はレビュー光学顕微鏡80によって得られる像でも良い。レーザ光による像を表示する場合、画像を検査中に記憶装置73等に残しておけば、検査直後に表示ができ、検出物の確認を迅速に行うことができる利点がある。また、レビュー光学顕微鏡80による像を表示する場合は、前記サンプリングされた検出物の座標を基に、検査後に観察画像を取れば良く、レーザ光による像に比べて鮮明な像が得られる。特に、1μm未満の異物または欠陥を観察する場合は、光源に紫外線を用いた、解像度の高い顕微鏡が望ましい。
【0102】
また、前記レビュー像3903で表示した検出物の位置を検査マップ3901上に併せて表示しても良く、レビュー像3903には検出物の検出番号を併せて表示しても良い。また、本実施の形態では、表示するレビュー像が6個ずつの場合で説明したが、6個に限定する必要は無く、検出した異物または欠陥を全数表示しても良いし、検出個数に対し、一定割合の個数分だけ表示しても良い。
【0103】
また、検出物を異物とキズとに分類して表示し、分類の正解率も併せて表示してもよい。
【0104】
次に、全体制御部70などにおいて実行される検査条件(検査レシピ)設定等について図43〜図45を用いて説明する。図43は、検査条件(検査レシピ)を設定するためのフローを示す図である。まず、全体制御部70において検査実行前に行われる検査条件(検査レシピ)の設定は、被検査対象に合わせるチップレイアウト設定(S211)と、被検査対象の回転合わせ(S212)と、検査領域設定(S213)と、光学条件設定(S214)と、光学フィルタ設定(S215)と、検出光量設定(S216)と、信号処理条件設定(S217)とで構成される。なお、S218は、実際の検査の実行である。
【0105】
次に、全体制御部70が実行する各設定について説明する。まず、チップレイアウト設定(S211)は、全体制御部70において、CAD情報等により、画像処理部40などに対してチップサイズやウエハ上のチップの有無を設定することである。このチップサイズは、比較処理を行う距離であるため設定が必要である。次に、回転合わせ設定(S212)は、全体制御部70が搬送系10に対して制御する、ステージに載置されたウエハ1上のチップの並び方向とイメージセンサ36の画素方向とを平行にする、つまり、回転ずれをほぼ「0」にするためにウエハ1を回転させるための設定である。この回転合わせを行うことにより、ウエハ1上の繰返しパターンが一軸方向に並ぶため、チップ比較信号処理を容易に行うことができる。次に、検査領域設定(S213)は、全体制御部70が画像処理部40に対して制御する、ウエハ上の検査を行う場所の設定や、検査領域における検出感度の設定を行うことである。この検査領域設定(S213)を行うことにより、ウエハ上の各領域を最適な感度で検査することができる。
【0106】
次に、光学条件設定(S214)は、全体制御部70が照射光学系20や変検出光学系30に対して制御する、ウエハ上に照射するスリット状ビーム90,90'の照射方向や照射角度及び可干渉性低減光学系253を選択したり、検出光学系30の倍率を選択することである。選択方法としては、例えば、図44に示すような光学条件設定ウィンドウで設定すれば良い。該光学条件設定画面は、照明光学系の照明方向条件3001と照明光学系の照明角度条件3002と検出光学系条件(検出方向である上方か斜方かも含まれる)3003で構成されている。図44では、照明方向条件3001として3種類、照明角度条件3002として3種類、さらに、検出光学系条件3003は2種類の選択を行えるようにした例である。本異物検査装置のユーザは、条件3001、3002、3003の内容を見て、適切な条件を選択すればよい。例えば、被検査対象1が金属膜デポジション工程のウエハで、表面の異物を高感度に検査したいならば、照明方向条件3001の条件の「デポ工程」を選択し、さらに、照明角度条件3002の条件の「表面異物」を選択し、検出光学系条件3003の条件を「上方検出(倍率可変):高感度検査」を選択すれば良く、これらの選択を行った例が図44である。また、被検査対象1が酸化膜の異物やスクラッチ等の欠陥を高感度に検査したい場合には、照明方向条件3001の条件の「CMP後工程」を選択し、さらに、照明角度条件3002の条件の「表面異物」を選択し、検出光学系条件3003の条件を「斜方検出:高速検査」を選択すれば良い。
【0107】
次に、光学フィルタ設定(S215)は、全体制御部50が検出光学系200等に対して制御する、図2に示す空間フィルタ32や偏光フィルタ24bを設定することである。この空間フィルタ22は、ウエハに製作された繰返しパターンからの反射回折光を遮光するためのフィルタであるので、繰返しパターンが存在するウエハに対しては設定した方が良いが、繰返しパターンが無いウエハに対しては設定する必要はない。また、偏光素子24bは配線パターンのエッジが直角に近い状況でエッチングされている場合に用いると効果的である。
【0108】
次に、検出光量設定(S216)は、全体制御部70が照射光学系20又は検出光学系30に対して制御する、イメージセンサ36に入射する光量を調整する工程である。ウエハに製作された回路パターンからの反射散乱光は、そのパターン形状により散乱される成分が変わる。具体的には、ウエハ表面が平らな場合は、散乱光はあまり発生せず、ほとんどが正反射光となる。それに対し、ウエハ表面の凸凹が大きい場合は、散乱光が多く発生する。従って、回路パターンからの反射散乱光はウエハ表面の状態、つまり、デバイス製造工程によって変わるわけである。しかしながら、イメージセンサ36のダイナミックレンジが存在するため、このダイナミックレンジに合わせた光量を入射するように調整するのが望ましい。例えば、ウエハの回路パターンからの反射散乱光量がイメージセンサ36のダイナミックレンジの1/10程度になるように調整するのが望ましい。ここで、イメージセンサ36へ入射する光量の調整方法としては、光量調整フィルタ22で出力光量を調整しても良いし、NDフィルタ34で調整しても良い。
【0109】
次に、信号処理条件設定(S217)は、全体制御部70が画像処理部40に対して制御する、異物等の欠陥の検出条件の設定を行うことである。
【0110】
以上の設定が終了した後、検査工程(S218)で検査を行えば、ユーザが所望の条件で検査を行うことができる。
【0111】
ただし、本実施例で説明した内容を設定する方法としては、例えば、被検査対象の設計情報から人手で入力しても良いし、本発明の異物検査装置に付属の入力アシスト機能を用いて入力しても良く、また、上位システムからネットワークを介して情報を取得しても良い。
【0112】
さらに、上述した設定のうち、検査領域設定(S213)、光学条件設定(S214)、光学フィルタ設定(S215)、検出光量設定(S216)、信号処理条件設定(S217)は必ずしも被検査対象によっては変更する必要はなく、被検査対象に依らず一定値でも良い。一定値にした場合、検査条件を設定する時間を短縮することができるが、高感度にするためには、各条件をチューニングするのが望ましい。また、検査領域設定(S213)は必ずしも光学条件設定(S214)の前に行う必要はなく、検査工程(S218)の前までに設定すれば良い。
【0113】
以上説明した内容を設定する画面の例を図45に示す。図45は、条件設定シーケンス4301、各設定内容の詳細条件4302、設定内容表示変更ボタン4303、ヘルプボタン4304で構成されている。
【0114】
次に詳細について説明する。まず、条件設定シーケンス4301は、本発明の異物検査装置における検査条件の設定の流れを示している。ユーザは条件設定シーケンス4301の「チップレイアウト設定」から順に条件を設定すれば良い。
【0115】
条件設定シーケンス4301の特徴は、条件設定の流れを矢印4305で示すことにより、ユーザが設定順序を間違えることなく、最短の順序で設定できるようにしていることである。また、別の特徴として、必ず設定すべき項目と必ずしも設定する必要の無い項目、つまり、既定値で良い項目に分けていることである。表示を分けることにより、最小限の設定項目が分かり、ユーザがすぐ検査結果が必要な場合は、設定必須項目のみ設定して検査すれば良く、また、検出感度をチューニングしたい場合は、設定必須ではない項目について条件を設定すれば良いため、ユーザの要望に応じて条件設定の度合いを変えることができる。例えば、ボタン4306は枠を3重で示すことにより、必ず設定すべき項目であることを示し、また、ボタン4307は枠を1重で示すことにより、設定の必要性が低い項目であることを示した実施例である。さらに、別の特徴として、ユーザが現在どの項目を設定しているかを明示することである。例えば、ボタン4308はボタンに影をつけることによって、ボタン4306、4307と区別している。このように、現在の場所を明示することによって、残りの設定項目数が一目で分かる利点がある。
【0116】
なお、本実施例では図43で説明したシーケンスに、オプション条件設定4309を追加した例である。このオプション条件設定4309の内容は、例えば、異物のサイズ測定機能の条件設定や異物や欠陥の分類条件の設定である。
【0117】
次に、詳細条件4302は各条件項目の詳細を設定する画面である。項目の入力または選択方法としては、入力ボックス4310のようにキーボードで入力する場所を設けても良いし、入力アイコン4311のようにアイコンで入力項目を選択する方式にしても良い。なお、入力アイコン4311は3種類の入力項目に対し、それぞれアイコンで示し、該当アイコンを押すと別ウィンドウが出てきて、詳細の条件設定を行う例である。さらに、入力チェックボックス4312のように、必要な項目を選択する方法でも良い。
【0118】
また、設定内容表示変更ボタン4303は表示項目の変更またはカスタマイズを行うボタンである。例えば、ユーザがいつも設定したい項目や、設定内容数を増やしたい項目があった時に、この設定内容表示変更ボタン4303を使って変更できるようにする事により、ユーザは使いやすい画面することができ、検査条件をすばやく設定することができる。さらに、ヘルプボタン4304はユーザが設定方法や設定内容がわからなくなった場合に、ユーザを助ける情報を出力するボタンである。手法としては、各設定項目の内容を音声案内したり、操作方法をMPEG等の動画で見せても良い。また、ネットワークや電話回線を通じて、オンラインで本発明の異物検査装置を製造したメーカの設計者と話ができるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明に係る被検査対象基板である半導体ウエハの一実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る欠陥検査装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る照射光学系において主光路と第1の光路とを主に示した実施例を示す平面図である。
【図4】本発明に係る照射光学系において主光路と第2の光路とを主に示した実施例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る照射光学系において主光路と第1及び第2の光路とを主に示した実施例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る照射光学系において主光路と第3の光路とを主に示した実施例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る照射光学系において主光路と可干渉性低減光学系を設置した第2の光路とを主に示した実施例を示す平面図である。
【図8】本発明に係る照射光学系において可干渉性低減光学系を出入り可能に設置した主光路と第2の光路とを主に示した実施例を示す平面図である。
【図9】本発明に係るシリンドリカルレンズとミラーとで構成したスリット状ビームを照射する角度φ照射光学系の一実施例を光軸方向に展開して示した図である。
【図10】本発明に係る(1/cosφ)倍ビーム拡大光学系とシリンドリカルレンズとミラーとで構成したスリット状ビームを照射するX軸方向照射光学系の一実施例を光軸方向に展開して示した図である。
【図11】本発明に係る可干渉性低減光学系とシリンドリカルレンズとミラーとで構成したスリット状ビームを照射する角度φ照射光学系の他の一実施例を光軸方向に展開して示した図である。
【図12】本発明に係る可干渉性低減光学系に用いる光学部材群の一実施例を示す斜視図である。
【図13】(a)は本発明に係るシリンドリカルレンズとミラーとで構成した角度φ照射光学系を用いてスリット状ビームをウエハ上に照射する状態を示す斜視図であり、(b)はシリンドリカルレンズとミラーとで構成したX軸方向照射光学系を用いてスリット状ビームをウエハ上に照射する状態を示す斜視図である。
【図14】本発明に係るレーザ光源から出射されるレーザビームのガウス強度分布と視野との関係を示す図である。
【図15】本発明に係る角度φ照射光学系及びX軸方向照射光学系において傾斜ミラーを切り替えてスリット状ビームの照射を低角度と高角度とに切り替えて行う状態を示す図である。
【図16】本発明に係る粒子状異物とスクラッチとにおいて低角度照射と高角度照射とによって生じる散乱光強度の違いを示す図である。
【図17】本発明に係る低角度照射と高角度照射とによって生じる散乱光強度の違いに基づいて粒子状異物と薄膜状異物とスクラッチとを弁別できることの説明図である。
【図18】本発明に係る検出光学系の一実施例を示す図である。
【図19】本発明に係る検出光学系を傾けた場合の全体概略構成を示す図である。
【図20】本発明に係る検出光学系を倍率可変に構成した実施例を示す図である。
【図21】本発明に係るチップレイアウトと観察されるフーリエ変換像とその論理和とを示す図である。
【図22】本発明に係るピッチ可変の空間フィルタの実施例を示す図である。
【図23】図22に示す空間フィルタにおける遮光パターンを示す図である。
【図24】本発明に係る空間フィルタとして液晶フィルタを用いた場合の遮光パターンの一実施例を示す図である。
【図25】本発明に係る空間フィルタとして液晶フィルタを用いた場合の遮光パターンの他の一実施例を示す図である。
【図26】本発明に係るP偏光とS偏光とにおいて仰角と透明膜の透過率との関係を示す図である。
【図27】本発明に係るS偏光照明とP偏光照明とによって表層欠陥と下層欠陥とに分類できる説明図である。
【図28】表層欠陥と下層欠陥とにおいてP偏光照射時の強度とS偏光照射時の強度との関係を示す図である。
【図29】本発明に係る合焦点制御系の光学系の一実施例を示す図である。
【図30】本発明に係るウエハ上に投影された縞パターンとスリット状ビームと検出視野との関係を示す図である。
【図31】本発明に係る欠陥検査の処理動作の一実施例を示す図である。
【図32】本発明に係る画像処理部の一実施例を示す概略構成図である。
【図33】本発明に係る閾値算出処理部の一実施例を示す構成図である。
【図34】本発明に係る画像マージ回路を示す構成図である。
【図35】本発明に係る異物検出処理部を示す構成図である。
【図36】本発明に係るマージ処理による検出、未検出の関係の説明図である。
【図37】本発明に係る検査結果の表示例を示す図である。
【図38】本発明に係る異物または欠陥の分類に関する別の実施例のシーケンスを示す図である。
【図39】本発明に係る異物または欠陥の分類に関する更なる別の実施例のシーケンスを示す図である。
【図40】本発明に係る異物または欠陥の複数種類の特徴量から分類する方法を説明するための図である。
【図41】本発明に係る異物または欠陥の分類結果とサイズ測定結果を併記した表示の例を示す図である。
【図42】本発明に係る異物または欠陥のサイズ測定結果と異物または欠陥の観察画像を併記した表示の例を示す図である。
【図43】本発明に係る欠陥検査装置において検査条件設定シーケンスを示す図である。
【図44】本発明に係る光学条件設定画面を説明するための図である。
【図45】本発明に係る検査条件設定画面を説明するための図である。
【符号の説明】
【0120】
1…被検査対象基板(ウエハ)、1a…半導体ウエハ、1aa…チップ、10…搬送系(ステージ系)、11…Xステージ、12…Yステージ、13…Zステージ、14…θステージ、15…ステージコントローラ、20…照射光学系、21…レーザ光源、22…光量調整フィルタ、23…偏光板、24…主ビーム拡大光学系、25…集光光学系、26…ミラー群、27…照明制御部、30…検出光学系、31…対物レンズ、32…空間フィルタ、33…結像光学系、34…光学フィルタ群(偏光フィルタ(検光子)、NDフィルタ)、36…イメージセンサ(光検出器)、40…画像処理部、41…A/D変換器、42…データ記憶部、43…閾値算出処理部、44…異物検出処理部、45…特徴量算出回路、46…統合処理部、50…観察光学系、51…ミラー、52…分岐光学要素、53、54…観察光学系、60…合焦点制御系、62…縞パターン、68…リニアイメージセンサ、69…合焦点制御部、70…全体制御部、71…入力手段、72…表示装置(GUI画面)、73…データ記憶部、80…レビュー光学顕微鏡、81…光源、85…イメージセンサ、200a…右側角度φ照射光学系、90、90'…スリット状ビーム、90a…第1のスリット状ビーム、90b、90b'…第2のスリット状ビーム、90c…第3のスリット状ビーム、200b…左側角度φ照射光学系、200c…X軸方向照射光学系、220…主光路、221a…第1の光路、221b…第2の光路、221c…第3の光路、230…ビーム光束、251…シリンドリカルレンズ、251a…第1のシリンドリカルレンズ、251b…第2のシリンドリカルレンズ、252…第3のシリンドリカルレンズ、253…(1/cosφ)倍拡大光学系、255…可干渉性低減光学系、2551…ビーム拡大光学系、2552…光学部材群、2602、2605〜2607、2610、2620〜2622…ミラー、2603…ミラー、2603a…第1のミラー、2603b…第2のミラー、2623…第3のミラー、2604…傾斜ミラー、2604a…第1の傾斜ミラー、2604b…第2の傾斜ミラー、2624…第3の傾斜ミラー、2612…ハーフミラー、2611…板ガラス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンが形成された被検査対象基板を載置して走行させるステージと、
レーザ光源から出射されるビームを主光路から第1又は第2の光路に導き、該第1又は第2の光路に導かれたビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記回路パターンの主要な直線群に対して平面上所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなるスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する照射光学系と、
該照射光学系によってスリット状ビームが照射された被検査対象基板上に存在する異物等の欠陥から得られる反射散乱光を対物レンズで集光し、該集光された反射散乱光をイメージセンサで受光して信号に変換して検出する検出光学系と、
該検出光学系のイメージセンサから検出された信号に基づいて異物等の欠陥を示す信号を抽出する画像処理部とを備え、
前記照射光学系において、前記第1又は第2の光路に導かれたビーム光束を反射して下方に向けるミラーと、該ミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上前記所定の傾き方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記スリット状ビームとして集束させるシリンドリカルレンズ及び傾斜ミラーとを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記照射光学系における前記傾斜ミラーを、前記スリット状ビームを高傾斜角度照射と低傾斜角度照射とが可能なように切り替え可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
回路パターンが形成された被検査対象基板を載置して走行させるステージと、
レーザ光源から出射されるビームを主光路から第1の光路、第2の光路、第3の光路の各々に導き、該第1の光路に導かれた第1のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記回路パターンの主要な直線群の内X軸方向に対して平面上時計方向に所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第1のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射し、前記第2の光路に導かれた第2のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記X軸方向に対して平面上反時計方向に所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第2のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射し、前記第3の光路に導かれた第3のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、平面上前記X軸方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第3のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する照射光学系と、
該照射光学系によってスリット状ビームが照射された被検査対象基板上に存在する異物等の欠陥から得られる反射散乱光を対物レンズで集光し、該集光された反射散乱光をイメージセンサで受光して信号に変換して検出する検出光学系と、
該検出光学系のイメージセンサから検出された信号に基づいて異物等の欠陥を示す信号を抽出する画像処理部とを備え、
前記照射光学系において、前記第1の光路に導かれた前記第1のビーム光束を反射して下方に向ける第1のミラーと、該第1のミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上時計方向に前記所定の傾きを有する方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第1のスリット状ビームとして集光させる第1のシリンドリカルレンズ及び第1の傾斜ミラーとを備え、前記第2の光路に導かれた前記第2のビーム光束を反射して下方に向ける第2のミラーと、該第2のミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上反時計方向に前記所定の傾きを有する方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第1のスリット状ビームとして集光させる第2のシリンドリカルレンズ及び第2の傾斜ミラーとを備え、前記第3の光路に導かれた前記第3のビーム光束を反射して下方に向ける第3のミラーと、該第3のミラーで下方に向けられたビーム光束を前記平面上前記X軸方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第3のスリット状ビームとして集光させる第3のシリンドリカルレンズ及び第3の傾斜ミラーとを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
前記照射光学系において、前記主光路にはビーム径を拡大する主ビーム拡大光学系を有し、前記第3の光路には前記第3のビーム光束の径を更に拡大し、前記被検査対象基板上における第1、第2及び第3のスリット状ビームの長手方向の長さを合わせるビーム拡大光学系を有することを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記照射光学系において、前記第1の光路又は前記第2の光路又は第3の光路に、主光路から得られるコヒーレントの第2のビーム光束を入射して少なくとも前記第2のシリンドリカルレンズの集光方向に互に空間的にコヒーレンシーを低減させた複数の細帯状のビームを出射する前記少なくとも前記集光方向に互に光路長を変えた複数の板状の光学部材を積み重ねて構成した光学部材群を設けて構成したことを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記照射光学系において、前記光学部材群の入射側に、前記入射するビーム光束径の内少なくとも前記複数の板状の光学部材の積み重ね方向に拡大するビーム拡大光学系を設けて構成したことを特徴とする請求項5記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記照射光学系において、前記主光路に、前記レーザ光源から得られるコヒーレントのビーム光束を入射して少なくとも使用する光路に設けられたシリンドリカルレンズの集光方向に互に空間的にコヒーレンシーを低減させた複数の細帯状のビームを出射するように前記少なくとも集光方向に互に光路長を変えた複数の板状の光学部材を積み重ねて構成した光学部材群を出し入れ可能に設けて構成したことを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
前記照射光学系における前記第1、第2及び第3の傾斜ミラーを、前記スリット状ビームを高傾斜角度照射と低傾斜角度照射とが可能なように切り替え可能に構成したことを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
前記検出光学系において、前記被検査対象基板上に存在する繰り返し回路パターンからの干渉パターンを遮光する空間フィルタを前記対物レンズの瞳と共役な位置に設けて構成したことを特徴とする請求項1又は3記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
前記照射光学系において、前記主光路に、光量を調整する光量調整用フィルタを設けて構成したことを特徴とする請求項1又は3記載の欠陥検査装置。
【請求項11】
前記照射光学系において、前記主光路に、偏光を制御する偏光板を設け、
前記検出光学系において、偏光を制御して検出する検光子を設けて構成したことを特徴とする請求項1又は3記載の欠陥検査装置。
【請求項12】
前記レーザ光源において、UV又はDUVレーザ光を出射するように構成したことを特徴とする請求項1又は3記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
前記検出光学系において、検出結像倍率を可変に構成したことを特徴とする請求項1又は3記載の欠陥検査装置。
【請求項14】
回路パターンが形成された被検査対象基板を載置したステージを走行させる走行過程と、
レーザ光源から出射されるビームを主光路から第1又は第2の光路に導き、該第1又は第2の光路に導かれたビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記回路パターンの主要な直線群に対して平面上所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなるスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する照射過程と、
該照射過程によってスリット状ビームが照射された被検査対象基板上に存在する異物等の欠陥から得られる反射散乱光を対物レンズで集光し、該集光された反射散乱光をイメージセンサで受光して信号に変換して検出する検出過程と、
該検出過程においてイメージセンサから検出された信号に基づいて異物等の欠陥を示す信号を抽出する画像処理過程とを有し、
前記照射過程において、前記第1又は第2の光路に導かれたビーム光束をミラーによって反射して下方に向け、該下方に向けられたビーム光束をシリンドリカルレンズ及び傾斜ミラーを用いて前記平面上前記所定の傾き方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記スリット状ビームとして集束させることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項15】
回路パターンが形成された被検査対象基板を載置したステージを走行させる走行過程と、
レーザ光源から出射されるビームを主光路から第1の光路、第2の光路、第3の光路の各々に導く第1のステップと、該第1の光路に導かれた第1のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記回路パターンの主要な直線群の内X軸方向に対して平面上時計方向に所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第1のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する第2のステップと、前記第2の光路に導かれた第2のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、前記X軸方向に対して平面上反時計方向に所定の傾きを有する方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第2のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する第3のステップと、前記第3の光路に導かれた第3のビーム光束を、前記被検査対象基板の面に対して所定の傾斜角度を有し、平面上前記X軸方向から、長手方向にはほぼ平行光からなる第3のスリット状ビームに集束させて前記長手方向が前記ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように前記被検査対象基板上に照射する第4のステップとを有する照射過程と、
該照射過程によってスリット状ビームが照射された被検査対象基板上に存在する異物等の欠陥から得られる反射散乱光を対物レンズで集光し、該集光された反射散乱光をイメージセンサで受光して信号に変換して検出する検出過程と、
該検出過程においてイメージセンサから検出された信号に基づいて異物等の欠陥を示す信号を抽出する画像処理過程とを有し、
前記照射過程において、前記第2のステップは、前記第1の光路に導かれた前記第1のビーム光束を第1のミラーで反射して下方に向け、該下方に向けられたビーム光束を第1のシリンドリカルレンズ及び第1の傾斜ミラーを用いて前記平面上時計方向に前記所定の傾きを有する方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第1のスリット状ビームとして集光させ、前記第3のステップは、前記第2の光路に導かれた前記第2のビーム光束を第2のミラーで反射して下方に向け、該下方に向けられたビーム光束を第2のシリンドリカルレンズ及び第2の傾斜ミラーを用いて前記平面上反時計方向に前記所定の傾きを有する方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第1のスリット状ビームとして集光させ、前記第4のステップは、前記第3の光路に導かれた前記第3のビーム光束を第3のミラーで反射して下方に向け、該下方に向けられたビーム光束を第3のシリンドリカルレンズ及び第3の傾斜ミラーを用いて前記平面上前記X軸方向から前記傾斜角で前記被検査対象基板上に前記第3のスリット状ビームとして集光させることを特徴とする欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2007−192759(P2007−192759A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13285(P2006−13285)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】