正反射性挙動を伴う対象物のミリメートルまたはサブミリメートル構造細部を観察するための光学装置
少なくとも部分的に正反射性の挙動を示し、露光領域内に位置する対象物(2)の構造細部の反射による観察のための装置であって、放射線の流れを放射する少なくとも2つの別個の領域(26、27)を有する放射面(6)を伴い、少なくとも1つの特性が1つの領域と隣の領域とで異なる少なくとも1つの放射線源と、露光領域に対して放射線源と一直線を成して放射線の経路に位置する光学投影系と、光学投影系の入口絞り(14)と放射面(6)とを光学的にリンクさせるようになっている光学露光系(18)と、露光領域内の対象物と光学的にリンクされるとともに、その受けられる放射線が対象物(2)における偏向に依存する投影面(10)とを含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な意味で、拡散または散乱するだけでなく少なくとも部分的に正反射性でもある光学的挙動を特定のスケールで有する対象物の観察のための装置に関する。
【0002】
本発明は、特に、ミリメートルまたはサブミリメートル分解能で、特に幅広い領域、すなわち、観察系によって受けられる光線の円錐の視角が大きい領域において、対象物の表面状態を観察して測定するようになっている装置に関する。
【0003】
本発明は、金属、プラスチック、ガラス、セラックなどから形成される平坦性または湾曲性及び反射性を有する表面の観察において、特に有利な用途を見出す。
【0004】
したがって、本発明は、対象物における欠陥を検出するため、表面を特徴付けるため、表面状態(粗さ)を記述するため、表面形状作成法を行なうため、材料中に記憶された情報を読み取るため、材料の構造からデータを抽出する等のために、表面の検査において使用できる。
【背景技術】
【0005】
従来技術においては、正反射性挙動を示す表面を観察するために様々な解決策が提案されてきた。
【0006】
例えば、表面欠陥の検出のため、仏国特許出願第2285990号は、対象物の表面を照明して、暗及び明が比較的はっきりとした領域(フリンジング)を反射により形成するとともに、検査される表面上のこれらのフリンジを移動させることを提案する。
【0007】
また、前記特許は、暗い又は明るい領域の像を取得して、取得された像において、暗い領域の明るいパターンまたは明るい領域の暗いパターンを検出することにより、これらから欠陥の存在を推定することも提案する。
【0008】
同様の方法で、仏国特許出願第2817042号は、湾曲したガラス枠のような形状を伴う基板の正反射性の表面を検査するための装置を提案した。この文献は、基板の表面上の欠陥の存在を人が決定できるようにするべく、そのパターンが少なくとも1つの方向で変形される検査カードの瞬間写真を撮影することから成る方法について記載している。
【0009】
該技術は、フリンジに基づくコーディング像の変形を測定することによる正反射性材料の観察から始まり、コーディング像中のフリンジの質及び量によって制限される空間分解能を有する。また、該技術は、しばしば解釈の誤りをもたらす影領域または起伏に関する不確定性を伴わせるかなりのデジタル処理を必要とする。
【0010】
他の技術は、立体視技術または偏光技術など、幾つかのセンサ及び/又は幾つかの連続取得の使用によって、取得数を増大させる。また、位相差結像または立体鏡などの他の技術は、特定の産業用途において実施することが困難であり、不可能な場合さえある。これは、それらの感度、または、それらの構造のトポロジーにおける特定の技術的限界に起因する。
【0011】
従来技術において、我々は、例えば文献米国特許第2003/026475号及び米国特許第2002/001029号により、光の拡散反射によって対象物を観察した後に反射によって暗領域と明領域(フリンジ)とを形成するための光学装置も熟知している。しかしながら、再構成像を与えるため、これらの装置は、かなりの複雑なデジタル処理を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の主題は、正反射性挙動を伴う対象物のミリメートルまたはサブミリメートル構造細部を反射によって観察するための新規な装置であって、実施が簡単である一方、高い分解能も与え、幅広い分野の用途で機能できる装置を提案することにより、前述した欠点を改善することを目的とする。
【0013】
本発明の他の主題は、標準的な光学素子から設計され、特に高速での観察において産業環境に適するロバスト性及びコンパクトさを示す一方で、デジタル処理を制限する、又は全てのデジタル処理を排除するという利点も与える新規な観察装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するため、少なくとも部分的に正反射性の挙動を示し、露光領域内に位置する対象物のミリメートルまたはサブミリメートル構造細部の反射による観察のための装置は、
放射線の流れを放射する少なくとも2つの別個の領域を有する実際の、又は仮想的な放射面を伴い、少なくとも1つの特性が1つの領域と隣の領域とで異なる少なくとも1つの放射線源と、
露光領域に対して放射線源と一直線を成して放射線の経路に位置し、入口絞りを含む光学投影系と、
放射線源と露光領域との間に位置し、光学投影系の入口絞りと放射線源の放射面とを光学的にリンクさせるようになっている光学露光系と、
光学投影系に対して露光領域と一直線を成して位置し、露光領域内の対象物と光学的にリンクされ、その受けられる放射線が対象物からの偏向に依存する投影面と、
を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の主題の1つの適用によれば、本装置は、対象物による光線偏向の値に対応する値を測定するために投影面の助けにより使用される局部的な検出手段を含む。
【0016】
一実施形態によれば、放射面は、小さい寸法を有し、点光源に近く、そのダイアフラムを有する光学投影系は、対象物と投影面との間に位置する光線を遮る唯一の要素である。
【0017】
投影面は、放射線源の放射線のタイプに対して感度が良くなるように形成されるのが有益であり、電子処理システムまたは光学処理システムと関連付けられる。
【0018】
一実施形態によれば、放射線源は、可視光放射線及び/又は紫外光放射線及び/又は赤外光放射線を放射する。
【0019】
他の実施形態によれば、放射線源が音波、粒子、又は電磁波を放射する。
【0020】
1つの有利な実施特徴によれば、放射面は、分離線又は段階的な移行域によって形成される移行領域により分離される異なる強度及び/又は色及び/又は偏光を示す少なくとも2つの領域を伴う像を有する。
【0021】
一例として、放射面は暗い領域と明るい領域とを含む。
【0022】
一実施形態によれば、放射線源の放射面は、放射線源のためのハニカム及びホログラムなどの特定の材料の使用により、仮想面内に位置する。
【0023】
一実施形態によれば、放射線源の放射面が無限遠に位置し、光学露光系が無限遠を光学投影系の入口絞りとリンクさせる。
【0024】
他の特徴によれば、光学露光系は、追加の光学素子の付加を伴うことなく、光学投影系の入口絞りによって対象物及び/又は放射面を位置決めする及び/又は調整することで構成される。
【0025】
一実施形態によれば、本装置は、特に放射面及び半反射プレートが内側に組み込まれるボックスを含み、光学露光系が特にフレネルタイプの円柱レンズを含む。
【0026】
本装置は、放射面及び/又はレンズ及び/又は半反射プレートまたはシートによって与えられる角度の光軸線上における位置を調整するための手段を含むことが有益である。
【0027】
1つの好ましい適用例によれば、本装置は、例えば対象物の識別特性に対応する対象物の構造的特徴を抽出するために一組の偏向値を受けるための手段を含む。
【0028】
対象物の識別特性を抽出するために偏向値を受けるための手段が安全な対象物追跡システムに接続されることが有益である。
【0029】
様々な他の特徴は、本発明の主題の実施の異なる形態を非限定的な例として示す添付図面に関連して以下に与えられる説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】偏向を伴わない及び伴う透過における観察装置の原理を示している。
【図1A】偏向を伴わない及び伴う透過における観察装置の原理を示している。
【図2】反射における対象物の偏向を伴わない拡散・正反射挙動を示す図である。
【図3】透過における対象物の偏向を伴わない拡散・正反射挙動を示す図である。
【図4】反射における対象物の偏向を伴う拡散・正反射挙動を示す図である。
【図5】透過における対象物の偏向を伴う拡散・正反射挙動を示す図である。
【図6】本発明に係る観察装置によって使用される伝達関数の推移性を示すグラフを含む。
【図7A】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7B】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7C】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7D】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7E】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8A】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8B】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8C】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8D】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図9】反射における本発明に係る観察装置の概略図である。
【図10】本発明に係る観察装置の1つの実施形態の図である。
【図11】テレセントリックレンズを使用する観察装置の他の実施形態の図である。
【図12】湾曲面のための本発明に係る観察装置の他の実施形態の図である。
【図13】ミラーにおける欠陥の観察のための本発明に係る観察装置の他の実施形態の図である。
【図14】その光学露光系がレンズを有さず、ハニカム面と関連付けられるテレセントリックレンズを使用している観察装置の一実施形態の図である。
【図15A】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15B】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15C】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15D】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15E】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15F】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、少なくとも部分的に正反射性の挙動を示し、露光領域(3)内に配置される対象物(2)のミリメートルまたはサブミリメートル構造細部を観察するように設計される装置(1)を示している。
【0032】
用語“対象物”は、空間及び時間の領域に位置する任意の材料または物理的あるいは情報的な現象に適用できることは言うまでもない。“対象物”により、人は、例えばプレート、シート、層流などの物体の表面及びその時間的変遷、或いは媒体中に含まれる情報を理解することができる。本発明の主題は、特に、プラスチックカード、ガラスボトル、スクリーン印刷、エッチングまたはパッド印刷、あるいは、スマートカード上の磁気ストリップの表面状態を例えば表面反射によって人が観察できるようにする装置(1)の実施に関するものである。
【0033】
従来のように光軸線xを有する観察装置(1)は、一般的な意味で光学的環境を用いた対象物(2)の観察のために使用される放射線源(5)を含む。放射線源(5)は、可視光波長及び/又は紫外線波長及び/又は赤外波長においてのみならず、全ての放射性(電磁)放射線波長においても電磁放射線の流れを供給でき、圧力波(音、可聴下音(副音声)、超音波など)の流れを供給でき、あるいは、粒子流(イオン、電子、分子など)を供給できる。用語“光学的環境”は、電磁波(放射測定・光学レンズ/ミラー、磁気レンズなど)、圧力波(音響及び音響レンズ/ミラーなど)、粒子流(電磁特性、質量特性などを伴う)を含む合焦の可能性が存在する全ての領域を指す広い意味で解釈される。この場合、この放射線は、コヒーレントまたはインコヒーレントである。
【0034】
光線またはビームが対象物にぶつかると、場合によっては、該光線が様々な方向に現れる複数の光線に分かれることが想起され、その光線の強度は、伝達関数にしたがい、出現方向に伴って変化する。反射部及び透過部のそれぞれにおいて、この伝達関数は、2つの関数、すなわち、正反射部の伝達関数と反射または透過の拡散部あるいは散乱部の伝達関数との和と見なされ得る。
【0035】
図2は、反射における対象物の拡散・正反射挙動を示している。図2に示されるように、入射光線(a)は、対象物の局部的に平坦な表面(b)と入射角(c)を形成している。反射光線dの主要な出現形態は、入射点での垂線に対して、入射光線の入射角(c)に等しい反射の主要出現角(e)を形成する。この図は、入射角(c)における反射の拡散部の角度伝達関数(f)、入射角(c)における反射の正反射部の角度伝達関数(i)、及び、入射角(c)における反射の角度伝達関数(k)を示す。
【0036】
反射における拡散・正反射挙動は、透過における拡散・正反射挙動に置き換えることができる。伝達関数は、対象物の表面が局部的に平行で、対象物が局部的に均一である場合には、様々な方向の拡散部と、その方向が原則的に変化しない主要出現モードとに分かれる。図3は、局部的に均一で、局部的に平行な表面を有する半透明な対象物(b)に関する透過における拡散・正反射挙動を示している。入射光線(a)は入射角(c)を形成する。透過された波(d)の主要出現形態は、入射光線の入射角(c)に等しい透過の主要出現角(e)を形成する。この図3は、入射角(c)における透過の拡散部の角度伝達関数(f)、入射角(c)における透過の正反射部の角度伝達関数(i)、及び入射角における透過の角度伝達関数(k)を示す。
【0037】
また、説明の残りの部分においては、反射または透過における光線の偏向を規定することが必要と思われる。光線の入射点において対象物が平坦性欠陥または不均一性を有すると、その主要出現形態は、平坦性欠陥または不均一性がない場合に予期される挙動に対して偏向され得る。誘発偏向と呼ばれるこの偏りは、光線が他の方向から来ているという印象を観察者に与える。図4は、反射における入射光線(a)の偏向を示す図である。入射光線(a)は、平坦性欠陥または不均一性(p)を有する対象物(b)の入射点で垂線に対して入射角(c)を有する。平坦性欠陥を有する主要反射出現形態(d1)は、平坦性欠陥がない場合に予期される挙動(d)に対して偏向角(l)で偏向される。反射において、偏向は、原理上は平坦性欠陥によってもたらされるが、例えば表面上の光回折網の存在など、他の偏向理由が存在し得る。
【0038】
図5は、対象物(b)の平面に対する垂線に対して入射角(c)を成す透過における入射光線(a)の偏向図を示している。透過における偏向の場合には、対象物に欠陥がない場合に予期される主要透過形態(d)に対して偏向角(l)を成す主要透過形態(d1)が存在すると思われる。透過において、この偏向は、可変厚さ(対象物の表面が平行でない)などの対象物の構造の特性によって、あるいは、例えば光学指数における不均一性によって生じる。
【0039】
なお、図1は、偏向を伴わない透過における観察装置(1)の原理を示している。観察装置(1)は放射線源(5)を含んでおり、この場合、放射面(6)が放射線源からの放射線を拡散する。特別な光学装置の使用により、放射面(6)が実際の表面または仮想表面の状態となり得る。この放射線源(5)は、放射面(6)が放射線流を放射する少なくとも2つの別個の領域(8、9)を有するように形成される。この場合、少なくとも1つの特性が一方の領域と隣の領域とで異なる。残りの部分で詳しく説明されるように、放射面(6)は、異なる特性、強度、偏光、または、色(例えばL*a*b*色形態を使用する)を示す領域を含む。したがって、放射面(6)が所望の観察類型に適合される形状を有することは言うまでもない。
【0040】
また、装置(1)は、装置によって観察される対象物(2)の像がその上に形成される表面を構成する投影面(10)も含む。この投影面(10)は、例えば、観察者の眼の網膜、スクリーン、または、取得・処理ユニットに接続される放射線センサ(例えばカメラ)に対応する。この投影面(10)は、放射線源(5)からの放射線の性質に適合されるとともに、暗室(11)内に位置する。
【0041】
表面(10)上に対する像の投影は、露光領域(3)に対して放射線源(5)と一直線を成して放射線の経路に位置する光学投影系(12)によって行なわれる。この光学投影系(12)は入口絞り(14)を含む。この入口絞り(14)は、光学投影系(12)のダイアフラム形成部(例えば、カメラのレンズのダイアフラム)の存在によって規定される。従来、このダイアフラムは、光線がその中心を通過できるようにする形状を有する。なお、このダイアフラムは、対象物(2)と投影面(10)との間に存在する唯一の有効な遮光要素である。装置の原理を簡略化して示すため、光学投影系(12)は、絞りダイアフラムを形成するその物理的寸法によって空間的に限定される簡単なレンズに要約されている。
これは図1、8、9、12、13において使用される。なお、投影面(10)は、光学投影系(12)に対して露光領域(3)と一直線を成して位置する。そのような投影面(10)は、露光領域(3)内の対象物(2)と光学的にリンクされる。
【0042】
また、観察装置(1)は、放射線源(5)と露光領域(3)との間に位置する光学露光系(18)も含む。この光学露光系(18)は、光学投影系(12)の入口絞り(14)と放射線源の放射面(6)とを光学的にリンクするように形成される。図1に示される例として、光学露光系(18)は、放射面(6)と光学投影系(12)の入口絞り(14)との間のリンクを行なうためにレンズとなるべく選択され、このリンクは、光軸線xに対して垂直な軸線または2つの横軸線に基づく。しかしながら、明細書本文の残りの部分(図13)で説明するように、放射面(6)と入口絞り(14)との間の位置及び/又は構成要素を調整することによりリンクを形成するようになっていてもよい。
【0043】
前述した観察装置(1)の動作は、先の説明によって直接にもたらされる。これに関して、放射線源の特定点によって放射される光線が辿る光学経路に基づいて判断する代わりに、原理は、投影面(10)上の点を露光する光学経路の全てに関して記載される。観察装置(1)の動作の説明は、光の逆戻りの原理に基づいており、ガウス近似の文脈に入る。また、原理の提示は、ここでは、光軸線に対して垂直な2つの横軸線のうちの一方に制限される。勿論、原理は、2つの軸線に同時に一般化され得る。
【0044】
投影面(10)上の任意の点(Ai)(すなわち、図1ではA1及びA2)においては、放射線源(5)の放射面(6)の同じ領域(7)が常に感知される。放射線源の放射面(6)は等方的方法で拡散し、それにより、投影面(10)は、偏向の不存在を示す均一な照明を感知する。
【0045】
図1Aは、その原点が図5に関連する説明で想起される偏向(19)をもたらす不均一性を示している対象物(2)の一例を示す。特定の偏向角が与えられると、観察される対象物(2)の点が何であろうと、投影面(10)上の点(Ai)によって放射面(6)の同じ領域(7)が常に感知される。しかしながら、偏向角を伴って感知される放射面上のこの領域(7)は、偏向角を伴うことなく感知される放射面の領域(7)(図1)とは異なる。したがって、対象物における偏向の値と放射面上の感知領域(7)の位置との間に固有の関係が存在すると思われる。
【0046】
この固有の関係に照らして、放射面(6)により拡散される放射線の特性(例えば、その強度、その色など)を感知領域(7)の空間的位置にしたがって固有の方法で変化させるようになっている。したがって、推移性により、観察された対象物の点とは無関係に、対象物における偏向の値と投影面(10)によって感知される放射の特性の値との間に固有の関係が存在する。点(Ai)によって感知される領域の範囲は、倍率の程度内まで、点(20)での対象物に起因する偏向に関連する入口絞り(14)の形状に対応する。この形状は、対象物の観察点での偏向にしたがって放射面(6)上で固有の方法でオフセットされる。結果として、点Aiによって受けられる放射線の流れの集積は、放射面(6)上に与えられる形状の平滑化に対応する。したがって、関数の推移性を図6にしたがって表わすことができる。
【0047】
図6のグラフAは、それ自体を光軸線xに対して垂直な2つの横軸線のうちの一方に制限する上述の原理を与えるとともに、放射面(6)上におけるその位置(P)にしたがった放射面(6)上の放射特性(R)の値の漸進的変化を示している。この放射特性(R)は、1つの成長関数(f1)にしたがって漸進的に変化する。
【0048】
図6のグラフBは、放射面上の感知領域(7)の位置(P)にしたがった投影面(10)上の点(Ai)により感知される放射特性(R1)の値の漸進的変化を示している。投影面(10)上の点(Ai)によって感知される領域(7)の集積を考慮して、感知領域の全てにわたる関数の平滑化が付随し、それにより、感知される放射特性の値が、感知領域の位置にしたがって狭義増加する連続関数(f2)にしたがって漸進的に変化する。
【0049】
図6のグラフCは、偏向角(α)にしたがった感知領域の位置(P)の漸進的変化を示している。これは、パラメータ(例えば、拡散形状)を調整することによってアフィン関数または一次関数に近づくようにされ得る狭義増加連続関数(f3)である。
【0050】
グラフB、Cの合成関数により、我々は、グラフDによって示されるように、偏向角(α)にしたがった投影面上の点(Ai)によって感知される放射特性(R1)の値の漸進的変化を得る。放射特性(R1)のこの値は、狭義増加連続関数(f4)にしたがって漸進的に変化する。
【0051】
勿論、グラフEによって示されるように、投影面上の点によって感知される放射面上の放射特性(R1)の値にしたがった偏向角(α)の漸進的変化に対応する逆関数(f5)(狭義増加連続関数)を得ることができる。
【0052】
先の説明から、偏向角(α)の値と投影面(10)上の点(Ai)によって感知される領域(7)の位置との間に直接的な関係が存在することが分かる。固有の流れ強度をそれぞれが偏向角(α)に対応する各感知領域(7)と関連付けることにより、曖昧さを伴うことなく反射する対象物上の起伏を観察することができる。
【0053】
そのような装置(1)は、人が対象物の表面上の起伏を観察できるようにする。投影面が例えばセンサである1つの用途によれば、装置(1)は、投影面(10)の使用によって人が対象物(2)による光線偏向の値に対応する値を測定できるようにする局部的な検出手段を含む。センサは、放射面(6)によって拡散される放射線のタイプに合わせて形成されており、観察対象物に適した特性を人が観察対象物から測定または抽出できるようにする。
【0054】
図6に記載される原理の描写から明らかなように、異なる変形例が、放射面(6)のための形状のそれらの選択に関し、先の原理の適用において想定し得る。その場合、この選択は観察の所望のタイプに合わせて成される。光軸線xに対して垂直な2つの横軸線によって形成される空間内の感知領域の位置と偏向角との間に固有の関係が存在することが想起される。
【0055】
放射面(6)が点光源に近づく場合、光学投影系(12)のダイアフラム(14)は、光線がその中心を介して通過できるようにする。点光源とは、その空間的範囲が観察視野の空間的範囲に比べて非常に小さい光源を意味する。
【0056】
放射面(6)を形成するための変形例は、放射線の流れを放射する少なくとも2つの別個の領域を含み、その場合、少なくとも1つの特性は隣の領域の特性と異なる。放射線の流れの特性は、例えば異なる強度及び/又は色であってもよい。
【0057】
図7A及び図7Bに示される例は、光軸線xに対して垂直な2つの横軸線のうちの一方における固有の受信される偏向−強度関係を、他方の横軸線における偏向とは無関係に示している。これらの例によれば、放射面(6)は、はっきりとした直線移行領域(Z)(図7A)によって、或いは段階的な又はなだらかな傾斜(強度勾配)を伴う移行域(Z)(図7B)によって分離される、明るい又は輝いている領域(8)と暗い領域(9)とを含む。
【0058】
図7C及び図7Dは、それぞれが異なる色(例えば、緑色のカラムを伴う赤色ライン)を割り当てる2つの垂直に及び水平に直交する領域の重ね合わせによって得られる軸線xに対して垂直な2つの横軸線のそれぞれにおける固有の色を通じた受信された偏向−強度関係を示す放射面(6)の実施の例を示している。図7Cに示される例において、領域は、はっきりとした境界線を伴う移行領域によって分離され、一方、図7Dでは、段階的な移行域によって領域が分離される。
【0059】
図7Eは、対象物において、人が観察できるようにする暗背景上の明るい環状領域の形態を成す同心形状を有する放射面(6)を示しており、観察面の垂線に対する領域の偏向角は、観察面内の偏向の方向とは無関係に決定される値を有する。
【0060】
先の例において、放射線源(5)は、選択されたパターンを拡散する実際の放射面(6)を含む。この拡散面は、実像または虚像の形成によって代替光学装置の形態を成すことができる。図8A〜図8Dはこの原理の実施形態を示している。
【0061】
図8Aは、その物理的表面(61)が光学露光系(18)及び放射面(6)によって使用される機能の全てをシミュレートするホログラムを使用する実施変形例を示している。該変形例は、それが取って代わる装置と同様に、光学投影系(12)の入口絞り(14)の面内に放射面(6)の実像を形成する。領域(8、9)及び(81、91)はそれぞれ、図7Aの拡散形状の例の使用、及びレンズ(18)による整列のシミュレーションに対応する実像の形成を示している。光学露光系(18)のホログラムへの組み込みは、装置を更にコンパクトにするという利点を有する。
【0062】
図8Bは、人が光の視準にアプローチできるようにする構造の実施形態を示している。この例は、軸線に沿って延ばされるハニカム構造(20)を描いており、該構造は、少なくとも軸線上で半透明であり、この軸線からオフセットされると不透明である。拡散源の前方でのこのハニカム構造の使用(図8C)は、光学投影系(12)の入口絞り(14)と無限遠との結びつきにより、光学露光系の役割を果たしているレンズ(18)の使用によって視準源をシミュレートする。偏向の存在下では(図8D)、点(Ai)に通じる経路のビームが、感知強度が減少するようにハニカム構造の軸線に対して傾けられる。
【0063】
図1及び図1Aに示される例では、装置(1)が透過において観察を行なうようになっている。本発明によれば、装置(1)は、反射によって観察を行なうようになっている。
【0064】
図9は、投影面(10)と対象物(2)との間の光学経路上に位置する半反射プレート(21)を用いる反射による観察のために使用される本発明に係る装置(1)の適用例を示している。図9は、第1に、対象物(2)上の点(24)で偏向を伴わない流れの光源経路(23)の全てを示しており、第2に、対象物(2)上の点(24)で偏向を伴う流れの光源経路(25)の全てを示している。したがって、対象物(2)上の点(24)は、点(24)で偏向を伴わない放射面(6)上の領域(26)と点(24)で偏向を伴う領域(26)とは異なる放射面の領域(27)とを感知する投影面(10)上の点(Ai)によって観察される。図5及び図7A〜7Eの描写に示される手法に係る拡散形状の放射面による使用は、人が点Aiでの偏向を観察できるようにする。
【0065】
図10は、拡散するだけでなく、はっきりとした垂直境界線によって分離される明領域と暗領域とを伴う形状を示す拡散要素の形態を成す放射面(6)をその放射線源(5)として有する観察装置(1)の前方のコンベア(30)によって通過する特徴を有する対象物(2)の表面の反射における観察のための装置(1)の実施形態を示している。放射面(6)は、この例では、エレクトロルミネセントダイオードなどの光源によって後方から照明される。放射面(6)は、例えば垂直軸線上の円柱フレネルレンズの形態を成す光学露光系(18)から距離を隔てて位置する。このフレネルレンズ(18)は放射面(6)と半反射プレート(21)との間に位置され、半反射プレート(21)の上側には光学投影系(12)とカメラの一部を形成する投影面(10)とが配置される。放射線源(5)、フレネルレンズ(18)、及び、半反射プレート(21)は、比較的小さいサイズのボックス(32)に装着され、該ボックス上にカメラが固定される。
【0066】
本実施において、放射面(6)と光学露光系(18)との間に位置する水平軸線を有する円柱フレネルレンズ(31)の付加は、投影面(10)によって感知される像における口径食現象を排除するために使用される。
【0067】
好ましい実施特徴によれば、観察装置(1)は、放射面(6)及び/又はフレネルレンズ(18)及び/又は光軸線xに対して垂直ないずれかの、又は両方の横軸線に対する半反射プレート(21)により与えられる角度の光軸線x上における位置を調整するための手段を含む。これらの調整手段は、手動性のものであっても、又は場合により制御ループを成す自動性のものであってもよく、例えば、装置を観察対象物(2)の不正確な提示に調整するために使用され得る。
【0068】
図10は、反射による観察のための本発明に係る装置(1)の実施を示している。なお、半反射プレート(21)の使用は、本発明を何ら限定するものではない。一般に、人は、同じタイプの観察を依然として可能にしつつ、装置(1)の構成要素を異なる方法で形成することを想起できる。
【0069】
例えば、図11は、テレセントリックレンズをその光学投影系(12)として対象物側で使用する、反射における観察装置(1)の光学的に展開された図を示している。この実施形態によれば、入口絞り(14)がテレセントリックレンズのアイリス(141)によって形成される。なお、光学露光系(18)は、常に、光学投影系(12)の入口絞り(14)と放射線源の放射面(6)とを光学的にリンクさせるように選択される。
【0070】
そのような実施変形例は、特に、像歪みを排除するととともに、反射におけるその偏向特性が入射角に依存する対象物を観察するという利点を有する。
【0071】
図12は、特に偏向角の大きなダイナミックレンジをもたらす湾曲面を観察するようになっている装置(1)の光学的に展開された図を示している。図12から分かるように、対象物(2)、特に観察面は、観察装置(1)の補助光学系に巨視的にリンクされ得る。例えば、観察面は、円柱または球の内面あるいは外面に対応する。したがって、この面は、収束または発散の円柱状あるいは球状ミラーにリンクされ得る。この場合、光学露光系(18)は、放射面(6)と光学投影系(12)の入口絞り(14)との間に虚像であるリンクを形成するようになっている。投影面(10)上で観察される像は、等価な光学系として振舞う欠陥を伴わない対象物にとって中立的である。
【0072】
図13は、ミラー、例えば望遠鏡のミラー上に現れる欠陥の観察のための図12に示される原理の適用例を示している。この実施形態によれば、光学露光系(18)は、放射面(6)と入口絞り(14)との間にリンクを形成するように光学素子を位置決めすることで構成される。これは、放射面(6)と入口絞り(14)との間の接続を行なう凹面鏡(2)である。この例の実施では、投影面(10)と対象物(2)との間に反射プレート(21)が位置する。
【0073】
図14は、図8C、8D、11に示される変形例で導入された光学素子を組み合わせる観察装置(1)の他の実施変形例の光学的に展開された図を示しており、これはテレセントリックレンズと関連付けられるハニカム構造を意味する。この変形例は、レンズを伴わない光学露光系(18)を含む。すなわち、この組み合わせは、余分な光学要素の付加を伴わずに光学露光系(18)によって成されるべき接続を行なうために使用できる。実際には、このタイプの放射線源(5)は無限遠で放射面(6)を位置付けており、一方、テレセントリックレンズの入口要素はアイリス(141)によって決定される光学投影系(12)の入口絞りを同様に無限遠に配置しており、したがって、この場合、光学露光系(18)によって成される接続が達成される。
【0074】
実施方法または実施形態が何であっても、観察装置(1)により、人は、様々な性質を有する対象物上の起伏を観察できるとともに、情報が特に豊富な像を取得できる。図15A〜図15Fは、スクリーン印刷か否かにかかわらず、又はパッド印刷であるか否かにかかわらず、透明ガラス(図16A)または着色ガラス(フラスコ、ボトル、窓など)の表面、カード表面(層状カードまたはプラスチックカード)、複雑であるか否かにかかわらずパッキングケース、銀メッキされたラッカー塗装のカードボックス(図16B)、金メッキされた刷り込みボックス(図16C)、印刷、金属化を伴う、又は伴わないプラスチック面、印刷された透明な貼り付けプラスチックラベル(図16D)、金属化されたプラスチック支持体を伴う安全ホログラム(図16E)、または、例えばスマートカード上の金属ストリップの表面などの金属面(図16F)のそれぞれに関して観察装置(1)により得られる様々な像を示している。
【0075】
観察装置(1)は、少なくとも正反射性の任意の表面、特に拡散技術が結果として正反射挙動を伴う液体、気体をもたらさない表面、表面上または体積における可変領域、ホログラフィック挙動を伴う表面、マルチスケール構造、可変指標を有する透明プレート、不活性な又は生きている対象物などを観察するように形成される。
【0076】
本発明の対象は、光計測学、表面状態の認定(粗さ、表面特性、表面外観、表面識別、表面形状生成法、幾何公差、記憶情報の読み取り、記憶情報の(流れを増大させる)並行読み取り、認証法のための構造の抽出、情報のコーディング、及び、特に仏国特許出願第2 866 139号、国際公開第2005/76651号、米国特許第2005/2622350号、仏国特許第2 870 376号、仏国特許第0513231号、及び、仏国特許第0601342号に記載される作業、生物測定のためのデータの抽出、ソナー及びレーダー、電子顕微鏡の高度化など)など、多くの用途を見出す。
【0077】
観察装置(1)は、競合技術に対して多くの利点を有する。すなわち、
・低いコスト:簡単で、標準的な、したがって安価な光学要素の使用により、そのような装置のコストは低い。
・容易性。
・・組み立て及び調整の容易さ及びそのコンパクトさ。すなわち、そのような装置の調整は、大部分の他の装置と比べてあまり細かくない。構成要素の数が減少されるとともに、光学経路が比較的短く、したがって、コンパクトであり、組み立て及び調整の複雑さが軽減される。
・・数値計算の軽減により、システムの自律性が得られる−情報の再構成のための前処理を行なう必要がもはやない(パターンの変形を使用するシステムと同様、特に、位相検出または相互相関計算の段階を使用する)、対象物の観察または測定は、オペレータが直接に見ることにより、又は取得された値を使用することにより直接的となり得る。また、システムの正確な動作は、(例えば位相再編成などに関して)不定元を解くためにシステムに必要となり得る監視を必要としない。
・有効性:任意の計算段階が減少され、1つの取得だけを必要とするため、同じ構成要素を用いて、高速であっても連続的に観察することができる。この場合、限定因子はセンサの取得速度である。測定は“全分解能”である。すなわち、情報が測定によって取得される。この場合、他のシステムは、情報が再構成された後に補間しなければならない。また、観察される領域を装置全体のサイズに対して幅広くできる。このシステムは測定スキャン(例えば、レーザスキャン)に基づいておらず、そのため、取得の全てを同期させることができ、また、これは、その観察が(例えば、非常に急速な現象を観察するために)高速で行なわれなければならない用途において重要となり得る。
・ロバスト性:調整はあまり細かくない。本発明の原理によれば、受けられた流れの集積によってもたらされる平滑化は、構成要素の欠陥及び/又は調整に対して測定を安定させるために使用できる。この場合、特定のシステムは最小の不規則性(それらの変形に基づくシステムにおけるフリンジパターンの不規則性など)に対して敏感である。また、このロバスト性は、質の良い結像を行なわないシステムの使用を可能にし、そのため、光学露光系(18)におけるフレネルレンズの使用が可能である。本発明の原理は、干渉現象に基づかないため、様々な寄生ファクタを伴う感度と同じ感度に悩まされない。フリンジングを使用するシステムでは、取得された像の領域全体と放射面の領域との間に一致が求められる。逆に、本発明によれば、取得された像のそれぞれのピクセルにおいて、感知された値は、像におけるピクセルの位置とは無関係に、領域間の移行域内の1つの位置に対応し、したがって、角度偏向値に対応する。
・汎用性:異なるタイプの放射線を用いて、非常に幅広い種類の対象物を観察できる。
・拡張可能性:コーディングタイプのためのダイバーシティの選択により、測定類型を大きく変えることができ、また、使用される光学要素の選択においてかなりの自由度も存在する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な意味で、拡散または散乱するだけでなく少なくとも部分的に正反射性でもある光学的挙動を特定のスケールで有する対象物の観察のための装置に関する。
【0002】
本発明は、特に、ミリメートルまたはサブミリメートル分解能で、特に幅広い領域、すなわち、観察系によって受けられる光線の円錐の視角が大きい領域において、対象物の表面状態を観察して測定するようになっている装置に関する。
【0003】
本発明は、金属、プラスチック、ガラス、セラックなどから形成される平坦性または湾曲性及び反射性を有する表面の観察において、特に有利な用途を見出す。
【0004】
したがって、本発明は、対象物における欠陥を検出するため、表面を特徴付けるため、表面状態(粗さ)を記述するため、表面形状作成法を行なうため、材料中に記憶された情報を読み取るため、材料の構造からデータを抽出する等のために、表面の検査において使用できる。
【背景技術】
【0005】
従来技術においては、正反射性挙動を示す表面を観察するために様々な解決策が提案されてきた。
【0006】
例えば、表面欠陥の検出のため、仏国特許出願第2285990号は、対象物の表面を照明して、暗及び明が比較的はっきりとした領域(フリンジング)を反射により形成するとともに、検査される表面上のこれらのフリンジを移動させることを提案する。
【0007】
また、前記特許は、暗い又は明るい領域の像を取得して、取得された像において、暗い領域の明るいパターンまたは明るい領域の暗いパターンを検出することにより、これらから欠陥の存在を推定することも提案する。
【0008】
同様の方法で、仏国特許出願第2817042号は、湾曲したガラス枠のような形状を伴う基板の正反射性の表面を検査するための装置を提案した。この文献は、基板の表面上の欠陥の存在を人が決定できるようにするべく、そのパターンが少なくとも1つの方向で変形される検査カードの瞬間写真を撮影することから成る方法について記載している。
【0009】
該技術は、フリンジに基づくコーディング像の変形を測定することによる正反射性材料の観察から始まり、コーディング像中のフリンジの質及び量によって制限される空間分解能を有する。また、該技術は、しばしば解釈の誤りをもたらす影領域または起伏に関する不確定性を伴わせるかなりのデジタル処理を必要とする。
【0010】
他の技術は、立体視技術または偏光技術など、幾つかのセンサ及び/又は幾つかの連続取得の使用によって、取得数を増大させる。また、位相差結像または立体鏡などの他の技術は、特定の産業用途において実施することが困難であり、不可能な場合さえある。これは、それらの感度、または、それらの構造のトポロジーにおける特定の技術的限界に起因する。
【0011】
従来技術において、我々は、例えば文献米国特許第2003/026475号及び米国特許第2002/001029号により、光の拡散反射によって対象物を観察した後に反射によって暗領域と明領域(フリンジ)とを形成するための光学装置も熟知している。しかしながら、再構成像を与えるため、これらの装置は、かなりの複雑なデジタル処理を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の主題は、正反射性挙動を伴う対象物のミリメートルまたはサブミリメートル構造細部を反射によって観察するための新規な装置であって、実施が簡単である一方、高い分解能も与え、幅広い分野の用途で機能できる装置を提案することにより、前述した欠点を改善することを目的とする。
【0013】
本発明の他の主題は、標準的な光学素子から設計され、特に高速での観察において産業環境に適するロバスト性及びコンパクトさを示す一方で、デジタル処理を制限する、又は全てのデジタル処理を排除するという利点も与える新規な観察装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するため、少なくとも部分的に正反射性の挙動を示し、露光領域内に位置する対象物のミリメートルまたはサブミリメートル構造細部の反射による観察のための装置は、
放射線の流れを放射する少なくとも2つの別個の領域を有する実際の、又は仮想的な放射面を伴い、少なくとも1つの特性が1つの領域と隣の領域とで異なる少なくとも1つの放射線源と、
露光領域に対して放射線源と一直線を成して放射線の経路に位置し、入口絞りを含む光学投影系と、
放射線源と露光領域との間に位置し、光学投影系の入口絞りと放射線源の放射面とを光学的にリンクさせるようになっている光学露光系と、
光学投影系に対して露光領域と一直線を成して位置し、露光領域内の対象物と光学的にリンクされ、その受けられる放射線が対象物からの偏向に依存する投影面と、
を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の主題の1つの適用によれば、本装置は、対象物による光線偏向の値に対応する値を測定するために投影面の助けにより使用される局部的な検出手段を含む。
【0016】
一実施形態によれば、放射面は、小さい寸法を有し、点光源に近く、そのダイアフラムを有する光学投影系は、対象物と投影面との間に位置する光線を遮る唯一の要素である。
【0017】
投影面は、放射線源の放射線のタイプに対して感度が良くなるように形成されるのが有益であり、電子処理システムまたは光学処理システムと関連付けられる。
【0018】
一実施形態によれば、放射線源は、可視光放射線及び/又は紫外光放射線及び/又は赤外光放射線を放射する。
【0019】
他の実施形態によれば、放射線源が音波、粒子、又は電磁波を放射する。
【0020】
1つの有利な実施特徴によれば、放射面は、分離線又は段階的な移行域によって形成される移行領域により分離される異なる強度及び/又は色及び/又は偏光を示す少なくとも2つの領域を伴う像を有する。
【0021】
一例として、放射面は暗い領域と明るい領域とを含む。
【0022】
一実施形態によれば、放射線源の放射面は、放射線源のためのハニカム及びホログラムなどの特定の材料の使用により、仮想面内に位置する。
【0023】
一実施形態によれば、放射線源の放射面が無限遠に位置し、光学露光系が無限遠を光学投影系の入口絞りとリンクさせる。
【0024】
他の特徴によれば、光学露光系は、追加の光学素子の付加を伴うことなく、光学投影系の入口絞りによって対象物及び/又は放射面を位置決めする及び/又は調整することで構成される。
【0025】
一実施形態によれば、本装置は、特に放射面及び半反射プレートが内側に組み込まれるボックスを含み、光学露光系が特にフレネルタイプの円柱レンズを含む。
【0026】
本装置は、放射面及び/又はレンズ及び/又は半反射プレートまたはシートによって与えられる角度の光軸線上における位置を調整するための手段を含むことが有益である。
【0027】
1つの好ましい適用例によれば、本装置は、例えば対象物の識別特性に対応する対象物の構造的特徴を抽出するために一組の偏向値を受けるための手段を含む。
【0028】
対象物の識別特性を抽出するために偏向値を受けるための手段が安全な対象物追跡システムに接続されることが有益である。
【0029】
様々な他の特徴は、本発明の主題の実施の異なる形態を非限定的な例として示す添付図面に関連して以下に与えられる説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】偏向を伴わない及び伴う透過における観察装置の原理を示している。
【図1A】偏向を伴わない及び伴う透過における観察装置の原理を示している。
【図2】反射における対象物の偏向を伴わない拡散・正反射挙動を示す図である。
【図3】透過における対象物の偏向を伴わない拡散・正反射挙動を示す図である。
【図4】反射における対象物の偏向を伴う拡散・正反射挙動を示す図である。
【図5】透過における対象物の偏向を伴う拡散・正反射挙動を示す図である。
【図6】本発明に係る観察装置によって使用される伝達関数の推移性を示すグラフを含む。
【図7A】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7B】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7C】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7D】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図7E】放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8A】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8B】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8C】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図8D】その放射面が仮想的である放射線源の実施形態の一変形例を示している。
【図9】反射における本発明に係る観察装置の概略図である。
【図10】本発明に係る観察装置の1つの実施形態の図である。
【図11】テレセントリックレンズを使用する観察装置の他の実施形態の図である。
【図12】湾曲面のための本発明に係る観察装置の他の実施形態の図である。
【図13】ミラーにおける欠陥の観察のための本発明に係る観察装置の他の実施形態の図である。
【図14】その光学露光系がレンズを有さず、ハニカム面と関連付けられるテレセントリックレンズを使用している観察装置の一実施形態の図である。
【図15A】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15B】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15C】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15D】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15E】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【図15F】本発明に係る観察装置を用いて得られる対象物の像の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、少なくとも部分的に正反射性の挙動を示し、露光領域(3)内に配置される対象物(2)のミリメートルまたはサブミリメートル構造細部を観察するように設計される装置(1)を示している。
【0032】
用語“対象物”は、空間及び時間の領域に位置する任意の材料または物理的あるいは情報的な現象に適用できることは言うまでもない。“対象物”により、人は、例えばプレート、シート、層流などの物体の表面及びその時間的変遷、或いは媒体中に含まれる情報を理解することができる。本発明の主題は、特に、プラスチックカード、ガラスボトル、スクリーン印刷、エッチングまたはパッド印刷、あるいは、スマートカード上の磁気ストリップの表面状態を例えば表面反射によって人が観察できるようにする装置(1)の実施に関するものである。
【0033】
従来のように光軸線xを有する観察装置(1)は、一般的な意味で光学的環境を用いた対象物(2)の観察のために使用される放射線源(5)を含む。放射線源(5)は、可視光波長及び/又は紫外線波長及び/又は赤外波長においてのみならず、全ての放射性(電磁)放射線波長においても電磁放射線の流れを供給でき、圧力波(音、可聴下音(副音声)、超音波など)の流れを供給でき、あるいは、粒子流(イオン、電子、分子など)を供給できる。用語“光学的環境”は、電磁波(放射測定・光学レンズ/ミラー、磁気レンズなど)、圧力波(音響及び音響レンズ/ミラーなど)、粒子流(電磁特性、質量特性などを伴う)を含む合焦の可能性が存在する全ての領域を指す広い意味で解釈される。この場合、この放射線は、コヒーレントまたはインコヒーレントである。
【0034】
光線またはビームが対象物にぶつかると、場合によっては、該光線が様々な方向に現れる複数の光線に分かれることが想起され、その光線の強度は、伝達関数にしたがい、出現方向に伴って変化する。反射部及び透過部のそれぞれにおいて、この伝達関数は、2つの関数、すなわち、正反射部の伝達関数と反射または透過の拡散部あるいは散乱部の伝達関数との和と見なされ得る。
【0035】
図2は、反射における対象物の拡散・正反射挙動を示している。図2に示されるように、入射光線(a)は、対象物の局部的に平坦な表面(b)と入射角(c)を形成している。反射光線dの主要な出現形態は、入射点での垂線に対して、入射光線の入射角(c)に等しい反射の主要出現角(e)を形成する。この図は、入射角(c)における反射の拡散部の角度伝達関数(f)、入射角(c)における反射の正反射部の角度伝達関数(i)、及び、入射角(c)における反射の角度伝達関数(k)を示す。
【0036】
反射における拡散・正反射挙動は、透過における拡散・正反射挙動に置き換えることができる。伝達関数は、対象物の表面が局部的に平行で、対象物が局部的に均一である場合には、様々な方向の拡散部と、その方向が原則的に変化しない主要出現モードとに分かれる。図3は、局部的に均一で、局部的に平行な表面を有する半透明な対象物(b)に関する透過における拡散・正反射挙動を示している。入射光線(a)は入射角(c)を形成する。透過された波(d)の主要出現形態は、入射光線の入射角(c)に等しい透過の主要出現角(e)を形成する。この図3は、入射角(c)における透過の拡散部の角度伝達関数(f)、入射角(c)における透過の正反射部の角度伝達関数(i)、及び入射角における透過の角度伝達関数(k)を示す。
【0037】
また、説明の残りの部分においては、反射または透過における光線の偏向を規定することが必要と思われる。光線の入射点において対象物が平坦性欠陥または不均一性を有すると、その主要出現形態は、平坦性欠陥または不均一性がない場合に予期される挙動に対して偏向され得る。誘発偏向と呼ばれるこの偏りは、光線が他の方向から来ているという印象を観察者に与える。図4は、反射における入射光線(a)の偏向を示す図である。入射光線(a)は、平坦性欠陥または不均一性(p)を有する対象物(b)の入射点で垂線に対して入射角(c)を有する。平坦性欠陥を有する主要反射出現形態(d1)は、平坦性欠陥がない場合に予期される挙動(d)に対して偏向角(l)で偏向される。反射において、偏向は、原理上は平坦性欠陥によってもたらされるが、例えば表面上の光回折網の存在など、他の偏向理由が存在し得る。
【0038】
図5は、対象物(b)の平面に対する垂線に対して入射角(c)を成す透過における入射光線(a)の偏向図を示している。透過における偏向の場合には、対象物に欠陥がない場合に予期される主要透過形態(d)に対して偏向角(l)を成す主要透過形態(d1)が存在すると思われる。透過において、この偏向は、可変厚さ(対象物の表面が平行でない)などの対象物の構造の特性によって、あるいは、例えば光学指数における不均一性によって生じる。
【0039】
なお、図1は、偏向を伴わない透過における観察装置(1)の原理を示している。観察装置(1)は放射線源(5)を含んでおり、この場合、放射面(6)が放射線源からの放射線を拡散する。特別な光学装置の使用により、放射面(6)が実際の表面または仮想表面の状態となり得る。この放射線源(5)は、放射面(6)が放射線流を放射する少なくとも2つの別個の領域(8、9)を有するように形成される。この場合、少なくとも1つの特性が一方の領域と隣の領域とで異なる。残りの部分で詳しく説明されるように、放射面(6)は、異なる特性、強度、偏光、または、色(例えばL*a*b*色形態を使用する)を示す領域を含む。したがって、放射面(6)が所望の観察類型に適合される形状を有することは言うまでもない。
【0040】
また、装置(1)は、装置によって観察される対象物(2)の像がその上に形成される表面を構成する投影面(10)も含む。この投影面(10)は、例えば、観察者の眼の網膜、スクリーン、または、取得・処理ユニットに接続される放射線センサ(例えばカメラ)に対応する。この投影面(10)は、放射線源(5)からの放射線の性質に適合されるとともに、暗室(11)内に位置する。
【0041】
表面(10)上に対する像の投影は、露光領域(3)に対して放射線源(5)と一直線を成して放射線の経路に位置する光学投影系(12)によって行なわれる。この光学投影系(12)は入口絞り(14)を含む。この入口絞り(14)は、光学投影系(12)のダイアフラム形成部(例えば、カメラのレンズのダイアフラム)の存在によって規定される。従来、このダイアフラムは、光線がその中心を通過できるようにする形状を有する。なお、このダイアフラムは、対象物(2)と投影面(10)との間に存在する唯一の有効な遮光要素である。装置の原理を簡略化して示すため、光学投影系(12)は、絞りダイアフラムを形成するその物理的寸法によって空間的に限定される簡単なレンズに要約されている。
これは図1、8、9、12、13において使用される。なお、投影面(10)は、光学投影系(12)に対して露光領域(3)と一直線を成して位置する。そのような投影面(10)は、露光領域(3)内の対象物(2)と光学的にリンクされる。
【0042】
また、観察装置(1)は、放射線源(5)と露光領域(3)との間に位置する光学露光系(18)も含む。この光学露光系(18)は、光学投影系(12)の入口絞り(14)と放射線源の放射面(6)とを光学的にリンクするように形成される。図1に示される例として、光学露光系(18)は、放射面(6)と光学投影系(12)の入口絞り(14)との間のリンクを行なうためにレンズとなるべく選択され、このリンクは、光軸線xに対して垂直な軸線または2つの横軸線に基づく。しかしながら、明細書本文の残りの部分(図13)で説明するように、放射面(6)と入口絞り(14)との間の位置及び/又は構成要素を調整することによりリンクを形成するようになっていてもよい。
【0043】
前述した観察装置(1)の動作は、先の説明によって直接にもたらされる。これに関して、放射線源の特定点によって放射される光線が辿る光学経路に基づいて判断する代わりに、原理は、投影面(10)上の点を露光する光学経路の全てに関して記載される。観察装置(1)の動作の説明は、光の逆戻りの原理に基づいており、ガウス近似の文脈に入る。また、原理の提示は、ここでは、光軸線に対して垂直な2つの横軸線のうちの一方に制限される。勿論、原理は、2つの軸線に同時に一般化され得る。
【0044】
投影面(10)上の任意の点(Ai)(すなわち、図1ではA1及びA2)においては、放射線源(5)の放射面(6)の同じ領域(7)が常に感知される。放射線源の放射面(6)は等方的方法で拡散し、それにより、投影面(10)は、偏向の不存在を示す均一な照明を感知する。
【0045】
図1Aは、その原点が図5に関連する説明で想起される偏向(19)をもたらす不均一性を示している対象物(2)の一例を示す。特定の偏向角が与えられると、観察される対象物(2)の点が何であろうと、投影面(10)上の点(Ai)によって放射面(6)の同じ領域(7)が常に感知される。しかしながら、偏向角を伴って感知される放射面上のこの領域(7)は、偏向角を伴うことなく感知される放射面の領域(7)(図1)とは異なる。したがって、対象物における偏向の値と放射面上の感知領域(7)の位置との間に固有の関係が存在すると思われる。
【0046】
この固有の関係に照らして、放射面(6)により拡散される放射線の特性(例えば、その強度、その色など)を感知領域(7)の空間的位置にしたがって固有の方法で変化させるようになっている。したがって、推移性により、観察された対象物の点とは無関係に、対象物における偏向の値と投影面(10)によって感知される放射の特性の値との間に固有の関係が存在する。点(Ai)によって感知される領域の範囲は、倍率の程度内まで、点(20)での対象物に起因する偏向に関連する入口絞り(14)の形状に対応する。この形状は、対象物の観察点での偏向にしたがって放射面(6)上で固有の方法でオフセットされる。結果として、点Aiによって受けられる放射線の流れの集積は、放射面(6)上に与えられる形状の平滑化に対応する。したがって、関数の推移性を図6にしたがって表わすことができる。
【0047】
図6のグラフAは、それ自体を光軸線xに対して垂直な2つの横軸線のうちの一方に制限する上述の原理を与えるとともに、放射面(6)上におけるその位置(P)にしたがった放射面(6)上の放射特性(R)の値の漸進的変化を示している。この放射特性(R)は、1つの成長関数(f1)にしたがって漸進的に変化する。
【0048】
図6のグラフBは、放射面上の感知領域(7)の位置(P)にしたがった投影面(10)上の点(Ai)により感知される放射特性(R1)の値の漸進的変化を示している。投影面(10)上の点(Ai)によって感知される領域(7)の集積を考慮して、感知領域の全てにわたる関数の平滑化が付随し、それにより、感知される放射特性の値が、感知領域の位置にしたがって狭義増加する連続関数(f2)にしたがって漸進的に変化する。
【0049】
図6のグラフCは、偏向角(α)にしたがった感知領域の位置(P)の漸進的変化を示している。これは、パラメータ(例えば、拡散形状)を調整することによってアフィン関数または一次関数に近づくようにされ得る狭義増加連続関数(f3)である。
【0050】
グラフB、Cの合成関数により、我々は、グラフDによって示されるように、偏向角(α)にしたがった投影面上の点(Ai)によって感知される放射特性(R1)の値の漸進的変化を得る。放射特性(R1)のこの値は、狭義増加連続関数(f4)にしたがって漸進的に変化する。
【0051】
勿論、グラフEによって示されるように、投影面上の点によって感知される放射面上の放射特性(R1)の値にしたがった偏向角(α)の漸進的変化に対応する逆関数(f5)(狭義増加連続関数)を得ることができる。
【0052】
先の説明から、偏向角(α)の値と投影面(10)上の点(Ai)によって感知される領域(7)の位置との間に直接的な関係が存在することが分かる。固有の流れ強度をそれぞれが偏向角(α)に対応する各感知領域(7)と関連付けることにより、曖昧さを伴うことなく反射する対象物上の起伏を観察することができる。
【0053】
そのような装置(1)は、人が対象物の表面上の起伏を観察できるようにする。投影面が例えばセンサである1つの用途によれば、装置(1)は、投影面(10)の使用によって人が対象物(2)による光線偏向の値に対応する値を測定できるようにする局部的な検出手段を含む。センサは、放射面(6)によって拡散される放射線のタイプに合わせて形成されており、観察対象物に適した特性を人が観察対象物から測定または抽出できるようにする。
【0054】
図6に記載される原理の描写から明らかなように、異なる変形例が、放射面(6)のための形状のそれらの選択に関し、先の原理の適用において想定し得る。その場合、この選択は観察の所望のタイプに合わせて成される。光軸線xに対して垂直な2つの横軸線によって形成される空間内の感知領域の位置と偏向角との間に固有の関係が存在することが想起される。
【0055】
放射面(6)が点光源に近づく場合、光学投影系(12)のダイアフラム(14)は、光線がその中心を介して通過できるようにする。点光源とは、その空間的範囲が観察視野の空間的範囲に比べて非常に小さい光源を意味する。
【0056】
放射面(6)を形成するための変形例は、放射線の流れを放射する少なくとも2つの別個の領域を含み、その場合、少なくとも1つの特性は隣の領域の特性と異なる。放射線の流れの特性は、例えば異なる強度及び/又は色であってもよい。
【0057】
図7A及び図7Bに示される例は、光軸線xに対して垂直な2つの横軸線のうちの一方における固有の受信される偏向−強度関係を、他方の横軸線における偏向とは無関係に示している。これらの例によれば、放射面(6)は、はっきりとした直線移行領域(Z)(図7A)によって、或いは段階的な又はなだらかな傾斜(強度勾配)を伴う移行域(Z)(図7B)によって分離される、明るい又は輝いている領域(8)と暗い領域(9)とを含む。
【0058】
図7C及び図7Dは、それぞれが異なる色(例えば、緑色のカラムを伴う赤色ライン)を割り当てる2つの垂直に及び水平に直交する領域の重ね合わせによって得られる軸線xに対して垂直な2つの横軸線のそれぞれにおける固有の色を通じた受信された偏向−強度関係を示す放射面(6)の実施の例を示している。図7Cに示される例において、領域は、はっきりとした境界線を伴う移行領域によって分離され、一方、図7Dでは、段階的な移行域によって領域が分離される。
【0059】
図7Eは、対象物において、人が観察できるようにする暗背景上の明るい環状領域の形態を成す同心形状を有する放射面(6)を示しており、観察面の垂線に対する領域の偏向角は、観察面内の偏向の方向とは無関係に決定される値を有する。
【0060】
先の例において、放射線源(5)は、選択されたパターンを拡散する実際の放射面(6)を含む。この拡散面は、実像または虚像の形成によって代替光学装置の形態を成すことができる。図8A〜図8Dはこの原理の実施形態を示している。
【0061】
図8Aは、その物理的表面(61)が光学露光系(18)及び放射面(6)によって使用される機能の全てをシミュレートするホログラムを使用する実施変形例を示している。該変形例は、それが取って代わる装置と同様に、光学投影系(12)の入口絞り(14)の面内に放射面(6)の実像を形成する。領域(8、9)及び(81、91)はそれぞれ、図7Aの拡散形状の例の使用、及びレンズ(18)による整列のシミュレーションに対応する実像の形成を示している。光学露光系(18)のホログラムへの組み込みは、装置を更にコンパクトにするという利点を有する。
【0062】
図8Bは、人が光の視準にアプローチできるようにする構造の実施形態を示している。この例は、軸線に沿って延ばされるハニカム構造(20)を描いており、該構造は、少なくとも軸線上で半透明であり、この軸線からオフセットされると不透明である。拡散源の前方でのこのハニカム構造の使用(図8C)は、光学投影系(12)の入口絞り(14)と無限遠との結びつきにより、光学露光系の役割を果たしているレンズ(18)の使用によって視準源をシミュレートする。偏向の存在下では(図8D)、点(Ai)に通じる経路のビームが、感知強度が減少するようにハニカム構造の軸線に対して傾けられる。
【0063】
図1及び図1Aに示される例では、装置(1)が透過において観察を行なうようになっている。本発明によれば、装置(1)は、反射によって観察を行なうようになっている。
【0064】
図9は、投影面(10)と対象物(2)との間の光学経路上に位置する半反射プレート(21)を用いる反射による観察のために使用される本発明に係る装置(1)の適用例を示している。図9は、第1に、対象物(2)上の点(24)で偏向を伴わない流れの光源経路(23)の全てを示しており、第2に、対象物(2)上の点(24)で偏向を伴う流れの光源経路(25)の全てを示している。したがって、対象物(2)上の点(24)は、点(24)で偏向を伴わない放射面(6)上の領域(26)と点(24)で偏向を伴う領域(26)とは異なる放射面の領域(27)とを感知する投影面(10)上の点(Ai)によって観察される。図5及び図7A〜7Eの描写に示される手法に係る拡散形状の放射面による使用は、人が点Aiでの偏向を観察できるようにする。
【0065】
図10は、拡散するだけでなく、はっきりとした垂直境界線によって分離される明領域と暗領域とを伴う形状を示す拡散要素の形態を成す放射面(6)をその放射線源(5)として有する観察装置(1)の前方のコンベア(30)によって通過する特徴を有する対象物(2)の表面の反射における観察のための装置(1)の実施形態を示している。放射面(6)は、この例では、エレクトロルミネセントダイオードなどの光源によって後方から照明される。放射面(6)は、例えば垂直軸線上の円柱フレネルレンズの形態を成す光学露光系(18)から距離を隔てて位置する。このフレネルレンズ(18)は放射面(6)と半反射プレート(21)との間に位置され、半反射プレート(21)の上側には光学投影系(12)とカメラの一部を形成する投影面(10)とが配置される。放射線源(5)、フレネルレンズ(18)、及び、半反射プレート(21)は、比較的小さいサイズのボックス(32)に装着され、該ボックス上にカメラが固定される。
【0066】
本実施において、放射面(6)と光学露光系(18)との間に位置する水平軸線を有する円柱フレネルレンズ(31)の付加は、投影面(10)によって感知される像における口径食現象を排除するために使用される。
【0067】
好ましい実施特徴によれば、観察装置(1)は、放射面(6)及び/又はフレネルレンズ(18)及び/又は光軸線xに対して垂直ないずれかの、又は両方の横軸線に対する半反射プレート(21)により与えられる角度の光軸線x上における位置を調整するための手段を含む。これらの調整手段は、手動性のものであっても、又は場合により制御ループを成す自動性のものであってもよく、例えば、装置を観察対象物(2)の不正確な提示に調整するために使用され得る。
【0068】
図10は、反射による観察のための本発明に係る装置(1)の実施を示している。なお、半反射プレート(21)の使用は、本発明を何ら限定するものではない。一般に、人は、同じタイプの観察を依然として可能にしつつ、装置(1)の構成要素を異なる方法で形成することを想起できる。
【0069】
例えば、図11は、テレセントリックレンズをその光学投影系(12)として対象物側で使用する、反射における観察装置(1)の光学的に展開された図を示している。この実施形態によれば、入口絞り(14)がテレセントリックレンズのアイリス(141)によって形成される。なお、光学露光系(18)は、常に、光学投影系(12)の入口絞り(14)と放射線源の放射面(6)とを光学的にリンクさせるように選択される。
【0070】
そのような実施変形例は、特に、像歪みを排除するととともに、反射におけるその偏向特性が入射角に依存する対象物を観察するという利点を有する。
【0071】
図12は、特に偏向角の大きなダイナミックレンジをもたらす湾曲面を観察するようになっている装置(1)の光学的に展開された図を示している。図12から分かるように、対象物(2)、特に観察面は、観察装置(1)の補助光学系に巨視的にリンクされ得る。例えば、観察面は、円柱または球の内面あるいは外面に対応する。したがって、この面は、収束または発散の円柱状あるいは球状ミラーにリンクされ得る。この場合、光学露光系(18)は、放射面(6)と光学投影系(12)の入口絞り(14)との間に虚像であるリンクを形成するようになっている。投影面(10)上で観察される像は、等価な光学系として振舞う欠陥を伴わない対象物にとって中立的である。
【0072】
図13は、ミラー、例えば望遠鏡のミラー上に現れる欠陥の観察のための図12に示される原理の適用例を示している。この実施形態によれば、光学露光系(18)は、放射面(6)と入口絞り(14)との間にリンクを形成するように光学素子を位置決めすることで構成される。これは、放射面(6)と入口絞り(14)との間の接続を行なう凹面鏡(2)である。この例の実施では、投影面(10)と対象物(2)との間に反射プレート(21)が位置する。
【0073】
図14は、図8C、8D、11に示される変形例で導入された光学素子を組み合わせる観察装置(1)の他の実施変形例の光学的に展開された図を示しており、これはテレセントリックレンズと関連付けられるハニカム構造を意味する。この変形例は、レンズを伴わない光学露光系(18)を含む。すなわち、この組み合わせは、余分な光学要素の付加を伴わずに光学露光系(18)によって成されるべき接続を行なうために使用できる。実際には、このタイプの放射線源(5)は無限遠で放射面(6)を位置付けており、一方、テレセントリックレンズの入口要素はアイリス(141)によって決定される光学投影系(12)の入口絞りを同様に無限遠に配置しており、したがって、この場合、光学露光系(18)によって成される接続が達成される。
【0074】
実施方法または実施形態が何であっても、観察装置(1)により、人は、様々な性質を有する対象物上の起伏を観察できるとともに、情報が特に豊富な像を取得できる。図15A〜図15Fは、スクリーン印刷か否かにかかわらず、又はパッド印刷であるか否かにかかわらず、透明ガラス(図16A)または着色ガラス(フラスコ、ボトル、窓など)の表面、カード表面(層状カードまたはプラスチックカード)、複雑であるか否かにかかわらずパッキングケース、銀メッキされたラッカー塗装のカードボックス(図16B)、金メッキされた刷り込みボックス(図16C)、印刷、金属化を伴う、又は伴わないプラスチック面、印刷された透明な貼り付けプラスチックラベル(図16D)、金属化されたプラスチック支持体を伴う安全ホログラム(図16E)、または、例えばスマートカード上の金属ストリップの表面などの金属面(図16F)のそれぞれに関して観察装置(1)により得られる様々な像を示している。
【0075】
観察装置(1)は、少なくとも正反射性の任意の表面、特に拡散技術が結果として正反射挙動を伴う液体、気体をもたらさない表面、表面上または体積における可変領域、ホログラフィック挙動を伴う表面、マルチスケール構造、可変指標を有する透明プレート、不活性な又は生きている対象物などを観察するように形成される。
【0076】
本発明の対象は、光計測学、表面状態の認定(粗さ、表面特性、表面外観、表面識別、表面形状生成法、幾何公差、記憶情報の読み取り、記憶情報の(流れを増大させる)並行読み取り、認証法のための構造の抽出、情報のコーディング、及び、特に仏国特許出願第2 866 139号、国際公開第2005/76651号、米国特許第2005/2622350号、仏国特許第2 870 376号、仏国特許第0513231号、及び、仏国特許第0601342号に記載される作業、生物測定のためのデータの抽出、ソナー及びレーダー、電子顕微鏡の高度化など)など、多くの用途を見出す。
【0077】
観察装置(1)は、競合技術に対して多くの利点を有する。すなわち、
・低いコスト:簡単で、標準的な、したがって安価な光学要素の使用により、そのような装置のコストは低い。
・容易性。
・・組み立て及び調整の容易さ及びそのコンパクトさ。すなわち、そのような装置の調整は、大部分の他の装置と比べてあまり細かくない。構成要素の数が減少されるとともに、光学経路が比較的短く、したがって、コンパクトであり、組み立て及び調整の複雑さが軽減される。
・・数値計算の軽減により、システムの自律性が得られる−情報の再構成のための前処理を行なう必要がもはやない(パターンの変形を使用するシステムと同様、特に、位相検出または相互相関計算の段階を使用する)、対象物の観察または測定は、オペレータが直接に見ることにより、又は取得された値を使用することにより直接的となり得る。また、システムの正確な動作は、(例えば位相再編成などに関して)不定元を解くためにシステムに必要となり得る監視を必要としない。
・有効性:任意の計算段階が減少され、1つの取得だけを必要とするため、同じ構成要素を用いて、高速であっても連続的に観察することができる。この場合、限定因子はセンサの取得速度である。測定は“全分解能”である。すなわち、情報が測定によって取得される。この場合、他のシステムは、情報が再構成された後に補間しなければならない。また、観察される領域を装置全体のサイズに対して幅広くできる。このシステムは測定スキャン(例えば、レーザスキャン)に基づいておらず、そのため、取得の全てを同期させることができ、また、これは、その観察が(例えば、非常に急速な現象を観察するために)高速で行なわれなければならない用途において重要となり得る。
・ロバスト性:調整はあまり細かくない。本発明の原理によれば、受けられた流れの集積によってもたらされる平滑化は、構成要素の欠陥及び/又は調整に対して測定を安定させるために使用できる。この場合、特定のシステムは最小の不規則性(それらの変形に基づくシステムにおけるフリンジパターンの不規則性など)に対して敏感である。また、このロバスト性は、質の良い結像を行なわないシステムの使用を可能にし、そのため、光学露光系(18)におけるフレネルレンズの使用が可能である。本発明の原理は、干渉現象に基づかないため、様々な寄生ファクタを伴う感度と同じ感度に悩まされない。フリンジングを使用するシステムでは、取得された像の領域全体と放射面の領域との間に一致が求められる。逆に、本発明によれば、取得された像のそれぞれのピクセルにおいて、感知された値は、像におけるピクセルの位置とは無関係に、領域間の移行域内の1つの位置に対応し、したがって、角度偏向値に対応する。
・汎用性:異なるタイプの放射線を用いて、非常に幅広い種類の対象物を観察できる。
・拡張可能性:コーディングタイプのためのダイバーシティの選択により、測定類型を大きく変えることができ、また、使用される光学要素の選択においてかなりの自由度も存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に正反射性の挙動を示す対象物(2)であり、露光領域(3)内に位置する対象物(2)のミリメートル構造細部またはサブミリメートル構造細部の反射により観察を行うための装置において、
放射線の流れを放射する少なくとも2つの別個の領域(8、9)を有する実際の又は仮想的な放射面(6)を伴い、少なくとも1つの特性が1つの領域と隣の領域とで異なる少なくとも1つの放射線源(5)と、
前記露光領域に対して前記放射線源と一直線を成して放射線の経路に配置され、入口絞り(14)を含む光学投影系(12)と、
前記放射線源(5)と前記露光領域(3)との間に配置され、前記光学投影系(12)の前記入口絞り(14)と前記放射線源の前記放射面(6)とを光学的にリンクさせるようになっている光学露光系(18)と、
前記光学投影系(12)に対して前記露光領域(3)と一直線を成して配置され、前記露光領域(3)内の前記対象物と光学的にリンクされ、その受けられる放射線が前記対象物(2)における偏向に依存する投影面(10)と、
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記対象物(2)による光線偏向の値に対応する値を測定するために前記投影面(10)により使用される局部的な検出手段を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射面(6)のサイズが点光源に近く、前記光学投影系(12)のダイアフラム(14)が、前記対象物(2)と前記投影面(10)との間に配置された、光線を遮る唯一の要素であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記投影面(10)が、前記放射線源(5)の前記放射線のタイプに対して感度が良くなるように形成され、電子処理システムまたは光学処理システムと関連付けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記放射線源(5)が、可視光線及び/又は紫外線及び/又は赤外線である明るい放射線を放射することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線源(5)が音波、粒子、又は電磁波を放射することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記放射面(6)が、分離線または段階的な移行域によって規定される移行領域(Z)により分離される異なる強度及び/又は色及び/又は偏光を示す少なくとも2つの領域(8、9)を伴う形状を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記放射面(6)が暗い領域(9)と明るい領域(8)とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記放射線源(5)の前記放射面(6)が、前記放射線源(5)のためのハニカム及びホログラムなどの特定の材料の使用により仮想面内に位置することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記放射線源(5)の前記放射面(6)が無限遠に位置し、前記光学露光系(18)が無限遠を前記光学投影系(12)の前記入口絞り(14)とリンクさせることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記光学露光系(18)が、余分な光学素子の付加を伴うことなく、前記光学投影系(12)の前記入口絞り(14)によって前記対象物(2)及び/又は前記放射面(6)を位置決めする及び/又は調整することで構成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
特に前記放射面(6)及び半反射プレート(21)が内側に組み込まれるボックス(32)を含み、前記光学露光系(18)が特にフレネルタイプの円柱レンズを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記放射面(6)及び/又は前記レンズ及び/又は前記半反射プレート(21)によって与えられる角度の光軸線(x)上における位置を調整するための手段を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
例えば前記対象物の識別特性に対応する対象物の構造的特徴を抽出するために一組の偏向値を取得するための手段を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記対象物の識別特性を抽出するために偏向値を受けるための手段が安全な対象物追跡システムに接続されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項1】
少なくとも部分的に正反射性の挙動を示す対象物(2)であり、露光領域(3)内に位置する対象物(2)のミリメートル構造細部またはサブミリメートル構造細部の反射により観察を行うための装置において、
放射線の流れを放射する少なくとも2つの別個の領域(8、9)を有する実際の又は仮想的な放射面(6)を伴い、少なくとも1つの特性が1つの領域と隣の領域とで異なる少なくとも1つの放射線源(5)と、
前記露光領域に対して前記放射線源と一直線を成して放射線の経路に配置され、入口絞り(14)を含む光学投影系(12)と、
前記放射線源(5)と前記露光領域(3)との間に配置され、前記光学投影系(12)の前記入口絞り(14)と前記放射線源の前記放射面(6)とを光学的にリンクさせるようになっている光学露光系(18)と、
前記光学投影系(12)に対して前記露光領域(3)と一直線を成して配置され、前記露光領域(3)内の前記対象物と光学的にリンクされ、その受けられる放射線が前記対象物(2)における偏向に依存する投影面(10)と、
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記対象物(2)による光線偏向の値に対応する値を測定するために前記投影面(10)により使用される局部的な検出手段を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射面(6)のサイズが点光源に近く、前記光学投影系(12)のダイアフラム(14)が、前記対象物(2)と前記投影面(10)との間に配置された、光線を遮る唯一の要素であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記投影面(10)が、前記放射線源(5)の前記放射線のタイプに対して感度が良くなるように形成され、電子処理システムまたは光学処理システムと関連付けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記放射線源(5)が、可視光線及び/又は紫外線及び/又は赤外線である明るい放射線を放射することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線源(5)が音波、粒子、又は電磁波を放射することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記放射面(6)が、分離線または段階的な移行域によって規定される移行領域(Z)により分離される異なる強度及び/又は色及び/又は偏光を示す少なくとも2つの領域(8、9)を伴う形状を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記放射面(6)が暗い領域(9)と明るい領域(8)とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記放射線源(5)の前記放射面(6)が、前記放射線源(5)のためのハニカム及びホログラムなどの特定の材料の使用により仮想面内に位置することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記放射線源(5)の前記放射面(6)が無限遠に位置し、前記光学露光系(18)が無限遠を前記光学投影系(12)の前記入口絞り(14)とリンクさせることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記光学露光系(18)が、余分な光学素子の付加を伴うことなく、前記光学投影系(12)の前記入口絞り(14)によって前記対象物(2)及び/又は前記放射面(6)を位置決めする及び/又は調整することで構成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
特に前記放射面(6)及び半反射プレート(21)が内側に組み込まれるボックス(32)を含み、前記光学露光系(18)が特にフレネルタイプの円柱レンズを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記放射面(6)及び/又は前記レンズ及び/又は前記半反射プレート(21)によって与えられる角度の光軸線(x)上における位置を調整するための手段を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
例えば前記対象物の識別特性に対応する対象物の構造的特徴を抽出するために一組の偏向値を取得するための手段を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記対象物の識別特性を抽出するために偏向値を受けるための手段が安全な対象物追跡システムに接続されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【公表番号】特表2011−502249(P2011−502249A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530488(P2010−530488)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064683
【国際公開番号】WO2009/056571
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510095488)シグノプティク テクノロジーズ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064683
【国際公開番号】WO2009/056571
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510095488)シグノプティク テクノロジーズ (1)
【Fターム(参考)】
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