説明

水素を含まないスパッタリングされた窒化物を有するワイドバンドギャップベースの半導体デバイスの不動態化

【課題】III族窒化物材料系において形成された電界効果トランジスタにおける不動態化を改良すること。
【解決手段】III族窒化物材料系で形成された電界効果トランジスタにおける不動態化の改良であって、窒化ケイ素の化学気相堆積不動態化層が、窒化ケイ素の既にスパッタリングされた堆積層をカプセル化する2部分構造を備え、該スパッタリングされた層が不動態化の利益の一部を提供し、該化学気相堆積層が優れた環境バリアを提供する、不動態化の改良。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年8月28日に出願された米国出願第11/845,805号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、III族窒化物のようなワイドバンドギャップ材料で形成された半導体構造およびデバイスに関する。
【0003】
半導体デバイスの性能は、半導体デバイスが作られる半導体材料の固有の特性、およびこれらの材料が有用なデバイス構造に組み込まれ得る程度に基本的に依存する。半導体デバイスは、様々な半導体材料が形成され、互いに対して配列される態様にも依存する。
【0004】
半導体材料の特性のうちの1つは、それらのバンドギャップ、すなわち電子の価電子帯と伝導帯との間のエネルギーの差である。材料のバンドギャップのサイズは、デバイス構造および性能に対する基本的な制限、または可能性を提供する。
【0005】
一例として、マイクロ波システム−その通常の例はセルラー通信システムを含む−は、増幅器および発振器として固体トランジスタを普通使用する。そのようなシステムが、加入者および所望の(または必要とされる)能力において拡大するにつれ、それらの動作周波数および電力を増加することへの関心がこれに対応して増大する。より多くの情報(バンド幅)を搬送し得るより高い周波数信号は、非常に高いゲインを有するより小さなアンテナを可能にし、レーダのようなシステムに改良された解像度を提供する。より大きなバンドギャップは、より広いバンド幅信号を収容するので、炭化ケイ素(SiC)およびIII族(Ga、Al、In)窒化物のようなバンドギャップ材料は、高い周波数デバイスに対する有意な関心の材料であったし、そうであり続けている。
【0006】
より高いバンドギャップ材料は、より高い電力能力に対する可能性、およびより高い周波数、例えば電磁スペクトルの緑、青、スミレ色および紫外線部分での発光に対する可能性も提供する。
【0007】
デバイスの露出されたSiC表面を保護するため、もしくは他の理由で、または両方の理由で、炭化ケイ素から作成されたデバイスは、酸化物の層、例えばSiOで通常不動態化される。しかしながら、SiCとSiOとの間のインターフェースは、電子の高い表面移動度を獲得するためには不十分であり得る。さらに詳細には、SiCとSiOとの間のインターフェースは通常、高密度のインターフェース状態を示し、高密度のインターフェース状態が、表面電子移動度を低減し得、キャリアトラップを導入し、キャリアトラップは、デバイス、例えば(しかし限定されず)金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の所望の性能特性を低減する。
【0008】
従って、多くの状況において、酸化層を含むものを含む半導体デバイスは、1つ以上の窒化ケイ素の層も取り込み、結果として生じる電子的特性を改良する(例えば、特許文献1)。窒化ケイ素は、酸化物が提供することができない環境バリアも提供し、環境バリアがない場合は、デバイスが酸化物層を含むと含まないとに関わらず、窒化ケイ素は、環境が、デバイスの構造および動作を劣化させることを可能にする。窒化ケイ素は、デバイスの上により良い密封を形成し、水のような汚染物質がデバイスのエピタキシャル層に達し劣化を引き起こすことを防ぐので、環境バリアとして、窒化ケイ素が二酸化ケイ素よりも好まれる。窒化ケイ素は、LED内で生成された光を透過する層を形成するためにも使用され得る。
【0009】
窒化ケイ素の濃密な層は、酸化物構造に見出されるオープンチャンネルを提供せず、従って、窒化物は、バリア材料として電子技術において広く使用される。特に、水素は密度を高くされた窒化物膜においては、ゆっくりと拡散し、他の小さな陽イオン(NaまたはK)は、薄い窒化物層によって効果的に遮蔽される。酸素は、窒化物を通って非常にゆっくりと拡散するので、堆積された窒化物は、下にあるケイ素の酸化を防ぎ得る。
【0010】
しかしながら、化学気相堆積(しばしば、プラズマ強化化学気相堆積、「PECVD」)を使用して堆積された窒化物はほとんど常に、比較し得る酸化物膜におけるよりも通常はるかに多く水素を含んでいる。水素の供給源は、シラン(SiH)前駆体および多くのCVDスキームにおいて使用されるアンモニア(NH)でもある。窒化ケイ素のような非結晶ではあるが、拘束された膜は、ケイ素および窒素それぞれの原子の価電子帯を満たす位置を原子が占領することを阻止し得る。従って、多くの壊れた結合が存在する傾向がある。これらの結合は、水素原子によって容易に占領される。結果として、従来のプラズマ窒化物は、SiとN原子の両方に結合された20原子パーセントもの水素を有し得、熱窒化物は、高温アニール後でさえも、数パーセントの水素をなおも有する。
【0011】
さらに、水素は、GaNベースの半導体におけるMgアクセプタを不動態化し得る。正確なメカニズムは完全には理解されていないが、窒化ケイ素が、200℃を超える堆積温度でPECVDによって堆積されるとき、膜の中の水素が、薄いオーム接触または他の層を通って近くのIII族窒化物層の中に拡散し得、それらの表面に近い領域においてそれらが不動態化されるようにする。つまり、表面に近い領域において、かなりの数のアクセプタイオンが、膜の中の水素の導入によって中性にされる。従って、オーム接触と窒化物材料との間のインターフェースは劣化され、接触金属は、理想的なオーム特性を示さない。これはデバイスにおいて、順電圧(V劣化)の増加を生じ得る。本質的に、デバイスは、金属とIII族窒化物接触層との間のインターフェースが、オーム接触の代わりにショットキー接触を形成するかのように挙動する。
【0012】
窒化物不動態化層はしばしば、酸化物層と共に使用されるので、水素は酸化物層に移動し得る。今度は、SiCの上の酸化物膜の中の水素は、インターフェースのフェルミレベルを変え、表面蓄積の状態を助長することが知られている。任意の、結果として生じる蓄積層は、デバイスキャパシタンスを変え、かつ膜の中の水素の移動度によって引き起こされる長い時定数を有するドリフトを示す電荷層を生み出す。
【0013】
従って、酸化物および窒化物層は特定の利点を提供するが、それらはデバイス性能を制限または劣化し得る特定の問題も提起する。
【特許文献1】米国特許第6,246,076号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一局面において、本発明は、III族窒化物材料系において形成され改良された電界効果トランジスタである。改良は、窒化ケイ素の化学気相堆積不動態化層が、窒化ケイ素の既にスパッタリングされた堆積層をカプセル化する2部分不動態化構造を含む。スパッタリングされた層は不動態化の利益の一部を提供し、化学気相堆積層は、優れた環境バリアを提供する。
【0015】
別の局面において、本発明は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。この局面において、本発明は、III族ヘテロ構造と、寄生キャパシタンスを低減し、デバイストラッピングを最小にする、該III族窒化物層の上の第1の不動態化構造と、該構造をカプセル化し、環境バリアを提供する、該第1の不動態化構造の上の第2の不動態化構造とを含む。該第1の不動態化構造は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ケイ素の酸窒化物およびアルミニウムの酸窒化物から成る群から選択された非化学量論的窒化物の少なくとも1つのスパッタリングされた層、ならびに該構造を完全にはカプセル化せず、該不動態化層を該III族窒化物層からさらに遠くに位置決めする、窒化ケイ素の少なくとも1つの化学気相堆積層を含む。該第2の不動態化層は、化学量論的窒化物の環境バリアを含む。
【0016】
さらに別の局面において、本発明は、III族窒化物ヘテロ構造と、該へテロ構造の上の供給源およびドレインそれぞれのオーム接触と、該供給源およびドレインオーム接触間の該へテロ構造の上の絶縁層と、該へテロ構造の上の該絶縁層に対するゲート接触と、該へテロ構造および該ゲート接触の少なくとも一部分の上の第1のおよび第2のそれぞれの不動態化構造とを含む絶縁されたゲート電界効果トランジスタである。該第1の不動態化構造は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ケイ素の酸窒化物およびアルミニウムの酸窒化物から成る群から選択された非化学量論的窒化物の少なくとも1つのスパッタリングされた層、ならびにトランジスタを完全にはカプセル化せず、該不動態化層をIII族窒化物ヘテロ構造からさらに遠くに位置決めする、窒化ケイ素の少なくとも1つの化学気相堆積層を含む。該第2の不動態化層は、化学量論的窒化物の環境バリアを含む。
【0017】
本発明の前記のおよび他の目的ならびに利点、ならびにこれらが達成される態様は、添付の図面と共なる以下の詳細な記述に基づいてより明確となる。
【0018】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0019】
(項目1)
III族窒化物材料系で形成された電界効果トランジスタにおける不動態化の改良であって、
窒化ケイ素の化学気相堆積不動態化層が、窒化ケイ素の既にスパッタリングされた堆積層をカプセル化する2部分構造を備え、
該スパッタリングされた層が不動態化の利益の一部を提供し、該化学気相堆積層が優れた環境バリアを提供する、不動態化の改良。
【0020】
(項目2)
高電子移動度トランジスタ(HEMT)あって、該高電子移動度トランジスタは、
III族ヘテロ構造と、
寄生キャパシタンスを低減し、デバイストラッピングを最小にする、該III族窒化物ヘテロ構造の上の第1の不動態化構造と、
該ヘテロ構造をカプセル化し、環境バリアを提供する、該第1の不動態化構造の上の第2の不動態化構造とを備え、
該第1の不動態化構造は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ケイ素の酸窒化物およびアルミニウムの酸窒化物から成る群から選択された非化学量論的窒化物の少なくとも1つのスパッタリングされた層と、該へテロ構造を完全にはカプセル化せずに、該不動態化層を該III族窒化物層からさらに遠くに位置決めする、窒化ケイ素の少なくとも1つの化学気相堆積層とを備え、
該第2の不動態化層は、化学量論的窒化物の環境バリアを備えている、高電子移動度トランジスタ。
【0021】
(項目3)
上記へテロ構造は、窒化アルミニウムガリウムの層および窒化ガリウムの層を備えている、項目2に記載のHEMT。
【0022】
(項目4)
上記窒化アルミニウムガリウム層と上記窒化ガリウム層との間にIII族窒化物の第1のスペーサ層をさらに備えている、項目3に記載のHEMT。
【0023】
(項目5)
上記第1のスペーサ層は窒化アルミニウムを備えている、項目4に記載のHEMT。
【0024】
(項目6)
上記III族窒化物ヘテロ構造に対するゲート接触をさらに備えている、項目2に記載のHEMT。
【0025】
(項目7)
上記ゲート接触と上記へテロ構造との間に第2のIII族窒化物スペーサ層をさらに備えている、項目6に記載のHEMT。
【0026】
(項目8)
上記第2のスペーサ層は、窒化ガリウムを備えている、項目7に記載のHEMT。
【0027】
(項目9)
上記III族窒化物ヘテロ構造に対する供給源およびドレインそれぞれのオーム接触をさらに備え、それらの間にチャンネルを画定する、項目6に記載のHEMT。
【0028】
(項目10)
上記へテロ構造は、窒化ガリウムの層の上に窒化アルミニウムガリウムの層を備え、上記ゲート接触および上記オーム接触は、該窒化アルミニウムガリウム層の上にある、項目6に記載のHEMT。
【0029】
(項目11)
上記不動態化構造の一部分によって上記ゲート接触から分離された電界プレートをさらに備えている、項目2に記載のHEMT。
【0030】
(項目12)
上記第2の不動態化構造は、窒化ケイ素のスパッタリングされた化学量論的層および窒化ケイ素の化学気相堆積化学量論的層を備えている、項目2に記載のHEMT。
【0031】
(項目13)
上記窒化ケイ素のスパッタリングされた化学量論的層によって上記ゲート接触から分離され、上記窒化ケイ素の化学気相堆積化学量論的層によって覆われた電界プレートをさらに備えている、項目12に記載のHEMT。
【0032】
(項目14)
上記第2の不動態化構造における上記化学量論的層は、実質的に水素を含まない、項目12に記載のHEMT。
【0033】
(項目15)
上記第1の不動態化構造は、実質的に水素を含まない、項目2に記載のHEMT。
【0034】
(項目16)
上記第1の不動態化構造は、約1.85と2.00との間の屈折率を有している、項目2に記載のHEMT。
【0035】
(項目17)
上記第1の不動態化構造における上記非化学量論的な窒化ケイ素のスパッタリングされた層は、厚さが約100オングストロームと2000オングストロームとの間であり、
上記第1の不動態化構造における上記窒化ケイ素の化学気相堆積層は、厚さが約100オングストロームと3000オングストロームとの間であり、
上記第2の不動態化構造は、厚さが約3000オングストロームと8000オングストロームとの間である、項目2に記載のHEMT。
【0036】
(項目18)
絶縁されたゲート電界効果トランジスタあって、該絶縁されたゲート電界効果トランジスタは、
III族窒化物ヘテロ構造と、
該へテロ構造の上の供給源およびドレインそれぞれのオーム接触と、
該供給源およびドレインオーム接触間の該へテロ構造の上の絶縁層と、
該へテロ構造の上の該絶縁層に対するゲート接触と、
該へテロ構造および該ゲート接触の少なくとも一部分の上の第1および第2それぞれの不動態化構造とを備え、
該第1の不動態化構造は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ケイ素の酸窒化物およびアルミニウムの酸窒化物から成る群から選択された非化学量論的窒化物の少なくとも1つのスパッタリングされた層と、該へテロ構造を完全にはカプセル化せず、該不動態化層を該III族窒化物層からさらに遠くに位置決めする、窒化ケイ素の少なくとも1つの化学気相堆積層を備え、
該第2の不動態化層は、化学量論的窒化物の環境バリアを備えている、絶縁されたゲート電界効果トランジスタ。
【0037】
(項目19)
上記第2の不動態化構造は、化学量論的窒化ケイ素の2つの層を備えている、項目18に記載のトランジスタ。
【0038】
(項目20)
上記ゲート接触の下の上記絶縁層は、上記第1の不動態化構造の下である、項目18に記載のトランジスタ。
【0039】
(項目21)
上記ゲート接触は、非化学量論的窒化ケイ素の上記第1のスパッタリングされた層の一部分を互いから分離する、項目20に記載のトランジスタ。
【0040】
(項目22)
上記絶縁層は、上記第1の不動態化構造における、非化学量論的窒化物の上記スパッタリングされた層の一部分を覆う、項目18に記載のトランジスタ。
【0041】
(項目23)
上記III族窒化物へテロ構造は、窒化ガリウムの層の上に、窒化アルミニウムガリウムの層を備え、上記ゲート絶縁層は、該窒化アルミニウムガリウムの層の上にある、項目18に記載のトランジスタ。
【0042】
(項目24)
上記ゲート絶縁層と上記窒化アルミニウムガリウム層との間に第1のスペーサ層をさらに備えている、項目23に記載のトランジスタ。
【0043】
(項目25)
上記第1のスペーサ層は、窒化ガリウムを備えている、項目24に記載のトランジスタ。
【0044】
(項目26)
上記窒化アルミニウムガリウム層と上記窒化ガリウム層との間に第2のスペーサ層をさらに備えている、項目23に記載のトランジスタ。
【0045】
(項目27)
上記第2のスペーサ層は、窒化アルミニウムを備えている、項目26に記載のトランジスタ。
【0046】
(項目28)
上記第2の不動態化構造は実質的に水素を含まない、項目18に記載のトランジスタ。
【0047】
(項目29)
上記第1の不動態化構造は実質的に水素を含まない、項目18に記載のトランジスタ。
【0048】
(項目30)
上記第1の不動態化構造は、約1.85と1.95との間の屈折率を有する、項目18に記載のトランジスタ。
【0049】
(項目31)
上記第1の不動態化構造における上記非化学量論的窒化ケイ素のスパッタリングされた層は、厚さが約1000オングストロームと2000オングストロームとの間であり、
上記第1の不動態化構造における上記窒化ケイ素の化学気相堆積層は、厚さが約1000オングストロームと3000オングストロームとの間であり、
上記第2の不動態化構造は、厚さが約3000オングストロームと8000オングストロームとの間である、項目18に記載のトランジスタ。
【0050】
(摘要)
III族窒化物材料系において形成された、向上した電界効果トランジスタは、窒化ケイ素の化学気相堆積不動態化層が、窒化ケイ素の既にスパッタリングされた堆積層をカプセル化する2部分構造を含む。スパッタリングされた層は、不動態化の利益の一部を提供し、化学気相堆積層は、優れた環境バリアを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
(詳細な記述)
本発明は、不動態化された半導体構造および結果として生じる不動態化された半導体デバイスである。一局面において、本発明は、窒化ケイ素の化学気相堆積不動態化層が、窒化ケイ素の既にスパッタリングされた堆積層をカプセル化する2部分構造として広く考えられ得る。スパッタリングされた層は、不動態化の利益の一部を提供し、化学気相堆積層は、優れた環境バリアを提供する。
【0052】
別の局面において、本発明は、窒化ケイ素の非化学量論的層に堆積された、窒化ケイ素の化学量論的層で形成された2部分構造である。非化学量論的層は、該構造または結果として生じるデバイスの電子的特性を高め、化学量論的層は、優れた環境バリアを提供する。
【0053】
本明細書に使用されるように、かつ半導体技術分野において一般的であるように、「酸化された」、「スパッタリングされた」、および「化学気相堆積された」のような過去時制の用語は、形容詞および動詞として使用されることは理解される。従って、それらは、この技術分野でよく理解される構造を記述し、それらの使用の意味は本明細書において明確である。
【0054】
図1および図3〜図6は、それぞれの例示的なデバイスという意味において、本発明を例示する。本発明は、例示されたデバイスまたはデバイスの特定のファミリーに限定されず、当業者が精通している広く様々なデバイスにおいて所望、または必要とされるとおりに組み込まれ得る。
【0055】
本発明の本質は、専らではないが、主に、不動態化構造において強調されるので、当業者によってよく理解される例示されたデバイスの動作は、本明細書に詳細には記述されない。半導体デバイスに対する例示的な参照は、Dorf、The Electrical Engineering Handbook、第2版(CRC Press 1997)、39章、特に994〜996ページ;およびSze、Physics of Semic
onductor Devices、第2版(John Wiley&Sons、Inc.1981)を含む。
【0056】
オームおよびゲート接触に対する材料は、複数の金属または極めて導電性の高い半導体から選択され得、これは過度の実験なく当業者によって達成され得ることは、同様に理解される。
【0057】
図1は、半導体としての窒化ガリウム(GaN)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)に基づく、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)40を例示する。デバイス40は、窒化ガリウムまたは窒化アルミニウムガリウム層41を含み、可能性として、点線の長方形42によって示された追加的な基板(または基板およびバッファ基板)を含み得る。窒化ガリウムのバルク結晶は理論的に基板およびバッファ42の必要性をなくするが、このタイプの大抵のデバイスは、SiCもしくはサファイアまたは何らかの他の適切な材料の基板を含む。
【0058】
窒化アルミニウムガリウムは、AlGa1−xNとして最も良く表現され、ここでxは、0よりも大きく1よりも小さい。アルミニウムおよびガリウムの原子分率は、デバイスの意図された構造および動作に基づいて所望または必要に応じて選択され得る。
【0059】
デバイス40は、供給源領域43およびドレイン領域44を含み、オーム接触46および47が、供給源43およびドレイン44に対してそれぞれなされ、その間にチャンネル39を画定する。
【0060】
非化学量論的窒化ケイ素で構成された第1の不動態化構造は、III族窒化物層41の上にある。第1の不動態化構造は、寄生キャパシタンスを低減し、デバイストラッピングを最小にし、次の不動態化層をチャンネル39からより遠くに位置決めする。例示された実施形態において、第1の不動態化構造は、III族窒化物層41の上に、スパッタリングされた非化学量論的窒化ケイ素の2つの層50および51を備えている。層50は、低水素、高品質、化学量論的な窒化ケイ素または二酸化ケイ素も含み得る。
【0061】
例示された実施形態において、第2の不動態化構造は、第1の不動態化構造の上、特に層51の上に窒化ケイ素のスパッタリングされた堆積層52と、スパッタリングされた堆積層52の上にある窒化ケイ素の化学気相堆積層53とを備える。例示的な実施形態において、層52および53の両方は、化学量論的窒化ケイ素を備えている。
【0062】
有利にも、スパッタリングされた層50および51は実質的に水素を含まず、同様に、層52もスパッタリングされているので、同じく水素を含まず、約1.85と2.05との間の屈折率を有している。
【0063】
第1のスパッタリングされた非化学量論的層50は、寄生キャパシタンスを低減し、デバイストラッピングを最小にする。第2のスパッタリングされた非化学量論的窒化ケイ素の層51は、次の不動態化層を基板42からより遠くに位置決めするが、トランジスタ40を完全にはカプセル化しない。スパッタリングされた化学量論的窒化ケイ素の層52がまず、トランジスタ40をカプセル化し、不動態化層の水素バリア特性を高める。化学気相堆積環境バリアの層53は、トランジスタ40を覆い、ステップカバレッジおよびひび割れ防止を提供する。
【0064】
最初の2つのスパッタリングされた層50および51は、優先的に窒素が豊富である。この技術分野でよく理解されるように、ケイ素または窒素の比率(非化学量論的組成における)は、屈折率によって判断され得、屈折率は、形成された窒化ケイ素の膜の組成のインジケータである。実質的に化学量論的組成を有する窒化ケイ素の膜は、6328Åで測定された2.02の屈折率を有する。
【0065】
ケイ素の豊富な窒化物は、3:4を上回るケイ素対窒素の原子比率を有する(すなわち、化学量論的窒化ケイ素は、Siである)。通常のケイ素の豊富な窒素は、6328Åで測定された2.02を上回る屈折率を有し、窒素の豊富なSiN膜は、6328Åで測定された2.02を下回る屈折率を有する。
【0066】
従って、例示的な実施形態において、非化学量論的なスパッタリングされた窒化ケイ素の層の各々は、約1.85と1.95との間の屈折率を有する。
【0067】
本明細書の他のどこかに記述されているように、スパッタリングの1つの目的は、水素の存在を避けることであり、水素の存在と関連する電子的な問題を、それと対応して避けることである。従って、スパッタリングされた層は、水素のない層としても理解され得る。換言すれば、スパッタリングは、水素のない不動態化層を生み出す1つの技術である。しかしながら、本発明は、その製造方法に関わらず、水素のない不動態化層としても理解され得る。
【0068】
図2は、米国特許第6,586,781号に述べられたものと同様なスパッタリングシステム60の概略図である。スパッタ層がその上に意図されている基板は、チャンバ63において、電極(陽極)62の上において61で示されている。チャンバ63における圧力は通常、真空ポンプ59を使用して低減され、所望の気体または複数の気体(通常、アルゴンのような不活性の気体または希ガス)が通路64を通してチャンバ63に追加され、かつバルブ65によって制御される。充分な電圧が(67で概略的に示されるように)電極間に印加されるとき、気体分子はイオン化され、加速して、(この場合)陰極としても役立つケイ素標的66に衝突する。衝突する気体イオンは、ケイ素イオンすなわち原子72を排出し、ケイ素イオンすなわち原子72は次に、小さな円68によって示されるとおりの基板61に堆積する。
【0069】
スパッタリングデバイスの性質および動作は、この技術分野でよく理解されているので、さらに詳細には記述されない。同様に、適切なスパッタリング器具が商業的に入手され得、過度の実験なしに、当業者によって動作され得る。
【0070】
図3は、本発明によるIII族窒化物ベースのHEMTの別の実施形態である。トランジスタは広く75で示され、同じ要素が図1でのように例示される場合、それらは同じ参照番号を坦持する。
【0071】
図6は、本発明によるHEMTが、III族窒化物のそれぞれの(バリア)層76および(チャンネル)層77の上に形成され得ることを例示する。2次元の電子気体を形成するために、隣接する層76および77は異なる組成を有し、従ってトランジスタに対してヘテロ構造を生み出す。実用的な目的のために、これらの層は通常、42のような基板に位置決めされ(図1)、42のような基板は、既に述べられたように、しばしば炭化ケイ素である。
【0072】
図3は、存在するときトランジスタの応答を高め得る、2つの追加的なIII族窒化物スペーサ層80および81も例示する。III族窒化物へテロ構造に精通している者に公知であるように、トランジスタの低電界移動度は、デバイスチャンネルにおける電子の移動に悪影響を及ぼし得る、ドーピング不純物および格子振動の存在によって制限され得る。80および81のような薄い層によってチャンネルから不純物を物理的に分離することは、この問題に取り組んでトランジスタの性能を高め得る。
【0073】
例示的な実施形態において、層76は、窒化アルミニウムガリウムで形成され、層77は、窒化ガリウムで形成され、トランジスタ75に対してヘテロ構造を生み出す。層80および81を含む例示的な実施形態において、層80は、窒化ガリウムで形成され、層81は窒化アルミニウムで形成される。
【0074】
図1に関すると同じように、トランジスタ75は、第1のスパッタリングされた窒化ケイ素または窒化アルミニウムの層50、および第2のスパッタリングされた窒化ケイ素の層51を含み得、それらの両方は、非化学量論的であり、水素を含まず、かつ約1.85と2.05との間の所望の屈折率を有し得る。カプセル化する化学量論的窒化ケイ素の層は、ここでもやはり52で例示され、化学量論的プラズマ強化化学気相堆積層は、ここでもやはり53で例示される。
【0075】
この実施形態において、層50は、いくつかの異なる不動態化材料のうちの1つから形成され得る。これらは、低水素含有量、低酸素含有量およびゼロに達するほど極めて低いバッファ酸化物エッチ(BOE)を生じる態様で堆積される高品質化学量論的窒化ケイ素(Si)、二酸化ケイ素の被覆層を有する高品質の化学量論的窒化ケイ素、スパッタリングされた窒化ケイ素のスタックおよびプラズマ強化化学気相堆積窒化ケイ素;金属有機化学気相堆積(MOCVD)窒化ケイ素、または最も好ましくは、分子窒素(N)が、水素の存在を有利にも最小にするかまたはなくするために、アンモニア(NH)の代わりに窒素供給源として使用され得る、高密度プラズマ化学気相堆積システムを使用するプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)窒化ケイ素を含み得る。
【0076】
図3に例示された実施形態において、不動態化層51は通常スパッタリングされた窒化ケイ素であり、一方、不動態化層52は、高品質化学量論的窒化ケイ素、プラズマ強化化学気相堆積窒化ケイ素、またはプラズマ強化化学気相堆積酸窒化物を含み得る。
【0077】
最終の層53は、高品質化学量論的窒化ケイ素、プラズマ強化化学気相堆積窒化ケイ素、またはプラズマ強化化学気相堆積酸窒化物を含み得る。
【0078】
所望または必要な場合、図3に例示されたトランジスタは、本明細書における図6に例示された構造に類似する態様で、電界プレート(図示されず)を含み得る。
【0079】
図4は、本発明を組み込む絶縁されたゲートトランジスタを例示する。層50、51、52および53によって例示されたそれぞれの不動態化構造は、既出の図に関して記述されたものと同じである。図4は、ゲート接触32と層76および77(ならびに可能性として層80および81)によって形成されたヘテロ構造との間の絶縁層83も含む82で広く指定されたトランジスタを例示する。
【0080】
図5は、84で広く指定された本発明の不動態化構造を組み込む、別の絶縁されたゲートトランジスタを例示する。この実施形態において、絶縁層85は、ゲート接触32とIII族窒化物層76、77、80および81によって形成されたヘテロ構造との間にここでもやはり位置決めされる部分を有する。しかしながら、絶縁層85は、第1のスパッタリングされた窒化ケイ素の層50の上に、かつこれを越えて延びるが、第2のスパッタリングされた窒化ケイ素の層51によって完全に覆われる部分も有する。
【0081】
図6は、電界プレート91をさらに含む、本発明による高電子移動度トランジスタを例示する。他の図に関すると同じように、他の実施形態おけるものと同じか、または同じであり得る素子は、同じ参照番号を持つ。従って、図6は、87でトランジスタを広く例示し、かつそれは、図3の素子のすべてを含むことを例示する。
【0082】
図6で例示された実施形態において、電界プレート91は、ゲート接触90と重複するように位置決めされる。この重複構造は、ゲートと電界プレートとの間で注意深くモニタされる横方向分離によってデバイスを作成する必要をなくする。バランスの取れた考慮として、電界プレート91とゲート90との間の重複する関係は、望んでいないさらなるキャパシタンスを導入し得る。従って、他の実施形態(図示されず)において、電界プレート91は、ゲート90と重複しないが、そのような状況においては、電界プレート91がゲート90から分離され、一方、なおも電界プレート91によって提供される電界効果を最大にすることを確実なものにするために、ゲート接触90と電界プレート91との間の横方向の関係は、注意深く制御されなければならない。図6に例示される実施形態において、電界プレート91は、層51および52によってゲート90から間隔が置かれるが、層53によって覆われる。
【0083】
電界プレートの他の効用および利点と共にこれらの要因は、例えば、参考として本明細書にその内容の全容が援用されている同一人に譲渡された同時係属中の米国特許出願公開第20060006415号において記述されている。電界プレートの使用は、デバイスにおける電界を低減し、高められた降伏電圧および低減されたトラッピングを生じる。電界プレートによって電界を低減することはまた、漏れ電流を低減し、トランジスタの信頼性を高める。電界プレート91は通常、ゲインおよび不安定性を低減する供給源電極46に接続され、遮蔽効果は、入力−出力分離を高め得る。
【0084】
(方法)
別の局面において、本発明は、III族窒化物ベースの構造およびデバイスを不動態化する方法である。この局面において、本発明は、化学気相堆積によって、例示的な場合においては、プラズマ強化化学気相堆積によって、非化学量論的窒化ケイ素の層をスパッタ堆積させること、および化学量論的窒化ケイ素(Si)の環境バリアを堆積させることを包含する。例示的なアニーリング技術が、Lipkin、NO Processing Improves the 4H−SiC:SiO Interface;MATERIALS SCIENCE FORUM,Volumes 389−393(2002)ページ 985−88;および、Dmitrijev、Improving SiO2 Grown on P−type 4H−SiC by NO Annealing、MATERIALS SCIENCE FORUM、Volumes 264−268(1998)ページ 869−72における、米国特許第6,610,366号に述べられている。
【0085】
実験のセクションに述べられているように、例示的な実施形態において、スパッタリングは、アルゴン(Ar)および窒素(N)を組み込む実質的に水素を含まない環境においてケイ素の対象物を使用して実行される。方法は、パルス直流(DC)電源でスパッタリングし、それによって、アークを避けながら絶縁粒子を放出することを含み得る。
【0086】
スパッタリングは、室温で、または高められた基板温度で実行され得る。スパッタリングが高められた基板温度で実行される場合、デバイスの残り部分に損害を及ぼす温度超過を避ける態様で実行されるべきである。基板温度は、損害を及ぼすことなく、約350℃と450℃との間まで上昇され得る。基板温度および気体圧力は通常相互に関係するので、それに従って制御される。
【0087】
方法は、窒素の豊富な環境においてスパッタリングし、非化学量論的窒化ケイ素を提供することを包含し得る。しかしながら、環境バリアは通常、非化学量論的窒化ケイ素の層と比較してそのより良いバリア特性により、化学量論的窒化ケイ素の層で形成される。
【0088】
イオン衝撃は、基板にバイアスされた無線周波数を適用することによって、またはスパッタリングステップの間に環境圧を下げることによって高められ得る。
【0089】
方法は、III族窒化物ベースのデバイスに対して実質的に同じ態様で実行され得るが、ただし、熱酸化物は含まれず、窒化ケイ素は、III族窒化物デバイスまたは構造の上で直接的にスパッタリングされる。
【0090】
(実験)
GaNデバイスの上で、第1の不動態化は、Tゲートが形成された後に堆積される。GaNデバイスに対する第1の不動態化は、2つの層から成る。スパッタリングされたSiNまたはAlNは、GaN(通常はAlGaN)の上面に堆積される。この後には、PECVD SiN膜が続く。
【0091】
顕著な特徴は、ここでもやはり、通常の水素で汚染されたPECVD窒化物膜を、デバイスインターフェースから遠ざけ、それをスパッタリングされた窒化物膜(SiNまたはAlN)で置き換えることである。この膜は、SiまたはAlの酸窒化物でもあり得る。PECVD SiN膜は、スパッタリングされた不動態化層の上部に堆積される。PECVD膜は、必要なとき、ゲートの下で、良いステップカバレッジを提供する。
【0092】
GaNデバイスの第2の不動態化は、スパッタリングされた窒化物もしくはPECVD窒化物または両方の組み合わせを使用し得る。
【0093】
第2の不動態化は、ゲートおよびT上部が形成された後に追加される。第2の不動態化は、3つの誘電層から成る。最初の2つの誘電層は、スパッタリングされたSiNである。100〜3000Åの第1のスパッタリングされたSiNは、屈折率が1.85〜2.00の範囲にある窒素の豊富な膜(14〜18sccmのN流れおよび7〜10mTの処理圧)である。この膜は、次の不動態化層をデバイスインターフェースから遠ざけるが、まだカプセル化しない。1000〜3000Åの厚さを有する第2のスパッタリングされたSiN層は、630nmで測定された2.04の屈折率を有する化学量論的窒化物である。この膜は、より低い窒素流れおよびより高い衝撃(12〜14sccmのN流れおよび1〜3mTの処理圧)で堆積される。この膜のカプセル化特性は、より低い圧力を介するか、またはウエハ上でRFバイアス(約0.5W/inch)を使用するかの、いずれかで、イオン衝撃によって向上される。スパッタリングされたSiN膜は、良いカプセル化を提供し、第3の誘電層をデバイスインターフェースからさらに遠ざけもする。
【0094】
しかしながら、第2のスパッタリングされたSiN層は、充分なステップカバレッジを提供しないことがあり得る。これは、第3の誘電層において対処される。2000〜5000ÅのPECVD SiN層は、SiH42%、350sccm;NH、4sccm;N、200sccm;He、90sccm;圧力、1Torr;電力、25Wを使用して、スパッタリングされたSiN層の上部に堆積される。PECVD SiN堆積における重要な処理パラメータは基板温度であり、より高い基板温度は水素を膜から駆逐する傾向がある。基板温度は、ウエハ上の他の既存の膜が許す限り高く保たれ、通常は約250℃〜450℃の間である。化学量論的なスパッタリングされたSiN膜は、PECVD堆積の間に存在する水素に対するバリアを提供する。PECVDは、優れたステップカバレッジを有する最終的な環境カプセルの材料を提供する。
【0095】
図面および明細書において、本発明の好ましい実施形態が述べられ、特定の用語が使用されたが、それらは一般的な記述的意味においてのみ使用され限定の目的では使用されておらず、本発明の範囲は、特許請求の範囲で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明を組み込むIII族窒化物ベースのデバイスの概略的な断面図である。
【図2】図2は、本発明と共に使用されるスパッタリングシステムの概略図である。
【図3】図3は、本発明を組み込む、別のIII族窒化物ベースの高電子移動度トランジスタの断面概略図である。
【図4】図4は、本発明を組み込む、III族窒化物高電子移動度トランジスタの別の実施形態である。
【図5】図5は、本発明の不動態化システムを組み込む、III族窒化物高電子移動度トランジスタのさらに別の実施形態である。
【図6】図6は、本発明の不動態化システムを組み込む電界プレートを有するIII族窒化物高電子移動度トランジスタの実施形態である。
【符号の説明】
【0097】
39 チャンネル
40 金属半導体電界効果トランジスタ
41 III族窒化物層
42 バッファ
43 供給源領域
44 ドレイン領域
46 オーム接触
47 オーム接触
50 スパッタリングされた層
51 スパッタリングされた層
52 スパッタリングされた堆積層
53 化学気相堆積環境バリアの層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III族窒化物材料系で形成された電界効果トランジスタにおける不動態化の改良であって、
窒化ケイ素の化学気相堆積不動態化層が、窒化ケイ素の既にスパッタリングされた堆積層をカプセル化する2部分構造を備え、
該スパッタリングされた層が不動態化の利益の一部を提供し、該化学気相堆積層が優れた環境バリアを提供する、不動態化の改良。
【請求項2】
高電子移動度トランジスタ(HEMT)あって、該高電子移動度トランジスタは、
III族ヘテロ構造と、
寄生キャパシタンスを低減し、デバイストラッピングを最小にする、該III族窒化物ヘテロ構造の上の第1の不動態化構造と、
該ヘテロ構造をカプセル化し、環境バリアを提供する、該第1の不動態化構造の上の第2の不動態化構造とを備え、
該第1の不動態化構造は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ケイ素の酸窒化物およびアルミニウムの酸窒化物から成る群から選択された非化学量論的窒化物の少なくとも1つのスパッタリングされた層と、該へテロ構造を完全にはカプセル化せずに、該不動態化層を該III族窒化物層からさらに遠くに位置決めする、窒化ケイ素の少なくとも1つの化学気相堆積層とを備え、
該第2の不動態化層は、化学量論的窒化物の環境バリアを備えている、高電子移動度トランジスタ。
【請求項3】
前記へテロ構造は、窒化アルミニウムガリウムの層および窒化ガリウムの層を備えている、請求項2に記載のHEMT。
【請求項4】
前記窒化アルミニウムガリウム層と前記窒化ガリウム層との間にIII族窒化物の第1のスペーサ層をさらに備えている、請求項3に記載のHEMT。
【請求項5】
前記第1のスペーサ層は窒化アルミニウムを備えている、請求項4に記載のHEMT。
【請求項6】
前記III族窒化物ヘテロ構造に対するゲート接触をさらに備えている、請求項2に記載のHEMT。
【請求項7】
前記ゲート接触と前記へテロ構造との間に第2のIII族窒化物スペーサ層をさらに備えている、請求項6に記載のHEMT。
【請求項8】
前記第2のスペーサ層は、窒化ガリウムを備えている、請求項7に記載のHEMT。
【請求項9】
前記III族窒化物ヘテロ構造に対する供給源およびドレインそれぞれのオーム接触をさらに備え、それらの間にチャンネルを画定する、請求項6に記載のHEMT。
【請求項10】
前記へテロ構造は、窒化ガリウムの層の上に窒化アルミニウムガリウムの層を備え、前記ゲート接触および前記オーム接触は、該窒化アルミニウムガリウム層の上にある、請求項6に記載のHEMT。
【請求項11】
前記不動態化構造の一部分によって前記ゲート接触から分離された電界プレートをさらに備えている、請求項2に記載のHEMT。
【請求項12】
前記第2の不動態化構造は、窒化ケイ素のスパッタリングされた化学量論的層および窒化ケイ素の化学気相堆積化学量論的層を備えている、請求項2に記載のHEMT。
【請求項13】
前記窒化ケイ素のスパッタリングされた化学量論的層によって前記ゲート接触から分離され、前記窒化ケイ素の化学気相堆積化学量論的層によって覆われた電界プレートをさらに備えている、請求項12に記載のHEMT。
【請求項14】
前記第2の不動態化構造における前記化学量論的層は、実質的に水素を含まない、請求項12に記載のHEMT。
【請求項15】
前記第1の不動態化構造は、実質的に水素を含まない、請求項2に記載のHEMT。
【請求項16】
前記第1の不動態化構造は、約1.85と2.00との間の屈折率を有している、請求項2に記載のHEMT。
【請求項17】
前記第1の不動態化構造における前記非化学量論的な窒化ケイ素のスパッタリングされた層は、厚さが約100オングストロームと2000オングストロームとの間であり、
前記第1の不動態化構造における前記窒化ケイ素の化学気相堆積層は、厚さが約100オングストロームと3000オングストロームとの間であり、
前記第2の不動態化構造は、厚さが約3000オングストロームと8000オングストロームとの間である、請求項2に記載のHEMT。
【請求項18】
絶縁されたゲート電界効果トランジスタあって、該絶縁されたゲート電界効果トランジスタは、
III族窒化物ヘテロ構造と、
該へテロ構造の上の供給源およびドレインそれぞれのオーム接触と、
該供給源およびドレインオーム接触間の該へテロ構造の上の絶縁層と、
該へテロ構造の上の該絶縁層に対するゲート接触と、
該へテロ構造および該ゲート接触の少なくとも一部分の上の第1および第2それぞれの不動態化構造とを備え、
該第1の不動態化構造は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ケイ素の酸窒化物およびアルミニウムの酸窒化物から成る群から選択された非化学量論的窒化物の少なくとも1つのスパッタリングされた層と、該へテロ構造を完全にはカプセル化せず、該不動態化層を該III族窒化物層からさらに遠くに位置決めする、窒化ケイ素の少なくとも1つの化学気相堆積層を備え、
該第2の不動態化層は、化学量論的窒化物の環境バリアを備えている、絶縁されたゲート電界効果トランジスタ。
【請求項19】
前記第2の不動態化構造は、化学量論的窒化ケイ素の2つの層を備えている、請求項18に記載のトランジスタ。
【請求項20】
前記ゲート接触の下の前記絶縁層は、前記第1の不動態化構造の下である、請求項18に記載のトランジスタ。
【請求項21】
前記ゲート接触は、非化学量論的窒化ケイ素の前記第1のスパッタリングされた層の一部分を互いから分離する、請求項20に記載のトランジスタ。
【請求項22】
前記絶縁層は、前記第1の不動態化構造における、非化学量論的窒化物の前記スパッタリングされた層の一部分を覆う、請求項18に記載のトランジスタ。
【請求項23】
前記III族窒化物へテロ構造は、窒化ガリウムの層の上に、窒化アルミニウムガリウムの層を備え、前記ゲート絶縁層は、該窒化アルミニウムガリウムの層の上にある、請求項18に記載のトランジスタ。
【請求項24】
前記ゲート絶縁層と前記窒化アルミニウムガリウム層との間に第1のスペーサ層をさらに備えている、請求項23に記載のトランジスタ。
【請求項25】
前記第1のスペーサ層は、窒化ガリウムを備えている、請求項24に記載のトランジスタ。
【請求項26】
前記窒化アルミニウムガリウム層と前記窒化ガリウム層との間に第2のスペーサ層をさらに備えている、請求項23に記載のトランジスタ。
【請求項27】
前記第2のスペーサ層は、窒化アルミニウムを備えている、請求項26に記載のトランジスタ。
【請求項28】
前記第2の不動態化構造は実質的に水素を含まない、請求項18に記載のトランジスタ。
【請求項29】
前記第1の不動態化構造は実質的に水素を含まない、請求項18に記載のトランジスタ。
【請求項30】
前記第1の不動態化構造は、約1.85と1.95との間の屈折率を有する、請求項18に記載のトランジスタ。
【請求項31】
前記第1の不動態化構造における前記非化学量論的窒化ケイ素のスパッタリングされた層は、厚さが約1000オングストロームと2000オングストロームとの間であり、
前記第1の不動態化構造における前記窒化ケイ素の化学気相堆積層は、厚さが約1000オングストロームと3000オングストロームとの間であり、
前記第2の不動態化構造は、厚さが約3000オングストロームと8000オングストロームとの間である、請求項18に記載のトランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−55042(P2009−55042A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218759(P2008−218759)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】