説明

永久レジスト組成物、その硬化生成物、及びその使用

永久フォトレジスト組成物であって、(A)式Iによる1種又は複数のビスフェノールA−ノボラックエポキシ樹脂(ただし、式I中の各基Rはグリシジル又は水素から個別に選択され、式I中のkは0〜約30の範囲にある実数である)と、(B)式BIIa及びBIIbにより表される群から選択される1種又は複数のエポキシ樹脂(式中、式BIIaにおける各R、R、及びRは、水素、又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基からなる群より独立に選択され、式BIIa中のpの値は1〜30の範囲にある実数であり;式BIIb中のn及びmの値は独立に1〜30の範囲にある実数であり、式BIIb中の各R4、及びR5は、水素、炭素原子1〜4個を有するアルキル基、又はトリフルオロメチルからなる群より独立に選択される)と、(C)1種又は複数のカチオン性光開始剤(光酸発生剤又はPAGとしても知られる)と、(D)1種又は複数の溶媒とを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光画像形成性エポキシ樹脂組成物及びその永久硬化生成物であって、紫外(UV)リソグラフィにより加工し、又は熱エンボスを使用してインプリントすることができる、MEMS(微小電子機械システム)部品、マイクロマシン部品、マイクロ流体部品、μ−TAS(微小全分析システム)部品、インクジェットプリンター部品、マイクロ反応器部品、導電性層、LIGA部品、微小射出成形及び熱エンボス向け型及びスタンプ、微細印刷用途向けスクリーン又はステンシル、MEMS及び半導体パッケージ部品、BioMEMS及びバイオフォトニックデバイス、並びに、プリント配線板の製作において有用である組成物及び生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感光画像形成性コーティングは現在、広く様々な半導体及び微細加工用途において使用されている。このような用途において、基板上のコーティングをパターニングした放射線に露光させ、それによって、適切な現像液組成物で処理することにより露光又は非露光領域を選択的に除去することができるように、コーティング内の溶解性変化を誘発させることにより光像形成が達成される。感光画像形成性コーティング(フォトレジスト)は、ポジ又はネガ型のいずれかとすることができ、その場合放射線への露光は、現像液中への溶解性をそれぞれ増加させるか、又は減少させるかのいずれかである。高アスペクト比(像形成したフィーチャの高さ対幅の比と定義される)での高密度相互接続体を要する先進的な電子パッケージ用途、又は微小電子機械デバイス(MEMS)の製作を包含する用途では、均質なスピンコートした塗膜、並びに百ミクロンを超える厚さを有する塗膜において垂直な側壁プロフィルを有する高アスペクト比画像を作り出すことが可能な、感光画像形成性層がしばしば要求される。
【0003】
ジアゾナフトキノン−ノボラックの化学に基づく従来のポジレジストは、約50ミクロンを超える膜厚が要求される用途には適切なものではない。この厚さの制約は、レジストを露光させるのに典型的に使用される光学スペクトルの近赤外領域(350〜450nm)における波長において、ジアゾナフトキノン型(DNQ)光活性化合物の吸光度が比較的高いことに起因する。また、DNQ−型フォトレジストでは、現像溶液中において、露光されたレジストに対する露光されていないレジストのコントラストが限定的であり、即ち、溶解度の差が限定的であり、レリーフ画像の側壁が垂直にはならず、勾配が形成される。放射線が膜を頂部から底部まで横切るにつれて、吸光性は必然的に放射線の強度を低下させ、光学的吸収が強すぎる場合には、膜の底部が頂部に比べて露光不足になり、現像した画像が、傾斜のあるプロフィル又はさもなければ歪んだプロフィルとなる原因となる。それにも拘わらず、DNQフォトレジスト配合物は100ミクロンまでの膜厚までの使用に適用できるが、それは露光照射量を大きく増加させ、かつ、側壁角を低下させるという犠牲を伴う。
【0004】
350〜450nm領域における波長で非常に低い光吸収度を有する、化学増幅型のネガ型スピンコートした厚膜感光画像形成性組成物が、文献[N.LaBianca and J.D.Gelorme、「厚膜用途向けの高アスペクト比レジスト(High Aspect Ratio Resist for Thick Film Applications)」、Proc.SPIE,vol.2438,846頁(1995)]中に記述されている。厚さ200ミクロンの膜で高アスペクト比(>10:1)光像形成が立証された。このレジストは、高度に分岐した、多官能エポキシビスフェノールA−ノボラック樹脂、Resolution Performance Products,Houston,Texas製EPON(登録商標)SU−8、の注型溶媒中の溶液と、溶媒としてのプロピレンカーボネート中のヘキサフルオロアンチモン酸アリールスルホニウム塩の溶液からなるDow Chemical、Midland,Michigan製CYRACURE(登録商標)UVI 6974などの、光酸発生剤(PAG)とを含む。得られたフォトレジスト配合物は、広く様々な基板上にスピンコート又はカーテン塗布でき、ベークして溶媒を蒸発でき、厚さ百ミクロン以上の固体フォトレジストコーティングを残して、それを密着、近接、若しくは投影露光方法を使用して、パターニングしたフォトマスクを通して近紫外放射線に露光することにより光像形成できる。その後この像形成層を現像剤溶液中に浸漬することにより、非露光領域が溶解され、膜には高解像度の、フォトマスクのネガ調レリーフ画像があとに残される。
【0005】
EPON(登録商標)SU−8樹脂は、厚膜における高アスペクト比光像形成向けに有益ないくつかの特性を有する低分子量エポキシ官能オリゴマーであり:(1)高い平均エポキシド官能性、(2)高い分岐度、(3)波長350〜450nmにおける高い透明性、及び(4)高固形分コーティング組成物の調製を可能にするに足る低い分子量を有する。高い官能性及び分岐により、強酸触媒の影響下で効率的な架橋をもたらし、一方高い透明性は、厚膜であっても均質な照射を可能にし、レジストは、100ミクロンを超える膜厚で10:1を超えるアスペクト比を有する画像を形成することが可能になる。高エポキシ官能性及び高度の分岐を有する樹脂を選択することは、真直ぐな側壁を有する高アスペクト比構造をもたらすための重要な配慮である。低分子量を有する樹脂を選択することにより、高固形分塗料の調製が可能になり、最小回数の塗布ステップにより基板上に厚いフォトレジスト塗膜を形成させることができる。
【0006】
スルホニウム又はヨードニウム塩に基づく適切な光酸発生剤(PAG)は、よく知られ、文献中において詳細に記載されている[例えばCrivello et al.、「トリアリールスルホニウム塩による光開始したカチオン重合(Photoinitiated Cationic Polymerization with Triarylsulfonium Salts)」、Journal of Polymer Science:Polymer Chemistry Edition,vol.17,977〜999頁(1979)を参照されたい]。適正な吸光度を有する他の有用なPAGには、米国特許第5502083号、及び第6368769B1号中に記載されるカルボニル−p−フェニレンチオエーテルが含まれる。更に、米国特許第5102772号において記述されるように、2−アルキル−9,10−ジメトキシアントラセン又は種々の他のアントラセン、ナフタレン、ペリル若しくはピリル化合物などの増感剤を配合物に添加し、又はPAG中に組み込むことができる。
【0007】
スピンコートに適している、上記に開示されている組成物に基づくネガ型フォトレジストは、MicroChem Corp.,Newton,MA,USAにより販売され、商業的に、特にMEMSデバイスの製作に、使用されている。例えば、MicroChem社により典型的に提供される製品、「SU−8 50」は、1000〜3000rpmでスピンコートして、30〜100ミクロンの範囲にある厚さの塗膜を形成することができ、それが露光及び現像後に、100ミクロンを超える膜厚において10:1を超えるアスペクト比を有する画像を作り出すことができる。より高い又はより低い固形分バージョンは、単一塗布過程により得ることができる膜厚範囲を、1ミクロン未満まで、及び200ミクロンを超えるまで広げる。この溶液を注型すると、厚さ1〜2mm以上の塗膜をもたらすことができる。米国特許第4882245号は又、ポリエステル膜などの担体媒体上を被覆した場合のドライフィルムフォトレジストとしてのこれらの材料の適用についても記述している。
【0008】
開示されているSU−8樹脂系組成物は非常に高い解像度及びアスペクト比が可能であるが、硬化した樹脂はそれ自体いくつかの用途向けには脆すぎる傾向を有し、往々にして現像液に誘発されるクレイジング/亀裂、応力誘発による亀裂を生じ、ある種の基板への接着性が限定され、又時には基板からのコーティングの層間剥離を示すことがある。全てのこれらの問題は、収縮誘発応力によって悪化しており、この応力は、この材料が重合を受ける場合に生じ、コーティングの収縮が基板の屈曲(反り)を誘発する場合、基板の反りとして現れる。
【0009】
米国特許第4882245号、及び第4940651号は、プリント回路板において使用する感光画像形成性カチオン重合可能組成物であって、88%までの、平均エポキシド官能性8を有するエポキシド化ビスフェノールAホルムアルデヒドノボラック樹脂、及び可塑剤としての役割を果す反応性希釈剤の混合物と、カチオン性光開始剤とからなる組成物を開示している。開示された反応性希釈剤は、固形分10〜35重量%が好ましい一若しくは二官能脂環式エポキシドであった。永久層としてのこれらの配合物の使用も開示されており、この場合この層は基板から除去されずに、プリント回路板上の誘電体層などの構造体の一部となる。
【0010】
米国特許第5026624号、第5278010号、及び第5304457号は、ソルダマスクとして使用するのに適した感光画像形成性のカチオン重合可能な難燃性組成物であって、10〜80重量%のビスフェノールA及びエピクロロヒドリンの縮合生成物と、20〜90重量%のエポキシド化ビスフェノールAホルムアルデヒドノボラック樹脂と、35〜50重量%の、テトラブロモビスフェノールAのエポキシド化グリシジルエーテルとの混合物と、0.1〜15重量部のカチオン性光開始剤と、からなる組成物を開示している。カーテン塗布、ロール塗布、及び巻線ロッド塗布を使用した。
【0011】
米国特許第4256828号は、官能性が1.5を超えるエポキシ樹脂、ヒドロキシル含有添加剤、及び光酸発生剤に基づく光重合性組成物を開示している。このヒドロキシル含有添加剤は、厚さ100ミクロンまでのコーティングについて柔軟性を増加させ、又収縮を低減させると報告される。
【0012】
米国特許第5726216号は、強化エポキシ樹脂系、並びに、電子ビーム放射線により硬化可能な用途において、この系を製造又は使用する方法を開示している。彼らが克服することを特許請求している主な問題点は、放射線硬化エポキシ樹脂の脆さであり、この場合多くの構造用、非構造用若しくは他の消費者製品は多年の苛酷な使用に耐える十分な靭性及び衝撃抵抗性を有していなければならない。彼らは、SU−8樹脂を含めてよいベースエポキシ樹脂又は混合物に組み込むことができる広く様々な強化材を開示している。靭性の向上に関して特許請求されるこの発明の有効性は、破壊靭性及び曲げ弾性率により測定された。特許請求された強化材は、様々な熱可塑性樹脂、ヒドロキシ含有熱可塑性オリゴマー、エポキシ含有熱可塑性オリゴマー、反応性柔軟化剤、エラストマー、ゴム、及びこれらの混合物で構成される。しかし、米国特許第5726216号の組成物は、非パターニング電子ビーム放射線により像形成するコーティングとして配合され、像形成した紫外、X線、又は電子ビーム放射線に露光された場合のこれらの配合物の光像形成特性には全く言及されなかった。
【0013】
エポキシを使用する多くのものを含めた種々の感光画像形成性組成物について、多くの従来技術の提案が存在してきている。これらの例は、米国特許第5264325号中において言及されているものとして見出すことができる。ここでは、レジスト材料は、ある種のレオロジ的特性を要する例えばスピンコートなどのコーティング方法により塗布することができるように配合しなければならないことが更に教示される。更に、組成物は、塗膜の厚さの端から端まで光開始剤を光活性化するように、露光放射線の十分な透過性をもたらす性質を有しなければならず、又レジストは、著しく劣化したりすることなく、又は接着性を失うことなく、耐はんだ性若しくは耐インキ性又は靭性などの、適用に耐える適正な物理的及び化学的性質を有しなければならない。このフォトレジスト組成物を、エッチフォトレジストなどの他の目的に使用しようとする場合、他の性質を要求してよい。全ての種々の要求条件を満たすであろう特定の型のエポキシ樹脂は、見出されていないが、種々のエポキシ樹脂の多くの異なった組合せ又は混合物が開示されている。全ての言及した特許は、光硬化性組成物において使用する種々の樹脂及び光開始剤を記述しており、それらのうち多くのものは永久的適用における感光画像形成性層として有用であろう。しかし、それらのうち、本発明の特定の組成物を教示し又は示唆しているもの、或いは本発明者らの意図する用途に適するものは、全くない。事実上全てのこれらの例の可塑剤、柔軟化剤、及び強化材は、系のリソグラフィ性能を劣化させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、感光画像形成性の、カチオン的に硬化するエポキシ樹脂含有組成物であって、SU−8系配合物の良好な画像解像度、熱安定性、耐薬品及び溶媒性特性を保有するが、同時に接着性、層間剥離、亀裂、クレイジング、応力、及び柔軟性特性に関する性能を向上させる組成物をもたらすことが望ましいことである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、選択された感光画像形成性エポキシ樹脂組成物及びその永久硬化生成物であって、紫外線リソグラフィにより作ることが可能である、MEMS(微小電子機械システム)部品、マイクロマシン部品、μ−TAS(微小全分析システム)部品、マイクロ反応器部品、誘電体層、絶縁層、光導電性導波路、インクジェットプリンターヘッドパーツ、BioMEMS及びバイオフォトニックデバイスなどの製作において有用である組成物及び生成物に関する。本発明は更に、選択された未硬化レジスト組成物及びその硬化生成物であって、その硬化生成物が高強度、優れた接着性、改良された柔軟性、耐亀裂及びクレイジング性、酸、塩基、及び溶媒に対する優れた耐薬品性、耐アルカリ性、良好な耐熱性、並びに良好な電気的性質を有する組成物及び生成物に関する。
【0016】
したがって、本発明の一態様は、ネガ調永久フォトレジスト層を作製するのに有用なフォトレジスト組成物であって、
(A)式Iによる1種又は複数のビスフェノールA−ノボラックエポキシ樹脂
【化1】


(ただし、式I中の各基Rはグリシジル又は水素から個別に選択され、又式I中のkは0〜約30の範囲にある実数である)と、
(B)1種又は複数のエポキシ樹脂であり、式BIIa及びBIIb
【化2】


(式中、式BIIaにおける各R、R、及びRは、水素又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基からなる群より独立に選択され、式BIIa中のpの値は1〜30の範囲にある実数であり;式BIIb中のn及びmの値は独立に1〜30の範囲にある実数であり、式BIIb中のR、及びRは、水素、炭素原子1〜4個を有するアルキル基、又はトリフルオロメチルからなる群より独立に選択される)により表される群から選択される樹脂と、
(C)1種又は複数のカチオン性光開始剤(光酸発生剤又はPAGとしても知られる)と、
(D)1種又は複数の溶媒と
を含む組成物を対象とする。
【0017】
包括的に成分(A)〜(D)のほかに、本発明による組成物は、1種又は複数の次の添加材料:(E)1種又は複数の任意のエポキシ樹脂、(F)1種又は複数の反応性モノマー、(G)1種又は複数の光増感剤、(H)1種又は複数の接着性増進剤、(J)染料及び顔料を含めた1種又は複数の光吸収性化合物、並びに(K)1種又は複数の有機アルミニウムイオン捕捉剤を場合によって含むことができる。包括的に成分(A)〜(K)のほかに、本発明による組成物は、限定されずに、流動性制御剤、熱可塑性及び熱硬化性有機ポリマー及び樹脂、無機充填材材料、ラジカル光開始剤、並びに界面活性剤を含めた添加材料を場合によって含むこともできる。
【0018】
本発明の更に他の態様は、永久フォトレジストパターンを形成する方法であって、(1)本発明による任意のフォトレジスト組成物を基板に塗布するプロセスステップと、(2)被覆した基板を加熱することにより溶媒の大部分を蒸発させて、その基板上にこの組成物の塗膜を形成するプロセスステップと、(3)基板上の塗膜にマスクを通して活性線を照射するプロセスステップと、(4)加熱することにより、照射した塗膜部分を架橋させるプロセスステップと、(5)溶媒により塗膜内の画像を現像して、そのフォトレジスト膜中にマスクのネガ調レリーフ画像を形成するプロセスステップと、場合によって、(6)現像したフォトレジスト膜を加熱処理して架橋を完了させ、膜の密度を増加させ、且つ被覆した基板への膜の密着性を向上させるプロセスステップとを含む方法を対象とする。
【0019】
本発明の他の態様は、任意の本発明によるフォトレジスト組成物から作製したドライフィルムレジスト組成物であって、そのドライフィルムフォトレジストが、柔軟な担体フィルム上に塗布した感光画像形成性組成物の実質的に乾いたコーティングを含む組成物を対象とする。
【0020】
本発明のなお他の態様は、フォトレジストパターンを形成する方法であって、(1)本発明によるドライフィルムフォトレジストを基板に積層するプロセスステップと、(2)基板からベースフィルム担体フィルムを剥がし若しくは他の方法で除去するプロセスステップと、(3)マスクを通して活性線で照射することにより、基板上のフォトレジスト膜を像様露光させるプロセスステップと、(4)露光後ベークにより、照射した膜部分を架橋させるプロセスステップと、(5)フォトレジスト膜において、溶媒により膜内の画像を現像して、マスクのネガ調レリーフ画像を形成するプロセスステップと、場合によって、(6)現像したフォトレジスト膜を加熱処理して、膜の架橋及び高密度化を完了させるプロセスステップとを含む方法を対象とする。場合によって、露光ステップ後又は露光後ベークステップ後に、積層した基板から担体フィルムを剥がし若しくは他の方法で除去できる。
【0021】
本発明の他の態様は、基板上又は2つの基板間に形成される硬化及び永久層であり、基板上の組成物の実質的に乾いた膜、或いは紫外線、X線、若しくはe−ビーム放射線で処理した基板上の組成物の実質的に乾いた膜のいずれかに加熱処理を施すことによりもたらされる硬化若しくは永久層であって、被覆した基板への直接照射によって、或いは被覆した基板へのフォトマスクパターンを通した像様照射によって、放射線をかける硬化及び永久層を対象とする。
【0022】
本発明の他の態様は、永久フォトレジストパターンを形成する方法であって、熱及び圧力の作用のもとに基板上にフォトレジスト組成物の未硬化膜をエンボス、インプリント、微細インプリント、又はナノインプリントし、フォトレジストを硬化させて、前記インプリントされ且つ硬化したフォトレジストを有するインプリントされたレリーフ画像とし、基板上において永久パターニング層を形成する方法を対象とする。未硬化膜はインプリント工程の前に活性線により非像様露光させることができ、或いはインプリント工程の温度を、カチオン性光開始剤を熱により分解させそれにより膜を架橋させる化学反応を生じるようなものとすることができるか、そのいずれかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
感光画像形成性組成物に関連する技術において、フォトレジストは一般に、その後の工程の操作が、フォトレジストで覆われていない基板の領域内だけで行われるように、基板の1つの領域を他から選択的に保護するのに使用される一時的コーティングであると理解される。その後の操作が完了すると直ぐに、フォトレジストは除去される。したがって、このような一時的フォトレジストの特性は、所要の画像プロフィルを得るのに要するものを必要とし、又その後のプロセスステップの作用に耐えることを必要とするだけである。しかし、本発明は、フォトレジスト層が除去されずに、製作されるデバイスの永久的な構造部分として使用される用途を想定している。永久的な層としてフォトレジストを使用する場合、そのフォトレジストフィルムの材料特性は、そのデバイスの意図する機能及び最終用途に適合しなければならない。したがって、デバイスの永久部分として残る感光画像形成性層を、本明細書において永久フォトレジストと呼ぶ。
【0024】
本発明の永久フォトレジスト組成物は、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂(A)、一般式BIIa及びBIIbにより表される1種又は複数のエポキシ樹脂(B)、1種又は複数のカチオン性光開始剤(C)、並びに1種又は複数の溶媒(D)、加えて任意の添加剤、から構成される。
【0025】
本発明において使用するのに適しているビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールAノボラック樹脂と、エピクロロヒドリンとを反応させることにより得ることができる。2000〜11000の範囲にある重量平均分子量を有する樹脂が好ましく、又4000〜7000の範囲にある重量平均分子量を有する樹脂が特に好ましい。日本エポキシ樹脂製造株式会社(東京、日本)により製造されたEpicoat(登録商標)157(エポキシド1当量当り樹脂180〜250グラムのエポキシド当量(樹脂g/eq、又はg/eq)、及び軟化点80〜90℃)、及びResolution Performance Products,Houston,Texasにより製造されたEpon(登録商標)SU−8樹脂(エポキシド当量195〜230g/eq、及び軟化点80〜90℃)などが、本発明において使用するのに適している好ましいビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂として挙げられる。
【0026】
式(BIIa)及び(BIIb)によるエポキシ樹脂(B)は、柔軟であり強く、又形成されるパターンに同一の特性を与えることが可能である。本発明において使用するエポキシ樹脂(BIIa)の一例は、日本国特開平9−169834号公報のエポキシ樹脂であり、ジ(メトキシメチルフェニル)及びフェノールを反応させ、次いで、エピクロロヒドリンを得られた樹脂と反応させることにより得ることができる。式IIaによる商業的エポキシ樹脂の一例は、日本化薬株式会社(東京、日本)により製造されるエポキシ樹脂NC−3000(エポキシド当量270〜300g/eq、及び軟化点55〜75℃)などが例として挙げられる。式BIIaにおける好ましいnの値はエポキシ樹脂(BIIa)のエポキシ当量からの逆算により計算され、1以上である好ましい数、より好ましくは1〜10の数、が平均値である点に注目されたい。本発明による組成物において、式BIIaによる2種以上のエポキシ樹脂を使用することができると理解すべきである。
【0027】
式BIIbのエポキシ樹脂は、ビスフェノール−エピクロロヒドリン重縮合物のアルコール性ヒドロキシル基のエピクロロヒドリンとの反応により入手できる。本発明により使用できるエポキシ樹脂BIIbの特定の例は、日本化薬株式会社(東京、日本)により製造されるNER−7604、NER−7403、NER−1302、及びNER7516である。式BIIbによるエポキシ樹脂のエポキシド当量は200〜500g/eqが好ましく、又それらの軟化点は50〜90℃が好ましい。本発明による組成物において、式BIIbによる2種以上のエポキシ樹脂を使用することができると理解すべきである。
【0028】
本発明において使用するカチオン光重合開始剤(C)として、紫外線などの活性線により照射されるとプロトン酸を発生する化合物が好ましい。芳香族ヨードニウム錯塩、及び芳香族スルホニウム錯塩が、例として挙げられる。使用することができる芳香族ヨードニウム錯塩の特定の例として、トリフルオロメタンスルホン酸ジ−(t−ブチルフェニル)ヨードニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジフェニルヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジフェニルヨードニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸ジフェニルヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸[4−(オクチルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムなどが挙げられる。その上、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4,4’−ビス[ジフェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ([β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィドビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ([β−ヒドロキシエトキシ)(フェニルスルホニウム)ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート7−[ジ(p−トリル)スルホニウム]−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロホスフェート、7−[ジ(p−トリル)スルホニオ−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−[ジ(p−トリル)スルホニウム]−2−イソプロピルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4−tert−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、4−tert−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4−tert−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどを、使用することができる芳香族スルホニウム錯塩の特定の例として挙げることができる。Ciba Specialty Chemicals社により製造されるIrgacure 261などのある種のフェロセン化合物も使用できる。カチオン性光開始剤(C)は単独で、又は2種以上の化合物の混合物として使用することができる。
【0029】
本発明において溶媒(D)を使用しており、且つそれが、組成物における他の成分を溶解することが可能な有機溶媒であり、又基板上に組成物を塗布し、乾燥する場合、気泡、ディウェット(はんだはじき)領域、及び粗雑なコーティング面などの被覆欠陥の原因にならない限り、任意の溶媒を使用することができる。使用することができるケトン溶媒の例には、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、メチルt−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが含まれる。使用することができるエーテル溶媒の例には、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、及びトリグライムが含まれる。使用することができるエステル溶媒の例には、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ガンマ−ブチロラクトンなどが含まれる。ケトン、エステル、又はエーテル溶媒を含む群から選択される1種又は複数の溶媒の主量を含有する溶媒混合物中に少量で使用することができる芳香族及び脂肪族炭化水素溶媒の例には、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ナフサ、水素化石油ナフサ、ソルベントナフサなどが含まれる。ケトン、エステル、又はエーテル溶媒と組み合せて使用する場合、これらの炭化水素溶媒は単独で、又は2種以上の炭化水素溶媒の混合物として使用することができる。
【0030】
場合によって、ある実施形態において、本組成物中に追加的なエポキシ樹脂(E)を使用することが有益であろう。その化学構造に応じて、任意のエポキシ樹脂(E)を使用して、フォトレジストのリソグラフィコントラストを調節し、或いはフォトレジスト膜の光吸収性を調整できる。任意のエポキシ樹脂(E)は、エポキシド1当量当り150〜250グラムの範囲にあるエポキシド当量を有してよい。使用するのに適した、任意のエポキシ樹脂の例にはEOCN4400、すなわち日本化薬株式会社(東京、日本)により製造されたエポキシド当量約195g/eqを有するエポキシクレゾール−ノボラック樹脂;又は米国特許第4565859号及び第4481017号において開示される脂環式エポキシであって、ビニル置換された脂環式エポキシドモノマーが、少なくとも1個の活性水素原子を含有する化合物と共重合して、ビニル置換されたポリエーテルを生成し、その後それが過酸により酸化されて脂環式エポキシ樹脂を生成する脂環式エポキシが含まれる。好ましい商業的例はEHPE 3150エポキシ樹脂であり、このものはエポキシド当量170〜190g/eqを有し、ダイセル化学工業株式会社、大阪、日本により製造されている。
【0031】
場合によって、ある実施形態において、本発明による組成物中に反応性モノマー化合物(F)を使用することが有益であろう。組成物中に反応性モノマーが含まれると、未硬化及び硬化膜の柔軟性の向上を助ける。2つ以上のグリシジルエーテル基を含有するグリシジルエーテルは、使用することができる反応性モノマー(F)の例である。2つ以上の官能基を有する化合物が好ましく、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテルなどが例として挙げられる。グリシジルエーテルは単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが、本発明において使用することができる反応性モノマー(F)の好ましい例である。
【0032】
脂肪族及び芳香族単官能及び/若しくは多官能オキセタン(oxetane)化合物は、本発明において使用することができる、任意の反応性モノマー(F)の他の群である。使用することができる脂肪族又は芳香族オキセタン反応性モノマーの特定の例には、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、キシレンジオキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、などが含まれる。これらの単官能及び/若しくは多官能オキセタン化合物は単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0033】
脂環式エポキシ化合物は、本発明における反応性モノマー(F)として使用することもでき、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸エステルを例として挙げることができる。
【0034】
場合によって、本組成物中に光増感剤化合物(G)を含め、それにより紫外線をより多く吸収し、吸収されたエネルギーをカチオン光重合開始剤に伝達することが有用であろう。その結果、露光のための処理時間が短縮される。アントラセン及びN−アルキルカルバゾール化合物が、本発明において使用することができる光増感剤の例である。位置9及び10にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10−ジアルコキシアントラセン)が、好ましい光増感剤(G)である。メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシ基などのC〜Cアルコキシ基が好ましいアルコキシ基として挙げられる。9,10−ジアルコキシアントラセンは、置換基を有することもできる。置換基の例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基、及びプロピル基などのC〜Cアルキル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、カルボン酸アルキルエステル基などが挙げられる。メチル、エチル、及びプロピルなどのC〜Cアルキルは、スルホン酸アルキルエステル基、及びカルボン酸アルキルエステル基におけるアルキル部分の例として示される。これらの置換基の置換位置は、アントラセン環系の位置2にあることが好ましい。9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジエトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジプロポキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシ−2クロロアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸、9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸メチルエステルなどを、本発明において使用することができる9,10−ジアルコキシアントラセンの特定の例として挙げることができる。本発明において有用なN−アルキルカルバゾール化合物の例には、N−エチルカルバゾール、N−エチル−3−ホルミル−カルバゾール、1,4,5,8,9−ペンタメチル−カルバゾール、N−エチル−3,6−ジベンゾイル−9−エチルカルバゾール、及び9,9’−ジエチル−3,3’−ビカルバゾールが含まれる。増感剤化合物(G)は単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0035】
本発明において使用することができる任意の接着性増進化合物(H)の例には、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、[3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]トリメトキシシランなどが含まれる。
【0036】
場合によって、化学線を吸収し、且つ365nmにおける吸光係数15L/g.cm以上を有する化合物(J)を含めることが有用であろう。このような化合物を使用して、画像の頂部における画像形成した材料が、画像の底部における画像形成した材料よりも幅広いような、逆テーパ形状を有するレリーフ画像断面をもたらすことができる。2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;サリチル酸フェニル及びサリチル酸4−t−ブチルフェニルなどのサリチル酸化合物;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート及び2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのフェニルアクリレート化合物;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール及び2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール化合物;スダンオレンジGなどのアゾ染料;4−メチル−7−ジエチルアミノ−1−ベンゾピラン−2−オンなどのクマリン化合物;ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン化合物;スチルベン化合物、ナフタル酸化合物などが、単独で、又は混合物としてのいずれかで本発明において使用することができる特定の例として挙げられる。
【0037】
場合によって、イオン捕捉剤として本発明において有機アルミニウム化合物(K)を使用することができる。有機アルミニウム化合物については、それが硬化生成物中に残留するイオン性材料を吸着する効果を有する化合物である限り、特別な制約は全くない。特定の例としてトリス−メトキシアルミニウム、トリス−エトキシアルミニウム、トリス−イソプロポキシアルミニウム、イソプロポキシジエトキシアルミニウム、及びトリス−ブトキシアルミニウムなどのアルコキシアルミニウム化合物;トリス−フェノキシアルミニウム及びトリス−パラ−メチルフェノキシアルミニウムなどのフェノキシアルミニウム化合物;トリス−アセトキシアルミニウム、トリス−ステアリン酸アルミニウム、トリス−酪酸アルミニウム、トリス−プロピオン酸アルミニウム、トリス−アセチルアセトン酸アルミニウム、トリス−トリルフルオロアセチル酢酸アルミニウム、トリス−エチルアセト酢酸アルミニウム、ジアセチルアセトナトジピバロイルメタン酸アルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセト酢酸)アルミニウムなどが示される。これらの成分(K)は単独で、又は2種以上の成分の混合物として使用することができ、上述の光酸発生剤化合物(C)から由来するイオンの有害な影響を軽減することが必要な場合、それらを使用する。
【0038】
使用できるビス−フェノールノボラック成分Aの量は、成分A、B、及びC、並びに、存在する場合、任意のエポキシ樹脂E、反応性モノマーF、及び接着性増進剤H、の合計重量の5〜90重量%、又より好ましくは25〜90重量%、又最も好ましくは40〜80重量%である。
【0039】
使用できるエポキシ樹脂成分Bの量は、成分A、B、及びC、並びに、存在する場合、任意のエポキシ樹脂E、反応性モノマーF、及び接着性増進剤H、の合計重量の10〜95重量%、又より好ましくは15〜75重量%、又最も好ましくは20〜60重量%である。
【0040】
使用できる光酸発生剤化合物Cの量は、エポキシ樹脂成分A、及びB、並びに存在する場合、任意のエポキシ樹脂E、反応性モノマーF、及び接着性向上剤H、の合計重量の0.1〜10重量%である。1〜8重量%のCを使用することがより好ましく、又2〜6重量%を使用するのが最も好ましい。
【0041】
使用できる溶媒成分Dの量は、全組成物の5〜99重量%である。溶媒5〜90重量%を使用することがより好ましく、又溶媒10〜85重量%を使用することが最も好ましい。使用できる溶媒の正確な量は、所望の膜厚によって決まる。より少ない量の溶媒を含有する組成物はより高い固形分濃度をもたらし、厚膜を調製するのに有用であり、一方より多量の溶媒は固形分含量を減少させ、このような組成物は薄膜を調製するのに有用である。
【0042】
溶媒成分Dは、2種以上の溶媒の混合物を含んでよい。溶媒混合物を使用して、コーティング内における気泡の形成を減少させることによりコーティング品質を向上させる形で、本組成物の粘性及び乾燥特性を調整できる。シクロペンタノンとメチルケトンとの混合物が好ましく、又最も好ましいのは2−ペンタノンとのシクロペンタノンの混合物であり、この場合この混合物は5〜25重量%の2−ペンタノンを含有する。
【0043】
任意のエポキシ樹脂Eを使用する場合、使用できる樹脂Eの量は、成分A、B、及びC、並びに、存在する場合、任意のエポキシ樹脂E、反応性モノマーF、及び接着性増進剤H、の合計重量の5〜40重量%、又より好ましくは10〜30重量%、又最も好ましくは15〜30重量%である。
【0044】
任意の反応性モノマーFを使用する場合、使用できるFの量は、成分A、B、及びC、並びに、存在する場合、任意のエポキシ樹脂E、反応性モノマーF、及び接着性増進剤H、の合計重量の1〜20重量%、又より好ましくは2〜15重量%、又最も好ましくは4〜10重量%である。
【0045】
使用する場合、任意の光増感剤成分Gは、光開始剤成分Cに対して0.05〜4.0重量%である量で存在でき、又0.5〜3.0重量%を使用するのがより好ましく、又1〜2.5重量%を使用するのが最も好ましい。
【0046】
場合によって、成分A、B、及びE以外のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート及びメタクリレート樹脂、並びにアクリレート及びメタクリレートホモポリマー及びコポリマーを、本発明において使用することができる。このような代替的エポキシ樹脂の例としてフェノール−ノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールメタンエポキシ樹脂などが挙げられ、又メタクリレート化合物の例としてテトラ−メタクリル酸ペンタエリトリトール並びにペンタ−及びヘキサメタクリル酸ジペンタエリトリトールなどのメタクリレートモノマー;エポキシメタクリレート、ウレタンメタクリレートなどのメタクリレートオリゴマー、ポリエステルポリメタクリレートなどが挙げられる。使用する量は成分A、及びB、及びEの合計重量の0〜50重量%が好ましい。
【0047】
更に、本発明において硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、非晶質シリカ、タルク、粘土、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、モンモリロナイト粘土、及び雲母粉末、並びに銀、アルミニウム、金、鉄、CuBiSr合金などの種々の金属粉末などの、任意の無機充填材を使用することができる。無機充填材の含量は、本組成物の0.1〜80重量%としてよい。同様に、ポリメチルメタクリレート、ゴム、フルオロポリマー、架橋エポキシ、ポリウレタン粉末などの有機充填材を同じく組み込むことができる。
【0048】
必要な場合、架橋剤、熱可塑性樹脂、着色剤、増粘剤、及び接着性を増進し又は改良する薬剤などの種々の材料を、本発明において更に使用することができる。架橋剤には、例えばメトキシル化メラミン、ブトキシル化メラミン、及びアルコキシル化グリコウリル(glycouril)化合物を含めることができる。Cytech Industries,West Patterson,New JerseyのCymel(登録商標)303は、適切なメトキシル化メラミン化合物の特定の例である。Cytech Industries,West Patterson,New JerseyのPowderlink(登録商標)1174は、アルコキシル化グリコウリル化合物の特定の例である。熱可塑性樹脂の例としてポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリカーボネートなどが挙げられ;着色剤の例としてフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ヨウ素グリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどが挙げられ;増粘剤の例としてアスベスト、オーベン(orben)、ベントナイト、及びモンモリロナイトが挙げられ、又消泡剤の例として、シリコーン含有消泡剤、フッ素含有消泡剤、及びポリマー消泡剤が挙げられる。これらの添加剤などを使用する場合、本発明の組成物中におけるそれらの一般的含量は、それぞれ0.05〜10重量%であるが、これは適用目的に従い必要に応じて増加させ又は減少させることができる。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、成分A〜D、及び任意の成分E〜K、並びに必要な場合無機充填材及び他の添加剤を、好ましくは上述の比率で組み合せるステップ、ロールミル、パドルミキサ、又は配合技術において知られている同様の装置により均質に混合し、溶解し、分散させるなどのステップによって調製することができる。溶媒成分Dを除いた成分A〜Kを溶媒成分Dで希釈し、本組成物の意図する用途に相応しい溶液粘度に調節することが特に好ましい。
【0050】
本発明のフォトレジスト組成物を使用する場合、フォトレジスト溶液は、基板上に液体フォトレジストを計量分配し、この基板を一定の回転速度まで加速し、且つ回転速度を一定に保持して所望のコーティング厚さを達成するステップからなるスピンコートにより基板に塗布できる。スピンコートは、最終コーティングの厚さを制御するために種々の回転速度で実施できる。別法として、フォトレジスト組成物は、ローラ塗り、ドクターナイフ塗布、スロット塗布、浸漬塗り、グラビア塗布、吹付け塗りなどの他の塗布方法を使用して基板に塗布できる。コーティング後、乾燥ベークを行って、溶媒を蒸発させる。乾燥ベーク条件は、フォトレジストの半硬化乾燥塗膜を形成するように選択し、典型的な条件はホットプレート上において65℃で1分、続いて95℃で要求に応じ5〜30分以上とし、その場合基板はホットプレートの表面に接触させ、又は接触に近い状態とする。別法として、乾燥ベークは対流式オーブン内で実施できる。次いで、固体フォトレジストコーティングは、不透明及び透明領域のパターンを含むフォトマスクを通して、中圧若しくは高圧水銀ランプからの近紫外、300〜500nm放射線により、標準若しくはシンクロトロン線源からのX線放射線により露光ツールを使用して、或いは直接又はパターニングした露光を介して電子ビーム放射線により、光像形成することができる。密着、近接、又は投影プリントを使用できる。露光に続いて、コーティングの露光した領域における酸触媒作用による重合反応を促進するために、露光後ベークを行う。典型的なベークは、ホットプレート上において65℃で1分間、及び95℃で5分間実施する。ある実施形態では、95℃で5〜10分間の1回ベークを使用して露光後ベークを行うことができる。次いで、非重合領域を溶解除去するために、コーティングの厚さ、及び現像液溶媒の溶媒力価に応じて典型的には2〜5分間コーティングを有機溶媒現像液中に浸漬する。すすぎ溶媒を塗布することにより現像した画像をすすいで、残った現像液を除去する。残った現像液が溶解したフォトレジスト成分を含有しており、基板上で残った現像液を乾燥させるとそれがレリーフ画像内に析出物を形成するので、残った現像液の除去が必要である。
【0051】
場合によって、霧化用噴霧ノズル、又は微小シャワーヘッド型噴霧ノズルのいずれかを使用して吹付けにより現像液溶媒を塗布できる。画像を現像する更に他の方法は、パドル法としてフォトレジスト技術分野で知られているものを使用して現像液を塗布することを含み、その方法では、現像しようとする基板を回転するツールヘッド上に置き、次いで基板面積全体の上に澱んでいる層、又はパドル、を形成するに足る量の現像液を、ゆっくり回転するその基板上に計量分配する。次いで回転を止め、その結果得られた形成された現像液パドルを、一定時間の間基板上で静置させる。この時間の後、基板の回転を加速して使用済みの現像液をスピン除去し、次いで回転が止まるまで減速する。明瞭なレリーフ画像が得られるまで、必要な場合このシーケンスを繰り返し、2〜4回溶媒パドルを形成する方法を用いるのが通常である。
【0052】
適切な現像液溶媒には、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマ−ブチロールアセトン、アセトン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N−メチルピロリドン、アニソール、及び乳酸エチルが含まれるが、それらに限定されない。非露光フォトレジスト組成物向けの良好な溶解力、及び比較的低コストのため、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
【0053】
適切なすすぎ溶媒には、任意の上述の現像液溶媒、並びにメタノール、エタノール、イソプロパノール、及び酢酸n−ブチルが含まれる。すすぎ溶媒は急速に乾燥するのが好ましく、この点でアセトン、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールが特に好ましい。
【0054】
場合によって、得られた画像についてポストベークを実施して、より高い変換度まで重合反応を進ませることによって材料をより完全に硬化できる。ホットプレート、対流オーブンなどの加熱設備を使用して、この工程は容易に達成される。
【0055】
使用することができる基板材料には、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ガラス、ガラス−セラミックス、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、鋼、銅−シリコン合金、インジウム−スズ酸化物被覆ガラス;ポリイミド及びポリエステルなどの有機フィルム;金属、半導体、及び絶縁材料のパターニング領域を含有する任意の基板などが含まれるが、それらに限定されない。場合によって、フォトレジストコーティングを塗布する前に、吸収された湿分を除去するため基板上でベークステップを実施できる。
【0056】
本発明のフォトレジスト組成物を使用して、ドライフィルムフォトレジストを製造することができる。ドライフィルムフォトレジストを調製するには、本発明によるフォトレジスト組成物をローラ塗り、ドクターナイフ塗布、スロット塗布、浸漬塗り、スピンコート、グラビア塗布などの塗布方法を使用して、ベースフィルム材料に塗布する。次いで被覆したベースフィルムを、60〜160℃に設定した乾燥オーブン内で、所望量の溶媒を除去するのに足る時間の間、乾燥する。次いで被覆したフィルムのフォトレジスト側にカバーフィルムを施し、フィルムを破損から保護し、又被覆した材料のシートが一緒に粘着するのを防止する。溶媒、フォトレジスト固形分含量、及び被覆パラメータを適切に選択することにより、ベースフィルム上のフォトレジストの厚さを約1〜約100μmに調節できる。ベースフィルムとしてポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、及びポリイミドなどの有機ポリマーフィルム材料を使用することができる。カバーシート材料としてポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートなどの有機ポリマーを使用することができる。
【0057】
このドライフィルムフォトレジストは、最初にフォトレジスト層から保護カバーシートを剥がし若しくは他の方法で除去するステップと、次いでドライフィルムを、フォトレジスト側を基板と接触させて基板上に置くステップと、従来の積層装置を使用して熱及び圧力をかけることにより、フォトレジストを基板に積層するステップと、次いでベースフィルムをフォトレジスト層から剥がし若しくは他の方法で除去するステップとによって、使用できる。これらの操作は、基板上へのフォトレジスト層の形成をもたらし、このフォトレジスト層はその後、本明細書に記述される方法、又は従来の実際的方法を使用して、像様露光させ、露光後ベークし、画像を現像し、又場合によって加熱により硬化させる。
【0058】
このドライフィルムフォトレジストは、フォトレジスト層から保護カバーシートを剥がし若しくは他の方法で除去するステップと、次いでドライフィルム層を、フォトレジスト側を基板と接触させて基板上に置くステップと、従来の積層装置を使用して熱及び圧力をかけることにより、フォトレジストを基板に積層するステップと、次いでベースフィルムを通過させる照射によりフォトレジスト層を像様露光させるステップと、像様露光させたフォトレジスト層からベースフィルムを剥がし若しくは他の方法で除去するステップと、像様露光させたフォトレジスト層を露光後ベークにかけるステップと、フォトレジストにおける画像を現像するステップと、現像したフォトレジストを場合によって加熱して硬化させるステップとによっても、使用でき、ただし、このようなステップは本明細書に記述される方法、又は従来の実際的方法を使用する。
【0059】
このドライフィルムフォトレジストは、フォトレジスト層から保護カバーシートを剥がし若しくは他の方法で除去するステップと、次いでフォトレジスト側を基板と接触させてドライフィルム層を基板上に置くステップと、従来の積層装置を使用して熱及び圧力をかけることにより、フォトレジストを基板に積層するステップと、次いでベースフィルムを通過させる照射によりフォトレジスト層を像様露光させるステップと、ベースフィルム、フォトレジスト層、及び基板の積層物を露光後ベークにかけるステップと、像様露光させ、且つ露光後ベークしたフォトレジスト層からベースフィルムを剥がし若しくは他の方法で除去するステップと、このフォトレジスト層を現像にかけて、フォトレジストにおける画像を作り出すステップと、現像したフォトレジストを場合によって加熱して硬化させるステップとによっても使用でき、ただし、このようなステップは本明細書に記述される方法、又は従来の実際的方法を使用する。
【0060】
本発明による樹脂組成物の硬化生成物は、MEMS及びマイクロマシン部品を含めた製造物品における永久層として使用できる。例えば、それは日本国特開2000−343463号に開示されているマイクロマシン部品;日本国特開2001−10068号に開示されているインクジェットヘッド用オフィス部品;日本国特開2001−71299号に開示されている磁気アクチュエータ(MEMS)部品;日本国特開2001−157855号に開示されている毛管ゲル電気泳動用マイクロチップ(μ−TAS);並びに生物学的MEMデバイス向けマイクロ流体チャンネル及び細胞成長プラットフォーム、マイクロ反応器部品、誘電体層、絶縁層、及び樹脂基板、向けに使用することができる。
【0061】
本発明による組成物を塗布し、画像形成し、現像し、且つ場合によって硬化させた生成物は、米国特許出願第2003/0059344号に開示されている生物学的インキ印刷向け高密度エリアアレイ印刷板の製作に使用される、又は米国特許第6652878号及び第6670129号に開示されている細胞トランスフェクションプレート及びトランスフェクション装置の製作において使用される、反応性イオンエッチマスクを形成するのに使用できる。生物学的用途の分野からの追加的例として、本発明による組成物は、米国特許第6576478号及び第6682942号において教示される生体分子活性のパラレル生体内スクリーニング用デバイスにおける複数のマイクロ流体チャンネルを製作するのに使用できる。
【0062】
MEMSの分野において、本発明による組成物を塗布し、画像形成し、現像し、且つ場合によって硬化させた生成物は、米国特許第6506989号に教示される微小パワースイッチングデバイス;米国特許第6624730号に教示されるマイクロリレーデバイス;米国特許第6663615号に教示される医薬送達デバイス及びセンサー;米国特許第6582890号において記述される多層レリーフ構造体;並びに米国特許第6674350号において記述される電磁アクチュエータ、の製作において使用できる。更に又センサーの領域では、本組成物は、例えば米国特許第6506313号に教示される超小型光ファイバー圧力変換器の製作において、又米国特許第6219140号に教示される原子間力顕微鏡(AFM)における用途向けカンチレバーチップの製作に使用できる。
【0063】
本発明による組成物を塗布し、画像形成し、現像し、且つ場合によって硬化させた生成物は、米国特許第6544902号に教示される半導体ウェハ及び特異化デバイス上への保護コーティング形成に関連した電子パッケージ用途において使用できる。
【0064】
いくつかの米国特許は、電気的プリント回路板、オフセット印刷版、及び他の銅張積層板作製へのドライフィルムレジストの使用について教示している。これらには、次のものが含まれる:米国特許第3469982号、第4193799号、第4576902号、第4624912号、及び第5043221号。米国特許第3708296号は、ケミカルミリング向け耐酸及び耐アルカリ性画像作製、無スクリーンリソグラフィ、印刷版、ステンシル作製、プリント回路向けマイクロ画像、熱硬化性小胞状画像、情報記憶向けマイクロ画像、紙、ガラス、及び金属パッケージの装飾、並びに光硬化コーティングにおけるドライフィルムフォトレジストの使用を教示している。本発明の積層し、画像形成し、且つ硬化したドライフィルムフォトレジストは、これらの参考文献中に開示されているドライフィルムレジストの代わりに使用できる。
【0065】
特許文献において、インクジェットプリンターカートリッジのプリントヘッド部品の製作におけるエポキシ樹脂含有フォトレジストの有用性を記述する開示であって、本発明による組成物を塗布し、画像形成し、現像し、且つ場合によって硬化させた生成物を、それらの特許中に開示されているレジストの代わりに使用できる開示が数多く存在している。インクジェットプリントヘッドの領域における適用を示している、決して包括的ではないが、例示的な例の群には、米国特許第5859655号、第6193359号、第5969736号、第6062681号、第6419346号、第6447102号、第6305790号、及び第6375313号の教示が含まれる。
【0066】
本発明の組成物は、基板接合接着剤であって、熱及び圧力の適切な条件下で2つの基板の間に接着性結合が形成されるように、本組成物で被覆した基板を第2の基板と接触させる接着剤としても使用できる。使用する熱及び圧力の条件に応じて、この接着性接合は一時的、又は永久的のいずれかとしてよい。この使用において、一時的な接着性接合は、接合させた基板を溶媒で処理することにより破壊することができる接着性接合であるが、永久的接合は、溶媒処理により弱められない接着性結合である。
【0067】
永久レジストパターンは、インプリント方法を使用することにより、本組成物の被覆層内に形成できる。インプリントは、物理的接触により、型板(テンプレート)から基板へパターンを転写する方法である。本発明の組成物は、ある表面上に本組成物をコーティングするステップと、次いで湿ったコーティングをベークしてこの膜を乾燥するステップと、インプリントする基板を提供するステップとにより、インプリントにおいて使用できる。次に、ミクロン又はサブミクロンサイズいずれかのフィーチャを有してよい盛り上がったフィーチャを含む型板を、このインプリントする基板に物理的に接触させる。次いで、型板の盛り上がったフィーチャの、永久レジストコーティング組成物内部への貫入をもたらす形で、型板に、又はインプリントする基板に、又は型板及びインプリントする基板の両方に圧力をかける。インプリントする基板に熱をかけて永久レジストコーティングを軟化させることにより、このインプリント方法の効果を助けてよい。次いで型板をインプリントする基板から外して、型板の盛り上がったフィーチャが永久フォトレジストコーティング内の窪んだ画像となっている、パターニングした基板を提供する。この方法は、フィーチャサイズがミクロン範囲にある場合微細インプリントと呼び、又フィーチャサイズが1ミクロン未満である場合ナノインプリントと呼ぶ。転写したパターンは、このパターンをUV放射線に露光させて、フォトレジスト組成物のカチオン重合を開始させるステップと、次いでその後のベークステップを行って膜の重合及び架橋を完了させるステップとによって、基板膜の中に固定できる。別法として、又紫外又は他の活性線を使用せずに、インプリントする基板から型板を外す前又は後のいずれかにおいて、パターニングした基板をPAGの分解、及びその後のカチオン重合を活性化するに足る温度まで加熱し、それにより永久フォトレジスト層を提供できる。上記において記述した画像様紫外リソグラフィの方法を、画像様インプリントリソグラフィの方法と組み合せて、基板上にパターニングした永久フォトレジストコーティングをもたらすことが可能であり、その場合レリーフパターンのいくらかの部分がフォトリソグラフィ方法により形成され、又いくらかの部分がインプリント方法により形成される。
【0068】
本発明によるフォトレジスト組成物は、優れた画像形成特性を有し、又硬化生成物は、溶媒、アルカリ、及び酸に対する優れた耐薬品性を有し、且つ良好な熱安定性及び電気的性質を示している。
【0069】
下記の実施例及び比較によって、本発明を更に詳細に記述する。他に明確に言及しない限り、全ての部及び百分率は重量によるものであり、又全ての温度は摂氏度である。
【実施例】
【0070】
実施例及び実験
フォトレジスト試料を試験するための一般的実験手順
(実施例1〜19、30及び31、並びに比較例1〜4フォトレジスト組成物の配合方法)
組成物の成分を個別に4オンス広口アンバーガラス瓶中に秤量することにより、全てのフォトレジスト組成物を調製した。次いで計算量の溶媒を添加すると、全固形分含量が全組成物の70又は75%である組成物がもたらされた。本明細書において、全固形分含量を、塗布可能である、溶媒からPAGの担体溶媒を引いたものを除いた組成物の全成分の加成的重量と定義する。この瓶にしっかり蓋を施し、次いで全成分が完全に溶解するまで40〜60℃で4〜8時間、赤外加熱ランプ下のローラミル上において回転させた。試料を室温まで冷却させ、更に処理することなく評価した。
【0071】
フォトレジスト組成物を調製するのに使用した物質の化学若しくは商標名、供給源、及び識別コードを表1に掲げる。各実施例及び比較例組成物の配合を、表2において記述する。
【0072】
表2の構成及び理解については、表のます目の3行目におけるイタリック体で示した数値は、全組成物における所与の成分の重量パーセントを表すと理解されたい。これらの百分率は概数であり、合計しても、正確に100パーセントにならないかもしれない。表のます目の2行目に標準の字体で示した数値は、組成物の他の成分に対する組成物成分の含量を記述する。特に、塗膜形成樹脂(A、B、及び場合によってE)、反応性モノマー(F)、及び接着添加剤(H)の含量は、塗膜形成樹脂(A、B、及び場合によってE)、反応性モノマー(F)、及び接着性添加剤(H)の全含量の重量百分率として表す。PAG(C)含量は、塗膜形成樹脂(A、B、及び場合によってE)、反応性モノマー(F)、及び接着性添加剤(H)の全含量の重量百分率として表す。任意の光増感剤(G)の含量は、PAG(C)の含量の重量百分率として表す。任意の光吸収染料(H)の含量は、PAG(C)の含量の重量百分率として表す。
【表1】


【表2−1】


【表2−2】


【表2−3】


【表2−4】

【0073】
下記の実験の記述は、実施例1〜18、及び比較例1〜4、及び比較例7を指す。
【0074】
物理的試験のための試料の調製方法:
フォトレジスト試料の物理特性質は、レジストを厚さ3ミル(75μm)のKapton(登録商標)ポリイミド膜上に塗布し、得られた塗膜の性質を各プロセスステップが完了した後で評価することにより評価した。
【0075】
Kaptonの巻取りシートから、Kaptonを3×3インチ(76×76mm)角に切断することにより、試料を調製した。得られたKapton方形物は、巻取り方向に幾分巻上がり(カール)を有し、この巻き上がりの凹面上に本組成物を塗布した。この方形物を、約0.5mLの水又はガンマ−ブチロラクトンをシリコンウェハに載せ、次いでその液体上面にKaptonフィルムを置くことにより、直径100mmのシリコンウェハに一時的に貼り付けた。液体が広がってKaptonフィルムの底面全体を覆い、ウェハを500rpmでスピンさせて過剰の液体を除去した。次いで、500rpmでスピンさせながらアセトンを1回流し、続いてイソプロピルアルコールを1回流して洗浄し、次いで1000〜3000rpmでスピン乾燥することにより、Kaptonを清浄にした。約5mLの組成物をKaptonフィルム上に注ぎ、次いで2000〜3000rpmで30秒間スピンさせて、所望の公称膜厚を得た。ソフトベーク後、固体70%の組成物は3000rpmで公称厚さ35μm塗膜をもたらし、又固体75%の組成物は3000rpmで公称厚さ50μm塗膜をもたらした。被覆したKapton方形物をウェハから外し、直ちに実験室ホットプレート上において65℃で3分間ソフトベークし且つ乾燥し、次いで速やかに第2のホットプレートに移し、厚さ35μm塗膜については95℃で更に7分間、又厚さ50μm塗膜については95℃で更に10分間ベークした。質量8グラムを有する2.75×2.75インチの4角の金網かごを使用してフィルムの隅を保持することにより、フィルムをホットプレート表面に対し比較的平坦に保持した。フィルムを非熱伝導性の表面上に移し、少なくとも1時間静置してから、更に加工した。紙カッターを使用し、フィルムの幅1インチ切片を切り取り、ソフトベークステップの後この切片を使用して特性を評価した。
【0076】
次いで、残った2×3インチ片は、320nmガラスカットオフフィルターを使用してフィルムを平坦に保ち、AB−M,Inc.社密着露光具上であふれ照射露光させた。フォトレジストコーティングは、100〜225mJ/cmで露光させたOPPI PAGを含有する実施例14、15、16、20、31、及び32を除いて、照射量500〜800mJ/cm、又はシリコン上で予測される照射量の約2倍、を使用し露光させた。露光した塗膜を65℃で3分間ベークし、直ちに引続き95℃で7分間ベークした(本明細書において以後、露光ステップ直後に行うベークステップを露光後ベークと呼び、PEBと略記する)。次いでコーティングは、非伝導性表面上で少なくとも1時間冷却した。95℃ベークの間、被覆したKaptonフィルムの上面に、質量80グラムを有する寸法5×5×1/16インチのガラス板を置いて、ホットプレート上でフィルムを平坦に保った。ホットプレートから取り外した後冷却すると、全ての試料は種々の度合いで急速に巻き上がった。このフィルムの幅1インチ切片を切り取り、PEB後の特性を評価するのに使用した。
【0077】
次いで、残った2×2インチ角の被覆したフィルムを、ガラス板で覆いながら150℃で30分間ハードベークし、再び非伝導性表面上で少なくとも1時間冷却した。ハードベーク後Kapton片は、PEB後よりも著しく多い巻上がりを示した。これらの材料は、冷却すると直ぐにむしろ激しく巻き上がるが、時間が経つと応力が緩和されある程度巻き上がらなくなるのであろう。次いで、2×2インチ片を巻上がり方向に対して直角に半分に切断すると、それにより各片は高度に巻き上がった。一方の1×2インチ片を使用して、150℃ハードベーク後の物理特性を評価した。次いで、第2の1×2インチ片を、ガラス板の下でホットプレート上において250℃で5分間ベークし、非伝導性表面上で少なくとも1時間冷却した。250℃ハードベーク後、被覆したフィルムは、150℃ハードベーク後よりも著しく多い巻上がりを示した。この最終片を使用して、やはり150及び250℃複合ハードベークステップ後の物理特性をも評価した。
【0078】
物理特性の試験
1インチ切断片の剪断端を調べることにより、ソフトベーク塗膜の脆さを評価した。フィルムが端部に沿って破砕又は層間剥離のないきれいな切断を示す場合、この試験に合格したものとみなした。この試験に不合格であったフィルムは、この端部に沿って亀裂、破砕、及び/又は層間剥離を示した。フィルム上を2秒間指で加圧し、コーティング上に残る圧痕を観察することにより、ソフトベーク塗膜の粘着性を測定した。ソフトベーク塗膜の粘着性は、フィルム上のコーティングを、それ自体上に折り曲げ、且つ折り目をつける順方向折り目試験の間、2つの面が互いに接着している場合にも知ることができる。柔軟性及び靭性は、フィルムのKapton裏打ち部分を、フィルムそれ自体に逆らって折り曲げ、且つ加圧する逆折り目試験により評価した。PEB又はハードベーク後、最も柔軟性のある塗膜だけがこの試験に合格できた。大抵の塗膜は、種々の度合いで亀裂を生じ、又層間剥離したであろう。Kaptonへの接着性も、逆折り目、又は逆屈曲試験における亀裂破壊後に生じる層間剥離の量により評価できるであろう。より良好な試料は亀裂を生じるが、Kaptonから層間剥離せず、又不良な試料は亀裂を生じ、且つKaptonから広い範囲で層間剥離するであろう。亀裂を生じるだけで、層間剥離しない塗膜は合格したとみなし、一方層間剥離し、その上亀裂を生じた塗膜は不合格とみなした。更に、2mm間隔で12mmから下は4mmまでの範囲における、種々の直径の円筒の周囲に、フィルムのKapton側を屈曲させることにより柔軟性を測定した。より脆い塗膜は、より大きい円筒直径で亀裂を生じ、且つおそらく層間剥離し、又最も柔軟性のあるものは、亀裂又は層間剥離がなく4mm円筒の周囲に屈曲させることができるであろう。
【0079】
本発明の実施例及び比較例について実施した粘着、屈曲、及びたわみ試験の要約を、表3に示している。表3において使用した記号は、各試験において下記の意味を有する:
粘着試験:
P=試料コーティングが試験に合格し、コーティングにおいて指圧痕を示さず、又順方向折り目試験の間、コーティングはそれ自体に粘着しなかった。
F=試料コーティングが試験に不合格であり、コーティングにおいて指圧痕を示し、又順方向折り目試験の間、コーティングはそれ自体に粘着した。
層間剥離試験:
P=逆折り目試験又は逆屈曲試験の間いずれもKapton基板からの層間剥離を示さないことにより、試料コーティングが試験に合格した。
F=逆折り目試験又は逆屈曲試験の間いずれかでKapton基板からの層間剥離を示したことにより、試料コーティングが試験に不合格であった。
屈曲試験:
P−#=被覆した基板のKapton側を直径4〜12mmの円筒の周囲に屈曲させた場合、亀裂又は層間剥離を示さないことにより、試料コーティングが試験に合格しており、又その場合#は、亀裂又は層間剥離による不合格が観察された、ミリメートルにおける円筒の直径である。
F−#=被覆したKapton基板を直径4〜12mmの円筒の周囲に屈曲させた場合、亀裂又は層間剥離を示すことにより、試料コーティングが試験に不合格であり、又その場合#は、亀裂又は層間剥離による不合格が観察された、ミリメートルにおける円筒の直径である。したがってF−4は、被覆したKapton基板を直径4mmの円筒の周囲に屈曲させた場合の不合格を意味する。
【0080】
このデータは、ソフトベーク後の塗膜の粘着性が、樹脂配合物の任意の成分(F)及び(H)の量に関連していたことを示している。これらの2つの任意の添加剤を組み合せた量が樹脂成分の7%を超えた場合、塗膜は過剰に粘着性になるであろうし、又この量が6%未満であった場合、粘着の量は許容可能なレベル未満であった。ソフトベーク後亀裂を生じ又層間剥離する傾向は、成分樹脂(BIIa)及び/又は(BIIb)、並びに任意のモノマー(F)の添加により減少した。樹脂成分(B)を含有しない塗膜は、容易に亀裂を生じ、破砕され、且つKaptonフィルムから層間剥離するであろう。ハードベーク後だけは、塗膜は破砕されるのではなく亀裂を生じるであろう。
【0081】
露光及びPEB後、成分(B)を含めた全ての塗膜は、Kapton支持フィルムがそれ自体に対して折れ目を生じた場合、亀裂を生じ又層間剥離するであろう。塗膜がその後ハードベークされると、それらは亀裂を生じ続けるであろうが、成分(B)を含有する塗膜の接着性は実質的に向上し、もはやKapton基板から層間剥離しないであろう。任意の添加剤(F)及び(H)を含めることにより、塗膜の性能は更に向上するであろう。実施例の塗膜の柔軟性を調べると、種々の直径の円筒の周囲にそれらを屈曲させる能力により立証されるように、配合物中の成分Bの量を増加させるにつれ、又塗膜のベーク(架橋)を延長するにつれ、露光及びPEB後、並びに2つの異なったベークの後、柔軟性が実質的に向上されることを示している。成分Bを含有しない塗膜は、成分Bを含有する塗膜よりも、はるかに大きい直径において亀裂を生じるであろう。より多量の成分Bを含有する典型的な塗膜は4mm屈曲試験に合格するであろう。やはり、任意の添加剤(F)及び(H)を含めることにより、塗膜の性能は追加的に向上する。いくつかの試験結果の差異は、多くの場合露光量における微妙さ、大気条件、遅延時間、及び他の制御されない条件に起因する。
【表3】

【0082】
リソグラフィ試験用試料の調製
各試料は、Brewer Science社CEE 100CBスピンコータ上の新たな若しくは以前に清浄にした直径100mmのシリコンウェハ上に、膜厚35又は50μmを生じるように決定したスピン速度でスピンコートし、付属のホットプレート上において65℃で1分間次いで95℃で5分間ベークし、次いでゆっくり冷却させた。次に、365nmにおける出力電力14.70mW/cmを有するAB−M,Inc.社光源でMicroChem Corp.社による設計のマルチステップ透過テストマスクを使用して、これらのウェハを、50〜300mJ/cmで露光させた実施例13、14、15、及び19を除いて、300〜800mJ/cm、で像様露光させた。次いで、ウェハをホットプレート上において65℃で1分間次いで95℃で4分間露光後ベークし、ゆっくり冷却させた。ウェハが冷却した後、パドル現像方法を使用しプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中で現像し、イソプロパノール中ですすぎ、スピン乾燥させた。レリーフ画像をトップダウン及び断面モードの両方で検査し、スクエアバイアスの隅部における亀裂について、ラージパッドの隅部における膜の層間剥離について、並びにライン及びスペースパターンの最小の解像物について評価した。
【0083】
ライン及びスペースペアの解像度についてのリソグラフィ結果の要約を、表4に示す。このデータは、多量の成分(A)を含有する試料について解像度に関するリソグラフィ性能が最良であり、又配合物中に50%を超えるこの成分を組み込んだ場合ほんの僅か低下したことを示している。少量の成分(A)を含有する実施例を評価したとき悪い解像度が得られ、又成分(A)が全くない場合合理的な画像を得ることができなかった。得られたアスペクト比も、同じ形で成分(A)含量に強く関連しており、又更に成分(B)の特定の組成及び比率、並びに他の任意の成分に関連していた。
【0084】
より多量の成分(B)を含めることによって、耐亀裂性が実質的に改良されることが見出された。露光照射量を増加させることによっても、耐亀裂性が改良された。成分(B)の量が多いほど、又照射量が多いほど、塗膜に亀裂を生じる傾向が小さくなるであろう。この挙動は、このような塗膜で得られる解像度の低下に対してバランスを取らなければならなかった。20〜50%の成分(B)を含有する組成物が最良の解像度、アスペクト比、亀裂、接着性、及び柔軟性を組み合せた性能を示すことが見出された。(E)、(F)、及び(H)などの他の任意の成分を含めることにより、これらの特性について更に改良することができるが、成分(A)及び(B)なしでは許容可能な性能が発揮されないであろう。より高い照射量における組成物の比較では、最良の解像度における照射量で評価した場合と同一の相対的性能を示したが、全試料について到達可能な最大の解像度がほぼ同程度低下した。
【表4】


実験欄における括弧内の数字は、下記の工程の詳細を指す:
(1)ソフトベーク:65℃/1分、95℃/5分;PEB:65℃/1分、95℃/4分
(2)ソフトベーク:65℃/1分、95℃/4分;PEB:65℃/1分、95℃/3分
(3)ソフトベーク:65℃/1分、95℃/8分;PEB:65℃/1分、95℃/4分
(4)ソフトベーク:65℃/2分、95℃/8分;PEB:65℃/1分、95℃/4分
(5)ソフトベーク:65℃/1分、95℃/3分;PEB:65℃/1分、95℃/3分
(6)サイズに合った照射量は、非バイアスマスクを使用しライン対スペースピッチが1:1の画像を提供するのに要する露光照射量と定義する。
全ての試料は、320nmカットオフフィルターなしで露光させ、又PGMEA中で現像し、IPAですすいだ。
【0085】
(実施例32)
ドライフィルムフォトレジスト組成物の調製及び処理
ACCU−LAB(商標)Auto−Draw IIIドローダウン塗装機(Industry Tech,Oldsmer,Frorida)に取り付けた#20Meyerロッドによりドローダウン法を使用してKaptonフィルム上に組成物を塗布することにより、固形分約55%を含有する実施例19(表2)の組成物を、厚さ約15μmのドライフィルムフォトレジストとして調製した。被覆したKaptonを、機械的対流オーブン内において100℃で15分間乾燥した。次いで、得られたドライフィルムを、ロール温度85℃、ロール圧55psi、及びロール速度1分当り0.3メートルで作動させたDupont Riston(登録商標)積層機を使用してシリコンウェハ上に積層した。2分間冷却した後、積層物からKaptonフィルムを剥がし、シリコンウェハ上にフォトレジスト組成物を残した。次に、365nmにおける出力電力14.70mW/cmを有するAB−M,Inc.社光源でMicroChem Corp.社による設計のマルチステップ透過テストマスクを使用して、このウェハを、100〜800mJ/cm、で像様露光させた。次いで、ウェハはホットプレート上において65℃で1分間次いで95℃で4分間、露光後ベークを行い、次いでゆっくり冷却させた。次いでウェハを、パドル現像方法を使用しプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中で現像し、イソプロパノールですすぎ、スピン乾燥させた。レリーフ画像をトップダウン及び断面モードの両方で検査し、スピンコートした実施例16について観察されたリソグラフィ特性と同一のリソグラフィ特性を示すことが見出された。
【0086】
次の節は、本発明の実施例10、15、16、18、20〜29及び比較例1、5、及び6について行った実験の結果を記述する。
【0087】
(実施例20〜29並びに比較例5及び6の配合)
表2に示す実施例20〜29並びに比較例5及び6の組成に従って、各成分を混合し、分散させ、ブレンドした。ただし、表2において、標準字体の数は重量部であり、又イタリック体の数は全組成物の重量百分率である。得られた永久フォトレジスト組成物は、厚さ50μmでシリコンウェハに塗布し、ホットプレート上において95℃で20分間乾燥した。次に、ネガ型マスクを適用し、USH−500BY1光源(ウシオ電機株式会社、東京、日本)を使用してフォトレジストに紫外線を照射した。ホットプレート上において95℃で10分間加熱処理した後、画像を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中にウェハを10分間浸漬することにより現像した。次いでウェハをイソプロピルアルコールですすぎ、乾燥させた。最終ステップとして、150℃で30分間加熱処理し、次いで下記の評価を行った。
【0088】
リソグラフィ性能についての評価
式1により、膜厚を、パターニングしたフィーチャの幅で割ることによって、形成されたパターンのアスペクト比を測定した:
式1.アスペクト比=(膜厚)/(パターン幅)
【0089】
表5に、本発明による実施例21〜30並びに比較例5及び6のリソグラフィパターニング性能を要約しており、表5では、下記の凡例により性能を格付けしている:
O=形成されたパターンが、アスペクト比5以上を有していた;
X=形成されたパターンが、アスペクト比2以下を有していた。
【0090】
耐溶媒性の評価
フォトレジスト組成物の硬化した塗膜生成物を、室温でアセトン中に30分間浸漬し、次いで剥離試験を行って接着性を評価した。剥離試験は、フォトレジスト硬化塗膜にセロハンテープを張ることと、次いで被覆したウェハからそのテープを引っ張ることによりセロハンテープを剥がすことを包含する。下記の判定基準により性能を評価した:
O=硬化したフォトレジスト膜の外観には全く異常がなく、膨れ又は剥がれはなかった;
P=硬化したフォトレジスト膜に対する外観にはほとんど異常がなく、膨れ又は剥がれはほとんどなかった;
X=硬化したフォトレジスト膜の広範な膨れ及び剥がれが観察された。
耐溶媒性試験結果は、表5の2列目に要約している。
【0091】
耐アルカリ性の評価
フォトレジスト(硬化した塗膜)を、室温で5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬し、又セロハンテープで剥離試験を行った。下記の判定基準により耐アルカリ性を評価した:
O=硬化したフォトレジスト膜の外観には全く異常がなく、膨れ又は剥がれはなかった;
P=硬化したフォトレジスト膜に対する外観にはほとんど異常がなく、膨れ又は剥がれはほとんどなかった;
X=硬化したフォトレジスト膜の広範な膨れ及び剥がれが観察された。
耐アルカリ性試験結果は、表5の3列目に要約している。
【0092】
耐酸性の評価
フォトレジスト(硬化した塗膜)を、室温で10重量%塩酸水溶液中に30分間浸漬し、次いで上述のようにセロハンテープで剥離試験を行った。下記の判定基準により耐酸性を評価した:
O=硬化したフォトレジスト膜の外観には全く異常がなく、膨れ又は剥がれはなかった;
P=硬化したフォトレジスト膜に対する外観にはほとんど異常がなく、膨れ又は剥がれはほとんどなかった;
X=硬化したフォトレジスト膜の広範な膨れ及び剥がれが観察された。
耐酸性試験結果は、表5の4列目に要約している。
【0093】
耐熱性の評価
フォトレジスト硬化塗膜を、オーブン内において200℃で10秒間加熱した。室温まで冷却した後、上述と同じセロハンテープによる剥離試験にかけた。下記の判定基準により耐熱性を評価した:
O=硬化したフォトレジスト膜の外観には全く異常がなく、膨れ又は剥がれはなかった;
P=硬化したフォトレジスト膜に対する外観にはほとんど異常がなく、膨れ又は剥がれはほとんどなかった;
X=硬化したフォトレジスト膜の広範な膨れ及び剥がれが観察された。
耐熱性試験結果は、表5の5列目に要約している。
【表5】


他に言及しない限り、全ての露光は、ウシオ超高圧水銀ランプ光源で照射量1000mJ/cmを使用して行った。
表4に示すように、照射量66mJ/cmでAB−M光源を使用して露光させた。
照射量200mJ/cmでウシオ超高圧水銀ランプを使用して露光させた。
【0094】
表5における評価結果から明らかであるように、本発明の永久フォトレジスト組成物から得られたフォトレジスト硬化膜は、優れた像形成性能を有し、又その硬化生成物は優れた耐溶媒性、耐アルカリ性、耐酸性、及び耐熱性を有する。
【0095】
(実施例33)
有機アルミニウムイオン捕捉剤(K)の使用
1重量部のトリアセチルアセトン酸アルミニウム(ALCMP)を、100重量部の実施例21におけるフォトレジスト組成物と混合することにより、永久フォトレジスト組成物が得られた。この永久フォトレジスト組成物から得られた永久フォトレジスト硬化膜に、90℃及び90%RHの条件下で100Vの直流電流を印加した。500時間後の絶縁抵抗が1011Ω以上であることを測定した。
【0096】
(実施例34)
インクジェット印刷インキとの適合性
実施例21のフォトレジスト組成物の硬化膜を、50℃において24時間インクジェットプリンター用黒色インキ中に浸漬し、次いで取出しておいた。膜の外観には全く異常がなく、又付着減量は観察されなかった。
【0097】
(実施例35)
硬化膜の強度及び靭性
実施例20のフォトレジスト組成物の硬化膜の引張り強さは65MPaであり、弾性率は1400MPaであり、又破断伸びは10%であった。
【0098】
(実施例36)
硬化膜の透明性
実施例20のフォトレジスト組成物の厚さ50μm硬化膜の400nm以上における吸光度はほぼ0であった。
【0099】
(実施例37)
E−ビームフォトレジストとしての配合及び使用
実施例18の組成物100グラムを、40グラムのシクロペンタノンで希釈した。得られたフォトレジスト組成物を、シリコンウェハ基板上に厚さ1μmまで塗布した。次いでこのウェハを95℃で3分間乾燥した。得られた塗膜に、ELS−3700電子ビームリソグラフィシステム(ELIONOX株式会社、日本)を使用して、30kVビームエネルギーにおいて5μC/cmを照射した。次に、90℃で5分間加熱処理を行った。加熱処理したウェハをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒中に2分間浸漬し、次いでイソプロピルアルコールですすいだ。得られたレリーフ画像はパターン幅1μmの解像度を示した。
【産業上の利用可能性】
【0100】
表5における評価結果から明らかであるように、本発明の永久フォトレジスト組成物は、優れたパターニング性能を有し、又その硬化生成物は優れた耐溶媒性、耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性、及び電気的性質を有する。その上、本発明の永久フォトレジスト組成物は、実施例33が示すように優れた絶縁抵抗を有するので、樹脂基板、絶縁層、及び誘電体層に使用することができる。本フォトレジスト組成物は、実施例34において示すようにインクジェットプリンターにおいて使用するインキに対する抵抗性があるので、インクジェットプリンターヘッド向けに使用することができる。本フォトレジスト組成物は、実施例35において示すように引張り強度を有するので、MEMS及びマイクロマシン向けの構造用材料として使用することができる。本フォトレジスト組成物は、表8において示すように種々の溶媒、酸、及びアルカリへの抵抗性を有するので、マイクロ反応器及びμ−TAS向けに使用することができる。更に、本フォトレジスト組成物は、実施例36において示すように400nm以上で優れた透過率を有するので、光導電性導波路として使用することができる。
【0101】
本発明は、上記においてその特定の実施形態を参照して記述しているが、本明細書において開示した本発明の概念から逸脱せずに、多くの変更、修正、及び変形を行うことができることは明らかである。したがって、添付する特許請求範囲の精神及び広い範囲内に納まる全てのこのような変更、修正、及び変形を包含することを意図している。本明細書において引用している全ての特許出願、特許、及び他の出版物はそれらの全体を参照により組み込んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久フォトレジスト組成物であって、
(A)式Iによる1種又は複数のビスフェノールA−ノボラックエポキシ樹脂;
【化1】


(ただし、式I中の各基Rはグリシジル又は水素から個別に選択され、又式I中のkは0〜約30の範囲にある実数である)と、
(B)1種又は複数のエポキシ樹脂であって、式BIIa及びBIIb
【化2】


(式中、式BIIaにおける各R、R、及びRは、水素又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基からなる群より独立に選択され、式BIIa中のpの値は1〜30の範囲にある実数であり;式BIIb中のn及びmの値は独立に1〜30の範囲にある実数であり、式BIIb中の各R、及びRは、水素、炭素原子1〜4個を有するアルキル基、又はトリフルオロメチルからなる群より独立に選択される)により表される群から選択される樹脂と、
(C)1種又は複数のカチオン性光開始剤(光酸発生剤又はPAGとしても知られる)と、
(D)1種又は複数の溶媒と
を含む組成物。
【請求項2】
1種又は複数のエポキシ樹脂(E)を更に含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1種又は複数の反応性モノマー(F)を更に含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
反応性モノマーが、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルからなる群より選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
0.1〜10重量パーセントのカチオン性光開始剤(C)を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
カチオン性光開始剤が、ヘキサフルオロアンチモン酸アリールスルホニウム塩類の混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
カチオン性光開始剤が、ヘキサフルオロアンチモン酸オクチルフェノキシフェニルヨードニウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
光増感剤化合物(G)を更に含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
光増感剤が2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
1種又は複数の接着性増進剤(H)を更に含有する、請求項1に記載の永久フォトレジスト組成物。
【請求項11】
有機アルミニウム化合物(K)を含有する、請求項1に記載の永久フォトレジスト組成物。
【請求項12】
ドライフィルムフォトレジスト組成物であって、請求項1に記載の永久フォトレジスト組成物から作製したフォトレジスト組成物。
【請求項13】
ドライフィルムフォトレジスト組成物を形成する方法であって、
(1)請求項1に記載の永久フォトレジスト組成物をポリマーフィルム基板に塗布するプロセスステップと、
(2)被覆した基板を加熱することにより溶媒の大部分を蒸発させて、ポリマーフィルム基板上に前記フォトレジスト組成物の膜を形成するプロセスステップと、
(3)永久フォトレジストコーティングの表面に保護カバーフィルムを適用するプロセスステップと
を含む方法。
【請求項14】
永久フォトレジストパターンを形成する方法であって、
(1)請求項1に記載のフォトレジスト組成物を基板に塗布するプロセスステップと、
(2)被覆した基板を加熱することにより溶媒の大部分を蒸発させて、前記基板上に前記組成物の膜を形成するプロセスステップと、
(3)前記被覆した基板にマスクを通して活性線を照射するプロセスステップと、
(4)加熱することにより、照射したセグメントを架橋させるプロセスステップと、
(5)溶媒により画像を現像して、前記フォトレジスト内に前記マスクのレリーフ画像を形成するプロセスステップと、
(6)場合によって、加熱することにより前記現像したレリーフ画像を架橋させるプロセスステップと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項12に記載のドライフィルムフォトレジスト組成物を使用して永久フォトレジストパターンを形成する方法であって、
(1)前記ドライフィルムフォトレジストを基板に積層するプロセスステップと、
(2)前記基板から担体フィルムを除去するプロセスステップと、
(3)被覆した基板にマスクを通して活性線を照射するプロセスステップと、
(4)加熱することにより、照射したセグメントを架橋させるプロセスステップと、
(5)溶媒により画像を現像して、前記フォトレジスト内に前記マスクのレリーフ画像を形成するプロセスステップと、
(6)場合によって、加熱することにより前記現像したレリーフ画像を架橋させるプロセスステップと、
を含む方法。
【請求項16】
活性線が、紫外線、近赤外線、X線、又は電子ビーム放射線である、請求項14に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項17】
活性線が、紫外線、近赤外線、X線、又は電子ビーム放射線である、請求項15に記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項18】
硬化生成物であって、請求項1に記載の永久フォトレジスト組成物から形成される生成物。
【請求項19】
硬化生成物であって、請求項12に記載のドライフィルムフォトレジストの硬化生成物。
【請求項20】
画像アスペクト比が1〜100である、請求項14に記載の方法により作製した硬化生成物。
【請求項21】
画像アスペクト比が1〜100である、請求項15に記載の方法により作製した硬化生成物。
【請求項22】
電子部品、微小電子機械システム、μ−TASパーツ、又はマイクロ流体部品若しくはシステムの製造において使用される場合における、請求項14に記載の方法により作製した硬化生成物。
【請求項23】
電子部品、微小電子機械システム、μ−TASパーツ、又はマイクロ流体部品若しくはシステムの製造において使用される場合における、請求項15に記載の方法により作製した硬化生成物。
【請求項24】
電子部品が、誘電体層、絶縁層、光導電性波回路、又は樹脂基板である、請求項22に記載の硬化生成物。
【請求項25】
電子部品がインクジェットプリンターパーツである、請求項22に記載の硬化生成物。
【請求項26】
用途が、微小電子機械システム向けパーツの組立てにおけるものである、請求項18に記載の硬化物。
【請求項27】
用途が、マイクロ−TASパーツの製作におけるものである、請求項18に記載の硬化物。
【請求項28】
用途が、マイクロ化学反応器パーツの製作におけるものである、請求項18に記載の硬化物。
【請求項29】
用途が、誘電体層である、請求項18に記載の硬化物。
【請求項30】
用途が、電気的又は熱的絶縁体としてのものである、請求項18に記載の硬化物。
【請求項31】
用途が、光導波路材料である、請求項18に記載の硬化物。
【請求項32】
用途が、インクジェットプリントヘッドの製作におけるものである、請求項18に記載の硬化物。
【請求項33】
用途が、微小電子機械システム向けパーツの組立てにおけるものである、請求項19に記載の硬化物。
【請求項34】
用途が、マイクロ−TASパーツの製作におけるものである、請求項19に記載の硬化物。
【請求項35】
用途が、マイクロ化学反応器パーツの製作におけるものである、請求項19に記載の硬化物。
【請求項36】
用途が、誘電体層である、請求項19に記載の硬化物。
【請求項37】
用途が、電気的又は熱的絶縁体としてのものである、請求項19に記載の硬化物。
【請求項38】
用途が、光導波路材料である、請求項19に記載の硬化物。
【請求項39】
用途が、インクジェットプリントヘッドの製作におけるものである、請求項19に記載の硬化物。
【請求項40】
請求項18に記載の硬化物であって、用途が、生化学分析向けのアレイ構造の組立てにおけるものである硬化物。
【請求項41】
請求項18に記載の硬化物であって、用途が、生物材料用の細胞成長プラットフォームの組立てにおけるものである硬化物。

【公表番号】特表2007−522531(P2007−522531A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553295(P2006−553295)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/004504
【国際公開番号】WO2005/079330
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506230068)マイクロケム コーポレイション (13)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】