説明

洗浄組成物、半導体装置の製造方法及び洗浄方法

【課題】半導体基板のタングステンの腐食を抑制でき、かつ、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣の除去性に優れた洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた半導体装置の製造方法及び洗浄方法を提供すること。
【解決手段】(成分a)水、(成分b)アミン化合物、(成分c)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、(成分d)第4級アンモニウム化合物、(成分e)有機酸、並びに、(成分f)水溶性有機溶剤、を含み、pHが6〜9であることを特徴とする、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた半導体装置の製造方法及び洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄組成物及び半導体装置の製造方法及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造において、大規模化、高密度化、微細化が進んでいる。集積回路の製造には、ポジ型又はネガ型のフォトレジストを使用した、リソグラフィ工程が採用されている。半導体基板に塗設されたレジスト膜は、フォトマスクなどの露光原版を通して露光される。レジスト膜中に光化学変化により生じたパターンは、現像により露光原板に対応した形状を有するレジストパターンとなる。レジストパターンの耐エッチング性を向上するために、必要に応じて、ポストベークやUVキュアリングが施される。得られたレジストパターンをマスクにして、半導体基板のエッチングやイオン注入が施される。
【0003】
レジストパターンをマスクとして、プラズマエッチングにより半導体基板上の金属層や絶縁層をエッチングする際には、フォトレジストや金属層、絶縁層に由来する残渣が半導体基板上に生じる。プラズマエッチングにより基板上に生じた残渣を除去するために、洗浄組成物を用いた洗浄が行われる。
【0004】
また、不要となったレジストパターンは、その後半導体基板から除去される。除去する方法には、ストリッパー溶液を使用する湿式の方法と、アッシングによる乾式の方法とがある。アッシングとしては、例えば、プラズマアッシングが挙げられる。プラズマアッシングによる方法では、真空チャンバー内で、酸素プラズマに電場を与えて電界方向に加速してレジストパターンを灰化する。アッシングにより基板上に生じた残渣を除去するために、洗浄組成物が使用される。
【0005】
例えば、特許文献1には、(a)モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、没食子酸以外のオキシカルボン酸、及びアスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれたアミノカルボン酸から成る群より選ばれた有機酸及び(b)エチレンジアミン四酢酸及びトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸から選ばれたアミノポリカルボン酸、ホスホン酸誘導体、縮合リン酸、ジケトン類、アミン類、及びハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン及びアンモニウムイオンから選ばれた無機イオンから成る群より選ばれた錯化剤を主に含んで成る、金属配線が施された半導体基板表面の洗浄処理剤が開示されている。
また、特許文献2には、金属又は誘電体の表面から化学的残留物を除くための組成物であって、この化学的残留物は先行の工程において適用されており、この化学的残留物からの更なる化学的効果を停止するものであり、pH約3.5〜約7の水溶液からなり、(a)1官能性、2官能性又は3官能性有機酸;及び(b)緩衝量のヒドロキシルアミン、又はヒドロキシルアミン塩を含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3219020号公報
【特許文献2】特許第3850039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ミスアライメントで露出したタングステンはアッシング工程後に腐食しやすい状態に変質することが知られており、従来の洗浄液では洗浄時にタングステンが腐食する場合があり、洗浄性能を保持し、かつタングステンの腐食を抑制することができる洗浄組成物が求められていた。
前記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、半導体基板のタングステンの腐食を抑制でき、かつ、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣の除去性に優れた洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた半導体装置の製造方法及び洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、下記<1>、<12>又は<14>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<11>、<13>及び<15>と共に以下に示す。
<1>(成分a)水、(成分b)アミン化合物、(成分c)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、(成分d)第4級アンモニウム化合物、(成分e)有機酸、並びに、(成分f)水溶性有機溶剤、を含み、pHが6〜9であることを特徴とする、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物、
<2>成分bが、炭素数3〜16の脂肪族アミンである、上記<1>に記載の洗浄組成物、
<3>成分bが、炭素数3〜16のアルキルアミン、及び、炭素数3〜16のジアルキルアミンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<1>又は<2>に記載の洗浄組成物、
<4>成分bが、2−エチルヘキシルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、ベンジルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、2−アミノエタノール、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、及び、n−ドデシルアミンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<5>成分cが、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硝酸塩、及び、ヒドロキシルアミンリン酸塩よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<6>成分dが、テトラアルキルアンモニウム水酸化物である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<7>成分eが、乳酸、クエン酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸、酒石酸、及び、リンゴ酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<8>成分eが、ヒドロキシル基を有するカルボン酸である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<9>成分fが、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、2−ブタノール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、ジエチレングリコールよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<10>プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が、アルミニウム、銅及びタングステンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの金属を含む残渣である、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<11>プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣除去用である、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<12>半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板に対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、半導体基板を上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の洗浄組成物により、エッチング工程及び/又はアッシング工程において半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、半導体装置の製造方法、
<13>前記半導体基板が、アルミニウム、銅及び/又はタングステンを含む、上記<12>に記載の半導体装置の製造方法、
<14>上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の洗浄組成物を調製する調製工程、並びに、前記洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、洗浄方法、
<15>前記半導体基板が、アルミニウム、銅及び/又はタングステンを含む、上記<14>に記載の洗浄方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体基板のタングステンの腐食を抑制でき、かつ、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣の除去性に優れた洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた半導体装置の製造方法及び洗浄方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法の一実施態様における通常時の配線パターンを示す概略断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法の一実施態様におけるミスアライメント時の配線パターンを示す概略断面図である。
【図3】アッシング後におけるプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が付着した状態を示す半導体装置の概略断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法の他の一実施態様における概要を示す工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法の更に他の一実施態様における概要を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
(洗浄組成物)
本発明の半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物(単に「洗浄組成物」ともいう。)は、(成分a)水、(成分b)アミン化合物、(成分c)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、(成分d)第4級アンモニウム化合物、(成分e)有機酸、並びに、(成分f)水溶性有機溶剤、を含み、pHが6〜9であることを特徴とする。
また、本発明の洗浄組成物は、後述するように、アルミニウム、銅及び/又はタングステンを含むプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物であることが好ましい。
【0013】
本発明の洗浄組成物のpHは、6〜9であり、7.0〜9.0であることが好ましく、7.0〜8.5であることがより好ましく、7.2〜8.4であることが更に好ましく、7.2〜8.0であることが特に好ましい。pHが上記範囲内であると、半導体基板のタングステンの腐食抑制性に優れ、また、フォトレジスト、反射防止膜、プラズマエッチング残渣、及び、アッシング残渣を十分に除去することができる。
pHの測定方法としては、市販のpHメーターを用いて測定することができる。
洗浄組成物の所定のpHへの調整は、特に制限はないが、(成分a)水、(成分b)アミン化合物、(成分c)ヒドロキシルアミン及び/若しくはその塩、(成分d)第4級アンモニウム化合物、並びに/又は、(成分e)有機酸の添加量、特に(成分c)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩の添加量を調節することにより行うことが好ましい。
【0014】
<(成分a)水>
本発明の洗浄組成物は、溶媒として水を含有する。
本発明の洗浄組成物における水の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、50重量%以上であることが好ましく、50〜99.5重量%であることがより好ましく、60〜99重量%であることが更に好ましく、70〜95重量%であることが特に好ましい。
水としては、半導体製造に使用される超純水が好ましい。
【0015】
<(成分b)アミン化合物>
本発明の洗浄組成物は、アミン化合物を含有する。なお、本発明における(成分b)アミン化合物は、ヒドロキシルアミン及びその塩以外のアミン化合物である。
本発明に用いることができるアミン化合物は、脂肪族アミン化合物であっても、芳香族アミン化合物であってもよいが、脂肪族アミン化合物であることが好ましい。なお、芳香族アミン化合物とは、芳香族基が少なくとも1つ窒素原子に直接結合したアミン化合物をいい、芳香族アミン化合物以外のアミン化合物を、脂肪族アミン化合物という。
また、本発明に用いることができるアミン化合物は、例えば、ポリエチレンイミン等のような高分子化合物であってもよい。
また、本発明に用いることができるアミン化合物は、アルカノールアミン以外の脂肪族アミンがより好ましく、酸素原子を有しない脂肪族アミンであることがより好ましい。
【0016】
本発明に用いることができるアミン化合物の炭素数は、3〜16であることが好ましく、4〜12であることがより好ましく、5〜10であることが更に好ましい。上記範囲であると、半導体基板のタングステンの腐食抑制性に優れる。
本発明に用いることができるアミン化合物としては、モノアルキルアミン化合物、及び、ジアルキルアミン化合物が好ましく例示でき、炭素数3〜16のモノアルキルアミン化合物、及び、炭素数3〜16のジアルキルアミン化合物がより好ましく例示でき、炭素数3〜16のモノアルキルアミン化合物が更に好ましく例示できる。上記態様であると、半導体基板のタングステンの腐食抑制性に優れる。
前記アミン化合物における窒素原子に直接結合するアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐状であっても、環構造を有していてもよいが、直鎖状、又は、分岐状であることが好ましく、分岐状であることがより好ましい。また、前記アルキル基は、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、本発明の効果を大きく損ねるものでなければ、特に制限はないが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、及び、アリール基が例示できる。
【0017】
また、本発明に用いることができるアミン化合物は、下記式(B)で表される化合物であることが好ましい。
【0018】
【化1】

(式(B)中、R1はアルキル基を表し、R2は水素原子又はアルキル基を表す。)
【0019】
1及びR2におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であっても、環構造を有していてもよく、また、置換基を有していてもよい。
前記置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、及び、アリール基が好ましく例示できるが、R1及びR2におけるアルキル基は、酸素原子を有しないことが好ましく、置換基を有しないことがより好ましい。
また、R1及びR2におけるアルキル基の炭素数は、1〜16であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、5〜10であることが更に好ましい。
さらに、R1及びR2におけるアルキル基は、直鎖状、又は、分岐状であることが好ましく、分岐状であることがより好ましい。
1及びR2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、及び、ベンジル基が例示できる。
また、式(B)におけるR2は、水素原子であることが好ましい。
【0020】
本発明に用いることができるアミン化合物としては、2−エチルヘキシルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、ベンジルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、2−アミノエタノール、ポリエチレンイミン、及び、n−ドデシルアミンが好ましく例示でき、2−エチルヘキシルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、ベンジルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、及び、n−ドデシルアミンがより好ましく例示でき、2−エチルヘキシルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、ベンジルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、及び、n−ドデシルアミンが更に好ましく例示できる。
【0021】
本発明の洗浄組成物は、アミン化合物を1種単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の洗浄組成物におけるアミン化合物の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましい。
【0022】
<(成分c)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩>
本発明の洗浄組成物は、ヒドロキシルアミン及び/又はその塩を含有する。ヒドロキシルアミン及び/又はその塩を含有することにより、プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を容易に洗浄することができる。
本発明に用いることができるヒドロキシルアミンの塩は、ヒドロキシルアミンの無機酸塩又は有機酸塩であることが好ましく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、及び、いずれかの酸の塩、並びに、これらの2種以上の混合物であることが特に好ましい。
本発明に用いることができるヒドロキシルアミンの塩としては、ヒドロキシルアミン硝酸塩(HANとも称される)、ヒドロキシルアミン硫酸塩(HASとも称される)、ヒドロキシルアミンリン酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩であることが好ましく、2種以上の混合物でもよい。
また、ヒドロキシルアミンの塩としては、ヒドロキシルアミンの有機酸塩も使用することができ、具体的には、ヒドロキシルアミンクエン酸塩、ヒドロキシルアミンシュウ酸塩が例示できる。また、ヒドロキシルアミンの塩としては、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン硫酸塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン硝酸塩なども例示できる。
【0023】
本発明の洗浄組成物は、ヒドロキシルアミン及びその塩を1種単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の洗浄組成物におけるヒドロキシルアミン及び/又はその塩の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜15重量%であることがより好ましい。
【0024】
<(成分d)第4級アンモニウム化合物>
本発明の洗浄組成物は、第4級アンモニウム化合物を含有する。
本発明に用いることができる第4級アンモニウム化合物としては、第4級アンモニウム水酸化物、第4級アンモニウムフッ化物、第4級アンモニウム臭化物、第4級アンモニウムヨウ化物、第4級アンモニウムの酢酸塩、及び、第4級アンモニウムの炭酸塩などが挙げられ、中でも、第4級アンモニウム水酸化物が好ましい。
前記第4級アンモニウム水酸化物としては、テトラアルキルアンモニウム水酸化物が好ましく、低級アルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)又は芳香族アルキル基で置換されたテトラアルキルアンモニウム水酸化物がより好ましい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシエチル、ベンジルのいずれかのアルキル基を4つ有するテトラアルキルアンモニウム水酸化物が挙げられる。かかるテトラアルキルアンモニウム水酸化物には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下TMAHと称する)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(以下BTMAHと称する)などを含む。それに加え、アンモニウム水酸化物と1つあるいはそれ以上の第4級アンモニウム水酸化物の組み合わせも使用することができる。
また、後述するような第4級アンモニウム塩系界面活性剤も例示できる。
【0025】
これらの中でも、TMAH、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、TBAH、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、BTMAHが好ましく、TMAH、TBAH、BTMAHがより好ましく、TMAHが更に好ましい。
【0026】
本発明の洗浄組成物は、第4級アンモニウム化合物を1種単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の洗浄組成物における第4級アンモニウム化合物の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、0.01〜20重量%であることが好ましく、1.0〜15重量%であることがより好ましく、3.0〜10重量%であることが更に好ましい。
【0027】
<(成分e)有機酸>
本発明の洗浄組成物は、有機酸を含有する。本発明の洗浄組成物は有機酸を含有することにより、半導体基板のタングステンの腐食抑制性に優れ、また、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣の除去性に優れる。
本発明に用いることができる有機酸は、カルボン酸であることが好ましく、ヒドロキシル基を有するカルボン酸を含有することがより好ましい。カルボン酸、特にヒドロキシル基を有するカルボン酸を含有することにより、アルミニウム、銅、タングステン及びそれらの合金の金属腐食を有効に防止することができる。
好ましいカルボン酸には、モノカルボン酸及びポリカルボン酸が含まれる。
有機酸としては、これらに限定されないが、クエン酸、乳酸、蟻酸、グリコール酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、バレリアン酸、イソバレリアン酸、コハク酸、リンゴ酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、サリチル酸、酒石酸、グルコン酸、マロン酸、ジグリコール酸、アセトヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸、サリチルヒドロキサム酸、フタルヒドロキサム酸、安息香酸及びジヒドロキシ安息香酸、並びに、これらの2種以上の混合物が例示できる。
これらの中でも、乳酸、クエン酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸、酒石酸及びリンゴ酸、並びに、これらの2種以上の混合物が好ましく例示でき、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、酒石酸、及び、リンゴ酸、並びに、これらの2種以上の混合物がより好ましく例示できる。
なお、有機酸は、アミノ基を有さないことが好ましく、構成元素をC、H、及びOのみとするものであることがより好ましい。
【0028】
本発明の洗浄組成物は、有機酸を1種単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の洗浄組成物における有機酸の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、0.01〜30.0重量%であることが好ましく、0.05〜20.0重量%であることがより好ましく、0.1〜10.0重量%であることが特に好ましい。
【0029】
<(成分f)水溶性有機溶剤>
本発明の洗浄組成物は、水溶性有機溶剤を含有する。本発明の洗浄組成物は水溶性有機溶剤を含有することにより、半導体基板のタングステンの腐食抑制性に優れ、また、特に半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣の除去性に優れる。
なお、本発明における水溶性有機溶剤は、成分b〜成分eに該当する化合物以外の化合物であるものとする。
また、本発明における「水溶性」とは、25℃に水に対する溶解度が0.1g/L以上であることを示す。
【0030】
本発明に用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−ブタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、ピナコール、ジプロピレングリコール(1,1’−オキシジ(2−プロパノール))、グリセリン等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、ホルムアミド、モノメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、モノメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、モノエチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶剤、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶剤等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール系溶剤、及び、エーテル系溶剤が好ましく例示でき、アルコール系溶剤がより好ましく例示できる。
【0031】
前記アルコール系溶剤としては、第2級ヒドロキシル基及び/又は第3級ヒドロキシル基を有する化合物であることが好ましく、第2級ヒドロキシル基を少なくとも有する化合物であることがより好ましい。
また、前記アルコール系溶剤は、モノアルコール化合物であっても、ポリアルコール化合物であってもよいが、ジオール化合物であることが好ましい。
本発明に用いることができる水溶性有機溶剤としては、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、2−ブタノール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、ジエチレングリコールよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることが好ましく、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、及び、グリセリンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることがより好ましい。
【0032】
本発明の洗浄組成物は、水溶性有機溶剤を1種単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の洗浄組成物における水溶性有機溶剤の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、0.1〜45重量%であることが好ましく、0.5〜40重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、半導体基板のタングステンの腐食抑制性、並びに、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣の除去性により優れる。
【0033】
本発明の洗浄組成物は、前記(成分a)〜(成分f)以外に、任意成分として、以下に列挙するような(成分g)無機酸及び/又はその塩、(成分h)界面活性剤、及び/又は、公知の添加剤を含有することができる。
【0034】
<(成分g)無機酸及び/又はその塩>
本発明の洗浄組成物は、無機酸及び/又はその塩を含有してもよい。本発明の洗浄組成物に無機酸及び/又はその塩を含有させることにより、半導体基板などの洗浄対象物におけるアルミニウムの表面を平滑化するとともに、洗浄性を向上することができる。さらに、アルミニウムの腐食を防止ないし抑制することができる。また、洗浄組成物に無機酸及び/又はその塩が含有されていることで、これらが含有されていない場合と比較して、腐食を防止ないし抑制しつつ十分な洗浄を実現できる洗浄組成物の温度範囲及び洗浄対象物の洗浄組成物への浸漬時間の範囲を拡大することができる。
本発明に用いることができる無機酸としては、リン酸、ホウ酸、六フッ化リン酸、及びこれらの2種以上の混合物が例示できる。
また、本発明の洗浄組成物には、前記無機酸の塩を使用することもでき、前記無機酸のアンモニウム塩などが挙げられる。具体的には、リン酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、六フッ化リン酸アンモニウム及びこれらの2種以上の混合物が例示できる。
これらの中でも、リン酸、リン酸塩が好ましく、リン酸がより好ましい。
【0035】
本発明の洗浄組成物は、無機酸及び/又はその塩を含有しなくとも、1種単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の洗浄組成物が無機酸及び/又はその塩を含有する場合、本発明の洗浄組成物における有機酸の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、0.1重量%以上0.5重量%未満であることが好ましく、0.1〜0.4重量%であることがより好ましく、0.15〜0.3重量%であることが更に好ましい。
【0036】
<(成分h)界面活性剤>
本発明の洗浄組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤を用いることができる。
【0037】
本発明に用いられる界面活性剤としては、添加することで洗浄組成物の粘度を調整し、洗浄対象物への濡れ性を改良することができる点、及び、残渣物の除去性と基板や絶縁膜などに対する防食性の両者がより優れるという点から、ノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアルキレンオキサイドアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル系界面活性剤、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドからなるブロックポリマー系界面活性剤、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレントリベンジルフェニルエーテル系界面活性剤、アセチレンポリアルキレンオキサイド系界面活性剤などを用いることができる。
中でも、ポリアルキレンオキサイド(以下PAO)アルキルエーテル系界面活性剤が好ましく例示でき、PAOデシルエーテル、PAOラウリルエーテル、PAOトリデシルエーテル、PAOアルキレンデシルエーテル、PAOソルビタンモノラウレート、PAOソルビタンモノオレエート、PAOソルビタンモノステアレート、テトラオレイン酸ポリエチレンオキサイドソルビット、PAOアルキルアミン、PAOアセチレングリコールから選択されるポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル系界面活性剤がより好ましく例示できる。ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド又はポリブチレンオキサイドの重合体が好ましい。
【0038】
また、本発明で使用される界面活性剤としては、残渣物の除去性と基板や絶縁膜などに対する腐食性の両者がより優れるという点から、カチオン性界面活性剤も好ましく用いることができる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルピリジウム系界面活性剤、又は、前記成分dに該当する第4級アンモニウム塩系界面活性剤が挙げられる。
【0039】
第4級アンモニウム塩系界面活性剤としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0040】
【化2】

(式(1)中、X-は水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、又は、硝酸イオンを表し、R5は炭素数8〜18のアルキル基を表し、R6及びR7は、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、又は、ベンジル基を表し、R8は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【0041】
式(1)中、X-はカウンターアニオンを表し、具体的には水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、又は、硝酸イオンを表す。
式(1)中、R5は、炭素数8〜18のアルキル基(炭素数12〜18が好ましく、例えば、セチル基、ステアリル基など)である。
式(1)中、R6及びR7は、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基(例えば、フェニル基など)、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシエチルなど)、又は、ベンジル基を表す。
式(1)中、R8は炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)を表す。
【0042】
式(1)で表される化合物の具体例として、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、トリデシルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。これら化合物のカウンターアニオンは塩化物イオンに限定されず、臭化物イオン又は水酸化物イオンでもよい。
【0043】
また、アルキルピリジウム系界面活性剤として具体的には、セチルピリジニウムクロリドなどが挙げられる。これら化合物のカウンターアニオンは塩化物イオンに限定されず、臭化物イオン又は水酸化物イオンでもよい。
【0044】
本発明の洗浄組成物は、界面活性剤を含有しなくとも、1種単独で含有しても、2種以上を含有していてもよい。
本発明の洗浄組成物が界面活性剤を含有する場合、本発明の洗浄組成物における界面活性剤の含有量は、洗浄組成物全体の重量に対して、0.0001〜5重量%であることが好ましく、0.0001〜1重量%であることがより好ましい。界面活性剤を洗浄組成物に添加することで洗浄組成物の粘度を調整し、洗浄対象物への濡れ性を改良することができるため好ましく、加えて基板や絶縁膜などに対する腐食性の両者がより優れるという点からも好ましい。このような界面活性剤は一般に商業的に入手可能である。
【0045】
(洗浄方法)
次に、本発明の洗浄方法について説明する。
本発明の洗浄方法は、上記本発明の洗浄組成物を調製する調製工程、及び、前記洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含むものである。
【0046】
前記調製工程は、本発明の洗浄組成物を調製する工程である。本発明の洗浄組成物は、前述した必須成分である成分a〜成分d、及び、必要に応じて任意成分である成分e〜成分hを混合することにより調製される。
本発明の洗浄組成物のpHは、6〜9であり、7.0〜9.0であることが好ましく、7.0〜8.5であることがより好ましく、7.2〜8.4であることが更に好ましく、7.2〜8.0であることが特に好ましい。
pHの調整は、特に制限はないが、(成分a)水、(成分b)アミン化合物、(成分c)ヒドロキシルアミン及び/若しくはその塩、(成分d)第4級アンモニウム化合物、並びに/又は、(成分e)有機酸の添加量、特に(成分c)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩の添加量を調節することにより行うことが好ましい。
【0047】
前記洗浄工程は、本発明の洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する工程である。
前記洗浄工程において洗浄除去されるプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣は、半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板に対してアッシングを行うアッシング工程において、半導体基板上に形成されたものであることが好ましい。
前記エッチング工程においては、プラズマエッチングの際のマスクとしてレジストパターンが用いられる場合がある。この場合、前記エッチング工程の後、前記洗浄工程の前に、例えばプラズマ、オゾンなどを用いたアッシングにより、レジストパターンを除去するアッシング工程を行うことが好ましい。前記洗浄工程において洗浄除去されるアッシング残渣は、前記アッシング工程において、アッシングにより半導体基板上に形成されたものであることが好ましい。
前記半導体基板は、例えば、ビアや配線などの金属層が形成されたものであることが好ましく、アルミニウム、銅及びタングステンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの金属を含むものがより好ましく、アルミニウム、銅及び/又はタングステンを含むものであることが特に好ましい。
【0048】
前記洗浄工程における洗浄の態様は、少なくともプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が形成された半導体基板の面を本発明の洗浄組成物に接触させる態様であれば、特に限定されるものではないが、本発明の洗浄組成物に前記半導体基板を浸漬する態様が好ましい。
【0049】
(半導体装置の製造方法)
次に、本発明の半導体装置の製造方法について詳述する。
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、本発明の洗浄組成物により、前記エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含むものである。具体的には、本発明の半導体装置の製造方法は、ビアホール又は配線を形成した後の半導体基板の洗浄において、本発明の洗浄組成物を適用するものであることが好ましい。
なお、本発明における「半導体基板」とは、半導体装置に用いる基板のことを示し、特に断りのない限り、シリコンウエハ等の狭義の半導体基板だけでなく、例えば、シリコンウエハ上に、層間絶縁膜や、タングステンプラグ、ビアホール、配線等を形成した基板であってもよい。
以下にいくつかの実施形態を例示する。
【0050】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法の概要について図1〜図3を用いて説明する。
図1は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施態様における通常時の配線パターンを示す概略断面図であり、図2は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施態様におけるミスアライメント時の配線パターンを示す概略断面図である。
また、図3は、アッシング後におけるプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が付着した状態を示す半導体装置の概略断面図である。
【0051】
図1は、半導体基板101上の層間絶縁膜102間に形成されたタングステンプラグ104上に、配線パターン(Al合金膜110、チタン膜108及び窒化チタン膜106により形成されている構造)を有する基板100を表す。
本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法としては、まず、通常の半導体装置の製造プロセスにより、シリコンウエハ等の半導体基板101上に、トランジスタその他の素子や1層又は2層以上の配線を形成する(図1中の半導体基板101に接した領域であり、詳細は特に図示せず)。次いで、素子等が形成された半導体基板101上に、層間絶縁膜102(SiO2膜)を形成する。層間絶縁膜102の材質としては、特に制限はなく、公知の材質を用いることができる。
層間絶縁膜102上に、フォトレジスト膜(図示せず)を形成し、次いで、フォトリソグラフィーにより、開口部を有するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマを用いたドライエッチングにより、層間絶縁膜102をエッチングし、層間絶縁膜102に開口部(図示せず)を形成する。フォトレジスト膜を薬液を用いたウェット処理やプラズマを用いたアッシングにより除去する。
【0052】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚約50nmの窒化チタン膜106と、例えば膜厚約20nmのチタン膜108と、例えば膜厚約500nmのAl合金膜110とを順次積層する。なお、Al合金膜110は、例えば0.1〜5%のCuを含有するAlとCuとの合金膜である。
【0053】
次いで、Al合金膜110上に、フォトリソグラフィーにより、配線パターンを有するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマエッチングによりAl合金膜110、チタン膜108及び窒化チタン膜106を順次エッチングする。こうして、Al合金膜110、チタン膜108及び窒化チタン膜106をパターニングし、これら導体膜よりなる配線(配線パターン、図1又は図2におけるAl合金膜110、チタン膜108及び窒化チタン膜106により形成されている構造)を形成する。
【0054】
次いで、薬液を用いたウェット処理により、マスクとして用いたフォトレジスト膜の大部分を剥離除去する。続いて、プラズマを用いたアッシング(プラズマアッシング)により、フォトレジスト膜の残部を除去する(図1参照)。
【0055】
配線を形成するためのエッチング及びフォトレジスト膜の残部を除去するためのアッシングにおいては、図3に示すように、配線の上面及び側面を含む基板表面に、プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣114が付着する。また、図3に示すような図1に対応する基板100上の構造だけでなく、図2に対応する基板100上の構造においても、同様にプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣114が付着する。このプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣114は、変質したフォトレジスト膜、Al合金膜110、チタン膜108、及び、窒化チタン膜106に由来する。
そこで、フォトレジスト膜の残部を除去するためのアッシング後、本発明の洗浄組成物により、配線までが形成された基板100を洗浄する。こうして、配線までが形成された基板100の表面に付着したプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣114を除去する。
【0056】
これにより、図1に示すようなタングステンプラグ104上に配線パターン(Al合金膜110、チタン膜108及び窒化チタン膜106により形成されている構造)を有する基板100が得られる。また、当該基板100の一部においては、図2に示すようなタングステンプラグ104と配線パターンとの位置がずれた、すなわち、ミスアライメントが生じている場合がある。
基板100の表面に付着したプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣114の除去時において、ミスアライメントが生じている配線近傍では、タングステンプラグ104の表面が露出しており(露出部分112)、洗浄時にタングステンプラグ104が腐食されないことが重要である。
本発明の洗浄組成物を用いることにより、半導体基板上のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣の除去性に優れるだけでなく、半導体基板のタングステンの腐食も抑制することができる。
【0057】
<第2実施形態>
図4は、本発明の半導体装置の製造方法の他の一実施態様(第2及び第3実施形態)における概要を示す工程断面図である。
まず、通常の半導体装置の製造プロセスにより、シリコンウエハ等の半導体基板10上に、トランジスタその他の素子や1層又は2層以上の配線を形成する。次いで、素子等が形成された半導体基板10上に、層間絶縁膜を形成する。
次いで、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、例えば膜厚約500nmのAl合金膜12と、例えば膜厚約50nmの窒化チタン膜14とを順次積層する。こうして、Al合金膜12と窒化チタン膜14とを順次積層してなる導体膜を形成する。なお、Al合金膜12は、例えば0.1〜5%のCuを含有するAlとCuとの合金膜である。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。こうして、Al合金膜12と窒化チタン膜14とからなる配線16を形成する。
【0058】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚約500nmのシリコン酸化膜18を形成する。
次いで、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、シリコン酸化膜18の表面を研磨し、シリコン酸化膜18の表面を平坦化する(図4(a)参照)。
次いで、シリコン酸化膜18上に、フォトリソグラフィーにより、ビアパターンを有するフォトレジスト膜を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマを用いたドライエッチングにより、シリコン酸化膜18をエッチングする。このとき、シリコン酸化膜18下の窒化チタン膜14の上部をもエッチングする。こうして、シリコン酸化膜18に、配線16の窒化チタン膜14に達するビアホール(ビアパターン)20を形成する(図4(b)参照)。シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14の上部のドライエッチングは、それぞれ公知の方法を用いて行うことができる。
【0059】
次いで、プラズマを用いたアッシングにより、マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する。フォトレジスト膜のアッシングは、公知の方法を用いて行うことができる。
ビアホール20を形成するためのドライエッチング及びフォトレジスト膜を除去するためのアッシングにおいては、ビアホール20周辺の表面を含む基板表面に、変質したフォトレジスト膜、シリコン酸化膜18、及び、ビアホール20底に露出した窒化チタン膜14に由来する残渣(プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣)が付着する。
そこで、フォトレジスト膜を除去するためのアッシング後、本発明の洗浄組成物により、ビアホール20までが形成された半導体基板10を洗浄する。こうして、ビアホール20までが形成された半導体基板10の表面に付着したプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を除去する。
次いで、全面に、例えばCVD法により、タングステン膜を形成する。
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜18の表面が露出するまでタングステン膜を研磨する。こうして、ビアホール20内に、タングステンよりなるビアを埋め込む。
【0060】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法の概要について、同じく図4を用いて説明する。
本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法は、配線16のAl合金膜12に達するビアホール22を形成する点で、第2実施形態による半導体装置の製造方法とは異なる。
まず、第2実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体基板10上に、Al合金膜12と窒化チタン膜14とからなる配線16、及び、シリコン酸化膜18を形成する(図4(a)参照)。
【0061】
次いで、シリコン酸化膜18上に、フォトリソグラフィーにより、ビアパターンを有するフォトレジスト膜を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマを用いたドライエッチングにより、シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14をエッチングする。このとき、窒化チタン膜14下のAl合金膜12の上部をもエッチングする。こうして、シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14に、配線16のAl合金膜12に達するビアホール22(ビアパターン)を形成する(図4(c)参照)。シリコン酸化膜18、窒化チタン膜14、及びAl合金膜12の上部のドライエッチングは、それぞれ公知の方法を用いて行うことができる。
【0062】
次いで、プラズマを用いたアッシングにより、マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する。フォトレジスト膜のアッシングは、公知の方法を用いて行うことができる。
本実施形態の場合、ビアホール22を形成するためのドライエッチング及びフォトレジスト膜を除去するためのアッシングにおいて、ビアホール22周辺の表面及びビアホール22の壁面を含む基板表面に、プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が付着する。本実施形態の場合、プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣は、変質したフォトレジスト膜、シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14だけでなく、ビアホール22底に露出したAl合金膜12にも由来する。
【0063】
そこで、フォトレジスト膜を除去するためのアッシング後、本発明の洗浄組成物により、ビアホール22までが形成された半導体基板10を洗浄する。こうして、ビアホール22までが形成された半導体基板10の表面に付着したプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を除去する。
次いで、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、ビアホール22に埋め込まれたビアを形成する。
【0064】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態による半導体装置の製造方法の概要について図5を用いて説明する。
図5は、本発明の半導体装置の製造方法の更に他の一実施態様(第4実施形態)における概要を示す工程断面図である。
本発明の第4実施形態による半導体装置の製造方法は、半導体基板上の多層配線構造における最上部に形成されたパッド(パッド電極)を露出する開口部をパッシベーション膜などの絶縁膜に形成するものである。
【0065】
半導体基板上に形成された多層配線構造においては、積層された層間絶縁膜中に、配線パターンが形成されている。また、配線パターン間を接続するビアが層間絶縁膜中に適宜形成されている。
【0066】
図5(a)は、パッドまで形成された多層配線構造の最上部の一例を示すものである。図示するように、半導体基板(図示せず)上に形成された層間絶縁膜38中には、配線パターン44が形成されている。配線パターン44は、TiNやTi膜などのバリアメタル膜40と、バリアメタル膜40に覆われたAl膜42とを有している。
配線パターン44が形成された層間絶縁膜38上には、層間絶縁膜46が形成されている。層間絶縁膜46中には、配線パターン44に接続されたビア52が形成されている。ビア52は、窒化チタン膜などのバリアメタル膜48と、バリアメタル膜48に覆われたタングステン膜50とを有している。
ビア52が形成された層間絶縁膜46上には、ビア52を介して配線パターン44に接続されたパッド(パッド電極)60が形成されている。パッド60は、順次積層された密着膜54とAl膜56と密着膜58とを有している。密着膜54、58は、チタン/窒化チタンの積層構造又は窒化チタンの単層構造を有している。
このようにパッド60が形成された層間絶縁膜46上に、例えば高密度プラズマCVD法により、シリコン酸化膜62を形成する(図5(b)参照)。
【0067】
次いで、シリコン酸化膜62上に、例えばプラズマCVD法により、シリコン窒化膜よりなるパッシベーション膜64を形成する(図5(c)参照)。
次いで、パッシベーション膜64上に、フォトリソグラフィーにより、パッド60に達する開口部の形成領域を露出するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマを用いたドライエッチングにより、パッシベーション膜64及びシリコン酸化膜62をエッチングする。このとき、パッド60の密着膜58及びAl膜56の上部もエッチングされうる。こうして、パッシベーション膜64及びシリコン酸化膜62に、パッド60を露出する開口部66を形成する(図5(d)参照)。パッシベーション膜64及びシリコン酸化膜62のドライエッチングは、それぞれ公知の方法を用いて行うことができる。
【0068】
次いで、プラズマを用いたアッシングにより、マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する。フォトレジスト膜のアッシングは、公知の方法を用いて行うことができる。
開口部66を形成するためのフォトレジスト膜の形成、パッシベーション膜64及びシリコン酸化膜62のドライエッチング及びフォトレジスト膜を除去するためのアッシングにおいては、開口部66周辺の表面を含む基板表面に残渣(プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣)が付着する。この残渣は、変質したフォトレジスト膜、パッシベーション膜64、シリコン酸化62、及び密着膜58、Al膜56などに由来する。
そこで、フォトレジスト膜を除去するためのアッシング後、本発明の洗浄組成物により、パッド60を露出する開口部66までが形成された半導体基板を洗浄する。こうして、開口部66までが形成された半導体基板の表面に付着したプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を除去する。
【0069】
本発明の洗浄組成物によれば、前述したビアホールや配線を形成する際に半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣のみならず、パッドを露出する開口部を形成する際に半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣をも十分に洗浄除去することができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、Al合金膜12を含む配線16を形成する場合について説明したが、配線の材料は上述したものに限定されるものではない。配線としては、Al又はAl合金よりなるAlを主材料とする配線のほか、Cu又はCu合金よりなるCuを主材料とする配線を形成することができる。
また、上記実施形態では、順次積層された密着膜54とAl膜56と密着膜58とを有するパッド60を形成する場合について説明したが、パッドの材料は上述したものに限定されるものではない。パッドの材料としては、種々の金属材料を用いることができる。また、シリコン窒化膜よりなるパッシベーション膜64及びシリコン酸化膜62にパッド60を露出する開口部66を形成する場合について説明したが、パッドを露出する開口部を形成する絶縁膜もこれらに限定されるものではない。このような絶縁膜としては、種々の絶縁膜を用いることができる。
【0071】
また、本発明の洗浄組成物は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及び/又はタングステン(W)を含む半導体基板からプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する工程に広く用いることができ、アルミニウム、銅及び/又はタングステンは半導体基板上に形成された配線構造中に含まれることが好ましい。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0073】
<走査型電子顕微鏡による残渣の観察>
前記第1実施形態について、配線形成後、本発明の洗浄組成物による洗浄前に、パターンウエハを走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察したところ、配線の上面及び側面にプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が認められた。
前記第2及び第3実施形態について、ビアホール形成後、本発明の洗浄組成物による洗浄前に、パターンウエハをSEMにより観察したところ、いずれもビアホール壁面にプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が認められた。
また、前記第4実施形態について、パッドを露出する開口部を形成した後、本発明の洗浄組成物による洗浄前に、パターンウエハをSEMにより観察したところ、開口部側面及び開口部周辺の絶縁膜上面にプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が認められた。
【0074】
(実施例1〜31、及び、比較例1〜6)
以下の表1に示す組成の洗浄組成物1〜37(実施例1〜31、及び、比較例1〜6)をそれぞれ調液した。
洗浄対象物としては、プラズマエッチング及びアッシングによりアルミニウム配線パターンを形成した後のパターンウエハ、プラズマエッチング及びアッシングによりビアホールのパターンを形成した後のパターンウエハ、及び、プラズマエッチング及びアッシングによりパッドを露出する開口部を形成した後のパッドパターンを有するパターンウエハを用意した。
【0075】
70℃に加温した各洗浄組成物に、用意したパターンウエハの切片(約2.0cm×2.0cm)を15分浸漬し、その後パターンウエハの切片を取り出し、直ちに超純水で1分水洗、N2乾燥を行った。
浸漬試験後のパターンウエハの切片の表面をSEMで観察し、プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣の除去性(洗浄性)について下記の評価基準に従って評価を行った。なお、配線パターンについては、配線側面及び上面の残渣除去性を評価した。また、ビアホールのパターンについては、ビアホール周辺の残渣除去性を評価した。また、パッドを露出する開口部が形成されたパッドパターンについては、開口部側面及び開口部周辺の絶縁膜上面の残渣除去性を評価した。
また、SEMによる観察により、配線パターンについてはそのAlの腐食性(リセス)及びW(Wプラグ)の腐食性を評価し、ビアパターンについてはビアホール底部に露出した配線のAlの腐食性を評価した。
評価基準を以下に示す。また、評価結果を表2に示す。
【0076】
<残渣除去性(洗浄性)>
5:残渣が完全に除去された。
4:残渣がほぼ完全に除去された。
3:残渣の溶解が未完了であり、残渣の25%以上が残存していた。
2:残渣の溶解が未完了であり、残渣の50%以上が残存していた。
1:残渣がほとんど除去されていなかった。
なお、上記洗浄性の評価基準は、配線パターンにおける配線側面及び上面の残渣、ビアパターンにおけるビアホール周辺の残渣、及び、パッドパターンにおけるパッド部側面及び上面の残渣について共通するものである。
【0077】
<Alの腐食性>
5:Alの腐食は見られなかった。
4:Alの腐食が配線に対して5%以下で起こっていた。
3:Alの腐食が配線に対して5%を超え10%以下で起こっていた。
2:Alの腐食が配線に対して10%を超え20%以下で起こっていた。
1:Al配線が完全に溶解していた。
なお、上記腐食性の評価基準は、配線パターンにおけるAl、及び、ビアパターンにおけるビアホール底部のAlに共通するものである。
【0078】
<配線パターンにおけるW(Wプラグ)の腐食性>
5:Wの腐食は見られなかった。
4:Wの腐食が配線に対して25%以下で起こっていた。
3:Wの腐食が配線に対して25%を超え50%以下で起こっていた。
2:Wの腐食が配線に対して50%を超え80%以下で起こっていた。
1:Wが完全に溶解していた。
【0079】
上記評価においては、評価結果の数値が大きい方が望ましい。
【0080】
【表1】

【0081】
表1における各成分の含有量は、洗浄組成物の全重量に対する重量%を表す。
また、上記表1の成分aの含有量は、成分a〜成分fの各成分の合計が100重量%となるような残部である。
さらに、成分dの含有量は、表1に示すpHの値になる量である。なお、各実施例及び各比較例における成分dの含有量は、洗浄組成物の全重量に対して、1〜10重量%の範囲であり、かつ表1に示すpHの値になる量を添加した。
【0082】
また、上記表1における略号が示す化合物は以下の通りである。
(成分b)
F1:ジエチルアミン、F2:n−ブチルアミン、F3:3−メトキシプロピルアミン、F4:tert−ブチルアミン、F5:ベンジルアミン、F6:n−ヘキシルアミン、F7:シクロヘキシルアミン、F8:n−オクチルアミン、F9:2−エチルヘキシルアミン、F10:N−メチル−N−ブチルアミン、F11:N−(3−アミノプロピル)モルホリン、F12:2−アミノエタノール、F13:ポリエチレンイミン、F14:n−ドデシルアミン、F15:o−キシリレンジアミン、F16:m−キシリレンジアミン、F17:p−キシリレンジアミン。
(成分c)
HAS:硫酸ヒドロキシルアンモニウム。
(成分d)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、BTMAH:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド。
(成分e)
CA:クエン酸、GA:グリコール酸、LA:乳酸、MNA:マロン酸、OA:シュウ酸、AA:酢酸、PA:プロピオン酸、VA:バレリアン酸、IVA:イソバレリアン酸、SUA:コハク酸、MA:リンゴ酸、GTA:グルタル酸、MLA:マレイン酸、FA:フマル酸、PHA:フタル酸、BCA:1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、SA:サリチル酸、TA:酒石酸、GLA:グルコン酸、FRA:蟻酸
(成分f)
CHD:1,2−シクロヘキサンジオール、MPD:2−メチル−2,4−ペンタンジオール、BD:1,3−ブタンジオール、BO:2−ブタノール、DPG:ジプロピレングリコール(1,1’−オキシビス(2−プロパノール))、Pin:ピナコール、Gly:グリセリン、APO:1−アミノ−2−プロパノール、PGME:2−メトキシ−1−プロパノール、DEG:ジエチレングリコール
【0083】
【表2】

【符号の説明】
【0084】
10:半導体基板
12:Al合金膜
14:窒化チタン膜
16:配線
18:シリコン酸化膜
20:ビアホール
22:ビアホール
38:層間絶縁膜
40:バリアメタル膜
42:Al膜
44:配線パターン
46:層間絶縁膜
48:バリアメタル膜
50:タングステン膜
52:ビア
54:密着膜
56:Al膜
58:密着膜
60:パッド
62:シリコン酸化膜
64:パッシベーション膜
66:開口部
100:基板
101:半導体基板
102:層間絶縁膜
104:タングステンプラグ
106:窒化チタン膜
108:チタン膜
110:Al合金膜
112:露出部分
114:プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(成分a)水、
(成分b)アミン化合物、
(成分c)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、
(成分d)第4級アンモニウム化合物、
(成分e)有機酸、並びに、
(成分f)水溶性有機溶剤、を含み、
pHが6〜9であることを特徴とする、
半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物。
【請求項2】
成分bが、炭素数3〜16の脂肪族アミンである、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
成分bが、炭素数3〜16のアルキルアミン、及び、炭素数3〜16のジアルキルアミンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1又は2に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
成分bが、2−エチルヘキシルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、ベンジルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、2−アミノエタノール、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、及び、n−ドデシルアミンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項5】
成分cが、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硝酸塩、及び、ヒドロキシルアミンリン酸塩よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項6】
成分dが、テトラアルキルアンモニウム水酸化物である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項7】
成分eが、乳酸、クエン酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、グルコン酸、サリチル酸、酒石酸、及び、リンゴ酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項8】
成分eが、ヒドロキシル基を有するカルボン酸である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項9】
成分fが、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、2−ブタノール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、ジエチレングリコールよりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項10】
プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が、アルミニウム、銅及びタングステンよりなる群から選ばれた少なくとも1つの金属を含む残渣である、請求項1〜9のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項11】
プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣除去用である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の洗浄組成物。
【請求項12】
半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、
半導体基板に対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、
半導体基板を請求項1〜11のいずれか1つに記載の洗浄組成物により、エッチング工程及び/又はアッシング工程において半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記半導体基板が、アルミニウム、銅及び/又はタングステンを含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の洗浄組成物を調製する調製工程、並びに、
前記洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、
洗浄方法。
【請求項15】
前記半導体基板が、アルミニウム、銅及び/又はタングステンを含む、請求項14に記載の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−243610(P2011−243610A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111885(P2010−111885)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】