説明

洗浄装置付塗布装置

【課題】揮発性の低い洗浄薬液を用いて強打力で洗浄を行った際でも乾燥性が非常に高く、洗浄薬液残りに起因する縦筋ムラを無くすことができ、且つ毎回一動作の洗浄でスリットノズルの先端部に乾燥固着する異物を完全に除去することで歩留まりを向上させ、タクトタイムを短縮する事が可能な洗浄装置付塗布装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置は、スリットノズル先端部8の外側に洗浄薬液と不活性ガスを混合した2流体を噴出する2流体ノズル10と、2流体ノズル10の逆進行方向側に不活性ガスを噴出する液切りノズル18とをスリットノズル1の長手方向に配列してなる2組が、スリットノズル先端部8の外側を挟みこむようにスリットノズル1の長手方向に平行に近設されている洗浄部と、この洗浄部の下部に位置して、発生したミスト状廃液を強制排気する排気部とで構成される洗浄ヘッド23を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターのような、角型ガラス基板に高精度の塗布膜を形成するためのスリットノズルの先端部を洗浄する洗浄装置を具備する洗浄装置付塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどに用いられるカラーフィルターの製造方法は、予め顔料を分散させた感光性材料を角型ガラス基板に塗布し、露光・現像により格子状のパターンを得る、顔料分散法が多く用いられている。
この方法では、感光性材料をガラス基板上に塗布する方式として、従来ではガラス基板中央に感光性材料を一定量滴下しその後ガラス基板を一定速度で回転させることで液を薄く均一に塗り広げる、スピンコート方式が一般的であった。しかしながら、この方式は材料を多量に使用するという点や、回転時にガラス基板中心部が厚膜化するという点で問題となっていた。
そこでそれらの欠点を補い、且つガラス基板の大型化にも対応しやすい塗布方式として近年主流になっているのが、スリットノズルを用いてガラス基板全面に所望の膜厚を直接、薄膜に塗布するダイコート方式である。
しかしながら、上記方式において、ガラス基板上に塗布する際にスリットノズル先端部に感光性材料が乾燥して固着し、それが剥がれ落ちてガラス基板上に異物となって残ってしまうことが大きな問題となっていた。
【0003】
従来技術では、長方形状の噴出口から洗浄薬液と不活性ガスを混合した2流体が扇状に噴出する洗浄ノズルを複数個配列した洗浄ヘッドを用いて、スリットノズル先端部の長手方向を一度に洗浄する方法があった(特許文献1参照)。
しかしながら、上記方法は洗浄ヘッドがスリットノズル長手方向に長いため、洗浄位置によって洗浄が不均一になってしまうことがあった。
そこで、ミスト状の洗浄液を噴き付ける洗浄液噴出口とその上部に気体噴出口を設け、スリットノズルの長手方向より短く設定された装置を、スリットノズルの長手方向に沿って移動しつつ両者を噴出することで、スリットノズル先端の傾斜部を洗浄する方法がある(特許文献2参照)。
しかしながら、上記方法では洗浄力は高く洗浄薬液使用量も低減できるものの、上部の気体噴出口からの噴出だけでは高い乾燥性を得られず、特に揮発性の低い洗浄薬液を使用する際は、一度の動作による洗浄ではスリットノズルの先端部を完全に乾燥させることができなかった。そのため、洗浄終了後に再度気体のみを供給して前記スリットノズルの先端部を乾燥させる工程(すなわち洗浄も含め二度の動作)を行う必要があり、洗浄一回当りのタクトタイムが長くなってしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2002−355596号公報
【特許文献2】特開2004−113934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、スリットノズルの先端部を洗浄する洗浄装置を具備する洗浄装置付塗布装置において、揮発性の低い洗浄薬液を用いて強打力で洗浄を行った際でも乾燥性が非常に高く、洗浄薬液残りに起因する縦筋ムラを無くすことができ、且つ毎回一動作の洗浄でスリットノズルの先端部に乾燥固着する異物を完全に除去することで歩留まりを向上させ、タクトタイムを短縮する事が可能な洗浄装置付塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、スリットノズルの先端部を前記スリットノズルの長手方向に沿って移動しながら洗浄する洗浄装置を具備する洗浄装置付塗布装置において、前記洗浄装置は、前記スリットノズル先端部の外側に洗浄薬液と不活性ガスを混合した2流体を噴出する1個以上の2流体ノズルと、前記2流体ノズルにおける洗浄装置進行方向とは逆進行方向側に配置されて不活性ガスを噴出する1個以上の液切りノズルとを前記スリットノズルの長手方向に配列してなる2組が、前記スリットノズル先端部の外側を挟みこむようにスリットノズルの長手方向に平行に近設されている洗浄部と、該洗浄部の下部に位置して、発生したミスト状廃液を強制排気する排気部とで構成される洗浄ヘッドを具備することを特徴とする洗浄装置付塗布装置としたものである。
【0006】
また請求項2の発明では、上記2流体ノズルと液切りノズルとの上部に位置し、不活性ガスをスリットノズルに向けて噴出する液遮断ノズルが、前記スリットノズルを挟みこむように対とされて、スリットノズルの長手方向に平行に近設されている請求項1に記載の洗浄装置付塗布装置としたものである。
【0007】
また請求項3の発明では、上記液切りノズルにはスリットが設けられており、該スリットの長手方向は、上記スリットノズルの長手方向に対して前記スリットノズル先端部に近い側が上記2流体ノズルにおける洗浄装置進行方向とは逆進行方向側になるように傾斜しており、その傾斜角度が55°〜75°の範囲にあり、且つ前記スリットの深さ方向は、スリットノズルの長手方向に対してより深い側が上記2流体ノズルにおける洗浄装置進行方向とは逆進行方向側になるように傾斜しており、その傾斜角度が50°〜70°の範囲である請求項1または2に記載の洗浄装置付塗布装置としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わる洗浄装置付塗布装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、スリットノズルの先端部を洗浄する洗浄装置を具備する洗浄装置付塗布装置において、洗浄薬液と不活性ガスを混合した2流体を噴出しつつスリットノズル長手方向に沿って移動させながら洗浄し、且つスリットの長手方向及び深さ方向に一定の傾斜を設けた液切りノズルとで、乾燥性の非常に高い洗浄を行うことができる。その結果、スリットノズル先端部の乾燥固着異物を完全に除去しつつ、且つ洗浄液残りに起因する縦筋ムラを抑えることができ、歩留まりが向上する。また毎回一動作の洗浄で完全にスリットノズル先端部を乾燥させ且つ清浄に保てるため、タクトタイムを短縮することができる。
つまり、本発明が目的とする洗浄装置付塗布装置を提供することができる。
【0009】
請求項2の発明により、不活性ガスがスリットノズルの斜面に向けて噴出され、これによって不活性ガスのカーテンが形成されるようになり、2流体ノズルより噴出される2流体ミスト及び液切りノズルより噴出される不活性ガスが、スリットノズルの斜面の上部へ巻き上がり、汚染するのを完全に防止することが可能となる。
【0010】
請求項3の発明により、液切りノズルにてスリットノズルの斜面に付着した2流体ミストより完全に除去することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1には、スリットノズルの先端部を洗浄する装置を有する本発明の塗布装置が示されている。この図1で示す通り、そのスリットノズル1はそれぞれ金属製構造物であるマニホールド側ブロック3と反マニホールド側ブロック2で構成されている。前記スリットノズル1の内部には塗布液を貯留しておくためのマニホールド4が設けられており、塗布液は塗布液供給口7より供給され、スリット5を通過して外部に排出される。スリット5の出口近傍はフラット面であるリップ6が形成されている。
このスリットノズル1において、塗布液を外部に排出する際に、リップ6を含むスリットノズル先端部8には塗布液が回り込んで付着し、これが乾燥固化して異物となる。また、この異物を洗浄除去する際に乾燥性が悪いと毛細管現象によりスリット5に洗浄薬液が進入し、これが塗布液に混入して塗布する際に縦筋ムラが発生する。
【0012】
図5で示す通り、本発明の洗浄装置付塗布装置における洗浄装置は洗浄ヘッド23を有するものである。前記洗浄ヘッド23は洗浄部と排気部とから構成され、前記洗浄部は、2流体ノズル10と、2流体ノズル10に並列して後述する装置進行方向とは逆進行方向側に液切りノズル18、その上部に液遮断ノズル11を有し、前記排気部は、洗浄部の下部に位置していて、固定ベース16、排気ダクト22を有する。
図1で示す通り、2流体ノズル10の内部には、洗浄薬液供給口12と不活性ガス供給口15に接続されている2流体を混合させるためのマニホールド13が形成されている。マニホールド13で混合された2流体ミストは2流体噴出口14よりスリットノズル先端部8に向けて噴出される。
上記液遮断ノズル11の内部には、不活性ガス供給口17とそれに接続された液遮断スリット24が設けられており、不活性ガス供給口17から供給された不活性ガスは液遮断スリット24よりスリットノズル1の斜面25の中段に向けて噴出される。これによって不活性ガスのカーテンが形成され、2流体ノズル10より噴出される2流体ミスト及び液切りノズル18より噴出される不活性ガスが、斜面25の上部へ巻き上がり、汚染するのを完全に防止することが可能となる。
【0013】
図2で示す通り、上記液切りノズル18の内部には、不活性ガス供給口21に接続されているマニホールド20が形成され、マニホールド20に貯留された不活性ガスは、液切りスリット19よりスリットノズル先端部8及びスリットノズル1の斜面25の中段に向けて噴出される。
図3で示す通り液切りスリット19の長手方向は、スリットノズル1の長手方向に対してスリットノズル先端部8に近い側(図3下側)が2流体ノズル10の装置進行方向とは逆進行方向側になるように傾斜しており、その傾斜角度Xは55°〜75°の範囲にある。また、液切りスリット19の深さ方向はスリットノズル1の長手方向に対してマニホールド20に近い側が2流体ノズル10の装置進行方向とは逆進行方向側になるように傾斜しており、その傾斜角度Yは50°〜70°の範囲である。傾斜角度X及び傾斜角度Yの範囲が前記範囲にある場合にはスリットノズル1の斜面25に付着した2流体ミストは完全に除去することが可能である。
【0014】
上述した洗浄部を構成する2流体ノズル10、液切りノズル18、液遮断ノズル11は2組とされ、スリットノズル先端部8外側を挟みこむようにスリットノズル1の長手方向に平行に近設されている。
そして洗浄部の下部には、上述したように洗浄部を支えるための固定ベース16と、発生したミスト状廃液を排出するための排気ダクト22からなる排気部が設けられている。
【0015】
洗浄薬液と不活性ガスとの供給について説明する。
図5で示す通り、2流体ノズル10への洗浄薬液74の供給は、まずボールバルブ68を開き、エアーオペレートバルブ72を開くことで洗浄薬液タンク73をクリーンエアー67によって加圧し、その状態でエアーオペレートバルブ66を開くことで、洗浄薬液供給口12より供給される。洗浄薬液74の流量の調整は流量調整バルブ75によって行い、その時の流量値は流量計64に表示される。流量調整バルブ75とエアーオペレートバルブ66の間には異物を捕集するためのフィルター65が設けられている。
洗浄薬液タンク73を加圧するためのクリーンエアー67の圧力は、減圧弁69によって調整し、その時の圧力値は圧力計70に表示される。エアーオペレートバルブ72と圧力計70の間には異物を捕集するためのフィルター71が設けられている。
【0016】
2流体ノズル10への不活性ガス59の供給は、ボールバルブ60を開き、且つエアーオペレートバルブ55を開くことによってなされる。流量の調整は流量調整バルブ54によって行い、その時の流量値は流量計53に表示される。
液切りノズル18への不活性ガス59の供給は、ボールバルブ60を開き且つエアーオペレートバルブ58を開くことによってなされる。流量の調整は流量調整バルブ57によって行い、その時の流量値は流量計56に表示される。
液遮断ノズル11への不活性ガス59の供給は、ボールバルブ60を開き、且つエアーオペレートバルブ52を開くことによってなされる。流量の調整は流量調整バルブ51によって行い、その時の流量値は流量計50に表示される。
不活性ガス59の圧力は、減圧弁61によって調整し、その時の圧力値は圧力計62に表示される。エアーオペレートバルブ52、55及び58と圧力計62の間には異物を捕集するためのフィルター63が設けられている。
【0017】
洗浄ヘッド23の内部に溜まったミスト状廃液は、強制排気装置77によって排気ダクト22を通って外部に排出される。排出されたミスト状廃液は廃液トラップタンク76にて捕集される。
【0018】
図4に示す通り、塗布液39をスリットノズル1に供給するための塗布液タンク38はボールバルブ36を開くことで、クリーンエアー37により加圧される。クリーンエアー37の圧力の調整は減圧弁35によって行ない、その時の圧力値は圧力計34に表示される。圧力計34と塗布液タンク38の間には異物を捕集するためのフィルター33が設けられている。塗布液39はエアーオペレートバルブ31を開くことでスリットノズル1へ供給される。塗布液タンク38とエアーオペレートバルブ31との間には、異物を捕集するための1次フィルター32が、エアーオペレートバルブ31とスリットノズル1の間には、2次フィルター30がそれぞれ設けられている。
【0019】
図7では本発明の洗浄装置付塗布装置86の基本構成と概略的な動作が示されている。この図7に示すように洗浄装置付塗布装置86は、上述の洗浄ヘッド23及び直動ユニット90からなる洗浄ユニットと上述の洗浄薬液、不活性ガスの供給機構とで構成される洗浄装置、塗布ステージ82、有機溶剤81を貯留した待機ポッド80等で構成される。そして図6で示す通り、洗浄ヘッド23はモーター駆動による直動ユニット90に固定されている。なお、洗浄ヘッド23の動きについては以下の実施例での説明と同じであり、実施の形態ではその説明を省略する。
【実施例】
【0020】
本発明の洗浄装置付塗布装置の実施例として、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターの製造工程において、感光性材料をスリットノズルにより塗布した際に、スリットノズルの先端部を洗浄する場合を説明する。
塗布する感光性材料は市販の樹脂ブラックレジストを用い、洗浄薬液としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン(或いは1−メチル−2−ピロリジノンでも可))を使用した。また、不活性ガスには窒素を使用した。更に、塗布膜を形成するガラス基板は無アルカリガラスで、サイズは680mm×880mm×t0.7mmを用いた。
液切りノズルは表1で示す様に、様々な傾斜角度のものを取り付けて事前に評価を行った。表で○はスリットノズルの斜面に洗浄薬液残りが全く見られなかったもの、△は一部洗浄薬液残りが見られたもの、×は洗浄薬液残りが見られたものを示している。この結果から、長手方向の傾斜角度Xは55°〜75°、深さ方向の傾斜角度Yは50°〜70°であれば、完全に洗浄薬液を除去できることがわかった。
【0021】
【表1】

【0022】
上記結果を踏まえ、2流体ノズルは2流体噴出口が円形状のものを3ヶ所、液切りノズルは、長手方向の傾斜角度Xが65°、深さ方向の傾斜角度Yが60°のスリットを3ヶ所それぞれ配列した。
【0023】
以下に実際の動作を詳細に示す。
図6、図7で示す通り、図示されないローダーユニットより投入されたガラス基板85は図示されない搬送ロボットによって洗浄装置付塗布装置86の塗布ステージ82上に載置され、真空吸着される。ボールバルブ36、60、68及びエアーオペレートバルブ72は予め開いており、塗布液タンク38及び洗浄薬液タンク73は常時加圧されている。スリットノズル1は待機位置Aにて有機溶剤81の雰囲気状態にある待機ポッド80の中にスリットノズル先端部8を格納した状態で待機しており、ガラス基板85が塗布ステージ82上に載置されると、待機上位置Bに上昇し、次いで塗布開始上位置Cに平行移動する。次いで塗布開始位置Dに下降し、この状態でエアーオペレートバルブ31を開いて塗布ビード83を形成した後、樹脂ブラックレジストを吐出しながら塗布膜84を形成しつつ塗布終了位置Eに平行移動する。スリットノズル1が塗布終了位置Eに移動すると、エアーオペレートバルブ31を閉じ、樹脂ブラックレジストの吐出を停止する。次いで塗布終了上位置Fに上昇し、次いで洗浄上位置Gに平行移動し、次いで洗浄位置Hに下降する。
【0024】
洗浄ヘッド23は洗浄ヘッド待機位置I(図6)にて待機しており、洗浄位置Hにスリットノズル1の移動が完了すると同時に、強制排気装置77を作動させて排気を開始し、次いでエアーオペレートバルブ52を開くことで窒素が液遮断スリット24から噴出され、次いでエアーオペレートバルブ58を開くことで窒素が液切りスリット19から噴出される。液遮断スリット24及び液切りスリット19からの窒素の噴出が安定した時点で、エアーオペレートバルブ55を開くことで窒素が2流体ノズル10に供給され、次いでエアーオペレートバルブ66を開くことでNMPが2流体ノズル10に供給され、2流体ノズル10内部で混合された2流体ミストが2流体噴出口14よりスリットノズル先端部8に向けて噴出される。
2流体ミストの噴出が安定した時点で、直動ユニット90を駆動させ、洗浄ヘッド23はスリットノズル1の長手方向に沿って平行移動しながら洗浄を開始する。洗浄ヘッド23が洗浄ヘッド洗浄終了位置Jに移動すると、直動ユニット90が停止し、スリットノズル1は洗浄上位置Gに再び上昇する。次いで待機上位置Bに平行移動し、次いで待機位置Aに下降して、再び待機ポッド80の中にスリットノズル先端部8を格納した状態で待機する。
スリットノズル1が洗浄上位置Gに上昇すると同時に、直動ユニット90が駆動し、洗浄ヘッド23は洗浄ヘッド待機位置Iに平行移動を開始し、同時にエアーオペレートバルブ66を閉じNMPの供給を停止し、次いでエアーオペレートバルブ55を閉じ2流体用窒素の供給を停止し、次いでエアーオペレートバルブ58を閉じ液切り用窒素の供給を停止し、次いでエアーオペレートバルブ52を閉じ液遮断用窒素の供給を停止し、その後洗浄ヘッド23内部のミスト状廃液が完全に外部に排出された時点で強制排気装置77を停止する。洗浄ヘッド23が洗浄ヘッド待機位置Iに移動すると直動ユニット90は停止する。
一方、洗浄装置付塗布装置86にて樹脂ブラックレジストを塗布したガラス基板85は図示されない搬送ロボットにより次工程に搬送される。
【0025】
以上の動作にてガラス基板を連続塗布し、且つ毎回洗浄を行った。その結果、目視においてスリットノズル洗浄後のリップ先端の乾燥性は非常に良く、洗浄薬液残りに起因する縦筋ムラの発生は無かった。また、連続塗布後もスリットノズル先端部は非常に清浄に保たれており、塗布後のガラス基板の異物検査においても乾燥固着に起因する異物は発生していなかった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係わる洗浄ヘッドの2流体ノズル部分とスリットノズルの側断面を表した説明図である。
【図2】本発明に係わる洗浄ヘッドの液切りノズル部分とスリットノズルの側断面を表した説明図である。
【図3】本発明に係わる液切りノズルの平面図である。
【図4】本発明に係わるスリットノズルと、塗布液の供給系統を表した説明図である。
【図5】本発明に係わる洗浄ヘッドとスリットノズルの斜視と、洗浄薬液及び不活性ガスの供給系統を表した説明図である。
【図6】本発明に係わる洗浄装置付塗布装置の一実施例における洗浄装置と、スリットノズルを示した説明図である。
【図7】本発明に係わる洗浄装置付塗布装置のスリットノズルの動作を側面で表した説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・スリットノズル
5・・・スリット
8・・・スリットノズル先端部
10・・・2流体ノズル
11・・・液遮断ノズル
14・・・2流体噴出口
16・・・固定ベース
18・・・液切りノズル
19・・・液切りスリット
23・・・洗浄ヘッド
24・・・液遮断スリット
25・・・斜面
86・・・洗浄装置付塗布装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリットノズルの先端部を前記スリットノズルの長手方向に沿って移動しながら洗浄する洗浄装置を具備する洗浄装置付塗布装置において、
前記洗浄装置は、前記スリットノズル先端部の外側に洗浄薬液と不活性ガスを混合した2流体を噴出する1個以上の2流体ノズルと、前記2流体ノズルにおける洗浄装置進行方向とは逆進行方向側に配置されて不活性ガスを噴出する1個以上の液切りノズルとを前記スリットノズルの長手方向に配列してなる2組が、前記スリットノズル先端部の外側を挟みこむようにスリットノズルの長手方向に平行に近設されている洗浄部と、該洗浄部の下部に位置して、発生したミスト状廃液を強制排気する排気部とで構成される洗浄ヘッドを具備することを特徴とする洗浄装置付塗布装置。
【請求項2】
上記2流体ノズルと液切りノズルとの上部に位置し、不活性ガスをスリットノズルに向けて噴出する液遮断ノズルが、前記スリットノズルを挟みこむように対とされて、スリットノズルの長手方向に平行に近設されている請求項1に記載の洗浄装置付塗布装置。
【請求項3】
上記液切りノズルにはスリットが設けられており、
該スリットの長手方向は、上記スリットノズルの長手方向に対して前記スリットノズル先端部に近い側が上記2流体ノズルにおける洗浄装置進行方向とは逆進行方向側になるように傾斜しており、その傾斜角度が55°〜75°の範囲にあり、
且つ前記スリットの深さ方向は、スリットノズルの長手方向に対してより深い側が上記2流体ノズルにおける洗浄装置進行方向とは逆進行方向側になるように傾斜しており、その傾斜角度が50°〜70°の範囲である請求項1または2に記載の洗浄装置付塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−281101(P2006−281101A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104971(P2005−104971)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】