説明

液晶表示装置、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、電子書籍

【課題】液晶滴下により、広視野角表示のマルチドメイン垂直配向型の液晶表示装置を実
現する。
【解決手段】第1の基板及び第2の基板間に滴下された液晶を保持するためのシール材と
、シール材に囲まれ、第1の基板上に設けられた画素部と、シール材の外側において、第
2の基板とは重ならない領域の第1の基板上に配置されるICチップと、シール材の外側
において、第2の基板とは重ならない領域の第1の基板上に配置される、画素部とICチ
ップとを電気的に接続する異方性導電膜と、シール材と交差するように画素部から異方性
導電膜が配置される領域まで延び、第1の基板上に設けられた画素部とICチップとを電
気的に接続する配線とを有する液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は薄膜トランジスタ(以下、TFTという)で構成された回路を有する液晶表
示装置およびその作製方法に関する。例えば、液晶表示パネルに代表される電気光学装置
およびその様な電気光学装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用
いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタは
ICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチ
ング素子として開発が急がれている。
【0003】
従来より、画像表示装置として液晶表示装置が知られている。パッシブ型の液晶表示装
置に比べ高精細な画像が得られることからアクティブマトリクス型の液晶表示装置が多く
用いられるようになっている。アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、マト
リクス状に配置された画素電極を駆動することによって、画面上に表示パターンが形成さ
れる。詳しくは選択された画素電極と該画素電極に対応する対向電極との間に電圧が印加
されることによって、画素電極と対向電極との間に配置された液晶層の光学変調が行われ
、この光学変調が表示パターンとして観察者に認識される。
【0004】
このようなアクティブマトリクス型の電気光学装置の用途は広がっており、画面サイズ
の大面積化とともに、高精細化や高開口率化や高信頼性の要求が高まっている。また、同
時に生産性の向上や低コスト化の要求も高まっている。
【0005】
従来、透過型の液晶表示装置で使用される液晶層の配向モードとしては、液晶分子の配
列が光の入射から出射方向に向かって90°ツイスト配向したTNモードを使用するのが
一般的であった。
【0006】
このTNモードの液晶表示装置を作製する際、液晶の配向方向を決めるため、一方の基
板と、もう一方の基板に配向膜形成、ラビング処理等を行なう。そして、基板のラビング
方向が直交するように貼り合わせる。この一対の基板間に、ツイストの回転方向を決める
カイラル材を混入した液晶材料を注入することにより所定の方向にツイストする液晶表示
装置が形成される。
【0007】
この時、液晶分子は、エネルギー的に最も安定な配列となるように基板面に対して、長
軸を平行に配列し、ラビングの条件や配向膜材料により基板面に対して、数度〜10°前
後の角度を持って配列する。
【0008】
この角度はプレチルト角といわれ、この角度を確保することにより、電界印加時に液晶
分子長軸の両端部において、所定の端部を揃えて配列の変形が起こる。
これにより動作時の配向が連続的となり、表示時のリバースチルトドメインという配向の
欠陥を防ぐことができる。
【0009】
しかし、上記TNモードでは、特定の視野角範囲外でコントラスト特性が極端に劣化し
たり、階調が反転するという現象が発生するといった問題が生じていた。
【0010】
これは、電界によって液晶分子の配向状態が基板面に対して垂直となる配列に変形する
と、観測者が液晶表示装置を見る角度や方位によって、液晶層中を進む光の距離や、光の
通過中の屈折率が変わることから、異なって光学変調される光を見るためである。
【0011】
また、このモードでは基板界面近くの液晶分子は強い配向規制力を受けており、初期
配向状態がほぼ維持される。このため、かなり高い液晶の飽和電圧(5V以上)を印加し
ても、この近傍での液晶分子は垂直にはならない。
【0012】
これらのことがTNモードの視野特性を狭くしている要因と考えられる。
【0013】
また、他の液晶表示モードとして、垂直配向型液晶モードが知られている。この垂直配
向型液晶モードは、液晶の初期配向を基板に対して垂直とした配向モードである。このモ
ードは負の誘電率異方性を有するn型液晶材料を用いる。このモードの場合も基板に設け
られた電極間に電界を印加することにより表示を実現するものである。
【0014】
しかし、液晶の複屈折性を利用するモードであるため若干のプレチルトのバラツキが透
過光量もしくは反射光量のバラツキとして目立つ。ラビング処理時のわずかな毛先の接触
のしかたの違いにより、スジ状の表示ムラとなり易い問題がある。
【0015】
また、ラビング処理自体、基板上の配向膜面を柔らかい毛で擦る処理のため発塵源とな
っている。さらに静電気の発生にともなう基板上の素子へのストレスや破壊への十分な対
策を必要とする。
【0016】
このため均一配向を実現し、ラビング処理を行わず液晶を配向させるという方法が一般
的に模索されている。例えば、基板上に構造物を形成し、この構造物の液晶と接する面の
傾斜や間隔、高さなどの物理的パラメータを調整し、さらに構造物の誘電率による電界の
作用を併せることで配向を制御し液晶表示装置を作製する手段が知られている。この方法
により、160°以上の広視野角化を実現している。しかし、この方法では、従来のラビ
ング処理が必要なくなる一方、液晶を配向させるための複雑な追加プロセスが必要となっ
ていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来、アクティブマトリクス型の電気光学装置は、写真蝕刻(フォトリソグラフィー)
技術により、最低でも5枚以上のフォトマスクを使用してTFTを基板上に作製していた
ため製造コストが大きかった。生産性を向上させ歩留まりを向上させるためには、工程数
を削減することが有効な手段として考えられる。
【0018】
具体的には、TFTの製造に要するフォトマスクの枚数を削減することが必要である。
フォトマスクはフォトリソグラフィーの技術において、エッチング工程のマスクとするフ
ォトレジストパターンを基板上に形成するために用いる。
【0019】
このフォトマスクを1枚使用することによって、レジスト塗布、プレベーク、露光、現
像、ポストベークなどの工程と、その前後の工程において、被膜の成膜およびエッチング
などの工程、さらにレジスト剥離、洗浄や乾燥工程などが付加され、煩雑なものとなり、
問題となっていた。
【0020】
また、基板が絶縁体であるために製造工程中における摩擦などによって静電気が発生し
ていた。この静電気が発生すると基板上に設けられた配線の交差部でショートしたり、静
電気によってTFTが劣化または破壊されて電気光学装置に表示欠陥や画質の劣化が生じ
ていた。特に、製造工程で行われる液晶配向処理のラビング処理の際に静電気が発生し問
題となっていた。
【0021】
本発明はこのような問題に答えるものであり、ラビング処理を削減してアクティブマト
リクス型の液晶表示装置に代表される電気光学装置を作製し、さらにTFTを作製する工
程数を削減して製造コストの低減および歩留まりの向上を実現することを課題としている

【0022】
加えて、液晶表示装置の視野特性の改善を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本明細書で開示する発明の構成は、 一対の基板と、前記一対の基板間に保持された液晶
とを備えた液晶表示装置であって、 前記一対の基板の一方の基板には、ゲート配線と、
前記ゲート配線上に絶縁膜と、 前記絶縁膜上に非晶質半導体膜と、 前記非晶質半導
体膜上にソース領域及びドレイン領域と、 前記ソース領域または前記ドレイン領域上に
ソース配線または電極と、 前記電極上に形成された画素電極と、 前記一対の基板の間
隔を一定に保つためのギャップ保持材とが形成され、 前記ギャップ保持材の側面により
前記液晶のプレチルト角を制御して前記液晶を配向させることを特徴とする液晶表示装置
である。
【0024】
また、他の発明の構成は、 一対の基板と、前記一対の基板間に保持された液晶とを備
えた液晶表示装置であって、 前記一対の基板の一方の基板には、ゲート配線と、 前記
ゲート配線上に絶縁膜と、 前記絶縁膜上に非晶質半導体膜と、 前記非晶質半導体膜上
にソース領域及びドレイン領域と、 前記ソース領域または前記ドレイン領域上にソース
配線または電極と、 前記電極上に形成された画素電極と、 前記一対の基板の間隔を一
定に保つためのギャップ保持材とが形成され、 前記ギャップ保持材の側面と、少なくと
も一方の基板に設けられた面の凹部或いは凸部により前記液晶のプレチルト角を制御して
前記液晶を配向させることを特徴とする液晶表示装置である。
【0025】
上記各構成において、少なくとも一方の前記基板には垂直配向用の配向膜を有している

【0026】
また、上記各構成において、前記ギャップ保持材は、一定のテーパー角を有している。
そのテーパー角は、75.0°〜89.9°、好ましくは82°〜87°である。また、
前記ギャップ保持材は、アクリル系、ポリイミド系、ポリイミドアミド系、エポキシ系の
少なくとも一つを主成分とする有機系樹脂材料、もしくは酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化
珪素のいずれか一種類の材料あるいはこれらの積層膜からなる無機系材料である。
【0027】
また、上記各構成において、前記ギャップ保持材の側面付近では液晶分子の長軸方向が
その側面に対して概略平行となるような配向規制力を有している。
【0028】
また、上記各構成において、前記液晶は負の誘電性異方性を有している。
【0029】
また、上記各構成において、前記ドレイン領域または前記ソース領域の一つの端面は、
前記非晶質半導体膜の端面及び前記電極の端面と概略一致する。
【0030】
また、上記各構成において、前記ドレイン領域または前記ソース領域の一つの端面は、
前記非晶質半導体膜の端面及び前記電極の端面と概略一致し、もう一つの端面は、前記画
素電極の端面及び前記電極のもう一つの端面と概略一致する。
【0031】
また、上記各構成において、前記ソース領域及び前記ドレイン領域は、n型を付与する
不純物元素を含む非晶質半導体膜からなることを特徴としている。
する液晶表示装置。
【0032】
また、上記各構成において、前記絶縁膜、前記非晶質半導体膜、前記ソース領域、及び
前記ドレイン領域は、大気に曝されることなく連続的に形成されたことを特徴としている

【0033】
また、上記各構成において、前記絶縁膜、前記非晶質半導体膜、前記ソース領域、また
は前記ドレイン領域は、スパッタ法により形成されたことを特徴としている。
【0034】
また、上記各構成において、前記絶縁膜、前記非晶質半導体膜、前記ソース領域、また
は前記ドレイン領域は、プラズマCVD法により形成されたことを特徴としている。
【0035】
また、上記各構成において、前記ソース領域及び前記ドレイン領域は、前記非晶質半導
体膜及び前記電極と同一のマスクにより形成されたことを特徴としている。
【0036】
また、上記各構成において、前記ソース領域及び前記ドレイン領域は、前記ソース配線
と同一のマスクにより形成されたことを特徴としている。
【0037】
また、上記各構成において、前記ソース領域及び前記ドレイン領域は、前記ソース配線
及び前記画素電極と同一のマスクにより形成されたことを特徴としている。
【0038】
また、上記各構成において、前記画素電極は前記絶縁膜と接していることを特徴として
いる。
【0039】
また、上記各構成において、前記非晶質半導体膜のうち、前記ソース領域及びドレイン
領域と接する領域における膜厚は、前記ソース領域と接する領域と前記ドレイン領域と接
する領域との間の領域における膜厚より厚いことを特徴としており、チャネルエッチ型の
TFTの活性層として機能する。
【0040】
また、上記各構成において、前記非晶質半導体膜のうち、前記ソース領域と接する領域と
前記ドレイン領域と接する領域との間の領域は、無機絶縁膜からなる前記ギャップ保持材
で覆われ保護されたことを特徴としている。
【0041】
また、上記構造を実現するための発明の構成は、第1のマスクで第1の基板上にゲート
配線を形成する第1工程と、 前記ゲート配線を覆う絶縁膜を形成する第2工程と、 前
記絶縁膜上に第1の非晶質半導体膜を形成する第3工程と、 前記第1の非晶質半導体膜
上にn型を付与する不純物元素を含む第2の半導体膜を形成する第4工程と、 前記第2
の非晶質半導体膜上に第1の導電膜を形成する第5工程と、 第2のマスクで前記第1の
非晶質半導体膜をパターニングし、前記第2のマスクで前記第2の非晶質半導体膜をパタ
ーニングし、前記第2のマスクで前記第1の導電膜をパターニングして前記第1の導電膜
からなる配線を形成する第6工程と、 前記配線と接して重なる第2の導電膜を形成する
第7工程と、 第3のマスクで前記第2の導電膜をパターニングし、前記第2の導電膜か
らなる画素電極を形成し、前記第3のマスクで前記配線をパターニングしてソース配線及
び電極を形成し、前記第3のマスクで前記第2の非晶質半導体膜をパターニングして前記
第2の非晶質半導体膜からなるソース領域及びドレイン領域を形成し、前記第3のマスク
で前記第1の非晶質半導体膜の一部除去を行う第8工程と、 前記画素電極上に配向膜を
形成する第9工程と、 前記配向膜上にギャップ保持材を形成する第10工程と、 前記
第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる第11工程と、 前記第1の基板と前記第2の
基板の間に液晶を注入する第12工程と、を有することを特徴とする液晶表示装置の作製
方法である。
【0042】
上記構成において、前記ギャップ保持材は、前記第1の基板と前記第2の基板との間隔
を一定に保つことを特徴としている。
する液晶表示装置の作製方法。
【0043】
また、上記構成において、前記ギャップ保持材の側面により前記液晶のプレチルト角を
制御して前記液晶を配向する。また、前記液晶のプレチルト角の制御を前記配向膜で行う
。前記配向膜は第1の基板または第2の基板の一方、あるいは両方に設ければよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、3回のフォトリソグラフィー工程により、3枚のフォトマスクを使用して
、逆スタガ型のnチャネル型TFTを有する画素TFT部、及び保持容量を形成し、さら
にラビング処理を行うことなく、1回のフォトリソグラフィー工程により、壁状スペーサ
を形成することによってセルギャップが均一で、液晶分子のスイッチング方向を制御した
広視野角表示のマルチドメイン垂直配向型の液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本願発明の断面図及び液晶分子の配向状態を示す図。
【図2】アクティブマトリクス基板の作製工程を示す断面図。
【図3】アクティブマトリクス基板の作製工程を示す断面図。
【図4】アクティブマトリクス基板の作製工程を示す上面図。
【図5】アクティブマトリクス基板の作製工程を示す上面図。
【図6】アクティブマトリクス基板の作製工程を示す上面図。
【図7】液晶表示パネルの画素部と入力端子部の配置を説明する上面図。
【図8】液晶表示パネルの実装構造を示す断面図。
【図9】入力端子部の上面図及び断面図。
【図10】製造装置の上面図。
【図11】製造装置の上面図。
【図12】液晶表示パネルの実装を示す図。
【図13】液晶表示パネルの実装構造を示す断面図。
【図14】本願発明の断面図及び液晶分子の配向状態を示す図。
【図15】本願発明の断面図及び液晶分子の配向状態を示す図。
【図16】本願発明の断面図及び液晶分子の配向状態を示す図。
【図17】本願発明の壁状スペーサの斜視図を示す図。
【図18】本願発明の壁状スペーサの上面図を示す図。
【図19】保護回路の上面図及び回路図。
【図20】電子機器の一例を示す図。
【図21】電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本願発明の実施形態について、以下に説明する。
【0047】
上記課題を解決するために、本発明では、チャネル・エッチ型のボトムゲートTFT構
造を採用し、ソース領域及びドレイン領域のパターニングと画素電極のパターニングを同
じフォトマスクで行うことを特徴とする。
【0048】
以下に本発明の作製方法を簡略に説明する。
【0049】
まず、第1のマスク(フォトマスク1枚目)でゲート配線102を形成する。
【0050】
次いで、絶縁膜(ゲート絶縁膜)104a、第1の非晶質半導体膜105、n型を付与
する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜106、及び第1の導電膜107を順次、積
層形成する。(図2(A))なお、非晶質半導体膜に代えて微結晶半導体膜を用いてもよ
いし、n型を付与する不純物元素を含む非晶質半導体膜に代えてn型を付与する不純物元
素を含む微結晶半導体膜を用いてもよい。さらに、これらの膜(104a、105、10
6、107)はスパッタ法やプラズマCVD法を用いて複数のチャンバー内または同一チ
ャンバー内で連続的に大気に曝すことなく形成することができる。大気に曝さないように
することで不純物の混入を防止できる。
【0051】
次いで、第2のマスク(フォトマスク2枚目)で上記第1の導電膜107をパターニン
グして第1の導電膜からなる配線(後にソース配線及び電極(ドレイン電極)となる)1
11を形成し、上記第2の非晶質半導体膜106をパターニングしてn型を付与する不純
物元素を含む第2の非晶質半導体膜110を形成し、上記第1の非晶質半導体膜105を
パターニングして第1の非晶質半導体膜109を形成する。(図2(B))
【0052】
その後、全面に第2の導電膜112を成膜する。(図2(D))なお、第2の導電膜1
12としては、透明導電膜を用いてもよいし、反射性を有する導電膜を用いてもよい。
【0053】
次いで、第3のマスク(フォトマスク3枚目)で上記第2の導電膜112をパターニン
グして第2の導電膜からなる画素電極119を形成し、上記配線をパターニングしてソー
ス配線117及び電極(ドレイン電極)118を形成し、n型を付与する不純物元素を含
む第2の非晶質半導体膜110をパターニングしてn型を付与する不純物元素を含む第2
の非晶質半導体膜からなるソース領域115及びドレイン領域116を形成し、上記第1
の非晶質半導体膜109を一部除去して第1の非晶質半導体膜114を形成する。(図3
(A))
【0054】
このような構成とすることで、画素TFT部の作製する際、フォトリソグラフィー技術
で使用するフォトマスクの数を3枚とすることができる。
【0055】
さらに、本発明では工程を増やすことなく、ラビング処理を行わずに液晶表示装置を作
製する。
【0056】
本発明は、図1に示すように、一対の基板(基板100と対向基板124)間の間隔を
一定に保つためのギャップ保持材を設ける。ここではギャップ保持材として、壁状スペー
サ121、122に傾斜した側面を持たせ、負の誘電性異方性を有する液晶のプレチルト
角を制御し、液晶を配向させる。
【0057】
本明細書では、上記壁状スペーサ121、122の断面形状は、例えば図17(a)また
は図17(b)とする。特に、図17(a)のようにテーパー角αをその断面である台形
の底面と側面とがなす角と定義する。本発明において、テーパー角αは、75.0°〜8
9.9°好ましくは82°〜87°の角度とすることが望ましい。
【0058】
図1中の液晶分子の配向は、電圧無印加時の概略図を示している。なお、黒く塗りつぶし
た部分は、対向基板に近い液晶分子の端部を示している。
【0059】
電圧無印加時には、液晶分子は、壁状スペーサの側面から規制力を受け、側面にほぼ平行
に配向し、あるプレチルト角を有して基板表面に垂直に配向するが、電圧印加時には液晶
分子は基板表面に平行に配向する。
【0060】
つまり、このテーパー角αの側面を備えた壁状スペーサを用いることにより、液晶分子の
スイッチングする方向を制御できる。
【0061】
また、上記壁状スペーサはフォトリソグラフィー法または印刷法により形成する。また、
上記壁状スペーサを形成する前または後に、垂直配向用の配向膜を形成する。
【0062】
また、上記壁状スペーサは基板100のみに設けてもよいし、あるいは対向基板124
のみに設けてもよい。また、上記壁状スペーサを基板100と対向基板124の両方に設
けてもよい。アクティブマトリクス基板作製時のフォトマスクの枚数を削減することを優
先するならば、印刷法による形成方法を用いるか、対向基板のみに設けることが好ましい
。対向基板に壁状スペーサを設けた液晶表示装置をノーマリーホワイトモードに適用した
場合には、壁状スペーサの周囲の配向乱れ部分や配向乱れによるしきい値電圧の不均一部
分は、表示認識者からは、壁状スペーサ自身により隠され、光漏れを低減することができ
る。よって、壁状スペーサによる光漏れを抑えることにより、コントラストの高い良好な
表示品位の液晶表示装置を得ることができる。
【0063】
上記壁状スペーサとしては、アクリル系、ポリイミド系、ポリイミドアミド系、エポキシ
系の少なくとも一つを主成分とする有機系樹脂材料、もしくは酸化珪素、窒化珪素、酸化
窒化珪素のいずれか一種類の材料あるいはこれらの積層膜からなる無機系材料を用いるこ
とができる。
【0064】
また、無機系材料、例えば窒化珪素を用いた壁状スペーサを上記チャネル・エッチ型のT
FT、特に非晶質半導体膜114が露呈している部分を覆うように配置すれば、保護膜と
しての効果が得られ、信頼性が向上する。
【0065】
また、ゲート配線やソース配線や容量配線等の配線及び電極の配置を適宜所定の位置に配
置して形成される凸凹部と、適宜所定の位置に配置された上記壁状スペーサとの両方によ
って、液晶のプレチルト角を制御し、液晶を配向させてもよい。
【0066】
本発明を用いた場合、静電破壊を引き起こすラビング処理に相当する配向処理を省くこ
とができ、また、壁状スペーサが基板間隔を保持する役割をもっているので、球状スペー
サ散布工程の省略が可能となり、生産性が向上する。さらに、基板上に形成された壁状ス
ペーサの均一性を検査するだけで、表示むらの発生を予測できる利点をも有している。
【0067】
また、上面から見た壁状スペーサの形状は、ストライプ状,T字状,はしご状が可能で
あるが、本実施形態は、これらの形状に限定されるものではない。
【0068】
以上の構成でなる本願発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行
うこととする。
【実施例1】
【0069】
本発明の実施例を図1〜図7、図9、及び図17を用いて説明する。本実施例は液晶表
示パネルの作製方法を示し、基板上に画素部のTFTを逆スタガ型で形成し、該TFTに
接続する保持容量を作製する方法について工程に従って詳細に説明する。また、同図には
該基板の端部に設けられ、他の基板に設けた回路の配線と電気的に接続するための端子部
の作製工程を同時に示す。
【0070】
図2(A)において、透光性を有する基板100にはコーニング社の#7059ガラス
や#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガ
ラスなどのガラス基板を用いることができる。その他に、石英基板、プラスチック基板な
どの透光性基板を使用することもできる。
【0071】
次いで、導電層を基板全面に形成した後、第1のフォトリソグラフィー工程を行い、レ
ジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して配線及び電極(ゲート電
極を含むゲート配線102、容量配線103、及び端子101)を形成する。このとき少
なくともゲート電極102の端部にテーパー部が形成されるようにエッチングする。この
段階での上面図を図4に示した。
【0072】
ゲート電極を含むゲート配線102と容量配線103、端子部の端子101は、アルミ
ニウム(Al)や銅(Cu)などの低抵抗導電性材料で形成することが望ましいが、Al
単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので耐熱性導電性材料と組み
合わせて形成する。また、低抵抗導電性材料としてAgPdCu合金を用いてもよい。耐
熱性導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モ
リブデン(Mo)、クロム(Cr)
、Nd(ネオジム)から選ばれた元素、または前記元素を成分とする合金か、前記元素を
組み合わせた合金膜、または前記元素を成分とする窒化物で形成する。
例えば、TiとCuの積層、TaNとCuとの積層が挙げられる。また、Ti、Si、C
r、Nd等の耐熱性導電性材料と組み合わせて形成した場合、平坦性が向上するため好ま
しい。また、このような耐熱性導電性材料のみ、例えばMoとWを組み合わせて形成して
も良い。
【0073】
液晶表示装置を実現するためには、ゲート電極およびゲート配線は耐熱性導電性材料と
低抵抗導電性材料とを組み合わせて形成することが望ましい。この時の適した組み合わせ
を説明する。
【0074】
画面サイズが5型程度までなら耐熱性導電性材料の窒化物から成る導電層(A)と耐熱
性導電性材料から成る導電層(B)とを積層したニ層構造とする。導電層(B)はAl、
Cu、Ta、Ti、W、Nd、Crから選ばれた元素、または前記元素を成分とする合金
か、前記元素を組み合わせた合金膜で形成すれば良く、導電層(A)は窒化タンタル(T
aN)膜、窒化タングステン(WN)膜、窒化チタン(TiN)膜などで形成する。例え
ば、導電層(A)としてCr、導電層(B)としてNdを含有するAlとを積層したニ層
構造とすることが好ましい。導電層(A)は10〜100nm(好ましくは20〜50n
m)とし、導電層(B)は200〜400nm(好ましくは250〜350nm)とする

【0075】
一方、大画面に適用するには耐熱性導電性材料から成る導電層(A)と低抵抗導電性材
料から成る導電層(B)と耐熱性導電性材料から成る導電層(C)とを積層した三層構造
とすることが好ましい。低抵抗導電性材料から成る導電層(B)は、アルミニウム(Al
)を成分とする材料で形成し、純Alの他に、0.01〜5atomic%のスカンジウム(S
c)、Ti、Nd、シリコン(Si)等を含有するAlを使用する。導電層(C)は導電
層(B)のAlにヒロックが発生するのを防ぐ効果がある。導電層(A)は10〜100
nm(好ましくは20〜50nm)とし、導電層(B)は200〜400nm(好ましく
は250〜350nm)とし、導電層(C)は10〜100nm(好ましくは20〜50
nm)とする。本実施例では、Tiをターゲットとしたスパッタ法により導電層(A)を
Ti膜で50nmの厚さに形成し、Alをターゲットとしたスパッタ法により導電層(B)
をAl膜で200nmの厚さに形成し、Tiをターゲットとしたスパッタ法により導電層(
C)をTi膜で50nmの厚さに形成した。
【0076】
次いで、絶縁膜104aを全面に成膜する。絶縁膜104aはスパッタ法を用い、膜厚
を50〜200nmとする。
【0077】
例えば、絶縁膜104aとして窒化シリコン膜を用い、150nmの厚さで形成する。
勿論、ゲート絶縁膜はこのような窒化シリコン膜に限定されるものでなく、酸化シリコン
膜、酸化窒化シリコン膜、酸化タンタル膜などの他の絶縁膜を用い、これらの材料から成
る単層または積層構造として形成しても良い。例えば、下層を窒化シリコン膜とし、上層
を酸化シリコン膜とする積層構造としても良い。
【0078】
次に、絶縁膜104a上に50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さ
で第1の非晶質半導体膜105を、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で全
面に形成する(図示せず)。代表的には、シリコンのターゲットを用いたスパッタ法で非
晶質シリコン(a−Si)膜を100nmの厚さに形成する。その他、この第1の非晶質
半導体膜には、微結晶半導体膜、非晶質シリコンゲルマニウム膜(SiXGe(1-X)、(0
<X<1))、非晶質シリコンカーバイト(SiXY)などの非晶質構造を有する化合物
半導体膜を適用することも可能である。
【0079】
次に、一導電型(n型またはp型)の不純物元素を含有する第2の非晶質半導体膜を2
0〜80nmの厚さで形成する。一導電型(n型またはp型)を付与する不純物元素を含
む第2の非晶質半導体膜は、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で全面に形
成する。本実施例では、リン(P)が添加されたシリコンターゲットを用いてn型の不純
物元素を含有する第2の非晶質半導体膜106を形成した。あるいは、シリコンターゲッ
トを用い、リンを含む雰囲気中でスパッタリングを行い成膜してもよい。或いは、n型を
付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜を水素化微結晶シリコン膜(μc−Si
:H)で形成しても良い。
【0080】
次に、金属材料からなる第1の導電膜107をスパッタ法や真空蒸着法で形成する。第
1の導電膜107の材料としては、第2の非晶質半導体膜106とオーミックコンタクト
のとれる金属材料であれば特に限定されず、Al、Cr、Ta、Tiから選ばれた元素、
または前記元素を成分とする合金か、前記元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。本
実施例ではスパッタ法を用い、第1の導電膜107として、50〜150nmの厚さで形成
したTi膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム(Al)を300〜400nmの厚さで
形成し、さらにその上にTi膜を100〜150nmの厚さで形成した。(図2(A))
【0081】
絶縁膜104a、第1の非晶質半導体膜105、n型を付与する不純物元素を含む第2
の非晶質半導体膜106、及び第1の導電膜107はいずれも公知の方法で作製するもの
であり、プラズマCVD法やスパッタ法で作製することができる。本実施例では、これら
の膜(104a、105、106、107)をスパッタ法で、ターゲット及びスパッタガ
スを適宣切り替えることにより連続的に形成した。この時、スパッタ装置において、同一
の反応室または複数の反応室を用い、これらの膜を大気に晒すことなく連続して積層させ
ることが好ましい。このように、大気に曝さないことで不純物の混入を防止することがで
きる。
【0082】
次に、第2のフォトリソグラフィー工程を行い、レジストマスク108を形成し、エッ
チングにより不要な部分を除去して配線(後の工程によりソース配線及びドレイン電極と
なる)111を形成する。この際のエッチング方法としてウエットエッチングまたはドラ
イエッチングを用いる。この時、第1の導電膜107、n型を付与する不純物元素を含む
第2の非晶質半導体膜106、及び第1の非晶質半導体膜105が順次、レジストマスク
108をマスクとしてエッチングされ、画素TFT部においては、第1の導電膜からなる
配線111、n型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜110、及び第1の
非晶質半導体膜109がそれぞれ形成される。本実施例では、SiCl4とCl2とBCl
3の混合ガスを反応ガスとしたドライエッチングにより、Ti膜とAl膜とTi膜を順次
積層した第1の導電膜107をエッチングし、反応ガスをCF4とO2の混合ガスに代えて
第1の非晶質半導体膜105及びn型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜
106を選択的に除去した。(図2(B))また、容量部においては容量配線103と絶
縁膜104aを残し、同様に端子部においても、端子101と絶縁膜104aが残る。
【0083】
次に、レジストマスク108を除去した後、シャドーマスクを用いてレジストマスクを
形成し、端子部のパッド部分を覆っている絶縁膜104aを選択的に除去して絶縁膜10
4bを形成した後、レジストマスクを除去する。(図2(C)
)また、シャドーマスクに代えてスクリーン印刷法によりレジストマスクを形成してエッ
チングマスクとしてもよい。
【0084】
次に、全面に透明導電膜からなる第2の導電膜112を成膜する。(図2(D))また
、この時の上面図を図5に示す。ただし、簡略化のため図5では全面に成膜された第2の
導電膜112は図示していない。
【0085】
この第2の導電膜112の材料は、酸化インジウム(In23)や酸化インジウム酸化
スズ合金(In23―SnO2、ITOと略記する)などをスパッタ法や真空蒸着法など
を用いて形成する。このような材料のエッチング処理は塩酸系の溶液により行う。しかし
、特にITOのエッチングは残渣が発生しやすいので、エッチング加工性を改善するため
に酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)を用いても良い。酸化インジウム酸
化亜鉛合金は表面平滑性に優れ、ITOと比較して熱安定性にも優れているので、第2の
導電膜112と接触する配線111をAl膜で形成しても腐蝕反応をすることを防止でき
る。同様に、酸化亜鉛(ZnO)も適した材料であり、さらに可視光の透過率や導電率を
高めるためにガリウム(Ga)を添加した酸化亜鉛(ZnO:Ga)などを用いることが
できる。
【0086】
次に、第3のフォトリソグラフィー工程を行い、レジストマスク113a〜113cを
形成し、エッチングにより不要な部分を除去して第1の非晶質半導体膜114、ソース領
域115及びドレイン領域116、ソース電極117及びドレイン電極118、画素電極
119を形成する。(図3(A))
【0087】
この第3のフォトリソグラフィー工程は、第2の導電膜112をパターニングすると同
時に、配線111とn型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜110と第1
の非晶質半導体膜109の一部をエッチングにより除去して開孔を形成する。本実施例で
は、まず、ITOからなる第2の導電膜112を硝酸と塩酸の混合溶液または塩化系第2
鉄系の溶液を用いたウエットエッチングにより選択的に除去し、ウエットエッチングによ
り配線111を選択的に除去した後、ドライエッチングによりn型を付与する不純物元素
を含む第2の非晶質半導体膜110と非晶質半導体膜109の一部をエッチングした。な
お、本実施例では、ウエットエッチングとドライエッチングとを用いたが、実施者が反応
ガスを適宜選択してドライエッチングのみで行ってもよいし、実施者が反応溶液を適宜選
択してウエットエッチングのみで行ってもよい。
【0088】
また、開孔の底部は第1の非晶質半導体膜に達しており、凹部を有する第1の非晶質半
導体膜114が形成される。この開孔によって配線111はソース配線117とドレイン
電極118に分離され、n型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜110は
ソース領域115とドレイン領域116に分離される。また、ソース配線と接する第2の
導電膜120は、ソース配線を覆い、後の製造工程、特にラビング処理で生じる静電気を
防止する役目を果たす。本実施例では、ソース配線上に第2の導電膜120を形成した例
を示したが、第2の導電膜120を除去してもよい。
【0089】
また、この第3のフォトリソグラフィー工程において、容量部における絶縁膜104b
を誘電体として、容量配線103と画素電極119とで保持容量が形成される。
【0090】
また、この第3のフォトリソグラフィー工程において、レジストマスク113cで覆い
端子部に形成された透明導電膜からなる第2の導電膜を残す。
【0091】
次に、レジストマスク113a〜113cを除去した。この状態の断面図を図3(B)
に示した。なお、図6は1つの画素の上面図であり、A−A'線 及びB−B'線に沿った
断面図がそれぞれ図3(B)に相当する。
【0092】
また、図9(A)は、この状態でのゲート配線端子部501、及びソース配線端子部5
02の上面図をそれぞれ図示している。なお、図1〜図3と対応する箇所には同じ符号を
用いている。また、図9(B)は図9(A)中のE−E'線 及びF−F'線に沿った断面
図に相当する。図9(A)において、透明導電膜からなる503は入力端子として機能す
る接続用の電極である。また、図9(B)において、504は絶縁膜(104bから延在
する)、505は第1の非晶質半導体膜(114から延在する)、506はn型を付与す
る不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜(115から延在する)である。
【0093】
こうして3回のフォトリソグラフィー工程により、3枚のフォトマスクを使用して、逆
スタガ型のnチャネル型TFT201を有する画素TFT部、保持容量202を完成させ
ることができる。そして、これらを個々の画素に対応してマトリクス状に配置して画素部
を構成することによりアクティブマトリクス型の電気光学装置を作製するための一方の基
板とすることができる。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板
と呼ぶ。
【0094】
次ぎにアクティブマトリクス基板上に配向膜131、132を形成する。ここではJA
LS−2021(JSR社製)を印刷法により形成し、焼成した。
【0095】
配向膜形成後、基板間隔を保つギャップ保持材、本実施例では図17(a)に示したよう
な壁状スペーサ127を第4のフォトリソグラフィー工程を行って形成した。また、ネガ
型樹脂を基板背面から露光する工程を用いてもよい。また、ドライエッチング法やプラズ
マエッチング法を用いても、前述の形状を有する壁状スペーサの形成が可能である。
【0096】
まず、感光性アクリル材料を主成分とした材料のNN700(JSR製)をスピナーで
基板全面に4.2μmの膜厚で成膜した。形成の容易さからアクリル樹脂を用いた。本発
明で用いたアクリル樹脂NN700の誘電率は、3.4である。次いで、レジストマスク
を形成し、エッチングにより不要な部分を除去して図17(a)に示したような形状の壁
状スペーサを形成する。頭頂部を平坦な形状となるようにした場合、液晶表示パネルとし
ての機械的な強度を確保できた。SEM観察を行ったところ、この壁状スペーサの高さは
4μmであった。なお、壁状スペーサのテーパー角は、75.0°〜89.9°好ましく
は82°〜87°の角度を有することが望ましい。
【0097】
次いで、アクティブマトリクス基板と、上記壁状スペーサと同様に形成された壁状スペ
ーサ122が設けられた対向基板124とを壁状スペーサ121、122で基板間隔を保
持しながらシール剤により貼り合わせた後、アクティブマトリクス基板と対向基板の間に
液晶材料125を注入する。液晶材料125は負の誘電性異方性を有する液晶材料(n型
液晶)、本実施例ではMLC−2038(メルク製)を用いる。プレチルト角を測定した
ところ、プレチルト角は2〜5°の範囲内に制御することができ、表示領域では3°でほ
ぼ均一となった。よって、NN700の表面付近では液晶分子の長軸方向をその表面に対
して概略平行となるような配向規制力をしている。
【0098】
次いで、液晶材料を注入した後、注入口は樹脂材料で封止する。
【0099】
以上の工程により、図1で示すような状態が得られる。なお、図1では簡略化のため、
3つの壁状スペーサとその間の液晶分子の状態のみを示した。
【0100】
この状態において電圧無印加時は、壁状スペーサ121、122の側面の影響を受けて、
その側面とほぼ平行に液晶分子が配列する。そして、側面付近以外の液晶分子もこれらの
液晶分子の影響を受ける。こうして、画素全体にわたって数度のプレチルト角を有する安
定した配向が得られる。液晶のしきい値以上の電圧を印加することにより、このプレチル
ト角で決定される傾斜方向に一様な動作をする。すなわち、壁状スペーサ121、122
を用いることにより、表示部全体の配向が制御される。
【0101】
また、両方の基板に設けられた壁状スペーサ121、122の上面図を図18(a)に
示した。点線X―X’で切断した面が図1の断面図に対応している。
【0102】
次に、端子部の入力端子101にフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Cir
cuit:FPC)を接続する。FPCはポリイミドなどの有機樹脂フィルム129に銅配線
128が形成されていて、異方性導電性接着剤で入力端子を覆う透明導電膜と接続する。
異方性導電性接着剤は接着剤126と、その中に混入され金などがメッキされた数十〜数
百μm径の導電性表面を有する粒子127により構成され、この粒子127が入力端子1
01上の透明導電膜と銅配線128とに接触することによりこの部分で電気的な接触が形
成される。さらに、この部分の機械的強度を高めるために樹脂層130を設ける。(図3
(C))
【0103】
図7はアクティブマトリクス基板の画素部と端子部の配置を説明する図である。基板2
10上には画素部211が設けられ、画素部にはゲート配線208とソース配線207が
交差して形成され、これに接続するnチャネル型TFT201が各画素に対応して設けら
れている。nチャネル型TFT201のドレイン側には画素電極119及び保持容量20
2が接続し、保持容量202のもう一方の端子は容量配線209に接続している。nチャ
ネル型TFT201と保持容量202の構造は図3(B)で示すnチャネル型TFT20
1と保持容量202と同じものとする。
【0104】
基板の一方の端部には、走査信号を入力する入力端子部205が形成され、接続配線2
06によってゲート配線208に接続している。また、他の端部には画像信号を入力する
入力端子部203が形成され、接続配線204によってソース配線207に接続している
。ゲート配線208、ソース配線207、容量配線209は画素密度に応じて複数本設け
られるものである。また、画像信号を入力する入力端子部212と接続配線213を設け
、入力端子部203と交互にソース配線と接続させても良い。入力端子部203、205
、212はそれぞれ任意な数で設ければ良いものとし、実施者が適宣決定すれば良い。
【0105】
こうして本実施例では、4回のフォトリソグラフィー工程により、4枚のフォトマスク
を使用して、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルを作製することができる。
【0106】
本実施例では、壁状スペーサを用いたが、柱スペーサを用いてその周辺をマルチドメイ
ン配向させてもよい。
【実施例2】
【0107】
図8は液晶表示パネルの実装方法の一例である。液晶表示パネルには、TFTが作製さ
れた基板301の端部には、入力端子部302が形成され、これは実施例1で示したよう
にゲート配線と同じ材料で形成される端子303で形成される。そして対向基板304と
スペーサ306を内包するシール剤305により貼り合わされ、さらに偏光板307、3
08、カラーフィルタ(図示しない)が設けられている。そして、スペーサ322によっ
て筐体321に固定される。
【0108】
なお、実施例1により得られる非晶質シリコン膜で活性層を形成したTFTは、電界効
果移動度が小さく1cm2/Vsec程度しか得られていない。そのために、画像表示を行うため
の駆動回路はICチップで形成され、TAB(tape automated bonding)方式やCOG(
chip on glass)方式で実装されている。本実施例では、ICチップ313に駆動回路を
形成し、TAB方式で実装する例を示す。これにはフレキシブルプリント配線板(Flexib
le Printed Circuit:FPC)が用いられ、FPCはポリイミドなどの有機樹脂フィルム
309に銅配線310が形成されていて、異方性導電性接着剤で入力端子302と接続す
る。入力端子は配線303上に接して設けられた透明導電膜である。異方性導電性接着剤
は接着剤311と、その中に混入され金などがメッキされた数十〜数百μm径の導電性表
面を有する粒子312により構成され、この粒子312が入力端子302と銅配線310
とに接触することにより、この部分で電気的な接触が形成される。そして、この部分の機
械的強度を高めるために樹脂層318が設けられている。
【0109】
ICチップ313はバンプ314で銅配線310に接続し、樹脂材料315で封止され
ている。そして銅配線310は接続端子316でその他の信号処理回路、増幅回路、電源
回路などが形成されたプリント基板317に接続されている。
そして、透過型の液晶表示パネルでは対向基板304に光源319と光導光体320が設
けられてバックライトとして使用される。
【0110】
こうして、実施例1の液晶表示パネルを用いることにより、ギャップムラの少ない広視
野角表示のマルチドメイン垂直配向型の液晶表示装置を得ることができた。
【実施例3】
【0111】
本実施例では、保護膜を形成して液晶表示パネルを作成した例を図14に示す。なお、
本実施例は、実施例1の図3(B)の状態まで同一であるので異なる点について以下に説
明する。また、図3(B)に対応する箇所は同一の符号を用いた。
【0112】
まず、実施例1に従って図3(B)の状態を得た後、薄い無機絶縁膜を全面に形成する
。この薄い無機絶縁膜としては、スパッタ法またはプラズマCVD法で形成する酸化シリ
コン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化タンタル膜などの無機絶縁膜を用い
、これらの材料から成る単層または積層構造として形成しても良い。
【0113】
次いで、第4のフォトリソグラフィー工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチン
グにより不要な部分を除去して、画素TFT部においては絶縁膜402、端子部において
は無機絶縁膜401をそれぞれ形成する。この無機絶縁膜401、402は、パッシベー
ション膜として機能する。また、端子部においては、第4のフォトリソグラフィー工程に
より薄い無機絶縁膜401を除去して、端子部の端子101上に形成された透明導電膜か
らなる第2の導電膜を露呈させる。
【0114】
以下の工程は、実施例1に従えば、図14に示す状態を得ることができる。ただし、実
施例1中の壁状スペーサ作製時の第4のフォトリソグラフィー工程は、第5のフォトリソ
グラフィー工程と呼ぶ。
【0115】
こうして本実施例では、5回のフォトリソグラフィー工程により、5枚のフォトマスク
を使用して、無機絶縁膜で保護された逆スタガ型のnチャネル型TFT、保持容量を完成
させることができる。そして、これらを個々の画素に対応してマトリクス状に配置した画
素部を備えた基板を一方の基板とするアクティブマトリクス型の液晶表示パネルができる

【0116】
なお、本実施例は、実施例1または実施例2の構成と自由に組み合わせることが可能で
ある。
【0117】
実施例1では、絶縁膜、第1の非晶質半導体膜、n型を付与する不純物元素を含む第2
の非晶質半導体膜、及び第1の導電膜をスパッタ法で積層形成した例を示したが、本実施
例では、プラズマCVD法を用いた例を示す。
【0118】
本実施例では、絶縁膜、第1の非晶質半導体膜、及びn型を付与する不純物元素を含む
第2の非晶質半導体膜をプラズマCVD法で形成した。
【0119】
本実施例では、絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を用い、プラズマCVD法により15
0nmの厚さで形成する。この時、プラズマCVD装置において、電源周波数13〜70
MHz、好ましくは27〜60MHzで行えばよい。電源周波数27〜60MHzを使う
ことにより緻密な絶縁膜を形成することができ、ゲート絶縁膜としての耐圧を高めること
ができる。また、SiH4とNH3にN2Oを添加させて作製された酸化窒化シリコン膜は
、膜中の固定電荷密度が低減されているので、この用途に対して好ましい材料となる。勿
論、ゲート絶縁膜はこのような酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、酸化シリコ
ン膜、窒化シリコン膜、酸化タンタル膜などの他の絶縁膜を用い、これらの材料から成る
単層または積層構造として形成しても良い。また、下層を窒化シリコン膜とし、上層を酸
化シリコン膜とする積層構造としても良い。
【0120】
例えば、酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法で、オルトケイ酸テトラ
エチル(Tetraethyl Orthosilicate:TEOS)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基
板温度250〜350℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2
放電させて形成することができる。このようにして作製された酸化シリコン膜は、その後
300〜400℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる

【0121】
また、第1の非晶質半導体膜として、代表的には、プラズマCVD法で水素化非晶質シ
リコン(a−Si:H)膜を100nmの厚さに形成する。この時、プラズマCVD装置
において、電源周波数13〜70MHz、好ましくは27〜60MHzで行えばよい。電
源周波数27〜60MHzを使うことにより成膜速度を向上することが可能となり、成膜
された膜は、欠陥密度の少ないa−Si膜となるため好ましい。その他、この第1の非晶
質半導体膜には、微結晶半導体膜、非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を有
する化合物半導体膜を適用することも可能である。
【0122】
また、上記絶縁膜及び上記第1の非晶質半導体膜のプラズマCVD法による成膜におい
て、100〜100kHzのパルス変調放電を行えば、プラズマCVD法の気相反応によ
るパーティクルの発生を防ぐことができ、成膜においてピンホールの発生を防ぐことがで
きるため好ましい。
【0123】
また、本実施例では、一導電型の不純物元素を含有する半導体膜として、n型を付与す
る不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜を20〜80nmの厚さで形成する。例えば、
n型の不純物元素を含有するa−Si:H膜を形成すれば良く、そのためにシラン(Si
4)に対して0.1〜5%の濃度でフォスフィン(PH3)を添加する。或いは、n型を
付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜106に代えて水素化微結晶シリコン膜
(μc−Si:H)を用いても良い。
【0124】
これらの膜は、反応ガスを適宣切り替えることにより、連続的に形成することができる
。また、プラズマCVD装置において、同一の反応室または複数の反応室を用い、これら
の膜を大気に晒すことなく連続して積層させることもできる。
このように、大気に曝さないで連続成膜することで特に、第1の非晶質半導体膜への不純
物の混入を防止することができる。
【0125】
なお、本実施例は、実施例1乃至3のいずれか一と組み合わせることが可能である。
【実施例4】
【0126】
実施例1または実施例4では、絶縁膜、第1の非晶質半導体膜、n型を付与する不純物
元素を含む第2の非晶質半導体膜、第1の導電膜を順次、連続的に積層する例を示した。
このように連続的に成膜する場合において使用する複数のチャンバーを備えた装置の一例
を図10に示した。
【0127】
図10に本実施例で示す装置(連続成膜システム)の上面からみた概要を示す。図10
において、10〜15が気密性を有するチャンバーである。各チャンバーには、真空排気
ポンプ、不活性ガス導入系が配置されている。
【0128】
10、15で示されるチャンバーは、試料(処理基板)30をシステムに搬入するため
のロードロック室である。11は絶縁膜104を成膜するための第1のチャンバーである
。12は第1の非晶質半導体膜105を成膜するための第2のチャンバーである。13は
n型を付与する第2の非晶質半導体膜106を成膜するための第3のチャンバーである。
14は第1の導電膜107を成膜するための第4のチャンバーである。また、20は各チ
ャンバーに対して共通に配置された試料の共通室である。
【0129】
以下に動作の一例を示す。
【0130】
最初、全てのチャンバーは、一度高真空状態に真空引きされた後、さらに不活性ガス、
ここでは窒素によりパージされている状態(常圧)とする。また、全てのゲート弁22〜
27を閉鎖した状態とする。
【0131】
まず、処理基板は多数枚が収納されたカセット28ごとロードロック室10に搬入され
る。カセットの搬入後、図示しないロードロック室の扉を閉鎖する。この状態において、
ゲート弁22を開けてカセットから処理基板30を1枚取り出し、ロボットアーム21に
よって共通室20に取り出す。この際、共通室において位置合わせが行われる。なお、こ
の基板30は実施例1に従って得られた配線101、102、103が形成されたものを
用いた。
【0132】
ここでゲート弁22を閉鎖し、次いでゲート弁23を開ける。そして第1のチャンバー
11へ処理基板30を移送する。第1のチャンバー内では150℃から300℃の温度で
成膜処理を行い、絶縁膜104を得る。なお、絶縁膜としては、窒化珪素膜、酸化珪素膜
、窒化酸化珪素膜、またはこれらの積層膜等を使用することができる。本実施例では単層
の窒化珪素膜を採用しているが、二層または三層以上の積層構造としてもよい。なお、こ
こではプラズマCVD法が可能なチャンバーを用いたが、ターゲットを用いたスパッタ法
が可能なチャンバーを用いても良い。
【0133】
絶縁膜の成膜終了後、処理基板はロボットアームによって共通室に引き出され、第2の
チャンバー12に移送される。第2のチャンバー内では第1のチャンバーと同様に150
℃〜300℃の温度で成膜処理を行い、プラズマCVD法で第1の非晶質半導体膜105
を得る。なお、第1の非晶質半導体膜としては、微結晶半導体膜、非晶質ゲルマニウム膜
、非晶質シリコンゲルマニウム膜、またはこれらの積層膜等を使用することができる。ま
た、第1の非晶質半導体膜の形成温度を350℃〜500℃として水素濃度を低減するた
めの熱処理を省略してもよい。なお、ここではプラズマCVD法が可能なチャンバーを用
いたが、ターゲットを用いたスパッタ法が可能なチャンバーを用いても良い。
【0134】
第1の非晶質半導体膜の成膜終了後、処理基板は共通室に引き出され、第3のチャンバ
ー13に移送される。第3のチャンバー内では第2のチャンバーと同様に150℃〜30
0℃の温度で成膜処理を行い、プラズマCVD法でn型を付与する不純物元素(Pまたは
As)を含む第2の非晶質半導体膜106を得る。なお、ここではプラズマCVD法が可
能なチャンバーを用いたが、ターゲットを用いたスパッタ法が可能なチャンバーを用いて
も良い。
【0135】
n型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜の成膜終了後、処理基板は共通
室に引き出され、第4のチャンバー14に移送される。第4のチャンバー内では金属ター
ゲットを用いたスパッタ法で第1の導電膜107を得る。
【0136】
このようにして四層が連続的に成膜された被処理基板はロボットアームによってロード
ロック室15に移送されカセット29に収納される。
【0137】
なお、図10に示した装置は一例に過ぎないことはいうまでもない。また、本実施例は
実施例1乃至4のいずれか一と自由に組み合わせることが必要である。
【実施例5】
【0138】
実施例5では、複数のチャンバーを用いて連続的に積層する例を示したが、本実施例で
は図11に示した装置を用いて一つのチャンバー内で高真空を保ったまま連続的に積層し
た。
【0139】
本実施例では図11に示した装置システムを用いた。図11において、40は処理基板
、50は共通室、44、46はロードロック室、45はチャンバー、42、43はカセッ
トである。本実施例では基板搬送時に生じる汚染を防ぐために同一チャンバーで積層形成
した。
【0140】
本実施例は実施例1乃至4のいずれか一と自由に組み合わせることができる。
【0141】
ただし、実施例1に適用する場合には、チャンバー45に複数のターゲットを用意し、
順次、反応ガスを入れ替えて絶縁膜104、第1の非晶質半導体膜105、n型を付与す
る不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜106、第1の導電膜107を積層形成すれば
よい。
【0142】
また、実施例4に適用する場合には、順次、反応ガスを入れ替えて絶縁膜104、第1
の非晶質半導体膜105、n型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜106
を積層形成すればよい。
【実施例6】
【0143】
実施例1では、n型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜をスパッタ法で形
成した例を示したが、本実施例では、プラズマCVD法で形成する例を示す。なお、本実
施例はn型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜の形成方法以外は実施例1
と同一であるため異なる点についてのみ以下に述べる。
【0144】
プラズマCVD法を用い、反応ガスとしてシラン(SiH4)に対して0.1〜5%の
濃度でフォスフィン(PH3)を添加すれば、n型を付与する不純物元素を含む第2の非
晶質半導体膜を得ることができる。
【実施例7】
【0145】
実施例7では、n型を付与する不純物元素を含む第2の非晶質半導体膜をプラズマCV
D法で形成した例を示したが、本実施例では、n型を付与する不純物元素を含む微結晶半
導体膜を用いた例を示す。
【0146】
形成温度を80〜300℃、好ましくは140〜200℃とし、水素で希釈したシラン
ガス(SiH4:H2=1:10〜100)とフォスフィン(PH3)との混合ガスを反応
ガスとし、ガス圧を0.1〜10Torr、放電電力を10〜300mW/cm2とする
ことで微結晶珪素膜を得ることができる。また、この微結晶珪素膜成膜後にリンをプラズ
マドーピングして形成してもよい。
【実施例8】
【0147】
図12はCOG方式を用いて、電気光学装置の組み立てる様子を模式的に示す図である
。第1の基板には画素領域803、外部入出力端子804、接続配線805が形成されて
いる。点線で囲まれた領域は、走査線側のICチップ貼り合わせ領域801とデータ線側
のICチップ貼り合わせ領域802である。第2の基板808には対向電極809が形成
され、シール材810で第1の基板800と貼り合わせる。シール材810の内側には液
晶が封入され液晶層811を形成する。第1の基板と第2の基板とは所定の間隔を持って
貼り合わせるが、ネマチック液晶の場合には3〜8μm、スメチック液晶の場合には1〜
4μmとする。
【0148】
ICチップ806、807は、データ線側と走査線側とで回路構成が異なる。ICチップ
は第1の基板に実装する。外部入出力端子804には、外部から電源及び制御信号を入力
するためのFPC(フレキシブルプリント配線板:Flexible Printed Circuit)812を
貼り付ける。FPC812の接着強度を高めるために補強板813を設けても良い。こう
して電気光学装置を完成させることができる。ICチップは第1の基板に実装する前に電
気検査を行えば電気光学装置の最終工程での歩留まりを向上させることができ、また、信
頼性を高めることができる。
【0149】
また、ICチップを第1の基板上に実装する方法は、異方性導電材を用いた接続方法や
ワイヤボンディング方式などを採用することができる。図13にその一例を示す。図13
(A)は第1の基板901にICチップ908が異方性導電材を用いて実装する例を示し
ている。第1の基板901上には画素領域902、引出線906、接続配線及び入出力端
子907が設けられている。第2の基板はシール材904で第1の基板901と接着され
ており、その間に液晶層905が設けられている。
【0150】
また、接続配線及び入出力端子907の一方の端にはFPC912が異方性導電材で接
着されている。異方性導電材は樹脂915と表面にAuなどがメッキされた数十〜数百μ
m径の導電性粒子914から成り、導電性粒子914により接続配線及び入出力端子90
7とFPC912に形成された配線913とが電気的に接続されている。ICチップ90
8も同様に異方性導電材で第1の基板に接着され、樹脂911中に混入された導電性粒子
910により、ICチップ908に設けられた入出力端子909と引出線906または接
続配線及び入出力端子907と電気的に接続されている。
【0151】
また、図13(B)で示すように第1の基板にICチップを接着材916で固定して、
Auワイヤ917によりICチップの入出力端子と引出線または接続配線とを接続しても
良い。そして樹脂918で封止する。
【0152】
ICチップの実装方法は図12及び図13を基にした方法に限定されるものではなく、
ここで説明した以外にも公知のCOG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法
を用いることが可能である。
【0153】
本実施例は実施例1、3乃至8のいずれか一と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例9】
【0154】
本実施例は、基板としてプラスチック基板(或いはプラスチックフィルム)を用いた例
を示す。なお、本実施例は基板としてプラスチック基板を用いること以外は実施例1とほ
ぼ同一であるため異なる点についてのみ以下に述べる。
【0155】
プラスチック基板の材料としてはPES(ポリエチレンサルファイル)、PC(ポリカ
ーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)もしくはPEN(ポリエチレンナ
フタレート)を用いることができる。
【0156】
プラスチック基板を用いて実施例1に従って作製すればアクティブマトリクス基板が完
成する。ただし、絶縁膜、第1の非晶質半導体膜、及びn型を付与する不純物元素を含む
第2の非晶質半導体膜は、成膜温度が比較的低温であるスパッタ法で形成することが望ま
しい。
【0157】
プラスチック基板上に特性の良好なTFTを設けることができるとともに、さらなる表
示装置の軽量化を図ることができる。また、基板がプラスチックであるため、フレキシブ
ルな電気光学装置にすることも可能である。また、組み立てが容易となる。
【0158】
なお、本実施例は、実施例1〜3、または実施例9のいずれか一と自由に組合せること
ができる。
【実施例10】
【0159】
実施例1では、基板100と対向基板124との両方に壁状スペーサをそれぞれ形成し
た例を示したが、本実施例では、壁状スペーサを対向基板のみに形成した例を図15に示
す。なお、本実施例は壁状スペーサ1501を対向基板124のみに形成することを除い
ては、実施例1と同じであるため異なる点についてのみ説明する。
【0160】
本実施例では、3回のフォトリソグラフィー工程により、3枚のフォトマスクを使用し
て、逆スタガ型のnチャネル型TFT、保持容量を完成させることができる。そして、こ
れらを個々の画素に対応してマトリクス状に配置した画素部を備えた基板を一方の基板と
するアクティブマトリクス型の液晶表示パネルができる。
【0161】
対向基板に設けられた壁状スペーサの上面図を図18(b)に示した。点線Y―Y’で
切断した面が図15の断面図に対応している。
【0162】
また、対向基板に壁状スペーサを設けた液晶表示装置をノーマリーホワイトモードに適
用した場合には、壁状スペーサ1501の周囲の配向乱れ部分や配向乱れによるしきい値
電圧の不均一部分は、表示認識者からは、壁状スペーサ自身により隠され、光漏れを低減
することができる。よって、壁状スペーサによる光漏れを抑えることにより、コントラス
トの高い良好な表示品位を備えたマルチドメイン垂直配向型の液晶表示装置を得ることが
できる。
【0163】
なお、本実施例は、実施例1乃至10のいずれか一と自由に組み合わせることが可能で
ある。
【実施例11】
【0164】
本実施例は、アクティブマトリクス基板に凸部を形成した後、配向膜を形成した例を図
16に示す。なお、本実施例は配向膜1601、1602と凸部1603を形成すること
を除いては、実施例1と同じであるため異なる点についてのみ説明する。
【0165】
まず、実施例1に従い、アクティブマトリクス基板を形成する。
【0166】
次いで、実施例1の壁状スペーサとは形状が異なる凸部1603を形成する。
この凸部1603は、アクリル系、ポリイミド系、ポリイミドアミド系、エポキシ系の少
なくとも一つを主成分とする有機系樹脂材料、もしくは酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪
素のいずれか一種類の材料あるいはこれらの積層膜からなる無機系材料を用いればよい。
【0167】
また、図16では画素電極上に形成した例を示したが、配線を所望の位置に配置してそ
の配線を覆う絶縁膜表面に凸部を形成し、その凸部を用いて液晶を配向する構成としても
よい。
【0168】
次いで、凸部1603上に垂直配向用の配向膜1601(JALS−2021;JSR
製)を形成する。対向基板には実施例1と同様の壁状スペーサを形成する。また、対向電
極が設けられた対向基板124にも垂直配向用の配向膜1602を形成する。その後、両
基板を対向基板に設けられた壁状スペーサで基板間隔を保持しながらシール剤により貼り
合わせた後、両基板間にn型の液晶材料を注入する。液晶材料を注入した後、注入口は樹
脂材料で封止する。
【0169】
その後、実施例1に従い、外部への電気的接続を行う配線が接続されて、液晶表示パネ
ルが完成する。
【0170】
電圧無印加時、アクティブマトリクス基板上の壁状スペーサ及び配向膜1601と、対
向基板上の壁状スペーサ及び配向膜1602より、n型の液晶が一定の方向に配向が制御
される。本実施例の液晶表示パネル用いれば、ギャップムラの少ない広視野角表示のマル
チドメイン垂直配向型の液晶表示装置を得ることができる。
【0171】
なお、本実施例は、実施例1乃至10のいずれか一と自由に組み合わせることが可能で
ある。
【実施例12】
【0172】
実施例1に示した壁状スペーサの上面図は図18(a)に示されている。本実施例では
実施例1と異なる壁状スペーサの配置を示す。
【0173】
図18(b)に示した壁状スペーサは、実施例11に示したように一方の基板のみに直
線状の壁状スペーサが形成された例である。
【0174】
図18(c)に示した壁状スペーサは、枝分かれした形状を有している。隣り合う壁状
スペーサは一方の基板に設ける構成としてもよいし、両方の基板に設ける構成としてもよ
い。
【0175】
また、図18(d)に示した壁状スペーサは格子状である。図18(d)に示した壁状
スペーサの場合、壁状スペーサは一方の基板に設ける。また、図18(d)に示した壁状
スペーサの場合、液晶を滴下した後、もう一方の基板と貼り合わせる。
【0176】
なお、本発明は図18に示した上面配置に限定されず、n型液晶を配向させることがで
きる配置であればよい。例えば、T字状、はしご状の配置でもよい。
【0177】
なお、本実施例は、実施例1乃至12のいずれか一と自由に組み合わせることが可能で
ある。
【実施例13】
【0178】
本実施例では、画素電極と同じ材料膜を利用して画素部以外の領域に保護回路を設ける
例を図19を用いて示す。
【0179】
図19(A)において、701は配線であり、画素部から延長されたゲート配線または
ソース配線または容量配線を示している。また、第2の導電膜からなる電極701は、配
線701が形成されていない領域を埋めるように、且つ配線701と重ならないように形
成される。本実施例は、マスクを増やすことなく保護回路を形成する例を示したが、特に
図19(A)の構成に限定されないことは言うまでもない。例えば、マスクを増やして保
護ダイオードやTFTで保護回路を形成してもよい。
【0180】
また、図19(B)は等価回路図を示している。
【0181】
このような構成とすることで、製造工程において製造装置と絶縁体基板との摩擦による
静電気の発生を防止することができる。特に、製造工程で行われる液晶配向処理のラビン
グ時に発生する静電気からTFT等を保護することができる。
【0182】
なお、本実施例は実施例1乃至13のいずれか一と自由に組み合わせることができる。
【実施例14】
【0183】
上記各実施例1乃至14のいずれか一を実施して形成されたボトムゲート型TFTは様々
な電気光学装置(アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ、アクティブマトリクス型E
Lディスプレイ、アクティブマトリクス型ECディスプレイ)
に用いることができる。即ち、それら電気光学装置を表示部に組み込んだ電子機器全てに
本願発明を実施できる。
【0184】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター(リア型
またはフロント型)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナ
ビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピ
ュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図20及び図2
1に示す。
【0185】
図20(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、
表示部2003、キーボード2004等を含む。本発明を表示部2003に適用すること
ができる。
【0186】
図20(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部21
03、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。本発明を
表示部2102に適用することができる。
【0187】
図20(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201
、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む
。本発明は表示部2205に適用できる。
【0188】
図20(D)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレ
ーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404
、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Di
gtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲ
ームやインターネットを行うことができる。
本発明は表示部2402に適用することができる。
【0189】
図20(E)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部250
3、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。本願発明を表示部2502
に適用することができる。
【0190】
図21(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部29
03、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906等を含む。本願発明を
表示部2904に適用することができる。
【0191】
図21(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、300
3、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。本発明は表
示部3002、3003に適用することができる。
【0192】
図21(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103
等を含む。本発明は表示部3103に適用することができる。本発明のディスプレイは特
に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)の
ディスプレイには有利である。
【0193】
以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用するこ
とが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜14のどのような組み合わせか
らなる構成を用いても実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、第2の基板と、液晶と、前記第1の基板と前記第2の基板との間隔を保持するギャップ保持材と、を有し、
前記第1の基板上に、薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと電気的に接続される容量素子と、前記薄膜トランジスタのゲートと電気的に接続される第1の配線と、前記薄膜トランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される第2の配線と、前記薄膜トランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続される画素電極と、を有し、
前記容量素子の一対の電極のうちの一方は、第3の配線の一部であり、
前記第1の配線は第1の方向に延びて設けられ、
前記第2の配線は前記第1の方向と交差する第2の方向に延びて設けられ、
前記第3の配線と前記第1の配線は、同じ導電膜をエッチングすることによって形成されたものであり、
前記第2の配線は透明導電膜によって覆われ、
前記透明導電膜は、前記画素電極と同時に形成され、且つ前記画素電極とは分離して設けられたものであることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記薄膜トランジスタは、逆スタガ型で、且つチャネルエッチ型のトランジスタであり、チャネルが形成される半導体膜において、前記半導体膜の膜厚が薄くなるようなエッチングをされた領域を有し、
前記ギャップ保持材は、前記領域と重なるように設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置を用いた、パーソナルコンピュータ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置を用いた、ディスプレイ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置を用いた、電子書籍。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−168567(P2012−168567A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134624(P2012−134624)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2009−274886(P2009−274886)の分割
【原出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】