説明

液晶装置および投射型表示装置

【課題】データ線と電界効果型トランジスターとを電気的に接続するコンタクトホール内の構成を改良して、コンタクトホールでの迷光の反射、およびデータ線の抵抗ばらつきを防止することができる液晶装置、および投射型表示装置を提供すること。
【解決手段】液晶装置100において、コンタクトホール42aの内部には、コンタクトホール42aの内壁42a1に沿って導電性の多結晶シリコン膜60aが形成され、多結晶シリコン膜60aに対して内壁42a1とは反対側にはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる遷移金属膜66aが積層されており、データ線6aは、導電性の多結晶シリコン膜60aと、金属材料層65(遷移金属膜66a、アルミニウム膜67aおよびチタン窒化膜68a)との積層構造を有している。多結晶シリコン膜60aと遷移金属膜66aとの間にはシリサイド層61が介在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子基板に画素スイッチング用の電界効果型トランジスター、データ線および画素電極が形成された液晶装置、および当該液晶装置を備えた投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の液晶装置は、例えば、図8に示すように、画素スイッチング用の電界効果型トランジスター30、データ線6aおよび画素電極9aが形成された素子基板10を有しており、素子基板10は、対向基板20との間に液晶層50を保持している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる液晶装置において、画素スイッチング用の電界効果型トランジスター30としては、オフリーク特性の改善等を目的に、LDD(Lightly Doped Drain)構造の電界効果型トランジスターが用いられている。また、素子基板10において、データ線6aは、層間絶縁膜41、42等の絶縁膜に形成したコンタクトホール41aを介して電界効果型トランジスター30のソース領域1b(データ線側ソース・ドレイン領域)に電気的に接続されている。ここで、データ線6aは、下層側のチタン層と上層側のアルミニウム膜との2層構造になっている。かかる液晶装置は、投射型表示装置のライトバルブ等として用いた際、光源からの光や迷光等が電界効果型トランジスター30のソース領域1bの低濃度領域1b1あるいはドレイン領域1cの低濃度領域1c1に入射すると、光リーク電流が発生し、フリッカーや輝度低下が発生する原因となる。そこで、素子基板10には、遮光層8a、7a等が設けられている。
【0004】
一方、アクティブマトリクス型の液晶装置としては、データ線6aに、下層側の多結晶シリコン膜と上層側のアルミニウム膜との2層構造を採用することが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−20572号公報
【特許文献2】特開2010−72661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、遮光層7a、8aを設けた場合でも、ソース領域1bの低濃度領域1b1に入射することを確実に防止することが困難であるため、光リーク電流に起因するフリッカー等が発生するという問題点がある。具体的には、データ線6a自体の低抵抗化を目的に、データ線6aにチタン層等の反射率の高い金属層が用いた場合、コンタクトホール42aの深さ寸法が大であると、図8に矢印Lで示すように、迷光がコンタクトホール42a内の金属層(チタン層)で反射し、ソース領域1bの低濃度領域1b1に入射してしまう。
【0007】
一方、特許文献2に記載の構成のように、データ線6aに、下層側の多結晶シリコン膜と上層側のアルミニウム膜との2層構造を採用した場合、図8を参照して説明した迷光の反射という問題は発生しにくいが、データ線6aの抵抗値が大きくばらつくという問題点がある。具体的には、多結晶シリコン膜およびアルミニウム膜について同一の成膜装置で連続して形成することが困難であるため、多結晶シリコン膜を形成した後、別の成膜装置でアルミニウム膜を形成することになる。このため、多結晶シリコン膜の表面に自然酸化膜が生成し、かかる自然酸化膜が生成すると、多結晶シリコン膜とアルミニウム膜との接続抵抗が増大し、データ線6aの抵抗値が大きくばらついてしまう。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、データ線と電界効果型トランジスターとを電気的に接続するコンタクトホール内の構成を改良して、コンタクトホールでの迷光の反射、およびデータ線の抵抗ばらつきを防止することができる液晶装置、および当該液晶装置を備えた投射型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶装置は、素子基板と、該素子基板に対向配置された対向基板と、前記素子基板と前記対向基板との間に保持された液晶層と、を有し、前記素子基板は、画素スイッチング用の電界効果型トランジスターと、該電界効果型トランジスターの前記対向基板側に設けられた画素電極と、前記電界効果型トランジスターの前記対向基板側に設けられたデータ線と、前記電界効果型トランジスターの不純物導入領域と前記データ線との間に設けられた絶縁層と、前記絶縁層に形成されたコンタクトホール内に形成され、前記不純物導入領域と前記データ線とを電気的に接続するコンタクトと、を備え、前記コンタクトは、前記コンタクトホール内壁に沿って形成された導電性半導体層と、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムのうちの何れかの遷移金属からなり、前記導電性半導体層に対して前記内壁とは反対側に積層された遷移金属膜と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明において、データ線と電界効果型トランジスターとを電気的に接続するコンタクトでは、コンタクトホールの内壁に沿って導電性半導体層が形成されており、かかる導電性半導体層は、光吸収性を有している。このため、素子基板に光が入射した際、コンタクトホールに向かって迷光が進行しても、迷光がコンタクトホールで反射して、電界効果型トランジスターの不純物導入領域(データ線側ソース・ドレイン領域)に入射することを防止することができる。従って、電界効果型トランジスターにおいては、コンタクトホールで反射した迷光に起因する光リーク電流が発生することを防止することができる。また、コンタクトでは、導電性半導体層に対して内壁とは反対側に、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる遷移金属膜が設けられているため、抵抗値が低い。さらに、導電性半導体層を形成した後、導電性半導体層の表面に自然酸化膜が生成されても、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる遷移金属膜であれば、熱処理によって、自然酸化膜から酸素を離脱させ、遷移金属膜内に取り込むことができる。このため、導電性半導体層と遷移金属膜との接続抵抗が低い。従って、自然酸化膜に起因するデータ線の抵抗ばらつきの発生を防止することができる。
【0011】
本発明において、前記導電性半導体層は、不純物がドープされた多結晶シリコン膜であり、当該多結晶シリコン膜と前記遷移金属膜との間には、前記遷移金属のシリサイド層が介在していることが好ましい。かかる構成によれば、導電性半導体層と遷移金属膜との接続抵抗が低い。従って、データ線の抵抗ばらつきの発生を防止することができる。
【0012】
本発明において、前記遷移金属は、チタンである構成を採用することができる。遷移金属としてチタンを用いれば、ジルコニウムやハフニウムに比して安価である。
【0013】
本発明は、前記絶縁層には、少なくとも2層以上の層間絶縁膜が含まれている場合に適用すると効果的である。データ線と電界効果型トランジスターのデータ線側ソース・ドレイン領域(不純物導入領域)との間に設けられた絶縁膜が、少なくとも2層以上の層間絶縁膜を含んでいる場合には、コンタクトホールの深さ寸法(コンタクトホールの高さ寸法)が大であるため、コンタクトホールでの迷光の反射が発生しやすいが、本発明によれば、このような構成の場合でも、コンタクトホールでの迷光の反射を防止することができる。
【0014】
本発明において、前記導電性半導体層は、前記コンタクトホールの底部で前記不純物導入領域に接している構成を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記導電性半導体層は、前記コンタクトホールの底部に開口部を備え、当該開口部では、前記遷移金属膜が前記不純物導入領域に積層されている構成を採用してもよい。
【0016】
本発明において、前記遷移金属膜は、前記データ線の形成領域の全体にわたって形成されている構成を採用することができる。かかる構成によれば、遷移金属膜をデータ線の一部として利用できるので、その分、成膜工程やパターニング工程の数を減らすことができる。
【0017】
本発明において、前記遷移金属膜および前記導電性半導体層は、前記データ線の形成領域の全体にわたって形成されている構成を採用することが好ましい。かかる構成によれば、遷移金属膜および導電性半導体層をデータ線の一部として利用できるので、その分、成膜工程やパターニング工程の数を減らすことができる。
【0018】
本発明を適用した液晶装置は、各種電子機器の直視型表示装置や、電子ペーパー、投射型表示装置のライトバルブ等として用いることができる。投射型表示装置は、前記液晶装置に供給される光を出射する光源部と、前記液晶装置によって変調された光を投射する投射光学系と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した液晶装置の液晶パネルの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る液晶装置に用いた素子基板において隣り合う複数の画素の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る液晶装置の断面構成を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る液晶装置の製造方法を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る液晶装置の断面構成を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した液晶装置を用いた投射型表示装置の概略構成図である。
【図8】従来の液晶装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、電界効果型トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。従って、以下の説明では、ソース領域が「データ線側ソース・ドレイン領域」に相当し、ドレイン領域が「画素電極側ソース・ドレイン領域」に相当する。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。また、対向基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは対向基板の基板本体が位置する側とは反対側(素子基板が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0021】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明を適用した液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。図1において、本形態の液晶装置100は、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを有するアクティブマトリクス型の液晶装置であり、かかる液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を備えている。液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10(図2等を参照)では、画像表示領域10aの内側で複数本のデータ線6a(画像信号線)および複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、画素スイッチング素子としての電界効果型トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。電界効果型トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、電界効果型トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、電界効果型トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0022】
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104やデータ線駆動回路101が設けられている。データ線駆動回路101は各データ線6aに電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0023】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板20(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、素子基板10には、複数の画素100aに跨って延在する容量線5bが形成されている。本形態において、容量線5bは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通している。
【0024】
(液晶パネル100pおよび素子基板10の構成)
図2は、本発明を適用した液晶装置100の液晶パネル100pの説明図であり、図2(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0025】
図2に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。液晶パネル100pにおいて、素子基板10と対向基板20との間のうち、シール材107によって囲まれた領域内には液晶層50が保持されている。本形態において、シール材107には、液晶注入口として利用される途切れ部分107cが形成されており、かかる途切れ部分107cは、液晶材料の注入後、封止材108によって塞がれている。
【0026】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図1を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
【0027】
素子基板10において、外周領域10cでは、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0028】
詳しくは後述するが、素子基板10の一方面10sおよび他方面10tのうち、対向基板20と対向する一方面10s(基板面)の側において、画像表示領域10aには、図1を参照して説明した電界効果型トランジスター30、および電界効果型トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
【0029】
また、素子基板10の一方面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士が細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。また、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。また、ダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。なお、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もあり、この場合でも、ダミー画素電極9bは、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。
【0030】
対向基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、素子基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本形態において、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
【0031】
また、対向基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光層29が形成され、共通電極21の表面には配向膜26が積層されている。本形態において、遮光層29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されている。また、本形態において、遮光層29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
【0032】
液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、対向基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極部25tが形成されており、素子基板10の一方面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極部25t)と対向する位置に基板間導通用電極部6tが形成されている。基板間導通用電極部6tは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通しており、定電位配線6sは、端子102のうち、共通電位印加用の端子102aに導通している。基板間導通用電極部6tと基板間導通用電極部25tとの間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極部6t、基板間導通材109および基板間導通用電極部25tを介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極部6t、25tを避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0033】
かかる構成の液晶装置100において、本形態では、画素電極9aおよび共通電極21がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されており、液晶装置100は透過型の液晶装置である。かかる透過型の液晶装置100では、対向基板20の側から入射した光が素子基板10を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。なお、画素電極9aおよび共通電極21のうち、例えば、共通電極21を透光性導電膜により形成し、画素電極9aをアルミニウム膜等の反射性導電膜により形成する場合もあり、かかる構成によれば、反射型の液晶装置100を構成することができる。かかる反射型の液晶装置100では、素子基板10および対向基板20のうち、対向基板20の側から入射した光が素子基板10で反射して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0034】
液晶装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20あるいは素子基板10には、カラーフィルター(図示せず)が形成される。また、液晶装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。さらに、液晶装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各液晶装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。
【0035】
本形態において、液晶装置100が、後述する投射型表示装置においてRGB用のライトバルブとして用いられる透過型の液晶装置であって、対向基板20から入射した光が素子基板10を透過して出射される場合を中心に説明する。また、本形態において、液晶装置100は、液晶層50として、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を用いたVAモードの液晶パネル100pを備えている場合を中心に説明する。
【0036】
(画素の具体的構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置100に用いた素子基板10において隣り合う複数の画素の平面図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置100の断面構成を示す説明図であり、図4(a)、(b)は、画素100aのF−F′断面図、およびデータ線6aと電界効果型トランジスター30とを電気的に接続するコンタクトホール42aを拡大して示す説明図である。なお、図3では、各層を以下の線
下層側の遮光層8a=細くて長い破線
半導体層1a=細くて短い点線
走査線3a=太い実線
ドレイン電極4a=細い実線
データ線6aおよび中継電極6b=細い一点鎖線
容量線5b=太い一点鎖線
上層側の遮光層7aおよび中継電極7b=細い二点鎖線
画素電極9a=太い破線
で示してある。また、図3では、互いの端部が重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。
【0037】
図3および図4に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する一方面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域10fは縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域10fのうち、X方向(第1方向)に延在する第1画素間領域10gに沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向(第2方向)に延在する第2画素間領域10hに沿って直線的に延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して電界効果型トランジスター30が形成されており、本形態において、電界効果型トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差領域およびその付近を利用して形成されている。素子基板10には容量線5bが形成されており、かかる容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aおよびデータ線6aに重なるように延在して格子状に形成されている。電界効果型トランジスター30の上層側には遮光層7aが形成されており、かかる遮光層7aは、データ線6aに重なるように延在している。電界効果型トランジスター30の下層側には遮光層8aが形成されており、かかる遮光層8aは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0038】
図4(a)に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の基板面(対向基板20と対向する一方面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の電界効果型トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されている。対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光層29、共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0039】
素子基板10において、基板本体10wの一方面10s側には、導電性の多結晶シリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる下層側の遮光層8aが形成されている。本形態において、遮光層8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、液晶装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して電界効果型トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。なお、遮光層8aを走査線として構成する場合もあり、この場合、後述するゲート電極3cと遮光層8aを導通させた構成とする。
【0040】
基板本体10wの一方面10s側において、遮光層8aの上層側には、透光性の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面側に、半導体層1aを備えた電界効果型トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12は、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG (ボロンリンシリケートガラス)等のシリコン酸化膜(シリケートガラスも含む。)や、シリコン窒化膜からなる。かかる絶縁膜12は、シランガス(SiH4)、2塩化シラン(SiCl22)、TEOS(テトラエトキシシラン/テトラ・エチル・オルソ・シリケート/Si(OC254)、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)等を用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法等により形成される。
【0041】
電界効果型トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、本形態において、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。電界効果型トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側に不純物導入領域(ソース領域1bおよびドレイン領域1c)を備えている。本形態において、電界効果型トランジスター30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gの両側に低濃度領域1b1、1c1を備え、低濃度領域1b1、1c1に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域1b2、1c2を備えている。
【0042】
半導体層1aは、多結晶シリコン膜等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3cおよび走査線3aは、導電性の多結晶シリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3cは、導電性の多結晶シリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0043】
ゲート電極3cの上層側には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、ドレイン電極4aが形成されている。本形態において、層間絶縁膜41は、シリコン酸化膜からなる。ドレイン電極4aは、導電性の多結晶シリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。ドレイン電極4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1c(画素電極側ソース・ドレイン領域)の低濃度領域1c1に導通している。
【0044】
ドレイン電極4aの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性のエッチングストッパー層49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には容量線5bが形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。容量線5bは、導電性の多結晶シリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。ここで、容量線5bは、誘電体層40を介してドレイン電極4aと重なっており、蓄積容量55を構成している。
【0045】
容量線5bの上層側には層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6bとが同一の導電膜により形成されている。層間絶縁膜42はシリコン酸化膜からなる。データ線6aおよび中継電極6bは、図4(b)を参照して後述するように、導電性の多結晶シリコン膜60(導電性半導体層)と金属材料層65との多層構造を有している。データ線6aは、層間絶縁膜42、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソース・ドレイン領域)の低濃度領域1b1に導通している。中継電極6bは、層間絶縁膜42およびエッチングストッパー層49を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン電極4aに導通している。
【0046】
データ線6aおよび中継電極6bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44の上層側には、遮光層7aおよび中継電極7bが同一の導電膜によって形成されている。層間絶縁膜44は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。遮光層7aおよび中継電極7bは、導電性の多結晶シリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、遮光層7aおよび中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極6bに導通している。遮光層7aは、データ線6aと重なるように延在しており、遮光層として機能している。なお、遮光層7aを容量線5bと導通させて、シールド層として利用してもよい。
【0047】
遮光層7aおよび中継電極7bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜45が形成されており、かかる層間絶縁膜45の上層側には、ITO膜等の透光性導電膜からなる画素電極9aが形成されている。本形態において、画素電極9aは、ITO膜からなる。層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、表面は平坦化されている。
【0048】
画素電極9aは、中継電極7bと部分的に重なっており、層間絶縁膜45を貫通するコンタクトホール45aを介して中継電極7bに導通している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、中継電極6bおよびドレイン電極4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。
【0049】
画素電極9aの表面には、ポリイミド膜や無機配向膜等からなる配向膜16が形成されている。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)からなる。
【0050】
(対向基板20の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶層50側の表面(素子基板10に対向する一方面20s)には、遮光層29、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜28、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように、ポリイミド膜や無機配向膜からなる配向膜26が形成されている。本形態において、共通電極21はITO膜からなる。また、配向膜26は、配向膜16と同様、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜)である。かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を傾斜垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。
【0051】
なお、図1および図2を参照して説明したデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104には、nチャネル型の駆動用トランジスターとpチャネル型の駆動用トランジスターとを備えた相補型トランジスター回路等が構成されている。ここで、駆動用トランジスターは、電界効果型トランジスター30の製造工程の一部を利用して形成されたものである。このため、素子基板10においてデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている領域も、図4(a)に示す断面構成と略同様な断面構成を有している。
【0052】
(コンタクトホール42aの内部構成)
図4(a)、(b)に示すように、データ線6aは、層間絶縁膜42、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1bに導通しており、低濃度領域1b1に近い位置に設けられている。そこで、本形態では、迷光がコンタクトホール42aで反射してソース領域1bの低濃度領域1b1に入射すること等を防止する目的で、コンタクトホール42aの内部でのコンタクト6cは、以下の構成を有している。
【0053】
まず、コンタクトホール42aの内部には、コンタクトホール42aの内壁42a1沿って、多結晶シリコン膜60aが形成されており、かかる多結晶シリコン膜60aには、不純物としてリンがドープされている。このため、多結晶シリコン膜60aは、光吸収性および導電性を備えた導電性半導体層である。本形態において、多結晶シリコン膜60aは、層間絶縁膜41の表面、コンタクトホール42aの内壁42a1およびコンタクトホール42aの底部42a2に形成されている。このため、多結晶シリコン膜60aは、コンタクトホール42aの底部42a2でソース領域1bの高濃度領域1b2に接し、導通している。
【0054】
また、コンタクトホール42aの内部には、多結晶シリコン膜60aに対してコンタクトホール42aの内壁42a1とは反対側にチタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる遷移金属膜66aが形成されており、かかる遷移金属膜66aの厚さは、50nm程度である。本形態において、遷移金属膜66aはチタン膜からなる。本形態では、遷移金属膜66aの上層にはアルミニウム膜67aが積層されている。また、アルミニウム膜67aの上層にはチタン窒化膜68aが積層されており、遷移金属膜66a、アルミニウム膜67aおよびチタン窒化膜68aによって金属材料層65が形成されている。
【0055】
本形態において、金属材料層65は、層間絶縁膜41の表面、およびコンタクトホール42aの内部に形成されている。また、遷移金属膜66a、アルミニウム膜67aおよびチタン窒化膜68aからなる金属材料層65は、データ線6aの形成領域の全体にわたって形成され、導電性の多結晶シリコン膜60aも、データ線6aの形成領域の全体にわたって形成されている。このため、データ線6aは、導電性の多結晶シリコン膜60aと、金属材料層65との多層構造を有している。また、中継電極6bも、データ線6aと同様、導電性の多結晶シリコン膜と金属材料層(遷移金属膜(チタン膜))、アルミニウム膜およびチタン窒化膜との多層構造を有している。
【0056】
ここで、多結晶シリコン膜60aと遷移金属膜66aとの間には、遷移金属膜66aを構成する遷移金属のシリサイド層61が介在しており、かかるシリサイド層61は、遷移金属膜66aを構成する遷移金属と多結晶シリコン膜60aを構成するシリコンとの合金化によって形成された層である。このため、本形態では、シリサイド層61はチタンシリサイド(TiSix)層からなる。なお、遷移金属膜66aをジルコニウムにより形成すれば、シリサイド層61としてジルコニウムシリサイド(ZrSix)層が形成され、遷移金属膜66aをハフニウムにより形成すれば、シリサイド層61としてハウニウムシリサイド(HfSix)層が形成される。
【0057】
(液晶装置100の製造方法)
図5は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置100の製造方法を示す説明図である。なお、液晶装置100を製造するにあたっては、素子基板10および対向基板20を多数取りできる大型基板の状態で途中の工程までを行い、その後、単品サイズに切断する。但し、以下の説明では、素子基板10の形成に用いられる大型基板も素子基板10として説明し、対向基板20の形成に用いられる大型基板も対向基板20として説明する。
【0058】
本形態の液晶装置100の製造工程のうち、素子基板10の製造工程では、まず、図5(a)に示すように、周知の方法で電界効果型トランジスター30や蓄積容量55等を形成した後、層間絶縁膜42を形成し、次に、層間絶縁膜42にコンタクトホール42a、42bを形成する。
【0059】
次に、素子基板10の全面あるいは略全面に対して、層間絶縁膜42上に多結晶シリコン膜60を熱CVD法等により成膜する。かかる多結晶シリコン膜60には、リン(P)が予めドープされた低抵抗多結晶シリコン膜であり、導電性を有している。かかる導電性の多結晶シリコン膜60の厚さは、電界効果型トランジスター30の能動層を構成する半導体層1a(多結晶シリコン膜)の厚さ(50nm程度)より厚く設定する。かかる構成によれば、コンタクトホール42aを形成した際、オーバーエッチングが発生した場合でも、その膜減り分を補うことが可能である。
【0060】
次に、図5(b)に示すように、多結晶シリコン膜60を成膜した装置とは別の成膜装置によって、素子基板10の全面あるいは略全面に対して、多結晶シリコン膜60上にスパッタ法等により、チタン膜からなる遷移金属膜66、アルミニウム膜67、およびチタン窒化膜68をこの順に成膜する。かかる成膜は、同一の成膜装置で連続して行い、途中で素子基板10を大気に晒さない。
【0061】
次に、素子基板10を400℃程度の温度で熱処理を行い、遷移金属膜66を構成する遷移金属と多結晶シリコン膜60を構成するシリコンとの合金化によってシリサイド層61(図4(b)参照)を形成する。また、多結晶シリコン膜60を成膜した後、遷移金属膜66、アルミニウム膜67、およびチタン窒化膜68を成膜するまでの間に多結晶シリコン膜60の表面には、シリコン酸化膜(SiOx)からなる自然酸化膜が生成されるが、素子基板10に熱処理を行った際、自然酸化膜中の酸素は、遷移金属膜66を構成するチタン中に取り込まれる(ゲッタリング効果)。また、遷移金属膜66は十分な膜厚に形成されているため、遷移金属膜66に取り込まれた酸素は、遷移金属膜66中に拡散し、多結晶シリコン膜60と遷移金属膜66との間には絶縁性の酸化膜が形成されることはない。従って、遷移金属膜66と多結晶シリコン膜60との間にはシリサイド層61が介在するが、シリコン酸化膜等の絶縁膜が介在することはない。
【0062】
次に、図5(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、チタン窒化膜68上にエッチングマスク69を形成する。かかるエッチングマスク69は、レジストマスク、あるいはシリコン酸化膜等からなるハードマスクであり、データ線6a、中継電極6b、およびデータ線6aと同時形成すべき配線の形成領域の全体にわたって形成される。
【0063】
次に、エッチングマスク69を形成した状態で、チタン窒化膜68、アルミニウム膜67、遷移金属膜66、多結晶シリコン膜60を同一パターンにエッチングした後、エッチングマスク69を除去する。その結果、多結晶シリコン膜60、遷移金属膜66、アルミニウム膜67およびチタン窒化膜68は、エッチングマスク69と重なる部分のみが残る結果、導電性の多結晶シリコン膜60aと、金属材料層65(遷移金属膜66a、アルミニウム膜67aおよびチタン窒化膜68a)がパターニング形成される。その結果、導電性の多結晶シリコン膜60aと、金属材料層65(遷移金属膜66a、アルミニウム膜67aおよびチタン窒化膜68a)との多層構造を備えたデータ線6aや、中継電極6bが形成される。
【0064】
しかる後には、層間絶縁膜45、画素電極9a、および配向膜16を形成すれば、素子基板10が完成する。このようにして素子基板10を形成した後は、図2等を参照して説明したように、素子基板10と対向基板20とをシール材107で貼り合わせ、その後、減圧雰囲気中でシール材107の途切れ部分107cから液晶を注入する。そして、シール材107の途切れ部分107cを封止材108で封止する。また、所定のタイミングで大型基板を単品サイズの素子基板10や対向基板20に切断すれば、図2等を参照して説明した単品サイズの液晶パネル100p(図2等を参照)を得ることができる。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の液晶装置100において、データ線6aと電界効果型トランジスター30とを電気的に接続するコンタクトホール42a内部では、コンタクトホール42aの内壁42a1に沿って多結晶シリコン膜60aからなる導電性半導体層が形成されており、かかる導電性半導体層は、光吸収性を有している。このため、素子基板10に光が入射した際、コンタクトホール42aに向かって迷光が進行しても、迷光がコンタクトホール42aで反射して電界効果型トランジスター30の低濃度領域1b1に入射することを防止することができる。特に本形態で、データ線6aと電界効果型トランジスター30のソース領域1bとの間に設けられた絶縁膜には、少なくとも2層以上の層間絶縁膜(層間絶縁膜41、42)が含まれている。このため、コンタクトホール42aの深さ寸法(コンタクトホールの高さ寸法)が大であり、コンタクトホール42aでの迷光の反射が発生しやすいが、本形態によれば、このような構成の場合でも、コンタクトホール42aでの迷光の反射を防止することができる。従って、電界効果型トランジスター30においては、コンタクトホール42aで反射した迷光に起因する光リーク電流が発生することを防止することができる。
【0066】
また、コンタクトホール42aの内部では、多結晶シリコン膜60aに対して内壁42a1とは反対側に、チタン、ジルコニウムまたはハフニウム等の遷移金属膜66aが設けられているため、抵抗値が低い。しかも、多結晶シリコン膜60aを形成した後、多結晶シリコン膜60aの表面にシリコン酸化膜(SiOx)からなる自然酸化膜が生成されても、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる遷移金属膜66aであれば、熱処理によって、自然酸化膜から酸素を離脱させ、遷移金属膜66a内に取り込むことができる。このため、多結晶シリコン膜60aと遷移金属膜66aとの接続抵抗が低い。従って、シリコン酸化膜(SiOx)からなる自然酸化膜に起因するデータ線6aの抵抗ばらつきの発生を防止することができる。
【0067】
また、本形態において、導電性半導体層は、不純物がドープされた多結晶シリコン膜60aであり、多結晶シリコン膜60aと遷移金属膜66aとの間には遷移金属のシリサイド層61が介在している。従って、多結晶シリコン膜60aと遷移金属膜66aとの接続抵抗が低い。それ故、データ線6aの抵抗ばらつきの発生を防止することができる。
【0068】
また、本形態において、遷移金属膜66aは、チタンであるため、ジルコニウムやハフニウムを用いた場合に比して安価である。
【0069】
さらに、本形態において、多結晶シリコン膜60aおよび遷移金属膜66aは、データ線6aの形成領域の全体にわたって形成されているため、多結晶シリコン膜60aおよび遷移金属膜66aをデータ線6aの一部として利用することができる。それ故、成膜工程やパターニング工程の数を減らすことができる。
【0070】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る液晶装置100の断面構成を示す説明図であり、図6(a)、(b)は、図3に示すF−F′線に沿って画素100aを切断したときの断面図、およびデータ線6aと電界効果型トランジスター30とを電気的に接続するコンタクトホール42aを拡大して示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0071】
図6に示すように、本形態の液晶装置100でも、実施の形態1と同様、データ線6aと電界効果型トランジスター30とを電気的に接続するコンタクト6cにおいて、コンタクトホール42aの内部には、コンタクトホール42aの内壁42a1に沿って導電性の多結晶シリコン膜60a(導電性半導体層)が形成されている。また、コンタクトホール42aの内部には、多結晶シリコン膜60aに対してコンタクトホール42aの内壁42a1とは反対側にチタン、ジルコニウムまたはハフニウムからなる遷移金属膜66aが積層されており、本形態において、遷移金属膜66aはチタン膜からなる。また、遷移金属膜66aの上層にはアルミニウム膜67aが積層され、アルミニウム膜67aの上層にはチタン窒化膜68aが積層されている。このため、本形態でも、実施の形態1と同様、データ線6aは、導電性の多結晶シリコン膜60aと、金属材料層65(遷移金属膜66a、アルミニウム膜67aおよびチタン窒化膜68a)との積層構造を有している。また、多結晶シリコン膜60aと遷移金属膜66aとの間にはシリサイド層61が介在している。
【0072】
かかる構成のコンタクトホール42aの内部において、実施の形態1では、コンタクトホール42aの底部42a2で多結晶シリコン膜60aとソース領域1bとが導通していた。これに対して、本形態では、コンタクトホール42aの底部42a2に多結晶シリコン膜60aが形成されておらず、多結晶シリコン膜60aには、コンタクトホール42aの底部42a2に開口部60a1が形成されている。すなわち、多結晶シリコン膜60aは、層間絶縁膜41の表面およびコンタクトホール42aの内壁42a1には形成されているが、底部42a2には形成されていない。このため、コンタクトホール42aの底部42a2では、遷移金属膜66aが開口部60a1を介してソース領域1bに接している。
【0073】
ここで、コンタクトホール42aの底部42a2では、遷移金属膜66aとソース領域1bとの間にシリサイド層61が介在しているが、かかるシリサイド層61は、遷移金属膜66aを構成する遷移金属とソース領域1bのシリコン原子との反応により形成された層である。
【0074】
かかる構成は、図5(a)を参照して説明したように、多結晶シリコン膜60を形成した後、多結晶シリコン膜60の表面にエッチングマスクを形成し、この状態で、エッチングを行って、コンタクトホール42aの底部42a2から多結晶シリコン膜60aを除去することにより、実現することができる。
【0075】
このように、本形態の液晶装置100において、データ線6aと電界効果型トランジスター30とを電気的に接続するコンタクトホール42a内部では、コンタクトホール42aの内壁42a1に沿って多結晶シリコン膜60aからなる導電性半導体層が形成されている。このため、素子基板10に光が入射した際、コンタクトホール42aに向かって迷光が進行しても、迷光がコンタクトホール42aで反射することを防止することができる。それ故、コンタクトホール42aで反射した迷光が電界効果型トランジスター30に入射することを防止することができるので、電界効果型トランジスター30で迷光に起因する光リーク電流が発生することを防止することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0076】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、多結晶シリコン膜60aおよび遷移金属膜66aは、データ線6aの形成領域の全体にわたって形成されていたが、コンタクトホール42aの内部のみ等、データ線6aの形成領域の一部のみに多結晶シリコン膜60aおよび遷移金属膜66aが形成されている構成を採用してもよい。また、多結晶シリコン膜60aについてはコンタクトホール42aの内部のみに形成し、遷移金属膜66aについては、データ線6aの形成領域の全体にわたって形成されている構成を採用してもよい。
【0077】
上記実施の形態では、複数のコンタクトホールのうち、深さ寸法が最も大きいコンタクトホール42aに本発明を適用した結果、コンタクトホール42bも、同様に構成されたが、コンタクトホール42aに加えて、他のコンタクトホール42bにも、コンタクトホール42aで採用した構成を適用してもよい。
【0078】
上記実施の形態では導電性の半導体層として、多結晶シリコン膜を用いたが、ポリゲルマニウム膜やポリシリコンゲルマニウム膜等を用いてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、透過型の液晶装置100を例示したが、反射型の液晶装置100に本発明を適用してもよい。
【0080】
[電子機器への搭載例]
(投射型表示装置および光学ユニットの構成例)
図7は、本発明を適用した投射型表示装置および光学ユニットの概略構成図であり、図7(a)、(b)は各々、透過型の液晶装置を用いた投射型表示装置の説明図、および反射型の液晶装置を用いた投射型表示装置の説明図である。
【0081】
図7(a)に示す投射型表示装置110は、液晶パネルとして透過型の液晶パネルを用いた例であるのに対して、図7(b)に示す投射型表示装置1000は、液晶パネルとして反射型の液晶パネルを用いた例である。但し、以下に説明するように、投射型表示装置110、1000はいずれも、光源部130、1021と、光源部130、1021から互いに異なる波長域の光が供給される複数の液晶装置100と、複数の液晶装置100から出射された光を合成して出射するクロスダイクロイックプリズム119、1027(光合成光学系)と、光合成光学系により合成された光を投射する投射光学系118、1029とを有している。また、投射型表示装置110、1000においては、液晶装置100およびクロスダイクロイックプリズム119、1027(光合成光学系)を備えた光学ユニット200が用いられている。
【0082】
(投射型表示装置の第1例)
図7(a)に示す投射型表示装置110は、観察者側に設けられたスクリーン111に光を照射し、このスクリーン111で反射した光を観察する、いわゆる投影型の投射型表示装置である。投射型表示装置110は、光源112を備えた光源部130と、ダイクロイックミラー113、114と、液晶ライトバルブ115〜117と、投射光学系118と、クロスダイクロイックプリズム119(合成光学系)と、リレー系120とを備えている。
【0083】
光源112は、赤色光R、緑色光G、および青色光Bを含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源112からの赤色光Rを透過させるとともに、緑色光G、および青色光Bを反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光Gおよび青色光Bのうち青色光Bを透過させるとともに緑色光Gを反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源112から出射した光を赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとに分離する色分離光学系を構成する。
【0084】
ここで、ダイクロイックミラー113と光源112との間には、インテグレーター121および偏光変換素子122が光源112から順に配置されている。インテグレーター121は、光源112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源112からの光を、例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0085】
液晶ライトバルブ115は、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。液晶ライトバルブ115は、λ/2位相差板115a、第1偏光板115b、液晶装置100(赤色用液晶パネル100R)、および第2偏光板115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ115に入射する赤色光Rは、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。
【0086】
λ/2位相差板115aは、液晶ライトバルブ115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶装置100(赤色用液晶パネル100R)は、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ115は、画像信号に応じて赤色光Rを変調し、変調した赤色光Rをクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
【0087】
なお、λ/2位相差板115a、および第1偏光板115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板115a、および第1偏光板115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
【0088】
液晶ライトバルブ116は、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光Gを画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。かかる液晶ライトバルブ116は、液晶ライトバルブ115と同様に、第1偏光板116b、液晶装置100(緑色用液晶パネル100G)、および第2偏光板116dを備えている。液晶ライトバルブ116に入射する緑色光Gは、ダイクロイックミラー113、114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、液晶装置100(緑色用液晶パネル100G)は、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。そして、第2偏光板116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ116は、画像信号に応じて緑色光Gを変調し、変調した緑色光Gをクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。
【0089】
液晶ライトバルブ117は、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光Bを画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。かかる液晶ライトバルブ117は、液晶ライトバルブ115、116と同様に、λ/2位相差板117a、第1偏光板117b、液晶装置100(青色用液晶パネル100B)、および第2偏光板117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ117に入射する青色光Bは、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、s偏光となっている。
【0090】
λ/2位相差板117aは、液晶ライトバルブ117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶装置100(青色用液晶パネル100B)は、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ117は、画像信号に応じて青色光Bを変調し、変調した青色光Bをクロスダイクロイックプリズム119に向けて出射する構成となっている。なお、λ/2位相差板117a、および第1偏光板117bは、ガラス板117eに接した状態で配置されている。
【0091】
リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光Bの光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光Bをリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光Bを液晶ライトバルブ117に向けて反射するように配置されている。
【0092】
クロスダイクロイックプリズム119は、2つのダイクロイック膜119a、119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜119aは青色光Bを反射して緑色光Gを透過する膜であり、ダイクロイック膜119bは赤色光Rを反射して緑色光Gを透過する膜である。従って、クロスダイクロイックプリズム119は、液晶ライトバルブ115〜117の各々で変調された赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとを合成し、投射光学系118に向けて出射するように構成されている。
【0093】
なお、液晶ライトバルブ115、117からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ116からクロスダイクロイックプリズム119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム119において各液晶ライトバルブ115〜117から入射する光を合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜119a、119bはs偏光の反射トランジスター特性に優れている。このため、ダイクロイック膜119a、119bで反射される赤色光R、および青色光Bをs偏光とし、ダイクロイック膜119a、119bを透過する緑色光Gをp偏光としている。投射光学系118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム119で合成された光をスクリーン111に投射するように構成されている。
【0094】
(投射型表示装置の第2例)
図7(b)に示す投射型表示装置1000は、光源光を発生する光源部1021と、光源部1021から出射された光源光を赤色光R、緑色光G、および青色光Bの3色の色光に分離する色分離導光光学系1023と、色分離導光光学系1023から出射された各色の光源光によって照明される光変調部1025とを有している。また、投射型表示装置1000は、光変調部1025から出射された各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム1027(合成光学系)と、クロスダイクロイックプリズム1027を経た像光をスクリーン(不図示)に投射する投射光学系1029とを備えている。
【0095】
かかる投射型表示装置1000において、光源部1021は、光源1021aと、一対のフライアイ光学系1021d、1021eと、偏光変換部材1021gと、重畳レンズ1021iとを備えている。本形態においては、光源部1021は、放物面からなるリフレクタ1021fを備えており、平行光を出射する。フライアイ光学系1021d、1021eは、システム光軸と直交する面内にマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材1021gは、フライアイ光学系1021eから出射した光源光を、例えば図面に平行なp偏光成分のみに変換して光路下流側光学系に供給する。重畳レンズ1021iは、偏光変換部材1021gを経た光源光を全体として適宜収束させることにより、光変調部1025に設けた複数の液晶装置100を各々均一に重畳照明可能とする。
【0096】
色分離導光光学系1023は、クロスダイクロイックミラー1023aと、ダイクロイックミラー1023bと、反射ミラー1023j、1023kとを備える。色分離導光光学系1023において、光源部1021からの略白色の光源光は、クロスダイクロイックミラー1023aに入射する。クロスダイクロイックミラー1023aを構成する一方の第1ダイクロイックミラー1031aで反射された赤色光Rは、反射ミラー1023jで反射されダイクロイックミラー1023bを透過して、入射側偏光板1037r、p偏光を透過させる一方、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032r、および光学補償板1039rを介して、p偏光のまま、液晶装置100(赤色用液晶パネル100R)に入射する。
【0097】
また、第1ダイクロイックミラー1031aで反射された緑色光Gは、反射ミラー1023jで反射され、その後、ダイクロイックミラー1023bでも反射されて、入射側偏光板1037g、p偏光を透過させる一方、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032g、および光学補償板1039gを介して、p偏光のまま、液晶装置100(緑色用液晶パネル100G)に入射する。
【0098】
これに対して、クロスダイクロイックミラー1023aを構成する他方の第2ダイクロイックミラー1031bで反射された青色光Bは、反射ミラー1023kで反射されて、入射側偏光板1037b、p偏光を透過する一方、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032b、および光学補償板1039bを介して、p偏光のまま、液晶装置100(青色用液晶パネル100B)に入射する。なお、光学補償板1039r、1039g、1039bは、液晶装置100への入射光および出射光の偏光状態を調整することで、液晶層の特性を光学的に補償している。
【0099】
このように構成した投射型表示装置1000では、光学補償板1039r、1039g、1039bを経て入射した3色の光は各々、各液晶装置100において変調される。その際、液晶装置100から出射された変調光のうち、s偏光の成分光は、ワイヤーグリッド偏光板1032r、1032g、1032bで反射し、出射側偏光板1038r、1038g、1038bを介してクロスダイクロイックプリズム1027に入射する。クロスダイクロイックプリズム1027には、X字状に交差する第1誘電体多層膜1027aおよび第2誘電体多層膜1027bが形成されており、一方の第1誘電体多層膜1027aは赤色光Rを反射し、他方の第2誘電体多層膜1027bは青色光Bを反射する。従って、3色の光は、クロスダイクロイックプリズム1027において合成され、投射光学系1029に出射される。そして、投射光学系1029は、クロスダイクロイックプリズム1027で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(図示せず。)に投射する。
【0100】
(他の投射型表示装置)
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0101】
(他の電子機器)
本発明を適用した液晶装置100については、上記の電子機器の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1b・・ソース領域(データ線側ソース・ドレイン領域)、6a・・データ線、6c・・コンタクト、9a・・画素電極、10・・素子基板、10a・・画像表示領域、20・・対向基板、21・・共通電極、30・・電界効果型トランジスター、42a・・コンタクトホール、60・・多結晶シリコン膜、61・・シリサイド層、65・・金属材料層、66・・遷移金属膜、67・・アルミニウム膜、68・・チタン窒化膜、100・・液晶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板と、
該素子基板に対向配置された対向基板と、
前記素子基板と前記対向基板との間に保持された液晶層と、
を有し、
前記素子基板は、
画素スイッチング用の電界効果型トランジスターと、
該電界効果型トランジスターの前記対向基板側に設けられた画素電極と、
前記電界効果型トランジスターの前記対向基板側に設けられたデータ線と、
前記電界効果型トランジスターの不純物導入領域と前記データ線との間に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層に形成されたコンタクトホール内に形成され、前記不純物導入領域と前記データ線とを電気的に接続するコンタクトと、
を備え、
前記コンタクトは、
前記コンタクトホール内壁に沿って形成された導電性半導体層と、
チタン、ジルコニウムおよびハフニウムのうちの何れかの遷移金属からなり、前記導電性半導体層に対して前記内壁とは反対側に積層された遷移金属膜と、
を含むことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記導電性半導体層は、不純物がドープされた多結晶シリコン膜であり、
当該多結晶シリコン膜と前記遷移金属膜との間には、前記遷移金属のシリサイド層が介在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記遷移金属は、チタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記絶縁層には、少なくとも2層以上の層間絶縁膜が含まれていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記導電性半導体層は、前記コンタクトホールの底部で前記不純物導入領域に接していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記導電性半導体層は、前記コンタクトホールの底部に開口部を備え、
当該開口部では、前記遷移金属膜が前記不純物導入領域に積層されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記遷移金属膜は、前記データ線の形成領域の全体にわたって形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記遷移金属膜および前記導電性半導体層は、前記データ線の形成領域の全体にわたって形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の液晶装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の液晶装置を備えた投射型表示装置であって、
前記液晶装置に供給される光を出射する光源部と、
前記液晶装置によって変調された光を投射する投射光学系と、
を有していることを特徴とする投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−7900(P2013−7900A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140622(P2011−140622)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】