説明

混合触媒系を含む硬化性エポキシ樹脂組成物およびそれから作られた積層体

硬化性ハロゲン含有エポキシ樹脂組成物であって、(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂、(b)少なくとも1種の硬化剤(該硬化剤は、フェノール性ヒドロキシル官能基を含有する化合物または加熱するとフェノール性ヒドロキシル官能基を発生することができる化合物である)、および(c)(i)少なくとも1種の窒素含有触媒化合物を含む少なくとも1種の第一の触媒化合物、および(ii)少なくとも1種のリン含有触媒化合物を含む少なくとも1種の第二の触媒化合物の組み合わせを含む触媒量の触媒系を含み、上記の成分(a)〜(c)の少なくとも一つはハロゲン化されているもしくはハロゲンを含有するまたは前記の成分のいずれもハロゲン化されていないならば該樹脂組成物は(d)窒素を含有しないハロゲン化もしくはハロゲン含有難燃剤化合物を含む。該樹脂組成物のストロークキュアーゲル化時間は170℃において測定された場合に90秒〜600秒に維持されており、また該硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化することにより形成される硬化生成物はよくバランスのとれた性質を有する。該組成物は、プリプレグもしくは金属被覆箔を得るためにまたは該プリプレグおよび/もしくは該金属被覆箔を積層することにより積層体を得るために用いられ得る。該積層体は、優れたガラス転移温度、分解温度、288℃における離層時間、銅箔への接着性および優れた難燃性の兼備を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、或る触媒系を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物に、これらの組成物を利用する方法に、およびこれらの組成物から作られた物品に関する。さらに具体的には、本発明は、(i)窒素含有触媒と(ii)リン含有触媒とを含む混合触媒系を含むエポキシ樹脂組成物に関する。本発明の樹脂組成物から製造された物品は、改善された熱的性質および他のよくバランスのとれた性質を示す。本発明の樹脂組成物は任意の目的のために用いられ得るが、特に積層体、さらに具体的には印刷回路板向けの電気用積層体の製造に利用するのに適している。本発明の組成物から製造された電気用積層体は、優れた熱安定性および優れた性質バランスを有する。
【背景技術】
【0002】
高温に対する改善耐性を有する樹脂組成物から製造された物品は、多くの用途にとって望ましい。特に、高温に対する改善耐性を有するこれらの物品は、より高い回路密度、増加する板厚、鉛フリーハンダおよびより高温の使用環境を含む業界の傾向の故に、印刷回路板(PCB)用途にとって望ましい。
【0003】
積層体そして特に構造用および電気用銅クラッド積層体のような物品は、一般的に、高温および高圧下で、部分硬化プリプレグの様々な層および随意に銅シート材をプレスすることにより製造される。プリプレグは、一般的に、硬化可能な熱硬化可能のエポキシ樹脂組成物をガラス繊維マットのような多孔質基材中に含浸させ、次いでこのマット中のエポキシ樹脂の「B段階」への部分硬化を促進するように高温にて加工することにより製造される。ガラス繊維マット中に含浸されたエポキシ樹脂の完全硬化は、典型的には、積層体を製造する場合にプリプレグ層が高圧および高温下で該樹脂の完全硬化を可能にするのに十分な時間プレスされる積層工程中に行われる。
【0004】
エポキシ樹脂組成物はプリプレグおよび積層体の製造に関して改善された熱的性質を付与すると知られているけれども、かかるエポキシ樹脂組成物は、典型的には、加工するのが比較的困難であり、処方するのが比較的高価であり、また複雑な印刷回路板回路図に対してならびにより高い製作および使用温度に対して性能が劣る難点があり得る。
【0005】
上記のことにかんがみて、当該技術分野において、改善された熱的性質を有する物品を製造するためのエポキシ樹脂組成物に対するおよびかかる物品を生産する方法に対するニーズがある。当該技術分野において、改善された熱的性質を達成するための安価な樹脂組成物に対するならびに改善された熱的性質を有する物品とりわけプリプレグおよび積層体に対するニーズもある。
【0006】
特に、鉛フリーハンダ付け温度および使用中のより高い熱暴露要求に応じるために、PCB用基材として用いられるところのより高い耐熱性積層体に対するニーズが存続している。PCBにおいて通常用いられる標準FR−4積層体は、ジシアンジアミドで硬化された臭素化エポキシ樹脂で作られている。これらの標準FR−4積層体は、低い熱安定性、すなわち低い分解温度(Td)および288℃における短い離層時間(T288)を有する。
【0007】
積層体を作るためのワニス処方物にジシアンジアミドの代わりにフェノールまたは無水物硬化剤が用いられる場合に、改善された熱安定性が達成され得る。しかしながら、かかるワニスは、狭い加工ウインドウを有する。しばしば、かかるワニスから生じた積層体は比較的低いガラス転移温度(Tg)および比較的低い銅箔への接着性を有する。これらの積層体はまた比較的脆い。
【0008】
高分子量カルボン酸無水物もまた、硬化剤として用いられると知られている。硬化剤としての高分子量カルボン酸無水物の使用は、プリプレグ粉末の高い溶融粘度の故に、不良なプリプレグ化粧品に通じる。かかるプリプレグは通常比較的脆く、しかしてかかるプリプレグが切断およびトリミングされる時にダストの形成をもたらすことになる。ダストの形成は、当該技術分野において「マッシュルーム効果」と称される。
【0009】
エポキシ樹脂またはそれから作られた積層体のある一つの性質の改善は、通常別の性質を犠牲にして達成され、しかしてすべての性質が同時に改善され得るとは限らない、ということが公知技術において典型的である。いくつかの公知方法は、よくバランスのとれた性質を備えた樹脂を達成しようとする試みにおいて、高価な特殊樹脂および硬化剤を用いる。
【0010】
非臭素化エポキシ樹脂の使用は、たとえば、高い熱安定性を備えた積層体をもたらし得る。しかしながら、非臭素化難燃性エポキシ樹脂の使用は、標準FR−4積層体用樹脂と比較される場合にそれらのより高い価格の故に制限される。また、非臭素化エポキシ樹脂の使用は、生じた積層体の不良な性質バランスに通じる。たとえば、非臭素化エポキシ樹脂から作られた積層体は、比較的低いTg、比較的高い脆性および比較的高い感湿性を示し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電気用積層体を作るための組成物および方法に対してなされた改善にもかかわらず、先行技術の公知参考文献のいずれも、高いTg、良好な靱性および良好な銅箔への接着性のような、積層体の諸性質の良好なバランスおよび熱安定性を備えた積層体を作るために有用な樹脂組成物を開示していない。
【0012】
積層体が優れたよくバランスのとれた積層体の性質を有するように、積層体を作るための物質として用いられる、優れたよくバランスのとれた性質を備えた硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することが望ましい。高価な特殊樹脂または硬化剤の使用なしに、高いTg、良好な靱性および良好な銅箔への接着性と共に高い熱安定性を有する積層体を達成することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一つの態様は、硬化性ハロゲン含有エポキシ樹脂組成物であって、(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂、(b)少なくとも1種の硬化剤(該硬化剤は、フェノール性ヒドロキシル官能基を含有する化合物または加熱するとフェノール性ヒドロキシル官能基を発生することの可能な化合物である。)、および(c)(i)少なくとも1種の窒素含有触媒化合物を含む少なくとも1種の第一の触媒、および(ii)窒素を含有しない少なくとも1種のリン含有触媒化合物を含む少なくとも1種の第二の触媒の組み合わせを含む触媒量の触媒系を含み、しかも上記の成分(a)〜(c)の少なくとも一つもしくはそれ以上はハロゲン化されているもしくはハロゲンを含有する、または上記の諸成分のいずれもハロゲン化されていないならば該樹脂組成物は(d)ハロゲン化もしくはハロゲン含有難燃剤化合物を含み、該樹脂組成物のストロークキュアーゲル化時間が170℃において測定された場合に90秒から600秒に維持されていること、ならびに該硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化することにより形成された生じた硬化生成物が次のよくバランスのとれた性質、すなわち(1)130℃より高いガラス転移温度(Tg)、(2)320℃より高い分解温度(Td)、(3)1分より大の288℃における離層時間(T288)、(4)10N/cmより大の銅への接着性、および(5)少なくともV−1のUL94難燃性格付けを有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、プリプレグまたは金属被覆箔を得るための上記組成物の使用に、ならびに該プリプレグおよび/または該金属被覆箔を積層することにより得られた積層体に関する。生じた積層体は、優れたガラス転移温度、分解温度、288℃における離層時間および銅箔への接着性を含めてよくバランスのとれた性質の兼備を示す。
【0015】
一般的に、本発明は、次の成分を含む硬化性ハロゲン含有エポキシ樹脂組成物を含む。すなわち、(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂、(b)少なくとも1種の硬化剤(ただし、該硬化剤は、フェノール性ヒドロキシル官能基を含有する化合物または加熱したときにフェノール性ヒドロキシル官能基を発生することができる化合物である。)、(c)(i)少なくとも1種の窒素原子含有触媒化合物を含む少なくとも1種の第一の触媒、および(ii)2種またはそれ以上の触媒化合物の組み合わせを含む触媒系(ただし、該触媒系は、リン含有触媒化合物のような、少なくとも1種の窒素原子を含有しない化合物を含む少なくとも1種の第二の触媒を含む。)。前記の成分(a)〜(c)の少なくとも一つもしくはそれ以上はハロゲン化されているもしくはハロゲンを含有する、または前記の成分のいずれもハロゲン化されていないならば該樹脂組成物は(d)ハロゲン化もしくはハロゲン含有難燃剤化合物を含み、該硬化性エポキシ樹脂組成物は硬化後に良くバランスのとれた性質を有する硬化生成物を与える。かかるハロゲン含有エポキシ樹脂組成物において、成分(a)、(b)、または(c)の少なくとも一つまたはそれ以上は、ハロゲンを含有しそして難燃性を有することができる。成分(a)〜(c)のいずれもハロゲンを含有していないならば、最終樹脂組成物がハロゲンを含有するために、(d)ハロゲン化難燃剤化合物のような追加成分が所望により樹脂組成物に添加され得る。
【0016】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化後、たとえばガラス転移温度(Tg)、分解温度(Td)、288℃における離層時間(T288)、銅箔への接着性(銅剥離強さ)、および難燃性(少なくともUL94 V−1、好ましくはUL94 V−0の難燃性格付け)を含めて、優れた性質バランスを備えた硬化製品、たとえば積層体をもたらす。
【0017】
本発明は、PCB用プリプレグおよび積層体などの電気用積層体を作るために用いられ得る改善されたエポキシ樹脂系を提供する。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、たとえば次の性質すなわちTg、Td、T288、接着性および難燃性の優れたバランスを有する硬化生成物をもたらし得る一方、靱性、耐湿性、誘電率(Dk)および誘電損率(Df)、熱機械的性質(熱膨張率,モジュラス)ならびに加工ウインドウのような他の性質、ならびにコストに悪影響を及ぼさない。該組成物は、高い熱安定性ならびに優れた総合的性質バランスすなわち高いTg、高い接着性および良好な靱性を備えたプリプレグおよび積層体をもたらす。
【0018】
一般的に、本発明は、エポキシ含有ワニスにおいて、好ましくはフェノール硬化剤とともに、好ましくは2種またはそれ以上の共触媒の、混合触媒系の使用を含む。本発明における触媒の組み合わせは、トリフェニルホスフィンまたはホスホニウム酸誘導体のような窒素を含有しない触媒、およびイミダゾールのような窒素含有触媒を含む。共触媒の相対的濃度は、直接、ゲル化時間およびその他のワニスの性質に影響を与える。さらに、完全に硬化した積層体の熱安定性と触媒の相対的濃度の間に予期されない関係がある、ということが分かった。イミダゾールの濃度が低ければ低いほど、熱安定性は高くなる。たとえば、イミダゾールとトリフェニルホスフィンの組み合わせの使用は、ワニス反応性およびその他のワニス、プリプレグおよび積層体の性質(たとえばTg)を制御するのを可能にする。エポキシ樹脂を硬化するために、たとえばフェノール硬化剤を用いると、熱安定性の改善が見られる。
【0019】
本発明に従って、よくバランスのとれた硬化生成物の諸性質は、130℃より高いガラス転移温度(Tg)、好ましくは140℃より高いTg、より好ましくは150℃より高いTg、そしてさらに好ましくは170℃より高いTg、320℃より高い分解温度(Td)、好ましくは330℃より高いTd、より好ましくは340℃より高いTd、そしてさらに好ましくは350℃より高いTd、1分より長い288℃における離層時間(T288)、好ましくは5分より長いT288、より好ましくは10分より長いT288、そしてさらに好ましくは15分より長いT288、10N/cmより大きい剥離強さ、好ましくは12N/cmより大きい剥離強さ、そしてより好ましくは16N/cmより大きい剥離強さのような銅箔(慣用の1オンス銅箔)への接着性、および少なくともV−1、好ましくはV−0のUL94格付けの難燃性を含む。
【0020】
本発明の硬化可能なハロゲン含有エポキシ樹脂組成物は、少なくとも1種のエポキシ樹脂成分を含む。エポキシ樹脂は、少なくとも1個のビシナルエポキシ基を含有するような化合物である。エポキシ樹脂は飽和または不飽和であり得、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であり得、また置換されていてもよい。エポキシ樹脂はまた、モノマーまたはポリマーであり得る。
【0021】
好ましくは、エポキシ樹脂成分はポリエポキシドである。本明細書において用いるときは、ポリエポキシドとは、1個より多いエポキシ基を含有する化合物または化合物の混合物をいう。本明細書において用いられるポリエポキシドとしては、部分先進(advanced)エポキシ樹脂、すなわち、ポリエポキシドと鎖延長剤の反応生成物であって、分子当たり平均して1個より多い未反応エポキシド単位を有するものが挙げられる。脂肪族ポリエポキシドは、エピハロヒドリンとポリグリコールの既知の反応から製造され得る。脂肪族エポキシドの他の特定の例としては、トリメチルプロパンエポキシドおよびジグリシジル−1,2−シクロヘキサンジカルボキシレートが挙げられる。本発明において用いられ得る好ましい化合物としては、たとえば多価フェノール(すなわち、たとえばジヒドロキシフェノール、ビフェノール、ビスフェノール、ハロゲン化ビフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、アルキル化ビフェノール、アルキル化ビスフェノール、トリスフェノール、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、置換フェノールアルデヒドノボラック樹脂、フェノール−炭化水素樹脂、置換フェノール−炭化水素樹脂およびそれらの任意の組合わせのような分子当たり平均して1個より多い芳香族ヒドロキシル基を有する化合物)のグリシジルエーテルのようなエポキシ樹脂が挙げられる。
【0022】
好ましくは、本発明の樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂は、少なくとも1種のハロゲン化またはハロゲン含有エポキシ樹脂化合物である。ハロゲン含有エポキシ樹脂は、少なくとも1個のビシナルエポキシ基および少なくとも1個のハロゲンを含有する化合物である。ハロゲンはたとえば塩素または臭素であり得、そして好ましくは臭素である。本発明において有用なハロゲン含有エポキシ樹脂の例としては、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびその誘導体が挙げられる。本発明において有用なエポキシ樹脂の例としては、ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から商業的に入手できるD.E.R.TM500シリーズのような商業的に入手できる樹脂が挙げられる。
【0023】
ハロゲン含有エポキシ樹脂は、単独にて、1種もしくはそれ以上の他のハロゲン含有エポキシ樹脂と組み合わせて、または1種もしくはそれ以上の他の異なるハロゲンを含有しないエポキシ樹脂と組み合わせて用いられ得る。ハロゲン化エポキシ樹脂対非ハロゲン化エポキシ樹脂の比率は、好ましくは、硬化された樹脂に難燃性をもたらすように選ばれる。存在し得るハロゲン化エポキシ樹脂の質量は、当該技術分野において知られているように、用いられる特定の化学構造に依存して変動し得る(ハロゲン化エポキシ樹脂中のハロゲン含有率に因る)。それはまた、硬化剤および随意的添加剤を含めて他の難燃剤が組成物中に存在し得る事実に依存する。好ましいハロゲン化難燃剤は、臭素化された、好ましくは、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびその誘導体である。
【0024】
一つの具体的態様において、本発明の組成物に用いられるハロゲン化エポキシ樹脂対非ハロゲン化エポキシ樹脂の比率は、組成物中の総ハロゲン含有量が固形分(充填剤を除く。)基準で2〜40質量パーセント、好ましくは5〜30質量パーセント、そしてより好ましくは10〜25質量パーセントであるような比率である。別の具体的態様において、本発明の組成物に用いられるハロゲン化エポキシ樹脂対非ハロゲン化エポキシ樹脂の質量比率は、100:0〜2:98、好ましくは100:0〜10:90、より好ましくは90:10〜20:80である。別の具体的態様において、本発明の組成物に用いられるハロゲン化エポキシ樹脂対非ハロゲン化エポキシ樹脂の比率は、エポキシ樹脂中の総ハロゲン含有量が固形分基準で2〜50質量パーセント、好ましくは4〜40質量パーセント、そしてより好ましくは6〜30質量パーセントであるような比率である。
【0025】
本発明の組成物に利用されるハロゲン含有エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂化合物は、たとえば、エピハロヒドリンとフェノールもしくはフェノールタイプの化合物から製造された、エピハロヒドリンとアミンから製造された、エピハロヒドリンとカルボン酸から製造された、または不飽和化合物の酸化から製造されたエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂の組合わせであり得る。
【0026】
一つの具体的態様において、本発明の組成物に利用されるエポキシ樹脂としては、エピハロヒドリンとフェノールまたはフェノールタイプの化合物から製造された樹脂が挙げられる。フェノールタイプの化合物としては、分子当たり平均して1個より多い芳香族ヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。フェノールタイプの化合物の例としては、ジヒドロキシフェノール、ビフェノール、ビスフェノール、ハロゲン化ビフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、水素化ビスフェノール、アルキル化ビフェノール、アルキル化ビスフェノール、トリスフェノール、フェノール−アルデヒド樹脂、ノボラック樹脂(すなわち、フェノールと単純アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドの反応生成物)、ハロゲン化フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、置換フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、フェノール−炭化水素樹脂、置換フェノール−炭化水素樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、アルキル化フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、炭化水素−フェノール樹脂、炭化水素−ハロゲン化フェノール樹脂、炭化水素−アルキル化フェノール樹脂またはそれらの組合わせが挙げられる。
【0027】
別の具体的態様において、本発明の組成物に利用されるエポキシ樹脂としては、好ましくは、エピハロヒドリンと、ビスフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、水素化ビスフェノール、ノボラック樹脂、およびポリアルキレングリコール、またはそれらの組合わせとから製造された樹脂が挙げられる。本発明において有用なビスフェノールA系エポキシ樹脂の例としては、ダウ・ケミカル社から商業的に入手できるD.E.R.TM300シリーズおよびD.E.R.TM600シリーズのような商業的に入手できる樹脂が挙げられる。本発明において有用なエポキシノボラック樹脂の例としては、ダウ・ケミカル社から商業的に入手できるD.E.N.TM400シリーズのような商業的に入手できる樹脂が挙げられる。
【0028】
別の具体的態様において、本発明の組成物に利用されるエポキシ樹脂化合物としては、好ましくは、エピハロヒドリンと、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン−置換フェノール樹脂、テトラメチルビフェノール、テトラメチルテトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールAまたはそれらの組合わせとから製造された樹脂が挙げられる。好ましくは、エポキシ樹脂は、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む。
【0029】
かかる化合物の製造は、当該技術分野においてよく知られている。Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第9巻,p.267〜289参照。本発明の組成物に用いるのに適したエポキシ樹脂およびそれらの前駆体の例は、また、たとえば米国特許第5,137,990号明細書および米国特許第6,451,898号明細書にも記載されている。
【0030】
別の具体的態様において、本発明の組成物に利用されるエポキシ樹脂としては、エピハロヒドリンとアミンから製造された樹脂が挙げられる。適当なアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン、アニリンまたはそれらの組合わせが挙げられる。
【0031】
別の具体的態様において、本発明の組成物に利用されるエポキシ樹脂としては、エピハロヒドリンとカルボン酸から製造された樹脂が挙げられる。適当なカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロおよび/もしくはヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸またはそれらの組合わせが挙げられる。
【0032】
別の具体的態様において、エポキシ樹脂とは、上述したような1種またはそれ以上のエポキシ樹脂成分と上述したような1種もしくはそれ以上のフェノールタイプの化合物および/または1種もしくはそれ以上の分子当たり平均して1個より多い脂肪族ヒドロキシル基を有する化合物との反応生成物である先進エポキシ樹脂をいう。その代わりに、エポキシ樹脂は、カルボキシル置換炭化水素(本明細書において、炭化水素主鎖、好ましくはC1〜C40炭化水素主鎖、および1個またはそれ以上のカルボキシル基、好ましくは1個より多い、そして最も好ましくは2個のカルボキシル基を有する化合物をいう。)と反応され得る。C1〜C40炭化水素主鎖は、酸素を所望により含有する直鎖または分枝鎖アルカンまたはアルケンであり得る。有用なカルボン酸置換炭化水素には、脂肪酸および脂肪酸ダイマーがある。脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、ペンタデカン酸、マルガリン酸、アラキジン酸およびそれらのダイマーが挙げられる。
【0033】
本発明の成分(a)であるエポキシ樹脂は、たとえば、オリゴマー状およびポリマー状のビスフェノールAのジグリシジルエーテル、オリゴマー状およびポリマー状のテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、オリゴマー状およびポリマー状のビスフェノールAおよびテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化ビスフェノールAノボラック、オキサゾリドン変性エポキシ樹脂、ならびにそれらの混合物から選択され得る。
【0034】
別の具体的態様において、エポキシ樹脂は、ポリエポキシドと1個より多いイソシアネート基を含有する化合物またはポリイソシアネートとの反応生成物である。好ましくは、かかる反応にて製造されたエポキシ樹脂は、エポキシ末端ポリオキサゾリドンである。
【0035】
一つの具体的態様において、本発明の組成物に利用される成分(b)である硬化剤(curing agent)(硬化剤(hardener)または架橋剤ともいう。)としては、少なくとも1個のフェノール性ヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種の硬化剤化合物、少なくとも1個のフェノール性ヒドロキシル官能基を発生することができる硬化剤化合物、またはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、硬化剤は、フェノール性ヒドロキシル官能基を有する化合物または化合物の混合物である。
【0036】
フェノール性ヒドロキシル官能基を有する化合物(フェノール硬化剤)の例としては、分子当たり平均して1個またはそれ以上のフェノール基を有する化合物が挙げられる。適当なフェノール硬化剤としては、ジヒドロキシフェノール、ビフェノール、ビスフェノール、ハロゲン化ビフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、アルキル化ビフェノール、アルキル化ビスフェノール、トリスフェノール、フェノール−アルデヒド樹脂、フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、ハロゲン化フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、置換フェノール−アルデヒドノボラック樹脂、フェノール−炭化水素樹脂、置換フェノール−炭化水素樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、アルキル化フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、炭化水素−フェノール樹脂、炭化水素−ハロゲン化フェノール樹脂、炭化水素−アルキル化フェノール樹脂またはそれらの組合わせが挙げられる。好ましくは、フェノール硬化剤としては、置換されたもしくは置換されていないフェノール、ビフェノール、ビスフェノール、ノボラックまたはそれらの組合わせが挙げられる。
【0037】
本発明の硬化剤は、たとえば、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0038】
硬化剤としては、また、米国特許第6,645,631号明細書第4欄第57〜67行から第6欄第1〜57行に記載された多官能性フェノール架橋剤のいずれをも挙げることができる。
【0039】
一つの具体的態様において、硬化剤は、ハロゲン化難燃剤を含有する。好ましくは、ハロゲン化難燃剤は臭素化難燃剤である。より好ましくは、臭素化難燃剤は、テトラブロモビスフェノールAまたは誘導体のような臭素化フェノール化合物である。
【0040】
フェノール性ヒドロキシル官能基を発生することができる硬化剤の例は、モノマー状およびオリゴマー状ベンゾオキサジンならびにポリベンゾオキサジンである。本明細書において「発生する」とは、硬化剤化合物を加熱したときに、その硬化剤化合物がフェノール性ヒドロキシル官能基を有する別の化合物(硬化剤として働く)に変わることを意味する。成分(b)の硬化剤の例としては、また、加熱するとフェノール架橋剤(たとえば、米国特許第6,645,631号明細書に記載されているようにベンゾオキサジンを加熱することにより得られる化学種)を形成する化合物も挙げることができる。かかる成分の例としては、また、フェノールフタレインのベンゾオキサジン、ビスフェノールAのベンゾオキサジン、ビスフェノールFのベンゾオキサジン、フェノールノボラックのベンゾオキサジンも挙げられる。上述したかかる成分の混合物もまた用いられ得る。
【0041】
別の具体的態様において、フェノール性ヒドロキシル官能基を含有しないまたはフェノール性ヒドロキシル官能基を発生することが可能でない1種または数種の共硬化剤が、組成物中に存在する。本発明において有用な共硬化剤は、ポリエポキシドまたは先進エポキシ樹脂と反応して硬化剤最終生成物を形成することが当業者に知られた化合物である。かかる共硬化剤としては、アミンおよびジシアンジアミドのようなアミノ含有化合物、ならびにスチレン−無水マレイン酸ポリマーのようなカルボン酸およびカルボン酸無水物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、硬化剤対共硬化剤のモル比(モル比は、エポキシドと反応することの可能な活性基を基準として算出される。)は、100:0〜50:50、好ましくは100:0〜60:40、より好ましくは100:0〜70:30、そしてさらに好ましくは100:0〜80:20である。硬化剤対共硬化剤の質量比は、好ましくは100:0〜50:50、より好ましくは100:0〜60:40、さらに好ましくは100:0〜70:30、そして最も好ましくは100:0〜80:20である。
【0042】
硬化剤対エポキシ樹脂の比率は、好ましくは、完全硬化樹脂をもたらすのに適当である。存在し得る硬化剤の量は、当該技術分野において知られているように、用いられる特定の硬化剤に依存して変動し得る(硬化化学および硬化剤当量に因る)。一つの具体的態様において、成分(a)であるエポキシ樹脂のエポキシ基と成分(b)である硬化剤の反応性水素基の間のモル比は、1:2〜2:1、好ましくは1.5:1〜1:1.5、そしてより好ましくは1.2:1〜1:1.2である。共硬化剤がフェノール硬化剤と組み合わせて用いられるならば、上述したモル比は硬化剤の組合わせに基づくべきである。
【0043】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる成分(c)である硬化触媒(硬化促進剤ともいう。)は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の活性基との反応を促進する、2種またはそれ以上の触媒化合物(共触媒)の混合物である。
【0044】
本発明の混合触媒系は、硬化剤と共に働いて、構造用複合材または積層体のような最終製造物品において硬化剤とエポキシ樹脂の間の不融性反応生成物を形成する。不融性反応生成物とは、エポキシ樹脂が本質的に完全に硬化されていることを意味し、たとえば、2回の連続したTg測定間の変化(ΔTg)がほとんどまたは全くない時にそうであり得る。
【0045】
一つの具体的態様において、本発明の触媒は、(i)少なくとも1種の窒素含有触媒化合物と、(ii)少なくとも1種の窒素原子を含有しない触媒化合物、特に有機リンを含有する触媒化合物との組み合わせを含む。本発明の触媒は、(i)アミン、イミダゾール、アミド、およびそれらの組み合わせのような窒素含有化合物と、(ii)ホスフィン、ホスホニウム化合物、およびそれらの組み合わせのようなリン含有化合物との組み合わせを含む。
【0046】
本発明の成分(c)(i)である窒素含有触媒は、たとえば、アミン、アミド、置換されたイミダゾールおよび置換されていないイミダゾールならびにそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましくは、第一の触媒は、窒素含有化合物であり、たとえば複素環式窒素化合物、アミンおよびアンモニウム化合物が挙げられる。適当な触媒化合物の例としては、欧州特許第0954553号明細書に列挙された化合物もまた挙げられる。
【0047】
アミンの例としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラジンまたは2−ジメチルアミノ−1−ピロリンが挙げられる。
【0048】
アンモニウム塩の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボラートが挙げられる。
【0049】
ジアザビシクロ化合物の例としては、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンまたは1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタン、およびこのジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボラート、フェノール塩、フェノールノボラック塩または2−エチルヘキサン酸塩が挙げられる。
【0050】
好ましくは、窒素含有触媒化合物は、イミダゾール、イミダゾールの誘導体またはそれらの混合物である。適切なイミダゾールの例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジンまたは2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。イミダゾールの誘導体としては、たとえば、トリメリット酸1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム、イソシアヌル酸2−メチルイミダゾリウム、テトラフェニルホウ酸2−エチル−4−メチルイミダゾリウムまたはテトラフェニルホウ酸2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムのようなイミダゾリウム塩およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
本発明に有用な窒素原子を含有しない触媒すなわち成分の(c)(ii)は、リン含有化合物であり、その例としては、トリフェニルホスフィンおよびホスホニウム酸誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、窒素原子を含有しない第二の触媒としては、ホスフィン化合物、ホスホニウム化合物、アルソニウム化合物もしくはスルホニウム化合物またはそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、第二の触媒は、ホスフィン化合物、ホスホニウム化合物またはそれらの組み合わせのようなリン含有化合物である。
【0052】
リン含有硬化促進剤の例としては、限定するものではないが、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィンまたはトリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、(トリス(シアノエチル)ホスフィン)のようなホスフィン化合物、テトラフェニルホウ酸テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルホウ酸メチルトリブチルホスホニウム、テトラフェニルホウ酸メチルトリブチルホスホニウム、またはテトラフェニルホウ酸メチルトリシアノエチルホスホニウムのようなホスホニウム化合物が挙げられる。
【0053】
有機リン化合物の特定の例として挙げられるのは、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルフォスフィン、臭化テトラメチルホスホニウム、ヨウ化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラメチルホスホニウム、塩化トリメチルシクロヘキシルホスホニウム、臭化トリメチルシクロヘキシルホスホニウム、塩化トリメチルベンジルホスホニウム、臭化トリメチルベンジルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化トリフェニルメチルホスホニウム、ヨウ化トリフェニルメチルホスホニウム、塩化テトラフェニルエチルホスホニウム、臭化トリフェニルエチルホスホニウム、ヨウ化トリフェニルエチルホスホニウム、塩化トリフェニルベンジルホスホニウム、臭化トリフェニルベンジルホスホニウムおよびそれらの組み合わせである。
【0054】
本発明のエポキシ樹脂組成物に利用される触媒の量は、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を触媒するのに有効な量である。当該技術分野において知られているように、利用されるべき触媒の量は、組成物に利用される諸成分、加工要件および製造されるべき物品の性能目標に依存する。一つの具体的態様において、用いられる硬化促進剤の量は、好ましくはエポキシ樹脂(a)(固形分基準)に対して0.001質量パーセント〜10質量パーセント、より好ましくは0.01質量パーセント〜5質量パーセント、さらに好ましくは0.02質量パーセント〜2質量パーセント、そして最も好ましくは0.04質量パーセント〜1質量パーセントである。硬化促進剤の量は、170℃におけるゲル化時間により特徴づけられる適当な反応性を達成するように調整され得る。一般的に、170℃における樹脂のストロークキュアーゲル化時間は、90秒〜600秒、好ましくは120秒〜480秒、そしてより好ましくは180秒〜420秒に維持される。
【0055】
一つの具体的態様において、窒素含有触媒と非窒素含有化合物との比率は、固形物質量基準で、好ましくは95:5〜5:95であり、好ましくは90:10〜10:90、そしてより好ましくは80:20〜20:80である。
【0056】
成分(c)である触媒系の全部または触媒系の一部は、好都合には、硬化剤成分(b)中に組み込まれ得る。
【0057】
一般的に、本発明の組成物に用いられる成分(d)である難燃剤化合物は、ハロゲン化化合物である。好ましい難燃剤は、臭素化難燃剤である。臭素化難燃剤の例としては、ハロゲン化エポキシ樹脂(とりわけ臭素化エポキシ樹脂)、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)およびその誘導体、ダウ・ケミカル社から入手できるD.E.R.TM542およびD.E.R.TM560、臭素化フェノールノボラックおよびそのグリシジルエーテル、TBBAエポキシオリゴマー、TBBAカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、ポリブロモフェニレンオキシド、ヘキサブロモベンゼンならびにテトラブロモビスフェノールS、ならびにそれらの混合物が挙げられる。所望により、難燃剤は、部分的にまたは全体として、エポキシ樹脂(a)、フェノール硬化剤(b)、またはそれらの組合わせ中に組み込まれ得る。適当な追加的難燃剤添加剤の例は、「難燃剤−101基礎動力学−過去の努力が将来の好機を作り出す」,Fire Retardants Chemicals Association,Baltimore Marriot Inner Harbour Hotel,メリーランド州ボルチモア,1996年3月24〜27日において提出された論文に与えられている。
【0058】
所望により、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、エポキシ樹脂組成物、特にプリプレグおよび積層体を作るためのエポキシ樹脂組成物に典型的に用いられ、かつ本発明の組成物またはそれからの最終硬化生成物の性質または性能に悪影響を及ぼさない他の成分を含有し得る。たとえば、エポキシ樹脂組成物に有用な他の随意的成分は、強化剤、硬化抑制剤、充填剤、湿潤剤、着色剤、難燃剤、溶媒、熱可塑性樹脂、加工助剤、蛍光化合物(たとえばテトラフェノールエタン(TPE)またはその誘導体)、UV遮蔽性化合物および他の添加剤を含有し得る。本発明のエポキシ樹脂組成物はまた、無機充填剤および追加的難燃剤(たとえば酸化アンチモン、オクタブロモジフェニルオキシド、デカブロモジフェニルオキシド、リン酸)のような他の随意的成分、ならびに当該技術分野において知られている他の成分(限定するものではないが、たとえば、染料、顔料、界面活性剤、流れ制御剤、可塑剤)を含み得る。
【0059】
一つの具体的態様において、エポキシ樹脂組成物は、所望により、相分離ミクロドメインを生じる強化剤を含有し得る。好ましくは、強化剤は、平均サイズが5μm未満、好ましくは2μm未満、より好ましくは500nm未満、そしてさらに好ましくは100nm未満の相分離ドメインまたは粒子を生じる。好ましくは強化剤はブロックコポリマー強化剤であり、より好ましくは強化剤はトリブロック強化剤であり、あるいは強化剤は予備形成粒子、好ましくはコア−シェル型粒子からなる。特に、トリブロックコポリマーは、ポリスチレン、ポリブタジエンおよびポリ(メタクリル酸メチル)セグメント、またはポリ(メタクリル酸メチル)およびポリ(アクリル酸ブチル)セグメントを有し得る。好ましくは、強化剤は、硬化された系のTgを実質的に低減しない(すなわち、15℃未満、好ましくは10℃未満、より好ましくは5℃未満のTgの低減)。存在する場合、強化剤の濃度は、0.1〜30phr、好ましくは0.5〜20phr、より好ましくは1〜10phr、そしてさらに好ましくは2〜8phrである。
【0060】
高Tg積層体の場合において、強化剤の使用は、靱性および銅への接着性を改善するために必要とされ得る。スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル(SBM)ポリマーのようなブロックコポリマーは、Tg、Tdおよび水吸収のような積層体の他の性質に対するマイナス影響なしに靱性を改善する故に非常に適当である。とりわけ有利には、エポキシ含有ワニス中の触媒補助剤とエポキシ含有ワニス中のSBMポリマーのようなブロックコポリマー強化剤との組合わせは、好ましくはフェノール硬化剤と共に、優れた性質バランス(すなわち、高いTd、高いTgおよび良好な靱性)を備えた積層体に通じる。
【0061】
別の具体的態様において、エポキシ樹脂組成物は、所望により、蛍光化合物およびUV遮蔽性化合物(たとえばテトラフェノールエタン)を含有し得る。好ましくは、蛍光化合物は、テトラフェノールエタン(TPE)または誘導体である。好ましくは、UV遮蔽性化合物は、TPEまたは誘導体である。
【0062】
別の具体的態様において、本発明の組成物は、ホウ酸のような硬化抑制剤を含有し得る。一つの具体的態様において、ホウ酸の量は、好ましくはエポキシ樹脂(a)(固形分基準)に対して0.01〜3質量パーセント、より好ましくは0.1〜2質量パーセント、そしてさらに好ましくは0.2〜1.5質量パーセントである。この具体的態様において、イミダゾール触媒の一部の存在を維持することが特に有用であり、何故ならホウ酸はイミダゾールと錯体を形成し、しかしてこれらの錯体は該組成物に対して潜触媒として働くからである。
【0063】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、また、所望により、溶媒を組成物のその他の成分と共に含有し得、あるいはエポキシ樹脂、硬化剤および/または触媒化合物のようなその他の成分のいずれもが、所望により、溶媒と組み合わせて用いられ得または溶媒中に別々に溶解され得る。好ましくは、溶媒中の固形分の濃度は、50パーセント以上90パーセント以下の固形分、好ましくは55パーセント〜80パーセント、そしてより好ましくは60パーセント〜70パーセントの固形分である。適当な溶媒の例としては、限定するものではないが、ケトン、アルコール、水、グリコールエーテル、芳香族炭化水素およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルピロリジノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルアミルケトン、メタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。ただ1種の溶媒を用いてもよいが、また複数種の別個の溶媒を一つまたはそれ以上の成分に対して用いてもよい。エポキシ樹脂および硬化剤に対する好ましい溶媒は、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ならびにエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはジプロピレングリコールのメチル、エチル、プロピルもしくはブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルまたは1−メトキシ−2−プロパノールのようなエーテルアルコールおよびそれぞれのアセテートである。本発明の触媒に対する好ましい溶媒としては、アルコール、ケトン、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、グリコールエーテル(たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノメチルエーテル)およびそれらの組合わせが挙げられる。
【0064】
本発明の一つの具体的態様の例示として、本発明の組成物の典型的成分は、次のものを含む。すなわち、
(a)オリゴマー状およびポリマー状のビスフェノールAのジグリシジルエーテル、オリゴマー状およびポリマー状のテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、オリゴマー状およびポリマー状のビスフェノールAおよびテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化ビスフェノールAノボラック、オキサゾリドン含有エポキシ樹脂またはそれらの混合物のようなエポキシ樹脂、
(b)フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、モノマー状、オリゴマー状およびポリマー状ベンゾオキサジンまたはそれらの混合物のようなフェノール硬化剤、
(c)(i)イミダゾールのような窒素含有触媒と、(ii)トリフェニルホスフィンのようなリン含有触媒との混合物、および
(d)TBBAおよびその誘導体のような難燃剤添加剤。
【0065】
本発明の組成物の諸成分は、任意の順序で一緒に混合され得る。好ましくは、本発明の組成物は、エポキシ樹脂を含む第一の組成物およびフェノール硬化剤を含む第二の組成物を調製することにより生成され得る。第一の組成物または第二の組成物のいずれかは、また、硬化触媒、および/または難燃剤化合物をも含んでもよい。すべての他の成分が同じ組成物中に存在してもよいし、あるものが第一の組成物中に、そしてあるものが第二の組成物中に存在してもよい。次いで、第一の組成物は第二の組成物と混合されて、硬化可能なハロゲン含有の難燃性エポキシ樹脂組成物を生成する。
【0066】
本発明の硬化可能なハロゲン含有エポキシ樹脂組成物は、引抜き、成形、カプセル封入または被覆によるような業界においてよく知られた技法により複合材料を作るために用いられ得る。本発明の樹脂組成物は、それらの熱的性質の故に、高温連続使用の用途向けの物品の製造にとりわけ有用である。それらの例としては、電気用積層体および電気用カプセル封入品が挙げられる。他の例としては、成形粉末、被覆剤、構造用複合部品およびガスケットが挙げられる。
【0067】
本明細書に記載されたエポキシ樹脂組成物は、様々な形態で存在し得る。特に、記載された様々な組成物は、粉末形態で、熱溶融物でまたは溶液もしくは分散体で存在し得る。様々な組成物が溶液または分散体で存在するような具体的態様において、組成物の様々な成分は同じ溶媒中に溶解または分散してもよいし、あるいはその成分に対して適当な溶媒中に別々に溶解し、次いでこれらの様々な溶液を一緒にし混合してもよい。組成物が部分的に硬化または先進されているような具体的態様において、本発明の組成物は、粉末形態で、溶液形態で、または特定の基材上における被覆状態で存在し得る。
【0068】
一つの具体的態様において、本発明は、樹脂被覆物品を製造する方法を提供する。該方法の工程は、物品または基材を本発明のエポキシ樹脂組成物と接触させることを含む。本発明の組成物は、当業者に知られた任意の方法により物品と接触され得る。かかる接触方法の例としては、粉末塗布、吹付け塗布、ダイ塗布、ロール塗布、樹脂注入法、および物品を該組成物を含有する浴と接触させることが挙げられる。好ましい具体的態様において、物品はワニス浴中で該組成物と接触される。別の具体的態様において、本発明は、本発明の方法により製造された物品、とりわけプリプレグおよび積層体を提供する。
【0069】
本発明はまた、補強材を本発明の組成物で含浸することにより得られたプリプレグを提供する。
【0070】
本発明はまた、金属箔を本発明の組成物で被覆することにより得られた金属被覆箔を提供する。
【0071】
本発明はまた、上記のプリプレグおよび/または上記の金属被覆箔を積層することにより得られる改善された性質を備えた積層体を提供する。
【0072】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、補強材、たとえばガラス布の含浸がされやすく、そして耐熱性および難燃性の両方を有する生成物に硬化し、そのため該組成物は、よい性質バランスを有しかつ高温における機械的強度および電気絶縁に関して十分に信頼性のある積層体の製造に適している。電気用積層体のような積層体を作るために、本発明のエポキシ樹脂硬化触媒を利用する本発明のエポキシ樹脂組成物は、補強材料に含浸され得る。本発明の組成物で被覆され得る補強材料としては、複合材、プリプレグ、積層体の形成において当業者により用いられる任意の材料が挙げられる。適切な基材の例としては、織布、メッシュ生地、マット、繊維のような繊維含有材料、ならびにデラウェア州ウィルミントンのデュポン社(DuPont)から入手できる商標THERMOUNT下で販売されているもののような不織アラミド補強材が挙げられる。好ましくは、かかる材料は、ガラス、ガラス繊維、石英、紙(セルロース系または合成系であり得る)、熱可塑性樹脂基材(たとえばアラミド補強材、ポリエチレン、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリ(p−フェニレンベンゾビスチアゾール)、シンジオタクチックポリスチレン)、カーボン、グラファイト、セラミックまたは金属から作られる。好ましい材料としては、ガラスまたは織布もしくはマット形態のガラス繊維が挙げられる。
【0073】
一つの具体的態様において、補強材料は、溶媒または溶媒の混合物中に溶解されそして親密に混合された本発明のエポキシ樹脂組成物を含むワニス浴と接触される。補強材料がエポキシ樹脂組成物で被覆されるような条件下で、被覆が行われる。その後、被覆補強材料は加熱帯域に、溶媒を蒸発させるのに十分な温度しかし該樹脂組成物が加熱帯域における滞留時間中に著しい硬化を受ける温度より低い温度にて通される。
【0074】
補強材は、好ましくは1秒〜300秒、より好ましくは1秒〜120秒、そして最も好ましくは1秒〜30秒の浴中の滞留時間を有する。かかる浴の温度は、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは10℃〜40℃、そして最も好ましくは15℃〜30℃である。加熱帯域における被覆補強材料の滞留時間は、0.1分〜15分、より好ましくは0.5分〜10分、そして最も好ましくは1分〜5分である。
【0075】
かかる帯域の温度は、残存する溶媒を蒸発させて除くのに十分であるが、しかし滞留時間中に諸成分の完全硬化をもたらすことになるほど高くはない。かかる帯域の好ましい温度は、80℃〜250℃、より好ましくは100℃〜225℃、そして最も好ましくは150℃〜210℃である。好ましくは、加熱帯域には、不活性ガスを炉に通すかまたは炉にわずかな真空を引き起こすかのどちらかにより溶媒を除去するための手段がある。多くの具体的態様において、被覆材料は、増加する温度の複数帯域に曝される。初めの諸帯域は、溶媒が除去され得るようそれを蒸発させるように計画される。その後の諸帯域は、エポキシ樹脂成分の部分硬化(B段階)をもたらすことになるように計画される。
【0076】
プリプレグの1枚またはそれ以上のシートは、好ましくは、所望により銅のような導電性材料の1枚またはそれ以上のシートと共に、積層体に加工される。かかる更なる加工において、被覆補強材料の1つまたはそれ以上のセグメントまたは部材は、互いにおよび/または導電性材料と接触される。その後、かかる接触された部材は、エポキシ樹脂を硬化させるのに十分な高圧および高温に曝され、しかして隣接部材上の樹脂は反応して補強材料間に連続したエポキシ樹脂マトリックスを形成する。硬化される前に、部材は切断されそして積み重ねられてまたは折り畳まれそして積み重ねられて所望の形状および厚さの部品にされ得る。用いられる圧力は1psi〜1000psiの範囲内の任意の圧力でよいが、10psi〜800psiが好ましい。諸部材または積層体中の樹脂を硬化するために用いられる温度は、特定の滞留時間、用いられる圧力および用いられる樹脂に依存する。用いられ得る好ましい温度は、100℃〜250℃、より好ましくは120℃〜220℃、そして最も好ましくは170℃〜200℃である。滞留時間は、好ましくは10分〜120分、そしてより好ましくは20分〜90分である。
【0077】
一つの具体的態様において、本方法は連続法であり、しかして補強材料は炉から取り出され、そして所望される形状および厚さに適切に整えられそして非常に高い温度にて短時間プレスされる。特に、かかる高温は、1分〜10分および2分〜5分の時間にて、180℃〜250℃、より好ましくは190℃〜210℃である。かかる高速プレスにより、加工装置のより効率的な利用が可能にされる。かかる具体的態様において、好ましい補強材料は、ガラスウエブまたは織布である。
【0078】
いくつかの具体的態様において、積層体または最終製品をプレス機の外で後硬化に付すことが望ましい。この工程は、硬化反応を完了するように計画される。後硬化は、通常、130℃〜220℃にて20分〜200分の期間遂行される。この後硬化工程は、揮発し得る成分を除去するために、真空中で遂行され得る。
【0079】
本発明による組成物を利用して製造された積層体は、優れた性質バランス、すなわち優れたガラス転移温度(Tg)、分解温度(Td)、288℃における離層時間(T288)、銅箔への接着性(銅剥離強さ)および難燃性(少なくともUL94 V−1の難燃性格付け)のよくバランスのとれた兼備を示す。
【0080】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物から製造された積層体は、先行技術の組成物、たとえば触媒補助剤なしに促進剤(たとえばイミダゾールのような)を含有するものを利用する積層体と比較される場合、向上した熱的性質を示す。別の具体的態様において、本発明の触媒および触媒補助剤を利用して製造された積層体は、離層時間、離層温度およびガラス転移温度(Tg)のようなよくバランスのとれた性質を示す。
【0081】
Tgは、20℃/分の加熱速度にて示差走査熱量法により測定して、℃にて、イミダゾール促進剤を利用して製造された比較し得る系についてのTgの少なくとも90パーセント、好ましくは少なくとも95パーセント、そしてより好ましくは少なくとも98パーセントに維持される。本明細書において用いられる場合、Tgは、現時の硬化状態における熱硬化可能な樹脂組成物のガラス転移温度をいう。プリプレグが熱に曝される時に、樹脂は更なる硬化を受けそしてそのTgは増加し、しかしてプリプレグが曝される硬化温度の相当する増加を要する。樹脂の極限または最大Tgは、本質的に完全な化学反応が達成された点である。樹脂の「本質的に完全な」反応は、樹脂の加熱中において更なる反応発熱が示差走査熱量法(DSC)により認められない時に達成される。
【0082】
288℃への10℃/分の加熱速度にて熱機械分析器で測定された場合の本発明の組成物を用いて製造された積層体の離層時間(T288)は、触媒補助剤なしに上記のイミダゾール促進剤を利用して製造された積層体と比較される場合、離層時間に関して少なくとも5パーセント、好ましくは少なくとも10パーセント、より好ましくは少なくとも20パーセント、さらに好ましくは少なくとも50パーセント、そして最も好ましくは少なくとも100パーセント増加する。
【0083】
加えて、本発明の組成物から製造された積層体は、また、加熱中において試料質量の約5パーセントが失われるところの分解温度(Td)についての熱的性質において、測定し得る改善を示す。別の具体的態様において、本発明の積層体の分解温度Tdは、イミダゾール促進剤を利用して製造された積層体と比較される場合、少なくとも2℃、好ましくは少なくとも4℃、より好ましくは少なくとも8℃増加される。
【0084】
改善された熱的性質に加えて、水吸収、銅剥離強さ、誘電率および誘電正接のような本発明の組成物から製造された積層体の非熱的性質は、公知促進剤を利用する先行技術の処方物の非熱的性質と匹敵し得る。
【0085】
好ましくは、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化後、次の優れた性質バランスを備えた硬化積層体製品をもたらす。すなわち、優れたガラス転移温度(Tg>130℃、好ましくはTg>150℃、より好ましくはTg>170℃)、分解温度(Td>320℃、好ましくはTd>330℃、より好ましくはTd>340℃、さらに好ましくはTd>350℃)、288℃における離層時間(T288>1分、好ましくは>5分、より好ましくは>10分、さらに一層好ましくは>15分)、銅箔への接着性(銅剥離強さ>10N/cm、好ましくは>12N/cm、より好ましくは>16N/cm)、難燃性(少なくともUL94 V−1、好ましくはUL94 V−0の難燃性格付け)。
【0086】
好ましくは、本発明の組成物は、また、ワニス加工ウインドウを改善する。プリプレグを製造する先進中の粘度上昇は、かかる組成物を含有しない同様な系よりもスムーズである。
【実施例】
【0087】
本発明は、次の実施例を参照して、さらに詳しく説明する。次の実施例は本発明の様々な具体的態様を例示するために述べられており、そして本発明の範囲を限定するようには意図されていない。別段記載されていなければ、これらの実施例における部および百分率はすべて質量基準である。
【0088】
次の実施例において用いられた原料についての様々な用語、略号および呼称は、次のとおり説明される。
EEWは、エポキシ当量(固形分基準)を表す。
HEWは、フェノール性ヒドロキシル当量(固形分基準)を表す。
Brパーセントは、臭素含有率(質量基準,固形分基準)を表す。
【0089】
エポキシ樹脂溶液Aは、臭素化エポキシ樹脂の溶液(EEW=239,Brパーセント=19.5パーセント,DOWANOLTMPMA、DOWANOLTMPMおよびメタノールの混合物中77パーセント固形分)である。(DOWANOLはダウ・ケミカル社の商標である。)
エポキシ樹脂溶液Bは、オキサゾリドン変性エポキシ樹脂と臭素化エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂の配合物の溶液(EEW=294,Brパーセント=21.6パーセント,アセトン、DOWANOL PMA、DOWANOL PMおよびメタノールの混合物中75パーセント固形分)である。
エポキシ樹脂溶液Cは、オキサゾリドン変性エポキシ樹脂と臭素化エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂の配合物の溶液(EEW=285,Brパーセント=18.8パーセント,アセトン、DOWANOL PMAおよびメタノールの混合物中76パーセント固形分)である。
エポキシ樹脂溶液Dは、臭素化エポキシ樹脂の溶液(EEW=203,Brパーセント=9.3パーセント,MEK、DOWANOL PMAおよびDOWANOL PMの混合物中82パーセント固形分)である。
エポキシ樹脂溶液Eは、トリブロックコポリマー強化剤ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートを6質量パーセント(固形分基準)含む臭素化エポキシ樹脂溶液(EEW=220,Brパーセント=8.7パーセント,MEK、DOWANOL PMAおよびメタノールの混合物中74パーセント固形分)である。
【0090】
EBPANは、エポキシ化ビスフェノールAノボラックを表す。実施例で使用したEBPANは、EEWが206である。
硬化剤樹脂溶液Fは、臭素化フェノール樹脂溶液(HEW=138,Brパーセント=22.4パーセント,MEKおよびDOWANOL PMの混合物中53パーセント固形分)である。
硬化剤樹脂溶液Gは、0.5質量パーセント(固形分基準)のTPPを含む臭素化フェノール樹脂溶液(HEW=140,Brパーセント=22.5パーセント,MEKおよびDOWANOL PMの混合物中60パーセント固形分)である。
硬化剤樹脂溶液Hは、臭素化フェノール樹脂溶液(HEW=139,Brパーセント=22.4パーセント,MEKおよびDOWANOLTM PMAの混合物中53パーセント固形分)である。
硬化剤樹脂溶液Iは、フェノール硬化剤溶液(DOWANOL PMA中50パーセント固形分,EEW=105)である。
硬化剤樹脂溶液Jは、酸無水物硬化剤溶液(MEKおよびDOWANOL PMAの混合物中50パーセント固形分,EEW=398)である。
【0091】
エポキシ樹脂溶液Kは、トリブロックコポリマー強化剤ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートを7.6質量パーセント(固形分基準)含む臭素化エポキシ樹脂の溶液(EEW=221,Brパーセント=9パーセント,メチルエチルケトンおよびDOWANOL PMAの混合物中76パーセント固形分)である。
エポキシ樹脂溶液Lは、トリブロックコポリマー強化剤ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートを6.7質量パーセント(固形分基準)含む臭素化エポキシ樹脂の溶液(EEW=259,Brパーセント=20パーセント,メチルエチルケトンおよびDOWANOL PMAの混合物中74パーセント固形分)である。
エポキシ樹脂溶液Mは、臭素化エポキシ樹脂の溶液(EEW=267,Brパーセント=27パーセント,メチルエチルケトンおよびDOWANOLTM PMAの混合物中76パーセント固形分)である。
【0092】
PNはフェノールノボラックを表す。実施例において使用したPNは、HEWが104であり、ディニア社(Dynea)から商業的に入手できる。
BPANはビスフェノールAノボラックを表す。実施例において使用したBPANは、HEWが120であり、ボーデン・ケミカル社(Borden Chemical)から商業的に入手できる。
TPEはテトラフェノールエタンを表す。実施例において使用したTPEは、HEWが140であり、ボーデン・ケミカル社から商業的に入手できる。
TBBAはテトラブロモビスフェノールAを表す。実施例において使用したTBBAは、Brパーセントが59%、HEWが272であり、アルベマール社(Albemarle)から商業的に入手できる。
BPAはビスフェノールAを表す。実施例において使用したBPAは、HEWが114であり、ダウ・ケミカル社から商業的に入手できる。
【0093】
Dicyはジシアンジアミドを表す。
DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを表す。
TPPはトリフェニルホスフィンを表す。
2−MIは2−メチルイミダゾールを表す。
2−PhIは2−フェニルイミダゾールを表す。
2E−4MIは2−エチル−4−メチルイミダゾールを表す。
【0094】
SBM E−40は、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチルトリブロックポリマーであり、アルケマ社(Arkema)から商業的に入手できる。(SBMはアルケマ社の商標である。)
BYK‡−W903は、湿潤および分散添加剤であり、ビーワイケー・ケミー社(BYK Chemie)から商業的に入手できる。(‡BYKはビーワイケー・ケミー社の商標である。)
DOWANOLTM PMは、プロピレングリコールメチルエーテルであり、ダウ・ケミカル社から商業的に入手できる。
DOWANOL PMAは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートであり、ダウ・ケミカル社から商業的に入手できる。
MEKは、メチルエチルケトンを表す。
【0095】
実施例において使用したガラス強化材は、7628型Eガラス織布(731仕上げ)であり、ポーチャー・インダストリー社(Porcher Industrie)から入手できる。
実施例において使用した銅箔は、サーキット・ホイル社(Circuit Foil)から入手できるTW等級のグールド・エレクトロニクス社(Gould Electronics)製の標準的な35ミクロン(1オンス)である。
【0096】
或る性質を測定するためにこれらの実施例において用いられた標準試験方法および手順は、次のとおりである。
【0097】
【表1】

【0098】
加熱板上におけるフィルム硬化のための硬化スケジュール:170℃にて10分、次いで190℃にて90分。
【0099】
実施例 − 一般手順
個々の樹脂、硬化剤および促進剤触媒成分を適当な溶媒中に室温にて溶解しそしてこれらの溶液を混合することにより、エポキシ樹脂ワニス処方物を調製した。エポキシ樹脂ワニスをスタイル7628ガラス布(ポーチャー(Porcher)731仕上げ)上に塗布しそして横型実験室処理炉で173℃にて2〜5分乾燥して溶媒を蒸発させかつ反応性のエポキシ/硬化剤混合物を不粘着性のB段階に先進させることにより、プリプレグを製造した。銅箔(サーキットホイル(Circuit Foil)TW,35μm)のシート間に挟まれた1〜8枚のプリプレグプライを用いそして190℃にて90分間プレスして、積層体を製造した。約43〜45パーセントに等しい積層体の樹脂含有率に制御するために、圧力が調節された。
【0100】
本明細書にて提示された本発明によりもたらされる性能増加を証明するために、樹脂および硬化剤のいくつかの異なる系を試験し、しかしてこれらの系は次の実施例により要約される。
【0101】
実施例1
【0102】
【表2】

【0103】
上記のこれらのワニス組成物からフィルムを作製し、そして試験した。これらのフィルムの試験結果は、次のとおりであった。
【0104】
【表3】

【0105】
実施例1Bおよび1Cにおいて提供されたフィルムは、比較例1Aのワニス組成物から作製されたフィルムと比較された場合、改善された熱安定性を示した一方、同様なTgを維持した。TPPの濃度が高いほど、Tdも高くなった。
【0106】
実施例2
【0107】
【表4】

【0108】
上記のこれらのワニス組成物からフィルムを作製し、そして試験した。これらのフィルムの試験結果は、次のとおりであった。
【0109】
【表5】

【0110】
実施例2Aおよび2Bにおいて提供されたフィルムは、優れた熱的性質を示した。TPPの濃度が高いほど、Tdも高くなった。
【0111】
実施例3
【0112】
【表6】

【0113】
上記のこれらのワニス組成物からフィルムを作製し、そして試験した。これらのフィルムの試験結果は、次のとおりであった。
【0114】
【表7】

【0115】
実施例3Bのワニス組成物から作製されたフィルムは、比較例3Aのワニス組成物から作製されたフィルムと比較された場合、改善された熱安定性を示した一方、同様なTgを維持した。
【0116】
実施例4
【0117】
【表8】

【0118】
上記のこれらのワニス組成物からフィルムを作製し、そして試験した。これらのフィルムの試験結果は、次のとおりであった。
【0119】
【表9】

【0120】
実施例4Aおよび4Bにおいて提供されたフィルムは、優れた熱的性質を示した。
【0121】
実施例5
【0122】
【表10】

【0123】
上記のこれらのワニス組成物からフィルムを作製し、そして試験した。これらのフィルムの試験結果は、次のとおりであった。
【0124】
【表11】

【0125】
実施例5Bにおいて提供されたフィルムは、比較例5Aにおいて提供されたフィルムと比較された場合、改善された熱安定性を示した一方、最小のTg低下を示した。
【0126】
実施例6
【0127】
【表12】

【0128】
上記のこれらのワニス組成物からフィルムを作製し、そして試験した。これらのフィルムの試験結果は、次のとおりであった。
【0129】
【表13】

【0130】
実施例6Bおよび6Cにおいて提供されたフィルムは、比較例6Aのワニス組成物から作製されたフィルムと比較された場合、改善された熱安定性を示した一方、最小のTg低下を示した。TPPの濃度が高いほど、Tdも高くなった。
【0131】
実施例7 − プリプレグおよび積層体の製造
上記の実施例6Cに記載したワニス組成物を用いて7628タイプのEガラス布を含浸し、次いで実験室炉で部分的に硬化しプリプレグシートを得た。標準35μm銅箔の2枚のシート間に上記のプリプレグの8枚のプライを積み重ねて、銅クラッド積層体を生成させた。この構築物を190℃において1時間30分間プレスした。積層体の樹脂含有率は、約43パーセントであった。
【0132】
【表14】

【0133】
実施例7に記載された積層体は、優れた性質バランス、すなわち優れた熱安定性、Tg、難燃性、誘電率、低い吸湿性、および良好な銅剥離強さを示した。
【0134】
実施例8
【0135】
【表15】

【0136】
実施例8のワニス固形分は、DOWANOL PMで、62パーセントに調整した。170℃におけるワニスゲル化時間は253秒であった。
【0137】
実施例9 − プリプレグの製造
上記の実施例8に記載されたワニス組成物を用いて7628タイプのガラス布を含浸し、次いで実験室処理装置に通して次の特性を有するプリプレグを得た。
【0138】
【表16】

【0139】
実施例10 − 積層体の製造
標準35μm銅箔の2枚のシート間に上記の実施例9のプリプレグの9枚のプライを積み重ねて、銅クラッド積層体を生成させた。この構築物を190℃において20N/cm2にて1時間30分間プレスした。積層体の樹脂含有率は、約43パーセントであった。
【0140】
【表17】

【0141】
実施例10に記載された積層体は、顕著な性質バランス、すなわち優れた熱安定性、Tg、難燃性、耐湿性、銅への接着性および靱性を示した。高いTg、高いTd、高い銅剥離強さおよび高い靱性の兼備は、とりわけ注目に値する。
【0142】
実施例11
【0143】
【表18】

【0144】
実施例11のワニス固形分は、DOWANOL PMで、65パーセントに調整した。170℃におけるワニスゲル化時間は271秒であった。
【0145】
実施例12 − プリプレグの製造
上記の実施例11に記載されたワニスを用いて7628タイプのガラス布を含浸し、次いで実験室処理装置に通して次の特性を有するプリプレグを得た。
【0146】
【表19】

【0147】
実施例13 − 積層体の製造
標準35μm銅箔の2枚のシート間に上記の実施例12のプリプレグの8枚のプライを積み重ねて、銅クラッド積層体を生成させた。この構築物を190℃において20N/cm2にて1時間30分間プレスした。積層体の樹脂含有率は、約43パーセントであった。
【0148】
【表20】

【0149】
実施例13に記載された積層体は、顕著な性質バランス、すなわち優れた熱安定性、Tg、難燃性、誘電率、耐湿性、銅への接着性および靱性を示した。高いTg、高いTd、高い銅剥離強さおよび高い靱性の兼備は、とりわけ注目に値する。
【0150】
実施例14
【0151】
【表21】

【0152】
実施例14のワニス固形分は、DOWANOL PMで、65パーセントに調整した。170℃におけるワニスゲル化時間は288秒であった。
【0153】
実施例15 − プリプレグおよび積層体の製造
上記の実施例14に記載されたワニスを用いて7628タイプのガラス布を含浸し、次いで実験室処理装置に通してプリプレグを得た。170℃におけるプリプレグゲル化時間は90秒であった。標準35μm銅箔の2枚のシート間に上記のプリプレグの8枚のプライを積み重ねて、銅クラッド積層体を生成させた。この構築物を190℃において20N/cm2にて1時間30分間プレスした。積層体の樹脂含有率は、約43パーセントであった。
【0154】
【表22】

【0155】
実施例15に記載された積層体は、顕著な性質バランス、すなわち優れた熱安定性、Tg、難燃性、誘電率、およびz方向の熱膨張係数を示した。高いTg、高いTd、きわめて低いCTEおよび良好な銅剥離強さの兼備は、とりわけ注目に値する。
【0156】
実施例16
【0157】
【表23】

【0158】
実施例17 − プリプレグおよび積層体の製造
上記の実施例16に記載したワニスを用いて7628タイプのガラス布を含浸し、次いで実験室炉で部分的に硬化しプリプレグシートを得た。標準35μm銅箔の2枚のシート間に上記のプリプレグの8枚のプライを積み重ねて、銅クラッド積層体を生成させた。この構築物を190℃において1時間30分間プレスした。積層体の樹脂含有率は、約43パーセントであった。
【0159】
【表24】

【0160】
実施例17Bから作製された積層体は、最良の性質バランス、すなわち高いTgおよび高い耐熱性を示した。一方、比較例17Aから作製された積層体は、高いTgを示したが、耐熱性が低かった。比較例Cから作製された積層体は、高い耐熱性を示したが、Tgが低かった。
【0161】
実施例18
【0162】
【表25】

【0163】
【表26】

【0164】
実施例18Aおよび18Bにおいて提供されたフィルムは、優れた熱的性質を示した。酢酸エチルトリフェニルホスホニウムの濃度が高いほど、Tdも高くなった。
【0165】
実施例19
【0166】
【表27】

【0167】
実施例19のワニスはすべて、ゲル化時間が約240秒であった。
【0168】
実施例20 − プリプレグおよび積層体の製造
上記の実施例19に記載したワニスを用いて7628タイプのガラス布を含浸し、次いで実験室炉で部分的に硬化しプリプレグシートを得た。標準35μm銅箔の2枚のシート間に上記のプリプレグの8枚のプライを積み重ねて、銅クラッド積層体を生成させた。この構築物を190℃において1時間30分間プレスした。積層体の樹脂含有率は、約43パーセントであった。
【0169】
【表28】

【0170】
実施例20Bおよび実施例20Cから得られた積層体は、比較例20Aから作製されたフィルムと比較された場合、改善された熱安定性および銅剥離強さを示した一方、高いTgを維持した。
【0171】
本発明は特定の具体的態様に言及して説明および例示されてきたけれども、本発明は本明細書に必ずしも例示されていない変型に適するということを当業者は認識するであろう。従って、こういう理由で、本発明の真の範囲を決定する目的のためには、もっぱら特許請求の範囲が参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ハロゲン含有エポキシ樹脂組成物であって、
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂、
(b)少なくとも1種の硬化剤(ただし、該硬化剤は、フェノール性ヒドロキシル官能基を含有する化合物または加熱するとフェノール性ヒドロキシル官能基を発生することができる化合物である。)、および
(c)(i)少なくとも1種の窒素含有触媒化合物を含む少なくとも1種の第一の触媒化合物、および(ii)少なくとも1種のリン含有触媒化合物を含む少なくとも1種の第二の触媒化合物の組み合わせを含む触媒量の触媒系
を含み、
前記の成分(a)〜(c)の少なくとも一つもしくはそれ以上はハロゲン化されているもしくはハロゲンを含有する、または前記の成分のいずれもハロゲン化されていないならば該樹脂組成物は(d)窒素原子を含有しないハロゲン化もしくはハロゲン含有難燃剤化合物を含み、
該樹脂組成物のストロークキュアーゲル化時間が170℃において測定した場合に90秒〜600秒に維持されており、かつ
該硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化することにより形成される硬化生成物が次のよくバランスのとれた性質すなわち
(1)130℃超のTg、
(2)320℃超のTd、
(3)1分超のT288、
(4)10N/cm超の銅への接着性、および
(5)少なくともV−1のUL94難燃性格付け
を有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ樹脂が、ハロゲン含有エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
ハロゲン含有エポキシ樹脂が、臭素化エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
ハロゲン含有エポキシ樹脂が、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルまたは誘導体であることを特徴とする請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
エポキシ樹脂が、オキサゾリドン変性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記触媒系の第一の窒素含有触媒化合物がイミダゾール化合物またはその誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記触媒系の第二のリン含有触媒化合物が、窒素を含有せず、そしてホスフィン化合物、ホスホニウム化合物、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
前記触媒系の第二のリン含有触媒化合物がトリフェニルホスフィンであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
硬化剤がハロゲン含有硬化剤であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
硬化剤が、フェノール性ヒドロキシル官能基を含む化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
硬化剤が、フェノール、またはビスフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、水素化ビスフェノール、ノボラック樹脂、ポリアルキレングリコールおよびそれらの組合わせからなる群から選択されたフェノール型化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
硬化剤化合物が、臭素化難燃剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
臭素化難燃剤がテトラブロモビスフェノールAまたは誘導体であることを特徴とする請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
硬化剤が、加熱するとヒドロキシル官能基を発生することができる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
硬化剤が、ベンゾオキサジンまたはポリベンゾオキサジンであることを特徴とする請求項14に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項16】
強化剤を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項17】
強化剤がブロックコポリマーであることを特徴とする請求項16に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項18】
スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチルのトリブロックコポリマー(SBM)またはメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルのトリブロックコポリマー(MAM)を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項19】
溶媒を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項20】
硬化抑制剤を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項21】
硬化抑制剤がホウ酸であることを特徴とする請求項19に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項22】
組成物中に存在する硬化剤の量は、エポキシ樹脂対硬化剤のモル比が2:1〜1:2であるような量であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項23】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を含むマトリックスを含む繊維強化複合物品。
【請求項24】
電気回路用の積層体またはプリプレグである、請求項23に記載の繊維強化複合物品。
【請求項25】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物の絶縁被膜を有する電気回路部品。
【請求項26】
被覆物品を製造する方法であって、物品を請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物で被覆し、そしてその被覆物品を加熱して該エポキシ樹脂を硬化することを含む方法。
【請求項27】
(a)織布、および
(b)請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物
を含むプリプレグ。
【請求項28】
(a)請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を含む基材、および
(b)該基材の少なくとも1つの表面上に配置された金属の層
を含む積層体。
【請求項29】
基材がさらにガラス織布の補強材を含み、エポキシ樹脂および硬化剤が該ガラス織布に含浸されていることを特徴とする請求項28に記載の積層体。
【請求項30】
請求項28に記載の積層体で作られた印刷回路板(PCB)。
【請求項31】
樹脂被覆物品を製造する方法であって、基材を請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物と接触させることを含む方法。
【請求項32】
基材が金属箔であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
金属箔が銅であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
エポキシ樹脂組成物が、さらに1種またはそれ以上の溶媒を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
エポキシ樹脂組成物が、粉末、熱溶融物、溶液または分散液の形態にあることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項36】
接触させる方法が、粉末塗布、吹付け塗布、ダイ塗布、ロール塗布、樹脂注入、および基材をエポキシ樹脂組成物を含む浴と接触させることからなる群から選択されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項37】
基材が、ガラス、ガラス繊維、石英、紙、熱可塑性樹脂、不織アラミド補強材、カーボン、グラファイト、セラミック、金属およびそれらの組合わせからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項38】
物品がプリプレグであり、基材がガラス、ガラス繊維、石英、紙、熱可塑性樹脂、不織アラミド補強材、カーボン、グラファイトおよびそれらの組合わせからなる群から選択された材料を含み、そして接触させることをエポキシ樹脂組成物および所望により1種またはそれ以上の溶媒を含む浴中で行うことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項39】
基材が、ガラスまたは織布もしくはマット形態のガラス繊維であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
触媒が、イミダゾールまたはイミダゾールの混合物であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項41】
触媒補助剤が、カルボン酸、カルボン酸無水物またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項42】
触媒補助剤が、トリメリット酸無水物、トリメリット酸無水物の誘導体またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項43】
触媒補助剤が、総固形分基準で0.1質量パーセント〜10質量パーセントの量で使用されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項44】
触媒補助剤が、180℃において10Pa・s未満の粘度を有する液体であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項45】
触媒補助剤が、180℃において5質量パーセント/分未満の蒸発速度を有する液体であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項46】
前記触媒系の第一の窒素含有触媒化合物がイミダゾール化合物またはその誘導体であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項47】
前記触媒系の第二のリン含有触媒化合物が、窒素を含有せず、そしてホスフィン化合物、ホスホニウム化合物、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項48】
前記触媒系の第二のリン含有触媒化合物がトリフェニルホスフィンであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項49】
エポキシ樹脂が、臭素化エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項50】
エポキシ樹脂が、オキサゾリドン変性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項51】
硬化剤が、フェノール、またはビスフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、水素化ビスフェノール、ノボラック樹脂、ポリアルキレングリコールおよびそれらの組合わせからなる群から選択されたフェノール型化合物であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項52】
硬化剤化合物が臭素化難燃剤を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項53】
臭素化難燃剤がテトラブロモビスフェノールAまたは誘導体であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項54】
請求項31に記載の方法により製造された樹脂被覆物品。
【請求項55】
請求項31に記載の方法により製造されたプリプレグ。

【公表番号】特表2009−521562(P2009−521562A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547455(P2008−547455)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048484
【国際公開番号】WO2007/075718
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】