説明

燃料噴射制御装置

【課題】燃料噴射精度を長期間に亘り維持することができる燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】噴孔44の開閉を制御するニードル12を駆動する圧電駆動部24と圧電駆動部24に作用する荷重に応じた荷重信号を出力する荷重センサ部23とを有する燃料噴射弁2を制御するECU4は、内燃機関が冷間始動である判定したとき、始動運転状態またはアイドル運転状態における圧電駆動部24に蓄積される充電エネルギおよびその時に荷重センサ部23に作用する荷重、メモリ手段5aに記憶されている基準となる充電エネルギおよび荷重に基づいて荷重センサ部23を校正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電駆動部を用いた燃料噴射装置の燃料噴射制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
噴孔からの燃料噴射を断続する弁部材を含む噴射機能部品の少なくとも一つを駆動することにより弁部材の駆動を制御する圧電駆動部と、圧電駆動部が駆動したときの圧電駆動部より受ける荷重に応じた出力信号を出力する荷重センサ部と、を有する燃料噴射装置に備えられ、圧電駆動部を制御する燃料噴射制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この燃料噴射制御装置では、圧電駆動部の特性変化や寸法公差などに起因する燃料噴射特性のばらつきを抑制すべく、荷重センサ部からの出力信号に基づき圧電駆動部に供給する閉弁・開弁信号を学習補正している。
【特許文献1】特開平10−288119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の燃料噴射装置では、荷重センサ部として圧電体を利用している。このため、圧電駆動部と同様、荷重センサ部も経時劣化する。特に、荷重センサ部は、圧電駆動部と異なり、高電圧が印加される構成とはなっていない。このため、圧電体を含んでなる荷重センサ部は、圧電駆動部に比べ、分極劣化が発生する可能性が大きい。分極劣化が発生すると、所定の荷重に対する荷重センサ部から出力される出力信号が変化してしまう。これでは、圧電駆動部を適切に制御することができないという問題が発生する。
【0005】
そこで、荷重センサ部の校正が必要となる。一般的にセンサの校正の精度を向上させるには、センサへの外乱を極力排除することが要求される。ここで、荷重センサ部は、燃料噴射装置内に収容されているため、内燃機関の運転状態に応じて大きく変動する圧電駆動部に蓄積される充電エネルギ、燃料噴射装置に導入される燃料圧力、内燃機関からの熱、および圧電駆動部が駆動することにより発生する熱などの影響を受け易い。
【0006】
このため、これらの状況を考慮せずに荷重センサ部の校正を行うと、荷重センサ部は、充電エネルギ、燃料圧力、内燃機関からの熱、および圧電駆動部からの熱の影響を受けるため、校正の精度が低下するおそれがある。
【0007】
校正の精度が低下すると、圧電駆動部の制御性が低下し、圧電駆動部にて駆動される噴射機能部品の制御性も低下する。その結果、噴射時期や噴射量などの燃料噴射特性の精度を長期間に亘り維持することが困難となる。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃料噴射精度を長期間に亘り維持することができる燃料噴射制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、内燃機関に搭載され、内部に導入される燃料を内燃機関の燃焼室に噴射する噴孔を有するボデーと、ボデー内に収容され、噴孔からの燃料噴射を断続する弁部材を含む噴射機能部品と、ボデー内に収容され、充電エネルギを蓄積することにより伸長し、蓄積された充電エネルギを放出することにより収縮する圧電体を含み、噴射機能部品の少なくとも一つを駆動することにより弁部材の駆動を制御する圧電駆動部と、ボデー内に収容され、圧電駆動部に充電エネルギが蓄積されたときに、圧電駆動部に作用する荷重に応じた荷重信号を出力する圧電体を含む荷重センサ部と、を有する燃料噴射装置に備えられ、荷重センサ部からの荷重信号に基づいて圧電駆動部を制御する燃料噴射制御装置であって、
内燃機関の冷間始動を判定する冷間始動判定手段と、内燃機関の始動開始から自立運転するまでの始動運転状態、または無負荷運転状態の少なくともいずれかの運転状態時に圧電駆動部に蓄積される充電エネルギ、および、その充電エネルギを圧電駆動部に蓄積させたときに荷重センサ部より出力される荷重信号を取得する取得手段と、基準充電エネルギと、その基準充電エネルギを圧電駆動部に蓄積させたときに荷重センサ部より出力される基準荷重信号とを記憶させた記憶手段と、冷間始動判定手段が、内燃機関が冷間始動であると判定したとき、取得手段が取得した充電エネルギおよび荷重信号、ならびに基準充電エネルギおよび基準荷重信号に基づいて、荷重センサ部を校正する校正手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、冷間始動判定手段にて内燃機関が冷間始動であることを把握することができる。この判定手段によれば、内燃機関に搭載されている燃料噴射装置内に収容されている荷重センサ部もほぼ外気温と同じ温度であると推定することができる。また、冷間始動時であれば、内燃機関からの熱の影響を受け難い。このため、荷重センサ部の温度は、比較的安定した状態にあるとみなすことができる。
【0011】
そして、取得手段は、始動運転状態、または無負荷運転状態の少なくともいずれかの運転状態に圧電駆動部に蓄積される充電エネルギと、その充電エネルギが蓄積されたときに荷重センサ部より出力される荷重信号とを取得している。始動運転状態および無負荷運転状態での充電エネルギは、他の運転状態(例えば、高負荷、低負荷運転状態)での充電エネルギに比べ安定している。このため、そのときに得られる荷重信号も安定する。
【0012】
校正手段は、荷重センサ部の温度が比較的安定している冷間始動のとき、基準となる基準充電エネルギ、基準荷重信号、始動運転状態、または無負荷運転状態の少なくともいずれかの運転状態における安定した充電エネルギ、荷重信号に基づいて、荷重センサ部の校正を実施する。校正手段はこういった条件のもとで荷重センサ部を校正しているため、校正の精度向上を阻害する、センサ部への外乱を極力排除することができる。これにより、荷重センサ部の校正の精度を向上させることができるのである。その結果、圧電駆動部の制御性を長期間に亘り維持することができ、ひいては、燃料噴射特性の精度を長期間に亘り維持することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、荷重センサ部の温度に基づいて温度補正係数を算出する補正係数算出手段を有しており、校正手段は、補正係数算出手段にて算出された温度補正係数を加味して、荷重センサ部を校正することを特徴としている。
【0014】
一般的に圧電体は温度特性を有しており、荷重センサ部に作用する荷重が同じであっても、温度に応じて出力信号の大きさが変化する。
【0015】
この発明によれば、校正手段は、荷重センサ部の温度に基づいて補正係数算出手段にて算出された温度補正係数を加味して荷重センサ部を校正しているため、圧電体の温度特性を加味して校正を行うことができ、校正の精度がより向上する。
【0016】
請求項3に記載の発明は、始動運転状態、および無負荷運転状態時に圧電駆動部に蓄積される充電エネルギは、それぞれの運転状態に対応する予め定められたエネルギ量であることを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、始動運転状態および無負荷運転状態時に圧電駆動部に蓄積される充電エネルギが、それぞれの運転状態に対応する予め定められたエネルギ量であると、校正時に使用する充電エネルギをより安定させることができる。その結果、校正の精度が格段に向上する。
【0018】
請求項4に記載の発明は、取得手段は、始動運転状態に対応する予め定められた始動時充電エネルギ並びに無負荷運転状態に対応する予め定められた無負荷時充電エネルギと、圧電駆動部に始動時充電エネルギ並びに無負荷時充電エネルギが蓄積されたときに荷重センサ部より出力されるそれぞれの荷重信号を取得し、校正手段は、取得手段が取得した、始動時充電エネルギ並びに無負荷時充電エネルギ、およびそれぞれの荷重信号に基づいて、荷重センサ部を校正することを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、校正手段は、始動時充電エネルギ並びに無負荷時充電エネルギと、圧電駆動部に始動時充電エネルギ並びに無負荷時充電エネルギが蓄積されたときに荷重センサ部より出力されるそれぞれの荷重信号とに基づいて、荷重センサ部の校正を行っているので、校正に使用するポイントを複数にすることができる。このため、荷重センサ部の校正の精度を向上させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、取得手段は、無負荷運転状態に対応する予め定められた無負荷時充電エネルギと、圧電駆動部に無負荷時充電エネルギが蓄積されたときに荷重センサ部より出力される荷重信号を取得し、校正手段は、取得手段が取得した、無負荷時充電エネルギ、および荷重信号に基づいて、荷重センサ部を校正することを特徴としている。
【0021】
無負荷運転状態での排出ガス規制は高負荷運転状態に比べ厳しい。また、無負荷運転状態では、燃料噴射装置から噴射される燃料噴射量は非常に少ない。このため、この運転状態での要求噴射量に対する噴射量のばらつきの割合は、高負荷運転状態に比べ高い。このため、この運転状態での燃料噴射特性の精度を向上させる必要がある。
【0022】
この発明によれば、校正手段は、無負荷時充電エネルギと、圧電駆動部に無負荷時充電エネルギが蓄積されたときに荷重センサ部より出力される荷重信号とに基づいて、荷重センサ部の校正を行っているので、少なくとも無負荷運転状態での荷重センサ部の校正の精度は高い。このため、無負荷運転状態での燃料噴射特性の精度は確保できる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、校正手段が荷重センサ部の校正を行う際に使用する荷重信号は、最も大きな値を示す最大荷重信号から充電エネルギが放出されるまでの間に出力される単位時間当たりの変化量が最も小さい安定荷重信号であることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、校正手段は、最も大きな値を示す最大荷重信号から充電エネルギが放出されるまでの間に出力される単位時間当たりの変化量が最も小さい安定荷重信号を校正する際に使用しているため、変化量の大きい時期の荷重信号を使用する場合に比べ荷重センサ部の校正の精度を向上させることができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、冷間始動判定手段は、外気温度を取得する外気温度取得手段と、内燃機関の機関温度を取得する機関温度取得手段と、を有し、取得した外気温度と機関温度とを比較することにより冷間始動を判定することを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、冷間始動判定手段は、取得した外気温度と機関温度とを比較するという簡単な判定方法により内燃機関が冷間始動であるか否かを判定することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明は、機関温度取得手段は、内燃機関を冷却する冷却水温度、または内燃機関の潤滑に利用する潤滑油温度を取得することを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、一般的に内燃機関を制御する上で必要な冷却水温度または潤滑油温度を取得し、それらのいずれかを機関温度としているため、別途センサ等の手段を使用することなく機関温度を得ることができる。また、この請求項8に記載の発明を請求項7に記載の発明とともに請求項2に記載の発明に利用することにより、荷重センサ部の温度を検出する温度センサ等を燃料噴射装置に設けずとも荷重センサ部の温度を把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態による燃料噴射制御装置4を含む燃料供給装置1の全体構成を示している。燃料供給装置1は、ディーゼルエンジンなどの多気筒内燃機関の各気筒に燃料を供給する。燃料供給装置1が取り扱う燃料は、ディーゼル燃料に限らずガソリン燃料であっても良い。
【0031】
燃料供給装置1は、燃料噴射弁2、駆動回路3、電子制御装置4(以下、「ECU」という)などを備えている。なお、燃料噴射弁2は特許請求の範囲に記載の「燃料噴射装置」に、電子制御装置4は特許請求の範囲に記載の「燃料噴射制御装置」に相当する。
【0032】
燃料噴射弁2は、蓄圧器(図示せず)に蓄えられた高圧燃料を各気筒内に直接燃料を噴射する。燃料噴射弁2に供給された燃料のうち、燃料噴射に利用されなかった燃料はリターン経路8より燃料タンク10に戻される。
【0033】
燃料噴射弁2は、ノズル11、制御弁18、およびアクチュエータ部21などから構成され、これらの部品は、棒状に形成されているボデー40に収容されている。
【0034】
ボデー40は、蓄圧器からの高圧燃料が導入される燃料入口部41、およびリターン経路8に接続する燃料出口部42を有している。ボデー40の軸方向一端側には、収容部43が形成されている。収容部43には、燃料の噴射、非噴射を制御するノズル11が収容されている。
【0035】
ノズル11は、ニードル12、ノズルスプリング16、およびノズルシリンダ17を有している。ニードル12は、収容部43内に摺動自在に保持されている。収容部43の軸方向一端側には、高圧燃料通路46を介して燃料入口部41と連通する噴孔44が形成されている。
【0036】
この噴孔44の燃料入口部41側には、ニードル12に形成されているシート部13が着座する弁座45が形成されている。弁座45にシート部13が着座することにより、噴孔44への燃料の流れが閉ざされ、噴孔44からの燃料の噴射が停止する。弁座45からシート部13が離座することにより、噴孔44への燃料の流れが許容され、噴孔44から燃料が噴射する。
【0037】
ノズルシリンダ17は、筒状に形成されており、ニードル12のシート部13とは反対側の端部に形成されているピストン部14を内周側に摺動自在に、かつ液密的に挿入している。ノズルシリンダ17は、ピストン部14および収容部43の内壁とともに内部の燃料圧力が高圧と低圧とに切り替えられる制御室52を形成する。
【0038】
ニードル12のシート部13とピストン部14との間にはフランジ部15が形成され、このフランジ部15とノズルシリンダ17との間には、ノズルスプリング16が設けられている。このノズルスプリング16は、ニードル12を、シート部13が弁座45に着座する方向、つまり閉弁方向に付勢する。
【0039】
ニードル12は、制御室52内の燃料圧力により閉弁方向に付勢される。また、ニードル12は、燃料入口部41から高圧燃料通路46を介して収容部43に導かれる高圧燃料によりシート部13が弁座45から離座する方向、つまり開弁方向に付勢される。ニードル12は、制御室52内の燃料圧力、収容部43に導かれる高圧燃料の燃料圧力、およびノズルスプリング16の付勢力のバランスにより、閉弁方向または開弁方向への移動が決定される。
【0040】
制御弁18は、ボデー40の軸方向中間部に形成されているバルブ室53内に収容され、制御室52内の燃料圧力の高圧、低圧を切り替え制御する。バルブ室53は、制御室52と常時連通する連絡通路50、収容部43から分岐した高圧連絡通路47、低圧燃料通路48と接続している。連絡通路50には、コモンオリフィス51が設けられている。
【0041】
制御弁18は、弁体19、およびバルブスプリング20を有している。弁体19は、バルブ室53の内壁における低圧燃料通路48の開口部の周囲に形成されている低圧側シート面54に離着座することにより、バルブ室53と低圧燃料通路48との間の連通、遮断を制御する。
【0042】
また、弁体19は、バルブ室53の内壁における高圧連絡通路47の開口部の周囲に形成されている高圧側シート面55に離着座することにより、バルブ室53と高圧連絡通路47との間の連通、遮断を制御する。
【0043】
弁体19は、低圧側シート面54に着座しているときは、高圧側シート面55から離座しており、反対に低圧側シート面54から離座しているときは、高圧側シート面55に着座する。バルブスプリング20は、低圧側シート面54に着座させる向きに弁体19を付勢する。
【0044】
アクチュエータ部21は、ボデー40の軸方向他端側に形成されているアクチュエータ室56に収容されている。アクチュエータ室56は、低圧連絡通路49を介して低圧燃料通路48に接続している。
【0045】
燃料タンク10と燃料出口部42とを接続するリターン経路8には、低圧燃料通路48側の圧力を制御する背圧弁9が配置されている。蓄圧器内に蓄えられた高圧燃料の圧力が100MPa以上であるのに対し、背圧弁9は低圧燃料通路48側の燃料圧力を1MPa程度に制御する。
【0046】
アクチュエータ部21は、圧電アクチュエータ22、および変位伝達部30を有している。圧電アクチュエータ22は、主に圧電体を複数積層させることにより構成されており、電荷の充放電により伸縮する。
【0047】
変位伝達部30は、圧電アクチュエータ22の伸縮変位を制御弁18の弁体19に伝達する。変位伝達部30は、アクチュエータシリンダ31、第一ピストン32、および第二ピストン33を有する。第一ピストン32および第二ピストン33は、アクチュエータシリンダ31の内周側に摺動自在に、かつ液密的に挿入されている。第一ピストン32と第二ピストン33との間には、燃料が充填された液室34が形成されている。
【0048】
第一ピストン32は、第一スプリング35により圧電アクチュエータ22側に向かって付勢されている。第一ピストン32は、圧電アクチュエータ22により直接駆動される。圧電アクチュエータ22の伸長時、第一ピストン32が液室34に向かって移動するため、液室34内の燃料圧力が上昇する。
【0049】
第二ピストン33は、第二スプリング36により制御弁18の弁体19側に向かって付勢されている。第二ピストン33は、弁体19と機械的に接続されており、第二ピストン33が液室34内の燃料圧力を受けて弁体19に向かって移動することにより、弁体19をバルブ室53と低圧燃料通路48との間を連通する方向に移動させる。
【0050】
圧電アクチュエータ22の伸長時、第一ピストン32は液室34の方向に移動する。すると液室34内の燃料圧力は上昇する。第二ピストン33は、液室34内の高圧化された燃料圧力を受け、弁体19をバルブ室53と低圧燃料通路48との間を連通するとともに、バルブ室53と高圧燃料通路46との間の連通を遮断する方向に移動させる。これにより、弁体19は、バルブ室53と低圧燃料通路48との間を連通し、バルブ室53と高圧燃料通路46との間の連通を遮断する。
【0051】
圧電アクチュエータ22の収縮時、液室34内の燃料圧力は低下する。第二ピストン33は、制御弁18のバルブスプリング20の付勢力により第一ピストン32側に移動する。バルブスプリング20の付勢力は、第二スプリング36の付勢力よりも大きい。弁体19は、バルブ室53と低圧燃料通路48との間の連通を遮断し、バルブ室53と高圧連絡通路47との間を連通する。
【0052】
圧電アクチュエータ22は、圧電体ユニット22aおよび金属製のハウジング22bを有している。圧電体ユニット22aは、圧電体層Pと内部電極層Eとを積層させたものであって、内部電極層Eより圧電体層Pに電圧を印加することにより伸長する圧電駆動部24と、伸長する際に作用する荷重を検出する荷重センサ部23とを有する。荷重センサ部23は、圧電体層Pの圧電効果を利用したセンサである。荷重センサ部23を構成する内部電極層Eから、荷重に応じた電圧信号が取り出される。
【0053】
圧電アクチュエータ22は、駆動回路3に接続されている。駆動回路3は、圧電駆動部24に充電電流を供給し、圧電駆動部24の充電電圧を高めることにより、充電エネルギが圧電駆動部24へ蓄積される。圧電駆動部24の伸長量は充電エネルギに応じて変化する。駆動回路3には、ECU4が接続されている。ECU4は、ECU4が取得した各種センサからの各種情報に基づき設定される圧電駆動部24への充電エネルギおよび圧電駆動部24への通電タイミングに応じた充電制御信号を生成し、圧電駆動部24に出力する。ここで、圧電駆動部24に蓄積される充電エネルギとは、圧電駆動部24に流れる充電電流と充電電圧とを充電行程中に測定し、測定した充電電流と充電電圧との積を時間積分したものである。
【0054】
また、荷重センサ部23は、駆動回路3に接続されている。荷重センサ部23からの電荷と電圧信号は、駆動回路3を介してECU4に入力される。ECU4には、吸入空気量、アクセルペダル踏み込み量、内燃機関回転数、蓄圧器内の燃料圧力などを検出する各種センサ(図示せず)とも接続され、これらの各種センサからの信号が入力されるようになっている。
【0055】
本実施形態では、圧電アクチュエータ22の圧電駆動部24を充放電させる方法として、マルチスイッチング方式(以下、「MS方式」という)を採用している。
【0056】
駆動回路3は、直流電源(図示せず)からインダクタ(図示せず)を介して圧電アクチュエータ22に通電する経路中に、直流電源を直接切り離すことができるスイッチング素子(図示せず)を備えている。MS方式では、ECU4からの充電制御信号に基づいて、当該スイッチング素子を複数回オン/オフすることにより、圧電アクチュエータ22の圧電駆動部24を数回に分けて充電する。
【0057】
スイッチング素子がオンしている間は、圧電駆動部24へ漸増する充電電流が流れる。スイッチング素子がオフされると、フライホイール作用で圧電駆動部24へ漸減する充電電流が流れる。このように圧電駆動部24に充電電流が流れる間、圧電駆動部24の圧電体層Pにおける充電電圧は増加し続ける。なお、MS方式の詳細な駆動方法や回路構成などは、例えば特開2001−53348号公報にて周知である。
【0058】
ECU4は、MPU5、AD変換部6、DSP7などを有している。また、MPU5は、取得データや制御プログラムなどの記憶機能を有するメモリ手段5aを備えている。メモリ手段5aは例えば、ROM、EEPROM、およびRAMなどから構成されている。MPU5は、メモリ手段5aに記憶されている制御プログラムに従って演算処理を行う。なお、このメモリ手段5aが特許請求の範囲に記載の「記憶手段」に相当する。
【0059】
ECU4は、荷重センサ部23より入力される電荷と電圧信号とをAD変換部6にて高速A/D処理することにより圧電駆動部24が発生している荷重を算出するとともに、算出した荷重や、各種センサから入力される信号に基づき、圧電駆動部24へ出力する充電制御信号などを生成する。
【0060】
次に、上記燃料供給装置1の作動を説明する。圧電アクチュエータ22が伸長していないとき、第二ピストン33は、制御弁18のバルブスプリング20の付勢力により第一ピストン32側に移動している。これにより、弁体19は、バルブ室53内の燃料圧力を受けて低圧燃料通路48の方向に移動して低圧側シート面54に着座し、バルブ室53と低圧燃料通路48との間の連通を遮断するとともに、バルブ室53と高圧連絡通路47との間を連通する。これにより、バルブ室53内の燃料圧力は、高圧燃料通路46の燃料圧力と等しくなり、バルブ室53と連通している制御室52内の燃料圧力は、高圧燃料通路46の燃料圧力と等しくなる。
【0061】
このとき、高圧燃料通路46の燃料圧力がニードル12の周囲に作用することによるニードル12に発生する開弁方向の力は、制御室52の燃料圧力がニードル12のピストン部14に作用することによるニードル12に発生する閉弁方向の力、およびノズルスプリング16の付勢力によるニードル12に発生する閉弁方向の力の合計よりも小さい。そのため、ニードル12のシート部13が弁座45に着座し、噴孔44からの燃料の噴射が停止する。
【0062】
ECU4からの充電制御信号により圧電アクチュエータ22の圧電駆動部24が伸長すると、圧電駆動部24の伸長にともなって、第一ピストン32は液室34に向かって移動する。すると、液室34内の燃料圧力が上昇する。第二ピストン33は、上昇した燃料圧力を受けて弁体19側に向かって移動する。弁体19は、高圧連絡通路47の方向に移動して高圧側シート面55に着座し、バルブ室53と低圧燃料通路48との間を連通するとともに、バルブ室53と高圧連絡通路47との間の連通を遮断する。すると、制御室52内の燃料は、コモンオリフィス51、連絡通路50、バルブ室53、および低圧燃料通路48を介して燃料タンク10へ戻される。これにより、制御室52内の燃料圧力が低下する。このとき、荷重センサ部23は、圧電駆動部24が伸長したとき、第一、第二ピストン32、33並びに制御弁18の弁体19から圧電駆動部24に作用する荷重Fを検出する。
【0063】
このとき、高圧燃料通路46の燃料圧力がニードル12の周囲に作用することによるニードル12に発生する開弁方向の力は、制御室52の燃料圧力がニードル12のピストン部14に作用することによる閉弁方向の力、およびノズルスプリング16の付勢力による閉弁方向の力の合計よりも大きい。そのため、ニードル12のシート部13が弁座45から離座し、噴孔44からの燃料の噴射が行われる。
【0064】
その後、ECU4からの放電制御信号により圧電駆動部24が収縮すると、圧電駆動部24の収縮にともなって、第二ピストン33はバルブスプリング20の付勢力により第一ピストン32側に移動する。これにより、弁体19は、低圧側シート面54に着座し、バルブ室53と低圧燃料通路48との間の連通を遮断するとともに、バルブ室53と高圧連絡通路47との間を連通する。これにより、蓄圧器からの高圧燃料が高圧燃料通路46、高圧連絡通路47、バルブ室53、連絡通路50、およびコモンオリフィス51を介して制御室52に導入される。
【0065】
これにより、制御室52内の燃料圧力は再び上昇する。このため、ニードル12に発生する開弁方向の力は、ニードル12に発生する閉弁方向の力よりも小さくなり、ニードル12のシート部13が弁座45に着座する。その結果、噴孔44からの燃料の噴射が停止する。圧電アクチュエータ22の伸縮を繰り返すことにより、噴孔44からの燃料の噴射が断続される。
【0066】
なお、本実施形態では、ノズル11、制御弁18、および変位伝達部30が特許請求の範囲に記載の「噴射機能部品」に相当する。
【0067】
次に、燃料噴射弁2から燃料を噴射させる際のECU4、駆動回路3、圧電アクチュエータ22の圧電駆動部24、および圧電駆動部24にて駆動される制御弁18の作動状態について、図2のタイムチャートを用いて説明する。図2は、圧電アクチュエータ22における圧電駆動部24、および制御弁18の弁体19の作動状態を示すタイムチャートである。
【0068】
ECU4は、所望の燃料噴射弁2からの燃料の噴射を許可する噴射許可信号を生成する。噴射許可信号は、ECU4が取得する例えば、吸入空気量、アクセルペダル踏み込み量、内燃機関回転数、蓄圧器内の燃料圧力などの各種情報に基づき生成される。噴射許可信号のオン期間は、所望の燃料噴射弁2に対して最適な噴射量でかつ、最適なタイミングで噴射が行えるように設定される。
【0069】
噴射許可信号が時刻T0にてオンされると、ECU4は、駆動回路3を制御する充電制御信号を生成し、駆動回路3に出力する。具体的には、充電制御信号は、複数回オン/オフを繰り返すような信号である。充電制御信号がオンしている間は、前述したスイッチング素子がオンされて圧電駆動部24へ漸増する充電電流が流れる。充電制御信号がオフしている間はスイッチング素子がオフされてフライホイール作用で圧電駆動部24へ漸減する充電電流が流れる。この動作は複数回行われる。
【0070】
この動作が行われるたびに、圧電駆動部24の充電電圧は、徐々に上昇する。この上昇は、充電制御信号が終了するまで続く。これら一連の動作により、圧電駆動部24には、所定の充電エネルギが蓄積される。圧電駆動部24は、充電電圧が高まるにつれ伸長する。このとき、荷重センサ部23は、圧電駆動部24が伸長したときの第一、第二ピストン32、33並びに制御弁18の弁体19から圧電駆動部24に作用する荷重Fを検出する。荷重センサ部23は、前述の荷重Fの大きさに応じた出力信号を出力する。
【0071】
時刻T0より駆動回路3から圧電駆動部24へ充電電流の供給が開始されると荷重Fは徐々に上昇する。時刻Tが第一時刻T1に達し、荷重Fが第一荷重F1を示すと、弁体19は低圧側シート面54から離座する。
【0072】
弁体19が低圧側シート面54から離座すると、バルブ室53と低圧燃料通路48との間が連通し、バルブ室53内の燃料圧力が低圧燃料通路48に排出される。弁体19が低圧側シート面54および高圧側シート面55のいずれにも着座していない状態では、バルブ室53と低圧燃料通路48との差圧により弁体19を低圧側シート面54に付勢する力は発生しない。このため、荷重Fは時刻Tが第二時刻T2に達するまで下降する。時刻Tが第二時刻T2に達し、荷重Fが第二荷重F2を示すと、弁体19は高圧側シート面55に接触する。弁体19はこれ以上の移動が停止されるため、第二時刻T2以降の荷重Fは再び上昇する。
【0073】
なお、ECU4は、この第一荷重F1と第二荷重F2とを比較することにより、弁体19が低圧側シート面54から離座したか否かを判定することができる。
【0074】
ここで、弁体19が高圧側シート面55に接触し、荷重Fが第二荷重F2から少し上昇した値を示しても、弁体19には、弁体19を高圧側シート面55から離座させる方向に付勢する高圧連絡通路47の燃料圧力が常に作用しているため、確実に弁体19が高圧側シート面55に着座した状態であると推定することはできない。弁体19が高圧側シート面55に確実に着座していると推定するには、弁体19が高圧側シート面55にさらに強く押し付けられ、荷重Fがある程度の値を示すことが必要となる。
【0075】
その指標となる荷重Fが第三荷重F3である。ECU4は、時刻Tが第三時刻T3に達し、荷重Fが第三荷重F3を超えたことを検出すると、弁体19が高圧側シート面55に確実に着座したと推定する。第三時刻T3以降では、弁体19が高圧側シート面55に着座した状態が維持される。これにより、ニードル12のシート部13が弁座45から離座し、噴孔44からの燃料の噴射が行われる。
【0076】
ここで、本実施形態では、圧電駆動部24に蓄積される充電エネルギを高めることにより、弁体19を高圧側シート面55に押し付け、確実に弁体19を高圧側シート面55に着座させている。具体的には、充電制御信号のオン時間を長くすることによって、蓄積される充電エネルギを高め、弁体19を高圧側シート面55に押し付ける力を確保している。一方、反対に押し付ける力を弱めるには、充電制御信号のオン時間を短くすることによって、蓄積される充電エネルギを低くしている。
【0077】
弁体19は、蓄積された充電エネルギに応じて高圧側シート面55に押し付けられるため第三時刻T3以降も荷重Fは上昇を続ける。荷重Fは、所定時間経過後、最大荷重Fpを示し、その後、安定荷重Faに収束する。最大荷重Fpおよび安定荷重Faは、供給する充電エネルギに応じて変化する。ここで、安定荷重Faは、最大荷重Fpから蓄積された充電エネルギが放出されるまでの単位時間当たりの変化量が最も小さくなる荷重Fである。
【0078】
噴射許可信号がオンとなってから所定時間経過後、第四時刻T4に達すると、噴射許可信号はオフとなる。噴射許可信号がオフとなると、図示しない放電制御信号がECU4から駆動回路3に出力される。駆動回路3は、放電制御信号を受信すると、圧電駆動部24に蓄積された充電エネルギを放出させる制御を行う。これにより、荷重Fは、時刻T0よりも以前の状態にまで下降する。これに伴い、弁体19は、高圧側シート面55から離座し、低圧側シート面54に着座する。これにより、ニードル12のシート部13が弁座45に着座し、噴孔44からの燃料の噴射が停止する。
【0079】
ここで、圧電駆動部24への充電を開始(時刻T0)してから噴射が開始されるまでの時間のうち、時刻T0から弁体19がバルブ室53と高圧連絡通路47との間の連通を遮断するまでの第三時刻T3である作動時間ΔTは、圧電駆動部24の影響を受ける。この作動時間ΔTは、圧電駆動部24の個体間のばらつきや経時劣化により、変化する。この作動時間ΔTが変化することにより、ニードル12の動作特性が変化してしまい、燃料噴射弁2の燃料噴射の時期や噴射量などの燃料噴射特性の精度が低下する。
【0080】
本実施形態では、この作動時間ΔTを圧電駆動部24が作動することにより得られる荷重センサ部23からの荷重Fに基づいて調整する。これにより、個体間のばらつきや経時劣化にともなう圧電駆動部24の制御性の低下を防いでいる。このように圧電駆動部24の制御性の低下を防ぐことにより、燃料噴射特性の精度の低下を防いでいる。
【0081】
以上、図2では、ニードル12のシート部13が離座してから、再び着座するまでのECU4、駆動回路3、圧電駆動部24、および制御弁18の作動状態を説明した。一燃料行程でメイン噴射の前後に噴射を行う場合は、この図2で示した作動が噴射回数に応じた数だけ行われることとなる。
【0082】
ここで、本実施形態では、内燃機関の始動運転状態、無負荷運転状態(以下、「アイドル運転状態」という)、通常運転状態などに応じて燃料噴射弁2から噴射される燃料圧力を変化させている。この燃料圧力は、蓄圧器内の燃料圧力をすることにより変化する。例えば、アイドル運転状態では、燃料噴射量は通常運転時に比べ少ない。このため、アイドル運転状態では、蓄圧器内の燃料圧力は、比較的低く設定されている。
【0083】
このため、弁体19を高圧側シート面55に押し付ける力を比較的小さくすることができる。つまり、圧電駆動部24に蓄積された充電エネルギを比較的低くすることができる。それに合わせて、上述した弁体19が高圧側シート面55に着座したことを推定する指標としての第三荷重F3を低く設定し、弁体19が高圧側シート面55に着座したか否かを判定している。
【0084】
一方、始動運転状態では、内燃機関の始動性を高める必要があるため、燃料噴射弁2を確実に作動させる必要がある。このため、圧電駆動部24に蓄積された充電エネルギを比較的高くし、確実に弁体19を高圧側シート面55に着座させている。このため、上述した最大荷重Fpおよび安定荷重Faは、内燃機関の運転状態に応じて変化することとなる。
【0085】
ここで、始動運転状態とは、内燃機関の始動動作を開始してから内燃機関が自立運転に移行するまでの状態をいい、アイドル運転状態とは、アクセルペダルが踏み込まれていないほぼ無負荷の状態をいう。
【0086】
次に、内燃機関を始動してから停止するまでの一連の作動について、図3の制御フローを用いて説明する。図3は、内燃機関の始動開始から停止までの制御フローである。
【0087】
この制御フローは、ECU4が、イグニッションスイッチ(図示しない)がオンとなったことを検出して開始される。
【0088】
図3に示すように、ステップS10(以下、単に「S10」という。他のステップについても同様とする。)では、スタータ(セルモータ)の駆動回路(図示せず)に駆動信号が出力され、スタータが作動する。これにより、内燃機関のクランク軸が回転する。
【0089】
そして、S20では、スタータが作動していることが検出されることにより、運転状態が始動運転状態であると判断され、駆動回路3に始動時充電制御信号および始動時放電制御信号を含む始動時制御信号が出力される。駆動回路3はこの制御信号を受信すると、所定の燃料噴射弁2の圧電駆動部24に、始動時充電エネルギを蓄積させる。本実施形態では、始動時充電エネルギの量は予め定められている。
【0090】
S30では、スタータが停止したか否かが判定される。この処理を通じて、内燃機関が、始動運転状態を脱し、燃焼室にて燃料が燃焼する自立運転に移行したことを判定できる。本実施形態では、スタータはクランク軸の回転変動やトルク変動などに基づき自立運転に移行すると停止するようになっている。本実施形態では、スタータの作動状態を検出することにより内燃機関が自立運転に移行したか否かを判定させているが、クランク軸の回転変動やトルク変動を検出することにより自立運転に移行したか否かを判定させても良い。
【0091】
S30にて、スタータが依然として作動していると判定された場合は、処理はS20に戻り、再び駆動回路3に対して始動時制御信号が出力される。S30にて、スタータが停止したと判定された場合は、処理はS40に進む。
【0092】
S40では、運転状態がアイドル運転状態に移行したとして、駆動回路3にアイドル時充電制御信号およびアイドル時放電制御信号を含むアイドル時制御信号が出力される。駆動回路3はこの制御信号を受信すると、所定の燃料噴射弁2の圧電駆動部24に、アイドル時充電エネルギを蓄積させる。本実施形態では、アイドル時充電エネルギの量は予め定められている。
【0093】
S50では、ECU4に入力されるアクセルペダル踏み込み量の情報から、アクセルペダルが踏まれたか否かが判定される。この処理が実行されることにより、アイドル運転状態から脱し、アクセルペダル踏み込み量に応じた通常運転状態に移行したか否かを判定できる。本実施形態では、アクセルペダル踏み込み量に基づきアイドル運手状態か否かを判定させているが、内燃機関回転数に基づき判定させても良い。また、スロットルバルブ装置が装着されている車種であればスロットルバルブ装置が備えているアイドルスイッチからの信号を受信することで判定させても良い。
【0094】
S50にて、アクセルペダルが踏まれていないと判定された場合は、処理はS40に戻り、再び、駆動回路3にアイドル時制御信号が出力される。S50にて、アクセルペダルが踏まれたと判定された場合は、処理はS60に進む。
【0095】
S60では、アクセルペダルの踏み込み量などに応じた内燃機関の制御を行うべく、駆動回路3に通常時充電制御信号および通常時放電制御信号を含む通常時制御信号が出力される。
【0096】
S70では、イグニッションスイッチがオフとなっているか否かが判定される。この処理を実行されることにより、内燃機関が停止されたか否かを判定させることができる。S70にて、イグニッションスイッチがオフとなっていると判定されれば、この制御フローは終了する。イグニッションスイッチがオンとなっていると判定されれば、処理はS60に戻り、引き続き駆動回路3に通常時制御信号が出力される。
【0097】
次に、荷重センサ部23の校正について、図4から図6を用いて説明する。図4は、荷重センサ部23の校正を行う際の制御フローである。図5は、工場出荷時および劣化後(校正前)におけるそれぞれの圧電駆動部24に蓄積させる充電エネルギと、そのときの荷重との関係を示すグラフである。図5中の破線は工場出荷時における圧電駆動部24の状態を示し、実線は劣化後(校正前)における圧電駆動部24の状態を示している。図6は、荷重センサ部23の温度特性図である。
【0098】
この制御フローは、ECU4が、イグニッションスイッチがオンとなったことを検出して開始される。
【0099】
図4に示すように、S110では、外気温度センサ60(図1を参照)からの出力信号に基づき外気温Tatが取得される。続いて、S120では、内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度センサ61(図1を参照)からの出力信号に基づき水温Tw、および内燃機関潤滑油温度を検出する潤滑油温度センサ62(図1を参照)からの出力信号に基づき油温Toが取得される。さらに、S130では、取得された水温Twおよび油温Toが、外気温Tatとほぼ同じであるか否かが判定される。水温Twおよび油温Toが外気温Tatとほぼ同じであると判定されれば、処理はS140に進み、そうでなければ、荷重センサ部23が内燃機関の熱を受け、適正な校正を行うことができないと判断され、この制御フローは終了する。本実施形態では、S120における処理が特許請求の範囲に記載の「機関温度取得手段」に相当する。
【0100】
S130の処理が実行されることにより、内燃機関の冷間始動を判定させることができる。本実施形態では、S130における処理が特許請求の範囲に記載の「冷間始動判定手段」に相当する。本実施形態では、水温Twおよび油温Toの両方の温度と、外気温Tatとを比較して内燃機関が冷間始動であるか否かが判定されているが、水温Twのみ、油温Toのみから冷間始動を判定させても良い。また、本実施形態では、冷間始動を、取得された水温Twおよび油温Toが外気温Tatとほぼ同じであるか否かで判定している。これは、冷却水温度センサ61、潤滑油温度センサ62、および外気温度センサ60の検出誤差を加味した結果であり、これらの検出誤差に応じて、水温Twまたは油温Toが外気温Tatであるとみなせる範囲を適宜定めれば良い。
【0101】
S140では、駆動回路3へ始動時充電制御信号が出力されたか否かが判定される。駆動回路3へ始動時充電制御信号が出力されたと判定された場合は、処理はS150に進み、始動時充電制御信号が出力されていないと判定された場合は、始動時充電制御信号が出力されるまでS140の処理が繰り返し実行される。
【0102】
S150では、一回の燃焼サイクル中に行われる複数回噴射のうちのメイン噴射の荷重Fasと、その時の始動時充電エネルギEasとが取得される。なお、荷重Fasは、図2に示す荷重Faに相当する荷重Fであり、始動時充電エネルギEasを圧電駆動部24に蓄積させたときの荷重Fである。S150にて取得された荷重Fasおよび始動時充電エネルギEasは、ECU4が備えているメモリ手段5aに一時的に記憶される。本実施形態では、S150における処理が特許請求の範囲に記載の「取得手段」に相当する。
【0103】
S160では、取得された荷重Fasの個数が必要データ数を満たしたか否かが判定される。本実施形態では、必要データ数はn=1としている。この必要データ数は、内燃機関のクランキング時、スタータを作動させたときのクランク軸の回転数と自立運転に移行するまでの時間との関係に基づいて定められる。例えば、内燃機関のフリクションが最大で、スタータに電力を供給するバッテリの電圧が下限値となっているときでは、クランキング時の回転数は約50rpmである。この状態で自立運転に移行するまでの時間が約3秒とすると、荷重Fasが取得できる機会は二回である。このように、内燃機関の始動する条件が悪い場合であっても取得できる荷重Fasは二回であるため、本実施形態では、必要データ数をn=1としている。
【0104】
S160の処理にて、取得された荷重Fasの個数が必要データ数を満たしていれば、処理はS170に進み、満たしていなければ再びS150に処理は戻る。
【0105】
S170では、S150にて取得された荷重Fasおよび始動時充電エネルギEasのそれぞれの平均値である荷重Fasavおよび始動時充電エネルギEasavが算出される。そして、算出された荷重Fasavおよび始動時充電エネルギEasavがメモリ手段5aに一時的に記憶される。取得された荷重Fasや始動時充電エネルギEasが一つの場合は、この処理は必要ない。
【0106】
S180では、駆動回路3へアイドル時充電制御信号が出力されたか否かが判定される。駆動回路3へアイドル時充電制御信号が出力されたと判定された場合は、処理はS190に進に、アイドル時充電制御信号が出力されていないと判定された場合は、アイドル時充電制御信号が出力されるまでS180の処理が繰り返し実行される。
【0107】
S190では、一回の燃焼サイクル中に行われる複数回噴射のうちのメイン噴射の荷重Faaと、その時のアイドル時充電エネルギEaaとが取得される。なお、荷重Faaは、図2に示す荷重Faに相当する荷重Fであり、アイドル時充電エネルギEaaを圧電駆動部24に蓄積させたときの荷重Fである。S190にて取得された荷重Faaおよびアイドル時充電エネルギEaaは、ECU4が備えているメモリ手段5aに一時的に記憶される。本実施形態では、S190における処理が特許請求の範囲に記載の「取得手段」に相当する。
【0108】
S200では、取得された荷重Faaの個数が必要データ数を満たしているか否かが判定される。本実施形態では、必要データ数はn=10程度としている。取得するデータの数は多ければ多いほど、校正の精度を高めることができる。しかしながら、荷重Faaを取得する間にも内燃機関は作動し続けているため、荷重センサ部23の温度は、内燃機関が発する熱や駆動することにより圧電駆動部24が発する熱を受け、上昇してしまう。これでは、取得する荷重Faaに荷重センサ部23の温度上昇に基づく外乱が入ってしまい、却って校正の精度が低下する。必要データ数は以上のことを考慮に入れて定められている。
【0109】
S200の処理にて、取得された荷重Faaの個数が必要データ数を満たしていれば、処理はS210に進み、満たしていなければ再びS190に処理は戻る。
【0110】
S210では、S180にて取得された複数の荷重Faaおよびアイドル時充電エネルギEaaのそれぞれの平均値である荷重Faaavおよびアイドル時充電エネルギEaaavが算出される。そして、算出された荷重Faaavおよびアイドル時充電エネルギEaaavがメモリ手段5aに一時的に記憶される。
【0111】
S220では、上記始動時充電エネルギEasavに相当する基準となる充電エネルギEasfに対応する荷重Fasfと上記荷重Fasavとの差分である荷重ΔFas、および上記アイドル時充電エネルギEaaavに相当する基準となる充電エネルギEaafに対応する荷重Faafと上記荷重Faaavとの差分である荷重ΔFaaが算出される(図5を参照)。
【0112】
ここで、上記基準となる充電エネルギEasfとそれに対応する荷重Fasf、および上記基準となる充電エネルギEaafとそれに対応する荷重Faafは、予めメモリ手段5aに記憶されている基準温度25℃における圧電駆動部24に蓄積される基準となる充電エネルギEと、その充電エネルギEを圧電駆動部24に蓄積させたときに荷重センサ部23より出力される荷重Fとの関係(図5中の破線参照)から導き出されるものである。
【0113】
なお、これら充電エネルギEasfとそれに対応する荷重Fasf、および充電エネルギEaafとそれに対応する荷重Faafは、特許請求の範囲に記載の「基準充電エネルギ」および「基準荷重信号」に相当する。
【0114】
S230では、荷重ΔFasおよび荷重ΔFaaにおける絶対値のそれぞれが、所定の判定値である荷重Fcsおよび荷重Fcaを超えているか否かが判定される。この処理にて、両条件を満たしていれば、処理はS240に進み、満たしていなければ、荷重センサ部23の劣化は進行していないと推定され、この制御フローは終了する。
【0115】
なお、本実施形態では、上記二つの条件の両方が満たされていれば、処理をS240に進めているが、これに限らない。いずれか一方の条件を満たしていても、処理をS240に進めても良い。
【0116】
S240では、図6に図示されている荷重センサ部23の温度特性と、S110の処理にて取得された外気温Tatとに基づいて温度補正係数が算出される。なお、この処理が、特許請求の範囲に記載の「補正係数算出手段」に相当する。
【0117】
S250では、予めメモリ手段5aに記憶されている充電エネルギEasf、Eaaf、荷重Fasf、荷重Faaf、上記S110からS240までの処理にて取得された荷重Fasav、荷重Faaav、始動時充電エネルギEasav、アイドル時充電エネルギEaaav、温度補正係数に基づき、荷重センサ部23の校正が実施される(図5を参照)。ここでの処理が、特許請求の範囲に記載の「校正手段」に相当する。これにより、荷重センサ部23における校正が完了され、この制御フローが終了する。そして、校正された荷重センサ部23から出力される荷重Fを利用して、圧電駆動部24の制御を行う。
【0118】
本実施形態では、ECU4は、荷重センサ部23の温度が比較的安定している冷間始動であることが判定されたとき、充電エネルギEおよび荷重Fが他の運転状態に比べ安定している始動運転状態およびアイドル運転状態における充電エネルギEasav、Eaaav、荷重Fasav、Faaav、基準となる充電エネルギEasf、Eaaf、基準となる荷重Fasf、Faaf、および温度補正係数に基づき、荷重センサ部23の校正を行っている。
【0119】
本実施形態では、こういった条件のもとで荷重センサ部23の校正を実施させているため、校正の精度向上を阻害する、荷重センサ部23への外乱を極力排除することができる。これにより、荷重センサ部23の校正の精度を向上させることができる。その結果、圧電駆動部24の制御性を長期間に亘り維持することができ、ひいては、燃料噴射弁2の燃料噴射特性の精度を長期間に亘り維持することができる。
【0120】
荷重センサ部23は、圧電体層を含んで構成されているので、同じ荷重を作用させた場合であっても温度に応じて出力される信号の量が異なるという温度特性を有している。本実施形態では、校正する条件として、荷重センサ部23の温度が比較的安定している時期を選択しているが、外気温Tatも時間帯、季節、または場所によって変化する。本実施形態では、図6に示す荷重センサ部23の温度特性より温度補正係数を算出し、算出した温度補正係数を加味して荷重センサ部23の校正を実施させている。これによれば、上述した外気温Tatの変化にも対応することができ、より校正の精度が向上する。
【0121】
また、本実施形態では、時刻T0から充電エネルギEを圧電駆動部24に蓄積させ、そのときに荷重センサ部23より出力される荷重Fのうち、安定した荷重Faを利用して校正を実施しているため、他の変動の大きい荷重Fを利用して校正を実施する場合に比べ校正の精度が向上する。
【0122】
安定した荷重Faを利用するのが最も好ましいが、一回の燃焼サイクルあたりの噴射回数を多くした場合、メイン噴射時の安定荷重Faを含む領域が短くなるため、安定荷重Faが得られ難くなる。こういった場合は、安定荷重Faに代えて、制御弁18の弁体19が高圧側シート面55に着座した後の最大荷重Fpを利用して校正を実施させても良い。
【0123】
本実施形態では、始動運転状態時に取得した充電エネルギEasf、荷重Fasf、およびアイドル運転状態時に取得した充電エネルギEaaf、荷重Faafを利用して校正を実施しているため、校正を実施する際のデータ数を多くすることができる。その結果、荷重センサ部23の校正の精度が向上する。
【0124】
本実施形態では、始動運転状態時に圧電駆動部24に蓄積させる充電エネルギEasおよびアイドル運転状態時に蓄積させる充電エネルギEaaを予め定められたエネルギ量としている。これによれば、蓄積させる充電エネルギの変動を小さくし安定させることができる。このため、安定した荷重Fas、Faaを取得することができる。
【0125】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第2実施形態では、内燃機関の始動運転時に圧電駆動部24に蓄積させる充電エネルギの量を、アイドル運転状態時に蓄積させる充電エネルギと同じ量としている。
【0126】
図7は、第2実施形態での内燃機関の始動開始から停止までの制御フローである。この制御フローは、ECU4が、イグニッションスイッチ(図示しない)がオンとなったことを検出して開始される。
【0127】
図7に示すように、S310では、スタータ(セルモータ)の駆動回路(図示せず)に駆動信号が出力され、スタータが作動する。これにより、内燃機関のクランク軸が回転する。
【0128】
そして、S320では、スタータが作動していることが検出されることにより、運転状態が始動運転状態であると判断され、駆動回路3にアイドル時充電制御信号およびアイドル時放電制御信号を含むアイドル時制御信号が出力される。駆動回路3はこの制御信号を受信すると、所定の燃料噴射弁2の圧電駆動部24に対して、アイドル時充電エネルギを蓄積させる。本実施形態では、アイドル時充電エネルギの量は予め定められている。
【0129】
S330では、スタータが停止したか否かが判定される。この処理を通じて、内燃機関が、始動運転状態を脱し、燃焼室にて燃料が燃焼する自立運転に移行したことを判定できる。本実施形態では、スタータはクランク軸の回転変動やトルク変動などに基づき自立運転に移行すると停止するようになっている。本実施形態では、スタータの作動状態を検出することにより内燃機関が自立運転に移行したか否かを判定させているが、クランク軸の回転変動やトルク変動を検出することにより自立運転に移行したか否かを判定させても良い。
【0130】
S330にて、スタータが依然として作動していると判定された場合は、処理はS320に戻り、再び駆動回路3に対して始動時制御信号が出力される。S330にて、スタータが停止したと判定された場合は、処理はS40に進む。
【0131】
S340では、運転状態がアイドル運転状態に移行したとして、駆動回路3に始動運転状態時に出力したアイドル時制御信号が出力される。駆動回路3はこの制御信号を受信すると、所定の燃料噴射弁2の圧電駆動部24に、アイドル時充電エネルギを蓄積させる。
【0132】
S350では、ECU4に入力されるアクセルペダル踏み込み量の情報から、アクセルペダルが踏まれたか否かが判定される。この処理が実行されることにより、アイドル運転状態から脱し、アクセルペダル踏み込み量に応じた通常運転状態に移行したか否かを判定できる。本実施形態では、アクセルペダル踏み込み量に基づきアイドル運手状態か否かを判定させているが、内燃機関回転数に基づき判定させても良い。また、スロットルバルブ装置が装着されている車種であればスロットルバルブ装置が備えているアイドルスイッチからの信号を受信することで判定させても良い。
【0133】
S350にて、アクセルペダルが踏まれていないと判定された場合は、処理はS340に戻り、再び、駆動回路3にアイドル時制御信号が出力される。S350にて、アクセルペダルが踏まれたと判定された場合は、処理はS360に進む。
【0134】
S360では、アクセルペダルの踏み込み量などに応じた内燃機関の制御を行うべく、駆動回路3に通常時充電制御信号および通常時放電制御信号を含む通常時制御信号が出力される。
【0135】
S370では、イグニッションスイッチがオフとなっているか否かが判定される。この処理が実行されることにより、内燃機関が停止されたか否かを判定させることができる。S370にて、イグニッションスイッチがオフとなっていると判定されれば、この制御フローは終了する。イグニッションスイッチがオンとなっていると判定されれば、処理はS60に戻り、引き続き駆動回路3に対して通常時制御信号が出力される。
【0136】
次に、本実施形態における荷重センサ部23の校正について、図8、図9および図6を用いて説明する。図8は、荷重センサ部23の校正を行う際の制御フローである。図9は、工場出荷時および劣化後(校正前)におけるそれぞれの圧電駆動部24に供給する充電エネルギと、そのときの荷重との関係を示すグラフである。
【0137】
この制御フローは、ECU4が、イグニッションスイッチがオンとなったことを検出して開始される。
【0138】
図8に示すように、S410では、外気温度センサ60(図1を参照)からの出力信号に基づき外気温Tatが取得される。続いて、S420では、内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度センサ61(図1を参照)からの出力信号に基づき水温Tw、および内燃機関潤滑油温度を検出する潤滑油温度センサ62(図1を参照)からの出力信号に基づき油温Toが取得される。さらに、S430では、取得された水温Twおよび油温Toが、外気温Tatとほぼ同じであるか否かが判定される。水温Twおよび油温Toが外気温Tatとほぼ同じであると判定されれば、処理はS440に進み、そうでなければ、荷重センサ部23が内燃機関の熱を受け、適正な校正を行うことができないと判断され、この制御フローは終了する。本実施形態では、S420における処理が特許請求の範囲に記載の「機関温度取得手段」に相当する。
【0139】
S430の処理が実行されることにより、内燃機関の冷間始動を判定させることができる。本実施形態では、S430における処理が特許請求の範囲に記載の「冷間始動判定手段」に相当する。本実施形態では、水温Twおよび油温Toの両方の温度と、外気温Tatとを比較して内燃機関が冷間始動であるか否かが判定されているが、水温Twのみ、油温Toのみから冷間始動を判定させても良い。また、本実施形態では、冷間始動を、取得された水温Twおよび油温Toが外気温Tatとほぼ同じであるか否かで判定している。これは、冷却水温度センサ61、潤滑油温度センサ62、および外気温度センサ60の検出誤差を加味した結果であり、これらの検出誤差に応じて、水温Twまたは油温Toが外気温Tatであるとみなせる範囲を適宜定めれば良い。
【0140】
S440では、駆動回路3へアイドル時充電制御信号が出力されたか否かが判定される。駆動回路3へアイドル時充電制御信号が出力されたと判定された場合は、処理はS450に進み、アイドル時充電制御信号が出力されていないと判定された場合は、アイドル時充電制御信号が出力されるまでS440の処理が繰り返し実行される。
【0141】
S450では、一回の燃焼サイクル中に行われる複数回噴射のうちのメイン噴射の荷重Fasと、その時のアイドル時充電エネルギEaaとが取得される。なお、荷重Faaは、図2に示す荷重Faに相当する荷重Fであり、アイドル時充電エネルギEaaを圧電駆動部24に蓄積させたときの荷重Fである。S450にて取得された荷重Faaおよびアイドル時充電エネルギEaaは、ECU4が備えているメモリ手段5aに一時的に記憶される。本実施形態では、S450における処理が特許請求の範囲に記載の「取得手段」に相当する。
【0142】
S460では、取得された荷重Faaの個数が必要データ数を満たしたか否かが判定される。本実施形態では、必要データ数はn=10程度としている。取得するデータの数は多ければ多いほど、校正の精度を高めることができる。しかしながら、荷重Faaを取得する間にも内燃機関は作動し続けているため、荷重センサ部23の温度は、内燃機関が発する熱や駆動することにより圧電駆動部24が発する熱を受け、上昇してしまう。これでは、取得する荷重Faaに荷重センサ部23の温度上昇に基づく外乱が入ってしまい、却って校正の精度が低下する。必要データ数は以上のことを考慮に入れて定められている。
【0143】
S460の処理にて、取得された荷重Faaの個数が必要データ数を満たしていれば、処理はS470に進み、満たしていなければ再びS450に処理は戻る。
【0144】
S470では、S450にて取得された荷重Faaおよびアイドル時充電エネルギEaaのそれぞれの平均値である荷重Faaavおよびアイドル時充電エネルギEaaavが算出される。そして、算出された荷重Faaavおよびアイドル時充電エネルギEaaavがメモリ手段5aに一時的に記憶される。
【0145】
S480では、上記アイドル時充電エネルギEaaavに相当する基準となる充電エネルギEaafに対応する荷重Faafと上記荷重Faaavとの差分である荷重ΔFaaが算出される(図9を参照)。
【0146】
ここで、上記基準となる充電エネルギEaafとそれに対応する荷重Faafは、予めメモリ手段5aに記憶されている基準温度25℃における圧電駆動部24に蓄積される基準となる充電エネルギEと、その充電エネルギEを圧電駆動部24に蓄積させたときに荷重センサ部23より出力される荷重Fとの関係(図9中の破線参照)から導き出されるものである。なお、これら充電エネルギEaafとそれに対応する荷重Faafは、特許請求の範囲に記載の「基準充電エネルギ」および「基準荷重信号」に相当する。
【0147】
S490では、荷重ΔFaaにおける絶対値が、所定の判定値である荷重Fcaを超えているか否かが判定される。この処理にて、条件を満たしていれば、処理はS500に進み、満たしていなければ、荷重センサ部23の劣化は進行していないと推定され、この制御フローは終了する。
【0148】
S500では、図5に図示されている荷重センサ部23の温度特性と、S410の処理にて取得された外気温Tatとに基づいて温度補正係数が算出される。なお、この処理が、特許請求の範囲に記載の「補正係数算出手段」に相当する。
【0149】
S510では、予めメモリ手段5aに記憶されている充電エネルギEaaf、荷重Faaf、上記S410からS500までの処理にて取得された荷重Faaav、アイドル時充電エネルギEaaav、温度補正係数に基づき、荷重センサ部23の校正が実施される(図9を参照)。ここでの処理が、特許請求の範囲に記載の「校正手段」に相当する。これにより、荷重センサ部23における校正が完了され、この制御フローが終了する。そして、校正された荷重センサ部23から出力される荷重Fを利用して、圧電駆動部24の制御を行う。
【0150】
本実施形態では、ECU4は、荷重センサ部23の温度が比較的安定している冷間始動であることが判定されたとき、充電エネルギEおよび荷重Fが他の運転状態に比べ安定している始動運転状態およびアイドル運転状態における充電エネルギEaaav、荷重Faaav、基準となる充電エネルギEaaf、基準となる荷重Faaf、および温度補正係数に基づき、荷重センサ部23の校正を行っている。
【0151】
本実施形態では、こういった条件のもとで荷重センサ部23の校正を実施させているため、校正の精度向上を阻害する、荷重センサ部23への外乱を極力排除することができる。これにより、荷重センサ部23の校正の精度を向上させることができる。その結果、圧電駆動部24の制御性を長期間に亘り維持することができ、ひいては、燃料噴射弁2の燃料噴射特性の精度を長期間に亘り維持することができる。
【0152】
ここで、アイドル運転状態での排出ガス規制は高負荷運転状態に比べ厳しいという事実がある。そして、アイドル運転状態では、燃料噴射弁2から噴射される燃料噴射量は非常に少なく、この運転状態での要求噴射量に対する噴射量のばらつきの割合は、高負荷運転状態に比べ高い。このため、この運転状態での燃料噴射特性の精度を向上させる必要がある。これに対し、本実施形態では、アイドル時充電エネルギEaaavと荷重Faaavとに基づいて荷重センサ部23の校正を行っているので、少なくともアイドル運転状態での荷重センサ部23の校正の精度を高めることができる。
【0153】
なお、本実施形態では、圧電駆動部24に蓄積させる充電エネルギの量を始動運転状態およびアイドル運転状態にかかわらずアイドル時充電エネルギの量としている。したがって、図8に示す制御フローを、スタータが作動している最中に行わせるようにしても良いし、スタータの作動が停止してから行わせるようにしても良い。
【0154】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、第1実施形態における燃料噴射弁2の変形例である。第3実施形態では、ニードル212の閉弁駆動および開弁駆動を制御する機構が第1実施形態における燃料噴射弁2と異なっている。
【0155】
図10は、第3実施形態における燃料噴射弁200の断面を示している。
【0156】
燃料噴射弁200は、ノズル211、シリンダ217、固定ピストン220、アクチュエータ部230などから構成され、これらの部品は、棒状に形成されているボデー240に収容されている。
【0157】
ボデー240は、蓄圧器からの高圧燃料が導入される燃料入口部241を備えている。ボデー240の軸方向一端側には、収容部242が形成されている。収容部242には、燃料の噴射、非噴射を制御するノズル211が収容されている。
【0158】
ノズル211は、ニードル212、ノズルスプリング216を有している。ニードル212は、収容部242内に摺動自在に保持されている。収容部242の軸方向一端側には、高圧燃料通路245を介して燃料入口部241と連通する噴孔243が形成されている。
【0159】
この噴孔243の燃料入口部241側には、ニードル212に形成されているシート部213が着座する弁座244が形成されている。弁座244にシート部213が着座することにより、噴孔243への燃料の流れが閉ざされ、噴孔243からの燃料の噴射が停止する。弁座244からシート部213が離座することにより、噴孔243への燃料の流れが許容され、噴孔243から燃料が噴射する。
【0160】
ニードル212のシート部213とは反対側の端部にはピストン部214が形成されている。このピストン部214は、シリンダ217に摺動自在に挿入されている。ニードル212のシート部213とピストン部214との間にはフランジ部215が形成され、このフランジ部15とシリンダ217との間には、ノズルスプリング216が設けられている。このノズルスプリング216は、ニードル212を、シート部213が弁座244に着座する方向、つまり閉弁方向に付勢する。
【0161】
収容部242の軸方向他端側には、アクチュエータ部230が収容されている。アクチュエータ部230は、圧電アクチュエータ22と、圧電アクチュエータ22からの変位をシリンダ217に伝達するプッシュプレート231とを有する。圧電アクチュエータ22の圧電駆動部24が伸縮すると、プッシュプレート231を介してシリンダ217が駆動される。
【0162】
シリンダ217は、内周面に段付き部を備える段付き円筒状の部材であって、段付き部の一方側に第一シリンダ孔218が形成され、段付き部の他方側に、第一シリンダ孔218よりも大径の第二シリンダ孔219が形成されている。シリンダ217は、第一、第二シリンダ孔218、219がボデー240の軸方向に沿って並んで配置されるように収容部242に収容されている。第一シリンダ孔218は、第二シリンダ孔219よりも噴孔243側に配置されている。
【0163】
第二シリンダ孔219には、固定ピストン220が摺動自在に挿入されている。固定ピストン220は、固定ピストン部221と固定ピストン部221よりも径方向外側に突出するフランジ部222を有する。第二シリンダ孔219には、固定ピストン部221のみが挿入されている。
【0164】
固定ピストン部221とニードル212のピストン部214との間には、シリンダ217、固定ピストン部221、ピストン部214にて制御室246が形成される。この制御室246には、一旦収容部242に流入した高圧燃料が第一シリンダ孔218とピストン部214、および第二シリンダ孔219と固定ピストン部221とのクリアランスを介して流入するようになっている。
【0165】
図11は、固定ピストン220を噴孔243側から見たXI視図である。この図に示すように、固定ピストン220のフランジ部222は、周方向に沿って三個に分割されており、隣接するフランジ部222間に切欠き部223が形成されている。図10に示すように、フランジ部222が、収容部242の内壁に支持されているスペーサ234と、収容部242の内壁に支持されている固定スプリング235とに挟まれることにより、固定ピストン220がボデー240に対して固定される。
【0166】
図12(a)はプッシュプレート231の正面図であり、図12(b)はプッシュプレート231の下面図である。図12に示すように、プッシュプレート231は、円柱状の円板部232と、円板部232の一端面から軸方向に突出する三個の円柱状の脚部233とを備えている。
【0167】
これら脚部233は、プッシュプレート231と固定ピストン220とを組み合わせたときに、脚部233が切欠き部223に挿入される位置に周方向に沿って設けられている(図11を参照)。図10に示すように、プッシュプレート231は、円板部232が圧電アクチュエータ22の圧電駆動部24に当接し、脚部233がシリンダ217に当接するように収容部242に収容される。
【0168】
なお、本実施形態では、ノズル211、シリンダ217、固定ピストン220、およびスペーサ234が特許請求の範囲に記載の「噴射機能部品」に相当する。
【0169】
次に、上記燃料噴射弁200の作動を説明する。圧電アクチュエータ22の圧電駆動部24が伸長していないとき、シリンダ217はノズルスプリング216の付勢力により圧電アクチュエータ22側に移動している。このとき、制御室246には、第一シリンダ孔218とピストン部214とのクリアランス、および第二シリンダ孔219と固定ピストン部221とのクリアランスを介して、収容部242内の高圧燃料が流入し、制御室246と収容部242との燃料圧力が等しくなっている。
【0170】
この状態のとき、ニードル212は、制御室246内の燃料圧力がピストン部214に作用することによるニードル212に発生する閉弁方向の力と、ノズルスプリング216の付勢力によるニードル212に発生する閉弁方向の力の合計が、収容部242内の高圧燃料がニードル212に作用することによるニードル212に発生する開弁方向の力よりも大きい。このため、ニードル212のシート部213が弁座244に着座し、噴孔243からの燃料の噴射が停止する(図10の状態)。
【0171】
圧電駆動部24が伸長すると、圧電駆動部24の伸長にともなってシリンダ217が噴孔243側に移動する。第一シリンダ孔218は、第二シリンダ孔219よりも径が小さいため、シリンダ217が噴孔243側に移動すると制御室246内の容積が大きくなる。これにより、制御室246内の燃料圧力がシリンダ217の移動量にともなって低くなる。これにより、上記ニードル212に発生する閉弁方向の力の合計が、開弁方向の力よりも小さくなり、ニードル212が開弁方向に移動し、シート部213が弁座244から離座し、噴孔243からの燃料の噴射が行われる。
【0172】
その後、再び圧電駆動部24が収縮すると、シリンダ217はノズルスプリング216の付勢力により、圧電アクチュエータ22側に移動し、制御室246の容積が小さくなる。これにより、制御室246内の燃料圧力が上昇し、上記閉弁方向の力の合計が、開弁方向の力よりも大きくなる。これにより、シート部213が弁座244に着座し、噴孔243からの燃料の噴射が停止する。
【0173】
この実施形態においても、第1実施形態と同様、図4に示す制御フローに従い、始動運転状態時に応じた始動時充電エネルギEasを圧電駆動部24に蓄積させたときの荷重センサ部23にて検出される荷重Fas、アイドル運転状態時に応じたアイドル時充電エネルギEaaを圧電駆動部24に蓄積させたときの荷重センサ部23にて検出される荷重Faa、予め記憶されている基準となる始動時充電エネルギEasfと荷重Fasfおよび基準となるアイドル時充電エネルギEaafと荷重Faaf、ならびに温度補正係数に基づき、荷重センサ部23の校正を実施する。
【0174】
これにより、荷重センサ部23の校正の精度を向上させることができる。その結果、圧電駆動部24の制御性を長期間に亘り維持することができ、ひいては、燃料噴射弁200の燃料噴射特性の精度を長期間に亘り維持することができる。また、第2実施形態の図8に示す制御フローに従い、荷重センサ部23の校正を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の第1実施形態による燃料噴射制御装置を含む燃料供給装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】圧電アクチュエータにおける圧電駆動部、および制御弁の弁体の作動状態を示すタイムチャートである。
【図3】内燃機関の始動開始から停止までの制御フローである。
【図4】荷重センサ部の校正を行う際の制御フローである。
【図5】圧電駆動部に蓄積させる充電エネルギと、そのときの荷重との関係を示すグラフである。
【図6】荷重センサ部の温度特性図である。
【図7】第2実施形態での内燃機関の始動開始から停止までの制御フローである。
【図8】荷重センサ部の校正を行う際の制御フローである。
【図9】圧電駆動部に蓄積させる充電エネルギと、そのときの荷重との関係を示すグラフである。
【図10】第3実施形態による燃料噴射弁の構成を示す断面図である。
【図11】図10の固定ピストンのXI視図である。
【図12】(a)は図10のプッシュプレートの正面図、(b)はそのプッシュプレートの下面図である。
【符号の説明】
【0176】
1 燃料供給装置、2 燃料噴射弁(燃料噴射装置)、3 駆動回路、4 電子制御装置(ECU、燃料噴射制御装置)、5 MPU、5aメモリ手段(記憶手段)、8 リターン経路、9 背圧弁、10 燃料タンク、11 ノズル(噴射機能部品)、12 ニードル、18 制御弁(噴射機能部品)、19 弁体、21 アクチュエータ部、22 圧電アクチュエータ、23 荷重センサ部、24 圧電駆動部、30 変位伝達部(噴射機能部品)、31 アクチュエータシリンダ、32 第一ピストン、33 第二ピストン、34 液室、40 ボデー、41 燃料入口部、42 燃料出口部、43 収容部、44 噴孔、45 弁座、46 高圧燃料通路、47 高圧連絡通路、48 低圧燃料通路、49 低圧連絡通路、50 連絡通路、52 制御室、53 バルブ室、54 低圧側シート面、55 高圧側シート面、60 外気温度センサ、61 冷却水温度センサ、62 潤滑油温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に搭載され、内部に導入される燃料を前記内燃機関の燃焼室に噴射する噴孔を有するボデーと、
前記ボデー内に収容され、前記噴孔からの燃料噴射を断続する弁部材を含む噴射機能部品と、
前記ボデー内に収容され、充電エネルギを蓄積することにより伸長し、蓄積された前記充電エネルギを放出することにより収縮する圧電体を含み、前記噴射機能部品の少なくとも一つを駆動することにより前記弁部材の駆動を制御する圧電駆動部と、
前記ボデー内に収容され、前記圧電駆動部に前記充電エネルギが蓄積されたときに、前記圧電駆動部に作用する荷重に応じた荷重信号を出力する圧電体を含む荷重センサ部と、を有する燃料噴射装置に備えられ、前記荷重センサ部からの前記荷重信号に基づいて前記圧電駆動部を制御する燃料噴射制御装置であって、
前記内燃機関の冷間始動を判定する冷間始動判定手段と、
前記内燃機関の始動開始から自立運転するまでの始動運転状態、または無負荷運転状態の少なくともいずれかの運転状態時に前記圧電駆動部に蓄積される前記充電エネルギ、および、その充電エネルギを前記圧電駆動部に蓄積させたときに前記荷重センサ部より出力される荷重信号を取得する取得手段と、
基準充電エネルギと、その基準充電エネルギを前記圧電駆動部に蓄積させたときに前記荷重センサ部より出力される基準荷重信号とを記憶させた記憶手段と、
前記冷間始動判定手段が、前記内燃機関が冷間始動であると判定したとき、前記取得手段が取得した前記充電エネルギおよび前記荷重信号、ならびに前記基準充電エネルギおよび前記基準荷重信号に基づいて、前記荷重センサ部を校正する校正手段と、を備えていることを特徴とする燃料噴射制御装置。
【請求項2】
前記荷重センサ部の温度に基づいて温度補正係数を算出する補正係数算出手段を有しており、
前記校正手段は、前記補正係数算出手段にて算出された前記温度補正係数を加味して、前記荷重センサ部を校正することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項3】
前記始動運転状態、および前記無負荷運転状態時に前記圧電駆動部に蓄積される前記充電エネルギは、それぞれの運転状態に対応する予め定められたエネルギ量であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記始動運転状態に対応する予め定められた始動時充電エネルギ並びに前記無負荷運転状態に対応する予め定められた無負荷時充電エネルギと、前記圧電駆動部に前記始動時充電エネルギ並びに前記無負荷時充電エネルギが蓄積されたときに前記荷重センサ部より出力されるそれぞれの前記荷重信号を取得し、
前記校正手段は、前記取得手段が取得した、前記始動時充電エネルギ並びに前記無負荷時充電エネルギ、およびそれぞれの前記荷重信号に基づいて、前記荷重センサ部を校正することを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記無負荷運転状態に対応する予め定められた無負荷時充電エネルギと、前記圧電駆動部に前記無負荷時充電エネルギが蓄積されたときに前記荷重センサ部より出力される前記荷重信号を取得し、
前記校正手段は、取得手段が取得した、前記無負荷時充電エネルギ、および前記荷重信号に基づいて、前記荷重センサ部を校正することを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項6】
前記校正手段が前記荷重センサ部の校正を行う際に使用する前記荷重信号は、最も大きな値を示す最大荷重信号から前記充電エネルギが放出されるまでの間に出力される単位時間当たりの変化量が最も小さい安定荷重信号であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項7】
前記冷間始動判定手段は、外気温度を取得する外気温度取得手段と、前記内燃機関の機関温度を取得する機関温度取得手段と、を有し、
取得した前記外気温度と前記機関温度とを比較することにより冷間始動を判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置。
【請求項8】
前記機関温度取得手段は、前記内燃機関を冷却する冷却水温度、または前記内燃機関の潤滑に利用する潤滑油温度を取得することを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−101246(P2010−101246A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273558(P2008−273558)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】