物体検出装置
【課題】物体の個体識別を簡素化するとともに高速化することができる物体検出装置を提供する。
【解決手段】レーザレーダ装置7は、検知領域内の物体を検知して(S101)、反射光量データを得るとともに(S103)、自車101から物体までの距離および方位を取得する(S103)。レーダ装置7は、取得した反射光量データに基づき、検知物体を高反射体または低反射体に属性判別する(S104)。CCDカメラ4は検知領域を撮像し(S105)、画像データ生成部5は画像データを生成する(S106)。画像処理部6は、レーダ装置7で得られた物体検知情報と属性情報とから画像データ上でのマッチング処理領域を設定して、それぞれの属性に応じたサンプリングパターンでパターンマッチングを行う。画像処理部6は、このマッチング結果に基づいて物体の個体識別を行う(S107)。
【解決手段】レーザレーダ装置7は、検知領域内の物体を検知して(S101)、反射光量データを得るとともに(S103)、自車101から物体までの距離および方位を取得する(S103)。レーダ装置7は、取得した反射光量データに基づき、検知物体を高反射体または低反射体に属性判別する(S104)。CCDカメラ4は検知領域を撮像し(S105)、画像データ生成部5は画像データを生成する(S106)。画像処理部6は、レーダ装置7で得られた物体検知情報と属性情報とから画像データ上でのマッチング処理領域を設定して、それぞれの属性に応じたサンプリングパターンでパターンマッチングを行う。画像処理部6は、このマッチング結果に基づいて物体の個体識別を行う(S107)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
物体を検出する装置、特に、検出した物体の属性を判別する物体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に搭載され、自車前方の道路状況や他車等の物体を検出する物体検出装置として、レーザレーダ等のレーダ装置と、CCDカメラ等の撮像装置で取得した画像を画像処理する画像処理装置とを、備えたものが多く存在する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このような物体検出装置の殆どは、レーダ装置で、各物体を検出するとともに、自車から各物体までの距離および自車に対する各物体の方位を含む物体の位置情報を検出する。そして、物体検出装置は、画像処理装置で、この位置情報を画像データ上にマッピングして画像データを解析することで、各物体の形状や種類等の個体識別を行っていた。
【特許文献1】特開2003−252147公報
【特許文献2】特開2003−217099公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レーダ装置で得られた物体検知の情報を画像データにマッピングして、物体を個体識別する場合、次に示すような問題があった。
図13(A)は先行車のリフレクタにレーザ光が照射する場合の位置状態を示す模式図であり、(B)は人にレーザ光が照射する場合の物体の位置状態を示す模式図である。
図14(A)はレーザレーダにおける高反射体(リフレクタ=回帰反射体)の反射光量を方位方向単位で示した図であり、(B)はレーザレーダにおける低反射体(人等)の反射光量を方位方向単位で示した図であり、(C)は、(A)と(B)とを重ね合わせた図である。
【0004】
図13(A)に示すように、自車101から方位θAに先行車102のリフレクタ(高反射体)121Aが存在すると、図14(A)に示すように、反射光量は方位θAでピーク値P2Aが検知される。また、図13(B)に示すように、自車101から同じ方位θAに人103Aが存在すると、図14(B)に示すように、反射光量は方位θAでピーク値P3Aが検知される。
【0005】
同様に、図13(A)に示すように、自車101から方位θBに先行車102のリフレクタ(高反射体)121Bが存在すると、図14(A)に示すように、反射光量は方位θBでピーク値P2Bが検知される。また、図13(B)に示すように、自車101から同じ方位θBに人103Bが存在すると、図14(B)に示すように、反射光量は方位θBでピーク値P3Bが検知される。
【0006】
このように、先行車102のリフレクタ121Aと人103Aとが同じ方位θAに存在し、先行車102のリフレクタ121Bと人103Bとが同じ方位θBに存在する場合、図14(C)に示すように、それぞれの反射光量特性のピーク発生方位は一致する。
【0007】
また、レーザ光は直進性が強く、且つ、ビーム幅が広がり難いけれども、完全に広がらないことはない。このため、リフレクタ121A,Bや人103A,103Bが存在する位置でのビーム幅がリフレクタ121A、121B間の距離および人103A,103B間の距離よりも広いと、これらでレーザ光が反射されて、或る程度の反射受光量を得てしまう。
この結果、図14(C)に示すように、リフレクタ(高反射体)であっても人(低反射体)であっても、反射光量のレベルが異なるだけで、略同様の反射光量特性曲線が得られてしまう。
【0008】
このため、従来の物体検出装置は、反射光量のピークを検知すると、これに対応する方位θを算出し、画像データの該方位θに対応する領域に対して、各種のサンプリングパターンを適合させて、物体の個体識別を行っていた。
【0009】
ところが、この方法では、ピーク値に対応する物体が、先行車のリフレクタであるのか人であるのかが判らないために、ピークを検出する毎に、記憶する全てのサンプリングパターンを適合して、最適なサンプリングパターンを抽出しなければならない。このため、処理が煩雑化するとともに、高速な物体の個体識別を行うことができない。
【0010】
したがって、この発明の目的は、物体の個体識別を簡略化するとともに高速化することができる物体検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の物体検出装置は、検知領域内の物体の反射による反射強度と該物体の少なくとも距離とを取得する位置情報取得手段と、取得した距離と反射強度とに基づいて物体の属性を判別する属性判別手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
この構成では、位置情報取得手段は、検知領域内に存在する物体からの反射信号を受信して、少なくとも物体までの距離を検出するとともに、これに関連付けして反射信号強度を取得する。属性判別手段は、得られた物体の距離と反射信号強度とから、物体の属性を判別する。より具体的には、反射信号強度の判別閾値を設けて、複数の強度領域を設定する。
【0013】
属性判別手段は、検出した距離に対して、得られた反射信号強度がいずれの強度領域に属するかを判別する。そして、属性判別手段は、この判別結果に基づいて、物体の属性、具体的には高反射体であるのか低反射体であるのかを出力する。
【0014】
また、この発明の物体検出装置の属性判別手段は、反射強度の特性の光量データ、距離別光量データ、光量バラツキデータ、距離バラツキデータの少なくとも1つを用いて判別閾値を設定し、物体の属性を判別することを特徴としている。
【0015】
この構成では、属性判別手段は、判別閾値として、具体的に、次に示す4つの閾値設定方法から、いずれかを選んで設定する。
【0016】
(1)高反射体と低反射体とでは反射強度が2桁以上異なることを利用して、距離に依存することのない一定の反射光量で閾値を決定する。
(2)高反射体、低反射体ともに距離が長くなるほど反射強度が減衰することを参照して、距離に応じて変化させながら反射光量の閾値を決定する。
(3)低反射体が高反射体よりも反射強度のバラツキが大きいことを利用して、特定量の反射光量バラツキを閾値に設定する。
(4)低反射体が高反射体よりも検出される距離のバラツキが大きいことを利用して、特定量の検出距離バラツキを閾値に設定する。
これらの方法により、高反射体と低反射体とが明確に判別される。
【0017】
また、この発明の物体検出装置は、検知領域を撮像して画像データを生成する撮像手段と、検知された物体を画像データに対応させて属性毎に異なる画像処理を行い、物体の個体識別を行う個体識別手段と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
この構成では、撮像手段は、位置情報取得手段が物体を検知する検知領域の画像データを取得する。個体識別手段は、検出した物体の位置を画像データ上にマッピングし、対応する属性毎に異なる画像処理領域およびサンプリングパターンを設定する。個体識別手段は、各画像処理領域に対して予め複数用意された個別のサンプリングパターンを用いて、設定した画像領域内で物体のパターンを同定する。そして、パターンが同定されると、このパターンに基づいて物体の種類、例えば、自動車、デリニエータ、人、物等を出力する。
【0019】
また、この発明の物体検出装置の個体識別手段は、特に回帰反射体を他の物体から識別することを特徴としている。この構成では、具体的に、先行車の後部に備え付けられたリフレクタである回帰反射体を、人等の他の物体から識別する。
【0020】
また、この発明の物体検出装置は、少なくとも、検知領域内にレーザ光を照射してその反射光を利用するレーザレーダにより位置情報取得手段を実現することを特徴としている。この構成では、具体的に、少なくとも位置情報の取得装置としてレーザレーダを用いる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、レーザレーダ等の位置情報取得手段で得られた物体の距離および反射光量から、まず物体を所定の属性単位で分類することで、後段の個体識別処理を容易且つ高速に実行することができる。そして、このように物体を属性に基づいて大まかに分別した後に、詳細に個体識別することで、それぞれの処理が簡素で高速であるので、従来の個体識別方法よりも、簡単且つ高速に物体の識別を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る物体検出装置について図1〜図8を参照して説明する。
図1(A)は本実施形態の物体検出装置の主要部を示すブロック図であり、図1(B)は本実施形態の物体検出装置を搭載した自動車の検知状態を示す概念図である。
本実施形態の物体検出装置は、レーダアンテナ1、レーダ信号処理部2、属性検出部3、CCD(ステレオ)カメラ4、画像データ生成部5、画像処理部6を備える。
【0023】
レーダアンテナ1は、自動車(自車)101の前方バンパ下端部付近に設置され、自車101の前方にレーザビームを送信し、検知領域内の物体にレーザビームが反射してなる反射光を受信する。レーダアンテナ1は、自車101に対して水平方向へ回動可能に設置されており、レーダアンテナ1を所定方位角範囲内で回動させることで、レーザビームを水平方向に走査する。
【0024】
レーダ信号処理部2は、レーザビーム制御部と受信信号解析部とを備え、レーザビーム制御部で生成されたレーザ制御信号を、レーダアンテナ1に適宜与えることにより、所定方向へ送信するレーザビームを形成する。また、レーダ信号処理部2は、レーダアンテナ1から反射光を受信すると、該受信信号の強度すなわち反射光量を検出するとともに、方位方向を検出する。さらに、レーダ信号処理部2は、対応する受信信号の受信タイミングと送信レーザビームの送信タイミングとから、自車101と検知した物体との距離を測距する。これにより、水平方向の所定角範囲内の物体を検知する。
【0025】
属性検出部3は、レーダ信号処理部2から出力される物体検知結果を用いて、後述する方法で検知した物体の属性を検出する。ここで、属性は反射光量に基づいて設定されており、例えば、リフレクタ等の反射光量が大きい高反射体と、人等の反射光量が小さい低反射体と、からなる。
そして、これらレーダ信号処理部2および属性検出部3が、レーザレーダ装置7として一体化されている。
【0026】
CCDカメラ4は、自車101のフロントガラスの上端部付近に設置され、自車101の前方の道路状況を撮像する。
画像データ生成部5は、CCDカメラ4が撮像した映像を、所定タイミング毎に画像データ化して、画像処理部6に与える。
画像処理部6は、レーザレーダ装置7から与えられる物体検知情報、方位、距離、属性に基づいて、後述する方法で各物体の個体識別を行う。
そして、これら画像データ生成部5および画像処理部6が、画像処理装置8として一体化されている。
【0027】
次に、本実施形態の物体検知装置の処理を、図2〜図8を参照して具体的に説明する。
図2は本実施形態の物体検出装置の主要動作フローを示すフローチャートである。
図3は属性判別の処理フローを示すフローチャートであり、(A)は属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する場合を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する場合を示す。なお、ここで説明する高反射体は例えば自動車やデリニエータに備えられたリフレクタであり、中反射体および低反射体は例えば人や物(障害物)である。
図4は属性判別の反射光量閾値THの設定概念を説明する図であり、(A)は属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する閾値TH0を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する第1閾値TH1、第2閾値TH2を示す。なお、図4において、太実線が高反射体の反射光量特性曲線を示し、中実線が中反射体の反射光量特性曲線を示し、細実線が低反射体の反射光量特性曲線を示す。
【0028】
前述のように、レーザレーダ装置7のレーダ信号処理部2は、自車101前方に対して水平方向に走査を行いながらレーザビームを送信し、物体からの反射光を受信することで、物体の検知を行う(S101)。この際、物体検知データには検知物体の方位、受信タイミング(受信時刻)が含まれる。同時に、レーダ信号処理部2は、反射光の強度、すなわち反射光量を検出し、物体検知データに与える(S102)。レーダ信号処理部2は、得られた物体検知情報から、検知物体の距離を算出して、方位、距離を含む物体位置データを算出する(S103)。なお、距離は、既知の通り、送信タイミングと受信タイミングとの時間差により算出される。
【0029】
レーザレーダ装置7の属性検出部3は、物体検知データおよび物体位置データを用いて、属性判別を行う(S104)。
(1)属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する場合(図3(A)参照)
属性検出部3は、反射光量データを読み出し、予め設定しておいた反射光量閾値TH0と比較する。ここで、反射光量閾値TH0は、図4(A)に示すように、高反射体の反射光量の取り得る光量領域と低反射体の反射光量の取り得る光量領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定される。すなわち、高反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との間の適当な反射光量、例えば、これら高反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量閾値TH0に設定する。
【0030】
そして、属性検出部3は、検知した反射光量データが閾値TH0よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S401→S402)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が閾値TH0よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S401→S403)。
【0031】
(2)属性を高反射体、中反射体、低反射体の3種類に判別する場合(図3(B)参照)
属性検出部3は、反射光量データを読み出し、予め設定しておいた反射光量第1閾値TH1と比較する。ここで、反射光量第1閾値TH1は、図4(B)に示すように、高反射体の反射光量の取り得る光量領域と中反射体および低反射体の反射光量の取り得る光量領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定される。すなわち、高反射体の反射光量の最低値と中反射体および低反射体の反射光量の最高値との間の適当な反射光量、例えば、これら高反射体の反射光量の最低値と中反射体および低反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量第1閾値TH1に設定する。
【0032】
そして、属性検出部3は、検知した反射光量データが第1閾値TH1よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S404→S405)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が第1閾値TH1よりも小さければ、検知物体を高反射体ではないと判別し、次の判別処理を行う(S404→S406)。
【0033】
次に、属性検出部3は、反射光量データを、予め設定しておいた反射光量第2閾値TH2と比較する。ここで、反射光量第2閾値TH2は、図4(B)に示すように、中反射体の反射光量の取り得る光量領域と低反射体の反射光量の取り得る光量領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定される。すなわち、中反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との間の適当な反射光量、例えば、これら中反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量第2閾値TH2に設定する。
【0034】
そして、属性検出部3は、反射光量データが第2閾値TH2よりも大きければ、検知物体を中反射体と判別する(S406→S407)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が第2閾値TH2よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S406→S408)。
【0035】
このような属性判別処理は、検知物体の全てに対して行われ、属性が決定すると、レーザレーダ装置7は、前記物体検知データ、物体位置データ、および属性データを関連付けした状態で、画像処理装置8に与える。
【0036】
このようなレーザレーダ装置7の動作と並行して、CCDカメラ4は自車101前方を撮像し(S105)、画像処理装置8に出力する。画像処理装置8の画像データ生成部5は、所定タイミングで画像データを順次形成して画像処理部6に与える(S106)。この際、画像データには、画像データの生成タイミング、すなわち撮像タイミングが添付されている。
【0037】
画像処理部6は、レーザレーダ装置7から与えられた物体検知データ、物体位置データ、および属性データと、画像データ生成部5から与えられた画像データとに基づいて、時刻を同期させながら物体の個体識別を行う(S107)。
【0038】
具体的に、まず、画像処理部6は、物体位置データに基づいて物体検知点を画像データ上にマッピングする。なお、以下のマッピング処理から開始される個体識別処理については、高反射体と低反射体との2種類に区別する場合を説明する。
【0039】
(1)検知物体の属性が高反射体である場合
図5は検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
図6は検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。図6(A)はマッチング領域設定状態を示し、(B)はマッチング領域のみを抽出した状態を示し、(C),(D)はマッチングに用いるサンプリングパターンを示す。
【0040】
画像処理部6は、このマッピングした物体検知点に対して、対応する属性データからマッチング処理領域を設定する(S701)。具体的に、画像処理部6は、検知物体が高反射体であることを識別すると、所定間隔で現れる二つの物体検知点を含むマッチング処理領域12を設定する。
【0041】
この際、高反射体は先行車後部に設置されたリフレクタや、道路脇や道路面に設置されたデリニエータであるので、前記マッチング領域を自動車の形状に則した矩形状に設定する。具体的には、マッチング領域12は、前記二つの物体検知点が幅方向の両端に位置するように幅を設定し、別途予め設定した長さで高さを設定する。ここで、この設定される高さは、例えば、自車からの距離に基づき自車から前方に見える一般的な自動車の寸法を予め算出しておき、この算出値から設定される。
【0042】
次に、画像処理部6は、抽出したマッチング領域12の画像データに対して、コントラストによる外形線抽出等の画像処理を行い、物体検知点を含む物体の形状を検出する(S702)。
【0043】
また、画像処理部6は、図6(C)や(D)に示すようなサンプリングパターン201〜203を予めメモリに記憶しており、順次これらサンプリングパターン201〜203を読み出す(S703)。図6(C),(D)に示すように、高反射体の物体に対するサンプリングパターン201〜203は、マッチング領域12と同様に、自動車の形状に則して設定されており、予め各種自動車の背面形状(後方から見た形状)で設定されている。
【0044】
なお、画像処理部6は、サンプリングパターンを読み出して利用する場合、物体に対して得られた距離情報に基づいて記憶されているサンプリングパターンを拡大または縮小する。例えば、画像サイズがmドット×nドットのサンプリングパターンを用いる場合で、基準距離(サンプリングパターンを設定した時点で利用した距離)L0に対して検知距離がLであれば、パターンマッチングに利用する画像サイズは、m×(L0/L)ドット×n×(L0/L)ドットに変換する。
【0045】
次に、画像処理部6は、検出した物体形状と各サンプリングパターン201〜203とを用いて、パターンマッチング処理を行い、類似パターンを検索する(S704)。画像処理部6は、検出した物体形状とサンプリングパターンとの類似性を既知の方法で検証し、予め設定した基準以上に類似するパターンが存在すれば、このサンプリングパターンを適応する。そして、画像処理部6は、この類似パターンに対応する物体の種類を読み出し、物体の種類を限定する。例えば、図6に示す場合であれば、サンプリングパターンが自動車の形状であるので、類似パターンが存在すれば、検知物体は、この類似パターンに対応した自動車であると判断する(S705→S706)。ここで、各種自動車のサンプリングパターン、例えば、普通自動車、軽トラック、および大型トラック等をそれぞれ個別に設定しておけば、車種をも検出することができる。
【0046】
さらに、画像処理部6は選択したサンプリングパターンを用いて、物体のサイズを検出する。例えば、決定した類似パターンが画素数にしてm1ドット×n1ドットであり、当該物体の距離がLであれば、レーザレーダの焦点距離をfとして画像データの画素ピッチ距離をpとすると、M(=m1×p×L1/f)×N(=n1×p×L1/f)と算出することができる。
【0047】
ところで、類似となるサンプリングパターンが複数存在する場合には、画像処理部6は、類似するサンプリングパターンの中から最も類似性の強いサンプリングパターンを選択すればよい。
【0048】
一方、画像処理部6は、全てのサンプリングパターンと検知物体に基づく形状との類似性が、前記所定の基準に達しなければ、検知された高反射体が自動車のリフレクタではないと判断する(S705→S707)。そして、例えば、このように自動車のリフレクタとして判断されない高反射体が所定方向に連続することを検知すると、これらがデリニエータであると判断する。
そして、画像処理部6は、このように判断した物体の検出結果を、物体検出装置が搭載される上位システムに出力する(S708)。
【0049】
(2)検知物体の属性が低反射体である場合
図7は検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
図8は検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。図8(A)はマッチング領域設定状態を示し、(B)はマッチング領域のみを抽出した状態を示し、(C),(D)はマッチングに用いるサンプリングパターンを示す。
【0050】
画像処理部6は、このマッピングした物体検知点に対して、対応する属性データからマッチング処理領域を設定する(S711)。具体的に、画像処理部6は、検知物体が低反射体であることを識別すると、それぞれの物体検知点に対して各物体検知点を含むマッチング処理領域12A,12Bを設定する。
【0051】
この際、低反射体は道路上で停止したり移動する人であったり、道路上に載置された物(障害物や荷物等)であるので、前記マッチング領域を人の形状に則して設定する。具体的には、マッチング領域12A,12Bは、それぞれ物体検知点を幅と高さ方向の中心にして、人の輪郭に則した幅および高さの矩形領域を設定する。ここで、この設定される幅および高さは、例えば、自車からの距離に基づき自車から前方に見える一般的な人の寸法を予め算出しておき、この算出値から設定される。
【0052】
次に、画像処理部6は、抽出したマッチング領域12A,12Bの画像データに対して、コントラストによる外形線抽出等の画像処理を行い、物体検知点を含む物体の形状を検出する(S712)。
【0053】
また、画像処理部6は、図8(C)や(D)に示すようなサンプリングパターン301〜303を予めメモリに記憶しており、順次これらサンプリングパターン301〜303を読み出す(S713)。図8(C),(D)に示すように、低反射体の物体に対するサンプリングパターン301〜303は、マッチング領域12A,12Bと同様に人の形状に則して設定されており、予め各種人の行動パターンの背面形状(後方から見た形状)で設定されている。
【0054】
なお、この場合も、画像処理部6は、サンプリングパターンを読み出して利用する場合、物体に対して得られた距離情報に基づいて記憶されているサンプリングパターンを拡大または縮小する。
【0055】
次に、画像処理部6は、検出した物体形状と各サンプリングパターン301〜303とを用いて、パターンマッチング処理を行い、類似パターンを検索する(S714)。そして、画像処理部6は、検出した物体形状とサンプリングパターンとの類似性を既知の方法で検証し、予め設定した基準以上に類似するパターンが存在すれば、このサンプリングパターンを適応する。そして、画像処理部6は、この類似パターンに対応する物体の種類を読み出し、物体の種類を限定する。例えば、図8に示す場合であれば、サンプリングパターンが人の形状であるので、類似パターンが存在すれば、検知物体は、この類似パターンに対応した人であると判断する(S715→S716)。なお、ここで、類似となるサンプリングパターンが複数存在する場合には、これらの中から最も類似のサンプリングパターンを選択する。
【0056】
一方、画像処理部6は、全てのサンプリングパターン301〜303と検知物体に基づく形状との類似性が、前記所定の基準に達しなければ、検知された低反射体が人ではないと判断する(S715→S717)。そして、例えば、このように人として判断されない低反射体は、例えば、道路上に存在する障害物であると判断する。
【0057】
そして、画像処理部6は、このように判断した物体の検出結果を、物体検出装置が搭載される上位システムに出力する(S718)。
【0058】
なお、このような人の判別については、前述のように中反射体と低反射体とを判別し、例えば、中反射体として大人のサンプリングパターンを用い、低反射体として子供のサンプリングパターンを用いるようにして、個体識別処理を行ってもよい。
【0059】
このような処理を行うことで、物体の属性(本実施形態であれば反射強度)に準じて、物体を所定の種類に分別しておき、各属性で固有のマッチング処理を行って、物体の個体識別を行う。これにより、属性毎にマッチング処理領域を一意に設定することができ、且つ、属性毎に個別のマッチングサンプルパターンを読み出せばよいので、マッチング処理を簡素化且つ高速化することができる。
【0060】
次に、第2の実施形態の係る物体検出装置について、図9、図10を参照して説明する。
第1の実施形態では、属性判別の際に、距離に依存することのない閾値を用いた例を示したが、本実施形態の物体検出装置は、距離に応じて設定された閾値を用いたものである。
図9は属性判別の処理フローを示すフローチャートであり、(A)は属性と高反射体と低反射体との2種類に判別する場合を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する場合を示す。
図10は属性判別の反射光量閾値THnの設定概念を説明する図であり、(A)は属性と高反射体と低反射体との2種類に判別する閾値THn0を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する第1閾値THn1、第2閾値THn2を示す。なお、図10において、太実線が高反射体の反射光量特性曲線を示し、中実線が中反射体の反射光量特性曲線を示し、細実線が低反射体の反射光量特性曲線を示す。
【0061】
(1)属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する場合(図9(A)参照)
属性検出部3は、物体検知データを受け付けると、距離と反射光量データとを読み出し、該当する距離における反射光量閾値THn0と比較する(S411→S412→S413)。ここで、反射光量閾値THn0は、図10(A)に示すように、高反射体の反射光量と低反射体の反射光量とが、どの距離を選択しても非常にかけ離れていることを利用して予め設定される。すなわち、各距離における高反射体の反射光量と低反射体の反射光量との間の適当な反射光量、例えば、該当する距離における高反射体の反射光量と低反射体の反射光量との中間値を、反射光量閾値THn0に設定する。
【0062】
属性検出部3は、検知した反射光量データが対応する距離での閾値THn0よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S413→S414)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が対応する距離での閾値THn0よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S413→S415)。
【0063】
(2)属性を高反射体、中反射体、低反射体の3種類に判別する場合(図9(B)参照)
属性検出部3は、物体検知データを受け付けると、距離と反射光量データとを読み出し、該当する距離における反射光量第1閾値THn1と比較する(S411→S412→S416)。ここで、反射光量第1閾値TH1は、図10(B)に示すように、高反射体の反射光量と中反射体の反射光量とが、どの距離を選択しても非常にかけ離れていることを利用して予め設定される。すなわち、各距離における高反射体の反射光量と中反射体の反射光量との間の適当な反射光量、例えば、これら高反射体の反射光量の最低値と中反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量第1閾値THn1に設定する。
【0064】
属性検出部3は、検知した反射光量データが第1閾値THn1よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S416→S414)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が第1閾値THn1よりも小さければ、検知物体を高反射体ではないと判別し、次の判別処理を行う(S416→S417)。
【0065】
次に、属性検出部3は、反射光量データを、予め設定しておいた反射光量第2閾値THn2と比較する。ここで、反射光量第2閾値THn2は、図10(B)に示すように、中反射体の反射光量と低反射体の反射光量とが、どの距離を選択しても非常にかけ離れていることを利用して予め設定される。すなわち、各距離における中反射体の反射光量と低反射体の反射光量との間の適当な反射光量、例えば、これら中反射体の反射光量と低反射体の反射光量との中間値を、反射光量第2閾値THn2に設定する。
【0066】
属性検出部3は、反射光量データが対応する距離での第2閾値THn2よりも大きければ、検知物体を中反射体と判別する(S417→S418)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が対応する距離での第2閾値THn2よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S417→S419)。
【0067】
このような処理方法であっても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の処理方法を用いることで、高反射体の反射光量の最低値(観測し得る最遠方からの反射光量)が低反射体や中反射体の反射光量の最高値(観測し得る最近傍の反射光量)よりも小さくなるような場合であっても、確実に高反射体と中反射体または低反射体とを判別することができる。
【0068】
次に、第3の実施形態に係る物体検出装置について、図11、図12を参照して説明する。
第1、第2の実施形態では、属性判別の際に、光量を判別の基準にした例を示したが、本実施形態の物体検出装置は、距離や光量のバラツキに応じて設定された閾値を用いたものである。なお、本実施形態で示す属性判別フローは、第1の実施形態に示したように、高反射体と非高反射体とに属性判別をした後に、非高反射体を、中反射体と低反射体とに属性判別する場合を示す。
図11は属性判別の処理フローを示すフローチャートであり、(A)は属性と高反射体と低反射体との2種類に判別する場合を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する場合を示す。
図12(A)は属性判別の反射光量バラツキ閾値σL0の設定概念を説明する図であり、(B)は属性判別の距離バラツキ閾値σD0の設定概念を説明する図である。なお、図12において、中実線が中反射体のバラツキ特性曲線を示し、細実線が低反射体のバラツキ特性曲線を示す。
【0069】
中反射体と低反射体とは、前述の例に示したように、ともに人や物であることが多い。このため、中反射体と低反射体とで反射光量の差が大きくなかったり、同じ物体に対して測定回毎に得られる反射光量のバラツキが大きくなる傾向がある。さらに、反射光量が低いことで、算出される距離にもバラツキが生じる。しかしながら、中反射体と低反射体とを比較すれば、低反射体の方が、反射光量のバラツキ、距離のバラツキとも大きくなる傾向にあるので、本実施形態では、この特性を利用して、中反射体と低反射体とを判別する。
【0070】
(1)反射光量バラツキにより中反射体と低反射体とを判別する場合(図11(A)参照)
属性検出部3は、反射光量データを取得すると、方位方向を確認して、同じ方位方向の反射光量データを所定時間(複数走査分)に亘って蓄積する(S421)。属性検出部3は、これら反射光量データを用いて、反射光量バラツキデータσLを算出し、予め設定しておいた反射光量バラツキ閾値σL0と比較する(S422→S423)。ここで、反射光量バラツキ閾値σL0は、図12(A)に示すように、中反射体の反射光量バラツキの取り得るデータ領域と低反射体の反射光量バラツキの取り得るデータ領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定する。すなわち、低反射体の反射光量バラツキの最低値と中反射体の反射光量バラツキの最高値との間の適当な反射光量バラツキ、例えば、これら低反射体の反射光量バラツキの最低値と中反射体の反射光量バラツキの最高値との中間値を、反射光量バラツキ閾値σL0に設定する。
【0071】
そして、属性検出部3は、検知した反射光量バラツキデータσLが閾値σL0よりも小さければ、検知物体を中反射体と判別する(S423→S424)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量バラツキσLが閾値σL0よりも大きれば、検知物体を低反射体と判別する(S423→S425)。
【0072】
(2)距離バラツキにより中反射体と低反射体とを判別する場合(図11(B)参照)
属性検出部3は、物体検知データの距離データを取得すると、方位方向を確認して、同じ方位方向の距離データを所定時間(複数走査分)に亘って蓄積する(S431)。属性検出部3は、これら距離データを用いて、距離バラツキデータσDを算出し、予め設定しておいた距離バラツキ閾値σD0と比較する(S432→S433)。ここで、距離バラツキ閾値σD0は、図12(B)に示すように、中反射体による距離バラツキの取り得るデータ領域と低反射体による距離バラツキの取り得るデータ領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定する。すなわち、低反射体の距離バラツキの最低値と中反射体の距離バラツキの最高値との間の適当な距離バラツキ、例えば、これら低反射体の距離バラツキの最低値と中反射体の距離バラツキの最高値との中間値を、距離バラツキ閾値σD0に設定する。
【0073】
そして、属性検出部3は、検知した距離バラツキデータσDが閾値σD0よりも小さければ、検知物体を中反射体と判別する(S433→S434)。一方、属性検出部3は、検知した距離バラツキσDが閾値σD0よりも大きれば、検知物体を低反射体と判別する(S433→S435)。
【0074】
このような処理を行っても、前述の各実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の処理を行うことで、単に反射光量のみでは判別しにくい属性同士であっても、確実に属性判別することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、中反射体と低反射体とをバラツキ特性に基づいて判別する例を示したが、高反射体を含む場合でも同様に属性判別を行うことができる。すなわち、バラツキ特性のみで、高反射体、中反射体、低反射体の属性判別を行うこともできる。
また、前述の説明では、レーダ信号処理部2と属性検出部3とをレーザレーダ装置7に組み込んだ場合を示したが、画像処理装置8の機能をレーザレーダ装置7に組み込むようにしても良く、逆に、レーザレーダ装置7の機能を画像処理装置8に組み込むようにしても良い。
さらには、レーザレーダ装置7の属性検出部3のみを画像処理装置8に組み込むようにしても良い。すなわち、レーザレーダ装置7は物体の検知(物体の位置や距離の検知)のみを行うものとし、検知した物体の前述の属性検出は画像処理装置8で行うようにしても良い。
【0076】
また、前述の説明では、レーダ装置として、レーザレーダを例に示したが、他の方式(パルスドップラやFMCW等)のレーダ装置を用いても良く、さらには、検知領域内に存在する物体からの反射光を利用して三角測距を行う装置を用いても良い。
また、前述の説明では、検知した物体の種類(個体識別)、形状を同定する例を示したが、これらが分かることで、それぞれの種類の物体を計数することもできる。例えば、自車前方に自動車が何台走行しているとか、何人の人がいるとかを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施形態の物体検出装置の主要部を示すブロック図、および、この物体検出装置を搭載した自動車の検知状態を示す概念図である。
【図2】第1の実施形態の物体検出装置の主要動作フローを示すフローチャートである。
【図3】属性判別の処理フローを示すフローチャートである。
【図4】属性判別の反射光量閾値THの設定概念を説明する図である。
【図5】検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
【図6】検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。
【図7】検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
【図8】検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。
【図9】第2の実施形態に係る属性判別の処理フローを示すフローチャートである。
【図10】属性判別の反射光量閾値THnの設定概念を説明する図である。
【図11】第3の実施形態に係る属性判別の処理フローを示すフローチャートである。
【図12】属性判別の反射光量バラツキ閾値σL0の設定概念を説明する図、および、属性判別の距離バラツキ閾値σD0の設定概念を説明する図である。
【図13】他車のリフレクタにレーザ光が照射する場合の位置状態を示す模式図、および、人にレーザ光が照射する場合の物体の位置状態を示す模式図である。
【図14】レーザレーダにおける高反射体(リフレクタ=回帰反射体)の反射光量を方位方向単位で示した図、および、レーザレーダにおける低反射体(人等)の反射光量を方位方向単位で示した図である。
【符号の説明】
【0078】
1−レーダアンテナ、2−レーダ信号処理部、3−属性検出部、4−CCDカメラ、5−画像データ生成部、6−画像処理部、7−レーザレーダ装置、8−画像処理装置
【技術分野】
【0001】
物体を検出する装置、特に、検出した物体の属性を判別する物体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に搭載され、自車前方の道路状況や他車等の物体を検出する物体検出装置として、レーザレーダ等のレーダ装置と、CCDカメラ等の撮像装置で取得した画像を画像処理する画像処理装置とを、備えたものが多く存在する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このような物体検出装置の殆どは、レーダ装置で、各物体を検出するとともに、自車から各物体までの距離および自車に対する各物体の方位を含む物体の位置情報を検出する。そして、物体検出装置は、画像処理装置で、この位置情報を画像データ上にマッピングして画像データを解析することで、各物体の形状や種類等の個体識別を行っていた。
【特許文献1】特開2003−252147公報
【特許文献2】特開2003−217099公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レーダ装置で得られた物体検知の情報を画像データにマッピングして、物体を個体識別する場合、次に示すような問題があった。
図13(A)は先行車のリフレクタにレーザ光が照射する場合の位置状態を示す模式図であり、(B)は人にレーザ光が照射する場合の物体の位置状態を示す模式図である。
図14(A)はレーザレーダにおける高反射体(リフレクタ=回帰反射体)の反射光量を方位方向単位で示した図であり、(B)はレーザレーダにおける低反射体(人等)の反射光量を方位方向単位で示した図であり、(C)は、(A)と(B)とを重ね合わせた図である。
【0004】
図13(A)に示すように、自車101から方位θAに先行車102のリフレクタ(高反射体)121Aが存在すると、図14(A)に示すように、反射光量は方位θAでピーク値P2Aが検知される。また、図13(B)に示すように、自車101から同じ方位θAに人103Aが存在すると、図14(B)に示すように、反射光量は方位θAでピーク値P3Aが検知される。
【0005】
同様に、図13(A)に示すように、自車101から方位θBに先行車102のリフレクタ(高反射体)121Bが存在すると、図14(A)に示すように、反射光量は方位θBでピーク値P2Bが検知される。また、図13(B)に示すように、自車101から同じ方位θBに人103Bが存在すると、図14(B)に示すように、反射光量は方位θBでピーク値P3Bが検知される。
【0006】
このように、先行車102のリフレクタ121Aと人103Aとが同じ方位θAに存在し、先行車102のリフレクタ121Bと人103Bとが同じ方位θBに存在する場合、図14(C)に示すように、それぞれの反射光量特性のピーク発生方位は一致する。
【0007】
また、レーザ光は直進性が強く、且つ、ビーム幅が広がり難いけれども、完全に広がらないことはない。このため、リフレクタ121A,Bや人103A,103Bが存在する位置でのビーム幅がリフレクタ121A、121B間の距離および人103A,103B間の距離よりも広いと、これらでレーザ光が反射されて、或る程度の反射受光量を得てしまう。
この結果、図14(C)に示すように、リフレクタ(高反射体)であっても人(低反射体)であっても、反射光量のレベルが異なるだけで、略同様の反射光量特性曲線が得られてしまう。
【0008】
このため、従来の物体検出装置は、反射光量のピークを検知すると、これに対応する方位θを算出し、画像データの該方位θに対応する領域に対して、各種のサンプリングパターンを適合させて、物体の個体識別を行っていた。
【0009】
ところが、この方法では、ピーク値に対応する物体が、先行車のリフレクタであるのか人であるのかが判らないために、ピークを検出する毎に、記憶する全てのサンプリングパターンを適合して、最適なサンプリングパターンを抽出しなければならない。このため、処理が煩雑化するとともに、高速な物体の個体識別を行うことができない。
【0010】
したがって、この発明の目的は、物体の個体識別を簡略化するとともに高速化することができる物体検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の物体検出装置は、検知領域内の物体の反射による反射強度と該物体の少なくとも距離とを取得する位置情報取得手段と、取得した距離と反射強度とに基づいて物体の属性を判別する属性判別手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
この構成では、位置情報取得手段は、検知領域内に存在する物体からの反射信号を受信して、少なくとも物体までの距離を検出するとともに、これに関連付けして反射信号強度を取得する。属性判別手段は、得られた物体の距離と反射信号強度とから、物体の属性を判別する。より具体的には、反射信号強度の判別閾値を設けて、複数の強度領域を設定する。
【0013】
属性判別手段は、検出した距離に対して、得られた反射信号強度がいずれの強度領域に属するかを判別する。そして、属性判別手段は、この判別結果に基づいて、物体の属性、具体的には高反射体であるのか低反射体であるのかを出力する。
【0014】
また、この発明の物体検出装置の属性判別手段は、反射強度の特性の光量データ、距離別光量データ、光量バラツキデータ、距離バラツキデータの少なくとも1つを用いて判別閾値を設定し、物体の属性を判別することを特徴としている。
【0015】
この構成では、属性判別手段は、判別閾値として、具体的に、次に示す4つの閾値設定方法から、いずれかを選んで設定する。
【0016】
(1)高反射体と低反射体とでは反射強度が2桁以上異なることを利用して、距離に依存することのない一定の反射光量で閾値を決定する。
(2)高反射体、低反射体ともに距離が長くなるほど反射強度が減衰することを参照して、距離に応じて変化させながら反射光量の閾値を決定する。
(3)低反射体が高反射体よりも反射強度のバラツキが大きいことを利用して、特定量の反射光量バラツキを閾値に設定する。
(4)低反射体が高反射体よりも検出される距離のバラツキが大きいことを利用して、特定量の検出距離バラツキを閾値に設定する。
これらの方法により、高反射体と低反射体とが明確に判別される。
【0017】
また、この発明の物体検出装置は、検知領域を撮像して画像データを生成する撮像手段と、検知された物体を画像データに対応させて属性毎に異なる画像処理を行い、物体の個体識別を行う個体識別手段と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
この構成では、撮像手段は、位置情報取得手段が物体を検知する検知領域の画像データを取得する。個体識別手段は、検出した物体の位置を画像データ上にマッピングし、対応する属性毎に異なる画像処理領域およびサンプリングパターンを設定する。個体識別手段は、各画像処理領域に対して予め複数用意された個別のサンプリングパターンを用いて、設定した画像領域内で物体のパターンを同定する。そして、パターンが同定されると、このパターンに基づいて物体の種類、例えば、自動車、デリニエータ、人、物等を出力する。
【0019】
また、この発明の物体検出装置の個体識別手段は、特に回帰反射体を他の物体から識別することを特徴としている。この構成では、具体的に、先行車の後部に備え付けられたリフレクタである回帰反射体を、人等の他の物体から識別する。
【0020】
また、この発明の物体検出装置は、少なくとも、検知領域内にレーザ光を照射してその反射光を利用するレーザレーダにより位置情報取得手段を実現することを特徴としている。この構成では、具体的に、少なくとも位置情報の取得装置としてレーザレーダを用いる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、レーザレーダ等の位置情報取得手段で得られた物体の距離および反射光量から、まず物体を所定の属性単位で分類することで、後段の個体識別処理を容易且つ高速に実行することができる。そして、このように物体を属性に基づいて大まかに分別した後に、詳細に個体識別することで、それぞれの処理が簡素で高速であるので、従来の個体識別方法よりも、簡単且つ高速に物体の識別を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る物体検出装置について図1〜図8を参照して説明する。
図1(A)は本実施形態の物体検出装置の主要部を示すブロック図であり、図1(B)は本実施形態の物体検出装置を搭載した自動車の検知状態を示す概念図である。
本実施形態の物体検出装置は、レーダアンテナ1、レーダ信号処理部2、属性検出部3、CCD(ステレオ)カメラ4、画像データ生成部5、画像処理部6を備える。
【0023】
レーダアンテナ1は、自動車(自車)101の前方バンパ下端部付近に設置され、自車101の前方にレーザビームを送信し、検知領域内の物体にレーザビームが反射してなる反射光を受信する。レーダアンテナ1は、自車101に対して水平方向へ回動可能に設置されており、レーダアンテナ1を所定方位角範囲内で回動させることで、レーザビームを水平方向に走査する。
【0024】
レーダ信号処理部2は、レーザビーム制御部と受信信号解析部とを備え、レーザビーム制御部で生成されたレーザ制御信号を、レーダアンテナ1に適宜与えることにより、所定方向へ送信するレーザビームを形成する。また、レーダ信号処理部2は、レーダアンテナ1から反射光を受信すると、該受信信号の強度すなわち反射光量を検出するとともに、方位方向を検出する。さらに、レーダ信号処理部2は、対応する受信信号の受信タイミングと送信レーザビームの送信タイミングとから、自車101と検知した物体との距離を測距する。これにより、水平方向の所定角範囲内の物体を検知する。
【0025】
属性検出部3は、レーダ信号処理部2から出力される物体検知結果を用いて、後述する方法で検知した物体の属性を検出する。ここで、属性は反射光量に基づいて設定されており、例えば、リフレクタ等の反射光量が大きい高反射体と、人等の反射光量が小さい低反射体と、からなる。
そして、これらレーダ信号処理部2および属性検出部3が、レーザレーダ装置7として一体化されている。
【0026】
CCDカメラ4は、自車101のフロントガラスの上端部付近に設置され、自車101の前方の道路状況を撮像する。
画像データ生成部5は、CCDカメラ4が撮像した映像を、所定タイミング毎に画像データ化して、画像処理部6に与える。
画像処理部6は、レーザレーダ装置7から与えられる物体検知情報、方位、距離、属性に基づいて、後述する方法で各物体の個体識別を行う。
そして、これら画像データ生成部5および画像処理部6が、画像処理装置8として一体化されている。
【0027】
次に、本実施形態の物体検知装置の処理を、図2〜図8を参照して具体的に説明する。
図2は本実施形態の物体検出装置の主要動作フローを示すフローチャートである。
図3は属性判別の処理フローを示すフローチャートであり、(A)は属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する場合を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する場合を示す。なお、ここで説明する高反射体は例えば自動車やデリニエータに備えられたリフレクタであり、中反射体および低反射体は例えば人や物(障害物)である。
図4は属性判別の反射光量閾値THの設定概念を説明する図であり、(A)は属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する閾値TH0を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する第1閾値TH1、第2閾値TH2を示す。なお、図4において、太実線が高反射体の反射光量特性曲線を示し、中実線が中反射体の反射光量特性曲線を示し、細実線が低反射体の反射光量特性曲線を示す。
【0028】
前述のように、レーザレーダ装置7のレーダ信号処理部2は、自車101前方に対して水平方向に走査を行いながらレーザビームを送信し、物体からの反射光を受信することで、物体の検知を行う(S101)。この際、物体検知データには検知物体の方位、受信タイミング(受信時刻)が含まれる。同時に、レーダ信号処理部2は、反射光の強度、すなわち反射光量を検出し、物体検知データに与える(S102)。レーダ信号処理部2は、得られた物体検知情報から、検知物体の距離を算出して、方位、距離を含む物体位置データを算出する(S103)。なお、距離は、既知の通り、送信タイミングと受信タイミングとの時間差により算出される。
【0029】
レーザレーダ装置7の属性検出部3は、物体検知データおよび物体位置データを用いて、属性判別を行う(S104)。
(1)属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する場合(図3(A)参照)
属性検出部3は、反射光量データを読み出し、予め設定しておいた反射光量閾値TH0と比較する。ここで、反射光量閾値TH0は、図4(A)に示すように、高反射体の反射光量の取り得る光量領域と低反射体の反射光量の取り得る光量領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定される。すなわち、高反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との間の適当な反射光量、例えば、これら高反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量閾値TH0に設定する。
【0030】
そして、属性検出部3は、検知した反射光量データが閾値TH0よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S401→S402)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が閾値TH0よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S401→S403)。
【0031】
(2)属性を高反射体、中反射体、低反射体の3種類に判別する場合(図3(B)参照)
属性検出部3は、反射光量データを読み出し、予め設定しておいた反射光量第1閾値TH1と比較する。ここで、反射光量第1閾値TH1は、図4(B)に示すように、高反射体の反射光量の取り得る光量領域と中反射体および低反射体の反射光量の取り得る光量領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定される。すなわち、高反射体の反射光量の最低値と中反射体および低反射体の反射光量の最高値との間の適当な反射光量、例えば、これら高反射体の反射光量の最低値と中反射体および低反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量第1閾値TH1に設定する。
【0032】
そして、属性検出部3は、検知した反射光量データが第1閾値TH1よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S404→S405)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が第1閾値TH1よりも小さければ、検知物体を高反射体ではないと判別し、次の判別処理を行う(S404→S406)。
【0033】
次に、属性検出部3は、反射光量データを、予め設定しておいた反射光量第2閾値TH2と比較する。ここで、反射光量第2閾値TH2は、図4(B)に示すように、中反射体の反射光量の取り得る光量領域と低反射体の反射光量の取り得る光量領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定される。すなわち、中反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との間の適当な反射光量、例えば、これら中反射体の反射光量の最低値と低反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量第2閾値TH2に設定する。
【0034】
そして、属性検出部3は、反射光量データが第2閾値TH2よりも大きければ、検知物体を中反射体と判別する(S406→S407)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が第2閾値TH2よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S406→S408)。
【0035】
このような属性判別処理は、検知物体の全てに対して行われ、属性が決定すると、レーザレーダ装置7は、前記物体検知データ、物体位置データ、および属性データを関連付けした状態で、画像処理装置8に与える。
【0036】
このようなレーザレーダ装置7の動作と並行して、CCDカメラ4は自車101前方を撮像し(S105)、画像処理装置8に出力する。画像処理装置8の画像データ生成部5は、所定タイミングで画像データを順次形成して画像処理部6に与える(S106)。この際、画像データには、画像データの生成タイミング、すなわち撮像タイミングが添付されている。
【0037】
画像処理部6は、レーザレーダ装置7から与えられた物体検知データ、物体位置データ、および属性データと、画像データ生成部5から与えられた画像データとに基づいて、時刻を同期させながら物体の個体識別を行う(S107)。
【0038】
具体的に、まず、画像処理部6は、物体位置データに基づいて物体検知点を画像データ上にマッピングする。なお、以下のマッピング処理から開始される個体識別処理については、高反射体と低反射体との2種類に区別する場合を説明する。
【0039】
(1)検知物体の属性が高反射体である場合
図5は検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
図6は検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。図6(A)はマッチング領域設定状態を示し、(B)はマッチング領域のみを抽出した状態を示し、(C),(D)はマッチングに用いるサンプリングパターンを示す。
【0040】
画像処理部6は、このマッピングした物体検知点に対して、対応する属性データからマッチング処理領域を設定する(S701)。具体的に、画像処理部6は、検知物体が高反射体であることを識別すると、所定間隔で現れる二つの物体検知点を含むマッチング処理領域12を設定する。
【0041】
この際、高反射体は先行車後部に設置されたリフレクタや、道路脇や道路面に設置されたデリニエータであるので、前記マッチング領域を自動車の形状に則した矩形状に設定する。具体的には、マッチング領域12は、前記二つの物体検知点が幅方向の両端に位置するように幅を設定し、別途予め設定した長さで高さを設定する。ここで、この設定される高さは、例えば、自車からの距離に基づき自車から前方に見える一般的な自動車の寸法を予め算出しておき、この算出値から設定される。
【0042】
次に、画像処理部6は、抽出したマッチング領域12の画像データに対して、コントラストによる外形線抽出等の画像処理を行い、物体検知点を含む物体の形状を検出する(S702)。
【0043】
また、画像処理部6は、図6(C)や(D)に示すようなサンプリングパターン201〜203を予めメモリに記憶しており、順次これらサンプリングパターン201〜203を読み出す(S703)。図6(C),(D)に示すように、高反射体の物体に対するサンプリングパターン201〜203は、マッチング領域12と同様に、自動車の形状に則して設定されており、予め各種自動車の背面形状(後方から見た形状)で設定されている。
【0044】
なお、画像処理部6は、サンプリングパターンを読み出して利用する場合、物体に対して得られた距離情報に基づいて記憶されているサンプリングパターンを拡大または縮小する。例えば、画像サイズがmドット×nドットのサンプリングパターンを用いる場合で、基準距離(サンプリングパターンを設定した時点で利用した距離)L0に対して検知距離がLであれば、パターンマッチングに利用する画像サイズは、m×(L0/L)ドット×n×(L0/L)ドットに変換する。
【0045】
次に、画像処理部6は、検出した物体形状と各サンプリングパターン201〜203とを用いて、パターンマッチング処理を行い、類似パターンを検索する(S704)。画像処理部6は、検出した物体形状とサンプリングパターンとの類似性を既知の方法で検証し、予め設定した基準以上に類似するパターンが存在すれば、このサンプリングパターンを適応する。そして、画像処理部6は、この類似パターンに対応する物体の種類を読み出し、物体の種類を限定する。例えば、図6に示す場合であれば、サンプリングパターンが自動車の形状であるので、類似パターンが存在すれば、検知物体は、この類似パターンに対応した自動車であると判断する(S705→S706)。ここで、各種自動車のサンプリングパターン、例えば、普通自動車、軽トラック、および大型トラック等をそれぞれ個別に設定しておけば、車種をも検出することができる。
【0046】
さらに、画像処理部6は選択したサンプリングパターンを用いて、物体のサイズを検出する。例えば、決定した類似パターンが画素数にしてm1ドット×n1ドットであり、当該物体の距離がLであれば、レーザレーダの焦点距離をfとして画像データの画素ピッチ距離をpとすると、M(=m1×p×L1/f)×N(=n1×p×L1/f)と算出することができる。
【0047】
ところで、類似となるサンプリングパターンが複数存在する場合には、画像処理部6は、類似するサンプリングパターンの中から最も類似性の強いサンプリングパターンを選択すればよい。
【0048】
一方、画像処理部6は、全てのサンプリングパターンと検知物体に基づく形状との類似性が、前記所定の基準に達しなければ、検知された高反射体が自動車のリフレクタではないと判断する(S705→S707)。そして、例えば、このように自動車のリフレクタとして判断されない高反射体が所定方向に連続することを検知すると、これらがデリニエータであると判断する。
そして、画像処理部6は、このように判断した物体の検出結果を、物体検出装置が搭載される上位システムに出力する(S708)。
【0049】
(2)検知物体の属性が低反射体である場合
図7は検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
図8は検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。図8(A)はマッチング領域設定状態を示し、(B)はマッチング領域のみを抽出した状態を示し、(C),(D)はマッチングに用いるサンプリングパターンを示す。
【0050】
画像処理部6は、このマッピングした物体検知点に対して、対応する属性データからマッチング処理領域を設定する(S711)。具体的に、画像処理部6は、検知物体が低反射体であることを識別すると、それぞれの物体検知点に対して各物体検知点を含むマッチング処理領域12A,12Bを設定する。
【0051】
この際、低反射体は道路上で停止したり移動する人であったり、道路上に載置された物(障害物や荷物等)であるので、前記マッチング領域を人の形状に則して設定する。具体的には、マッチング領域12A,12Bは、それぞれ物体検知点を幅と高さ方向の中心にして、人の輪郭に則した幅および高さの矩形領域を設定する。ここで、この設定される幅および高さは、例えば、自車からの距離に基づき自車から前方に見える一般的な人の寸法を予め算出しておき、この算出値から設定される。
【0052】
次に、画像処理部6は、抽出したマッチング領域12A,12Bの画像データに対して、コントラストによる外形線抽出等の画像処理を行い、物体検知点を含む物体の形状を検出する(S712)。
【0053】
また、画像処理部6は、図8(C)や(D)に示すようなサンプリングパターン301〜303を予めメモリに記憶しており、順次これらサンプリングパターン301〜303を読み出す(S713)。図8(C),(D)に示すように、低反射体の物体に対するサンプリングパターン301〜303は、マッチング領域12A,12Bと同様に人の形状に則して設定されており、予め各種人の行動パターンの背面形状(後方から見た形状)で設定されている。
【0054】
なお、この場合も、画像処理部6は、サンプリングパターンを読み出して利用する場合、物体に対して得られた距離情報に基づいて記憶されているサンプリングパターンを拡大または縮小する。
【0055】
次に、画像処理部6は、検出した物体形状と各サンプリングパターン301〜303とを用いて、パターンマッチング処理を行い、類似パターンを検索する(S714)。そして、画像処理部6は、検出した物体形状とサンプリングパターンとの類似性を既知の方法で検証し、予め設定した基準以上に類似するパターンが存在すれば、このサンプリングパターンを適応する。そして、画像処理部6は、この類似パターンに対応する物体の種類を読み出し、物体の種類を限定する。例えば、図8に示す場合であれば、サンプリングパターンが人の形状であるので、類似パターンが存在すれば、検知物体は、この類似パターンに対応した人であると判断する(S715→S716)。なお、ここで、類似となるサンプリングパターンが複数存在する場合には、これらの中から最も類似のサンプリングパターンを選択する。
【0056】
一方、画像処理部6は、全てのサンプリングパターン301〜303と検知物体に基づく形状との類似性が、前記所定の基準に達しなければ、検知された低反射体が人ではないと判断する(S715→S717)。そして、例えば、このように人として判断されない低反射体は、例えば、道路上に存在する障害物であると判断する。
【0057】
そして、画像処理部6は、このように判断した物体の検出結果を、物体検出装置が搭載される上位システムに出力する(S718)。
【0058】
なお、このような人の判別については、前述のように中反射体と低反射体とを判別し、例えば、中反射体として大人のサンプリングパターンを用い、低反射体として子供のサンプリングパターンを用いるようにして、個体識別処理を行ってもよい。
【0059】
このような処理を行うことで、物体の属性(本実施形態であれば反射強度)に準じて、物体を所定の種類に分別しておき、各属性で固有のマッチング処理を行って、物体の個体識別を行う。これにより、属性毎にマッチング処理領域を一意に設定することができ、且つ、属性毎に個別のマッチングサンプルパターンを読み出せばよいので、マッチング処理を簡素化且つ高速化することができる。
【0060】
次に、第2の実施形態の係る物体検出装置について、図9、図10を参照して説明する。
第1の実施形態では、属性判別の際に、距離に依存することのない閾値を用いた例を示したが、本実施形態の物体検出装置は、距離に応じて設定された閾値を用いたものである。
図9は属性判別の処理フローを示すフローチャートであり、(A)は属性と高反射体と低反射体との2種類に判別する場合を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する場合を示す。
図10は属性判別の反射光量閾値THnの設定概念を説明する図であり、(A)は属性と高反射体と低反射体との2種類に判別する閾値THn0を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する第1閾値THn1、第2閾値THn2を示す。なお、図10において、太実線が高反射体の反射光量特性曲線を示し、中実線が中反射体の反射光量特性曲線を示し、細実線が低反射体の反射光量特性曲線を示す。
【0061】
(1)属性を高反射体と低反射体との2種類に判別する場合(図9(A)参照)
属性検出部3は、物体検知データを受け付けると、距離と反射光量データとを読み出し、該当する距離における反射光量閾値THn0と比較する(S411→S412→S413)。ここで、反射光量閾値THn0は、図10(A)に示すように、高反射体の反射光量と低反射体の反射光量とが、どの距離を選択しても非常にかけ離れていることを利用して予め設定される。すなわち、各距離における高反射体の反射光量と低反射体の反射光量との間の適当な反射光量、例えば、該当する距離における高反射体の反射光量と低反射体の反射光量との中間値を、反射光量閾値THn0に設定する。
【0062】
属性検出部3は、検知した反射光量データが対応する距離での閾値THn0よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S413→S414)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が対応する距離での閾値THn0よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S413→S415)。
【0063】
(2)属性を高反射体、中反射体、低反射体の3種類に判別する場合(図9(B)参照)
属性検出部3は、物体検知データを受け付けると、距離と反射光量データとを読み出し、該当する距離における反射光量第1閾値THn1と比較する(S411→S412→S416)。ここで、反射光量第1閾値TH1は、図10(B)に示すように、高反射体の反射光量と中反射体の反射光量とが、どの距離を選択しても非常にかけ離れていることを利用して予め設定される。すなわち、各距離における高反射体の反射光量と中反射体の反射光量との間の適当な反射光量、例えば、これら高反射体の反射光量の最低値と中反射体の反射光量の最高値との中間値を、反射光量第1閾値THn1に設定する。
【0064】
属性検出部3は、検知した反射光量データが第1閾値THn1よりも大きければ、検知物体を高反射体と判別する(S416→S414)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が第1閾値THn1よりも小さければ、検知物体を高反射体ではないと判別し、次の判別処理を行う(S416→S417)。
【0065】
次に、属性検出部3は、反射光量データを、予め設定しておいた反射光量第2閾値THn2と比較する。ここで、反射光量第2閾値THn2は、図10(B)に示すように、中反射体の反射光量と低反射体の反射光量とが、どの距離を選択しても非常にかけ離れていることを利用して予め設定される。すなわち、各距離における中反射体の反射光量と低反射体の反射光量との間の適当な反射光量、例えば、これら中反射体の反射光量と低反射体の反射光量との中間値を、反射光量第2閾値THn2に設定する。
【0066】
属性検出部3は、反射光量データが対応する距離での第2閾値THn2よりも大きければ、検知物体を中反射体と判別する(S417→S418)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量が対応する距離での第2閾値THn2よりも小さければ、検知物体を低反射体と判別する(S417→S419)。
【0067】
このような処理方法であっても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の処理方法を用いることで、高反射体の反射光量の最低値(観測し得る最遠方からの反射光量)が低反射体や中反射体の反射光量の最高値(観測し得る最近傍の反射光量)よりも小さくなるような場合であっても、確実に高反射体と中反射体または低反射体とを判別することができる。
【0068】
次に、第3の実施形態に係る物体検出装置について、図11、図12を参照して説明する。
第1、第2の実施形態では、属性判別の際に、光量を判別の基準にした例を示したが、本実施形態の物体検出装置は、距離や光量のバラツキに応じて設定された閾値を用いたものである。なお、本実施形態で示す属性判別フローは、第1の実施形態に示したように、高反射体と非高反射体とに属性判別をした後に、非高反射体を、中反射体と低反射体とに属性判別する場合を示す。
図11は属性判別の処理フローを示すフローチャートであり、(A)は属性と高反射体と低反射体との2種類に判別する場合を示し、(B)は属性を高反射体、中反射体、および低反射体の3種類に判別する場合を示す。
図12(A)は属性判別の反射光量バラツキ閾値σL0の設定概念を説明する図であり、(B)は属性判別の距離バラツキ閾値σD0の設定概念を説明する図である。なお、図12において、中実線が中反射体のバラツキ特性曲線を示し、細実線が低反射体のバラツキ特性曲線を示す。
【0069】
中反射体と低反射体とは、前述の例に示したように、ともに人や物であることが多い。このため、中反射体と低反射体とで反射光量の差が大きくなかったり、同じ物体に対して測定回毎に得られる反射光量のバラツキが大きくなる傾向がある。さらに、反射光量が低いことで、算出される距離にもバラツキが生じる。しかしながら、中反射体と低反射体とを比較すれば、低反射体の方が、反射光量のバラツキ、距離のバラツキとも大きくなる傾向にあるので、本実施形態では、この特性を利用して、中反射体と低反射体とを判別する。
【0070】
(1)反射光量バラツキにより中反射体と低反射体とを判別する場合(図11(A)参照)
属性検出部3は、反射光量データを取得すると、方位方向を確認して、同じ方位方向の反射光量データを所定時間(複数走査分)に亘って蓄積する(S421)。属性検出部3は、これら反射光量データを用いて、反射光量バラツキデータσLを算出し、予め設定しておいた反射光量バラツキ閾値σL0と比較する(S422→S423)。ここで、反射光量バラツキ閾値σL0は、図12(A)に示すように、中反射体の反射光量バラツキの取り得るデータ領域と低反射体の反射光量バラツキの取り得るデータ領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定する。すなわち、低反射体の反射光量バラツキの最低値と中反射体の反射光量バラツキの最高値との間の適当な反射光量バラツキ、例えば、これら低反射体の反射光量バラツキの最低値と中反射体の反射光量バラツキの最高値との中間値を、反射光量バラツキ閾値σL0に設定する。
【0071】
そして、属性検出部3は、検知した反射光量バラツキデータσLが閾値σL0よりも小さければ、検知物体を中反射体と判別する(S423→S424)。一方、属性検出部3は、検知した反射光量バラツキσLが閾値σL0よりも大きれば、検知物体を低反射体と判別する(S423→S425)。
【0072】
(2)距離バラツキにより中反射体と低反射体とを判別する場合(図11(B)参照)
属性検出部3は、物体検知データの距離データを取得すると、方位方向を確認して、同じ方位方向の距離データを所定時間(複数走査分)に亘って蓄積する(S431)。属性検出部3は、これら距離データを用いて、距離バラツキデータσDを算出し、予め設定しておいた距離バラツキ閾値σD0と比較する(S432→S433)。ここで、距離バラツキ閾値σD0は、図12(B)に示すように、中反射体による距離バラツキの取り得るデータ領域と低反射体による距離バラツキの取り得るデータ領域とが、距離に関係なく重なり合わないことを利用して設定する。すなわち、低反射体の距離バラツキの最低値と中反射体の距離バラツキの最高値との間の適当な距離バラツキ、例えば、これら低反射体の距離バラツキの最低値と中反射体の距離バラツキの最高値との中間値を、距離バラツキ閾値σD0に設定する。
【0073】
そして、属性検出部3は、検知した距離バラツキデータσDが閾値σD0よりも小さければ、検知物体を中反射体と判別する(S433→S434)。一方、属性検出部3は、検知した距離バラツキσDが閾値σD0よりも大きれば、検知物体を低反射体と判別する(S433→S435)。
【0074】
このような処理を行っても、前述の各実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の処理を行うことで、単に反射光量のみでは判別しにくい属性同士であっても、確実に属性判別することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、中反射体と低反射体とをバラツキ特性に基づいて判別する例を示したが、高反射体を含む場合でも同様に属性判別を行うことができる。すなわち、バラツキ特性のみで、高反射体、中反射体、低反射体の属性判別を行うこともできる。
また、前述の説明では、レーダ信号処理部2と属性検出部3とをレーザレーダ装置7に組み込んだ場合を示したが、画像処理装置8の機能をレーザレーダ装置7に組み込むようにしても良く、逆に、レーザレーダ装置7の機能を画像処理装置8に組み込むようにしても良い。
さらには、レーザレーダ装置7の属性検出部3のみを画像処理装置8に組み込むようにしても良い。すなわち、レーザレーダ装置7は物体の検知(物体の位置や距離の検知)のみを行うものとし、検知した物体の前述の属性検出は画像処理装置8で行うようにしても良い。
【0076】
また、前述の説明では、レーダ装置として、レーザレーダを例に示したが、他の方式(パルスドップラやFMCW等)のレーダ装置を用いても良く、さらには、検知領域内に存在する物体からの反射光を利用して三角測距を行う装置を用いても良い。
また、前述の説明では、検知した物体の種類(個体識別)、形状を同定する例を示したが、これらが分かることで、それぞれの種類の物体を計数することもできる。例えば、自車前方に自動車が何台走行しているとか、何人の人がいるとかを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施形態の物体検出装置の主要部を示すブロック図、および、この物体検出装置を搭載した自動車の検知状態を示す概念図である。
【図2】第1の実施形態の物体検出装置の主要動作フローを示すフローチャートである。
【図3】属性判別の処理フローを示すフローチャートである。
【図4】属性判別の反射光量閾値THの設定概念を説明する図である。
【図5】検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
【図6】検知物体の属性が高反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。
【図7】検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明するフローチャートである。
【図8】検知物体の属性が低反射体である場合の個体識別処理を説明する図である。
【図9】第2の実施形態に係る属性判別の処理フローを示すフローチャートである。
【図10】属性判別の反射光量閾値THnの設定概念を説明する図である。
【図11】第3の実施形態に係る属性判別の処理フローを示すフローチャートである。
【図12】属性判別の反射光量バラツキ閾値σL0の設定概念を説明する図、および、属性判別の距離バラツキ閾値σD0の設定概念を説明する図である。
【図13】他車のリフレクタにレーザ光が照射する場合の位置状態を示す模式図、および、人にレーザ光が照射する場合の物体の位置状態を示す模式図である。
【図14】レーザレーダにおける高反射体(リフレクタ=回帰反射体)の反射光量を方位方向単位で示した図、および、レーザレーダにおける低反射体(人等)の反射光量を方位方向単位で示した図である。
【符号の説明】
【0078】
1−レーダアンテナ、2−レーダ信号処理部、3−属性検出部、4−CCDカメラ、5−画像データ生成部、6−画像処理部、7−レーザレーダ装置、8−画像処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知領域内の物体の反射による反射強度と該物体の少なくとも距離とを取得する位置情報取得手段と、
前記取得した距離と反射強度とに基づいて前記物体の属性を判別する属性判別手段と、
を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記属性判別手段は、前記反射強度の特性の光量データ、距離別光量データ、光量バラツキデータ、距離バラツキデータの少なくとも1つを用いて判別閾値を設定し、物体の属性を判別する請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記検知領域を撮像して画像データを生成する撮像手段と、
前記検知された物体を前記画像データに対応させて属性毎に異なる画像処理を行い、前記物体の個体識別を行う個体識別手段と、
を備えた請求項1または請求項2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記個体識別手段は、特に回帰反射体を他の物体から識別する請求項3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
少なくとも前記位置情報取得手段を、前記検知領域内にレーザ光を照射してその反射光を利用するレーザレーダにより実現する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の物体検出装置。
【請求項1】
検知領域内の物体の反射による反射強度と該物体の少なくとも距離とを取得する位置情報取得手段と、
前記取得した距離と反射強度とに基づいて前記物体の属性を判別する属性判別手段と、
を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記属性判別手段は、前記反射強度の特性の光量データ、距離別光量データ、光量バラツキデータ、距離バラツキデータの少なくとも1つを用いて判別閾値を設定し、物体の属性を判別する請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記検知領域を撮像して画像データを生成する撮像手段と、
前記検知された物体を前記画像データに対応させて属性毎に異なる画像処理を行い、前記物体の個体識別を行う個体識別手段と、
を備えた請求項1または請求項2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記個体識別手段は、特に回帰反射体を他の物体から識別する請求項3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
少なくとも前記位置情報取得手段を、前記検知領域内にレーザ光を照射してその反射光を利用するレーザレーダにより実現する請求項1〜請求項4のいずれかに記載の物体検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−114831(P2007−114831A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302694(P2005−302694)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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