説明

現像装置および画像形成装置

【課題】温湿度環境やトナー濃度が変化した場合においても現像剤全体を対象とした流動性の変化を用いて現像剤の劣化を判断できる構成を備えて常に画像品質の低下を防止できるようにした現像装置を提供する。
【解決手段】トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を用いて静電潜像の可視像処理を行う現像装置3であって、現像剤担持体と現像剤の担持量を規制する現像剤規制部材34とを備えた現像部と、現像部とは別に設けられて該現像部から回収された現像剤を収容して攪拌する現像剤攪拌部40と、前記現像部と前記現像剤攪拌部40との間で現像剤を循環させる循環部41,42とを備え、前記現像剤攪拌部40には、回転数を任意に制御可能な攪拌部材45と、該攪拌部材45のトルクを検知可能なトルクセンサ40Bとが設けられ、前記攪拌部材45の回転数を変化させたときの前記トルクセンサ40Bの出力値に基づき現像剤の劣化を検知する構成100が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、二成分系現像剤の撹拌機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像を現像装置により可視像処理し、可視像をシートなどに転写することにより記録出力を得ることができる。
【0003】
現像に用いられる現像剤には磁性あるいは非磁性トナーのみの一成分系現像剤の他にトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤がある。
【0004】
二成分系現像剤は、トナーとこれを担持するキャリアとで構成され、攪拌混合時に生起される摩擦帯電作用によりトナーを帯電させて感光体上の静電潜像に対して静電吸着できる状態とされる。
【0005】
現像装置には、磁力により周面に現像剤を穂立ちさせて感光体上の静電潜像に向け現像剤を供給する現像スリーブと、現像スリーブに対して撹拌混合した現像剤を供給する撹拌スリーブとを備えた構成が知られており、感光体上の静電潜像の可視像処理にトナーが消費された現像剤が現像装置に回収されるようになっている。
【0006】
一方、現像剤に含まれるトナーは消費されると画像濃度が低下することから補給対象となるものであり、補給の際には撹拌スリーブとしてスクリューオーガを備えた搬送スクリューの上部あるいは軸方向端部から注ぎ込まれる状態で補給されることがある。
【0007】
トナーの補給は、トナー濃度センサなどの検知手段による現像剤濃度の検知結果に応じてトナー補給部に収容されているトナーを繰り出す補給部材の回転量を制御することで行われる。
【0008】
補給されたトナーは、現像槽内に収容されている現像剤に注がれると、補給部材の近傍に配置されている搬送スクリューによりキャリアと撹拌混合されて所定濃度に維持されるとともに摩擦帯電されることにより所定の帯電量を付与された状態で現像スリーブに向け供給される。
【0009】
現像装置内に補給されたトナーを現像装置内のキャリアと混合する際には、補給されたトナーが現像剤担持体である現像スリーブにくみ上げられるまでの短い時間であることが原因して、トナーの収支が多い場合などには補給されたトナーの攪拌分散、そしてこれによる帯電作用が十分でない場合もある。このため、帯電不良のままのトナーが感光体上の地肌に付着する地汚れあるいは周辺部への飛散が起こり、画像品質の低下を来す虞がある。
【0010】
そこで、現像装置とは別の位置に補給トナーとキャリアとを調合して、攪拌生を高められて状態でかつ帯電量も不足していない状態の現像剤を現像装置に搬送する構成が提案されている。(例えば、特許文献1〜3)。
【0011】
上記各特許文献においては、循環路中あるいはこの循環路を介して現像装置とこれとは別の位置に現像剤攪拌部を設け、現像剤攪拌部に設けられているスクリューオーガなどの攪拌部材により現像剤および新たに補給されるトナーを現像剤に分散させて現像装置に搬送する構成が開示されている。
【0012】
上記各特許文献に開示されている構成においては、現像装置内で攪拌が行われる場合に発生する現像へのストレス増加を低減できる反面、現像装置との間で循環されることにより、その搬送過程で現像剤に対して物理的なストレスが発生する虞がある。
【0013】
この場合の物理的なストレスとは、搬送路での摺擦などが相当しており、これにより、現像剤が不用意に劣化してしまうことがある。
【0014】
現像剤の劣化とは、トナーの外添剤の剥落や埋没、キャリアコート膜の削れ、さらにはトナー外添剤のキャリア表面への付着を起こすスペントが発生することを意味している。
【0015】
現像剤の劣化は、現像剤全体の特性として、嵩密度の変化や抵抗値の変化、流動性や帯電性の悪化を招く虞がある。このような現像剤の劣化による現像剤の特性変化は、画像濃度の乱れや流動性の悪化によるトナーの分散性に変化を来し、現像スリーブに汲み上げられた際に上述した地汚れや飛散という画像品質の低下を招く結果となる。
【0016】
従来、このような現像剤の劣化に対処するため、現像剤攪拌部において現像剤の嵩変動や現像剤が収容部内壁を押圧する圧力の変化を検知して現像剤の劣化を判別する構成が提案されている(例えば、特許文献4)。
【0017】
このような現像剤の収容変化を対象とする構成とは別に、現像剤の攪拌部材におけるトルク変動を検知して現像剤の劣化を判別する構成も提案されている(例えば、特許文献5,6)。
【0018】
特許文献4においては、現像器内の現像剤の嵩を検知するセンサあるいは現像剤収容部内壁に接触する現像剤の圧力を検知する圧力センサを設け、現像剤の劣化の原因となる流動性が悪化した場合に生じる嵩の上昇変化や圧力の上昇変化を判別する構成が開示されている。
【0019】
特許文献5,6においては、現像剤の流動性の悪化によるトルク上昇を検知する構成が開示されている。
【0020】
【特許文献1】特許第3734096号
【特許文献2】特許第3349286号
【特許文献3】特開平11−143196号公報
【特許文献4】特開2008−76428号公報
【特許文献5】特開平11−160978号公報
【特許文献6】特開2008−83409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述した特許文献に開示されている構成において圧力やトルクの変動を検知する構成では、環境変動による現像剤の流動性の変化を現像剤の劣化と判断する虞があり、現像剤の劣化判断に誤検知が生じる。
【0022】
そこで、圧力変動を検知対象とする構成が開示されている特許文献4には、環境変動要因である温度・湿度を検知することが開示されているが、トナー濃度の変化に伴う流動性饒辺かは考慮されておらず、現像剤の劣化の要因である、トナー濃度の低下、温湿度などの環境変化そして流動性の悪化を考慮したものではない。
【0023】
一方、トルクセンサを用いた構成が開示されている特許文献5,6においては、現像剤に含まれるトナーとキャリアとの混合比、換言すればトナー濃度および温湿度変化によって変化する嵩変動ではなく、単純な嵩変動のみを対象としており、例えば、トルクセンサが設けられている側の搬送攪拌部材に近い位置での現像剤の良に影響されるトルク変動が対象となっていることから、正確に現像剤全体での劣化を判断することはできない。
【0024】
本発明の目的は、上記従来の現像装置、特に現像剤の劣化判断における問題に鑑み、温湿度環境やトナー濃度が変化した場合においても現像剤全体を対象とした流動性の変化を用いて現像剤の劣化を判断できる構成を備えて常に画像品質の低下を防止できるようにした現像装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を用いて静電潜像の可視像処理を行う現像装置であって、
現像剤担持体と現像剤の端寺領を規制する現像剤規制部材とを備えた現像部と、現像部とは別に設けられて該現像部から回収された現像剤を攪拌する現像剤攪拌部と、前記現像部と前記現像剤攪拌部との間で現像剤を循環させる循環部とを備え、
前記現像剤攪拌部には、回転数を任意に制御可能な攪拌部材と、該攪拌部材のトルクを検知可能なトルクセンサとが設けられ、前記攪拌部材の回転数を変化させたときの前記トルクセンサの出力値に基づき現像剤の劣化を検知する構成が設けられていることを特徴とする現像装置。
(2)前記現像剤の劣化を検知する構成には、前記攪拌部材への駆動制御および前記トルクセンサからの出力値を入力される制御部が用いられ、該制御部は、所定タイミングにおいて前記攪拌部材の回転数を変化させて前記トルクセンサからの出力値の差に基づき現像剤の劣化を判別することを特徴とする(1)に記載の現像装置。
(3)前記制御部では、前記攪拌部材の回転数を変化させる時期として前記現像部の停止時が設定されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の現像装置。
(4)前記制御部には、前記トルクセンサに加えて前記循環部の循環路中に設けられた濃度センサが接続されており、前記トルクセンサからの出力値に加えて前記濃度センサからの出力値を用いて現像剤の劣化を判別することを特徴とする(2または3に記載の現像装置。
(5)前記制御部には、前記トルクセンサに加えて温湿度センサが接続されており、前記トルクセンサからの出力値に加えて前記温湿度センサからの出力値を用いて現像剤の劣化を判別することを特徴とする(2)または(3)に記載の現像装置。
(6)前記制御部には、前記トルクセンサに加えて現像剤粉面を検知可能なレベルセンサが接続されており、前記トルクセンサからの出力値に加えて前記レベルセンサからの出力値を用いて現像剤の劣化を判別することを特徴とする(2)または(3)に記載の現像装置。
(7)前記現像剤攪拌部は、現像剤を重力方向に移動させる形状を有した現像剤収容部を備え、前記攪拌部材は該現像剤収容部内に配置されて前記現像剤を重力方向に移動させる動きが可能な構成であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の現像装置。
(8)前記制御部には、キャリアまたはキャリアとトナーとのを含む補給剤を補給する補給手段と、余剰の現像剤を回収する回収手段とが接続されており、該制御部は、前記現像剤の劣化を判別した場合に前記補給手段を駆動して前記補給剤を補給することを特徴とする(2)乃至(7)のいずれかに記載の現像装置。
(9)前記制御部は、画像面積率あるいは現像部での稼働時間に基づき、補給剤に含まれるキャリアとトナーとの混合比を設定することを特徴とする(2)乃至(8)のいずれかに記載の現像装置。
(10)(1)乃至(9)のいずれかに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
(11)前記制御部は、前記現像剤の劣化度合いに応じて画像形成処理に用いられる帯電バイアス、現像バイアス、書込光パワーを調整可能であることを特徴とする(10)に記載の画像形成装置。
(12)前記制御部には、前記現像剤の劣化判別時に現像剤が劣化を来していることを外部に表示できる構成を備えていることを特徴とする(10)または(11)に記載の画像形成装置。
(13)前記現像剤の補給は、ユーザーによる調整が可能であることを特徴とする(10)乃至(12)のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、トルクセンサを用いた現像剤の劣化を判断する際に、攪拌部材の回転数を変化させるようになっているので、現像剤の劣化が回転数域でのトルクの発生具合に影響することを利用するだけで現像剤の劣化を判別することができる。特に、現像剤の劣化を判断する位置は、現像装置内ではなく現像装置とは別の位置に設けてある現像剤攪拌部において行うようになっているので、現像装置に用いられる部材の回転数を変化させた場合に潜像担持体に対する現像剤の供給量が変化してしまうこともなく、現像剤の劣化を検知することが可能となる。
【0027】
しかも、現像剤の流動性は、環境変化やトナー濃度等により影響され、実際の現像剤の劣化とは異なる要因によって流動性が悪化したときと同じ状態となることがあるが、本発明によれば、これら実際の現像剤自体での劣化要因以外の要因による流動性の変化を除外して、上述した現像剤の劣化と回転数域でのトルク変化のみを用いることで現像剤の劣化を判別できるので、実際の劣化要因以外の要因による流動性変化が原因する誤検知を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面に示す実施例により本発明を実施するための最良の形態について説明する。 図1は、本発明による現像装置を用いる画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【0029】
図1に示す画像形成装置は、中間転写ユニット10に用いられる、未定着像担持体としての中間転写ベルト10Aの下面に対向して、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。これらの作像部6Y、6M、6C、6Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造である。なお、以下の説明では、各作像部で共通する数字の符号のみを挙げて説明し、トナーの色を示すアルファベットの符号は省く。
【0030】
各作像部6は、潜像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電手段2、現像装置3、クリーニング手段4等で構成されている。
【0031】
感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
【0032】
感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図中、時計回り方向に回転駆動され、帯電手段2の位置で表面が一様に帯電される(帯電工程)。
【0033】
感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成され(露光工程)、現像装置3と対向する位置に達すると、そこから供給される現像剤に含まれるトナーにより可視像処理されて現像工程を実行される。
【0034】
現像工程において可視像処理されたトナー像を担持する感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト10A及び1次転写バイアスローラ5との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト10A上に転写される(1次転写工程)。
【0035】
転写を終えて感光体1の表面は、クリーニング手段4との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。クリーニング後、感光体ドラム1の表面は図示しない除電ローラにより電位を初期化される。このような工程を経過することで、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0036】
上述した作像プロセスは、モノクロ画像のみの単一画像形成時およびフルカラー画像形成時にそれぞれ行われるが、フルカラー画像形成時には、図1に示した4つの作像部6Y、6M、6C、6Kにおいて各工程がそれぞれ行われる。すなわち、作像部の下方に配設された不図示の露光部(光書き込み装置)から、画像情報に基づいたレーザ光が、各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト10A上にカラー画像が形成される。
【0037】
4つの1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kは、それぞれ、中間転写ベルト10Aを感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
【0038】
中間転写ベルト10Aは、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト10A上に重ねて1次転写される。
【0039】
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト10Aは、2次転写手段としての2次転写ローラ7との対向位置に達する。中間転写ベルト10A上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体としての転写紙P上に一括転写される。
【0040】
装置本体100の下部に配設された給紙部8には、転写紙Pが複数枚重ねて収納されており、給紙コロ9により1枚ずつ分離されて給紙される。給紙された転写紙Pはレジストローラ対10で一旦停止され、斜めずれを修正された後レジストローラ対10により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて搬送される。そして、前記のように、2次転写ニップにおいて転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0041】
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着部11へ搬送され、ここで、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を定着される。
【0042】
定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対12により、装置本体100の上面に形成された排紙部100Aへ出力画像として排出され、スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。なお、図1において符号13は、中間転写ベルト10Aのクリーニング装置を示している。
【0043】
次に、本発明による現像装置の構成について説明する。
【0044】
図2は、本発明実施例による現像装置の全体構成を示す図である。
【0045】
図2において現像装置は、後で詳しく説明するが、感光体ドラムに対してキャリアとトナーとを混合した二成分系現像剤により現像工程を実行する現像部と、現像部から回収した現像剤を再度現像部の現像剤供給部に向け移送する循環部と備えている。
【0046】
図2において現像装置3は、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像剤を収容可能な現像槽30と、現像槽30から離れた位置で現像槽30から回収された現像剤および消費されたトナーに見合う新規トナーを撹拌混合する攪拌部としての現像剤収容部40と、現像剤収容部40に向け新規トナーを補給するトナーカートリッジ52と、現像剤収容部40から排出される撹拌混合後の現像剤を移送するためのロータリーフィーダ50と、現像剤を空気圧で現像槽30に向け移送するための現像剤循環駆動源に相当するエアポンプ51、現像剤収容部40に向け新たなトナーを補給するトナー補給部60などを備えて構成されている。図1では、現像槽30がカートリッジ状に構成されている。
【0047】
現像槽30と現像剤収容部40とは、現像槽30内から接続されている現像剤回収流路41およびロータリーフィーダ50と現像槽30の上部に接続された現像剤供給流路42とで接続されて現像剤の循環路を構成し、循環路に設けられている部材により循環部が構成されている。
【0048】
現像槽30に接続されている現像剤供給流路42は、図3において説明するが搬送スクリュー32の軸方向一端に対峙するように接続されている。また、現像剤回収流路41は、現像槽30に設けられている今ひとつの搬送スクリューの軸方向で現像剤供給路42が接続されている側と反対側となる位置に接続されている。
【0049】
現像剤収容部40は、下向き円錐状のサイロのような外観を呈しており、内部には、本実施形態の特徴において説明する攪拌部材が設けられている。現像剤収容部40の上部には、攪拌部材の駆動部をなす駆動モータ40Aおよび攪拌部材の軸トルクを検知するトルクセンサ40Bが設けられている。
【0050】
現像剤収容部40において攪拌混合された現像剤は、供給量を調整できるパドルを内部に備えて駆動モータ50Aにより回転駆動されるロータリーフィーダ50に給送され、この位置で供給量を調整される現像剤がエアポンプ51により生成される気流により現像槽30に向け搬送される。
【0051】
トナー補給部60は、トナータンク61と、このトナータンク61と現像剤収容部40との間に接続されているトナー供給路62とトナー供給路62内に配置されているスクリューオーガなどの搬送部材(図示されず)を駆動する駆動モータ63とを備えている。
【0052】
現像槽30の内部構造は図3に示されている。
【0053】
図3において現像槽30の内部には、感光体ドラム1に対向して現像剤を担持する現像スリーブ31と、現像スリーブ31の近傍で上下に配置されて相対するリード方向を設定された搬送スクリュー32,33と、現像スリーブ31表面での現像剤担持量を規定するドクターブレード34とが設けられている。
現像槽30内での現像剤は、搬送スクリュー32,33によって、図中手前から奥側に搬送され、この一部が、現像スリーブ31において磁力で吸い上げられて吸着されるとドクターブレード34で均一な厚さに均されてから、感光体ドラム1に接することで感光体ドラム1上の静電潜像をトナーで現像してトナー像が形成される。
現像後の現像剤は搬送スクリュー33の端部に接続されている現像剤回収流路41(図2参照)から、現像剤収容部40に搬送される。
【0054】
次に、以上のような構成の画像形成装置に用いられる現像装置3での特徴について説明する。
本実施形態における現像装置3の特徴は、攪拌・混合される現像剤の劣化判定にあり、以下の説明は、請求項1〜5および10記載の発明の実施形態に相当している。
【0055】
図4および図5は、本実施形態の特徴部として用いられる現像剤収容部の構成を説明するための図であり、図4には、現像剤収容部40とロータリーフィーダ50およびエアポンプ51が示されている。
【0056】
図4において、現像剤収容部40は、縦断面が下向き錐状をなす漏斗状の形状とされ、最下部に位置して最も小径の排出口400がロータリーフィーダ50に連通している。現像剤収容部40では、後述する攪拌部材45による攪拌・混合によってトナーの帯電が行われることにより、適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を漏斗状の内部構造を利用して連続的に安定して供給できる機能を発揮するようになっている。
【0057】
現像剤収容部51の内部空間には、水平方向断面における中心位置で垂直方向に延長されて駆動モータ40Aに連結されている回転軸43が上面から挿通されている。
回転軸43には、重力方向に沿って複数の攪拌部材45であるパドルが設けられており、攪拌部材45は、重力方向で位相をずらして相対方向に張り出させて設けられている。
【0058】
現像剤収容部40の上面近傍には、その周壁側方から新規トナーの補給手段60に用いられるトナー補給路62が連通させてある。トナー補給路62の内部には、駆動モータ63(図2参照)により回転駆動されるスクリューオーガ61が配置されている。トナー補給路62内からの新規トナーは現像剤収容部40内の現像剤表層に向け注ぎ込まれる。
【0059】
内部に降り注がれた新規トナーあるいはキャリアと混合された現像剤は、攪拌部材45の回転により短時間に効率よく攪拌され、攪拌時でのストレスも攪拌部材の構造によって軽減されるようになっている。
【0060】
図5は、現像剤収容部(便宜上、符号40’で示す)40内に設けられている攪拌部材が、その回転軸43を重力方向と直角な方向に設定されて設けられ、各回転軸43に攪拌部材(便宜上、符号45’で示す)が設けられている構成を示している。なお、図5(A)は、攪拌部材45側の水平方向断面構造を、図5(B)は重力方向での断面構造をそれぞれ示している。なお、この場合の現像剤収容部40’は、複数の攪拌部材を重力方向と直角な方向に並列させるために水平方向断面が矩形とされている。
【0061】
図4および図5に示した攪拌部材45,45’の回転軸43には、トルクセンサ40Bを介して駆動モータ40Aに連結されている。
【0062】
トルクセンサ40Bは攪拌過程で攪拌部材45に作用する荷重を検知することで軸トルクを検知する部材として用いられ、軸トルクの変化を現像剤の劣化判断に用いるようになっている。
【0063】
駆動モータ40Aは、回転数を任意に制御できる形式が用いられており、回転数の設定は、後述する制御部100により行われるようになっている。
【0064】
図6は、制御部100の構成を説明するためのブロック図であり、同図において制御部100は、画像形成処理を対象としたシーケンスプログラムをはじめとして現像剤の濃度管理を行えるプロセッサーが用いられている。
【0065】
図6において制御部100の入力部には、トルクセンサ40B、攪拌部材用回転数センサ101、トナー濃度センサ102、温湿度センサ103、嵩高さを検知するレベルセンサ104,操作パネル105が接続され、出力側には、駆動モータ40Aが相当している攪拌部材駆動手段、トナー補給手段60、つまり、スクリューオーガ61の駆動モータ、帯電手段106、現像バイアス手段107、書込手段108、現像装置駆動手段109が接続されている。
【0066】
出力側に接続されている各手段のうちで、帯電バイアス手段106、現像バイアス手段107、書込光源108および現像装置駆動手段109は、図1に示した帯電装置2、現像装置3に用いられるバイアス電源、書込装置での光量制御手段、現像装置3での現像スリーブをはじめとした各部材の駆動モータがそれぞれ相当している。
【0067】
制御部100では、後述する実験により得られた、回転数域と現像剤の流動性変化との関係に基づき、現像剤の流動性が悪化した場合を現像剤の劣化として判断する際に、実際の現像剤の劣化の要因以外の要因により流動性の変化を除外して実際の現像剤の劣化を判別するようになっている、以下、その原理について説明する。
【0068】
まず、トルク測定による現像剤劣化を実験した結果を図7に示す。この実験は次の条件に基づき行った。
現像剤:トナー粒径6μm、キャリア粒径35μm
(図7における劣化現像剤は、トナーの消費、補給を行わないで現像装置を空回しの状態で稼働し、1時間経過して得た現像剤を用いた)
攪拌部材:図8に示すように、直径23,5mm、板幅6mm、傾斜角約60°のプロペラPL
この条件を用いて、図8に示す実験装置により現像剤中をプロペラPLを回転させて攪拌し、図示しないトルクセンサにより攪拌時のトルクを求めた。トルクの測定は、各回転数において所定の時間(10sec)撹拌、計測を行い、時間平均のトルクを求め、そのトルク値をその回転数におけるトルクとして求めた。
【0069】
実験結果は、図7に示す通りであり、同図においては、現像剤に含まれるトナーの濃度に応じて流動性が異なるために、トルクの値が異なり、さらに、回転数の違いによってもトルクが異なっていることがわかる。
【0070】
特にトナー濃度が9%の場合、低回転数側では、劣化現像剤に比べて新規現像剤の方がトルクも小さく、高回転数側では、前述した傾向が逆転していることがわかる。
【0071】
このような結果は、現像剤の劣化により攪拌条件による流動状態が変化したためであるといえる。つまり、劣化現像剤の場合には、トナーの外添剤の剥落や埋没、キャリアコート膜の削れ、さらにはトナー外添剤のキャリア表面への付着を起こすスペントが発生することによって流動性が悪化すると考えられる。
【0072】
ところで、回転数によるトルク変化を観察してその結果により現像剤の劣化を判断する際には、現像剤の流動性が上述したトナーやキャリアの機械的な現象による現像剤自体の特性だけでなく、温湿度などの物理現象やトナーの含有率で決まるトナー濃度の影響を受ける。
このため、ある一つの回転数におけるトルク測定による結果から現像剤の劣化判断をすることは、実際の現像剤自体での劣化が原因した流動性の悪化とはいえないことから、誤検知を招く虞がある。
【0073】
図9は、低回転数時と高回転数時とのトルクを測定した結果であり、これら各回転数時でのトルク差を求めた。
トナーとキャリアとの材料にも左右されるが、低回転時と高回転時とにおけるトルク値の差が大きくなる傾向にある。
【0074】
本実施形態の制御部100では、回転数域でのトルク差を現像剤の劣化度合いの指標とすることにより、ある一つの回転数でのトルクを用いた現像剤劣化の判断時に発生する誤検知を防止するようになっている。
【0075】
本実施形態では、回転数の変化が現像装置とは別の位置に設けられている現像剤収容部40の攪拌部材45を対象としているので、現像装置内で回転数を変化させる場合のような現像剤の供給量に変化を来さないようにできる。つまり、現像装置には、攪拌部材として用いられるスクリューオーガが装備されており、この回転数を変化させることも考えられるが、現像装置内での攪拌部材の回転数を変化させると、現像剤の移送量が変化してしまい、現像剤の供給に過不足が生じる虞がある。しかし、本実施形態では、現像装置とは別の位置での攪拌部材の回転数右辺かであるので、現像剤の移送量変化などが生じないようにして現像剤の劣化判断が行える。
【0076】
制御部100を用いた現像剤の劣化判断は、現像装置3の稼働中に限らず、現像装置3の停止中に行うことができるようになっている。つまり、現像剤収容部40では、撹拌を行いながら、同時に現像剤の供給と排出が起こっている。このため、嵩高さ変動や多量の補給トナーが補給された際には、混合・撹拌が完了する前のトナー濃度変動の影響が若干ながら流動性に影響を及ぼすことが考えられる。そして、現像剤の落下移動が生じているため、その流れによるトルクへの影響がある。そこで、これらの影響を考慮して、現像装置の停止中に劣化検知を行うことにより、これらの影響を排除するようになっている。これにより、現像装置の稼働中よりも、上述したトナー濃度や現像剤の落下移動によるトルク変化の要因を排除してさらに精度の良い劣化検知を行うことを可能にしている。
【0077】
一方、トルク差を生じる要因である流動性の変化は、トナーやキャリアの材料自体の特性変化だけではなく、上述したように、温湿度などの環境変化、トナー濃度の違いに影響を受ける。
そこで、制御部100では、現像剤に含まれるトナーやキャリアの材料特性による劣化以外の劣化要因である環境変化やトナー濃度を判断条件から除外して現像剤自体の流動性悪化による劣化判断が行えるようになっている。以下、これについて説明する。
【0078】
図10は、現像剤収容部40に配置されている攪拌部材の構成として、図4に示した回転軸43を中心にして内側および外側にそれぞれ設けられた第1の攪拌部材45および第2の攪拌部材45’を備えた構成を示している。
【0079】
第1の攪拌部材45にはスクリューが用いられ、第2の攪拌部材45’には重力方向に延長された板材を備えた羽根板が用いられ、第2の攪拌部材45’は、回転軸を中心にして相対位置に設けられている。なお、現像剤収容部40には、上部にトナーとキャリアあるいはキャリア単独で導入可能な補給口401、402が設けられ、外周面側部には現像剤回収口403が設けられており、現像剤回収口403の内部には現像剤を回収移動させるスクリューオーガ403Aが配置されている。
【0080】
第1の攪拌部材45は、下側から現像剤を上昇させることができる回転方向を設定され第2の攪拌部材45’は、回転時に生起される遠心力を利用して現像剤を現像剤収容部40の内面に沿って迫り上げてから重力方向に落下させるようになっている。
【0081】
このような構成においては、現像剤収容部40の水平方向断面中心側のスクリュ45により重力方向とは逆向きに現像剤が持上げられているため、現像剤収容部40の下側で撹拌部材による押し込みや、現像剤の自重により現像剤が圧縮されることで、撹拌部材にかかる荷重がその圧縮された現像剤の影響を受けて大きくなるという不具合を生じさせることなく、安定した精度の良い現像剤の劣化検知を行うことができる。
【0082】
一方、図11には、第1の攪拌部材として、スクリューに代えてプロペラ450を用いた場合が示されており、この場合においても、その回転方向が現像剤を上昇させる方向に設定されている。このようなプロペラ450を用いた構成においては、スクリューに比べて大きなトルクが作用するので、トルク変化の感度を上げることが可能となる。しかも、現像剤への圧縮作用をなくせることにより、後述するが、圧縮作用による現像剤の粉面位置(嵩高さ)の変化が影響する現像剤劣化判断の誤差をなくすことができる。
【0083】
図10および図11において、第1の攪拌部材に相当するスクリュー45およびプロペラ450は、駆動モータ40Aに直結され、第2の攪拌部材45‘に相当するパドルは、減速ギヤ群RGを介して回転されるようになっている。
【0084】
回転軸43には、トルクセンサ40Bが設けられており、回転軸43での軸トルクを検出するようになっている。この場合の軸トルクの検出方法は、図4において説明したと同様な方法が用いられる。なお、図10,11に示す構成では、第1,第2の攪拌部材の両方での軸トルクを検知するようになっているが、これに限らず、一方の攪拌部材を対称として軸トルクを検知することも可能である。
【0085】
トルクセンサ40Bによる軸トルクの変化を検知して現像剤の劣化を判断する場合には、現像剤の流動性が温湿度などの環境変化やトナー濃度の影響によっても変化するため、これら要因を除去することが必要となる。
【0086】
そこで、本実施形態においては、現像剤が流下して集約する位置に相当する排出口近傍において現像剤収容部40の外周面に透磁率によりトナー濃度を検知可能な濃度センサ102が設けられている。
また、温湿度を検知する温湿度センサ103が現像剤収容部40内の上部内面に設けられている。
【0087】
制御部100では、予め、トナー濃度とトルク変化との関係、さらには温湿度とトルク変化との関係を実験などにより求めたデータのマップが登録されている。これにより、濃度センサ102および温湿度センサ103からの検知結果に基づき、これら検知結果によるトルク変化分をトルクセンサ40Bによって得られたトルク変化から除外した上で、図9に示した、トルクの差分による現像剤の流動性から現像剤の劣化を判別するようになっている。
【0088】
この結果、現像剤の流動性に影響するトナー濃度や温湿度によるトルク変化を除外して現像剤自体の特性のみを用いた現像剤の劣化判別が行えることになる。
なお、トナー濃度センサ102は、透磁率を対象とする構成に限らず、光学的な変化を検知可能な構成とすることも可能である。
【0089】
本実施形態において示した現像剤収容部40では、現像剤の供給量と排出量とが同じ関係(供給量=排出量)であり、現像剤収容部40の内部に貯留されている現像剤の量は常に一定している。このような状態において現像剤の嵩高さが変化すると、上述したトナー濃度および温湿度の影響と同じように現像剤の流動性に影響する。つまり、嵩高さの変化は、攪拌部材と現像剤との接触状態の変化が生じ、これによって軸トルクが変化する。
【0090】
本実施形態では、現像剤の劣化判断の際に現像剤自体の特性以外の要因として、上述したトナー濃度および温湿度に加えて現像剤の嵩高さをも考慮するようになっている。
【0091】
つまり、制御部100では、現像剤収容部40における重力方向側面の一部に設けられたレベルセンサ104を用い、レベルセンサ104からの検知結果に応じて嵩高さを一定に維持するようにロータリーフィーダ50の回転制御を行うようになっている。
ロータリーフィーダ50は、回転量に応じて現像剤収容部40からの現像剤排出量を設定する部材であるので、排出量を制御することで嵩高さを一定に維持して嵩高さの変化が現像剤の流動性変化に影響しないようにしている。
これにより、嵩高さの変化による現像剤の流動性変化を除外して現像剤自体の特性による現像剤の劣化判断が可能となる。
【0092】
制御部100では、現像剤の劣化度合いに応じて画像形成条件を制御するようにもなっている。つまり、現像剤の劣化度合いはトナーの帯電量の低下につながる。このため、劣化した現像剤を用いた場合に予め設定されている画像形成条件である、帯電バイアス、現像バイアス、書込光量をそのまま用いたのでは、画像品質の低下を招く。
【0093】
本実施形態では、制御部100において、現像剤の劣化度合いに応じて帯電バイアス、現像バイアスおよび書込光量の少なくともいずれか一つを対象として調整するようになっている。
【0094】
現像剤の劣化度合いに応じて画像形成条件を変化させることの一手段として、帯電バイアスを変化させる手段がある。
現像剤劣化度合いに応じて帯電バイアスを変化させることの意味は、画像の地肌もしくはベタ部の濃度調節である。感光体上の電荷保持領域が画像地肌部になるかベタ部になるかはそのシステムによって異なるが、現像剤のトナー帯電量の変動によって地肌部に地肌汚れが出てきたり、ベタ部に濃度低下が生じたりということが考えられる。そのため、これらの変動を打ち消す方向に潜像電位が変化するように帯電バイアス値を調整するのである。
【0095】
また、現像バイアスを、現像剤劣化度合いに応じて変化すべき画像形成条件とすることができる。現像剤劣化度合いに応じて現像バイアスを変化させることの意味は、文字通り現像能力の調節であり、現像バイアスを変えることによって、現像剤劣化に伴うトナー帯電量変動を打ち消すことができる
また、露光光量(露光パワー)を、現像剤劣化度合いに応じて変化すべき画像形成条件とする場合こともできる。この場合にいう、現像剤劣化度合いに応じて露光パワーを変化させることの意味は、帯電バイアスを変化させることとほぼ同様である。帯電バイアスの変化は露光しない領域の潜像電位(暗部電位)を調節することができる。よって、トナー帯電量変動によって変化した現像剤の現像能力に合わせて、その変化を打ち消すように露光領域の潜像電位を調節するのである。例えば、トナー帯電量が増加して現像能力が低下(トナー一つの持つ電荷量が多いので、現像されるトナーの全体量が小さくなる)した場合には、それを補うために現像ポテンシャルが大きくなる方向、つまりは露光パワーを大きくすれば良い。これにより、初期の現像剤を用いたときと同じ量のトナーを感光体に付着させることができるようになる。トナー帯電量が減少して現像能力が増大した場合は逆の処置をすれば良い。
【0096】
さらに、現像バイアスを、現像剤劣化度合いに応じて変化すべき画像形成条件とすることもできる。この場合にいう、現像剤劣化度合いに応じて現像バイアスを変化させることの意味は、文字通り現像能力の調節であり、現像バイアスを変えることによって、現像剤劣化に伴うトナー帯電量変動を打ち消すことができる。
【0097】
このような画像形成条件を現像剤の劣化度合いに応じて調整することにより、現像剤の劣化を打ち消して画像品質の低下を抑えることができる。
【0098】
一方、制御部100では、現像剤の劣化が進行した場合、画像形成条件の調整だけでは画像品質を維持させることができなくなることを考慮し、現像剤の劣化が所定条件、つまり、画像品質を維持できなくなる状態となった場合には、操作パネルに105において警報するようになっており、しかも、この状態が得られた場合には、現像剤の入れ替えを行って新しい現像剤の導入により画像品質を原状回復させる処置を採れるようになっている。現像剤の入れ替えに際しては、現像剤に含まれるトナーとキャリアのいずれかあるいは両方が対象となる。
【0099】
以下に現像剤の入れ替えについて説明する。
トナーの劣化が単独で進行している場合は、トナー強制消費動作を発動すること(例えばベタ現像を行う)ことにより、感光体を介して、劣化トナーを現像装置内から排出した後、新しいトナーをトナー補給手段により現像部または撹拌部、もしくは循環経路中に補給することで劣化したトナーのみを入れ替えることができる。
【0100】
図10に示した構成では、現像剤収容部40にトナー補給路62が設けられているので、トナー矯正消費により低下したトナー濃度を回復させるために多量の新規トナーが補給される。このような多量の新規トナーが補給されて現像剤収容部40内に注ぎ込まれた場合でも、現像装置3とは別の位置に置いてそのトナーが現像剤中に攪拌・混合されて分散されるので、画像品質に悪影響を及ぼすことがないようにできる。
【0101】
次に、キャリア単独、またはキャリアとトナーの両方の劣化が進行している場合の入れ替え方法について説明する。
【0102】
図10に示した構成において、補給口401からキャリア単独、もしくはキャリアとトナーが補給される。これにより現像装置内の現像剤の量が増加するため、現像剤粉面が上昇し、オーバーフローすることで現像剤回収口403からスクリューオーガ403Aにより回収される。
このようにして現像剤を入れ替えて現像剤の状態を維持し、画像品質の安定化が図れる。
【0103】
また、本実施形態の現像剤収容部40には、撹拌部の現像剤の粉面高さ調整手段(実施例ではロータリーフィーダ50)が設けられているため、ロータリーフィーダ50の回転数を低減させることにより、粉面を上昇させて強制的に現像剤を排出し、その後新しいトナーとキャリアを補給口401から供給することも可能である。新しいトナーとキャリアを補給する前に、劣化した現像剤を排出することによって、劣化剤のみを選択的に排出することができ、効率的に新しい現像剤との交換をすることができる。また、補給された新しい現像剤を排出することがなくなるために、補給する新しい現像剤の量を減らすことも可能で、コストの低減にもつながる。
【0104】
さらに、画像面積率や現像装置の駆動時間を考慮することにより、効率の良い現像剤の入れ替えを行うことができる。低画像面積率ではトナーの消費が少ないため、キャリアの補給割合を増加させてキャリアの劣化を抑制し、高画像面積率ではトナー消費が大きいため、キャリアの割合を減少させるなどして、そのときの現像剤の劣化状況に応じた、現像剤の補給が可能であり、劣化していない現像剤を無駄に入れ替えることなく現像剤の状態を維持することができる。この際、現像装置の駆動時間を画像面積率と合わせて考慮することで、現像剤劣化状態に対する補給割合をより詳細に変化させることも可能である(この場合には画像面積率の時間変化を考慮している)。
このようにトルクによる現像剤の劣化検知と合わせて、画像面積率や現像装置の駆動時間を考慮することにより、無駄なトナーやキャリアの排出を行うことなく、経時で安定した画像品質を保つことが可能となる。
【0105】
以上、説明したように、劣化した現像剤の入れ替えにより、現像剤の状態を常にフレッシュな状態に保ち、現像剤の劣化に伴う画像品質問題を生じることなく、経時で安定した画像品質を保つことが可能である。また、現像剤の劣化に伴う現像ユニットの交換を行う必要がなく、ダウンタイム、交換する手間、そしてユニット交換に伴うコストを抑制することができる。
【0106】
上述した現像剤の入れ替えは、一定のタイミングで自動的に行っても良いが、ユーザーの操作により、キャリアまたは現像剤の補給が調整されるようにすることができる。すなわち、制御部100において、現像剤の劣化が判断された場合には、劣化検知手段を設けた現像装置を有する画像形成装置において、現像剤の劣化が検知された旨を操作パネル105に備えられた表示装置に表示するように構成するとともに、このときユーザーが操作パネルに備えられた入力装置により、キャリアまたは現像剤の補給を調整するように構成することができる。
【0107】
ユーザーによる現像剤の補給調整は、例えば、ユーザーがかかる表示を見たときに、用紙に形成された画像を評価して、画像品質が十分であると判断した場合には、現像剤の劣化を判断するために使用するしきい値を、入力装置によって、ゆるく設定することができるようにする。すなわち、画像品質をそれほど要求しない場合には、劣化の判断のしきい値をゆるく設定するようにして、現像剤の補給頻度を少なくすることができるようにする。逆に、より高い画像品質を要求する場合には、劣化の判断のしきい値を厳しく設定するようにして、現像剤の補給頻度を多くすることができるようにする。しきい値の設定に対応した、画質選択キー等を配設して、これによって画質を選択するようにすることもできる。
【0108】
本実施形態は以上のような構成であるから、図12に示すフローチャートにより制御部100の作用を説明すると次の通りである。
図12は、現像剤の劣化判断と現像剤調整とを行うためのフローチャートである。
現像剤の劣化判断および現像剤調整を行うに際しては、図13に示されている嵩高さの調整が実行される。
【0109】
図13において、レベルセンサ104の出力値が適正でない場合には、ロータリーフィーダ50を用いて嵩高さの調整を行う。これにより、嵩高さが一定の状態に維持されることになる。
【0110】
上述した嵩高さの調整後、図12に示すフローチャートに基づき、濃度センサ102および温湿度センサ103によって温湿度、トナー濃度がそれぞれ検知される。
このときの検知タイミングは、現像装置3の稼働時だけでなく停止時おこなわれ、停止時に行う理由は前述したとおりである。
【0111】
温湿度、トナー濃度がそれぞれ検知されると、これらデータが保存されたうえで、トルクセンサ40Bにより、低回転時と高回転時でのトルク差が算出され、得られたトルク差から現像剤の劣化度合いが判別される。
【0112】
トルク差から現像剤の流動性の悪化具合が判別されることになるが、そのトルク差には、上述した温湿度、トナー濃度による影響も含まれているので、現像剤の劣化判別に際しては、得られたトルク差から温湿度およびトナー濃度によるトルク差を除外して判別が行われる。これにより現像剤自体の特性による現像剤の流動性の変化による劣化度合いが、トルク変化量が適正範囲内にあるかどうかによって判別される。
【0113】
現像剤の劣化度合いが判別されると、劣化度合いに応じた画像形成条件の調整が行われ、画像品質の低下が防止される。
【0114】
一方、現像剤の劣化が判断されると、操作パネル105において現像剤劣化が生じていることを表示し(図12ではエラー表示と示されている)、キャリアまたはキャリアとトナーとの補給による現像剤の原状回復が行われる。また、ここでは示してないが、現像剤の原状回復に代えて、上述した画像形成条件の調整を行うようにしても良い。
【0115】
また、現像剤の劣化が進行していると判断した場合には、必要に応じて現像剤の入れ替え処理に移行することもある。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明実施例による現像装置が用いられる画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例による現像装置の全体構成を説明するための模式図である。
【図3】図2に示した現像装置における現像部の構成を説明するための模式図である。
【図4】本発明実施例による現像装置の要部構成の一例を示す模式図である。
【図5】図4に示した要部構成の変形例を示す模式図である。
【図6】本発明実施形態による現像措置に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】回転数とトルクとの実験結果を示す線図である。
【図8】低回転時および高回転時でのトルクを求める実験に用いた構成を示す模式図である。
【図9】低回転数時と高回転数時とのトルクを測定した結果であり、これら各回転数時でのトルク差の実験結果を示す線図である。
【図10】温湿度、トナー濃度を検知するための構成を説明するための模式図である。
【図11】図10に示した構成の一部変形例を示す模式図である。
【図12】図6に示した制御部で実行される劣化判別処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】図12に示した劣化判別処理に先立ち実行される処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
1 感光体
3 現像装置
40、40’ 現像剤収容部
40A 駆動モータ
40B トルクセンサ
45、45’ 攪拌部材
60 トナー補給手段
100 制御部
101 攪拌部材回転数センサ
102 濃度センサ
103 温湿度センサ
104 レベルセンサ
105 操作パネル
106 帯電バイアス手段
107 現像バイアス手段
108 書込光源
109 現像装置駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を用いて静電潜像の可視像処理を行う現像装置であって、
現像剤担持体と現像剤の端寺領を規制する現像剤規制部材とを備えた現像部と、現像部とは別に設けられて該現像部から回収された現像剤を攪拌する現像剤攪拌部と、前記現像部と前記現像剤攪拌部との間で現像剤を循環させる循環部とを備え、
前記現像剤攪拌部には、回転数を任意に制御可能な攪拌部材と、該攪拌部材のトルクを検知可能なトルクセンサとが設けられ、前記攪拌部材の回転数を変化させたときの前記トルクセンサの出力値に基づき現像剤の劣化を検知する構成が設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤の劣化を検知する構成には、前記攪拌部材への駆動制御および前記トルクセンサからの出力値を入力される制御部が用いられ、該制御部は、所定タイミングにおいて前記攪拌部材の回転数を変化させて前記トルクセンサからの出力値の差に基づき現像剤の劣化を判別することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記制御部では、前記攪拌部材の回転数を変化させる時期として前記現像部の停止時が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記制御部には、前記トルクセンサに加えて前記循環部の循環路中に設けられた濃度センサが接続されており、前記トルクセンサからの出力値に加えて前記濃度センサからの出力値を用いて現像剤の劣化を判別することを特徴とする請求項2または3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記制御部には、前記トルクセンサに加えて温湿度センサが接続されており、前記トルクセンサからの出力値に加えて前記温湿度センサからの出力値を用いて現像剤の劣化を判別することを特徴とする請求項2または3に記載の現像装置。
【請求項6】
前記制御部には、前記トルクセンサに加えて現像剤粉面を検知可能なレベルセンサが接続されており、前記トルクセンサからの出力値に加えて前記レベルセンサからの出力値を用いて現像剤の劣化を判別することを特徴とする請求項2または3に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤攪拌部は、現像剤を重力方向に移動させる形状を有した現像剤収容部を備え、前記攪拌部材は該現像剤収容部内に配置されて前記現像剤を重力方向に移動させる動きが可能な構成であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記制御部には、キャリアまたはキャリアとトナーとのを含む補給剤を補給する補給手段と、余剰の現像剤を回収する回収手段とが接続されており、該制御部は、前記現像剤の劣化を判別した場合に前記補給手段を駆動して前記補給剤を補給することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記制御部は、画像面積率あるいは現像部での稼働時間に基づき、補給剤に含まれるキャリアとトナーとの混合比を設定することを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記現像剤の劣化度合いに応じて画像形成処理に用いられる帯電バイアス、現像バイアス、書込光パワーを調整可能であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部には、前記現像剤の劣化判別時に現像剤が劣化を来していることを外部に表示できる構成を備えていることを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記現像剤の補給は、ユーザーによる調整が可能であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−122537(P2010−122537A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297355(P2008−297355)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】