説明

画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】感光体や感光体に接触する部材の劣化を早めることなく装置本体からの着脱操作を容易に行うことができるプロセスカートリッジを有する画像形成装置、及びこの画像形成装置に設けるプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】プロセスカートリッジ18Y内の感光体2Y、帯電ローラ3Y、及び現像ローラ51Yの各回転軸を支持アームという21Yによってそれぞれの回転を可能に連結支持する。また、支持アームは現像ローラ軸を中心に揺動可能に設ける。一方、プリンタ本体奥側には、プロセスカートリッジが挿入されたとき感光体2Yの軸を拾い画像形成可能となる所定位置に誘導するための位置決め部材30を設ける。この位置決め部材は、下方が広く上方が狭いガイド溝30aを有し、かつ奥側壁面30bが、ガイド溝下方から上方に向けて挿入方向手前から奥に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置本体に対してプロセスカートリッジを着脱可能に設けた画像形成装置、及びこの画像形成装置に設けるプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置に対して着脱可能に構成されたカートリッジとしてプロセスカートリッジがある。プロセスカートリッジは、現像剤担持体を含む現像用部材と像担持体としての感光体とを含む作像ステーションを一体的に構成したものである。このプロセスカートリッジは、画像形成装置本体内ではカートリッジに含まれる感光体が本体内部の転写体に接触した位置となるよう画像形成装置本体に装着されている。
【0003】
近年、パーソナルコンピュータの普及に伴い、カラープリンタ、カラー複写機が要望され、それらの高速性が求められている。このため、複数の感光体を並列に配置したいわゆるタンデム型カラープリンタが増加しつつある。また、省スペース化の傾向から、タンデム型カラープリンタも大型機だけでなく、デスクトップタイプの小型機も増加しつつある。これらタンデム型カラープリンタにおいても、プロセスカートリッジが着脱可能に装着されたものがある。そして、プロセスカートリッジ装着時には、カートリッジに含まれる感光体は、装置本体にある中間転写体としての中間転写ベルトや、中間転写ベルトを介して転写部材としての転写ローラ等に接触している。
このタンデム型カラープリンタは、感光体を含む作像ステーションが各色ごとにそれぞれ設けられている。このため、作像ステーションが1つのモノクロプリンタに比してメインテナンスが頻繁に必要となる。よって、ユーザーが容易にメンテナンスを行うことができるよう、メインテナンス性を向上させることが強く求められるところである。そして、作像ステーションの各部材の寿命が来たり破損が生じたりした場合に交換する際には、プロセスカートリッジを装置本体に対して着脱する操作が必要となる。
従来、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱する際、装置本体にある中間転写ベルト等に感光体が接触している部材表面に対してスラスト方向にカートリッジを移動させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、プロセスカートリッジに画像形成装置本体に対する着脱操作を、中間転写ベルト等に感光体が接触した状態のまま行うと、中間転写ベルト等の表面と感光体表面とが互いに摺擦されてしまうことになる。これは、感光体や中間転写ベルト等の劣化を早めてしまうことになり好ましくない。
また、感光体や中間転写ベルト等の劣化を早めることなくプロセスカートリッジの着脱を行うために、中間転写ベルトを全ての感光体から離間した位置へ予め移動させた後、カートリッジ着脱操作を行う方法もある。しかし、この方法は、中間転写ベルトを感光体から離間させる操作とプロセスカートリッジ着脱操作との2つの操作を決められた手順で行わなければならない。このため、カートリッジ着脱の操作手順が複雑となり、ユーザー自身で行うには多少困難となる。このため、従来は、プロセスカートリッジの着脱が必要となるメインテナンスは一般的にサービスマンによって行われていた。
【0005】
よって、タンデム型カラープリンタにおいて、感光体や中間転写ベルト等の劣化を早めることなくプロセスカートリッジの着脱を容易に行うことができるようにすることが要求されるところである。
【0006】
尚、感光体等の劣化を早めることなくプロセスカートリッジの着脱を容易に行えるようにするという要求は、タンデム型カラープリンタに限らずプロセスカートリッジを有する画像形成装置であれば生じると考えられる。少なくとも、感光体が画像形成装置本体内部の何らかの部材に接触するようプロセスカートリッジが装着内部に装着されている画像形成装置であれば、程度の差はあるものの上記要求が生じるのである。
【0007】
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは次のものを提供することである。第一に、像担持体や像担持体に接触する部材の劣化を早めることなく装置本体からの着脱操作を容易に行うことができるプロセスカートリッジを有する画像形成装置を提供することである。第二に、像担持体や像担持体に接触する部材の劣化を早めることなく画像形成装置本体からの着脱操作を容易に行うことができるプロセスカートリッジを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記第一の目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像を現像する現像手段とを有し、少なくとも該像担持体と該現像手段とが一体的に支持され装置本体から着脱可能となったプロセスカートリッジを有する画像形成装置において、該画像形成装置本体に、上記プロセスカートリッジの画像形成装置本体への挿入に伴って該プロセスカートリッジの所定の部位に係合し、かつ該プロセスカートリッジの該装置本体からの抜き出しに伴って該所定の部位に対する係合が解除されるガイド部材を設け、該プロセスカートリッジの装置本体に対する挿入及び抜き出し操作中は該像担持体がその表面に他の部材が接触しない退避位置に位置し、該プロセスカートリッジの装置本体に対する挿入の終了に伴って該像担持体が画像形成動作を行うための所定位置に位置するよう、該ガイド部材が該ガイド部材に係合した該プロセスカートリッジの所定の部位を該プロセスカートリッジの装置本体に対する挿入及び抜き出し操作に伴って誘導することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記像担持体の上記退避位置と上記所定位置との間での移動を、該像担持体の表面と上記現像手段に設けた現像剤担持体の表面との間隔を一定に保ちつつ、該像担持体を上記プロセスカートリッジ筺体に対して相対移動させることによって行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記像担持体がローラ状の像担持体ローラであり、上記像担持体ローラ表面と上記現像剤担持体の表面との間隔を一定に保ちつつ該像担持体ローラが上記プロセスカートリッジ筺体に対して相対移動するよう該像担持体ローラを支持する可動支持部材を設け、上記プロセスカートリッジの画像形成装置本体に対する挿入又は抜き出しに伴って該像担持体ローラの軸が上記ガイド部材に係合するよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の画像形成装置において、上記現像手段に用いるトナーの体積平均粒径Dv[μm]と個数平均粒径Dn[μm]との比(Dv/Dn)が1.05以上1.30以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3、又は4の画像形成装置において、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上の一次転写トナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記中間転写体に対向する複数の像担持体を有し、各像担持体上に形成した互いに異なる色のトナー像を該中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写することにより該中間転写体上に重ね合わせトナー像を形成し、該重ね合わせトナー像を転写材上に一括して二次転写することを特徴とするものである。
また、上記第二の目的を達成するために、請求項7の発明は、像担持体と現像手段とが一体的に支持されたプロセスカートリッジにおいて、請求項1、2、3、4、5、又は6の画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられていることを特徴とするものである。
請求項1乃至6の画像形成装置においては、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に対して挿入するのに伴ってカートリッジの所定の部位がガイド部材に係合する。そして、挿入操作に伴ってガイド部材が所定の部位を誘導し、像担持体を退避位置に位置させる。これによって、挿入操作中においては、像担持体を退避位置に位置させておくことができる。ここで、退避位置とは、像担持体表面に接触する部材がない位置である。また像担持体表面に接触する部材とは、像担持体表面上のトナー像を転写するための対象である転写材又は中間転写体を含む種々の部材が考えられる。プロセスカートリッジが奥側まで挿入され、ガイド部材によるカートリッジの所定の部位の誘導が終了するとき像担持体が所定部位に位置する。この所定位置とは、像担持体が画像形成動作を行うための位置である。一方、プロセスカートリッジを装置本体から離脱させるとき、像担持体が所定位置にある状態のカートリッジを装置本体から抜き出す。この抜き出し操作に伴ってガイド部材が所定の部位を誘導し、像担持体を退避位置に位置させる。これによって、抜き出し操作中においても、像担持体は退避位置に位置させることができる。
以上のように、プロセスカートリッジ着脱のために行う装置本体に対する挿入及び抜き出し操作中は、その操作以外の操作を行わなくても、像担持体が退避位置に位置した状態となっている。また、カートリッジの装置本体への挿入を最後まで行うことによって、それ以外の操作を行わなくても像担持体を所定位置に位置させることができる。従って、従来行われていたプロセスカートリッジの着脱操作のように、像担持体が所定位置にあるとき像担持体表面に接触配置されている部材を予め像担持体表面から離間させておかなく必要がない。
以上のように、本発明においては、プロセスカートリッジの装置本体に対する着脱操作を、挿入及び抜き出し操作のみの容易な操作で像担持体表面を他の部材に接触させることなく行うことができる。これによって、プロセスカートリッジ着脱操作の容易化と、像担持体や画像形成動作時に像担持体に接触配置している部材のプロセスカートリッジ着脱操作に起因した劣化を防止することとを共に実現可能とすることができる。
また、請求項7のプロセスカートリッジにおいては、画像形成装置本体に対する着脱操作が容易であると共に、プロセスカートリッジ着脱操作に起因して像担持体が劣化することを防止することも可能なカートリッジである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態の一例として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
先ず、プリンタの構成及び動作について説明する。プリンタは、図1に示すように、フレーム本体内に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(Bk)の各色の画像を形成するための像形成手段として4組の画像ステーション1Y,1C,1M,1Bkを備えている。画像ステーション1Y、1C、1M、1Bkは、いずれも同じ構成となっているので、画像ステーション1Yについて説明する。
【0010】
図2は、画像ステーションの概略構成図である。図1及び図2に示すように、画像ステーション1Yでは、潜像担持体としての感光体ドラム2が、帯電装置としての帯電ローラ3により一様に帯電される。その後、光書き込み手段4により画像情報に基づきレーザ光により走査露光されて感光体2表面に静電潜像が形成される。感光体2上に形成された静電潜像は、現像装置5Yの現像ローラ51Yに担持されたイエロートナーにより現像され、トナー像として可視化される。このようにして、画像ステーション1Yでは、感光体2Y上にイエローのトナー像が形成される。他の画像ステーション1C、1M、1Bkでも同様に感光体ドラム2C、2M、2Bk上に各色のトナー像が形成される。感光体2上に形成されたトナー像は、反時計周り方向に回転駆動される中間転写体としての中間転写ベルト6上にイエロー、シアン、マゼンタ、黒の単色毎、一次転写手段としての一次転写バイアスローラ7Y、7C、7M、7Bkによって順次重ね転写される。中間転写ベルト6上に重ねあわされたイエロー、シアン、マゼンタ、黒の重ね合わせトナー像は、二次転写手段としての二次転写バイアスローラ8によって給紙カセット9から給紙ローラ9aを経て給紙された転写紙に一括転写される。転写終了後の転写紙は、定着装置10によりトナー像が定着されフルカラープリンタとして機外に排出される。以上のように、このプリンタはタンデム方式のカラープリンタである。
【0011】
なお、図3に示すように、上述した感光体2Yと帯電手段3Y、現像装置5Y、後述する感光体クリーニング装置12Yは、装置本体のフレームに対して着脱可能なプロセスカートリッジ18Yとして一体に支持されている。プロセスカートリッジ着脱の機構については、後ほど詳細を説明する。
【0012】
また、このプリンタ本体上部には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(Bk)の各色のトナーを収容するトナーボトル11Y、11C、11M、11Bkが装填されている。このトナーボトル11に充填されているトナーは、必要性に応じて現像装置5に補給される。このトナーボトル11Y、11C、11M、11Bkは、装置カバーを開くことにより、脱着可能に構成されている。そして、トナーボトル11内部のトナー量が所定量以下になると、ユーザーによって新しくトナーが充填されている別のトナーボトルと交換される。
【0013】
ここで、中間転写ベルト6に転写されなかった感光体2Y、2C、2M、2Bk上の転写残トナーは、感光体クリーニング装置12Y、12C、12M、12Bkによって回収される。感光体クリーニング装置12Y、12C、12M、12Bkは、感光体2Y、2C、2M、2Bk上の転写残トナーをクリーニングブレード13とクリーニングブラシ14とによって除去する。また、転写紙9上に転写されなかった中間転写ベルト6上の転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置15によって回収される。
【0014】
上記構成のタンデム式カラープリンタにおいて、装置本体内部にプロセスカートリッジが所定位置に装着されている状態では、感光体2Y、2C、2M、2Bkが中間転写ベルトに接触していると共に、中間転写ベルトを介して一次転写ローラにも当接している。このため、メインテナンスのためにプロセスカートリッジを着脱する場合、中間転写ベルト等に感光体2Y、2C、2M、2Bkが接触した状態のままプロセスカートリッジを抜き出したり挿入したりすることになる。これは、感光体2Y、2C、2M、2Bkや中間転写ベルト等の劣化を早めてしまうことになり好ましくない。これを避けるために、中間転写ベルトを全ての感光体2Y、2C、2M、2Bkから離間した位置へ移動させた後に、プロセスカートリッジの着脱を行う方法が従来提案されている。しかし、このような操作は、ユーザー自身で行うには多少困難であり、サービスマンの手を借りていた。サービスマンにとっても、更に簡単な着脱方法ができるようになることが望まれるところである。
【0015】
そこで、本実施形態では、プロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkの着脱を容易に、かつ感光体2Y、2C、2M、2Bk等の損傷が発生しないように行うことを可能としている。この特徴部について以下に説明する。
プロセスカートリッジ内部の構造について、図3に示すプロセスカートリッジ18Yを用いて説明する。但し、これは他のプロセスカートリッジ18C、18M、18Bkも同様である。図3において、プロセスカートリッジ18Yは、その筺体内部に、現像装置5Y、感光体2Y、帯電ローラ3Y、感光体クリーニング装置12Yを備えている。現像装置5Yは、現像ローラ51Y、現像剤攪拌スクリュー52Y、現像剤規制ブレード53Yを備えている。図4は、感光体2Y、帯電ローラ、及び現像ローラの支持部の構造についての説明図、図5は、プロセスカートリッジ18Yを上方から見た平面図である。感光体2Y、帯電ローラ、及び現像ローラの各回転軸をそれぞれ感光体回転軸を2Ya、帯電ローラ回転軸を3Ya、現像ローラ回転軸を51Yaとする。そして、これら感光体回転軸2Ya、帯電ローラ回転軸3Ya、現像ローラ回転軸51Yaを可動支持部材としてのL字型支持部材(以下、支持アームという)21Yによってそれぞれの回転を可能に連結支持している。また、支持アーム21Yは図3に示すように、現像ローラ軸を中心に揺動可能に設けている。この支持アーム21Yによる各回転軸の支持を、感光体2Y、帯電ローラ、及び現像ローラの3つのローラの軸方向両端で行っている。これによって、感光体2Y及び帯電ローラは現像ローラ軸を中心に回動可能となり、これら3つの部材の相対位置関係を常に一定に保つことができる。よって、図5に示すように感光体2Yと現像ローラとの間隔である現像ギャップ(Gp)は、高精度で維持することが可能となる。
【0016】
一方、プリンタ本体内部の構造について説明する。プリンタ本体にプロセスカートリッジ18Yを装着する場合、装置正面前側のカバーを開口し、プロセスカートリッジ18Yを感光体軸方向に挿入する。このとき、プロセスカートリッジ18Yが装着される位置のプリンタ本体奥側に、感光体2Yの軸を拾い画像形成可能となる所定位置に誘導するためのガイド部材30を設けている。
図6(a)は、ガイド部材30の正面図、(b)は、(a)のX−Y断面を右方向(図6(a)中矢印方向)からみた断面図である。これらは、ガイド部材30によって感光体軸2Yaがどのように移動するかを示したものである。図6に示すように、ガイド部材30には、下方が広く上方が狭いガイド溝30aを設けている。また、このガイド溝におけるプロセスカートリッジ挿入方向の奥側壁面30bを、ガイド溝下方から上方に向けて挿入方向手前から奥に傾斜した壁面30bで構成している。
【0017】
上記構成において、プロセスカートリッジ18Yを装着するとき、まずプロセスカートリッジ18Yを感光体軸方向でプリンタ本体に挿入する。このとき、感光体2Y及び帯電ローラのプロセスカートリッジ内での位置は、図3における実線で記載した位置に重力によって自然に下方に位置しており、これが後述する退避位置となる。プロセスカートリッジ18Yがある程度プリンタ本体に挿入され続けると、感光体軸2Yaの先端がガイド部材30を有する位置に到達する。このとき、感光体軸先端がガイド溝30aの下方すなわち、図6(a)におけるA1の位置に進入すると共に図6(b)に示すようにガイド溝奥側の壁面30bに突き当たり、感光体軸2Yaガイド部材に係合した状態となる。更にカートリッジを挿入させると、挿入操作に伴って感光体軸先端が壁面30bの傾斜で滑り、感光体2Yに上方へ押し上げられる力が付与される。この力の影響を受け、プロセスカートリッジ内部で感光体2Yと帯電ローラが現像ローラ軸を中心に上方へ回動する。途中、A2の位置を通過し更に上昇を続ける。そして、遂にガイド溝の最上部まで上昇したとき、感光体軸先端は壁面30bに形成された位置決め穴30cに入り込み、これ以上プロセスカートリッジ18Yの挿入は行えなくなり挿入操作は終了する。図6(a)のA3の位置が、感光体2Yが画像形成動作を行うための所定位置となっており、プロセスカートリッジ装着が完了する。また、A3の位置にくるまでの間の感光体2YがA3より下部に位置しているときは、感光体2Yが中間転写ベルトに接触していない退避位置となっている。
【0018】
尚、本実施形態のプリンタにおいては、プロセスカートリッジ18の着脱は、4つのプロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkを同時に行うことができる。図7は、プロセスカートリッジがプリンタ本体に装着された状態を示す図である。図8は、4つのプロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkを一体に構成したプロセスカートリッジ18をプリンタ本体から抜き出したときの状態を示す図である。図7に示す所定位置にある状態からプロセスカートリッジ18を抜き出すとき、装置前面の前カバー40を開口する。そして、4つのプロセスカートリッジ18を一体に手前に抜き出す。プロセスカートリッジ18を抜き出し始めるとこの抜き出し操作に伴って、ガイド部材が感光体軸先端を誘導して感光体を退避位置に位置させる。更に抜き出すと、各感光体軸先端のガイド溝に対する係合が解除される。これによって図8に示すように4つのプロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bk全てが装置前面の開口部から抜き出される。逆に、プロセスカートリッジ18を奥に挿入し、これ以上押し込めることができない位置で停止したら、前カバー40を閉じる。
【0019】
尚、以上は4つのプロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkを一体に着脱する方法について示したが、プロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkを各色ごとに単体で着脱可能に構成することもできる。
また、上記実施形態においては、プロセスカートリッジ18の装着時と離脱時共に感光体軸先端がガイド部材のガイド溝を通過している。即ち、着脱動作による感光体軸先端の通過経路が同じである。これに変えて、離脱時には、抜き出し操作を行うとともに感光体軸先端がガイド溝から外れて自重で落下するように構成することも可能である。このように構成しても、プロセスカートリッジ18をプリンタ本体から離脱させる際の抜き出し操作中には感光体2Y、2C、2M、2Bkを退避位置に位置させることが可能となる。
【0020】
以上のようにしてプロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkの着脱を行うよう構成すると、次のような効果が得られる。プロセスカートリッジ着脱のために行うプリンタ本体に対するプロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkの相対移動を、挿入又は抜き出し以外の特別な操作をしなくても行うことができる。よって、感光体表面に中間転写ベルトなどを接触させることなく着脱操作を行うことができる。また、プロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkをプリンタ本体に装着するとき、カートリッジのプリンタ本体に対する挿入操作が停止するのに同期して感光体2Y、2C、2M、2Bkが所定位置に位置する。このため、プロセスカートリッジ装着直後に感光体2Y、2C、2M、2Bkの位置をわざわざ所定位置に移動させるための特別な操作も行う必要がない。これによって、プロセスカートリッジ着脱操作を挿入、抜き出しという操作のみで容易にでき、かつ感光体2Y、2C、2M、2Bkや中間転写ベルト等の劣化を生じさせずに行うことができ、メインテナンス性を向上させることができる。
【0021】
次に、現像剤について説明する。本実施形態のプリンタの現像装置は、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を用いている。以下に、トナーと磁性キャリアについて説明する。
<トナーの粒径>
なお、トナーの体積平均粒径(Dv)は4〜8[μm]であり、この体積平均粒径Dv[μm]と個数平均粒径Dn[μm]との比(Dv/Dn)は1.05以上1.30以下が好ましい。より好ましくは、上記体積平均粒径Dv/個数平均粒径Dnのは1.10以上1.25以下がよい。このような粒径のトナーを用いることにより、トナーの粒度分布が狭くなるため、次のような効果を得ることができる。
1.トナー粒径面での選択現像といった現象が発生しにくいため、常時、安定した画像を形成することができる。ここで、選択現像とは、画像パターンに応じた(適した)トナー粒径を持つトナー粒子が選択的に現像される現象をいう。
2.トナーリサイクルシステムを搭載している場合、転写されにくい小サイズのトナー粒子が量的に多くリサイクルされることになるが、もともとトナーの粒度分布が狭いため、上述した作用を受けにくくなる。従って、この点からも常時、安定した画像を形成することができる。
3.二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
4.一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像剤担持体へのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生しない。従って、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
【0022】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、トナーの体積平均粒子径Dvが上記範囲(4〜8[μm])よりも小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させてしまう。また、一成分現像剤として用いた場合には、現像剤担持体へのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。また、これらの現象は微粉の含有率が本実施形態の範囲より多いトナーにおいても同様である。逆に、トナーの体積平均粒子径Dvが上記範囲(4〜8[μm])よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、上記体積平均粒径Dv/個数平均粒径Dnの値が1.30よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。また、上記体積平均粒径Dv/個数平均粒径Dnの値が1.05より小さい場合には、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化の面から好ましい面もある。しかしながら、この場合は、細線部分を小サイズ粒子で現像し、一方、ベタ画像を大サイズ粒子を中心に現像するといったトナー粒径による機能分離ができにくくなるため、かえって好ましくない。
【0023】
<トナー粒径の測定方法>
上記トナー粒径は、例えばコールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置を用いて測定することができる。この測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下、この測定装置を用いたトナー粒径の測定方法について述べる。まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とした。
【0024】
上述した実施形態においては、タンデム型のカラープリンタについて本発明を適用した例を説明したが、本発明を適用できる装置はこれに限るものではない。少なくとも、感光体2Y、2C、2M、2Bkと現像装置とが一体的に支持されプリンタ本体から着脱可能となったプロセスカートリッジを有するプリンタであれば適用可能である。また、現像剤としてトナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いたプリンタについて説明したが、一成分現像剤であるトナーを用いて現像を行う現像装置を用いたプリンタにも適用することができる。
【0025】
また、本実施形態においては、プロセスカートリッジ着脱操作中に行う感光体の上記退避位置と上記所定位置との間での移動を、プロセスカートリッジ内部で感光体をカートリッジ筺体に対して相対移動させることによって行っている。よって、プロセスカートリッジ着脱に際して中間転写ベルトに接触する恐れのないカートリッジ筺体や現像ローラ等は特に退避位置へ移動させていない。よって、余分な部材を感光体と共に移動させずに済む。
また、上記のようなメインテナンス性向上のために、プロセスカートリッジ内部に設けた支持アーム218Y、21C、21M、21Bkと、プリンタ本体に設けたガイド部材30とを用いている。これによって、メインテナンス性向上のための構成が容易である。
また、本実施形態において、現像剤のトナーの体積平均粒径Dv[μm]と個数平均粒径Dn[μm]との比(Dv/Dn)は1.05以上1.30以下が好ましい。このような粒径のトナーを用いることにより、トナーの粒度分布が狭くなるため、次のような効果を得ることができる。
1.トナー粒径面での選択現像といった現象が発生しにくいため、常時、安定した画像を形成することができる。
2.トナーリサイクルシステムを搭載している場合、転写されにくい小サイズのトナー粒子が量的に多くリサイクルされることになるが、もともとトナーの粒度分布が狭いため、上述した作用を受けにくくなる。従って、この点からも常時、安定した画像を形成することができる。
3.二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
4.一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなるとともに、現像剤担持体へのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生しない。従って、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
【0026】
また、本実施形態のプリンタは、中間転写ベルトを用いた中間転写方式のプリンタである。このような装置に本発明を適用しているので、プロセスカートリッジ着脱操作の際に中間転写ベルトと感光体2Y、2C、2M、2Bkとが摺擦しあうことによって中間転写ベルトの劣化が進行することも防止できる。
また、本実施形態のプリンタは、近年高速化の要求から普及しつつある、タンデム型のカラープリンタである。このような高速化が特に要求される装置に本発明を適用しているので、メインテナンス性向上を可能としたことによるメリットも大きい。
また、本実施形態のプリンタに装着されているプロセスカートリッジ18Y、18C、18M、18Bkは、プリンタ本体に対して容易な着脱方法で着脱操作に起因する感光体2Y、2C、2M、2Bkの劣化も生じないため、有用性が高い。
【0027】
【発明の効果】
請求項1乃至6の画像形成装置、及び請求項7のプロセスカートリッジによれば、プロセスカートリッジ着脱操作の容易化と、像担持体や画像形成動作時に像担持体に接触配置している部材のプロセスカートリッジ着脱操作に起因した劣化を防止することとを共に実現することができる。また、請求項7のプロセスカートリッジによれば、プロセスカートリッジ着脱操作の容易化と、像担持体のプロセスカートリッジ着脱操作に起因した劣化防止とを共に実現することができる。よって、像担持体や像担持体に接触する部材の劣化を早めることなく画像形成装置本体に対するプロセスカートリッジの着脱を容易に行うことができるという優れた効果がある。これにより、ユーザー自身による装置のメンテナンス操作が容易となり、メインテナンス性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るプリンタの要部説明図。
【図2】実施形態に係るプリンタの画像ステーションの概略構成図。
【図3】実施形態にかかるプロセスカートリッジの説明図。
【図4】感光体、帯電ローラ、及び現像ローラの支持部の構造についての説明図。
【図5】プロセスカートリッジを上方から見た平面図。
【図6】(a)は、ガイド部材の正面図。
(b)は、(a)のX−Y断面を右方向からみた断面図。
【図7】プロセスカートリッジがプリンタ本体に装着された状態を示す図。
【図8】プロセスカートリッジをプリンタ本体から抜き出したときの状態を示す図。
【符号の説明】
1Y、1C、1M、1Bk 画像ステーション
2Y、2C、2M、2Bk 感光体
2Ya 感光体軸
5Y、5C、5M、5Bk 現像装置
6 中間転写ベルト
7Y、7C、7M、7Bk 一次転写バイアスローラ
12Y、12C、12M、12Bk 感光体クリーニング装置
14 トナー搬送手段
15 中間転写ベルトクリーニング装置
18、18Y、18C、18M、18Bk プロセスカートリッジ
21Y 支持アーム
30 ガイド部材
30a ガイド溝
51Y、51C、51M、51Bk 現像ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像を現像する現像手段とを有し、少なくとも該像担持体と該現像手段とが一体的に支持され装置本体から着脱可能となったプロセスカートリッジを有する画像形成装置において、
該画像形成装置本体に、上記プロセスカートリッジの画像形成装置本体への挿入に伴って該プロセスカートリッジの所定の部位に係合し、かつ該プロセスカートリッジの該装置本体からの抜き出しに伴って該所定の部位に対する係合が解除されるガイド部材を設け、
該プロセスカートリッジの装置本体に対する挿入及び抜き出し操作中は該像担持体がその表面に他の部材が接触しない退避位置に位置し、該プロセスカートリッジの装置本体に対する挿入の終了に伴って該像担持体が画像形成動作を行うための所定位置に位置するよう、該ガイド部材が該ガイド部材に係合した該プロセスカートリッジの所定の部位を該プロセスカートリッジの装置本体に対する挿入及び抜き出し操作に伴って誘導することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記像担持体の上記退避位置と上記所定位置との間での移動を、該像担持体の表面と上記現像手段に設けた現像剤担持体の表面との間隔を一定に保ちつつ、該像担持体を上記プロセスカートリッジ筺体に対して相対移動させることによって行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記像担持体がローラ状の像担持体ローラであり、
上記像担持体ローラ表面と上記現像剤担持体の表面との間隔を一定に保ちつつ該像担持体ローラが上記プロセスカートリッジ筺体に対して相対移動するよう該像担持体ローラを支持する可動支持部材を設け、
上記プロセスカートリッジの画像形成装置本体に対する挿入又は抜き出しに伴って該像担持体ローラの軸が上記ガイド部材に係合するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3の画像形成装置において、
上記現像手段に用いるトナーの体積平均粒径Dv[μm]と個数平均粒径Dn[μm]との比(Dv/Dn)が1.05以上1.30以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4の画像形成装置において、
像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上の一次転写トナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記中間転写体に対向する複数の像担持体を有し、各像担持体上に形成した互いに異なる色のトナー像を該中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写することにより該中間転写体上に重ね合わせトナー像を形成し、該重ね合わせトナー像を転写材上に一括して二次転写することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と現像手段とが一体的に支持されたプロセスカートリッジにおいて、請求項1、2、3、4、5、又は6の画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate



【図6】
image rotate



【図7】
image rotate



【図8】
image rotate


【公開番号】特開2004−177525(P2004−177525A)
【公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−341480(P2002−341480)
【出願日】平成14年11月25日(2002.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】