説明

画像形成装置

【課題】迅速に、かつ、トナーを消費することなく一定の画像濃度を得ることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置内に存在する新しいトナーの比率あるいは古いトナーの比率がどの程度なのかを形成した画像の画像面積率によって検出し、この結果に基づいて現像ポテンシャルを補正する補正手段が、現像ポテンシャルを補正する。これにより、現像装置内のトナー入換量が変わるような画像形成を行っても、迅速に一定の画像濃度を得ることができる。しかも、画像面積率はトナーを消費しないで検出することができるので、現像ポテンシャルを補正するに際し、トナーを消費しなくても済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に係り、詳しくは、トナーと磁性キャリアとで構成された2成分現像剤を用いて画像形成を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、トナーと磁性キャリアとから構成される2成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を現像剤担持体上に保持し、その現像剤により現像剤担持体内部に設けられた磁極により磁気ブラシを形成して、その磁気ブラシにより潜像担持体上の潜像を摺擦して現像を行う2成分現像方式が広く知られている。2成分現像方式は、カラー化が容易なことから現在広く利用されている。2成分現像方式では、現像剤中におけるトナーと磁性キャリアとの比率(例えば重量比)を示すトナー濃度が高すぎると、形成した画像中に地肌汚れが発生したり、細部解像力の低下が生じたりする。一方、トナー濃度が低くなると、ベタ画像部の濃度が低下したり、潜像担持体へのキャリア付着が発生したりする。そのため、現像装置内における現像剤中のトナー濃度を検知してトナー補給動作を制御し、現像剤中のトナー濃度が常に適正範囲内となるようにトナー濃度制御を行うことが重要である。
【0003】
また、画像形成装置においては、一般に、常に一定の画像濃度が得られるように画像形成を行うことが重要である。画像濃度は、主として現像装置の現像能力によって決まる。この現像能力とは、現像時に潜像に対してどの程度のトナーを付着させることができるかを示す能力であり、トナー濃度のほか、潜像担持体表面の潜像と現像バイアスが印加される現像剤担持体表面との電位差である現像ポテンシャル等の現像条件や、現像に寄与するトナーの帯電量によっても変化する。この現像能力を示す指標としては、現像ポテンシャルに対するトナー付着量を示す関係式の傾き(現像γ)が広く知られている。このように画像濃度は現像装置の現像能力によって決まることから、上述したようにトナー濃度が常に適正範囲内となるようにトナー濃度制御を行うだけでは、画像濃度を一定にすることはできない。そして、現像ポテンシャル等の現像条件については比較的容易に一定にすることはできるものの、現像に寄与するトナーの帯電量を一定にすることは困難である。そのため、現像条件を一定にし、かつ、トナー濃度が一定となるようにトナー濃度制御したとしても、現像能力を一定にすることができずに一定の画像濃度が得られないという不具合が発生する。
【0004】
具体的に説明すると、例えば画像面積率の低い画像を出力した場合、その現像によって消費されたトナーの量は比較的少ないので、所望のトナー濃度に維持すべく補給されるトナーの量が少ない。そのため、現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーの量が多い。現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーは、撹拌作用を長く受けているため、現像に寄与するトナーの多くが所望の帯電量まで十分に帯電されたものとなる。よって、現像能力が比較的低いものとなる。これに対し、画像面積率の高い画像を出力した場合には、十分に帯電されていない補給されたばかりの新しいトナーが多く存在し、現像に寄与するトナーの中における所望の帯電量まで十分に帯電されていないトナーが占める割合が多い。その結果、現像能力は比較的高いものとなる。特に、近年は現像装置の小型化の要求に応えるべく現像装置内に保有する現像剤の量をなるべく少なくする傾向にある。そのため、画像面積率の高い画像を出力した後に行われる画像形成時において、所望の帯電量まで十分に帯電されていないトナーが現像に寄与する割合がより多くなっている。よって、画像面積率の高い画像を出力した後の画像形成時における現像能力は比較的高くなりやすい。
【0005】
また、構成によっては、画像面積率の低い画像を出力した場合の方が画像面積率の高い画像を出力した場合に比べて現像能力が高くなる場合もあり得る。例えば、外添剤が付着したトナーを用い、トナーに対するストレスが高い現像装置を用いる場合、現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーは、撹拌作用を長く受ける結果、トナー表面に外添剤が埋没したり、トナー表面から外添剤が離脱したりする。このようなトナーが多い場合、現像剤の流動性が悪化したり、トナー自体の帯電能力が低下したりして、現像に寄与するトナーを所望の帯電量まで十分に帯電させることができない。したがって、画像面積率の低い画像を出力した場合には、現像に寄与するトナーの中における所望の帯電量まで十分に帯電されていないトナーが占める割合が多くなるので、現像能力が比較的高いものとなる。これに対し、画像面積率の高い画像を出力した場合には、トナー補給量が多いため、現像装置内に比較的長い時間存在しているトナーの量が少ない。よって、現像剤の流動性が十分に良好で、かつ、帯電能力が十分に高いトナーが多い。したがって、現像に寄与するトナーを所望の帯電量まで十分に帯電させることが可能であるので、現像能力は比較的低いものとなる。
【0006】
以上のように、画像面積率の低い画像を出力する場合と画像面積率の高い画像を出力する場合とでは、その後のトナー補給により現像装置内に存在する新しいトナーの比率が異なることから、現像能力に違いが生じてくる。よって、現像条件を一定にし、かつ、トナー濃度が一定となるようにトナー濃度制御したとしても、現像能力を一定にすることができずに一定の画像濃度が得られないという不具合が発生する。
【0007】
この不具合を抑制し得るものとしては、例えば特許文献1や特許文献2に記載された画像形成装置が挙げられる。この画像形成装置は、現像装置内の2成分現像剤中のトナー濃度を検知して出力するトナー濃度検知手段を有し、そのトナー濃度検知手段の出力値とトナー濃度制御基準値とを比較してその比較結果に基づいてトナー補給装置を制御し、現像装置内の2成分現像剤のトナー濃度が所望のトナー濃度となるように制御する。そして、非画像部に形成した基準トナーパターンの濃度を検知することにより、当該基準トナーパターン形成時における画像濃度を把握し、その検知結果に基づいてトナー濃度制御基準値を補正する。この方法によれば、その補正後のしばらくの期間は所望の画像濃度で画像形成を行うことが可能である。よって、基準トナーパターンの形成及びその検知結果に応じたトナー濃度制御基準値の補正を定期的に行うことで、一定の画像濃度を得ることが可能である。
【0008】
【特許文献1】特開昭57−136667号公報
【特許文献2】特開平2−34877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1や特許文献2に記載された画像形成装置においては、トナー濃度制御基準値の補正を行うためには、その都度、基準トナーパターンを形成しなければならない。そのため、画像形成に用いないトナーの消費量が増大してしまうという問題が生じる。
【0010】
本出願人は、上記問題を解決するために、特願2005−327647号(以下、「先願」という。)に記載の画像形成装置を提案した。詳しく説明すると、当該先願に記載された画像形成装置は、所定期間内における現像装置内のトナー入換量を把握するための情報、例えば出力された画像の画像面積率、を検出する情報検出手段を有している。この情報検出手段の検出結果によって、現像装置内に存在する新しいトナーの比率あるいは古いトナーの比率がどの程度なのかを把握し、現像装置の現像能力を把握する。そして、情報検出手段の検出結果に基づいて、トナー濃度制御基準値補正手段によってトナー濃度制御補正値の補正を行い、現像装置内のトナー濃度を調整することで、一定の画像濃度を得る。当該先願の画像形成装置において、トナー濃度制御基準値の補正に用いるトナー入換量の情報は、出力された画像の画像面積率を検出するなどトナーを消費しないで検出できるので、画像形成に用いないトナーの消費量が増大するのを抑制できる。
【0011】
また、当該先願に記載された画像形成装置では、トナー濃度制御基準値を補正し、トナー濃度を変化させることによって画像濃度を一定に維持している。このような、トナー濃度を変化させることによる画像濃度の制御では、トナー濃度を高くする場合には、トナー補給を行なうことによりトナー濃度を高くすることができる。そのため、画像濃度を比較的レスポンス良く制御することが可能である。しかし、トナー濃度を低くする場合には、トナー補給を抑制して経時的にトナー濃度が低下するのを待つことになる。したがって、所望のトナー濃度まで低下するまでには時間がかかるため、画像濃度が一定になるまでに時間がかかるといった問題が生じる。
【0012】
本発明は、以上の背景に鑑み上記先願を改良するものであり、その目的とするところは、迅速に、かつ、トナーを消費することなく一定の画像濃度を得ることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体と、現像剤担持体上にトナーと磁性キャリアとで構成された2成分現像剤を担持して、これを該潜像担持体の表面に接触させることにより該潜像担持体表面上の潜像に該トナーを付着させる現像を行なう現像装置と、該現像装置の現像剤担持体と潜像担持体上の画像部との間に所定の現像ポテンシャルを形成する現像ポテンシャル形成手段と、該現像装置内にトナーを補給するトナー補給装置と、該現像装置内の該2成分現像剤中のトナー濃度を検知して出力するトナー濃度検知手段と、該トナー濃度検知手段の出力値とトナー濃度制御基準値とを比較し、その比較結果に基づいて該トナー補給手段を制御することにより該出力値が該トナー濃度制御基準値に近づくようにトナー濃度を制御するトナー濃度制御手段とを備えた画像形成装置において、所定期間内における該現像装置内のトナー入換量を把握するための情報を検出する情報検出手段と、該情報検出手段の検出結果に基づいて、現像ポテンシャルを補正する補正手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記情報検出手段は、上記所定期間内に形成した画像の画像面積率を検出する画像面積率検出手段であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記補正手段は、上記画像面積率検出手段の検出結果から得られる上記所定期間内に形成した画像の画像面積率の平均値に基づいて、上記現像ポテンシャルを補正するものであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記補正手段は、上記画像面積率検出手段の検出結果から得られる上記所定期間内に形成した画像の画像面積率の移動平均値に基づいて、上記現像ポテンシャルを補正するものであることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記移動平均値M(i)は、下記の数式に基づいて算出されるものであることを特徴とするものである。
M(i)=(1/N)×{M(i−1)×(N−1)+X(i)}ただし、「N」は画像面積率のサンプリング数であり、「M(i−1)」は前回算出した移動平均値であり、「X(i)」は今回検出した画像面積率である。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記補正手段は、上記情報検知手段の検出結果に基づき、上記所定期間内における上記現像装置内のトナー入換量が基準量よりも多い場合には、上記現像ポテンシャルが低くなるように補正し、該所定期間内における該現像装置内のトナー入換量が基準量以下の場合には、該現像ポテンシャルが高くなるように補正するものであることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、上記補正手段は、上記現像装置による現像を終えてから次回の現像を開始するまでの間に、上記現像ポテンシャルを補正するものであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記補正手段は、上記現像ポテンシャルを段階的に目標値まで補正するものであることを特徴とするものである。
【0014】
上述したように、一定の画像濃度を得ることができないのは、現像装置内に存在する新しい補給トナーの比率あるいは古いトナーの比率が異なる結果、現像能力に違いが生じるためである。そこで、本発明においては、所定期間内における現像装置内のトナー入換量を把握するための情報を検出する。この情報から、所定期間内に現像装置内のトナーがどのくらい消費され、どのくらいの新しいトナーが補給されるかを把握することができる。すなわち、現像装置内に存在する新しいトナーの比率あるいは古いトナーの比率がどの程度なのかを把握することができる。これにより、現像能力を把握することができるので、上記情報を検出した結果に基づき、現像ポテンシャルを補正する補正手段によって現像ポテンシャルを補正することができる。よって、現像能力つまり潜像へのトナー付着量の制御が、現像ポテンシャルを補正すること、言い換えれば、潜像担持体の潜像と現像バイアスが印加される現像剤担持体との電位差を補正すること、によって行われるので、潜像へのトナー付着量の制御に対して迅速に対応することができる。また、現像能力つまり潜像へのトナー付着量の制御は、現像ポテンシャルを変化させて行うため、潜像へのトナー付着量の制御に対して迅速に対応することができる。この結果、現像装置内のトナー入換量が変わるような画像形成を行っても、現像ポテンシャルを調整することにより迅速に一定の画像濃度を得ることができる。そして、現像装置内のトナー入換量を把握するための情報は、トナーを消費しないで検出することができることから、本発明では現像ポテンシャルを補正するに際し、トナーを消費しなくても済む。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によれば、トナーを消費することなく、かつ、迅速に一定の画像濃度を得ることができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のカラーレーザプリンタ(以下、「レーザプリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係るレーザプリンタの主要部を示す概略構成図である。
このレーザプリンタは、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(BK)の各色の画像を形成するための4組の作像手段1Y,1C,1M,1BK(以下、各符号の添字Y、C、M、BKは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック用の部材であることを示す。)が、中間転写体としての中間転写ベルト6の表面移動方向(図2中の矢印A方向)における上流側から順に配置されている。この作像手段1Y,1C,1M,1BKは、それぞれ、潜像担持体としてのドラム状の感光体11Y,11C,11M,11BKを有する感光体ユニット10Y,10C,10M,10BKと、現像装置20Y,20C,20M,20BKとを備えている。また、各作像手段1Y,1C,1M,1BKの配置は、各感光体ユニット内の感光体11Y,11C,11M,11BKの回転軸が平行になるように且つ中間転写ベルト6の表面移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
【0017】
各作像手段1Y,1C,1M,1BKによって形成された感光体11Y,11C,11M,11BK上のトナー像は、中間転写ベルト6上に順次重ね合わされて1次転写される。この重なり合って得られるカラー画像は、中間転写ベルト6の表面移動に伴って2次転写ローラ3との間の2次転写部に搬送される。また、本レーザプリンタは、上記作像手段1Y,1C,1M,1BKのほか、その下方に図示しない光書込ユニットが配置されており、さらにその下に図示しない給紙カセットが配置されている。図2中の一点鎖線は、転写紙の搬送経路を示している。給紙カセットから給送された転写紙は、図示しない搬送ガイドによってガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ5が設けられている一時停止位置に送られる。転写紙は、レジストローラ5により所定のタイミングで2次転写部に供給される。そして、中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像が、転写紙上に2次転写され、転写紙上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙は、定着ユニット7でトナー像が定着された後、排紙トレイ上に排出される。
【0018】
図3は、上記作像手段1Y,1C,1M,1BKのうち、イエローの作像手段1Yの概略構成を示す拡大図である。他の作像手段1M,1C,1BKについてもそれぞれ同じ構成となっているので、それらの説明は省略する。
図3において、作像手段1Yは、上述したように、感光体ユニット10Y及び現像装置20Yを備えている。感光体ユニット10Yは、感光体11Yのほか、その感光体表面をクリーニングするクリーニングブレード13Y、その感光体表面を一様帯電する帯電ローラ15Y等を備えている。また、感光体表面に潤滑剤を塗布するとともに、感光体表面を除電する機能を有する潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ12Yも備えている。この潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ12Yは、ブラシ部が導電性繊維で構成され、その芯金部には除電バイアスを印加するための図示しない除電用電源が接続されている。
【0019】
上記構成の感光体ユニット10Yにおいて、感光体11Yの表面は、電圧が印加された帯電ローラ15Yにより一様帯電される。この感光体11Yの表面に図示しない光書込ユニットで変調及び偏向されたレーザ光Lが走査されながら照射されると、感光体11Yの表面に静電潜像が形成される。この感光体11Y上の静電潜像は、後述の現像装置20Yで現像されてイエローのトナー像となる。感光体11Yと中間転写ベルト6とが対向する1次転写部では、感光体11Y上のトナー像が中間転写ベルト6上に転写される。トナー像が転写された後の感光体11Yの表面は、感光体クリーニング手段としてのクリーニングブレード13Yでクリーニングされた後、潤滑剤塗布兼除電ブラシローラ12Yで所定量の潤滑剤が塗布されるとともに除電され、次の静電潜像の形成に備えられる。
【0020】
上記現像装置20Yは、上記静電潜像を現像するための現像剤として、磁性キャリア及び負帯電のトナーを含む2成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を使用している。また、この現像装置20Yは、現像ケースの感光体11側の開口から一部露出するように配設された現像剤担持体としての非磁性材質からなる現像スリーブ22Yや、現像スリーブ22Yの内部に固定配置された磁界発生手段としてマグネットローラ(不図示)、撹拌搬送部材としての撹拌搬送スクリュー23Y,24Y、現像ドクタ25Y、トナー濃度検知手段としての透磁率センサ26Y、トナー補給装置としての粉体ポンプ27Y等を備えている。現像スリーブ22Yには現像電界形成手段としての図示を省略した現像バイアス電源により負の直流電圧DC(直流成分)に交流電圧AC(交流成分)が重畳された現像バイアス電圧が印加され、現像スリーブ22Yが感光体11Yの金属基体層に対して所定電圧にバイアスされている。なお、現像バイアス電圧は、負の直流電圧DC(直流成分)のみを印加するようにしてもよい。
【0021】
図3において、現像ケース内に収容された現像剤が撹拌搬送スクリュー23Y,24Yで撹拌搬送されることによりトナーが摩擦帯電される。そして、第1撹拌搬送スクリュー23Yが配置された第1撹拌搬送路内の現像剤の一部が現像スリーブ22Yの表面に担持され、現像ドクタ25Yで層厚が規制された後、感光体11Yと対向する現像領域に搬送される。現像領域では、現像スリーブ22Y上の現像剤中のトナーが現像電界によって感光体11Y上の静電潜像に付着し、トナー像となる。その後、現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブ22Y上の現像剤離れ極位置で現像スリーブ22Yから離れ、第1撹拌搬送路に戻る。第1撹拌搬送路をその下流端まで搬送された現像剤は、第2撹拌搬送スクリュー24Yが配置された第2撹拌搬送路の上流端へ移動し、第2撹拌搬送路内でトナー補給を受ける。その後、第2撹拌搬送路をその下流端まで搬送された現像剤は、第1撹拌搬送路の上流端へ移動する。第2撹拌搬送路の底部を構成する現像ケース部分には、透磁率センサ26Yが設置されている。
【0022】
現像ケース内の現像剤のトナー濃度は、画像形成に伴うトナー消費により低下するので、透磁率センサ26Yの出力値Vtに基づいて、必要により図2に示したトナーカートリッジ30Yから粉体ポンプ27Yによりトナーが補給されることで適正な範囲に制御される。トナー補給制御は、出力値Vtとトナー濃度制御基準値である制御基準値Vtrefとの差分値Tn(=Vtref−Vt)に基づいて、差分値Tnが+(プラス)の場合はトナー濃度が十分高いと判断してトナーを補給せず、差分値Tnが−(マイナス)の場合は差分値Tnの絶対値が大きいほどトナー補給量を多くするようにして、出力値Vtが制御基準値Vtrefの値に近づくようにして行う。
また、画像形成枚数が10枚(コピースピードなどにより約5〜200枚)に達するごとに一回の割合で、プロセスコントロールにより制御基準値Vtref、帯電電位、光量等を調整する。詳しくは、例えば、感光体11Y上に形成された複数のハーフトーン及びベタパターンの濃度を図2に示す反射濃度センサ62により検知し、その検知値からトナー付着量を把握して、トナー付着量が狙いの付着量になるように制御基準値Vtref、現像ポテンシャル、帯電電位、光量等を調整する。
さらに、本実施形態では、プロセスコントロールとは別に、1回の画像形成ごとに現像ポテンシャルを補正する現像ポテンシャル補正処理を行う。この現像ポテンシャル補正処理の詳しい内容は後述する。
【0023】
また、4つの感光体11Y,11C,11M,11BKのうち、最下流側にあるブラック用の感光体11BKのみ中間転写ベルト6に常に接触している転写ニップ常接状態であり、残りの感光体11M,11C,11Yは中間転写ベルトに対して接離可能となっている。転写紙上にカラー画像を形成する場合、4つの感光体11Y,11C,11M,11BKは、それぞれ中間転写ベルト6に当接する。一方、転写紙上にブラックの単色画像を形成する場合、各カラー用の感光体11Y,11C,11Mを中間転写ベルト6から離間させ、ブラックトナーによるトナー像が形成されるブラック用の感光体11BKのみを中間転写ベルト6に当接させるようにする。
【0024】
次に、トナー濃度制御を行う制御手段としての制御部について説明する。
図4は、トナー濃度制御を行う制御部の構成を示す説明図である。
この制御部100は、各現像装置ごとに設けられているが、その基本的構成はいずれも同様であるので、以下色分け符号(Y,C,M,BK)を省略して説明する。なお、各現像装置の制御部100の一部(CPU101、ROM102、RAM103等)は各現像装置間で共用されている。
【0025】
本実施形態の制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、I/Oユニット104等から構成されている。I/Oユニット104には、上記透磁率センサ26及び上記反射濃度センサ62がそれぞれ図示しないA/D変換器を介して接続されている。制御部100は、CPU101が所定のトナー濃度制御プログラムを実行することにより、I/Oユニット104を介して粉体ポンプ27を駆動するトナー補給駆動モータ31に制御信号を伝達し、トナー補給動作を制御する。また、所定の制御基準値補正プログラムを実行することにより、制御基準値Vtrefを補正し、一定のトナー濃度が得られるようにする。また、所定の現像ポテンシャル補正プログラムを実行することにより、1回の画像形成ごとに現像ポテンシャルを補正し、常に一定の画像濃度が得られるようにする。ROM102には、CPUが実行するトナー濃度制御プログラム、画像濃度制御パラメータ補正プログラムなどが記憶されている。RAM103には、I/Oユニット104を介して取得した透磁率センサ26の出力値Vtを一時保存するVtレジスタ、現像装置20内の現像剤のトナー濃度が目標トナー濃度であるときに透磁率センサ26が出力すべき基準出力値Vtrefを記憶するVtrefレジスタ、反射濃度センサ62からの出力値Vsを記憶するVsレジスタ等が設けられている。
【0026】
図5は、透磁率センサ26の出力値を縦軸にとり、検知対象の現像剤のトナー濃度を横軸にとったグラフである。
グラフに示すように、実用的なトナー濃度の範囲では、透磁率センサ26の出力値と現像剤のトナー濃度との関係は直線近似することができる。そして、現像剤のトナー濃度が高いほど、透磁率センサ26の出力値が小さくなる特性を示す。この特性を利用して、透磁率センサ26の出力値Vtが制御基準値Vtrefより大きい場合に粉体ポンプ27を駆動してトナー補給を行う。本実施形態では、1回の画像形成ごとに透磁率センサ26の出力値Vtに基づいてトナー補給制御を行う。
【0027】
次に、本発明の特徴部分である現像ポテンシャル補正処理について説明する。
図6は、出力画像面積率による現像γ(現像ポテンシャルに対するトナー付着量関係式の傾き)の差異を示すグラフである。
このグラフは、同一の画像面積率画像を、標準線速モード(138[mm/sec])で連続100枚出力した際の値である。このグラフからわかるように、画像面積率の高い画像を出力する場合の方が現像γが高くなる。これは次の理由によるものと考えられる。すなわち、画像面積率の高い画像を出力する場合、一定期間内における現像装置20のトナー入換量が多いため、現像装置20内に比較的長い時間存在しているトナーの量が少ない。そのため、過剰に帯電したトナーが少ないので、現像装置20内に比較的長い時間存在しているトナー(過剰に帯電したトナー)の量が多い画像面積率の低い画像を出力した場合に比べて、高い現像能力を発揮できたものと考えられる。
【0028】
このように、一定期間内における現像装置20のトナー入換量の違いによってその後の画像形成時における現像能力に差異が発生する。現像能力に差異が発生すると、形成される画像の画像濃度にも差異が生じ、一定の画像濃度で画像形成を行うことができなくなる。そこで、一定期間内における現像装置20のトナー入換量が違っても、一定の画像濃度を維持するように、現像ポテンシャルを補正する。
【0029】
なお、一定期間内における現像装置20のトナー入換量は、出力する画像の面積[cm]や画像面積率[%]などの種々の情報から把握することが可能である。本実施形態では、画像面積率からトナー入換量を把握する場合を例に挙げて説明する。なお、画像面積率[%]は次のようにしてトナー入換量[mg/page]という単位に換算して利用する。本実施形態においては、適正な現像能力を発揮した場合、A4の転写紙に対して100%のベタ画像を出力するときに300[mg]のトナーを消費し、300[mg]のトナーが補給される。よって、この場合のトナー入換量は300[mg/page]となる。ただし、画像面積率をトナー入換量に換算する場合、例えば基準の転写紙をA4横通紙に設定したときには、出力する全ての転写紙をこの基準転写紙に換算して画像面積率を換算する等の必要がある。なお、本実施形態における現像装置20の現像剤容量は240[g]である。
【0030】
図7は、横軸に画像面積率[%]をとり、縦軸に現像γ[mg/cm/kV]をとったグラフである。
このグラフは、図6に示すグラフのときと同様に、標準線速モードにおいてトナー濃度を一定に保ったまま、画像面積率ごとに100枚連続印刷を行ったときのものである。このグラフから、画像面積率が基準値である5[%]を超えると、現像γは高くなる傾向があることがわかる。よって、本実施形態のプリンタにおいては、画像面積率が5[%]よりも高い場合、現像ポテンシャルを低くし現像γを落として画像濃度を一定にすることが必要である。逆に、画像面積率が5[%]以下の場合には、現像ポテンシャルを高くして画像濃度を一定に維持する必要がある。
【0031】
次に本実施形態における画像面積率による、現像ポテンシャル補正のフローチャートを図1に従って説明する。本実施形態では、現像ポテンシャルの補正は現像バイアスを補正することによって行う。また、本補正は各印刷のJOBの終了毎に開始される。まず、出力画像の画像面積率[%]の平均を算出する(S1)。この画像面積率[%]の平均を算出するため、画像面積率[%]を印刷一枚毎に算出する。本補正を実行するに際、画像面積率[%]はある時点からの全平均(例えば、電位制御を行った時点をゼロとして、その時点から全平均する等)でもよいが、より望ましくは一定期間内の移動平均を用いるのがよい。この、移動平均を用いることにより、現時点での現像剤特性を知るのに適した、過去数枚のトナー入換量の履歴を知ることができる。よって、本実施形態では移動平均値を用いることにする。この移動平均値は、簡単のため、下記の数1に示す式に従って算出したものを用いる。
【数1】

【0032】
ここで、「M(i)」は画像面積率移動平均の現在値、「M(i−1)」は前回の画像面積率移動平均値、「N」は累積枚数である。また、「X(i)」は、今回の画像面積率である。なお、「M(i)」及び「X(i)」は色ごとに個別に算出する。
【0033】
本実施形態のように、前回算出した移動平均値を用いて、今回の移動平均値を求めるので、過去数枚あるいは数十枚という画像面積率のデータをRAM103に保存する必要がなくなるため、RAM103の使用領域を大幅に減少させることができる。また、累積枚数Nを適宜変更することで、制御のレスポンスを変更することが可能となる。例えば環境変動や経時において累積枚数Nを変更すると、より効果的に制御することができる。
【0034】
このようにして移動平均値を算出したら、現像バイアス現在値であるVb現在値と現像バイアス初期値であるVb初期値を取得する(S2)。その後、電位制御時の現像γを取得する(この現像γは上記200枚ごとの電位制御で得られたものである。)(S3)。次に、Vtref現在値を取得し(S4)、直前のTセンサ出力値Vtを取得する(S5)。その後、Vt−Vtrefを算出し(S6)、本補正を実行するかどうかの判定をする(S7)。この判定基準は、例えば、前回の電位制御が成功しているかどうかや、Vt−Vtrefが所定の値に収まっているかどうか(例えばVt−Vtrefは±0.2[V])であると、制御が正常であると判断する)等を用いると良い。本補正を実行しない場合は、そのまま終了する。
本補正を実行する場合は、LUT(ルックアップテーブル)を参照し、現像ポテンシャルの補正値ΔVbを算出する(S8)。ここで、LUTの一例を表1に示す。
【表1】

【0035】
本実施例においては、5[%]の画像を中心として高面積側と低面積側の両方を補正する仕様としたが、補正方向をどちらか一方に限定してもよい。現像剤の特性によっては、低画像側(現像ポテンシャルを増加させる側)の補正が必要ない場合がある。また、現像ポテンシャルの補正値ΔVbの取得であるが、画像面積率の移動平均に応じて、予測される現像γのズレΔγが求められるので、その値を現像ポテンシャルの補正値ΔVbに変換するというステップで補正値を決定する。ここで、ΔγからΔVbへの変換には数2を用いた。
【数2】

【0036】
ここで、「γ1」は電位制御時に実測した現像γ、「γ2」は画像面積率から予測できる現像γ、「M」は転写ベルト上付着量目標値である。
【0037】
本実施形態では、画像面積率が10[%]未満の場合、補正のステップを画像面積率1[%]毎に設定し、画像面積率が10[%]以上の場合、補正のステップを10[%]ごとに設定している。この補正のステップは現像剤、現像装置の特性に応じて、任意に変更が可能である。色ごとの最大補正量の調整は、例えば以下の数3を用いて補正するとよい。
【数3】

【0038】
ΔVbを算出した後、Vbを数4に従い色ごとに算出する(S9)。
【数4】

【0039】
次に、Vbの上下限処理を行う(S10)。補正後のVb現在値が、あらかじめ設定した上限値以上の場合、Vb現在値=Vb上限値とする。補正後のVb現在値が下限値を以下の場合は、Vb現在値=Vb下限値とする。上下限処理終了後、VbをRAM103に更新、保存する(S11)。なお、本実施形態に用いたシステムにおけるVbの上下限値は、それぞれ700、350[V]である。
また、現像ポテンシャルを変化させた場合は、数5に従い帯電バイアスVcを調整することにより、地肌ポテンシャル一定制御を行う。ここで、Vcは帯電バイアスのDC成分である。
【数5】

【0040】
なお、本現像ポテンシャル補正処理は、連続印刷中においては、前回の現像終了時から今回の現像開始時までの間に実行するのが望ましい。このような頻度で実行することにより、出力画像1枚ごとに適切な現像ポテンシャルを設定できるため、より画像濃度を安定化させることができる。
ただし、画像面積率0[%]の画像を連続出力後、画像面積率100[%]のベタ画像を連続通紙するなど画像面積率の移動平均が急激に変化する場合は、Δγが大きくなりΔVbの変更量も大きくなる。このような場合には、何段階かに分けて現像ポテンシャルを変化させても良い。例えば、ΔVbが100[V]の場合は、10[V]/10[Page]、また、20[V]/20[Page]のように、現像ポテンシャルを変更すると良い。また、ΔVbの変更幅に、リミッタ−を設けて最大変更可能現像ポテンシャルを予め設定しておいても良い。
【0041】
なお、現像ポテンシャルの補正は、現像バイアスを補正して行うことに限定されるわけではなく、感光体11の表面電圧を補正したり、光書込ユニットの露光エネルギーを変化させて行っても良い。
また、本実施形態においては、現像装置20の現像能力が一定に維持されるようにトナー濃度制御基準値の補正を、現像ポテンシャルの補正と同じように、所定期間内における現像装置20内のトナー入換量、例えば所定期間内に形成した画像の画像面積率に応じて行うことも可能である。これにより、現像装置20内のトナー入換量が大きく変わる画像形成が行われても、トナー濃度が適切に調整されて現像能力が一定に維持され、一定の画像濃度を得ることができる。よって、本実施形態で行った現像ポテンシャルの補正とトナー濃度制御基準値の補正とを組み合わせることによって、画像濃度を更に安定化させることができる。
【0042】
〔比較実験例〕
次に、上述した現像バイアス補正処理を行った場合と行わなかった場合とを比較する比較実験例について説明する。
図8は、本比較実験例の結果を示すグラフである。
この比較実験例では、上述した実施形態におけるレーザプリンタを用い、標準線速モード(138[mm/sec])で画像面積率が80%のベタ画像を100枚連続して形成したときの画像濃度を測定した。三角でプロットした比較例では現像ポテンシャル補正処理を行っていないため、連続プリント枚数が多くなるにつれて画像濃度が高くなっている。これに対し、丸でプロットした本実施形態では現像ポテンシャル補正処理を行っているため、連続プリント枚数が多くなっても画像濃度がほぼ一定の範囲内に収まっている。この結果、本実施形態のように制御基準値補正処理を行うことで、トナー入換量が多い高画像面積率の画像を出力した場合でも、安定して一定の画像濃度を得ることができることが確認された。
【0043】
以上、本実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタは、潜像担持体としての感光体11と、現像剤担持体としての現像スリーブ22上にトナーと磁性キャリアとで構成された2成分現像剤を担持して、これを感光体11の表面に接触させることにより感光体11表面上の潜像にトナーを付着させる現像を行う現像装置20と、現像装置20の現像スリーブ22と感光体11上の画像部との間に所定の現像ポテンシャルを形成する現像ポテンシャル形成手段と、現像装置20内にトナーを補給するトナー補給装置としての粉体ポンプ27Yと、現像装置20内の2成分現像剤中のトナー濃度を検知して出力するトナー濃度検知手段としての透磁率センサ26と、透磁率センサ26の出力値Vtとトナー濃度制御基準値である基準値Vtrefと比較し、その比較結果に基づいて粉体ポンプ27Yを制御することにより出力置Vtを基準出力値Vtrefに近づくようにトナー濃度を制御するトナー濃度制御手段としての制御部100とを備えている。また、本レーザプリンタは、制御部100が、所定期間内における現像装置20内のトナー入換量を把握するための情報である画像面積率を検出する情報検出手段として機能する。そして、制御部100は、補正手段としても機能し、画像面積率の検出結果に基づいて、現像ポテンシャルの補正を行う。よって、現像能力つまり潜像へのトナー付着量の制御が、現像ポテンシャルを補正すること、言い換えれば、感光体11の潜像と現像バイアスが印加される現像スリーブ22との電位差を補正すること、によって行われるので、潜像へのトナー付着量の制御に対して迅速に対応することができる。この結果、現像装置内のトナー入換量が大きく変わるような画像形成を行っても、現像ポテンシャルを調整することにより迅速に一定の画像濃度を得ることができる。しかも、本レーザプリンタによれば、現像装置20内のトナー入換量を把握するための情報(画像面積率)は、トナーを消費しないで検出することができるので、現像ポテンシャルを補正するに際し、トナーを消費しなくても済む。
特に、本実施形態では、上記情報検出手段が、上記所的期間内に形成した画像の画像面積率を検出する画像面積率検出手段として機能する制御部100であることから、比較的容易かつ簡易な構成で、トナーを消費せずにトナー入換量を把握するための情報を検出することができる。
また、本実施形態では、制御部100は、画像面積率の検出結果から得られる上記所定期間内に形成した画像の画像面積率の移動平均値に基づいて、現像ポテンシャルを補正する。これにより、現時点での現像剤特性を知るのに適した、過去数枚分のトナー入換量の履歴を把握することができる。その結果、現像ポテンシャルをより適正に補正することができる。特に、上記移動平均値M(i)として、上記数1に示した式に基づいて算出されるものを用いるので、上述したようにRAM103の使用領域を大幅に減少させることができる。
また、本実施形態において、制御部100は、画像面積率の検出結果に基づき、上記所定期間内における現像装置20内のトナー入換量が基準量よりも多い場合には、現像ポテンシャルが低くなるように補正し、上記所定期間内における現像装置20内のトナー入換量が基準量以下の場合には、現像ポテンシャルが高くなるように補正する。これにより、本実施形態のように、例えば画像面積率の高い画像を出力した場合に現像γが高まるような構成においては、現像ポテンシャルを低くすることにより現像γを低下させることができるので画像濃度を一定に維持することが可能となる。
また、本実施形態において、制御部100は、現像装置20による現像を終えてから次回の現像を開始するまでの間に現像ポテンシャルを補正する。これにより、出力画像1枚ごとに適切に補正された現像ポテンシャルを用いて画像濃度制御を行うことができる。
また、本実施形態において、制御部100は、現像ポテンシャルを段階的に目標値まで補正する。これにより、例えば、画像面積率0[%]の画像を連続出力後、画像面積率100[%]のベタ画像を連続通紙するなど画像面積率の移動平均が急激に変化する場合でも、急激な画像濃度の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態のレーザプリンタにおける現像ポテンシャル補正処理の流れを示すフローチャート。
【図2】レーザプリンタの主要部を示す概略構成図。。
【図3】レーザプリンタが備える作像手段のうちイエロー作像手段の概略構成を示す拡大図。
【図4】レーザプリンタのトナー濃度制御を行う制御部の構成を示す説明図。
【図5】透磁率センサの出力値を縦軸にとり、検知対象の現像剤のトナー濃度を横軸にとったグラフ。
【図6】出力画像面積率による現像γの差異を示すグラフ。
【図7】横軸に画像面積率をとり、縦軸に現像γをとったグラフ。
【図8】比較実験例の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0045】
6 中間転写ベルト
11 感光体
20 現像装置
26 透磁率センサ
27 粉体ポンプ
30 トナーカートリッジ
62 反射濃度センサ
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
現像剤担持体上にトナーと磁性キャリアとで構成された2成分現像剤を担持して、これを該潜像担持体の表面に接触させることにより該潜像担持体表面上の潜像に該トナーを付着させる現像を行なう現像装置と、
該現像装置の現像剤担持体と潜像担持体上の画像部との間に所定の現像ポテンシャルを形成する現像ポテンシャル形成手段と、
該現像装置内にトナーを補給するトナー補給装置と、
該現像装置内の該2成分現像剤中のトナー濃度を検知して出力するトナー濃度検知手段と、
該トナー濃度検知手段の出力値とトナー濃度制御基準値とを比較し、その比較結果に基づいて該トナー補給手段を制御することにより該出力値が該トナー濃度制御基準値に近づくようにトナー濃度を制御するトナー濃度制御手段とを備えた画像形成装置において、
所定期間内における該現像装置内のトナー入換量を把握するための情報を検出する情報検出手段と、
該情報検出手段の検出結果に基づいて、現像ポテンシャルを補正する補正手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記情報検出手段は、上記所定期間内に形成した画像の画像面積率を検出する画像面積率検出手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記補正手段は、上記画像面積率検出手段の検出結果から得られる上記所定期間内に形成した画像の画像面積率の平均値に基づいて、上記現像ポテンシャルを補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2の画像形成装置において、
上記補正手段は、上記画像面積率検出手段の検出結果から得られる上記所定期間内に形成した画像の画像面積率の移動平均値に基づいて、上記現像ポテンシャルを補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記移動平均値M(i)は、下記の数式に基づいて算出されるものであることを特徴とする画像形成装置。
M(i)=(1/N)×{M(i−1)×(N−1)+X(i)}
ただし、「N」は画像面積率のサンプリング数であり、「M(i−1)」は前回算出した移動平均値であり、「X(i)」は今回検出した画像面積率である。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、
上記補正手段は、上記情報検知手段の検出結果に基づき、上記所定期間内における上記現像装置内のトナー入換量が基準量よりも多い場合には、上記現像ポテンシャルが低くなるように補正し、該所定期間内における該現像装置内のトナー入換量が基準量以下の場合には、該現像ポテンシャルが高くなるように補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、
上記補正手段は、上記現像装置による現像を終えてから次回の現像を開始するまでの間に、上記現像ポテンシャルを補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記補正手段は、上記現像ポテンシャルを段階的に目標値まで補正するものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−310316(P2007−310316A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141920(P2006−141920)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】