説明

画像表示装置及びその製造方法

【課題】薄膜トランジスタの光リーク電流を低減させると共に、画素の開口率を向上させることが可能な画像表示装置を提供することである。
【解決手段】
基板上に複数の薄膜トランジスタを有する画像表示装置であって、前記基板上に形成される複数のゲート線と、前記ゲート線と交差する複数のドレイン線とを有し、前記薄膜トランジスタはボトムゲート型であり、チャネル領域は前記基板側からゲート電極/ゲート絶縁膜/半導体層が順次積層された積層構造を有し、前記チャネル領域のチャネル幅方向に形成されると共に、前記ゲート電極の両端側に形成される当該ゲート絶縁膜が除去された一対の除去領域を有し、前記チャネル領域におけるチャネル幅方向の前記ゲート電極の幅をW、前記一対の除去領域に挟まれ、前記チャネル幅方向の前記ゲート絶縁膜の幅をRとした場合、R≧Wを満たす画像表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びその製造方法に係わり、特に、画素の開口率を向上させることが可能な画像表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置では、非自発光型の液晶表示パネルと該液晶表示パネルを裏面側から照射するバックライトユニットとから構成されている。液晶表示パネルには、画素毎に薄膜トランジスタが形成されており、表示領域内にマトリクス状に形成される画素毎に、1フレーム期間において表示用データ(映像信号)を保持するための保持容量と該保持容量への映像信号の書き込みを制御する薄膜トランジスタとが配置される構成となっている。このような構成からなる液晶表示パネルでは、薄膜トランジスタのゲート電極にゲート線が接続されると共に、ドレイン電極に映像信号が入力される映像信号線(ドレイン線)が接続される構成となっており、ドレイン線から供給される映像信号をゲート線からのオン信号に基づいて読み込み、その映像信号を保持容量に保持させる構成となっている。
【0003】
しかしながら、従来の液晶表示装置ではバックライトユニットからのバックライト光により薄膜トランジスタのオフ時においても保持容量から電荷がリークしてしまうことが知られている。このリーク電流による画像表示への影響を低減させる方法として、保持容量の大型化が図られている。一方、近年の高画質化及び高精細化の要望により、1つの画素の占める面積が減少する傾向にあり、この画素面積の縮小に伴い、保持容量の低下してしまい、薄膜トランジスタにおけるリーク電流の低減が要望されている。
【0004】
薄膜トランジスタのオフ電流すなわちリーク電流を低減させる技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。この特許文献1に記載の技術では、ボトムゲート型の薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極とソース・ドレイン電極との間に層間絶縁膜を有し、チャネル領域において、層間絶縁膜に溝が形成されており、半導体層となるポリシリコン層が、ゲート絶縁膜/層間絶縁膜/高濃度半導体層/ソース・ドレイン電極に接して形成される構成となっている。この特許文献1に記載の技術では、層間絶縁膜の側面部に形成された半導体層がオフセットの役割を果たすため、ドレイン端の電界緩和によりオフ電流すなわちリーク電流を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−193248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、半導体層はゲート電極の内側に形成される構成となっており、バックライト光が直接に半導体層に照射されることを該ゲート電極が遮光する構成となっているので、バックライト光が薄膜トランジスタに照射されることに伴うリーク電流であるホトリーク電流の低減が可能となる。しかしながら、ゲート電極および半導体層の加工寸法バラツキなどを考慮した場合、ゲート電極は半導体層よりも幅を大きく形成する必要があり、画素の開口率が低下してしまうことが懸念されている。
【0007】
特に、携帯用端末に搭載される液晶表示装置では、限られた筐体サイズ内での高精細化が要望されており、1つの画素サイズが小さくなっている。これに対して、薄膜トランジスタ等のサイズは、加工精度と駆動能力とで画素内での大きさが限られており、専有面積のより小さい薄膜トランジスタが要望されている。
【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、薄膜トランジスタの光リーク電流を低減させると共に、画素の開口率を向上させることが可能な画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前記課題を解決すべく、基板上に複数の薄膜トランジスタを有する画像表示装置であって、前記基板上に形成される複数のゲート線と、前記ゲート線と交差する複数のドレイン線とを有し、前記薄膜トランジスタはボトムゲート型であり、チャネル領域は前記基板側からゲート電極/ゲート絶縁膜/半導体層が順次積層された積層構造を有し、前記チャネル領域のチャネル幅方向に形成されると共に、前記ゲート電極の両端側に形成される当該ゲート絶縁膜が除去された一対の除去領域を有し、前記チャネル領域におけるチャネル幅方向の前記ゲート電極の幅をW、前記一対の除去領域に挟まれ、前記チャネル幅方向の前記ゲート絶縁膜の幅をRとした場合、R≧Wを満たす画像表示装置である。
【0010】
(2)前記課題を解決すべく、基板上に複数の薄膜トランジスタを有する画像表示装置の製造方法であって、基板上に、ゲート電極を含むゲート線を形成する工程と、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に非単結晶シリコン膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜を加工し、前記ゲート電極の延在方向と平行に形成される少なくとも1つの辺縁部を有すると共に、前記辺縁部が平面的に前記ゲート電極を挟むように対向配置され、かつ前記チャネル領域のチャネル幅方向に配置される一対の開口部を前記ゲート絶縁膜に形成する工程と、非単結晶シリコン膜上にドレイン電極及びソース電極を形成すると共に、前記ゲート絶縁膜をマスクとして、前記開口部内に露出されるゲート電極をエッチングする工程とを含む画像表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体層がゲート電極からはみ出すことなくゲート電極の面積を小さくできるため、薄膜トランジスタの光リーク電流を低減させると共に、画素の開口率を向上させることができる。また、光リーク電流の抑制および開口率の向上により、高コントラストの液晶表示装置を安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1の画像表示装置の一例である液晶表示装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態1の画像表示装置の画素構成を説明するための平面図である。
【図3】本発明の実施形態1の画像表示装置における周辺回路を構成するブートストラップ回路の概略構成を説明するための平面図である。
【図4】図2に示すC−C’線及びD−D’線並びに図3のE−E’線における断面図である。
【図5】図3に示すA−A’線及びB−B’線における断面図である。
【図6】本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素用及び周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素用及び周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素用及び周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態2の画像表示装置における画素構成を説明するための平面図である。
【図10】本発明の実施形態2の画像表示装置における周辺回路を構成するブートストラップ回路の概略構成を説明するための平面図である。
【図11】図9に示すF−F’線及びG−G’線並びに図10に示すH−H’線における断面図である。
【図12】図10に示すJ−J’線、K−K’線及びH−H’線における断面図である。
【図13】本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図16】本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図17】本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図18】本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図19】本発明の実施形態2の液晶表示装置における周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図20】本発明の実施形態2の液晶表示装置における周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図21】本発明の実施形態2の液晶表示装置における周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図である。
【図22】本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置の断面図である。
【図23】本発明の実施形態4の画像表示装置である有機発光ダイオードを用いた画像表示装置の概略構成を説明するための図である。
【図24】本発明の実施形態4の画像表示装置であるOLED表示装置における画素の構成を説明するための図である。
【図25】本発明の実施形態4の画像表示装置であるOLED表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図26】本発明の他の実施形態の画像表示装置における薄膜トランジスタの概略構成を説明するための平面図である。
【図27】本発明のその他の実施形態の画像表示装置における薄膜トランジスタの概略構成を説明するための平面図である。
【図28】本発明のその他の実施形態の画像表示装置における薄膜トランジスタの概略構成を説明するための断面図である。
【図29】本発明のその他の実施形態の画像表示装置における薄膜トランジスタの概略構成を説明するための断面図である。
【図30】従来の画像表示装置における薄膜トランジスタの概略構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
【0014】
〈実施形態1〉
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態1の画像表示装置の一例である液晶表示装置の概略構成を説明するための図であり、以下、図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明する。ただし、図中に示すX、Yは、それぞれX軸、Y軸を示す。また、以下の説明では、表示領域内に形成され、各画素に映像信号(ドレイン信号)を供給する映像信号線をドレイン線と記し、各画素の薄膜トランジスタのオン/オフを制御する走査信号(ゲート信号)を供給する走査信号線をゲート線と記す。さらには、以下の説明では、TN方式の液晶表示装置に本願発明を適用した場合について説明するが、VA方式及びIPS方式等の液晶表示装置にも適用可能である。
【0015】
実施形態1の液晶表示装置は、透明基板からなる第1基板と、カラーフィルタやブラックマトリクスが形成され、第1基板に対向して配置される透明基板からなる第2基板と、第1基板と第2基板とで挟持される図示しない液晶層とで構成される液晶表示パネルを有し、この液晶表示パネルの光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成されている。また、第1基板と第2基板との固定及び液晶の封止は、第2基板の周辺部に環状に塗布されたシール材で固定され、液晶も封止される構成となっている。また、第2基板は、第1基板よりも小さな面積となっており、第1基板の少なくとも1つの辺部を露出させるようになっている。この第1基板の辺部には、外部信号が入力される端子部が形成されており、例えば周知のフレキシブルプリント基板等を介して、外部装置から表示信号が入力される構成となっている。また、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で表示画素(以下、画素と略記する)PIXの形成される領域が、図1中に点線で示す表示領域ARとなる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素PIXが形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域ARとはならない。なお、以下の説明では、液晶表示パネルの説明においても、液晶表示装置と記す。
【0016】
また、第1基板及び第2基板としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、ガラス基板に限定されることはなく、石英ガラスやプラスチック(樹脂)のような他の絶縁性基板であってもよい。例えば、石英ガラスを用いれば、プロセス温度を高くできるため、後述する薄膜トランジスタTFTのゲート部の絶縁膜(ゲート絶縁膜)を緻密化できるので、信頼性を向上することができる。一方、プラスチック(樹脂)基板を用いる場合には、軽量で、耐衝撃性に優れた液晶表示装置を提供できる。
【0017】
実施形態1の液晶表示装置では、図1に示すように、第1基板の液晶側の面であって表示領域AR内には、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線(ゲート線)GLが形成されている。また、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線(ドレイン線)DLが形成されている。ドレイン線DLとゲート線GLとで囲まれる矩形状の領域は画素PIXが形成される領域を構成し、これにより、各画素PIXは表示領域AR内においてマトリックス状に配置されている。各画素PIXは、ゲート線GLからの走査信号によってオン/オフが制御される薄膜トランジスタTFTと、このオンされた薄膜トランジスタTFTを介してドレイン線DLから映像信号が供給される画素電極と、画素電極に映像信号として供給された電荷を1フレーム期間保持するための保持容量Cstとを備えている。また、第2基板に形成され、映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される共通電極も有する。
【0018】
画素電極と共通電極との間すなわち第1基板と第2基板との間には電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。ただし、本願発明は、画素電極と共通電極とを第1基板上に形成し、第1基板の主面に平行な成分を有する電界を生じさせ、この電界によって液晶の分子を駆動させるIPS方式(IPS−Pro方式を含む)あるいは横電界方式と称される液晶表示装置にも適用可能である。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶に電界が印加されていない場合に光透過率を最小(黒表示)とし、電界を印加することにより光透過率を向上させていくノーマリブラック表示形態で表示を行うようになっている。なお、本願発明は、TN方式やIPS方式の液晶表示装置に限定されることはなく、VA方式の液晶表示装置等の非発光型の画像表示装置や有機EL表示装置等の自発光型の画像表示装置にも適用可能である。
【0019】
また、実施形態1の液晶表示装置では、第1基板上の図中上部に映像信号駆動回路(ドレインドライバ)DDRが形成されており、第1基板上の図中左側に走査信号駆動回路(ゲートドライバ)GDRが形成される構成となっている。なお、以下の説明においては、ドレインドライバDDRとゲートドライバGDRとを特に区別する必要がない場合には、単に駆動回路(ドライバ)と略記する。
【0020】
また、各ドレイン線DL及び各ゲート線GLはその端部においてシール材を越えてそれぞれ延在され、ドレイン線DLはドレインドライバDDRの出力端子にそれぞれ接続され、ゲート線GLはゲートドライバGDRの出力端子にそれぞれ接続されている。また、ドレインドライバDDR及びゲートドライバGDRの各入力は例えば金属薄膜で形成される配線で図示しない端子部とそれぞれ接続され、表示データが入力される構成となっている。
【0021】
ただし、実施形態1の液晶表示装置では、ドレインドライバDDR及びゲートドライバGDRを第1基板上に形成する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、半導体チップからなる半導体装置でドレインドライバ及びゲートドライバを形成し、この半導体チップを第1基板に搭載してもよい。または、例えばテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で形成した半導体装置の一辺を第1基板に接続させるようにしてもよい。
【0022】
〈画素の構成〉
図2は本発明の実施形態1の画像表示装置の画素構成を説明するための平面図であり、以下、図2に基づいて、実施形態1の画素構成について詳細に説明する。ただし、説明を簡単にするために、図2には第1基板のみを示すと共に、周知の配向膜等は省略する。また、各薄膜の形成は公知のフォトリソグラフィ技術により可能となるので、その形成方法の詳細な説明は省略する。
【0023】
図2に示すように、表示領域AR内において隣り合う一対のドレイン線DLと、隣り合う一対のゲート線GLとに囲まれた領域毎にそれぞれ独立した画素電極PXが形成され、画素の領域となっている。なお、画素電極PXとしては、例えばITO(Indium-Tin-Oxide)の透明導電材料からなる平面状の電極が一般的である。このような構成とすることにより、実施形態1の液晶表示装置では、画素をマトリクス状に形成する構成となっている。また、実施形態1の液晶表示装置では、ゲート線GLと同層に形成されるコモン線CLが当該ゲート線GLと平行に形成されている。
【0024】
また、ゲート線GLの一部と重畳する個所において、非単結晶シリコンを半導体層とする構成として、例えばアモルファスシリコンからなる半導体層ASが形成されている。この半導体層ASは薄膜トランジスタTFTの半導体層である。なお、半導体層ASを形成する非単結晶シリコンはアモルファスシリコンに限定されることはなく、後述するように、低温ポリシリコンや微結晶シリコン等であってもよい。そして、図中Y方向に伸張されるドレイン線DLの一部において、薄膜トランジスタTFT側に延在する延在部(接続部)JCを有し、この延在部JCは半導体層AS上に形成された薄膜トランジスタTFTのドレイン電極DTに接続される。また、ドレイン線DLは、後述する絶縁膜(ゲート絶縁膜)を介してゲート線GL及びコモン線CLと交差する構成となっている。また、ドレイン線DL及びドレイン電極DTの形成の際に同時に形成されるソース電極STが、半導体層AS上にてドレイン電極DTと対向し、かつ、半導体層AS上から画素領域側に延在された延在部を有して形成されている。この延在部はコンタクトホールTHを介して画素電極PXと接続されるパッド部PDに至るようにして構成されている。ここで、実施形態1では、絶縁膜を介し重畳して形成されるパッド部PDとコモン線CLとで保持容量Cstを形成している。
【0025】
また、実施形態1の薄膜トランジスタTFTにおいては、点線で示す領域にゲート電極GTと半導体層ASとの間に形成される絶縁膜が形成されない領域である絶縁膜の除去領域GIMが形成される構成となっている。この絶縁膜の除去領域GIMは、半導体層ASを挟むようにして形成される、すなわち半導体層ASが形成される領域におけるゲート線GLを図中上下から挟むような構成となっている。このとき、実施形態1の除去領域GIMでは、後に詳述するように、除去領域GIMの辺縁部の内で対向側すなわちゲート電極が形成される側では、当該除去領域GIMの辺縁部に沿ってゲート電極が形成される構成としている。このような構成とすることにより、ゲート電極のY方向への突出量が半導体層ASと同等程度の突出量とし、該ゲート線GLに隣接して配置されるコモン線CLとゲート線GLとの間隔すなわちゲート線GLと当該画素の画素電極との間隔、及びY方向に隣接する画素の画素電極とゲート線GLとの間隔を、図30に示す従来の薄膜トランジスタよりも小さい間隔で形成することを可能としている。さらには、ゲート線GLと保持容量Cstとの間の距離を、従来よりも小さく形成することを可能としている。その結果、限られた領域であるドレイン線DLとゲート線GLとに囲まれる画素領域内における画素電極PXの占める面積を増加させることが可能となり、リーク電流を低減させつつ開口率を向上させることが可能となる。
【0026】
〈周辺回路の構成〉
図3は本発明の実施形態1の画像表示装置における周辺回路を構成するブートストラップ回路の概略構成を説明するための平面図であり、以下、図3に基づいて、実施形態1の周辺回路について説明する。
【0027】
図3に示すように、実施形態1のブートストラップ回路BSCは周知の回路構成となっており、第1薄膜トランジスタTFT1のゲート電極GTとソース電極STとが配線SIG1とコンタクトホールTHとを介して電気的に接続され、第1の信号が入力される構成となっている。この第1薄膜トランジスタTFT1のドレイン電極DTは、信号配線SIG2を介して第2薄膜トランジスタTFT2のゲート電極GT及び第3薄膜トランジスタTFT3のソース電極STに接続されている。このとき、第3薄膜トランジスタTFT3のゲート電極GTには第2の信号が入力されると共に、ドレイン電極DTはグランド電位が入力される構成となる。また、第2薄膜トランジスタTFT2のソース電極STは高電位側に接続されると共に、図示しないコンデンサの一端に接続され、該コンデンサの他端側が当該薄膜トランジスタTFT2のゲート電極GTと接続される構成となっている。一方、第2薄膜トランジスタTFT2のドレイン電極DTは、基準電位に接続されている。このような構成からなるブートストラップ回路BSCを構成する薄膜トランジスタTFT1〜3は、後述するように、図30に示す従来の薄膜トランジスタと同様の構成となっている。
【0028】
〈薄膜トランジスタの構成〉
次に、図4に図2のC−C’線及びD−D’線並びに図3のE−E’線における断面図、図5に図3のA−A’線及びB−B’線における断面図をそれぞれ示し、以下、図4及び図5に基づいて、実施形態1の画素領域に形成される薄膜トランジスタTFTと周辺回路領域に形成される薄膜トランジスタTFT1〜3とについて詳細に説明する。ただし、図4(a)は図2のC−C’線における断面図、図4(b)は図2のD−D’線における断面図、図4(c)は図3のE−E’線における断面図を示しており、図5(a)は図3のA−A’線における断面図、図5(b)は図3のB−B’線における断面図をそれぞれ示している。また、薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3は、ゲート線GLをゲート電極としたいわゆる逆スタガ構造のMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造のトランジスタが構成されることになる。また、MIS構造のトランジスタは、そのバイアスの印加によってドレイン電極DTとソース電極STが入れ替わるように駆動するが、本明細書中においては、便宜上、ドレイン線DLと接続される側をドレイン電極DT、画素電極PXと接続される側をソース電極STと称する。
【0029】
図4(b)及び図5(b)に示すように、実施形態1の液晶表示装置における薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3では、第1基板SUB1の表面に、第1基板SUB1から薄膜トランジスタTFTへのNa(ナトリウム)やK(カリウム)等のイオンの混入を防止するために、下地層となる図示しない絶縁膜が形成されている。この絶縁膜としては、例えば第1基板SUB1側から順に窒化シリコン(SiN)などからなる層と酸化シリコン(SiO)などからなる層を積層した構造の薄膜を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
この絶縁膜の上層にはゲート線GLが形成され、実施形態1の液晶表示装置においては、このゲート線GLの一部をゲート電極GTとして用いる構成としている。このゲート電極GTとなる領域を含むゲート線GLの上層には、当該ゲート線GLを被うようにして絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIが形成されている。このとき、薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3の形成領域においては、絶縁膜GIは当該薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3のゲート絶縁膜として機能する。該絶縁膜GIの上面であって、薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3の形成領域においては、ゲート電極GTとして機能するゲート線GLと重畳する個所において、アモルファスシリコン薄膜からなる半導体層ASが形成されている。この半導体層ASの図中上面側には、凹部(エッチング領域)が形成されている。
【0031】
この凹部を除く半導体層ASの少なくとも上面には、コンタクト層CNLが形成されている。該コンタクト層CNLは、例えば高濃度のn型不純物がドープされた高濃度不純物層(n層)である。コンタクト層CNLは、ソース電極STあるいはドレイン電極DTとチャネル領域との接続抵抗を下げる効果を有する。該コンタクト層CNLの図中上面には、アルミニウム等やその合金等からなる導電性の金属薄膜で形成されるドレイン線DLに接続されるドレイン電極DTと、画素電極PXに接続されるソース電極STとが凹部を挟んで対向配置されている。ドレイン電極DT、ソース電極ST、及び半導体層ASの上層を含む第1基板SUB1の上面である薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3の上層の全面には当該薄膜トランジスタを保護するために、無機質材料である窒化シリコン(SiN)膜等からなる図示しない保護膜が形成されている。なお、本実施形態においては、半導体層の上面のみにコンタクト層CNLを形成する構成としたが、これに限定されることはなく、例えば半導体層の上面及び側面にコンタクト層CNLを形成する構成であってもよい。
【0032】
このとき、図4(a)及び図5(a)から明らかなように、実施形態1の薄膜トランジスタでは、表示領域内に形成される画素用の薄膜トランジスタTFTと、表示領域の外側領域に形成される周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3とでは、ドレイン電極DLとソース電極STとが対向する方向であるゲート長方向と直交するゲート幅方向においては、画素用の薄膜トランジスタTFTと周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3とのゲート電極GTが異なる形状となっている。すなわち、画素用の薄膜トランジスタTFTにおけるゲート電極GTでは、当該ゲート電極GTを形成するゲート線GLの延在方向に沿って、少なくとも当該ゲート線(ゲート電極GTを含む)GLを挟むようにして、絶縁膜GIと共にゲート線GLの一部が除去された領域である除去領域GIMが形成される構成となっている。この一対の除去領域GIMに挟まれる領域には、薄膜トランジスタTFTの半導体領域が含まれる構成となっており、ゲート電極GTを構成するゲート線GLに重畳する半導体層ASのゲート幅方向の幅である図4(a)中の左右方向の半導体層ASの幅は、ゲート電極GT及び絶縁膜GIの幅よりも小さく形成される構成となっている。すなわち、薄膜トランジスタTFTのチャネル領域では、チャネル幅方向のゲート電極幅をW、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIの幅をR、半導体層APの幅をHとした場合、R>H、W>Hを満たす構成となる。このとき、後に詳述するように、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIをマスクとしてゲート電極GTをエッチングするので、R≧Wも満たすこととなる。また、実施形態1の液晶表示装置では、図5(a)に示すように、周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3は従来の薄膜トランジスタと同様の構造である。
【0033】
また、周辺回路を形成する薄膜トランジスタの内で、ソース電極STから延在する配線SIG2とゲート電極GTから延在する配線SIG1とを電気的に接続する個所では、図4(c)に示すように、絶縁膜GIにコンタクトホールTHが形成され、このコンタクトホールTHの形成領域では、配線SIG1の上層に配線SIG2が形成されるので、配線SIG1と配線SIG2とが電気的に接続される。
【0034】
このように、実施形態1の液晶表示装置では、画素用の薄膜トランジスタTFTの内で、半導体層ASに重畳して形成される絶縁膜GI及びゲート線GLに、当該絶縁膜GI及びゲート線GLを除去した除去領域GIMを形成することによって、半導体層がゲート電極からはみ出すことなくゲート電極の面積を小さく形成し、光リーク電流を低減させると共に開口率を向上させている。その結果、液晶表示装置のコントラストを向上させることができる。
【0035】
〈製造方法の説明〉
次に、図6〜図8に本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素用及び周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図を示し、以下、図6〜図8に基づいて、実施形態1の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。ただし、図6〜図8の(a)〜(b)はそれぞれ前述する図4と同様に、図2及び図3のC−C’線、D−D’線、及びE−E’線における断面図を示す。また、除去領域の形成に係わる工程を除く他の工程は従来の液晶表示装置の製造方法と同様となるので、以下の説明では、除去領域の形成に係わる工程について詳細に説明する。
【0036】
工程1.(図6)
第1基板SUB1の上面側(液晶側)の面に、図6(a)〜(c)に示すように、公知の工程によりアルミニウム(例えば、厚さ150nm)からなるゲート電極DT部分を含むゲート線GL及びゲート電極DTから延在される配線SIG1等を形成する。次に、公知のCVD工程により、図6(a)(b)に示すように、窒化シリコンからなる絶縁膜(例えば、厚さ300nm)GIと、半導体層ASとなるアモルファスシリコン層(例えば、厚さ200nm)及びコンタクト層CNTとなる高濃度アモルファスシリコン層(例えば、厚さ30nm)を連続成膜する。さらに、公知のホトエッチング工程により高濃度アモルファスシリコン層とアモルファスシリコン層との積層膜を島状に加工し、半導体層ASとコンタクト層CNTとを形成する。このとき、図6(c)に示すように、配線SIG1の上層には、絶縁膜GIのみが形成される。
【0037】
工程2.(図7)
次に、第1基板SUB1の全面にレジストを形成した後に、図7(c)に示すように、絶縁膜GIを介して形成されるソース電極STから延在される配線SIG1及び該ソース電極STと同層に形成される図示しない導電層と、ドレイン電極DTから延在される配線SIG2及び該ドレイン電極DTと同層に形成される図示しない導電層とを、電気的に接続するためのコンタクトホールを形成するためのレジストパターンREGを形成する。このときのレジストパターンは、図7(b)に示すように、ドレイン電極DTとソース電極STとの対向方向すなわちD−D’方向に対してはアモルファスシリコン層を覆うように、かつ、図7(a)に示すように、C−C’方向に対してはアモルファスシリコン層の幅よりも小さくレジストをパターンニングする。
【0038】
工程3.(図8)
次に、図8(a)〜(c)に示すように、レジストパターンREGをマスクとして、高濃度アモルファスシリコン層であるコンタクト層CNTとアモルファスシリコン層である半導体層ASとをエッチングする。この時、まず、等方性エッチングを行うことにより、レジストに対しコンタクト層CNT及び半導体層ASが縮小加工される。すなわち、図8(c)に示すように、C−C’線方向であるゲート幅方向にコンタクト層CNT及び半導体層ASがレジストパターンREGの幅よりも縮小される。次に、図8(a)に示すように、異方性エッチングによりレジストパターンREGをマスクにして絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIをエッチング除去する。この絶縁膜GIのエッチング時に、図8(c)に示すように、薄膜トランジスタTFT1のゲート電極GTから配線SIG1とドレイン電極DTからの配線SIG2とを電気的に接続するためのコンタクトホールTHを開口(形成)する。このとき、図8(b)に示すように、D−D’線方向に対しては、レジストREGによりコンタクト層CNT及び絶縁膜GIが被われているので、エッチング加工されない。
【0039】
工程4.(図4)
次に、レジストREGを除去した後に、公知のソース・ドレイン電極の形成工程により、アルミニウム薄膜からなる膜厚が500nmのソース電極ST及びドレイン電極DT並びに同層のソース線SL及びドレイン線DL等を形成する。この時、実施形態1では、ゲート電極GTとソース電極ST及びドレイン電極DTとは同じ材料であるアルミニウム薄膜で形成しているため、図4(a)に示すC−C’断面において、ゲート電極GTも絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIをマスクにしてエッチング除去される。その後、ソース・ドレイン電極ST、DTをマスクにして、コンタクト層CNTをエッチング除去すると共に、半導体層ASに凹部を形成することにより、図4(a)〜(c)の構造を得る。なお、図3に示すブートストラップ回路BSCを構成する薄膜トランジスタTFT1〜3については、高濃度アモルファスシリコン層で形成されるコンタクト層CNTと、アモルファスシリコン層で形成される半導体層ASからなる各積層膜を島状に加工した後、薄膜トランジスタTFT1〜3全体を覆うようにレジストREGを形成することにより、図5(a)、(b)の構造を得ることができる。この薄膜トランジスタTFT1〜3の形成工程は周知の工程である。
【0040】
このように、本願発明のアモルファスシリコン層(高濃度アモルファスシリコン層を含む)であるコンタクト層CNT及び半導体層ASと絶縁膜GIとを同じレジストマスクREGを用いて加工した後に、絶縁膜GIをマスクにしてゲート電極GTを加工すると共に、コンタクト層CNT及び半導体層ASが薄膜トランジスタTFTのゲート幅方向にレジストマスクよりも縮小加工する構成としている。その結果、薄膜トランジスタTFTのゲート幅方向の半導体層ASをゲート電極GTよりも内側に形成でき、かつゲート電極GTの面積を小さくできる。このため、バックライトからの光照射による光リーク電流の低減と画素の開口率向上を両立させることができる。
【0041】
このとき、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIの除去工程において、ゲート電極GTからの配線SIG1とドレイン電極DTからの配線SIG2とのコンタクトホールTHを開口することにより、プロセス工数を増やすことなく両者の直接コンタクトが可能となり、周辺回路の狭額縁化も可能となる。
【0042】
〈実施形態2〉
図9は本発明の実施形態2の画像表示装置における画素構成を説明するための平面図であり、図10は本発明の実施形態2の画像表示装置における周辺回路を構成するブートストラップ回路の概略構成を説明するための平面図であり、以下、図9及び図10に基づいて、実施形態2の画像表示装置である液晶表示装置の画素及び周辺回路について説明する。ただし、実施形態2の液晶表示装置は、薄膜トランジスタTFTの構成が異なるのみで他の構成は実施形態1と同様の構成となる。従って、以下の説明では、薄膜トランジスタTFTの構成について詳細に説明する。また、実施形態2の薄膜トランジスタTFTは半導体層PSとしてポリシリコンを用いた構成となっており、さらには、チャネル層である半導体層PSの横側すなわち端部にコンタクト層CNTが形成されるコープレーナ型の薄膜トランジスタである。
【0043】
図9に示すように、実施形態2の液晶表示装置の表示領域に配置される薄膜トランジスタTFTにおいても、ゲート線GLの一部と重畳する個所において、ポリシリコンからなる半導体層PSが形成されている。この半導体層PSは薄膜トランジスタTFTの半導体層(チャネル層)である。そして、図中Y方向に伸張されるドレイン線DLの一部において、薄膜トランジスタTFT側に延在する延在部(接続部)JCを有し、この延在部JCは半導体層PS上に形成された薄膜トランジスタTFTのドレイン電極DTに接続される。また、ドレイン線DLは、後述する絶縁膜(ゲート絶縁膜)及び層間絶縁膜を介して、ゲート線GL及びコモン線CLと交差する構成となっている。また、ドレイン線DL及びドレイン電極DTの形成の際に同時に形成されるソース電極STが、半導体層PSを介してドレイン電極DTと対向し、かつ、半導体層PSの側面に形成されるコンタクト層から画素領域側に延在された延在部を有して形成されている。この延在部はコンタクトホールTHを介して画素電極PXと接続されるパッド部PDに至るようにして構成されている。ここで、実施形態2においても、絶縁膜(ゲート絶縁膜)及び層間絶縁膜を介し重畳して形成されるパッド部PDとコモン線CLとで保持容量Cstを形成している。
【0044】
また、実施形態2の薄膜トランジスタTFTにおいては、細線で示す領域にゲート電極GTと半導体層PSとの間に形成される絶縁膜が形成されない領域である絶縁膜の除去領域GIMが形成される構成となっている。この絶縁膜の除去領域GIMは、半導体層PSを挟むようにして形成される、すなわち半導体層PSが形成される領域におけるゲート線GLを図中上下から挟むような構成となっている。また、実施形態2においては、点線で示す領域に層間絶縁膜が形成されない領域である層間絶縁膜の除去領域INMが形成される構成となっている。特に、実施形態2の薄膜トランジスタTFTにおいては、ソース電極とドレイン電極とが対向配置される領域に層間絶縁膜が除去された除去領域INMが形成されると共に、該除去領域INMが絶縁膜の除去領域GIMの形成領域にも形成されている。従って、図9から明らかなように、実施形態2の薄膜トランジスタTFTにおいては、層間絶縁膜が除去された領域INMに重畳して、絶縁膜(ゲート絶縁膜)が除去された領域GIMが形成される構成となっている。このとき、実施形態2の除去領域GIMにおいても、後に詳述するように、除去領域GIMの辺縁部の内で対向側すなわちゲート電極が形成される側では、当該除去領域GIMの辺縁部に沿ってゲート電極が形成される構成となっている。このような構成とすることにより、実施形態2の薄膜トランジスタTFTにおいても、ゲート電極のY方向への突出量が半導体層PSと同等程度の突出量とし、該ゲート線GLに隣接して配置されるコモン線CLとゲート線GLとの間隔、すなわちゲート線GLと当該画素の画素電極との間隔及びY方向に隣接する画素の画素電極とゲート線GLとの間隔を、図30に示す従来の薄膜トランジスタよりも小さい間隔で形成することを可能としている。さらには、ゲート線GLと保持容量Cstとの間の距離も小さい距離で形成することを可能としている。その結果、限られた領域であるドレイン線DLとゲート線GLとに囲まれる画素領域内における画素電極PXの占める面積を増加させることが可能となり、リーク電流を低減させつつ開口率を向上させることが可能となる。
【0045】
一方、図10に示すように、実施形態1のブートストラップ回路BSCの各薄膜トランジスタTFT1〜3もポリシリコンからなる半導体層PSを備える構成となっている。この薄膜トランジスタTFT1〜3においても、層間絶縁膜が除去された除去領域INMが形成され、該除去領域INMを挟むようしてソース電極とドレイン電極とが対向配置される構成となっている。
【0046】
〈薄膜トランジスタの詳細構成〉
次に、図11に図9のF−F’線及びG−G’線並びに図10のH−H’線における断面図、図12に図10のJ−J’線、K−K’線及びH−H’線における断面図をそれぞれ示し、以下、図11及び図12に基づいて、実施形態2の画素領域に形成される薄膜トランジスタTFTと周辺回路領域に形成される薄膜トランジスタTFT1〜3とについて詳細に説明する。ただし、図11(a)は図9のF−F’線における断面図、図11(b)は図9のG−G’線における断面図、図11(c)は図10のH−H’線における断面図を示しており、図12(a)は図10のJ−J’線における断面図、図12(b)は図10のK−K’線における断面図、図12(c)は図10のH−H’線における断面図をそれぞれ示している。
【0047】
図11(b)及び図12(b)に示すように、実施形態2の薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3においても、第1基板SUB1の液晶側面に形成される図示しない絶縁膜(下地膜)の上層にはゲート線GLが形成され、このゲート線GLの一部をゲート電極GTとして用いる構成としている。このゲート電極GTとなる領域を含むゲート線GLの上層には、当該ゲート線GLを被うようにして絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIが形成されている。特に、実施形態2の薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3では、絶縁膜GIの上層に層間絶縁膜INが形成され、薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3の形成領域において、チャネル幅方向に延在する絶縁膜GIに達する凹部が形成されている。このとき、該凹部の辺縁部から側壁部及び底部に沿って半導体層PSが形成され、該半導体層PSの端部である層間絶縁膜INの上面の対向する位置にコンタクト層CNTが形成されている。また、半導体層PSの上面及びコンタクト層CNTの一部上面には、酸化シリコンからなる絶縁膜であるキャップ絶縁膜CINが形成されている。該コンタクト層CNLの図中上面には、導電性の金属薄膜で形成されるドレイン線DLに接続されるドレイン電極DTと、画素電極PXに接続されるソース電極STとが対向配置されている。ドレイン電極DT、ソース電極ST、及び半導体層ASの上層を含む第1基板SUB1の上面である薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3の上層の全面には当該薄膜トランジスタを保護するために、無機質材料である窒化シリコン(SiN)膜等からなる図示しない保護膜が形成されている。
【0048】
このとき、図11(a)及び図12(a)から明らかなように、実施形態2の薄膜トランジスタにおいても、表示領域内に形成される画素用の薄膜トランジスタTFTと、表示領域の外側領域に形成される周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3とでは、ドレイン電極DLとソース電極STとが対向する方向であるゲート長方向と直交するゲート幅方向においては、画素用の薄膜トランジスタTFTと周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3とのゲート電極GTが異なる形状となっている。すなわち、画素用の薄膜トランジスタTFTにおけるゲート電極GTでは、当該ゲート電極GTを形成するゲート線GLの延在方向に沿って、少なくとも当該ゲート線(ゲート電極GTを含む)GLを挟むようにして、絶縁膜GIと共にゲート線GLの一部が除去された領域である除去領域GIMが形成される構成となっている。特に、実施形態2においては、層間絶縁膜INが除去された除去領域INM内に除去領域GIMが形成され、一対の除去領域GIMに挟まれる領域には、薄膜トランジスタTFTの半導体領域が含まれる構成となっている。このとき、ゲート電極GTを構成するゲート線GLに重畳する半導体層ASのゲート幅方向の半導体層PSの幅である図11(a)中の左右方向の幅は、ゲート電極GT及び絶縁膜GIの幅よりも小さく形成されている。また、実施形態2の液晶表示装置では、図12(a)に示すように、周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3は従来の薄膜トランジスタと同様の構造である。
【0049】
また、周辺回路を形成する薄膜トランジスタの内で、ソース電極STから延在する配線SIG2とゲート電極GTから延在する配線SIG1とを電気的に接続する個所では、図11(c)及び図12(c)に示すように、絶縁膜GI及び層間絶縁膜INにコンタクトホールTHが形成され、このコンタクトホールTHの形成領域では、配線SIG1の上層に配線SIG2が形成されるので、配線SIG1と配線SIG2とが電気的に接続される。
【0050】
このように、実施形態2の液晶表示装置では、画素用の薄膜トランジスタTFTの内で、半導体層PSに重畳して形成される絶縁膜GI及び層間絶縁膜IN並びにゲート線GLに、当該絶縁膜GI及びゲート線GLを除去した除去領域GIMを形成することによって、半導体層がゲート電極からはみ出すことなくゲート電極の面積を小さく形成し、光リーク電流を低減させると共に開口率を向上させている。その結果、液晶表示装置のコントラストを向上させることができる。
【0051】
〈製造方法の説明〉
次に、図13〜図18に本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図、図19〜図21に本発明の実施形態2の液晶表示装置における周辺回路用の薄膜トランジスタの製造方法を説明するための図を示し、以下、図13〜図21に基づいて、実施形態2の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。ただし、図13〜図21の(a)〜(b)はそれぞれ前述する図11及び図12と同様に、図9及び図10のF−F’線、G−G’線、H−H’線、J−J’線、K−K’線における断面図を示す。また、除去領域INM、GIMの形成に係わる工程を除く他の工程は従来の液晶表示装置の製造方法と同様となるので、以下の説明では、除去領域INM、GIMの形成に係わる工程について詳細に説明する。
【0052】
まず、図13〜図18に基づいて、実施形態2の画素用の薄膜トランジスタの製造方法を説明する。
【0053】
工程1−1.(図13)
まず、図13(a)〜(c)に示すように、第1基板SUB1となるガラス基板上に、公知の工程によりアルミニウム(例えば、膜厚150nm)からなるゲート電極GT及び同層の配線を形成する。次に、公知のCVD工程により、例えば膜厚100nmの酸化シリコンからなる絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIと、例えば膜厚500nmの窒化シリコンからなる層間絶縁膜INと、例えば膜厚30nmの高濃度アモルファスシリコン層(後にコンタクト層CNTとなる)を連続成膜する。
【0054】
工程1−2.(図14)
次に、図14(a)〜(c)に示すように、公知のホト−ドライエッチング工程により高濃度アモルファスシリコン層CNTおよび層間絶縁膜INをテーパ状に加工し、層間絶縁膜INに絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIに到達する凹部を形成する。この時、酸化シリコンで形成される絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIと窒化シリコンで形成される層間絶縁膜INとはエッチングレートが異なるため、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIを残したまま層間絶縁膜INを加工できる。この工程により、図14(a)に示すように、高濃度アモルファスシリコン層CNTから層間絶縁膜INを貫通し、絶縁膜GIに到達する層間絶縁膜INの除去領域INMが形成される。
【0055】
工程1−3.(図15)
次に、図15(a)〜(c)に示すように、公知のCVD工程により、例えば膜厚50nmのアモルファスシリコン層を凹部に成膜した後、公知のレーザアニール法によりアモルファスシリコン層を結晶化し、半導体層となるポリシリコン層PSと、コンタクト層となる低抵抗な高濃度ポリシリコン層CNTとを形成する。
【0056】
工程1−4.(図16)
次に、図16(a)〜(c)に示すように、公知のCVD工程により酸化シリコンからなるキャップ絶縁膜CINを形成し、公知のホト工程によりレジストREGをパターンニングした後、公知のエッチング工程によりキャップ絶縁膜CINおよびポリシリコン層PSを島状に加工し、薄膜トランジスタTFTの半導体領域を形成する。この時、キャップ絶縁膜CINにはサイドエッチングが施されており、図16(a)のF−F’断面においてポリシリコン層PSの表面が、図16(b)のG−G’断面において高濃度ポリシリコン層CNTの表面が露出するように加工されている。
【0057】
工程1−5.(図17)
次に、図17(a)〜(c)に示すように、レジストREGおよび層間絶縁膜INをマスクにして、図17(a)のF−F’断面に示すように、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIをエッチング除去する。このとき、図17(c)のH−H’断面に示すように、ゲート電極GTからの配線SIG1とドレイン電極DTからの配線SIG2とを電気的に接続するためのコンタクトホールTHを絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIに開口する。
【0058】
工程1−6.(図18)
次に、図18(a)〜(c)に示すように、レジストを除去した後、公知の工程により、例えば膜厚500nmのアルミニウムからなるソース電極ST及びドレイン電極DT並びにソース電極ST又はドレイン電極DTから延在する各配線(ソース線SL及びドレイン線DLを含む)を形成する。この時、ゲート電極GTとソース電極ST及びドレイン電極DTとは同じ材料で構成されているため、図18(a)のF−F’断面に示すように、ゲート電極GTは絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIをマスクにしてエッチング除去される。その後、ソース電極ST及びドレイン電極DT並びにキャップ絶縁膜CINをマスクにして、ポリシリコン層PSおよび高濃度ポリシリコン層CNTをエッチング除去することにより、図11(a)〜(c)に示す薄膜トランジスタTFTの構造を得る。
【0059】
次に、図19〜図21に基づいて、実施形態2の周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3の製造方法を説明する。ただし、以下に説明する周辺回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3は、前述する画素用の薄膜トランジスタTFTの形成と同時に行われる。また、ポリシリコン層PSの形成までは画素用の薄膜トランジスタTFTの形成と同じとなるので、その説明は図13〜図15に基づいて適宜行う。
【0060】
工程2−1.(図13)
まず、画素用の薄膜トランジスタTFTの工程1−1と同様に、第1基板SUB1となるガラス基板上に、公知の工程により、例えば膜厚150nmのアルミニウムからなるゲート電極GTを形成する。次に、公知のCVD工程により、例えば膜厚100nmの酸化シリコンからなる絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIと、例えば膜厚500nmの窒化シリコンからなる層間絶縁膜INと、例えば膜厚30nmの高濃度アモルファスシリコン層を連続成膜する。
【0061】
工程2−2.(図14、図15)
さらに、画素用の薄膜トランジスタTFTの工程1−2と同様に、高濃度アモルファスシリコン層CNTおよび層間絶縁膜INをテーパ状に加工し、凹部を形成する。この後に、該凹部に例えば膜厚50nmのアモルファスシリコン層を形成した後に、アモルファスシリコン層をレーザアニール法等により結晶化することにより、ポリシリコン層PSと低抵抗な高濃度ポリシリコン層CNTを形成する。
【0062】
工程2−3.(図19)
次に、図19(a)〜(c)に示すように、公知のCVD工程により酸化シリコンからなるキャップ絶縁膜CINを形成する。次に、公知のホト工程によりレジストREGをパターンニングした後、図19(a)(b)に示すように、公知のエッチング工程によりキャップ絶縁膜CINおよびポリシリコン層PSを島状に加工する。この時、図19(a)のJ−J’断面に示すように、レジストマスクREGは層間絶縁膜INの除去領域INMを覆うように形成されている。さらに、キャップ絶縁膜CINにはサイドエッチングが施され、図19(a)のJ−J’断面に示すように、キャップ絶縁膜CINは層間絶縁膜INの除去領域INMよりも内側すなわち除去領域INMよりも小さく形成されるように加工される。
【0063】
工程2−4.(図20)
次に、図20(a)〜(c)に示すように、レジストREGおよび層間絶縁膜INをマスクにして絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIをエッチング除去することにより、図20(c)のH−H’断面に示すように、ゲート電極GTから延在する配線SIG1とドレイン電極DTから延在する配線SIG2とを電気的に接続するためのコンタクトホールTHを開口する。
【0064】
工程2−5.(図21)
次に、図21(a)〜(c)に示すように、レジストREGを除去した後、公知の工程により、例えば膜厚500nmのアルミニウムからなるソース電極ST及びドレイン電極DT並びに同層の配線を形成する。この時、図21(a)のJ−J’断面に示すように、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIはエッチング除去されないため、薄膜トランジスタTFT3のゲート電極GTが除去されることはない。その後、キャップ絶縁膜CINおよびソース電極ST及びドレイン電極DTをマスクにして、ポリシリコン層PSおよび高濃度ポリシリコン層CNTをエッチング除去することにより、図12に示す実施形態2の回路用の薄膜トランジスタTFT1〜3の構造を得る。
【0065】
以上説明したように、実施形態2の薄膜トランジスタにおいても実施形態1と同様、ポリシリコン層PSと絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIとを同じレジストマスクを用いて加工した後、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIをマスクにしてゲート電極GTを加工する。従って、半導体層であるポリシリコン層PSに重畳して形成されるゲート電極GTよりも内側に半導体層PSを形成でき、かつゲート電極GTの面積を小さくできるため、バックライトからの光照射による光リーク電流の低減と画素の開口率向上を両立させることができる。
【0066】
また、実施形態2では、ポリシリコンからなる半導体層PSでチャネルを形成することにより薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3の性能を向上できる。さらには、ゲート線GLとドレイン線DLとの間に層間絶縁膜INを有するため、これら配線間の寄生容量を低減でき、薄膜トランジスタTFT、TFT1〜3の耐圧を向上できる。このため液晶表示装置の高速駆動化や歩留まり向上といった格別の効果を得ることができる。
【0067】
なお、実施形態2において、絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIとして酸化シリコン膜の代わりに、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜を用いてもよい。特に、窒化シリコン膜を絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIとして用いれば、第1基板SUB1内の不純物が絶縁膜(ゲート絶縁膜)GI中に拡散侵入するのを効果的に防止でき、薄膜トランジスタTFTの特性変動を抑制できるという格別の効果を得ることができる。
【0068】
また、実施形態2において、アモルファスシリコンの結晶化法は熱アニールによる固相成長法でも良いし、熱アニールとレーザアニールの組み合わせであっても良い。また、PECVDや反応熱CVDを用いてポリシリコンを直接成膜してもよい。PECVDや反応熱CVDなどの直接成膜法を用いることにより、製造工程を簡略化でき、スループットが向上することができる。また、半導体層PSとしては、粒径が20nmから100nm程度の微結晶シリコンでもあってもよく、シリコンとゲルマニウムの化合物であってもよい。シリコンとゲルマニウムの化合物を用いることにより、薄膜トランジスタTFTの性能を向上できる。
【0069】
〈実施形態3〉
図22は本発明の実施形態3の液晶表示装置の断面図であり、特に、実施形態1の薄膜トランジスタが形成される第1基板を用いたTN方式の液晶表示装置を示している。ただし、本願発明はTN方式の液晶表示装置に限定されることはなく、TN方式と同様に画素電極と共通電極とを異なる基板に形成するVA方式やIPS方式の液晶表示装置に適用可能である。なお、第1基板SUB1の表示領域内に形成される薄膜トランジスタTFTを除く他の構成は従来の液晶表示装置と同様の構成となる。
【0070】
図22に示すように、実施形態3の液晶表示装置はブラックマトリックスBM、カラーフィルタCF、絶縁膜(オーバーコート層)IN1、共通電極CT、及び配向膜ORIが形成されるガラス基板(第2の基板)SUB2と、実施形態1のガラス基板(第1の基板)SUB1とで液晶LCを挟持する構成となっており、2枚のガラス基板SUB1、SUB2の両側にそれぞれ偏光板PLが形成されている。
【0071】
この実施形態3における液晶表示装置においても、画素に対応した位置に形成されるカラーフィルタCFの間にブラックマトリクスBMが形成され、該ブラックマトリクスBMがドレイン線等の形成領域からの光漏れを遮光する構成となっている。このような構成により、画素電極PXと共通電極CTとの間にドレイン線DLから送られる信号電圧を印加すると、その電圧に応じて液晶の配向状態が変化し、バックライトからの光を制御することにより、画像を表示する。なお、実施形態2の薄膜トランジスタを画素用の薄膜トランジスタに用いてもよい。
【0072】
図22に示すように、本願発明を適用した画素用の薄膜トランジスタを用いることにより、コンタクトホールが形成される保持容量の領域と半導体領域との間隔を小さくすることが可能となるので、開口率を向上させることができる。
【0073】
〈実施形態4〉
図23は本発明の実施形態4の画像表示装置である有機発光ダイオードを用いた画像表示装置の概略構成を説明するための図であり、以下、図23に基づいて、実施形態4の画像表示装置について説明する。ただし、実施形態4の有機発光ダイオード(OLED)を用いた画像表示装置(以下、OLED画像表示装置と略記する)はボトムエミッション型であり、薄膜トランジスタの構成を除く他の構成は従来と同様である。従って、以下の説明では、薄膜トランジスタの構成について詳細に説明する。
【0074】
実施形態4の画像表示装置である有機EL表示装置は、有機EL膜及び該有機EL膜を駆動する薄膜トランジスタ等が形成される第1基板と、該第1基板に対向配置される封止ガラスとから構成されている。第1基板と封止ガラスとは封止シール材で固定されると共に、第1基板と封止ガラスとの間が真空に保持される構成となっている。第1基板の対向面側には、図23に示すように、Y方向に延在しX方向に並設され、映像信号を供給するドレイン線DLを備える構成となっている。また、X方向に延在しY方向に並設され、走査信号を供給するゲート線GLを備える構成となっている。該ドレイン線DLとゲート線GLとに囲まれる領域が画素の領域となり、各画素領域(以下、画素と記す)PIXにはR(赤)、G(緑)、B(青)に発光する有機EL膜(OLED層)OLEDが形成されている。各画素は図23中のX方向及びY方向にマトリクス状に配列され、画素が形成される領域が画素領域(表示領域)となる。また、ドレイン線DLと隣接して形成され、有機EL膜への駆動電流を供給する電源線PWを備える構成となっている。
【0075】
また、第1基板にはドレイン線DLに映像信号(ドレイン信号)を供給する映像信号駆動回路(ドレインドライバ)DDRと、ゲート線GLに走査信号(ゲート信号)を供給する走査信号駆動回路(ゲートドライバ)GDRが形成されている。これらドレインドライバDDR及びゲートドライバGDRの出力は、封止シール材を超えて画素領域の外側まで延在されるドレイン線DL及びゲート線GLとそれぞれ接続されている。また、実施形態4のドレインドライバDDRは、電源線PWに供給する電源を有する構成となっており、その出力は封止シール材を超えて画素領域の外側まで延在される電源線PWに接続されている。
【0076】
また、図23に示すように、実施形態4のOLED表示装置の各画素PIXは、有機EL膜を備える発光層OLEDと、該発光層OLEDに供給する電流すなわち発光層(OLED)の発光量を制御する第2薄膜トランジスタTFT2と、第2薄膜トランジスタTFT2のドレイン−ゲート端子間に並列に接続される保持容量Cstと、該保持容量Cstに少なくとも1フレーム分の映像信号を書き込む第1薄膜トランジスタTFT1と、を備える構成となっている。
【0077】
〈画素構成〉
図24は本発明の実施形態4の画像表示装置であるOLED表示装置における画素の構成を説明するための図である。ただし、図24中に示す第1薄膜トランジスタTFT1の構成は、前述する実施形態1の薄膜トランジスタTFTと同様の構成となる。従って、図24に示すC−C’線及びD−D’線並びにE−E’線における断面図は、図4に示す断面図となる。以下、図24及び図4に基づいて、実施形態4のOLED表示装置の画素構成について詳細に説明する。
【0078】
図24に示すように、実施形態4のOLED表示装置においても、隣り合う一対のドレイン線DLと、隣り合う一対のゲート線GLとに囲まれた領域毎にそれぞれ独立した画素電極PXが形成され、図示しない発光層OLEDを有する画素の領域となっている。ゲート線GLの一部と重畳する個所において、例えばアモルファスシリコンからなる半導体層ASが形成されている。なお、半導体層ASはアモルファスシリコンに限定されることはなく、低温ポリシリコンや微結晶シリコン等であってもよい。そして、図中Y方向に伸張されるドレイン線DLの一部において、第1薄膜トランジスタTFT1側に延在する延在部を有し、この延在部が半導体層AS上に形成された第1薄膜トランジスタTFT1のドレイン電極DTに接続される。また、ドレイン線DL及びドレイン電極DTの形成の際に同時に形成されるソース電極STは、半導体層AS上にてドレイン電極DTと対向し、かつ、半導体層AS上から第2薄膜トランジスタTFT2側に延在する延在部を有して形成されている。この延在部はコンタクトホールTH1を介して、第2薄膜トランジスタTFT2のゲート電極に電気的に接続されている。
【0079】
第2薄膜トランジスタTFT2のゲート電極GTは、その一部が図示しない絶縁膜を介して画素電極PXと重畳される構成となっており、この重畳領域において第2薄膜トランジスタTFT2のドレイン−ゲート端子間に並列する保持容量Cstを形成している。また、図中Y方向に伸張される電源線PWの一部において、第2薄膜トランジスタTFT2側に延在する延在部を有し、この延在部が半導体層AS上に形成された第2薄膜トランジスタTFT2のソース電極STに接続される。半導体層AS上にてソース電極STと対向するドレイン電極DTは図示しない絶縁膜の上層に形成されるITO等の周知の透明電極材料で形成される画素電極PXとコンタクトホールTH2を介して接続される構成となっている。
【0080】
実施形態4の第1薄膜トランジスタTFT1においても、点線で示す領域にゲート電極GTと半導体層ASとの間に形成される絶縁膜が形成されない領域である絶縁膜の除去領域GIMが形成される構成となっている。絶縁膜の除去領域GIMは、半導体層ASとゲート線GLとを挟むようにして形成されている、すなわち半導体層ASが形成される領域におけるゲート線GLを図中上下から挟むような構成となっている。このとき、実施形態4の除去領域GIMでは、除去領域GIMの辺縁部の内で対向側すなわちゲート電極が形成される側では、当該除去領域GIMの辺縁部に沿ってゲート電極が形成される構成としている。このような構成とすることにより、ゲート電極のY方向への突出量が半導体層ASと同等程度の突出量とし、該ゲート線GLに隣接して配置される画素電極PXとゲート線GLとの間隔を従来の薄膜トランジスタよりも小さい間隔で形成することを可能としている。その結果、限られた領域であるドレイン線DLとゲート線GLとに囲まれる画素領域内における画素電極PXの占める面積を増加させることが可能となり、第1薄膜トランジスタTFT1でのリーク電流を低減させつつ、画素の開口率を向上させることが可能となる。
【0081】
図25は本発明の実施形態4の画像表示装置であるOLED表示装置の概略構成を説明するための断面図ある。ただし、図25に示す薄膜トランジスタは発光層OLEDに流す電流量を制御する駆動用の第2薄膜トランジスタTFT2である。
【0082】
図25に示すように、実施形態4のOLED表示装置は第1基板SUB1と封止ガラスSGとの間の領域内に画素が形成され、スペーサSPにより所定間隔に保持する構成となっている。また、発光層OLEDに用いる発光材料が湿度に非常に弱い性質を有するために、実施形態4においては封止ガラスSGの内側すなわち画素の形成側に周知の乾燥剤DSが配置されている。また、第1基板SUB1の上面側(画素の形成側)には、ゲート電極GT及びゲート線GLが形成され、その上層に絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIが形成されている。該絶縁膜GIの上層には島状の半導体層ASが形成され、該半導体層ASに形成される凹部を挟むようにしてコンタクト層CNTが形成され、該コンタクト層CNTにドレイン電極DT及びソース電極STがそれぞれ積層され、第2薄膜トランジスタTFT2を形成している。該第2薄膜トランジスタTFT2のソース電極STから延在する延在部には透明導電部材であるITOで形成される画素電極PXが電気的に接続され、その上層に有機EL膜を含む発光層OLEDが形成されており、その上層に共通電極CTが形成され、図示しないコモン線に接続されている。また、第2薄膜トランジスタTFT2の上層であり、画素電極PXの形成領域を除く領域には、層間絶縁膜INが形成されている。
【0083】
このように、実施形態4のOLED表示装置は、第1基板SUB1側に発光層OLEDからの光を取り出すボトムエミッション型の構成となっているので、ゲート電極GTの面積を小さくすることにより画素の開口率が向上し、OLED表示装置の高コントラスト化が可能となる。本実施形態は、実施形態2の薄膜トランジスタを適用した場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0084】
なお、本発明の実施形態1〜4の画像表示装置では、薄膜トランジスタの形成領域における絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIの除去領域GIMのチャネル長方向長さを半導体層AS、PSの形成領域よりも大きい構成としたが、図26に示すように、除去領域GIMのチャネル長方向長さが半導体層AS、PSの形成領域よりも小さい構成であってもよい。さらには、図27に示すように、画素領域全体に除去領域GIMを形成してもよく、この場合には、画素領域全体の絶縁膜(ゲート絶縁膜)GIが除去されるので、画素の透過率が向上しコントラストをさらに向上できるという格別の効果を得ることができる。
【0085】
さらには、実施形態1〜4において、ソース電極及びドレイン電極並びにゲート電極GTの材料は、Ti、TiW、TiN、W、Cr、Mo、Ta、Nb等の金属、またはそれらの合金であってもよい。
【0086】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0087】
SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、GT……ゲート電極、GL……ゲート線
GI……絶縁膜、AS、PS……半導体層、DL……ドレイン線、DT……ドレイン電極
JC……接続部、ST……ソース電極ST、DR……駆動回路、Cst……保持容量
BSC……ブートストラップ回路、DDR……映像信号駆動回路(ドレインドライバ)
GDR……走査信号駆動回路(ゲートドライバ)、SIG1、SIG2……配線
AR……表示領域、TFT、TFT1〜3……薄膜トランジスタ、PX……画素電極
PIX……画素、CT……共通電極、GIM……絶縁膜(ゲート絶縁膜)の除去領域
INM……層間絶縁膜の除去領域、REG……レジスト、CNT……コンタクト層
IN……層間絶縁膜、IN1……絶縁膜(オーバーコート層)
CIN……キャップ絶縁膜、CL……コモン線、TH……コンタクトホール
PD……パッド部、BM……ブラックマトリクス、CF……カラーフィルタ
LC……液晶、PL……偏光板、ORI……配向膜、OLED……発光層
PW……電源線、SG……封止ガラス、SP……スペーサ、DS……乾燥剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数の薄膜トランジスタを有する画像表示装置であって、
前記基板上に形成される複数のゲート線と、前記ゲート線と交差する複数のドレイン線とを有し、
前記薄膜トランジスタはボトムゲート型であり、チャネル領域は前記基板側からゲート電極/ゲート絶縁膜/半導体層が順次積層された積層構造を有し、
前記チャネル領域のチャネル幅方向に形成されると共に、前記ゲート電極の両端側に形成される当該ゲート絶縁膜が除去された一対の除去領域を有し、
前記チャネル領域におけるチャネル幅方向の前記ゲート電極の幅をW、前記一対の除去領域に挟まれ、前記チャネル幅方向の前記ゲート絶縁膜の幅をRとした場合、R≧Wを満たすことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記チャネル領域におけるチャネル幅方向の前記半導体層の幅をHとした場合、
前記チャネル幅方向の前記ゲート絶縁膜の幅Rは、R>Hを満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記チャネル領域におけるチャネル幅方向の前記半導体層の幅Hと、前記チャネル領域におけるチャネル幅方向の前記ゲート電極の幅Wとは、W>Hを満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
ソース電極及びドレイン電極は前記半導体層の上層に形成された金属膜からなり、前記ソース電極及びドレイン電極と前記ゲート電極とが同一の薄膜材料からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
ソース電極及びドレイン電極部は、基板側からゲート絶縁膜、層間絶縁膜、非単結晶シリコン膜、金属膜が順次積層された積層構造を有し、
前記半導体層は前記ゲート絶縁膜及び前記層間絶縁膜並びに前記非単結晶シリコン膜にそれぞれ接して形成され、
前記ゲート電極上部の前記層間絶縁膜はテーパ状に加工され、
前記ソース電極及びドレイン電極と前記ゲート電極とが同一の薄膜材料からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像表示装置。
【請求項6】
基板上に複数の薄膜トランジスタを有する画像表示装置の製造方法であって、
基板上に、ゲート電極を含むゲート線を形成する工程と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に非単結晶シリコン膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜を加工し、前記ゲート電極の延在方向と平行に形成される少なくとも1つの辺縁部を有すると共に、前記辺縁部が平面的に前記ゲート電極を挟むように対向配置され、かつ前記チャネル領域のチャネル幅方向に配置される一対の開口部を前記ゲート絶縁膜に形成する工程と、
非単結晶シリコン膜上にドレイン電極及びソース電極を形成すると共に、前記ゲート絶縁膜をマスクとして、前記開口部内に露出されるゲート電極をエッチングする工程とを含むことを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
レジストをマスクとして、前記非単結晶シリコン膜をサイドエッチングし半導体層を形成する工程を有し、
チャネル幅方向の前記半導体層の幅をH、前記チャネル幅方向の前記ゲート絶縁膜の幅をRとした場合、R>Hを満たす前記半導体層を形成することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゲート絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程を有し、
前記ドレイン電極及び前記ソース電極を形成する際に、前記ドレイン電極及び前記ソース電極と共に形成される同層の配線が前記ゲート線と同層の配線と電気的接続されることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記ゲート絶縁膜の上層に層間絶縁膜を形成する工程と、
レジストをマスクにして前記層間絶縁膜を加工する工程と、
前記加工された層間絶縁膜をマスクにして前記ゲート絶縁膜を加工する工程とを有することを特徴とする請求項6乃至8の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−228560(P2011−228560A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98486(P2010−98486)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】