説明

画像認識装置、画像認識方法、歩行者認識装置および車両制御装置

【課題】画像内に映し出される路面上に描かれた模様や記号などの路面標示を精度よく認識することで、画像内から判別の対象となる物体が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の物体の認識精度を向上させることを課題とする。
【解決手段】カメラで撮影された入力画像内の白線(例えば、路面にペイントされた中央線など)を認識して、路面領域の切出しを行うとともに、道路に対応する基準データに基づいて、入力画像内の路面領域の中から道路外の領域を特定する。道路以外の領域を特定した入力画像を俯瞰した状態に画像変換し、路面標示の基準データに基づいて路面標示認識を行うとともに、路面標示以外の領域を歩行者認識の候補領域として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載のカメラによって撮影された画像の画像認識を行う画像認識装置、画像認識方法、歩行者認識装置および車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両走行の障害となる物体との衝突を回避することや適切な運転操作を行えるようにすること等を目的として、車載のカメラによって撮影された画像に画像処理を行う技術が開示されている。例えば、特許文献1では、車両上方に設定した仮想視点から見た合成画像を生成することで、路面上に描かれた模様や記号などの路面標示の形状のように、同一の形状であったとしてもそれぞれ異なって見えてしまう要因であったカメラの取付け位置や取付け角度に影響されることのない画像を運転者に提供して、車両走行の障害となる物体との衝突を回避することや適切な運転操作を行えるようする技術が開示されている。
【0003】
また、同様に、車両走行の障害となる物体との衝突を回避すること等を目的として、車載のカメラによって撮影された画像の画像認識を行って、画像内から判別の対象となる物体が存在する蓋然性のある候補領域を検出する技術が開示されている。例えば、車両で走行する路面上に描かれた模様や記号などの路面表示の特徴を抽出して把握することでこれらを認識できるようにしておいて、路面上で認識できないものを判別の対象となる物体が存在する蓋然性の高い候補領域として検出する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】WO00/64175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の技術は、車両で走行する路面上に描かれた模様や記号を精度よく認識することができない場合があるという問題点があった。
【0006】
すなわち、上記した従来の技術の一方は、車両上方に設定した仮想視点から見た合成画像を生成することで、路面上に描かれた模様や記号などの路面表示の形状のように、同一の形状であったとしてもそれぞれ異なって見えてしまう要因であったカメラの取付け位置や取付け角度に影響されることのない画像を運転者に提供するものであるので、そもそも車両で走行する路面上に描かれた模様や記号を認識するものではないという問題点があった。
【0007】
上記した従来技術の他方は、車両の所定位置に取り付けられたカメラによって撮影された複数の画像に基づいて、路面上に描かれた模様や記号などの路面標示の特徴を抽出したデータを生成しておき、このデータに基づいて画像内の映し出された路面標示を把握するものであるので、同一の形状であったとしてもカメラの取付け位置や取付け角度によってそれぞれ異なって見える(例えば、様々な形状にゆがんで見える)路面標示の特徴を希釈化させずに抽出することが難しく、車両で走行する路面上に描かれた模様や記号を精度よく認識することができない場合があり、結果として、判別の対象となる物体が存在する蓋然性の高い候補領域を検出することができないという問題点があった。
【0008】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、画像内に映し出される路面上に描かれた模様や記号などの路面標示を精度よく認識することで、画像内から判別の対象となる物体が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の物体の認識精度を向上させることが可能な画像認識装置、画像認識方法、歩行者認識装置および車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶手段と、前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換手段と、前記基準データ記憶手段により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、当該俯瞰画像を回転するための基準とする回転基準対象を前記路面標示の中から検出する回転基準対象検出手段と、前記回転基準対象検出手段により前記回転基準対象として検出された路面標示を回転させることで、前記俯瞰画像を車両進行方向と一致させるように回転補正する回転補正手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、前記路面標示認識手段により路面標示と認識されなかった領域を物体認識の対象となる候補領域として特定し、当該画像変換手段により俯瞰画像に変更される前の元画像内の当該候補領域に対応する領域について物体認識を行う物体認識手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、前記画像内に映し出されている路面標示と路面との輝度差が所定の値となるように調整する輝度調整手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶工程と、前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換工程と、前記基準データ記憶工程により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換工程により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識工程と、を含んだことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶手段と、前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換手段と、前記基準データ記憶手段により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識手段と、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、前記路面標示認識手段により路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、当該画像変換手段により俯瞰画像に変更される前の元画像内において、当該候補領域に対応する領域に歩行者認識を行う歩行者認識手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶手段と、前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換手段と、前記基準データ記憶手段により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識手段と、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、前記路面標示認識手段により路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、当該画像変換手段により俯瞰画像に変更される前の元画像内において、当該候補領域に対応する領域に歩行者認識を行う歩行者認識手段と、前記歩行者認識手段により歩行者が認識された場合に、運転者に注意または警告を報知する報知制御、および/または車両の走行状態を制御する車両制御を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に係る発明は、道路を含む入力画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する変換手段と、予め路面標示が俯瞰化された基準データと前記俯瞰画像との比較結果に基づいて、当該俯瞰画像内から当該路面標示以外の領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定する特定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1または5の発明によれば、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶するとともに、この基準データに基づいて、撮影された画像を俯瞰した状態に変換した俯瞰画像内の路面標示を認識するので、車載のカメラの撮影方向や撮影角度に左右されることなく、画像内に映し出される路面標示(路面上に描かれた模様や記号など)を精度よく認識することが可能である。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、俯瞰画像を回転するための基準とする回転基準対象を路面標示の中から検出し(例えば、中央線や外側線などの白線などを検出し)、回転基準対象として検出された路面標示を回転させることで、俯瞰画像を車両進行方向と一致させるように回転補正するので、車両が斜めに走行する場合(例えば、道路を斜めに横切って走行する場合)などに撮影した画像内に映し出されている路面標示を認識しやすいように、俯瞰画像を回転補正して対応することができ、画像内に映し出される路面標示をより精度よく認識することが可能である。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、俯瞰画像内から、路面標示と認識されなかった領域を物体認識の対象となる候補領域として特定し、俯瞰画像に変更される前の元画像内の候補領域に対応する領域について物体認識を行うので、画像内から判別の対象となる物体(例えば、歩行者や犬や猫などの四足動物など)が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の物体の認識精度を向上させることが可能である。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、画像内に映し出されている路面標示と路面との輝度差が所定の値となるように調整する(つまり、中央線や外側線などの白線などを基準として、路面上に描かれた模様や記号などの路面標示が明瞭となるように調整する)ので、例えば、路面標示のペイントの濃さや天候等の影響を緩和することができる結果、路面標示をより精度よく認識することが可能である。
【0021】
また、請求項6の発明によれば、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶するとともに、この基準データに基づいて、撮影された画像を俯瞰した状態に変換した俯瞰画像内の路面標示を認識し、さらに、俯瞰画像内から、路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、俯瞰画像に変更される前の元画像内の候補領域に対応する領域について歩行者認識を行うので、画像内から判別の対象となる歩行者が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の歩行者認識精度を向上させることが可能である。
【0022】
また、請求項7の発明によれば、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶するとともに、この基準データに基づいて、撮影された画像を俯瞰した状態に変換した俯瞰画像内の路面標示を認識し、さらに、俯瞰画像内から、路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、俯瞰画像に変更される前の元画像内の候補領域に対応する領域について歩行者認識を行って、その結果歩行者を認識した場合には報知制御または車両制御を行うので、車載のカメラで撮影された画像内の歩行者認識精度を向上させることができる結果、適切な報知制御や車両制御を行うことができ、車両走行の障害となる物体との衝突を回避すること等が可能である。
【0023】
また、請求項8の発明によれば、道路を含む入力画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換し、予め路面標示が俯瞰化された基準データと俯瞰画像との比較結果に基づいて、俯瞰画像内から路面標示以外の領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定するので、例えば、路面標示を含む道路の画像を俯瞰化したデータを基準データとして予め保持し、この基準データと俯瞰画像との比較結果として抽出される差分から、歩行者認識の対象となる候補領域を特定することができ、路面標示認識を必要とすることなく簡易に候補領域を特定して歩行者認識の精度を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像認識装置、画像認識方法、歩行者認識装置および車両制御装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る画像認識装置および車両制御装置を搭載した車両を実施例1として説明した後に、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
以下の実施例1では、実施例1に係る概要および特徴、実施例1の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。
【0026】
[概要および特徴(実施例1)]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係る概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る概要および特徴と説明するための図である。
【0027】
実施例1は、車両走行の障害となる物体との衝突を回避すること等を目的として、車載のカメラによって撮影された画像の画像認識を行うことを概要とするが、画像内に映し出される路面標示(路面上に描かれた模様や記号)を精度よく認識することで、画像内から判別の対象となる物体(例えば、歩行者)が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の物体の認識精度を向上させることが可能である点に主たる特徴がある。
【0028】
この主たる特徴について具体的に説明すると、図1に示すように、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状(俯瞰した状態で把握される形状)に対応する基準データをあらかじめ記憶している。ここで、基準データとは、例えば、画像内に映し出される路面標示を俯瞰した状態で得られる形状の特徴を、サンプルとして採取した俯瞰画像から抽出して生成したデータをいう。
【0029】
そして、カメラで撮影された入力画像内の白線(例えば、路面にペイントされた中央線など)を認識して、路面領域の切出しを行うとともに、道路に対応する基準データに基づいて、入力画像内の路面領域の中から道路外の領域を特定する。具体的には、車両制御装置は、入力画像内の白線位置を特定するとともに、認識した白線との位置関係から入力画像内の路面領域を切出した後、道路に対応する基準データに基づいて路面領域内で道路以外の領域を特定する。
【0030】
次に、道路以外の領域を特定した入力画像を俯瞰した状態に画像変換し、路面標示の基準データに基づいて路面標示認識を行うとともに、路面標示以外の領域を歩行者認識の候補領域として特定する。具体的には、俯瞰画像内で路面標示(路面上の記号や模様)と認識されなかった路面標示以外の領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定する。
【0031】
続いて、先ほど俯瞰画像において特定した候補領域に対応する元の画像(俯瞰画像に変換する前の入力画像)内の領域について歩行者認識を行う。なお、歩行者認識については、パターンマッチングやニューラルネットワークなどの手法を用いて行う。
【0032】
そして、歩行者認識の結果に応じて報知制御や車両走行制御を行う。具体的には、例えば、歩行者認識の結果(例えば、「歩行者である」という判別結果)の他に、レーダ(例えば、ミリ波レーダ、光レーダなど)によって得られた物体に対する距離情報(車両から物体までの距離)を用いて、歩行者との衝突危険度を判定し、この判定結果に応じて報知制御や車両制御として車両走行制御を行う。
【0033】
このようなことから、実施例1は、上述した主たる特徴のごとく、画像内に映し出される路面標示(路面上に描かれた模様や記号)を精度よく認識することで、画像内から判別の対象となる物体(例えば、歩行者)が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の物体の認識精度を向上させることが可能である。また、実施例1は、車載のカメラで撮影された画像内の歩行者認識精度を向上させることができる結果、適切な報知制御や車両制御を行うことができ、車両走行の障害となる物体との衝突を回避すること等が可能である。
【0034】
[車両の構成(実施例1)]
次に、図2を用いて、実施例1に係る画像認識装置および車両制御装置を搭載する車両の構成を説明する。図2は、実施例1に係る画像認識装置および車両制御装置を搭載する車両の構成を示すブロック図である。なお、以下では、本発明を実施するために必要な処理部のみを示し、他の処理部については記載を省略する。
【0035】
同図に示すように、この車両は、車両制御装置10、撮像装置(例えば、単眼カメラやステレオカメラ)11、ナビ部12、レーダ部13、車内通知部14および画像認識装置20を搭載している。また、車両制御装置10は、報知制御部15および車両制御部16から構成され、画像認識装置20は、前処理部21、記憶部22および制御部(マイコン)23から構成される。
【0036】
ナビ(ナビゲーション)部12は、GPS(Global Positioning System)人工衛星と通信を行って、特定した自動車の位置と地図データとから走行経路の設定および誘導を行う手段である。また、ナビ部12は、自動車の位置情報や道路形状、路幅、傾斜など車両運転操作に有用な各種の情報を、後述する車内通知部14を介して運転者に供給する。
【0037】
レーダ部13は、レーダ(例えば、76.5GHzのミリ波レーダや光レーダなど)を照射して、前方の車両や障害物(例えば、歩行者)との距離や速度、方向などを測定する手段である。具体的には、この実施例3おいて、レーダ部13は、後述する衝突危険度判定部23eから歩行者までの距離の測定指令を受け付けると、歩行者の足元(接地面)を認識し、その接地面から車両までの距離を取得した後、衝突危険度判定部23eにその距離情報(車両から歩行者までの距離)を出力する。
【0038】
車内通知部14は、ナビ部12や後述する報知制御部15からの情報を通知する手段であり、モニタやスピーカなどで構成される。例えば、報知制御部15からの指令を受け付けて、歩行者の存在を示す画像をモニタに出力したり、メッセージ音声やアラーム音をスピーカから出力したりする。
【0039】
車両制御装置10の報知制御部15は、後述する衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度の判定結果に応じて報知制御を行う処理部である。具体的には、例えば、この実施例3において、報知制御部15は、内部的に保持する処理制御テーブル(図3参照)に基づいて、衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度が「レベル1」である場合には、車内通知部14に対して歩行者の存在を示す画像の出力を指令する。
【0040】
車両制御装置10の車両制御部16は、後述する衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度の判定結果に応じて車両制御を行う処理部である。具体的には、例えば、この実施例3において、車両制御部16は、内部的に保持する処理制御テーブル(図3参照)に基づいて、衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度が「レベル2」である場合には、ブレーキ制御のよる速度減速を実行し、衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度が「レベル3」である場合には、ハンドル制御による衝突回避を実行する。
【0041】
画像認識装置20の前処理部21は、撮像装置11(例えば、単眼カメラやステレオカメラなど)から入力される入力画像に前処理を行う処理部であり、フィルタ部21aと輪郭抽出部21bとから構成される。このうち、フィルタ部21aは、画像内に映し出された物体の輪郭を強調するための前処理(例えば、シャープネス、コントラスト調整、彩度調整)を行う手段である。また、輪郭抽出部21bは、フィルタ部21aによって施されたフィルタリングに基づいて、画像内の物体の輪郭を抽出する手段である。
【0042】
画像認識装置20の記憶部22は、制御部23による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、基準データ記憶部22aおよび判定テーブル22bを備える。
【0043】
基準データ記憶部22aは、後述する路面標示認識部23cの路面標示認識処理に関する各種の情報を記憶する手段であり、具体的には、画像内に映し出される路面標示を俯瞰した状態で得られる形状の特徴を、サンプルとして採取した俯瞰画像から抽出して生成した基準データを記憶して構成される。
【0044】
判定テーブル22bは、後に詳述する衝突危険度判定部23eにおける衝突危険度判定処理に用いられる判定テーブルを記憶する記憶手段である。具体的には、図4に例示するように、後に詳述する歩行者認識部23dから「歩行者である」という認識結果を受け付けていない場合には危険度「0」、一方、歩行者認識部23dから「歩行者である」という認識結果を受け付けている場合には、歩行者までの距離「30m以上」では危険度「レベル1」、距離「10〜30m」で危険度「レベル2」、距離「10m未満」では危険度「レベル3」とするように規定して構成される。
【0045】
制御部(マイコン)23は、所定の制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部(マイコン)であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、白線認識部23aと、画像制御部23bと、路面標示認識部23cと、歩行者認識部23dと、衝突危険度判定部23eとを備える。
【0046】
このうち、白線認識部23aは、撮像装置10(例えば、単眼カメラやステレオカメラなど)から入力される入力画像から白線(例えば、中央線や外側線などの白線)を認識する処理部であり、認識結果を画像制御部23bへ出力する。
【0047】
画像制御部23bは、撮像装置10(例えば、単眼カメラやステレオカメラなど)から入力される入力画像に所定の処理を行う処理部であり、具体的には、白線認識部23aから受け付けた認識結果に基づいて、入力画像内の白線位置を特定するとともに、白線との位置関係から入力画像内の路面領域を切出した後、道路に対応する基準データに基づいて路面領域内で道路以外の領域を特定し、道路以外の領域を特定した入力画像を俯瞰した状態に画像変換する。そして、画像制御部23bは、俯瞰画像を路面標示認識部23cへ出力する。
【0048】
ここで、座標変換の原理について簡単に説明すると、図5に例示するように、車載の撮像装置11から入力される入力画像は、実空間の原図における所定の座標を投影面に射影変換にすることにより得られた画像である。従い、入力画像内の所定の座標を逆変換することにより、実空間の原図を俯瞰した状態の俯瞰図(俯瞰画像)を得ることができる。
【0049】
すなわち、例えば、実空間の原図と投影面が平行でない場合、原図の座標(x,y)は投影面において次の式に示す座標(x’,y’)に変換されるが、この式の逆変換を行うことにより俯瞰画像を得ることができる。
【0050】
x’=fx/z=fx/(a0x+b0y+c0
【0051】
y’=fy/z=fy/(a0x+b0y+c0
【0052】
路面表示認識部23cは、画像制御部23bから受け付けた俯瞰画像について、路面表示(路面上の記号や模様)の認識を行う処理部であり、具体的には、基準データ記憶部22aに記憶されている基準データを読み出して、基準データの特徴と所定の照合度が得られるものが俯瞰画像内にある場合には、それを路面標示として認識する。そして、路面標示認識部23cは認識結果を歩行者認識部23dへ出力する。
【0053】
歩行者認識部23dは、路面標示認識部23cから受け付けた認識結果に応じて、俯瞰画像内から歩行者認識の対象となる候補領域を特定し、歩行者認識を行う処理部である。具体的には、俯瞰画像内で路面標示(路面上の記号や模様)と認識されなかった路面標示以外の領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定するとともに、俯瞰画像で特定した候補領域に対応する元の画像(俯瞰画像に変換する前の入力画像)内の領域について歩行者認識を行う。なお、歩行者認識については、パターンマッチングやニューラルネットワークなどの手法を用いて行う。そして、歩行者認識部23dは、認識結果を衝突危険度判定部23eへ出力する。
【0054】
衝突危険度判定部23eは、歩行者認識部23dから受け付けた認識結果等に基づいて、衝突危険度を判定する処理部である。具体的には、衝突危険度判定部23eは、歩行者認識部23dから認識結果を受け付けると、判定テーブル22bから衝突危険度判定テーブル(図4参照)を読み出す。また、歩行者認識部23dから「歩行者である」という認識結果を受け付けた場合には、衝突危険度判定部23eは、レーダ部13に歩行者までの距離を測定するように指令する。そして、衝突危険度判定部23eは、歩行者認識部23dから受け付けた「歩行者である」という認識結果およびレーダ部13から得た歩行者までの距離情報を衝突危険度判定テーブルにあてはめて衝突危険度(例えば、「レベル1」、「レベル2」など)を判定し、報知制御部15および車両制御部16に判定結果を出力する。
【0055】
[画像制御装置のマイコン(制御部)および車両制御装置による処理(実施例1)]
続いて、図6を用いて、実施例1に係る画像制御装置のマイコン(制御部)および車両制御装置による処理を説明する。図6は、実施例1に係る画像制御装置のマイコン(制御部)および車両制御装置による処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下に説明する処理は、画像が所定の画像フレーム(例えば、1フレーム)入力されるたびに繰り返し実行される。
【0056】
同図に示すように、撮像装置11から画像が入力されると(ステップS601肯定)、白線認識部23aは、入力画像から白線(例えば、中央線や外側線などの白線)を認識すし(ステップS602)、認識結果を画像制御部23bへ出力する。
【0057】
続いて、画像制御部23bは、白線認識部23aから受け付けた認識結果に基づいて、入力画像内の白線位置を特定するとともに、白線との位置関係から入力画像内の路面領域を切出す(ステップS603)。次に、画像制御部23bは、道路に対応する基準データに基づいて路面領域内で道路以外の領域を特定し(ステップS604)、道路以外の領域を特定した入力画像を俯瞰した状態に画像変換する(ステップS605)。そして、画像制御部23bは、俯瞰画像を路面標示認識部23cへ出力する。
【0058】
画像制御部23bから俯瞰画像を受け付けた路面標示認識部23cは、路面標示認識処理を行う(ステップS606)。具体的には、基準データ記憶部22aに記憶されている基準データを読み出して、基準データの特徴と所定の照合度が得られるものが俯瞰画像内にある場合には、それを路面標示として認識する。そして、路面標示認識部23cは認識結果を歩行者認識部23dへ出力する。
【0059】
続いて、歩行者認識部23dは、路面標示認識部23cから受け付けた認識結果に応じて、俯瞰画像内から歩行者認識の候補領域を特定する(ステップS607)。具体的には、俯瞰画像内で路面標示(路面上の記号や模様)と認識されなかった路面標示以外の領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定する。
【0060】
次に、歩行者認識部23dは、俯瞰画像で特定した候補領域に対応する元の画像(俯瞰画像に変換する前の入力画像)内の領域について歩行者認識を行う(ステップS608)。なお、歩行者認識については、パターンマッチングやニューラルネットワークなどの手法を用いて行う。そして、歩行者認識部23dは、認識結果を衝突危険度判定部23eへ出力する。
【0061】
そして、衝突危険度判定部23eは、歩行者認識部23dから受け付けた認識結果等に基づいて、衝突危険度の判定を行う(ステップS609)。
【0062】
具体的には、衝突危険度判定部23eは、歩行者認識部23dから認識結果を受け付けると、判定テーブル22bから衝突危険度判定テーブル(図4参照)を読み出す。また、歩行者認識部23dから「歩行者である」という認識結果を受け付けた場合には、衝突危険度判定部23eは、レーダ部13に歩行者までの距離を測定するように指令する。そして、衝突危険度判定部23eは、歩行者認識部23dから受け付けた「歩行者である」という認識結果およびレーダ部13から得た歩行者までの距離情報を衝突危険度判定テーブルにあてはめて衝突危険度(例えば、「レベル1」、「レベル2」など)を判定し、報知制御部15および車両制御部16に判定結果を出力する。
【0063】
衝突危険度判定部23eから衝突危険度の判定結果を受け付けると、報知制御部15および車両制御部16は、その判定結果に応じて報知制御および車両走行制御をそれぞれ行う(ステップS610)。
【0064】
具体的には、報知制御部15は、例えば、内部的に保持する処理制御テーブル(図3参照)に基づいて、衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度が「レベル1」である場合には、車内通知部14に対して歩行者の存在を示す画像の出力を指令する。
【0065】
同様に、車両制御部16は、例えば、内部的に保持する処理制御テーブル(図3参照)に基づいて、衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度が「レベル2」である場合には、ブレーキ制御のよる速度減速を実行し、衝突危険度判定部23eから受け付けた衝突危険度が「レベル3」である場合には、ハンドル制御による衝突回避を実行する。
【0066】
[実施例1に効果]
上述してきたように、実施例1によれば、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶するとともに、この基準データに基づいて、撮影された画像を俯瞰した状態に変換した俯瞰画像内の路面標示を認識するので、車載のカメラの撮影方向や撮影角度に左右されることなく、画像内に映し出される路面標示(路面上に描かれた模様や記号など)を精度よく認識することが可能である。
【0067】
また、実施例1によれば、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶するとともに、この基準データに基づいて、撮影された画像を俯瞰した状態に変換した俯瞰画像内の路面標示を認識し、さらに、俯瞰画像内から、路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、俯瞰画像に変更される前の元画像内の候補領域に対応する領域について歩行者認識を行うので、画像内から判別の対象となる歩行者が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の歩行者認識精度を向上させることが可能である。
【0068】
また、実施例1によれば、車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶するとともに、この基準データに基づいて、撮影された画像を俯瞰した状態に変換した俯瞰画像内の路面標示を認識し、さらに、俯瞰画像内から、路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、俯瞰画像に変更される前の元画像内の候補領域に対応する領域について歩行者認識を行って、その結果歩行者を認識した場合には報知制御または車両制御を行うので、車載のカメラで撮影された画像内の歩行者認識精度を向上させることができる結果、適切な報知制御や車両制御を行うことができ、車両走行の障害となる物体との衝突を回避すること等が可能である。
【0069】
また、上記の実施例1において、路面標示認識部23cによる路面標示認識の結果に応じて、歩行者認識部23dは、俯瞰画像内から歩行者認識の対象となる候補領域を特定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、背景差分(フレーム間差分)法によって候補領域を特定するようにしてもよい。例えば、1フレーム前の画像および現フレームの画像をそれぞれ俯瞰画像に変換するとともに、場合によっては、回転補正を施しておいて、1フレーム前の画像と現フレームとの差分をとり、差分が検出された領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定する。
【0070】
これにより、背景差分法などによっても、画像内から判別の対象となる物体(例えば、歩行者)が存在する蓋然性のある候補領域を予め精度よく特定することが可能である。
【0071】
また、上記の実施例1では、路面標示認識部23cから受け付けた認識結果に応じて、俯瞰画像内から歩行者認識の対象となる候補領域を特定し、歩行者認識を行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、俯瞰画像内で特定されて候補領域について、車両走行に影響を与える歩行者以外の物体(例えば、車両、犬や猫などの動物、樹木など)に関する認識を行うようにしてもよい。
【0072】
このようなことから、画像内から判別の対象となる物体(例えば、歩行者や歩行者以外の車両、犬や猫などの動物、樹木など)が存在する蓋然性の高い候補領域を予め精度よく特定することができ、車載のカメラで撮影された画像内の物体の認識精度を向上させることが可能である。
【0073】
また、上記の実施例1において、路面標示認識部23cは、基準データ記憶部22aに記憶されている基準データの特徴と所定の照合度が得られるものが俯瞰画像内にある場合には、それを路面標示として認識する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
例えば、路面標示の俯瞰形状に基準データに対応するパターンを予め生成しておいて、パターンマッチングにより路面標示を認識するようにしてもよいし、あるいは、路面標示の俯瞰形状に基準データに対応するデータを予め学習させておいて、ニューラルネットワークにより路面標示を認識するようにしてもよい。
【0075】
これによれば、路面標示の俯瞰形状に対応するパターンを生成し、俯瞰画像について路面標示認識をすることで、カメラの取付け位置や取付け角度の影響により同一の路面形状であっても異なって見えるため用意せざるを得なかったパターンの数を大幅に削減することができ、あるいは、学習の負荷を軽減することができることから、装置負荷を軽減することが可能であるとともに、路面標示を精度よく認識することが可能である。
【0076】
また、上記の実施例1では、路面標示の俯瞰形状に基準データをあらかじめ所持することにより、路面領域内の路面標示を認識する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、路面標示を含む道路の俯瞰形状についての基準データを生成して予め所持し、この基準データに基づいて入力画像を俯瞰した俯瞰画像について道路および路面標示の認識を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0077】
ところで、上記の実施例1の車両制御装置の画像制御部23bにおいて俯瞰した状態に変換された俯瞰画像に、車両進行方向と一致するように回転補正を施してから路面標示認識をおこなうようにしてもよい。そこで、以下では、実施例2に係る画像認識装置の概要および特徴、実施例2に係る画像認識装置の構成および処理を順に説明し、最後に実施例2による効果を説明する。
【0078】
[画像認識装置の概要および特徴(実施例2)]
まず最初に、図7を用いて、実施例2に係る画像認識装置の概要および特徴を説明する。図7は、実施例2に係る画像認識装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0079】
実施例2は、上記の実施例1と同様に、車両走行の障害となる物体との衝突を回避すること等を目的として、車載のカメラによって撮影された画像の画像認識を行うことを概要とするが、画像内に映し出される路面標示をより精度よく認識する点に主たる特徴がある。
【0080】
この主たる特徴について具体的に説明すると、実施例2は、図7に示すように、カメラで撮影された入力画像内の白線(例えば、路面にペイントされた中央線など)を認識して、路面領域の切出しを行うとともに、俯瞰した状態の俯瞰画像に変換するが、さらに、俯瞰画像に対して車両進行方向と一致するように回転補正を施す。
【0081】
具体的には、例えば、俯瞰画像内で認識した白線を俯瞰画像を回転するための基準とする回転基準対象として採用し、回転基準対象として採用された白線を回転させることで、俯瞰画像を車両進行方向と一致させるように回転補正する。
【0082】
そして、実施例2に係る車両制御装置は、記憶している基準データに基づいて、俯瞰画像を回転補正した回転補正画像内の路面標示認識を行う。
【0083】
このようなことから、実施例2に係る車両制御装置は、上述した主たる特徴の如く、車両が斜めに走行する場合(例えば、道路を斜めに横切って走行する場合)などに撮影した画像内に映し出されている路面標示を認識しやすいように、俯瞰画像を回転補正して対応することができ、画像内に映し出される路面標示をより精度よく認識することが可能である。
【0084】
[画像認識装置の構成(実施例2)]
次に、上記の実施例1と同様に、図2を用いて、実施例2に係る画像認識装置の構成を説明する。実施例2に係る画像認識装置は、実施例1に係る車両制御装置と基本的には同様の構成であるが、以下に説明する点が異なる。
【0085】
すなわち、画像認識装置20の画像制御部23bは、白線認識部23aから受け付けた認識結果に基づいて、入力画像内の白線位置を特定するとともに、白線との位置関係から入力画像内の路面領域を切出した後、道路に対応する基準データに基づいて路面領域内で道路以外の領域を特定し、道路以外の領域を特定した入力画像を俯瞰した状態に画像変換するだけでなく、さらに、俯瞰画像に対して車両進行方向と一致するように回転補正を行う。
【0086】
具体的には、画像制御部23bは、白線認識部23aの認識結果に基づいて俯瞰画像内で特定した白線を、俯瞰画像を回転するための基準とする回転基準対象として採用し、回転基準対象として採用された白線を回転させることで、俯瞰画像を車両進行方向と一致させるように回転補正する。そして、画像制御部23bは、回転補正後の画像を路面標示認識部23cへ出力する。
【0087】
[画像認識装置による処理(実施例2)]
続いて、図8を用いて、実施例2に係る画像認識装置の制御部(マイコン)による処理を説明する。図8は、実施例2に係る画像認識装置の制御部(マイコン)による処理の流れを示すフローチャートである。なお、ステップS801からステップS805までの処理、およびステップS807の処理は、上記の実施例1で図6を用いて説明したS601からステップS606までの処理と同様の処理であるので説明を省略し、以下では、ステップS806の処理について説明する。
【0088】
同図に示すように、白線認識部23aから受け付けた認識結果に基づいて、入力画像内の白線位置を特定するとともに、白線との位置関係から入力画像内の路面領域を切出した後、道路に対応する基準データに基づいて路面領域内で道路以外の領域を特定し、道路以外の領域を特定した入力画像を俯瞰した状態に画像変換した俯瞰画像について、画像制御部23bは、車両進行方向と一致するように回転補正を行う(ステップS806)。
【0089】
具体的には、画像制御部23bは、白線認識部23aの認識結果に基づいて俯瞰画像内で特定した白線を、俯瞰画像を回転するための基準とする回転基準対象として採用し、回転基準対象として採用された白線を回転させることで、俯瞰画像を車両進行方向と一致させるように回転補正する。そして、画像制御部23bは、回転補正後の画像を路面標示認識部23cへ出力し、路面標示認識部23cは、回転補正後の画像について路面標示認識を行う(ステップS807)。
【0090】
[実施例2の効果]
上述してきたように、実施例2によれば、俯瞰画像を回転するための基準とする回転基準対象を路面標示の中から検出し(例えば、中央線や外側線などの白線などを検出し)、回転基準対象として検出された路面標示を回転させることで、俯瞰画像を車両進行方向と一致させるように回転補正するので、車両が斜めに走行する場合(例えば、道路を斜めに横切って走行する場合)などに撮影した画像内に映し出されている路面標示を認識しやすいように、俯瞰画像を回転補正して対応することができ、画像内に映し出される路面標示をより精度よく認識することが可能である。
【実施例3】
【0091】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0092】
(1)コントラスト調整
上記の実施例おいて、画像内に映し出されている路面標示と路面との輝度差が所定の値となるように調整する(つまり、中央線や外側線などの白線などを基準として、路面上に描かれた模様や記号などの路面標示が明瞭となるように調整する)ようにしてもよい。
【0093】
これにより、例えば、路面標示のペイントの濃さや天候等の影響を緩和することができる結果、路面標示をより精度よく認識することが可能である。
【0094】
(2)路面標示認識結果に基づく報知制御や車両制御
なお、上記の実施例1において、路面標示認識を行う際に、その内容(例えば、一時停止や制限速度など)について把握するようにして、例えば、路面標示の内容が一時停止であると認識した場合には、間もなく一時停止であることを運転者に音声などで報知するとともに、ブレーキによる速度減速を行うようにしてもよい。
【0095】
(3)装置構成等
また、図2および図8に示した車両制御装置10の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、車両制御装置10装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、例えば、白線認識部23aと画像制御部23bと路面標示認識部23cとを統合し、あるいは、画像制御23bに備えられた画像変換機能と回転補正機能とを分散するなど、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、車両制御装置10にて行なわれる各処理機能(画像変換機能、路面標示認識機能、回転補正機能および歩行者認識機能)は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、本発明に係る画像認識装置、画像認識方法、歩行者認識装置および車両制御装置は、車両走行の障害となる物体との衝突を回避すること等を目的として、車載のカメラによって撮影された画像の画像認識を行う場合に有用であり、特に、画像内に映し出される路面上に描かれた模様や記号などの路面標示を精度よく認識することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1に係る概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る画像認識装置および車両制御装置を搭載する車両の構成を示すブロック図である。
【図3】処理制御テーブルの構成例を示す図である。
【図4】衝突危険度判定テーブルの構成例を示す図である。
【図5】座標変換の原理を説明するための図である。
【図6】実施例1に係る実施例1に係る画像制御装置のマイコン(制御部)および車両制御装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施例2に係る画像認識装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図8】実施例2に係る画像制御装置のマイコン(制御部)による処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
10 車両制御装置
11 撮像装置
12 ナビ部
13 レーダ部
14 車内通知部
15 報知制御部
16 車両制御部
17 ハンドル
18 ブレーキ
20 画像認識装置
21 前処理部
21a フィルタ部
21b 輪郭抽出部
22 記憶部
22a 基準データ記憶部
22b 判定テーブル
23 制御部(マイコン)
23a 白線認識部
23b 画像制御部
23c 路面標示認識部
23d 歩行者認識部
23e 衝突危険度判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶手段と、
前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換手段と、
前記基準データ記憶手段により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識手段と、
を備えたことを特徴とする画像認識装置。
【請求項2】
前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、当該俯瞰画像を回転するための基準とする回転基準対象を前記路面標示の中から検出する回転基準対象検出手段と、
前記回転基準対象検出手段により前記回転基準対象として検出された路面標示を回転させることで、前記俯瞰画像を車両進行方向と一致させるように回転補正する回転補正手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像認識装置。
【請求項3】
前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、前記路面標示認識手段により路面標示と認識されなかった領域を物体認識の対象となる候補領域として特定し、当該画像変換手段により俯瞰画像に変更される前の元画像内の当該候補領域に対応する領域について物体認識を行う物体認識手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像認識装置。
【請求項4】
前記画像内に映し出されている路面標示と路面との輝度差が所定の値となるように調整する輝度調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像認識装置。
【請求項5】
車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶工程と、
前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換工程と、
前記基準データ記憶工程により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換工程により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識工程と、
を含んだことを特徴とする画像認識方法。
【請求項6】
車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶手段と、
前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換手段と、
前記基準データ記憶手段により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識手段と、
前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、前記路面標示認識手段により路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、当該画像変換手段により俯瞰画像に変更される前の元画像内において、当該候補領域に対応する領域に歩行者認識を行う歩行者認識手段と、
を備えたことを特徴とする歩行者認識装置。
【請求項7】
車載のカメラで撮影された画像内に映し出される路面標示の俯瞰形状に対応する基準データを記憶する基準データ記憶手段と、
前記画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する画像変換手段と、
前記基準データ記憶手段により記憶されている前記基準データに基づいて、前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内の路面標示を認識する路面標示認識手段と、
前記画像変換手段により得られる前記俯瞰画像内から、前記路面標示認識手段により路面標示と認識されなかった領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定し、当該画像変換手段により俯瞰画像に変更される前の元画像内において、当該候補領域に対応する領域に歩行者認識を行う歩行者認識手段と、
前記歩行者認識手段により歩行者が認識された場合に、運転者に注意または警告を報知する報知制御、および/または車両の走行状態を制御する車両制御を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項8】
道路を含む入力画像を俯瞰した状態の俯瞰画像に変換する変換手段と、
予め路面標示が俯瞰化された基準データと前記俯瞰画像との比較結果に基づいて、当該俯瞰画像内から当該路面標示以外の領域を歩行者認識の対象となる候補領域として特定する特定手段と、
を備えたことを特徴とする歩行者認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−34981(P2008−34981A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203826(P2006−203826)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】