説明

発泡体充填乗物用中空部材の製造方法

【課題】乗物用中空部材内に硬質発泡体を挿入して容易かつ精確に位置決めする方法の提供。
【解決手段】(a)熱活性化発泡性接着剤を有し、かつ硬質発泡体の表面から伸びる少なくとも一つの一体型位置決めピンを有する硬質発泡体を含む硬質発泡体挿入体を、その位置決めピンが中空部材の孔中に押し入って硬質発泡体挿入体が中空部材内に位置決めかつ保持されるように構成された、少なくとも一つの孔を有する乗物用中空部材中に挿入し、そして
(b)内部に硬質発泡体挿入体を有する中空部分を熱活性化発泡性接着剤を活性化するのに充分な温度及び時間加熱して発泡体を充填した乗物用中空部材を生成せしめることを含んでなり、発泡体充填中空部材が、工程(b)の前に、発泡体挿入体の壁及び乗物用中空部材の壁によって規定される一時的なドレインチャンネルを有する、発泡体充填乗物用中空部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車のフレームレールや柱のような乗物の構造部材の構造的一体性を改良し又は音を鈍らせる軽量化挿入体を含む発泡体充填乗物用中空部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の減量化はますます緊急の燃料経済及び環境基準に合致させることであり、そして引続き重要になって来ている。自動車は更に静かにそして安全になることがずっと期待されている。これらの相いれない望みを満たすために、自動車エンジニアは主としてノイズを減らすために発泡体(音響発泡体)を乗物のキャビティに注入してきた。これらの発泡体は、一般に構造部材を形成した後にその部材の中空域に導入される。この発泡性材料を挿入することによっても導入され、そして次に例えばE−コーティングの間に発泡性材料を発泡させる。
【0003】
発泡体は各乗物毎の中空構造部材の或る領域に正確に位置させ、含ませることが難しいので、例えば構造部材の剛性を改良するのには使用されていない。この発泡体がどこに、そしてキャビティをどの程度充しているかを正確に知ることができないことによって、各自動車毎の安全価値の非予測性及び変動性につながる。例えば構造部材中に設計されたクラッシュゾーンは不所望の発泡体を含むことになり、それによって事故の際に乗物に乗っている人に過剰のエネルギーを与えたり、一方キャビティを充分に満たしていない発泡体も同様の問題を起す。
【0004】
前記非制御的発泡及びキャビティの充填は発泡体の逸散や、他の部分又は部品(part)の取付孔のような機能孔の詰りなどの問題も生じる。別の問題は発泡体を製造プロセスにおいて挿入し、後にE−コーティング中に熱をかけて発泡させる場合には、発泡体がキャビティを作るのに使用される溶接プロセスによって発泡することである。
【0005】
発泡体を乗物の中空部材中に導入する方法の例は特許文献1によって記載されている。この特許文献1には熱可塑性体中にカプセル封入されたポリウレタン反応体のシェルを有する発泡体のコアが記載されている(熱発泡性シェル)。このシェルは、例えば浸漬コーティング中におけるような十分な熱の適用によって発泡する。コアは、コアから伸び出る結合部材を有する中空部材(例えば断面が「C」に似たビーム)の一部に導入される。
【0006】
特許文献2には発泡体を導入する方法を記載しており、発泡性材料が中空部材の壁面を通して伸びる着脱可能なプラグによって中空部材中に位置される。発泡性材料がE−コーティング中に発泡した後に、プラグは除去する。特許文献3には、発泡体全体中にドレインチャンネルを有する発泡体を導入する方法を記載している。これらの先行技術の各方法は、中空部材中に発泡体を正確に位置させて配置することの問題については着目していない。更に、これらの先行技術は中空部材に他の部品を配置するのに使用される中空部材中の孔を発泡体で閉塞という問題については言及しておらず、或いは中空部材中に発泡体を導入した後に使用し得るワイヤのような通路を残すことについても言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5194199号
【特許文献2】米国特許第5678826号
【特許文献3】欧州出願公開第0999119号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、前述の従来技術の問題点の一つのような問題の一つ又はそれ以上を解決する、乗物の中空部材内に発泡体を導入する方法を提供することは望ましい。また、前述の従来技術の問題点のような問題の一つ又はそれ以上を解決する方法を提供するのを助ける発泡挿入体を提供するのも望ましい。
【0009】
本発明の目的は、これらに限定するわけではないが、(1)乗物の中空部材内に硬質発泡体を、発泡体が中空部材内に精確に位置決めされるように、挿入する方法、(2)中空部材内の発泡体の存在を容易に決定する方法、(3)中空部材中に容易に挿入することができ、次いでE−コーティング加熱中に中空部材に結合される予備発泡挿入体(但し、中空部材の形成(例えば溶接)中に接着的に結合されない)、(4)中空部材の壁にある機能孔を閉塞することなく中空部材中に発泡体を挿入する方法、そして(5)E−コーティングの排液(drainage)に対して使用することができ、また他の乗物のハードウェア(例えばブレーキライン又はワイヤー)を配設する導管として使用することができる中空部材の壁と発泡体との間のチャンネル(溝)の形成方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従えば、(a)硬質発泡体部分挿入体であって、該硬質発泡体挿入体の少なくとも一部上に熱活性化発泡性接着剤を有し、かつ硬質発泡体の表面から伸びる少なくとも一つの一体型位置決めピンを有する硬質発泡体を含んでなる硬質発泡体挿入体を、その位置決めピンが中空部材の孔中に押し入って硬質発泡体挿入体が中空部材内に位置決めかつ保持されるように構成された、少なくとも一つの孔を有する乗物用中空部材中に挿入し、そして
(b)内部に硬質発泡体挿入体を有する中空部分を熱活性化発泡性接着剤を活性化するのに充分な温度及び時間加熱して発泡体を充填した乗物用中空部材を生成せしめることを含んでなり、発泡体充填中空部材が、工程(b)の前に、発泡体挿入体の壁及び乗物用中空部材の壁によって規定される一時的なドレインチャンネルを有する、
発泡体充填乗物用中空部材の製造方法が提供される。
【0011】
本発明に従えば、また、造形した硬質発泡体部分(部品);造形した硬質発泡体の外側表面の少なくとも一部に直接適用した熱活性化発泡性接着剤;及び一体型位置決め手段(以下、定位手段ということがある。)を含んでなり、該一体型位置決め手段が硬質発泡体部分の造形くぼみ又は突起であり;第二の部分が硬質発泡体部分に部分的に成型され、その第二の部分も前記部分から突起し、そして中空部材の正しい位置に硬質発泡体部分を位置決めするのに適している物品が提供される。
【0012】
本発明に従えば、また、a)前記硬質発泡体部分(部品)を中空部材中に挿入し、
b)硬質発泡体部分の位置決め手段を中空部材と係り合わせて硬質発泡体部分を中空部材中に位置決めし、そして
c)内部に硬質発泡体部分を有する中空部分を熱活性化発泡性(又は膨張性)接着剤を活性化するのに充分な温度及び時間加熱して発泡体を充填した乗物用中空部材を生成せしめる発泡体充填乗物用中空部材の製造方法が提供される。
【0013】
本発明は、乗物の中空部材内への硬質発泡体の精確な挿入を可能にし、一方では中空部材内に存在する発泡体の生成(即ちピンの観察)を一層容易に決定できるようにする。本発明の方法は、乗用車のフレームレールのような乗物の構造体を形成するのに特に有用である。例えば、自動車のフレームレールは、通常、事故のエネルギーを散逸させて乗員を保護するように圧潰ゾーン(crush zone)を作る弱少化区画を有しているのが極めて一般的である。フレームレールはまた伝動装置(トランスミッション)のような自動車の部品を支持する。本発明の方法はポリウレタンフォームのような発泡体を、圧潰ゾーンを傷つけることなく、又はエンジンやトランスミッションのような他の成分用の取付孔塞ぐことなく、フレームレール中に選択的に導入することができる。この方法はまた乗物の他の成分、例えばロッカーパネル、ビーム、ピラー(柱)、クロスバー及びボデーマウントなどを作るのにも有用である。この方法はまた他の用途、例えば運動器具、ボート、自転車、エアークラフト、トラック及び電車などにも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】中空部材を囲む前の挿入体を有する乗物の中空部材の断面図である。
【図2】中空部材を囲んだ後の、但し熱膨張性接着剤の膨張前の、挿入体を有する乗物の中空部材の断面図である。
【図3】熱膨張性接着剤が膨張した後の挿入体を有する乗物の中空部材の断面図である。
【図4】本発明の挿入体の別の態様を示す。
【図5】反対側からみた図4に示された挿入体の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で用いる中空部材(hollow member)は、自動車のような装置の部品(parts)によって形成される空のキャビティを意味し、このキャビティは典型的には周囲を囲まれている。この装置は中空部材の位置の点で構造的弱さを示す。造形発泡体物品上の接着剤の位置について少なくとも一部とは造形発泡体物品がその外側表面の或る部分又は全部に接着剤を有することをいう。一体型定位手段はその位置に造形部分を位置決めし保持する手段であり、定位手段が造形部分中に一体化されている場所をいう。一体型定位手段は、造形部分(部品)を形成するのに使用した発泡体から作られた、造形くぼみ又は突起とすることができる。或いは一体型定位手段は別の材料とすることができ、定位手段の一部は造形発泡体部分に成型することができ、又は一体型定位手段をその位置に永久的に固定するように永久的に固定後成型することができる。一体型定位手段はパーツをその所定の位置に溶接するのに使用される金属タブ、パーツをその位置に保持するように設計されたねじを受けるように適合されたねじ切りされた挿入体とすることができる。一体型定位手段は硬質発泡体部分に成型された任意の部品とすることができ、その部品の外側の部分は部品を、例えばスナップフィットクリップ又はクリップのようなその場所に機械的に保持するのに適した機械的固定手段を有する。機械的固定手段は、部品をその正しい位置に固定するのに使用されるスナップフィットクリップ、ボルト、スクリューなどのような任意の公知の機械的デバイスである。一体型定位手段のすべて又は一部は磁石(マグネット)とすることができる。一体型定位手段はその外側部分に感圧接着材を有する成型部品とすることもできる。
【0016】
一つの態様において、一体型定位手段は硬質発泡体の表面から伸びる位置決めピンである。この位置決めピンは硬質発泡挿入体に成型された部分を有することができ、また硬質発泡挿入体を作る際に硬質発泡体から形成することができる。好ましくは、中空部材は嵌め合せ位置決め孔を有し、位置決めピンが硬質発泡挿入体を所定の位置に固定する。硬質発泡挿入体を中空部材に配置する場合に、位置決めピンを、硬質発泡体を所定の位置に配置させる目的で、位置決め孔に挿入する。
【0017】
本明細書で使用する用語「係合(engaging)」は、定位手段を用いて硬質発泡挿入体を中空部材の所定の位置に配置することをいう。好ましい態様においては、定位手段は、硬質発泡挿入体を所定位置に、永久的に又は発泡性接着剤が膨張して中空部材の壁面に達して硬質発泡挿入体を所定の位置に保持するようになるまで、保持する。係合は一体型定位手段を適用して硬質発泡挿入体を所定の位置に保持することを意味することもできる。これは、金属タブを中空部材に溶接することによって、感圧性接着剤又は磁石を有する定位手段を所定の位置に配置して接着剤又は磁石が中空部材と接触させることによって、又は中空部材の適切な位置に機械的取付手段を適用して硬質発泡挿入体を所定の位置に保持することによって達成することができる。一体型定位手段がねじ(スクリュー)用のねじ切りされた受け部(receptacle)である場合には、外側のねじを係合させることができる。本明細書で使用する「造形(shaped)」は中空部材中に適合するのに適した三次元形を有することを意味する。一体型定位手段に使用される「一体型(integral)」は定位手段が発泡挿入体に単に一時的に取付けられることを意味するのではなく、それを取り外した時に、定位手段が破壊されるか又は挿入発泡体が損傷を受けるような形態で取付けられることを意味する。一般的には、定位手段が挿入発泡体の連続部分となるか、その部品が挿入発泡体に成型されるか、又は挿入発泡体に接着剤で接着されることを意味する。
【0018】
好ましい態様において、本発明は、
(a)硬質発泡挿入体の少なくとも一部の上に熱活性化発泡接着剤を有する、硬質発泡体及びその硬質発泡体の表面から伸びる少なくとも一つの一体型位置決めピンからなる硬質発泡挿入体を、少なくとも一つの孔を有する乗物用中空部材中に、挿入によって挿入体の位置決めピンが中空部材内の孔にスラストされて、硬質発泡挿入体が中空部材内に位置しかつ保持されるように、挿入し、そして
(b)硬質発泡挿入体を有する中空部材を熱活性化膨張性接着剤を活性化するのに十分な温度及び時間の条件で加熱することを含む発泡体を充填した乗物用中空部材の形成方法である。
【0019】
好ましい態様において、本発明は、
a)硬質発泡体部品の少なくとも一部の上に熱活性化発泡性接着剤を有する造形硬質発泡体及びその硬質発泡体部品の表面から伸びる少なくとも一つの一体型定位手段を含む造形硬質発泡部品を挿入し、
b)硬質発泡体部品の定位手段を中空部材と係り合せて中空部材に硬質発泡挿入体を位置決めし、そして
c)硬質発泡体部品を有する中空部材を、熱活性化膨張性接着剤を活性化するのに十分な温度及び時間の条件に加熱して発泡体を充填した乗物用中空部材を形成せしめる
ことを含む発泡体を充填した乗物用中空部材の形成方法にある。
【0020】
好ましい態様において、本発明は前記定位手段がスクリューを受けるのに適合したねじを有する成型挿入体であり、硬質発泡挿入体を中空部材の孔を通してスクリューを挿入し、スクリューをねじ切りされた挿入体中にねじ止めすることによって、中空部材と係合させる方法である。
【0021】
好ましい態様において、本発明は定位手段が金属タブであり、そして硬質発泡を、金属タブを中空部材に溶接又はリベット打ちすることによって、中空部材に係り合させる方法である。
【0022】
図1〜3は、本発明の具体的態様を示し、本発明の範囲を限定するものではない。図1の具体的な態様に関し、発泡体充填の乗物用部材5は、硬質発泡挿入体10を、位置決め孔21及び取付孔22を有する金属壁20によって、キャビティ中に挿入することによって形成される。硬質発泡挿入体10はその上に熱活性化接着剤30を有する。硬質コアは硬質発泡挿入体10の表面100から伸びる少なくとも一つの一体型位置決めピン40を有している。この位置決めピン40は、ベース表面60を有する位置決めベース50及び孔21から伸びる位置決め小尖70を有する、位置決めベース50を含むことができる。発泡挿入体10は、加熱及び膨張性接着剤30の膨張による膨張性接着剤30の詰りから取付孔22を保護する接着性ダム90も有している。充填部材5は接着性ダム120発泡体、表面130及び金属壁20によって規定される導管110も有する。充填部材はその上に接着剤30を有する発泡体表面150及び金属壁20によって規定される一時的なドレインチャンネル140を有することもできる。
【0023】
発泡挿入体10の金属壁20によって規定される中空部材中への挿入後、図2に示すように、金属壁160を金属壁20の上に置き、そして金属伸長部170及び180で溶接する。溶接に続いて、内部表面190をE−コーティングし、そしてE−コーティングプロセス中の加熱によって、接着剤30が膨張し、図3に示すように、発泡体充填乗物用部材5が形成される。
【0024】
発泡挿入体10の挿入は任意の適当な方法、例えば位置決めピン40が位置決め孔21を通って伸びる限りにおいて、発泡体を手でもって金属壁20によって規定されるキャビティ中に置くことによって達することができる。一体型位置決めピン40は任意の材料製とすることができるが、発泡挿入体10と同じ材料であるのが好ましい。好ましくは、ピン40及び挿入体10はユニットとして同時に形成させるのがよい。ピンは好ましくはベース50及びピン小尖70を有する。このピン40の好ましい態様では、接着剤30は接着剤がベース表面60とレベルが合うような厚さを有するのが望ましい。発泡挿入体10の位置決めを容易にするために、ベース表面60は、膨張性接着剤30の加熱及び膨張の前に、挿入体10を金属壁20に接着させる接着剤をその表面に有するのが好ましい。このベース表面60上の接着剤は発泡挿入体10と金属壁20とを接着させる任意適当な接着剤とすることができる。ピン表面75は金属壁20と区別し得る色に塗装して発泡挿入体10が乗物用部材5の内部にあるか否かを容易に確認できるようにすることができる。
【0025】
一体型位置決めピン40は任意適当な断面形状とすることができる。例えばピンの断面は円形、楕円形、正方形、長方形又はその他の有用な多角形状とすることができる。
【0026】
発泡挿入体10は任意適当な発泡材料とすることができる。発泡材料は、自由に発泡されるのであれば、好ましくは5lb/ft3(80Kg/m3)〜25lb/ft3(400Kg/m3)の密度を有する。選ばれる特定の発泡体は乗物の部材に望まれる性質に依存する。好ましくは、発泡材料はポリウレタン熱硬化性ポリマー発泡体である。しかし、他の構造的充填材料型の材料、例えばエポキシなどの他の熱硬化性及び熱可塑性フィラー、ポリイソシアネート(ポリイソシアヌレート)などのポリウレタンハイブリッド、ポリオレフィン、シンジオタクチック、コンポジット及びその他硬質発泡体なども使用できる。非プラスチック充填材料、例えばアルミニウム発泡体、有機及び非有機(セラミック及び金属)発泡体も使用することができる。
【0027】
発泡挿入体10は、ポリマー硬質又は弾性発泡体の成型のような業界で公知の任意適当な方法によって作ることができる。具体的には、成分は典型的にはポリマー又はモノマー及び発泡剤を含む。好ましい態様の例はA−サイド及びB−サイド(周囲条件下で硬化する)の組合せから製造される発泡体である。例えばA−サイドはイソシアネートプレポリマー又はポリマー状のメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)からなり、B−サイドは種々のポリオール、界面活性剤、触媒及び水から通常なる。発泡体はガラスビーズ、チキソトロピー添加剤及び他の複合繊維のような充填材を含むこともできる。化学的又は物理的発泡剤又はそれらの組合せを使用することができる。例えば米国特許第4923902号及び同第4995545号に記載のように、単一成分発泡系も使用することができる。発泡挿入体も係属中の共願US出願番号09/998,093に記載の方法を用いて製造することができる。
【0028】
発泡性接着剤30は業界で公知の任意適当な接着剤とすることができる。この発泡性接着剤30は例えばE−コーティング前に溶接によって実質的に活性化されないのが望ましい。典型的な発泡性接着剤は、例えばエポキシ樹脂又はエチレン系ポリマーのようなポリマーベースの材料であり、これらは適当な成分(典型的には発泡及び硬化剤)と配合されて、例えばE−コーティング中のような熱の適用によって信頼性がありかつ予測性のある様式で発泡及び硬化する。発泡性接着剤はまた硬化によって架橋し、又は最終形状を達成して、材料を更に流動したり、形状を変化したりしないようになる。他の有用な材料はポリオレフィン、少なくとも1種のモノマー型α−オレフィンとのコポリマー及びターポリマー、フェノール/ホルムアルデヒド材料、フェノキシ材料及びポリウレタン材料(高ガラス転移温度を有する)で、これらは例えば米国特許第5766719号、同第5755486号、同第5575526号及び同第5932680号などに記載されている。発泡性接着剤30は、例えばエポキシ樹脂又はエラストマー接着剤が好ましく、例えばND Industries Inc.(Troy, Michigan)から市販のエチレンプロピレンジアミンモノマー(EPDM)型接着剤、一例としてND700などをあげることができる。
【0029】
膨張性接着剤30は、例えば浸漬、積層、刷毛塗り、ロール塗、共押出、射出成型、オーバーモールディング及びスプレー法などの任意の様式で発泡挿入体の外面に適用することができる。更に、膨張性接着剤30は予じめ成型したり又は個々の片にダイカットしたりして、配置したり又は発泡挿入体10に貼付したりすることができる。
【0030】
発泡挿入体10は取付孔22を保護する接着ダム90を有することもできる。望ましくは、発泡挿入体10上のダムは発泡挿入体10の発泡材料から形成する。これらのダムは、適当な材料を用いて挿入体を形成した後に、別の材料から形成することができ、例えばゆがむことなくかつ膨張性接着剤30をダムで滲み出さないようにして、乗物の製造中に経験する温度に抵抗できる合成プラスチックのような他の材料から形成できる。具体例はナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂及びフェノールホルムアルデヒド樹脂のようなプラスチックを含む。
【0031】
発泡挿入体10はまた導管110及び一時的なチャネル130を含む。これらは、望ましくは、発泡挿入体10に成型されるが、次いで機械的に切断又は取り除かれた部分を形成する。一時的なドレインチャネル130は、例えばE−コーティング中に使用された液体の排出に有用である。導管110は、乗物完成品用の、好ましくは保護された導管として、配線、ガスライン及びブレーキラインなどに有用である。
【0032】
本発明の発泡挿入体は中空部材に配して装置の構造的一体性を改良し、又は中空部材を通る音又は振動の伝達を防止したり、或いはその両方を達することができる。
【0033】
図4及び5は本発明に従った挿入体の別の態様の両側を示す。図4及び5は表面の大きな部分に位置する、接着剤(220)を有する成型挿入体(210)を示す。金属タブ(230)に成型された三つはタブ(230)が挿入体(210)中に成型された位置(240)で示されている。挿入体(210)の第二のセットの位置(250)が示されており、ここでは接着剤が挿入体(210)を覆っていない。金属タブ(230)は挿入体(210)を中空部材の所定の位置に溶接されるのに適合されており、一体型位置決め手段となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)硬質発泡体部分挿入体であって、該硬質発泡体挿入体の少なくとも一部上に熱活性化発泡性接着剤を有し、かつ硬質発泡体の表面から伸びる少なくとも一つの一体型位置決めピンを有する硬質発泡体を含んでなる硬質発泡体挿入体を、その位置決めピンが中空部材の孔中に押し入って硬質発泡体挿入体が中空部材内に位置決めかつ保持されるように構成された、少なくとも一つの孔を有する乗物用中空部材中に挿入し、そして
(b)内部に硬質発泡体挿入体を有する中空部分を熱活性化発泡性接着剤を活性化するのに充分な温度及び時間加熱して発泡体を充填した乗物用中空部材を生成せしめることを含んでなり、発泡体充填中空部材が、工程(b)の前に、発泡体挿入体の壁及び乗物用中空部材の壁によって規定される一時的なドレインチャンネルを有する、
発泡体充填乗物用中空部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−292476(P2009−292476A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217389(P2009−217389)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【分割の表示】特願2003−585955(P2003−585955)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】