説明

目的地案内システム

【課題】RFID技術を利用した目的地の入力設定を前提としながら、入力設定すべき目的地をユーザの自由意志で制御できるようにする。
【解決手段】情報端末101は、RFIDチップとの間でアンテナを介して非接触通信が可能なRFIDリーダにより、携帯電話301等のメディアに設けられたRFIDチップから住所情報を取得し、取得した住所情報をナビゲーション装置に送信する。ナビゲーション装置は、情報端末101から送信された住所情報に基づく位置を目的地として設定し、GPSユニットが取得した現在位置から目的地に至るルートを検索してナビゲーションを実行する。RFIDリーダでの非接触通信の距離範囲をメディアがアンテナにかざされる距離範囲に限るようにすることで、ユーザが意図的にメディアをアンテナに近づけない限り住所情報が読み取られないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーション技術とRFID(Radio Frequency IDentification)技術とを応用した目的地案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近のGPSを利用したナビゲーションシステムは、ルート検索機能を有している。この機能によれば、目的地を入力設定することで現在位置から目的地までのルートを探索することができ、探索したルートをナビゲーションさせることができる。このようなルート検索機能を使用するための目的地の入力設定は、例えばタッチパネル等による手動入力に頼っているのが一般的である。
【0003】
これに対して、特許文献1には、携帯電話が記憶する電話帳データを利用して目的地の入力設定を可能にした技術が記載されている。つまり、携帯電話が記憶する電話帳データが有している電話番号や住所等の情報を、例えば通信ケーブル、携帯電話通信網、Blue Tooth等の通信手段を用いてナビゲーション装置に送信する(特許文献1の段落0033、0034参照)。ナビゲーション装置では、受信した電話帳データを記憶し、電話番号と地点座標とを対応させたデータを使って電話番号から地点座標を取得し、住所と地点座標とを対応させたデータを使って住所から地点座標を取得し、取得した地点座標を地図上に表示する(特許文献1の段落0037〜0039参照)。更に、取得した地点座標を目的地としてルート検索することも特許文献1には記載されている(特許文献1の段落0048)。
【0004】
特許文献1に記載されているような目的地の入力設定手法によれば、本来はナビゲーション装置用ではない携帯電話が記憶する電話帳データを目的地の入力設定用に用いることができるという点で、ユーザが有しているデータ資源の有効利用が図られる。その反面、操作の簡易性という側面から考慮すると、携帯電話上で電話帳データを呼び出し、その中から所望の電話番号や住所等の情報を選択し、選択した情報をナビゲーション装置に送信するという操作が要求され、必ずしも操作が簡易であるとはいえない。ナビゲーション装置上で目的地を入力設定する場合との比較においても、その操作上、特段の優位性があるとは認められない。しかも、特許文献1に記載されているシステムを現実に実施する上では、携帯電話側とナビゲーション装置側との間の規格統一が必要となり、社会システム上の実現可能性の面で疑問が残る。
【0005】
これに対して、特許文献2には、ICカードが有するRFIDチップに住所情報(行き先候補地)を記憶しておき、その住所情報をRFIDリーダで読み取ってナビゲーションシステムに送信するようにした発明が記載されている(特許文献2の段落0022参照)。特許文献2には、住所情報をナビゲーションシステムに送信した結果として、「乗客3がタクシー1に乗車しただけで、乗車場所から目的地までの道順がカーナビゲーションシステム10によって示されるため、運転手2が目的地付近の道路に不案内であっても、安全に目的地まで行くことができる。」と記載されている(特許文献2の段落0022参照)。このような特許文献2に記載されたRFID技術を利用した目的地の入力設定手法を採用すれば、事実上、殆ど何の操作も要求されず、しかも、ICカード側とナビゲーションシステム側との間の規格統一も特に必要ではない。
【0006】
【特許文献1】特開2005−003431公報
【特許文献2】特開平09−128571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載された発明によれば、RFIDチップを備えたICカードを所持する乗客がタクシーに乗っただけで当該RFIDチップが記憶する情報が読み取られる旨記載されている(特許文献1の段落0017参照)。この記載からして、特許文献2に記載されているRFID技術は、少なくとも1m程度の通信可能距離を有しているものと思われる。この点は、特許文献2の段落0023に実施例3として紹介されている記載、つまり、RFIDチップを備えたICカードを所持する複数の乗客がタクシーに乗り込んだ場合、複数のICカードから住所情報(行き先)が取得される旨の記載からも明らかであろう。
【0008】
このような特許文献2に記載された発明の問題は、RFIDチップを備えたICカードを所持する者がタクシーに乗っただけで、そのRFIDチップが記憶する住所情報が読み取られ、ナビゲーションシステムに送信されてしまうという点である。つまり、ナビゲーションシステムに対する住所の入力設定に際して、乗客の意志が尊重されず、全く無視されてしまうという問題がある。
【0009】
とりわけ、RFIDチップを備えたICカードを所持する複数の乗客がタクシーに乗り込んだ場合の状況として、特許文献2には、複数のICカードから住所情報(行き先)を取得してその行き先を表示し、「運転手2は近い順に行くことになる。」と記載されている(特許文献2の段落0023)。これでは、乗客が全く希望しないにも拘らず、取得した住所情報の全てが行き先としてナビゲーションシステムに入力設定されてしまい、甚だ不都合である。加えて、住所情報を記憶するRFIDチップを備えたICカードを一人の乗客が何枚も所持するような場合を考慮すると、状況はより一層複雑化し、問題もより一層深刻化する。
【0010】
本発明の目的は、RFID技術を利用した目的地の入力設定を前提としながら、入力設定すべき目的地をユーザの自由意志で制御できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的地案内システムは、情報端末とナビゲーション装置とによって構成され、前記情報端末は、メディアに設けられたRFIDチップとの間でアンテナを介して非接触通信が可能であり、当該非接触通信の距離範囲を前記メディアが前記アンテナにかざされる距離範囲に限るRFIDリーダを備え、RFIDリーダを介して前記RFIDチップから当該RFIDチップが記憶する住所情報を取得し、取得した住所情報を前記ナビゲーション装置に送信し、前記ナビゲーション装置は、情報を出力可能なユーザインターフェースと現在位置を取得するGPSユニットとを備え、前記情報端末から送信された前記住所情報を受信し、受信した住所情報に基づく位置を目的地として設定し、前記GPSユニットが取得した現在位置から前記設定された目的地に至るルートを検索し、前記検索されたルートで前記ユーザインターフェースを介したナビゲーションを実行する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、RFIDリーダでのRFIDチップに対する非接触通信の距離範囲をメディアがアンテナにかざされる距離範囲に限るようにしたので、RFID技術を利用した目的地の入力設定を前提としながら、入力すべき目的地の自由意志による制御をユーザに提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は、タクシーへの適用例である。
【0014】
図1は、全体のシステム構成を示す模式図である。本システムは、情報端末101とナビゲーション装置201(図5参照)とから構成されている。つまり、タクシーの車内11には、運転席12から視認及び操作可能な位置に、ナビゲーション装置201における情報を出力可能なインターフェースとして、液晶表示パネルを有するLCD202が設置されている。このLCD202は、その表示面にタッチパネル203を積層配置しており、タッチパネル203による情報のタッチ入力が可能である。したがって、LCD202は情報を表示して出力可能な表示部、タッチパネル203は情報を入力する入力部となり、これらのLCD202及びタッチパネル203はユーザインターフェースを構成する。この場合のユーザは、タクシーの運転手である。ナビゲーション装置201の本体部は、例えばダッシュボード13の奥に埋め込み配置され、図1には現れていない。
【0015】
図1に示すタクシーは、前席14がベンチシートとなっている。情報端末101は、ベンチシートとなっている前席14の運転席12側と助手席15側との間の位置に取り付けられている。情報端末101は、後席16に座る乗客から視認及び操作可能なように、前席14の上方部分に配置されている。
【0016】
図2は、情報端末101の斜視図である。情報端末101は、樹脂により成形された奥行きが薄いハウジング102を備え、このハウジング102の中央位置よりも下方には位置させて上面開口の保持部103を有している。ハウジング102の中央位置よりも上方には、液晶表示パネルを有する横長のLCD104が設けられている。LCD104の表示面にはタッチパネル105が積層配置されており、情報のタッチ入力が可能となっている。LCD104は情報を表示して出力可能な表示部、タッチパネル105は情報を入力する入力部となり、これらのLCD104及びタッチパネル105はユーザインターフェースを構成する。この場合のユーザは、タクシーの乗客である。
【0017】
保持部103は、ハウジング102の真中よりも下方の正面位置から前方に向けて突出形成された突縁106に透明な正面パネル107が嵌め込まれて形成されている。突縁106は、保持部103の底部と両側部とをそれぞれ形成するように、一例として樹脂モールドによりハウジング102に一体成形されており、保持部103の正面となる位置を開口する。そこで、この正面となる位置に、正面パネル107が嵌め込み固定されることで、保持部103がその体をなす。こうして形成された保持部103は、携帯電話301を収納保持することができる大きさ及び形状を有している。携帯電話301は、図示しないRFIDチップを有している。つまり、携帯電話301は、RFIDチップを有するメディアである。このようなメディアとしては、携帯電話301に限らず、例えば非接触型のRFID通信が可能なICカード(図示せず)を用いることができる。
【0018】
図3は、RFIDチップの記憶部に記憶保存されている住所情報の一例を示す模式図である。携帯電話301等が備えるRFIDチップは、記憶部302を有している。この記憶部302には、住所情報303が記憶されている。図3(a)は、記憶部302に単一の住所情報303が記憶されている一例を、図3(b)は、記憶部302に複数の住所情報303が記憶されている一例を、それぞれ示す。住所情報303は、図3に示すように、住所情報であることを示す識別コード303aに対応付けられた住所コード303bによって構成されている。住所コード303bは、都道府県+都区市町村+町名+丁+番地+号から構成されている。これらの識別コード303a及び住所コード303bは、図3中、便宜的に日本語文字として表現しているが、実際には、2値表現された英数字からなるコードである。
【0019】
図4は、情報端末101のハードウェア構成を示すブロック図である。情報端末101は、各種演算処理を実行して各部を制御するCPU108を有する。CPU108には、コンピュータプログラムを含む固定データを固定的に記憶するROM109と、可変データを書き換え自在に記憶するRAM110と、LCD104に表示する表示画像を生成するVRAM111とがシステムバスSBを介して接続されている。前述したLCD104及びタッチパネル105の他、RFIDリーダ112、音声ユニット113、監視カメラ114及び通信インターフェース115も、システムバスSBを介してCPU108に接続され、CPU108による制御を受ける。
【0020】
RFIDリーダ112は、携帯電話301等のメディアに設けられたRFIDチップとの間でアンテナ(図示せず)を介して非接触通信が可能である。このようなRFIDリーダ112としては、例えば、通信可能距離が最大で数cm程度ある電磁結合方式のリーダが用いられる。したがって、RFIDリーダ112は、当該非接触通信の距離範囲を、メディアがアンテナにかざされる距離範囲に限る構成となっている。情報端末101では、携帯電話301等のメディアが保持部103に収納保持される。そこで、情報端末101は、メディアが備えるRFIDチップの配置位置が非接触通信可能な距離範囲内となるように当該メディアを保持部103に収納保持し得るよう、保持部103の形状及び大きさ、アンテナの配置位置等を定めている。
【0021】
音声ユニット113は、音声合成LSI(図示せず)を備え、この音声合成LSIによって合計された音声をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ116から出力する構成を有している。
【0022】
監視カメラ114は、CCDカメラ構成のものであり、後席16に座る乗客の様子を撮像する。
【0023】
通信インターフェース115は、情報端末101とナビゲーション装置201との間のデータ通信を実現させる。この場合のデータ通信は、有線通信でも無線通信でもいずれでも良く、いずれの場合であってもその形式は問わない。
【0024】
ここで、CPU108を主体とするマイクロコンピュータは、CPU108がROM109に記憶されたコンピュータプログラムに従い各種情報処理を実行することから、第1の情報処理部151を構成する。このような第1の情報処理部151により、情報端末101は第1の情報処理機能を発揮する。
【0025】
図5は、ナビゲーション装置201のハードウェア構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置201は、各種演算処理を実行して各部を制御するCPU204を有する。CPU204には、固定データを固定的に記憶するROM205と、可変データを書き換え自在に記憶するRAM206と、LCD202に表示する表示画像を生成するVRAM207と、HDD208とがシステムバスSBを介して接続されている。一例として、HDD208にはコンピュータプログラム、各種表示フレーム及び各種情報209(図6参照)等が記憶保存されており、コンピュータプログラム等は、その全部又は一部がナビゲーション装置201の起動時にRAM206に移されて使用される。
【0026】
前述したLCD202及びタッチパネル203の他、GPSユニット210、音声ユニット211及び通信インターフェース212も、システムバスSBを介してCPU204に接続され、CPU204による制御を受ける。
【0027】
GPSユニット210は、人工衛星を利用して地球上での位置を正確に割り出す全地球測位システムを構成するハードウェア構造物である。GPSユニット210は、人工衛星からの情報をアンテナ213によって受信する。
【0028】
音声ユニット211は、音声合成LSI(図示せず)を備え、この音声合成LSIによって合計された音声をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ214から出力する構成を有している。このような音声ユニット211及びスピーカ214は、情報を出力可能なインターフェースを構成する。
【0029】
通信インターフェース212は、ナビゲーション装置201と情報端末101との間のデータ通信を実現させる。この場合のデータ通信は、有線通信でも無線通信でもいずれでも良く、いずれの場合であってもその形式は問わない。
【0030】
ここで、CPU204を主体とするマイクロコンピュータは、CPU204がRAM206にコピーされたコンピュータプログラムに従い各種情報処理を実行することから、第2の情報処理部251を構成する。このような第2の情報処理部251により、ナビゲーション装置201は第2の情報処理機能を発揮する。
【0031】
図6(a)はHDD208に記憶保存されている各種情報209の内容を示す模式図、図6(b)はナビゲーション装置201の機能ブロック図である。まず、図6(a)に示す種情報209から説明する。HDD208は、各種情報209として、
(1)地図情報
(2)地点情報
(3)各種案内情報
(4)住所座標変換テーブル
(5)距離金額テーブル
を記憶保存している。(1)の地図情報は、ナビゲーション装置201がカバーする地域の地図イメージデータ及び対応する位置座標からなる。(2)の地点情報は、(1)の地図情報がカバーしている範囲における、例えば交差点やランドマーク、高速道路のインターチェンジ等の位置座標、当該位置座標上での交通規制、その他の道路情報である。(3)の各種案内情報は、(1)の地図情報がカバーしている範囲における住所情報や各種施設情報である。各種施設は、例えば、宿泊施設、飲食店、デパート、コンビニエンスストア、ゴルフ場やスキー場などの遊楽施設、鉄道の駅、駐車場等である。(4)の住所座標変換テーブルは、図3に例示した住所コード303bと(1)の地図情報に含まれている位置座標との対応関係を定義するテーブルである。(5)の距離金額テーブルは、タクシー料金をなす金額について、距離との対応関係を定義するテーブルである。金額については、タクシー料金のみと距離との対応関係の定義のみならず、高速道路については、各インターチェンジ間の料金についても定義している。
【0032】
次いで、図6(b)に示すナビゲーション装置201の機能ブロックについて説明する。この機能ブロックは、ナビゲーション装置201が有するCPU204がRAM206に移されたコンピュータプログラムに従い実行する各種の機能、つまり、第2の情報処理部251によりナビゲーション装置201が発揮する第2の情報処理機能を表わしている。まず、基本的な機能として、ナビゲーション装置201は、GPSユニット210が出力する現在位置の位置データに基づいて、現在位置検出部252が現在位置の位置座標を検出する。地図情報取得部253は、位置検出部252が検出した現在位置の位置座標に応じて、HDD208に含まれている(1)の地図情報から対応する地図情報を取得する。つまり、(1)の地図情報には位置座標に対応付けられて地図イメージデータが記憶されているので、地図情報取得部253は、位置検出部252が検出した現在位置の位置座標に応じた地図イメージデータを取得するわけである。この際、地図情報取得部253は、現在位置を中心としてLCD202の表示フレームに収まる範囲の地図イメージデータを取得する。そして、地図情報取得部253は、表示制御部254によるLCD202の表示制御機能を利用して、取得した地図情報中の地図イメージデータに基づく地図表示をLCD202に行なう。これが、GPSユニット210が出力する現在位置の位置データに基づいて地図上に現在位置を表示する機能である。
【0033】
情報入力部255は、タッチパネル203のタッチ指定に応じた情報の入力を実行する。入力情報が地図表示位置を変更するものである場合、地図情報取得部253は当該入力情報に従った位置座標の地図イメージデータをHDD208に含まれている(1)の地図情報から取得し、表示制御部254により取得した地図情報をLCD202に表示する。
【0034】
情報入力部255は、タッチパネル203のタッチ指定による目的地設定を可能とする。つまり、HDD208に格納されている(3)の各種案内情報をLCD202に表示し、表示された案内情報のタッチパネル203によるタッチ指定を可能とする。この際、情報入力部255は、タッチパネル203による一般道と高速道路との選択指定も可能にする。一般道の選択は、一般道のみを通るルートの選択を意味する。高速道路の選択は、高速道路も利用するルートの選択を意味する。そして、この場合、LCD202には住所情報や各種施設情報等の案内情報を判読可能な形態、一般的に文字で表示するが、当該案内情報には位置座標が紐付けされている。そこで、案内情報がタッチ指定されると、対応する位置座標が目的地設定部256に認識されて設定される。
【0035】
目的地設定部256が目的を設定したならば、ルート検索部257がルートを検索する。つまり、ルート検索部257は、位置検出部252が検出した現在位置の位置座標から目的地として設定された位置座標までのルートを、HDD208に含まれている(1)の地図情報と(2)の地点情報とを参照しながら探索する処理を実行する。この際、ルート検索部257は、選択された道路の種別、つまり一般道のみを通るか高速道路も利用するかに応じたルート検索を実行する。高速道路を利用するルートをルート検索する場合には、ルート検索部257は、HDD208に含まれている(2)の地点情報を参照し、乗り降りするインターチェンジをも検索する。また、ルート検索部257は、検索したルートの全長距離をも算出する。
【0036】
ルート検索部257がルート検索を完了すると、ナビゲーション部258によるナビゲーションが可能となる。つまり、ナビゲーション部258は、位置検出部252が検出した現在位置の位置座標を取得し、その位置座標が現在位置から外れないようにルート案内をする。ルート案内は、LCD202に表示される地図上のルート表示と、音声ユニット211によるスピーカ214からのルート音声案内とによって実行される。このような処理を実行するために、ナビゲーション部258は表示制御部254によるLCD202の表示制御機能を利用し、報知情報生成部259に報知すべき情報を指示する。報知情報生成部259は、ナビゲーション部258から指示された情報に基づいて報知情報を生成し、音声ユニット211による合成音声によるルート音声案内をスピーカ214が発声するようにする。
【0037】
報知情報生成部259は、ルート音声案内の他、HDD208に含まれている(2)の地点情報と(3)の各種案内情報とを利用して、適宜必要な音声案内を実行する。
【0038】
本実施の形態のナビゲーション装置201は、タッチパネル203でのタッチ入力を利用した目的地の入力設定のみならず、情報端末101からの目的の入力設定をも支援している。この処理を、図7及び図8に示すフローチャートをも参照しながら説明する。
【0039】
図7は、情報端末101での処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示されている処理は、情報端末101が有するCPU108がROM109に記憶保存されているコンピュータプログラムに従い実行する各種の機能、つまり、第1の情報処理部151により情報端末101が発揮する第1の情報処理機能によって実行される。
【0040】
情報端末101のCPU108は、住所情報の取得有無判定(ステップS101)と金額情報の取得有無判定(ステップS102)とに待機している。ステップS101での住所情報の取得有無判定の結果、住所情報を取得していないと判定された場合(ステップS101のN)、ステップS102の金額情報の取得有無判定を実行し、その判定結果、金額情報を取得していないと判定された場合(ステップS102のN)、再度、ステップS101の住所情報の取得有無判定を繰り返す。
【0041】
住所情報は、RFIDチップに住所情報を記憶する携帯電話301等のメディアが保持部103に収納保持されることによって取得される。つまり、例えば携帯電話301が保持部103に収納保持されると、RFIDリーダ112は携帯電話301が備えるRFIDチップと非接触通信を実行し、RFIDチップの記憶部302に記憶されている情報を取得する。取得する情報は、例えば図3に示す住所情報303である。例えば、携帯電話301のRFIDチップの記憶部302が図3(a)に示すような住所情報303を記憶していると、RFIDリーダ112は、その住所情報303を取得する。携帯電話301のRFIDチップの記憶部302が図3(b)に示すような複数の住所情報303を記憶している場合には、それらの全ての住所情報303がRFIDリーダ112によって取得される。そして、RFIDリーダ112によって取得された住所情報303は、RAM110のワークエリアに一時記憶される。
【0042】
情報端末101のCPU108は、RFIDリーダ112が住所情報303を取得した場合、ステップS101で住所情報の取得を判定する(ステップS101のY)。ここで、住所情報303は、前述したように、2値表現された英数字からなるコードであり、住所コードであることを示す識別コード303aを有している。CPU108は、この識別コード303aを認識することで、RFIDリーダ112が取得した情報が住所情報303であることを認識する。
【0043】
CPU108は、取得した住所情報303をLCD104に表示する(ステップS103)。情報端末101のROM109は、住所情報303が含む住所コード303bに対応するテキストデータを対応付けた住所変換テーブル(図示せず)を有している。そこで、CPU108は、その住所変換テーブルを参照することで、RFIDリーダ112が取得した住所情報303に含まれている住所コード303bに対応する文字をLCD104に表示することができる。
【0044】
RFIDリーダ112が図3(a)に示すような単一の住所情報303を取得した場合、LCD104には単一の住所情報303のみが表示される。そして、この場合、CPU108は、ステップS104で1つの住所情報303が選択されたと判定する(ステップS104のY)。これに対して、RFIDリーダ112が図3(b)に示すような複数の住所情報303を取得した場合、LCD104には取得した全ての住所情報303が表示される。この際、全ての住所情報303がLCD104の表示領域に収まりきらない場合、CPU108はスクロール表示を提供し、タッチパネル105でのスクロール操作に応じたスクロール表示動作を支援する。そして、CPU108は、表示された複数の住所情報303のうち一つの選択を、タッチパネル105でのタッチ指定によって可能とする。一つの住所情報303が選択されたならば、ステップS104でその旨が判定される(ステップS104のY)。
【0045】
CPU108は、1つの住所情報の選択を判定すると(ステップS104のY)、選択された住所情報303をナビゲーション装置201に送信する(ステップS105)。この際、送信する住所情報303は、識別コード303aと住所コード303bとから構成される2値表現された英数字からなるコードである。
【0046】
図8は、ナビゲーション装置201での処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示されている処理は、図6(b)に示す機能ブロック図での機能と同様に、ナビゲーション装置201が有するCPU204がRAM206に移されたコンピュータプログラムに従い実行する各種の機能、つまり、第2の情報処理部251によりナビゲーション装置201が発揮する第2の情報処理機能によって実行される。
【0047】
ナビゲーション装置201は、情報端末101からの住所情報303を受信すると、その旨を認識し(ステップS201のY)、受信した住所情報303を位置座標に変換する(ステップS202)。つまり、住所情報303は2値表現された英数字のコードなので、これを位置座標という座標データに変換するわけである。図6(b)中、そのような変換処理を実行する機能ブロックを座標情報変換部260として示している。座標情報変換部260は、位置座票に変換した住所情報303を目的地設定部256に送信する。これにより、住所情報303によって特定される位置座標が目的地設定部256で目的地として設定される。これに応じて、前述したように、住所情報303を目的地としたルート検索部257によるルート検索、検索されたルートについてのナビゲーション部258によるルート案内が実行される。
【0048】
したがって、本実施の形態によれば、タクシーの乗客は、住所情報を記憶するRFIDチップを備えた携帯電話301等のメディアを情報端末101の保持部103に収納保持させ、必要に応じて一つの住所情報303をタッチパネル105でのタッチ指定によって選択するだけで、ナビゲーション装置201での目的地の入力設定が行われ、この目的地へのルート検索と検索されたルートでのルート案内とが行われる。
【0049】
ここで重要なことは、住所情報303を記憶するRFIDチップを備えた携帯電話301等のメディアを情報端末101の保持部103に収納保持させることによって、初めて、ナビゲーション装置201に対する目的地の入力設定のための処理が開始されるということである。つまり、乗客がタクシーに乗っただけではそのような目的地の入力設定処理が開始されない。上記携帯電話301等のメディアを保持部103に収納保持させるという乗客の積極的な行為があって初めて目的地の入力設定のための処理が開始されるのである。これにより、入力設定すべき目的地をユーザである乗客の自由意志で制御することができ、この意味で、極めて実用性が高いシステムとすることができる。
【0050】
もう一つ重要な点は、単一のRFIDチップに複数の住所情報303が記憶されている場合、情報端末101での操作によって単一の住所情報303を選択指定できるという点である。これにより、住所情報を記憶するRFIDチップを備えたメディア側に、複数記憶されているうちから単一の住所情報303を選択するための機能を持たせる必要がない。したがって、メディア単独ではユーザ側で何の操作設定もなし得ない一般的なICカード等も、住所情報303を記憶するRFIDチップを備えたメディアとして利用することができる。
【0051】
図8のフローチャートに基づく説明に戻る。ナビゲーション装置201のCPU204は、受信した住所情報303を位置座標に変換する処理(ステップS202)を実行した後、道路種別及びルートの全長距離についての情報の受信に待機する(ステップS203)。つまり、図6(b)に示す情報入力部255は、タッチパネル203による一般道と高速道路との選択指定、つまり、一般道のみを通るルートを選択するか、高速道路も利用するルートを選択するかの選択指定を可能とする。また、ルート検索部257は、検索したルートの全長距離を算出する。そこで、このような道路種別の選択指定とルートの全長距離の算出とがなされると、ステップS203では、道路種別及びルートの全長距離についての情報の受信を判定する(ステップS203のY)。
【0052】
続いて、ステップS203の判定結果より、一般道が選択されたと判定された場合には(ステップS204のY)、ステップS203で受信したルートの全長距離からタクシー料金の概算の金額を算出する(ステップS206)。また、ステップS203の判定結果より、高速道路が選択されたと判定された場合には(ステップS205のY)、ステップS203で受信したルートの全長距離から概算の金額を算出する(ステップS207)。図6(b)中、そのような処理を実行する機能ブロックを金額算出部261として示している。金額算出部261は、HDD208に格納されている(5)の距離金額テーブルを参照し、タクシー料金の概算の金額を算出する。この際、ステップS207での金額算出は、距離と金額との対応関係のみならず、高速道路の料金をも加味する。高速道路の料金は、ルート検索部257が検索した乗り降りする高速道路のインターチェンジの情報に基づいて、上記(5)の距離金額テーブルに定義されている各インターチェンジ間の料金に基づいて取得する。また、ナビゲーション装置201のCPU204は、ステップS206及びステップS207での金額算出に際して、当該CPU204が有している時間算出機能に基づき得た時間情報を考慮して深夜料金となるかどうかを判定し、深夜料金となる場合には算出した金額に対して深夜割増を行なう。
【0053】
ナビゲーション装置201のCPU204は、タクシー料金の概算金額を算出したならば(ステップS206、ステップS207)、算出した金額情報を情報端末101に送信する。この際、深夜割増をしている場合には、深夜割増である旨の情報を金額情報に伴わせる。
【0054】
図7のフローチャートに基づく説明に戻る。情報端末101のCPU108は、ナビゲーション装置201が送信した金額情報を受信すると、金額情報の受信を判定する(ステップS102のY)。そこで、金額情報の受信を判定すると(ステップS102のY)、その金額情報をLCD104に表示する(ステップS106)。図2には、「12,680円」という概算金額と、それが深夜料金であることを示す情報とが情報端末101のLCD104に表示されている例を示している。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態の目的地案内システムでは、タクシー料金の概略金額を情報端末101のLCD104に表示し、乗客に概略金額を知らせることができる。
【0056】
ここで、本実施の形態では、ナビゲーション装置201に金額算出部261という機能ブロックを設け、ナビゲーション装置201でタクシー料金の概略金額をする一例を示した。これに対して、別の実施の形態として、このようなタクシー料金の概略金額の計算を情報端末101で実行させるようにシステム構成しても良い。この場合、ナビゲーション装置201では、図8のフローチャート中、ステップS203で道路種別及びルートの全長距離の受信を判定したら(ステップS203のY)、一般道のみ使用することが選択された場合(ステップS204のY)、ステップS206の処理を省略して距離情報を情報端末101に送信し(ステップS208)、高速道路も利用することが選択された場合(ステップS205のY)、ステップS207で高速料金のみ算出し、距離及び高速料金の情報を情報端末101に送信するようにする(ステップS208)。情報端末101は、ナビゲーション装置201のHDD208に格納されている(5)の距離金額テーブルに相当する距離金額テーブルを例えばROM109に記憶する。そして、図7のフローチャート中、ステップS102ではナビゲーション装置201からの距離情報及び距離及び高速料金の情報の受信を判定するようにし、その受信を判定したら(ステップS102のY)、上記ROM109に記憶する距離金額テーブルを参照してタクシー料金の概算の金額を算出し、これをLCD104に表示するようにすれば良い(ステップS106)。
【0057】
上記別の実施の形態として、高速料金を加味したタクシー料金の概算金額表示が不要であれば、ナビゲーション装置201での図8のフローチャート中ステップS204〜ステップS207の処理を省略することができる。この場合、ナビゲーション装置201は、ルートの全長距離の情報のみを情報端末101に送信すればよい(ステップS208)。
【0058】
なお、本実施の形態は、タクシーへの適用例について説明したが、実施に当っては、これに限ることなく、例えば自家用車、宅配便の配達者、船舶等、各種の車両への搭載に適した構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の一形態として、全体のシステム構成を示す模式図である。
【図2】情報端末の斜視図である。
【図3】RFIDチップの記憶部に記憶保存されている住所情報の一例を示す模式図である。
【図4】情報端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】(a)はHDDに記憶保存されている各種情報の内容を示す模式図、(b)はナビゲーション装置の機能ブロック図である。
【図7】情報端末での処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置での処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
101 情報端末、103 保持部、104 LCD(表示部)、105 タッチパネル(入力部)、112 RFIDリーダ、151 第1の情報処理部、251 第2の情報処理部、201 ナビゲーション装置、202 LCD(ユーザインターフェース)、210 GPSユニット、211 音声ユニット(ユーザインターフェース)、301 携帯電話(メディア)、303 住所情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報処理部による第1の情報処理機能を発揮する情報端末と第2の情報処理部による第2の情報処理機能を発揮するナビゲーション装置とを備え、
前記情報端末は、
メディアに設けられたRFIDチップとの間でアンテナを介して非接触通信が可能であり、当該非接触通信の距離範囲を前記メディアが前記アンテナにかざされる距離範囲に限るRFIDリーダと、
前記第1の情報処理機能を用いて、前記RFIDリーダを介して前記RFIDチップから当該RFIDチップが記憶する住所情報を取得する手段と、
前記第1の情報処理機能を用いて、前記取得した住所情報を前記ナビゲーション装置に送信する手段と、
を備え、
前記ナビゲーション装置は、
情報を出力可能なユーザインターフェースと、
現在位置を取得するGPSユニットと、
前記情報端末から送信された前記住所情報を受信する手段と、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記受信した住所情報に基づく位置を目的地として設定する手段と、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記GPSユニットが取得した現在位置から前記設定された目的地に至るルートを検索する手段と、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記検索されたルートで前記ユーザインターフェースを介したナビゲーションを実行する手段と、
を備える、
目的地案内システム。
【請求項2】
前記RFIDチップを前記非接触通信可能な距離範囲内で前記メディアを保持する保持部を備える、請求項1記載の目的地案内システム。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置は、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記検索されたルートの距離を算出する手段と、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記算出された距離に基づいて、記憶部に記憶された距離と金額との対応関係を定義する距離金額定義を参照して金額を求める手段と、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記求めた金額の情報を前記情報端末に送信する手段と、
を備え、
前記情報端末は、
ユーザが認識できる形態で情報を出力可能なユーザインターフェースと、
前記ナビゲーション装置から送信された前記金額の情報を受信する手段と、
前記第1の情報処理機能を用いて、前記受信した金額を前記ユーザインターフェースに出力させる手段と、
を備える、
請求項1又は2記載の目的地案内システム。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記検索されたルートの距離を算出する手段と、
前記第2の情報処理機能を用いて、前記算出した距離の情報を前記情報端末に送信する手段と、
を備え、
前記情報端末は、
ユーザが認識できる形態で情報を出力可能なユーザインターフェースと、
前記ナビゲーション装置から送信された前記距離の情報を受信する手段と、
前記第1の情報処理機能を用いて、前記受信した距離の情報に基づいて、記憶部に記憶された距離と金額との対応関係を定義する距離金額定義を参照して金額を求める手段と、
前記第1の情報処理機能を用いて、前記求めた金額を前記ユーザインターフェースに出力させる手段と、
を備える、
請求項1又は2記載の目的地案内システム。
【請求項5】
前記情報端末は、
情報を表示する表示部と、
情報を入力する入力部と、
前記第1の情報処理機能を用いて、前記RFIDチップから取得した前記住所情報を前記入力部による入力指定可能に前記表示部に表示する手段と、
前記第1の情報処理機能を用いて、前記入力部によって入力指定された前記住所情報を前記ナビゲーション装置に送信すべき前記取得した住所情報とする手段と、
を備える請求項1ないし4のいずれか一記載の目的地案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−147427(P2007−147427A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341516(P2005−341516)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】