説明

立体物検出装置およびその方法

【目的】単眼カメラによる撮影画像に影が存在する場合においても、影を立体物と誤認識せず、立体物を正確に検出できるようにし、接触事故や人身事故を防止する「立体物検出装置およびその方法」を提供することにある。
【構成】単眼カメラにより任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間経過した時刻t2におけるそれぞれの撮影画像を視線変換した俯瞰画像を取得し、一方の俯瞰画像を自車の移動量に基づいてシフトしたシフト画像とシフトしていない俯瞰画像との第1差分画像を算出し、該時刻t1およびt2の自車影画像を算出し、一方の自車影画像を自車の移動量に基づいてシフトしたシフト影画像とシフトしていないシフト影画像との第2差分画像を算出し、該第1差分画像と該第2差分画像との差分である第3差分画像を算出し、該第3差分画像に残存差分が存在する場合には立体物が存在すると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体物検出装置およびその方法に係り、特に自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を狭い車庫や駐車場に入れるとき、運転者は細心の注意を必要とし、時には不注意により周囲の物体、特に後方の物体や子供と接触して車両を破損したり、人身事故を発生することがある。
【0003】
そこで、車両に広角カメラ等を搭載して車両進行方向の立体物を検出するために、任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間経過した時刻t2において進行方向の風景を撮影する。そして、該撮影された二つの画像の一方を該時刻t1とt2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフト補正を行い、補正していない画像と該補正した画像との差分を算出し、差分画像内に残存差分が存在する場合には立体物が存在し、残存差分が存在しない場合には立体物が存在しないと判断する技術(特許文献1)がある。
【0004】
すなわち、図18に示すように、自車181の後方に設置されているカメラ182により任意の時刻t1における撮影画像を車両の車高よりも高い所定の高さの地点(例えば車両中央の真上)から撮影した俯瞰画像に変換した図18(B)の(a)に示すような俯瞰画像G1と該時刻t1より所定時間経過した時刻t2における撮影画像を同様に俯瞰画像に変換した図8(B)の(b)に示すような俯瞰画像G2をそれぞれ取得する。尚、撮影領域183上には立体物184と、例えば路面に描かれた標示といった平面図形185が存在しているとする。ついで、撮影画像G2を、該時刻t1からt2の間に移動した移動量に基づいてシフトした(c)に示すようなシフト画像G2’を取得する。しかる後、シフト画像G2’とシフトしていない撮影画像G1との差分画像Gsを取得し、差分画像Gs内に残存差分187が存在する場合には立体物が存在し、残存差分187が存在しない場合には立体物が存在しないと判断する。これにより、単眼カメラにより立体物が存在することを認識でき、運転者へ警告することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。
【特許文献1】特開平10−222679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術は、図18(A)に示すように自車の影が発生しない場合には有効であるが、図19(A)に示すように太陽187により自車影188が発生する場合には問題がある。すなわち、かかる場合には任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間経過した時刻t2においてカメラ182が撮影し、俯瞰変換した俯瞰画像G1、G2には図19(B)の(a)、(b)に示すようにほぼ同一形状の自車影188が存在する。このため該時刻t1とt2の間に移動した移動量に応じた分撮影画像G2をシフトして、シフト画像G2’を算出すると、自車影188もシフトされる。この結果、平面図形を消去するためにG1とG2’の差分画像Gsを算出すると立体物184による残存差分186と本来存在しない自車影188の残存差分189が発生する。これにより、影が存在する位置に立体物があると誤認識してしまうという問題点がある。
【0006】
以上より、本発明の目的は単眼カメラによる撮影画像に影が存在する場合においても、影を立体物と誤認識せず、立体物を正確に検出できるようにし、接触事故や人身事故を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出装置およびその方法である。
【0008】
・ 立体物検出方法
本発明の立体物検出方法は、任意の時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像を視線変換した第1の視線変換画像を発生し、前記時刻t1より所定時間経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像を視線変換した第2の視線変換画像を発生し、前記第1の視線変換画像もしくは前記第2の視線変換画像を、前記時刻t1から時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生し、該シフト画像とシフトしていない視線変換画像との差を算出して第1の差分画像を発生し、前記時刻t1と前記時刻t2における自車の影画像をそれぞれ作成し、一方の影画像を前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を作成し、該シフト影画像とシフトしていない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生し、前記第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生し、該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する。
【0009】
本発明の別の立体物検出方法は、車高と太陽位置に基づいて算出される自車影の先端位置より車体側の領域を車影領域とする影画像を作成し、任意の時刻t1に前記カメラに撮影した第1の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t1における前記影画像を合成して第1の合成画像を発生し、任意の時刻t1より所定時間経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t2における前記影画像を合成して第2の合成画像を発生し、前記第1の合成画像と第2の合成画像のいずれか一方を、前記時刻t1から前記時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生し、該シフト画像とシフトしていない合成画像との差を算出して第1の差分画像を発生し、前記時刻t1あるいは前記時刻t2における影画像を自車の前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を生成し、該シフト影画像とシフトしない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生し、前期第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生し、該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する。
【0010】
本発明の別の立体物検出方法は、任意の時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像と、該時刻t1より所定時間Δt経過した時刻に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像との差を算出して第1の差分画像を発生し、前記時刻t1より所定時間T(T>Δt)経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第3の撮影画像と、該時刻t2より前記所定時間Δt経過した時刻に前記カメラにより撮影した第4の撮影画像との差を算出して第2の差分画像を発生し、前記第1の差分画像と前記第2の差分画像のいずれか一方を、前記時刻t1から前記時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト差分画像を発生し、該シフト差分画像とシフトしていない差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生し、該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する。
【0011】
・ 立体物検出装置
本発明の立体物検出装置は、任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間経過した時刻t2の間に、自車が移動した移動量を算出する移動量算出部と、前記時刻t1と前記時刻t2に前記カメラによりそれぞれ撮影した第1の撮影画像と第2の撮影画像とをそれぞれ視線変換して第1の視線変換画像と第2の視線変換画像とを発生する視線変換部と、前記第1の視線変換画像もしくは前記第2の視線変換画像を、前記移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生するシフト画像発生部と、前記シフトした視線変換画像とシフトしていない視線変換画像との差を算出して第1の差分画像を発生する第1差分画像発生部と、前記時刻t1と前記時刻t2における自車の影画像をそれぞれ作成する影画像作成部と、前記影画像の一方を前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を発生するシフト影画像発生部と、前記シフト影画像とシフトしていない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生する第2差分画像発生部と、前記第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生する第3差分画像発生部と、前記第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する立体物判断部と、を備えている。
【0012】
本発明の別の立体物検出装置は、車高と太陽位置に基づいて算出される自車影の先端位置より車体側の領域を車影領域とする影画像を生成する影画像生成部と、任意の時刻t1に前記カメラに撮影した第1の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t1における前記影画像を合成して第1の合成画像を発生する第1合成画像発生部と、任意の時刻t1より所定時間経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t2における前記影画像を合成して第2の合成画像を発生する第2合成画像発生部と、前記第1の合成画像と前記第2の合成画像のいずれか一方を、該時刻t1から該時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生するシフト画像発生部と、該シフト画像とシフトしていない合成画像との差を算出して第1の差分画像を発生する第1差分画像発生部と、前記時刻t1あるいは前記時刻t2における影画像を自車の前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を生成するシフト影画像生成部と、該シフト影画像とシフトしない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生する第2差分画像発生部と、前記第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生する第3差分画像発生部と、該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する立体物判断部と、を備えている。
【0013】
本発明の別の立体物検出装置は、任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間T経過した時刻t2の間に、自車が移動した移動量を算出する移動量算出部と、前記時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像と、前記時刻t1より所定時間Δt(T>Δt)経過した時刻に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像との差を算出して第1の差分画像を発生する第1差分画像発生部と、前記時刻t2に前記カメラにより撮影した第3の撮影画像と、前記時刻t2より所定時間Δt経過した時刻に前記カメラにより撮影した第4の撮影画像との差を算出して第2の差分画像を発生する第2差分画像発生部と、前記第1の差分画像と前記第2の差分画像のいずれか一方を前記移動量に基づいてシフトしたシフト差分画像を発生するシフト差分画像発生部と、前記シフト差分画像とシフトしていない差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生する第3差分画像発生部と、前記第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する立体物判断部と、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、時刻t1、t2に撮影した2つの撮影画像の差分画像より自車影像を除去するように構成したので、自車の影に影響されずに正確に立体物を検出することができる。
【0015】
本発明によれば、前記カメラにより前記時刻t1とt2に撮影した第1の撮影画像と第2の撮影画像を視線変換して第1の視線変換画像と第2の視線変換画像とを発生し、該第1の視線変換画像と該第2の視線変換画像との差である第1の差分画像から、前記時刻t1とt2における影画像の差である第2の差分画像を差し引いて作成した第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、該残存差分より立体物が存在するか判断するようにしたので、自車の進行方向に自車影が存在している場合でも、正確に立体物を検出することができ、かつ運転者に該立体物までの距離も明示することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。
【0016】
本発明によれば、更に、前記カメラにより前記時刻t1前後の複数枚の撮影画像と前記時刻t2前後の複数枚の撮影画像をそれぞれ平均化し、それぞれ前記第1の撮影画像、第2の撮影画像とするようにしたので、正確な撮影画像を取得し正確に立体物を検出することができる。
【0017】
本発明によれば、更に、自車形状を記憶すると共に、自車方向を取得し、かつ光源位置を算出し、該光源位置と前記自車形状と前記自車方向を用いて前記影画像を作成するようにしたので、前記光源位置が変化しても正確に影画像を作成し、正確に立体物を検出することができる。
【0018】
本発明によれば、更に、太陽軌道を記憶すると共に、自車位置を取得し、前記光源位置を前記太陽軌道と前記自車位置を用いて算出するようにしたので、前記光源位置すなわち太陽位置が変化す場合でも正確に影画像を作成し、正確に立体物を検出することができる。
【0019】
本発明によれば、更に、任意の場所に設置されたカメラにより光源を撮影し、前記光源位置を撮影画像より算出するようにしたので、光源が存在する全ての場所で影画像を作成し正確に立体物を検出することができる。
【0020】
本発明によれば、自車の車高と前記時刻t1とt2における太陽の位置より算出されるそれぞれの自車影の先端位置より車体側領域を車影領域とする影画像を作成するようにしたので、簡単に影画像を生成することができる。
【0021】
本発明によれば、時刻t1、t2において撮影した撮影画像より自車影像を除去するようにし、2つの撮影画像の差分画像より自車影を除去するように構成したので、自車影に影響されずに正確に立体物を検出することができる。
【0022】
本発明によれば、前記カメラにより近接した2つの時刻に撮影した第1の撮影画像と第2の撮影画像の差分を算出することにより影を除去するようにしたので、簡単な処理で時刻t1、t2の撮影画像の差分画像より自車影を除去でき、該差分画像内に残存差分が存在するか調べ、該残存差分より立体物が存在するか判断するようにしたので、自車の進行方向に自車影が存在している場合でも、正確に立体物を検出することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。
【0023】
本発明によれば、更に、視線変換してから差分画像を発生するようにしたので、自車方向に自車影が存在している場合でも正確に立体物を検出することができ、かつ運転者に該立体物までの距離も明示することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。
【0024】
本発明によれば、更に、画像の幅に関し閾値判断して、該差分画像を作成するようにしたので、正確な前記第1、第2の差分画像を作成して、正確に立体物を検出することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(A)本発明の概要
図1、図2、図3は本発明の第1〜第3実施例の概略説明図である。1は自車影、2は立体物、3は平面図形、4は自車影の残存差分、5は立体物の残存差分、6は計算で算出した自車影、7は自車影6の残存差分、8(図2)は計算で算出した自車影、9は自車影8より算出した矩形領域、10は矩形領域9を影とした影画像、11は自車影領域の残存差分、12は立体物の残存差分、13は影画像の残存差分、TPは影の先端の位置、14(図3)は移動前の立体物の残存差分、15は移動後の立体物の残存差分、16は立体物の残存差分である。
【0026】
(A1)第1実施例の概要
図示しないカメラにより、任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間経過した時刻t2において自車の後方を撮影し、得られた第1、第2の撮影画像を俯瞰変換し、図1(A)の(a)、(b)に示すように自車影1、立体物2、平面図形3が存在する俯瞰画像G1、G2をそれぞれ取得する。ついで、自車の移動量に基づいて、図1(A)の(c)に示すような俯瞰画像G2を移動方向と逆方向にシフトした俯瞰画像G2’を算出する。しかる後、俯瞰画像G1より俯瞰画像G2’を差し引いて、図1(A)の(d)に示すように自車影の残存差分4と立体物の残存差分5を含む差分画像Gsを算出する。一方、自車の3次元形状と、時刻t1と時刻t2におけるそれぞれの光源(太陽)の位置と、自車方向とにより各時刻において、算出した図1(B)の(a)、(b)に示すように自車影6を含む影画像K1、K2を作成する。その後、自車の移動量に基づいて、図1(B)の(c)に示す影画像K2を移動方向と逆方向にシフトした自車影画像K2’を算出し、影画像K1から影画像K2’を差し引き、図1(B)の(d)に示すように影の残存差分7を含む影差分画像Ksを生成する。最後に、差分画像Gsから影差分画像Ksを差し引いて、図1(C)に示すように立体物の残存差分5だけを含む差分画像Gs’を算出する。以後、差分画像Gs’内に残存差分が存在するか調べることにより、単眼カメラで進行方向に立体物が存在するかの判断を行うことができる。
【0027】
(A2)第2実施例の概要
任意の時刻t1に図示しないカメラにより撮影した撮影画像を俯瞰変換し、図2(A)の(a)に示すように自車影1、立体物2、平面図形3が存在する俯瞰画像G1を取得する。また、図2(B)の(a)、(b)に示すように、該時刻t1における光源の位置、自車方向より算出した自車影8の影が存在する矩形領域9を算出し、領域9全体を影領域10とする影画像Kを作成する。ついで、図2(A)の(b)に示すように、図2(A)の(a)と図2(B)の(b)を合成した俯瞰画像G1’を取得する。同様にして、該時刻t1より所定時間経過した時刻t2において図示しないカメラにより撮影した撮影画像を俯瞰変換し、図2(A)の(c)に示すように俯瞰画像G2を取得し、ついで、図2(A)の(d)に示すように俯瞰画像G2と影画像Kを合成した俯瞰画像G2’を取得する。しかる後、図2(A)の(e)と図2(B)の(c)に示すように、自車の移動量に基づいて俯瞰画像G2’と影画像Kを移動方向と逆方向にシフトした俯瞰画像G2”と影画像K’を算出する。シフト後、俯瞰画像G1’より俯瞰画像G2”を差し引いて図2(A)の(f)に示すような影の残存差分11と立体物の残存差分12を含む差分画像Gsを算出し、かつ影画像Kより影画像K’を差し引いて図2(B)の(d)に示すような影の残存差分13を含む差分画像Ksを算出する。最後に、差分画像Gsより差分画像Ksを差し引いて、図2(C)に示すような立体物の残存差分12を含む差分画像Gs’を算出する。以後、差分画像Gs’内に残存差分が存在するか調べることにより、単眼カメラで進行方向に立体物が存在するかの判断を行うことができる。
【0028】
(A3)第3実施例の概要
図3(A)の(a)に示すように、任意の時刻t1に図示しないカメラにより撮影した撮影画像P1より、図3(A)の(b)に示すように、該時刻t1より所定時間Δt経過した時刻(t1+Δt)に該カメラにより撮影した撮影画像P1’を差し引いて、図3(A)の(c)に示すように自車影のない立体物の残存差分14を含む差分画像P1”を算出し、該差分画像P1”を俯瞰画像に変換し、図示しない俯瞰画像Gt1を算出する。同様にして、図3(B)の(a)に示すように、該時刻t1より所定時間T(T>Δt)経過した時刻t2に撮影した撮影画像P2より、図3(B)の(b)に示すように、該時刻t2より所定時間Δt経過した時刻(t2+Δt)に撮影した撮影画像P2’を差し引いて、図3(B)の(c)に示すように自車影のない立体物の残存差分15を含む差分画像P2”を算出し、該差分画像P2”を俯瞰変換し、図示しない俯瞰画像Gt2を算出する。しかる後、自車の移動量に基づいて、図3(B)の(d)に示すような俯瞰画像Gt2を移動方向と逆方向にシフトした俯瞰画像Gt2’を算出し、俯瞰画像Gt1より俯瞰画像Gt2’を差し引いて、図3(C)に示すような立体物の残存差分16を含む差分画像Gtsを算出する。以後、差分画像Gts内に残存差分が存在するか調べることにより、単眼カメラで進行方向に立体物が存在するかの判断を行うことができる。
【0029】
従来技術では、自車影が存在する場合には影を立体物と誤認識していたが、本発明によれば、自車影に影響されず、立体物を正確に検出することが可能であり、これにより接触事故や人身事故を防止することが可能である。
【0030】
(B)第1実施例
図4は本発明の立体物検出装置を搭載した車載器の構成図である。
【0031】
ナビゲーションユニット19と立体物検出装置20が車内ネットワークCNWを介して接続されている。
ナビゲーションユニット19において、GPS受信部21はGPS衛星から送られてくる位置情報を受信して車両の絶対現在位置を測定する。車速検出部22は一定走行距離毎にパルスを発生する距離センサを備えている。ナビゲーション部23はGPS受信部21と車速検出部22と車両回転角度を検出するジャイロセンサ(図示せず)から出力される信号を用いて、現在の車両位置を推定できるようになっている。
【0032】
立体物検出装置20において、カメラ24は自車の後方を撮影できるように所定の位置(例えば、リアのナンバープレートの上方)に取り付けられており、画像トリミング部25は時刻t1と該時刻より所定時間経過後の時刻t2における撮影画像から俯瞰変換を行うための画像を切り出す。地面への投影処理部26はカメラ24により撮影した各画像を車両の車高よりも高い所定の高さの地点(例えば、車両中央の真上)から撮影した俯瞰画像に変換する。画像バッファ27は、投影処理部26が作成した時刻t1の画像の俯瞰画像を記憶する。
【0033】
ステアリング検出部28は自車のステアリング情報を検出する。車両移動量計算部29は車速検出部22とステアリング検出部28がそれぞれ検出した車速情報とステアリング情報を取得し、該車速情報とステアリング情報を基に自車の経度方向および緯度方向の移動量を算出する。
【0034】
画像シフト部30は投影処理部26が作成した時刻t2の画像の俯瞰画像を前記移動量に基づいて、自車が移動した方向と逆方向にシフトする。差分演算部31は画像バッファ27が記憶している時刻t1の俯瞰画像より前記シフトした時刻t2の俯瞰画像を差し引いて、差分画像を作成する。
【0035】
太陽運動軌道記憶部32は光源である太陽の運動軌道情報を記憶している。太陽位置算出部33はGPS受信部21が受信したGPS情報(位置および時刻情報)と、太陽運動軌道記憶部32が記憶している太陽の運動軌道情報を基に車両位置を基準とした現在の太陽の位置を算出する。自車3次元形状記憶部34は自車形状を3次元のデータとして記憶している。自車影計算部35は、図示しないジャイロセンサから取得した自車方向情報と、太陽位置計算部33から取得した光源である太陽の位置情報と、自車3次元形状記憶部34から取得した自車形状の3次元データとを用いて時刻t1と該時刻より所定時間後の時刻t2における自車影を計算し、影画像として発生する。影画像バッファ36は自車影計算部35が発生した時刻t1の影画像を記憶する。影画像オフセット部37は自車影計算部35が発生した時刻t2の影画像を前記移動量に基づいて、自車が移動した方向と逆方向にシフトする。自車影差分演算部38は、影画像バッファ36が記憶している時刻t1の影画像より前記シフトした時刻t2の影画像を差し引き、差分マスク作成部39は自車影差分演算部38により発生した差分影画像より差分マスクを作成する。
【0036】
差分マスク部40は、差分演算部31が発生した差分画像より差分マスク作成部39が作成した差分マスクを差し引いて影が除去された差分画像を作成し、警告発生部41は、該差分画像内に残存差分が存在するかを調べ、残存差分が存在する場合には立体物が存在すると判断し、残存差分が存在しない場合には立体物が存在しないと判断する。尚、差分マスク部40が立体物が存在すると判断した場合、警告発生部41は警告を発生し、表示部42とスピーカ43は該警告を運転者に明示する。
【0037】
図5は第1実施例の立体物検出の処理フローであり、図6は第1実施例のマスク画像発生の処理フローである。以下、図5、図6の処理フローに沿って説明を行う。
【0038】
ギアポジション検出部(図示せず)はギアがバックに入ったかの監視を行い(ステップS501)、ギアがバックに入ったと判断した場合には、S502に進む。
ステップS501において、ギアポジション検出部がギアがバックに入ったと判断した場合には、カメラ24は時刻t1において車両進行方向の撮影画像P1を撮影し(ステップS502)、画像トリミング部25は撮影画像P1から俯瞰変換を行うための撮影画像を切り出し、投影処理部26は切り出した撮影画像を俯瞰変換し、図1(A)の(a)に示すような自車影1、立体物2、平面図形3を含む俯瞰画像G1を取得し(ステップS503)、画像バッファ27は該俯瞰画像G1を記憶する。
【0039】
ついで、立体検出装置20の制御部(図示せず)は所定時間(例えば、1秒)経過したかの判断を行い(ステップS504)、所定時間経過した場合S505に進む。
ステップS504において、所定時間経過した場合には、カメラ24は時刻t2における車両進行方向の撮影画像P2を撮影し(ステップS505)、画像トリミング部25は撮影画像P2から俯瞰変換を行うための撮影画像を切り出し、投影処理部26は切り出した撮影画像を俯瞰変換し、図1(A)の(b)に示すような俯瞰画像G2を取得する(ステップS506)。
【0040】
しかる後、車両移動量計算部29は車速検出部22より車速情報を取得し、かつステアリング検出部28よりステアリング情報を取得し、該車速情報と該ステアリング情報より自車の移動量を算出し(ステップS507)、画像オシフト部30は該移動量に基づいて移動した方向と逆方向に俯瞰画像G2をシフトし、図1(A)の(c)に示すように俯瞰画像G2全体を移動量分だけ補正した俯瞰画像G2’を算出する(ステップS508)。
次に、差分演算部31は画像バッファ27が記憶している俯瞰画像G1より画像シフト部30が補正した俯瞰画像G2’を差し引いて、図1(A)の(d)に示すように影の残存差分4と立体物の残存差分5が存在する差分画像Gsを算出する(ステップS509)。
【0041】
ついで、後述するマスク画像Ks発生処理を行い、図1(B)の(d)に示すように自車影の残存差分7を含むマスク画像Ksを発生し(ステップS510)、差分マスク部40は差分画像Gsよりマスク画像Ksを差し引いて図1(C)に示すような差分画像Gs’算出し(ステップS511)、警告発生部41は差分画像Gs’内に残存差分が存在するか判断し(ステップS512)、残存差分5が存在する場合にはS513に進み、残存差分が存在しない場合にはS514に進む。
【0042】
ステップS512において、残存差分5が存在する場合には警告発生部41は進行方向に立体物が存在すると判断して警告発生し(ステップS513)、残存差分が存在しない場合には進行方向には立体物が存在しないと判断する(ステップS514)。
【0043】
次にマスク画像Ksの発生処理について説明する。図6はマスク画像発生の処理フローである。
【0044】
太陽位置算出部33は、GPS受信部21より撮影画像P1撮影時(時刻t1)のGPS情報(位置および時刻情報)を取得し、かつ太陽運動軌道記憶部32が記憶している太陽運動軌道情報を取得し、該GPS情報と該太陽運動軌道情報より自車位置を基準にした撮影画像P1撮影時の太陽の位置を算出する(ステップS611)。
ついで、自車影計算部35は、自車3次元形状記憶部34が記憶している自車形状と、算出した太陽の位置とジャイロセンサから取得した自車方向情報とを用いて、図1(B)の(a)に示すような計算で算出した影画像6を含む撮影画像P1撮影時の自車影画像K1を算出する(ステップS613)。
【0045】
しかる後、同様に太陽位置算出部33は、GPS受信部21より撮影画像P2撮影時(時刻t2)のGPS情報を取得し、該GPS情報と該太陽軌道運動情報より撮影画像P2撮影時の太陽の位置を算出し(ステップS614)、自車影計算部35は自車方向情報と該太陽の位置情報と該自車形状とを用いて、図1(B)の(b)に示すように計算で算出した影画像6を含む撮影画像P2撮影時の自車影画像K2を算出する(ステップS615)。尚、時刻t1と時刻t2の時間差は、例えば1秒であるため、これらの時刻における太陽位置はほぼ同じであるので、時刻t2の自車影画像K2を時刻t1の自車影画像K1とみなすこともできる。
【0046】
次に、影画像シフト部37は車両移動計算部29が算出した移動量を取得し(ステップS616)、影画像K2を該移動量に基づいて移動した方向と逆方向にシフトし、図1(B)の(c)に示すように移動量補正した影画像K2’を算出する(ステップS617)。
最後に自車影差分演算部38は影画像K1より移動量補正した影画像K2’を差し引き、差分マスク作成部39は図1(B)の(d)に示すような差分画像Ksを算出する(ステップS618)。この差分画像Ksを前述したS511以降において使用する。
【0047】
以上、本実施例によれば、時刻t1、t2に撮影した2つの撮影画像の差分画像(図1(C))より自車方向、太陽の位置情報、自車形状を用いて作成した自車影画像を用いて、自車影像を除去するように構成したので、自車影に影響されずに正確に立体物を検出することができ、かつ運転者に該立体物までの距離も明示することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。
【0048】
(C)第1実施例の第1変形例
図7は本発明の第1実施例の第1変形例の構成図である。図4と同一の部分には同一の符号を付している。異なる点は、平均撮影画像発生部71を設置した点である。
画像トリミング部25は、任意の時刻t1前後にカメラ24が撮影した所定枚数(少なくとも2枚)の撮影画像から俯瞰変換を行うために画像を切り出し、投影処理部26は該切り出した撮影画像をそれぞれ俯瞰画像に変換し、平均撮影画像発生部71は該所定枚数の俯瞰画像を平均化して1枚の俯瞰画像を算出する。しかる後、該俯瞰画像を画像バッファ27は記憶する。該時刻t1より所定時間経過した時刻t2においても同様の処理を行って1枚の俯瞰画像を算出し、平均撮影画像発生部71は該俯瞰画像を画像シフト部30に入力する。
【0049】
以上、本変形例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができ、かつ所定枚数(少なくとも2枚)の撮影画像より俯瞰画像を算出するので、雑音の影響による立体物検出の精度の低下を防ぐことができる。
【0050】
(D)第1実施例の第2変形例
図8は本発明の第1実施例の第2変形例の構成図、図9はカメラによる光源位置検出の概要図である。図9において、81はカメラ、91は光源である太陽、92は自車両、θはカメラ81の視野角である。
図8の第2変形例の構成図において、図4の第1実施例の構成図と同一の部分には同一の符号を付している。異なる点は、太陽の位置を求めるための太陽運動軌道記憶部32と太陽位置算出部33とを除去し、代わりにカメラ81と太陽位置検出部82とを設けた点である。
【0051】
カメラ81は広角カメラ等で構成されており、例えば図9に示すように視野角θを持っており自車両92の屋根の中央に配置されて任意の時刻に太陽91を撮影する。太陽位置算出部82は、該周囲撮影画像より太陽の位置および太陽に対する自車方向を算出する。
【0052】
次に、処理フローについて説明を行う。図10は第2変形例の処理フローであり、以下図10に沿って処理の説明を行う。
【0053】
ギアポジション検出部(図示せず)はギアがバックに入ったかの監視を行い(ステップS1001)、ギアがバックに入ったと判断した場合には、S1002に進む。
ステップS1001において、ギアポジション検出部がギアがバックに入ったと判断した場合には、カメラ24は時刻t1において車両進行方向の撮影画像P1を撮影すると共に、カメラ81は周囲を撮影し、太陽位置検出部82は該周囲撮影画像より太陽の位置および太陽に対する自車方向を検出して保存する(ステップS1002)。
【0054】
次に、画像トリミング部25は撮影画像P1から俯瞰変換を行うための撮影画像を切り出し、投影処理部26は切り出した撮影画像を俯瞰変換し、図1(A)の(a)に示すような自車影1、立体物2、平面図形3を含む俯瞰画像G1を取得し(ステップS1003)、画像バッファ27は該俯瞰画像G1を記憶する。
【0055】
ついで、立体検出装置20の制御部(図示せず)は所定時間(例えば、1秒)経過したかの判断を行い(ステップS1004)、所定時間経過した場合S1005に進む。
ステップS1004において、所定時間経過した場合には、カメラ24は時刻t2における車両進行方向の撮影画像P2を撮影すると共に、カメラ81は周囲を撮影し、太陽位置検出部82は該周囲撮影画像より太陽の位置および太陽に対する自車方向を検出して保存する(ステップS1005)。
【0056】
しかる後、画像トリミング部25は撮影画像P2から俯瞰変換を行うための撮影画像を切り出し、投影処理部26は切り出した撮影画像を俯瞰変換し、図1(A)の(b)に示すような俯瞰画像G2を取得する(ステップS1006)。
【0057】
その後、車両移動量計算部29は車速検出部22より車速情報を取得し、かつステアリング検出部28よりステアリング情報を取得し、該車速情報と該ステアリング情報より自車の移動量を算出し(ステップS1007)、画像シフト部30は該移動量に基づいて移動した方向と逆方向に俯瞰画像G2をシフトし、図1(A)の(c)に示すように俯瞰画像G2全体を移動量分だけ補正した俯瞰画像G2’を算出する(ステップS1008)。
【0058】
次に、差分演算部31は画像バッファ27が記憶している俯瞰画像G1より画像シフト部30が補正した俯瞰画像G2’を差し引いて、図1(A)の(d)に示すように影の残存差分4と立体物の残存差分5が存在する差分画像Gsを算出する(ステップS1009)。
【0059】
ついで、後述するマスク画像Ksの発生処理により、図1(B)の(d)に示すように自車影の残存差分7を含むマスク画像Ksを発生し(ステップS1010)、差分マスク部40は差分画像Gsよりマスク画像Ksを差し引いて図1(C)に示すような差分画像Gs’を算出し(ステップS1011)、警告発生部41は差分画像Gs’内に残存差分が存在するか判断し(ステップS1012)、残存差分5が存在する場合にはS1013に進み、残存差分が存在しない場合にはS1014に進む。
【0060】
ステップS1012において、残存差分5が存在する場合には警告発生部41は進行方向に立体物が存在すると判断して警告発生し(ステップS1013)、残存差分が存在しない場合には進行方向には立体物が存在しないと判断する(ステップS1014)。
【0061】
次にマスク画像Ksの発生処理について説明する。図11はマスク画像発生の処理フローである。
【0062】
自車影計算部35は、自車3次元形状記憶部34が記憶している自車形状と、時刻t1において算出した太陽の位置と自車方向情報とを取得し(ステップS1111)、該自車形状と該太陽の位置と該自車方向情報を用いて、図1(B)の(a)に示すような時刻t1(撮影画像P1撮影時)の自車影画像K1を算出する(ステップS1112)。
【0063】
しかる後、同様に自車影計算部35は、時刻t2において算出した太陽の位置と自車方向情報とを取得し(ステップS1113)、該自車形状と該太陽の位置情報と該自車方向情報とを用いて、図1(B)の(b)に示すように(撮影画像P2撮影時)の自車影画像K2を算出する(ステップS1114)。尚、時刻t1と時刻t2の時間差は、例えば1秒であるため、これらの時刻における太陽位置はほぼ同じであるので、時刻t2の自車影画像K2を時刻t1の自車影画像K1とみなすこともできる。
【0064】
次に、影画像シフト部37は車両移動計算部29が算出した移動量を取得し(ステップS1115)、影画像K2を該移動量に基づいて移動した方向と逆方向にシフトし、図1(B)の(c)に示すように移動量補正した影画像K2’を算出する(ステップS1116)。
【0065】
最後に自車影差分演算部38は影画像K1より移動量補正した影画像K2’を差し引き、差分マスク作成部39は図1(B)の(d)に示すような差分画像Ksを算出する(ステップS1117)。この差分画像Ksを前述したS1011以降において使用する。尚、第1変形例と第2変形例とを組み合わせることも可能である。
【0066】
以上、本変形例によれば、第1実施例と同様の効果を得ることができ、かつ太陽に限らず光源が存在する全ての場所で影画像を作成し正確に立体物を検出することができる。
【0067】
(E)第2実施例
図12は本発明の第2実施例の構成図であり、図4の第1実施例の構成図と同一の部分には同一符号を付しており、図4と異なる点は画像合成部121を設けた点である。
画像合成部121は自車影計算部35が算出した影画像K(自車影領域)と投影処理部26が作成した俯瞰画像との合成を行う。
【0068】
図13は本発明の第2実施例の処理フローである。以下、処理フローにしたがって、説明を行う。
ギアポジション検出部(図示せず)はギアがバックに入ったかの監視を行い(ステップS1301)、ギアがバックに入ったと判断した場合には、S1302に進む。
ステップS1301でギアポジション検出部がギアがバックに入ったと判断した場合には、カメラ24は時刻t1において車両進行方向の撮影画像P1を撮影し(ステップS1302)、画像トリミング部25は撮影画像P1から俯瞰変換を行うための撮影画像を切り出し、投影処理部26は切り出した撮影画像を俯瞰変換し、図2(A)の(a)に示すような自車影1、立体物2、平面図形3を含む俯瞰画像G1を取得し(ステップS1303)、内蔵のメモリに該俯瞰画像G1を記憶する。
【0069】
ついで、後述する影領域算出処理を行い、自車影計算画像K(図2(B)の(b))を算出し(ステップS1304)、画像合成部121は俯瞰画像G1と影画像Kとを合成し、図2(A)の(b)に示すような立体物2、平面図形3、影画像10を含む俯瞰画像G1’を生成して画像バッファ27に保存する(ステップS1305)。立体検出装置20の制御部(図示せず)は所定時間(例えば、1秒)経過したかの判断を行い(ステップS1306)、所定時間経過した場合S1307に進む。
ステップS1306において、所定時間経過した場合には、カメラ24は時刻t2における車両進行方向の撮影画像P2を撮影し(ステップS1307)、画像トリミング部25は撮影画像P2から俯瞰変換を行うための撮影画像を切り出し、投影処理部26は切り出した撮影画像を俯瞰変換し、図2(A)の(c)に示すような俯瞰画像G2を取得する(ステップS1308)。
【0070】
次に、画像合成部121は俯瞰画像G2と影画像Kとを合成し、図2(A)の(d)に示すような俯瞰画像G2’を発生し(ステップS1309)、車両移動量計算部29は車速検出部22より車速情報を取得し、かつステアリング検出部28よりステアリング情報を取得し、該車速情報と該ステアリング情報より自車の移動量を算出し(ステップS1310)、画像シフト部30は該移動量に基づいて移動した方向と逆方向に俯瞰画像G2’をシフトし、図2(A)の(e)に示すように俯瞰画像G2’全体を移動量分だけ補正した俯瞰画像G2”を算出する(ステップS1311)。
【0071】
しかる後、差分演算部31は画像バッファ27が記憶している俯瞰画像G1’より画像シフト部30が補正した俯瞰画像G2”を差し引いて、図2(A)の(f)に示すように影の残存差分11と立体物の残存差分12が存在する差分画像Gsを算出する(ステップS1312)。
ついで、後述するマスク画像Ks発生処理を行い、図2(B)の(d)に示すように自車影の残存差分13を含むマスク画像Ksを発生し(ステップS1313)、差分マスク部40は差分画像Gsよりマスク画像Ksを差し引いて図2(C)に示すような差分画像Gs’を算出し(ステップS1314)、警告発生部41は差分画像Gs’内に残存差分が存在するか判断し(ステップS1315)、残存差分5が存在する場合にはS1316に進み、残存差分が存在しない場合にはS1317に進む。
【0072】
ステップS1315において、残存差分12が存在する場合には警告発生部41は進行方向に立体物が存在すると判断して警告発生し(ステップS1316)、残存差分が存在しない場合には進行方向には立体物が存在しないと判断する(ステップS1317)。
【0073】
次に影画像Kの算出処理について説明する。図14は影画像算出の処理フローである。
【0074】
太陽位置算出部33は、GPS受信部21より撮影画像P1撮影時(時刻t1)のGPS情報(位置および時刻情報)を取得し、かつ太陽運動軌道記憶部32が記憶している太陽運動軌道情報を取得し、該GPS情報と該太陽運動軌道情報より自車位置を基準にした撮影画像P1撮影時の太陽の位置を算出する(ステップS1405)。
ついで、自車影計算部35は、自車3次元形状記憶部34が記憶している自車形状(車高)と、算出した太陽の位置とジャイロセンサから取得した自車方向情報を取得する(ステップS1406)。
【0075】
しかる後、該取得した情報を用いて図2(B)の(a)に示すような自車影8の先端TPの位置を算出し、該先端TPを通る点線で特定される矩形領域9により自車影を近似し(ステップS1407)、図2(B)の(b)に示すように自車影10の画像Kを発生し(ステップS1408)、該影画像Kを画像合成部121と影画像バッファ36と影画像オフセット部37とにそれぞれ入力する。
【0076】
次にマスク画像Ksの発生処理について説明する。図15はマスク画像発生の処理フローである。
【0077】
影画像シフト部37は、自車影計算部35が算出した影画像Kを取得し(ステップ1514)、該影画像シフト部37は車両移動計算部29が算出した移動量を取得し(ステップS1515)、影画像Kを該移動量に基づいて移動した方向と逆方向にシフトし、図2(B)の(c)に示すように移動量補正した影画像K’を算出する(ステップS1516)。
【0078】
最後に、自車影差分演算部38は影画像Kより移動量補正した影画像K’を差し引き、差分マスク作成部39は図2(B)の(d)に示すような差分画像Ksを発生する(ステップS1517)。この差分画像Ksが前述したS1314以降において使用される。
【0079】
以上、本実施例によれば、自車方向、太陽の位置情報、車高を用いて近似的に自車影を算出し、該自車影領域を影画像とする自車影画像を用いて、撮影画像より自車影像を除去するように構成したので、自車影に影響されずに正確に立体物を検出することができ、かつ運転者に該立体物までの距離も明示することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。また、自車影画像を簡単に生成して削除することができる。
【0080】
(F)第3実施例
図16は本発明の第3実施例の構成図である。
カメラ161は、自車の後方を撮影できるように所定の位置(例えば、車両のナンバープレートの上方)に取り付けられており、時刻t1と所定時間Δt経過した時刻(t1+Δt)、および該時刻t1より所定時間T(T>Δt)経過した時刻t2と所定時間Δt経過した時刻(t2+Δt)にそれぞれの自車後方を撮影する。
【0081】
カメラDSP(Digital Signal Processor)162は時刻t1、時刻(t1+Δt)、時刻t2および時刻(t2+Δt)における各撮影画像から俯瞰変換を行うための画像の切り出しを行う。フレーム遅延制御部163は自車速度に応じてΔtを変化させる。すなわち、カメラ161が、例えば1/60秒で1フレームを撮影するように設定されているとすると、車速が遅い(例えば時速1km)ときにはΔtを10フレーム分の時間に設定し、車速が早い(例えば時速2km)ときにはΔtを5フレーム分の時間に設定する。
【0082】
差分演算部164は、時刻t1における撮影画像より時刻(t1+Δt)における撮影画像を差し引いて自車影を除去した差分画像を作成し、および時刻t2の撮影画像より時刻(t2+Δt)における撮影画像を差し引いて同様に自車影を除去した差分画像を作成する。閾値判定部165は、該差分画像内に自車影の残存差分が存在する場合に閾値幅を設けて除去するものである。すなわち、残存差分の幅が閾値幅以下であれば、自車影とみなし該残存差分を除去した差分画像を発生する。例えば、自車の移動距離が5cm、撮影画像内に存在する残存差分の移動方向の幅d(単位はcm)とすると、d<2cmの残存差分は自車影であると判断し、該残存差分を除去する。尚、閾値判定部165を設ける理由は、例えば1/60秒で1フレームを撮影するように設定されているとすると、10フレームの時間をΔtとした場合、該Δtは1/6秒となり、自車影の細い差分画像が発生する可能性があるためである。
【0083】
画像メモリ166は、任意の時刻t1、t2の各撮影画像と該任意の時間より所定時間Δtそれぞれ経過した撮影画像との差分画像を記憶する。視線変換部167は、各差分画像を俯瞰画像に変換する。車両移動測定部168は、図示しない車速検出部とステアリング検出部から取得した車速情報とステアリング情報より自車の経度方向および緯度方向の移動量を算出する。移動補正処理部169は、視線変換部167が作成した該時刻t2の画像の俯瞰画像を前記移動量に基づいて、自車が移動した方向と逆方向にシフトし、シフト画像を発生する。
【0084】
差分画像演算部170は、該時刻t1における差分画像の俯瞰画像より前記シフト画像を差し引いて差分画像を発生する。立体物判断部171は、該差分画像内に残存差分が存在するか判断し、残存差分が存在する場合には立体物が存在すると判断して図示しないスピーカおよび表示部により立体物の存在を運転者に明示して、残存差分が存在しない場合には立体物が存在しないと判断する。
【0085】
図17は本発明の第3実施例の処理フローである。以下、処理フローにしたがって、説明を行う。
図示しないギアポジション検出部はギアがバックに入ったかの監視を行い(ステップS1701)、ギアがバックに入ったと判断した場合には、S1702に進む。
【0086】
ステップS1701において、該ギアポジション検出がギアがバックに入ったと判断した場合には、カメラ161は時刻t1において車両進行方向を撮影し、カメラDSP162は該撮影画像を切り取り、図3(A)の(a)に示すような自車影1、立体物2を含む撮影画像P1を取得する(ステップS1702)。
ついで、Δt経過すると、カメラ161は時刻(t1+Δt)において車両進行方向を撮影し、カメラDSP162は該撮影画像を切り取り図3(A)の(b)に示すような撮影画像P1’を取得し(ステップS1703)、差分演算部164は撮影画像P1より撮影画像P1’を差し引いて、図3(A)の(c)に示すような立体物の残存差分14を含む差分画像P1”を算出する(ステップS1704)。
【0087】
その後、閾値判定部165は差分画像P1”内に存在する残存差分の移動方向の幅が閾値以下かの判断を行い(ステップS1705)、該幅が該閾値以下の場合にはS1706に進み、該幅が閾値以上の場合にはS1707に進む。
ステップS1705において、閾値判定部165が該幅が該閾値内であると判断した場合には閾値判定部165は該残存差分を自車影の残存差分とみなして消去し(ステップS1706)、画像メモリ166は該差分画像を記憶する。
【0088】
ステップ1705において、閾値判定部165が該幅が該閾値以上である判断した場合、もしくはステップS1706の処理を行った後、立体検出装置の制御部(図示せず)は所定時間(例えば、1秒)経過したかの判断を行い(ステップS1707)、所定時間経過した場合にはS1708に進む。
ステップS1707において、所定時間経過した場合には、カメラ161は時刻t2において車両進行方向を撮影し、カメラDSP162は該撮影画像を切り取り、図3(B)の(a)に示すような自車影1、立体物2を含む撮影画像P2を取得する(ステップS1708)。
【0089】
しかる後、Δt経過すると、カメラ161は時刻(t2+Δt)において車両進行方向を撮影し、カメラDSP162は該撮影画像を切り取り図3(B)の(b)に示すような撮影画像P2’を取得し(ステップS1709)、差分演算部164は撮影画像P2より撮影画像P2’を差し引いて、図3(B)の(c)に示すような立体物の残存差分15とを含む差分画像P2”を算出し(ステップS1710)、閾値判定部165は差分画像P2”内に存在する残存差分の移動方向の幅が閾値以下かの判断を行い(ステップS1711)、該幅が該閾値以下の場合にはS1712に進み、該幅が閾値以下ではない場合にはS1713に進む。
【0090】
ステップS1711において、閾値判定部165が該幅が該閾値以下であると判断した場合には閾値判定部165は該残存差分を消去し(ステップS1712)、画像メモリ166は該差分画像を記憶する。
ステップ1711において、閾値判定部165が該幅が該閾値以上であると判断した場合、もしくはステップS1712の処理を行った後、視線変換部167は差分画像P1”および差分画像P2”を俯瞰変換し、図示しない俯瞰画像Gt1(差分画像P1”の俯瞰画像)と俯瞰画像Gt2(差分画像P2”の俯瞰画像)を算出する(ステップS1713)。
【0091】
次に、車両移動測定部168は図示しない車速検出部とステアリング検出部からそれぞれ取得した車速情報とステアリング情報より自車の経度方向および緯度方向の移動量を算出し(ステップS1714)、移動補正処理部169は該移動量に基づいて移動した方向と逆方向に俯瞰画像Gt2をシフトし、図3(B)の(d)に示すように俯瞰画像Gt2全体を移動量分だけ補正した俯瞰画像Gt2”を算出する(ステップS1715)。
【0092】
ついで、差分演算部170は差分画像Gt1より差分画像Gt2’を差し引いて、図3(C)に示すような差分画像Gtsを算出し(ステップS1716)、立体物判断部171は差分画像Gts内に残存差分が存在するか判断し(ステップS1717)、残存差分16が存在する場合にはS1718に進み、残存差分が存在しない場合にはS1719に進む。
【0093】
ステップS1717において、残存差分16が存在する場合には立体物検出部171は進行方向に立体物が存在すると判断し(ステップS1718)、図示しない警告発生部により運転者に警告を行い、残存差分が存在しない場合には進行方向には立体物が存在しないと判断する(ステップS1719)。
【0094】
以上、本実施例によれば、単眼カメラにより近接した2つの時刻に撮影した第1の撮影画像と第2の撮影画像の差分を算出することにより自車影を除去するようにしたので、簡単な処理で時刻t1、t2の撮影画像の差分画像より自車影を除去でき、自車の進行方向に自車影が存在している場合でも、正確に立体物を検出することができ、接触事故や人身事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施例の概略説明図である。
【図2】本発明の第2実施例の概略説明図である。
【図3】本発明の第3実施例の概略説明図である。
【図4】本発明の第1実施例の構成図である。
【図5】本発明の第1実施例の処理フローである。
【図6】本発明の第1実施例のマスク画像発生の処理フローである。
【図7】本発明の第1実施例の第1変形例の構成図である。
【図8】本発明の第1実施例の第2変形例の構成図である。
【図9】カメラによる光源位置検出の概要図である。
【図10】本発明の第1実施例の第2変形例の処理フローである。
【図11】本発明の第1実施例の第2変形例のマスク画像発生の処理フローである。
【図12】本発明の第2実施例の構成図である。
【図13】本発明の第2実施例の処理フローである。
【図14】本発明の第2実施例の影画像算出の処理フローである。
【図15】本発明の第2実施例のマスク画像発生の処理フローである。
【図16】本発明の第3実施例の構成図である。
【図17】本発明の第3実施例の処理フローである。
【図18】従来技術の概略図である。
【図19】従来技術において影が存在する場合の概略図である。
【符号の説明】
【0096】
1 自車影
2 立体物
3 平面図形
4 自車影の残存差分
6 計算で算出した自車影
7 自車影6の残存差分
8 計算で算出した残存差分
9 自車影8より算出した自車影領域
10 自車影領域9を影とした影画像
11 自車影領域の残存差分
13 影画像の残存差分
14 移動前の立体物の残存差分
15 移動後の立体物の残存差分
16 立体物の残存差分
32 太陽運動軌道記憶部
33 太陽位置算出部
34 自車3次元形状記憶部
35 自車影計算部
36 影画像バッファ
37 影画像オフセット部
38 自車影差分演算部
39 差分マスク作成部
40 差分マスク部
71 背景画像作成部
81 カメラ
82 太陽位置検出部
121 画像合成部
163 フレーム遅延制御部
165 閾値判定部
CNW 車内ネットワーク
TP 影の先端の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出方法において、
任意の時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像を視線変換した第1の視線変換画像を発生し、
前記時刻t1より所定時間経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像を視線変換した第2の視線変換画像を発生し、
前記第1の視線変換画像もしくは前記第2の視線変換画像を、前記時刻t1から時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生し、
該シフト画像とシフトしていない視線変換画像との差を算出して第1の差分画像を発生し、
前記時刻t1と前記時刻t2における自車の影画像をそれぞれ作成し、一方の影画像を前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を作成し、
該シフト影画像とシフトしていない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生し、
前記第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生し、
該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する、
ことを特徴とする立体物検出方法。
【請求項2】
更に、前記時刻t1前後の複数枚の撮影画像を取得し平均化し、前記第1の撮影画像とし、
前記時刻t2前後の複数枚撮影画像を取得し平均化し、前記第2の撮影画像とする、
ことを特徴とする請求項1記載の立体物検出方法。
【請求項3】
更に、自車移動方向と車速を検出し、
前記時刻t1と前記時刻t2の時間差と前記移動方向と前記車速を用いて、前記移動量を算出する、
ことを特徴とする請求項1記載の立体物検出方法。
【請求項4】
更に、自車形状を記憶すると共に、自車方向を取得し、かつ光源位置を算出し、
該光源位置と前記自車形状と前記自車方向を用いて、前記影画像を作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の立体物検出方法。
【請求項5】
更に、太陽軌道を記憶すると共に、自車位置を取得し、
前記光源位置を、前記太陽軌道と前記自車位置を用いて算出する、
ことを特徴とする請求項4記載の立体物検出方法。
【請求項6】
更に、任意の場所に設置されたカメラにより光源を撮影し、前記光源位置を、撮影画像により算出する、
ことを特徴とする請求項4記載の立体物検出方法。
【請求項7】
自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出方法において、
車高と太陽位置に基づいて算出される自車影の先端位置より車体側の領域を車影領域とする影画像を作成し、
任意の時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t1における前記影画像を合成して第1の合成画像を発生し、
任意の時刻t1より所定時間経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t2における前記影画像を合成して第2の合成画像を発生し、
前記第1の合成画像と前記第2の合成画像のいずれか一方を、該時刻t1から該時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生し、
該シフト画像とシフトしていない合成画像との差を算出して第1の差分画像を発生し、
前記時刻t1あるいは前記時刻t2における影画像を自車の前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を生成し、
該シフト影画像とシフトしない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生し、
前記第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生し、
該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する、
ことを特徴とする立体物検出方法。
【請求項8】
自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出方法において、
任意の時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像と、該時刻t1より所定時間Δt経過した時刻に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像との差を算出して第1の差分画像を発生し、
前記時刻t1より所定時間T(T>Δt)経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第3の撮影画像と、該時刻t2より前記所定時間Δt経過した時刻に前記カメラにより撮影した第4の撮影画像との差を算出して第2の差分画像を発生し、
前記第1の差分画像と前記第2の差分画像のいずれか一方を、前記時刻t1から前記時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト差分画像を発生し、
該シフト差分画像とシフトしていない差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生し、
該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する、
ことを特徴とする立体物検出方法。
【請求項9】
前記第1の差分画像と前記第2の差分画像を視線変換して、第1の視線変換差分画像と第2の視線変換差分画像を発生し、
該第1の視線変換差分画像と該第2の視線変換差分画像のいずれか一方を前記移動量に基づいてシフトしたシフト差分画像を発生し、
該シフト差分画像とシフトしていない視線変換差分画像との差を算出して前記第3の差分画像を発生する、
ことを特徴とする請求項8記載の立体物検出方法。
【請求項10】
更に、自車の移動方向と車速を検出し、
前記時刻t1と前記時刻t2の時間差と前記移動方向と前記車速を用いて、前記移動量を算出する、
ことを特徴とする請求項8記載の立体物検出方法。
【請求項11】
更に、前記第1の差分画像もしくは前記第2の差分画像を作成する際に、画像の幅に関して閾値判断して該第1、第2の差分画像を作成する、
ことを特徴とする請求項8記載の立体物検出方法。
【請求項12】
自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出装置において、
任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間経過した時刻t2の間に、自車が移動した移動量を算出する移動量算出部と、
前記時刻t1と前記時刻t2に前記カメラによりそれぞれ撮影した第1の撮影画像と第2の撮影画像とをそれぞれ視線変換して第1の視線変換画像と第2の視線変換画像とを発生する視線変換部と、
前記第1の視線変換画像もしくは前記第2の視線変換画像を、前記移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生するシフト画像発生部と、
前記シフトした視線変換画像とシフトしていない視線変換画像との差を算出して第1の差分画像を発生する第1差分画像発生部と、
前記時刻t1と前記時刻t2における自車の影画像をそれぞれ作成する影画像作成部と、
前記影画像の一方を前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を発生するシフト影画像発生部と、
前記シフト影画像とシフトしていない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生する第2差分画像発生部と、
前記第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生する第3差分画像発生部と、
前記第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する立体物判断部と、
を備えたことを特徴とする立体物検出装置。
【請求項13】
更に、複数の撮影画像を取得し平均化した撮影画像を発生する平均撮影画像発生部を備え、
該平均撮影画像発生部が発生した撮影画像を前記第1の撮影画像および前記第2の撮影画像とする、
ことを特徴とする請求項12記載の立体物検出装置。
【請求項14】
更に、前記自車の移動方向を検出する移動方向検出部と、
前記自車の車速を検出する車速検出部と、
を備え、
前記移動量検出部は、前記時刻t1と前記時刻t2の時間差と前記移動方向検出部が検出した移動方向と前記車速検出部が検出した車速を用いて、前記移動量を算出する、
ことを特徴とする請求項12記載の立体物検出装置。
【請求項15】
更に、自車形状を記憶する自車形状記憶部と、
自車方向を検出する自車方向検出部と、
光源の位置を算出する光源位置算出部と、
を備え、
前記影画像作成部は、前記自車形状と前記自車方向と前記光源位置を用いて、前記影画像を作成する、
ことを特徴とする請求項12記載の立体物検出装置。
【請求項16】
更に、太陽軌道を記憶する太陽軌道記憶部と、
自車位置を検出する自車位置検出部と、
を備え、
前記光源位置算出部は、前記太陽軌道と前記自車位置を用いて太陽位置を光源位置として算出する、
ことを特徴とする請求項15記載の立体物検出装置。
【請求項17】
更に、前記自車の任意の場所に、太陽光源を撮影するカメラを備え、
前記光源位置検出部は、該カメラが撮影した画像を用いて太陽位置を前記光源位置として算出する、
ことを特徴とする請求項15記載の立体物検出装置。
【請求項18】
自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出装置において、
車高と太陽位置に基づいて算出される自車影の先端位置より車体側の領域を車影領域とする影画像を生成する影画像生成部と、
任意の時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t1における前記影画像を合成して第1の合成画像を発生する第1合成画像発生部と、
任意の時刻t1より所定時間経過した時刻t2に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像を視線変換して得られる視線変換画像と該時刻t2における前記影画像を合成して第2の合成画像を発生する第2合成画像発生部と、
前記第1の合成画像と前記第2の合成画像のいずれか一方を、該時刻t1から該時刻t2の間に自車が移動した移動量に基づいてシフトしたシフト画像を発生するシフト画像発生部と、
前記第1の差分画像と前記第2の差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生する第3差分画像発生部と、
該シフト画像とシフトしていない合成画像との差を算出して第1の差分画像を発生する第1差分画像発生部と、
前記時刻t1あるいは前記時刻t2における影画像を自車の前記移動量に基づいてシフトしたシフト影画像を生成するシフト影画像生成部と、
該シフト影画像とシフトしない影画像との差を算出して第2の差分画像を発生する第2差分画像発生部と、
該第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する立体物判断部と、
を備えたことを特徴とする立体物検出装置。
【請求項19】
自動車に取り付けた単眼カメラによる立体物検出装置において、
任意の時刻t1と該時刻t1より所定時間T経過した時刻t2の間に、自車が移動した移動量を算出する移動量算出部と、
前記時刻t1に前記カメラにより撮影した第1の撮影画像と、前記時刻t1より所定時間Δt(T>Δt)経過した時刻に前記カメラにより撮影した第2の撮影画像との差を算出して第1の差分画像を発生する第1差分画像発生部と、
前記時刻t2に前記カメラにより撮影した第3の撮影画像と、前記時刻t2より所定時間Δt経過した時刻に前記カメラにより撮影した第4の撮影画像との差を算出して第2の差分画像を発生する第2差分画像発生部と、
前記第1の差分画像と前記第2の差分画像のいずれか一方を前記移動量に基づいてシフトしたシフト差分画像を発生するシフト差分画像発生部と、
前記シフト差分画像とシフトしていない差分画像との差を算出して第3の差分画像を発生する第3差分画像発生部と、
前記第3の差分画像内に残存差分が存在するか調べ、存在する場合には立体物が存在すると判断し、存在しない場合には立体物が存在しないと判断する立体物判断部と、
を備えたことを特徴とする立体物検出装置。
【請求項20】
更に、前記第1の差分画像と前記第2の差分画像を視線変換して、第1の視線変換差分画像と第2の視線変換差分画像を発生する視線変換発生部を備え、
前記シフト差分画像発生部は、前記第1の視線変換差分画像と前記第2の視線変換差分画像のいずれか一方を前記移動量に基づいてシフトしたシフト差分画像を発生し、
前記第3差分画像発生部は、該シフト差分画像とシフトしていない視線変換差分画像との差を算出して前記第3の差分画像を発生する、
ことを特徴とする請求項19記載の立体物検出装置。
【請求項21】
更に、前記自車の移動方向を検出する移動方向検出部と、
前記自車の車速を検出する車速検出部と、
を備え、
前記移動量検出部は、前記時刻t1と前記時刻t2の時間差と前記移動方向と前記車速を用いて、前記移動量を算出する、
を特徴とする請求項19記載の立体物検出装置。
【請求項22】
更に、前記第1の差分画像および前記第2の差分画像を画像幅に関して閾値判断する閾値判断部、
を備えたことを特徴とする請求項19記載の立体物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−15367(P2010−15367A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174515(P2008−174515)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】