説明

立体視車載表示装置

【課題】立体視における奥行きを表現するレベルが表示デバイスの数に依存されることなく、観察位置の制約が少なく、視認性に優れた立体視車載表示装置を提供する。
【解決手段】同じ図形を異なる輝度で重ね合わせ、図形が持つ奥行きを表現する立体視車載表示装置10にて、立体視の対象となる図形の断面形状を示す情報を生成し、生成された断面形状を示す情報に基づき、図形の奥行きを画面手前から奥に向かって透過表示する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムにおけるディスプレイ、マルチファンクションディスプレイ、アイコンディスプレイ、スピードメータ等、立体的な表示機能を持つ、立体視車載表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体視車載表示装置では、複数枚の表示デバイスを備え、最も奥に位置する表示デバイスを除く表示デバイスに背面透過機能を持たせ、それぞれの表示デバイスに異なる図形を描画することにより立体視を実現している。かかる機能を用いて、アイコンや地図上の経路、あるいは地名等の図形・文字を浮き立たせて強調表示することにより視認性を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、2枚の表示デバイスを備え、手前に位置する表示デバイスに背面透過機能を持たせ、それぞれの表示デバイスに輝度が異なる同じ図形・文字を描画し、重ね合わせることで奥行きを表現する立体視(3次元)表示装置も知られている(例えば、非特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−359051号公報(段落「0007」〜「0008」、図3)
【非特許文献1】「偏向型DFD表示装置−NTTアイティ株式会社」、[online]、[2005年12月5日検索]、インターネットURL<http://www.ntt−it.co.jp/goods/idp/dfd/principle.html>
【特許文献2】特開2005−189426号公報(段落「0005」、「0010」〜「0013」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に開示された技術によれば、奥行きを表現するレベルは使用する表示デバイスの数に依存し、使用する表示デバイスの数によっては視認性の高い立体視表示装置を実現することができない。
また、非特許文献1、特許文献2に開示された技術によれば、重なり合う表示面の画間と操作者が観察する位置の制約が大きい。具体的に、アイコンや経路を浮き立たせて強調表示したときに、それを運転席に座ったドライバが斜め方向から観察した場合、二重に見える等、視差上の問題が生じることもある。
【0005】
本発明は前記した事情に基づいてなされたものであり、観察位置の制約を少なくし、視認性に優れた、立体視車載表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために本発明は、少なくとも2枚の表示デバイス上で同じ図形を異なる輝度で重ね合わせ、図形が持つ奥行きを表現する立体視車載表示装置を、立体視の対象となる、背景、道路、経路等、図形の断面形状を示す情報を生成し、生成された断面形状を示す情報に基づき、図形の奥行きを画面手前から奥に向かって透過表示する構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、観察位置の制約を少なくし、視認性に優れた、立体視車載表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明実施形態にかかわる立体視車載表示装置の内部構成を示すブロック図である。ここでは、本発明の立体視車載表示装置をカーナビゲーションシステムに適用した場合の実施形態が示されている。
本発明実施形態にかかわる立体視車載表示装置10は、カーナビゲーションシステムの制御中枢となる車載情報処理装置11と、その周辺装置となる、立体視ディスプレイ12、位置検知用デバイス13、操作入力装置14、電子制御ユニット(Electric Control Unit:以下、ECUという)15、および音声出力装置16とから構成される。
【0009】
車載情報処理装置11は、位置検知用デバイス13、操作入力装置14、およびECU15のそれぞれによって出力される入力情報を取り込み、内部で設定された情報に基づき加工し、生成される情報を立体視ディスプレイ12(表示デバイス#1、表示デバイス#2)に表示するとともに、音声出力装置16を介して道案内等ガイダンスを音声出力する。
図1に示されるように、車載情報処理装置11は、演算処理部111と、グラフィックス処理部112と、表示デバイス#1用VRAM113と、表示デバイス#2用VRAM114と、実画面用VRAM115と、奥行き設定用VRAM116と、地図情報DB117と、描画用図形情報DB118と、ナビ設定情報DB119と、インタフェース(I/F)部120とで構成される。
【0010】
演算処理部111は、表示仕様に基づき、立体視の対象となる図形の断面形状を示す情報を生成するとともに、ここで生成された情報に基づき、I/F部120を介して取り込まれる情報を加工するグラフィックス処理部112をコントロールする機能を持つ。ここで、「表示仕様」とは、立体視の対象となる、道路、経路、アイコン等の図形の奥行きを表現するときに、画面上のどの位置に、どの色で、どのような形状で表示するかを示す情報をいう。詳細は後記する。
また、グラフィックス処理部112は、演算処理部111により生成される断面形状を示す情報に基づき、図形の奥行きを画面手前から奥に向かって透過表示する機能を持つ。具体的に、グラフィックス処理部112は、実画面用VRAM115や奥行き設定用VRAM116への読み書きを行い、あるいは実画面用VRAM115と奥行き設定用VRAM116に書き込まれた内容を各表示デバイス用VRAM113、114に反映させるための変換を行う。
【0011】
ここで、「図形」とは、道路を描画する線、アイコンを描画する図形、名称を描画する文字列、背景を描画する図形等をいう。
また、「断面形状を示す情報」とは、後記するナビ設定情報DB119に設定される図形に関する描画用情報であり、例えば、道路描画用情報であれば、後記する実施例1(図5(a))に示す、道路の種類毎に設定される、実画面での線の太さと、奥行き設定における線の重ね合わせ数と、重ね合わせ数に相当する分の線の太さおよび線の奥行き(画面手前から奥に向かう距離を数値で表現)に関する情報をいい、あるいは、後記する実施形態2(図11(a))に示す、道路の種類毎に設定される、実画面での線の太さと、線の奥行きを示す情報と、ぼかし円の半径およびぼかしフィルタの大きさを示す情報をいう。いずれも詳細は後記する。
【0012】
表示デバイス#1用VRAM113、および表示デバイス#2用VRAM114は、立体視ディスプレイ12を構成する各表示デバイス121、122に表示する内容を一時的に記憶する表示デバイス用画面記憶部である。また、実画面用VRAM115は、奥行きを付加する対象となる2次元の表示内容を一時的に記憶する実画面用画面記憶部である。また、奥行き設定用VRAM116は、実画面用VRAM115における各画素に対応する奥行きの情報を一時的に記憶する奥行き設定用画面記憶部である。
前記した表示デバイス#1用VRAM113、および表示デバイス#2用VRAM114に描画する情報は、グラフィックス処理部112が、演算処理部111によって生成される情報を変換して書込む。詳細は、図3を用いて後記する。
【0013】
なお、地図情報DB117は、地図表示・経路誘導に必要な地図情報を格納するデータベースであり、ここで、地図情報とは、道路・施設・背景等の位置や種類に関する情報のことをいう。また、描画用図形情報DB118は、施設情報やアイコン、メニュー画面のテンプレート等に使用する図形情報を格納するデータベースのことをいう。
また、ナビ設定情報DB119には、立体視の対象となる図形、ここでは、背景、道路、アイコン、経路等の断面形状を示す情報(形や色、奥行き等に関するパラメータ)が、それぞれ、背景描画用情報、道路描画用情報、アイコン描画用情報、経路描画用情報、文字描画用情報として格納される。図2に、前記したナビ設定情報のデータ構造の一例が示されている。
【0014】
I/F部120は、外部接続デバイス12、13、14、15、16と、車載情報処理装置11との間でやりとりされる情報の仲介を行うインタフェースユニットである。
【0015】
一方、立体視ディスプレイ12は、3次元表示機能を有し、車載情報処理装置11により生成される情報を表示するものである。
立体視ディスプレイ12は、単体で車載情報処理装置11からの情報を表示可能な、たとえば、LCD(Liquid Crystal Device)からなる2枚の表示デバイス(表示デバイス#1(121)、表示デバイス#2(122))を有し、運転席から見てそれぞれ手前と奥に設置されている。手前の表示デバイス(表示デバイス#1(121))に関しては、手前から奥へ背面画像を透過表示することができる。
【0016】
周辺装置である位置検知用デバイス13は、車両の位置を検知するために必要なデバイスであり、GPS(Global Positioning System)やメータ用ECU、加速度センサ等をいう。また、操作入力装置14は、ユーザからの操作入力を取り込み、車載情報処理装置11に送信するものであり、リモコン、コンソールパネル、音声認識用マイク等をいう。なお、操作入力装置14として表示デバイス#1(121)をタッチパネルに置き換えてもよい。
また、ECU15は、車両の電子制御装置であり、車両内の適所に設置され、たとえば、センサ等からの信号を車内LAN(Local Area Network)経由で取り込んで車載情報処理装置11に出力し、あるいは車載情報処理装置11によって生成される指令を実行する。また、音声出力装置16は、車載情報処理装置11により生成される情報を、音声に変換して出力するものであり、スピーカ、ヘッドホン等がこれに相当する。
【0017】
図3は、図1に示す車載情報処理装置11のうち、グラフィックス処理部112周辺を抽出し、グラフィックス処理部112による描画動作を画面上に模式的に示した動作概念図である。
図3に示されるように、グラフィックス処理部112は、図形出力変換部131を制御中枢とし、実画面用VRAM読込み部132と、奥行き設定用VRAM読込み部133と、表示デバイス#1用VRAM書込み部134と、表示デバイス#2用VRAM書込み部135とで構成される。
【0018】
図形出力変換部131は、実画面用VRAM115に格納された図形情報を、実画面用VRAM読込み部132を介して読込んで複製し、更に、奥行き設定用VRAM116から奥行き設定用VRAM読込み部133を介して読込まれた奥行き設定情報に基づき輝度変換を行い、 表示デバイス#1用VRAM113、表示デバイス#2用VRAM114に対し、それぞれ、表示デバイス#1用VRAM書込み部134、表示デバイス#2用VRAM書込み部135を介して前記変換された輝度に従う複製された同じ図形情報を描画する機能を持つ。
【0019】
具体的に、自車位置、経路、道路を描画する場合、まず、奥行き設定用VRAM116に、自車位置を手前に、経路を中間位置に、道路を奥に、それぞれ表示するよう設定する。実際は、奥行き設定用VRAM116において、黒を手前、灰色を中間位置、白を奥とするグレースケールの図形描画を行う。この場合、自車位置を黒、経路を灰色、道路を白で、それぞれ描画を行う。
【0020】
一方、前記した自車位置、経路、道路等対象物の立体視表示において、表示デバイス#1(121)における対象物の輝度を高く、表示デバイス#2における対象物の輝度を低くすれば、立体視ディスプレイ12全体としてその対象物は手前に表示される。逆に、表示デバイス#1(121)における対象物の輝度を低く、表示デバイス#2(122)における対象物の輝度を高く設定すれば、その対象物は奥に表示される。
【0021】
従って、図形出力変換部131は、実画面用VRAM115の内容をまず表示デバイス#1用VRAM113と表示デバイス#2用VRAM114に複製し、奥行き設定用VRAM116の内容を用いて輝度の変換を行う。ここでは、手前に表示すべき対象物、具体的に自車位置について、表示デバイス#1(121)の輝度を高くし、表示デバイス#2(122)の輝度を低くする。
また、奥に表示すべき対象物、具体的に道路について、表示デバイス#1(121)の輝度を低くし、表示デバイス#2(122)の輝度を高くする。更に、中間位置に表示すべき対象物、具体的に経路に関しては、表示デバイス#1(121)と表示デバイス#2(122)とで均等に輝度を設定し表示する。
【0022】
なお、最も手前に表示する対象物については、表示デバイス#2(122)の輝度がゼロになり奥には何も見えないため、立体性を誇張するために影の図形を奥に表示するものとする。
【0023】
ここで、図形出力変換部131による輝度変換についてベクトルを用いて詳述する。ここでは、表示画面を構成する画素数をl(dot)×m(dot)とし、実画面用VRAM115の画素(i,j)における内容をa(i,j)とする。また、a(i,j)は、RGBデータ等、その画素における色を表すベクトルデータとし、例えば、実画面用VRAM115における画素が白、a(i,j)=(R,G,B)の順、各色の範囲を0から255と仮定すれば、R=255、G=255、B=255の場合、a(i,j)=(255,255,255)となる。
【0024】
表示デバイス#1用VRAM113の画素(i,j)における内容をb(i,j)、表示デバイス#2用VRAM114の画素(i,j)における内容をc(i,j)、奥行き設定用VRAM116の画素(i,j)における内容をd(i,j)、ベクトル(255,255,255)をv255とすれば、図形出力変換部131は、以下の計算式で示されるb(i,j)、c(i,j)を出力する。
b(i,j)=(v255−a(i,j))/255*d(i,j)+a(i,j)
c(i,j)=−(v255−a(i,j))/255*d(i,j)+v255
【0025】
白を透過色とすれば、奥行きd(i,j)が手前を示す場合は、手前に位置する表示デバイス#1(121)の方で色a(i,j)そのものを表示し、奥に位置する表示デバイス#2(122)で透過色を表示することになるため、画素が手前に浮き出て見える。一方、奥行きd(i,j)が奥を示す場合は、手前に位置する表示デバイス#1(121)で透過色を表示し、奥に位置する表示デバイス#2(122)でa(i,j)そのものを表示することになるため、画素が奥に表示されるようになる。
なお、奥行きの分解能(手前−奥)と表示デバイスの数(#1、#2)とは必ずしも一致させる必要はない。
【0026】
図4は、本発明実施形態における立体視車載表示装置の基本動作を説明するために引用したフローチャートである。図4のフローチャートは、本発明のプログラムの処理手順も併せて示している。
以下、図4に示すフローチャートを参照しながら、図1〜図3に示す本発明実施形態にかかわる立体視車載表示装置の基本動作について説明する。
【0027】
まず、演算処理部111は、位置検知用デバイス13を用いて計測される現在位置情報と操作入力装置14を介してユーザにより入力される目的地情報とに基づき、誘導地点到達距離計算を行う(ステップS41)。
次に、演算処理部111は、描画用図形情報DB118を参照し、背景、道路、アイコン、経路、文字等に関する各種描画用情報を読込む。必要に応じて、位置検知用デバイス13から自車位置、ECU15から車速等の車両情報を、また、地図情報DB117から地図情報等を読込み、前記読込んだ各情報を、地図画面や経路誘導画面、メニュー画面等に表示できるような形式に加工する。
【0028】
続いて、演算処理部111は、立体視のために、地図画面や経路誘導画面、メニュー画面等、全画面における奥行き設定を行う(ステップS42)。ここでは、全ての画面における奥行きを全て奥の画面に設定するための初期化を行う。
その後、グラフイックス処理部112による奥行き設定用VRAM116への書込みを行う。具体的に、グラフイックス処理部112は、ナビ設定情報DB119を参照して立体視の対象となる図形の描画用情報を読み出し、あるいは関数演算により逐次生成される描画用情報に基づき、背景、道路、アイコン、経路、地名の順等、あらかじめ定義された優先順位に従い、実画面描画処理(実画面用VRAM115への書込み)と、奥行き設定処理(奥行き設定用VRAM116への書込み)とを交互に実行する(ステップS43〜ステップS52)。
【0029】
以下、前記した奥行き設定処理の詳細について、図5と図11に示す描画用情報に基づき、それぞれ、実施形態1、実施形態2として説明する。いずれも2枚の表示デバイス(#1と#2)を用いて、図形を立体的に表示する形態である。
【0030】
(実施形態1)
図5(a)は、ナビ設定情報DB119に格納される道路描画用情報の一例を表形式で示した図である。道路用描画情報は、演算処理部111によって生成される。道路描画用情報は、高速道や一般道等、IDが付される道路の種類毎、実画面での線の太さ、奥行き設定における線の重ね合わせ数、その重ね合わせ数分の道路の形状、およびそれぞれの奥行きに関する道路の断面形状を示す情報であり、ナビ設定情報DB119に格納される。ここでは、道路の形状を線の太さで表現するものとする。
グラフィックス処理部112は、ナビ設定情報DB119に格納された道路描画用情報を参照し、線1〜線4を、線1〜線4の奥行きに従い、線の重ね合わせ数分だけ描画を繰り返すことにより、脇に傾斜を持つ道路を描画することができる。この詳細は後記する。
【0031】
図5(b)は、ナビ設定情報DB119に格納される経路描画用情報の一例を表形式で示した図である。経路描画用情報は、経路に関する描画用情報であり、道路描画用情報とは異なり、1種類(ID=0)しかない。
【0032】
図6は、実施形態1にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。ここでは、道路の奥行き設定における処理の流れが示されている。図6のフローチャートは、本発明のプログラムの処理手順も併せて示している。
以下、図6に示すフローチャートを参照しながら、実施形態1による道路の奥行き設定動作について説明する。
【0033】
まず、演算処理部111は、地図情報DB117を参照して道路データを読込み(ステップS61)、また、ナビ設定情報DB119を参照して道路描画用情報を読込む(ステップS62)。続いて、演算処理部111は、読込まれた各道路の道路描画用情報をその道路の細さ順にソートする(ステップS63)。
そして、道路描画用情報として、図5(a)に例示された線#i(1〜n)の奥行きならびに太さに関する情報を設定し(ステップS66)、道路上の位置にその線#iを描画する(ステップS67)。ここで、ステップS66、S67の設定および描画処理は、道路の種類の数分(ステップS64からS69)、更に、線の重ね合わせ数分だけ繰り返される(ステップS65からS68)。このことにより、道路表示に傾斜をつけることができ、その傾斜により視差を吸収することができる。
【0034】
ここで、「設定」とは、道路の断面形状を示す情報(線#iの奥行きならびに太さに関する情報)を生成することをいい、表示仕様に基づきあらかじめ定義された内容をナビ設定情報DB119に道路描画用情報として格納するか、関数を用意し、奥行きの最大値と最小値、線の太さ、線形の度合いに関する情報(例えば、0:リニア、1:階段状)をパラメータとして入力することにより必要な道路描画用情報を出力することをいう。
【0035】
ステップS63のソート処理の詳細は図7に示されている。すなわち、演算処理部111は、道路の種類(ID=1〜3)の数分だけループし(ステップS631からS633)、その道路における線の太さの最大値を求める(ステップS632)。そして、線の太さの最大値が小さい順に道路の種類をソートする(ステップS634)。このことにより、グラフィックス処理部112は、細い線を画面手前に、太い線を画面奥に描画することができ、道路脇に傾斜をつけて表示することができる。
グラフイックス処理部112は、ナビ設定情報DB119に格納された、あるいは関数演算により生成出力される道路描画用情報(線の奥行きならびに太さ)に従い、奥行き設定用VRAM116に該当の線を書き込む。
【0036】
なお、前記した奥行き設定処理は、前記した道路のみならず、図5(b)に示す経路用描画情報に基づき表示される経路は勿論のこと、背景やアイコンに関しても同様に行う。
【0037】
図8は、実施形態1にかかわる立体視車載表示装置により生成される画面構成の一例を示す図である。
表示する図形・文字の断面形状に関しては、図形や文字を手前と奥の中間位置に表示する場合、図形の内部(図形の輪郭部分)を除いた画像を中間位置に表示し、図形の輪郭部分は図形の内部から外側に向かって、中間位置から奥へ表示する。
このとき、輪郭部分を表示する方法は、ぼかし円を図形・文字の縁に描画するか、または、白くて太い線を書いてゆき、色の付いた線を濃く且つ線幅を細くした線を上書きしていく、といったように、いずれも中間位置から奥へ描画してゆく。
描画する線の太さの最大値・奥行き・重ね合わせ数は、道路種別・POI(Point of Interest)種別などによって決め、強調して表示したいものがより太く表示されるように定める。
このとき、線の中心が、最も手前でも最も奥でもない、中間位置にある場合、線の内郭から外に向かって、奥行きが中間位置から最も奥になるように線を描く。
図8に示されるように、道路は、高速道、一般道、細街路に種類分けされており、図9(a)〜図9(c)に示す断面形状に従い3次元表示される。なお、奥行き設定は、前記した背景、道路、アイコン、経路、地名の順で奥に表示されるように規定された優先順に従って行なわれる。
【0038】
図9(a)〜図9(c)は、経路、高速道、一般道、細街路のそれぞれの断面形状を示す図であり、図5(a)に示す道路描画用情報に従い、道路を描画したときの断面形状を示す図である。いずれも、縦軸に、画面手前からの距離を数値表現した奥行き、横軸に位置を示している。
図9(a)は、図5(a)に道路描画用情報として示す実画面での線の太さ6で表示される高速道に関し、太さ“6”奥行き“3”の線1と、太さ“4”奥行き“2”の線2と、太さ“2”奥行き“1”の線3とを重ね合わせて描画したときの断面図、図9(b)は、実画面での線の太さ4で表示される一般道に関し、太さ“4”奥行き“3”の線1と、太さ“2”奥行き“2”の線2とを重ね合わせて描画したときの断面図、図9(c)は、実画面での線の太さ2で表示される細街路に関し、太さ“2”奥行き“3”の線1のみ描画(重ね合わせ数1)したときの断面図である。
【0039】
前記した断面図の描画は、いずれも図6のステップS66に示される「線#iの奥行き、太さ設定」処理、およびステップS67に示される「道路上の位置に線#iを描画」処理を、線の重ね合わせ数分だけ繰り返すことによって実現される。
本実施形態では、対象物の奥行きの値に応じて輪郭部分を表示する奥行きを変える。対象物の奥行きが中間位置の場合、通常であれば、前後の液晶に同じ大きさ分の対象物が表示されるため、視点位置が、デバイスの正面からずれた場合、像が二重に見えてしまう。しかし、輪郭のみを対象物の後ろの方に描画させることにより、輪郭の無い部分だけ対象物の図形が後ろの図形に包含されるような形になるため、多少の視点のずれが生じても、対象物の像のずれが目立たなくなる。更に、輪郭部にグラデーションをつけることにより、手前側の像の内郭をぼかすことができ、内側の線を消すことができる。
図9(a)〜図9(c)に示されるように、描画された道路の断面形状に基づき表示される道路脇の傾斜が視差を吸収し、このことにより、道路を浮き立たせて強調表示したときに、それを運転席に座ったドライバが斜め方向から観察した場合二重に見える等の視差上の問題を回避することができる。
【0040】
図10(a)〜図10(e)は、図5(b)に示す経路描画用情報に従い、経路を描画したときの断面形状を示す図である。
図10(a)は、実画面での線の太さ8で示される経路を三次元表示しない場合の経路断面を、図10(b)は、図10(a)に太さ“16”、奥行き“3”の線1を描画したときの経路断面を示す。また、図10(c)は、実画面での線の太さ8で示される経路に関して、図10(b)に示す線1と、太さ“14”、奥行き“2”の線2とを重ね合わせて描画したときの経路断面を、図10(d)は、図10(c)に示す線1と線2に、更に、太さ“12”奥行き“1”の線3を重ね合わせて描画したときの経路断面である。また、図10(e)は、図10(d)に示す線1と線2と線3に、更に、太さ“10”奥行き“0”の線4を重ね合わせて描画したときの経路断面を示す図である。すなわち、図10(e)に示す断面形状が、図5(b)に示される奥行き設定における線の重ね合わせ数“4”に従い描画される、経路脇に傾斜が付加された経路を示す。なお、重ね合わせて描画すると、重なった部分は上書きされ画像としては残らない。
【0041】
前記した経路断面の描画は、いずれも図6のステップS66に示される「線#iの奥行き、太さ設定」処理、およびステップS67に示される「道路上の位置に線#iを描画」処理を、線の重ね合わせ数分だけ繰り返すことによって実現される。
図10(e)に示されるように、描画された経路の断面形状に基づき表示される経路脇の傾斜が視差を吸収し、このことにより、経路を浮き立たせて強調表示したときに、それを運転席に座ったドライバが斜め方向から観察した場合二重に見える等の視差上の問題を回避することができる。
【0042】
以上説明のように実施形態1によれば、道路や経路、アイコン等立体視の対象となる図形の設定情報の中に、その断面形状を示す情報を付加することで、その対象図形に傾斜を付加することにより強調表示することができ、その傾斜が視差を吸収することから正確な視認が可能になる。
【0043】
(実施形態2)
図11(a)は、ナビ設定情報DB119に格納される道路描画用情報の他の一例を表形式で示した図である。
道路描画用情報は演算処理部111によって生成される。道路描画用情報は、高速道や一般道等、IDが付される道路の種類毎、実画面での線の太さと、奥行きを示す情報(画面手前から奥に向かって0から9で表現)と、ぼかし円の半径と、ぼかしフィルタの大きさを示す情報とがナビ設定情報DB119に格納される。ここでは、道路の形状を線の太さで表現するものとする。ここでは、奥行きが0〜9で表現されているため、以降の説明では、0が最も手前、9が最も奥、1〜8が手前と奥を除く任意の位置(中間位置)として表現される。
【0044】
図11(b)は、ナビ設定情報DB119に格納される経路描画用情報の一例を表形式で示した図である。経路描画用情報は、経路に関する描画用情報であり、道路描画用情報とは異なり、1種類(ID=0)しかない。
【0045】
なお、ぼかしフィルタについては、http://www.mis.med.akita−u.ac.jp/~kata/image/sharpen.html、http://www.myu.ac.jp/~makanae/CG/cg1_4.html、http://www.mm.ice.saitama−u.ac.jp/~ohsawa/ip/5.pdf(いずれもインターネットURL)等に詳細に開示されている。
【0046】
図12は、実施形態2にかかわる立体視車載表示装置10の動作を説明するために引用したフローチャートである。ここでは、道路の奥行き設定における処理の流れが示されている。図12のフローチャートは、本発明のプログラムの処理手順も併せて示している。
以下、図12のフローチャートを参照しながら、道路の奥行き設定における処理の流れについて説明する。
【0047】
車載情報処理装置11は、まず、立体視の対象となる図形、例えば、道路を画面手前と奥を除く任意の位置に表示する場合(ステップS121“中間位置”)、図11(a)に示す道路描画用情報を取得する。
すなわち、その道路の輪郭を除く内部の図形(線)を中間位置に表示し、その輪郭を図形の内部から外郭に向かって中間位置から奥へ表示するような奥行きを示す情報“5”と、ぼかし円の半径“4”と、ぼかしフィルタの大きさを示す情報“5”とからなる道路の断面形状を示す情報を取得する(ステップS122)。
【0048】
一方、道路を画面手前に表示する場合(ステップS121“最も手前”)、輪郭を含む道路を画面手前に表示するような奥行きを示す情報“0”と、ぼかし円の半径“2”およびぼかしフィルタの大きさを示す情報“3”とからなる道路の断面形状を示す情報を取得する(ステップS123)。
具体的には、演算処理部111が、図11(a)に例示された、奥行きを示す情報と、ぼかし円の半径、およびぼかしフィルタの大きさを示す情報とを道路描画用情報として生成しておき、ナビ設定情報DB119にあらかじめ書込んでおく。あるいは、実施形態1同様、用意した関数にパラメータを入力することにより図11(a)に例示する道路描画用情報を生成し、逐次取得してもよい。
【0049】
そして、グラフィックス処理部112は、その道路上の位置に取得した断面形状に従う線を実画面用VRAM115にそれぞれ描画する(ステップS124、S125)。ここで、ステップS122とS123の設定処理、およびステップS124とS125の描画処理は、それぞれ、道路の種類の数分だけ繰り返し実行される。
このことにより、道路に傾斜をつけることができ、その傾斜により視差を吸収することができる。なお、前記した奥行き設定処理は、図11(b)にその描画用情報が示される経路、および背景、アイコン、文字に関しても同様である。
【0050】
図13は、実施形態2にかかわる立体視車載表示装置10の動作を説明するために引用したフローチャートである。ここでは、道路を含む図形の奥行き描画(図12のステップS124、S125)における処理の流れが示されている。図13のフローチャートは、本発明のプログラムの処理手順も併せて示している。
また、図14〜図20は、実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を表示画面上に展開して示した動作概念図であり、図13にフローチャートで示す動作を補足する意味で示したものである。
【0051】
以下、図13に示すフローチャートと、図14〜図20に示す動作概念図を参照しながら、実施形態2の動作について説明する。
【0052】
まず、演算処理部111は、描画用図形情報DB118を参照して道路を含む図形に関する描画用情報を読込む。必要に応じて、位置検知用デバイス13から自車位置、ECU15から車速等の車両情報、地図情報DB117から地図情報等を読込む(ステップS131)。続いて、演算処理部111は、前記した各種データを、地図画面や経路誘導画面、メニュー画面等に表示できるような形式に加工する(ステップS132)。
演算処理部111は、更に、ナビ設定情報DB119を参照して道路を含む図形の描画に必要な描画用情報に関するナビ設定情報を読込み(ステップS133)、実画面用VRAM115への図形の描画を行う(ステップS134)。ここで、実画面への図形の描画は、グラフィックス処理部112が、前記した各種描画用情報に基づき生成される図形を実画面用VRAM115に書込むことにより実行される。
【0053】
続いて、グラフィックス処理部112は、奥行きの初期化を行う(ステップS135)。具体的には、全ての画面における奥行きを全て奥(9)に設定する。その後、奥行き設定用VRAM116への書込みを行う。こでは、ナビ設定データから図形の奥行きに関する情報(0〜9)を読み込み、画面への表示仕様としての図形の奥行きの判定を行う(ステップS136)。
例えば、道路の奥行きに関する情報が最も奥(9)に設定されていれば、初期化時、奥に設定されていたため何もしない。また、道路の奥行きが中間位置を示していれば、グラフィックス処理部112は、奥行き設定用VRAM116へ道路図形の描画を行う(ステップS137)。
【0054】
仮りに、図14(a)に示されるように、立体視ディスプレイ12(表示デバイス#1(121)、表示デバイス#2(122))に、図形としての道路や経路を表現する線を描画する場合、図14(b)に示されるように、まず、奥行き設定用VRAM116にその奥行きを表す階調色で線を描画する。また、図15(a)に示されるように、図形としての信号機を描画するのであれば、図15(b)に示されるように、奥行き設定用VRAM116にその奥行きを表す階調色でその図形を描画する。
グラフィックス処理部112は、その後、奥行き設定用VRAM116上で、ぼかした円を用い、その図形の外側を塗りつぶす処理を実行する。このことにより、図形の内郭は白で消される。
【0055】
ぼかした円の作り方は、図16に示されている。すなわち、グラフィックス処理部112は、ナビ設定情報DB119に定義されている、ぼかした円の半径に従う円を、ぼかしフィルタの大きさに従うぼかしフィルタ100により輝度変換して生成する。そして、ぼかしフィルタの大きさから生成されたぼかしフィルタ100により、先に生成した円をぼかすための輝度変換を実行する。そして、その円について、図形の内側の輪郭を白で消していく処理を実行し、図形の内郭を塗りつぶす(図13のステップS138)。
【0056】
奥行き設定用VRAM116において、表示デバイス#1(#2)用VRAM113(114)に描画された図形が図14(a)に示す例であれば、線の周りを白で消し、表示デバイス#1(#2)用VRAM113(114)に描画された図形が図15(a)に示す例であれば、図形の周りを白で消していく。従って、線の場合であれば、元の線よりぼかし円に相当する分だけ線が細くなり、図形の場合では図17に示されるように、元の図形よりぼかし円に相当する分だけ図形の面積が小さくなる。
このため、図18(b)に示されるように、視線がずれると図形(道路)が二重に見えるといった視差に基づく従来の現象が、図18(a)に示されるように回避される。すなわち、手前の図形を小さくすることで視線がずれても図形(道路)が二重に見えることはなくなる。
【0057】
一方、図形の奥行きが最も手前(奥行き“0”)を示していれば、グラフィックス処理部112は、まず、図形の周囲の輪郭を抽出し、図19(a)に示されるように、奥行き設定用VRAM116上でぼかした円を用いて図形の外郭を塗りつぶす処理を実行する(図13のステップS139)。その後、グラフィックス処理部112は、図19(b)に示されるように、図形の周囲の塗りつぶし部分に対して上書きするように、奥行き設定用VRAM116上に図形を描画する(図13のステップS140)。このように、元の図形より周囲部分だけ面積の大きい図形を奥行き設定用VRAM116に描画することになる。
このため、図20(b)に示されるように、視線がずれると図形が二重に見えるといった視差に基づく従来の現象を、図20(a)に示されるように回避することができる。すなわち、手前の図形を大きくすることで視線がずれても影の描画により図形が二重に見えることがなくなる。
【0058】
以上説明のように実施形態2によれば、立体視の対象となる図形を画面手前と奥の略中間位置に表示する場合、図形の輪郭部分を除いた内部の図形のみを中間位置に表示し、図形の輪郭部分は図形の内部から外郭に向かって、中間位置から奥へ表示することで、画面手前の図形が奥の図形に包括され、このため、正面から多少視点がずれた位置から視認しても図形が二重に見えるのを防ぐことができる。
また、立体視の対象となる図形を最も画面手前に表示する場合において、図形だけでなくその輪郭も画面手前に表示することで、影の部分が輪郭分だけ大きくなり、奥の図形全体が隠れるため、図形が二重に見えるのを防ぐことができる。
【0059】
なお、ECU15を介してセンサ(図示せず)から得られる車速信号に基づき、立体視の対象となる図形における断面形状の内部の面積、または輪郭の幅を変化させることで、車速が速くなって車体の揺れが激しくなり、視線が不安定になった場合でも、図形が二重に見える等、視差に基づく問題を解消できる。
また、前記した本発明の実施形態によれば、立体視ディスプレイ12(表示デバイス#1、#2)としてLCDのみ例示したが、EL(電界発光型)、あるいは透過表示可能な他の表示デバイスを用いても同様の効果が得られる。
【0060】
なお、本発明の立体視車載表示装置10は、前記したように専用のハードウェアにより実現される他に、その機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するものであってもよい。
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク等の記録媒体の他に、インターネット等の通信媒体を介してプログラムが転送される場合のように、プログラムを動的に保持するもの、あるいは、そのときのサーバが持つ揮発性メモリのように一定時間プログラムを保持するものも含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態にかかわる立体視車載表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すナビ設定情報DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】図1に示すグラフィックス処理部による描画動作を画面上に模式的に示した動作概念図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかわる立体視車載表示装置の基本動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図5】実施形態1にかかわる道路、経路描画用情報の一例を表形式で示した図である。
【図6】実施形態1にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図7】実施形態1にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図8】実施形態1にかかわる立体視車載表示装置による画面構成の一例を示す図である。
【図9】実施形態1にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図10】実施形態1にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図11】実施形態2にかかわる道路、経路描画用情報の一例を表形式で示した図である。
【図12】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図13】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図14】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図15】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図16】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図17】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図18】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図19】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【図20】実施形態2にかかわる立体視車載表示装置の動作を説明するために引用した動作概念図である。
【符号の説明】
【0062】
10 立体視車載表示装置
11 車載情報処理装置
12 立体視ディスプレイ
111 演算処理部
112 グラフィックス処理部
113 表示デバイス#1用VRAM
114 表示デバイス#2用VRAM
115 実画面用VRAM
116 奥行き設定用VRAM
117 地図情報DB
118 描画用図形情報DB
119 ナビ設定情報DB
120 インタフェース(I/F)部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚の表示デバイス上で同じ図形を異なる輝度で重ね合わせ、前記図形が持つ奥行きを表現する立体視車載表示装置であって、
立体視の対象となる前記図形の断面形状を示す情報を生成する演算処理部と、
前記生成された断面形状を示す情報に基づき、前記図形の奥行きを画面手前から奥に向かって透過表示する処理を行うグラフィックス処理部と、
を具備することを特徴とする立体視車載表示装置。
【請求項2】
前記図形は、
道路を描画する線、アイコンを描画する図形、名称を描画する文字列、背景を描画する図形のうち、少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の立体視車載表示装置。
【請求項3】
前記断面形状を示す情報は、
前記図形の重ね合わせ数と、前記重ね合わせ数に相当する分における前記図形の形状、およびそれぞれの奥行きを示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の立体視車載表示装置。
【請求項4】
前記断面形状を示す情報は、
前記奥行きを示す情報と、ぼかし円の半径およびぼかしフィルタの大きさを示す情報と、であることを特徴とする請求項1に記載の立体視車載表示装置。
【請求項5】
前記演算処理部は、
前記図形を、前記重ね合わせのときの優先順にソートし、前記ソートされた図形を、順次、画面手前から奥に向かって表示するように前記断面形状を示す情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の立体視車載表示装置。
【請求項6】
前記演算処理部は、
前記図形を画面手前と奥との中間位置に表示する場合、前記図形の輪郭を除く内部の図形を前記中間位置に表示し、前記輪郭を前記図形の内部から外郭に向かって前記中間位置から奥へ表示するように前記断面形状を示す情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の立体視車載表示装置。
【請求項7】
前記演算処理部は、
前記図形を画面手前に表示する場合、前記図形の輪郭を含む内部の図形を画面手前に表示するように前記断面形状に関する情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の立体視車載表示装置。
【請求項8】
前記演算処理部は、
外部接続されるセンサを介して取得された車速信号に応じて前記図形の断面形状における内部の面積もしくは輪郭の幅を変化させることを特徴とする請求項6または7に記載の立体視車載表示装置。
【請求項9】
前記グラフィックス処理部は、
2つの表示デバイス用画面記憶部へ表示すべき図形情報を書込む各表示デバイス用画面書込み部と、
実画面用画面記憶部から前記立体視の対象となる図形を読込む実画面読込み部と、
前記演算処理部によって生成され、前記実画面用画面記憶部に格納された図形情報の各画素に対応する奥行き設定情報が格納される奥行き設定用画面記憶部から前記奥行き設定情報を読込む奥行き設定画面読込み部と、
前記実画面用画面記憶部に格納された図形情報を複製し、前記奥行き設定用画面記憶部から読込まれる奥行き設定情報に基づき輝度の変換を行い、前記各表示デバイス用画面書込み部に対し、前記変換された輝度に従う前記複製された図形情報を出力する図形出力変換部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の立体視車載表示装置。
【請求項10】
前記図形出力変換部は、
前記輝度変換にあたり、前記演算処理部によってそれぞれ設定された形状および奥行きを示す情報に従い、前記図形の重ね合わせ数分だけ繰り返し描画することを特徴とする請求項9に記載の立体視車載表示装置。
【請求項11】
前記図形出力変換部は、
ぼかしフィルタにより生成される円を用いて前記図形の内郭を塗りつぶし、前記図形を前記塗りつぶした内郭分だけ小さくして画面手前と奥との略中間位置に表示することを特徴とする請求項9に記載の立体視車載表示装置。
【請求項12】
前記図形出力変換部は、
ぼかしフィルタにより生成される円を用いて前記図形の外郭を塗りつぶし、影に相当する部分を前記塗りつぶした輪郭分だけ大きくして画面手前に表示することを特徴とする請求項9に記載の立体視車載表示装置。
【請求項13】
少なくとも2枚の表示デバイス上で同じ図形を異なる輝度で重ね合わせ、前記図形が持つ奥行きを表現する立体視車載表示装置に用いられるプログラムであって、
立体視の対象となる図形の断面形状を示す情報を生成する第1の処理と、
前記生成された断面形状を示す情報に基づき、前記図形の奥行きを画面手前から奥に向かって透過表示する第2の処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
前記第1の処理は、
前記図形を表示する場合、前記図形の重ね合わせ数と、前記重ね合わせ数に相当する分の前記図形における形状およびそれぞれの奥行きを示す情報とからなる前記断面形状を示す情報を生成するステップ、
を含むことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記第1の処理は、
前記図形を画面手前と奥との中間位置に表示する場合、前記図形の輪郭を除く内部の図形を前記中間位置に表示し、前記輪郭を前記図形の内部から外郭に向かって前記中間位置から奥へ表示するように、前記奥行きを示す情報と、ぼかし円の半径およびぼかしフィルタの大きさを示す情報とから成る前記断面形状を示す情報を生成するステップと、
前記図形を画面手前に表示する場合、輪郭を含む前記図形を画面手前に表示するように、前記奥行きを示す情報と、前記ぼかし円の半径およびぼかしフィルタの大きさを示す情報とからなる前記断面形状を示す情報を生成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第2の処理は、
奥行き設定用画面記憶部に前記図形の奥行き設定情報を描画するにあたり、描画用情報記憶部に記憶された前記図形の形状および奥行きを示す情報に従い、前記描画用情報記憶部に記憶された前記図形の重ね合わせ数分だけ繰り返すステップを含むことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項17】
前記第2の処理は、
前記図形を画面手前と奥の中間位置に表示するにあたり、ぼかしフィルタにより生成される円を用いて前記図形の内郭を塗りつぶし、前記図形を前記塗りつぶした内郭分だけ小さくして奥行き設定用画面の略中間位置に描画するステップと、
前記図形を画面手前に表示するにあたり、前記ぼかしフィルタにより生成される円を用いて前記図形の外郭を塗りつぶし、影に相当する部分を前記塗りつぶした輪郭分だけ大きくして奥行き設定用画面記憶部の手前に描画するステップと、
を含むことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図19】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−264176(P2007−264176A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87332(P2006−87332)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】