説明

管端検査装置

【課題】管端部の加工部について、寸法精度と加工面の状態とを共に自動的に検査することができ、しかもインライン化が可能なよう検査装置全体のコンパクト化を可能にした、管端検査装置を提供する。
【解決手段】端部を加工した管2の管端加工部を検査する管端検査装置である。管端加工部の形状を計測するレーザ変位計42と、管端加工部の表面を撮影する撮像装置62と、レーザ変位計42及び撮像装置62を管端加工部の周方向に沿って移動させることにより、レーザ変位計42のレーザビームスポット及び撮像装置62の焦点を管端加工部の周方向に沿って周回させる回転テーブル(周回手段)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部を加工した管の管端加工部を検査する管端検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所やプラントに用いられる各種配管、例えば伝熱管などでは、これらを突き合わせて溶接する場合、予めそれぞれの端面(突き合わせ面)に開先加工を行うことにより、溶接をより良好に行えるようにしている。開先加工部については、加工状態を確認するべく、加工後、その寸法精度や加工面の状態を検査している。
【0003】
このような検査は、従来では作業者による計測や目視などで行っていたため、検査に時間がかかり、また検査する作業者によって評価が異なるため、開先の加工品質にばらつきが生じていた。
そこで、近年では、レーザを用いた変位センサにより、開先加工部の形状を自動的に計測するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
また、開先加工部などの加工部にあっては、寸法精度だけでなく、傷や焼き付きなどの加工面の異常も溶接などの後工程に影響を及ぼすことから、加工面の状態の検査も自動的に行えるようにした技術の提供が望まれている。
さらに、このような検査を加工後迅速に行いたいとの要望から、検査装置を加工ラインに組み込み、管端の加工と検査とをインラインで行うことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−346637号公報
【特許文献2】特開平10−197220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加工面の状態も自動的に検査するためには、形状の自動計測を行う変位センサとは別に、例えばCCDカメラなどの撮像装置が必要になる。しかし、これら変位センサと撮像装置とを共に備えると、検査装置が大型化し、インライン化するのが困難になる。すなわち、変位センサと撮像装置とを共に備えた場合、それぞれの要求される検査精度を共に満足させ、かつ、検査装置全体をコンパクトに構成するのは困難である。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、管端部の加工部について、寸法精度と加工面の状態とを共に自動的に検査することができ、しかもインライン化が可能なよう検査装置全体のコンパクト化を可能にした、管端検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の管端検査装置は、端部を加工した管の管端加工部を検査する管端検査装置であって、
前記管端加工部の形状を計測するレーザ変位計と、
前記管端加工部の表面を撮影する撮像装置と、
前記レーザ変位計及び前記撮像装置を前記管端加工部の周方向に沿って移動させることにより、前記レーザ変位計のレーザビームスポット及び前記撮像装置の焦点を前記管端加工部の周方向に沿って周回させる周回手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記管端検査装置において、前記周回手段は、前記レーザ変位計及び前記撮像装置を保持して前記管端加工部の周方向に沿って回転する回転テーブルにより、構成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記管端検査装置において、前記撮像装置は、前記管端加工部における管内面の撮影と、該管端加工部における管外面の撮影とを共に行うことが好ましい。
【0011】
また、前記管端検査装置において、前記撮像装置は、前記管端加工部における管内面を撮影する際の焦点距離と、管外面を撮影する際の焦点距離とが同じになるように該撮像装置の位置を変位させるゴニオテーブルに搭載されていることが好ましい。
【0012】
また、前記管端検査装置において、前記周回手段は、前記レーザ変位計を移動させてそのレーザビームスポットを前記管端加工部の半径方向に移動させる変位計移動機構と、前記撮像装置を移動させてその焦点を前記管端加工部の半径方向に移動させる撮像装置移動機構と、を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の管端検査装置によれば、レーザ変位計及び撮像装置を管端加工部の周方向に沿って移動させる周回手段を備えているので、この周回手段によってレーザ変位計及び撮像装置を管端加工部の周方向に沿って移動させ、レーザ変位計のレーザビームスポット及び撮像装置の焦点をそれぞれ管端加工部の周方向に沿って周回させることにより、管端部の加工部について、寸法精度と加工面の状態とを共に自動的に検査することができる。
また、このように周回手段でレーザ変位計と撮像装置とを共に周回させるようにしたので、これらを個々に周回させる場合に比べて検査装置全体をコンパクト化することができ、これによって検査装置のインライン化を可能にすることができる。
さらに、レーザ変位計のレーザビームスポット及び撮像装置の焦点をそれぞれ管端加工部の周方向に沿って周回させるようにしたので、レーザ変位計及び撮像装置と管端加工部との間の距離を充分に短くしておくことにより、レーザ変位計に要求される検査精度と撮像装置に要求される検査精度とを共に満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の管端検査装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に管端検査装置の側面図である。
【図3】回転テーブルとその周辺部の背面図である。
【図4】レーザ変位計ユニット及び撮像装置ユニットの概略構成を示す背面図である。
【図5】検査対象となる管端部の開先加工部を示す斜視図である。
【図6】変位計移動機構の概略構成を示す平面図である。
【図7】撮像装置移動機構の概略構成を示す平面図である。
【図8】(a)、(b)は、撮像装置と管の開先加工部との位置関係を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の管端検査装置の一実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は本実施形態の管端検査装置の概略構成を示す斜視図、図2は図1に示した管端検査装置の側面図である。これらの図において符号1は管端検査装置であり、この管端検査装置1は、端部に対して溶接のための開先加工を行った管(配管)の、開先加工部(管端加工部)の加工状態を検査するためのものである。被検査体となる管としては、特に限定されないものの、発電所やプラントに用いられる各種配管、例えば伝熱管などが適用される。
【0016】
この管端検査装置1は、管の開先加工を行うラインに設置されたもの、すなわちインライン化されたもので、図示しない開先加工装置の下流側に配置されたものである。開先加工装置には、開先加工した管2を移送するコンベア(図示せず)が接続されており、このコンベアには管端検査装置1に接続されている。これによって管端検査装置1には、開先加工された管2がその開先加工部を先にしてコンベアで移送され、図1中矢印で示すように供給されるようになっている。
【0017】
この管端検査装置1は、図2に示すように移送されてきた管2の位置決めを行うストッパユニット3と、位置決めされた管2をその位置に保持固定するクランプユニット4と、保持固定された管2の開先加工部(管端加工部)の検査を行う計測ユニット5と、を備えて構成されている。
【0018】
ストッパユニット3は、エアシリンダー等(図示せず)によって昇降可能とした一対のロッド6、6間に保持板7aを取り付け、この保持板7aの一側部に位置決め板7bを取り付けたものである。位置決め板7bは、その表裏面が水平方向に向くように保持板7aに取り付けられている。なお、一対のロッド6、6は、図2の紙面奥行き方向に適宜な間隔をあけて配置されており、これによって管2は、その開先加工部(管端加工部)がこれらロッド6、6に干渉されることなく、これらの間を通り抜けられるようになっている。
【0019】
このような構成によってストッパユニット3は、図2中二点鎖線で示すように管2の先端(開先加工部)が突き当たる位置から、図2中実線で示した管2の先端より充分に高い退避位置までの間、位置決め板7bを昇降させるようになっている。したがって、ストッパユニット3は、コンベアによって移動してきた管2を、図2中の二点鎖線で示す位置で位置決め板7bに突き当てさせ、ここでその移動を停止させることにより、管2を検査位置に位置決めするようになっている。
【0020】
クランプユニット4は、図2に示すようにストッパユニット3の前方に配置された架台8上に設けられたもので、図1、図2に示すように架台8上に設けられた載置ブロック9と、載置ブロック9上に配設された押圧板10と、押圧板10上に配置されたエアシリンダー11とを備えて構成されたものである。
【0021】
載置ブロック9は、例えばその上部にV字状に切り欠かれてなる管保持部(図示せず)を有し、この管保持部に管2を保持するように構成されたものである。エアシリンダー11は、架台8上に設けられた固定枠12に固定されたもので、下方に向けて設けられた可動ロッド(図示せず)の下端部に前記押圧板10を取り付けたものである。押圧板10は、架台8と固定枠12との間に配置されて、前記載置ブロック9の両側に設けられた一対のガイド軸13、13に移動可能に取り付けられたものである。
【0022】
このような構成によってクランプユニット4は、前記コンベアによって移送されてきた管2を載置ブロック9の管保持部に保持する。そして、前記のストッパユニット3で管2が位置決めされると、エアシリンダー11が作動して押圧板10が下降し、管2を下方に押圧する。これによってクランプユニット4は、管2を載置ブロック9と押圧板10とで挟持固定することにより、管2を所定位置、すなわちストッパユニット3で位置決めされた検査位置に固定するようになっている。
【0023】
なお、載置ブロック9の管保持部がV字状に切り欠かれて形成されているため、この管保持部に保持固定された管2は、左右方向にずれることなく、その中心軸が平面視して管保持部の中心線に重なるように位置させられる。また、管保持部がV字状に形成されているため、管2の外径が変わっても、管2は常にその中心軸が平面視して管保持部の中心線に重なるようになっている。したがって、クランプユニット4は、外径の異なる種々の管2に対応可能になっている。
【0024】
計測ユニット5は、図1、図2に示すようにストッパユニット3の後方に配置された筐体14内に収容されたものである。筐体14は、Z軸ステージ15によって鉛直方向に昇降可能に構成されるとともに、X軸ステージ16によって管2の先端、すなわち開先加工部に対して進退可能に構成されている。このような構成によって筐体14内の計測ユニット5は、図2中実線で示すようにストッパユニット3の位置決め板7bが上方に退避した後、X軸ステージ16の駆動によって筐体14が図2中二点鎖線で示すように管2側に前進することにより、予め設定された検査位置に至るようになっている。また、管2の種類が変わって外径が変化した場合などでは、Z軸ステージ15の駆動によって昇降し、計測ユニット5の検査中心が管2の中心軸に一致させられるようになっている。
【0025】
計測ユニット5は、図1に示すように筐体14の一方の面(クランプユニット4側の面)に基板20を配置し、この基板20上にレーザ変位計ユニットと撮像装置ユニットとを有したものである。基板20は、円形の開口20aを形成したもので、筐体14が前進した際、この開口20a内に管2の先端部(開先加工部)を通り抜けさせるようになっている。
【0026】
基板20には、図3に示すように前記クランプユニット4側の面と反対側の面上に、円環板状の回転テーブル21が設けられている。なお、図3では、後述するレーザ変位計ユニット及び撮像装置ユニットの図示を省略して、回転テーブル21の構成を分かり易くしている。回転テーブル21は、本発明における周回手段となるもので、前記した基板20の開口20aの外周部にその周方向に沿って設けられた円形枠状のガイド枠22に、正逆方向に回転可能に取り付けられている。
【0027】
この回転テーブル21は、図3に示すように基板20に設けられた回転機構23により、ガイド枠22に対して回転可能に取り付けられている。そして、この回転テーブル21は、その回転中心が、前記クランプユニット4に固定された管2の中心軸に一致するようになっている。なお、この回転テーブル21の回転中心は、計測ユニット5の検査中心、すなわち後述するレーザ変位計や撮像装置の検査中心となっている。
【0028】
回転機構23は、回転テーブル21に対しその周方向に沿って架け渡されたタイミングベルト24と、このタイミングベルト24を回転可能に保持する一対のプーリー25、25と、一方のプーリー25を正逆方向に回転させるサーボモータ26と、サーボモータ26の駆動を制御する制御装置(図示せず)とを備えて構成されている。このような構成のもとに回転機構23は、制御装置によってサーボモータ26を駆動させてプーリー25を予め設定した回転速度で正方向又は逆方向に回転させ、これによってタイミングベルト24を介して回転テーブル21を設定した回転速度で正方向又は逆方向に回転させるようになっている。
【0029】
また、この回転機構23には、回転テーブル21の回転を規制する規制機構27が設けられている。規制機構27は、ドグ28とリミットスイッチ(図示せず)とを有し、ドグ28がリミットスイッチを押圧することにより、回転テーブル21の回転を停止させるように構成されている。
【0030】
回転テーブル21には、図4に示すように基板20側の面と反対側の面上に、レーザ変位計ユニット40と撮像装置ユニット60とが搭載されている。レーザ変位計ユニット40は、前記回転テーブルに固定された矩形状の取付板41と、取付板41上に設けられたレーザ変位計42と、取付板41上に固定されてレーザ変位計42を移動可能に保持する変位計移動機構43と、を備えて構成されている。
【0031】
取付板41には、略矩形状の開口41aが設けられており、この開口41aは回転テーブル21の内部孔、すなわち基板20の開口(図示せず)に連通して配置されている。したがって、基板20の開口を通り抜けた管2は、その先端部、すなわち開先加工部を、開口41a内に臨ませるようになっている。
【0032】
レーザ変位計42は、図5に示す管2の開先加工部(管端加工部)2aの形状を計測し、その加工精度を検査するためのものである。すなわち、図6に示すようにレーザ変位計42は、取付板41の開口41a内に臨む開先加工部2a(図4参照)の周方向の一部にセンシングポイントとなるレーザビームスポットを照射し、図5に示した管2の開先加工部2aの形状、すなわち加工した管外面2b及び管端面2c、さらに管内面2dの管端面2c側の形状を、2次元形状計測するものである。
【0033】
また、このレーザ変位計42は、回転テーブル21によって管2の開先加工部2aの周方向に沿って回転移動させられることにより、図5に示すレーザビームスポットSが管2の開先加工部2aの周方向に沿って回転するようになっている。これにより、レーザ変位計42は、回転テーブル21の回転によって管2の開先加工部2aをその周方向に走査し、開先加工部2aの全周の形状計測を行えるようになっている。
【0034】
図6に示すように変位計移動機構43は、ステッピングモータ44と、ステッピングモータ44に連結したボールネジ45と、ボールネジ45に螺合した可動ブロック46と、可動ブロック46に連結し、かつレーザ変位計42を保持する保持板47と、を備えて構成されている。ステッピングモータ44は、図示しない制御装置から与えられる信号によって正逆方向のいずれかに回転し、ボールネジ45を所定の回転数だけ回転させるようになっている。これによって可動ブロック46は、ボールネジ45の長さ方向に沿って進退し、保持板47に保持されたレーザ変位計42をボールネジ45の長さ方向と平行な方向に移動させる。
【0035】
ここで、変位計移動機構43は、ボールネジ45の配置や、保持板47へのレーザ変位計42の取り付け位置などが調整されていることにより、前記したようにレーザ変位計42を移動させることで、そのレーザビームスポットSを前記開先加工部(管端加工部)2aの半径方向、すなわち管2の半径方向に移動できるようになっている。したがって、この変位計移動機構43により、図5に示すようにレーザ変位計42のレーザビームスポットSを管2の開先加工部2aの一部、すなわち管2の周方向における一部の開先加工部2aに照射できるように調整することにより、管2の種類が変わってその外径が変わった場合にも、これに対応して管2の開先加工部2aの一部にレーザビームスポットSを照射することができる。
【0036】
つまり、前記したようにZ軸ステージ15の駆動によって予め管2の中心軸に計測ユニット5の検査中心、すなわち回転テーブル21の回転中心を一致させた後、変位計移動機構43でレーザビームスポットSの照射位置を管2の半径方向に移動させることにより、管2の外径の変化に容易に対応することができるようになっている。
【0037】
図4に示す撮像装置ユニット60は、回転テーブル21に固定された矩形状の取付板(図示せず)と、取付板上に設けられた撮像装置62と、取付板上に固定されて撮像装置62を移動可能にする撮像装置移動機構63と、この撮像装置移動機構63に設けられて撮像装置62を変位可能に搭載するゴニオテーブルと、を備えて構成されている。
【0038】
前記取付板は、回転テーブル21上において、前記レーザ変位計ユニット40の取付板41の側方に配置されたものである。
撮像装置62は、本実施形態では図7に示すようにCCDカメラ62aと照明器62bとを有したもので、図5に示す管2の開先加工部(管端加工部)2aの表面を撮影し、その加工状態を検査するためのものである。すなわち、撮像装置62は、CCDカメラ62aの焦点を図5に示した管2の開先加工部2aの管外面2bの一部に合わせて撮影することにより、管外面2bの焼き付きの有無を検査し、また、焦点を管内面2dの一部に合わせて撮影することにより、管内面2dの傷の有無を検査するように構成されている。なお、照明器62bは、CCDカメラ62aの焦点となる部位を照らすように構成されている。
【0039】
また、この撮像装置62は、回転テーブル21によって管2の開先加工部2aの周方向に沿って回転移動させられることにより、CCDカメラ62aの焦点が管2の開先加工部2aの周方向に沿って回転するようになっている。これにより、撮像装置62は、回転テーブル21の回転によって管2の開先加工部2aをその周方向に走査し、開先加工部2aの全周の撮影、検査を行えるようになっている。ただし、本実施形態の撮像装置62は、CCDカメラ62aの焦点が開先加工部2aの管外面2bと管内面2dのうちの一方にのみ合うように構成されている。したがって、回転テーブル21が一周する間で撮影できる部位は、管外面2bと管内面2dとのうちの一方のみとなっている。
【0040】
図7に示すように撮像装置移動機構63は、ステッピングモータ65と、ステッピングモータ65に連結したボールネジ66と、ボールネジ66に螺合した可動ブロック(図示せず)と、可動ブロックに一体に設けられた前記ゴニオテーブル64と、ゴニオテーブル64に連結され、かつ撮像装置62を保持する保持板68と、を備えて構成されている。ステッピングモータ65は、図示しない制御装置から与えられる信号によって正逆方向のいずれかに回転し、ボールネジ66を所定の回転数だけ回転させるようになっている。これによって可動ブロックは、ボールネジ66の長さ方向に沿って進退し、保持板68に保持された撮像装置62をボールネジ66の長さ方向と平行な方向に移動させる。
【0041】
ここで、撮像装置移動機構63は、ボールネジ66の配置や、保持板68への撮像装置62の取り付け位置などが調整されていることにより、前記したように撮像装置62を移動させることで、CCDカメラ62aの焦点を前記開先加工部(管端加工部)2aの半径方向、すなわち管2の半径方向に移動できるようになっている。したがって、この撮像装置移動機構63により、CCDカメラ62aの焦点を管2の開先加工部2aの一部、すなわち管2の周方向における一部の開先加工部2aに合うように調整することにより、管2の種類が変わってその外径が変わった場合にも、これに対応して管2の開先加工部2aの一部に焦点を合わせることができる。
【0042】
つまり、前記したようにZ軸ステージ15の駆動によって予め管2の中心軸に計測ユニット5の検査中心、すなわち回転テーブル21の回転中心を一致させた後、撮像装置移動機構63でCCDカメラ62aの焦点を管2の半径方向に移動させることにより、管2の外径の変化に容易に対応することができるようになっている。
【0043】
ゴニオテーブル64は、図4に示すサーボモータ69に接続したもので、サーボモータ69の駆動によって正逆方向に回動し、搭載した撮像装置62を所定の位置間で変位させるようになっている。すなわち、このゴニオテーブル64は、予め設計された点を回動中心として正逆方向に回動することにより、図8(a)に示すように撮像装置62のCCDカメラ62aの焦点が管2の開先加工部2aの管外面2bに合うときの焦点距離と、図8(b)に示すように撮像装置62のCCDカメラ62aの焦点が管2の開先加工部2aの管内面2dに合うときの焦点距離とが同一になるように、撮像装置62の位置を変位させるように構成されている。このような構成によって撮像装置62は、管外面2bを撮影するときの感度(精度)と管内面2dを撮影するときの感度(精度)とを、同じにして撮影できるようになっている。
【0044】
次に、このような構成の管端検査装置1による管2の開先加工部2aの検査方法について説明する。
まず、開先加工装置で開先加工され、コンベアで移送されてきた管2を、図1、図2に示すように受け入れる。すなわち、前記したようにコンベアで移送されてきた管2の先端位置をストッパユニット3で位置決めし、この位置決めした状態でクランプユニット4により保持固定する。
【0045】
次に、管2の外径に合わせて必要に応じてZステージ15を駆動し、管2の中心軸と計測ユニット5の検査中心、すなわち回転テーブル21の回転軸とを一致させる。また、X軸ステージ16を駆動して筐体14を予め設定した位置まで前進させ、レーザ変位計42のレーザビームスポットが管2の開先加工部2aに位置するようにするとともに、撮像装置62のCCDカメラ62aの焦点が管2の開先加工部2aに合うようにする。
また、管2の種類が変わり、その外径が変わった場合などでは、変位計移動機構43、撮像装置移動機構63をそれぞれ駆動させ、レーザ変位計42、撮像装置62を管2の外径に対応した位置に移動させる。
【0046】
次いで、レーザ変位計42、撮像装置62をそれぞれ作動させる。その際、撮像装置62については、ゴニオテーブル64を調整しておくことにより、図8(a)に示すように管2の開先加工部2aの管外面2bにCCDカメラ62aの焦点を合わせておく。
続いて、回転テーブル21を例えば図3中の矢印で示す正方向に360度回転させる。
【0047】
すると、図4に示したようにレーザ変位計ユニット40、撮像装置ユニット60は回転テーブル21に搭載されているため、レーザ変位計ユニット40のレーザ変位計42は、そのレーザビームスポットSを管2の開先加工部2aの所定位置に照射しつつその周方向に一周する。これにより、レーザ変位計42は開先加工部2aの全周を計測し、得られた計測データを例えば解析装置(図示せず)に送信する。解析装置では、送信された計測データに基づき、開先加工部2aの形状を求め、加工精度の良否等を判定する。したがって、レーザ変位計42により、開先加工部2aの加工精度の検査を自動的に行うことができる。
【0048】
一方、撮像装置ユニット60の撮像装置62は、そのCCDカメラ62aの焦点を管2の開先加工部2aの管外面2bの所定位置に合わせつつ、その周方向に一周する。これにより、撮像装置62(CCDカメラ62a)は開先加工部2aの管外面2bの全周を撮影し、得られた画像データを例えば解析装置(図示せず)に送信する。解析装置では、送信された画像データに基づき、開先加工部2aの管外面2bの焼き付きの有無を判定する。したがって、撮像装置62により、開先加工部2aの管外面2bの焼き付きの有無の検査を自動的に行うことができる。
【0049】
このようにして回転テーブル21が一周(360度)回転すると、前記規制機構27によって回転テーブル21の回転(正回転)が停止させられる。そして、回転テーブル21を逆回転させるよう、サーボモータ26が再駆動する。
その際、撮像装置ユニット60については、サーボモータ69を駆動させてゴニオテーブル64を調整し、撮像装置62のCCDカメラ62aの焦点を、図8(b)に示すように管2の開先加工部2aの管内面2dに合わせておく。
【0050】
このようにしてCCDカメラ62aの焦点を管内面2dに合わせた後、回転テーブル21を逆回転させ、一周(360度)回転させると、撮像装置62は、そのCCDカメラ62aの焦点を管2の開先加工部2aの管内面2dの所定位置に合わせつつ、その周方向に一周する。これにより、撮像装置62(CCDカメラ62a)は開先加工部2aの管内面2dの全周を撮影し、得られた画像データを例えば解析装置(図示せず)に送信する。解析装置では、送信された画像データに基づき、開先加工部2aの管内面2dの傷の有無を判定する。したがって、撮像装置62により、開先加工部2aの管内面2dの傷の有無の検査を自動的に行うことができる。
【0051】
なお、この逆回転時には、レーザ変位計42による計測を行う必要はなく、したがってその作動を停止させておく。
また、このようにして回転テーブル21が逆方向に一周(360度)回転すると、前記規制機構27によって回転テーブル21の回転(逆回転)が停止させられる。そして、管2の開先加工部2aについての検査が終了する。したがって、管2は、クランプユニット4による固定から解放された後、コンベアによって次工程に移送される。
【0052】
このような管端検査装置1にあっては、レーザ変位計42及び撮像装置62を開先加工部(管端加工部)2aの周方向に沿って移動させる回転テーブル21を備えているので、この回転テーブル21によってレーザ変位計42及び撮像装置62を開先加工部2aの周方向に沿って移動させ、レーザ変位計42のレーザビームスポット及び撮像装置62のCCDカメラ62aの焦点をそれぞれ開先加工部の周方向に沿って周回させることにより、管端部の開先加工部2aについて、寸法精度と加工面の状態とを共に自動的に検査することができる。すなわち、開先加工部2aの加工精度と焼き付きや傷の有無とを共に検査することができる。
よって、この管端検査装置1によれば、従来に比べ検査時間を大幅に短縮することができ、また、検査を精度良く行えることで管2の加工品質を一定に保つことができ、さらに、検査工程に必要な人員を減らすことでコストを削減することができる。
【0053】
また、回転テーブル21でレーザ変位計42と撮像装置62とを共に周回させるようにしたので、これらを個々に周回させる場合に比べて検査装置全体をコンパクト化することができる。したがって、前記実施形態で示したように、管端検査装置1のインライン化が可能になる。
さらに、レーザ変位計42のレーザビームスポット及び撮像装置62のCCDカメラ62aの焦点をそれぞれ開先加工部2aの周方向に沿って周回させるようにしたので、レーザ変位計42及びCCDカメラ62aと開先加工部2aとの間の距離を充分に短くしておくことにより、レーザ変位計42に要求される検査精度と撮像装置62に要求される検査精度とを共に満足させることができる。
【0054】
また、撮像装置62の位置をゴニオテーブル64で変位させることにより、開先加工部2aにおける管内面2dを撮影する際の焦点距離と、管外面2bを撮影する際の焦点距離とが同じになるようにしたので、管内面2dと管外面2bとを同じ感度(精度)で自動的に撮影することができ、したがって管内面2dと管外面2bとを要求される精度で良好に検査することができる。
【0055】
また、変位計移動機構43、撮像装置移動機構63を備えているので、これら変位計移動機構43、撮像装置移動機構63によってレーザ変位計42のレーザビームスポットを開先加工部2aの半径方向に移動させ、また、撮像装置62のCCDカメラ62aの焦点を開先加工部2aの半径方向に移動させることにより、管2の外径の変化に容易に対応してその検査を行うことができる。
【0056】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、本発明の管端検査装置を、管の開先加工部の検査に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、開先加工以外の種々の加工を行った管端部に対して、その検査を行うことができる。
【0057】
また、前記実施形態では、撮像装置62をゴニオテーブル64に搭載し、撮像装置62を変位させることで管端加工部(開先加工部2a)の管外面2bと管内面2dとを共に撮影できるようにしたが、他に例えば、撮像装置を二つ備え、一方で管外面2bを撮影し、他方で管内面2dを撮影するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、変位計移動機構43、撮像装置移動機構63を備えることで検査対象となる管の外径の変化に対応できるようにしたが、検査対象となる管の外径が一定の場合には、変位計移動機構43、撮像装置移動機構63を省略することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1…管端検査装置、2…管、2a…開先加工部(管端加工部)、2b…管外面、2d…管内面、5…計測ユニット、21…回転テーブル(周回手段)、23…回転機構、40…レーザ変位計ユニット、42…レーザ変位計、43…変位計移動機構、60…撮像装置ユニット、62…撮像装置、62a…CCDカメラ、62b…照明器、63…撮像装置移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を加工した管の管端加工部を検査する管端検査装置であって、
前記管端加工部の形状を計測するレーザ変位計と、
前記管端加工部の表面を撮影する撮像装置と、
前記レーザ変位計及び前記撮像装置を前記管端加工部の周方向に沿って移動させることにより、前記レーザ変位計のレーザビームスポット及び前記撮像装置の焦点を前記管端加工部の周方向に沿って周回させる周回手段と、を備えたことを特徴とする管端検査装置。
【請求項2】
前記周回手段は、前記レーザ変位計及び前記撮像装置を保持して前記管端加工部の周方向に沿って回転する回転テーブルにより、構成されていることを特徴とする請求項1記載の管端検査装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記管端加工部における管内面の撮影と、該管端加工部における管外面の撮影とを共に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の管端検査装置。
【請求項4】
前記撮像装置は、前記管端加工部における管内面を撮影する際の焦点距離と、管外面を撮影する際の焦点距離とが同じになるように該撮像装置の位置を変位させるゴニオテーブルに搭載されていることを特徴とする請求項3記載の管端検査装置。
【請求項5】
前記周回手段は、前記レーザ変位計を移動させてそのレーザビームスポットを前記管端加工部の半径方向に移動させる変位計移動機構と、前記撮像装置を移動させてその焦点を前記管端加工部の半径方向に移動させる撮像装置移動機構と、を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の管端検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88254(P2013−88254A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228132(P2011−228132)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】