説明

経路探索装置及びナビゲーション装置

【課題】出発地から目的地までの経路探索を行う場合に、ETCサービスの特典をユーザに適切に提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報を参照して出発地から目的地までの経路探索を行う。ETC車を対象とする有料道路料金の割引に関する情報やETC車のみが専用に出入可能なインターチェンジやサービスエリアに関する情報などを参照して出発地から目的地までの経路探索を行うことにより、ETCサービスの特典をユーザに適切に提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの経路探索を行う経路探索装置及びナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、出発地から目的地までの経路探索を行う経路探索機能を有するナビゲーション装置が供されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−181063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種のナビゲーション装置における経路探索の手法としては、基本的には出発地から目的地までの所要時間を計算し、場合によっては交通渋滞や交通規制による遅延時間をも加味し、所要時間が最小となる経路を提案するのが一般的である。一方、近年では、ETCサービスの特典として、ETC車(ETC車載器搭載車)を対象とした利用時間帯による有料道路料金の割引(いわゆる早朝・深夜割引など)や、ETC車のみが専用に出入可能なインターチェンジやサービスエリアの開設などが実現されつつある。
【0004】
しかしながら、従来の経路探索の手法では、これらETCサービスに関する情報を参照することなく経路探索を行うので、これらETCサービスの特典をユーザに提供することができず、ユーザがETC車に乗車していたとしても、ユーザがETCサービスの特典を受けることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、出発地から目的地までの経路探索を行う場合に、ETCサービスの特典をユーザに適切に提供することができ、ユーザがETCサービスの特典を適切に受けることができる経路探索装置及びナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した経路探索装置によれば、経路探索手段は、ETC車料金情報及びETC車専用出入口情報のうち少なくともいずれかを参照して出発地から目的地までの経路探索を行う。これにより、出発地から目的地までの経路探索を行う場合に、ETC車料金情報及びETC車専用出入口情報のうち少なくともいずれかを参照して出発地から目的地までの経路探索を行う、つまり、ETC車を対象とする有料道路料金の割引に関する情報やETC車のみが専用に出入可能なインターチェンジやサービスエリアの開設・閉鎖に関する情報などを参照して出発地から目的地までの経路探索を行うことにより、ETCサービスの特典をユーザに適切に提供することができ、ユーザがETCサービスの特典を適切に受けることができる。
【0007】
請求項2に記載した経路探索装置によれば、経路探索手段は、サーバからネットワークを介して通信手段に受信されたETC車料金情報及びETC車専用出入口情報のうち少なくともいずれかを参照して出発地から目的地までの経路探索を行う。これにより、サーバに蓄積されているETC車料金情報やETC車専用出入口情報が最新のものであれば、サーバから最新のETC車料金情報や最新のETC車専用出入口情報をネットワークを介して受信することにより、最新のETCサービスの特典をユーザに適切に提供することができ、ユーザが最新のETCサービスの特典を適切に受けることができる。
【0008】
請求項3に記載したナビゲーション装置によれば、表示制御手段は、経路探索装置により探索された経路に関する情報を表示手段に表示させる。これにより、ETCサービスの特典が反映された経路に関する情報(所要時間及び有料道路料金など)をユーザに知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1は、ナビゲーション装置及び周囲の構成を機能ブロック図として示している。ナビゲーション装置1は、制御回路2(本発明でいう経路探索手段、表示制御手段)、位置検出器3、地図データ記憶装置4、操作スイッチ群5、車両データ入出力器6、通信装置7(本発明でいう通信手段)、VICS受信機8、スピーカ9、表示装置10(本発明でいう表示手段)、メモリ11、音声認識ユニット12、リモコンセンサ13及び操作リモコン14を備えて構成されている。
【0010】
制御回路2は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース、これらを接続するバスなど(いずれも図示せず)を備えて構成されており、ナビゲーション装置1の動作全般を制御する。位置検出器3は、Gセンサ3a、ジャイロスコープ3b、距離センサ3c及びGPS受信機3dから構成されており、これら位置検出器3の各構成要素は、互いに性質の異なる検出誤差を有している。この場合、制御回路2は、位置検出器3の各構成要素から検出信号が入力されると、それら入力された検出信号を互いに補完し、自車両の現在位置、進行方向、車速、走行距離などを検出(特定)する。尚、位置検出器3は、要求される検出精度で自車両の現在位置を検出可能であれば、これら全ての構成要素を備える必要はなく、また、ステアリングホイールの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪センサなどが組合わされて構成されていても良い。
【0011】
地図データ記憶装置4は、例えばDVD−ROMなどの記録媒体15から転送された地図データや例えば地図データ配信サーバからネットワークを介して通信装置7に受信された地図データを記憶する。この場合、記録媒体15は、例えばHDDやメモリカードなどであっても良い。
【0012】
操作スイッチ群5は、表示装置10の周辺に配置されたメカニカルスイッチや表示装置11の例えばカラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチなどから構成されている。車両データ入出力器6は、車両に搭載されている各制御ECUとの間で各種データを入出力する。通信装置7は、各種サーバとの間でネットワークを介して無線通信を行う。VICS受信機8は、外部からVICS情報を受信する。
【0013】
スピーカ9は、例えば現在位置から目的地までの経路案内を行うための音声などを出力する。表示装置10は、例えばカラー液晶ディスプレイから構成されており、自車両の現在位置を表す現在位置マークを地図データに対応する地図上に重ねて表示すると共に、自車両の走行軌跡をも地図データに対応する地図上に重ねて表示する。尚、表示装置10は、有機ELやプラズマディスプレイなどから構成されていても良い。
【0014】
メモリ11は、例えば着脱可能なフラッシュメモリカードなどにより構成されている。音声認識ユニット12は、ユーザが音声を発したことに応じてマイクロホンから入力された音声を音声認識アルゴリズムに基づいて解析する。リモコンセンサ13は、操作リモコン14からの操作信号を電波により受信して制御回路2へ出力する。
【0015】
ETCサービス提供サーバ21(本発明でいうサーバ)は、ETC車料金情報を蓄積しているETC車料金情報データベース21a及びETC車専用出入口情報を蓄積しているETC車専用出入口情報データベース21bが接続されて構成されている。ここでいうETC車料金情報とは例えばETC車を対象とする有料道路料金の割引に関する情報であり、ETC車専用出入口情報とは例えばETC車のみが専用に出入可能なインターチェンジやサービスエリアの開設・閉鎖に関する情報である
この場合、ETCサービス提供サーバ21は、ETC車料金情報データベース21aに蓄積されているETC車料金情報やETC車専用出入口情報データベース21bに蓄積されているETC車専用出入口情報をナビゲーション装置1へ送信し、ナビゲーション装置1は、ETCサービス提供サーバ21からETC車料金情報やETC車専用出入口情報がネットワークを介して通信装置7に受信されると、その受信されたETC車料金情報やETC車専用出入口情報をメモリ11に格納するように構成されている。
【0016】
また、ETCサービス提供サーバ21は、例えば有料道路の料金が改定されたことに応じてETC車料金情報が変更されたり、インターチェンジやサービスエリアが新しく開設・閉鎖されたことに応じてETC車専用出入口情報が変更されたりすると、それら既存の情報を新規の情報に速やかに更新することが可能となっており、最新のETC車料金情報をETC車料金情報データベース21aに蓄積すると共に最新のETC車専用出入口情報をETC車専用出入口情報データベース21bに蓄積し、また、それら最新のETC車料金情報や最新のETC車専用出入口情報をナビゲーション装置1へ送信するように構成されている。
【0017】
次に、上記した構成の作用について、図2及び図3を参照して説明する。ここで、図2は、制御回路2が行う処理をフローチャートとして示している。尚、経路探索の手法(アルゴリズム)としては例えばダイクストラ法が採用される。
【0018】
制御回路2は、ユーザによる経路探索の操作が行われたか否かを判定しており(ステップS1)、例えばユーザが「経路探索」キー(図示せず)を操作したことにより、ユーザによる経路探索の操作が行われた旨を検出すると(ステップS1にて「YES」)、ユーザによるETCサービス設定の操作が行われたか否かを判定する(ステップS2)。そして、制御回路2は、例えばユーザが「ETCサービス設定」キー(図示せず)を操作したことにより、ユーザによるETCサービス設定の操作が行われた旨を検出すると(ステップS2にて「YES」)、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報がメモリ11に格納されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0019】
ここで、制御回路2は、ユーザによるETCサービス設定の操作が行われなかった旨を検出すると(ステップS2にて「NO」)、または、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報がメモリ11に格納されていない旨を検出すると(ステップS3にて「NO」)、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報を参照することなく、出発地から目的地に至るまでの経路探索を行い(ステップS4)、その探索された経路を表示装置10に表示させる(ステップS5)。
【0020】
これに対して、制御回路2は、ユーザによるETCサービス設定の操作が行われた旨を検出し(ステップS2にて「YES」)、且つ、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報がメモリ11に格納されている旨を検出すると(ステップS3にて「YES」)、そのメモリ11に格納されているETC車料金情報やETC車専用出入口情報を参照し、出発地から目的地に至るまでの経路探索を行い(ステップS6)、その探索された経路を表示装置10に表示させる(ステップS5)。
【0021】
具体的には図3を参照して説明する。尚、ここでは、出発地「X」及び目的地「Y」が設定され、出発地「X」の付近にETC車及び一般車(ETC車載器非搭載車)が通行可能な高速道路のインターチェンジ「P」が設置され、目的地「Y」の付近にETC車及び一般車が通行可能な高速道路のインターチェンジ「R」が設置され、インターチェンジ「P」とインターチェンジ「R」との間にETC車のみが通行可能なインターチェンジ「Q」が設置されていると仮定する。
【0022】
制御回路2は、ETCサービス設定の操作が行われなかった場合、または、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報がメモリ11に格納されていない場合であれば、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報を参照することなく経路検索を行うことにより、経路探索を行った結果として経路「A」のみを表示装置10に表示することになる。これにより、ユーザは、経路を選択することなく、経路「A」の経路案内にしたがって運転することになる。
【0023】
これに対して、制御回路2は、ETCサービス設定の操作が行われ、且つ、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報がメモリ11に格納されている場合であれば、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報を参照して経路検索を行うことにより、経路探索を行った結果として経路「A」のみならず、経路「B」、経路「C」及び経路「D」を表示装置10に表示することになる。これにより、ユーザは、これら4つの経路のうちから所望の経路を選択し、選択した経路の経路案内にしたがって運転することになる。
【0024】
すなわち、ユーザは、運転する(出発地「X」から目的地「Y」へ移動する)のに「6:00〜24:00」という時間帯に制限が有れば、その時間帯でETC車のみが通行可能なインターチェンジ「Q」を利用することで所要時間が短くなる経路「C」を選択することができ、また、運転するのに時間帯に制限が無ければ、ETC車のみが通行可能なインターチェンジ「Q」を利用すると共に料金割引を利用する(高速道路進入時刻として「24:00以降」を設定し且つ高速道路退出時刻として「6:00以前」を設定する)ことで所要時間が短く且つ料金が安価な経路「D」を選択することができる。つまり、ユーザは、ETCサービス設定の操作を行うことで、ETCサービス設定の操作を行わないときよりも、ETCサービスの特典が得られる有利な経路を選択することができる。
【0025】
以上に説明したように本実施形態によれば、ナビゲーション装置1において、ETC車料金情報やETC車専用出入口情報を参照して出発地から目的地までの経路探索を行うように構成したので、ETC車を対象とする有料道路料金の割引に関する情報やETC車のみが専用に出入可能なインターチェンジやサービスエリアに関する情報などを参照して出発地から目的地までの経路探索を行うことにより、ETCサービスの特典をユーザに適切に提供することができ、ユーザがETCサービスの特典を適切に受けることができる。
【0026】
また、ETCサービス提供サーバ21からネットワークを介して受信されたETC車料金情報やETC車専用出入口情報を参照して出発地から目的地までの経路探索を行うように構成したので、ETCサービス提供サーバ21に蓄積されているETC車料金情報やETC車専用出入口情報が最新のものであれば、ETCサービス提供サーバ21から最新のETC車料金情報や最新のETC車専用出入口情報をネットワークを介して受信することにより、最新のETCサービスの特典をユーザに適切に提供することができ、ユーザが最新のETCサービスの特典を適切に受けることができる。
【0027】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
ETC車料金情報及びETC車専用出入口情報のいずれか一方を参照して経路探索を行う構成であっても良い。
ETCサービス提供サーバから最新のETC車料金情報や最新のETC車専用出入口情報がナビゲーション装置に送信されるタイミングとしては、ETCサービス提供サーバにてETC車料金情報やETC車専用出入口情報が更新されたタイミングに限らず、ユーザがナビゲーション装置にて所定操作(マニュアル操作)を行ったタイミングであっても良い。
経路探索の手法としてダイクストラ法以外の手法が採用される構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】作用を示す図
【符号の説明】
【0029】
図面中、1はナビゲーション装置(経路探索装置)、2は制御回路(経路探索手段、表示制御手段)、7は通信装置(通信手段)、10は表示装置(表示手段)、21はETCサービス提供サーバ(サーバ)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路探索を行う経路探索手段を備えた経路探索装置であって、
前記経路探索手段は、ETC車料金情報及びETC車専用出入口情報のうち少なくともいずれかを参照して出発地から目的地までの経路探索を行うことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載した経路探索装置において、
サーバとネットワークを介して通信する通信手段を備え、
前記経路探索手段は、サーバからネットワークを介して前記通信手段に受信されたETC車料金情報及びETC車専用出入口情報のうち少なくともいずれかを参照して出発地から目的地までの経路探索を行うことを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した経路探索装置と、
前記経路探索装置により探索された経路に関する情報を表示手段に表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−101302(P2007−101302A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290013(P2005−290013)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】