経路探索装置及び経路探索方法
【課題】目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる経路探索装置及び経路探索方法を提供する。
【解決手段】ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索エリアを設定し、当該経路探索エリア内の各リンクに対して目的地のジャンルに対応する金額を設定する。その後、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように周知のダイクストラ法等により経路探索を行う。
【解決手段】ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索エリアを設定し、当該経路探索エリア内の各リンクに対して目的地のジャンルに対応する金額を設定する。その後、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように周知のダイクストラ法等により経路探索を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、目的地までの経路を探索する経路探索装置及び経路探索方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、目的地までの経路を探索する経路探索装置及び経路探索方法に関して種々提案されている。
例えば、ユーザは初期設定画面にて、「最適時間考慮」及び「信号機考慮」の２つについて、それぞれ「する」、「しない」を好みに応じて設定する。そして、ユーザが目的地入力画面にて目的地を指定すると、各固定探索条件（「推奨」、「一般道優先」、「有料道優先」、「距離優先」、「別ルート」である。）にユーザが設定した設定探索条件を組み合わせて５つの経路を探索するナビゲーション装置がある（例えば、特許文献１参照。）。
【特許文献１】特開２００４−１２５４４８号公報（段落（００１０）〜（００３４）、図１〜図３）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
前記した特許文献１に記載されたナビゲーション装置では、探索条件に従って、出発地から目的地へ向けて、次に到達できる交差点までのリンクの探索及びそのコストの計算を順次行っていき、目的地までが最小コストとなる経路を求めている。
しかしながら、各リンクのコストは、リンク長や道路種別、道路幅、有料無料の種別、右左折、信号や踏切の有無などから算出されたものであるため、目的地のジャンルが異なっても（例えば、目的地がショッピングモールの場合と、目的地が遊園地の場合である。）各リンクに設定されるコストは一定となる。このため、例えば、有料道路を通行して目的地までの移動にお金をかけて、目的地（例えば、ショッピングモールである。）で使えるお金が足りなくなったり、一般道路を通行して目的地までの移動にお金をかけずに、目的地（例えば、遊園地である。）で過ごす時間が足りなくなるということがある。
【０００４】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ユーザが目的地を設定した際に、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる経路探索装置及び経路探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的を達成するため請求項１に係る経路探索装置は、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、出発地と目的地を入力する地点入力手段と、前記地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得手段と、前記地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定手段と、前記出発地から前記目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように前記地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、を備えたことを特徴とする。
【０００６】
また、請求項２に係る経路探索装置は、請求項１に記載の経路探索装置において、前記リンク金額設定手段は、リンクのリンク長から該リンクの旅行時間を算出する際に使用する距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換係数記憶手段と、前記リンクの旅行時間から該リンクの金額を算出する際に使用する時間金額変換係数を前記目的地情報に対応させて記憶する時間金額変換係数記憶手段と、を有し、該リンク金額設定手段は、前記各リンクの道路種別及びリンク長と前記距離時間変換係数とから該各リンクの旅行時間を算出後、この各リンクの旅行時間と前記目的地情報取得手段を介して取得した目的地情報に対応する前記時間金額変換係数とから当該各リンクの金額を算出することを特徴とする。
【０００７】
また、請求項３に係る経路探索装置は、請求項１又は請求項２に記載の経路探索装置において、前記経路探索手段は、前記出発地から前記目的地に至る経路に通行料が必要な道路が含まれる場合には、前記合計額に前記通行料を加算することを特徴とする。
【０００８】
更に、請求項４に係る経路探索方法は、出発地と目的地を入力する地点入力工程と、地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得工程と、地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報取得工程で取得した目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定工程と、前記地点入力工程で入力された出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
前記構成を有する請求項１に係る経路探索装置では、目的地に関する目的地情報を取得して、この目的地情報に対応した金額を各リンクに設定し、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように経路探索を行う。これにより、目的地のジャンル等に対応した金額を各リンクに設定して経路を探索することができ、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる。
【００１０】
また、請求項２に係る経路探索装置では、各リンクの道路種別を考慮して旅行時間を算出後、この各リンクの旅行時間と目的地情報に対応する時間金額変換係数とから当該各リンクの金額を算出する。これにより、目的地のジャンル等によって時間金額変換係数を変更することによって、各リンクに設定する金額を目的地のジャンル等に対応して適切に設定することが可能となる。例えば、目的地のジャンルが「店」でショッピングモールの場合には、時間金額変換係数を低くすることによって、旅行時間が長くなる一般道路を選択する可能性が高くなり、目的地までに使用するお金を節約することが可能となる。また、目的地のジャンルが「遊び」で遊園地の場合には、時間金額変換係数を高くすることによって、旅行時間が短くなる高速道路等の有料道路を選択する可能性が高くなり、目的地に早く着くことができ、目的地で過ごす時間を長くすることが可能となる。
【００１１】
また、請求項３に係る経路探索装置では、出発地から目的地に至る経路に通行料が必要な道路が含まれる場合には、この通行料を各リンクの合計額に加算する。これにより、出発地から目的地に至る経路を評価する合計額をより正確に算出することが可能となり、目的地のジャンル等に対応して更に適切な経路を探索することが可能となる。
【００１２】
更に、請求項４に係る経路探索方法では、目的地に関する目的地情報を取得して、この目的地情報に対応した金額を各リンクに設定し、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように経路探索を行う。これにより、目的地のジャンル等に対応した金額を各リンクに設定して経路を探索をすることができ、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明に係る経路探索装置及び経路探索方法をナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【００１４】
［ナビゲーション装置の概略構成］
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図１に基づいて説明する。図１は本実施例に係るナビゲーション装置１を示したブロック図である。
図１に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置１は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部１１と、各種のデータが記録されたデータ記録部１２と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部１３と、操作者からの操作を受け付ける操作部１４と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ１５と、経路案内等に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ１６と、不図示の道路交通情報センタや地図情報配信センタ等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置１７と、液晶ディスプレイ１５の表面に装着されたタッチパネル１８とから構成されている。また、ナビゲーション制御部１３には自車の走行速度を検出する車速センサ２１が接続されている。
【００１５】
以下に、ナビゲーション装置１を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部１１は、ＧＰＳ３１、方位センサ３２、距離センサ３３等からなり、現在の自車の位置、方位、走行距離等を検出することが可能となっている。
【００１６】
また、データ記録部１２は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク（図示せず）と、ハードディスクに記憶された地図情報データベース（地図情報ＤＢ）２５、変換係数データベース（変換係数ＤＢ）２７及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド（図示せず）とを備えている。
【００１７】
また、地図情報ＤＢ２５には、ナビゲーション装置１の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報２６が格納されている。ここで、ナビ地図情報２６は、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路（リンク）に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のＰＯＩ（Pointof Interest）に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【００１８】
また、店舗データとしては、各地域のデパート、ショッピングモール、ホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、駅、空港、フェリー乗り場、ゴルフ場、遊園地等のＰＯＩに関するデータ（例えば、ジャンル、電話番号、座標位置（例えば、緯度と経度である。）、名称等である。）がＰＯＩを特定するＩＤとともに記憶されている。また、地図情報ＤＢ２５の内容は、不図示の地図情報配信センタから通信装置１７を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【００１９】
ここで、特に地図表示データとしては、約１０ｋｍ×１０ｋｍで区画された２次メッシュをベースに４分割（長さ１／２）、１６分割（１／４）、６４分割（１／８）されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい６４分割サイズのユニットは、約１．２５ｋｍ四方の大きさである。また、約１０ｋｍ×１０ｋｍで区画された各２次メッシュ（以下、「メッシュ」という。）には、各メッシュを識別するメッシュＩＤがそれぞれ付されている。
【００２０】
また、探索データとしては、設定された出発地又は自車位置から設定された目的地までの経路を周知のダイクストラ法等により探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際の右左折や道路を構成するリンクのリンクＩＤ、距離（リンク長）、道幅、道路種別（高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、歩行者・車両共用道路等である。）、歩道の有無、縁石の有無、路側帯の有無等、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ１５の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。尚、本実施例では、後述のように各ノードの重み付けとしてリンク長、道幅、道路種別等から算出された金額を採用し、探索された経路を出発地から目的地までの合計額で評価する。
【００２１】
また、変換係数ＤＢ２７には、後述のように各リンクのリンク長から該各リンクの旅行時間を算出する際に使用する距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換テーブル５１（図２参照）が格納されている。また、変換係数ＤＢ２７には、後述のように各リンクの旅行時間から該各リンクの金額を算出する際に使用する時間金額変換係数を目的地のジャンル別に記憶する時間金額変換テーブル５２（図３参照）が格納されている。
【００２２】
また、図１に示すように、ナビゲーション装置１を構成するナビゲーション制御部１３は、ナビゲーション装置１の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのＣＰＵ４１、並びにＣＰＵ４１が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるＲＡＭ４２、制御用のプログラムのほか、後述の出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理のプログラム（図４参照）等が記憶されたＲＯＭ４３、ＲＯＭ４３から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ４４等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ４５等を備えている。
【００２３】
更に、前記ナビゲーション制御部１３には、操作部１４、液晶ディスプレイ１５、スピーカ１６、通信装置１７、タッチパネル１８の各周辺装置（アクチュエータ）が電気的に接続されている。
【００２４】
この操作部１４は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部１３は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【００２５】
また、液晶ディスプレイ１５には、現在走行中の地図情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの推奨経路、推奨経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【００２６】
また、スピーカ１６は、ナビゲーション制御部１３からの指示に基づいて、推奨経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「２００ｍ先、○○交差点を右方向です。」等がある。
【００２７】
また、通信装置１７は、地図情報配信センタと通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、地図情報配信センタとの間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、通信装置１７は地図情報配信センタに加えて、道路交通情報センタ等から送信された渋滞情報やサービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【００２８】
また、タッチパネル１８は、液晶ディスプレイ１５の表面部に装着された透明なパネル状のタッチスイッチであり、液晶ディスプレイ１５の画面に表示されたボタンや地図上を押下することによって各種指示コマンドを入力することが可能に構成されている。
【００２９】
［距離時間変換テーブル］
ここで、変換係数ＤＢ２７に格納される距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換テーブル５１を図２に基づいて説明する。図２は変換係数ＤＢ２７に格納される距離時間変換テーブル５１の一例を示す図である。
【００３０】
図２に示すように、距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換テーブル５１は、「道路種別」と「距離時間変換係数」とから構成されている。この「道路種別」には、「自動車専用道路」として高速自動車国道を表す「高速道路」、都市高速道路を表す「都市高速」、一般有料道路を表す「有料道路」、その他の自動車専用道路を表す「その他」が格納されている。また、「歩行者・車両共用道路」として歩道がある国道、県道、市町村道等を表す「歩道有り」、縁石がある国道、県道、市町村道等を表す「縁石あり」、路側帯がある国道、県道、市町村道等を表す「路側帯あり」等が格納されている。
【００３１】
そして、「距離時間変換係数」が道路種別毎にそれぞれ格納されている。例えば、「道路種別」の「高速道路」に対して、１時間当たり１００ｋｍ走行できることを表す「１００ｋｍ／ｈ」が「距離時間変換係数」として格納されている。
【００３２】
［時間金額変換テーブル］
次に、変換係数ＤＢ２７に格納される時間金額変換係数を目的地のジャンル別に記憶する時間金額変換テーブル５２を図３に基づいて説明する。図３は変換係数ＤＢ２７に格納される時間金額変換テーブル５２の一例を示す図である。
【００３３】
図３に示すように、時間金額変換係数を目的地のジャンル別に記憶する時間金額変換テーブル５２は、「目的地のジャンル」と「時間金額変換係数」とから構成されている。この「目的地のジャンル」には、店舗を表す「店」、旅館やホテルを表す「宿泊」、ガソリンスタンドや駐車場を表す「車」、スポーツや娯楽を表す「遊び」等が格納されている。また、「店」には「デパート」、「ショッピングモール」、「アウトレットモール」が格納されている。また、「遊び」には、「ゴルフ場」、「温泉」、「遊園地」等が格納されている。
【００３４】
そして、「時間金額変換係数」が目的地ジャンル別にそれぞれ格納されている。例えば、「目的地のジャンル」の「デパート」に対して、１時間当たり２００円であることを表す「２００円／ｈ」が「時間金額変換係数」として格納されている。また、「目的地のジャンル」の「ゴルフ場」に対して、１時間当たり１０００円であることを表す「１０００円／ｈ」が「時間金額変換係数」として格納されている。従って、目的地によって早く着く必要がある場合には、「時間金額変換係数」が相対的に高くなるように設定され、目的地までの移動にかかる金額を節約する必要がある場合には、「時間金額変換係数」が相対的に低くなるように設定されている。
【００３５】
［経路探索処理］
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置１のＣＰＵ４１が実行する処理であって、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理について図４に基づいて説明する。
図４は本実施例に係るナビゲーション装置１のＣＰＵ４１が実行する処理であって、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理を示すフローチャートである
【００３６】
尚、図４にフローチャートで示されるプログラムはナビゲーション装置１のナビゲーション制御部１３が備えているＲＯＭ４３に記憶されており、出発地と目的地、若しくは、目的地だけが操作部１４を介して入力された場合に、ＣＰＵ４１により実行される
【００３７】
図４に示すように、先ず、ステップ（以下、Ｓと略記する）１１において、ＣＰＵ４１は、タッチパネル１８や操作スイッチ等の操作部１４の入力操作等によって、出発地と目的地が入力された場合には、各座標位置（例えば、緯度と経度である。）をナビ地図情報２６から取得してＲＡＭ４２に記憶する。また、ＣＰＵ４１は、タッチパネル１８や操作スイッチ等の操作部１４の入力操作等によって、目的地だけが入力された場合には、現在地検出処理部１１の検出結果に基づいて自車の現在位置（以下、「自車位置」という。）を検出して、当該自車位置を出発地の座標位置としてＲＡＭ４２に記憶すると共に、目的地の座標位置（例えば、緯度と経度である。）をナビ地図情報２６から取得してＲＡＭ４２に記憶する。
【００３８】
そして、Ｓ１２において、ＣＰＵ４１は、目的地の座標位置をＲＡＭ４２から再度読み出し、当該目的地の座標位置に対応するＰＯＩの店舗データ（例えば、ジャンル、電話番号、座標位置（例えば、緯度と経度である。）、名称等である。）をナビ地図情報２６から取得して、目的地情報としてＲＡＭ４２に記憶する。
【００３９】
続いて、Ｓ１３において、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索エリアを設定する。
例えば、目的地が出発地から所定距離以内（例えば、約８０ｋｍ以内である。）の地点である場合には、ＣＰＵ４１は、出発地の座標位置を中心とする約８０ｋｍ四方の領域を経路探索エリアとして設定する。また、目的地が出発地から所定距離より遠い場合には（例えば、約８０ｋｍより遠い場合である。）、ＣＰＵ４１は、出発地の座標位置を中心とする約８０ｋｍ四方の領域と、目的地の座標位置を中心とする約８０ｋｍ四方の領域との各領域の外周を囲む矩形状の領域を経路探索エリアとして設定する。
【００４０】
そして、Ｓ１４において、ＣＰＵ４１は、上記Ｓ１３で設定した経路探索エリア内の各リンクについて、リンクＩＤ、リンク長、道幅、道路種別、歩道の有無、縁石の有無、路側帯の有無等に関するデータをナビ地図情報２６から読み出すと共に、当該リンクの道路種別に該当する「距離時間変換係数」を変換係数ＤＢ２７に記憶されている距離時間変換テーブル５１から読み出す。そして、ＣＰＵ４１は、経路探索エリア内の各リンクについて、リンク長をリンクの道路種別に該当する「距離時間変換係数」で割り算して当該リンクの旅行時間を算出し、このリンクのリンクＩＤに対応させて順次ＲＡＭ４２に記憶する。
【００４１】
続いて、Ｓ１５において、ＣＰＵ４１は、当該目的地のＰＯＩに関する目的地情報をＲＡＭ４２から読み出し、この目的地のジャンルに対応する「時間金額変換係数」を変換係数ＤＢ２７に記憶されている時間金額変換テーブル５２から読み込み、ＲＡＭ４２に記憶する。例えば、当該目的地のジャンルが「ゴルフ場」の場合には、「時間金額変換係数」として「１０００円／ｈ」を読み出し、ＲＡＭ４２に記憶する。
【００４２】
そして、Ｓ１６において、ＣＰＵ４１は、上記Ｓ１３で設定した経路探索エリア内の各リンクについて、Ｓ１４で算出されたリンクの旅行時間をＲＡＭ４２から読み出すと共に、「時間金額変換係数」をＲＡＭ４２から読み出す。そして、ＣＰＵ４１は、経路探索エリア内の各リンクについて、リンクの旅行時間に「時間金額変換係数」を掛け算してリンクの金額を算出し、当該リンクのリンクＩＤに対応させて順次ＲＡＭ４２に記憶する。
【００４３】
その後、Ｓ１７において、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を、当該経路を構成する各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように周知のダイクストラ法等により探索する。また、当該経路に通行料が必要な高速自動車国道や一般有料道路等が含まれる場合には、ＣＰＵ４１は、この経路中の高速自動車国道や一般有料道路上のリンク列の合計額に通行料を加算して、順次経路探索を行う。
【００４４】
具体的には、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地へ向けて、次に到達できるノードまでのリンクをナビ地図情報２６から順次探索し、このリンクのリンクＩＤに対応する金額をＲＡＭ４２から読み出して、合計額を順次算出していき、目的地までの合計額が最小となる経路（リンク列）を求める。また、目的地までの経路に通行料が必要な高速自動車国道や一般有料道路等の道路種別のリンク列が含まれる場合には、ＣＰＵ４１は、このリンク列の合計額に通行料を加算して、当該経路の合計額が最小となる経路（リンク列）を求める。
【００４５】
続いて、Ｓ１８において、ＣＰＵ４１は、この合計額が最小の経路を出発地から目的地までの推奨経路として確定し、当該推奨経路の全経路を液晶ディスプレイ１５の表示画面の地図上に青い太線等で表示して、ユーザに案内経路として提示後、当該処理を終了する。
【００４６】
［上記実施例の効果］
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置１では、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索エリアを設定し、当該経路探索エリア内の各リンクのリンク長と道路種別に対応する「距離時間変換係数」とからリンク毎の旅行時間を算出する。その後、ＣＰＵ４１は、この各リンクの旅行時間と目的地のジャンルに対応する「時間金額変換係数」とから当該各リンクに金額を設定して、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように周知のダイクストラ法等により経路探索を行う。
【００４７】
これにより、目的地のジャンル等によって「時間金額変換係数」を変更することによって、各リンクに設定する金額を目的地のジャンル等に対応して適切に設定することが可能となり、出発地から目的地に至る経路を各リンクに設定された金額の合計額によって評価することで、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる。
【００４８】
例えば、目的地のジャンルが「店」でショッピングモールの場合には、「時間金額変換係数」を「１００円／ｈ」と低くすることによって、旅行時間が長くなる一般道路を選択する可能性が高くなり、目的地までに使用するお金を節約できる経路を探索することが可能となる。また、目的地のジャンルが「遊び」で遊園地の場合には、「時間金額変換係数」を「１０００円／ｈ」と高くすることによって、旅行時間が短くなる高速自動車国道や一般有料道路等を選択する可能性が高くなり、目的地に早く着くことができ、目的地で過ごす時間を長くできる経路を探索することが可能となる。
【００４９】
また、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地に至る経路に通行料が必要な高速自動車国道や一般有料道路等が含まれる場合には、この経路中の高速自動車国道や一般有料道路等のリンク列の合計額に当該通行料を加算する。これにより、出発地から目的地に至る経路を評価する合計額をより正確に算出することが可能となり、目的地のジャンル等に対応して更に適切な経路を探索することが可能となる。
【００５０】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【００５１】
例えば、「時間金額変換係数」の単位を「ドル／ｈ」、「ポンド／ｈ」、「フラン／ｈ」等、自車両が現在位置する各国の通貨に対応した１時間当たりの金額の単位で設定するようにしてもよい。
また、「時間金額変換係数」の単位を「 ／ｈ」と１時間当たりの無次元の金額の単位で設定するようにしてもよい。この場合には、経路探索エリア内の各リンクに設定される金額の単位は無次元となる。
【図面の簡単な説明】
【００５２】
【図１】本実施例に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図２】変換係数ＤＢに格納される距離時間変換テーブルの一例を示す図である。
【図３】変換係数ＤＢに格納される時間金額変換テーブルの一例を示す図である。
【図４】ナビゲーション装置のＣＰＵが実行する処理である、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００５３】
１ ナビゲーション装置
１１ 現在地検出処理部
１２ データ記録部
１３ ナビゲーション制御部
１４ 操作部
１５ 液晶ディスプレイ
１８ タッチパネル
２５ 地図情報ＤＢ
２７ 変換係数ＤＢ
４１ ＣＰＵ
４２ ＲＡＭ
４３ ＲＯＭ
５１ 距離時間変換テーブル
５２ 時間金額変換テーブル
【技術分野】
【０００１】
本発明は、目的地までの経路を探索する経路探索装置及び経路探索方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、目的地までの経路を探索する経路探索装置及び経路探索方法に関して種々提案されている。
例えば、ユーザは初期設定画面にて、「最適時間考慮」及び「信号機考慮」の２つについて、それぞれ「する」、「しない」を好みに応じて設定する。そして、ユーザが目的地入力画面にて目的地を指定すると、各固定探索条件（「推奨」、「一般道優先」、「有料道優先」、「距離優先」、「別ルート」である。）にユーザが設定した設定探索条件を組み合わせて５つの経路を探索するナビゲーション装置がある（例えば、特許文献１参照。）。
【特許文献１】特開２００４−１２５４４８号公報（段落（００１０）〜（００３４）、図１〜図３）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
前記した特許文献１に記載されたナビゲーション装置では、探索条件に従って、出発地から目的地へ向けて、次に到達できる交差点までのリンクの探索及びそのコストの計算を順次行っていき、目的地までが最小コストとなる経路を求めている。
しかしながら、各リンクのコストは、リンク長や道路種別、道路幅、有料無料の種別、右左折、信号や踏切の有無などから算出されたものであるため、目的地のジャンルが異なっても（例えば、目的地がショッピングモールの場合と、目的地が遊園地の場合である。）各リンクに設定されるコストは一定となる。このため、例えば、有料道路を通行して目的地までの移動にお金をかけて、目的地（例えば、ショッピングモールである。）で使えるお金が足りなくなったり、一般道路を通行して目的地までの移動にお金をかけずに、目的地（例えば、遊園地である。）で過ごす時間が足りなくなるということがある。
【０００４】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ユーザが目的地を設定した際に、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる経路探索装置及び経路探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的を達成するため請求項１に係る経路探索装置は、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、出発地と目的地を入力する地点入力手段と、前記地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得手段と、前記地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定手段と、前記出発地から前記目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように前記地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、を備えたことを特徴とする。
【０００６】
また、請求項２に係る経路探索装置は、請求項１に記載の経路探索装置において、前記リンク金額設定手段は、リンクのリンク長から該リンクの旅行時間を算出する際に使用する距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換係数記憶手段と、前記リンクの旅行時間から該リンクの金額を算出する際に使用する時間金額変換係数を前記目的地情報に対応させて記憶する時間金額変換係数記憶手段と、を有し、該リンク金額設定手段は、前記各リンクの道路種別及びリンク長と前記距離時間変換係数とから該各リンクの旅行時間を算出後、この各リンクの旅行時間と前記目的地情報取得手段を介して取得した目的地情報に対応する前記時間金額変換係数とから当該各リンクの金額を算出することを特徴とする。
【０００７】
また、請求項３に係る経路探索装置は、請求項１又は請求項２に記載の経路探索装置において、前記経路探索手段は、前記出発地から前記目的地に至る経路に通行料が必要な道路が含まれる場合には、前記合計額に前記通行料を加算することを特徴とする。
【０００８】
更に、請求項４に係る経路探索方法は、出発地と目的地を入力する地点入力工程と、地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得工程と、地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報取得工程で取得した目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定工程と、前記地点入力工程で入力された出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
前記構成を有する請求項１に係る経路探索装置では、目的地に関する目的地情報を取得して、この目的地情報に対応した金額を各リンクに設定し、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように経路探索を行う。これにより、目的地のジャンル等に対応した金額を各リンクに設定して経路を探索することができ、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる。
【００１０】
また、請求項２に係る経路探索装置では、各リンクの道路種別を考慮して旅行時間を算出後、この各リンクの旅行時間と目的地情報に対応する時間金額変換係数とから当該各リンクの金額を算出する。これにより、目的地のジャンル等によって時間金額変換係数を変更することによって、各リンクに設定する金額を目的地のジャンル等に対応して適切に設定することが可能となる。例えば、目的地のジャンルが「店」でショッピングモールの場合には、時間金額変換係数を低くすることによって、旅行時間が長くなる一般道路を選択する可能性が高くなり、目的地までに使用するお金を節約することが可能となる。また、目的地のジャンルが「遊び」で遊園地の場合には、時間金額変換係数を高くすることによって、旅行時間が短くなる高速道路等の有料道路を選択する可能性が高くなり、目的地に早く着くことができ、目的地で過ごす時間を長くすることが可能となる。
【００１１】
また、請求項３に係る経路探索装置では、出発地から目的地に至る経路に通行料が必要な道路が含まれる場合には、この通行料を各リンクの合計額に加算する。これにより、出発地から目的地に至る経路を評価する合計額をより正確に算出することが可能となり、目的地のジャンル等に対応して更に適切な経路を探索することが可能となる。
【００１２】
更に、請求項４に係る経路探索方法では、目的地に関する目的地情報を取得して、この目的地情報に対応した金額を各リンクに設定し、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように経路探索を行う。これにより、目的地のジャンル等に対応した金額を各リンクに設定して経路を探索をすることができ、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明に係る経路探索装置及び経路探索方法をナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【００１４】
［ナビゲーション装置の概略構成］
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図１に基づいて説明する。図１は本実施例に係るナビゲーション装置１を示したブロック図である。
図１に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置１は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部１１と、各種のデータが記録されたデータ記録部１２と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部１３と、操作者からの操作を受け付ける操作部１４と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ１５と、経路案内等に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ１６と、不図示の道路交通情報センタや地図情報配信センタ等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置１７と、液晶ディスプレイ１５の表面に装着されたタッチパネル１８とから構成されている。また、ナビゲーション制御部１３には自車の走行速度を検出する車速センサ２１が接続されている。
【００１５】
以下に、ナビゲーション装置１を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部１１は、ＧＰＳ３１、方位センサ３２、距離センサ３３等からなり、現在の自車の位置、方位、走行距離等を検出することが可能となっている。
【００１６】
また、データ記録部１２は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク（図示せず）と、ハードディスクに記憶された地図情報データベース（地図情報ＤＢ）２５、変換係数データベース（変換係数ＤＢ）２７及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド（図示せず）とを備えている。
【００１７】
また、地図情報ＤＢ２５には、ナビゲーション装置１の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報２６が格納されている。ここで、ナビ地図情報２６は、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路（リンク）に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のＰＯＩ（Pointof Interest）に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【００１８】
また、店舗データとしては、各地域のデパート、ショッピングモール、ホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、駅、空港、フェリー乗り場、ゴルフ場、遊園地等のＰＯＩに関するデータ（例えば、ジャンル、電話番号、座標位置（例えば、緯度と経度である。）、名称等である。）がＰＯＩを特定するＩＤとともに記憶されている。また、地図情報ＤＢ２５の内容は、不図示の地図情報配信センタから通信装置１７を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【００１９】
ここで、特に地図表示データとしては、約１０ｋｍ×１０ｋｍで区画された２次メッシュをベースに４分割（長さ１／２）、１６分割（１／４）、６４分割（１／８）されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい６４分割サイズのユニットは、約１．２５ｋｍ四方の大きさである。また、約１０ｋｍ×１０ｋｍで区画された各２次メッシュ（以下、「メッシュ」という。）には、各メッシュを識別するメッシュＩＤがそれぞれ付されている。
【００２０】
また、探索データとしては、設定された出発地又は自車位置から設定された目的地までの経路を周知のダイクストラ法等により探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際の右左折や道路を構成するリンクのリンクＩＤ、距離（リンク長）、道幅、道路種別（高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、歩行者・車両共用道路等である。）、歩道の有無、縁石の有無、路側帯の有無等、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ１５の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。尚、本実施例では、後述のように各ノードの重み付けとしてリンク長、道幅、道路種別等から算出された金額を採用し、探索された経路を出発地から目的地までの合計額で評価する。
【００２１】
また、変換係数ＤＢ２７には、後述のように各リンクのリンク長から該各リンクの旅行時間を算出する際に使用する距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換テーブル５１（図２参照）が格納されている。また、変換係数ＤＢ２７には、後述のように各リンクの旅行時間から該各リンクの金額を算出する際に使用する時間金額変換係数を目的地のジャンル別に記憶する時間金額変換テーブル５２（図３参照）が格納されている。
【００２２】
また、図１に示すように、ナビゲーション装置１を構成するナビゲーション制御部１３は、ナビゲーション装置１の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのＣＰＵ４１、並びにＣＰＵ４１が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるＲＡＭ４２、制御用のプログラムのほか、後述の出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理のプログラム（図４参照）等が記憶されたＲＯＭ４３、ＲＯＭ４３から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ４４等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ４５等を備えている。
【００２３】
更に、前記ナビゲーション制御部１３には、操作部１４、液晶ディスプレイ１５、スピーカ１６、通信装置１７、タッチパネル１８の各周辺装置（アクチュエータ）が電気的に接続されている。
【００２４】
この操作部１４は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部１３は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【００２５】
また、液晶ディスプレイ１５には、現在走行中の地図情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの推奨経路、推奨経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【００２６】
また、スピーカ１６は、ナビゲーション制御部１３からの指示に基づいて、推奨経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「２００ｍ先、○○交差点を右方向です。」等がある。
【００２７】
また、通信装置１７は、地図情報配信センタと通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、地図情報配信センタとの間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、通信装置１７は地図情報配信センタに加えて、道路交通情報センタ等から送信された渋滞情報やサービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【００２８】
また、タッチパネル１８は、液晶ディスプレイ１５の表面部に装着された透明なパネル状のタッチスイッチであり、液晶ディスプレイ１５の画面に表示されたボタンや地図上を押下することによって各種指示コマンドを入力することが可能に構成されている。
【００２９】
［距離時間変換テーブル］
ここで、変換係数ＤＢ２７に格納される距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換テーブル５１を図２に基づいて説明する。図２は変換係数ＤＢ２７に格納される距離時間変換テーブル５１の一例を示す図である。
【００３０】
図２に示すように、距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換テーブル５１は、「道路種別」と「距離時間変換係数」とから構成されている。この「道路種別」には、「自動車専用道路」として高速自動車国道を表す「高速道路」、都市高速道路を表す「都市高速」、一般有料道路を表す「有料道路」、その他の自動車専用道路を表す「その他」が格納されている。また、「歩行者・車両共用道路」として歩道がある国道、県道、市町村道等を表す「歩道有り」、縁石がある国道、県道、市町村道等を表す「縁石あり」、路側帯がある国道、県道、市町村道等を表す「路側帯あり」等が格納されている。
【００３１】
そして、「距離時間変換係数」が道路種別毎にそれぞれ格納されている。例えば、「道路種別」の「高速道路」に対して、１時間当たり１００ｋｍ走行できることを表す「１００ｋｍ／ｈ」が「距離時間変換係数」として格納されている。
【００３２】
［時間金額変換テーブル］
次に、変換係数ＤＢ２７に格納される時間金額変換係数を目的地のジャンル別に記憶する時間金額変換テーブル５２を図３に基づいて説明する。図３は変換係数ＤＢ２７に格納される時間金額変換テーブル５２の一例を示す図である。
【００３３】
図３に示すように、時間金額変換係数を目的地のジャンル別に記憶する時間金額変換テーブル５２は、「目的地のジャンル」と「時間金額変換係数」とから構成されている。この「目的地のジャンル」には、店舗を表す「店」、旅館やホテルを表す「宿泊」、ガソリンスタンドや駐車場を表す「車」、スポーツや娯楽を表す「遊び」等が格納されている。また、「店」には「デパート」、「ショッピングモール」、「アウトレットモール」が格納されている。また、「遊び」には、「ゴルフ場」、「温泉」、「遊園地」等が格納されている。
【００３４】
そして、「時間金額変換係数」が目的地ジャンル別にそれぞれ格納されている。例えば、「目的地のジャンル」の「デパート」に対して、１時間当たり２００円であることを表す「２００円／ｈ」が「時間金額変換係数」として格納されている。また、「目的地のジャンル」の「ゴルフ場」に対して、１時間当たり１０００円であることを表す「１０００円／ｈ」が「時間金額変換係数」として格納されている。従って、目的地によって早く着く必要がある場合には、「時間金額変換係数」が相対的に高くなるように設定され、目的地までの移動にかかる金額を節約する必要がある場合には、「時間金額変換係数」が相対的に低くなるように設定されている。
【００３５】
［経路探索処理］
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置１のＣＰＵ４１が実行する処理であって、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理について図４に基づいて説明する。
図４は本実施例に係るナビゲーション装置１のＣＰＵ４１が実行する処理であって、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理を示すフローチャートである
【００３６】
尚、図４にフローチャートで示されるプログラムはナビゲーション装置１のナビゲーション制御部１３が備えているＲＯＭ４３に記憶されており、出発地と目的地、若しくは、目的地だけが操作部１４を介して入力された場合に、ＣＰＵ４１により実行される
【００３７】
図４に示すように、先ず、ステップ（以下、Ｓと略記する）１１において、ＣＰＵ４１は、タッチパネル１８や操作スイッチ等の操作部１４の入力操作等によって、出発地と目的地が入力された場合には、各座標位置（例えば、緯度と経度である。）をナビ地図情報２６から取得してＲＡＭ４２に記憶する。また、ＣＰＵ４１は、タッチパネル１８や操作スイッチ等の操作部１４の入力操作等によって、目的地だけが入力された場合には、現在地検出処理部１１の検出結果に基づいて自車の現在位置（以下、「自車位置」という。）を検出して、当該自車位置を出発地の座標位置としてＲＡＭ４２に記憶すると共に、目的地の座標位置（例えば、緯度と経度である。）をナビ地図情報２６から取得してＲＡＭ４２に記憶する。
【００３８】
そして、Ｓ１２において、ＣＰＵ４１は、目的地の座標位置をＲＡＭ４２から再度読み出し、当該目的地の座標位置に対応するＰＯＩの店舗データ（例えば、ジャンル、電話番号、座標位置（例えば、緯度と経度である。）、名称等である。）をナビ地図情報２６から取得して、目的地情報としてＲＡＭ４２に記憶する。
【００３９】
続いて、Ｓ１３において、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索エリアを設定する。
例えば、目的地が出発地から所定距離以内（例えば、約８０ｋｍ以内である。）の地点である場合には、ＣＰＵ４１は、出発地の座標位置を中心とする約８０ｋｍ四方の領域を経路探索エリアとして設定する。また、目的地が出発地から所定距離より遠い場合には（例えば、約８０ｋｍより遠い場合である。）、ＣＰＵ４１は、出発地の座標位置を中心とする約８０ｋｍ四方の領域と、目的地の座標位置を中心とする約８０ｋｍ四方の領域との各領域の外周を囲む矩形状の領域を経路探索エリアとして設定する。
【００４０】
そして、Ｓ１４において、ＣＰＵ４１は、上記Ｓ１３で設定した経路探索エリア内の各リンクについて、リンクＩＤ、リンク長、道幅、道路種別、歩道の有無、縁石の有無、路側帯の有無等に関するデータをナビ地図情報２６から読み出すと共に、当該リンクの道路種別に該当する「距離時間変換係数」を変換係数ＤＢ２７に記憶されている距離時間変換テーブル５１から読み出す。そして、ＣＰＵ４１は、経路探索エリア内の各リンクについて、リンク長をリンクの道路種別に該当する「距離時間変換係数」で割り算して当該リンクの旅行時間を算出し、このリンクのリンクＩＤに対応させて順次ＲＡＭ４２に記憶する。
【００４１】
続いて、Ｓ１５において、ＣＰＵ４１は、当該目的地のＰＯＩに関する目的地情報をＲＡＭ４２から読み出し、この目的地のジャンルに対応する「時間金額変換係数」を変換係数ＤＢ２７に記憶されている時間金額変換テーブル５２から読み込み、ＲＡＭ４２に記憶する。例えば、当該目的地のジャンルが「ゴルフ場」の場合には、「時間金額変換係数」として「１０００円／ｈ」を読み出し、ＲＡＭ４２に記憶する。
【００４２】
そして、Ｓ１６において、ＣＰＵ４１は、上記Ｓ１３で設定した経路探索エリア内の各リンクについて、Ｓ１４で算出されたリンクの旅行時間をＲＡＭ４２から読み出すと共に、「時間金額変換係数」をＲＡＭ４２から読み出す。そして、ＣＰＵ４１は、経路探索エリア内の各リンクについて、リンクの旅行時間に「時間金額変換係数」を掛け算してリンクの金額を算出し、当該リンクのリンクＩＤに対応させて順次ＲＡＭ４２に記憶する。
【００４３】
その後、Ｓ１７において、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を、当該経路を構成する各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように周知のダイクストラ法等により探索する。また、当該経路に通行料が必要な高速自動車国道や一般有料道路等が含まれる場合には、ＣＰＵ４１は、この経路中の高速自動車国道や一般有料道路上のリンク列の合計額に通行料を加算して、順次経路探索を行う。
【００４４】
具体的には、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地へ向けて、次に到達できるノードまでのリンクをナビ地図情報２６から順次探索し、このリンクのリンクＩＤに対応する金額をＲＡＭ４２から読み出して、合計額を順次算出していき、目的地までの合計額が最小となる経路（リンク列）を求める。また、目的地までの経路に通行料が必要な高速自動車国道や一般有料道路等の道路種別のリンク列が含まれる場合には、ＣＰＵ４１は、このリンク列の合計額に通行料を加算して、当該経路の合計額が最小となる経路（リンク列）を求める。
【００４５】
続いて、Ｓ１８において、ＣＰＵ４１は、この合計額が最小の経路を出発地から目的地までの推奨経路として確定し、当該推奨経路の全経路を液晶ディスプレイ１５の表示画面の地図上に青い太線等で表示して、ユーザに案内経路として提示後、当該処理を終了する。
【００４６】
［上記実施例の効果］
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置１では、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索エリアを設定し、当該経路探索エリア内の各リンクのリンク長と道路種別に対応する「距離時間変換係数」とからリンク毎の旅行時間を算出する。その後、ＣＰＵ４１は、この各リンクの旅行時間と目的地のジャンルに対応する「時間金額変換係数」とから当該各リンクに金額を設定して、出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように周知のダイクストラ法等により経路探索を行う。
【００４７】
これにより、目的地のジャンル等によって「時間金額変換係数」を変更することによって、各リンクに設定する金額を目的地のジャンル等に対応して適切に設定することが可能となり、出発地から目的地に至る経路を各リンクに設定された金額の合計額によって評価することで、目的地のジャンル等に対応して適切な経路を探索することが可能となる。
【００４８】
例えば、目的地のジャンルが「店」でショッピングモールの場合には、「時間金額変換係数」を「１００円／ｈ」と低くすることによって、旅行時間が長くなる一般道路を選択する可能性が高くなり、目的地までに使用するお金を節約できる経路を探索することが可能となる。また、目的地のジャンルが「遊び」で遊園地の場合には、「時間金額変換係数」を「１０００円／ｈ」と高くすることによって、旅行時間が短くなる高速自動車国道や一般有料道路等を選択する可能性が高くなり、目的地に早く着くことができ、目的地で過ごす時間を長くできる経路を探索することが可能となる。
【００４９】
また、ＣＰＵ４１は、出発地から目的地に至る経路に通行料が必要な高速自動車国道や一般有料道路等が含まれる場合には、この経路中の高速自動車国道や一般有料道路等のリンク列の合計額に当該通行料を加算する。これにより、出発地から目的地に至る経路を評価する合計額をより正確に算出することが可能となり、目的地のジャンル等に対応して更に適切な経路を探索することが可能となる。
【００５０】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【００５１】
例えば、「時間金額変換係数」の単位を「ドル／ｈ」、「ポンド／ｈ」、「フラン／ｈ」等、自車両が現在位置する各国の通貨に対応した１時間当たりの金額の単位で設定するようにしてもよい。
また、「時間金額変換係数」の単位を「 ／ｈ」と１時間当たりの無次元の金額の単位で設定するようにしてもよい。この場合には、経路探索エリア内の各リンクに設定される金額の単位は無次元となる。
【図面の簡単な説明】
【００５２】
【図１】本実施例に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図２】変換係数ＤＢに格納される距離時間変換テーブルの一例を示す図である。
【図３】変換係数ＤＢに格納される時間金額変換テーブルの一例を示す図である。
【図４】ナビゲーション装置のＣＰＵが実行する処理である、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００５３】
１ ナビゲーション装置
１１ 現在地検出処理部
１２ データ記録部
１３ ナビゲーション制御部
１４ 操作部
１５ 液晶ディスプレイ
１８ タッチパネル
２５ 地図情報ＤＢ
２７ 変換係数ＤＢ
４１ ＣＰＵ
４２ ＲＡＭ
４３ ＲＯＭ
５１ 距離時間変換テーブル
５２ 時間金額変換テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項１】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
出発地と目的地を入力する地点入力手段と、
前記地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得手段と、
前記地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定手段と、
前記出発地から前記目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように前記地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、
を備えたことを特徴とする経路探索装置。
【請求項２】
前記リンク金額設定手段は、
リンクのリンク長から該リンクの旅行時間を算出する際に使用する距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換係数記憶手段と、
前記リンクの旅行時間から該リンクの金額を算出する際に使用する時間金額変換係数を前記目的地情報に対応させて記憶する時間金額変換係数記憶手段と、
を有し、
該リンク金額設定手段は、前記各リンクの道路種別及びリンク長と前記距離時間変換係数とから該各リンクの旅行時間を算出後、この各リンクの旅行時間と前記目的地情報取得手段を介して取得した目的地情報に対応する前記時間金額変換係数とから当該各リンクの金額を算出することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項３】
前記経路探索手段は、前記出発地から前記目的地に至る経路に通行料が必要な道路が含まれる場合には、前記合計額に前記通行料を加算することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の経路探索装置。
【請求項４】
出発地と目的地を入力する地点入力工程と、
地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得工程と、
地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報取得工程で取得した目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定工程と、
前記地点入力工程で入力された出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索工程と、
を備えたことを特徴とする経路探索方法。
【請求項１】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
出発地と目的地を入力する地点入力手段と、
前記地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得手段と、
前記地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定手段と、
前記出発地から前記目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように前記地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、
を備えたことを特徴とする経路探索装置。
【請求項２】
前記リンク金額設定手段は、
リンクのリンク長から該リンクの旅行時間を算出する際に使用する距離時間変換係数を道路種別毎に記憶する距離時間変換係数記憶手段と、
前記リンクの旅行時間から該リンクの金額を算出する際に使用する時間金額変換係数を前記目的地情報に対応させて記憶する時間金額変換係数記憶手段と、
を有し、
該リンク金額設定手段は、前記各リンクの道路種別及びリンク長と前記距離時間変換係数とから該各リンクの旅行時間を算出後、この各リンクの旅行時間と前記目的地情報取得手段を介して取得した目的地情報に対応する前記時間金額変換係数とから当該各リンクの金額を算出することを特徴とする請求項１に記載の経路探索装置。
【請求項３】
前記経路探索手段は、前記出発地から前記目的地に至る経路に通行料が必要な道路が含まれる場合には、前記合計額に前記通行料を加算することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の経路探索装置。
【請求項４】
出発地と目的地を入力する地点入力工程と、
地図情報に基づいて前記目的地に関する目的地情報を取得する目的地情報取得工程と、
地図情報に基づいて前記出発地から前記目的地に至る経路を探索するエリア内の各リンクを抽出して該各リンクに前記目的地情報取得工程で取得した目的地情報に対応した金額を設定するリンク金額設定工程と、
前記地点入力工程で入力された出発地から目的地に至る経路の各リンクに設定された金額の合計額が最小になるように地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索工程と、
を備えたことを特徴とする経路探索方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−１２７６６６（Ｐ２０１０−１２７６６６Ａ）
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３００３７０（Ｐ２００８−３００３７０）
【出願日】平成２０年１１月２６日（２００８．１１．２６）
【出願人】（０００１００７６８）アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１１月２６日（２００８．１１．２６）
【出願人】（０００１００７６８）アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Ｆターム（参考）】
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