縦型熱処理装置
【課題】ウエハボートに棚状に積載された複数の基板の各々に対して側方側から処理ガスを供給して反応管内において熱処理を行うにあたり、処理ガスの有効利用を図ると共に、装置のコストを低減すること。
【解決手段】保持板31の各々の上面側に基板載置領域33を周方向に複数箇所に形成して、これら保持板31を周縁側から周方向に亘って複数箇所において支柱32によって支持すると共に、保持板31上に支持されるウエハWの上面と当該ウエハWの上方側に対向する保持板31の下面との間の間隔寸法kよりも保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tの方が小さくなるように、保持板31の外縁よりも内側寄りの位置に各々の支柱32を配置する。そして、ウエハWの各々の側方側のガス吐出口52から、各々のウエハWに対して処理ガスを供給する。
【解決手段】保持板31の各々の上面側に基板載置領域33を周方向に複数箇所に形成して、これら保持板31を周縁側から周方向に亘って複数箇所において支柱32によって支持すると共に、保持板31上に支持されるウエハWの上面と当該ウエハWの上方側に対向する保持板31の下面との間の間隔寸法kよりも保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tの方が小さくなるように、保持板31の外縁よりも内側寄りの位置に各々の支柱32を配置する。そして、ウエハWの各々の側方側のガス吐出口52から、各々のウエハWに対して処理ガスを供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持具に棚状に積載された複数枚の基板に対して処理ガスを供給して熱処理を行う縦型熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの基板(以下「ウエハ」と言う)に対して成膜処理などの熱処理を行う熱処理装置として、基板保持具であるウエハボートに100枚〜150枚程度のウエハを棚状に積載すると共に、このウエハボートを反応管内に気密に収納して、真空雰囲気において当該反応管内に成膜ガスを供給して薄膜を成膜するバッチ式の縦型熱処理装置が知られている。このウエハボートは、円板状の天板及び底板と、これら天板及び底板間を外周側から周方向に亘って複数箇所において接続する支柱とを備えている。これら支柱の側面には、スリット状の溝がウエハの収納領域を向くように上下方向に亘って複数箇所に形成されており、各々のウエハは端部がこれら支柱の溝に支持されるように収納される。従って、ウエハボートに支持されるウエハの外周部と反応管の内壁との間には、支柱が配置される領域に対応するように、周方向に亘って隙間領域が形成されている。
【0003】
この反応管内に成膜ガスを供給する方法としては、特許文献1のように、各々のウエハにおいて水平方向にガス流が形成されるように、クロスフロー方式が採られる場合がある。具体的には、例えば反応管を内管及び外管からなる二重管構造にして、上下方向に伸びるスリット状の排気口を内管に形成すると共に、排気口に対向するように鉛直方向に伸びるガスインジェクターをウエハボートの側方に配置する。そして、各々のウエハの高さ位置に対応するようにガスインジェクターの側壁にガス吐出口を複数箇所に形成し、各々のウエハにおいてガス吐出口から排気口に向かうガス流を形成する。
【0004】
この時、ウエハボートに支持されるウエハの外周部と反応管(内管)との間には、既述のように周方向に亘って隙間領域が形成されているので、ガスインジェクターから吐出される成膜ガスは、ウエハ間の狭い領域よりもこの隙間領域を通流しようとする。そのため、各々のウエハに供給されるガス量が設定値よりも少なくなり、生産性(成膜レート)及び面内における膜厚の均一性や被覆性(カバレッジ性)が悪くなってしまう場合がある。また、成膜に寄与せずに成膜ガスが排出されると、当該成膜ガスの使用量が多くなり、コストアップに繋がってしまう。
【0005】
ところで、近年において、通常の12インチ(300mm)サイズのウエハに代えて、直径寸法が例えば4インチ(100mm)程度の炭化珪素(SiC)基板や太陽電池用のシリコン(Si)基板に対して、例えばアルミナ(Al2O3)膜を成膜するプロセスが検討されている。また、ウエハWとして例えば外径寸法が100mmのサファイヤ基板を用いて、このウエハWに対してMO−CVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によりGaN(窒化ガリウム)膜を成膜してLED(Light Emitting Diode)デバイスを作製するプロセスも検討されている。しかし、既述のようにウエハボートにこれら基板を棚状に積載してこのプロセスを行おうとすると、12インチサイズのウエハに比べて基板サイズが小さいので、装置のコストが相対的に高くなってしまう。また、ウエハボート(縦型熱処理装置)の高さ寸法が例えばクリーンルームの天井面などによって制限されるので、装置のコストを下げるためにウエハボートに積載する基板の数量(スロットの数量)を増やすことは困難である。
特許文献2、3には、ウエハディスク23bやサセプタ16にウエハWを周方向に並べる技術が記載されており、また特許文献4には、ウエハを上下に積層して処理を行う装置が記載されているが、既述の課題については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−206489号公報
【特許文献2】特開2010−73823号公報
【特許文献3】特開昭61−136676号公報
【特許文献4】特開2000−208425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板保持具に棚状に積載された複数の基板の各々に対して側方側から処理ガスを供給して反応管内において熱処理を行うにあたり、処理ガスの使用効率を向上させることのできる縦型熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の縦型熱処理装置は、
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、各々複数の基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることを特徴とする。
前記縦型熱処理装置の具体的構成としては、以下のようにしても良い。
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されている構成。
前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることに代えて、保持板の外縁から外側に3mm飛び出した位置よりも内側寄りである構成。
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、8mm以下である構成。
反応管の径方向で見た時の前記基板保持具上の基板の外縁と前記支柱の外周面とは、前記保持板の輪郭線上において揃っている構成。
前記反応管は、気密に開閉自在に設けられた第1の反応管と、当該第1の反応管の内部に設けられ、前記基板保持具を収納する第2の反応管と、を備え、
前記処理ガス供給部は、前記基板保持具の長さ方向に沿うように第2の反応管内に配置されたガスインジェクターであり、
前記排気口は、このガスインジェクターに対向するように、当該ガスインジェクターの長さ方向に沿って前記第2の反応管の側面にスリット状に形成され、
これら第1の反応管と第2の反応管との間の領域に連通するように、当該領域の雰囲気を排気するための排気ポートが配置されている構成。
前記基板保持具を鉛直軸周りに回転させる回転機構を備えている構成。
前記処理ガス供給部は、基板に第1の処理ガスを供給する第1のガス供給部と、この第1の処理ガスと反応する第2の処理ガスを基板に供給する第2のガス供給部と、基板にパージガスを供給する第3のガス供給部と、を備え、
第1の処理ガスと第2の処理ガスとを交互に基板に供給すると共に、これら処理ガスを切り替える時にはパージガスを基板に供給してガスの置換を行うように制御信号を出力する制御部を備えている構成。
また、本発明の縦型熱処理装置は、
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであり、
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、基板保持具に保持される各基板に、各基板に対応する高さ位置に形成されたガス吐出口から処理ガスを吐出して熱処理を行う縦型熱処理装置において、複数の円形状の保持板を積層すると共に各保持板に複数の基板を保持し、これら複数の保持板の周縁部を支持する支柱を保持板の外縁から飛び出さないように構成している。従って、保持板と反応管との間の隙間を狭くできることから、保持板の外方を通過する、処理に寄与しない処理ガスの量が抑えられる。このため処理ガスの有効利用を図ること、言い換えれば処理ガスの使用効率を向上させることができる。また、各々の保持板に複数枚の基板を配置しているので、保持板に一枚の基板を配置する場合よりも、一枚の基板に要する装置のフットプリントを抑えることができるため装置のコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の縦型熱処理装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】前記縦型熱処理装置を示す横断平面図である。
【図3】前記縦型熱処理装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【図4】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図5】前記縦型熱処理装置の作用を示す一部拡大側面図である。
【図6】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図7】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図8】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図9】前記縦型熱処理装置の他の例を示す一部拡大横断平面図である。
【図10】前記縦型熱処理装置の他の例を示す平面図である。
【図11】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図12】前記縦型熱処理装置の他の例を示す反応管の斜視図である。
【図13】前記縦型熱処理装置の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の縦型熱処理装置の実施の形態の一例について、図1〜図3を参照して説明する。この縦型熱処理装置は、ウエハWを棚状に積載するための例えば石英からなる基板保持具であるウエハボート11と、このウエハボート11を内部に収納して各々のウエハWに対して成膜処理を行うための例えば石英からなる反応管12と、を備えている。この例では、ウエハWはSi(シリコン)から構成され、直径寸法及び厚み寸法が夫々例えば4インチ(100mm)及び0.75mmとなっている。反応管12の外側には、内壁面に周方向に亘って加熱部であるヒータ13の配置された加熱炉本体14が設けられており、反応管12及び加熱炉本体14は、水平方向に伸びる支持部15によって下端部が周方向に亘って支持されている。
【0012】
反応管12は、この例では第1の反応管である外管12aと、当該外管12aの内部に収納された第2の反応管である内管12bとの二重管構造となっており、これら外管12a及び内管12bの各々は、下面側が開口するように形成されている。内管12bの天井面は水平に形成され、外管12aの天井面は外側に膨らむように概略円筒形状に形成されている。この内管12bは、側面の一端側が当該内管12bの長さ方向に沿って外側に膨らむように形成されており、この外側に膨らんだ部分に後述のガス供給部をなすガスインジェクター51が収納されるように構成されている。また、内管12bの側面における前記ガスインジェクター51の収納される領域に対向する面には、図2にも示すように、当該内管12bの長さ方向に沿うようにスリット状の排気口16が形成されている。即ち、排気口16は、反応管12の中心に対してガスインジェクター51(ガス吐出口52)とは反対側位置に形成されている。このガスインジェクター51から内管12bに供給される処理ガスは、この排気口16を介して内管12bと外管12aとの間の領域に排気される。そして、これら外管12a及び内管12bは、下端面がフランジ状に形成されると共に上下面が開口する概略円筒形状のフランジ部17により、下方側から各々気密に支持されている。即ち、フランジ部17の上端面により外管12aが気密に支持され、フランジ部17の内壁面から内側に向かって水平に突出する突出部17aにより内管12bが気密に支持されている。この内管12bの内径寸法は、例えば330mmとなっている。
【0013】
フランジ部17の側壁には、内管12bと外管12aとの間の領域に連通するように排気口21が形成されており、この排気口21から伸びる排気路22には、バタフライバルブなどの圧力調整部23を介して真空ポンプ24が接続されている。フランジ部17の下方側には、当該フランジ部17の下端部であるフランジ面に外縁部が周方向に亘って気密に接触するように概略円板状に形成された蓋体25が設けられており、この蓋体25は、図示しないボートエレベータなどの昇降機構により、ウエハボート11と共に昇降自在に構成されている。図1中26はウエハボート11と蓋体25との間に円筒状に形成された断熱体、27はウエハボート11及び断熱体26を鉛直軸周りに回転させるためのモータなどの回転機構である。また、図1中28は、蓋体25を気密に貫通してモータ27とウエハボート11及び断熱体26とを接続する回転軸であり、21aは排気ポートである。
【0014】
続いて、ウエハボート11について詳述する。このウエハボート11は、図2及び図3に示すように、複数枚例えば5枚のウエハWを周方向に各々水平に載置するために、直径寸法が例えば300mmに設定された円形状の保持板31と、複数この例では150枚の保持板31を棚状に積層するために、外周側から複数箇所においてこれら保持板31を支持する鉛直方向に伸びる支柱32と、を備えている。このウエハボート11において、互いに隣接する保持板31、31間の離間寸法(一の保持板31の上面と当該一の保持板31の上方側に対向する保持板31の下面との間の距離)kは、例えば8mmとなっている。
【0015】
この例では、5本の支柱32が等間隔に配置されており、各々の支柱32は、図2に示すように、保持板31の外縁よりも外側(内管12b側)に飛び出さないように配置されている。具体的には、各々の保持板31の外周部には、支柱32が収納されるように当該保持板31の中心部側に向かって窪む凹部35が複数箇所例えば5箇所に形成されており、各々の支柱32は、高さ方向に亘って各々の保持板31の凹部35に収納された状態で保持板31に溶着されている。即ち、各々の支柱32は、これら保持板31の周縁部を貫通して当該保持板31を支持している。そして、各々の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tは、図2に示すように、既述の保持板31、31の間隔寸法kよりも狭くなっており、例えば5mmとなっている。図2及び図3中36は、各々の保持板31の中央部を貫通するようにこれら保持板31を支持する柱部である。また、ウエハボート11の上端部及び下端部には、図1に示すように夫々円板状の天板37及び底板38が設けられているが、図3ではこれら天板37及び底板38を省略してウエハボート11の一部を拡大して描画している。
【0016】
各々の保持板31においてウエハWを載置する基板載置領域33は、保持板31の外縁側におけるウエハWの外周部が当該保持板31の外縁上に位置するように各々配置されている。従って、反応管12の径方向で見た時のウエハWの外縁と既述の支柱32の外周面とは、保持板31の輪郭線上において揃っている。また、各々の基板載置領域33は、当該基板載置領域33に載置されるウエハWの表面の高さ位置が保持板31の表面と同じ高さ位置となるように、即ちウエハWの上面と保持板31の上面とが面一となるように形成されている。具体的には、この基板載置領域33に収納されるウエハWの厚み寸法(例えば0.5mm〜2mm)に応じて、基板載置領域33の表面と当該表面に対向する保持板31の下面との間の寸法は、例えば8〜10mmに設定されている。各々の保持板31には、図3に模式的に示す外部の搬送アーム60との間においてウエハWの受け渡しを行うために、各々の基板載置領域33の中央部及びこの中央部よりも保持板31の外周側の領域が切り欠かれた切り欠き部34が形成されている。従って、各々の基板載置領域33において、ウエハWは周縁部が下方側から支持される。尚、図1ではウエハWの位置を模式的に示している。また、図2では、切り欠き部34を描画するために、一つのウエハWの輪郭を破線で示している。
【0017】
そして、ウエハボート11にウエハWを載置する時には、反応管12の下方位置にウエハボート11を下降させた状態で、ウエハWを支持した搬送アーム60が基板載置領域33の上方側から切り欠き部34を介して下方側に通過するように下降すると、ウエハWが基板載置領域33に載置される。また、別の基板載置領域33が搬送アーム60側を向くようにウエハボート11を鉛直軸周りに回転させ、同様にして基板載置領域33にウエハWを載置する。こうしてウエハボート11を間欠的に回転させて5枚のウエハWを保持板31に載置した後、搬送アーム60を例えば下降させて、前記保持板31の下方における保持板31に対して同様に5枚のウエハWが載置される。ウエハボート11からウエハWを取り出す時は、ウエハボート11にウエハWを載置する時とは逆の順番でこれらウエハボート11及び搬送アーム60が駆動する。尚、搬送アーム60を多段に積層し、複数枚のウエハWを一括してウエハボート11に対して受け渡しても良い。
【0018】
既述のガスインジェクター51は、例えば石英から構成されており、ウエハボート11の長さ方向に沿って配置されている。このガスインジェクター51の側壁には、ウエハボート11側に臨むように、ガス吐出口52が上下方向に亘って複数箇所に形成されている。これらガス吐出口52は、ウエハボート11に収納されるウエハWの各々の高さ位置に対応するように配置されており、即ち一の保持板31と、この一の保持板31の上方に対向する他の保持板31との間に各々配置されている。ガスインジェクター51は、一端側が既述のフランジ部17の側壁から内管12bに挿入されており、他端側がバルブ53及び流量調整部54を介して処理ガスの貯留されたガス貯留源55に接続されている。このガスインジェクター51は、図2に示すように横並びに複数本例えば4本設けられており、これら4本のガスインジェクター51について夫々「51a」、「51b」、「51c」及び「51d」の符号を付すと、これらガスインジェクター51a〜51dには、第1の処理ガスであるTMA(トリメチルアルミニウム)ガス、第2の処理ガスであるO3(オゾン)ガス、第3の処理ガスであるTEMAHf(テトラキスエチルメチルアミノハフニウム)及びパージガスであるN2(窒素)ガスの貯留源54a〜54dが夫々接続されている。各ガスインジェクター51のガス吐出口52は、排気口16を向いているが、支柱32が膜厚の均一性に影響を及ぼすおそれのある場合は、排気口16を向かないように、具体的には排気口16から僅かに水平方向に離間した位置を向くようにしても良い。
【0019】
この縦型熱処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる図示しない制御部が設けられており、この制御部のメモリ内には後述の成膜処理を行うためのプログラムが格納されている。このプログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部から制御部内にインストールされる。
【0020】
次に、上述実施の形態の作用について説明する。先ず、反応管12の下方側にウエハボート11を下降させ、既述のようにウエハボート11を間欠的に回転させながら、搬送アーム60によって各々の保持板31上に5枚のウエハWを載置する。そして、例えば750(5×150)枚のウエハWを載置したウエハボート11を反応管12内に挿入すると共に、フランジ部17の下面と蓋体25の上面とを気密に接触させる。次いで、真空ポンプ24により反応管12内の雰囲気を真空排気すると共に、ウエハボート11を鉛直軸周りに回転させながら、ヒータ13によりこのウエハボート11上のウエハWが例えば300℃程度となるように加熱する。続いて、圧力調整部23により反応管12内の圧力を処理圧力に調整しながら、当該反応管12内にガスインジェクター51aからTMAガスを供給する。
【0021】
この時、各々のウエハWの側方側にガス吐出口52が位置しており、またウエハボート11の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の領域よりも、保持板31、31間の領域の方が広くなっている。そのため、反応管12内に供給されたTMAガスは、図4に示すように、ウエハボート11の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の狭い領域よりも広い領域である保持板31、31間の領域を通流しようとする。即ち、各々のガス吐出口52から吐出するTMAガスは、図5に示すように、保持板31、31によって上方側及び下方側への拡散が規制されていると言える。従って、TMAガスは、層流の状態でウエハWの上方側を通流して排気口16に向かって行く。こうしてウエハWにTMAガスが接触すると、ウエハWの表面にTMAガスの原子層あるいは分子層が吸着する。そして、ウエハWに吸着しなかったTMAガスは、排気口16、21を介して反応管12の外部に排出される。
【0022】
次いで、TMAガスの供給を停止すると共に、図6に示すように、反応管12内にN2ガスを供給して、当該反応管12内の雰囲気を置換する。続いて、N2ガスの供給を停止して、図7に示すように、反応管12内にO3ガスを供給する。このO3ガスは、同様にガス吐出口52の各々からウエハWに向かって層流の状態で通流し、各々のウエハWに吸着したTMAガスの成分を酸化してアルミナ(Al2O3)からなる反応生成物を生成する。そして、O3ガスの供給を停止した後、N2ガスにより反応管12の雰囲気を置換する。こうしてTMAガス、N2ガス、O3ガス及びN2ガスをこの順番で供給する供給サイクルを複数回行って、前記反応生成物の層を積層する。
【0023】
その後、図8に示すように、同様にして反応管12内に層流の状態でTEMAHfガスを供給して、ウエハWの表面にこのガスを吸着させる。しかる後、N2ガス及びO3ガスをこの順番で供給して、ウエハWの表面に酸化ハフニウム(HfO2)からなる反応生成物を形成する。そして、これらガスを順番に供給する供給サイクルを複数回行って、酸化ハフニウムの反応生成物を積層して薄膜を形成する。その後、反応管12内を大気雰囲気に戻した後、ウエハボート11を下降させ、搬送アーム60によりウエハWを取り出す。
【0024】
上述の実施の形態によれば、ウエハボート11に保持される各ウエハWに、各ウエハWに対応する高さ位置に形成されたガス吐出口52から処理ガスを吐出して熱処理を行う縦型熱処理装置において、複数の円形状の保持板31を積層すると共に各保持板31に複数のウエハWを保持し、これら複数の保持板31の周縁部を支持する支柱32を保持板31の外縁から飛び出さないように構成している。従って、保持板31と反応管12との間の隙間を狭くできることから、保持板31の外方を通過する、処理に寄与しない処理ガスの量が抑えられる。このため処理ガスの有効利用を図ること、言い換えれば処理ガスを効率的にウエハWの表面に供給できる。また、処理ガスの有効利用を図ることによって薄膜を速やかに形成できるので、生産性を向上させることができる。更に、各々のウエハWに十分な量の処理ガスが供給されることから、ウエハWの面内において均一な膜厚の薄膜を得ることができるし、ウエハWの表面に溝やホールなどの凹部が形成されていたとしても、当該凹部内に処理ガスが行き渡るので、大量の処理ガスを供給しなくても、カバレッジ性(被覆性)の高い薄膜を得ることができる。また、この保持板31はウエハW周辺を支持するものであり、板状の保持板と異なりウエハWの裏面への成膜が可能となるので、ウエハWが板厚方向(上下方向)に反ったりすることを抑えることができる。
【0025】
各々の保持板31に複数枚のウエハWを配置しているので、保持板31に一枚のウエハWを配置する場合よりも、一枚のウエハWに要する装置のフットプリントを抑えることができるため装置のコストを低減できる。即ち、各々の保持板31に積載するウエハWの枚数を5枚にすると、一枚のウエハWを収納したスロットを棚状に積載する従来の装置と比べて、装置の処理能力が5倍になるが、装置のフットプリント(反応管12の外径寸法)は3倍程度で済む。そのため、例えばクリーンルームの天井面により縦型熱処理装置(ウエハボート11)の高さ寸法が制限されていても、当該縦型熱処理装置にて処理できるウエハWの枚数を増やすことができるので、一枚のウエハWを処理するために必要な装置のコストを低減できる。言い換えると、本発明は、一度に処理できるウエハWの枚数を従来の装置よりも数倍程度にまで増やすことができる。また、この例では直径寸法が100mmサイズの5枚のウエハWを各々保持板31に周方向に並べているので、一般的な300mmサイズウエハ用の装置(反応管12や加熱炉本体14)を流用でき、かつ300mmサイズのウエハWで確立されたプロセス条件、装置運転条件がそのまま利用可能である。
【0026】
このように処理ガスの有効利用を図るにあたって、ウエハボート11の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tは、内管12b内においてウエハボート11を回転させることのできる程度の狭い寸法、具体的には3〜8mm好ましくは5〜8mmである。従って、反応管12の径方向で見た時の支柱32の外側部位は、保持板31の外縁よりも内側寄りに位置していても良いし、あるいは支柱32が保持板31の外縁よりも飛び出していてもその寸法がわずかであり、本発明の効果が得られる範囲であれば、特許請求の範囲に含まれる。具体的には、支柱32は、保持板31の外縁から外側に3mm飛び出した位置よりも内側寄りであれば良い。
【0027】
以上の例では、各々の保持板31に5枚のウエハWを載置したが、図9に示すように3枚のウエハWを載置しても良い。この場合には、1枚のウエハWを収納したスロットを棚状に積層する従来の装置と比べて、装置の処理能力が3倍になるが、装置のフットプリントは2.2倍程度で済むので、既述の例と同様に装置のコストを低減できる。また、保持板31に載置するウエハWの枚数としては、2枚以上であっても良い。保持板31に2枚のウエハWを載置する場合であっても、既述の例と同様に処理ガスの有効利用を図ることができる。
【0028】
更に、ウエハWとしては、既述のように100mmサイズ以外にも、外径寸法が通常の300mmのウエハWを用いても良い。更にまた、例えば太陽電池用の多結晶シリコンからなる角型のウエハWであっても、当該ウエハWの外形に対応する基板載置領域33を保持板31に形成することにより、保持板31、31間において層流状態のガス流を形成できるので、ウエハWの外形に寄らずに均一な処理を行うことができ、また処理ガスの有効利用を図ると共に装置のコストを低減できる。図10は、このような角型のウエハWを保持板31に複数枚例えば3枚載置した一例を示している。
【0029】
また、既述の例では、原子層あるいは分子層の処理ガスをウエハWの表面に吸着させ、次いでこの処理ガスを酸化して反応生成物を形成するALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて薄膜を形成したが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により薄膜を形成しても良い。この場合には、例えば既述のTMAガスとO3とが同時に反応管12内に供給される。
【0030】
更に、ウエハWの表面に薄膜を形成する成膜方法に本発明の縦型熱処理装置を適用したが、処理ガスとして例えばO2ガス、H2Oガスを供給し、ウエハWの表面のSi(シリコン)の熱酸化処理を行う場合に本発明を適用しても良い。
また、既述のガス吐出口52としては、ウエハボート11の長さ方向に沿うようにスリット状に形成しても良い。また、反応管12を二重管構造としたが、ウエハボート11の長さ方向に夫々伸びるダクト状のガス供給部及び排気部を反応管12の外側に夫々気密に配置すると共に、これらガス供給部及び排気部と夫々連通するように反応管12の側面にガス吐出口52及び排気口16を上下方向に亘って複数箇所に形成しても良い。図11及び図12は、このような構成例の要部を示している。図11及び図12において80は排気ダクト、81はガス供給部である。尚、図12では排気ダクト80について一部を切り欠いて内部の排気口16を示している。
【0031】
更にまた、ウエハボート11に対してウエハWの受け渡しを行うにあたって、保持板31に切り欠き部34を各々形成したが、基板載置領域33毎に例えば3箇所に貫通孔を形成し、昇降自在に構成された3本のピンを備えた図示しない受け渡し機構をウエハボート11の下方側に設けても良い。この場合には、例えば反応管12の下方位置にウエハボート11を位置させて、搬送アーム60により基板載置領域33の上方側にウエハWが搬送されると、当該ウエハボート11の下方側から3本のピンが複数の保持板31の貫通孔を貫通して上昇し、搬送アーム60からウエハWを受け取る。そして、搬送アーム60を後退させると共にピンを下降させると、基板載置領域33にウエハWが載置される。その後、下方側の保持板31に対してウエハWが順次載置される。ウエハボート11からウエハWを取り出す時は、ウエハボート11の下方側のウエハWから順次搬送アーム60に受け渡される。
【0032】
既述の例において、ウエハWの表面にアルミナからなる反応生成物と酸化ハフニウムからなる反応生成物を積層した後、必要に応じて、更にこれら反応生成物を積層し、ラミネート構造の薄膜を形成しても良い。また、ウエハWとして例えば外径寸法が100mmのサファイヤ基板を用いて、このウエハWに対してMO−CVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によりGaN(窒化ガリウム)膜を成膜してLED(Light Emitting Diode)デバイスを作製するプロセスに本発明を適用しても良い。
【0033】
更に、既述の各例では保持板31に複数枚のウエハWを載置したが、図13に示すように、保持板31に1枚のウエハWを載置するようにしても良い。具体的には、保持板31の基板載置領域33がウエハWと同心円状となるように形成されると共に、当該保持板31の外縁部がウエハWの外周部よりも内管12b側に伸び出して、保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tが既述の例と同様に、互いに隣接する保持板31、31間の離間寸法kよりも短くなるように設定される。各々の支柱32は、この保持板31に対してウエハWの搬入出ができるように配置される。この場合においても、処理ガスが保持板31と内管12bとの間の隙間領域よりも保持板31、31間の領域を通流しようとするので、処理ガスの有効利用が図られる。尚、図13において、外管12aについては記載を省略している。
【符号の説明】
【0034】
W ウエハ
11 ウエハボート
12 反応管
12a 外管
12b 内管
21 排気口
31 保持板
32 支柱
33 載置領域
52 ガス吐出口
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持具に棚状に積載された複数枚の基板に対して処理ガスを供給して熱処理を行う縦型熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの基板(以下「ウエハ」と言う)に対して成膜処理などの熱処理を行う熱処理装置として、基板保持具であるウエハボートに100枚〜150枚程度のウエハを棚状に積載すると共に、このウエハボートを反応管内に気密に収納して、真空雰囲気において当該反応管内に成膜ガスを供給して薄膜を成膜するバッチ式の縦型熱処理装置が知られている。このウエハボートは、円板状の天板及び底板と、これら天板及び底板間を外周側から周方向に亘って複数箇所において接続する支柱とを備えている。これら支柱の側面には、スリット状の溝がウエハの収納領域を向くように上下方向に亘って複数箇所に形成されており、各々のウエハは端部がこれら支柱の溝に支持されるように収納される。従って、ウエハボートに支持されるウエハの外周部と反応管の内壁との間には、支柱が配置される領域に対応するように、周方向に亘って隙間領域が形成されている。
【0003】
この反応管内に成膜ガスを供給する方法としては、特許文献1のように、各々のウエハにおいて水平方向にガス流が形成されるように、クロスフロー方式が採られる場合がある。具体的には、例えば反応管を内管及び外管からなる二重管構造にして、上下方向に伸びるスリット状の排気口を内管に形成すると共に、排気口に対向するように鉛直方向に伸びるガスインジェクターをウエハボートの側方に配置する。そして、各々のウエハの高さ位置に対応するようにガスインジェクターの側壁にガス吐出口を複数箇所に形成し、各々のウエハにおいてガス吐出口から排気口に向かうガス流を形成する。
【0004】
この時、ウエハボートに支持されるウエハの外周部と反応管(内管)との間には、既述のように周方向に亘って隙間領域が形成されているので、ガスインジェクターから吐出される成膜ガスは、ウエハ間の狭い領域よりもこの隙間領域を通流しようとする。そのため、各々のウエハに供給されるガス量が設定値よりも少なくなり、生産性(成膜レート)及び面内における膜厚の均一性や被覆性(カバレッジ性)が悪くなってしまう場合がある。また、成膜に寄与せずに成膜ガスが排出されると、当該成膜ガスの使用量が多くなり、コストアップに繋がってしまう。
【0005】
ところで、近年において、通常の12インチ(300mm)サイズのウエハに代えて、直径寸法が例えば4インチ(100mm)程度の炭化珪素(SiC)基板や太陽電池用のシリコン(Si)基板に対して、例えばアルミナ(Al2O3)膜を成膜するプロセスが検討されている。また、ウエハWとして例えば外径寸法が100mmのサファイヤ基板を用いて、このウエハWに対してMO−CVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によりGaN(窒化ガリウム)膜を成膜してLED(Light Emitting Diode)デバイスを作製するプロセスも検討されている。しかし、既述のようにウエハボートにこれら基板を棚状に積載してこのプロセスを行おうとすると、12インチサイズのウエハに比べて基板サイズが小さいので、装置のコストが相対的に高くなってしまう。また、ウエハボート(縦型熱処理装置)の高さ寸法が例えばクリーンルームの天井面などによって制限されるので、装置のコストを下げるためにウエハボートに積載する基板の数量(スロットの数量)を増やすことは困難である。
特許文献2、3には、ウエハディスク23bやサセプタ16にウエハWを周方向に並べる技術が記載されており、また特許文献4には、ウエハを上下に積層して処理を行う装置が記載されているが、既述の課題については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−206489号公報
【特許文献2】特開2010−73823号公報
【特許文献3】特開昭61−136676号公報
【特許文献4】特開2000−208425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板保持具に棚状に積載された複数の基板の各々に対して側方側から処理ガスを供給して反応管内において熱処理を行うにあたり、処理ガスの使用効率を向上させることのできる縦型熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の縦型熱処理装置は、
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、各々複数の基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることを特徴とする。
前記縦型熱処理装置の具体的構成としては、以下のようにしても良い。
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されている構成。
前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることに代えて、保持板の外縁から外側に3mm飛び出した位置よりも内側寄りである構成。
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、8mm以下である構成。
反応管の径方向で見た時の前記基板保持具上の基板の外縁と前記支柱の外周面とは、前記保持板の輪郭線上において揃っている構成。
前記反応管は、気密に開閉自在に設けられた第1の反応管と、当該第1の反応管の内部に設けられ、前記基板保持具を収納する第2の反応管と、を備え、
前記処理ガス供給部は、前記基板保持具の長さ方向に沿うように第2の反応管内に配置されたガスインジェクターであり、
前記排気口は、このガスインジェクターに対向するように、当該ガスインジェクターの長さ方向に沿って前記第2の反応管の側面にスリット状に形成され、
これら第1の反応管と第2の反応管との間の領域に連通するように、当該領域の雰囲気を排気するための排気ポートが配置されている構成。
前記基板保持具を鉛直軸周りに回転させる回転機構を備えている構成。
前記処理ガス供給部は、基板に第1の処理ガスを供給する第1のガス供給部と、この第1の処理ガスと反応する第2の処理ガスを基板に供給する第2のガス供給部と、基板にパージガスを供給する第3のガス供給部と、を備え、
第1の処理ガスと第2の処理ガスとを交互に基板に供給すると共に、これら処理ガスを切り替える時にはパージガスを基板に供給してガスの置換を行うように制御信号を出力する制御部を備えている構成。
また、本発明の縦型熱処理装置は、
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであり、
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、基板保持具に保持される各基板に、各基板に対応する高さ位置に形成されたガス吐出口から処理ガスを吐出して熱処理を行う縦型熱処理装置において、複数の円形状の保持板を積層すると共に各保持板に複数の基板を保持し、これら複数の保持板の周縁部を支持する支柱を保持板の外縁から飛び出さないように構成している。従って、保持板と反応管との間の隙間を狭くできることから、保持板の外方を通過する、処理に寄与しない処理ガスの量が抑えられる。このため処理ガスの有効利用を図ること、言い換えれば処理ガスの使用効率を向上させることができる。また、各々の保持板に複数枚の基板を配置しているので、保持板に一枚の基板を配置する場合よりも、一枚の基板に要する装置のフットプリントを抑えることができるため装置のコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の縦型熱処理装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】前記縦型熱処理装置を示す横断平面図である。
【図3】前記縦型熱処理装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【図4】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図5】前記縦型熱処理装置の作用を示す一部拡大側面図である。
【図6】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図7】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図8】前記縦型熱処理装置における作用を示す横断平面図である。
【図9】前記縦型熱処理装置の他の例を示す一部拡大横断平面図である。
【図10】前記縦型熱処理装置の他の例を示す平面図である。
【図11】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図12】前記縦型熱処理装置の他の例を示す反応管の斜視図である。
【図13】前記縦型熱処理装置の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の縦型熱処理装置の実施の形態の一例について、図1〜図3を参照して説明する。この縦型熱処理装置は、ウエハWを棚状に積載するための例えば石英からなる基板保持具であるウエハボート11と、このウエハボート11を内部に収納して各々のウエハWに対して成膜処理を行うための例えば石英からなる反応管12と、を備えている。この例では、ウエハWはSi(シリコン)から構成され、直径寸法及び厚み寸法が夫々例えば4インチ(100mm)及び0.75mmとなっている。反応管12の外側には、内壁面に周方向に亘って加熱部であるヒータ13の配置された加熱炉本体14が設けられており、反応管12及び加熱炉本体14は、水平方向に伸びる支持部15によって下端部が周方向に亘って支持されている。
【0012】
反応管12は、この例では第1の反応管である外管12aと、当該外管12aの内部に収納された第2の反応管である内管12bとの二重管構造となっており、これら外管12a及び内管12bの各々は、下面側が開口するように形成されている。内管12bの天井面は水平に形成され、外管12aの天井面は外側に膨らむように概略円筒形状に形成されている。この内管12bは、側面の一端側が当該内管12bの長さ方向に沿って外側に膨らむように形成されており、この外側に膨らんだ部分に後述のガス供給部をなすガスインジェクター51が収納されるように構成されている。また、内管12bの側面における前記ガスインジェクター51の収納される領域に対向する面には、図2にも示すように、当該内管12bの長さ方向に沿うようにスリット状の排気口16が形成されている。即ち、排気口16は、反応管12の中心に対してガスインジェクター51(ガス吐出口52)とは反対側位置に形成されている。このガスインジェクター51から内管12bに供給される処理ガスは、この排気口16を介して内管12bと外管12aとの間の領域に排気される。そして、これら外管12a及び内管12bは、下端面がフランジ状に形成されると共に上下面が開口する概略円筒形状のフランジ部17により、下方側から各々気密に支持されている。即ち、フランジ部17の上端面により外管12aが気密に支持され、フランジ部17の内壁面から内側に向かって水平に突出する突出部17aにより内管12bが気密に支持されている。この内管12bの内径寸法は、例えば330mmとなっている。
【0013】
フランジ部17の側壁には、内管12bと外管12aとの間の領域に連通するように排気口21が形成されており、この排気口21から伸びる排気路22には、バタフライバルブなどの圧力調整部23を介して真空ポンプ24が接続されている。フランジ部17の下方側には、当該フランジ部17の下端部であるフランジ面に外縁部が周方向に亘って気密に接触するように概略円板状に形成された蓋体25が設けられており、この蓋体25は、図示しないボートエレベータなどの昇降機構により、ウエハボート11と共に昇降自在に構成されている。図1中26はウエハボート11と蓋体25との間に円筒状に形成された断熱体、27はウエハボート11及び断熱体26を鉛直軸周りに回転させるためのモータなどの回転機構である。また、図1中28は、蓋体25を気密に貫通してモータ27とウエハボート11及び断熱体26とを接続する回転軸であり、21aは排気ポートである。
【0014】
続いて、ウエハボート11について詳述する。このウエハボート11は、図2及び図3に示すように、複数枚例えば5枚のウエハWを周方向に各々水平に載置するために、直径寸法が例えば300mmに設定された円形状の保持板31と、複数この例では150枚の保持板31を棚状に積層するために、外周側から複数箇所においてこれら保持板31を支持する鉛直方向に伸びる支柱32と、を備えている。このウエハボート11において、互いに隣接する保持板31、31間の離間寸法(一の保持板31の上面と当該一の保持板31の上方側に対向する保持板31の下面との間の距離)kは、例えば8mmとなっている。
【0015】
この例では、5本の支柱32が等間隔に配置されており、各々の支柱32は、図2に示すように、保持板31の外縁よりも外側(内管12b側)に飛び出さないように配置されている。具体的には、各々の保持板31の外周部には、支柱32が収納されるように当該保持板31の中心部側に向かって窪む凹部35が複数箇所例えば5箇所に形成されており、各々の支柱32は、高さ方向に亘って各々の保持板31の凹部35に収納された状態で保持板31に溶着されている。即ち、各々の支柱32は、これら保持板31の周縁部を貫通して当該保持板31を支持している。そして、各々の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tは、図2に示すように、既述の保持板31、31の間隔寸法kよりも狭くなっており、例えば5mmとなっている。図2及び図3中36は、各々の保持板31の中央部を貫通するようにこれら保持板31を支持する柱部である。また、ウエハボート11の上端部及び下端部には、図1に示すように夫々円板状の天板37及び底板38が設けられているが、図3ではこれら天板37及び底板38を省略してウエハボート11の一部を拡大して描画している。
【0016】
各々の保持板31においてウエハWを載置する基板載置領域33は、保持板31の外縁側におけるウエハWの外周部が当該保持板31の外縁上に位置するように各々配置されている。従って、反応管12の径方向で見た時のウエハWの外縁と既述の支柱32の外周面とは、保持板31の輪郭線上において揃っている。また、各々の基板載置領域33は、当該基板載置領域33に載置されるウエハWの表面の高さ位置が保持板31の表面と同じ高さ位置となるように、即ちウエハWの上面と保持板31の上面とが面一となるように形成されている。具体的には、この基板載置領域33に収納されるウエハWの厚み寸法(例えば0.5mm〜2mm)に応じて、基板載置領域33の表面と当該表面に対向する保持板31の下面との間の寸法は、例えば8〜10mmに設定されている。各々の保持板31には、図3に模式的に示す外部の搬送アーム60との間においてウエハWの受け渡しを行うために、各々の基板載置領域33の中央部及びこの中央部よりも保持板31の外周側の領域が切り欠かれた切り欠き部34が形成されている。従って、各々の基板載置領域33において、ウエハWは周縁部が下方側から支持される。尚、図1ではウエハWの位置を模式的に示している。また、図2では、切り欠き部34を描画するために、一つのウエハWの輪郭を破線で示している。
【0017】
そして、ウエハボート11にウエハWを載置する時には、反応管12の下方位置にウエハボート11を下降させた状態で、ウエハWを支持した搬送アーム60が基板載置領域33の上方側から切り欠き部34を介して下方側に通過するように下降すると、ウエハWが基板載置領域33に載置される。また、別の基板載置領域33が搬送アーム60側を向くようにウエハボート11を鉛直軸周りに回転させ、同様にして基板載置領域33にウエハWを載置する。こうしてウエハボート11を間欠的に回転させて5枚のウエハWを保持板31に載置した後、搬送アーム60を例えば下降させて、前記保持板31の下方における保持板31に対して同様に5枚のウエハWが載置される。ウエハボート11からウエハWを取り出す時は、ウエハボート11にウエハWを載置する時とは逆の順番でこれらウエハボート11及び搬送アーム60が駆動する。尚、搬送アーム60を多段に積層し、複数枚のウエハWを一括してウエハボート11に対して受け渡しても良い。
【0018】
既述のガスインジェクター51は、例えば石英から構成されており、ウエハボート11の長さ方向に沿って配置されている。このガスインジェクター51の側壁には、ウエハボート11側に臨むように、ガス吐出口52が上下方向に亘って複数箇所に形成されている。これらガス吐出口52は、ウエハボート11に収納されるウエハWの各々の高さ位置に対応するように配置されており、即ち一の保持板31と、この一の保持板31の上方に対向する他の保持板31との間に各々配置されている。ガスインジェクター51は、一端側が既述のフランジ部17の側壁から内管12bに挿入されており、他端側がバルブ53及び流量調整部54を介して処理ガスの貯留されたガス貯留源55に接続されている。このガスインジェクター51は、図2に示すように横並びに複数本例えば4本設けられており、これら4本のガスインジェクター51について夫々「51a」、「51b」、「51c」及び「51d」の符号を付すと、これらガスインジェクター51a〜51dには、第1の処理ガスであるTMA(トリメチルアルミニウム)ガス、第2の処理ガスであるO3(オゾン)ガス、第3の処理ガスであるTEMAHf(テトラキスエチルメチルアミノハフニウム)及びパージガスであるN2(窒素)ガスの貯留源54a〜54dが夫々接続されている。各ガスインジェクター51のガス吐出口52は、排気口16を向いているが、支柱32が膜厚の均一性に影響を及ぼすおそれのある場合は、排気口16を向かないように、具体的には排気口16から僅かに水平方向に離間した位置を向くようにしても良い。
【0019】
この縦型熱処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる図示しない制御部が設けられており、この制御部のメモリ内には後述の成膜処理を行うためのプログラムが格納されている。このプログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部から制御部内にインストールされる。
【0020】
次に、上述実施の形態の作用について説明する。先ず、反応管12の下方側にウエハボート11を下降させ、既述のようにウエハボート11を間欠的に回転させながら、搬送アーム60によって各々の保持板31上に5枚のウエハWを載置する。そして、例えば750(5×150)枚のウエハWを載置したウエハボート11を反応管12内に挿入すると共に、フランジ部17の下面と蓋体25の上面とを気密に接触させる。次いで、真空ポンプ24により反応管12内の雰囲気を真空排気すると共に、ウエハボート11を鉛直軸周りに回転させながら、ヒータ13によりこのウエハボート11上のウエハWが例えば300℃程度となるように加熱する。続いて、圧力調整部23により反応管12内の圧力を処理圧力に調整しながら、当該反応管12内にガスインジェクター51aからTMAガスを供給する。
【0021】
この時、各々のウエハWの側方側にガス吐出口52が位置しており、またウエハボート11の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の領域よりも、保持板31、31間の領域の方が広くなっている。そのため、反応管12内に供給されたTMAガスは、図4に示すように、ウエハボート11の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の狭い領域よりも広い領域である保持板31、31間の領域を通流しようとする。即ち、各々のガス吐出口52から吐出するTMAガスは、図5に示すように、保持板31、31によって上方側及び下方側への拡散が規制されていると言える。従って、TMAガスは、層流の状態でウエハWの上方側を通流して排気口16に向かって行く。こうしてウエハWにTMAガスが接触すると、ウエハWの表面にTMAガスの原子層あるいは分子層が吸着する。そして、ウエハWに吸着しなかったTMAガスは、排気口16、21を介して反応管12の外部に排出される。
【0022】
次いで、TMAガスの供給を停止すると共に、図6に示すように、反応管12内にN2ガスを供給して、当該反応管12内の雰囲気を置換する。続いて、N2ガスの供給を停止して、図7に示すように、反応管12内にO3ガスを供給する。このO3ガスは、同様にガス吐出口52の各々からウエハWに向かって層流の状態で通流し、各々のウエハWに吸着したTMAガスの成分を酸化してアルミナ(Al2O3)からなる反応生成物を生成する。そして、O3ガスの供給を停止した後、N2ガスにより反応管12の雰囲気を置換する。こうしてTMAガス、N2ガス、O3ガス及びN2ガスをこの順番で供給する供給サイクルを複数回行って、前記反応生成物の層を積層する。
【0023】
その後、図8に示すように、同様にして反応管12内に層流の状態でTEMAHfガスを供給して、ウエハWの表面にこのガスを吸着させる。しかる後、N2ガス及びO3ガスをこの順番で供給して、ウエハWの表面に酸化ハフニウム(HfO2)からなる反応生成物を形成する。そして、これらガスを順番に供給する供給サイクルを複数回行って、酸化ハフニウムの反応生成物を積層して薄膜を形成する。その後、反応管12内を大気雰囲気に戻した後、ウエハボート11を下降させ、搬送アーム60によりウエハWを取り出す。
【0024】
上述の実施の形態によれば、ウエハボート11に保持される各ウエハWに、各ウエハWに対応する高さ位置に形成されたガス吐出口52から処理ガスを吐出して熱処理を行う縦型熱処理装置において、複数の円形状の保持板31を積層すると共に各保持板31に複数のウエハWを保持し、これら複数の保持板31の周縁部を支持する支柱32を保持板31の外縁から飛び出さないように構成している。従って、保持板31と反応管12との間の隙間を狭くできることから、保持板31の外方を通過する、処理に寄与しない処理ガスの量が抑えられる。このため処理ガスの有効利用を図ること、言い換えれば処理ガスを効率的にウエハWの表面に供給できる。また、処理ガスの有効利用を図ることによって薄膜を速やかに形成できるので、生産性を向上させることができる。更に、各々のウエハWに十分な量の処理ガスが供給されることから、ウエハWの面内において均一な膜厚の薄膜を得ることができるし、ウエハWの表面に溝やホールなどの凹部が形成されていたとしても、当該凹部内に処理ガスが行き渡るので、大量の処理ガスを供給しなくても、カバレッジ性(被覆性)の高い薄膜を得ることができる。また、この保持板31はウエハW周辺を支持するものであり、板状の保持板と異なりウエハWの裏面への成膜が可能となるので、ウエハWが板厚方向(上下方向)に反ったりすることを抑えることができる。
【0025】
各々の保持板31に複数枚のウエハWを配置しているので、保持板31に一枚のウエハWを配置する場合よりも、一枚のウエハWに要する装置のフットプリントを抑えることができるため装置のコストを低減できる。即ち、各々の保持板31に積載するウエハWの枚数を5枚にすると、一枚のウエハWを収納したスロットを棚状に積載する従来の装置と比べて、装置の処理能力が5倍になるが、装置のフットプリント(反応管12の外径寸法)は3倍程度で済む。そのため、例えばクリーンルームの天井面により縦型熱処理装置(ウエハボート11)の高さ寸法が制限されていても、当該縦型熱処理装置にて処理できるウエハWの枚数を増やすことができるので、一枚のウエハWを処理するために必要な装置のコストを低減できる。言い換えると、本発明は、一度に処理できるウエハWの枚数を従来の装置よりも数倍程度にまで増やすことができる。また、この例では直径寸法が100mmサイズの5枚のウエハWを各々保持板31に周方向に並べているので、一般的な300mmサイズウエハ用の装置(反応管12や加熱炉本体14)を流用でき、かつ300mmサイズのウエハWで確立されたプロセス条件、装置運転条件がそのまま利用可能である。
【0026】
このように処理ガスの有効利用を図るにあたって、ウエハボート11の保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tは、内管12b内においてウエハボート11を回転させることのできる程度の狭い寸法、具体的には3〜8mm好ましくは5〜8mmである。従って、反応管12の径方向で見た時の支柱32の外側部位は、保持板31の外縁よりも内側寄りに位置していても良いし、あるいは支柱32が保持板31の外縁よりも飛び出していてもその寸法がわずかであり、本発明の効果が得られる範囲であれば、特許請求の範囲に含まれる。具体的には、支柱32は、保持板31の外縁から外側に3mm飛び出した位置よりも内側寄りであれば良い。
【0027】
以上の例では、各々の保持板31に5枚のウエハWを載置したが、図9に示すように3枚のウエハWを載置しても良い。この場合には、1枚のウエハWを収納したスロットを棚状に積層する従来の装置と比べて、装置の処理能力が3倍になるが、装置のフットプリントは2.2倍程度で済むので、既述の例と同様に装置のコストを低減できる。また、保持板31に載置するウエハWの枚数としては、2枚以上であっても良い。保持板31に2枚のウエハWを載置する場合であっても、既述の例と同様に処理ガスの有効利用を図ることができる。
【0028】
更に、ウエハWとしては、既述のように100mmサイズ以外にも、外径寸法が通常の300mmのウエハWを用いても良い。更にまた、例えば太陽電池用の多結晶シリコンからなる角型のウエハWであっても、当該ウエハWの外形に対応する基板載置領域33を保持板31に形成することにより、保持板31、31間において層流状態のガス流を形成できるので、ウエハWの外形に寄らずに均一な処理を行うことができ、また処理ガスの有効利用を図ると共に装置のコストを低減できる。図10は、このような角型のウエハWを保持板31に複数枚例えば3枚載置した一例を示している。
【0029】
また、既述の例では、原子層あるいは分子層の処理ガスをウエハWの表面に吸着させ、次いでこの処理ガスを酸化して反応生成物を形成するALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて薄膜を形成したが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により薄膜を形成しても良い。この場合には、例えば既述のTMAガスとO3とが同時に反応管12内に供給される。
【0030】
更に、ウエハWの表面に薄膜を形成する成膜方法に本発明の縦型熱処理装置を適用したが、処理ガスとして例えばO2ガス、H2Oガスを供給し、ウエハWの表面のSi(シリコン)の熱酸化処理を行う場合に本発明を適用しても良い。
また、既述のガス吐出口52としては、ウエハボート11の長さ方向に沿うようにスリット状に形成しても良い。また、反応管12を二重管構造としたが、ウエハボート11の長さ方向に夫々伸びるダクト状のガス供給部及び排気部を反応管12の外側に夫々気密に配置すると共に、これらガス供給部及び排気部と夫々連通するように反応管12の側面にガス吐出口52及び排気口16を上下方向に亘って複数箇所に形成しても良い。図11及び図12は、このような構成例の要部を示している。図11及び図12において80は排気ダクト、81はガス供給部である。尚、図12では排気ダクト80について一部を切り欠いて内部の排気口16を示している。
【0031】
更にまた、ウエハボート11に対してウエハWの受け渡しを行うにあたって、保持板31に切り欠き部34を各々形成したが、基板載置領域33毎に例えば3箇所に貫通孔を形成し、昇降自在に構成された3本のピンを備えた図示しない受け渡し機構をウエハボート11の下方側に設けても良い。この場合には、例えば反応管12の下方位置にウエハボート11を位置させて、搬送アーム60により基板載置領域33の上方側にウエハWが搬送されると、当該ウエハボート11の下方側から3本のピンが複数の保持板31の貫通孔を貫通して上昇し、搬送アーム60からウエハWを受け取る。そして、搬送アーム60を後退させると共にピンを下降させると、基板載置領域33にウエハWが載置される。その後、下方側の保持板31に対してウエハWが順次載置される。ウエハボート11からウエハWを取り出す時は、ウエハボート11の下方側のウエハWから順次搬送アーム60に受け渡される。
【0032】
既述の例において、ウエハWの表面にアルミナからなる反応生成物と酸化ハフニウムからなる反応生成物を積層した後、必要に応じて、更にこれら反応生成物を積層し、ラミネート構造の薄膜を形成しても良い。また、ウエハWとして例えば外径寸法が100mmのサファイヤ基板を用いて、このウエハWに対してMO−CVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によりGaN(窒化ガリウム)膜を成膜してLED(Light Emitting Diode)デバイスを作製するプロセスに本発明を適用しても良い。
【0033】
更に、既述の各例では保持板31に複数枚のウエハWを載置したが、図13に示すように、保持板31に1枚のウエハWを載置するようにしても良い。具体的には、保持板31の基板載置領域33がウエハWと同心円状となるように形成されると共に、当該保持板31の外縁部がウエハWの外周部よりも内管12b側に伸び出して、保持板31の外縁と内管12bの内壁との間の離間寸法tが既述の例と同様に、互いに隣接する保持板31、31間の離間寸法kよりも短くなるように設定される。各々の支柱32は、この保持板31に対してウエハWの搬入出ができるように配置される。この場合においても、処理ガスが保持板31と内管12bとの間の隙間領域よりも保持板31、31間の領域を通流しようとするので、処理ガスの有効利用が図られる。尚、図13において、外管12aについては記載を省略している。
【符号の説明】
【0034】
W ウエハ
11 ウエハボート
12 反応管
12a 外管
12b 内管
21 排気口
31 保持板
32 支柱
33 載置領域
52 ガス吐出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、各々複数の基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることを特徴とする縦型熱処理装置。
【請求項2】
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の縦型熱処理装置。
【請求項3】
前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることに代えて、保持板の外縁から外側に3mm飛び出した位置よりも内側寄りであることを特徴とする請求項1または2に記載の縦型熱処理装置。
【請求項4】
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、8mm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項5】
反応管の径方向で見た時の前記基板保持具上の基板の外縁と前記支柱の外周面とは、前記保持板の輪郭線上において揃っていることを特徴とする請求項1または2に記載の縦型熱処理装置。
【請求項6】
前記反応管は、気密に開閉自在に設けられた第1の反応管と、当該第1の反応管の内部に設けられ、前記基板保持具を収納する第2の反応管と、を備え、
前記処理ガス供給部は、前記基板保持具の長さ方向に沿うように第2の反応管内に配置されたガスインジェクターであり、
前記排気口は、このガスインジェクターに対向するように、当該ガスインジェクターの長さ方向に沿って前記第2の反応管の側面にスリット状に形成され、
これら第1の反応管と第2の反応管との間の領域に連通するように、当該領域の雰囲気を排気するための排気ポートが配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項7】
前記基板保持具を鉛直軸周りに回転させる回転機構を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項8】
前記処理ガス供給部は、基板に第1の処理ガスを供給する第1のガス供給部と、この第1の処理ガスと反応する第2の処理ガスを基板に供給する第2のガス供給部と、基板にパージガスを供給する第3のガス供給部と、を備え、
第1の処理ガスと第2の処理ガスとを交互に基板に供給すると共に、これら処理ガスを切り替える時にはパージガスを基板に供給してガスの置換を行うように制御信号を出力する制御部を備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項9】
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであり、
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されていることを特徴とする縦型熱処理装置。
【請求項1】
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、各々複数の基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることを特徴とする縦型熱処理装置。
【請求項2】
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の縦型熱処理装置。
【請求項3】
前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであることに代えて、保持板の外縁から外側に3mm飛び出した位置よりも内側寄りであることを特徴とする請求項1または2に記載の縦型熱処理装置。
【請求項4】
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、8mm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項5】
反応管の径方向で見た時の前記基板保持具上の基板の外縁と前記支柱の外周面とは、前記保持板の輪郭線上において揃っていることを特徴とする請求項1または2に記載の縦型熱処理装置。
【請求項6】
前記反応管は、気密に開閉自在に設けられた第1の反応管と、当該第1の反応管の内部に設けられ、前記基板保持具を収納する第2の反応管と、を備え、
前記処理ガス供給部は、前記基板保持具の長さ方向に沿うように第2の反応管内に配置されたガスインジェクターであり、
前記排気口は、このガスインジェクターに対向するように、当該ガスインジェクターの長さ方向に沿って前記第2の反応管の側面にスリット状に形成され、
これら第1の反応管と第2の反応管との間の領域に連通するように、当該領域の雰囲気を排気するための排気ポートが配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項7】
前記基板保持具を鉛直軸周りに回転させる回転機構を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項8】
前記処理ガス供給部は、基板に第1の処理ガスを供給する第1のガス供給部と、この第1の処理ガスと反応する第2の処理ガスを基板に供給する第2のガス供給部と、基板にパージガスを供給する第3のガス供給部と、を備え、
第1の処理ガスと第2の処理ガスとを交互に基板に供給すると共に、これら処理ガスを切り替える時にはパージガスを基板に供給してガスの置換を行うように制御信号を出力する制御部を備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の縦型熱処理装置。
【請求項9】
複数の基板を棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して熱処理を行う縦型熱処理装置において、
前記反応管の長さ方向に沿って設けられ、前記基板保持具に保持される各基板に処理ガスを供給するために、各基板に対応する高さ位置にガス吐出口が形成された処理ガス供給部と、
前記反応管の中心に対して前記ガス吐出口とは反対側位置に形成された排気口と、を備え、
前記基板保持具は、基板載置領域が形成され、互に積層された複数の円形状の保持板と、保持板の周縁部を貫通させて各保持板を支持し、周方向に沿って複数設けられた支柱と、を備え、反応管の径方向で見た時の前記支柱の外側部位は、保持板の外縁と同じ位置であるかまたは内側寄りであり、
前記保持板の外縁と前記反応管の内壁との間の離間寸法は、前記保持板上に支持される基板の上面と当該基板の上方側に対向する保持板の下面との間の間隔寸法よりも短く設定されていることを特徴とする縦型熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−74618(P2012−74618A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219726(P2010−219726)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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