説明

膜厚測定装置および膜厚測定方法

【課題】簡便な光源を利用した場合であっても光の反射による外乱の影響を抑えて光透過性薄膜の厚さを確実に算出できるようにする。
【解決手段】光透過性薄膜102の表面にレンズが合焦した状態では基板101の表面をフォーカスアウトさせて基板101から反射される光が合焦判定の外乱として作用することを防止する一方、基板101の表面にレンズが合焦した状態では光透過性薄膜102の表面をフォーカスアウトさせて光透過性薄膜102から反射される光が合焦判定の外乱として作用することを防止し、基板体100の平面上の同一箇所(xi,yi)で光透過性薄膜102を含めた基板体100の厚さと光透過性薄膜102を除いた基板101のみの厚さの差分に基いて光透過性薄膜102の厚さを適切に算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定装置および膜厚測定方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える薄膜の厚さを測定することが可能な装置としては、特許文献1に開示される形状測定装置が既に公知である。
このものは、水平に載置された基板体に輝度パターンを投影し、撮像手段の合焦判定機能を利用して、基板体のうちレジスト等の薄膜で覆われた部分の基板体の厚さと基板が剥き出しになった部分の基板体の厚さとを基板体平面上の相異なる位置で測定し、両者間の厚さの差分を求めることによってレジスト等の薄膜の厚さを算出するように構成しているため、基板の反りや傾きの影響によってレジスト等の薄膜の厚さが正確に測定されない可能性があった。これは、輝度パターンの投影方向に沿って基板体の面上の同一位置で薄膜の厚みを測定することができないが故の欠点である。
また、このものは、輝度パターンを投影するための光源の強度を調整するための格別な機能を備えてはいないので、レジスト等の薄膜が仮に光透過性薄膜であったとしても、基板体平面上の同一位置において光透過性薄膜を含めた基板体の厚さと光透過性薄膜を除いた基板のみの厚さとを独立的に測定することは難しい。光透過性薄膜の表面に到達した光によって光透過性薄膜の表面に形成される輝度パターンと光透過性薄膜を透過して基板の表面に到達した光によって基板の表面に形成される輝度パターンとでは明暗やコントラストの具合が相違するため、合焦判定によって光透過性薄膜の表面や基板の表面を独立して適切に検出することが難しくなること、および、光透過性薄膜の表面からの光の反射を利用して光透過性薄膜を含めた基板体全体の厚さを測定する際には基板の表面で反射される光が外乱として作用し、また、基板の表面からの光の反射を利用して光透過性薄膜を除いた基板のみの厚さを測定する際には光透過性薄膜の表面で反射される光が外乱として作用することが其の原因である。
【0003】
一方、対象物に投光する光の強度を調整可能とした類似装置としては、例えば、特許文献2に開示される3次元測定装置が公知である。
しかし、このものは、測定対象部位毎に相違する反射率の相違を考慮して光の発光強度を調整した上で、水平方向にズレた位置にある測定対象部位の形状を測定するものに過ぎず、基板体平面上の同一箇所で光透過性薄膜を含めた基板体の厚さと光透過性薄膜を除いた基板のみの厚さとを独立的に測定するといった技術思想とは特に関連がない。
【0004】
基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定装置として特化したものとしては、例えば、特許文献3の膜厚測定装置が知られている。
このものは、基板体平面上の同一箇所で複数層の光透過性薄膜の厚みを独立的に測定することを目的としたもので、各層の光透過性薄膜の反射率に応じて投光手段や検出手段のゲインを調整する機能を備えている。しかし、厚みの測定対象となる光透過性薄膜を除いた他の光透過性薄膜からの光の反射といった外乱を固定式のピンホールによって除去する構成であるため、ゲイン調整によって投光手段の光源の強度を変えて光の特性に変化が生じたような場合、例えば、レンズに対する屈折率の変化によって受光時の光路の角度が変動したり焦点距離が変動したような場合にあっては、厚みの測定対象となる光透過性薄膜を除いた他の光透過性薄膜からの光の反射を必ずしも固定式のピンホールによって適切に除去できるといった保証はなく、測定対象以外からの光の反射がゲインによって増幅される可能性がある。
結果的に、収束したレーザ光を使用しない限りは、他の光透過性薄膜からの光の反射を固定式のピンホールで除去することは困難であり、レーザ光の使用が不可欠となって、装置の製造コストが嵩むといった不都合も生じる。
【0005】
なお、クリアコート層の膜厚の測定に際してレンズを移動させて合焦させたりレンズの移動距離のデータを利用する点に関しては、例えば、特許文献4等により古くから知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−226072号公報(段落0006−0007)
【特許文献2】特開2009−258436号公報(段落0023)
【特許文献3】特開2002−39720号公報(段落023)
【特許文献4】特開平6−300529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、簡便な光源を利用した場合であっても光の反射による外乱の影響を抑えて基板体平面上の同一箇所で光透過性薄膜を含めた基板体の全体の厚さと光透過性薄膜を除いた基板のみの厚さとを的確に検出し、その差分に基いて光透過性薄膜の厚さを確実に算出することのできる膜厚測定装置および膜厚測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の膜厚測定装置は、基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定装置であり、前記目的を達成するため、特に、
前記基板体の裏面を支えるようにして前記基板体を載置するための基板体載置テーブルと、
前記基板体載置テーブルの法線方向に沿って前記基板体に明暗部形成用の光を投光するための投光手段と、
前記光透過性薄膜の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有するレンズの光軸を前記投光手段における光の投光方向と同軸上に位置させ、前記投光手段から投光される光によって前記基板体上に形成される明暗部の像を前記レンズを介して撮像素子上に投影し前記撮像素子の光電変換によって前記明暗部の画像データを得る撮像手段と、
前記撮像手段から前記明暗部の画像データを取り込んで画像処理を施すことにより前記レンズが合焦しているか否かを判定する合焦判定手段と、
前記撮像手段におけるレンズの光軸方向に沿って前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離を変化させる離間距離調整手段と、
前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との離間距離を代表する距離情報の現在値を逐次更新して記憶する距離情報記憶手段と、
前記投光手段の発光強度を調整する発光強度調整手段と、
前記基板体載置テーブルに載置された基板体の光透過性薄膜の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の第1の設定離間距離と、前記基板体載置テーブルに載置された基板体の基板の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の第2の設定離間距離と、前記投光手段から投光される光によって前記光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められた前記投光手段の第1の発光強度と、前記投光手段から投光される光によって前記基板の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められ前記第1の発光強度よりも強い前記投光手段の第2の発光強度とを記憶するための設定データ記憶手段と、
前記設定データ記憶手段に記憶された前記第1,第2の設定離間距離と第1,第2の発光強度とに基いて、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が前記第1の設定離間距離となるように前記離間距離調整手段を駆動し前記発光強度調整手段に前記第1の発光強度を設定した後、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となるまで前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が縮む方向に前記離間距離調整手段を微小速度で駆動しながら前記撮像手段と前記合焦判定手段を交互に作動させ、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段の値を第1の測定距離として記憶し、更に、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が前記第2の設定離間距離となるように前記離間距離調整手段を駆動して前記撮像手段のレンズを前記光透過性薄膜の表面からアウトフォーカスさせて前記発光強度調整手段に前記第2の発光強度を設定してから、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となるまで前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が縮む方向に前記離間距離調整手段を微小速度で駆動しながら前記撮像手段と前記合焦判定手段を交互に作動させ、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段の値を第2の測定距離として記憶し、前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとして出力する主制御手段とを備えたことを特徴とする構成を有する。
【0009】
また、本発明の膜厚測定方法は、基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定方法であり、前記と同様の目的を達成するため、
前記基板体の光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を調整して前記基板体の法線方向から光を投光することで前記基板体に明暗部を形成すると共に、前記光透過性薄膜の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有する前記レンズの光軸が前記光の投光方向と同軸上に位置し且つ前記基板体の光透過性薄膜の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように前記撮像手段の位置を調整した後、
前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を徐々に縮めながら前記撮像手段を繰り返し作動させて前記明暗部を撮像し、その都度に得られる明暗部の画像に基いて前記レンズが合焦しているか否かを判定し、前記レンズが合焦したときの前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を測定して第1の測定距離として記憶し、
更に、前記基板体の基板の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を強くし、前記基板体の基板の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように前記撮像手段の位置を調整し、前記撮像手段のレンズを前記光透過性薄膜の表面からアウトフォーカスさせてから、
前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を徐々に縮めながら前記撮像手段を繰り返し作動させて前記明暗部を撮像し、その都度に得られる明暗部の画像に基いて前記レンズが合焦しているか否かを判定し、前記レンズが合焦したときの前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を測定して第2の測定距離として記憶し、
前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとすることを特徴とする構成を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の膜厚測定装置および膜厚測定方法は、撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を調整して基板体における光透過性薄膜の表面や基板の表面に光を投光し、光透過性薄膜の表面でも基板の表面でも明暗やコントラストの具合が同等となるようにして明暗部の像を形成すると共に、光透過性薄膜の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有するレンズを光透過性薄膜の表面や基板の表面からレンズの合焦距離よりも僅かに離れた位置から徐々に基板体に接近させながら撮像手段を繰り返し作動させて基板体上の明暗部を撮像し、レンズが合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第1,第2の測定距離として記憶した後、第1,第2の測定距離の差分を求めて光透過性薄膜の厚さとして出力するようにしているので、光透過性薄膜の表面にレンズが合焦した状態では基板の表面をフォーカスアウトさせて基板から反射される光が合焦判定の外乱として作用することを防止する一方、基板の表面にレンズが合焦した状態では光透過性薄膜の表面をフォーカスアウトさせて光透過性薄膜から反射される光が合焦判定の外乱として作用することを防止して、基板体平面上の同一箇所で光透過性薄膜を含めた基板体の厚さと光透過性薄膜を除いた基板のみの厚さの差分に基いて光透過性薄膜の厚さを適切に算出することができる。
また、光の屈折率や光路および焦点距離の変動による影響を著しく受ける固定式のピンホールを使用せずに合焦判定の外乱を除去できるので、撮像手段が備えるレンズの合焦判定に適するように光源の強度を変えることによって光の特性に変化が生じたような場合であっても、ハードウェアに手を加えることなく数値的な補正を行なうだけで光の特性変化に容易に対処し、基板体平面上の同一箇所で光透過性薄膜を含めた基板体の厚さと光透過性薄膜を除いた基板のみの厚さの差分から光透過性薄膜の厚さを適切に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した一実施形態の膜厚測定装置の構成の概略について示した機能ブロック図である。
【図2】同実施形態の膜厚測定装置のハードウェア構成の概略について示した模式図である。
【図3】同実施形態の膜厚測定装置が備える制御装置の構成の概略について示したブロック図である。
【図4】同実施形態の膜厚測定装置における設定データ記憶手段として機能する不揮発性メモリのデータ記憶領域の一部を利用して構成された膜厚測定位置記憶テーブルの論理構成の一例を示した概念図である。
【図5】同実施形態の膜厚測定装置における制御プログラムの構成の概略を示したフローチャートである。
【図6】同実施形態の膜厚測定装置における制御プログラムの構成の概略を示したフローチャートの続きである。
【図7】同実施形態の膜厚測定装置における制御プログラムの構成の概略を示したフローチャートの続きである。
【図8】同実施形態の膜厚測定装置における制御プログラムの構成の概略を示したフローチャートの続きである。
【図9】同実施形態の膜厚測定装置におけるCCDカメラのレンズが光透過性薄膜の表面に合焦したときの状態を示した作用原理図である。
【図10】同実施形態の膜厚測定装置におけるCCDカメラのレンズが基板や回路パターンの表面に合焦したときの状態を示した作用原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について一例を挙げ、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1は本発明を適用した一実施形態の膜厚測定装置1の構成の概略について示した機能ブロック図、図2は同実施形態の膜厚測定装置1のハードウェア構成の概略について示した模式図、図3は同実施形態の膜厚測定装置1が備える制御装置9の構成の概略について示したブロック図である。
【0014】
この実施形態の膜厚測定装置1は、基板101の表面にレジスト等の光透過性薄膜102を一体的に形成して得られた基板体100が備える光透過性薄膜102の厚さ、より具体的には、基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の各部の厚さや基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の各部の厚さを測定するための膜厚測定装置である。
【0015】
膜厚測定装置1は、図1に示されるように、基板体100の裏面を支えるようにして基板体100を載置するための基板体載置テーブル2と、基板体載置テーブル2の法線方向に沿って基板体100に明暗部形成用の光を投光するための投光手段Aと、光透過性薄膜102の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有する図示しないレンズの光軸を投光手段Aにおける光の投光方向と同軸上に位置させ、投光手段Aから投光される光によって基板体100上に形成される明暗部の像をレンズを介して図示しない撮像素子上に投影し、この撮像素子の光電変換によって明暗部の画像データを得る撮像手段Bと、撮像手段Bから明暗部の画像データを取り込んで画像処理を施すことにより撮像手段Bのレンズが合焦しているか否かを判定する合焦判定手段Cと、撮像手段Bにおけるレンズの光軸方向つまり基板体載置テーブル2の法線方向に沿って基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の離間距離を変化させる離間距離調整手段Dと、基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの離間距離を代表する距離情報の現在値を逐次更新して記憶する距離情報記憶手段Eと、投光手段Aの発光強度を調整するための発光強度調整手段Fを備える。
【0016】
投光手段Aから投光される光それ自体は特開2004−226072号公報等に開示されるような輝度パターン状のものであっても、あるいは、特開2002−39720号公報等に開示されるようなスポット光状のものであっても、撮像手段Bの撮像素子に収まる範囲の像に明暗部が形成されるものであればどのようなものであっても構わない。
【0017】
また、膜厚測定装置1は、基板体載置テーブル2に載置された基板体100の光透過性薄膜102の表面と撮像手段Bのレンズとの間の離間距離が撮像手段Bのレンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の第1の設定離間距離と、基板体載置テーブル2に載置された基板体100の基板101の表面と撮像手段Bのレンズとの間の離間距離が撮像手段Bのレンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の第2の設定離間距離と、投光手段Aから投光される光によって光透過性薄膜102の表面に形成される明暗部の像が合焦判定手段Cにおける合焦判定に最適化するように定められた投光手段Aの第1の発光強度と、投光手段Aから投光される光によって基板101の表面に形成される明暗部の像が合焦判定手段Cにおける合焦判定に最適化するように定められた投光手段Aの第2の発光強度とを記憶するための設定データ記憶手段Gを備える。
【0018】
投光手段Aから投光される光が光透過性薄膜102を透過して基板101の表面に合焦判定手段Cの合焦判定に適した明暗部を形成するためには、光透過性薄膜102の表面に合焦判定手段Cの合焦判定に適した明暗部を形成する場合よりも大光量が必要であるので、第2の発光強度の設定値は第1の発光強度の設定値よりも必然的に大きな値となる。
【0019】
投光手段Aの発光強度の変化により投光される光の特性に変化が生じる場合もあるので、厳密には、第1の設定離間距離は、投光手段Aを第1の発光強度で発光させたときに基板体載置テーブル2に載置された基板体100の光透過性薄膜102の表面と撮像手段Bのレンズとの間の離間距離が撮像手段Bのレンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の離間距離、また、第2の設定離間距離は、投光手段Aを第2の発光強度で発光させたときに基板体載置テーブル2に載置された基板体100の基板101の表面と撮像手段Bのレンズとの間の離間距離が撮像手段Bのレンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の離間距離である。
【0020】
膜厚測定装置1は、更に、設定データ記憶手段Gに記憶された第1,第2の設定離間距離と第1,第2の発光強度とに基いて、基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の離間距離が第1の設定離間距離となるように離間距離調整手段Dを駆動して発光強度調整手段Fに第1の発光強度を設定した後、合焦判定手段Cにおける判定結果が合焦となるまで基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の離間距離が縮む方向に離間距離調整手段Dを微小速度で駆動しながら撮像手段Bと合焦判定手段Cを交互に作動させ、合焦判定手段Cにおける判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段Eの値を第1の測定距離として記憶し、更に、基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の離間距離が第2の設定離間距離となるように離間距離調整手段Dを駆動して撮像手段Bのレンズを光透過性薄膜102の表面からアウトフォーカスさせて発光強度調整手段Fに第2の発光強度を設定してから、合焦判定手段Cにおける判定結果が合焦となるまで基板体載置テーブル2と撮像手段Bとの間の離間距離が縮む方向に離間距離調整手段Dを微小速度で駆動しながら撮像手段Bと合焦判定手段Cを交互に作動させ、合焦判定手段Cにおける判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段Eの値を第2の測定距離として記憶し、これら第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて光透過性薄膜102の厚さとして出力するための主制御手段Hを備える。
【0021】
但し、投光手段Aを第1の発光強度で発光させた場合と投光手段Aを第2の発光強度で発光させた場合とで撮像手段Bのレンズの合焦距離に無視できない差異が生じる場合には、第1の測定距離と第2の測定距離の差分から、更に、投光手段Aを第1の発光強度で発光させた場合の撮像手段Bのレンズの合焦距離と投光手段Aを第2の発光強度で発光させた場合の撮像手段Bのレンズの合焦距離の差分を取り除く必要がある。
仮に、投光手段Aを第1の発光強度で発光させた場合の撮像手段Bのレンズの合焦距離がf1で投光手段Aを第2の発光強度で発光させた場合の撮像手段Bのレンズの合焦距離がf2であって、第1の測定距離がz1かつ第2の測定距離がz2であるとすれば、撮像手段Bのレンズの合焦距離f1,f2が同等であれば光透過性薄膜102の厚さTは|z1−z2|であり、また、合焦距離f1,f2に無視できない差異があれば、光透過性薄膜102の厚さTは|z1−z2|−(f1−f2)である。
【0022】
この実施形態の膜厚測定装置1は、図2に示されるように、基板体載置テーブル2を上下方向に固定する一方、撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3を膜厚測定装置1のコラム4に取り付け、CCDカメラ3をCCDカメラ3の図示しないレンズの光軸の方向つまり基板体載置テーブル2の法線方向に沿って基板体100に対して接離移動可能としている。
【0023】
基板体載置テーブル2は十字キーやボールナット&スクリュー等からなる公知の送り機構を備え、テーブル駆動用のサーボモータMx,Myを駆動することで水平面内つまり膜厚測定装置1のマシン座標系におけるX,Y各軸の方向に移動する。
【0024】
撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3の鏡胴5には投光手段Aの主要部を構成する1つのランプ光源6とハーフミラー7、および、ランプ光源6の発光強度を調整するための発光強度調整手段Fが一体的に取り付けられ、ランプ光源6から照射される光が、鏡胴5内のハーフミラー7で90°屈折されて基板体載置テーブル2の上に載置された基板体100に投光されるようになっている。
【0025】
撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3の図示しないレンズはハーフミラー7を介して基板体載置テーブル2上の基板体100を撮像するので、CCDカメラ3の図示しないレンズの光軸と投光手段Aにおける最終的な光の投光方向つまりハーフミラー7よりも下流側における光の投光方向とは完全に同一軸上に位置し、共に基板体載置テーブル2および基板体100の面に対して垂直となる。
【0026】
撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3と、投光手段Aを構成するランプ光源6およびハーフミラー7と、発光強度調整手段Fとは可動ユニット8として一体化して構成されている。
【0027】
そして、コラム4と可動ユニット8との間にはリニアガイドやボールナット&スクリュー等を利用した公知の送り機構からなる離間距離調整手段Dが設けられ、離間距離調整手段Dの主要部を構成するサーボモータMzを駆動することにより、可動ユニット8がCCDカメラ3の図示しないレンズの光軸方向つまり基板体載置テーブル2の法線方向に沿って図2の上下方向すなわち膜厚測定装置1のマシン座標系におけるZ軸の方向に移動するようになっている。
【0028】
撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3のレンズは大口径長焦点レンズであり、既に述べた通り、光透過性薄膜102の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有し、合焦位置の前後から著しくボケが増長する特性を有する。厳密に言えば、投光手段Aを第1の発光強度で発光させた場合のCCDカメラ3のレンズの合焦距離f1と投光手段Aを第2の発光強度で発光させた場合のCCDカメラ3のレンズの合焦距離f2との間に微妙な差異が生じる場合があり、これに応じてレンズの焦点深度も変化するが、ここでいう焦点深度とは投光手段Aを第1の発光強度で発光させた場合の焦点深度である。
【0029】
膜厚測定装置1を駆動制御する制御装置9は、図3に示されるように、撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3や発光強度調整手段Fとして機能するランプ駆動回路10およびサーボモータMx,My,Mz等を駆動制御するためのマイクロプロセッサ11と、マイクロプロセッサ11の制御プログラム等を格納したROM12と、各種のパラメータや設定値等を格納するための不揮発性メモリ13と、演算データの一時記憶等に利用されるRAM14と、図示しないセルコントローラや基板体搬送用のハンドリングロボット等に接続して相互に情報を伝達するためのインターフェイス15を備える。
【0030】
マイクロプロセッサ11の入出力回路16には、前述した第1,第2の設定離間距離や第1,第2の発光強度の設定値の入力操作、更には、基板体載置テーブル2に載置された基板体100における光透過性薄膜102の厚さ測定位置(xi,yi)を教示するための教示操作盤17が接続されている。
【0031】
モニタ18は入力データの確認やエラー表示等に利用されるマシン・マン・インターフェイスとして機能する。
【0032】
撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3は、入出力回路16を介して主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11に接続され、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11からの撮像指令を受けて、基板体100上に形成される明暗部の像をCCDカメラ3のレンズを介してCCDカメラ3の撮像素子上に投影し、この撮像素子の光電変換によって明暗部の画像データを得る。
【0033】
発光強度調整手段Fとして機能するランプ駆動回路10は、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11からの指令を受けて投光手段Aの主要部を構成するランプ光源6の発光強度を第1の発光強度または第2の発光強度の何れか一方に選択的に調整する。
【0034】
テーブル送り用のサーボモータMx,Myは、各々のモータ駆動回路19,20と入出力回路16を介してマイクロプロセッサ11によって駆動制御され、基板体100を載置した基板体載置テーブル2を水平面内で移動させて光透過性薄膜102の厚さを測定する対象となる基板体100上の位置(x,y)を可動ユニット8の下方、より厳密には、CCDカメラ3のレンズの光軸の直下に位置決めする。
【0035】
サーボモータMx,Myの回転は各々のパルスコーダPx,Pyによって検出される。マイクロプロセッサ11は、パルスコーダPx,Pyからの帰還パルスを計数し、その内部処理によって膜厚測定装置1のマシン座標系(X,Y)上における基板体載置テーブル2のアブソリュートな現在位置を逐次求め、その値を不揮発性メモリ13内に設けられた各軸の現在位置記憶レジスタRx,Ryに逐次更記憶させる。現在位置記憶レジスタに関しては工作機械等の分野で既に公知である。
【0036】
離間距離調整手段Dの主要部を構成するサーボモータMzは、モータ駆動回路21と入出力回路16を介して主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11によって駆動制御され、CCDカメラ3を備えた可動ユニット8を上下方向つまりZ軸方向の指令位置に移動させて基板体載置テーブル2とCCDカメラ3との間の離間距離を調整する。
【0037】
サーボモータMzの回転はパルスコーダPzによって検出される。マイクロプロセッサ11は、パルスコーダPzからの帰還パルスを計数し、その内部処理によって膜厚測定装置1のマシン座標系Z上における可動ユニット8のアブソリュートな現在位置を逐次求め、その値を不揮発性メモリ13内に設けられた現在位置記憶レジスタRzに、基板体載置テーブル2とCCDカメラ3との離間距離を代表する距離情報として逐次更記憶させる。
【0038】
従って、この実施形態にあっては、CCDカメラ3を搭載した可動ユニット8のアブソリュートな現在位置を更新記憶する現在位置記憶レジスタRzが距離情報記憶手段Eとして機能することになる。
【0039】
制御装置9のマイクロプロセッサ11は膜厚測定装置1における合焦判定手段Cとしても機能する。
【0040】
図4は設定データ記憶手段Gとして機能する不揮発性メモリ13のデータ記憶領域の一部を利用して構築された測定条件記憶テーブルの論理構成の一例を示した概念図である。
【0041】
測定条件記憶テーブル22には、基板体載置テーブル2に載置された基板体100における光透過性薄膜102の測定位置(xi,yi)に対応させて、第1,第2の設定離間距離に相当するマシン座標系Z上における可動ユニット8のアブソリュート位置Z1i,Z2iと、各位置(xi,yi)における光透過性薄膜102の設計上の厚さTiと、各位置(xi,yi)毎の第1,第2の発光強度L1i,L2iと、投光手段Aを第1の発光強度で発光させた場合と投光手段Aを第2の発光強度で発光させた場合とのCCDカメラ3のレンズの合焦距離の差分ΔLiつまり前述したf1−f2の値が記憶される。
【0042】
図2に示される基板体100の例では基板101や光透過性薄膜102自体には段差部がなく回路パターン103の厚みも一様であるので、基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位間においては、第1の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置と第2の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置および第1の発光強度と第2の発光強度の値および光透過性薄膜102の設計上の厚さと合焦距離の差分はともに共通の値となる。
【0043】
同様に、基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位間においても、第1の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置と第2の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置および第1の発光強度と第2の発光強度の値および光透過性薄膜102の設計上の厚さと合焦距離の差分は共に共通の値である。
【0044】
但し、基板101と回路パターン103との間には上下方向の段差があるため、基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位において第2の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置と基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位において第2の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置とでは相互に値が異なり、同様の理由により、基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位における第2の発光強度と基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位における第2の発光強度、および、基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位における光透過性薄膜102の設計上の厚さと基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位における光透過性薄膜102の設計上の厚さ、ならびに、基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位における合焦距離の差分と基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位における合焦距離の差分とでは相互に値が異なる。
【0045】
つまり、基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さに比べて基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さの方が厚いので、基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位において第2の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置は、基板101上の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位において第2の設定離間距離に対応する可動ユニット8のアブソリュート位置に比べて相対的に高い位置となり、また、基板101上に形成された回路パターン103の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位における第2の発光強度は基板101の表面から光透過性薄膜102の表面に至る光透過性薄膜102の厚さを測定する各部位での第2の発光強度に比べて低い値となるということである。
【0046】
光透過性薄膜102の厚さを測定すべき各測定位置(xi,yi)毎の可動ユニット8のアブソリュート位置Z1i,Z2iと、各測定位置における光透過性薄膜102の設計上の厚さTiと、第1,第2の発光強度L1i,L2iと、合焦距離の差分ΔLiの値は、予め教示操作盤17等を利用して入力し、マイクロプロセッサ11の処理で測定条件記憶テーブル22に記憶させておく。
【0047】
図5〜図8はROM12に記憶されたマイクロプロセッサ11の制御プログラムの構成の概略を示したフローチャートである。
【0048】
次に、図5〜図8のフローチャートを参照して、合焦判定手段C,離間距離調整手段Dの一部,発光強度調整手段Fの一部および主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11の具体的な処理動作と本実施形態における膜厚測定方法について詳細に説明する。
【0049】
基板体搬送用のハンドリングロボットを使用して基板体載置テーブル2上の定位置に基板体100を載置する点や図示しないセルコントローラからの指令によってハンドリングロボットと膜厚測定装置1を協調動作させる点に関しては既に公知であるので、ここでは、一例として、基板体載置テーブル2上の定位置に基板体100が載置されてから基板体100上のn箇所の位置でレジスト等の光透過性薄膜102の膜厚を測定する場合の処理動作について説明する。
【0050】
まず、ハンドリングロボットが基板体載置テーブル2上の定位置に基板体100を載置し、ハンドリングロボットの動作完了信号を確認したセルコントローラが制御装置9に測定指令を送信すると、制御装置9のマイクロプロセッサ11が測定指令の入力を検知する(ステップS1)。
【0051】
次いで、制御装置9のマイクロプロセッサ11は、RAM14の記憶領域の一部を利用して構成される測定位置検索指標iの値を一旦0に初期化し(ステップS2)、この指標iの値を改めて1インクリメントする(ステップS3)。
【0052】
次いで、マイクロプロセッサ11は、設定データ記憶手段Gとして機能する不揮発性メモリ13の測定条件記憶テーブル22(図4参照)から測定位置検索指標iの現在値に対応する測定位置(xi,yi)と、第1,第2の設定離間距離に相当するマシン座標系Z上における可動ユニット8のアブソリュート位置Z1i,Z2iと、光透過性薄膜102の設計上の厚さTiと、第1,第2の発光強度L1i,L2iと、CCDカメラ3のレンズの合焦距離の差分ΔLiとを読み込んでRAM14に一時記憶し(ステップS4)、不揮発性メモリ13内の現在位置記憶レジスタRx,Ryに記憶されている基板体載置テーブル2の現在位置(x,y)と測定位置(xi,yi)の位置データとに基いてポイントtoポイントのインクリメンタル移動量を求め、テーブル送り用の各軸のサーボモータMx,Myをパルス分配処理により直線補間で駆動し、基板体載置テーブル2を水平方向に移動させて基板体100上の測定位置(xi,yi)を可動ユニット8の下方つまり撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3のレンズの光軸の直下に位置決めする(ステップS5)。
【0053】
次いで、主制御手段Hおよび離間距離調整手段Dの一部として機能するマイクロプロセッサ11が、不揮発性メモリ13内の現在位置記憶レジスタRzに記憶されている可動ユニット8の現在位置zと第1の設定離間距離に相当するマシン座標系Z上における可動ユニット8のアブソリュート位置Z1iの位置データとに基いてポイントtoポイントのインクリメンタル移動量を求め、離間距離調整手段Dの主要部を構成するサーボモータMzをパルス分配処理によって駆動し、可動ユニット8すなわちCCDカメラ3を、基板体載置テーブル2の上方に位置する現在の退避位置から垂直方向に下降させてアブソリュート位置Z1iに位置決めし、基板体載置テーブル2に載置された基板体100の光透過性薄膜102の表面と撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3のレンズとの間に、CCDカメラ3のレンズの合焦距離よりも僅かに長い第1の設定離間距離を形成させる(ステップS6)。
【0054】
ここでいう「CCDカメラ3のレンズの合焦距離よりも僅かに長い第1の設定離間距離」の意味合いは、基板体100の厚みが設計上の許容誤差の最大値となった場合であっても、CCDカメラ3のレンズの焦点を基板体100における光透過性薄膜102の表面よりも上方に位置させることが可能な離間距離、つまり、CCDカメラ3を備えた可動ユニット8を単純に下降させることによってCCDカメラ3のレンズを光透過性薄膜102の表面に合焦させることが可能な離間距離である。
【0055】
次いで、主制御手段Hおよび発光強度調整手段Fの一部として機能するマイクロプロセッサ11が、発光強度調整手段Fの主要部として機能するランプ駆動回路10に駆動指令を出力し、投光手段Aのランプ光源6を第1の発光強度L1iつまり投光手段Aから投光される光によって光透過性薄膜102の表面に形成される明暗部の像が合焦判定手段Cにおける合焦判定に最適化するように定められた発光強度で発光させ、ハーフミラー7を介して基板体100の法線方向から光を投光することにより、光透過性薄膜102の表面に輝度パターンもしくはスポット光と其の周辺の暗部からなる明暗部を形成させる(ステップS7)。
【0056】
但し、基板体100の法線方向から投光された光の一部は光透過性薄膜102を透過して基板101の表面もしくは回路パターン103の表面にも到達するので、基板101の表面もしくは回路パターン103の表面にも光透過性薄膜102の表面の其れと類似した明暗部が形成されることになる。この際、基板101の表面に明暗部が形成されるか回路パターン103の表面に明暗部が形成されるかは、この時点での測定位置(xi,yi)が基板101上にあるのか回路パターン103上にあるのかによる。
【0057】
次いで、マイクロプロセッサ11が、アブソリュート位置Z1iからの可動ユニット8の下降距離を積算記憶する下降距離記憶レジスタZsの値を0に初期化し(ステップS8)、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11が、撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3に撮像指令を出力し、撮像指令を受けたCCDカメラ3が、基板体100上に形成される明暗部の像をCCDカメラ3のレンズを介してCCDカメラ3の撮像素子上に投影し、この撮像素子の光電変換によって基板体100上の明暗部の画像データを得る(ステップS9)。
【0058】
そして、合焦判定手段Cとして機能するマイクロプロセッサ11が、CCDカメラ3から明暗部の画像データを取り込み(ステップS10)、公知の画像処理を施すことによってCCDカメラ3のレンズの合焦状態を調べる(ステップS11)。
【0059】
CCDカメラ3のレンズの合焦状態の確認には、例えば、画素の信号レベルの差である微分値を取って其の絶対値の合計を求めるコントラスト検出方式やピーク値検出方式等の公知の方法が適用できる。
【0060】
この際、画像処理の対象となる明暗部の画像データは光透過性薄膜102の表面に形成された明暗部の像と基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に形成された明暗部の像とを重ね合わせたものとなっている。
【0061】
しかし、CCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有しており、基板体載置テーブル2に載置された基板体100の光透過性薄膜102の表面とCCDカメラ3のレンズとの間にCCDカメラ3のレンズの合焦距離よりも僅かに長い第1の設定離間距離が形成されているため、CCDカメラ3のレンズが基板101の表面や回路パターン103の表面に合焦することはない。
【0062】
従って、基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に形成された明暗部の像はCCDカメラ3のレンズから完全にアウトフォーカスしてボケが大きな状態となり、特に、合焦判定のためにコントラスト検出方式を適用した場合においては、基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に形成された明暗部における画素の信号レベルの差である微分値が小さくなるため、基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に形成された明暗部の像が合焦判定に与える悪影響を効果的に抑制することができ、投光手段Aから投光される光によって光透過性薄膜102の表面に形成される明暗部の像が合焦判定手段Cにおける合焦判定に最適化するように定められた第1の発光強度L1iでランプ光源6を発光させていることと相俟って、CCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の表面に合焦しているか否かを的確に調べることができる。
【0063】
次いで、合焦判定手段Cとして機能するマイクロプロセッサ11は、ステップS11の処理で求めた微分値やピーク値等を従来と同様にして合焦判定のための閾値と比較し、この時点でCCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の表面に合焦しているか否かを判定する(ステップS12)。
【0064】
CCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の表面に合焦しておらず、ステップS12の判定結果が偽となった場合には、マイクロプロセッサ11は、下降距離記憶レジスタZsの値が下降許容値ε1の範囲内にあるか否か、つまり、可動ユニット8を更に下降させても鏡胴5の先端が基板体100に接触する等の問題が発生しないかどうかを判定する(ステップS13)。
【0065】
ここで、下降距離記憶レジスタZsの値が下降許容値ε1の範囲内にあり、可動ユニット8の更なる下降が可能であれば、主制御手段Hおよび離間距離調整手段Dの一部として機能するマイクロプロセッサ11が、離間距離調整手段Dの主要部を構成するサーボモータMzをパルス分配処理で駆動して微小量Δzだけ下降させ、可動ユニット8すなわちCCDカメラ3を基板体載置テーブル2上の基板体100に僅かに接近させて(ステップS14)、下降距離記憶レジスタZsの値をΔzだけインクリメントする(ステップS15)。
【0066】
Δzは光透過性薄膜102の厚さやCCDカメラ3のレンズの焦点深度に比べて遥かに小さな値であり、最終的には、必要とされる測定精度やサーボモータMz,パルスコーダPzの分解能を考慮して決定される値である。
【0067】
以下、ステップS12の判定処理でCCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の表面に合焦したことが確認されるか、あるいは、ステップS13の判定処理で可動ユニット8の下降に支障が生じたことが確認されるまでの間、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は、前記と同様にして、CCDカメラ3に撮像指令を出力する処理と、CCDカメラ3によって得られた明暗部の画像データを取り込む処理と、CCDカメラ3のレンズの合焦状態を判定する処理と、可動ユニット8すなわちCCDカメラ3を微小量Δzの刻みで下降させて基板体100に接近させる処理と、下降距離記憶レジスタZsの値をインクリメントする処理とを繰り返し実行する(ステップS9〜ステップS15)。
【0068】
そして、ステップS9〜ステップS15の処理を繰り返し実行する間にステップS12の判定結果が真となり、CCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の表面に合焦したことが確認されると、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は、距離情報記憶手段Eとして機能する不揮発性メモリ13内の現在位置記憶レジスタRzから基板体載置テーブル2とCCDカメラ3との離間距離を代表する距離情報の値つまり膜厚測定装置1のマシン座標系Z上における可動ユニット8のアブソリュートな現在位置zの値を読み込み(ステップS17)、この値を第1の測定距離として第1測定距離記憶レジスタZ1に記憶する(ステップS18/図9参照)。
【0069】
次いで、主制御手段Hおよび離間距離調整手段Dの一部として機能するマイクロプロセッサ11は、可動ユニット8の現在位置zと第2の設定離間距離に相当するマシン座標系Z上における可動ユニット8のアブソリュート位置Z2iの位置データとに基いてポイントtoポイントのインクリメンタル移動量を求め、離間距離調整手段Dの主要部を構成するサーボモータMzをパルス分配処理によって駆動し、可動ユニット8すなわちCCDカメラ3を、光透過性薄膜102の表面とCCDカメラ3のレンズとの間の距離がCCDカメラ3のレンズの合焦距離と一致している現在の位置から更に垂直方向に下降させ、CCDカメラ3のレンズを光透過性薄膜102の表面からアウトフォーカスさせた後、マシン座標系上のアブソリュート位置Z2iに位置決めし、基板体載置テーブル2に載置された基板体100の基板101の表面もしくは回路パターン103の表面と撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3のレンズとの間に、CCDカメラ3レンズの合焦距離よりも僅かに長い第2の設定離間距離を形成させる(ステップS19)。
【0070】
この際、測定対象が基板101の表面となるか回路パターン103の表面となるかは、この時点で読み出されている測定位置(xi,yi)の値による。
【0071】
また、ここでいう「CCDカメラ3のレンズの合焦距離よりも僅かに長い第2の設定離間距離」の意味合いは、測定対象が基板101の表面となる場合にあっては基板101の厚みが設計上の許容誤差の最大値となった場合であっても、CCDカメラ3のレンズの焦点を基板101の表面よりも上方に位置させることが可能な離間距離であり、測定対象が回路パターン103の表面となる場合にあっては基板101の厚みと回路パターン103の厚みの和が設計上の許容誤差の最大値となった場合であっても、CCDカメラ3のレンズの焦点を回路パターン103の表面よりも上方に位置させることが可能な離間距離である。つまり、何れの場合にあっても、CCDカメラ3を備えた可動ユニット8を単純に下降させることによってCCDカメラ3のレンズを測定対象の表面に合焦させることが可能な離間距離である。
【0072】
なお、測定対象が基板101の表面となるか回路パターン103の表面となるかは測定条件記憶テーブル22(図4参照)の位置データ(xi,yi)とZ2iの組み合わせによって予め教示されているので、マイクロプロセッサ11自体が測定対象の種別を判定する必要はない。
【0073】
次いで、主制御手段Hおよび発光強度調整手段Fの一部として機能するマイクロプロセッサ11が、発光強度調整手段Fの主要部として機能するランプ駆動回路10に駆動指令を出力し、投光手段Aのランプ光源6を第2の発光強度L2iつまり投光手段Aから投光される光によって基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に形成される明暗部の像が合焦判定手段Cにおける合焦判定に最適化するように定められた発光強度で発光させ、ハーフミラー7を介して基板体100の法線方向から光を投光することにより、基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に輝度パターンもしくはスポット光と其の周辺の暗部からなる明暗部を形成させる(ステップS20)。
【0074】
基板体100の法線方向から投光された光の多くは光透過性薄膜102の表面で反射されることになるが、発光強度L1iよりも強い発光強度L2iでランプ光源6を発光させているので、光透過性薄膜102を透過した光だけでも、合焦判定に十分なコントラストを有する明暗部を基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に形成させることができる。
【0075】
この際、基板体100の法線方向から投光された光の多くは光透過性薄膜102の表面で反射されるので、光透過性薄膜102の表面にも、基板101の表面もしくは回路パターン103の表面の其れに類似した明暗部が形成されることになる。
【0076】
次いで、マイクロプロセッサ11が、アブソリュート位置Z2iからの可動ユニット8の下降距離を積算記憶する下降距離記憶レジスタZsの値を0に初期化し(ステップS21)、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11が、撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3に撮像指令を出力し、撮像指令を受けたCCDカメラ3が、基板体100上に形成される明暗部の像をCCDカメラ3のレンズを介してCCDカメラ3の撮像素子上に投影し、この撮像素子の光電変換によって基板体100上の明暗部の画像データを得る(ステップS22)。
【0077】
そして、合焦判定手段Cとして機能するマイクロプロセッサ11が、CCDカメラ3から明暗部の画像データを取り込み(ステップS23)、公知の画像処理を施すことによってCCDカメラ3のレンズの合焦状態を調べる(ステップS24)。
【0078】
この際、画像処理の対象となる明暗部の画像データは基板101の表面もしくは回路パターン103の表面に形成された明暗部の像と光透過性薄膜102の表面に形成された明暗部の像とを重ね合わせたものとなっている。
【0079】
しかし、CCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有しているためCCDカメラ3のレンズが光透過性薄膜102の表面に合焦することはない。
【0080】
従って、光透過性薄膜102の表面に形成された明暗部の像はCCDカメラ3のレンズから完全にアウトフォーカスしてボケが大きな状態となり、特に、合焦判定のためにコントラスト検出方式を適用した場合においては、光透過性薄膜102の表面に形成された明暗部における画素の信号レベルの差である微分値が小さくなるため、光透過性薄膜102の表面に形成された明暗部の像が合焦判定に与える悪影響を効果的に抑制することができ、投光手段Aから投光される光によって基板101の表面や回路パターン103の表面に形成される明暗部の像が合焦判定手段Cにおける合焦判定に最適化するように定められた第2の発光強度L2iでランプ光源6を発光させていることと相俟って、CCDカメラ3のレンズが基板101の表面や回路パターン103の表面に合焦しているか否かを的確に調べることができる。
【0081】
次いで、合焦判定手段Cとして機能するマイクロプロセッサ11は、ステップS24の処理で求めた微分値やピーク値等を従来と同様にして合焦判定のための閾値と比較し、この時点でCCDカメラ3のレンズが基板101の表面や回路パターン103の表面に合焦しているか否かを判定する(ステップS25)。
【0082】
CCDカメラ3のレンズが基板101の表面や回路パターン103の表面に合焦しておらず、ステップS25の判定結果が偽となった場合には、マイクロプロセッサ11は、下降距離記憶レジスタZsの値が下降許容値ε2の範囲内にあるか否か、つまり、可動ユニット8を更に下降させても鏡胴5の先端が基板体100に接触する等の問題が発生しないかどうかを判定する(ステップS26)。
【0083】
ここで、下降距離記憶レジスタZsの値が下降許容値ε2の範囲内にあり、可動ユニット8の更なる下降が可能であれば、主制御手段Hおよび離間距離調整手段Dの一部として機能するマイクロプロセッサ11が、離間距離調整手段Dの主要部を構成するサーボモータMzをパルス分配処理で駆動して微小量Δzだけ下降させ、可動ユニット8すなわちCCDカメラ3を基板体載置テーブル2上の基板体100に僅かに接近させて(ステップS27)、下降距離記憶レジスタZsの値をΔzだけインクリメントする(ステップS28)。
【0084】
以下、ステップS25の判定処理でCCDカメラ3のレンズが基板101の表面や回路パターン103の表面に合焦したことが確認されるか、あるいは、ステップS26の判定処理で可動ユニット8の下降に支障が生じたことが確認されるまでの間、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は、前記と同様にして、CCDカメラ3に撮像指令を出力する処理と、CCDカメラ3によって得られた明暗部の画像データを取り込む処理と、CCDカメラ3のレンズの合焦状態を判定する処理と、可動ユニット8すなわちCCDカメラ3を微小量Δzの刻みで下降させて基板体100に接近させる処理と、下降距離記憶レジスタZsの値をインクリメントする処理とを繰り返し実行する(ステップS22〜ステップS28)。
【0085】
そして、ステップS22〜ステップS28の処理を繰り返し実行する間にステップS25の判定結果が真となり、CCDカメラ3のレンズが基板101の表面や回路パターン103の表面に合焦したことが確認されると、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は、距離情報記憶手段Eとして機能する不揮発性メモリ13内の現在位置記憶レジスタRzから基板体載置テーブル2とCCDカメラ3との離間距離を代表する距離情報の値つまり膜厚測定装置1のマシン座標系Z上における可動ユニット8のアブソリュートな現在位置zの値を読み込み(ステップS30)、この値を第2の測定距離として第2測定距離記憶レジスタZ2に記憶する(ステップS31/図10参照)。
【0086】
次いで、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は、第1測定距離記憶レジスタZ1に記憶された第1の測定距離z1の値と第2測定距離記憶レジスタZ2に記憶された第2の測定距離z2の値に基いて第1の測定距離と第2の測定距離との差分|z1−z2|を求める(図10参照)。
既に述べた通り、z1もz2も基板体載置テーブル2とCCDカメラ3との離間距離を代表する同じ座標系つまりマシン座標系Z上の位置情報であるから、|z1−z2|の演算を実行することによって容易に光透過性薄膜102の厚さを求めることができる。
そして、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は、この値から、更に、現在の測定位置(xi,yi)に対応した合焦距離の差分ΔLi、つまり、ランプ光源6の発光強度L1iとL2iの相違で生じる合焦距離の変動量f1−f2の値を減算することで光透過性薄膜102の真の厚さを求め、この値を当該測定位置(xi,yi)における光透過性薄膜102の厚さTsとしてRAM14に一時記憶する(以上、ステップS32)。
【0087】
次いで、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は、ステップS32の処理で求めた光透過性薄膜102の真の厚さTsと当該測定位置(xi,yi)に対応する光透過性薄膜102の設計上の厚さTiとを比較し、両者間の誤差が許容値ε3の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS33)。
【0088】
ここで、両者間の誤差が許容値ε3の範囲内にあってステップS33の判定結果が真となった場合には、主制御手段Hとして機能するマイクロプロセッサ11は当該測定位置(xi,yi)における光透過性薄膜102の厚さに異常がないものと見做なす。
【0089】
この場合、主制御手段Hおよび離間距離調整手段Dの一部として機能するマイクロプロセッサ11は、不揮発性メモリ13内の現在位置記憶レジスタRzに記憶されている可動ユニット8の現在位置zと可動ユニット8の退避位置のデータ(設定値)とに基いてポイントtoポイントのインクリメンタル移動量を求め、離間距離調整手段Dの主要部を構成するサーボモータMzをパルス分配処理によって駆動して、基板体載置テーブル2の上方に位置する退避位置まで可動ユニット8を上昇させ、基板体100を載置した状態の基板体載置テーブル2の水平方向の移動を許容する(ステップS34)。
【0090】
次いで、マイクロプロセッサ11は、測定位置検索指標iの現在値が測定条件記憶テーブル22に記憶された測定位置の総数nに達しているか否かを判定する(ステップS35)。
【0091】
測定位置検索指標iの現在値が測定位置の総数nに達していなければ、マイクロプロセッサ11は、測定位置検索指標iの値を改めて1インクリメントし(ステップS3)、更新された測定位置検索指標iの現在値に基いて新たに選択された基板体100上の測定位置(xi,yi)をCCDカメラ3のレンズの光軸の直下に位置決めする処理(ステップS4〜ステップS5)と、この測定位置(xi,yi)において第1,第2の測定距離z1,z2を求める処理(ステップS6〜ステップS31)と、第1,第2の測定距離z1,z2および当該測定位置(xi,yi)に対応して測定条件記憶テーブル22に記憶された合焦距離の差分ΔLiに基いて当該測定位置(xi,yi)における光透過性薄膜102の真の厚さTsを求める処理(ステップS32)と、当該測定位置(xi,yi)における光透過性薄膜102の真の厚さTsと当該測定位置(xi,yi)に対応する設計上の光透過性薄膜102の厚さTiとを比較して当該測定位置(xi,yi)における光透過性薄膜102の厚さ異常の有無を判定する処理(ステップS33)と、測定ユニット8を退避位置に戻して次の測定位置への基板体載置テーブル2の移動に備えるための処理(ステップS34)とを繰り返し実行する。
【0092】
そして、最終的に、ステップS35の判定処理によって測定位置検索指標iの現在値が測定位置の総数nに達したことが確認されると、マイクロプロセッサ11は、1枚の基板体100に対するn回の測定処理の全てを終了し、図示しないセルコントローラに測定終了信号を送信し(ステップS36)、初期の待機状態に復帰してセルコントローラから新たな測定指令が入力されるのを待機する(ステップS1)。
制御装置9から送信された測定終了信号を受信したセルコントローラは図示しないハンドリングロボットを作動させて膜厚測定装置1の基板体載置テーブル2から検査済みの基板体100を取り外し、検査対象となる新たな基板体100を膜厚測定装置1の基板体載置テーブル2に載置する。
そして、基板体100を基板体載置テーブル2に載置したハンドリングロボットが動作完了信号をセルコントローラに送信し、この動作完了信号を確認したセルコントローラが制御装置9に測定指令を送信することによって、前記と同様の作業シーケンス(ステップS1〜ステップS15,ステップS17〜ステップS28,ステップS30〜ステップS31)が再び開始される。
【0093】
但し、1サイクルの作業シーケンスを実行する間にステップS13の判定処理で光透過性薄膜102の表面検出処理の失敗が検出された場合、または、ステップS26の判定処理で基板101の表面もしくは回路パターン103の表面検出処理の失敗が検出された場合には、ステップS16またはステップS29の処理に移行してマイクロプロセッサ11によるエラー処理が実行され、測定ユニット8がステップS34の処理と同等の処理によって退避位置に戻されて膜厚測定装置1の動作が停止し、モニタ18にアラートが表示されると共に、制御装置9から図示しないセルコントローラにエラー信号が送信される。
【0094】
また、1サイクルの作業シーケンスを実行する間にステップS33の判定処理で光透過性薄膜102の厚さ異常が検出された場合には、ステップS37の処理でマイクロプロセッサ11による中断処理が実行され、マイクロプロセッサ11は、ステップS34の処理と同等の処理によって測定ユニット8を退避位置に戻し、図示しないセルコントローラに不良品検出信号を送信してから初期の待機状態に復帰する。
この場合、制御装置9から送信された不良品検出信号を受信したセルコントローラは、ハンドリングロボットを作動させて膜厚測定装置1の基板体載置テーブル2から不良と判定された基板体100を取り外して不良品パレット等に回収し、検査対象となる新たな基板体100を膜厚測定装置1の基板体載置テーブル2に改めて載置する。
そして、基板体100を基板体載置テーブル2に載置したハンドリングロボットが動作完了信号をセルコントローラに送信すると、この動作完了信号を確認したセルコントローラが制御装置9に測定指令を送信し、膜厚測定装置1によって前記と同様の作業シーケンス(ステップS1〜ステップS15,ステップS17〜ステップS28,ステップS30〜ステップS31)が再び開始されることになる。
【0095】
以上に述べた通り、この実施形態では、光透過性薄膜102の表面にCCDカメラ33のレンズを合焦させて光透過性薄膜102の表面を検出する際には基板101や回路パターン103の表面から確実にレンズをフォーカスアウトさせる一方、基板101や回路パターン103の表面にCCDカメラ3のレンズを合焦させて基板101や回路パターン103の表面を検出する際には光透過性薄膜102の表面から確実にレンズをフォーカスアウトさせるようにしているので、光透過性薄膜102の表面検出に際して基板101や回路パターン103の表面から反射される光によって形成される明暗部が合焦検出の外乱として作用したり、基板101や回路パターン103の表面検出に際して光透過性薄膜102の表面から反射される光によって形成される明暗部が合焦検出の外乱として作用したりすることを効率よく抑制することができ、基板体平面上の同一箇所(xi,yi)上で、光透過性薄膜102を含めた基板体100の高さz1と光透過性薄膜102を除いた基板101や回路パターン103の高さz2の差分|z1−z2|に基いて光透過性薄膜102の厚さを適切に算出することができる。
【0096】
しかも、光透過性薄膜102の表面に明暗部を形成するのに適した発光強度L1iや基板101や回路パターン103の表面に明暗部を形成するのに適した発光強度L2iにランプ光源6の発光強度を切り替えることによって光の特性に変化が生じた場合、例えば、レンズに対する屈折率の変化によって受光時の光路の角度が変動したり焦点距離が変動したような場合であっても、ハードウェアに手を加えるとなく入力データ上で数値的な補正を行なうこと、つまり、合焦距離の差分ΔLi=(f1−f2)を測定条件記憶テーブル22に記憶させておくことにより、光の特性変化に対処して基板体100上の各測定位置(xi,yi)における光透過性薄膜102の真の厚さ|z1−z2|−(f1−f2)を適切に算出することができる。
【0097】
可動ユニット8のアブソリュートな現在位置zを逐次更新して記憶する現在位置記憶レジスタRzから合焦検出時における距離情報を読み出して第1測定距離記憶レジスタZ1と第2測定距離記憶レジスタZ2に記憶させることによって基板体100の高さz1と光透過性薄膜102を除いた基板101や回路パターン103の高さz2の差分|z1−z2|を求める代わりに、合焦判定手段Cにおける判定結果が最初に合焦となってから再び合焦となるまでの間の基板体載置テーブル2と可動ユニット8との間のインクリメンタルな離間距離の変化を更新記憶する距離情報記憶手段Eを独立的に設け、この距離情報記憶手段Eから差分|z1−z2|の値を直接的に求めるようにしてもよい。
この場合の距離情報記憶手段Eは、図6におけるステップS12の判定結果が真となった時点でパルスコーダPzからの帰還パルスの計数をリスタートし、図7におけるステップS25の判定結果が真となった時点でパルスコーダPzからの帰還パルスの計数をストップするカウンタによって構成することができる。カウンタの計数値に帰還パルス1つ分に相当する可動ユニット8の移動量を乗じた値が差分|z1−z2|となる。
【0098】
以上に述べた実施形態では、光透過性薄膜102の表面に明暗部を形成するのに適した発光強度L1iから基板101や回路パターン103の表面に明暗部を形成するのに適した発光強度L2iにランプ光源6の発光強度を瞬間的に切り替えるようにしたが、可動ユニット8の下降動作に応動させて連続的に発光強度を増大させて発光強度L1iから発光強度L2iへの切り替えを行なうようにしてもよい。
【0099】
また、発光強度L1iで発光するランプ光源と発光強度L2iで発光するランプ光源とを独立的に設け、これらを選択的に発光させることで発光強度L1i,発光強度L2iの切り替えを行なう構成とすることも可能である。
その場合は、例えば、図2に示されるランプ光源6とハーフミラー7との間の光路にハーフミラー7と同等のハーフミラーを配置し、第2のランプ光源からの光を新たに配置したハーフミラーで反射させてハーフミラー7に導くと共に、図2に示されるランプ光源6からの光を新たに配置したハーフミラーを透過させて図2のハーフミラー7に導くようにし、発光強度調整手段Fとして機能する切り替えスイッチを新たに設けて此れらのランプ光源を選択的に駆動する構成が適用できる。
なお、発光強度L1i,発光強度L2iはランプ光源自体の発光強度ではなく、ハーフミラー7で反射されて基板体100に向かう最終的な光の強度である。ハーフミラー透過の際には光量の損失があるので、ランプ光源自体の発光強度自体は其れよりも強くする必要がある。
【0100】
更に、撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3を備えた可動ユニット8をCCDカメラ3のレンズの光軸方向に沿って基板体載置テーブル2の法線方向に移動させる代わりに、撮像手段Bを固定側として基板体載置テーブル2を可動させる構成とすることも可能である。
同様に、基板体載置テーブル2に水平方向の送りを掛ける代わりに撮像手段Bとして機能するCCDカメラ3に水平方向の送りを掛ける構成としてもよい。
【0101】
以上に開示した実施形態の一部または全部は、以下の付記に示す記載によって適切に表現され得るが、発明を実施するための形態や発明の技術思想は、これらのものに制限されるものではない。
【0102】
〔付記1〕
基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定装置であって、
前記基板体の裏面を支えるようにして前記基板体を載置するための基板体載置テーブルと、
前記基板体載置テーブルの法線方向に沿って前記基板体に明暗部形成用の光を投光するための投光手段と、
前記光透過性薄膜の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有するレンズの光軸を前記投光手段における光の投光方向と同軸上に位置させ、前記投光手段から投光される光によって前記基板体上に形成される明暗部の像を前記レンズを介して撮像素子上に投影し前記撮像素子の光電変換によって前記明暗部の画像データを得る撮像手段と、
前記撮像手段から前記明暗部の画像データを取り込んで画像処理を施すことにより前記レンズが合焦しているか否かを判定する合焦判定手段と、
前記撮像手段におけるレンズの光軸方向に沿って前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離を変化させる離間距離調整手段と、
前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との離間距離を代表する距離情報の現在値を逐次更新して記憶する距離情報記憶手段と、
前記投光手段の発光強度を調整する発光強度調整手段と、
前記レンズの合焦判定に適するように前記投光手段の発光強度を調整して前記光透過性薄膜の表面及び前記基板の表面に光を投光し、前記光透過性薄膜の表面でも基板の表面でも明暗やコントラストの具合が同等となるようにして前記明暗部の像を形成すると共に、前記レンズを前記光透過性薄膜の表面及び基板の表面からレンズの合焦距離よりも離れた位置から徐々に基板体に接近させながら撮像手段を繰り返し作動させて前記基板体上の明暗部を撮像し、前記レンズが最初に合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第1の測定距離として記憶する一方、前記レンズが再び合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第2の測定距離として記憶し、前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとして出力する主制御手段とを備えたことを特徴とする膜厚測定装置。
【0103】
〔付記2〕
前記基板体載置テーブルに載置された基板体の光透過性薄膜の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の第1の設定離間距離と、前記基板体載置テーブルに載置された基板体の基板の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の第2の設定離間距離と、前記投光手段から投光される光によって前記光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められた前記投光手段の第1の発光強度と、前記投光手段から投光される光によって前記基板の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められ前記第1の発光強度よりも強い前記投光手段の第2の発光強度とを記憶するための設定データ記憶手段を更に備え、
前記主制御手段は、前記設定データ記憶手段に記憶された前記第1,第2の設定離間距離と第1,第2の発光強度とに基いて、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が前記第1の設定離間距離となるように前記離間距離調整手段を駆動し前記発光強度調整手段に前記第1の発光強度を設定した後、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となるまで前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が縮む方向に前記離間距離調整手段を微小速度で駆動しながら前記撮像手段と前記合焦判定手段を交互に作動させ、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段の値を第1の測定距離として記憶し、更に、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が前記第2の設定離間距離となるように前記離間距離調整手段を駆動して前記撮像手段のレンズを前記光透過性薄膜の表面からアウトフォーカスさせて前記発光強度調整手段に前記第2の発光強度を設定してから、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となるまで前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が縮む方向に前記離間距離調整手段を微小速度で駆動しながら前記撮像手段と前記合焦判定手段を交互に作動させ、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段の値を第2の測定距離として記憶するように構成されていることを特徴とした付記1記載の膜厚測定装置。
【0104】
〔付記3〕
前記投光手段が1つの光源を備え、前記発光強度調整手段は、前記1つの光源の発光強度を、前記光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められた第1の発光強度と、前記基板の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められ前記第1の発光強度よりも強い第2の発光強度に選択的に調整するように構成されていることを特徴とする付記1または付記2のうち何れか一項に記載の膜厚測定装置。
【0105】
〔付記4〕
前記発光強度調整手段が、前記光源の発光強度を前記第1の発光強度から前記第2の発光強度に連続的に変化させるように構成されていることを特徴とする付記3記載の膜厚測定装置。
【0106】
〔付記5〕
前記投光手段は、前記光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められた第1の発光強度を有する光源と、前記投光手段から投光される光によって前記基板の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められ前記第1の発光強度よりも強い第2の発光強度を有する光源とを備え、前記発光強度調整手段は、前記2つの光源から1つの光源を選択して駆動するように構成されていることを特徴とする付記1または付記2記載の膜厚測定装置。
【0107】
〔付記6〕
前記基板体載置テーブルと前記撮像手段のうち何れか一方のみを前記撮像手段におけるレンズの光軸方向に沿って移動可能な可動ユニットとして構成し、前記距離情報記憶手段は、膜厚測定装置のマシン座標系上における前記可動ユニットのアブソリュート位置を、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との離間距離を代表する距離情報として逐次更新して記憶するように構成されていることを特徴とする付記1,付記2,付記3,付記4または付記5のうち何れか一項に記載の膜厚測定装置。
【0108】
〔付記7〕
前記距離情報記憶手段は、前記合焦判定手段における判定結果が最初に合焦となってから再び合焦となるまでの間の前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間のインクリメンタルな離間距離の変化を前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との離間距離を代表する距離情報として逐次更新して記憶するように構成されていることを特徴とする付記1,付記2,付記3,付記4または付記5のうち何れか一項に記載の膜厚測定装置。
【0109】
〔付記8〕
基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定方法であって、
前記基板体の光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を調整して前記光透過性薄膜の表面及び前記基板の表面に光を投光し、前記光透過性薄膜の表面でも基板の表面でも明暗やコントラストの具合が同等となるようにして前記明暗部の像を形成すると共に、
前記レンズを前記光透過性薄膜の表面及び基板の表面からレンズの合焦距離よりも離れた位置から徐々に基板体に接近させながら撮像手段を繰り返し作動させて前記基板体上の明暗部を撮像し、前記レンズが最初に合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第1の測定距離として記憶する一方、前記レンズが再び合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第2の測定距離として記憶し、
前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとすることを特徴とする膜厚測定方法。
【0110】
〔付記9〕
基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定方法であって、
前記基板体の光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を調整して前記基板体の法線方向から光を投光することで前記基板体に明暗部を形成すると共に、前記光透過性薄膜の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有する前記レンズの光軸が前記光の投光方向と同軸上に位置し且つ前記基板体の光透過性薄膜の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように前記撮像手段の位置を調整した後、
前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を徐々に縮めながら前記撮像手段を繰り返し作動させて前記明暗部を撮像し、その都度に得られる明暗部の画像に基いて前記レンズが合焦しているか否かを判定し、前記レンズが最初に合焦したときの前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を測定して第1の測定距離として記憶し、
更に、前記基板体の基板の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を強くして、前記基板体の基板の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように前記撮像手段の位置を調整し、前記撮像手段の前記レンズを前記光透過性薄膜の表面からアウトフォーカスさせてから、
前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を徐々に縮めながら前記撮像手段を繰り返し作動させて前記明暗部を撮像し、その都度に得られる明暗部の画像に基いて前記レンズが合焦しているか否かを判定し、前記レンズが再び合焦したときの前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を測定して第2の測定距離として記憶し、
前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとすることを特徴とする膜厚測定方法。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定装置および膜厚測定方法に適用できる。
【符号の説明】
【0112】
1 膜厚測定装置
2 基板体載置テーブル
3 CCDカメラ
4 コラム
5 鏡胴
6 ランプ光源
7 ハーフミラー
8 可動ユニット
9 制御装置
10 ランプ駆動回路
11 マイクロプロセッサ
12 ROM
13 不揮発性メモリ
14 RAM
15 インターフェイス
16 入出力回路
17 教示操作盤
18 モニタ
19,20,21 モータ駆動回路
22 膜厚測定位置記憶テーブル
100 基板体
101 基板
102 光透過性薄膜
103 回路パターン
A 投光手段
B 撮像手段
C 合焦判定手段
D 離間距離調整手段
E 距離情報記憶手段
F 発光強度調整手段
G 設定データ記憶手段
H 主制御手段
Mx,My,Mz サーボモータ
Px,Py,Pz パルスコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定装置であって、
前記基板体の裏面を支えるようにして前記基板体を載置するための基板体載置テーブルと、
前記基板体載置テーブルの法線方向に沿って前記基板体に明暗部形成用の光を投光するための投光手段と、
前記光透過性薄膜の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有するレンズの光軸を前記投光手段における光の投光方向と同軸上に位置させ、前記投光手段から投光される光によって前記基板体上に形成される明暗部の像を前記レンズを介して撮像素子上に投影し前記撮像素子の光電変換によって前記明暗部の画像データを得る撮像手段と、
前記撮像手段から前記明暗部の画像データを取り込んで画像処理を施すことにより前記レンズが合焦しているか否かを判定する合焦判定手段と、
前記撮像手段におけるレンズの光軸方向に沿って前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離を変化させる離間距離調整手段と、
前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との離間距離を代表する距離情報の現在値を逐次更新して記憶する距離情報記憶手段と、
前記投光手段の発光強度を調整する発光強度調整手段と、
前記レンズの合焦判定に適するように前記投光手段の発光強度を調整して前記光透過性薄膜の表面及び前記基板の表面に光を投光し、前記光透過性薄膜の表面でも基板の表面でも明暗やコントラストの具合が同等となるようにして前記明暗部の像を形成すると共に、前記レンズを前記光透過性薄膜の表面及び基板の表面からレンズの合焦距離よりも離れた位置から徐々に基板体に接近させながら撮像手段を繰り返し作動させて前記基板体上の明暗部を撮像し、前記レンズが最初に合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第1の測定距離として記憶する一方、前記レンズが再び合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第2の測定距離として記憶し、前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとして出力する主制御手段とを備えたことを特徴とする膜厚測定装置。
【請求項2】
前記基板体載置テーブルに載置された基板体の光透過性薄膜の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の第1の設定離間距離と、前記基板体載置テーブルに載置された基板体の基板の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように定めた前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の第2の設定離間距離と、前記投光手段から投光される光によって前記光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められた前記投光手段の第1の発光強度と、前記投光手段から投光される光によって前記基板の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められ前記第1の発光強度よりも強い前記投光手段の第2の発光強度とを記憶するための設定データ記憶手段を更に備え、
前記主制御手段は、前記設定データ記憶手段に記憶された前記第1,第2の設定離間距離と第1,第2の発光強度とに基いて、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が前記第1の設定離間距離となるように前記離間距離調整手段を駆動し前記発光強度調整手段に前記第1の発光強度を設定した後、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となるまで前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が縮む方向に前記離間距離調整手段を微小速度で駆動しながら前記撮像手段と前記合焦判定手段を交互に作動させ、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段の値を第1の測定距離として記憶し、更に、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が前記第2の設定離間距離となるように前記離間距離調整手段を駆動して前記撮像手段のレンズを前記光透過性薄膜の表面からアウトフォーカスさせて前記発光強度調整手段に前記第2の発光強度を設定してから、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となるまで前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間の離間距離が縮む方向に前記離間距離調整手段を微小速度で駆動しながら前記撮像手段と前記合焦判定手段を交互に作動させ、前記合焦判定手段における判定結果が合焦となったときの距離情報記憶手段の値を第2の測定距離として記憶するように構成されていることを特徴とした請求項1記載の膜厚測定装置。
【請求項3】
前記投光手段が1つの光源を備え、前記発光強度調整手段は、前記1つの光源の発光強度を、前記光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められた第1の発光強度と、前記基板の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められ前記第1の発光強度よりも強い第2の発光強度に選択的に調整するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のうち何れか一項に記載の膜厚測定装置。
【請求項4】
前記発光強度調整手段が、前記光源の発光強度を前記第1の発光強度から前記第2の発光強度に連続的に変化させるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の膜厚測定装置。
【請求項5】
前記投光手段は、前記光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められた第1の発光強度を有する光源と、前記投光手段から投光される光によって前記基板の表面に形成される明暗部の像が前記合焦判定手段における合焦判定に最適化するように定められ前記第1の発光強度よりも強い第2の発光強度を有する光源とを備え、前記発光強度調整手段は、前記2つの光源から1つの光源を選択して駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のうち何れか一項に記載の膜厚測定装置。
【請求項6】
前記基板体載置テーブルと前記撮像手段のうち何れか一方のみを前記撮像手段におけるレンズの光軸方向に沿って移動可能な可動ユニットとして構成し、前記距離情報記憶手段は、膜厚測定装置のマシン座標系上における前記可動ユニットのアブソリュート位置を、前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との離間距離を代表する距離情報として逐次更新して記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5のうち何れか一項に記載の膜厚測定装置。
【請求項7】
前記距離情報記憶手段は、前記合焦判定手段における判定結果が最初に合焦となってから再び合焦となるまでの間の前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との間のインクリメンタルな離間距離の変化を前記基板体載置テーブルと前記撮像手段との離間距離を代表する距離情報として逐次更新して記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5のうち何れか一項に記載の膜厚測定装置。
【請求項8】
基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定方法であって、
前記基板体の光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を調整して前記光透過性薄膜の表面及び前記基板の表面に光を投光し、前記光透過性薄膜の表面でも基板の表面でも明暗やコントラストの具合が同等となるようにして前記明暗部の像を形成すると共に、
前記レンズを前記光透過性薄膜の表面及び基板の表面からレンズの合焦距離よりも離れた位置から徐々に基板体に接近させながら撮像手段を繰り返し作動させて前記基板体上の明暗部を撮像し、前記レンズが最初に合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第1の測定距離として記憶する一方、前記レンズが再び合焦したときの基板体とレンズとの間の離間距離を測定して第2の測定距離として記憶し、
前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとすることを特徴とする膜厚測定方法。
【請求項9】
基板の表面に光透過性薄膜を一体的に形成して得られた基板体が備える前記光透過性薄膜の厚さを測定するための膜厚測定方法であって、
前記基板体の光透過性薄膜の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を調整して前記基板体の法線方向から光を投光することで前記基板体に明暗部を形成すると共に、前記光透過性薄膜の設計上の厚さよりも浅い焦点深度を有する前記レンズの光軸が前記光の投光方向と同軸上に位置し且つ前記基板体の光透過性薄膜の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように前記撮像手段の位置を調整した後、
前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を徐々に縮めながら前記撮像手段を繰り返し作動させて前記明暗部を撮像し、その都度に得られる明暗部の画像に基いて前記レンズが合焦しているか否かを判定し、前記レンズが最初に合焦したときの前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を測定して第1の測定距離として記憶し、
更に、前記基板体の基板の表面に形成される明暗部の像が撮像手段の備えるレンズの合焦判定に適するように光の強度を強くし、前記基板体の基板の表面と前記レンズとの間の離間距離が前記レンズの合焦距離よりも僅かに長くなるように前記撮像手段の位置を調整し、前記撮像手段のレンズを前記光透過性薄膜の表面からアウトフォーカスさせてから、
前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を徐々に縮めながら前記撮像手段を繰り返し作動させて前記明暗部を撮像し、その都度に得られる明暗部の画像に基いて前記レンズが合焦しているか否かを判定し、前記レンズが再び合焦したときの前記基板体と前記レンズとの間の離間距離を測定して第2の測定距離として記憶し、
前記第1の測定距離と第2の測定距離の差分を求めて前記光透過性薄膜の厚さとすることを特徴とする膜厚測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−37365(P2012−37365A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177360(P2010−177360)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】