説明

表示装置

【課題】地図画像に重畳表示すべき名称の文字数が多い場合でも、地図画像およびそれに重畳表示すべき名称の視認性をともに良好に保つことが可能な地図表示装置を提供すること。
【解決手段】ECU8は地図画像に重畳表示する道路名称、地域名称、施設名称データの文字数が最大表示文字数よりも多い場合には、地図画像上における道路名称、地域名称、施設名称の表示位置にスクロール表示領域を設定するとともに、その名称データをスクロール必要名称データとし、当該スクロール表示領域にそのスクロール必要名称データをスクロール表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像に文字列を重畳して表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図画像に道路名を重畳表示する装置が公知である。例えば特許文献1の装置では、道路地図を表示する表示領域内に道路名称を表示する道路名表示枠を予め設定する。そして、道路地図に描画された道路と道路名表示枠との交差部に、当該道路の名称を表示する。
【特許文献1】特開平9−101747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車両用のナビゲーション装置や携帯電話等の地図画像表示部に道路名称や地理名称を表示する場合、表示すべき名称の文字数が多いと地図画像や表示名称の視認性が悪くなる。従来装置においても、道路名称を予め設定した道路名表示枠に表示するのみであるため、表示名称の文字数が多い場合には地図画像や表示名称の視認性が悪くなる。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、地図画像に重畳表示すべき名称の文字数が多い場合でも、地図画像およびそれに重畳表示すべき名称の視認性をともに良好に保つことが可能な地図表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の地図表示装置では、地図画像に文字列を重畳して表示する地図表示装置であって、地図画像に重畳表示すべき文字列の文字数が予め設定された最大表示文字数よりも多い場合、地図画像上における文字列の表示位置にスクロール表示領域を設定するとともに前記文字列をスクロール必要文字列とし、当該スクロール表示領域に当該スクロール必要文字列をスクロール表示させる表示制御手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
このように、本発明の地図表示装置では、表示制御手段は、地図画像に重畳表示すべき文字列の文字数が最大表示文字数よりも多い場合、地図画像上における文字列の表示位置にスクロール表示領域を設定するとともにその文字列をスクロール必要文字列とし、そのスクロール表示領域にそのスクロール必要文字列をスクロール表示させる。これにより、地図画像に重畳表示すべき名称の文字数が多い場合でも、その名称が表示される表示領域はその名称を一度に全部表示させる場合の表示領域よりも小さくなる。従って、その名称が地図画像に重畳表示されることによって地図画像の視認性が低下する程度が少なくなる。また、その名称もスクロール表示により全部表示される。その結果、地図画像およびその地図画像に重畳表示する名称の視認性がともに良好に保たれる。
【0007】
請求項2に記載のように、道路の名称を示す文字列、地域の名称を示す文字列、施設の名称を示す文字列のうちの少なくともいずれか一つが最大表示文字数よりも多い場合に、当該文字列が前記スクロール必要文字列とされることが望ましい。地図画像に重畳表示される文字列は、地図画像に含まれる道路の名称、地域の名称、施設の名称のいずれかであることが多いためである。
【0008】
請求項3に記載のように、表示制御手段は、最大表示文字数分の表示領域をスクロール表示領域として設定することが望ましい。スクロール表示領域の表示文字数は、スクロール必要文字列の文字数よりも少ない範囲であれば、最大表示文字数よりも多くてもよい。しかし、この請求項3のように、最大表示文字数分の表示領域をスクロール表示領域として設定すると、スクロール表示領域の表示文字数が最大表示文字数よりも多い場合に比較して、地図画像の視認性をより良好に保つことができる。
【0009】
請求項4に記載のように、表示制御手段は、スクロール必要文字列をスクロール表示領域に一文字分ずつスクロール表示させることが望ましい。これにより、ユーザーはスクロール必要文字列を一文字ずつ確認して把握することができる。
【0010】
請求項5に記載のように、表示制御手段は、スクロール必要文字列をスクロール表示領域に全てスクロール表示した場合には、当該スクロール必要文字列の最初から再度スクロール表示を行うことが望ましい。これにより、スクロール必要文字列が全てスクロール表示された後には、当該スクロール必要文字列が再び最初からスクロール表示されることとなるため、ユーザーはスクロール必要文字列をより確実に把握することができる。
【0011】
表示制御手段によるスクロール表示態様としては、請求項6に記載のように、スクロール表示領域の左右方向にスクロール必要文字列をスクロール表示させる態様がある。
【0012】
請求項7に記載のように、表示制御手段は、地図画像上にスクロール必要文字列が複数ある場合には、当該複数のスクロール必要文字列の各々の表示位置にスクロール表示領域を設定するとともに、当該複数のスクロール必要文字列の各々を一つずつ順番に、各スクロール必要文字列に対応するスクロール表示領域にスクロール表示させることが望ましい。これにより、スクロール必要文字列が複数ある場合でも、ユーザーはそれら複数のスクロール必要文字列の各々を十分に把握することができる。
【0013】
請求項8に記載のように、地図表示装置は、ユーザーの現在位置および進行方向を検出し、ユーザーの現在位置周辺の地図画像に文字列を重畳して表示するものであり、表示制御手段は、ユーザーの現在位置および進行方向から、地図画像上においてユーザーの進行方向前側に表示位置が設定されたスクロール表示領域を識別するとともに、識別したスクロール表示領域に対してのみスクロール必要文字列をスクロール表示させることが望ましい。地図画像上に重畳表示される文字列のうちユーザーにとって最も関心があるのは、ユーザーの進行方向前側となる表示位置に表示される文字列であるためである。
【0014】
請求項9に記載のように、地図表示装置は、ユーザーの移動経路を設定するとともに、設定した移動経路に沿ってユーザーが移動するよう案内するものであり、表示制御手段は、ユーザーが次の交差点で右折すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の左から右へと、予め設定された第1のスクロール表示速度でスクロール表示させ、ユーザーが次の交差点を直進すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の右から左へと、第1のスクロール表示速度でスクロール表示させ、ユーザーが次の交差点で左折すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の右から左へと、第1のスクロール表示速度よりも速い第2のスクロール表示速度でスクロール表示させることが望ましい。これにより、ユーザーはスクロール表示領域におけるスクロール必要文字列のスクロール表示方向およびスクロール表示速度から、次の交差点を左折すべきか、直進すべきか、右折すべきかを把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態における地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。本地図表示装置は、車両用ナビゲーション装置に組み込まれて動作する。
【0016】
図1において、位置検出器1は、地磁気センサ1A、ジャイロスコープ1B、距離センサ1C、GPS受信機1Dから構成され、車両の現在位置および進行方向の検出を行う。
【0017】
地磁気センサ1Aは、方位センサであり、例えばパーマロイ等の環状の強磁性体に、これを励磁するための励磁巻線と、方向検出用の直交する2つの検出巻線とが巻かれた構成を持つ。そして、励磁巻線に交流電圧を印加することによって2つの検出巻線に発生する電圧を計測し、これに基づいて車両の進行方向を絶対方位として検出する。
【0018】
ジャイロスコープ1Bは、車両の進行方向を相対方位として検出する方位センサであり、例えば水晶振動子を備え、当該振動子を振動させた際に発生する、コリオリ力に基づく振動から、車両のヨー角速度(ヨーレート)を検出する。
【0019】
距離センサ1Cは、例えば車両に搭載された図示しない車輪や車軸の回転信号に基づいて、車両の移動距離を検出する。
【0020】
GPS受信機1Dは、人工衛星である図示しないGPS衛星から送信される位置測定用のGPS信号を受信し、車両が現在走行している地点の緯度や経度、高度を検出する。
【0021】
位置検出器1は、前述した4つの機器の検出結果を相互に補間することによって、車両の現在位置および進行方向を高い精度で検出する。もちろん、要求される検出精度によっては、前述の4つの機器を全て備える必要はない。なお、車両の現在位置および進行方向に関しては、例えば三次元ジャイロによって、車両の左右方向および高さ方向における加速度を検出し、当該検出結果にも基づいて検出することとしても良い。また、ステアリングセンサ等、他のセンサによる検出信号にも基づいて行うこととしてもよい。
【0022】
地図データ記憶器2は、例えば記憶媒体としてハードディスクを有し、道路情報、施設情報、各地域の住所情報や郵便番号情報等を含む地図データと、地図画像を表示するための地図画像データとを記憶する。また、道路名称、地域名称、施設名称(表示名称)を文字表示するための名称データ(文字列)を各道路、各地域、各施設毎に記憶する。前述の地図データ、地図画像データ、名称データに関しては、CD−ROMやDVD−ROM等に記憶することとしても良い。
【0023】
ディスプレイ3は、車載用の小型ディスプレイであり、地図画像表示を含む各種ナビゲーション表示を行う。前述の各種ナビゲーション表示に関しては、車載用のヘッドアップディスプレイ等を用いることとしても良い。
【0024】
操作スイッチ4は、複数のメカニカルなスイッチから構成され、各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。前述の指示に関しては、操作キーを表示する表示パネルと、当該表示パネルに表示された操作キーにタッチされたことを検出するタッチパネルを備えたタッチスイッチとによって構成しても良い。
【0025】
リモコン5は、例えば各種機能スイッチを備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ6を介して、前述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0026】
通信機7は、車載用の小型通信機であり、図示しないVICS情報センターから送信される渋滞情報や交通規制情報等の道路交通情報を受信する。前述した道路交通情報に関しては、例えばインターネット等の公衆回線を利用して受信することとしても良い。
【0027】
ECU8は、公知のコンピュータから構成され、操作スイッチ4またはリモコン5からの指示に従って、地図画像表示を含む各種ナビゲーション動作を実行する。具体的には、ECU8は、位置検出器1が検出した車両の現在位置および進行方向に基づいて、地図データ記憶器2から車両の現在位置周辺の地図画像データを読み出すとともに、通信機7が受信した道路交通情報を取得する。そして、読み出した地図データが示す地図画像を、車両の進行方向が画面上下方向となり、且つ、進行方向前側が画面上側となるようにディスプレイ3に表示し、その地図画像に車両の現在位置を示すマーク、渋滞情報、交通規制情報を重畳表示する。また、スピーカ9から各種音声案内を行わせる。
【0028】
さらに、ECU8は、地図画像に含まれる道路の道路名称、地図画像に含まれる地域の地域名称、地図画像に含まれる施設の施設名称を、地図画像に重畳表示させることも行う。その際、重畳表示させる道路名称、地域名称、施設名称が長い場合には、当該名称をスクロール表示させる。
【0029】
具体的には、まず、ECU8は、ディスプレイ3に表示された地図画像に含まれる道路、地域、施設を抽出するとともに、抽出した道路、地域、施設の名称を示す名称データを地図データ記憶器2から読み出す。次に、読み出した各名称データの文字数をカウントし、予め設定された最大表示文字数以下である名称データに関しては、当該名称データの示す道路名称、地域名称、施設名称を地図画像上の所定の表示位置にそのまま表示する。
【0030】
一方、最大表示文字数よりも多い文字数の名称データに関しては、当該名称データをスクロール必要名称データとして図示しない内部バッファに記憶するとともに、地図画像上における当該名称データの示す道路名称、地域名称、施設名称の表示位置に、縦方向の長さが文字の縦サイズと等しく、横方向の長さが最大表示文字数分の長さと等しいスクロール表示領域を設定する。そして、設定したスクロール表示領域内に、内部バッファに記憶したスクロール必要名称データの示す道路名称、地域名称、施設名称を1文字ずつ、スクロール表示領域の右から左へとスクロール表示する。
【0031】
前述のスクロール表示は、内部バッファに記憶された各スクロール必要名称データに対し、当該スクロール必要名称データを構成する文字列においてスクロール表示の先頭を示すポインタ(以下、先頭ポインタと記載する)を設け、先頭ポインタの位置を一文字分ごと後ろに移動していくことにより行う。スクロール必要名称データを構成する文字列の最後の文字まで先頭ポインタが移動した場合、すなわち、スクロール必要名称データの示す道路名称、地域名称、施設名称の最後の文字までスクロール表示した場合には、ECU8は、スクロール必要名称データを構成する文字列の最初の文字に先頭ポインタを移動させ、再び最初からスクロール表示を行う。なお、ECU8は表示制御手段として機能する。
【0032】
メモリ10は、ECU8が各種動作を行う際の一時的な記憶領域として利用される。メモリ10としては、例えばメモリカード等を利用する。
【0033】
図2は、本実施形態の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、所定時間毎に実行される。
【0034】
ステップ201では、ECU8は、地図データ記憶器2から車両の現在位置周辺の地図画像データを読み出し、ディスプレイ3に地図画像表示を行う。ステップ202では、ステップ201でディスプレイ3に表示した地図画像に含まれる道路、地域、施設を抽出する。
【0035】
ステップ203では、ステップ202で抽出した道路、地域、施設の中から一つを選択し、これに対応する名称データを地図データ記憶器2から読み出す。ステップ204では、ステップ203で読み出した名称データを構成する文字列の文字数をカウントする。
【0036】
ステップ205では、ステップ204でカウントした文字数が最大表示文字数よりも大きいか否かを判定する。最大表示文字数よりも大きい場合は、ステップ206へ進んで、スクロール表示させるための処理を実行する。一方、最大表示文字数よりも小さい場合は、直接、ステップ210へ進む。
【0037】
ステップ206では、ステップ203で読み出した名称データが内部バッファに記憶されているか否かを判定する。ステップ203で読み出した各名称データに対してこのステップ206を最初に実行する場合、その名称データはまだ内部バッファに記憶されていないので、ステップ206は否定判定となる。この場合はステップ208へ進む。一方、その名称データに対するステップ206の2回目以降の実行においては、後述するステップ209においてその名称データが内部バッファに記憶されるので、ステップ206は肯定判定となる。この場合はステップ207へ進む。
【0038】
ステップ208では、ステップ203で読み出した名称データの示す道路名称、地域名称、施設名称の地図画像上における表示位置に、縦方向の長さが文字の縦サイズと等しく、横方向の長さが最大表示文字数分の長さと等しいスクロール表示領域を設定する。ステップ209では、ステップ203で読み出した名称データをスクロール必要名称データとして内部バッファへ記憶するとともに、記憶した名称データを構成する文字列の最初の文字の位置に先頭ポインタを設定し、ステップ210へ進む。
【0039】
ステップ207では、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタの位置を一文字分後ろへ移動させて、ステップ210へ進む。なお、先頭ポインタの位置が名称データを構成する文字列の最後の文字の位置にある場合には、先頭ポインタの位置を最初の文字の位置に戻す。
【0040】
ステップ210では、ステップ204でカウントした文字数が最大表示文字数以下の場合には、ステップ203で読み出した名称データの示す道路名称、地域名称、施設名称をそのまま地図画像に重畳表示する。また、ステップ204でカウントした文字数が最大表示文字数よりも大きい場合には、内部バッファに記憶されたスクロール必要名称データをスクロール表示させる。すなわち、そのスクロール必要名称データのうち、先頭ポインタが設定されている文字からスクロール表示領域の文字数分の文字列を、該当するスクロール表示領域に表示する。
【0041】
ステップ211では、ステップ202で抽出した道路、地域、施設を全て読み出したか否かを判定する。全て読み出していない場合には、ステップ203以下の処理を繰り返す。
【0042】
一方、全て読み出した場合には処理を終了する。処理を終了した場合には、前述のように、所定周期経過後に、再度、図2の処理を最初から実行する。この場合、内部バッファの記憶内容を保持した状態で図2の処理を再実行する。そのため、前回の処理までにスクロール必要名称データとして内部バッファに記憶されている名称データは、前回の処理よりも一文字後の文字が先頭文字とされてスクロール表示領域に表示されることになる。そして、図2の処理が所定周期で繰り返されることにより、スクロール表示領域にはスクロール必要文字列がスクロール表示されることになる。
【0043】
このように、本実施形態の地図表示装置では、ECU8は地図画像に重畳表示する道路名称、地域名称、施設名称データの文字数が最大表示文字数よりも多い場合には、地図画像上における道路名称、地域名称、施設名称の表示位置にスクロール表示領域を設定するとともに、その名称データをスクロール必要名称データとし、当該スクロール表示領域にそのスクロール必要名称データをスクロール表示させる。
【0044】
上記スクロール表示領域は、スクロール必要名称データを一度に全部表示した場合の表示領域よりも小さいので、スクロール必要名称データが地図画像に重畳表示されることによって地図画像の視認性が低下する程度が少なくなる。また、スクロール必要名称データもスクロール表示により全部表示される。その結果、地図画像およびそれに重畳表示する名称の視認性がともに良好に保たれる。
【0045】
なお、本実施形態では、スクロール表示領域の大きさは、縦方向の長さが文字の縦サイズと等しく、横方向の長さが最大表示文字数分の長さと等しいものが設定されたが、これに限定されるものではなく、文字サイズが変化しないのであれば、横方向の長さをスクロール必要文字列の文字数よりも少ない範囲で変更しても良い。
【0046】
次に、本実施形態の地図表示装置が、地図画像に含まれる道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する様子を具体的に説明する。
【0047】
図3(a)〜(c)は、ディスプレイ3の地図画像に重畳表示された道路名称、地域名称、施設名称の一例を示す図であり、図4は図3(a)〜(c)の地図画像から抽出された2つの道路、1つの地域、1つの施設の名称データを示す図である。図3の丸で囲まれた三角形は車両の現在位置を示す。また、以下の例においては、最大表示文字数は5文字に設定されているものとする。
【0048】
本地図表示装置は、最初に図3に示す地図画像に含まれる道路、地域、施設として、「CC線 ハイウェイ」、「BB市 ABCDEF道路」、「BB市」、「ABCDE市役所」を抽出した。このうち、地域名称である「BB市」は3文字であるため、図3(a)〜(c)において、「BB市」の3文字が全て表示されている。一方、道路名称である「CC線 ハイウェイ」、「BB市 ABCDEF道路」と、施設名称である「ABCDE市役所」は5文字以上であるため、5文字分のスクロール表示領域が設定され、一文字ずつスクロール表示されることとなる。
【0049】
図3(a)は、各道路名称と施設名称の最初から5文字分を表示した例であり、図3(b)は図3(a)の状態から各道路名称と施設名称とを1文字分左にスクロール表示した例である。また、図3(c)は図3(b)の状態から各道路名称と施設名称とをさらに1文字分左にスクロール表示した例である。図3(a)〜(c)より、本地図表示装置は最大表示文字数である5文字以上の道路名称と施設名称については、スクロール表示領域を設定して一文字ずつ右から左にスクロール表示しているのが理解される。なお、図3(a)〜(c)ではスクロール表示領域の外枠が長方形で示されているが、説明の便宜上表示したものであり、実際には表示されない。
【0050】
次に、本実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例の地図表示装置では、スクロール表示すべき道路名称、地域名称、施設名称が複数ある場合には、その各々を一つずつ順番にスクロール表示させる。上述した点が、本変形例のポイントである。
【0051】
本変形例のECU8は、内部バッファに記憶したスクロール必要名称データの各々に対し、当該スクロール必要名称データがスクロール表示中であるか否かを示すフラグを有する。ECU8は、フラグがセットされたスクロール必要名称データの先頭ポインタを一文字分ずつ最初の文字から最後の文字まで移動させてスクロール表示を行うと、別のスクロール必要名称データのフラグをセットして、当該スクロール必要名称データのスクロール表示を開始する。こうして、内部バッファに記憶されたスクロール必要名称データを一つずつ順番にスクロール表示させる。例えば、内部バッファに2つのスクロール必要名称データを記憶した場合、ECU8は、まず1番目に記憶されたスクロール必要名称データのフラグをセットする。そして、当該スクロール必要名称データを構成する文字列の最初の文字から最後の文字まで先頭ポインタを一文字分ずつ移動させ、当該スクロール必要名称データをスクロール表示する。次に、1番目に記憶された名称データのフラグをリセットし、2番目に記憶されたスクロール必要名称データをセットする。そして、2番目に記憶されたスクロール必要名称データを構成する文字列の最初の文字から最後の文字まで先頭ポインタを一文字分ずつ移動させ、当該スクロール必要名称データをスクロール表示する。
【0052】
その他の構成・動作に関しては、前述の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。次に、本変形例の地図表示装置の動作について説明する。
【0053】
図5は、本変形例の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図2のフローチャートの処理に対し、フラグがセットされているか否かを判定するステップ507、先頭ポインタがスクロール必要名称データの最後の文字まで移動したか否かを判定するステップ509、現在セットされているフラグをリセットして次に記憶されたスクロール必要名称データのフラグをセットするステップ510を設ける。さらに、内部バッファに最初にスクロール必要名称データが記憶されたか否かを判定するステップ513、内部バッファに最初に記憶されたスクロール必要名称データのフラグをセットするステップ514を設ける。これらステップ507、509、510、513、514以外の全ての処理は、前述した図2のフローチャートの処理と同様であるため説明を省略する。
【0054】
ステップ507では、ステップ506で内部バッファに記憶されていると判断したスクロール必要名称データのフラグがセットされているか否かを判定する。前述のフラグがセットされている場合はステップ508へ進む。前述のフラグがセットされていない場合はステップ515へ進む。
【0055】
ステップ509では、先頭ポインタがスクロール必要名称データを構成する文字列の最後の文字まで移動したか否かを判定する。先頭ポインタが最後の文字まで移動したと判定した場合はステップ510へ進み、現在セットされているフラグをリセットするとともに、内部バッファに次に記憶されているスクロール必要名称データのフラグをセットして、ステップ515へ進む。先頭ポインタが未だ最後の文字まで移動していない場合は、直接、ステップ515へ進む。
【0056】
ステップ513では、内部バッファに記憶する最初のスクロール必要名称データであるか否かを判定する。内部バッファに最初に記憶するスクロール必要名称データである場合はステップ514へ進み、当該データのフラグをセットしてステップ515へ進む。内部バッファに最初に記憶するスクロール必要名称データでない場合は、ステップ515へ進む。
【0057】
上述の処理を実行することにより、地図画像上にスクロール表示すべき道路名称、地域名称、施設名称が同一時点において複数ある場合には、その各々が一つずつ順番にスクロール表示されることになる。これにより、ユーザーはスクロール表示される道路名称、地域名称、施設名称が複数ある場合でも、その各々を十分に把握できる。
【0058】
次に、本実施形態の第2の変形例について説明する。本変形例の地図表示装置では、スクロール表示領域の表示位置が地図画像上において車両の表示位置よりもその車両の進行方向前側にあるものに対してスクロール表示を行い、スクロール表示領域の表示位置が車両の表示位置よりも車両進行方向後側にあるものに対してはスクロール表示を行わない。上述した点が本変形例のポイントである。なお、その他の構成・動作に関しては、前述の実施形態の場合と同様である。
【0059】
次に、本変形例の地図表示装置の動作について説明する。図6は、本変形例の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図2のフローチャートの処理に対し、スクロール表示領域の表示位置が車両の表示位置よりも画面上方にあるか否かを判定するステップ607を設ける。そのステップ607以外の全ての処理は、前述した図2のフローチャートの処理と同様であるため説明を省略する。
【0060】
ステップ607では、ECU8は、スクロール表示領域の表示位置が車両の表示位置よりも画面上方にあるか否かを判定する。前述したように、地図画像は車両進行方向前側が画面上方となるように表示されていることから、車両の表示位置よりも画面上方にあるスクロール表示領域は、車両の表示位置よりも車両の進行方向前側に位置することになる。
【0061】
このステップ607が肯定判定である場合はステップ608へ進み、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタの位置を一文字分後ろ側へ移動させて、ステップ611へ進む。そして、ステップ611において、内部バッファに記憶されたスクロール必要名称データをスクロール表示させる。すなわち、スクロール必要名称データのうち、先頭ポインタが設定されている文字からスクロール表示領域の文字数分の文字列を、該当するスクロール表示領域に表示する。
【0062】
なお、ステップ607が否定判定である場合は、直接、ステップ611へ進む。従って、車両の表示位置よりも画面下側にあるスクロール表示領域はスクロール表示されないことになる。
【0063】
このように、本変形例の地図表示装置では、スクロール表示領域の表示位置が地図画像上において車両の表示位置よりも車両進行方向前側にあるものに対してのみ、道路名称、地域名称、施設名称のスクロール表示を行う。ユーザーが最も関心があるのは、地図画面上においてユーザーの現在位置より進行方向前側にある道路名称、地域名称、施設名称であるためである。
【0064】
次に、本実施形態の第3の変形例について説明する。本変形例の地図表示装置では、車両が移動経路に沿って走行している場合において、次の交差点で右折すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の左から右へと、一文字ずつスクロール表示させる。次の交差点で直進すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の右から左へと、一文字ずつスクロール表示させる。次の交差点で右折すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の右から左へと、二文字ずつスクロール表示させる。上述した点が、本変形例のポイントである。
【0065】
本変形例のECU8は、操作スイッチ4またはリモコン5から入力された目的地までの移動経路を設定するとともに、設定した移動経路の表示色を変更した地図画像をディスプレイ3に表示し、ユーザーに移動経路の案内を行う。移動経路の設定に関しては、公知のダイクストラ法等を用いる。車両が移動経路に沿って走行中に、次の交差点で右折すべきであると判断される場合には、ECU8は内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを一文字分だけ先頭側へ戻す。また、次の交差点で直進すべきであると判断される場合には、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを一文字分だけ後ろへ移動する。また、次の交差点で左折すべきであると判断される場合には、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを二文字分後ろへ移動する。以上の動作によって、前述のスクロール表示を行う。
【0066】
図7は、本変形例の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、前述した図2のフローチャートの処理に対し、車両が次の交差点で右折すべきであるか否かを判定するステップ707、車両が次の交差点で左折すべきであるか否かを判定するステップ708、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを一文字分だけ文字列の先頭側へ戻すステップ709、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを二文字分後ろへ移動するステップ710を設ける。これらステップ707、708、709、710以外の全ての処理は、前述した図2のフローチャートの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
ステップ707では、ECU8は、位置検出器1が検出した車両の現在位置および設定した移動経路から、車両が次の交差点で右折すべきであるか否かを判定する。右折すべきである場合はステップ709へ進み、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを一文字分だけ文字列の先頭側へ戻して、ステップ714へ進む。これにより、ステップ714において各スクロール必要文字列が対応するスクロール表示領域の左から右へ、一文字ずつスクロール表示されることとなる。車両が次の交差点で左折もしくは直進すべきである場合は、ステップ708へ進む。
【0068】
ステップ708では、位置検出器1が検出した車両の現在位置および設定した移動経路から、車両が次の交差点で左折すべきであるか否かを判定する。左折すべきである場合はステップ710へ進み、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを二文字分後ろへ移動して、ステップ714へ進む。これにより、ステップ714において各スクロール必要文字列が対応するスクロール表示領域の右から左へ、二文字ずつスクロール表示されることとなる。車両が次の交差点で直進すべきである場合は、ステップ711へ進む。
【0069】
ステップ711では、内部バッファに記憶されているスクロール必要名称データの先頭ポインタを一文字分だけ後ろへ移動して、ステップ714へ進む。これにより、ステップ714において各スクロール必要文字列が対応するスクロール表示領域の右から左へ、一文字ずつスクロール表示されることとなる。
【0070】
このように、本変形例の地図表示装置では、車両が移動経路に沿って走行している場合において、次の交差点で右折すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の左から右へと、一文字ずつスクロール表示させる。また、次の交差点で直進すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の右から左へと、一文字ずつスクロール表示させる。また、次の交差点で右折すべきであると判断される場合には、スクロール必要文字列をスクロール表示領域の右から左へと、二文字ずつスクロール表示させる。これにより、ユーザーはスクロール表示領域におけるスクロール必要文字列のスクロール表示方向およびスクロール表示速度から、次の交差点を左折すべきか、直進すべきか、右折すべきかを把握することができる。
【0071】
本実施形態の地図表示装置は、車両用ナビゲーション装置に組み込まれて動作した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば携帯電話等、地図画像に対して道路名称、地域名称、施設名称等を重畳して表示する機器であれば、いずれも好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態における地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、所定時間毎に実行される。
【図3】本実施形態の地図表示装置において、地図画像に重畳表示された道路名称、地域名称、施設名称の一例を示す図である。
【図4】本実施形態の地図表示装置において、地図画像から抽出された2つの道路、1つの地域、1つの施設の名称データを示す図である。
【図5】第1の変形例の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。
【図6】第2の変形例の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。
【図7】第3の本変形例の地図表示装置が、道路名称、地域名称、施設名称を地図画像に重畳表示する処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1…位置検出器、 1A…地磁気センサ、 1B…ジャイロスコープ、 1C…距離センサ、 1D…GPS受信機、 2…地図データ記憶器、 3…ディスプレイ、 4…操作スイッチ、 5…リモコン 6…リモコンセンサ、 7…通信機、 8…ECU、 9…スピーカ、 10…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像に文字列を重畳して表示する地図表示装置であって、
前記地図画像に重畳表示すべき文字列の文字数が予め設定された最大表示文字数よりも多い場合、前記地図画像上における前記文字列の表示位置にスクロール表示領域を設定するとともに前記文字列をスクロール必要文字列とし、当該スクロール表示領域に当該スクロール必要文字列をスクロール表示させる表示制御手段を備えていることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
道路の名称を示す文字列、地域の名称を示す文字列、施設の名称を示す文字列のうちの少なくともいずれか一つが前記最大表示文字数よりも多い場合に、当該文字列が前記スクロール必要文字列とされることを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記最大表示文字数分の表示領域を前記スクロール表示領域として設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記スクロール必要文字列を前記スクロール表示領域に一文字分ずつスクロール表示させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記スクロール必要文字列を前記スクロール表示領域に全てスクロール表示した場合には、当該スクロール必要文字列の最初から再度スクロール表示を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記スクロール必要文字列を前記スクロール表示領域の左右方向にスクロール表示させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記地図画像上に前記スクロール必要文字列が複数ある場合には、当該複数のスクロール必要文字列の各々の表示位置にスクロール表示領域を設定するとともに、当該複数のスクロール必要文字列を一つずつ順番に、各スクロール必要文字列に対応するスクロール表示領域にスクロール表示させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記地図表示装置は、ユーザーの現在位置および進行方向を検出し、ユーザーの現在位置周辺の地図画像に文字列を重畳して表示するものであり、
前記表示制御手段は、前記ユーザーの現在位置および進行方向から、前記地図画像上において前記ユーザーの進行方向前側に表示位置が設定された前記スクロール表示領域を識別するとともに、識別した前記スクロール表示領域に対してのみ前記スクロール必要文字列をスクロール表示させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記地図表示装置は、ユーザーの移動経路を設定するとともに、設定した移動経路に沿ってユーザーが移動するよう案内するものであり、
前記表示制御手段は、
前記ユーザーが次の交差点で右折すべきであると判断される場合には、前記スクロール必要文字列を前記スクロール表示領域の左から右へと、予め設定された第1のスクロール表示速度でスクロール表示させ、
前記ユーザーが次の交差点を直進すべきであると判断される場合には、前記スクロール必要文字列を前記スクロール表示領域の右から左へと、前記第1のスクロール表示速度でスクロール表示させ、
前記ユーザーが次の交差点で左折すべきであると判断される場合には、前記スクロール必要文字列を前記スクロール表示領域の右から左へと、前記第1のスクロール表示速度よりも速い第2のスクロール表示速度でスクロール表示させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−139699(P2008−139699A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327375(P2006−327375)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】