説明

表面検査装置

【課題】繰り返しパターンの構造性複屈折を利用した表面検査において、偏光の乱れを十分に補正することが可能な表面検査装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る表面検査装置1は、ウェハ10を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部31〜33と、照明部31〜33から射出された発散光束を反射させてウェハ10へ導く凹面反射鏡39と、照明部31〜33により照明されたウェハ10からの光束のうち直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部40と、凹面反射鏡39に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材35とを備え、偏光補正部材35は、照明部31〜33と凹面反射鏡39との間の光軸に対し傾斜した状態で互いに平行に配置された二枚の平行平面板36,37からなり、当該平行平面板36,37は、使用波長に対する屈折率が1.6以下の材料を用いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の製造過程における、基板表面のムラ、傷等の欠陥を検出する表面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の製造過程における、ウェハの表面に形成された繰り返しパターンの欠陥を検査する検査装置として、従来から、回折を利用したものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。回折を利用した装置では、パターンのピッチによりステージのチルト角の調整が必要になる。また、より微細なパターンへの対応のためには照明光の波長の短波長化が必要である。しかしながら、繰り返しピッチの微細化(すなわち、配線パターンなどのライン・アンド・スペースの微細化)に対応するために、照明光の短波長化を行おうとすると、光源の種類が限定され、高価で大掛かりな光源となってしまう。また、照明系や受光系を構成する光学素子の材料も高価なものに限定され、好ましくない。
【0003】
このため、繰り返しパターンの構造性複屈折を利用した検査が提案されている。これは、繰り返しパターンへ直線偏光を照射し、その偏光成分と直交する成分の光を受光して検査を行うものである(例えば、特許文献2を参照)。この方式の利点は、回折光を受光する必要がないため、ステージのチルト角を調整する必要がないことである。また、回折光が出ないような微細な繰り返しパターンの検査が可能となる利点があり、照明光を短波長化することなく検査可能となる。ただし、繰り返しパターンによる偏光状態の変化は微少である。このため、直線偏光の光束を被検基板へ導く光学系により偏光が乱れる影響が無視できない。このような問題を解決するため、偏光の乱れを補正する偏光補正部材を光路中に配設することも提案されている。
【0004】
前述したように、繰り返しパターンの構造性複屈折を利用することで、回折光が出ないような微細な繰り返しパターンの検査が照明光を短波長化することなく可能になるが、波長選択の自由度は大きい方が望ましい。また、プロセスによっては短波長で検査した方が有利な場合がある。例えば、構造性複屈折による偏光状態の変化は、光の波長にほぼ反比例するため短波長域の方が検査感度もよい。また、クロスニコル系からの透過光量も多いため、S/N比の観点から短波長で検査する方が望ましい場合もある。
【特許文献1】特開平10−232122号公報
【特許文献2】特開2006−343102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、短波長の光に対しても十分に高い透過率を有する偏光補正部材は限られており、偏光の乱れを十分に補正することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、繰り返しパターンの構造性複屈折を利用した表面検査において、偏光の乱れを十分に補正することが可能な表面検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、第1の発明に係る表面検査装置は、被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く光学部材と、前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、前記照明部と前記光学部材との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、前記偏光補正部材は、前記照明部と前記光学部材との間の光軸に対して傾斜するように配置された複数の平行平面板からなり、前記平行平面板は、使用波長に対する屈折率が1.6以下の材料を用いて形成される。
【0008】
また、第2の発明に係る表面検査装置は、被検基板を照明するための直線偏光の光束を射出する照明部と、前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる光学部材と、前記光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、前記偏光補正部材は、前記光学部材と前記受光部との間の光軸に対して傾斜するように配置された複数の平行平面板からなり、前記平行平面板は、使用波長に対する屈折率が1.6以下の材料を用いて形成される。
【0009】
また、第3の発明に係る表面検査装置は、被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く第1の光学部材と、前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる第2の光学部材と、前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記第1の光学部材または前記第2の光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、前記偏光補正部材は、前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光軸に対して傾斜するように配置された複数の平行平面板からなり、前記平行平面板は、使用波長に対する屈折率が1.6以下の材料を用いて形成される。
【0010】
なお、上述の表面検査装置において、前記照明部が射出する光束の前記使用波長が350nm以下であり、前記複数の平行平面板は、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置されてなることが好ましい。
【0011】
また、第4の発明に係る表面検査装置は、被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く光学部材と、前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、前記照明部と前記光学部材との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する前記直線偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、前記照明部が射出する前記発散光束の波長が350nm以下であり、前記偏光補正部材は、前記照明部と前記光学部材との間の光軸に対し傾斜した状態で、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置された複数の平行平面板からなる。
【0012】
また、第5の発明に係る表面検査装置は、被検基板を照明するための直線偏光の光束を射出する照明部と、前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる光学部材と、前記光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、前記照明部が射出する前記光束の波長が350nm以下であり、前記偏光補正部材は、前記光学部材と前記受光部との間の光軸に対し傾斜した状態で、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置された複数の平行平面板からなる。
【0013】
また、第6の発明に係る表面検査装置は、被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く第1の光学部材と、前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる第2の光学部材と、前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記第1の光学部材または前記第2の光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、前記照明部が射出する前記発散光束の波長が350nm以下であり、前記偏光補正部材は、前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光軸に対し傾斜した状態で、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置された複数の平行平面板からなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、繰り返しパターンの構造性複屈折を利用した表面検査において、偏光の乱れを十分に補正することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態の表面検査装置1は、図1に示すように、被検基板である半導体ウェハ10(以下、ウェハ10と称する)を支持するステージ20と、照明系30と、受光系40とを備えて構成されている。また、表面検査装置1は、受光系40で撮像された画像の画像処理を行う画像処理部50と、受光系40で撮像された画像や画像処理部50による画像処理結果を表示するモニタ55とを備えている。表面検査装置1は、半導体回路素子の製造工程において、ウェハ10の表面の検査を自動的に行う装置である。ウェハ10は、最上層のレジスト膜への露光・現像後、不図示の搬送系により、不図示のウェハカセットまたは現像装置から運ばれ、ステージ20に吸着保持される。
【0016】
ウェハ10の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域11がXY方向に配列され、各チップ領域の中に所定の繰り返しパターン12が形成されている。繰り返しパターン12は、図3に示すように、複数のライン部2Aがその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターン(例えば、配線パターン)である。隣り合うライン部2A同士の間は、スペース部2Bである。なお、ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン12の繰り返し方向」と称する。
【0017】
ここで、繰り返しパターン12におけるライン部2Aの線幅DAの設計値をピッチPの1/2とする。設計値の通りに繰り返しパターン12が形成された場合、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBは等しくなり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比は略1:1になる。これに対して、繰り返しパターン12を形成する際の露光フォーカスが適正値から外れると、ピッチPは変わらないが、ライン部2Aの線幅DAが設計値と異なってしまうとともに、スペース部2Bの線幅DBとも異なってしまい、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。
【0018】
本実施形態の表面検査装置1は、上記のような繰り返しパターン12におけるライン部2Aとスペース部2Bとの体積比の変化を利用して、繰り返しパターン12の欠陥検査を行うものである。説明を簡単にするため、理想的な体積比(設計値)を1:1とする。体積比の変化は、露光フォーカスの適正状態からの外れに起因し、ウェハ10のショット領域ごとに現れる。なお、体積比を断面形状の面積比と言い換えることもできる。
【0019】
また、本実施形態においては、繰り返しパターン12に対する照明光(後述)の波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さいものとする。このため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはなく、繰り返しパターン12の欠陥検査を回折光により行うことはできない。本実施形態における欠陥検査の原理は、以降、表面検査装置の構成(図1)とともに順に説明する。
【0020】
表面検査装置1のステージ20は、ウェハ10を上面で支持して、例えば真空吸着により固定保持する。さらに、ステージ20は、上面の中心における法線A1を中心軸として回転可能である。この回転機構によって、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、ウェハ10の表面内で回転させることができる。なお、ステージ20は、上面が水平面であり、ウェハ10を常に水平な状態に保つことができる。
【0021】
本実施形態においては、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、後述の照明光の入射面A2(図4を参照)に対して、45度の角度に傾けて設定する。なお、角度は45度に限らず、22.5度や67.5度など任意角度方向に設定可能である。
【0022】
照明系30は、光源31と、ライトガイドファイバ32と、第1の偏光板33と、第1の偏光補正部材35と、第1の凹面反射鏡39とを有して構成された偏心光学系であり、ステージ20上のウェハ10の繰り返しパターン12を直線偏光L1により照明する。この直線偏光L1が、繰り返しパターン12に対する照明光である。直線偏光L1は、ウェハ10の表面全体に照射される。
【0023】
直線偏光L1の進行方向(ウェハ10表面上の任意の点に到達する直線偏光L1の主光線の方向)は、ステージ20の中心を通る法線A1に対して所定の角度θだけ傾けられている。ちなみに、直線偏光L1の進行方向を含み、ステージ20の法線A1に平行な平面が、直線偏光L1の入射面である。図4の入射面A2は、ウェハ10の中心における入射面である。
【0024】
また、本実施形態では、直線偏光L1がp偏光である。すなわち、図5(a)に示すように、直線偏光L1の進行方向と電気ベクトルの振動方向とを含む平面(直線偏光L1の振動面)が、直線偏光L1の入射面A2内に含まれる。直線偏光L1の振動面は、第1の偏光板33の透過軸により規定される。
【0025】
照明系30の光源31は、水銀ランプ等の放電光源である。なお、図示しない波長選択フィルタによって、光源31から射出される光のうち短波長(例えば313nm)の光(輝線スペクトル)を選択的にライトガイドファイバ32へ透過させる。ライトガイドファイバ32は、光源31からの光を伝送する。第1の偏光板33は、ライトガイドファイバ32の射出端近傍に配置され、その透過軸が所定の方位に設定されて、ライトガイドファイバ32から射出された発散光束を透過軸に応じた直線偏光の発散光束にする。第1の凹面反射鏡39は、例えばアルミ等の金属を用いて反射面が形成され、第1の凹面反射鏡39で反射する第1の偏光板33からの発散光束を(詳細は後述する第1の偏光補正部材35を介し)平行光束にして、被検基板であるウェハ10へ照射する。すなわち照明系30は、ウェハ10側に対してテレセントリックな光学系である。
【0026】
上記の照明系30において、光源31からの光は、ライトガイドファイバ32、第1の偏光板33、第1の偏光補正部材35、および第1の凹面反射鏡39を介してp偏光の直線偏光L1となり、ウェハ10の表面全体に入射する。ウェハ10の各点における直線偏光L1の入射角度は、平行光束のため互いに同じであり、光軸と法線A1とのなす角度θに相当する。
【0027】
本実施形態では、ウェハ10に入射する直線偏光L1がp偏光であるため、図4に示すように、繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)が直線偏光L1の入射面A2(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向(図5におけるV方向)と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度も、45度に設定される。
【0028】
言い換えると、直線偏光L1は、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向(図6におけるV方向)が繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)に対して45度傾いた状態で、繰り返しパターン12を斜めに横切るようにして繰り返しパターン12に入射する。
【0029】
このような直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は、ウェハ10の表面全体において均一である。なお、45度を135度,225度,315度のいずれかに言い換えても、直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は同じである。また、図6の振動面の方向(V方向)と繰り返し方向(X方向)とのなす角度を45度に設定するのは、繰り返しパターン12の欠陥検査の感度を最も高くするためである。
【0030】
そして、上記の直線偏光L1を用いて繰り返しパターン12を照明すると、繰り返しパターン12から正反射方向に楕円偏光L2が発生する(図5(b)を参照)。この場合、楕円偏光L2の進行方向が正反射方向に一致する。正反射方向とは、直線偏光L1の入射面A2内に含まれ、ステージ20の法線A1に対して角度θ(直線偏光L1の入射角度θに等しい角度)だけ傾いた方向である。なお、上述の通り、繰り返しパターン12のピッチPが照明波長と比較して十分短いため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはない。
【0031】
ここで、直線偏光L1が繰り返しパターン12での反射により楕円化し、繰り返しパターン12から楕円偏光L2が発生する理由について簡単に説明する。直線偏光L1は、繰り返しパターン12に入射すると、振動面の方向(図6のV方向)が、図7に示す2つの偏光成分VX,VYに分かれる。一方の偏光成分VXは、繰り返し方向(X方向)に平行な成分である。他方の偏光成分VYは、繰り返し方向(X方向)に垂直な成分である。そして、2つの偏光成分VX,VYは、それぞれ独立に、異なる振幅変化と位相変化とを受ける。振幅変化と位相変化が異なるのは、繰り返しパターン12の異方性に起因して複素屈折率がX方向とY方向で異なるからであり、構造性複屈折(form birefringence)と呼ばれる。その結果、2つの偏光成分VX,VYの反射光は互いに振幅と位相が異なり、これらの合成による反射光は楕円偏光L2となる(図5(b)を参照)。
【0032】
また、繰り返しパターン12の異方性に起因する楕円化の程度は、図5(b)で示す楕円偏光L2のうち、図5(a)で示す直線偏光L1の振動面に垂直な偏光成分L3(図5(c)を参照)と考えることができる。そして、この偏光成分L3の大きさは、繰り返しパターン12の材質および形状と、図6の振動面の方向(V方向)と繰り返し方向(X方向)とのなす角度に依存する。このため、V方向とX方向とのなす角度を一定の値(本実施形態では45度)に保つ場合、繰り返しパターン12の材質が一定であっても、繰り返しパターン12の形状が変化すると、楕円化の程度(偏光成分L3の大きさ)が変化することになる。
【0033】
繰り返しパターン12の形状と偏光成分L3の大きさとの関係について説明する。図3に示すように、繰り返しパターン12は、ライン部2Aとスペース部2BとをX方向に沿って交互に配列した凹凸形状を有し、適正な露光フォーカスで設計値通りに形成されると、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBが等しくなるが、露光フォーカスが適正から外れると、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。このとき、偏光成分L3の大きさは理想的な場合と比較して変化する。偏光成分L3の大きさの変化の一例を図示すると、図8のようになる。図8の横軸は、ライン部2Aの線幅DAである。なお、図8の変化のしかたは、パターンと波長の関係によって異なり、必ずしも体積比が1:1のときに最大になるとは限らない。
【0034】
このように、直線偏光L1を用いて、図6の振動面の方向(V方向)が繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)に対して45度だけ傾いた状態で、繰り返しパターン12を照明すると、正反射方向に反射して生じた楕円偏光L2は、その楕円化の程度(図5(c)における偏光成分L3の大きさ)が、繰り返しパターン12の形状(ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比)に応じたものとなる。楕円偏光L2の進行方向は、直線偏光L1の入射面A2内に含まれ、ステージ20の法線A1に対して角度θだけ傾いている。
【0035】
さて、受光系40は、図1に示すように、第2の凹面反射鏡41と、第2の偏光補正部材42と、第2の偏光板45と、結像レンズ46と、撮像素子47とを有して構成された偏心光学系であり、その光軸がステージ20の中心を通る法線A1に対して角度θだけ傾くように配設される。従って、繰り返しパターン12からの楕円偏光L2は、受光系40の光軸に沿って進行することになる。第2の凹面反射鏡41は、第1の凹面反射鏡39と同様の反射鏡であり、楕円偏光L2を反射して結像レンズ46の方へ導き、結像レンズ46と協働して撮像素子47の撮像面に集光する(すなわち、繰り返しパターン12で反射した楕円偏光L2の平行光束を撮像面に収束させる)。
【0036】
ただし、第2の凹面反射鏡41と結像レンズ46との間には、第2の偏光板45が配設されている。第2の偏光板45の透過軸の方位は、上述した照明系30の第1の偏光板33の透過軸に対して直交するように設定されている(クロスニコルの状態)。したがって、第2の偏光板45により、楕円偏光L2の図5(c)の偏光成分L3に相当する直線偏光成分L4のみを抽出して、撮像素子47に導くことができる。その結果、撮像素子47の撮像面には、直線偏光成分L4によるウェハ10の反射像が形成される。
【0037】
撮像素子47は、例えばCCD撮像素子等であり、撮像面に形成されたウェハ10の反射像を光電変換して、画像信号を画像処理部50に出力する。ウェハ10の反射像の明暗は、直線偏光成分L4の光強度(図5(c)の偏光成分L3の大きさ)に略比例し、繰り返しパターン12の形状(ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比)に応じて変化する(図8を参照)。ウェハ10の反射像が最も明るくなるのは、繰り返しパターン12が理想的な形状(体積比が1:1)の場合である。なお、ウェハ10の反射像の明暗は、ショット領域ごとに現れる。
【0038】
画像処理部50は、撮像素子47から出力される画像信号に基づいて、ウェハ10の反射画像を取り込む。なお、画像処理装置50は、比較のため、良品ウェハの反射画像を予め記憶している。良品ウェハとは、繰り返しパターン12が理想的な形状(体積比が1:1)で表面全体に形成されたものである。良品ウェハの反射画像の輝度情報は、最も高い輝度値を示すと考えられる。
【0039】
したがって、画像処理部50は、被検基板であるウェハ10の反射画像を取り込むと、その輝度情報を良品ウェハの反射画像の輝度情報と比較する。そして、ウェハ10の反射画像における暗い箇所の輝度値の低下量(∝図8の低下量Δ)に基づいて、繰り返しパターン12の欠陥(ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比の変化)を検出する。例えば、輝度値の変化量が予め定められた閾値(許容値)より大きければ「欠陥」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断すればよい。そして、画像処理部50による輝度情報の比較結果およびそのときのウェハ10の反射画像がモニタ55で出力表示される。
【0040】
なお、画像処理部50においては、上述のように、良品ウェハの反射画像を予め記憶しておく構成の他、ウェハ10のショット領域の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておく構成でもよい。この場合、ショット領域の配列データに基づいて、取り込まれたウェハ10の反射画像中における各ショット領域の位置が分かるので、各ショット領域の輝度値を求める。そして、その輝度値と記憶されている閾値とを比較することにより、パターンの欠陥を検出する。閾値より輝度値の変化が小さいショット領域を「欠陥」と判断すればよい。
【0041】
このような構成の表面検査装置1によれば、直線偏光L1を用いて、図6の振動面の方向(V方向)が繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)に対して傾いた状態で、繰り返しパターン12を照明するとともに、正反射方向に発生した楕円偏光L2のうち、直線偏光成分L4の光強度(図5(c)の偏光成分L3の大きさ)に基づいて、繰り返しパターン12の欠陥を検出することで、照明波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さくても、確実に欠陥検査を行うことができる。
【0042】
ところで、本実施形態においては、第1の偏光板33と第1の凹面反射鏡39との間に第1の偏光補正部材35が配設されるとともに、第2の凹面反射鏡41と第2の偏光板45との間に第2の偏光補正部材42が配設されている。そこでまず、偏光補正部材を有さない場合に、凹面反射鏡に入射し、反射した光束の偏光状態について説明する。
【0043】
図1を用いると、ライトガイドファイバ32の開口数に応じて発散された照明光は、上述のように第1の偏光板33で所定の直線偏光に変換され、発散光束の主光線AX1は第1の凹面反射鏡39の光軸O39に対してずれた部位に入射する所謂軸外しの光学系となっている。
【0044】
ここで、説明のため、第1の凹面反射鏡39に関して、凹面反射鏡39に入射する直線偏光L1の主光線AX1と、主光線AX1が入射する凹面反射鏡39の部位の垂線とを含む平面を、凹面反射鏡39に入射する直線偏光L1の基準入射面A4と定義する。また、前記基準入射面A4のうち、前記主光線AX1と平行で前記凹面反射鏡39と垂直に交わる軸をこの凹面反射鏡39の光軸O39と定義する。
【0045】
前述のように、第1の凹面反射鏡39に入射する光束は、発散光束である。このためフレネルの反射の式に従って、偏光のp成分とs成分との間に透過率の差が発生し、その結果偏光面の回転が発生する。また、凹面反射鏡39を軸外で用いる場合、幾何光学的な光線のねじれが発生し、偏光の振動面の回転が発生する。
【0046】
以下偏光面の回転の挙動について説明する。基準入射面A4に対して平行な振動面(p偏光)を有する直線偏光の発散光束が第1の凹面反射鏡39に入射される場合を考える。図9にこの様子を示す。図1においては、光源31からの光は第1の凹面反射鏡39の有効径にのみ入射するが、図9は、第1の凹面反射鏡39を、前記光軸O39を中心とする凹面反射鏡39の有効径を含む円(破線)として表し、入射光束の径もこの円全体を照明するように拡大して記載している。このとき、第1の凹面反射鏡39の面のうち、前記基準入射面A4と交わる部位と、光軸O39を含み前記基準入射面A4に対して垂直な面と交わる部位とにおいては、偏光面の回転は起こらないが、第1の凹面反射鏡39の他の部位では回転が起こる。図9(a)に示すように、第1の凹面反射鏡39の面内のうち、基準入射面A4を挟んで線対称に偏光の振動面は回転する。また、偏光の振動面の回転は、第1の凹面反射鏡39のうち、光軸O39を含み、基準入射面A4に対して垂直な面をはさんでも線対称に発生する。この偏光の回転量は凹面反射鏡39の光軸O39から離れた部位ほど大きい。これは、凹面反射鏡39の光軸O39から離れた部位ほど、すなわち、垂直入射から離れた部位ほど入射光線の入射角が大きくなるためである。
【0047】
ここで、第1の凹面反射鏡39の光軸O39からずれた位置から発散光束が入射すると(図9(a)の実線で囲んだ領域が第1の凹面反射鏡39の光束入射領域に対応)、第1の凹面反射鏡39に入射する光束の最も左側の光は最も入射角度が小さく、最も右側の光は最も入射角度が大きくなる(なお、入射角度は、入射光と凹面反射鏡面の法線とのなす角度である)。
【0048】
このように凹面反射鏡39に対する光の入射角度が面内で異なるため、面内で偏光面の回転にわずかの差が生じ、例えば、後段にクロスニコルで偏光板を配置したときに消光比のムラが発生する。そのため、ウェハ10表面上の各点で検査感度のムラが生じてしまう。
【0049】
なお、凹面反射鏡に方位角αiの直線偏光が入射した時の反射光の偏光の方位角αrは、次の(1)式で表される。
【0050】
tanαr=rs/rp×exp(i×(Δs−Δp))×tanαi
=rs/rp×exp(i×Δ)×tanαi …(1)
【0051】
rp、rsはそれぞれ、光の進行方向に垂直な面内で互いに直角の方向に振動する2つの成分(以下、p成分、s成分と記載する)の各々の振幅反射率、Δp、Δsはp成分、s成分それぞれの反射に起因する位相差で、反射面の複素屈折率と入射角度で決される値である(ボルン・ウォルフ光学の原理III金属光学の章等参照)。この(1)式から、凹面反射鏡に対する入射角度が変化すると、位相差Δおよび振幅反射率rp,rsが変化するため、凹面反射鏡に方位角αiの直線偏光が入射した時の反射光の偏光の方位角αrは、入射角度に応じて変化することがわかる。
【0052】
一方、ウェハ20で反射した楕円偏光L2の平行光束は、第2の凹面反射鏡41のうち光軸O41から外れた部位に入射して収束作用を受けるので、受光系40も、所謂軸外しの光学系となっている。そのため、第2の凹面反射鏡41において、第1の凹面反射鏡39の場合と同様に偏光の振動面が回転する。
【0053】
これは、第2の凹面反射鏡41に関して、第1の凹面反射鏡39の場合と同様に、凹面反射鏡41から射出される収束光束の主光線AX2や、凹面反射鏡41の光軸O41を定義すると、凹面反射鏡41から射出される収束光束が、凹面反射鏡41の光軸O41からずれた位置より射出されるため、当該収束光束の最も右側の光は最も射出角度が小さく、最も左側の光は最も射出角度が大きくなるからである(なお、射出角度は、射出光と凹面反射鏡面の法線とのなす角度である)。このように凹面反射鏡41からの光の射出角度が面内で異なるため、面内で偏光面の回転にわずかの差が生じ、例えばクロスニコル配置の場合に、消光比のムラが発生する。そのため、ウェハ10表面上の各点で検査感度のムラが生じてしまう。
【0054】
このような偏光の乱れを解消するために、例えば特開2006−343102号公報において、図10に示すように、第1の偏光板33と第1の凹面反射鏡39との間に第1の偏光補正板55を配置するとともに、第2の凹面反射鏡41と第2の偏光板45との間に第2の偏光補正板56を配置する構成が開示されている。以下、ガラスの平行平面板である偏光補償板55,56により偏光の乱れを補正する原理について説明する。偏光補償板に方位角α´iで入射した光束の透過光の偏光の方位角tanαiは、次の(2)式で表される。
【0055】
tanαi=ts/tp×exp(i×(Δs−Δp))×tanα´i
=ts/tp×exp(i×Δ)×tanα´i …(2)
【0056】
ここで、ts、tpはs成分、p成分それぞれの透過面での振幅透過率、Δp、Δsはs成分、p成分それぞれの成分の透過に起因する位相差である。また、ts、ts、Δp、Δsはガラスの屈折率と入射角の関数となる。
【0057】
(2)式より、偏光補正板を透過した光の偏光の方位角は、入射角に応じて変化することがわかる。そのため、偏光補正板を光軸に対し傾斜させて配置してやれば、凹面反射鏡で発生する偏光の方位角の乱れを補正することが可能になる。つまり、s成分、p成分のフレネル反射率が異なることを上手く利用した補正方法であることがわかる。なお、第1の偏光補正板55により生じた偏光の回転の様子を図9(b)に示す。
【0058】
s成分、p成分のフレネル反射率の差を大きくするためには、偏光補正板の屈折率が高い方が好ましい。しかしながら、照明光の波長(使用波長)を350nm以下にしたいとき、屈折率の高いガラス材料では、初期透過率が悪い場合や、透過率の経時劣化が起こる場合があるため、石英ガラスや蛍石等の紫外線に対して十分な透過率と耐久性を有する材料に限られる。ところが、石英ガラスや蛍石では屈折率が低いために、s成分、p成分のフレネル反射率の差が小さく、1枚の平行平面板では十分な補正ができないという問題があった。
【0059】
これに対し、本実施形態においては、図1に示すように、二枚の平行平面板36,37からなる第1の偏光補正部材35が第1の偏光板33と第1の凹面反射鏡39との間に配設されるとともに、二枚の平行平面板43,44からなる第2の偏光補正部材42が第2の凹面反射鏡41と第2の偏光板45との間に配設されている。
【0060】
第1の偏光補正部材35を構成する二枚の平行平面板36,37は、石英ガラスを用いて形成され、ライトガイドファイバ32と第1の凹面反射鏡39との間の光軸に対し傾斜した状態で互いに平行に配置される。また、第2の偏光補正部材42を構成する二枚の平行平面板43,44も、石英ガラスを用いて形成され、第2の凹面反射鏡41と撮像素子47との間の光軸に対し傾斜した状態で互いに平行に配置される。なお、石英ガラスの屈折率は、使用波長が313nmのとき1.48であり、248nmのとき1.51であり、193nmのとき1.56である。
【0061】
このように、二枚の平行平面板を平行に重ねて配置することにより、二枚分の補正の効果を得られるので、繰り返しパターンの構造性複屈折を利用した表面検査において、短波長域でも偏光の乱れを十分に補正することが可能になる。ただし、二枚の平行平面板を平行に重ねる際、互いに密着してオプティカルコンタクトの状態になると、そこでのフレネル反射が起きなくなってしまう。また、二枚の平行平面板の間隔が可干渉距離以下の間隔、すなわち、光の波長をλ、波長半値幅をΔλとしたときに、λ2/Δλ以下の間隔になると、そこで干渉縞が発生しウェハ10上の照度分布を乱してしまう懸念がある。従って、二枚の平行平面板は光の干渉が生じてしまう可干渉距離以上の距離だけ離す必要がある。
【0062】
さらに、高屈折率ガラスは例えば、ヤケが生じ易く、取扱いに注意しなければならないが、石英ガラスは他のガラスと比べて耐久性にも優れているため、部品管理も比較的容易である。
【0063】
なお、上述の実施形態において、各平行平面板の傾斜角度と傾斜方向とを任意に設定可能な調整機構(図示せず)を設けることが望ましい。このようにすれば、例えば装置の調整状態等、装置の状況に合わせた微調整が可能になる。
【0064】
また、上述の実施形態において、二枚の平行平面板を用いているが、これに限られるものではなく、三枚以上の複数枚の平行平面板を用いるようにしてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態において、各平行平面板の材料は、同一の材料に限られるものではなく、例えば、石英ガラスと蛍石を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0066】
また、上述の実施形態において、平行平面板の材料として石英ガラスを用いているが、これに限られるものではなく、前述のように蛍石を用いてもよく、紫外線に対して十分な透過率と耐久性を有する材料であればよい。そのため、例えば、フッ化マグネシウムや水晶等の複屈折材料であっても構わない。ただし、複屈折材料を用いる場合には、その複屈折性が入射偏光に影響を与えないよう、結晶軸の方向を入射偏光に平行あるいは直交させる等して、入射偏光が結晶に対して固有偏光となるよう注意を払う必要がある。
【0067】
また、上述の実施形態において、第2の凹面反射鏡41を用いずに、集光レンズ等の組み合わせのみで直線偏光成分L4によるウェハ10の反射像を結像する場合、第2の偏光補正部材42を設けずに、第1の偏光補正部材35のみを用いるようにしてもよい。一方、第1の凹面反射鏡39を用いずに、集光レンズ等の組み合わせのみで直線偏光L1をウェハ10の表面に導く場合、第1の偏光補正部材35を設けずに、第2の偏光補正部材42のみを用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る表面検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】半導体ウェハの表面の外観図である。
【図3】繰り返しパターンの凹凸構造を説明する斜視図である。
【図4】直線偏光の入射面と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図5】直線偏光と楕円偏光の振動方向を説明する図である。
【図6】直線偏光の振動面の方向と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図7】直線偏光の振動面の方向が繰り返し方向に平行な偏光成分と垂直な偏光成分とに分かれる様子を説明する図である。
【図8】偏光成分の大きさと繰り返しパターンのライン部の線幅との関係の一例を説明する図である。
【図9】(a)は凹面反射鏡における偏光の回転の様子を示す図であり、(b)は偏光補正板における偏光の回転の様子を示す図である。
【図10】表面検査装置の従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 表面検査装置
10 ウェハ(被検基板) 12 繰り返しパターン
30 照明系
31 光源(照明部) 32 ライトガイドファイバ(照明部)
33 第1の偏光板(照明部)
35 第1の偏光補正部材
36 平行平面板 37 平行平面板
39 第1の凹面反射鏡(第1の光学部材)
40 受光系
41 第2の凹面反射鏡(第2の光学部材)
42 第2の偏光補正部材
43 平行平面板 44 平行平面板
45 第2の偏光板(受光部) 47 撮像素子(受光部)
L1の直線偏光 L2 楕円偏光
L3 偏光成分 L4 直線偏光成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、
前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く光学部材と、
前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、
前記照明部と前記光学部材との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、
前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、
前記偏光補正部材は、前記照明部と前記光学部材との間の光軸に対して傾斜するように配置された複数の平行平面板からなり、
前記平行平面板は、使用波長に対する屈折率が1.6以下の材料を用いて形成されることを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
被検基板を照明するための直線偏光の光束を射出する照明部と、
前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、
前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる光学部材と、
前記光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、
前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、
前記偏光補正部材は、前記光学部材と前記受光部との間の光軸に対して傾斜するように配置された複数の平行平面板からなり、
前記平行平面板は、使用波長に対する屈折率が1.6以下の材料を用いて形成されることを特徴とする表面検査装置。
【請求項3】
被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、
前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く第1の光学部材と、
前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、
前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる第2の光学部材と、
前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記第1の光学部材または前記第2の光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、
前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、
前記偏光補正部材は、前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光軸に対して傾斜するように配置された複数の平行平面板からなり、
前記平行平面板は、使用波長に対する屈折率が1.6以下の材料を用いて形成されることを特徴とする表面検査装置。
【請求項4】
前記照明部が射出する光束の前記使用波長が350nm以下であり、
前記複数の平行平面板は、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、
前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く光学部材と、
前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、
前記照明部と前記光学部材との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する前記直線偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、
前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、
前記照明部が射出する前記発散光束の波長が350nm以下であり、
前記偏光補正部材は、前記照明部と前記光学部材との間の光軸に対し傾斜した状態で、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置された複数の平行平面板からなることを特徴とする表面検査装置。
【請求項6】
被検基板を照明するための直線偏光の光束を射出する照明部と、
前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、
前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる光学部材と、
前記光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、
前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、
前記照明部が射出する前記光束の波長が350nm以下であり、
前記偏光補正部材は、前記光学部材と前記受光部との間の光軸に対し傾斜した状態で、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置された複数の平行平面板からなることを特徴とする表面検査装置。
【請求項7】
被検基板を照明するための直線偏光の発散光束を射出する照明部と、
前記照明部から射出された前記発散光束を反射させて前記被検基板へ導く第1の光学部材と、
前記照明部により照明された前記被検基板からの光束のうち前記直線偏光と偏光方向が略直交する直線偏光成分を受光する受光部と、
前記被検基板からの光束を反射させて前記受光部へ収束させる第2の光学部材と、
前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光路中に配設され、前記第1の光学部材または前記第2の光学部材に起因して発生する偏光の乱れを補正する偏光補正部材とを備え、
前記受光部で受光した光に基づいて前記被検基板の表面検査を行うように構成されており、
前記照明部が射出する前記発散光束の波長が350nm以下であり、
前記偏光補正部材は、前記照明部と前記第1の光学部材との間、または前記第2の光学部材と前記受光部との間の光軸に対し傾斜した状態で、可干渉距離以上の距離だけ離れて配置された複数の平行平面板からなることを特徴とする表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−97988(P2009−97988A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269773(P2007−269773)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】